JP2009285971A - ボールペン用ボールおよびこれを用いた筆記具 - Google Patents

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Abstract

【課題】 紙面に書いた線が不連続になりにくく、かつ、インク玉が発生しにくいボールペン用ボールおよびこれを用いた筆記具を提供すること。
【解決手段】 セラミックからなり、表面に円相当径の最大値が78μm以下の複数の開口部を有し、これら開口部のうち円相当径が2μmを超える開口部の変動係数V1/2/Xが下記式を満足することを特徴とするボールペン用ボール6とする。
0.95 ≦ V1/2/X ≦ 1.75
(ただし、V1/2は前記円相当径の標準偏差であり、Xは前記円相当径の平均値である。)
【選択図】 図1

Description

本発明は、ボールペン用ボールおよびこれをペン先に備えた筆記具に関する。
筆記具として使用されているボールペンの先端であるペン先には、球状のボールペン用ボール(以下、単にボールともいう)が取り付けられている。例えば、特許文献1には、炭化珪素を主成分とし、4〜10質量%の遊離炭素を含有し、表面の平均気孔径が50μm以下であり、最大気孔径が75μm以下の炭化珪素質セラミックスからなるボールが提案されている。
特開2004−202973号公報
インクをはじく性質を有する炭素がセラミックスからなるボールに多く存在すると、ボール表面をインクで濡らすことが困難になる。つまり、紙面に書いた線が不連続となることがある。また、炭素が存在しない箇所にインクが凝集してインク玉(ボールにできるインクの塊)が発生することがある。
インクは、インクホルダー内でボール表面に転写され、さらにボール表面から紙面に転写される。ボール表面に存在する気孔によって形成される開口部は、インクホルダー内からボール表面へのインクの転写、およびボール表面から紙面へのインクの転写を促進すると考えられる。
しかしながら、単にボール表面の開口部の大きさ(平均気孔径、最大気孔径)を適当な範囲にするだけでは、これらの転写の速度を充分にコントロールすることができず、特に紙面に書いた線が不連続となったり、インク玉ができたりすることにつながる。
ボールに存在する気孔は、焼結過程で、互いに隣接する粒(炭化珪素結晶粒または遊離炭素粒)の間に気体が残留することによって形成されたものである。このように形成された気孔は気孔径のばらつきが大きすぎたり、小さすぎたりする。このため、気孔によって形成された開口部(表面に開口している部分)の変動係数(「開口部の円相当径の標準偏差」/「開口部の円相当径」)が大きすぎたり、小さすぎたりする。
このように、変動係数が大きすぎると、上記転写が促進にくくなるため、紙面に書いた線が不連続になりやすい。一方、変動係数が小さすぎると、大きな開口部の割合が増加する傾向があるためインク玉ができやすい。
本発明は上述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、紙面に書いた線が不連続になりにくく、かつインク玉が発生しにくいボールペン用ボールおよびこれを用いた筆記具を提供することにある。
本発明のボールペン用ボールは、本体の表面をセラミック体で構成し、該セラミック体の表面に円相当径の最大値が78μm以下の複数の開口部を有し、これら開口部のうち円相当径が2μmを超える開口部の変動係数V1/2/Xが下記式を満足することを特徴とする。
0.95 ≦ V1/2/X ≦ 1.75
(ただし、V1/2は前記円相当径の標準偏差、Xは前記円相当径の平均値)
特に、本発明のボールペン用ボールは、前記円相当径の平均値が30μm以下であることを特徴とする。また、炭化珪素を主成分とすることを特徴とする。
さらに、本発明の筆記具は前記ボールペン用ボールを用いたことを特徴とする。
本発明のボールペン用ボールによれば、紙面に書いた線が不連続になりにくく、インク玉が発生しにくい状態にしたまま、紙面に線を書くことができる筆記具を提供することができる。
特に、円相当径の平均値が30μm以下であるボールペン用ボールは、上記効果を奏するとともに、インク玉の発生を特に抑制することができる筆記具を提供することができる。
さらに、ボールペン用ボールが炭化珪素を主成分とすることにより、耐摩耗性に優れた筆記具を提供することができる。
