JP2009287605A - クラッチ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】カラー6の内周面8に、ローラ7の噛合性を高める溝25を設けるとともに、溝25内に弾性樹脂26をコーティングし、ローラ7と接触可能な接触面を軸方向から見て真円を成すように設けている。ドライブ4が回転駆動されると、ローラ7がドライブ4の中心軸の周りを回転移動する。この時、弾性樹脂26によって、ローラ7の溝25への入り込みが防がれ、ローラ7と溝25の衝突が回避され、打音の発生が防がれるとともに、ローラ7や溝25が変形あるいは破損する不具合を回避することができる。一方、ドリブン5側に回転力が加えられた場合には、ローラ7が弾性樹脂26を押し潰し、ローラ7と溝25とが嵌合して係合力が高まり、ドリブン5の固定状態を保つことができる。
【選択図】図1
Description
例えば、内燃機関(以下、エンジン)の吸気通路内にバルブを配置し、このバルブの開度を中間開度に保持することにより、タンブル、スワール等の渦流をエンジンの燃焼室内に発生させることで燃焼状態を改善し、エンジン始動時の排気ガスの浄化や、燃費改善効果を高めることを目的とした可変吸気システムが知られている。
このような技術では、バルブの開度が一定であっても、電動モータを通電してバルブの開度保持を行っているため、バルブの開度保持のための電力が必要となる。
なお、特許文献1、2は、カラー6をドリブン5の外周に配置した技術であり、特許文献3は、カラー6をドリブン5の内周に配置した技術である。
そこで、カラー6におけるローラ7(ロック部材の一例)との噛合面に複数の溝25(窪み部の一例)を設けて、溝25にローラ7が噛合することでバルブの固定保持力(クラッチ3の係合力)を高め、バルブに脈動による回転力が与えられても、バルブの保持状態が解除されることのない技術が提案されている(例えば、特許文献4参照)。
しかし、カラー6において溝25が形成される面は、ドライブ4の中心軸の周りをローラ7が回転移動する際に、ローラ7が転動する面(接触面の一例)である。このため、ドライブ4の中心軸の周りをローラ7が回転移動する際、ローラ7がカラー6に形成された溝25の内面や溝25の角部に衝突し、打音が発生する。
請求項1の手段を採用するクラッチにおけるカラーは、ロック部材が噛合する面に複数の窪み部を備えるものであり、この窪み部には、弾性変形可能な弾性樹脂(ゴム等)がコーティングされている。
回転駆動手段(例えば、電動モータ等)によってドライブが回転駆動されると、ロック部材がドライブの中心軸の周りを回転移動するが、窪み部に設けた弾性樹脂によって、ロック部材の窪み部への入り込みが防がれ、窪み部とロック部材との衝突が回避される。
あるいは、弾性樹脂のコーティングが薄く、ロック部材がドライブの中心軸の周りを回転移動する際に、ロック部材が窪み部へ少し入り込む場合であっても、窪み部とロック部材との間に介在された弾性樹脂が、ロック部材と窪み部との衝突を緩和する。
このように、カラーの窪み部に弾性樹脂を設けるというシンプルな構成を採用することで、ロック部材と窪み部との衝突を緩和することができる。これによって、打音の発生を防止できるとともに、ロック部材や窪み部が変形あるいは破損する不具合を回避することができる。
請求項2の手段を採用するクラッチは、弾性樹脂においてロック部材と接触可能な接触面が、カラーにおいてロック部材が接触する接触面とともに、軸方向から見て真円を成すものである。即ち、弾性樹脂を含むカラーにおいて、ロック部材と接触可能な接触面が、回転軸の軸方向から見て真円を成すものである。
これにより、ドライブが回転駆動されて、ロック部材がドライブの中心軸の周りを回転移動する際に、ロック部材がカラーに対してスムーズに回転することができ、ドライブの回転時における作動音を小さくすることができる。
請求項3の手段を採用するクラッチのカラーは、ドライブおよびドリブンの外周に配置されるものである。
