JP5464586B2 - 有機薄膜の製造方法及びそれを用いた有機デバイス - Google Patents

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Description

本発明は、有機薄膜の製造方法及びそれを用いた有機デバイスに関するものであり、特に、有機半導体材料をウエットプロセスによって製造する有機トランジスタに関するものである。
有機半導体材料は、溶媒に溶かしてインク化することで、インクジェット法やマイクロコンタクトプリント法など、ウエットプロセスで薄膜を形成できることに大きな利点がある。有機物の特性から低温条件下での塗布法によるデバイス作製が可能であり、大面積、低コスト、簡易プロセスでの有機トランジスタ、有機太陽電池、有機発光素子、有機メモリーなどの有機半導体デバイスの製造が期待されている。(非特許文献1、特許文献1参照)。
半導体薄膜を形成する最も代表的なウエットプロセスとして、スピンコート法が知られているが、このプロセスは溶媒の乾燥速度が早いことによる有機半導体薄膜の結晶性の低下、低溶解度の材料の場合、析出した材料による製膜ムラが見られることに加え、撥水性基板上では低表面張力の溶媒でのみ製膜が可能であることが一般的である。材料によっては基板上が親水性であっても、材料自体の撥水性が強く、低表面張力溶媒でも薄膜形成不可なこともある。
また、スピンコート法と同じく代表的なウエットプロセスであるドロップキャスト法は、ゆっくりと溶媒を蒸発させ時間をかけて製膜するため、スピンコート法で製膜した膜よりも結晶性に優れる傾向にあるが、撥水性基板上では溶媒の乾燥とともに有機半導体溶液が収縮し、良好な薄膜を形成することが困難である。
特に、有機トランジスタにおいて、有機半導体層がトップコンタクト型の薄膜トランジスタ(TFT)の場合は、ゲート絶縁膜上に製膜され、ボトムコンタクト型のTFTの場合はゲート絶縁膜上に、ソース・ドレイン(SD)電極が形成された基板上に製膜される。使用する絶縁膜材料の種類とその表面状態、ならびに表面処理方法、同じく使用するSD電極材料の違いから、有機半導体層を形成する基板の表面状態、表面自由エネルギーは様々である。ゲート絶縁膜としてはSiOやポリビニルフェノールなどが広く用いられているが、絶縁膜表面における水酸基を、シラン処理剤や水酸基を持たない高分子材料などで疎水化処理することによって、有機半導体層における電荷輸送特性が向上することが知られている(非特許文献2)。
しかしこの場合、疎水化処理による撥水性が原因で、有機半導体溶液のハジきが生じ、製膜プロセスや半導体材料を溶かす溶媒種はいくらか限定されてしまう。
例えば、有機半導体溶液を、このような基板上にドロップキャスト法により製膜した場合、乾燥とともに半導体溶液の収縮が生じる。また、有機半導体溶液を、このような基板上にスピンコート法により製膜する場合には、溶媒として低表面張力のものを用いないと製膜できないという問題がある。
このように、基板表面の撥水性が強いとTFTの電気特性は向上する傾向にあるが、逆に、有機層の製膜が困難となる。また、電極材料によっても撥水性が強いものもあり(例えば、インクに含まれる界面活性剤)、その場合もSD電極上で有機半導体溶液をハジき、製膜が困難となる。
さらに、有機半導体材料の多くは、ドロップキャスト法のように時間をかけて製膜することによってその結晶性が向上することが知られている。同じく、高沸点溶媒を使用して作製したTFTの方が電気特性に優れることも知られている(非特許文献3)。
特開2006−060169号公報
