JP2009286668A - 水酸化マグネシウム系熱伝導性フィラーとその製造方法、及び熱伝導性樹脂組成物と成型体。 - Google Patents

水酸化マグネシウム系熱伝導性フィラーとその製造方法、及び熱伝導性樹脂組成物と成型体。 Download PDF

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Abstract

【課題】 合成樹脂に配合した際に良好な熱伝導性を与え、成型性が良く、混練機等の磨耗が極めて少ない水酸化マグネシウム系フィラー、製造方法、樹脂組成物および成型体を提供する。
【構成】 BET比表面積が0.1m2/g以上1m2/g未満で、平均粒子径が5μm超20μm以下、 X線回折における[101]/[001]ピーク強度比が0.9以上の水酸化マグネシウムを粒子を熱伝導性のフィラーとする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、合成樹脂等に配合する水酸化マグネシウム系熱伝導性フィラーやその製造方法、及び得られた熱伝導性樹脂組成物や成型体に関する。
IC封止材、プリント基板、ホットメルト接着材等の熱伝導性を増すためのフィラーが求められている。IC封止材やプリント基板等については、より消費電力の大きな半導体チップや電子回路を動作させた場合、かなりの温度上昇を引き起こす。この発生した熱を効率良く放熱するために、これら材料の熱伝導率を高める必要がある。何故なら、電子部品素子は温度上昇によって、部品の劣化、誤動作、故障等のトラブルが起こるからである。特にプラズマディスプレイパネルやELパネルなどの2枚のガラス基板内に発光部を設けたディスプレイでは、ガラス基板からの熱をAlシャーシなどの放熱板に排出し、ガラス基板を冷却すると共に、ガラス基板の温度を均一に保つ必要がある。ガラス基板の温度分布は、ディスプレイ本体に大きな熱応力を加え、不具合の原因となる。例えば白色の高輝度領域と黒色の低輝度領域とでは、基板内に30℃以上の温度差が生じることがある。またガラス基板の温度上昇はディスプレイの輝度を制限する。そこでガラス基板と放熱板とを層状の熱伝導性樹脂組成物で接合し、ガラス基板から放熱板への伝熱を促進する。
絶縁性のフィラーとして、例えばアルミナやシリカ、マグネシア等が考えられる。この内で、アルミナは熱伝導率は高いが(32W/m・K)、モース硬度が非常に高く樹脂と混練する際に混練機を磨耗する(硬度12)。次ぎに酸化マグネシウムは熱伝導率は高いが(40W/m・K)、モース硬度が多少高く、混練機をやや磨耗する(硬度6)。また水に対する安定性が低いので、電子部品用の樹脂に添加することに問題がある。さらに球状シリカは熱伝導率が低く(1W/m・K)、モース硬度も高く混練機を磨耗する(硬度8)。
この発明の課題は、樹脂に混練した際の成型性が高く、しかも樹脂成形体の外観が良好な、水酸化マグネシウム系の熱伝導性フィラーとその製造方法、及び熱伝導性樹脂組成物と成型体とを提供することにある。
この発明の熱伝導性フィラーは、BET比表面積が0.1m2/g以上1m2/g未満で、平均粒子径が5μm超20μm以下、 X線回折における[101]/[001]ピーク強度比が0.9以上の水酸化マグネシウム粒子の粉体からなる。
好ましくは、前記水酸化マグネシウム粒子が、BET比表面積が0.2m2/g以上0.8m2/g未満で、平均粒子径が6μm超19μm以下、 X線回折における[101]/[001]ピーク強度比が1.1以上である。
より好ましくは、前記水酸化マグネシウム粒子が、BET比表面積が0.2m2/g以上0.5m2/g未満で、平均粒子径が10μm超18μm以下、 X線回折における[101]/[001]ピーク強度比が1.3以上である。
好ましくは、前記水酸化マグネシウム粒子が、脂肪酸、脂肪酸金属塩、リン酸エステル、リン酸エステル金属塩、硬化油、脂肪酸エステル、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、シリコンオイル、界面活性剤、高分子凝集剤の少なくとも1種により、水酸化マグネシウム100質量%に対して0.1〜10質量%の割合で表面処理されている。
最も好ましくは、前記水酸化マグネシウム粒子が、水酸化マグネシウム100質量%に対して0.1〜10質量%のシランカップリング剤により表面処理され、かつAl2O3による表面処理も、SiO2による表面処理も施されていない。
