JP2009286696A - 毛髪処理剤および毛髪の処理方法 - Google Patents

毛髪処理剤および毛髪の処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】処理後の毛髪にやわらかな感触を付与し得る毛髪処理剤と、該毛髪処理剤を用いた毛髪の処理方法を提供する。
【解決手段】式(1)で表されるエステルを含む第1剤と、アミノ酸及びその誘導体、タンパク質加水分解物及びその誘導体、ステロール及びその誘導体よりなる群から選択される少なくとも1種の毛髪補修剤と、多価アルコールとを含む第2剤からなる毛髪処理剤。
Figure 2009286696

【選択図】なし

Description

本発明は、特定のエステルが配合された第1剤と、特定の毛髪補修剤および特定の多価アルコールが配合された第2剤とで構成される2剤式の毛髪処理剤、並びに前記毛髪処理剤を用いた毛髪の処理方法に関するものである。
近年では、毛髪に対し、パーマネントウェーブ処理やストレートパーマ処理、染毛処理などの化学処理を施すことが盛んであるが、こうした処理を繰り返すことによって毛髪にはダメージが蓄積される一方で、毛髪をより美しく保ちたいとする消費者の要望が高まっている。
こうした事情の下、前記のような処理や、その他の日常生活における様々な理由によってダメージを受けた毛髪を補修することを目的として、毛髪を補修する成分を配合した1剤式や多剤式の毛髪処理剤が開発されている(例えば、特許文献1、2)。また、最近では、毛髪処理剤における毛髪を補修する成分の、毛髪内部への浸透性を高めて、補修効果の更なる向上を図る技術も提案されている(特許文献3)。
特開2001−48751号公報 特開2003−267840号公報 特開2007−1951号公報
ところが、近年、消費者の間では、より感触の優れた髪質への要求が高まっており、従来にも増して、毛髪を補修する成分の毛髪への浸透性を高めて、毛髪に良好なやわらかさを付与できる技術の開発が求められる。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、処理後の毛髪にやわらかな感触を付与し得る毛髪処理剤と、該毛髪処理剤を用いた毛髪の処理方法を提供することにある。
前記目的を達成し得た本発明の毛髪処理剤は、2剤式の毛髪処理剤であって、下記一般式(1)で表されるエステルを少なくとも含む第1剤と、アミノ酸およびその誘導体、タンパク質加水分解物およびその誘導体、並びにステロールおよびその誘導体よりなる群から選択される少なくとも1種の毛髪補修剤と、多価アルコールとを少なくとも含む第2剤とで構成されることを特徴とするものである。
Figure 2009286696
また、本発明の毛髪の処理方法は、前記一般式(1)で表されるエステルを少なくとも含む第1剤を毛髪に塗布し、引き続いて、アミノ酸およびその誘導体、タンパク質加水分解物およびその誘導体、並びにステロールおよびその誘導体よりなる群から選択される少なくとも1種の毛髪補修剤と、多価アルコールとを少なくとも含む第2剤を、第1剤を塗布した毛髪に塗布することを特徴とする。
本発明によれば、処理後の毛髪にやわらかな感触を付与し得る毛髪処理剤を提供できる。また、本発明の毛髪の処理方法によれば、毛髪をやわらかな感触にすることができる。
毛髪が、パーマネントウェーブ処理やストレートパーマ処理、染毛処理などの化学処理を受けて損傷したり、ブラッシングなどにより物理的に損傷したりすると、毛髪中の細胞膜複合体(CMC)が失われ、これにより毛髪の水分量や保湿機能が低下し、毛髪が硬く感じられるようになることが本発明者らの検討により明らかとなった。また、毛髪中のCMCが減少すると、CMC中の水分量も減少するが、このような状態となった毛髪を毛髪処理剤で処理したり、前記の化学処理を行ったりしても、毛髪処理剤に配合される毛髪補修剤や、化学処理で用いられる有効成分などが毛髪中に浸透し難くなるため、毛髪処理剤による処理後の毛髪の感触や、化学処理後の毛髪の仕上がりなどが低下することも判明した。
前記一般式(1)で表されるエステルは、両親媒性であるため、毛髪のCMCに浸透しやすいと考えられる。そして、前記一般式(1)で表されるエステルが浸透した毛髪では、毛髪処理剤がより浸透しやすくなる。これは、前記エステルが水を含んだ状態で毛髪中のCMCの脂質層に溶け込むと、CMC中において、毛髪補修剤の導入経路となり得る層(タンパク質および水を含む層)が広がり、その結果、毛髪中に毛髪処理剤が浸透しやすくなるためであると推測される。そして、毛髪中に前記エステルおよび毛髪処理剤が良好に浸透することで、毛髪がより多くの水分を保持できるようになり、毛髪の感触がやわらかになるものと考えられる。
そこで、本発明では、毛髪処理剤を、前記一般式(1)で表されるエステルを配合した第1剤と、毛髪補修剤および多価アルコール(毛髪補修剤の毛髪への浸透を促進させる作用を有している)を配合した第2剤とで構成した。そして、まず第1剤を毛髪に塗布して前記エステルを毛髪中に浸透させて、毛髪補修剤を浸透しやすくしておき、その後に第2剤を毛髪に塗布することで、前記毛髪補修剤を良好に浸透させて、毛髪にやわらかな感触を付与できるようにしている。