前述のとおり、疎水化処理した撥水性基板上(低表面自由エネルギー)では、有機半導体薄膜の製膜時に有機半導体溶液がはじかれるため、有機半導体薄膜の製膜プロセスと使用する有機溶媒はいくらか限定されてしまう。また、多くの有機半導体材料の場合、ドロップキャスト法のように時間をかけて製膜することによってその結晶性が向上することが知られているが、この場合も撥水性基板上では有機半導体溶液をはじいてしまい、乾燥とともに有機半導体溶液の塗布膜が縮んでしまう現象が見られる。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、有機半導体材料が可溶性であれば、使用する有機溶媒が限定されることなく、かつ、ドロップキャスト法で製膜した有機半導体薄膜のようにゆっくりと時間をかけて製膜して、結晶性に優れた有機半導体薄膜を、撥水性基板上に、すなわち、基板の表面自由エネルギーによらず、自由に形成する方法を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、固体基板と剥離性表面を有する弾性体との間に、有機半導体溶液などの薄膜形成用溶液をはさみ、溶媒を乾固させることによって固体基板の表面に薄膜を形成させることが可能なことを見いだした。すなわち、剥離性表面を有する弾性体を薄膜形成時に使用することで、従来のドロップキャスト法に見られた収縮を防ぐとともに、ドロップキャスト法ようにゆっくりと時間をかけて製膜することが可能であり、かつ、良好な有機薄膜を基板の表面自由エネルギーを問わず形成できるという知見を得た。
本発明はこれらの知見に基づいて完成に至ったものであり、本発明によれば、以下の発明が提供される。
[1]薄膜形成用溶液を滴下した固体基板の上に、剥離性表面を有する弾性材からなるフィルム又は板をのせて薄膜形成用溶液を固体基板全体に広げた後、該溶液を乾固させることにより前記固体基板の表面に有機薄膜を形成させることを特徴とする有機薄膜の製造方法。
[2]前記剥離性表面を有する弾性体が、シリコーン系エラストマー又はフッ素系エラストマーからなることを特徴とする上記[1]の有機薄膜の製造方法。
[3]前記乾固を、加重下でおこなうことを特徴とする上記[1]又は[2]の有機薄膜の製造方法。
[4]前記固体基板の表面自由エネルギーが、40mJ/m未満であることを特徴とする上記[1]〜[3]のいずれかの有機薄膜の製造方法。
[5]上記[1]〜[4]のいずれかの方法で、固体基板上に有機半導体薄膜を形成することを特徴とする有機デバイスの製造方法。
[6]上記[1]〜[4]のいずれかの方法で、固体基板上に有機半導体薄膜を形成することを特徴とする有機トランジスタの製造方法。
本発明によれば、溶媒種、基板の親・疎水性を問わず溶液プロセスで有機半導体層を形成することが可能となり、疎水性基板上で応用した場合、電荷トラップのない(少ない)有機トランジスタを作製できる。またドロップキャスト法の様にゆっくりと時間をかけて有機薄膜を形成できることから、結晶性に優れた有機薄膜を有する有機デバイスが作製可能であり、有機トランジスタの場合、大幅な電界効果移動度の向上、その他諸特性に優れた有機トランジスタの作製が可能になる。
また、材料が可溶性であれば使用する有機溶媒は限定されることがないため、スピンコート法やドロップキャスト法では、撥水性基板上で使用不可であった有機溶媒、特に高沸点の溶媒が使用可能となる。
さらに、親水性基板ですら製膜できなかった有機材料においても製膜できる可能性があり、有機材料の探索、材料のポテンシャルを知る上でも有用なプロセスとなり得る。
本発明の有機薄膜の製造方法の概要を示す模式図である。 一般的な疎水処理された有機トランジスタの断面図である。 本発明の方法を用いて、パターニングされた薄膜を形成する一例を示す模式図である。 実施例1の有機トランジスタの断面図である。 実施例2の伝達特性を示す図である。 実施例3のXRDパターンを示す図である。
以下、本発明の製膜方法及びそれを用いた有機トランジスタの製造法について説明する。
図1は、本発明の有機薄膜の製造方法を模式的に示す図である。
