JP6773081B2 - 表面に金属酸化物が付着した黒鉛の製造方法および黒鉛含有キャスタブル耐火物の製造方法 - Google Patents

表面に金属酸化物が付着した黒鉛の製造方法および黒鉛含有キャスタブル耐火物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、製鉄所内で使用される黒鉛含有キャスタブル耐火物に用いられる表面に金属酸化物が付着した黒鉛の製造方法および表面に金属酸化物と水溶性レジンとが付着した黒鉛、ならびに黒鉛含有キャスタブル耐火物の製造方法に関する。
近年、製鉄所で使用される耐火物に占める不定形耐火物の比率が増大している。不定形耐火物の1つであるキャスタブル耐火物は、酸化物のみで構成される場合が多い。その理由としては、水を用いて混練するので、疎水性を有する炭化物やカーボン源などを使用すると、混水量が多くなり、施工体の強度が小さくなったり、見かけ気孔率が大きくなるからである。
このような状況下、唯一、高炉樋材は、Al−SiC−C、SiC−C質のキャスタブル耐火物となっているが、高炉樋材で使用されているカーボン源は、ピッチ、カーボンブラックである。ピッチは、残炭率が50〜90質量%となっており、使用時に加熱されて揮発成分がなくなった跡が気孔として残るので、見かけ気孔率の増大や耐食性の低下の原因になる。また、カーボンブラックは、粒子径が20〜120nmと極めて小さく、酸化しやすいという問題がある。これらの欠点は、定型れんがで使用されている黒鉛化度が高く、且つ、熱伝導率や耐酸化性に優れる鱗状黒鉛を用いることで解決できる。
しかしながら、鱗状黒鉛は、疎水性が最も高く、水を用いて施工するキャスタブル耐火物には使用することが困難である。この問題を解決するために、アルミナなどの金属酸化物小粒子を黒鉛表面に固着させて黒鉛の親水性を向上させることが知られている。
特許文献1には、メタノールなどの溶媒にフェノール樹脂やタールピッチなどの結合剤を希釈し、これにアルミナなどの微粉体を加えてスラリーを作製し、このスラリーを点滴、噴霧し、黒鉛の表面にコーティングすることで、黒鉛表面にアルミナなどの微粉体を固着させる技術が開示されている。また、特許文献2には、黒鉛粒子とアルミナなどの小粒子とを衝撃処理することで黒鉛表面にアルミナなどの小粒子を固着させる技術が開示されている。
特開平11−310474号公報 特許第3217864号公報
特許文献1に開示された技術では、エタノール等の有機溶媒で希釈されたフェノール樹脂やタールピッチなどの結合剤を用いてアルミナなどの微粉体を黒鉛の表面に固着させている。このように、特許文献1では、有機溶媒を用いているので人体への影響が懸念されるので換気対策が必要になるという課題があった。また、特許文献2に開示された技術において、アルミナまたはシリカを黒鉛の表面に固着させる場合には、粒径が0.2〜0.6μmの小粒子が高速気流処理装置に投入されて乾式処理される。このように粒径が細かい小粒子は人体への影響が懸念されるので防塵対策が必要になるという課題があった。本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、有機溶媒を用いることなく湿式で黒鉛の表面にアルミナまたはシリカといった金属酸化物被膜を有する黒鉛の製造方法を提供することにある。
このような課題を解決するための本発明の特徴は、以下の通りである。
(1)金属酸化物のコロイド溶液と黒鉛とを混合した後に、前記黒鉛を乾燥して、黒鉛の表面に金属酸化物を付着させる、表面に金属酸化物が付着した黒鉛の製造方法。
(2)前記金属酸化物のコロイド溶液と前記黒鉛とを混合し、乾燥する前に沸騰させる、(1)に記載の表面に金属酸化物が付着した黒鉛の製造方法。
(3)前記黒鉛が混合された金属酸化物のコロイド溶液は、減圧されて沸騰される、(2)に記載の表面に金属酸化物が付着した黒鉛の製造方法。
(4)前記黒鉛が混合された金属酸化物のコロイド溶液は、加熱されて沸騰される、(2)に記載の表面に金属酸化物が付着した黒鉛の製造方法。
(5)前記金属酸化物のコロイド溶液は、水溶性レジンを2.6質量%以上29.4質量%以下の範囲内で含有し、乾燥した後に熱処理する、(1)から(4)の何れか1つに記載の表面に金属酸化物が付着した黒鉛の製造方法。
(6)前記金属酸化物のコロイド溶液と前記黒鉛とを混合し、前記黒鉛を乾燥した後に、水溶性レジンを2.6質量%以上29.4質量%以下の範囲内で含有する溶液に混合し、熱処理する、(1)から(4)の何れか1つに記載の表面に金属酸化物が付着した黒鉛の製造方法。
(7)(1)から(6)の何れか1つに記載の表面に金属酸化物が付着した黒鉛の製造方法で製造された、表面に金属酸化物が付着した黒鉛と、アルミナ、マグネシア、スピネルおよび炭化珪素の何れか1種以上と、金属アルミニウム、金属シリコン、金属アルミニウムおよび金属シリコンの合金、および炭化ホウ素の何れか1種以上と、アルミナセメント、シリカゾルおよびアルミナゾルの何れか1種以上と、分散剤と、を混合する黒鉛含有キャスタブル耐火物の製造方法であって、前記表面に金属酸化物が付着した黒鉛を1.0質量%以上20.0質量%以下の範囲内で混合する、黒鉛含有キャスタブル耐火物の製造方法。(8)表面に金属酸化物と水溶性レジンが付着した黒鉛。
本発明の黒鉛の製造方法では、アルミナまたはシリカといった金属酸化物が溶媒に分散されたコロイド溶液と黒鉛と混合させ、あるいは、黒鉛と混合させた後に沸騰させ、乾燥した後に、好ましくは水溶性レジンの水溶液と混合して乾燥させる。または、アルミナまたはシリカといった金属酸化物が溶媒に分散されたコロイド溶液に好ましくは水溶性レジンを加え、黒鉛と混合させ、あるいは沸騰させながら黒鉛と混合する。これにより、コロイド溶液と黒鉛とを均一に混合させることができ、有機溶媒を用いることなく、湿式で黒鉛の表面に金属酸化物を付着させることができる。このように、黒鉛の表面に金属酸化物を付着させることで、黒鉛の表面に親水性を付与できる。そして、表面に親水性が付与された黒鉛を所定量混合することで、施工後における耐火物の耐食性が向上されたキャスタブル耐火物を製造できる。
黒鉛の表面に水滴がのった状態を側面から撮影した写真である。 黒鉛の表面にアルミナの被膜を形成させた黒鉛のSEM写真である。 黒鉛の表面に水滴がのった状態を側面から撮影した写真である。
本発明者らは、アルミナゾルまたはシリカゾルを水で希釈したコロイド溶液と黒鉛とを混合、乾燥させることで、有機溶媒を用いることなく、黒鉛の表面にこれら金属酸化物を付着させることができ、黒鉛の表面に親水性を付与できることを見出した。この黒鉛の表面に付着した金属酸化物は、金属酸化物が混合されたコロイド溶液と黒鉛とを混合し、乾燥させることで形成されるので、金属酸化物の水和物となっている場合もある。金属酸化物の水和物は、単なる金属酸化物よりも親水性が高いので、黒鉛の表面に付着した金属酸化物は、当該金属酸化物の水和物となっていてもよい。