この発明の熱伝導性フィラーの製造方法では、水酸化マグネシウム粒子の原料として、水酸化マグネシウムあるいは酸化マグネシウムの水懸濁液、もしくは、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウムあるいは硝酸マグネシウムの水溶液を用い、
前記水酸化マグネシウム粒子の原料に、水酸化リチウムもしくは水酸化ナトリウムを、OH-/Mg2+のモル比で5以上添加すると共に、前記水酸化マグネシウム粒子の原料が水酸化マグネシウムあるいは酸化マグネシウムの水懸濁液の場合は、水酸化リチウムもしくは水酸化ナトリウムの添加後に湿式粉砕し、
次いで、200〜270℃で水熱処理することにより、
BET比表面積が0.1m2/g以上1m2/g未満で、平均粒子径が5μm超20μm以下、 X線回折における[101]/[001]ピーク強度比が0.9以上の合成水酸化マグネシウム粒子とする。
ここで得られる水酸化マグネシウムの性状を決定するファクターは、OH-/Mg2+のモル比と水熱処理の温度である。OH-/Mg2+のモル比を11以上とし、水熱処理温度を250〜270℃とすると、BET比表面積が0.2m2/g以上0.8m2/g未満で、平均粒子径が6μm超19μm以下、 X線回折における[101]/[001]ピーク強度比が1.1以上の水酸化マグネシウム粒子が得られる。 またOH-/Mg2+のモル比を11.5以上とし、水熱処理温度を260〜270℃とすると、BET比表面積が0.2m2/g以上0.5m2/g未満で、平均粒子径が10μm超18μm以下、 X線回折における[101]/[001]ピーク強度比が1.3以上の水酸化マグネシウム粒子が得られる。
またこの発明は、合成樹脂100質量部に対し、上記の水酸化マグネシウム系熱伝導性フィラーを150〜400質量部配合した熱伝導性樹脂組成物にある。樹脂の種類は、エポキシ樹脂やフェノール樹脂などの熱硬化性樹脂でも、ポリオレフィン樹脂や合成エラストマーなどの熱可塑性樹脂でも良い。なお水酸化マグネシウムフィラーは塩基性で、エステル樹脂を加水分解るおそれがあるので、エステル樹脂は好ましくない。この明細書において、樹脂は合成樹脂を意味する。
この発明はさらに、このような熱伝導性樹脂組成物の成型体にある。
水酸化マグネシウムは熱伝導率は球状シリカとアルミナ及び酸化マグネシウムとの中間的な値(8W/m・K)を持ち、モース硬度が低い(硬度2.5)ので、混練機の摩耗などが少ない有用な材料と考えられる。水酸化マグネシウムは熱伝導率がさほど高くないので、合成樹脂100質量部に対し、150質量部以上の添加が必要となる。例えば表2の実施例1と表3の比較例2とに示すように、同じフィラーでも樹脂100質量部当たりの添加量を150質量部から100質量部に減らすと、熱伝導率は決定的に低下する。一方樹脂100質量部当たり400質量部を越えて添加すると、混練トルクが激増するので、添加量は樹脂100質量部当たり150質量部以上〜400質量部以下に限られる。
樹脂に等量よりも過剰の水酸化マグネシウムを熱伝導性のフィラーとして添加するので、樹脂と水酸化マグネシウム系フィラーとの混練が問題になる。発明者は、樹脂との混練性を左右するファクターが、水酸化マグネシウム粒子の比表面積、平均粒子径、X線回折における[101]/[001]ピーク強度比であることを確認した。
BET比表面積は0.1m2/g以上1m2/g未満に限られ、好ましくは0.2m2/g以上0.8m2/g未満とし、さらに好ましくは0.2m2/g以上0.5m2/g未満とする。BET比表面積が0.1m2/gより小さいと成型体の外観が悪く、0.2m2/g以上で満足すべき外観が得られる。またBET比表面積が1m2/gより大きいと成型性に劣り、成型性を向上するため0.8m2/g未満が好ましく、さらに好ましくは0.5m2/g未満とする。
水酸化マグネシウムの平均粒子径は5μm超20μm以下に限られる。20μmより大きいと成型体の外観が悪く、5μmより小さいと成型性が劣る。平均粒子径を6μm以上19μm未満とすると、成型性を高め、かつ外観を向上できる。また平均粒子径を10μm以上18μm未満とすると、さらに成型性を高め、かつ外観を向上できる。
水酸化マグネシウムのX線回折における[101]/[001]ピーク強度比は、0.9以上に限られる。0.9より小さいと成型性が劣り、この値は高いほど好ましく、より好ましくは1.1以上とし、最も好ましくは1.3以上とする。