本発明の製膜方法は、ドロップキャスト法のように、撥水性基板等の固体基板2上に、薄膜形成用溶液1を滴下し(図1−i)、その上に、ポリジメチルシロキサン(PDMS)等の剥離性表面を有する弾性体からなるフィルム又は板3を接触させ(図1−ii)、毛細管現象を利用して溶液を基板全体に広げ(図1−iii)、乾固させることにより、乾燥にしたがって生じる溶液の収縮を防いで製膜するプロセスである。以下、本発明の薄膜形成プロセスを「コンタクトキャスト法」ということもある。
固体基板2は、特に制限されるものではなく、シリコン基板、ガラス基板や、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネートに代表されるプラスチック基板を用いることができる。
固体基板2への薄膜形成用溶液1の滴下方法は、単純なピペットによる滴下から、インクジェットやディスペンサのような特殊なノズルから滴下する方法等、その手段は特に限定されない。
また、薄膜形成用溶液の乾燥手段は、大気中・溶媒雰囲気中・窒素雰囲気中等様々対応でき、ホットプレート、オーブン等で少なくとも150℃まで温度をかけて乾燥させることができる(図1−iv)。
基板に滴下する薄膜形成用溶液の量又はその濃度で、形成される薄膜の膜厚を調製することが可能であり、使用する有機材料の物性や使用する溶媒の沸点等を考慮して、乾燥時間、乾燥方法の最適化をする必要がある。なお、フィルム又は板3の自重が充分で浮かない場合を除き、乾燥中にフィルム又は板3が浮いてしまうと乾燥後に材料がフィルム又は板3側に付着してしまうため、乾燥中は、SUS板や分銅4を使用して、フィルム又は板3が浮いてしまわないよう荷重をかける必要がある。
本発明の方法においては、前記フィルム又は板3として、剥離性表面を有する弾性体からなるものを用いることにより、乾燥後に該フィルム又は板側に残らず、基板上に製膜できるものであって、フィルム又は板3を構成する材料としては、表面が剥離性を有する弾性体であれば特に限定されるものではない。
具体的には、例えば、シリコーン系エラストマー又はフッ素エラストマーから構成されるフィルム又は板、或いは、表面にこれらの薄膜設けたゴム板、或いはフッ素処理などにより表面に剥離性を付与したゴム製フィルムやゴム板などが用いられる。
前記シリコーン系エラストマー(シリコーンゴム)は、シロキサン結合(Si−O結合)を有するオルガノポリシロキサン類であって室温においてゴム状弾性を有するものであればよく、ポリジメチルシリコーンエラストマー、メチルビニルシリコーンエラストマー、メチルフェニルシリコーンエラストマー、フルオロシリコーンエラストマー等を挙げることができる。
また、前記フッ素エラストマー(フッ素ゴム)は、フッ素原子を含む単位モノマーの重合体または共重合体であって、ガラス転移点が室温以下であり、室温でゴム状弾性を有するものであれよく、テトラフルオロエチレン−プロピレンゴム、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレンゴム、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレンゴム、フルオロシリコーン系エラストマー等を挙げることができる。
フィルム又は板3は、用いる材料によっては、使用する溶媒により膨潤するため、それが著しい場合は少し厚めのフィルム又は板を作製して使用するか、もしくは、フッ素エラストマーであるサイフェル(SIFEL 信越化学工業社製)等の溶媒で膨潤しにくいものを使用することが好ましい。また、有機材料が低分子の材料である場合、フィルム又は板3では溶媒による膨潤の際に有機材料がフィルム又は板に染み込んでしまう可能性もあり、その場合にも、サイフェル等の膨潤しにくいものを用いるのがよい。
図2は、一般的な電界効果型トランジスタ素子構造の断面図を示す模式図である。
図2(a)の構造は、ゲート絶縁膜9上に、有機半導体5があり、その上にソース電極6及びドレイン電極7を有するものである。ゲート絶縁膜9の表面は疎水処理8が施されている。
図2(b)の構造は、ゲート絶縁膜9上にソース電極6およびドレイン電極7があり、その上に有機半導体層5を有するものである。ゲート絶縁膜9の表面は疎水処理8が施されている。