以下、本発明に係る最良の実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1(a)に示すように、ボールペン2は、先細に形成された柱状のホルダ4と、ホルダ4の先端に設けられた球状のボール(ボールペン用ボール)6とを有する。ここで、ボール6はその本体の少なくとも表面がセラミック体で構成され、このセラミック体の表面に、円相当径の最大値が78μm以下の複数の開口部を有し、これら開口部のうち円相当径が2μmを超える開口部の変動係数V1/2/Xが後記する所定の範囲にあることを特徴とする。
図1(b)を用いて、ボールペン2の原理を説明する。ボール6は、筒状のボールシート部5の先端開口部に圧入されており、ボールシート部5内で回動可能としている。ボール6を紙面に押し付けて転がすと、先端部に向かうにしたがって内径が段階的に細く形成されたインク誘導孔8を介して、ボールシート部5に形成されたインク溝10に導かれたインク12が、ボール6の表面に導かれ、ボール6の表面から紙面にインクが転写される。
なお、インクとしては、水性インク、ゲルインクまたは油性インクが使用可能であるが、本実施形態のボールを用いたボールペンには、水性インクまたはゲルインクが最適である。
図2(a)、(b)に示すように、ボール6の表面に存在する気孔は、開口部(特に、表面にあらわれる気孔の輪郭で囲まれる領域をさす)18を備えた2種類の気孔からなる。すなわち、開口部18は、焼結の過程で消滅することなく、粒界に沿って残留した気孔(残留気孔16)と、気孔形成剤が加熱により焼失または熱分解することによって生じた気孔焼失性気孔14とが存在する。これら2種類の気孔は、ボール6の表面に存在する気孔の部分(開口部)の円相当径で大別され、残留気孔16は円相当径が、例えば10μm未満の気孔であり、焼失性気孔14は円相当径が、例えば10μm以上の気孔であって、残留気孔16と焼失性気孔14が複合化して合体して複合気孔として存在してもよい。残留気孔16は、図2(a)においては代表的なもののみを強調して図示したが、実際には図2(b)のように多数存在する。
開口部18の円相当径は後記する式(1)により算出される。ボールペン2で紙面に文字等の線を描いた場合、焼失性気孔14は開口部が大きいため、インク溝10にあるインク12が焼失性気孔14に充填され、さらに紙面に間断なく転写される。一方、残留気孔16は開口部が小さいため、インク玉の発生を抑制する。このため、残留気孔16と焼失性気孔14とがボール6の表面に混在していることが、紙面に書いた線が不連続になりにくく、インク玉が発生しにくい状態にしたまま、紙面に線を書くことができるボールペン2を提供するために効果的である。
このような観点から、本実施形態のボールペン用ボール6は、表面に円相当径の最大値が78μm以下(ただし、円相当径が2μm以下を下記の計算式の対象から除く。)の開口部18を有し、開口部18の変動係数V1/2/X(ここで、V1/2は前記開口部の円相当径の標準偏差、Xは円相当径の平均値である。円相当径が2μm以下の開口部は計算の対象外である。)が範囲0.95 ≦ V1/2/X ≦ 1.75を満足することを特徴とする。
円相当径が2μm以下の開口部を、上記範囲の対象外とした理由は、次の通りである。本発明者らが検討した結果、円相当径が2μm以下の開口部があっても、紙面に筆記する際に紙面に書いた線が不連続にならず、インク玉が殆ど発生しないことが判明したからである。
図3(a)に単独で存在する開口部(焼失性気孔14a)と、この開口部18との面積が等しい円C(直径D)の関係を示す。図3(b)に焼失性気孔が複合化して合体した複合気孔14bの開口部18とこの開口部18と面積がほぼ等しい円の関係を示す。図3(b)に示す開口部18は、焼失性気孔14aと焼失性気孔14aが互いに一部ずつ合体した複合気孔14bを構成する。
ここで開口部18の円相当径(φ)とは、開口部18を画像解析により面積の等しい円Cに置き換えた場合の、この円の直径Dであり、下記式(1)に示すように定義される。
開口部18の円相当径(φ)=(4×S/π)1/2・・・(1)
ただし、 π:円周率(=3.14)
S:開口部3の面積
式(1)で示される円相当径(φ)は、次のように測定することが好ましいが、円相当径をさらに正確に測定できる方法であれば他の方法でもよい。
<第1の測定方法>
