JP2009285270A - ミシンの糸調子装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】一対の糸調子皿(21、22)と、糸調子ばね(24)と、糸調子軸(13)と、調節ダイヤル(25)と、を備えたミシンの糸調子装置(1)において、糸調子軸をその軸線方向に沿って移動自在に支持する糸調子軸台(12)と、糸調子軸を軸線方向に沿った第1方向(A方向)に付勢して他方の糸調子皿を糸調子軸台に当接可能な支持ばね(16)と、糸調子軸に当接可能で、糸調子軸を支持ばねの付勢力に抗して、第1方向と逆方向の第2方向(B方向)に移動させる皿浮かし機構(10、11)と、を有し、皿浮かし機構の駆動により、調節ダイヤルと糸調子ばねを共に第2方向へ移動させ、糸調子皿への糸調子ばねの付勢力が解放されるように構成した。
【選択図】図4
Description
図8及び図9に示すように、糸調子装置100は、ミシンアームの前面から後面にわたって設けられている。
糸調子装置100は、一対の糸調子皿101,102と、第2糸調子皿102を第1糸調子皿101に押し付ける糸調子ばね103と、糸調子ばね103と第2糸調子皿102との間に設けられた皿押さえ104と、操作により糸調子ばね103の圧縮及び解放を行う調節ダイヤル105等を備えている。
第1糸調子皿101及び第2糸調子皿102、糸調子ばね103、皿押さえ104、調節ダイヤル105は、糸調子軸106に挿通されている。調節ダイヤル105を第2糸調子皿102の方向に移動させることにより、糸調子ばね103は縮み、その付勢力が第2糸調子皿102を押圧する。押圧された第2糸調子皿102は、第1糸調子皿101を押圧するので、第1糸調子皿101と第2糸調子皿102との間に挟まれた糸に張力を付与することができる。
一方、糸切りを行う際には、第1糸調子皿101、第2糸調子皿102による糸への張力を解放する必要がある。そこで、糸調子軸106の内部には、その軸線方向に沿って糸緩めピン110が挿通されている。図9に示すように、糸緩めピン110で皿押さえ104を糸調子ばね103の付勢力に抗して押すことにより、第1糸調子皿101と第2糸調子皿102との間に隙間をつくり、糸の張力を解放することができる。
糸緩めピン110はミシンアームに設けられた皿浮かし機構により動くように構成されている。
このような場合、上記の糸調子装置100の構造においては、糸調子ばね103が完全に圧縮された状態では、糸緩めピン110で皿押さえ104を押したとしても、それ以上糸調子ばねを圧縮できない。そのため、皿押さえ104を移動させることができず、第2糸調子皿102を第1糸調子皿101から離すことができない。その結果、糸の張力を解放することができず、糸切り時に糸が切断できずに糸切り装置がロックしてしまうという問題があった。また、糸切りができたとしても糸に張力がかかった状態で切断されるため、糸の残り長さが短く、縫製時に縫い針から糸が抜けてしまうという問題があった。
前記糸調子皿の一方に当接して、前記糸調子皿を付勢する糸調子ばね(24)と、
前記糸調子皿と前記糸調子ばねが挿通され、前記糸調子皿を該軸方向に沿って移動自在に支持する糸調子軸(13)と、
前記糸調子軸の一端側に装着され、前記糸調子皿に対する前記糸調子ばねの付勢力を調節する調節ダイヤル(25)と、を備えたミシンの糸調子装置(1)において、
前記糸調子軸をその軸線方向に沿って移動自在に支持する糸調子軸台(12)と、
前記糸調子軸を軸線方向に沿った第1方向(A方向)に付勢して前記他方の糸調子皿を前記糸調子軸台に当接可能な支持ばね(16)と、
前記糸調子軸に当接可能で、前記糸調子軸を前記支持ばねの付勢力に抗して、前記第1方向と逆方向の第2方向(B方向)に移動させる皿浮かし機構(10、11)と、を有し、
前記皿浮かし機構の駆動により、前記調節ダイヤルと前記糸調子ばねを共に前記第2方向へ移動させ、前記糸調子皿への前記糸調子ばねの付勢力が解放されることを特徴とする。
前記一方の糸調子皿が挿通される前記糸調子軸の挿通部(15)には、その軸線方向に沿って切り欠かれた切欠部(15a)が形成され、
前記一方の糸調子皿には、前記挿通部を挿通させる貫通孔(22a)と、前記糸調子軸の前記第2方向への移動により前記切欠部の底部(15b)が当接する当接部(22b)とが形成されていることを特徴とする。
前記糸調子軸には、その表面から外側に突出する突出部(19)が形成され、
前記糸調子軸台には、前記突出部を前記第1方向及び前記第2方向に移動可能に案内するガイド溝(12a)が形成されていることを特徴とする。