図2(c)の構造は、基板2上にソース電極6およびドレイン電極7があり、その上に有機半導体層5、ゲート絶縁膜9、ゲート電極10を有するものである。
有機半導体層5は、可溶性の有機半導体材料として、ペンタセン・ルブレン・ポルフィリン類・フタロシアニン類、ポリチオフェン、オリゴチオフェン及びそれらの誘導体、フラーレン、C60MC12やPCBMといったフラーレン誘導体、フルオロアルキル基を有するフラーレン誘導体、ペリレン及びその誘導体等を、本発明の方法により製膜する。
基板2への有機溶液の滴下方法は、前述のとおり、その手段を問われず、小面積に少量のインクの滴下が可能であるため、半導体層のパターニングにも対応できる。
また、直接基板2に薄膜形成用溶液を滴下して製膜するのではなく、図3に示すように、シリコーン樹脂板(PDMS製)11に、有機膜を製膜しそれを基板2に転写するマイクロコンタクトプリント法などの製膜プロセス(インキング)にも対応できる。
その際は、本発明の有機薄膜の製造方法で用いるPDMS等の板3と、転写に用いるPDMS板11の表面自由エネルギーを変えればよい。表面自由エネルギーの異なる2種の板3及び11板で、有機溶液をはさんで製膜する場合、表面自由エネルギーの大きい板側に有機薄膜は形成される。図3の場合、PDMS板11の表面自由エネルギーを上げることになる。本発明の方法で製膜した、PDMS板11上の有機薄膜5を、更に別の版18でパターニングし、パターニングした有機薄膜5を基板2に転写することでパターン転写が可能となる(上記非特許文献4参照)。
使用する溶媒は有機材料が可溶性であれば種類は問わない。テトラリンやジクロロベンゼン等の高沸点溶媒にも対応できる。上記可溶性有機半導体材料及び溶媒は代表的な例を述べているものであって、有機半導体材料及び溶媒は、これらに限定されるものではない。
ソース電極6およびドレイン電極7は、真空蒸着法、スパッタ法、印刷法などにより形成する。電極材料としては、特に限定されないが、例えば、金、銀、白金、クロム、アルミニウム、インジウム、アルカリ金属(Li、Na、K、Rb、Cs)、アルカリ土類金属(Mg、Ca、Sr、Ba)、Agインク、化学ドーピングにより高い導電性を示すポリチオフェン系、ポリアニリン系などの高分子といった導電性ポリマーなどを用いることができる。
ゲート電極10は、p型ドープシリコン、n型ドープシリコン、インジウム・錫酸化物(ITO)や、化学ドーピングにより高い導電性を示すポリチオフェン系、ポリアニリン系などの高分子といった導電性ポリマーや、金、銀、白金、クロム、チタン、アルミニウム、タンタルなどの金属やAgインクを用いることができる。ゲート電極材も同様に、これらに制限されるものではない。
ゲート絶縁膜9は、絶縁性の高いものが望まれる。例えば、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化タンタルなどの無機物や、ポリビニルアルコール、ポリビニルフェノール、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ジビニルテトラメチルジシロキサン−ビスベンゾシクロブテン(BCB)、シアノエチルプルラン、パリレン、ポリイミド、フッ素化高分子などの有機物を用いることができる。ゲート絶縁材も同様に、これらに制限されるものではない。
疎水表面8を形成する疎水材料はヘキサメチルジシラザン(HMDS)、オクチルトリクロロシランやデシルトリクロロシラン、オクタデシルトリクロロシランといった長鎖アルキルシラン、フッ素化オクチルトリクロロシランといったフルオロアルキルシラン、ベータ−フェネチルトリクロロシランなどのシランカップリング剤や、ポリスチレン、ポリエチレン、パリレン、ポリイミド、フッ素化高分子、ジビニル−テトラメチルシロキサン−ビスベンゾシクロブテン(BCB)などの水酸基を持たない高分子などを用いることができる。
