JP2009291987A - 金属張積層体およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】エッチング特性を改善しながら金属箔と樹脂層との密着性に優れ、微細な配線パターンの形成が可能な金属張積層体を提供する。
【解決手段】金属箔20と、該金属箔20に積層されたポリイミド樹脂層と、を備えた金属張積層体は、金属箔20として、ポリイミド樹脂層に接合される面が、10点平均粗さ(Rz)で1.9μmを超え2.5μm以下の範囲内の粗化面であると共に、該粗化面に、亜鉛とクロムとを含有し、表面から2nmの厚さ範囲内に存在する平均Cr量が5.0atom%以上である防錆層40を有するものを用いて形成される。
【選択図】図2

Description

本発明は、金属張積層体およびその製造方法に関し、より詳しくは、電子機器類の小型化、軽量化の要請に対応した配線材料としてのフレキシブルプリント基板や、配線一体型のハードディスクドライブ(HDD)サスペンション等の用途に好適に利用可能な金属張積層体およびその製造方法に関する。
電子機器の電子回路には、絶縁材と導電材からなる積層板を回路加工したプリント配線板が使用されている。プリント配線板は、絶縁基板の表面(及び内部)に、電気設計に基づく導体パターンを導電性材料で形成固着したものであり、基材となる絶縁樹脂の種類によって、板状のリジットプリント配線板と、柔軟性に富んだフレキシブルプリント配線板とに大別される。フレキシブルプリント配線板は、可撓性を持つことが特徴であり、常時屈曲を繰り返すような可動部では接続用必需部品となっている。また、フレキシブルプリント配線板は、電子機器内で折り曲げた状態で収納することも可能であるために、省スペース配線材料としても用いられる。フレキシブルプリント配線板を製造する材料となる金属張積層体には、基材となる絶縁樹脂に導電材を張り合わせた構造のものが用いられる。金属張積層体を構成する絶縁樹脂としては、ポリイミドエステルやポリイミド樹脂が多く用いられているが、使用量としては耐熱性のあるポリイミド樹脂が圧倒的に多い。一方、導電材には、導電性に優れていることから一般に銅箔などの金属箔が用いられている。
上記金属張積層体では、基材である絶縁樹脂と、導電材である金属箔との密着性を十分に確保することが重要である。金属張積層体の絶縁樹脂と金属箔との密着強度が低い場合、金属張積層体を用いて形成した配線の剥離が生じやすくなるという問題が生じる。そのために、金属張積層体の金属箔の表面に電解めっきを施し、粗化めっき層を形成することが行われている(例えば、特許文献1)。粗化めっき層の物理的なアンカー効果によって絶縁樹脂と金属箔との密着力を向上させることが可能になる。粗化めっき層を厚く形成して凹凸を大きくすると金属箔と絶縁樹脂との密着性を向上させることができるが、金属箔をエッチングする際の処理時間が長くなるとともに、金属箔をエッチング除去した後の絶縁樹脂の凹凸が大きくなってしまうという欠点がある。
また、金属箔の酸化を抑制する目的で、粗化めっき層に電気亜鉛メッキ処理およびクロメート処理を施して防錆層を形成することも行われている(同、特許文献1)。金属箔に形成される防錆層は、金属箔と絶縁樹脂との化学的接着性を向上させる作用も有している。例えば、防錆層中のクロム量が多くなると、金属箔と絶縁樹脂との化学的接着性が向上し、ピール強度が改善されると考えられている。
また、金属張積層体に用いる金属箔に表面処理を施し、ポリイミド層と接する面の亜鉛の付着量を0.07mg/dm以下、クロムの付着量を0.01〜0.05mg/dmに制御することにより、金属箔とポリイミド層とのピール強度を向上させる技術も提案されている(特許文献2)。
一般に、防錆層のクロム量は、クロメート処理条件によって左右され、また、下地の亜鉛めっき層の亜鉛付着量が多いほどクロム量も増加する傾向がある。しかし、防錆層中のクロム量を多くしすぎると、エッチングによる配線パターン形成の際に、防錆層の除去が困難な状態となり、この防錆層を除去するための過剰なエッチングが、配線部へ悪影響を及ぼすという問題がある。
特開2006−319287号公報 特開2003−251741号公報
電子部品の小型化の進展に伴い、配線の微細化を図る上では、金属張積層体に従来以上のピール強度の向上が求められている。それ故、上記特許文献1、特許文献2では、金属張積層体に用いる金属箔表面の亜鉛量やクロム量を制御することによって、金属箔と絶縁樹脂との密着性を改善しようと試みている。しかし、前記のように、クロム量を多くすると金属箔と絶縁樹脂との密着性を向上させることができる反面、エッチング特性を低下させてしまう懸念があるため、クロム量の量的制御のみによるアプローチでは効果に限界があった。
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、エッチング特性を改善しながら金属箔と樹脂層との密着性に優れ、微細な配線パターンの形成が可能な金属張積層体を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明の金属張積層体は、金属箔層と、該金属箔層に積層されたポリイミド樹脂層と、を備え、前記金属箔層は、前記ポリイミド樹脂層に接合される面が、10点平均粗さ(Rz)で1.9μmを超え2.5μm以下の範囲内の粗化面であると共に、該粗化面に、亜鉛とクロムとを含有し、表面から2nmの厚さ範囲内に存在する平均Cr量が5.0atom%以上である防錆層を有する金属箔を用いて形成されてなる。
本発明の金属張積層体において、前記防錆層は、表面から7nmの厚さ範囲内に存在する平均Cr量が2.2atom%以上4.0atom%以下の範囲内であること、又は前記防錆層は、表面からの深さが2nm以上10nm以下の範囲内の厚さで形成されていることが好ましい。
また、本発明の金属張積層体の製造方法は、金属箔層と、該金属箔層に積層されたポリイミド樹脂層と、が熱圧着されてなる金属張積層体の製造方法であって、前記金属箔層に用いる金属箔として、前記ポリイミド樹脂層に接合される面が、10点平均粗さ(Rz)で1.9μmを超え2.5μm以下の範囲内の粗化面であると共に、該粗化面に、亜鉛とクロムとを含有し、表面から2nmの厚さ範囲内に存在する平均Cr量が5.0atom%以上の範囲内である防錆層を有する金属箔を用いる。
本発明の金属張積層体は、金属箔表面付近に存在するクロム量の深さ方向分布が適切に制御されていることにより、金属箔層とポリイミド樹脂層とのピール強度が向上し、優れた接着性を有している。特に、熱圧着によって金属箔層とポリイミド樹脂層とが接合された金属張積層体において高い接着性が得られる。また、本発明の金属張積層体では、使用する金属箔のクロム総量が抑制されているため、金属箔層とポリイミド樹脂層との間で十分なピール強度を得ながら、配線パターン形成時に良好なエッチング特性が得られる。なお、金属箔表面付近に存在するクロム量の深さ方向分布が、金属箔と樹脂層との密着性やエッチング特性に与える影響について、従来技術では何ら検討されておらず、本発明において初めて明らかになったものである。
