JP2009283568A - 磁石成形体およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】永久磁石において、高い電気抵抗および優れた磁気特性を両立可能としうる手段を提供する。
【解決手段】異方性磁石2の表面に絶縁層3を配置して磁石成形体1とする際に、異方性磁石の磁化方向と絶縁層の磁化方向とを略平行とし、異方性磁石と絶縁層とを絶縁層の耐熱温度以下の温度で液相を生じる連結層4により連結する。
【選択図】図1
【解決手段】異方性磁石2の表面に絶縁層3を配置して磁石成形体1とする際に、異方性磁石の磁化方向と絶縁層の磁化方向とを略平行とし、異方性磁石と絶縁層とを絶縁層の耐熱温度以下の温度で液相を生じる連結層4により連結する。
【選択図】図1
Description
本発明は、磁石成形体およびその製造方法に関する。
近年、モータ等の回転機器の小型化・高性能化に伴い、高磁気特性および高電気抵抗を併有する永久磁石の開発が強く求められている。現在の高性能な永久磁石としてはNd−Fe−B系の異方性焼結磁石があり、自動車に搭載される駆動用モータに用いられている。かような磁石を用いたモータが高速で回転すると、渦電流による発熱に起因して、モータの出力が低下するという問題がある。
従来、渦電流による発熱を抑制することを目的として、磁石の電気抵抗を高める種々の技術が提案されている。具体的には、磁石の表面に絶縁物を被覆する技術や、酸化物フェライトおよびボンド磁石のような電気抵抗の大きな材料を用いて磁石を構成する技術が提案されている。磁石の表面に絶縁物を被覆する技術として、例えば、特許文献1には、所定の組成を有する希土類焼結磁石の表面に希土類フッ化物を含浸させて熱処理する技術が開示されている。特許文献1に記載の技術は、かような処理を施すことで、焼結磁石の表面に高電気抵抗の層を形成し、内部に向かって抵抗が減少していく傾斜機能性焼結磁石を提供することを試みている。かような構成とすることで、磁石表面の電気抵抗を増大させ、渦電流に起因する発熱を抑制できるとしている。
特開2006−303434号公報
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、表面の絶縁層の浸透深さが不均一であり、また、当該絶縁層の厚さが約数十μmで深さ方向の絶縁性が十分でないという問題がある。さらに、希土類フッ化物の含浸によって絶縁層の形成を図っていることから、均一な絶縁層を作製するための制御が容易でなく、結果として十分に高い電気抵抗が達成できないという問題もある。
そこで本発明は、永久磁石において、高い電気抵抗および優れた磁気特性を両立可能としうる手段を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を行なった。その過程で、異方性磁石の表面に絶縁層を配置して磁石成形体とする形態を種々検討した。そして、異方性磁石の磁化方向と絶縁層の磁化方向とを略平行とし、異方性磁石と絶縁層とを絶縁層の耐熱温度以下の温度で液相を生じる連結層により連結することで、上記課題が解決されうることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の磁石成形体は、異方性磁石と、前記異方性磁石の表面の少なくとも一部に配置され、絶縁皮膜を有する磁石粉末が緻密化されてなる絶縁層とを有する。そして、本発明の磁石成形体においては、異方性磁石の磁化方向と絶縁層の磁化方向とが略平行である。さらに、本発明の磁石成形体においては、異方性磁石と絶縁層とが絶縁層の耐熱温度以下の温度で液相を生じる連結層により連結されている。
本発明によれば、永久磁石において、高い電気抵抗および優れた磁気特性を両立可能としうる手段が提供されうる。
以下、本発明の実施の形態を説明するが、本発明の技術的範囲は特許請求の範囲の記載に基づいて定められるべきであり、下記の形態のみには制限されない。
本発明の一形態によれば、異方性磁石と、前記異方性磁石の表面の少なくとも一部に配置され、絶縁皮膜を有する磁石粉末が緻密化されてなる絶縁層とを有し、前記異方性磁石の磁化方向と前記絶縁層の磁化方向とが略平行であり、前記異方性磁石と前記絶縁層とが、前記絶縁層の耐熱温度以下の温度で液相を生じる連結層により連結されてなる、磁石成形体が提供される。
(第1実施形態)