これにより、ドライブおよびロック部材が回転する際に、ロック部材が遠心力でカラーの内周面に押し付けられるが、窪み部に設けた弾性樹脂によって、ロック部材の窪み部への入り込みが防がれ、窪み部とロック部材との衝突が回避される。あるいは、弾性樹脂のコーティングが薄く、ドライブとともにロック部材が回転する際に、ロック部材が窪み部へ少し入り込む場合であっても、窪み部とロック部材との間に介在された弾性樹脂が、ロック部材と窪み部との衝突を緩和する。
このように、ロック部材が遠心力でカラーの内周面に押し付けられても、打音の発生を防止できるとともに、ロック部材や窪み部が変形あるいは破損する不具合を回避することができる。
請求項4の手段を採用するクラッチのロック部材は、カラーに対して転動するローラである。
請求項5の手段を採用するクラッチの窪み部は、ローラの外周面の一部が嵌まり込む溝である。
なお、溝形状は、V字溝、円弧溝、矩形溝、傾斜溝など限定されるものではない。
請求項6の手段を採用するクラッチは、可変吸気システムの電動モータと減速機との間に配置されるものであり、電動モータの出力軸とクラッチのドライブが結合され、減速機の入力軸とクラッチのドリブンが結合されるものである。
これにより、電動モータからバルブへ回転力を伝達する。逆に、バルブに高振動、高負荷、高脈動が与えられても、バルブから電動モータへの回転力の伝達を遮断し、バルブを固定することができる。
可変吸気システムは、通電により回転出力を発生する電動モータと、この電動モータの回転出力を減速してバルブに伝える減速機と、この減速機を介して電動モータによって駆動され、エンジンの吸気通路内に配置されたバルブとを備える。
電動モータと減速機との間には、電動モータの回転トルクを減速機へ伝え、バルブから減速機を介して伝達された回転力をカラーに伝えてバルブを固定するクラッチが介在されている。
ドリブンは、カラーとの径方向間に、径方向の隙間の大きい隙間大と、この隙間大の周方向の両側に、当該隙間大より径方向寸法の小さい隙間小とを形成する。
ロック部材(ローラ等)は、隙間大より径方向寸法が小さく、且つ隙間小より径方向寸法が大きい。
ドライブは、ドリブンと周方向に当接する状態においてロック部材を隙間大側に移動させる噛合解除突起を備える。
カラーは、ロック部材が噛合する面に、複数の窪み部(溝など)を備えるものであり、この窪み部には、弾性変形可能な弾性樹脂(ゴムなど)がコーティングされている。なお、この弾性樹脂におけるロック部材との接触面は、カラーにおいてロック部材が噛合する面とともに、軸方向から見て真円を成すことが望ましいものである。
可変吸気システムは、エンジンの吸気通路内に配置されたバルブの開度を可変させるシステムであり、バルブを駆動するバルブ駆動部を備える。
ここで、バルブは、板状のバルブの一辺にバルブ駆動軸を持つヒンジ式バルブ構造を採用しており、バルブ全開時における吸気通路内の空気抵抗の増加を抑えるように設けられている。
なお、この実施例では、別体に設けたカラー6をクラッチハウジング9内に取り付ける例を示すが、カラー6をクラッチハウジング9と一体に形成しても良い。
これによって、従動扇部12の外面部13と、カラー6の内周面8との径方向間に、径方向の隙間の大きい隙間大L1と、この隙間大L1の周方向の両側に、隙間大L1より径方向寸法の小さい隙間小L2とが形成される。
ここで、この実施例1に示す外面部13には、周方向の略中心部に回転中心側に浅く凹んだ逃げ部13aが形成されている。この逃げ部13aは、軸方向に沿って延びる浅い溝であり、隙間大L1を大きくして、後述するローラ7が隙間大L1において転動するのを容易にしている。
このローラ7の直径L3は、隙間大L1より径方向寸法が小さく、且つ隙間小L2より径方向寸法が大きく設けられている。即ちL1>L3>L2の関係に設けられている。これにより、ローラ7は、常に従動扇部12の外面部13と、カラー6の内周面8との径方向間に配置される。
(電動モータ1の通電時)
