JP2009290187A - 自己組織化単分子膜の形成方法及び構造体、電界効果型トランジスタ - Google Patents

自己組織化単分子膜の形成方法及び構造体、電界効果型トランジスタ Download PDF

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Abstract

【課題】より一般的で入手が容易な材料から形成可能で、真空や高温が必要なく短時間で形成可能、かつ再現性の良い自己組織化単分子膜の形成方法を提供する。
【解決手段】分子の一方の末端に少なくともアルコキシシラン基またはクロロシラン基を有するアルキルシラン化合物を、誘電率が3.0以上6.0以下である有機溶媒に溶解し溶液とする第1工程と、基体に前記溶液を塗布または基体を前記溶液に浸漬する第2工程と、前記基体上の前記溶液を乾燥する第3工程とを少なくとも有する自己組織化単分子膜の形成方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、自己組織化単分子膜の形成方法に関する。さらには、該自己組織化単分子膜の形成方法で形成された自己組織化単分子膜を有する構造体、及び、該自己組織化単分子膜の形成方法で形成された自己組織化単分子膜が絶縁層の表面に設けられた電界効果型トランジスタに関する。
近年、一般に普及している液晶ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイ及び電気泳動型ディスプレイ等の表示装置の多くは薄膜トランジスタ(TFT)を表示スイッチング素子としたアクティブマトリックス型の駆動方法を利用している。このような表示スイッチング素子としての薄膜トランジスタには、ゲート電極、ゲート絶縁層、ソース−ドレイン電極、ソース−ドレイン電極間に配置された半導体からなる電界効果型トランジスタ(FET)が多く利用されている。FETの駆動原理は、ゲート電極に電圧を印加することにより半導体中の電子またはホールからなる電荷の移動度をコントロールし、ソース−ドレイン間の電荷移動、すなわち電流を制御するもので、このような作用によりスイッチの役割を果たしている。
上述のFETの半導体材料には、従来、アモルファスもしくは多結晶の薄膜シリコンが用いられてきている。一般に、薄膜シリコンを用いたFETの各層の形成プロセスは、半導体の他、電極や絶縁層等も真空でのプロセスであり、且つ、300℃以上の高温が必要で、更にはパターニングにはフォトリソグラフィーを用いるなど、比較的煩雑で高コストなプロセスとなっている。
これに対して近年では、電極材料には溶液分散型ナノ金属粒子、半導体には有機半導体、絶縁材料には有機高分子等の溶媒に可溶または分散可能な材料を用いることが提案され、インクジェット、スピンコートやフレキソ印刷等の塗布方式を用いた方法が数多く報告されるようになってきており、これによりプロセスの低温化、高速化、低コスト化が実現可能となってきた。
一般に、半導体に有機半導体を用いたFETは有機FETと呼ばれている。このような有機FETの多くは、絶縁層としてシリコンを熱酸化した酸化ケイ素を用いている例が報告されているが、この酸化ケイ素膜はそのままでは有機半導体の電荷輸送の性能を十分に引き出すことができず、たいていの場合、酸化ケイ素膜表面をヘキサメチルジシラザン(HMDS)(非特許文献1)やオクタデシルトリクロロシラン(OTS)(非特許文献2)等による処理によって撥水性にしてから用いられている。
この表面処理により、酸化ケイ素膜表面のヒドロキシル基を修飾して電荷輸送のトラップとならないようにする効果、また、絶縁層の表面エネルギーが下がったことによる効果により、その上部に設けられる半導体の結晶成長に影響を及ぼし、半導体の結晶性が向上する効果等が得られ、比較的高い電荷移動度が得られる。
ただし、これらHMDSやOTSを用いた表面処理には注意が必要で、絶縁層表面で凝集したり重合したりしてしまうと絶縁層表面に微粒子が堆積し、表面粗さを大きくする。その結果、絶縁層−半導体界面において半導体の結晶が生成する際に上記微粒子が核となり、結晶粒界の多い、すなわち、電荷輸送能の低い多結晶が生成したり、表面凹凸により電荷輸送を悪化させたりしてしまうので(非特許文献3)、平滑な絶縁層表面を得るために、通常HMDSやOTSは真空プロセスで作製されている。
このとき、比較的良好な電荷移動度が得られる絶縁層表面の算術平均粗さRaまたは二乗平均粗さRMSは0.1−0.3nmである。また、このとき、表面エネルギーは十分に低くなっており、純水の接触角は100度前後となっている。
また、一般に、OTS処理はUV/オゾンや酸素プラズマ処理などで親水性にした酸化ケイ素膜上に行われている。そして、OTS処理は、真空中でOTSの蒸気に晒す真空蒸着法の他、OTS溶液に浸漬する方法を用いて行われ、OTSの単分子膜が得られている。通常、溶液中に堆積物を形成するOTS溶液は、OTSのシラン基が系中の水分と加水分解反応を起こしてしまうため、上述のように、OTSのポリマーやオリゴマーが生じ、単分子膜は比較的凹凸の多い膜になる。