水酸化マグネシウムが樹脂に均一に分散するように混練するには、水酸化マグネシウム粒子の表面を改質し、疎水性の樹脂との親和性を増すことが好ましい。このため水酸化マグネシウム粒子を、脂肪酸、脂肪酸金属塩、リン酸エステル、リン酸エステル金属塩、硬化油、脂肪酸エステル、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、シリコンオイル、界面活性剤、高分子凝集剤の少なくとも1種により、水酸化マグネシウム100質量%に対して0.1〜10質量%の割合で表面処理することが好ましい。これらの内でも特にシランカップリング剤が好ましく、表面処理量は水酸化マグネシウム100質量%に対して0.3〜1質量%が特に好ましい。
水酸化マグネシウム粒子に上記の表面処理剤以外のもので表面処理を施すことは好ましくない。例えば発明者は、Al2O3とSiO2との混合被覆層を設けることを検討したが、表3の比較例4に示すように、大量に添加しても低い熱伝導率しか得られなかった。
以下に本発明を実施するための最適実施例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
水酸化マグネシウム系フィラーを製造した後、合成樹脂に配合し、溶融混練する際の混練トルク(成型性)、樹脂組成物の熱伝導率および混練機の磨耗量を評価した。
水酸化マグネシウム系フィラー試料粉末の製造
(フィラー試料A)
BET比表面積が30m2/g、平均粒子径が5.3μmの水酸化マグネシウム100gが含まれる水懸濁液約1Lに、NaOHフレークを800g添加し(OH-/Mg2+モル比=11.7)、さらに純水を加えて1.5Lの液量に調整した。これに直径3mmのジルコニアボールを1kg投入して、攪拌下に回転数650rpmで15分間湿式粉砕した。その後、懸濁液よりジルコニアボールを取り除いて、2L容量ニッケル製オートクレーブ内に流し込み、攪拌下で270℃、10時間の水熱処理を行った。水熱処理後のスラリーを真空ろ過後、固形分に対し20倍容以上の水で充分洗浄して乳化し、酢酸でpH=3に調製した濃度1mass%のγ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン水溶液を、水酸化マグネシウム固形分に対して,γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン固形分で0.5mass%添加して、攪拌下で8時間表面処理を行った。その後、真空ろ過、水洗(固形分に対して20倍容以上)、乾燥、粉砕してフィラー試料Aを得た。
(フィラー試料B)
MgCl2・6H2Oを360g秤量し、純水1Lを加えて攪拌し、MgCl2水溶液を調製した。このMgCl2水溶液を攪拌下に、NaOHフレークを790g添加し(OH-/Mg2+モル比=11.2)、さらに純水を加え、1.5Lのサスペンジョンを調製した。このサスペンジョンを2L容量ニッケル製オートクレーブ内に流し込み、攪拌下で250℃、10時間の水熱処理を行った。他の点ではフィラー試料Aと同様な操作を行い、フィラー試料Bを得た。
(フィラー試料C)
BET比表面積が40m2/g、平均粒子径が3.2μmの酸化マグネシウム69gに、LiOH・H2Oを400g添加して(OH-/Mg2+モル比=5.6)、水を加えて1.5L液量に調整した。これに直径3mmのジルコニアボールを1kg投入して、攪拌下に回転数650rpmで15分間湿式粉砕した。その後、懸濁液よりジルコニアボールを取り除いて、2L容量ニッケル製オートクレーブ内に流し込み、攪拌下で200℃、10時間の水熱水和反応を行った。他の点ではフィラー試料Aと同様な操作を行い、フィラー試料Cを得た。
(フィラー試料D)
MgCl2・6H2Oを360g秤量し、純水1Lを加えて攪拌し、MgCl2水溶液を調製した。このMgCl2水溶液を攪拌下に、8.3NのNaOH水溶液を383mL添加し(OH-/Mg2+モル比=1.8)、さらに純水を加え、1.5Lのサスペンジョンを調製した。このサスペンジョンを2L容量ニッケル製オートクレーブ内に流し込み、攪拌下で140℃、5時間の水熱処理を行った。他の点ではフィラー試料Aと同様な操作を行い、フィラー試料Dを得た。
(フィラー試料E)
フィラー試料Aの粒子を用いて、室温、攪拌下、湿式にて、アルミン酸ナトリウム及びコロイダルシリカの混合水溶液を、固形分に対しAl2O3換算で1質量%およびSiO2換算で1質量%添加して、1時間表面処理した。他の点ではフィラー試料Aと同様な操作を行い、フィラー試料Eを得た。