制御装置により電動モータ1が通電制御されて、電動モータ1が正方向または逆方向に回転する際は、ドライブ4に伝えられた回転力によって、噛合解除突起17がローラ7を隙間大L1側に移動させる。これにより、ドライブ4およびドリブン5は、カラー6に対して自由に移動できる状態となる。そして、ドライブ4がドリブン5に当接し、ドライブ4の回転力がドリブン5に伝えられ、ドライブ4とともにドリブン5が回転する。ドリブン5の回転が減速機2で減速されて、吸気通路内に配置されたバルブの開度を操作する。
バルブの開度位置が目的の開度に設定されると、制御装置は電動モータ1の通電を停止する。この状態で、手動等によりバルブに回動負荷を与えて、ドリブン5に回転力を与えると、ドリブン5の僅かな回転変化によって、ローラ7がドリブン5とカラー6の間で挟み付けられ、ドリブン5とカラー6がローラ7を介して噛合する。この結果、ドリブン5の回転は不能となり、バルブの回動が阻止される。
しかし、吸気通路内に発生する圧力脈動により、バルブには脈動による回転力(具体的には、高振動、高負荷、高脈動の回転力)が与えられる。特にヒンジ式バルブ構造を採用するこの実施例の場合には、非常に大きな圧力脈動がバルブ駆動軸に作用する。すると、その脈動による回転力が減速機2を介してドリブン5に伝わり、ローラ7の噛合状態が解除されてしまう。即ち、クラッチ3によってバルブの回転を規制することができなくなってしまう。
この実施例の窪み部は、ローラ7が浅く嵌まり合うことができる溝25であり、この溝25はローラ7の軸と平行に設けられている。溝25の形状は、図2(b)に示すように、ローラ7の曲面と略一致するR面でも良いし、ローラ7の曲面より大きい曲率のR面でも良いし、ローラ7の曲面より小さい曲率のR面でも良い。また、溝25の形状は、R面に限定されるものではなく、矩形溝、三角溝など、他の形状であっても良い。
溝25の数は、カラー6の内周面8に複数(例えば、ローラ7の数、あるいはローラ7の数の複数倍など)設けられるものであり、等間隔に設けられる。
なお、電動モータ1が駆動されて、ドライブ4が正方向または逆方向に回転駆動される際は、噛合解除突起17がローラ7を隙間大L1側に移動させて、ローラ7とカラー6の噛合を解除する。そして、ドライブ4がドリブン5に当接し、ドライブ4の回転力がドリブン5に伝わって、バルブの開度位置を操作する。
上述したように、カラー6の内周面8に溝25を設けることにより、電動モータ1の通電停止時においてバルブに圧力脈動が加わっても、バルブの開度位置が変化する不具合を阻止できる。しかし、溝25が形成されるカラー6の内周面8は、ローラ7が転動する面(接触面の一例)である。このため、カラー6の内周面8に単に溝25を形成するだけでは、中心軸の周りをローラ7が回転移動する際にローラ7に遠心力が加わり、ローラ7が溝25の内面や溝25の角部に強く衝突する不具合が生じる。
この弾性樹脂26の内周面(弾性樹脂26においてローラ7と接触可能な接触面)が、カラー6の内周面8(カラー6においてローラ7が接触する接触面)とともに、軸方向から見て真円を成すように設けられている。即ち、弾性樹脂26を含むカラー6におけるローラ7と接触可能な接触面を、軸方向から見て真円を成すように設けられている。
弾性樹脂26は、カラー6を金型内に配置して、カラー6の溝部25の内部に弾性樹脂26を射出成形したものであっても良いし、溝25内に弾性樹脂26を吹き付けてコーティングしたものであっても良い。なお、弾性樹脂26は、常温で弾性変形可能な樹脂であり、具体的な弾性樹脂26の硬度(軟らかさ)は、圧力脈動の影響によりローラ7に伝わる力で、容易に変形するものである。
実施例1の可変吸気システムは、電動モータ1が作動してドライブ4が回転駆動されると、ローラ7がドライブ4の中心軸の周りを回転移動する。この時、図2(a)に示すように、溝25に設けた弾性樹脂26によって、ローラ7の溝25への入り込みが防がれ、ローラ7と溝25との衝突が回避される。これによって、衝突による打音の発生を防止できるとともに、ローラ7や溝25が変形あるいは破損する不具合を回避することができる。
特にこの実施例では、弾性樹脂26におけるローラ7との接触面と、カラー6におけるローラ7との接触面とで真円を成すものであるため、ドライブ4が回転駆動されて、ローラ7がドライブ4の中心軸の周りを回転移動する際に、ローラ7がカラー6に対してスムーズに回転し、ドライブ4の回転時における作動音(クラッチ3の作動音)を小さくすることができる。