また、パーマネントウェーブ処理やストレートパーマ処理、染毛処理といった化学処理で使用される有効成分も、前記一般式(1)で表されるエステルが浸透することで前記導入経路が広げられた毛髪には、浸透しやすくなる。よって、本発明の毛髪処理剤および本発明の毛髪の処理方法により毛髪を処理した後に、前記の化学処理を施すことで、化学処理による仕上がりが、より向上する。よって、本発明の毛髪処理剤は、パーマネントウェーブ処理の前処理剤、ストレートパーマ処理の前処理剤、または染毛用前処理剤としても好適であり、本発明法は、パーマネントウェーブ処理の前処理方法、ストレートパーマ処理の前処理方法、または染毛処理の前処理方法として好適である。
毛髪処理剤の第1剤は、少なくとも、前記一般式(1)で表されるエステルを含むものである。
毛髪処理剤の第1剤に配合される前記一般式(1)で表されるエステルは、例えば、日本精化社から「Necsolue−Aqulio」の名称で市販されている。
第1剤は、前記一般式(1)で表されるエステルのみで構成されていてもよいが、毛髪への塗布しやすさを高め得るなどの点で、媒体を含有していることが好ましい。媒体としては、水;多価アルコール(エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、1,3−ブチレングリコールなど)などの有機溶媒;などが挙げられる。
第1剤が前記の媒体も含有する場合、前記一般式(1)で表されるエステルの配合量は、その使用による効果をより良好に確保する観点から、0.01質量%以上であることが好ましく、0.1質量%以上であることがより好ましい。ただし、第1剤において、前記一般式(1)で表されるエステルの量が多すぎると、特に水を媒体に用いた場合に、第1剤の安定性が悪くなって前記エステルと水とが分離しやすくなり、例えば、後記の低級アルコールを多量に配合して安定性を高める必要が生じる虞があることから、その配合量は、10質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましい。
また、媒体に水を用いた第1剤の場合、更に低級アルコール(エタノールなどの炭素数が6以下のアルコール)を配合することが好ましい。低級アルコールの使用によって、第1剤の安定性を高めることができる。
第1剤における低級アルコールの配合量は、その使用による効果をより良好に確保する観点から、0.1質量%以上であることが好ましい。ただし、第1剤において、低級アルコールの量が多すぎると、毛髪処理剤による処理後の毛髪のやわらかさ付与効果が小さくなる虞があり、また、例えば、染毛処理を施している毛髪に塗布した場合に退色を引き起こす虞もあることから、その配合量は、30質量%以下であることが好ましい。
第1剤の剤形については特に制限はなく、ローション状、オイル状、クリーム状、ゲル状などが挙げられるが、なかでも、毛髪への浸透力がより高まることから、ローション状であることが好ましい。
なお、第1剤には、通常の毛髪化粧料で使用されている各種成分のうち、例えば、第1剤の剤形に応じて必要なものを、本発明の効果を損なわない範囲で適宜配合することができる。
毛髪処理剤の第2剤は、アミノ酸およびその誘導体、タンパク質加水分解物およびその誘導体、並びにステロールおよびその誘導体よりなる群から選択される少なくとも1種の毛髪補修剤と、多価アルコールとを少なくとも含むものである。
アミノ酸およびその誘導体としては、例えば、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、シスチン、システイン、メチオニン、プロリン、ヒドロキシプロリン、アスパラギン酸、アスパラギン、グルタミン酸、グルタミン、アルギニン、ヒスチジン、リシン、ピロリドンカルボン酸、アシル化アミノ酸、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル・2−オクチルドデシル)、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ2−オクチルドデシル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ2−ヘキシルデシル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル・2−オクチルドデシル)などが挙げられる。第2剤には、これら例示のアミノ酸およびその誘導体のうち、1種のみを用いてもよく、2種以上を用いても構わない。
第2剤におけるアミノ酸およびその誘導体の配合量は、特に制限はないが、例えば、0.01〜5質量%であることが好ましい。
タンパク質加水分解物およびその誘導体としては、例えば、加水分解コラーゲン、ヒドロキシプロピルトリモニウム加水分解コラーゲン、ココジモニウムヒドロキシプロピル加水分解コラーゲン、(ジヒドロキシメチルシリルプロポキシ)ヒドロキシプロピル加水分解コラーゲン、ココイル加水分解コラーゲン塩、ウンデシレノイル加水分解コラーゲン塩、イソステアロイル加水分解コラーゲン塩、ヤシ油脂肪酸加水分解コラーゲン塩、加水分解ケラチン、ヒドロキシプロピルトリモニウム加水分解ケラチン、ココジモニウムヒドロキシプロピル加水分解ケラチン、(ジヒドロキシメチルシリルプロポキシ)ヒドロキシプロピル加水分解ケラチン、加水分解カゼイン、ヒドロキシプロピルトリモニウム加水分解カゼイン、加水分解シルク、ヒドロキシプロピルトリモニウム加水分解シルク、ココジモニウムヒドロキシプロピル加水分解シルク、(ジヒドロキシメチルシリルプロポキシ)ヒドロキシプロピル加水分解シルク、イソステアロイル加水分解シルク塩、加水分解コンキオリン、加水分解ダイズタンパク、ココイル加水分解ダイズタンパク塩、(ジヒドロキシメチルシリルプロポキシ)ヒドロキシプロピル加水分解ダイズタンパク、加水分解コムギ、(ジヒドロキシメチルシリルプロポキシ)ヒドロキシプロピル加水分解コムギ、(ジヒドロキシメチルシリルプロポキシ)ヒドロキシプロピル加水分解ゴマタンパク、加水分解ライスタンパクなどが挙げられる。第2剤には、これら例示のタンパク質加水分解物およびその誘導体のうち、1種のみを用いてもよく、2種以上を用いても構わない。