例外として、非特許文献4に示されたように非常に乾燥した条件下で堆積したOTSは優れた平滑性を有する単分子膜を生成することが報告されている。しかしながらこの方法では単分子膜を得るまでに48時間以上かかるなど、実用には程遠いものであった。また、OTSを気相中で堆積することで比較的平滑な表面が得られることは、よく知られているが、系内の分圧や温度制御、水分制御などが難しく、再現性よく良好な単分子膜を得るためには更なる技術の進歩が望まれるところである。
そのような中で、2006年にNieらによって発表された非特許文献5による方法は、オクタデシルホスホン酸をトリクロロエチレンに溶解させ、スピンコートするだけでアルミナ上に非常に平滑な自己組織化単分子膜が得られるという優れたものであった。しかしながら、この方法はより汎用性のある酸化ケイ素膜上に自己組織化単分子膜を形成できるが、基体と単分子膜分子に共有結合を持たせることができないため、得られた単分子膜は水などで簡単に洗い流される。
また、この方法で利用しているアルキルホスホン酸はそれ自身、それほど一般的な化合物ではないため、OTS等のアルキルシラン化合物に比べると入手の困難さも問題であった。そのため、より一般的で入手が容易な材料から形成可能で、真空や高温が必要なく短時間で形成可能、かつ再現性の良い自己組織化単分子膜の形成方法が望まれていた。
J. Am. Chem. Soc. 127, 11542 (2005) Appl. Phys. Lett. 81, 268 (2002) Appl. Phys. Lett. 85, 4400 (2004) Langmuir 19, 1159 (2003) J. Phys. Chem. B 110, 21101 (2006)
本発明は、より一般的で入手が容易な材料から形成可能で、真空や高温が必要なく短時間で形成可能、かつ再現性の良い自己組織化単分子膜の形成方法を提供することを課題とする。また、その形成方法により得られた自己組織化単分子膜を絶縁層の表面に設けることにより、電荷輸送性能が向上された電界効果型トランジスタを提供することを課題とする。
請求項1に記載の発明は、分子の一方の末端に少なくともアルコキシシラン基またはクロロシラン基を有するアルキルシラン化合物を、誘電率が3.0以上6.0以下である有機溶媒に溶解し溶液とする第1工程と、
基体に前記溶液を塗布または基体を前記溶液に浸漬する第2工程と、
前記基体上の前記溶液を乾燥する第3工程と
を少なくとも有する自己組織化単分子膜の形成方法である。
請求項2に記載の発明は、前記第2工程の前に、前記基体の表面を親水化処理する工程を有することを特徴とする請求項1に記載の自己組織化単分子膜の形成方法である。
請求項3に記載の発明は、前記第3工程の後に、乾燥した表面を酸性または塩基性の気体に晒す工程を有することを特徴とする請求項1に記載の自己組織化単分子膜の形成方法である。
請求項4に記載の発明は、前記アルキルシラン化合物のアルキル鎖の炭素数が、10以上であることを特徴とする請求項1に記載の自己組織化単分子膜の形成方法である。
請求項5に記載の発明は、前記アルキルシラン化合物のアルキル鎖長が、12Å以上であることを特徴とする請求項1に記載の自己組織化単分子膜の形成方法である。
請求項6に記載の発明は、前記アルキルシラン化合物が、オクタデシルトリクロロシランまたはオクタデシルトリメトキシシランであることを特徴とする請求項1に記載の自己組織化単分子膜の形成方法である。
請求項7に記載の発明は、前記有機溶媒がトリクロロエチレン、クロロホルム、ジエチルエーテル、アニソールのいずれか1種を少なくとも含むことを特徴とする請求項1に記載の自己組織化単分子膜の形成方法である。
請求項8に記載の発明は、前記第3工程が、スピンコーターを用いる工程であることを特徴とする請求項1に記載の自己組織化単分子膜の形成方法である。
請求項9に記載の発明は、前記第2工程と前記第3工程が、スピンコーターを用いる工程であることを特徴とする請求項1に記載の自己組織化単分子膜の形成方法である。
請求項10に記載の発明は、請求項1に記載の自己組織化単分子膜の形成方法で形成された自己組織化単分子膜を有することを特徴とする構造体である。
請求項11に記載の発明は、請求項1に記載の自己組織化単分子膜の形成方法で形成された自己組織化単分子膜が、絶縁層の表面に設けられていることを特徴とする電界効果型トランジスタである。
本発明により、より一般的で入手が容易な材料から形成可能で、真空や高温が必要なく短時間で形成可能、かつ再現性の良い自己組織化単分子膜の形成方法を提供することが可能となり、更にその形成方法により得られた自己組織化単分子膜を電界効果型トランジスタの絶縁層上に配置することにより、該電界効果型トランジスタの電荷輸送性能を向上させることが可能となる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明で用いることのできる、分子の一方の末端に少なくともアルコキシシラン基またはクロロシラン基を有するアルキルシラン化合物は、化学式1に示す構造を有している。
R1 Si X1 X2 X3 (化学式1)