以下、図面を参照しつつ本形態について詳細に説明する。ただし、図面の記載は理解の容易のために簡略化されている。したがって、本発明の技術的範囲が図示する形態(形状、サイズなど)によって限定されることはない。
以下、図面を参照しつつ本形態について詳細に説明する。ただし、図面の記載は理解の容易のために簡略化されている。したがって、本発明の技術的範囲が図示する形態(形状、サイズなど)によって限定されることはない。
図1は、本形態の磁石成形体の断面図である。図1に示す形態の磁石成形体1は、異方性磁石2をその内部コア構造として有する。当該異方性磁石2は、HDDR(Hydrogenation−Disproportionation−Desorption−Recombination)法により作製された異方性磁石粉末(以下、単に「HDDR粉末」とも称する)からなる異方性磁石(以下、単に「HDDR磁石」とも称する)である。そして、図1に示す形態では、前記異方性磁石2の全表面に、磁気異方性を有する絶縁層3が配置されている。なお、図1は断面を示すため異方性磁石2が露出するように表現されているが、本形態の磁石成形体1において実際は、異方性磁石2の表面全体を覆うように絶縁層3が配置されている。図1に示す矢印は、異方性磁石2および絶縁層3のそれぞれの磁化方向を示す。本形態の磁石成形体においては、異方性磁石2の磁化方向と絶縁層3の磁化方向とが平行である。そして、異方性磁石2と絶縁層3とは、連結層4により連結されている。連結層4は、上述した異方性磁石2由来である。以下、図1に示す形態の磁石成形体1の各構成要素について詳細に説明する。ただし、本発明の技術的範囲が下記の具体的な形態のみに制限されることはない。
[異方性磁石]
内部コア構造としての異方性磁石2は、本形態の磁石成形体1が発揮する強い磁石特性に寄与する構成要素である。異方性磁石2としては、例えば、希土類磁石がバルク化され、異方性が付与されてなる従来公知の異方性希土類バルク磁石が用いられうる。かような形態によれば、優れた磁石特性を発揮可能な磁石成形体1が提供されうる。希土類バルク磁石は、希土類磁石粉末が緻密化されることにより形成される。この緻密化の前または最中に磁場中配向することで、異方性が付与される。希土類磁石粉末は、通常、強磁性の主相および他の成分からなる。例えば、希土類磁石がNd−Fe−B(ネオジム−鉄−ホウ素)系磁石である場合には、主相はNd2Fe14B相である。
内部コア構造としての異方性磁石2は、本形態の磁石成形体1が発揮する強い磁石特性に寄与する構成要素である。異方性磁石2としては、例えば、希土類磁石がバルク化され、異方性が付与されてなる従来公知の異方性希土類バルク磁石が用いられうる。かような形態によれば、優れた磁石特性を発揮可能な磁石成形体1が提供されうる。希土類バルク磁石は、希土類磁石粉末が緻密化されることにより形成される。この緻密化の前または最中に磁場中配向することで、異方性が付与される。希土類磁石粉末は、通常、強磁性の主相および他の成分からなる。例えば、希土類磁石がNd−Fe−B(ネオジム−鉄−ホウ素)系磁石である場合には、主相はNd2Fe14B相である。
上述したように、本形態の磁石成形体1において、異方性磁石2は、HDDR法により作製された希土類磁石粉末(HDDR粉末)が緻密化されてなる。HDDR法は、磁石の技術分野においては極めてよく知られた技術であり、これに関しては非常に多数の文献が存在する。本発明においてもHDDR法により異方性希土類バルク磁石を作製するにあたっては、これらの従来公知の知見が適宜参照されうる。
異方性磁石2を構成する磁石粉末の個々の粒子は、多数の結晶粒の集合体である。この磁石粉末を構成する各結晶粒の粒径が単磁区粒径程度であると、保磁力を向上させる上で好ましい。また、異方性磁石2を構成する磁石粉末の平均粒径は、好ましくは5〜500μmであり、より好ましくは10〜300μmであり、さらに好ましくは15〜200μmである。磁石粉末の平均粒径が5μm以上であれば、磁石の比表面積の増大が抑制され、最終的に得られる磁石成形体の磁石特性の低下が防止されうる。一方、磁石粉末の平均粒径が500μm以下であれば、製造時の圧力に起因する磁石粒の破砕やこれに伴う電気抵抗の低下が防止されうる。また、HDDR粉末を作製するにあたり、磁石粉末における主相(Nd−Fe−B系磁石においてはNd2Fe14B相)の配向方向を揃えることが容易となる。なお、磁石粉末の平均粒径は、SEM像から算出されうる(本願において以下同じ)。