BET比表面積、平均粒子径および[101]/[001]ピーク強度比の測定
フィラー試料のBET比表面積は窒素吸着法によって測定し、粒度分布は試料をエタノールに懸濁させ、超音波で3分間分散処理した後に、レーザー回折法により測定した。また、X線回折における[101]/[001]ピーク強度比は、理学電気株式会社製X線回折装置(CuのKα線、40kV、50mA)を用い、[101]のピーク強度(2θ=38.0°)及び[001]のピーク強度(2θ=18.6°)を測定して求めた。
このようにして得られた、水酸化マグネシウム系フィラーの粉末物性と表面処理の詳細を表1に示す。
Figure 2009286668
OH-/Mg2+のモル比で5以上、かつ水熱温度が200℃以上で、目的とした大きな粒子性状の水酸化マグネシウム系フィラーが合成でき、OH-/Mg2+のモル比が11以上、水熱温度が250〜270℃(実施例1,2)で成型性等に優れた水酸化マグネシウム粒子が得られ、OH-/Mg2+のモル比が11.5以上、水熱温度が260〜270℃(実施例1)で最良の水酸化マグネシウム粒子が得られる。
熱伝導性樹脂組成物および成型体の製造
EEA樹脂(エチレン・エチルアクリレートコポリマー)100phrに対し、フィラー試料を100〜567phr配合して混合した後に、ラボプラストミル(東洋精機株式会社製)を用いて、150℃で5分間、回転数50rpmで溶融混練し、150℃で金型プレス成型を行い、熱伝導率測定用の成型体(長さ150mm、幅50mm、厚さ10mm)を得た。なおphrは合成樹脂100質量部に対するフイラーの添加量を質量部単位で示す記号である。
樹脂の混練トルク(成型性)評価
前記した樹脂とフィラー試料をラボプラストミルで混練する際の混練トルクを測定した。混練トルクが低いと成型性が良く、その目標値は7.0Kg・m以下である。
成型体の熱伝導率の評価
前記した樹脂組成物の成型体の熱伝導率については、プローブ法にて測定した。具体的には、測定装置Kemtherm QTM-D3(京都電子工業株式会社製)を用い、測定環境は、温度20℃で、相対湿度40%で行った。熱伝導率の目標値は1.0W/m・K以上である。
混練機の磨耗量の評価
前記の樹脂組成物の成型体の一部を900℃で2時間焼成した後、残渣をICP-AES法(Inductively Coupled Plasma-Atomic Energy Spectroscopy)にて元素分析し、樹脂組成物中の磨耗Cr量を求めた。磨耗Cr量は2ppm以下であることが好ましい。
実施例および比較例で示したフィラーおよび配合部数にて、混練トルク、熱伝導率、磨耗Cr量を測定した結果を表2(実施例)と表3(比較例)に示す。
Figure 2009286668
Figure 2009286668
表2の実施例1〜5に示したように、水酸化マグネシウム系フィラーの配合部数は150〜400phrの範囲、且つ、フィラー試料A〜Cの粒子性状(表1参照)においてのみ、混練トルク・熱伝導率・磨耗Cr量の要求事項を全て満足できる。
一方、表3の試料Dのように、水酸化マグネシウム系フィラーの粒子成長が不十分な場合(比較例1)、混練トルクが高く成型性が悪い。また水酸化マグネシウム系フィラー配合部数が400phr超の場合(比較例3)も、混練トルクが高く成型性が悪い。水酸化マグネシウム系フィラー配合部数が150phr未満の場合(比較例2)、熱伝導率が不十分である。試料Eのように、水酸化マグネシウムの表面にSi化合物とAl化合物の混合被覆層を形成すると(比較例4)、400phrフィラーを配合しても熱伝導率は不十分で、配合量が多いため混練トルクも過大である。Al2O3フィラーやMgOフィラーを配合した場合は(比較例5、6)、混練トルクと熱伝導率は要求を満たすものの、混練機の磨耗が多い。SiO2フィラーを配合した場合(比較例7)やフィラーを配合しなかった場合(比較例8)、熱伝導率が不十分である。
上記の実施例では、表面処理剤としてシランカップリング剤を用いたが、他の表面処理剤でも良く、特に脂肪酸もしくは脂肪酸のアルカリ金属塩が好ましく、特にオレイン酸及びそのアルカリ金属塩が好ましい。フィラー試料Aでのシランカップリング剤による表面処理に代えて、オレイン酸による表面処理を施した。270℃,10時間の水熱合成後の水酸化マグネシウムに真空ろ過と水洗及び乾燥処理を施し、水酸化マグネシウム100質量部に対して2質量部のオレイン酸を加え、ボールミル中でジルコニアボールにより室温で1時間表面処理を施した。この試料150質量部を、実施例1と同様に、EEA樹脂100質量部と混練し、評価を施した。混練トルクは5.2Kg・m,熱伝導率は1.05W/m・K,摩耗Cr量は1ppmであった。