化学式1においてR1は独立してアルキル基、フェニル基、フェノキシ基、チオフェン環、ピロール環、ピリジン環、フルオレン環、エーテル基、エチレン基、アセチレン基の少なくともいずれか一つを含む炭素数2以上の置換基である。より好ましくはアルキル鎖の炭素数が10個以上、より具体的にはアルキル鎖長が12Å以上の長さを有する置換基である。更に好ましくは、該置換基のアルキル鎖長は30Å以下である。
アルキル鎖の炭素数が10個以上であることで、アルキル鎖長が12Å以上になり、アルキル鎖長が12Å以上の長さを有することで、アルキル鎖が規則正しく整列し、二次元に広がる擬似的な結晶相を示す自己組織化単分子膜が得られる。このことは金上に形成されたアルカンチオールの自己組織化単分子膜でも詳細に調査され観測されている。アルカンチオールの場合、必要な炭素数は11以上と言われている(Adv. Mater. 8, 719 (1996))。また、該アルキル鎖長が30Åを超えると、アルキル鎖の巻き返しが支配的となるため、アルキル鎖が直線状を維持できなくなり、秩序的な整列構造を有した自己組織化単分子膜が得られにくくなる。
本明細書でいうアルキル鎖は、単結合、二重結合、三重結合をもつもののいずれも含む。好適な例は、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、ドコシル基などの炭素数9以上のアルキル基や、末端にフェニル基、フェノキシ基、チオフェン環、ピロジン環、ピロール環、フルオレン環等が置換されたアルキル基、テルフェニル基、クアテルフェニル基、3,6,9−オキシウンデシル基などエーテル基を炭素鎖中に含むアルキル基、末端にビニル基やアセチレン基が置換されたアルキル基等が挙げられる。
化学式1において、シラン基の置換基であるX1、X2及びX3は、全てが同一であっても、いずれか1つあるいは全てが異なる置換基であっても良いが、少なくとも1つは、アルコキシ基またはクロロ基である。アルコキシ基は、メトキシ基またはエトキシ基が好ましい。X1、X2及びX3の内、アルコキシ基またはクロロ基ではない置換基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基及びtert−ブチル基等が用いられる。
アルコキシ基やクロロ基のような反応性置換基が置換されていることにより、シラン基が極性の高い置換基として働き、また加水分解反応によって基体への固着を可能とする。該シラン基の極性をアルキル鎖R1に対して高くするために、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基及びtert−ブトキシ基が特に好ましく、メトキシ基、エトキシ基がさらにより好ましい。
例えば、X1、X2及びX3が全て同一であり、トリクロロシラン、トリメトキシシラン、およびトリエトキシシランから選択される。あるいは、重合を防ぐために一つが反応性の置換基で、残り二つが非反応性の置換基でもよく、例えば、クロロジメチルシランまたはメトキシジエチルシランを選択することもできる。
特に好ましいアルキルシラン化合物としては、オクタデシルトリクロロシランおよびオクタデシルトリメトキシシランが挙げられる。
オクタデシルトリクロロシランおよびオクタデシルトリメトキシシランは、非常に一般的な化合物で入手しやすく、本発明の方法によって、特に安定して擬似的な結晶相を有する自己組織化単分子膜を得ることができる。
本発明で用いる誘電率が3.0以上6.0以下である有機溶媒は、それに溶解させるアルキルシラン化合物が、水やアルコールとの反応性が高いことから、水やアルコール以外の有機溶媒が好ましく、また、同様の理由で水との親和性が高く吸湿しやすい溶媒の使用は避けることが好ましく、さらには、基体との親和性が低いことが好ましい。
より好ましくは、誘電率が3.0以上5.0以下である有機溶媒を用いることができる。具体的には、トリクロロエチレン、クロロホルム、クロロベンゼン、アニソール、ジエチルエーテル、などを用いることができる。
これらの有機溶媒を用いてアルキルシラン化合物の溶液を調製する。溶液の濃度は用いるアルキルシラン化合物によって1mmol/L以上、10mmol/L以下の間で選択することが好ましい。溶液の濃度が薄すぎると、アルキルシラン化合物によって基体表面が完全に覆われないことがあるため、用いる材料によってそれぞれ最適な濃度を求める必要がある。基体表面が完全に覆われたかどうかは、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて観察することができる。
本発明で用いることのできる基体としては、SiO2、TiO2、Al23、ITO(錫ドープ酸化インジウム)などの金属酸化物、金属窒化物、金属酸窒化物などの無機材料の基体が挙げられる。これら基体は、薄膜として、ガラス、プラスチックフィルム、セラミックス、金属、またはシリコンウエハーなどの半導体基板等の最表面の一部または全面に配置することができる。