本発明の金属張積層体は、フレキシブルプリント基板、配線一体型サスペンションなどに有利に適用できる。
[第1の実施の形態]
以下、本発明の実施の形態について、適宜図面を参照して詳細に説明する。
本実施の形態に係る金属張積層体は、金属箔層と、該金属箔層に積層されたポリイミド樹脂層と、を備えたものである。
金属張積層体:
金属張積層体は、ポリイミド樹脂層の片面又は両面に金属箔層を有する。図1(a)は、片面に金属箔を有する片面金属張積層体の積層構造の一例を示している。片面金属張積層体1aは、金属箔層11とポリイミド樹脂層12とを有している。片面金属張積層体1aは、金属箔とポリイミドフィルム(またはポリイミド積層体)とを貼り合わせて積層するか、あるいは、金属箔にポリイミド樹脂の前駆体であるポリアミド酸溶液(ポリイミド前駆体溶液)を塗布した後、乾燥、イミド化して樹脂層12を形成することにより得られる。
図1(b)は、両面に金属箔を有する両面金属張積層体1bの積層構造の一例を示している。両面金属張積層体1bは、外側の金属箔層11a,11bと、その間に介在するポリイミド樹脂層12と、を有している。両面金属張積層体1bは、ポリイミドフィルム(またはポリイミド樹脂層を有するポリイミド積層体)の両面に金属箔を貼り合わせるか、あるいは、図1(a)と同様の構成の片面金属張積層体1aを製造した後、ポリイミド樹脂層12の上に別の金属箔を貼り合わせて積層することよって得ることができる。
金属箔:
本発明において導電層に使用される金属箔としては、例えば、鉄箔、ニッケル箔、ベリリウム箔、アルミニウム箔、亜鉛箔、インジウム箔、銀箔、金箔、スズ箔、ジルコニウム箔、ステンレス箔、タンタル箔、チタン箔、銅箔、鉛箔、マグネシウム箔、マンガン箔及びこれらの合金箔が挙げられる。これらのなかでも、銅箔(銅合金箔を含む)が適する。ここでいう「銅箔」とは、銅又は銅を主成分とする銅合金の箔を言う。好ましくは銅含有率が90質量%以上、特に好ましくは95質量%以上の銅箔である。銅箔は、クロム、ジルコニウム、ニッケル、シリコン、亜鉛、ベリリウム等の金属を含有していてもよい。また、これらの金属が2種類以上含有される合金箔であっても良い。
例えば、金属張積層体をフレキシブル基板の製造に用いる場合の銅箔の好ましい厚みは3〜50μmの範囲内であり、より好ましくは5〜30μmの範囲内であるが、回路パターンの線幅を細線化するためには、銅箔の厚みは5〜20μmの範囲内が好ましい。
また、金属張積層体に、フレキシブル基板としての高い屈曲性能が求められる場合には、圧延銅箔を好適に使用できる。
図2(a)は金属箔の表面付近の断面構造を模式的に示した図であり、図2(b)はさらにその要部を拡大した図である。金属箔20を構成する金属層21には、アンカー効果によりポリイミド樹脂層12との密着性を高めるための粗化層30が形成されている。粗化層30の表面粗度として、粗化層30の十点表面粗さ(Rz)が、1.9μmを超え2.5μm以下の範囲内、好ましくは1.95μm以上2.5μm以下の範囲内、より好ましくは1.95μm以上2.2μm以下の範囲内がよい。Rzが1.9μm以下では、粗化層としてのアンカー効果が得られにくく、一方、Rzが2.5μmを超えると粗化部分をエッチングするのに要する時間が長くかかる傾向にある。
また別の観点からは、粗化層30の表面粗度として、色差ΔEが、46を超え54以下の範囲内にあり、好ましくは46.3以上52以下の範囲内、より好ましくは46.3以上50以下の範囲内にあることがよい。
粗化層30の厚みは、0.5μm以上3μm以下の範囲内が好ましく、より好ましくは1μm以上3μm以下の範囲内、更に好ましくは1μm以上2μm以下の範囲内がよい。粗化層30の厚みが0.5μm未満では、粗化層としてのアンカー効果が得られにくく、3μm以上であると金属箔20をエッチングする際の処理時間が長くなるとともに、金属箔20をエッチング除去した後のポリイミド樹脂層12の凹凸が大きくなって微細な配線パターン形成に不都合を生じることがある。
粗化層30は、例えば電気めっき法により金属箔20と同じ材料(例えば銅)で金属箔20の表面に凹凸を有する皮膜(塊状皮膜)を付着させることにより形成することができる。
また、金属箔20の表面には、防錆層40を有している。防錆層40は、金属箔20の表面に、亜鉛めっき処理およびクロメート処理を順次行うことにより形成することができる。亜鉛めっき処理およびクロメート処理は、公知の方法で行うことができる。
図2(b)に示したように、防錆層40全体の厚みd1は、表面Sから深さ2nm以上10nm以下の範囲内が好ましく、10nm程度がより好ましい。防錆層40の厚みが2nm未満では、十分な防錆効果が得られないと同時に、クロメート処理におけるクロム付着量の制御が困難となる。一方、10nmを超えるとプリント配線板としてエッチングによる配線パターンを形成した際に、露出した亜鉛がプリント配線板の製造工程中に溶出して不具合が生じやすく、またポリイミド樹脂との接着強度が低下する傾向がある。
また、防錆層40は、その表面Sから所定の厚みd2の範囲内に、平均Cr量が5.0atom%以上存在すればよく、その上限値は特に制限されないが、クロム皮膜の形成における亜鉛めっき層の溶解とクロム皮膜付着との競合関係の観点から、好ましくは5.0atom%以上6.5atom%以下、より好ましくは5.3atom%以上6.5atom%以下がよい。ここで、防錆層40の表面Sから所定の厚みd2の範囲内における平均Cr量は、防錆層40の表面Sから7nmの厚さ範囲内に存在する平均Cr量に対して、好ましくは1.5倍以上、より好ましくは1.8倍以上であることがよい。なお、防錆層40の表面Sから所定の厚みd2の範囲内に存在する平均Cr量が、防錆層40の表面Sから7nmの厚さ範囲内に存在する平均Cr量に対して、1.5倍以上である防錆層の領域をCrリッチ層と定義する。このような定義によれば、防錆層40は、Crリッチ層41を有していることになる。Crリッチ層の厚みd2は、表面Sからの深さ1.5〜3.5nmの範囲内であることが好ましく、表面Sから深さ2nm程度までの範囲内であることがより好ましい。このような理由から、本発明では表面Sから深さ2nmまでのCr量を指標としている。
また、防錆層40の表面Sから7nmの厚さ範囲内に存在する平均Cr量が2.2atom%以上4.0atom%以下であることが好ましく、より好ましくは2.5atom%以上3.9atom%以下、更に好ましくは2.5atom%以上3.5atom%以下がよい。このような範囲とすることで、ポリイミド樹脂層と金属箔層との間で高いピール強度を維持しつつ、エッチング特性を向上させることができる。