このように表面が親水化された黒鉛をキャスタブル耐火物に用いることで少ない混水量で施工でき、施工後の耐火物の見かけ気孔率は低減し、当該耐火物の耐食性を向上できることを見出して本発明を完成させた。以下、本発明の実施形態を通じて本発明を詳細に説明する。
(実施形態1)
実施形態1として、金属酸化物の一例であるアルミナを用いて、黒鉛表面にアルミナを付着させて親水性を付与する実施形態を説明する。実施形態1では、アルミナゾルを水で希釈したコロイド溶液と黒鉛とを混合し、沸騰させた後に当該黒鉛を乾燥させる。これにより、有機溶媒を用いることなく、アルミナゾルの固形分を黒鉛の表面に付着させることができ、黒鉛の表面に親水性を付与できる。
黒鉛が混合されたコロイド溶液は、0.001MPa程度の減圧下で保持することで沸騰させることが好ましい。これにより、黒鉛をコロイド溶液でよく濡らすことができ、黒鉛の表面にアルミナナノ粒子および/またはアルミナゲルからなる金属酸化物を付着させることができる。なお、黒鉛が混合されたコロイド溶液の沸騰は、加熱することで実施してもよい。
アルミナゾルは、固形分の粒子が5〜250nmと非常に小さい。このため、アルミナゾルを水で希釈したコロイド溶液を用いることで、黒鉛の表面に親水性を付与するのに用いるアルミナの量を、従来技術の1μm前後の大きさのアルミナ微粉をそのまま用いた場合よりも少なくできる。なお、表面に親水性を付与する黒鉛としては、鱗状黒鉛、人造黒鉛および土状黒鉛の1種以上を用いてよい。
実施形態1では、黒鉛の表面に親水性を付与するのに用いる黒鉛の質量に対するアルミナゾルの中のアルミナ固形分の質量の割合を0.2質量%以上10.0質量%以下にしている。なお、黒鉛の質量に対するアルミナ固形分の質量の割合を1.0質量%以上4.0質量%以下にすることがより好ましい。黒鉛の質量に対するアルミナ固形分の質量の割合を0.2質量%未満にすると、黒鉛の表面の親水性が低下するので好ましくない。黒鉛の質量に対するアルミナ固形分の質量の割合を10.0質量%より多くしても黒鉛の親水性は変わらず、アルミナ固形分を増やすことによってコストが上昇する。このため、黒鉛の質量に対するアルミナ固形分の質量の上限を10.0質量%にすることが好ましい。
コロイド溶液と黒鉛とを混合して沸騰させると、コロイド溶液で黒鉛をよく濡らすことができ、黒鉛表面に付着するアルミナを増やすことができる。このため、コロイド溶液と黒鉛とを混合して沸騰させることが好ましいが、コロイド溶液と黒鉛とを沸騰させなくてもよい。なお、コロイド溶液と黒鉛とを混合して沸騰させる場合には、15分以上沸騰させることが好ましい。
黒鉛の乾燥は、100℃以上130℃以下の範囲内の温度で行うことが好ましい。乾燥温度を100℃未満にすると水を蒸発させるのに時間がかかるので好ましくない。また、乾燥温度を130℃より高くすると、コロイド溶液にpH調整材が含まれる場合に、当該pH調整材が蒸発してしまうので好ましくない。このため、乾燥温度は、110℃以上130℃以下の範囲内の温度で行うことがより好ましく、これにより、pH調整材の蒸発を抑制しながら、短時間で水を蒸発させて乾燥させることができる。さらに、アルミナゾルは、溶媒が酢酸のアルミナゾルを用いることが好ましい。
表面にアルミナが付着した黒鉛の親水性は、写真読み取り法による水の接触角で評価する。写真読み取り法は、以下の手順で実施する。まず、平滑な板の上に10mm×20mmの両面テープを貼り、両面テープ上に0.03gの黒鉛を広げて貼り付ける。次に、黒鉛の表面に薬包紙をのせ、薬包紙を介して黒鉛の表面全体を1kNで20秒間加圧し、薬包紙の平滑な面で黒鉛の表面を平滑化する。次に、黒鉛の表面より高さ10mmの位置から、黒鉛の表面へスポイトで水を1滴(約0.03g)滴下する。黒鉛の表面に水滴がのった状態で側面から写真を撮影して水の接触角を測定する。
図1は、黒鉛の表面に水滴がのった状態を側面から撮影した写真である。図1(a)は、表面にアルミナが付着した鱗状黒鉛10の表面16に水滴12がのった状態の写真であり、図1(b)は、表面にアルミナが付着していない鱗状黒鉛11の表面16に水滴12がのった状態の写真である。本実施形態における水の接触角は、表面16と水滴12との交点から引いた水滴12の接線14と、表面16とのなす水滴12側の角度である。表面にアルミナが付着した鱗状黒鉛10は親水性が高いので、水滴12と鱗状黒鉛10との接触面積が広くなる。このため、図1(a)では、水滴12の高さは低くなり、水の接触角が小さくなる。一方、表面にアルミナが付着していない鱗状黒鉛11は疎水性が高いので、水滴12と鱗状黒鉛11との接触面積が狭くなる。このため、図1(b)では、水滴12の高さは高くなり、水の接触角が大きくなる。本実施形態では黒鉛の表面にアルミナを付着させ、黒鉛の写真読み取り法による水の接触角を90°未満になるように黒鉛の親水性を向上させている。
鱗状黒鉛の質量に対するアルミナゾルのアルミナ固形分の質量の割合を2.0質量%にし、鱗状黒鉛とコロイド溶液とを混合、沸騰、乾燥させた0.5mm以下の鱗状黒鉛の写真読み取り法による水の接触角は、16.5°[図1(a)]であった。一方、表面にアルミナを付着させていない0.5mm以下の鱗状黒鉛の写真読み取り法による水の接触角は、105.5°[図1(b)]であった。この結果から、黒鉛の親水性を写真読み取り法による水の接触角で評価できることがわかる。アルミナゾルを水で希釈して黒鉛と混合し、減圧下で沸騰させ、乾燥させることで、鱗状黒鉛を親水化でき、写真読み取り法による水の接触角が90°未満となる親水性が付与された黒鉛が製造できる。
親水性が付与された黒鉛をキャスタブル耐火物に用いることで、キャスタブル耐火物の施工性を向上させることができる。そして、当該キャスタブル耐火物を少ない混水量で施工することで、施工後の耐火物の見かけ気孔率を低減でき、耐火物の耐食性が向上する。本実施形態1では、表面にアルミナを付着させた黒鉛を、黒鉛含有キャスタブル耐火物の質量に対して1.0質量%以上20.0質量%以下の範囲内になるように含有させる。これにより、黒鉛含有キャスタブル耐火物を用いて施工した耐火物の耐食性を向上でき、また、スラグの浸透厚みを低減できる。
一方、黒鉛含有キャスタブル耐火物の質量に対する表面にアルミナを付着させた黒鉛の含有量が1.0質量%未満になると施工後の耐火物の耐食性が向上せず、スラグ浸透厚みも低減できない。また、黒鉛含有キャスタブル耐火物の質量に対する表面にアルミナを付着させた黒鉛の含有量が20.0質量%を超えると、黒鉛含有キャスタブル耐火物中の微粉量が増加して、黒鉛含有キャスタブル耐火物の施工性が低下する。この施工性の低下により黒鉛含有キャスタブル耐火物の施工時に必要になる混水量が増え、施工後の見かけ気孔率が増加し、耐火物の耐食性が低下する。