また、基体の他の例として、ポリビニルフェノール(PVP)、ポリスチレン(PS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリイミド(PI)、エポキシ樹脂、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ブタジエンゴム等の有機材料が挙げられる。これら基体は、薄膜として、ガラス、プラスチックフィルム、セラミックス、金属、あるいはシリコンウエハーなどの半導体基板等の最表面の一部若しくは全面に配置することができる。また、以上の無機材料や有機材料等の基体を張り合わせたり、積層したりして用いてもよい。
これらの基体の表面は、できるだけ高い親水性を有することが好ましく、具体的には純水の接触角が10°以下であることが好ましい。高い親水性を得るために、酸やアルカリ溶液で表面を洗浄したり、酸素や窒素等のプラズマを照射したり、UV/オゾン洗浄、コロナ放電洗浄等の親水化処理を施してもよい。基体表面は油脂等の付着が無いようによく洗浄し、洗浄の最後には純水で洗い流してから、乾燥した空気や窒素等を吹き付けるなどして表面を乾燥させる。
本発明の自己組織化単分子膜の形成方法は、分子の一方の末端に少なくともアルコキシシラン基またはクロロシラン基を有するアルキルシラン化合物を、誘電率が3.0以上6.0以下である有機溶媒に溶解し溶液とする第1工程と、基体に前記溶液を塗布または基体を溶液に浸漬する第2工程と、前記基体上の溶液を乾燥する第3工程とを少なくとも有する。
ここで、本発明における乾燥とは、加熱するのではなく、室温で溶液から溶媒を蒸発させ、溶質を基体上に残すことをいい、例えば風圧下での乾燥がこれに当たる。
さらに、乾燥過程で溶液の濃度が上昇するにつれ、基体上の場所により、得られる自己組織化単分子膜の膜厚にムラが生じたり、秩序的な整列構造が均質でなくなったりするので、乾燥は、乾燥工程を始めてから10秒以内、より好ましくは5秒以内の短時間で行うことが好ましい。また、本発明の方法による自己組織化単分子膜の膜厚は溶液の濃度に依存する。
溶液を塗布し、乾燥する方法しては、回転により塗布と乾燥を行え、瞬時に塗布後の乾燥を行えるスピンコートが最も優れた方法であるが、これに限らず、マイクログラビアコート、ワイヤーバーコート、ダイコート等の方法で基体表面全体に溶液を広げて塗布した後、基体を回転させる方法や、乾燥した空気や窒素等を吹き付けるなどの方法を用いて表面を乾燥させてもよい。
この時、乾燥した表面に液滴が付着しないように、空気や窒素等は基体に対して一方向から吹き付けると良い。特に、反応性がさほど高くないメトキシシランやエトキシシラン化合物を用いた時、乾燥した後に液滴などが降り掛かるとその部分は自己組織化した単分子薄膜が崩されてしまい、所望の自己組織化単分子膜が得られなくなる。従って、このような心配が必要ないスピンコートによる乾燥が最も簡便かつ確実な方法となる。スピンコートを用いた場合、基体に溶液を塗布してからスピンしても良いし、スピンしている基体に溶液を塗布しても良い。
一方、基体を溶液に浸漬し、乾燥して自己組織化単分子膜を得る方法としては、溶液中から基体を引き上げた後、基体を回転させる方法や、乾燥した空気や窒素等を吹き付けて表面を乾燥させる方法を含む。この場合にも、乾燥した表面に液滴が付着するのを避けるようにガスを吹き付けなければならない。
本発明の形成方法による自己組織化単分子膜の形成機構は、非特許文献5による説明と同様に説明できる。つまり、親水性の基体に対して、誘電率が3.0以上6.0以下である有機溶媒にアルキルシラン化合物を溶解させた溶液を塗布した際、基体−溶液界面では、アルキルシラン化合物の極性側(親水性側)が基体の方へ、非極性側(疎水性側)が溶液の方へ向きが揃うことで自己組織化した単分子膜が形成される。
本発明で用いるアルキルシラン化合物では、アルコキシシラン基またはクロロシラン基が極性基として作用することにより、自己組織化単分子膜が形成される。図1に、オクタデシルトリメトキシシラン1(図1(a))を用いた場合の、自己組織化単分子膜の形成メカニズムの一部(図1(b),(c))を示す。
ケイ素(Si)4上に極性(親水性)の酸化ケイ素(SiO2)5が積層された基体6上に、誘電率が3.0以上6.0以下である有機溶媒にオクタデシルトリメトキシクロロシラン1を溶解させた非極性(疎水性)の溶液7を塗布した際、基体6−溶液7界面では、オクタデシルトリメトキシクロロシラン1の極性側(親水性側)2が基体6の方へ、非極性側(疎水性側)3が溶液7の方を向く(図1(b))。
次に、基体6を回転させ、乾燥させることにより、図1(c)のように向きが揃うことで自己組織化した単分子膜が形成される。
ここで、クロロシラン基を有するアルキルシラン化合物を用いた場合は、その高い反応性からクロロシラン基が基体に到達すると速やかに加水分解反応が進行するため、塗布または浸漬の最中に自己組織化単分子膜が形成されているときに、基体とアルキルシラン化合物の間に共有結合が生成し、自己組織化単分子膜は基体に固着する。
一方、アルコキシシラン基を有するアルキルシラン化合物を用いた場合は、アルコキシシラン基の反応性の低さから、塗布または浸漬中や直後には基体との共有結合を生成しないまま、自己組織化単分子膜が形成される。このため、共有結合を生成する前に、水や有機溶媒等に接触すると、自己組織化単分子膜は基体上から剥がれてしまう。そこで、アルコキシシラン基を有するアルキルシラン化合物を用いた場合、自己組織化単分子膜を形成した後に、酸性や塩基性の蒸気等の気体に晒すことで加水分解反応を促進させて、基体との共有結合を生成することが好ましい(図2)。