図1に、実施例の熱伝導性樹脂組成物を用いたプラズマディスプレイパネル2を示し、4はパネル本体で、2枚の対向するガラス基板間にプラズマディスプレイの本体が設けられている。6は放熱板で金属Al板等を用い、本体4と放熱板6の間に、実施例の熱伝導性樹脂組成物を用いた接着剤層8が配置され、本体4及び放熱板6のほぼ全面を被覆している。接着剤層8に代えて粘着剤層を用いても良く、接着剤の場合、EEA樹脂などのポリオレフィン系の熱可塑性樹脂や合成エラストマーなどをホットメルト系の接着剤の基剤として使用するが、熱硬化性樹脂を用いても良い。また粘着剤としては、ポリウレタンなどを基剤とする。熱伝導性フィラーはいずれの場合も実施例のものを用いる。
水酸化マグネシウム100質量部に対する表面処理剤の割合は、シランカップリング剤の場合も脂肪酸あるいはその金属塩の場合も0.1〜10質量部とし、シランカップリング剤の場合は0.1〜5質量部が好ましく、特に0.3〜2質量部が好ましい。また脂肪酸あるいはその金属塩の場合は0.5〜10質量部が好ましく、特に1〜5質量部が好ましい。
実施例の熱伝導性樹脂組成物を用いたプラズマディスプレイパネルの側面図
符号の説明
2 プラズマディスプレイパネル
4 パネル本体
6 放熱板
8 接着剤層

Claims (8)

  1. BET比表面積が0.1m2/g以上1m2/g未満で、平均粒子径が5μm超20μm以下、 X線回折における[101]/[001]ピーク強度比が0.9以上の水酸化マグネシウム粒子の粉体からなる熱伝導性フィラー。
  2. 前記水酸化マグネシウム粒子が、BET比表面積が0.2m2/g以上0.8m2/g未満で、平均粒子径が6μm超19μm以下、 X線回折における[101]/[001]ピーク強度比が1.1以上であることを特徴とする、請求項1の熱伝導性フィラー。
  3. 前記水酸化マグネシウム粒子が、BET比表面積が0.2m2/g以上0.5m2/g未満で、平均粒子径が10μm超18μm以下、 X線回折における[101]/[001]ピーク強度比が1.3以上であることを特徴とする、請求項2の熱伝導性フィラー。
  4. 前記水酸化マグネシウム粒子が、脂肪酸、脂肪酸金属塩、リン酸エステル、リン酸エステル金属塩、硬化油、脂肪酸エステル、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、シリコンオイル、界面活性剤、高分子凝集剤の少なくとも1種により、水酸化マグネシウム100質量%に対して0.1〜10質量%の割合で表面処理されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかの熱伝導性フィラー。
  5. 前記水酸化マグネシウム粒子が、水酸化マグネシウム100質量%に対して0.1〜10質量%のシランカップリング剤により表面処理され、かつAl2O3による表面処理も、SiO2による表面処理も施されていないことを特徴とする、請求項4の熱伝導性フィラー。
  6. 水酸化マグネシウム粒子の原料として、水酸化マグネシウムあるいは酸化マグネシウムの水懸濁液、もしくは、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウムあるいは硝酸マグネシウムの水溶液を用い、
    前記水酸化マグネシウム粒子の原料に、水酸化リチウムもしくは水酸化ナトリウムを、OH-/Mg2+のモル比で5以上添加すると共に、前記水酸化マグネシウム粒子の原料が水酸化マグネシウムあるいは酸化マグネシウムの水懸濁液の場合は、水酸化リチウムもしくは水酸化ナトリウムの添加後に湿式粉砕し、
    次いで、200〜270℃で水熱処理することにより、
    BET比表面積が0.1m2/g以上1m2/g未満で、平均粒子径が5μm超20μm以下、 X線回折における[101]/[001]ピーク強度比が0.9以上の合成水酸化マグネシウム粒子とする、熱伝導性フィラーの製造方法。
  7. 合成樹脂100質量部に対し、請求項1〜5のいずれかの水酸化マグネシウム系熱伝導性フィラーを150〜400質量部配合したことを特徴とする、熱伝導性樹脂組成物。
  8. 請求項7の熱伝導性樹脂組成物の成型体。
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