第2剤におけるタンパク質加水分解物およびその誘導体の配合量は、特に制限はないが、例えば、0.001質量%以上であることが好ましく、0.01質量%以上であることがより好ましく、また、30質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。
ステロールおよびその誘導体としては、例えば、コレステロール、フィトステロール、ステアリン酸コレステリル、イソステアリン酸コレステリル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、オレイン酸コレステリル、オレイン酸ジヒドロコレステリル、イソステアリン酸フィトステリル、オレイン酸フィトステリルなどが挙げられる。
第2剤におけるステロールおよびその誘導体の配合量は、特に制限はないが、例えば、0.01〜3質量%であることが好ましい。
第2剤には、アミノ酸およびその誘導体、タンパク質加水分解物およびその誘導体、またはステロールおよびその誘導体のいずれか1種のみを用いればよく、2種以上を用いてもよいが、処理後の毛髪の感触をより高める観点からは、3種全てを用いることがより好ましい。
また、第2剤に係る毛髪補修剤には、水との親和性が高いものであっても、水との親和性が低いものであっても使用可能であるが、第1剤に係る前記一般式(1)で表されるエステルによって広げられるCMC中の経路には、水との親和性が高い毛髪補修剤が浸透しやすい。そのため、毛髪補修剤には、水との親和性が高いものを用いることが好ましく、水溶性のものを用いることがより好ましい。
なお、水との親和性が低い毛髪補修剤を用いる場合には、界面活性剤を第2剤に配合することが好ましい。この場合、毛髪補修剤の周りを界面活性剤が覆うことで、毛髪補修剤の水との親和性が向上するため、第1剤に係る前記一般式(1)で表されるエステルによって広げられるCMC中の経路に、毛髪補修剤が浸透しやすくなる。また、水との親和性が高い毛髪補修剤を使用する場合にも、第2剤に界面活性剤を配合してもよい。
界面活性剤としては、例えば、モノアルキル型4級アンモニウム塩(塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化ラウリルトリメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウムなど)、ジアルキル型4級アンモニウム塩(塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ジココイルジメチルアンモニウム、塩化ジセチルジメチルアンモニウムなど)、ベンザルコニウム型4級アンモニウム(塩化ベンザルコニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウムなど)などのカチオン性界面活性剤;ヤシ油脂肪酸トリエタノールアミン、ヤシ油脂肪酸カリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ラウロイルメチルアラニン、ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム、テトラデセンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、リン酸ジセチル、リン酸ジオレイル、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸、ポリオキシエチレンセチルエーテルリン酸、ポリオキシエチレンオレイルエーテルリン酸などのアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンラウリルエーテル、モノラウリン酸ポリエチレングリコール、自己乳化型モノステアリン酸エチレングリコール、ポリオキシエチレン(20)ステアリン酸ソルビタン、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、イソステアリン酸ポリオキシエチレン(3)ソルビット、自己乳化型モノステアリン酸グリセリン、モノステアリン酸ソルビタン、モノステアリン酸ポリ(2〜10)グリセリル、ショ糖脂肪酸エステルなどの非イオン性界面活性剤;2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム、ヤシ油アルキルベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタインなどの両性界面活性剤;などが挙げられ、これらのうちの1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
第2剤における界面活性剤の配合量は、例えば、0.01〜5質量%であることが好ましい。
第2剤では、毛髪補修剤と共に多価アルコールを使用するが、この多価アルコールは、前記の通り、毛髪補修剤の毛髪への浸透性を高める作用を有している。多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、1,3−ブチレングリコールなどが挙げられる。