前記支持ばねは前記糸調子軸の他端側に装着されることを特徴とする。
これにより、糸調子軸は、従来のように皿押さえではなく、糸調子皿を付勢している糸調子ばねそのものを調節ダイヤルと共に直接移動させるので、調節ダイヤルにより糸調子ばねをどの程度圧縮しているかに関係なく、糸調子皿への付勢力を解放することができる。
よって、糸切りを行う際に、糸に付与した張力の大きさにかかわらず、糸の張力を確実に解放することができる。
よって、糸調子軸及び一方の糸調子皿を上記のような形状とすることで、糸調子軸により一方の糸調子皿を容易に移動させることができる。
よって、糸調子装置の構造を簡易なものとすることができる。また、構造が簡易になることで、組立や分解時における作業性を軽減することもできる。
図1及び図2に示すように、ミシンの糸調子装置1は、ミシンアーム2の先端の顎部近傍に設けられている。糸調子装置1は、糸供給源(糸巻き)から供給される糸(上糸)Tに適度な張力を付与して縫い目を美しく形成するための装置である。
糸供給源から供給される糸Tは、糸調子装置1、天秤3、縫い針4の順に案内され、縫い針4の上下動に少し位相をずらした状態で上下動する天秤3の上下動に合わせて糸Tに付与する張力を調節する。
天秤3は、ミシンモータに連結された上軸(図示略)の回転に伴って移動し、ミシンアーム2にその上下動方向に沿って形成された溝2aに沿って上下動することにより、布に通された糸Tを締め上げる。
ソレノイド10には、その出力軸10aの駆動によりX方向に移動する皿浮かし板11が設けられている。ミシンアーム2における皿浮かし板11にX方向に対向する位置には、糸調子軸台12が固定されている。糸調子軸台12は、円筒状に形成されている。糸調子軸台12は、その軸線方向がミシンアーム2の前後方向、すなわち、X方向に沿うように設けられている。糸調子軸台12には、糸調子軸13が挿通され、糸調子軸台12は、糸調子軸13を軸線方向に沿って移動自在に支持する。
土台部14の一端部は、皿浮かし板11に対向しており、この一端部には、糸調子軸13を軸線方向(X方向)に沿った第1方向(図3におけるA方向)に付勢する支持ばね16が設けられている。支持ばね16は、糸調子軸13と同軸上に設けられ、Eリング17等により土台部14の皿浮かし機構側の端部に設けられている。
すなわち、皿浮かし機構(ソレノイド10、皿浮かし板11)は、ソレノイド10の駆動により糸調子軸13に当接可能で、糸調子軸13を支持ばね16の付勢力に抗して第1方向と逆方向の第2方向(図3のB方向)に移動させるものである。
挿通部15には、第1糸調子皿21側から順に第2糸調子皿22、皿押さえ23、糸調子ばね24、調節ダイヤル25が挿通されている。
第2糸調子皿22は、挿通部15の軸線方向に沿って移動自在に支持され、隣接する第1糸調子皿21に対して接離可能とされている。第2糸調子皿22が第1糸調子皿21に当接することにより、その間で糸Tを挟持することができ、糸Tに張力を付与することができる。
貫通孔22a,22aは、半円状に形成され、当接部22bを挟んで対向する位置に形成されている。そして、糸調子軸13の挿通部15に形成された切欠部15aが当接部22bの通過を許容し、第2糸調子皿22は、当接部22bが切欠部15aの底部15bから少し離れた位置で第1糸調子皿21に当接するように設けられている。
ここで、図7に示すように、糸調子軸13が移動前の初期位置にある場合、すなわち、一対の糸調子皿21,22が当接している場合において、ガイド溝12aにおける支持ばね16側の端部と突出部19との間隔L1は、切欠部15aの底部15bと当接部22b間の距離L2よりも長くなるように形成されている。
ここで、支持ばね16は、糸調子ばね24よりもばね力(圧)が大きいものが用いられる。これは、調節ダイヤル25の操作により糸調子ばね24の付勢力で糸調子軸13がB方向に移動するのを防止するためである。
次に、上記の構成を有する糸調子装置1の動作について説明する。
糸に張力を付与する場合には、調節ダイヤル25を皿押さえ23側にねじ込んでいくことにより、糸に付与する張力を大きくすることができる。すなわち、調節ダイヤル25を皿押さえ23に近づけるほど、糸調子ばね24は圧縮されるため、自然長に戻ろうとする弾性力が付勢力となって皿押さえ23を押圧する。皿押さえ23にかかる糸調子ばね24の付勢力は第2糸調子皿22に作用し、第2糸調子皿22は、第1糸調子皿21を押圧する。このような原理により、第2糸調子皿22と第1糸調子皿21に挟まれた糸に張力を付与することができる。