防錆層40中のCr量は、亜鉛めっき処理およびクロメート処理の条件を同じにしたとしても、ロット間で差異(ばらつき)を有している。このため、本実施の形態では、例えばX線光電子分光分析(XPS)などの膜厚方向にCr量の分布を計測可能な測定手段を用いて計測を行い、表面から深さ2nmまでの範囲内の平均Cr量が5.0atom%以上である金属箔20を選択して用いることが好ましい。
なお、金属箔20には、上記亜鉛めっきおよびクロメート処理のほかに、接着力の向上を目的として、金属箔の表面にサイディング、ニッケルメッキ、あるいはアルミニウムアルコラート、アルミニウムキレート、シランカップリング剤等による化学的又は機械的な表面処理を施しておいてもよい。
本実施の形態では、金属箔20として、例えば日鉱金属株式会社製の圧延銅合金箔であるNK−120S(商品名)等の市販品を好適に用いることができる。
ポリイミド樹脂層:
本発明の金属張積層体におけるポリイミド樹脂層12の態様は、特に限定されるものではなく、単離の樹脂フィルムであってもよく、シート、皮膜等であってもよい。また、ポリイミド樹脂層12は、単層にかぎらず、例えば基材に、1層以上のポリイミドフィルムの層が積層したポリイミド積層体でもよい。なお、ここでいう「基材」とは金属箔、シート状の樹脂、樹脂フィルム等をいう。ポリイミド積層体は、接着性が乏しい樹脂フィルム(以下、「ベース層」ともいう)の片面又は両面に接着性を有する樹脂フィルム(以下、「接着性樹脂層」ともいう)を形成してなる複数層の樹脂フィルムを含む構成のものであってもよい。
ポリイミド樹脂層12の全体厚みは、5〜75μmの範囲内が好ましく、5〜50μmの範囲内がより好ましい。ポリイミド樹脂層12は、ベース層をX、接着性樹脂層をYで表せば、層構造として、X/Y、Y/X/Y、X/Y/X/Y等の構造を取り得る。ポリイミド積層体は、少なくとも一組のX/Yの層構造を有し、かつYを表面に有することが好ましい。また、必要により基材Sを有することができ、S/X/Y、S/Y/X/Y、S/X/Y/X/Y等の構造を取り得る。ベース層Xには、耐熱性及び寸法安定性の観点から、非熱可塑性のポリイミド樹脂を使用することが好ましい。また、接着性樹脂層Yは、耐熱性の観点から、熱可塑性のポリイミド樹脂を使用することが好ましいが、エポキシ樹脂やアクリル樹脂のような熱硬化性樹脂等を使用しても構わない。必要に応じて、リン酸水素カルシウム等のフィラーを使用することもできる。
以下、ポリイミド樹脂層12について例に挙げてより詳細に説明する。ポリイミド樹脂としては、例えばポリイミド、ポリアミドイミド、ポリベンズイミダゾール、ポリイミドエステル、ポリエーテルイミド、ポリシロキサンイミド等の構造中にイミド基を有するポリマーからなる耐熱性樹脂がある。
ポリイミド樹脂は、公知のジアミンと酸無水物とを溶媒の存在下で反応させて製造することができる。用いられるジアミンとしては、例えば、4,4'-ジアミノジフェニルエーテル、2'-メトキシ-4,4'-ジアミノベンズアニリド、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2'-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2'-ジメチル-4,4'-ジアミノビフェニル、3,3'-ジヒドロキシ-4,4'-ジアミノビフェニル、4,4'-ジアミノベンズアニリド等が挙げられる。また、酸無水物としては、例えば、無水ピロメリット酸、3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'-ジフェニルスルフォンテトラカルボン酸二無水物、4,4'-オキシジフタル酸無水物が挙げられる。ジアミン、酸無水物はそれぞれ、その1種のみを使用してもよく2種以上を併用して使用することもできる。
また、これらの反応は有機溶媒中で行わせることが好ましく、このような有機溶媒としては特に限定されないが、具体的には、ジメチルスルフォキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ヘキサメチルホスホルムアミド、フェノール、クレゾール、γ−ブチロラクトン、n−メチルピロリジノン、2−ブタノン、ジグライム、キシレン等が挙げられ、これらは単独で、又は混合して用いることができる。また、このような有機溶剤の使用量としては特に制限されるものではないが、重合反応よって得られるポリアミド酸溶液(ポリイミド前駆体溶液)の濃度が5〜30重量%程度になるような使用量に調整して用いることが好ましい。
また、このような溶媒を用いた反応において用いるジアミノ化合物と酸二無水物との配合割合は、全ジアミノ化合物に対して酸二無水物のモル比が0.95から1.05の割合で使用することが好ましい。
ジアミノ化合物と酸二無水物との反応は、0℃から60℃の範囲内の温度条件で1〜24時間反応させることが好ましい。温度条件が前記下限(0℃)未満では、反応速度が遅くなって分子量の増加が進まない傾向にあり、他方、前記上限(60℃)を超えるとイミド化が進行して反応溶液がゲル化し易くなる傾向にある。上記範囲内の温度条件で反応させることで効率的にポリアミド酸溶液を得ることができる。
ポリイミド樹脂層12の形成方法については特に限定されないが、例えば、ポリアミド酸溶液を任意の基材上に塗布した後に熱処理(乾燥、硬化)を施して基材上にポリイミド樹脂層を形成せしめる方法を挙げることができる。ポリアミド酸溶液を基材上に塗布する方法としては特に制限されず、例えばコンマ、ダイ、ナイフ、リップ等のコーターにて塗布することが可能である。
また、熱処理(乾燥、硬化)の方法も特に制限されず、例えば、80〜400℃の範囲内の温度条件で1〜60分間加熱するといった熱処理が好適に採用される。このような熱処理を行うことで、ポリアミド酸の脱水閉環が進行するため、基材上にポリイミド樹脂層を形成させることができる。
ポリイミド樹脂層12を複数層とする場合、基材上又は接着性樹脂層となる層上にポリアミド酸溶液を塗布し、乾燥する操作を繰り返して所定のポリアミド酸層を形成した後、イミド化を行ってポリイミド樹脂層12とすることが好ましい。ポリイミド樹脂層12が3層以上からなる場合、同一の構成のポリアミド酸を2回以上使用してもよい。層構造が簡単である2層又は単層、特に単層は、工業的に有利に得ることができる。