ボール6の表面を工業顕微鏡、レーザ顕微鏡、デジタルマイクロスコープなどにより撮影し、それぞれの開口部18の円相当径をソフトウェア解析して計算する。例えば、レーザ顕微鏡としては、キーエンス株式会社のカラー3Dレーザ顕微鏡VK−8700、VK−9700、オリンパス株式会社の走査型共焦点レーザ顕微鏡LEXT OLS3100、ナノサーチ顕微鏡LEXT OLS3500を用いることができる。
<第2の測定方法>
第2の測定方法は、焼失性気孔14および残留気孔16が、ボール6表面と、ボール6を平面状に鏡面研磨した面とがほぼ同じであることに基づくことで、次のようにする。ボール6のほぼ中心を含むようにして、ボール6を平面状に鏡面研磨する。得られた鏡面に存在する開口部を、工業顕微鏡、上記のレーザ顕微鏡またはデジタルマイクロスコープにより特定し、開口部の円相当径を計算する。図4はボール6のほぼ中心を含むようにしてボール6を平面状に鏡面研磨した模式図であり、開口部は省略してある。点線で囲った領域が、開口部の円相当径を測定する測定領域22である。
第2の方法により、工業顕微鏡を用いて測定する場合には、より具体的には次のようにして測定する。工業顕微鏡を用いて、倍率を50倍とし、摺動面の中央付近から、測定領域22を撮影して得られた画像を、画像解析ソフトを用いて解析することにより求めることができる。画像解析ソフトとしては、例えば、「A像くん」(登録商標、旭化成エンジニアリング(株)製)を用い、粒子解析という手法を適用する。
ボール6に存在する開口部の円相当径の最大値を78μm以下とすることで、ボール6の表面には比較的小さい開口部18が存在することになり、長時間紙面に書き続けてもインク玉を発生させにくいボールペンを提供することができる。
円相当径の最大値は、特に50μm以下であることが好ましい。これによって、インク玉の発生を特に抑制することが可能となる。
また、変動係数V1/2/Xを0.95以上1.75以下とすることで、ボール6の表面には円相当径の平均値に応じて大小様々な開口部を存在させることができるので、筆記によって回動するボールの回動速度、方向の変化に適合しながら、インク溝10から開口部18に、過不足無くインク12を補充して紙面にインク12を転写できる。その結果、描いた線が途切れず、かつインク玉の発生を抑制できる。
さらには、変動係数V1/2/Xを1.03以上1.51以下の範囲に設定することがより好ましい。変動係数がこの範囲であると、筆記速度が大きく変化した場合でも、描いた線を途切れさせず、かつインク玉の発生を抑制することができる。
本実施形態のボールを用いたボールペンは、開口部18の円相当径の平均値によって、紙面に対するインク12の供給量が変化する場合がある。すなわち、円相当径が大きいと、インクの供給量が多くなり、書いた線が太くなる傾向がある。円相当径が小さいと、インクの供給量が少なくなり、書いた線が細くなる傾向がある。しかしながら、いずれの場合でも、インク12を途切れさせずに、かつインク玉を抑制したまま長時間筆記することができる。インク玉を特に抑制するためには、円相当径を一定の値以下に設定することが好ましい。そのためには、開口部18の円相当径の平均値を30μm以下(ただし、0μmを除く。)に設定することが好ましい。さらに好ましくは、開口部18の円相当径の平均値が4μm以上15μm以下とする。
本発明のボール6は、主成分が炭化珪素であることが好ましい。炭化珪素は、高硬度で高耐食性を有し、摩擦係数が小さいため、長期間使用しても摩耗しにくい。このため、長期間の使用によってもボール6が摩耗することなく、インク玉の発生を特に抑制できるボールペン2が提供される。
次に、本実施形態のボール6の製造方法を説明する。ボール6を得るには、まず、炭化珪素等のセラミックスの粉末,シリコーンビーズ、ポリスチレンおよびポリアクリルースチレンの少なくとも1種からなる懸濁重合された非架橋性の樹脂ビーズからなる気孔形成剤,この気孔形成剤を分散させる気孔分散剤および水と必要に応じてセラミックスの粉末を分散させる分散剤をボールミルまたはビーズミルで混合してスラリーとする。このスラリーに焼結助剤および成形助剤としてバインダーを添加、混合した後、噴霧乾燥することで顆粒が得られ、大部分の顆粒には気孔形成剤が内包された状態となる。