また、高分子絶縁膜を、水酸基を持たないゲート絶縁膜として用いることが出来る。この場合、高分子絶縁膜はゲート絶縁膜9と疎水表面8を兼ねている。
以下、本発明を、実施例を用いて具体的に説明する。なお、以下に示す実施例は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。すなわち、本発明の技術思想の範囲内での変形、他の実施態様又は実施例は、全て本発明に含まれるものである。
(実施例1:ボトムコンタクト型の有機トランジスタ素子の作製)
20mm×20mmサイズの厚さ300nmのシリコン熱酸化膜の付いたnドープシリコン基板にフォトリソグラフィーにより、異なるチャネル長パターン(5μm〜100μm)のSD電極(Au/Cr:30nm/5nm)を形成した。その後、アルカリ性洗剤、超純水、アセトン、IPAでそれぞれ15分間超音波洗浄し、UV−Oクリーナにて30分間オゾン洗浄を行い、基板の十分な親水化(接触角・水、5°以下)を行った。その後、HMDSに16時間浸潤し、疎水処理を行った。HMDSでの疎水処理後、クロロホルム溶媒で5分間超音波洗浄し、エアガンで乾燥させた。
同様に親水化された基板をトルエンで0.05Mに希釈したオクタデシルトリクロロシラン(OTS−18)に1時間浸潤し、疎水処理を行った。疎水処理後、トルエン→クロロホルムの順でリンスし、クロロホルム溶媒で5分間超音波洗浄し、エアガンで乾燥させた。
下記の一般式に示すp型有機半導体材料であるポリ(3−ヘキシルチオフェン)(P3HT)(Merck社製、分子量5万)をオルトジクロロベンゼンに溶かし、0.1wt%の濃度に調整した。ホットプレートにより60℃で30分加温し、材料を十分に溶かした後、溶液をフィルター(0.45μm、PTFE)でろ過した。
同様に溶媒にテトラリンを使用した溶液も調製した。
図1の作製手順のように、これら溶液をHMDSで疎水化した基板上に、パスツールピペットで2滴滴下し、15mm×15mmに切断したポリジメチルシロキサン製シリコーンゴム板(以下、「PDMS板」という)をその上にのせ、毛細管現象を利用して溶液を基板上に広げた後、その上に、発泡シリコン製のクッションフィルム(約50g)を介して、500gの分銅をのせ、荷重をかけながらホットプレートで、大気中で乾燥させた。乾燥温度及び時間は、オルトジクロロベンゼンの場合、65℃で、30分、テトラリンの場合、75℃で、30分とした。
乾燥後、分銅、発泡シリコンの順で荷重を除き、PDMS板をゆっくりとはがし、基板上に有機薄膜を形成した。なお、OTS−18上には、オルトジクロロベンゼン溶液のみを用いて、有機トランジスタ素子を作製した(下記の表1参照)。
比較のため、同様の処理基板(HMDS)上に0.6wt%の濃度に調製したクロロホルム溶液を用いて、スピンコート法(1500rpm/60sec)で製膜した有機トランジスタ素子も作製した。
(実施例2:トランジスタ特性の評価)
図4に、実施例1で作製した有機トランジスタ素子の断面図を示す。図中、17はnドープシリコンであり、基板とゲート電極を兼ねている。16は酸化シリコンである。12、13のソース・ドレイン電極はAu/Crで、チャネル長は5μm、10μm、20μm、50μm、及び100μmの5パターンがあり、チャネル幅は5mmである。
作製した有機トランジスタを窒素雰囲気下のグローブボックス内でアニール処理し(150℃/5min→165℃/10min)、探針によって電極とコンタクトし、半導体パラメータアナライザ(ケースレー4200SCS)にて、トランジスタ特性を測定した。
図5に最も電界効果移動度の高かった素子(コンタクトキャスト法、OTS−18処理基板、オルトジクロロベンゼン溶液、L:20μm)の伝達特性を示す。
図中、▲は、ドレイン電流とゲート電圧(Id-Vg)を示し、◇は、ドレイン電流の平方根とゲート電圧(√Id-Vg)を示す。該図中に示す直線の傾きから電界効果移動度を算出したところ、電界効果移動度:0.32cm/Vsが得られた。