また、ポリイミド樹脂層12として、市販のポリイミド樹脂又はポリイミドフィルムも好適に使用可能であり、例えば東レ・デュポン株式会社製のカプトンEN(商品名)、鐘淵化学株式会社製のアピカルNPI(商品名)、宇部興産株式会社製のユーピレックス(商品名)等が挙げられる。このような非熱可塑性ポリイミドフィルムの片面又は両面に、1種類以上の熱可塑性ポリイミドの前駆体溶液を塗布した後、熱処理して接着性層を有するポリイミド樹脂層12を形成することができる。市販の熱可塑性ポリイミド樹脂の前駆体溶液としては、例えば新日鐵化学株式会社製のSPI−200N(商品名)、同SPI−300N(商品名)、同SPI−1000G(商品名)、東レ株式会社製のトレニース#3000(商品名)等が挙げられる。
金属張積層体の製造:
本実施の形態に係る金属張積層体(1aまたは1b)は、ポリイミド樹脂層12となるべきポリイミドフィルム(またはポリイミド積層体)に、金属箔層11(または11aもしくは11b)となるべき金属箔20の粗化層30および防錆層40が形成された側の面を重ね合わせ、熱圧着することによって作製することができる。その方法は特に制限されず、適宜公知の方法を採用することが出来る。金属箔20とポリイミドフィルム(またはポリイミド積層体)を貼りあわせる方法としては、例えば、通常のハイドロプレス、真空タイプのハイドロプレス、オートクレーブ加圧式真空プレス、連続式熱ラミネータ等が挙げられる。これらの中でも、十分なプレス圧力が得られ、残存揮発分の除去も容易に行うことができ、更に金属箔20の酸化を防止できる、といった利点が得られる真空ハイドロプレスや連続式熱ラミネータを用いることが好ましい。
金属箔20とポリイミドフィルム(またはポリイミド積層体)とを貼りあわせる際には、200〜400℃程度の範囲内の温度に加熱しながらプレスすることが好ましく、280〜400℃の範囲内がより好ましく、300〜400℃の範囲内の温度がさらに好ましい。また、プレス圧力については、使用するプレス機の種類にもよるが、100〜150Kgf/cm程度が好ましい。
また、本実施の形態に係る金属張積層体(1aまたは1b)は、金属箔層11(または11aもしくは11b)となるべき金属箔20の粗化層30および防錆層40側の面に、ポリアミド酸溶液を塗布し、乾燥後、イミド化してポリイミド樹脂層を形成することによっても製造できる。この場合、上記と同様に、金属箔20上にポリアミド酸溶液を塗布した後に熱処理(乾燥、硬化)を施すことにより、金属箔20上にポリイミド樹脂層を形成することができる。ポリアミド酸溶液を金属箔20上に塗布する方法としては特に制限されず、例えば、コンマ、ダイ、ナイフ、リップ等のコーターにて塗布することが可能である。また、熱処理(乾燥、硬化)の方法も特に制限されず、例えば、80〜400℃の範囲内の温度条件で1〜60分間加熱するといった熱処理が好適に採用される。このような熱処理を行うことで、ポリアミド酸の脱水閉環が進行するため、金属箔上にポリイミド樹脂層を形成させることができる。
<第1の実施の形態の作用効果>
以上のように、防錆層40中の深さ方向におけるCrの存在分布が工夫された金属張積層体1a,1bは、金属箔層11とポリイミド樹脂層12との接着強度に優れている。そのため、金属張積層体1a,1bを回路配線の製造に使用することにより、細線の接着強度を確保することができ、配線の微細回路化においても細線の破断、剥離等の種々のトラブル発生を抑制できる。したがって、高密度化、超微細配線化する電子回路材の要求に答え、信頼性の高い電子回路材の提供が可能である。特に、熱圧着によって金属張積層体を製造した場合には、金属箔層11とポリイミド樹脂層12との面内のピール強度のばらつきを抑制できるので、上記作用効果が特に顕著に奏される。また、金属張積層体1a,1bでは、金属箔20の防錆層40におけるクロム総量を抑制しているので、エッチング特性も良好である。従って、金属張積層体1a,1bは、エッチングにより配線パターンを形成するフレキシブルプリント基板、配線一体型サスペンションなどに有利に適用できる。
[第2の実施の形態]
配線一体型HDDサスペンションへの適用例:
本実施の形態に係る金属張積層体は、3層以上の層(例えば第1の金属箔/ポイリミド樹脂層/第2の金属箔)を有する両面金属張積層体とすることにより、例えばハードディスク装置用の配線一体型サスペンションの用途に好適に利用できる。ここで、図3を参照して、本実施の形態の金属張積層体を用いて製造される配線一体型HDDサスペンションの構成の一例について説明する。図3は、配線一体型HDDサスペンションの平面図である。この配線一体型HDDサスペンションは、磁気ヘッドを含むスライダを、記録媒体に対向するように弾性的に支持するものである。
図3に示した配線一体型HDDサスペンションは、例えばステンレス鋼によって形成された板ばね状のロードビーム51、このロードビーム51の一端部に取り付けられたフレキシャ52と、を備えている。フレキシャ52の一端部には、磁気ヘッドを含む図示しないスライダが取り付けられるようになっている。フレキシャ52は、スライダに適度な自由度を与えるものである。フレキシャ52において、スライダが取り付けられる部分には、スライダの姿勢を一定に保つためジンバル部53が設けられている。ロードビーム51の他端部は、図示しないアクチュエータに取り付けられるようになっている。このアクチュエータは、スライダが記録媒体のトラック横断方向に移動するようにHDDサスペンションを駆動する。フレキシャ52は、一端が磁気ヘッドに接続される配線54を含んでいる。
なお、本実施の形態の金属張積層体を用いて製造されるHDDサスペンションの構成は、図3に示したものに限らない。例えば、HDDサスペンションは、図3におけるロードビーム51およびフレキシャ52の代わりに、これらが一体化されたHDDサスペンション本体を備えたものであってもよい。この場合には、HDDサスペンション本体が配線54を含む。そして、本実施の形態の金属張積層体は、HDDサスペンション本体を製造するために用いられる。
両面金属張積層体を使用して配線一体型HDDサスペンションを製造する場合、第1の金属箔にはステンレス箔が適用され、その材質は特に制限されるものではないが、サスペンションに必要なばね特性や寸法安定性の観点から、好ましくはSUS304がよく、より好ましくは300℃以上の温度でテンションアニール処理が施されたSUS304がよい。また、ステンレス箔の好ましい厚さ範囲は10〜50μmの範囲内、より好ましくは15〜30μmの範囲内である。
第2の金属箔としては、第1の実施の形態で説明したものと同様の特徴を持つ金属箔を用いる。すなわち、ポリイミド樹脂層に接合される面のRzが1.9μmを超え2.5μm以下の範囲内の粗化面であり、該粗化面に、亜鉛とクロムとを含有し、表面から2nmの厚さ範囲内に存在する平均Cr量が5.0atom%以上である防錆層を有する金属箔(好ましくは銅箔)を用いる。また、第2の金属箔としては、例えば引張強度が420MPa以上、導電率が35%以上の銅箔又は銅合金箔を使用することが好ましい。引張強度を420MPa以上とすることで、フライングリードを形成した場合の断線などの問題を回避することができる。また、配線パターンの線幅を微細化する場合には、第2の金属箔の導電率は65%以上とすることが好ましい。このような導電率とすることで、導電層の抵抗体から発生するノイズが熱として発散することを抑制し、結果としてインピーダンス制御が困難になることを回避することができる。特に好ましくは、このような引張強度及び導電率を満足する圧延銅合金箔がよく、このような金属箔を使用することで積層体製造工程における加熱圧着工程等での引張強度の低下の影響を抑制することができる。また、第2の金属箔層の厚みは3〜50μmの範囲内が好ましく、より好ましくは5〜30μmの範囲内とすることがよい。