第2剤における多価アルコールの配合量は、毛髪補修剤の配合量や、その他の成分との組み合わせなどに応じて適宜調節すればよいが、例えば、0.1質量%以上であることが好ましく、1質量%以上であることがより好ましく、また、30質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。
第2剤には、前記の各成分の他に、媒体として、例えば水を使用する。なお、媒体には、水のみを使用してもよく、必要に応じて、エタノール、イソプロパノールなどの低級アルコール(炭素数が6以下のアルコール)などの有機溶媒を、媒体全量中5質量%以下程度の量で水と併用してもよい。第2剤における媒体の配合量は、例えば、40〜90質量%とすることが好ましい。
第2剤の剤形については、特に制限はなく、クリーム状、乳液状、ゲル状などの形態とすることができる。
また、第2剤には、本発明の効果を損なわない範囲で、通常の化粧料に配合されている各種成分を配合することができる。このような成分としては、例えば、動物油や植物油などの油脂、ロウ、炭化水素、脂肪酸、エーテル、エステル、水溶性高分子、シリコーン、植物海藻エキス、ビタミンおよびその誘導体、紫外線吸収剤、防腐剤、酸化防止剤、金属イオン封鎖剤、香料などが挙げられ、このような成分の中から好ましいものを、適宜選択して配合することができる。
本発明の毛髪処理剤は、ヘアコンディショナー、ヘアトリートメント、ヘアリンス、化学処理後の後処理剤などの他、前記の通り、パーマネントウェーブ処理の前処理剤、ストレートパーマ処理の前処理剤、染毛用前処理剤などとして好適に用いることができる。
すなわち、本発明の毛髪処理剤により毛髪を処理する際には、例えば、通常のシャンプーなどを用いて洗浄した後の毛髪や化学処理後の毛髪に、第1剤を適量塗布し、好ましくは毛髪を揉み込むようにして第1剤を毛髪全体に馴染ませた後、更に第2剤を適量塗布し、好ましくは毛髪を揉み込むようにして第2剤を毛髪全体に馴染ませた後、水ですすぎ、乾燥すればよい。また、パーマネントウェーブ処理の前処理剤、ストレートパーマ処理の前処理剤、または染毛用前処理剤として、本発明の毛髪処理剤を使用する場合には、例えば、本発明の毛髪処理剤によって前記と同様の方法で毛髪を処理した後、または前記と同様の方法で毛髪処理剤に係る第1剤および第2剤を毛髪全体に馴染ませた後(水ですすぐことなく)、常法に従い、パーマネントウェーブ処理、ストレートパーマ処理または染毛処理を毛髪に施せばよい。
また、本発明の毛髪処理剤と、更に他の毛髪化粧料とを組み合わせて、3剤式以上の多段階式の毛髪処理剤を構成することもできる。その場合、例えば、本発明の毛髪処理剤によって前記と同様の方法で毛髪を処理した後、または前記と同様の方法で毛髪処理剤に係る第1剤および第2剤を毛髪全体に馴染ませた後(水ですすぐことなく)、他の毛髪化粧料を適量塗布して毛髪全体に馴染ませた後、水ですすぎ、乾燥する方法などにより、毛髪を処理することができる。本発明の毛髪処理剤を含む多段階式の毛髪処理剤によって毛髪を処理することで、毛髪のやわらかさなどの感触を更に高めたり、処理効果の持続性を高めたりすることができる。
本発明の毛髪処理剤と組み合わせて多段階式の毛髪処理剤を構成するための毛髪化粧料としては、例えば、以下の(a)〜(f)成分、(a)炭素数が12〜22のアルコール、(b)カチオン性界面活性剤、(c)ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、(d)ポリオキシエチレンアルキルエーテル(e)アミノ変性シリコーン、および(f)ヒアルロン酸またはその塩が配合された乳化型毛髪化粧料が好ましい。かかる乳化型毛髪化粧料では、(b)成分であるカチオン性界面活性剤や(e)成分であるアミノ変性シリコーン(カチオン性成分)と、(f)成分であるヒアルロン酸またはその塩(アニオン製成分)とがコンプレックスを形成し得る。そのため、処理後の毛髪により良好な感触を付与でき、かつその処理効果の持続性が高く、また、その一方で、乳化型毛髪化粧料中で前記コンプレックスが形成されても、それによる製剤の状態の悪化が生じ難く、毛髪へ適用する際の操作性も優れている。
前記の乳化型毛髪化粧料に係る(a)成分の、炭素数が12〜22である1級アルコールには、飽和アルコールおよび不飽和アルコールが含まれるが、乳化型毛髪化粧料の粘度調節や毛髪への塗布がより容易となることから、飽和アルコールが好ましい。具体的には、例えば、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ベヘニルアルコールなどの直鎖1級アルコール;オクチルドデカノール、イソステアリルアルコール、ヘキシルデカノールなどの、分岐鎖を含む1級アルコール;などの飽和アルコールなどが挙げられる。乳化型毛髪化粧料においては、前記例示のアルコールの1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよいが、乳化型毛髪化粧料の粘度を調整しやすくなる点で、直鎖1級アルコールと分岐鎖を含む1級アルコールとを併用することが、より好ましい。乳化型毛髪化粧料における(a)成分の配合量は、例えば、2〜20質量%であることが好ましい。