表面が親水化された黒鉛以外のキャスタブル耐火物原料としては、骨材として、アルミナ、マグネシア、スピネルおよび炭化珪素の何れか1種以上と、酸化防止剤として、金属アルミニウム、金属シリコンおよびこれらの合金、炭化ホウ素の何れか1種以上と、硬化剤として、アルミナセメント、シリカゾルおよびアルミナゾルの何れか1種以上と、分散剤と、を用いてよい。これら黒鉛以外のキャスタブル耐火物原料と、表面にアルミナが付着し親水化された黒鉛とを、黒鉛含有キャスタブル耐火物の質量に対する当該黒鉛の含有量が1.0質量%以上20.0質量%以下の範囲内となるように混合する。これにより、少ない混水量で施工できる黒鉛含有キャスタブル耐火物を製造できる。
なお、上記例では、写真読み取り法による水の接触角を測定することによって黒鉛の親水性を評価する例を示したが、黒鉛の親水性を評価する方法は、写真読み取り法による水の接触角の測定に限られない。写真読み取り法による水の接触角の測定に代えて、黒鉛の沈下テストで黒鉛の親水性を評価してもよい。沈下テストとは、水を入れたビーカーに黒鉛を落下させて黒鉛が水に浮いた否かで黒鉛の親水性を評価する方法である。親水性が低い黒鉛は水に浮き、親水性が高い黒鉛は水に沈むので、黒鉛が水に浮いたか否かで黒鉛の親水性を評価できる。
図2は、黒鉛の表面にアルミナの被膜を形成させた黒鉛のSEM写真である。SEMは、Carl ZEISS社製ULTRA55を用いて加速電圧1.0kVの条件で、アルミナの被膜を形成させた黒鉛をカーボンテープ上に貼り付け、蒸着しないで測定した。図2から、写真画像全体にアルミナ被膜が形成されていることがわかる。上記例では、黒鉛の表面にアルミナを付着させて黒鉛の表面に親水性を付与する例を示したが、図2に示すように、アルミナの被膜を形成させてもよい。アルミナは黒鉛の親水性を高めるので、アルミナナノ粒子および/またはアルミナゲルの被膜を形成させることで黒鉛の親水性をより高めることができる。
(実施形態2)
次に、実施形態2として、金属酸化物の一例であるシリカを用いて、黒鉛表面にシリカを付着させて親水性を付与する実施形態を説明する。実施形態2では、シリカゾルを水で希釈したコロイド溶液と黒鉛とを混合し、沸騰させた後に当該黒鉛を乾燥させる。これにより、有機溶媒を用いることなく、シリカナゾルの固形分を黒鉛に付着させることができ、黒鉛の表面に親水性を付与できる。
黒鉛が混合されたコロイド溶液は、0.001MPa程度の減圧下で保持することで沸騰させことが好ましい。これにより、黒鉛をコロイド溶液でよく濡らすことができ、黒鉛の表面にシリカナノ粒子および/またはシリカゲルからなる金属酸化物を付着させることができる。なお、黒鉛が混合されたコロイド溶液の沸騰は、加熱することで実施してもよい。但し、シリカゾルを用いた場合、黒鉛が混合されたコロイド溶液を減圧下で保持して沸騰させると、加熱沸騰させた場合よりも黒鉛表面におけるシリカの凝集を少なくできる。このため、シリカゾルを用いた場合には、黒鉛が混合されたコロイド溶液を減圧下で保持して沸騰させることがより好ましい。
また、シリカゾルは、固形分の粒子が8〜25nmと非常に小さい。このため、シリカゾルを水で希釈したコロイド溶液を用いることで、黒鉛の表面に親水性を付与するのに用いるシリカの量を、従来技術の10μm前後の大きさのシリカ微粉をそのまま用いた場合よりも少なくできる。本実施形態2においても、表面に親水性を付与する黒鉛としては、鱗状黒鉛、人造黒鉛および土状黒鉛の1種以上を用いてよい。
本実施形態2では、黒鉛の表面に親水性を付与するのに用いる黒鉛の質量に対するシリカゾル中のシリカ固形分の質量の割合を0.2質量%以上10.0質量%以下にしている。なお、黒鉛の質量に対するアルミナ固形分の質量の割合を1.0質量%以上4.0質量%以下にすることがより好ましい。黒鉛の質量に対するシリカ固形分の質量の割合を0.2質量%未満にすると、黒鉛の表面の親水性が低下するので好ましくない。黒鉛の質量に対する黒鉛の表面に親水性を付与するために用いるシリカ固形分の質量の割合を10質量%より多くするとコストが上昇するとともに当該黒鉛を用いたキャスタブル耐火物の耐食性が低下するので好ましくない。
コロイド溶液と黒鉛とを混合して沸騰させると、コロイド溶液で黒鉛をよく濡らすことができ、黒鉛表面に付着する金属酸化物を増やすことができる。このため、コロイド溶液と黒鉛とを混合して沸騰させることが好ましいが、コロイド溶液と黒鉛とを沸騰させなくてもよい。なお、コロイド溶液と黒鉛とを混合して沸騰させる場合には、15分以上沸騰させることが好ましい。
黒鉛の乾燥は、100℃以上130℃以下の範囲内の温度で行うことが好ましい。乾燥温度を100℃未満にすると水を蒸発させるのに時間がかかるので好ましくない。また、乾燥温度を130℃より高くすると、コロイド溶液に含まれるpH調整材が蒸発してしまうので好ましくない。乾燥温度は、110℃以上130℃以下の範囲内の温度で行うことがより好ましく、これにより、pH調整材の蒸発を抑制しながら、短時間で水を蒸発させて乾燥させることができる。さらに、シリカゾルは、溶媒がアミンまたは水酸化ナトリウムであるシリカゾルを用いることが好ましい。
表面にシリカが付着した黒鉛の親水性も写真読み取り法による水の接触角で評価する。写真読み取り法は、表面にアルミナが付着した黒鉛と同じ手順で実施する。図3は、黒鉛の表面に水滴がのった状態を側面から撮影した写真である。図3(a)は、表面にシリカが付着した鱗状黒鉛20の表面26に水滴22がのった状態の写真であり、図3(b)は、表面にシリカが付着していない鱗状黒鉛21の表面26に水滴22がのった状態の写真である。本実施形態における水の接触角は、表面26と水滴22との交点から引いた水滴22の接線24と、表面26とのなす水滴22側の角度である。表面にシリカが付着した鱗状黒鉛20は親水性が高いので、水滴22と鱗状黒鉛20との接触面積が広くなる。このため、図3(a)では、水滴22の高さは低くなり、水の接触角が小さくなる。一方、表面にシリカが付着した鱗状黒鉛21は疎水性が高いので、水滴22と鱗状黒鉛21との接触面積が狭くなる。このため、図3(b)では、水滴22の高さは高くなり、水の接触角が大きくなる。本実施形態では黒鉛の表面にシリカを付着させ、黒鉛の写真読み取り法による水の接触角を90°未満になるように黒鉛の親水性を向上させている。
鱗状黒鉛の質量に対するシリカゾルのシリカ固形分の質量の割合を2.0質量%にし、鱗状黒鉛とコロイド溶液とを混合、沸騰、乾燥させた0.5mm以下の鱗状黒鉛の写真読み取り法による水の接触角は、47.5°[図3(a)]であった。一方、表面にシリカを付着させていない0.5mm以下の鱗状黒鉛の写真読み取り法による水の接触角は、105.5°[図3(b)]であった。この結果から、黒鉛の親水性を写真読み取り法による水の接触角で評価できることがわかる。シリカゾルを水で希釈して黒鉛と混合し、減圧下で沸騰させ、乾燥させることで、写真読み取り法による水の接触角が90°未満となる親水性が付与された黒鉛が製造できる。