3層構造の両面金属張積層体において、第1の金属箔層と第2の金属箔層が異種金属により構成される場合(例えば銅箔とステンレス箔)、予め反りを考慮する必要から、ステンレス箔の線膨張係数は11ppm/℃以上18ppm/℃以下の範囲内が好ましく、16ppm/℃以上18ppm/℃以下の範囲内が望ましい。両面の金属箔の厚みが極端に異なる場合や、線膨張係数が大きく異なる場合、両面金属張積層体に反りが生じ、加工の際に不具合が発生するため、反りを抑制する観点から、上記範囲内の厚み、および線膨張係数を選択することが好ましい。
本実施の形態に係る両面金属張積層体を構成するポリイミド樹脂層は、多層例えば3層以上のポリイミド樹脂層が積層されたものが好ましい。3層以上のポリイミド樹脂層は第1の金属箔に直接形成することができる。多層のポリイミド樹脂層の形成に際しては、ポリイミド溶液あるいはポリアミド酸溶液を第1の金属箔に塗布、乾燥する操作を繰り返す方法が好ましい。
次に、ポリイミド樹脂層が複数層である場合を例に挙げて両面金属張積層体について説明する。両面金属張積層体の代表例として、以下の積層構造1〜積層構造4を挙げることができる。ただし、両面金属張積層体は、これらの積層構造に限定されるものではない。なお、積層構造1〜4において、M1は最初にポリイミド溶液あるいはポリアミド酸溶液が塗布される銅箔またはSUS箔からなる第1の金属箔、M2は既に硬化したポリイミド樹脂面と熱圧着される第2の金属箔としての銅箔、A(A1、A2)は熱可塑性ポリイミド樹脂層、B(B1、B2およびB3)は低熱膨張性ポリイミド樹脂層、Cはその他のポリイミド樹脂層を意味する。
積層構造1:M1/A1/B/A2/M2
積層構造2:M1/A1/B1/B2/B3/A2/M2
積層構造3:M1/A1/B1/B2/B3/A2/M2
積層構造4:M1/A1/B1/C/B2/A2/M2
熱可塑性ポリイミド樹脂層A(A1およびA2)、ならびに低熱膨張性のポリイミド樹脂層B(B1、B2およびB3)は、それぞれ材質、厚みが同一であっても良く、一方(つまり、AまたはB)のみが異なる材質、厚みを有していても良く、両者(つまり、AとB)が異なる材質、厚みを有していても良い。また、熱可塑性ポリイミド樹脂層Aおよび低熱膨張性ポリイミド樹脂層Bの代わりに、これらのいずれにも該当しないその他のポリイミド樹脂層Cを用いることもできる。前記積層構造1〜4の内、最も好ましい構造として積層構造1を挙げることができる。
熱可塑性ポリイミド樹脂層A1およびA2には、金属箔(例えば銅箔、ステンレス箔)と良好な接着性を示す熱可塑性ポリイミド樹脂を用いることが好ましく、そのガラス転移温度(Tg)が350℃以下であるものが好ましく、200〜320℃の範囲内にあるものがより好ましい。
低熱膨張性ポリイミド樹脂層Bは、その線熱膨張係数が1×10−6〜30×10−6(1/K)の範囲内であることが好ましく、1×10−6〜25×10−6(1/K)の範囲内がより好ましく、1×10−6〜20×10−6(1/K)の範囲内がさらに好ましい。低熱膨張性ポリイミド樹脂層Bの線熱膨張係数が、上記範囲から外れると、樹脂の乾燥、硬化工程およびプレス圧着工程における加熱(特にプレス圧着工程における加熱)によって、ポリイミド樹脂層Bの熱寸法変化に伴って両面金属張積層体に反りが発生することがある。
本実施の形態の両面金属張積層体におけるポリイミド樹脂層の全体の厚みは、5μm以上75μm以下の範囲内にあることが好ましく、5μm以上50μm以下の範囲内がより好ましい。ポリイミド樹脂層の全体の厚みが5μm未満では電気的な絶縁の信頼性が低下する傾向にあり、一方、75μmを越えるとポリイミド樹脂層を形成する際の乾燥効率が低下する傾向にある。
熱可塑性ポリイミド樹脂層Aおよび低熱膨張性ポリイミド樹脂層Bを構成するポリイミド樹脂は、例えばポリイミド、ポリアミドイミド、ポリベンズイミダゾール、ポリイミドエステル、ポリエーテルイミド、ポリシロキサンイミド等の構造中にイミド基を有するポリマーからなる耐熱性樹脂を挙げることが出来る。これらは、第1の実施の形態で説明したように、公知のジアミンと酸無水物との反応によって合成できる。
合成されたポリイミド樹脂またはその前駆体は溶液として使用される。通常、反応溶媒溶液として使用することが有利であり、必要により濃縮、希釈または他の有機溶媒に置換することが出来る。また、ポリアミド酸は一般に溶媒可溶性に優れるので、有利に使用される。これらの溶液は金属箔表面上に所定の層構造を形成するように順次塗布、乾燥される。
各ポリイミド樹脂層の厚みは、低熱膨張性ポリイミド樹脂層B(複数層の場合はその合計)が全体の50%以上、好ましくは70%以上であることがよく、熱可塑性ポリイミド樹脂層Aは両金属箔との接着性を確保できる厚みであれば良い。
金属張積層体を製造する場合、第1の金属箔(例えばステンレス箔)の上に、ポリイミド樹脂溶液またはポリアミド酸溶液を直接塗布することによってポリイミド樹脂層を形成することができる。このように形成された金属張積層体は、第1の金属箔とポリイミド樹脂層との密着性が良好となる。ポリイミド樹脂溶液またはポリアミド酸溶液の塗布方法は特に制限されず、通常、アプリケータを用いて塗布することができる。
第1の金属箔上にポリイミド樹脂溶液(またはポリアミド酸溶液)を塗布し、乾燥する操作を繰り返して所定層のポリイミド層(またはポリイミド前駆体層)を形成させた後は、未硬化のポリイミド(またはポリイミド前駆体)を硬化(またはイミド化)させるために、通常、150℃以上の温度に加熱処理する。前記加熱処理(乾燥、硬化)の方法は特に制限されないが、例えば80℃〜400℃の範囲内の温度条件で1〜60分間加熱するといった熱処理が好適に採用される。このような熱処理を行うことで、前記ポリアミド酸の脱水閉環反応が進行するため、第1の金属箔上にポリイミド樹脂層を形成することが出来る。硬化(またはイミド化)が終了して得られるポリイミド樹脂層/第1の金属箔層の積層体は次の工程に付せられる。
本実施の形態に係る両面金属張積層体は、ポリイミド樹脂層/第1の金属箔層の積層体のポリイミド樹脂層側に第2の金属箔を重ね合わせ、熱圧着することによって作製することができる。その方法は特に制限されず、第1の実施の形態で述べたように、適宜公知の方法を採用することが出来る。