前記の乳化型毛髪化粧料に係る(b)成分のカチオン性界面活性剤としては、例えば、塩化アルキルトリメチルアンモニウム(塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウムなど)、臭化アルキルトリメチルアンモニウム(臭化ラウリルトリメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウムなど)などのモノアルキル型4級アンモニウム塩;塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ジココイルジメチルアンモニウム、塩化ジセチルジメチルアンモニウムなどのジアルキル型4級アンモニウム塩;塩化ベンザルコニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウムなどのベンザルコニウム型4級アンモニウムなどが挙げられ、これらのうちの1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。前記例示のカチオン性界面活性剤の中でも、毛髪にやわらかさを付与する作用が特に良好である点で、前記のモノアルキル型4級アンモニウム塩がより好ましい。乳化型毛髪化粧料における(b)成分の配合量は、例えば、0.5〜5質量%であることが好ましい。
前記の乳化型毛髪化粧料に係る(c)成分のポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステルとしては、例えば、モノラウリン酸POE(6)ソルビット、テトラステアリン酸POE(60)ソルビット、テトラオレイン酸POE(6)ソルビット、テトラオレイン酸POE(30)ソルビット、テトラオレイン酸POE(40)ソルビット、テトラオレイン酸POE(60)ソルビットなどが挙げられる[前記の各化合物中、「POE」は「ポリオキシエチレン」の略であり、その後の括弧内の数値は、エチレンオキサイドの付加モル数を意味している]。ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステルは、前記例示のもののうち1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。なお、乳化型毛髪化粧料による前記の効果(毛髪に良好な感触を付与し、かつその持続性を向上させ、また、操作性を高める効果)をより良好に確保する観点からは、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステルにおけるエチレンオキサイドの付加モル数は、10モル以上であることが好ましく、また、60モル以下であることが好ましい。乳化型毛髪化粧料における(c)成分の配合量は、例えば、0.1〜5質量%であることが好ましい。
前記の乳化型毛髪化粧料に係る(d)成分のポリオキシエチレンアルキルエーテルとしては、アルキル部分の炭素数が12〜22のものが好ましく、具体的には、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンベヘニルエーテルなどが挙げられ、これらのうちの1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。なお、ポリオキシエチレンアルキルエーテルにおけるエチレンオキサイドの付加モル数は、2〜50モルであることが好ましく、なかでも、エチレンオキサイドの付加モル数が10モル以下の場合には、乳化型毛髪化粧料による前記の効果をより良好に確保できることから、特に好ましい。乳化型毛髪化粧料における(d)成分の配合量は、例えば、0.5〜10質量%であることが好ましい。
前記の乳化型毛髪化粧料に係る(e)成分のアミノ変性シリコーンとは、アミノ基を含有するシリコーンをいい、例えば、化粧品の表示名称で、アモジメチコン、(アミノエチルアミノプロピルメチコン/ジメチコン)コポリマー、アミノプロピルジメチコンなどが知られている。本発明の乳化型毛髪化粧料では、このようなアミノ変性シリコーンを1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。なお、処理後の毛髪の感触をより高める観点からは、アミノ含量が0.5%以上3.0%以下のアミノ変性シリコーンが好ましい。
アミノ変性シリコーンのアミノ含量は、シリコーンメーカー各社からアミノ変性シリコーンの物性値の一つとして示されており、具体的には、アミノ変性シリコーン中のN(窒素)含有量(質量基準)で、例えば、0.1%以上のアミノ含量のアミノ変性シリコーンが知られている。また、一般に、アミノ含量の高いアミノ変性シリコーンは、アミノ基を多く含んでおり、例えば毛髪への吸着がより良好であることが知られている。よって、アミノ変性シリコーンとしては、アミノ含量が0.5%以上と高く、毛髪への吸着性に優れたものを使用することが、処理後の毛髪の感触をより高め得る点で好ましい。
乳化型毛髪化粧料における(e)成分の配合量としては、例えば、2〜6質量%であることが好ましい。
前記の乳化型毛髪化粧料に係る(f)成分であるヒアルロン酸またはその塩は、アニオン性の成分であり、カチオン性の成分である(b)成分(カチオン性界面活性剤)や(e)成分(アミノ変性シリコーン)とコンプレックスを形成しやすく、しかも、乳化型毛髪化粧料中において前記コンプレックスが形成されても、毛髪表面に均一性の高い被膜として付着しやすいため、乳化型毛髪化粧料の操作性が損なわれず、また、処理した毛髪に付与される良好な感触が長期にわたって持続するようになる。乳化型毛髪化粧料における(f)成分の配合量は、例えば、0.0001〜0.1質量%であることが好ましい。