親水性が付与された黒鉛をキャスタブル耐火物に用いることで、キャスタブル耐火物の施工性を向上させることができる。そして、当該キャスタブル耐火物を少ない混水量で施工することで、施工後の耐火物の見かけ気孔率を低減でき、耐火物の耐食性が向上する。本実施形態2では、表面にシリカを付着させた黒鉛を、黒鉛含有キャスタブル耐火物の質量に対して1.0質量%以上20.0質量%以下の範囲内になるように含有させる。これにより、黒鉛含有キャスタブル耐火物を用いて施工した耐火物の耐食性を向上でき、また、スラグの浸透厚みを低減できる。
一方、黒鉛含有キャスタブル耐火物の質量に対する表面にシリカを付着させた黒鉛の含有量が1.0質量%未満になると施工後の耐火物の耐食性が向上せず、スラグ浸透厚みも低減できない。また、黒鉛含有キャスタブル耐火物の質量に対する表面にシリカを付着させた黒鉛の含有量が20.0質量%を超えると、黒鉛含有キャスタブル耐火物中の微粉量が増加して、黒鉛含有キャスタブル耐火物の施工性が低下する。この施工性の低下により黒鉛含有キャスタブル耐火物の施工時に必要になる混水量が増え、施工後の見かけ気孔率が増加し、耐火物の耐食性が低下する。
表面が親水化された黒鉛以外のキャスタブル耐火物原料としては、骨材として、アルミナ、マグネシア、スピネルおよび炭化珪素の何れか1種以上と、酸化防止剤として、金属アルミニウム、金属シリコンおよびこれらの合金、炭化ホウ素の何れか1種以上と、硬化剤として、アルミナセメント、シリカゾルおよびアルミナゾルの何れか1種以上と、分散剤と、を用いてよい。これら黒鉛以外のキャスタブル耐火物原料と、表面にシリカが付着し親水化された黒鉛とを、黒鉛含有キャスタブル耐火物の質量に対する当該黒鉛の含有量が1.0質量%以上20.0質量%以下の範囲内となるように混合する。これにより、少ない混水量で施工できる黒鉛含有キャスタブル耐火物を製造できる。
(実施形態3)
実施形態3として、金属酸化物の一例であるアルミナを用いて、黒鉛表面に水溶性レジンとアルミナとを付着させて黒鉛に親水性を付与する実施形態を説明する。実施形態3では、アルミナゾルを、水溶性レジンを含む水で希釈したコロイド溶液と黒鉛とを混合し、沸騰させ、乾燥させた後に熱処理する。これにより、有機溶媒を用いることなく、アルミナゾルの固形分を黒鉛の表面に付着させることができ、黒鉛の表面に親水性を付与できる。
実施形態3における水溶性レジンを含むコロイド溶液を沸騰させる方法、親水性を付与する黒鉛の種類、黒鉛の質量に対するアルミナ固形分の質量の割合、乾燥温度、沸騰させる時間および黒鉛の親水性の評価方法は、実施形態1と同じにしてよい。また、アルミナゾルに代えて、実施形態2で用いたシリカゾルを用いてもよい。
水溶性レジンとしては、水を溶媒とし、レゾール型フェノール樹脂を35〜80質量%含有するものが使用できる。一方、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、メタノールおよびアセトン等の有機溶媒に溶解したフェノール樹脂はコロイド溶液中に溶解しないので使用できない。
水溶性レジンとして、例えば、レゾール型フェノール樹脂を用いた場合には、水溶性レジンを混合したコロイド溶液に対するレゾール型フェノール樹脂の濃度を2.6質量%以上29.4質量%以下の範囲内にすることが好ましい。レゾール型フェノール樹脂の濃度を2.6質量%未満とすると、黒鉛表面にアルミナを接着する効果が低下するので好ましくない。また、レゾール型フェノール樹脂の濃度を29.4質量%よりも高くすると、黒鉛同士が接着して固化し、熱処理後に黒鉛を解砕するのに要するエネルギーが増大するとともに、粉砕により金属酸化物が付着していない黒鉛が露出し、黒鉛の親水性が低下するので好ましくない。
乾燥後に実施する熱処理は、水溶性レジンが硬化する範囲内の温度で実施することが好ましい。水溶性レジンとして、例えば、レゾール型フェノール樹脂を用いた場合には、当該レジンが硬化する180℃以上250℃以下の範囲内の温度で熱処理することが好ましい。これにより、レジンを介して黒鉛表面にアルミナを接着させることができ、物流や混練等の衝撃による黒鉛の親水性低下を抑制できる。
レゾール型フェノール樹脂の濃度を2.6質量%としたアルミナ固形分を含むコロイド溶液を用いて、鱗状黒鉛の質量に対するアルミナ固形分の質量の割合が2.0質量%になるように混合、沸騰、乾燥させた後に230℃で熱処理して、表面にアルミナを付着させた0.5mm以下の鱗状黒鉛の写真読み取り法による水の接触角は、34.2°であった。このように、アルミナゾルを、水溶性レジンを含む水で希釈して黒鉛と混合し、減圧下で沸騰させ、乾燥させた後に熱処理を行うことで、写真読み取り法による水の接触角が90°未満となる親水性が付与された黒鉛が製造できる。
なお、上記例では、水溶性レジンを含む水でアルミナゾルを希釈したコロイド溶液と黒鉛とを混合する例を示したが、これに限らない。例えば、アルミナゾルを希釈したコロイド溶液と黒鉛とを混合し、減圧下で沸騰させ、乾燥させた黒鉛を、水溶性レジンを含む水溶液と混合させ、乾燥させ、その後、熱処理してもよい。このように、黒鉛の表面にアルミナを付着させた後に、当該黒鉛と水溶性レジンを含む水溶液と混合してもよい。
(実施例1)
実施例1として、アルミナゾルを用いて表面を親水化した鱗状黒鉛の評価結果を説明する。アルミナゾルは日産化学工業(株)のAS200を使用した。当該アルミナゾルの溶媒は酢酸であった。0.5mm以下の鱗状黒鉛、固形分濃度が10質量%のアルミナゾルおよび水を表1の質量割合で混合し、0.001MPaの減圧下で15分間沸騰した後、当該鱗状黒鉛を110℃で3時間乾燥した。水は、鱗状黒鉛が十分に浸る量にした。このような手順で表面にアルミナを付着させた発明例1〜6の鱗状黒鉛の水接触角を測定し、沈下テストを実施した。また、表面にアルミナを付着させていない鱗状黒鉛(比較例1)および表面にアルミナを付着させていない0.5mm以下の人造黒鉛(比較例2)の水接触角も測定した。表1は、発明例1〜6のアルミナの付着処理条件、水接触角および沈下テストの測定結果と、比較例1、2の水接触角および沈下テストの測定結果を示す。なお、表1のアルミナ固形分(質量%)は、(アルミナ固形分の質量/鱗状黒鉛の質量)×100で算出した値である。
表1から、アルミナ固形分を0.2質量%以上含むコロイド溶液で表面にアルミナを付着させた発明例1〜6の鱗状黒鉛は、表面にアルミナを付着させていない比較例1の鱗状黒鉛よりも水接触角が小さくなった。また、比較例1の鱗状黒鉛は、沈下テストで水に沈まなかったのに対し、表面にアルミナを付着させた発明例1〜6の鱗状黒鉛は水に沈むようになった。この結果から、アルミナ固形分を0.2質量%以上含むコロイド溶液と黒鉛とを混合、沸騰、乾燥させることで、有機溶媒を用いることなく、湿式処理で鱗状黒鉛に親水性を付与できることが確認された。