第2の金属箔と、ポリイミド樹脂層/第1の金属箔層の積層体とを貼りあわせる際には、200〜400℃程度の範囲内の温度に加熱しながらプレスすることが好ましく、280〜400℃の範囲内がより好ましく、300〜400℃の範囲内の温度がさらに好ましい。また、プレス圧力については、使用するプレス機の種類にもよるが、100〜150Kgf/cm程度が好ましい。
このような構成の両面金属張積層体は、第1および第2の金属箔層とポリイミド樹脂層との接着強度に優れている。そのため、両面金属張積層体を使用してHDD用配線一体型サスペンションを製造することにより、配線の微細回路化における細線の接着強度を確保することができ、細線の破断、剥離等の種々のトラブルを抑制できる。金属張積層体から配線一体型サスペンションを製造するためには、公知の手順に従えばよく、特に制限はないが、好ましい加工方法としては、第1の金属箔層−ポリイミド樹脂層−第2の金属箔層の金属張積層体をエッチングにより所定の形状に加工して、配線一体型サスペンションとする、TSA法と呼ばれる方法を挙げることができる。TSA法では、まず、金属張積層体の第1の金属箔層及び第2の金属箔層の両方の面に所定のレジストパターンを形成する。次に、塩化第二鉄水溶液等のエッチング液を用いて第1の金属箔層と第2の金属箔層とを同時にエッチングして、それぞれの層を所定の形状に加工し、その後レジストを剥離することで、エッチング積層体を得る。このエッチング積層体に所定の絶縁層加工レジストパターンを形成し、ポリイミドエッチング液にてポリイミド樹脂層をエッチングし、所定の形状とする。その後、絶縁層加工レジストパターンを剥離することによって、図3に示したような配線一体型サスペンションを得ることができる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。なお、実施例において特にことわりない限り各種測定、評価は下記によるものであり、また、用いた略号は下記のとおりである。
PMDA:ピロメリット酸二無水物
BTDA:3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物
APB:1,3-ビス-(3-アミノフェノキシ)ベンゼン
MABA:4,4'-ジアミノ-2'-メトキシベンズアニリド
DAPE:4,4'-ジアミノジフェニルエーテル
DMAc:N,N-ジメチルアセトアミド
[10点平均粗さ(Rz)の測定]
レーザー顕微鏡(キーエンス社製、型式:VK−8500)を用いて、JIS B−0601に準拠し、カットオフ値0.25mm、測定長2mmとして測定した。
[色差ΔEの測定]
色差計(Hunter社製、型式Mini Scan XE)を用いて、JIS Z 8722に準拠して測定した。
[平均Cr量の測定]
X線光電子分光分析装置(PHI社製、Quantum2000型)を用いて、X線源としてAlKα(1486.6eV)、X線出力として15kV、25W、分析室真空度2.7×10−7Torrの測定条件下で、測定領域を100μmφ、防錆層の表面から深さ方向に10nmまでを測定した。単位はatom%である。また、この測定値より単位面積当りの付着量をグラム換算して求めることもでき、単位はμg/cmとして算出した。
[エッチング時間の測定]
液温40℃の1N硫酸溶液に浸漬し、粗化層(塊状銅箔層)が完全に溶解するまでの時間を目視観察により計測した。
[ポリイミド層と銅箔層とのピール強度(kN/m)]
長さ25mm、幅3.2mmの試料について、JIS−6471に規定される方法に従って、試料の端からポリイミド層と銅箔層とを剥離していき、そのときの応力を測定した。剥離角度は90度、剥離速度は50mm/分とした。
[ステンレス箔の線熱膨張係数(CTE)の測定方法]
縦型熱膨張計(真空理工(株)製DL−7000型(商品名))を用いて、ステンレス箔を室温から400℃まで20℃/分の速度で昇温し、その温度で5分間保持した後、20℃/分の速度で冷却した。そして、冷却時の400℃から50℃までの平均熱膨張係数を算出し、これをステンレス箔の線熱膨張係数とした。
[ポリイミド樹脂層の線熱膨張係数(CTE)の測定方法]
熱機械的分析装置(セイコーインスツル(株)製)を用いて、ポリイミド樹脂層を255℃まで20℃/分の速度で昇温し、その温度で10分間保持した後、5℃/分の速度で冷却した。そして、冷却時の240℃から100℃までの平均熱膨張係数を算出し、これをポリイミド樹脂層の線熱膨張係数とした。
[ガラス転移温度(Tg)の測定]
粘弾性アナライザー(レオメトリックサイエンスエフィー株式会社製RSA−11)を用いて、合成例から得られたポリイミドフィルムを10mm幅に切り出したサンプルを用いて、1Hzの振動を与えながら、室温から400℃まで10℃/分の速度で昇温した際の、損失正接(Tanδ)の極大から求めた。
[銅箔の引張強度の測定]
幅12.7mm×長さ254mmの短冊形状試験片を切り出し、引張試験機(東洋精機株式会社製、ストログラフ-R1)を用いて、クロスヘッドスピード50mm/min、チャック間距離50.8mmにて測定を行い、引張試験中の変位(伸び)を求め、SS曲線から0.2%耐力を算出した。
[導電率の測定]
銅箔をアセトンで脱脂後、硫酸10%、過酸化水素5%の混酸からなるソフトエッチング液にて粗化処理部を落とした後、長さ300mm×幅10mmの短冊試験片を切り出し、20℃の恒温室にて横川北辰電機株式会社製精密級低電圧用電流電位差計を用いて導電率の測定を行なった。
(合成例1)
500mlのセパラブルフラスコの中において、撹拌しながらAPB29.5g(0.1モル)をDMAc367gに溶解させた。次に、この溶液に、窒素気流中でPMDA9.1g(0.04モル)及びBTDA20.2g(0.06モル)を加えた。その後、3時間攪拌を続けて重合反応を行い、粘稠なポリイミド前駆体樹脂液Aを得た。
得られたポリイミド前駆体樹脂液Aを、ステンレス基板の上に塗布し、130℃で5分間乾燥し、15分かけて360℃まで昇温させてイミド化を完了させ、ステンレス基材に積層されたポリイミド樹脂層を得、この樹脂層をステンレス基材から剥離することで、厚み25μmの熱可塑性のポリイミドフィルムA’を得た。このフィルムのガラス転移温度は、218℃であった。
(合成例2)
500mlのセパラブルフラスコの中において、撹拌しながらMABA20.7g(0.08モル)をDMAc343gに溶解させた。次に、この溶液に、窒素気流中でPMDA28.5g(0.13モル)及びDAPE10.3g(0.05モル)を加えた。その後、約3時間攪拌を続けて重合反応を行い、粘稠なポリイミド前駆体樹脂液Bを得た。