このような気孔形成剤は、その圧縮強度が1.2MPa以下と低いために、成形工程で加圧方向に容易に塑性変形して、弾性回復に伴って発生しやすいマイクロクラックの発生を未然に抑えることができるという利点を有している。この気孔形成剤は、加熱により熱分解または消失し、ボール6表面にインク12を供給することができる開口部18を形成する。
なお、セラミックスの粉末が炭化珪素である場合、焼結助剤は酸化アルミニウム粉末とイットリア等の希土類酸化物粉末とを用いることが好ましい。
製造方法において、気孔分散剤を用いることが重要である。本実施形態のボール6には気孔形成剤による焼失性気孔が存在する。ボール6の表面に開口部18の円相当径が78μm以下(ただし、0μmを除く。)の開気孔を有するためには、直径が70μm以下(ただし、0μmを除く。)の気孔形成剤を用いればよい。
しかしながら、この気孔形成剤は、疎水性であることから、気孔分散剤がないと、水を溶媒とするスラリーに分散できず、凝集しやすい。そのため、摺動面上で開口部同士が連結して大きな開口部が発生するおそれが高く、場合によってはシール性を低下させてしまう。そのため、気孔分散剤の添加が必要となる。添加した気孔分散剤は気孔形成剤に吸着し、気孔形成剤はスラリー中に容易に湿潤、浸透するのでスラリー中で凝集することなく分散する。
開口部の変動係数V1/2/Xを0.95以上1.75以下とするには、気孔形成剤の添加量を気孔形成剤100質量%に対して
0.3質量%以上5.0質量%以下とした上で、気孔形成剤100質量%に対し、気孔分散剤を0.1質量%以上添加する。さらに気孔形成剤の平均粒径を35μm以下にすることによって開口部の円相当径の平均値を30μm以下とすることができる。
気孔分散剤としては、カルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸エステル塩、リン酸エステル塩等のアニオン界面活性剤が好ましい。アニオン界面活性剤が気孔形成剤に吸着することで気孔形成剤はスラリー中に容易に湿潤、浸透し、さらにアニオン界面活性剤が有する親水基の電荷反発により、気孔形成剤の再凝集がさらに抑制されるため、気孔形成剤がスラリー中に凝集することなく十分に分散することができる。アニオン界面活性剤は、気孔形成剤をスラリーに湿潤、浸透させる効果が高い。
次いで、顆粒を所定の成形型に充填し、成形圧力49〜147MPaの範囲で適宜選択される成形圧力で球状に成形して成形体を得る。
成形体の主成分が炭化珪素である場合には、成形体を窒素雰囲気中、温度450〜650℃、保持時間2〜10時間で脱脂して、脱脂体とする。この脱脂体を焼成炉に入れ、不活性ガスの減圧雰囲気中、温度1800〜2100℃、保持時間3〜5時間で保持し、焼成することで炭化珪素質焼結体とすることができる。なお、不活性ガスについては特に限定されるものではないが、入手や取り扱いが容易であることから、アルゴンガスを用いることが好適である。
得られた焼結体を用いて、焼結体の表面を精密に研磨する。精密に研磨した後のボール6の表面粗さは、開口部以外の部分を選択し、この部分の算術平均高さRaを0.002μm以下にすることが好ましい。Raは、日本工業規格JIS S6054、JIS S6061に準拠して測定してもよい。
ボール6の直径は、通常、0.3mm、0.5mmまたは1mm等である。本実施形態に記載したボールは、これらの直径のボールに好適である。
なお、本実施形態において筆記具として一般のボールペンを例にとり説明したが、これに限定されるものではなく、例えばコンパス等の製図用筆記具、プロッター用筆記具および記録装置用筆記具等にも適用可能である。
炭化珪素粉末に所定量の炭化硼素粉末およびフェノール樹脂を焼結助剤として、また、ポリスチレンからなる懸濁重合された非架橋性の樹脂ビーズを気孔形成剤として添加した。ここで、気孔形成剤は表1に示す最大径および平均径の気孔形成剤を用い、表1に示す添加量とした。さらに、気孔分散剤としてポリカルボン酸ナトリウムを気孔形成剤100質量%に対して表1に示す比率で添加して、調合原料とした。
この調合原料をボールミルに投入した後、48時間混合してスラリーとした。このスラリーに成形助剤としてバインダーを添加、混合した後、噴霧乾燥することにより平均粒径80μmの炭化珪素の顆粒を作製した。
次に、この顆粒を成形型に充填し、厚み方向に98MPaの圧力で加圧、成形して球状の成形体とした。得られた成形体は窒素雰囲気中、20時間で昇温し、600℃で5時間保持後、自然冷却して脱脂し、脱脂体とした。