一方、アルミナ固形分が1.0質量%以上10.0質量%以下のコロイド溶液を用いて表面にアルミナを付着させた発明例3〜6の鱗状黒鉛の水接触角はほとんど同じであった。このことから、コロイド溶液を用いて鱗状黒鉛を親水化する効果は、アルミナ固形分が1.0質量%で飽和し、アルミナ固形分の質量をこれ以上多くしても黒鉛の親水性を向上できないことがわかった。また、比較例2の人造黒鉛は、親水性が高いとされている黒鉛であるが、写真読み取り法によれば、比較例1の鱗状黒鉛よりも接触角が大きく、沈下テストでは水に沈まず、鱗状黒鉛よりも親水性が劣ることがわかった。
また、発明例4の鱗状黒鉛におけるアルミナ接着層の厚みは270nmであった。実施例1で用いたアルミナゾル固形分の粒子の大きさが7〜15nmであることから、アルミナゾルを水で希釈したコロイド溶液と黒鉛とを混合、沸騰、乾燥させることで、鱗状黒鉛の表面に18〜38層のアルミナナノ粒子および/またはアルミナゲルの接着層が形成されたことがわかった。
次に、アルミナゾルの溶媒の影響について確認した結果を説明する。0.5mm以下の鱗状黒鉛と、溶媒の異なるアルミナゾルと水とを表2に示した割合で混合させ、15分間0.001MPa程度の減圧下で沸騰させた後、110℃で3時間乾燥させた。水は、鱗状黒鉛が十分に浸る量にした。このようにして表面にアルミナを付着させた発明例7〜11の鱗状黒鉛の水接触角を測定した。表2は、発明例7〜11のアルミナの付着処理条件および水接触角の測定結果と、比較例1の水接触角の測定結果を示す。
表2から、溶媒が酢酸のアルミナゾルで表面にアルミナを付着させた鱗状黒鉛の水接触角は、溶媒が他の酸のアルミナゾルで表面にアルミナを付着させた鱗状黒鉛の水接触角よりも小さくなった。このことから、鱗状黒鉛の親水性を高めるには、溶媒が酢酸のアルミナゾルを用いることが好ましいことが確認された。
次に、水溶性レジンとして住友ベークライト株式会社製の液体レゾールレジン「PR961A(レジン濃度64質量%)」およびアルミナゾルを用いて親水化した鱗状黒鉛の評価結果を説明する。0.5mm以下の鱗状黒鉛と、固形分濃度が10質量%のアルミナゾルおよび水、水溶性レジンまたは粉末レジンを表3に示す質量割合で混合し、0.001MPaの減圧下で15分間沸騰した後、70℃で3時間乾燥し、その後、230℃で3時間熱処理した。このような手順で表面にアルミナを付着させた発明例12〜18の鱗状黒鉛の水接触角を測定し、沈下テストを実施した。表3は、発明例12〜18のアルミナの付着処理条件、水接触角および沈下テストの測定結果を示す。なお、評価に用いた粉末レジンは、住友ベークライト(株)社製のPR−311である。PR−311の融点は82℃、固定炭素率は56%である。
表3から、レジン濃度を2.6質量%以上29.4質量%以下の範囲内にすることで、鱗状黒鉛に親水性を付与できることが確認できた。また、粉末レジンを用いた発明例17の水接触角は、液体レゾールレジンを用いた発明例14とほぼ同じであった。この結果から、液体レゾールレジンに代えて粉末レジンを用いても、鱗状黒鉛に親水性を付与できることが確認できた。
次に、アルミナゾルを用いて表面を親水化した鱗状黒鉛と、水溶性レジンとを混合し、乾燥させ、熱処理した鱗状黒鉛の評価結果を説明する。0.5mm以下の鱗状黒鉛と、固形分濃度が10質量%のアルミナゾルおよび水を表4に示す質量割合で混合し、15分間0.001MPa程度の減圧下で沸騰させた後、110℃で3時間乾燥した(1回目処理)。乾燥させた鱗状黒鉛を液体レゾールレジンに混合し、0.001MPaの減圧下で15分間沸騰した後、70℃で3時間乾燥し、その後、230℃で3時間熱処理した(2回目処理)。このような手順で表面にアルミナを付着させた発明例19〜24の鱗状黒鉛の水接触角を測定し、沈下テストを実施した。表4は、発明例19〜24のアルミナの付着処理条件、水接触角および沈下テストの測定結果を示す。
表4から、1回目の処理として鱗状黒鉛の表面にアルミナを付着させ、2回目の処理として当該鱗状黒鉛を水溶性レジン溶液に混合し、熱処理してレジンを硬化させても、鱗状黒鉛に親水性を付与できることが確認できた。さらに、この場合においても液体レゾールレジンに代えて粉末レジンを用いてもよく、水溶性レジン溶液を用いた場合と同じ効果が得られることが確認できた。
次に、表面にアルミナを付着させ、親水性を付与した鱗状黒鉛が混合されたAl−MgO−Cキャスタブル耐火物の耐食性およびスラグ浸透厚みの評価結果について説明する。表1における発明例4の鱗状黒鉛を用いて、発明例25〜28のAl−MgO−Cキャスタブル耐火物を作製した。
また、黒鉛を含有しないAl−MgOキャスタブル耐火物(比較例3)と、表面にアルミナを付着させていない鱗状黒鉛を用いたAl−MgO−Cキャスタブル耐火物(比較例4)と、発明例4の鱗状黒鉛を25質量%含むAl−MgO−Cキャスタブル耐火物(比較例5)も作製した。表5は、これら発明例および比較例のキャスタブル耐火物の作製条件、混水量および溶損+スラグ浸透深さの評価結果を示す。
キャスタブル耐火物の作製は以下の手順で行った。まず、表5に示した質量割合で各原料を混合し、万能混練機で1分間空練後、水を添加して3分間混練した。これをφ50mm×高さ100mmの円柱形状の型枠に流し込み、1日養生した後に脱枠し、110℃で24時間乾燥した。その後、Al−MgO−Cキャスタブル耐火物である発明例25〜28、比較例4および比較例5は、1400℃で3時間、還元焼成して製造した。また、Al−MgOキャスタブル耐火物である比較例3は、1400℃で3時間、大気焼成を行って作製した。
溶損+スラグ浸透厚みの評価は、るつぼ法で行った。るつぼ法による評価は以下の手順で行った。作製したそれぞれの耐火物にφ30mmで高さ30mmの穴あけ加工を行い、当該穴に表6に示す転炉スラグ45gを充填し、1600℃で3時間、窒素雰囲気下で熱処理を行った。その後、サンプルを切断し、孔径が拡大した長さを溶損厚み(mm)とし、蛍光X線でCaの浸透が確認された深さをスラグ浸透厚み(mm)として、これらの長さを加算した長さを溶損+スラグ浸透厚み(mm)とした。なお、スラグ浸透厚みが長くなると、スラグが浸透した部分とスラグが浸透していない部分の境界で耐火物の割れが発生するので、スラグ浸透厚みは短いことが好ましい。