得られたポリイミド前駆体樹脂液Bを、ステンレス基材の上に塗布し、130℃で5分間乾燥し、15分かけて360℃まで昇温させてイミド化を完了させ、ステンレス基材に積層されたポリイミド樹脂層を得、この樹脂層をステンレス基材から剥離することで、厚み25μmの非熱可塑性のポリイミドフィルムB’を得た。このフィルムの線熱膨張係数は、14.6×10−6(1/K)であった。
(実施例1)
市販のポリイミドフィルム(東レ・デュポン社製、商品名:カプトンEN、100mm×100mm×25μm厚さ、CTE16×10-6/K)の一方の面に合成例1で得たポリイミド前駆体樹脂液Aを、イミド化後の厚みが2μmとなるようにアプリケータを用いて塗布し、130℃で5分間乾燥し、15分かけて360℃まで昇温させてイミド化を完了し、非熱可塑性ポリイミド樹脂層の上に熱可塑性ポリイミド樹脂層が積層したポリイミドフィルム1を得た。
得られたポリイミドフィルム1の熱可塑性ポリイミド樹脂層側と、銅箔1(日鉱金属社製、商品名:NK−120S、圧延銅合金箔、厚み12μm、引張強度520MPa、導電率75%、粗化面のRz1.96μm、ΔE46.9、粗化層厚み2.16μm、防錆層表面から深さ2nmまでの平均Cr量6.0atom%、防錆層表面から深さ7nmまでの平均Cr量3.0atom%)の粗化面側の面を重ね合わせ、真空プレス機を用いて、面圧150kg/cm、温度320℃、プレス時間20分の条件で熱圧着し、金属張積層体1を得た。銅箔とポリイミド樹脂層のピール強度は2.29kN/mであった。また、粗化層をエッチング除去するために要した時間は、7分であった。結果を表1に示す。なお、銅箔1のCrリッチ層は、防錆層表面から深さ1.9nmまでの範囲に存在しており、防錆層表面から1.1nmの深さにおいてCr量が最大の6.5atom%であった。また、防錆層表面から10nmの深さ地点において、Cr量は0.0atom%であった。
(実施例2)
合成例2で得たポリイミド前駆体樹脂液Bを、ステンレス基材の上にイミド化後の厚みが25μmとなるようにアプリケータを用いて塗布し、130℃で5分間乾燥して、ポリアミド酸層を形成した。このポリアミド酸層の上に、合成例1で得たポリイミド前駆体樹脂液Aを、イミド化後の厚みが2μmとなるようにアプリケータを用いて塗布し、130℃で5分間乾燥し、15分かけて360℃まで昇温させてイミド化を完了し、ポリイミド樹脂層2を得た。得られたポリイミド樹脂層2をステンレス基材から剥離することで、ポリイミドフィルム2を得た。
得られたポリイミドフィルム2の熱可塑性ポリイミド樹脂層側と、銅箔2(日鉱金属社製、商品名:NK−120S、圧延銅合金箔、厚み12μm、引張強度520MPa、導電率75%、粗化面のRz2.02μm、ΔE47.5、粗化層厚み2.22μm、防錆層表面から深さ2nmまでの平均Cr量5.9atom%、防錆層表面から深さ7nmまでの平均Cr量3.3atom%)の粗化面側の面を重ね合わせ、実施例1と同様の条件で熱圧着し、金属張積層体2を得た。銅箔とポリイミド樹脂層のピール強度は2.17kN/mであった。また、粗化層をエッチング除去するために要した時間は、7分であった。結果を表1に示す。なお、銅箔2のCrリッチ層は、防錆層表面から深さ2.3nmまでの範囲に存在しており、防錆層表面から0.9nmの深さにおいてCr量が最大の6.4atom%であった。また、防錆層表面から10nmの深さ地点において、Cr量は0.0atom%であった。
(実施例3)
合成例1で得たポリイミド前駆体樹脂液Aを、ステンレス箔1(新日本製鐵株式会社製、SUS304、H−TA、厚み20μm、CTE17×10-6/K)にイミド化後の厚みが2μmとなるようにアプリケータを用いて塗布し、130℃で5分間乾燥した後、さらにその上に合成例2で得たポリイミド前駆体樹脂液Bを、イミド化後の厚みが25μmとなるように塗布し、130℃で5分間乾燥して、ポリアミド酸層を形成した。このポリアミド酸層の上に、合成例1で得たポリイミド前駆体樹脂液Aを、イミド化後の厚みが2μmとなるように塗布し、130℃で5分間乾燥し、15分かけて360℃まで昇温させてイミド化を完了し、ステンレス箔層、ポリイミド樹脂層で構成されるポリイミド積層体3を得た。
得られたポリイミド積層体3のポリイミド樹脂層側と、銅箔3(日鉱金属社製、商品名:NK−120S、圧延銅合金箔、厚み12μm、引張強度520MPa、導電率75%、粗化面のRz1.98μm、ΔE46.9、粗化層厚み2.18μm、防錆層表面から深さ2nmまでの平均Cr量5.5atom%、防錆層表面から深さ7nmまでの平均Cr量3.5atom%)の粗化面側の面を重ね合わせ、実施例1と同様の条件で熱圧着し、金属張積層体3を得た。銅箔とポリイミド樹脂層のピール強度は2.10kN/mであった。また、粗化層をエッチング除去するために要した時間は、7分であった。結果を表1に示す。なお、銅箔3のCrリッチ層は、防錆層表面から深さ1.5nmまでの範囲に存在しており、防錆層表面から0.7nmの深さにおいてCr量が最大の5.8atom%であった。また、防錆層表面から10nmの深さ地点において、Cr量は0.0atom%であった。
(実施例4)
実施例3における銅箔3の代わりに、銅箔4(日鉱金属社製、商品名:NK−120S、圧延銅合金箔、厚み12μm、引張強度520MPa、導電率75%、粗化面のRz1.95μm、ΔE46.3、粗化層厚み2.15μm、防錆層表面から深さ2nmまでの平均Cr量5.4atom%、防錆層表面から深さ7nmまでの平均Cr量2.5atom%)を使用した以外は、実施例3と同様にして、金属張積層体4を得た。銅箔とポリイミド樹脂層のピール強度は2.08kN/mであった。また、粗化層をエッチング除去するために要した時間は、7分であった。結果を表1に示す。なお、銅箔4のCrリッチ層は、防錆層表面から深さ1.5nmまでの範囲に存在しており、防錆層表面から0.9nmの深さにおいてCr量が最大の5.8atom%であった。また、防錆層表面から10nmの深さ地点において、Cr量は0.0atom%であった。
(実施例5)
実施例3における銅箔3の代わりに、銅箔5(日鉱金属社製、商品名:NK−120S、圧延銅合金箔、厚み12μm、引張強度520MPa、導電率75%、粗化面のRz2.03μm、ΔE47.8、粗化層厚み2.23μm、防錆層表面から深さ2nmまでの平均Cr量5.3atom%、防錆層表面から深さ7nmまでの平均Cr量3.3atom%)を使用した以外は、実施例3と同様にして、金属張積層体5を得た。銅箔とポリイミド樹脂層のピール強度は2.11kN/mであった。また、粗化層をエッチング除去するために要した時間は、7分であった。結果を表1に示す。なお、銅箔5のCrリッチ層は、防錆層表面から深さ2.3nmまでの範囲に存在しており、防錆層表面から1.5nmの深さにおいてCr量が最大の6.1atom%であった。また、防錆層表面から10nmの深さ地点において、Cr量は0.0atom%であった。