ここで用いる酸性の気体としては塩酸(HCl)、硫酸、または硝酸等の蒸気を用いることができる。塩基性の気体としては、水酸化アンモニウム、アンモニア(NH3)等の蒸気を用いることができる。アルキルシラン化合物と基体との間に共有結合を形成した後、得られた基体表面をトルエン等の有機溶媒や純水で洗い流し、更にはこれらの溶媒で超音波洗浄することがより好ましい。
次に、本発明の形成方法で形成された自己組織化単分子膜が、絶縁層の表面に設けられている電界効果型トランジスタの実施形態を以下に述べる。この場合、絶縁層が上述の基体に相当する。また、本実施形態においては、ゲート絶縁層の表面に自己組織化単分子膜を設けた例を例示するが、これに限られるものではない。
図3、図4に本発明における電界効果型トランジスタの基本的な構造の例を示す。図3の構造はボトムゲート・ボトムコンタクトと呼ばれ、図4の構造はボトムゲート・トップコンタクトと呼ばれるものである。
絶縁基板10としては、表面に絶縁性がありシート状で、表面が平坦であれば何でも用いることができ、例えば、ソーダライムガラス、石英ガラス、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、シクロオレフィンポリマー、ポリイミド(PI)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレートなどを使用することができる。また、ステンレスシート、アルミ箔、銅箔、シリコンウエハー等の導電性あるいは半導体性の基板であっても、表面に絶縁性の、例えば高分子材料あるいは金属酸化物などを塗布または積層することにより、絶縁基板として用いることができる。更に、以上の絶縁基板は表面に易接着層等の表面処理層を形成しても良いし、コロナ処理、プラズマ処理、UV/オゾン処理等の表面処理を施しても良い。
ゲート電極20、ソース電極40、及びドレイン電極50としては、Al、Cr、Mo、Cu、Au、Pt、Pd、Fe、Mn、Agなどの金属をPVD、CVD、めっき等の方法で製膜した後にフォトリソグラフィーなどの公知の方法を用いて形成できる。また、強くドープしたシリコン等の半導体を用いることもできる。また、インジウム・錫酸化物(ITO)、フッ素ドープ酸化錫(FTO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、ガリウムドープ酸化亜鉛(GZO)等、公知の透明導電性材料や、PEDOT:PSS、ポリアニリン、ポリチオフェン等、公知の有機導電性材料等を用いることもできるが、これらを用いた時に比較的高い配線抵抗を有する場合は金属バス電極を用いて抵抗の軽減を図ることがより好ましい。
また、以上の金属、透明酸化物、有機導電性高分子等の導電性材料あるいはそれらの前駆体の溶液、ペースト、ナノ粒子分散液を用いて塗布または印刷した後、乾燥、焼成、光硬化あるいはエージング等によって、電極を形成することも出来る。用いられる印刷方法は、特に限定されることはないが、凸版印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、平版印刷、反転オフセット印刷、スクリーン印刷法、インクジェット印刷、熱転写印刷、ディスペンサ印刷等のパターニング可能な印刷方法を用いた方が工程の簡略化、低コスト化、高速化を達成でき、より好ましい。また、スピンコート、ダイコート、マイクログラビアコート、ディップコート等とフォトリソグラフィー等のパターニング手法を組み合わせても良い。さらに、以上の印刷法を組み合わせて用いても良い。
ソース電極40及びドレイン電極50を形成する際に、図3のようなボトムコンタクト構造の場合は、ソース電極40及びドレイン電極50を形成した後に半導体60を形成する。また、図4のようなトップコンタクト構造の場合は半導体60を形成した後に、ソース電極40及びドレイン電極50を形成する。
ゲート絶縁層30としては、ポリビニルフェノール(PVP)、ポリスチレン(PS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリイミド(PI)、エポキシ樹脂、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ブタジエンゴム等の有機高分子を用いることができるが、十分な絶縁性を有し、1μm以下の薄膜を形成可能であればこれらに限定されるものではない。また、これらを混合しても良いし、アルコキシシラン基、ビニル基、アクリル酸エステル、エポキシ基など反応性置換基を有する化合物と混合した後、塗工、硬化により形成しても良い。