表5から、発明例25〜28は、いずれも比較例3〜5よりも溶損+スラグ浸透厚みが短くなり、比較例3〜5よりも施工後の耐火物の耐食性が向上した。比較例3は、黒鉛を含有しないキャスタブル耐火物である。比較例3は、黒鉛を含有しないので少ない混水量で施工できたが、黒鉛を含有しないので溶損+スラグ浸透厚みが長くなり、耐食性が大幅に悪化した。比較例4は、発明例26と同じ量の親水化されていない鱗状黒鉛を含む黒鉛含有キャスタブル耐火物である。比較例4に用いた鱗状黒鉛は、親水化されておらず疎水性が高いので、黒鉛含有キャスタブル耐火物の施工性が悪化した。このため、施工時の混水量が増加して施工後の耐火物の見かけ気孔率が高くなり、この結果、発明例25〜28よりも耐火物の耐食性が悪化し、溶損+スラグ浸透厚みが長くなった。
比較例5は、比較例4よりも耐食性が悪化し、溶損+スラグ浸透厚みが長くなった。比較例5は、親水化された黒鉛を25.0質量%含有する黒鉛含有キャスタブル耐火物である。比較例5の黒鉛含有キャスタブル耐火物は、耐火物中の黒鉛の微粉量が多くなり過ぎて黒鉛含有キャスタブル耐火物の施工性が悪化した。このため、施工時の混水量が増加して施工後の耐火物の見かけ気孔率が高くなり、この結果、発明例25〜28よりも耐食性が悪化し、溶損+スラグ浸透厚みが長くなった。
次に、水溶性レジンを用いて表面にアルミナを付着させ、親水性を付与した鱗状黒鉛が混合されたAl−MgO−Cキャスタブル耐火物の耐食性およびスラグ浸透厚みの評価結果について説明する。表3における発明例14の鱗状黒鉛を用いて、発明例29〜32のAl−MgO−Cキャスタブル耐火物を作製した。表7は、これら発明例および比較例のキャスタブル耐火物の作製条件、混水量および溶損+スラグ浸透厚み指数の評価結果を示す。
Al−MgO−Cキャスタブル耐火物の作製は以下の手順で行った。まず、表7に示した質量割合で各原料を合計が2.5kgになるように混合し、黒鉛以外の材料を万能混練機で1分間空練した。次いで、フロー試験で15回タップ後のフロー値が170になるように水を添加して2分間混練し、その後、黒鉛を添加してさらに1分間混練した。
混練後の原料を(53/78)×35×160mmの台形柱の型枠に流し込み、卓上バイブレータにて20秒間加振した。1日養生した後に脱枠し、110℃で24時間乾燥した。その後、Al−MgO−Cキャスタブル耐火物である発明例29〜33、比較例6は、コークスブリーズ中にて1400℃で3時間、還元焼成して作製した。
溶損+スラグ浸透厚み指数の評価は、以下の手順で行った。作製したそれぞれの耐火物を8本1組にして高周波誘導炉内に設置し、その中で電解鉄6.8kgを1650℃で3時間保持した。1650℃に到達した後に下記表8に示す組成のRHスラグを200g投入し、1時間毎にスラグを入れ替えた。試験前後の寸法変化が最も大きかった部位の寸法変化とスラグ浸透厚みを測定し、これらを加算した長さを溶損+スラグ浸透厚みとした。溶損+スラグ浸透厚み指数は、表7の比較例3の溶損+スラグ浸透厚みを100として算出した値である。この指数が小さいことは、耐食性及び耐構造スポーリング性が優れることを意味する。
表7から、発明例29〜32は、いずれも比較例3、4、6よりも溶損+スラグ浸透厚み指数が小さくなり、レジンを用いずに表面にアルミナを付着させた鱗状黒鉛を用いた場合と同じ結果となった。一方、水溶性レジンを用いた発明例30と、水溶性レジンを用いていない発明例33とを比較すると、水溶性レジンを用いた発明例30の方が水溶性レジンを用いていない発明例33よりも混水量は少なくなり、溶損+スラグ浸透厚み指数が小さくなった。この結果から、水溶性レジンを用いることで、レジンを介して鱗状黒鉛の表面にアルミナがより強固に付着し、これにより、物流や混練を経た後においても鱗状黒鉛の親水性の低下が抑制されて混水量が低減し、溶損+スラグ浸透厚み指数が小さくなったと考えられる。
次に、水溶性レジンを用いて表面にアルミナを付着させ、親水性を付与した鱗状黒鉛が混合されたAl−SiC−Cキャスタブル耐火物の耐食性の評価結果について説明する。表3における発明例17の鱗状黒鉛を用いて、発明例34〜38のAl−SiC−Cキャスタブル耐火物を作製した。表9は、これら発明例および比較例のキャスタブル耐火物の作製条件、混水量および溶損指数の評価結果を示す。
Al−SiC−Cキャスタブル耐火物の作製は以下の手順で行った。まず、表9に示した質量割合で各原料を合計が2.5kgになるように混合し、黒鉛以外の材料を万能混練機で1分間空練した。次いで、フロー試験で15回タップ後のフロー値が150になるように水を添加して2分間混練し、その後、黒鉛を添加してさらに1分間混練した。
混練後の原料を(53/78)×35×160mmの台形柱の型枠に流し込み、卓上バイブレータにて20秒間加振した。1日養生した後脱枠し、110℃で24時間乾燥した。その後、全てのサンプルをコークスブリーズ中にて1400℃で3時間、還元焼成して作製した。
溶損指数評価は、以下の手順で行った。作製したそれぞれの耐火物を8本1組にして高周波誘導炉内に設置し、その中で銑鉄6.8kgを1600℃で3時間保持した。1600℃に到達した後に下記表10に示す組成の高炉スラグを200g投入し、1時間毎にスラグを入れ替えた。試験前後の寸法変化が最も大きかった部位の寸法変化を測定した。溶損指数は、表9の比較例7の溶損寸法を100として算出した値である。この指数が小さいことは、耐食性が優れることを意味する。
表9から、発明例34〜38は、いずれも比較例7〜9よりも溶損指数が小さくなり、表7に示したAl−MgO−Cキャスタブル耐火物と同じ結果となった。また、水溶性レジンを用いた発明例35と、水溶性レジンを用いていない発明例38とを比較すると、水溶性レジンを用いた発明例35の方が水溶性レジンを用いていない発明例38よりも混水量が少なくなり、溶損指数も小さくなった。この結果から、Al−SiC−Cキャスタブル耐火物においても水溶性レジンを用いることによる効果が確認できた。
このように、アルミナゾルを水で希釈したコロイド溶液と黒鉛を混合、沸騰、乾燥させることで、有機溶媒を用いることなく、黒鉛の表面にアルミナナノ粒子および/またはアルミナゲルを付着させることができ、これにより、黒鉛の表面を親水化できることが確認された。さらに、アルミナゾルを、水溶性レジンを含む水で希釈したコロイド溶液と黒鉛とを混合、沸騰、乾燥させることで、当該レジンを介してアルミナナノ粒子および/またはアルミナゲルを強固に付着させることができ、物流や混練を経た後においても鱗状黒鉛の親水性の低下を抑制できる。そして、当該黒鉛を1.0質量%以上20.0質量%以下の範囲内でキャスタブル耐火物に混合することで、黒鉛含有キャスタブル耐火物の施工性を向上でき、当該黒鉛含有キャスタブル耐火物を少ない混水量で施工することで、施工後の耐火物の耐食性を向上できることが確認できた。
(実施例2)