なお、前記の乳化型毛髪化粧料においては、(b)成分であるカチオン性界面活性剤の配合量を、(c)成分であるポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステルの配合量と(d)成分であるポリオキシエチレンアルキルエーテルの配合量との和よりも少なくすることが好ましい。(b)成分、(c)成分および(d)成分の配合量がこのような関係となるように調整することで、乳化型毛髪化粧料中で形成されるカチオン性成分とアニオン性成分とのコンプレックスによる操作性の低下を良好に抑制できる。また、アミノ含量の高いアミノ変性シリコーンを使用した乳化型毛髪化粧料では、経時的な黄変が生じやすいが、(b)成分、(c)成分および(d)成分の配合量を前記のような関係に調整することで、乳化型毛髪化粧料の経時的な黄変も抑制できる。
また、前記の乳化型毛髪化粧料による前記の効果をより良好に確保する観点からは、(c)成分であるポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステルの配合量を、(d)成分であるポリオキシエチレンアルキルエーテルの配合量よりも少なくすることが好ましい。
乳化型毛髪化粧料は、必要に応じてpH調整剤を配合してそのpHを調整することができる。pH調整剤については特に制限はなく、通常の化粧料に使用されている各種pH調整剤が適用可能である。なお、本発明の乳化型毛髪化粧料は、pHが低くすることが好ましく、pH調整剤としては、公知の有機酸または無機酸を好ましく用いることができ、処理後の毛髪の感触がより良好となる点で、有機酸がより好ましく、クエン酸、グリコール酸、酒石酸、乳酸などのα−ヒドロキシ酸が特に好ましい。また、無機酸としては、リン酸などが好ましい。
前記の乳化型毛髪化粧料は、乳化物であり、主たる分散媒として水を使用する。分散媒には、水のみを使用してもよく、必要に応じて、エタノール、イソプロパノールなどの低級アルコール(炭素数が6以下のアルコール)などの有機溶媒を、分散媒全量中5質量%以下程度の量で水と併用してもよい。なお、乳化型毛髪化粧料の構成成分の一部は、分散媒に溶解していてもよい。乳化型毛髪化粧料における分散媒の配合量は、例えば、50〜80質量%とすることが好ましい。
前記の乳化型毛髪化粧料は、クリーム状、乳液状、ゲル状などの形態とすることができるが、操作性がより良好となる点で、クリーム状とすることが好ましい。
また、前記の乳化型毛髪化粧料は、その効果を損なわない範囲で、通常の化粧料に配合されている各種成分を配合することができる。
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に述べる。ただし、下記実施例は本発明を制限するものではない。なお、後記の表1では第1剤については第1剤全体で100%となるように、第2剤については第2剤全体で100%となるように、また、後記の表3では乳化型毛髪化粧料全体で100%となるように、それぞれ各成分の配合量を%で示すが、その%はいずれも質量%であり、また、これらの表中ではその%の表示を省略し、配合量を表す数値のみで表示する。
実施例1〜8および比較例1〜3
表1および表2に示す組成で調製した第1剤と第2剤とを組み合わせて、毛髪処理剤を構成した。
Figure 2009286696
なお、表1において、水の欄の「計100とする」とは、第1剤については、第1剤を構成する水以外の各成分の合計量に水の量を加えて100%となるようにしたことを、第2剤については、第2剤を構成する水以外の各成分の合計量に水の量を加えて100%となるようにしたことを、それぞれ意味している。また、表1において、第1剤における「一般式(1)で表されるエステル」は、日本精化社製「Necsolue−Aqulio」であり、第2剤における「プロデュウ500」は、味の素社の製品であり、アミノ酸として、アルギニン酸、アスパラギン酸、グリシン、アラニン、セリン、バリン、プロリン、スレオニン、イソロイシン、ヒスチジン、フェニルアラニンを含んでいる。更に、第2剤における「カチオン化ケラチン加水分解物」は、成和化成社製の「プロモイス WK−HQ」であり、「コラーゲン加水分解物」は、成和化成社製の「プロモイス W−42R」である。
(実験1)
下記の評価用毛束(1)および(2)を作製し、実施例1〜8および比較例1〜3の毛髪処理剤で処理して、その効果を評価した。
<評価用毛束(1)の作製>
長さ20cmの毛髪:2.5gを纏めて1つの毛束とし、これを複数用意した。なお、毛束に用いた毛髪は同一人のものである。
毛髪は、ヘアカラーおよびパーマを施した場合に最も化学的損傷を受ける。そこで、評価用毛束(1)には、更にブリーチ処理およびパーマネントウェーブ処理を施した。
まず、35質量%濃度の過酸化水素水6.0質量%を含み、精製水によって全量を100質量%にしたものと、25質量%のアンモニア水を8.5質量%含み、精製水によって全量を100質量%にしたものとを等量混合して、ブリーチ処理のためのブリーチ剤を調製した。
また、パーマネントウェーブ用剤の第1剤として、DL−システイン塩酸塩5.5質量%と、アセチルシステイン0.5質量%と、50質量%濃度のチオグリコール酸アンモニウム液1.8質量%と、80質量%濃度のモノエタノールアミン液4.7質量%とを含み、アンモニア水(25質量%)でpHを9.3に調整し、精製水で全量を100質量%にしたものを用意した。更に、パーマネントウェーブ用剤の第2剤として、臭素酸ナトリウム6.5質量%と、クエン酸0.1質量%と、リン酸0.05質量%と、リン酸水素一水素ナトリウム0.5質量%とを含み、精製水で全量を100質量%にしたものを用意した。