下記の表1に、各素子の電界効果移動度を記すが、コンタクトキャスト法で作製した有機トランジスタ素子の電界効果移動度が、スピンコート法で作製したものより、大幅に向上していることがわかる。
(実施例3:膜厚及びXRDの測定)
実施例2で電気特性を計測した有機トランジスタ素子のうち、本発明のコンタクトキャスト法(HMDS処理基板・オルトジクロロベンゼン溶液)で作製した素子と、スピンコート法(HMDS処理基板・クロロホルム溶液)で作製した素子は、X線回折測定を行い、両素子の有機半導体層の膜厚を触針式の段差計にて測定した。
膜厚は、本発明のコンタクトキャスト法により製造した膜が30nm以下で、スピンコート法による膜は75〜85nmであった。
図6にXRDパターンを示す。図中、−●−は、本発明のコンタクトキャスト法で作製した有機半導体層を、直線は、スピンコート法で作製した有機半導体層を、表している。(b)は、(a)の部分拡大図である。
図6から明らかなように、本発明のコンタクトキャスト法により製造された膜は、スピンコート法による膜の半分以下の膜厚であるにも関わらず、回折強度はスピンコート法による膜と同程度であることに加え(図6−a)、ピーク位置(2θ=5.3°付近)がわずかではあるが右側にシフトしている(図6−b)。これらより、本発明のコンタクトキャスト法により製造された膜は、スピンコート法による膜より結晶性に優れていることがわかる。
本発明の製膜方法によって、良好な膜質の有機薄膜トランジスタの作製が可能である。さらに、薄膜太陽電池、光電変換素子、メモリー素子、発光素子、ダイオードなどの作製方法へ応用可能である。
特に本製造法によって製造された有機トランジスタは、液晶ディスプレイ、電子ペーパー、有機エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイなどのフラットパネルディスプレイをアクティブマトリックス駆動するための薄膜トランジスタや、無線タグ、相補型MOS(CMOS)回路の一部として利用可能である。
1 薄膜形成用溶液
2 基板
3 PDMS等の剥離性表面を有する弾性体からなるフィルム又は板
4 SUS板又は分銅
5 有機薄膜
6 ソース電極
7 ドレイン電極
8 疎水処理表面
9 ゲート絶縁膜
10 ゲート電極
11 PDMS板等のシリコーン樹脂板
12 ソース電極(Au/Cr)
13 ドレイン電極(Au/Cr)
14 ポリ(3−ヘキシルチオフェン)(P3HT)層
15 疎水処理表面(HMDS又はOTS−18)
16 酸化シリコン
17 nドープシリコン
18 版

Claims (6)

  1. 薄膜形成用溶液を滴下した固体基板の上に、剥離性表面を有する弾性材からなるフィルム又は板をのせて薄膜形成用溶液を固体基板全体に広げた後、該溶液を乾固させることにより前記固体基板の表面に有機薄膜を形成させることを特徴とする有機薄膜の製造方法。
  2. 前記剥離性表面を有する弾性体が、シリコーン系エラストマー又はフッ素系エラストマーからなることを特徴とする請求項1に記載の有機薄膜の製造方法。
  3. 前記乾固を、加重下でおこなうことを特徴とする請求項1又は2に記載の、有機薄膜の製造方法。
  4. 前記固体基板の表面自由エネルギーが、40mJ/m未満であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機薄膜の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法で、固体基板上に有機半導体薄膜を形成することを特徴とする有機デバイスの製造方法。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法で、固体基板上に有機半導体薄膜を形成することを特徴とする有機トランジスタの製造方法。
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