次に、実施例2として、シリカゾルを用いて表面を親水化した鱗状黒鉛および当該鱗状黒鉛を混合して作製したキャスタブル耐火物の評価結果を説明する。シリカゾルは日産化学工業(株)のQAS−40を使用した。当該シリカゾルの溶媒はアミンであった。0.5mm以下の鱗状黒鉛と固形分濃度が10質量%のシリカゾルおよび水を表5の質量割合で混合し、0.001MPaの減圧下で15分間沸騰した後、110℃で3時間乾燥した。水は、鱗状黒鉛が十分に浸る量にした。このような手順で表面にシリカを付着させた発明例39〜43の鱗状黒鉛の水接触角を測定し、沈下テストを実施した。また、表面にシリカを付着させていない鱗状黒鉛(比較例1)および表面にシリカを付着させていない0.5mm以下の人造黒鉛(比較例2)の水接触角も測定した。表11は、発明例39〜43のシリカの付着処理条件、水接触角および沈下テストの測定結果と、比較例1、2の水接触角および沈下テストの測定結果を示す。なお、表11のシリカ固形分(質量%)は、(シリカ固形分の質量/鱗状黒鉛の質量)×100で算出した値である。
表11から、シリカ固形分を0.2質量%以上含むコロイド溶液で表面にシリカゾルを付着させた発明例39〜43の鱗状黒鉛は、表面にシリカを付着させていない比較例1の鱗状黒鉛よりも水接触角が小さくなった。また、比較例1の鱗状黒鉛は、沈下テストで水に沈まなかったのに対し、表面にシリカを付着させた発明例39〜43の鱗状黒鉛は水に沈むようになった。この結果から、シリカ固形分を0.2質量%以上含むコロイド溶液と黒鉛を混合、沸騰、乾燥させることで、有機溶媒を用いることなく、湿式処理で鱗状黒鉛に親水性を付与できることが確認できた。
一方、シリカ固形分が0.2質量%以上10.0質量%のコロイド溶液を用いて表面にシリカを付着させた発明例39〜43の鱗状黒鉛の水接触角はほとんど同じであった。このことから、コロイド溶液を用いて鱗状黒鉛を親水化する効果は、シリカ固形分が0.2質量%で飽和し、シリカ固形分の質量をこれ以上多くしても鱗状黒鉛の親水性を向上できないことがわかった。
また、発明例40の鱗状黒鉛におけるシリカ接着層の厚みは160nmであった。実施例2で用いたシリカゾルの固形分の粒子の大きさが10〜15nmであることから、シリカゾルを水で希釈したコロイド溶液と鱗状黒鉛を混合、沸騰、乾燥させることで、鱗状黒鉛の表面に11〜16層のシリカナノ粒子および/またはシリカゲルの接着層が形成されたことがわかった。
次に、シリカゾルの溶媒の影響について確認した結果を説明する。0.5mm以下の鱗状黒鉛と、溶媒の異なるシリカゾルと水とを表12に示した割合で混合させ、15分間減圧下で沸騰させた後、110℃で3時間乾燥させた。水は、鱗状黒鉛が十分に浸る量にした。このようにして表面にシリカを付着させた発明例44〜46の鱗状黒鉛の水接触角を測定した。表12は、発明例44〜46のシリカの付着処理条件および水接触角の測定結果と、比較例1の水接触角の測定結果を示す。
表12から、溶媒がアミンもしくは水酸化ナトリウムのシリカゾルで表面にシリカを付着させた鱗状黒鉛の水接触角は、溶媒がアンモニアのシリカゾルで表面にシリカを付着させた鱗状黒鉛の水接触角よりも小さくなった。このことから、黒鉛の表面の親水性を高めるには、溶媒がアミンもしくは水酸化ナトリウムのシリカゾルを用いることが好ましいことが確認された。
次に、水溶性レジンとして住友ベークライト株式会社製の液体レゾールレジン「PR961A(レジン濃度64質量%)」およびシリカゾルを用いて表面を親水化した鱗状黒鉛の評価結果を説明する。0.5mm以下の鱗状黒鉛と、固形分濃度が10質量%のシリカゾルおよび水、水溶性レジンまたは粉末レジンを表13に示す質量割合で混合し、0.001MPaの減圧下で15分間沸騰した後、70℃で3時間乾燥させ、その後、230℃で3時間熱処理した。このような手順で表面にシリカを付着させた発明例47〜51の鱗状黒鉛の水接触角を測定し、沈下テストを実施した。表13は、発明例47〜52のシリカの付着処理条件、水接触角および沈下テストの測定結果を示す。なお、評価に用いた粉末レジンは、住友ベークライト(株)社製のPR−311である。PR−311の融点は82℃、固定炭素率は56%である。
表13から、レジン濃度を2.6質量%以上にすることで、鱗状黒鉛に親水性を付与できることが確認できた。また、シリカゾルを用いた場合においても、液体レゾールレジンに代えて粉末レジンを用いてもよいことが確認できた。
次に、シリカゾルを用いて表面を親水化した鱗状黒鉛と、水溶性レジンとを混合し、乾燥させ、熱処理した鱗状黒鉛の評価結果を説明する。0.5mm以下の鱗状黒鉛と、固形分濃度が10質量%のシリカゾルおよび水を表14に示す質量割合で混合し、0.001MPaの減圧下で15分間沸騰した後、110℃で3時間乾燥した(1回目処理)。乾燥させた鱗状黒鉛を水溶性レジンに混合し、0.001MPaの減圧下で15分間沸騰した後、70℃で3時間乾燥し、その後、230℃で3時間熱処理した(2回目処理)。このような手順で表面にシリカを付着させた発明例53〜57の鱗状黒鉛の水接触角を測定し、沈下テストを実施した。表14は、発明例53〜57のシリカの付着処理条件、水接触角および沈下テストの測定結果を示す。
表14から、1回目の処理として鱗状黒鉛の表面にシリカを付着させ、2回目の処理として当該鱗状黒鉛を水溶性レジン溶液に混合し、熱処理してレジンを硬化させても鱗状黒鉛に親水性を付与できることが確認できた。この場合においても、液体レゾールレジンに代えて粉末レジンを用いてもよいことが確認できた。
次に、表面にシリカを付着させ、親水性を付与した鱗状黒鉛が混合されたAl−MgO−Cキャスタブル耐火物の耐食性およびスラグ浸透厚みの評価結果について説明する。表11における発明例40の鱗状黒鉛を用いて、発明例58〜61のAl−MgO−Cキャスタブル耐火物を作製した。
また、黒鉛を含有しないAl−MgOキャスタブル耐火物(比較例3)と、表面にシリカを付着させていない鱗状黒鉛を用いたAl−MgO−Cキャスタブル耐火物(比較例4)と、発明例40の鱗状黒鉛を25質量%含むAl−MgO−Cキャスタブル耐火物(比較例10)も作製した。表15は、これら発明例および比較例のキャスタブル耐火物の作製条件、混水量および溶損+スラグ浸透厚みの評価結果を示す。
キャスタブル耐火物の作製は、表15に示した条件であって表5の説明に記載した手順で行った。また、溶損+スラグ浸透厚みの評価も、表5の説明に記載した手順で行った。表15から、発明例58〜61は、いずれも比較例3、4、10よりも溶損+スラグ浸透厚みが短くなり、比較例3、4、10よりも施工後の耐火物の耐食性が向上した。比較例3は、黒鉛を含有しないキャスタブル耐火物である。比較例3は、黒鉛を含有しないので少ない混水量で施工できたが、黒鉛を含有しないので溶損+スラグ浸透厚みが長くなり、耐食性が大幅に悪化した。比較例4は、発明例59と同じ量の親水化されていない鱗状黒鉛を含む黒鉛含有キャスタブル耐火物である。比較例4に用いた鱗状黒鉛は親水化されておらず疎水性が高いので、黒鉛含有キャスタブル耐火物の施工性が悪化した。このため、施工時の混水量が増加して施工後の耐火物の見かけ気孔率が高くなり、この結果、発明例58〜61よりも耐火物の耐食性が悪化し、溶損+スラグ浸透厚みが長くなった。