これら有機高分子層の形成方法としては、マイクログラビアコート、ディップコート、スクリーンコート、ダイコート、スピンコート等既存のウエットコーティング法を用いることができる。以上の有機高分子層は、コロナ処理、プラズマ処理、UV/オゾン処理等の表面処理を施しても良いが、処理により表面粗さが粗くならないように注意する必要がある。好ましくは、これらの有機高分子層表面のRaまたはRMSは0.5nm以下であることが望ましい。
更に、ゲート絶縁層30としては、無機酸化物である酸化ケイ素、酸化チタン、酸化タンタル、酸化アルミニウム、酸化ニオブ、酸化ジルコニウム、酸化銅、酸化ニッケル等の酸化物、また、SrTiO3、CaTiO3、BaTiO3、MgTiO3、SrNb26のようなペロブスカイト、あるいはこれらの複合酸化物または酸化物混合物なども用いることができるが、十分な絶縁性を有し、1μm以下の薄膜を形成可能であればこれらに限定されるものではない。
これら無機酸化物層の形成方法としては、蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング、CVDなどの真空成膜法を用いることができ、また成膜中に、任意の気体を用いたプラズマ、イオン銃、ラジカル銃などを併用してもよい。また、それぞれの金属酸化物に対応する前駆体、具体的には塩化物、臭化物などの金属ハロゲン化物、金属アルコキシド、金属水酸化物等を、アルコールと、水中で塩酸、硫酸、硝酸などの酸と、または水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの塩基と反応させて加水分解することにより形成してもよい。
このような溶液系のプロセスを用いる場合、マイクログラビアコート、ディップコート、スクリーンコート、ダイコート、スピンコート等既存のウエットコーティング法を用いることができる。以上の無機酸化物層は、コロナ処理、プラズマ処理、UV/オゾン処理等の表面処理を施しても良いが、処理による表面粗さが粗くならないように注意する必要がある。好ましくは、これらの無機酸化物層表面のRaまたはRMSは0.5nm以下であることが望ましい。
以上の有機高分子や無機酸化物は単独で用いても良いし、混合したり、積層したりしても良い。
ゲート絶縁層30の表面に本発明の自己組織化単分子膜を形成する際には、ゲート絶縁層30表面をコロナ処理、プラズマ処理、UV/オゾン処理、酸やアルカリ処理等の親水化のための表面処理によって純水接触角が10°以下になるまで親水性にした後、上述の溶液の塗布または溶液への浸漬を行うことが好ましい。ゲート絶縁層30表面に表面処理を施す際には、エッチングやスパッタリングなどによって表面をできるだけ荒らさない手法を選択することが好ましい。
半導体60としては、半導体性を示すπ共役有機高分子、例えば、ポリピロール類、ポリチオフェン類、ポリアニリン類、ポリアリルアミン類、フルオレン類、ポリカルバゾール類、ポリインドール類、ポリ(p−フェニレンビニレン)類などや、π共役系を持つ低分子物質、例えば、ペンタセンなどの多環芳香族の誘導体、フタロシアニン誘導体、ペリレン誘導体、テトラチアフルバレン誘導体、テトラシアノキノジメタン誘導体、フラーレン類、カーボンナノチューブ類などを用いることができるがこの限りではない。
本発明の半導体60は、真空蒸着法、溶液を用いた印刷法等を用いることができる。印刷法を用いる場合は、特に限定されることはないが、凸版印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、平版印刷、反転オフセット印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷、熱転写印刷、ディスペンサ印刷、スピンコート、ダイコート、マイクログラビアコート、ディップコート等を用いることができ、以上の印刷法を組み合わせて用いても良い。
本実施形態においては、絶縁層の表面に自己組織化単分子膜を設けた電界効果型トランジスタを例示したが、本発明の自己組織化単分子膜の形成方法を用い、該自己組織化単分子膜を有する各種構造体を得ることができる。
例えば、該自己組織化単分子膜をレジスト材料として用い、フォトリソグラフィー法によって得られた構造体や、該自己組織化単分子膜を含むバイオセンシング層、ケミカルセンシング層、防汚層等を有する構造体等を挙げることができるが、これらに制限されるものではない。
以下、具体的な実施例によって本発明を詳細に説明するが、これらの実施例は説明を目的としたもので、本発明はこれに限定されるものではない。
(実施例1)
300nm熱酸化膜付きの5インチn型ドープシリコンウエハーをピラニア溶液(濃硫酸:30%過酸化水素水=7:3の混合溶液)に30分間浸漬し、純水でよく洗浄した後、10分間UV/オゾン処理を施し、再び純水で表面を洗い流すことで、シリコンウエハー上に清浄で親水性のSiO2膜を得た。SiO2膜表面を、窒素ガスを吹き付けることで、よく乾燥させた。SiO2膜表面の純水接触角は3°であった。
オクタデシルトリメトキシシランの3mmol/Lトリクロロエチレン溶液を調製し、上記基板の表面を完全に覆うように溶液を塗布し、3000rpmで30秒間スピンコートした。得られた基板を密閉できるガラス容器に入れ、小さなガラス瓶に1mLの濃塩酸を入れたものを同様に前記ガラス容器に入れ、ガラス容器を密閉した。室温で12時間経過した後、基板を取り出し純水及びトルエンで超音波洗浄することにより、熱酸化膜付きシリコンウエハー上にオクタデシルトリメトキシシランの自己組織化単分子膜を得た。