(実施例6)
実施例3における銅箔3の代わりに、銅箔6(日鉱金属社製、商品名:NK−120S、圧延銅合金箔、厚み12μm、引張強度520MPa、導電率75%、粗化面のRz2.50μm、ΔE54.2、粗化層厚み2.7μm、防錆層表面から深さ2nmまでの平均Cr量5.5atom%、防錆層表面から深さ7nmまでの平均Cr量3.5atom%)を使用した以外は、実施例3と同様にして、金属張積層体6を得た。銅箔とポリイミド樹脂層のピール強度は2.68kN/mであった。また、粗化層をエッチング除去するために要した時間は、7〜8分であった。結果を表1に示す。なお、銅箔6のCrリッチ層は、防錆層表面から深さ1.9nmまでの範囲に存在しており、防錆層表面から1.1nmの深さにおいてCr量が最大の6.5atom%であった。また、防錆層表面から10nmの深さ地点において、Cr量は0.0atom%であった。
(比較例1)
実施例1における銅箔1の代わりに、銅箔7(日鉱金属社製、商品名:NK−120S、圧延銅合金箔、厚み12μm、引張強度520MPa、導電率75%、粗化面のRz2.17μm、ΔE49.4、粗化層厚み2.37μm、防錆層表面から深さ2nmまでの平均Cr量4.6atom%、防錆層表面から深さ7nmまでの平均Cr量3.7atom%を使用した以外は、実施例1と同様にして、積層体7を得た。銅箔とポリイミド樹脂層のピール強度は1.70kN/mであった。また、粗化層をエッチング除去するために要した時間は、8分であった。結果を表1に示す。
(比較例2)
実施例1における銅箔1の代わりに、銅箔8(日鉱金属社製、商品名:NK−120S、圧延銅合金箔、厚み12μm、引張強度520MPa、導電率75%、粗化面のRz2.37μm、ΔE52.3、粗化層厚み2.57μm、防錆層表面から深さ2nmまでの平均Cr量4.5atom%、防錆層表面から深さ7nmまでの平均Cr量3.8atom%)を使用した以外は、実施例1と同様にして、積層体8を得た。銅箔とポリイミド樹脂層のピール強度は2.33kN/mであった。また、粗化層をエッチング除去するために要した時間は、10分であった。結果を表1に示す。
(比較例3)
実施例1における銅箔1の代わりに、銅箔9(日鉱金属社製、商品名:NK−120S、圧延銅合金箔、厚み12μm、引張強度520MPa、導電率75%、粗化面のRz1.62μm、ΔE41.6、粗化層厚み1.82μm、防錆層表面から深さ2nmまでの平均Cr量4.8atom%、防錆層表面から深さ7nmまでの平均Cr量4.3atom%を使用した以外は、実施例1と同様にして、積層体9を得た。銅箔とポリイミド樹脂層のピール強度は1.45kN/mであった。また、粗化層をエッチング除去するために要した時間は、5分であった。結果を表1に示す。
(比較例4)
実施例1における銅箔1の代わりに、銅箔10(日鉱金属社製、商品名:NK−120S、圧延銅合金箔、厚み12μm、引張強度520MPa、導電率75%、粗化面のRz2.00μm、ΔE47.0、粗化層厚み2.2μm、防錆層表面から深さ2nmまでの平均Cr量4.4atom%、防錆層表面から深さ7nmまでの平均Cr量3.8atom%)を使用した以外は、実施例1と同様にして、積層体10を得た。銅箔とポリイミド樹脂層のピール強度は1.55kN/mであった。また、粗化層をエッチング除去するために要した時間は、7分であった。結果を表1に示す。
上記実施例1〜6、比較例1〜4の結果を表1に示した。
Figure 2009291987
表1から、銅箔として、(1)ポリイミド樹脂層に接合される面のRzが1.9μmを超え2.5μm以下の範囲内の粗化面であること、(2)該粗化面に、亜鉛とクロムとを含有し、表面から2nmの厚さ範囲内に存在する平均Cr量が5.0atom%以上である防錆層を有すること、の条件を満たす実施例1〜6では、いずれもピール強度が2[kN/m]以上であり、銅箔層とポリイミド樹脂層とが十分な接着強度を有していた。これに対して、上記の条件を充足していない比較例1、3および4では、ピール強度が実用レベルを下回る結果となった。なお、ポリイミド樹脂層に接合される銅箔層のRzが2.37μmであった比較例2では、ピール強度は2.33[kN/m]と良好な結果であったが、エッチング時間が10分と長いため、加工容易性の観点で金属張積層体としての適性を欠いていた。粗化面の表面から7nmの範囲内での平均Cr量は、実施例1〜6よりも比較例1〜4の方が大きい値を示していること、およびRzも比較例3を除きほぼ同程度であることを考慮すると、実施例における優れた接着強度は、防錆層におけるCr量の存在分布によるものであると考えられた。
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
本発明の金属張積層体の積層構造の例を説明する図面である。 金属箔の表面付近の構造を示す断面図である。 本発明の金属張積層体を使用して製造された配線一体型HDDサスペンションの平面図である。
符号の説明
1a,1b…金属張積層体、11,11a,11b…金属箔層、12…ポリイミド樹脂層、20…金属箔、30…粗化層、40…防錆層、41…Crリッチ層、51…ロードビーム、52…フレキシャ、53…ジンバル部、54…配線

Claims (4)

  1. 金属箔層と、該金属箔層に積層されたポリイミド樹脂層と、を備えた金属張積層体であって、
    前記金属箔層は、
    前記ポリイミド樹脂層に接合される面が、10点平均粗さ(Rz)で1.9μmを超え2.5μm以下の範囲内の粗化面であると共に、該粗化面に、亜鉛とクロムとを含有し、表面から2nmの厚さ範囲内に存在する平均Cr量が5.0atom%以上である防錆層を有する金属箔を用いて形成されてなることを特徴とする金属張積層体。
  2. 前記防錆層は、表面から7nmの厚さ範囲内に存在する平均Cr量が2.2atom%以上4.0atom%以下の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の金属張積層体。
  3. 前記防錆層は、表面からの深さが2nm以上10nm以下の範囲内の厚さで形成されていることを特徴とする請求項1に記載の金属張積層体。
  4. 金属箔層と、該金属箔層に積層されたポリイミド樹脂層と、が熱圧着されてなる金属張積層体の製造方法であって、
    前記金属箔層に用いる金属箔として、前記ポリイミド樹脂層に接合される面が、10点平均粗さ(Rz)で1.9μmを超え2.5μm以下の範囲内の粗化面であると共に、該粗化面に、亜鉛とクロムとを含有し、表面から2nmの厚さ範囲内に存在する平均Cr量が5.0atom%以上の範囲内である防錆層を有する金属箔を用いることを特徴とする金属張積層体の製造方法。
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