比較例10は、比較例4よりも耐食性が悪化し、溶損+スラグ浸透厚みが長くなった。比較例10は、親水化された黒鉛を25.0質量%含有する黒鉛含有キャスタブル耐火物である。比較例10の黒鉛含有キャスタブル耐火物は、耐火物中の黒鉛の微粉量が多くなり過ぎて黒鉛含有キャスタブル耐火物の施工性が悪化した。このため、施工時の混水量が増加して施工後の耐火物の見かけ気孔率が高くなり、この結果、発明例12〜15よりも耐食性が悪化し、溶損+スラグ浸透厚みが長くなった。
次に、水溶性レジンを用いて表面にシリカを付着させ、親水性を付与した鱗状黒鉛が混合されたAl−MgO−Cキャスタブル耐火物の耐食性およびスラグ浸透厚みの評価結果について説明する。表13における発明例50の鱗状黒鉛を用いて、発明例62〜66のAl−MgO−Cキャスタブル耐火物を作製した。表16は、これら発明例および比較例のキャスタブル耐火物の作製条件、混水量および溶損+スラグ浸透厚み指数の測定結果を示す。
Al−MgO−Cキャスタブル耐火物の作製は、表16に示した条件であって表7の説明に記載した手順で行った。また、溶損+スラグ浸透厚み指数の評価も、表7の説明に記載した手順で行った。表16から、発明例62〜66は、いずれも比較例3、4、11よりも溶損+スラグ浸透厚み指数が小さくなり、表15に示したAl−MgO−Cキャスタブル耐火物と同じ結果となった。また、水溶性レジンを用いた発明例63と、水溶性レジンを用いていない発明例66とを比較すると、水溶性レジンを用いた発明例63の方が水溶性レジンを用いていない発明例66よりも混水量は少なくなり、溶損+スラグ浸透厚み指数が小さくなった。この結果から、Al−MgO−Cキャスタブル耐火物においても水溶性レジンを用いる効果が確認された。
次に、水溶性レジンを用いて表面にシリカを付着させ、親水性を付与した鱗状黒鉛が混合されたAl−SiC−Cキャスタブル耐火物の耐食性の評価結果について説明する。表13における発明例50の鱗状黒鉛を用いて、発明例67〜71のAl−SiC−Cキャスタブル耐火物を作製した。表17は、これら発明例および比較例のキャスタブル耐火物の作製条件、混水量および溶損指数の測定結果を示す。
Al−SiC−Cキャスタブル耐火物の作製は、表17に示した条件であって表9の説明に記載した手順で行った。また、溶損指数の評価も、表9の説明に記載した手順で行った。表17から、発明例67〜71は、いずれも比較例7、8、12よりも溶損指数が小さくなり、表16に示したAl−MgO−Cキャスタブル耐火物と同じ結果となった。また、水溶性レジンを用いた発明例68と、水溶性レジンを用いていない発明例71とを比較すると、水溶性レジンを用いた発明例68の方が水溶性レジンを用いていない発明例71よりも混水量が少なくなり、溶損指数も小さくなった。この結果から、Al−SiC−Cキャスタブル耐火物においても水溶性レジンを用いることによる効果が確認された。
このように、シリカゾルを水で希釈したコロイド溶液と黒鉛を混合、沸騰、乾燥させることで、有機溶媒を用いることなく、黒鉛の表面にシリカナノ粒子および/またはシリカゲルを付着させることができ、これにより、黒鉛の表面を親水化できることが確認された。さらに、シリカゾルを、水溶性レジンを含む水で希釈したコロイド溶液と黒鉛とを混合、沸騰、乾燥させることで、当該レジンを介してシリカナノ粒子および/またはシリカゲルを強固に付着させることができ、物流や混練を経た後においても鱗状黒鉛の親水性の低下を抑制できる。そして、当該黒鉛を1.0質量%以上20.0質量%以下の範囲内でキャスタブル耐火物に混合することで、黒鉛含有キャスタブル耐火物の施工性を向上でき、当該黒鉛含有キャスタブル耐火物を少ない混水量で施工することで、施工後の耐火物の耐食性を向上できることが確認された。
10 鱗状黒鉛
11 鱗状黒鉛
12 水滴
14 接線
16 表面
20 鱗状黒鉛
21 鱗状黒鉛
22 水滴
24 接線
26 表面

Claims (8)

  1. 金属酸化物のコロイド溶液と黒鉛とを混合して沸騰させた後に、前記黒鉛を乾燥して、黒鉛の表面に金属酸化物を付着させる、表面に金属酸化物が付着した黒鉛の製造方法。
  2. 前記黒鉛が混合された金属酸化物のコロイド溶液は、減圧されて沸騰される、請求項に記載の表面に金属酸化物が付着した黒鉛の製造方法。
  3. 前記黒鉛が混合された金属酸化物のコロイド溶液は、加熱されて沸騰される、請求項に記載の表面に金属酸化物が付着した黒鉛の製造方法。
  4. 前記金属酸化物のコロイド溶液は、水溶性レジンを2.6質量%以上29.4質量%以下の範囲内で含有し、乾燥した後に熱処理する、請求項1から請求項の何れか一項に記載の表面に金属酸化物が付着した黒鉛の製造方法。
  5. 前記金属酸化物のコロイド溶液と前記黒鉛とを混合し、前記黒鉛を乾燥した後に、水溶性レジンを2.6質量%以上29.4質量%以下の範囲内で含有する溶液に混合し、熱処理する、請求項1から請求項の何れか一項に記載の表面に金属酸化物が付着した黒鉛の製造方法。
  6. 金属酸化物のコロイド溶液と黒鉛を混合した後に、前記黒鉛を乾燥して、黒鉛の表面に金属酸化物を付着させる表面に金属酸化物が付着した黒鉛の製造方法であって、
    前記金属酸化物のコロイド溶液は、水溶性レジンを2.6質量%以上29.4質量%以下の範囲内で含有し、乾燥した後に熱処理する、黒鉛の製造方法。
  7. 金属酸化物のコロイド溶液と黒鉛を混合した後に、前記黒鉛を乾燥して、黒鉛の表面に金属酸化物を付着させる表面に金属酸化物が付着した黒鉛の製造方法であって、
    前記金属酸化物のコロイド溶液と前記黒鉛とを混合し、前記黒鉛を乾燥した後に、水溶性レジンを2.6質量%以上29.4質量%以下の範囲内で含有する溶液に混合し、熱処理する、黒鉛の製造方法。
  8. 請求項1から請求項の何れか一項に記載の表面に金属酸化物が付着した黒鉛の製造方法で製造された、表面に金属酸化物が付着した黒鉛と、
    アルミナ、マグネシア、スピネルおよび炭化珪素の何れか1種以上と、
    金属アルミニウム、金属シリコン、金属アルミニウムおよび金属シリコンの合金、および炭化ホウ素の何れか1種以上と、
    アルミナセメント、シリカゾルおよびアルミナゾルの何れか1種以上と、
    分散剤と、を混合する黒鉛含有キャスタブル耐火物の製造方法であって、
    前記表面に金属酸化物が付着した黒鉛を1.0質量%以上20.0質量%以下の範囲内で混合する、黒鉛含有キャスタブル耐火物の製造方法。
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