始めに、前記の各毛束を前記のブリーチ剤100ml中に浸漬し、35℃恒温振とう器中で30分振とうすることで、各毛束をブリーチ処理し、精製水で洗浄した。次に、洗浄後の各毛束を直径10mmのロッドに巻き付け、これら全体を前記パーマネントウェーブ用第1剤100ml中に浸漬し、35℃恒温振とう器中で30分振とうし、精製水で洗浄した後自然乾燥し、更に前記パーマネントウェーブ用第2剤100ml中に浸漬し、35℃恒温振とう器中で30分振とうし、精製水で洗浄した後自然乾燥して、パーマネントウェーブ処理を行うことによって各毛束に化学処理による損傷を受けさせた。
前記の化学処理を行った各毛束を、27質量%濃度のラウレス硫酸ナトリウム水溶液で洗浄し、水ですすぎ流して乾燥させて、評価用毛束(1)とした。
次に、実施例1〜8および比較例1〜3の毛髪処理剤に係る第1剤:1mlを、それぞれ異なる評価用毛束(1)に塗布し、毛束全体に第1剤を馴染ませた後、続いて、実施例1〜8および比較例1〜3の毛髪処理剤に係る第2剤:1mlを、第1剤を馴染ませた各毛束に塗布し、毛束全体に第2剤を馴染ませた後、水ですすぎ乾燥させて、処理を行った。
実施例1〜8および比較例1〜3の毛髪処理剤により処理した評価用毛束(1)について、下記の評価を行った。これらの結果を表2に示す。
<処理後の毛髪中の水分量>
前記処理後の各毛束(1)から、1cmの長さに裁断した毛髪を10mgずつ採取し、温度25℃、湿度50%の環境下に1週間放置して調湿した後、三菱化学社製のカールフィッシャー水分計「CA−06型」を用いて、毛髪中の水分量を測定した。
<処理後の毛髪のやわらかさ評価>
前記処理後の毛束(1)に係る毛髪のやわらかさについて、専門のパネラー15名により官能評価を行った。評価結果を、下記基準により記号化して示す。◎および○の評価のものが、やわらかさが良好であるといえる。
◎:15名のパネラーのうち10名以上が、やわらかいと評価した。
○:15名のパネラーのうち7名以上9名以下が、やわらかいと評価した。
△:15名のパネラーのうち4名以上6名以下が、やわらかいと評価した。
×:15名のパネラーのうち3名以下が、やわらかいと評価した。
<染毛処理効果の評価>
前記処理後の各毛束(1)に、下記の試験用染毛用第1剤および第2剤を等量で混合して調製した試験用染毛剤を塗布し、20分放置後、洗い流すことで、毛髪を赤系色に染色した。
試験用染毛用第1剤は、パラアミノフェノール:0.4質量、パラフェニレンジアミン:0.2質量%、メタアミノフェノール:0.2質量%、5−アミノオルトクレゾール:0.2質量%、セトステアリルアルコール(セチルアルコールとステアリルアルコールとの混合物):10質量%、ポリオキシエチレン(20)セチルエーテル(括弧内の数値は、酸化エチレンの平均付加モル数):5質量%、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミン:3質量%、ポリエチレングリコール1500:1質量%、アスコルビン酸:0.5質量%、無水亜硫酸ナトリウム:0.5質量%、ヒドロキシエタンジホスホン酸:0.2質量%、およびアンモニア水(25質量%濃度):7質量%を配合し、精製水で全量を100質量%としたものである。また、試験用染毛用第2剤は、過酸化水素(35質量%濃度):15質量%に精製水を加えて、全量を100質量%としたものである。
前記染毛処理後の毛束(1)に係る毛髪について、染まり具合(染まりの濃さ)を、下記の方法で評価した。
[L値の測定]
前記染毛処理後の毛束(1)に係る毛髪のL値(明度値)を、色差計(ミノルタ社製彩色差計「CM−200」)で測定した。この色差測定では、L値が小さいほど濃く染まっていることを示している。
[官能評価]
前記染毛処理後の毛束(1)に係る毛髪の染まり具合を、前記専門のパネラー15名によって評価した。評価結果を、下記基準により記号化して示す。◎および○の評価のものが、濃く染まっており、染毛処理による仕上がりが良好であるといえる。
◎:15名のパネラーのうち10名以上が、濃く染まっていると評価した。
○:15名のパネラーのうち7名以上9名以下が、濃く染まっていると評価した。
△:15名のパネラーのうち4名以上6名以下が、濃く染まっていると評価した。
×:15名のパネラーのうち3名以下が、濃く染まっていると評価した。
<評価用毛束(2)の作製>
長さ24.0cmの毛髪:0.5gを纏めて1つの毛束とし、これを複数用意した。なお、毛束に用いた毛髪は同一人のものである。これらの毛束を、27質量%濃度のラウレス硫酸ナトリウム水溶液で洗浄し、水ですすぎ流して乾燥させ、評価用毛束(2)とした。
次に、実施例1〜8および比較例1〜3の毛髪処理剤に係る第1剤:1mlを、それぞれ異なる評価用毛束(2)に塗布し、毛束全体に第1剤を馴染ませた後、続いて、実施例1〜8および比較例1〜3の毛髪処理剤に係る第2剤:1mlを、第1剤を馴染ませた各毛束に塗布し、毛束全体に第2剤を馴染ませた後、水ですすいだ。
前記処理後の評価用毛束(2)について、下記のパーマネントウェーブ処理効果の評価を行った。
<パーマネントウェーブ処理効果の評価>