縫製が終了して糸切り装置により糸切りを行う場合、糸に付与した張力を解放する必要がある。この場合、ソレノイド10を駆動させ、糸調子軸13を支持ばね16の付勢力に抗してB方向に移動させる。糸調子軸13の移動により、糸調子ばね24と調節ダイヤル25もB方向に移動する。また、糸調子軸13の移動により、挿通部15の底部15bはやがて第2糸調子皿22に形成された当接部22bに当接する。そして、さらに糸調子軸13が移動すると、第2糸調子皿22は、B方向に押されて移動し、第2糸調子皿22の移動により、第2糸調子皿22よりもB方向側(調節ダイヤル25側)の部品である皿押さえ23も第2糸調子皿22とともにB方向に移動する。
このような動作により、第2糸調子皿22の糸調子ばね24による付勢力が解放され、第2糸調子皿22が第1糸調子皿21から離間する。
上記の糸調子装置1によれば、第1糸調子皿21は、支持ばね16により第1方向(A方向)に付勢され、糸調子軸台12に押し当てられている。ここで、ソレノイド10を駆動させると、皿浮かし板11が糸調子軸13に当接し、糸調子軸13は支持ばね16の付勢力に抗して第2方向(B方向)に移動する。糸調子軸13を第2方向(B方向)に移動させると、調節ダイヤル25と糸調子ばね24は第2方向(B方向)に移動し、第2糸調子皿22への糸調子ばね24の付勢力が解放される。
これにより、糸調子軸13は、従来のように皿押さえ23ではなく、第2糸調子皿22を付勢している糸調子ばね24そのものを調節ダイヤル25と共に直接移動させるので、調節ダイヤル25により糸調子ばね24をどの程度圧縮しているかに関係なく、第2糸調子皿22への付勢力を解放することができる。
よって、糸切りを行う際に、糸に付与した張力の大きさにかかわらず、糸の張力を確実に解放することができる。
よって、糸調子軸13及び第2糸調子皿22を上記のような形状とすることで、糸調子軸13により第2糸調子皿22を容易に移動させることができる。
よって、糸調子装置1の構造を簡易なものとすることができる。また、構造が簡易になることで、組立や分解時における作業性を軽減することもできる。
よって、糸の張力を解放するときだけ糸調子軸13を移動させることができる。
10 ソレノイド(皿浮かし機構)
11 皿浮かし板(皿浮かし機構)
12 糸調子軸台
12a ガイド溝
13 糸調子軸
15 挿通部
15a 切欠部
15b 底部
16 支持ばね
19 突出部
21 第1糸調子皿
22 第2糸調子皿
22a 貫通孔
22b 当接部
24 糸調子ばね
25 調節ダイヤル
A 第1方向
B 第2方向
Claims (4)
- 一方が他方に対して接離可能とされ、糸を挟持可能な一対の糸調子皿と、
前記糸調子皿の一方に当接して、前記糸調子皿を付勢する糸調子ばねと、
前記糸調子皿と前記糸調子ばねが挿通され、前記糸調子皿を該軸方向に沿って移動自在に支持する糸調子軸と、
前記糸調子軸の一端側に装着され、前記糸調子皿に対する前記糸調子ばねの付勢力を調節する調節ダイヤルと、を備えたミシンの糸調子装置において、
前記糸調子軸をその軸線方向に沿って移動自在に支持する糸調子軸台と、
前記糸調子軸を軸線方向に沿った第1方向に付勢して前記他方の糸調子皿を前記糸調子軸台に当接可能な支持ばねと、
前記糸調子軸に当接可能で、前記糸調子軸を前記支持ばねの付勢力に抗して、前記第1方向と逆方向の第2方向に移動させる皿浮かし機構と、を有し、
前記皿浮かし機構の駆動により、前記調節ダイヤルと前記糸調子ばねを共に前記第2方向へ移動させ、前記糸調子皿への前記糸調子ばねの付勢力が解放されることを特徴とするミシンの糸調子装置。 - 前記一方の糸調子皿が挿通される前記糸調子軸の挿通部には、その軸線方向に沿って切り欠かれた切欠部が形成され、
前記一方の糸調子皿には、前記挿通部を挿通させる貫通孔と、前記糸調子軸の前記第2方向への移動により前記切欠部の底部が当接する当接部とが形成されていることを特徴とする請求項1に記載のミシンの糸調子装置。 - 前記糸調子軸には、その表面から外側に突出する突出部が形成され、
前記糸調子軸台には、前記突出部を前記第1方向及び前記第2方向に移動可能に案内するガイド溝が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のミシンの糸調子装置。 - 前記支持ばねは前記糸調子軸の他端側に装着されることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載のミシンの糸調子装置。
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