上記の実施例では、窪み部(溝25)の内側を弾性樹脂26で埋める例を示したが、弾性樹脂26が窪み部(溝25)を完全に埋めないものであっても良い。このように、弾性樹脂26が窪み部(溝25)を完全に埋めないものであっても、ロック部材(ローラ7)と窪み部(溝25)との衝突を弾性樹脂26によって緩和することができ、クラッチ3の作動時における打音の発生を抑えることができるとともに、ロック部材(ローラ7)と窪み部(溝25)の変形を防ぐことができる。
上記の実施例では、バルブの一例としてヒンジ式バルブ構造を採用する例を示したが、バタフライ式バルブ構造であっても良い。
上記の実施例では、ローラ7をホルダ14で保持する例を示したが、ホルダ14を廃止したものであっても良い。
上記の実施例では、ロック部材の一例として、ローラ7を示したが、ボールなど、他の転がり部品でも良い。また、転がり部品の外形は、真円である必要はなく、楕円など転がりが阻害される形状であっても良い。さらに、ロック部材は、転がり部材である必要はなく、ドリブン5とカラー6との間で摺動可能な部材であっても良い。
上記の実施例では、ドライブ4とドリブン5の当接部分を面接触にした例を示したが、面接触ではなく、点接触や線接触など他の当接形態でも良い。
上記の実施例では、可変吸気システムのクラッチ3に本発明を適用する例を示したが、他の用途(例えば、産業ロボットのアーム部等)のクラッチに本発明を適用しても良い。
2 減速機
3 クラッチ
4 ドライブ
5 ドリブン
6 カラー
7 ローラ(ロック部材)
11 減速機の入力軸
15 電動モータの出力軸
17 噛合解除突起
25 溝(窪み部)
26 弾性樹脂
L1 隙間大
L2 隙間小
Claims (6)
- 回転駆動されるドライブと、
このドライブと周方向に当接して回転駆動されるドリブンと、
回転中心の周囲に筒状配置された回転不能のカラーと、
前記ドリブンと前記カラーの径方向間に配置されるロック部材とを備え、
前記ドリブンは、前記カラーとの径方向間に、径方向の隙間の大きい隙間大と、この隙間大の周方向の両側に、当該隙間大より径方向寸法の小さい隙間小とを形成するものであり、
前記ロック部材は、前記隙間大より径方向寸法が小さく、且つ前記隙間小より径方向寸法が大きいものであり、
前記ドライブは、前記ドリブンと周方向に当接する状態において前記ロック部材を前記隙間大側に移動させる噛合解除突起を備えるものであり、
前記カラーは、前記ロック部材が噛合する面に複数の窪み部を備えるものであり、
この窪み部には、弾性変形可能な弾性樹脂がコーティングされていることを特徴とするクラッチ。 - 請求項1に記載のクラッチにおいて、
前記弾性樹脂において前記ロック部材と接触可能な接触面は、前記カラーにおいて前記ロック部材が接触する接触面とともに、軸方向から見て真円を成すことを特徴とするクラッチ。 - 請求項1または請求項2に記載のクラッチにおいて、
前記カラーは、前記ドライブおよび前記ドリブンの外周に配置されることを特徴とするクラッチ。 - 請求項1〜請求項3のいずれかに記載のクラッチにおいて、
前記ロック部材は、前記カラーに対して転動するローラであることを特徴とするクラッチ。 - 請求項4に記載のクラッチにおいて、
前記窪み部は、前記ローラの外周面の一部が嵌まり込む溝であることを特徴とするクラッチ。 - 請求項1〜請求項5のいずれかに記載のクラッチにおいて、
このクラッチは、通電により回転出力を発生する電動モータと、この電動モータの回転出力を減速する減速機と、この減速機を介して前記電動モータによって駆動され、エンジンの吸気通路内に配置されたバルブとを備える可変吸気システムの前記電動モータと前記減速機との間に配置され、
前記電動モータの出力軸と前記ドライブが結合され、前記減速機の入力軸と前記ドリブンが結合されることを特徴とするクラッチ。
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