得られた自己組織化単分子膜は、AFM観察から得られた平均二乗表面粗さRMS0.09Å、純水の接触角108°であった。
(実施例2)
実施例1と同様の方法で、300nm熱酸化膜付きの5インチn型ドープシリコンウエハーの表面に洗浄及び処理を行った。
オクタデシルトリクロロシランの6mmol/Lトリクロロエチレン溶液を調製し、上記基板を3000rpmで回転させている間、前記溶液を20秒間かけて10mL滴下した。得られた基板を純水及びトルエンで超音波洗浄することにより、熱酸化膜付きシリコンウエハー上にオクタデシルトリクロロシランの自己組織化単分子膜を得た。
得られた自己組織化単分子膜は、AFM観察から得られた平均二乗表面粗さRMS0.09Å、純水の接触角106°であった。
(実施例3)
実施例1と同様の方法で、300nm熱酸化膜付きの5インチn型ドープシリコンウエハーの表面に洗浄及び処理を行った。
11−フェノキシウンデシルトリメトキシシランの3mmol/Lトリクロロエチレン溶液を調製し、上記基板の表面を完全に覆うように溶液を塗布し、3000rpmで30秒間スピンコートした。得られた基板を密閉できるガラス容器に入れ、小さなガラス瓶に1mLの濃塩酸を入れたものを同様に前記ガラス容器に入れ、ガラス容器を密閉した。室温で12時間経過した後、基板を取り出し純水及びトルエンで超音波洗浄することにより、熱酸化膜付きシリコンウエハー上に11−フェノキシウンデシルトリメトキシシランの自己組織化単分子膜を得た。
得られた自己組織化単分子膜は、AFM観察から得られた平均二乗表面粗さRMS0.10Å、純水の接触角98°であった。
(実施例4)
100μm厚のPEN上に、ポリビニルフェノール(PVP)を、シクロヘキサノン溶液をスピンコートすることにより800nm厚で形成した。PVP表面を10分間UV/オゾン処理を施し、再び純水で表面を洗い流すことで、親水性の表面を得た。PVP表面を、窒素ガスを吹き付けることで、よく乾燥させた。PVP表面の純水接触角は10°であった。
オクタデシルトリメトキシシランの3mmol/Lトリクロロエチレン溶液を調製し、上記基板の表面を完全に覆うように溶液を塗布し、3000rpmで30秒間スピンコートした。得られた基板を密閉できるガラス容器に入れ、小さなガラス瓶に1mLの水酸化アンモニウム水溶液を入れたものを同様に前記ガラス容器に入れ、ガラス容器を密閉した。室温で12時間経過した後、基板を取り出し純水及びトルエンで超音波洗浄することにより、PEN基材のPVP薄膜上にオクタデシルトリメトキシシランの自己組織化単分子膜を得た。
得られた自己組織化単分子膜は、AFM観察から得られた平均二乗表面粗さRMS0.32Å、純水の接触角101°であった。
(実施例5)
実施例1で得られた自己組織化単分子膜付きシリコンウエハーを用いてボトムゲート・トップコンタクト型の電界効果型トランジスタを作製した。得られたオクタデシルトリメトキシシランの自己組織化単分子膜上にペンタセンを半導体60として真空蒸着法により膜厚40nmで形成し、得られたペンタセン薄膜上にマスクを配置し、金を真空蒸着法により膜厚40nmで形成することにより、ソース、ドレイン電極40、50となる電極パターンを形成し、ボトムゲート・トップコンタクト型の電界効果型トランジスタを作製した。
以上のようにして得られた電界効果型トランジスタのトランジスタ特性(Vg−Id特性;Vg:ゲート電圧、Id:ドレイン電流)を測定したところ、移動度は3.2cm2/Vsに達し、電流値のon/off比は106、閾値電圧は−5Vであった。
(比較例1)
実施例1と同様の方法で、300nm熱酸化膜付きの5インチn型ドープシリコンウエハーの表面に洗浄及び処理を行った。
上記基板とオクタデシルトリメトキシシラン1mLを小さなガラス瓶に入れたものを、ガラス製の真空容器に入れ、系内を減圧にして密閉した後、系内全体を90℃に保持して12時間保持し、真空蒸着法で成膜を行った。基板を取り出し純水及びトルエンで超音波洗浄することにより、熱酸化膜付きシリコンウエハー上にオクタデシルトリメトキシシランの自己組織化単分子膜を得た。
得られた自己組織化単分子膜は、AFM観察から得られた平均二乗表面粗さRMS0.14Å、純水の接触角99°であった。
(比較例2)
比較例1で得られた自己組織化単分子膜付きシリコンウエハーを用いて、実施例5と同様の方法を用いてペンタセン薄膜とソース、ドレイン電極を形成し、ボトムゲート・トップコンタクト型の電界効果型トランジスタを作製した。
以上のようにして得られた電界効果型トランジスタのトランジスタ特性(Vg−Id特性;Vg:ゲート電圧、Id:ドレイン電流)を測定したところ、移動度は0.8cm2/Vsであり、電流値のon/off比は105、閾値電圧は−7Vであった。
(比較例3)
実施例1と同様の方法で、300nm熱酸化膜付きの5インチn型ドープシリコンウエハーの表面に洗浄及び処理を行った。