次に、脱脂体を2030℃にて5時間保持して焼成することにより、球状の炭化珪素質焼結体を得た。そして、各炭化珪素質焼結体の表面を精密研磨し、直径0.5mmのボールからなる試料No.1〜10を得た。得られた試料の真円度は0.3μm以下であった。
次に、炭化珪素粉末の代わりに、アルミナ粉末を用い、酸化珪素、酸化マグネシウムを焼結助剤として、また、ポリスチレンからなる懸濁重合された非架橋性の樹脂ビーズを気孔形成剤として添加した。ここで、気孔形成剤は、表1に示す最大径および平均径の気孔形成剤を用い、表1に示す添加量とした。さらに、気孔分散剤としてポリカルボン酸ナトリウムを気孔形成剤100質量%に対して表1に示す比率で添加して、調合原料とした。
この調合原料をボールミルに投入した後、48時間混合してスラリーとした。このスラリーに成形助剤としてバインダーを添加、混合した後、噴霧乾燥することにより平均粒径80μmのアルミナからなる顆粒を作製した。
得られたアルミナの顆粒を成形型に充填し、厚み方向に98MPaの圧力で加圧、成形して球状の成形体とした。得られた成形体は大気中、20時間で昇温し、600℃で5時間保持後、自然冷却して脱脂し、アルミナを含む脱脂体とした。
得られたアルミナからなる脱脂体を1600℃にて5時間保持して焼成することにより、球状のアルミナ質焼結体を得た。このアルミナ質焼結体の表面を、試料No.1〜10と同様の方法で研磨し、直径0.5mmのボールからなる試料No.11を得た。
次に、炭化珪素粉末の代わりに、ジルコニア粉末を用い、酸化イットリウムを焼結助剤として、また、ポリスチレンからなる懸濁重合された非架橋性の樹脂ビーズを気孔形成剤として添加した。ここで、気孔形成剤は、表1に示す最大径および平均径の気孔形成剤を用い、表1に示す添加量とした。さらに、気孔分散剤としてポリカルボン酸ナトリウムを気孔形成剤100質量%に対して表1に示す比率で添加して、調合原料とした。
この調合原料をボールミルに投入した後、48時間混合してスラリーとした。このスラリーに成形助剤としてバインダーを添加・混合した後、噴霧乾燥することにより平均粒径70μmのジルコニアからなる顆粒を作製した。
得られたアルミナの顆粒を成形型に充填し、厚み方向に98MPaの圧力で加圧、成形して球状の成形体とした。得られた成形体は大気中、20時間で昇温し、700℃で5時間保持後、自然冷却して脱脂し、ジルコニアを含む脱脂体とした。
得られたジルコニアからなる脱脂体を1400℃にて4時間保持して焼成することにより、球状のジルコニア質焼結体を得た。得られたジルコニア質焼結体の表面を、試料No.1〜10と同様の方法で研磨し、直径0.5mmのボールからなる試料No.12を得た。
得られた各試料の表面を、キーエンス株式会社のカラー3Dレーザ顕微鏡VK−8700を用いて撮影し、開口部18の円相当径の平均値X、円相当径の標準偏差V1/2を計算した。変動係数V1/2/Xを計算した。ただし、円相当径が2μm以下の開口部は、円相当径の計算の対象外とした。
得られたボールを用いてボールペンを作製した。インクはゲルインクを用いた。
次の試験を行うことにより、ボールペンの特性を評価した。
<距離L>
連続筆記可能であった距離Lは次のようにして測定した。まず、紙面とボールペンの長手方向との角度を90°とし、紙面にボールペンを当接し100gの荷重を印加した状態で、紙面に対するボールペンの先の移動速度を8m/分として連続的に線を2000m描いた。描いた線を目視して、各試料において線が途切れるまで描くことができた筆記距離を測定した。ここで、インクが途中でなくならないようにするため、ボールペンのホルダ側に大きなインクタンクを付けて測定した。なお、距離Lの測定結果は測定値の一桁目を切り下げた値を表1に示した。
<インク玉の発生の有無>
上記の距離Lを測定したボールペンとは別にボールペンを作製し、次の評価を行った。紙面とボールペンの長手方向との角度を90°とし、紙面にボールペンを当接させた状態で、紙面に対するボールペンの先の移動速度を8m/分として、直線を100mずつ、10回描いた。その都度、ペン先を目視してインク玉の発生も有無を確認した。一度もインク玉の発生がなかった試料をインク玉の発生「なし」、1回以上インク玉の発生が見られた試料をインク玉の発生「あり」とした。
<縮径量>