次に、各毛束に係る毛髪を直径15mmのロッドに約5回巻き付け、これらに、パーマネントウェーブ用第1剤1mlを塗布し、35℃で15分放置した後水洗し、続いて、パーマネントウェーブ用第2剤0.5mlを各毛束に塗布し、室温で10分放置し、更にパーマネントウェーブ用第2剤0.5mlを各毛束に塗布し、室温で5分放置した。その後各毛髪をロッドから外して水洗し、タオルドライの後、根元から吊るしてウェーブ状態を正面から観察した。更に、前記処理後の毛髪を1時間放置して自然乾燥した後に、それらのウェーブ状態を前記と同様にして観察した。なお、パーマネントウェーブ用第1剤および第2剤には、評価用毛束(1)の処理に用いた前記の第1剤および第2剤と同じものを使用した。
前記パーマネントウェーブ処理後の各毛束(2)に係る毛髪のウェーブの状態を、下記方法により評価した。これらの結果を表2に併記する。
[ウェーブ効率の測定]
前記の観察によって、各毛束(2)に係る毛髪のウェーブの、隣接する山同士の頂点間距離の平均値を求め、これを平均波長L(mm)とした。そして、この平均波長Lを用いて、下記式(2)によって定義されるウェーブ効率E(%)を求めた。なお、下記式(2)において、Rは、毛髪を巻き付けたロッドの直径(mm)である。
E = 100×R/L (2)
[官能評価]
前記パーマネントウェーブ処理後の毛束(2)に係る毛髪のウェーブの均一さを、前記専門のパネラー15名によって評価した。評価結果を、下記基準により記号化して示す。◎および○の評価のものが、ウェーブの均一性が高く、パーマネントウェーブ処理による仕上がりが良好であるといえる。
◎:15名のパネラーのうち10名以上が、ウェーブが均一であると評価した。
○:15名のパネラーのうち7名以上9名以下が、ウェーブが均一であると評価した。
△:15名のパネラーのうち4名以上6名以下が、ウェーブが均一であると評価した。
×:15名のパネラーのうち3名以下が、ウェーブが均一であると評価した。
Figure 2009286696
表2から明らかなように、実施例1〜8の毛髪処理剤で処理した毛髪は、水分量が多く、毛髪がやわらかであり、また、その後に染毛処理やパーマネントウェーブ処理を行うと、その仕上がりが良好である。これに対し、第1剤に前記一般式(1)で表されるエステルを配合していない比較例1の毛髪処理剤、第2剤に多価アルコールを配合していない比較例2の毛髪処理剤、および第2剤に毛髪補修剤を配合していない比較例3の毛髪処理剤で処理した毛髪は、水分量が少なく、毛髪のやわらかさが劣っており、また、その後に染毛処理やパーマネントウェーブ処理を行うと、その仕上がりが劣っている。
(実験2)
前記の実験1と同様にして評価用毛束(1)および評価用毛束(2)を用意した。そして、これらの評価用毛束(1)および(2)に、実験1と同様にして実施例8の毛髪処理剤に係る第1剤および第2剤を塗布し馴染ませた後、表3に示す組成で調製した乳化型毛髪化粧料0.5gを塗布し、よく揉み込んで乳化型毛髪化粧料を毛髪に馴染ませた後、水ですすぎ乾燥させた。
Figure 2009286696
なお、表3において、水の欄の「計100とする」とは、乳化型毛髪化粧料を構成する水以外の各成分の合計量に、水の量を加えて100%となるようにしたことを意味している。また、「POE」はポリオキシエチレンの意味であり、その後の括弧内の数値は、エチレンオキサイドの付加モル数を意味している。更に、「アミノ変性シリコーン」は、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製の「XF42−C0345」(アミノ含量:0.9%)であり、「ヒアルロン酸ナトリウム」は、紀文フードケミファ社製「FCH−150」である。
前記の評価用毛束(1)については、実験1と同様にして、毛髪の水分量測定、毛髪のやわらかさ評価および染毛処理効果の評価を行った。また、前記の評価用毛束(2)については、実験1と同様にしてパーマネントウェーブ処理効果の評価を行った。これらの結果を表4に示す。
Figure 2009286696
表4から明らかなように、実施例8の毛髪処理剤を用いた処理に引き続いて、前記乳化型毛髪化粧料を用いて処理することで、毛髪の水分量を更に多くして、よりやわらかに処理することができる。また、このような処理をした毛髪に染毛処理やパーマネントウェーブ処理を行うと、その仕上がりが良好である。

Claims (4)

  1. 2剤式の毛髪処理剤であって、
    下記一般式(1)で表されるエステルを少なくとも含む第1剤と、
    アミノ酸およびその誘導体、タンパク質加水分解物およびその誘導体、並びにステロールおよびその誘導体よりなる群から選択される少なくとも1種の毛髪補修剤と、多価アルコールとを少なくとも含む第2剤とで構成されることを特徴とする毛髪処理剤。
    Figure 2009286696
  2. 第1剤は、前記一般式(1)で表されるエステルと媒体とを少なくとも含んでおり、前記一般式(1)で表されるエステルの配合量が、0.01〜10質量%である請求項1に記載の毛髪処理剤。
  3. 下記一般式(1)で表されるエステルを少なくとも含む第1剤を毛髪に塗布し、引き続いて、
    アミノ酸およびその誘導体、タンパク質加水分解物およびその誘導体、並びにステロールおよびその誘導体よりなる群から選択される少なくとも1種の毛髪補修剤と、多価アルコールとを少なくとも含む第2剤を、第1剤を塗布した毛髪に塗布することを特徴とする毛髪の処理方法。
    Figure 2009286696
  4. 第1剤は、前記一般式(1)で表されるエステルと媒体とを少なくとも含んでおり、前記一般式(1)で表されるエステルの配合量が、0.01〜10質量%である請求項3に記載の毛髪の処理方法。
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