上記基板をオクタデシルトリクロロシランの5mmol/Lトルエン溶液に浸漬し、室温で3時間保持した。ここで、トルエンの誘電率は2.38である。基板を取り出し純水及びトルエンで超音波洗浄することにより、熱酸化膜付きシリコンウエハー上にオクタデシルトリクロロシランの自己組織化単分子膜を得た。
得られた自己組織化単分子膜は、AFM観察から得られた平均二乗表面粗さRMS0.65Å、純水の接触角102°であった。
(比較例4)
比較例3で得られた自己組織化単分子膜付きシリコンウエハーを用いて、実施例5と同様の方法を用いてペンタセン薄膜とソース、ドレイン電極を形成し、ボトムゲート・トップコンタクト型の電界効果型トランジスタを作製した。
以上のようにして得られた電界効果型トランジスタのトランジスタ特性(Vg−Id特性;Vg:ゲート電圧、Id:ドレイン電流)を測定したところ、移動度は0.05cm2/Vsであり、電流値のon/off比は104、閾値電圧は−12Vであった。
本発明の自己組織化単分子膜の形成方法は、非常に簡便で短時間、低コストで、再現性よく、金属酸化物や高分子材料の表面に、緻密で平滑な自己組織化単分子膜を提供できるため、自己組織化単分子膜を用いたあらゆる分野に有効である。例えば、自己組織化単分子膜をレジスト材料に用いたフォトリソグラフィー法や、自己組織化単分子膜を含むバイオセンシング層、ケミカルセンシング層、防汚層、及び電界効果型トランジスタ(FET)の絶縁層、等に用いることができる。
本発明の形成方法で得られた自己組織化単分子膜を電界効果型トランジスタ(FET)、特に有機半導体を用いた有機電界効果型トランジスタ(OFET)の絶縁層表面に用いると、FETの絶縁層に、優れた表面平滑性及び表面エネルギーを有するゲート絶縁層を短時間で簡便、かつ再現性良く提供し、そのFETに優れた電荷輸送性能を与える。したがって、この自己組織化単分子膜を、FETを含むアクティブマトリックス型のFETアレイをTFT背面板として有するLCD、有機EL、電子ペーパー等の表示素子に利用することができる。特に有機半導体を用いた場合、低温で印刷、蒸着などで形成可能な有機半導体の特徴を利用して、この自己組織化単分子膜をフレキシブルディスプレイの表示素子に用いることができる。
本発明における自己組織化単分子膜の形成メカニズムの一部である。 本発明におけるアルコキシシラン化合物の自己組織化単分子膜と親水性基体との間に共有結合を生成する反応を簡略に示した図である。 本発明における電界効果型トランジスタの基本的な断面構造の一例である。 本発明における電界効果型トランジスタの基本的な断面構造の一例である。
符号の説明
1…オクタデシルトリメトキシシラン、2…極性側(親水性側)、3…非極性側(疎水性側)、4…ケイ素(Si)、5…極性(親水性)の酸化ケイ素(SiO2)、6…基体、7…非極性(疎水性)の溶液、10…絶縁基板、20…ゲート電極、30…ゲート絶縁層、40…ソース電極、50…ドレイン電極、60…半導体。

Claims (11)

  1. 分子の一方の末端に少なくともアルコキシシラン基またはクロロシラン基を有するアルキルシラン化合物を、誘電率が3.0以上6.0以下である有機溶媒に溶解し溶液とする第1工程と、
    基体に前記溶液を塗布または基体を前記溶液に浸漬する第2工程と、
    前記基体上の前記溶液を乾燥する第3工程と
    を少なくとも有する自己組織化単分子膜の形成方法。
  2. 前記第2工程の前に、前記基体の表面を親水化処理する工程を有することを特徴とする請求項1に記載の自己組織化単分子膜の形成方法。
  3. 前記第3工程の後に、乾燥した表面を酸性または塩基性の気体に晒す工程を有することを特徴とする請求項1に記載の自己組織化単分子膜の形成方法。
  4. 前記アルキルシラン化合物のアルキル鎖の炭素数が、10以上であることを特徴とする請求項1に記載の自己組織化単分子膜の形成方法。
  5. 前記アルキルシラン化合物のアルキル鎖長が、12Å以上であることを特徴とする請求項1に記載の自己組織化単分子膜の形成方法。
  6. 前記アルキルシラン化合物が、オクタデシルトリクロロシランまたはオクタデシルトリメトキシシランであることを特徴とする請求項1に記載の自己組織化単分子膜の形成方法。
  7. 前記有機溶媒がトリクロロエチレン、クロロホルム、ジエチルエーテル、アニソールのいずれか1種を少なくとも含むことを特徴とする請求項1に記載の自己組織化単分子膜の形成方法。
  8. 前記第3工程が、スピンコーターを用いる工程であることを特徴とする請求項1に記載の自己組織化単分子膜の形成方法。
  9. 前記第2工程と前記第3工程が、スピンコーターを用いる工程であることを特徴とする請求項1に記載の自己組織化単分子膜の形成方法。
  10. 請求項1に記載の自己組織化単分子膜の形成方法で形成された自己組織化単分子膜を有することを特徴とする構造体。
  11. 請求項1に記載の自己組織化単分子膜の形成方法で形成された自己組織化単分子膜が、絶縁層の表面に設けられていることを特徴とする電界効果型トランジスタ。
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