上記の連続筆記可能であった距離Lの測定に使用したボールペンからボールを外し、ボールの直径Dを測定した。連続筆記前のボールの直径の平均値をD1mm、連続筆記後のボールの直径の平均値をD2(mm)としたとき、縮径量(mm)を(D1−D2)により求めた。
次に、気孔形成剤、気孔分散剤を表1に示すようにした以外は上記実施例と同様にして、試料No.13〜22を作製し、上記実施例と同様にして評価した。
次に、特開2004−202973号公報の表1のNo.1〜5に記載されている試料と同じ条件で作製した炭化珪素質のボールからなる試料No.23〜27、同公報の表2に記載されている試料と同じ条件で作製した炭化珪素質のボールからなる試料No.29〜34を準備した。これらの試料を上記実施例と同様にして評価した。試料No.23〜34を作製する際は気孔形成剤、気孔分散剤を用いなかった。
これらの結果を表1に示す。
表1に示すように、円相当径の最大値が78μm以下、変動係数V1/2/Xが0.95以上1.75以下の試料No.1〜12は、連続筆記可能であった距離Lが1200m以上と良好であった。特に試料No.3〜9は、距離Lが1410m以上であり優れていた。また、試料No.1〜12はインク玉の発生もなかった。
縮径量は、試料No.1〜10が0.1μm以下と小さくボールの摩耗が特に抑制されたことがわかった。試料No.11,12の縮径量は0.2μmであった。
表1には記載していないが、インク玉の発生の有無を測定した試料No.1〜10を付けたボールペンを用いて、もう一度、インク玉の発生の有無を同じ方法で繰り返し、直線100mを計20回描いた。その結果、試料No.1,6〜10はインク玉の発生がなかったが、試料No.2〜5はインク玉が1回発生した。
一方、円相当径の最大値が78μmを超えている試料No.13,14,16,19〜22、または変動係数V1/2/Xが0.95〜1.75の範囲外、の少なくとも一方を満たす試料No.13〜22は、距離Lが890m以下であった。試料No.16〜22は、インク玉が発生した。
従来のボールである試料No.23〜34は、距離Lが420〜630mと短く、インク玉が発生した。なお、試料No.23〜34の最大気孔径が、特開2004−202973号公報の表1、2に記載された値と異なっている理由は、円相当径が2μm以下の開口部は円相当径の計算の対象外としたためと考えられる。
(a)は、本実施形態のボールペン用ボールを用いて作製した筆記具を模式的に示した斜視図であり、(b)は(a)の内部構造を示す部分拡大断面図である。 (a)は、本実施形態のボールペン用ボールの正面図であり、(b)は(a)のA部における顕微鏡写真である。 本実施形態のボールペン用ボールに存在する開口部を説明する平面図であり、(a)は単独で存在する開口部(焼失性気孔)とこの開口部と面積が等しい円の関係を示す模式図であり、(b)は隣接する開口部とこの開口部と面積が等しい円の関係を示す模式図である。 本実施形態のボールのほぼ中心を含むようにしてボールを平面状に鏡面研磨した平面を示す模式図である。
符号の説明
2:ボールペン
4:ホルダ
5:ボールシート部
6:ボールペン用ボール(ボール)
8:インク誘導孔
10:インク溝
12:インク
14,14a,14b,14a,14a:焼失性気孔
16:残留気孔
18:開口部
20:断面
22:測定領域

Claims (4)

  1. 本体の表面をセラミック体で構成し、該セラミック体の表面に円相当径の最大値が78μm以下の複数の開口部を有し、これら開口部のうち円相当径が2μmを超える開口部の変動係数V1/2/Xが下記式を満足することを特徴とするボールペン用ボール。
    0.95 ≦ V1/2/X ≦ 1.75
    (ただし、V1/2は前記円相当径の標準偏差、Xは前記円相当径の平均値)
  2. 前記円相当径の平均値が30μm以下であることを特徴とする請求項1に記載のボールペン用ボール。
  3. 前記セラミック体が炭化珪素を主成分とすることを特徴とする請求項1または2に記載のボールペン用ボール。
  4. 請求項1乃至3に記載のボールペン用ボールをペン先に用いたことを特徴とする筆記具。
JP2008140626A 2008-05-29 2008-05-29 ボールペン用ボールおよびこれを用いた筆記具 Expired - Fee Related JP5036629B2 (ja)

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