図1に示す形態の磁石成形体1では、内部コア構造としてNd−Fe−B系の異方性希土類磁石を備えている。ただし、内部コア構造は異方性磁石である限り、その他の形態も採用されうる。例えば、希土類磁石の種類として、Nd−Fe−B系磁石以外にも、例えばSm−Co(サマリウム−コバルト)系磁石などが用いられうる。ただし、得られる磁石成形体の磁石特性や、製造コストなどを考慮すると、内部コア構造を構成する異方性磁石はNd−Fe−B系異方性磁石であることが好ましい。なお、希土類磁石中には基本成分が同じ2種類以上の希土類磁石が混在していてもよい。例えば、異なる組成比を有するNd−Fe−B系磁石が2種以上含まれていてもよい。
なお、本願において「Nd−Fe−B系磁石」とは、NdやFeの一部が他の元素で置換されている形態をも包含する概念である。Ndは、その一部または全量をPrに置換されていてもよく、また、Ndの一部をTb、Dy、Ho等の他の希土類元素で置換されていてもよい。置換にはこれらの一方のみを用いてもよく、双方を用いてもよい。置換は、元素合金の配合量を調整することによって行うことができる。かような置換によって、Nd−Fe−B系磁石の保磁力向上を図ることができる。置換されるNdの量は、Ndに対して、0.01〜50atom%であることが好ましい。かような範囲でNdが置換されると、置換による効果を十分に確保しつつ、残留磁束密度を高レベルで維持することが可能である。
一方、Feは、Co等の他の遷移金属で置換されていてもよい。かような置換によって、Nd−Fe−B系磁石のキュリー温度(TC)を上昇させ、使用温度範囲を拡大させることができる。置換されるFeの量は、Feに対して、0.01〜30atom%であることが好ましい。かような範囲でFeが置換されると、置換による効果を十分に確保しつつ、保磁力の低下が抑制されうる。
内部コア構造を構成する異方性磁石2のサイズについては特に制限はなく、磁石成形体1の用途や製造の容易性などに応じて適宜調整されうる。異方性磁石2が磁石成形体1に対して占める質量割合についても特に制限はない。一例を挙げると、異方性磁石2の含有量は、磁石成形体100質量%に対して、好ましくは2〜75質量%であり、より好ましくは2.5〜50質量%、さらに好ましくは2.9〜50質量%である。異方性磁石2の含有量が2質量%以上であれば、磁石特性の低下が防止されうる。一方、異方性磁石2の含有量が75質量%以下であれば、発熱抑制に効果がある。
[絶縁層]
絶縁層3は、本形態の磁石成形体1が高い電気抵抗を発揮するのに寄与する構成要素である。すなわち、かような絶縁層3の存在によって磁石成形体1に高い電気抵抗が付与される。その結果、本発明の磁石成形体が例えばモータなどに用いられた場合であっても、モータの高速回転時等に発生する渦電流による発熱が低減される。その結果、モータの出力低下などの問題も同様に防止されうる。
絶縁層3は、本形態の磁石成形体1が高い電気抵抗を発揮するのに寄与する構成要素である。すなわち、かような絶縁層3の存在によって磁石成形体1に高い電気抵抗が付与される。その結果、本発明の磁石成形体が例えばモータなどに用いられた場合であっても、モータの高速回転時等に発生する渦電流による発熱が低減される。その結果、モータの出力低下などの問題も同様に防止されうる。
絶縁層3は、絶縁皮膜を有する磁石粉末が緻密化されることにより形成されている。図1に示す形態において、絶縁層3を構成する磁石粉末は、HDDR法により作製されたNd−Fe−B系の異方性磁石粉末(HDDR粉末)である。当該HDDR粉末の個々の粒子が絶縁皮膜により被覆されたものが緻密化されて、絶縁層3が形成されているのである。
絶縁層3を構成する磁石粉末は、その全表面が絶縁皮膜によって被覆されていることが好ましい。これは、個々の磁石粉末同士の間に絶縁皮膜が常に存在すると、磁石成形体1の電気抵抗が有意に高まるためである。ただし、場合によっては、磁石粉末の一部に絶縁皮膜によって被覆されていない露出部が存在してもよい。換言すれば、絶縁皮膜は、磁石粉末のそれぞれを取り囲むように存在してもよく、磁石粉末が集合(凝集)して粒子状の固まりを形成し、かかる集合体(凝集体)の周辺を取り囲むように絶縁皮膜が存在してもよい。
上述したように、図1に示す形態では、絶縁層3を構成する磁石粉末はHDDR粉末である。ただし、かような形態のみに制限されることはなく、その他の磁石粉末が絶縁皮膜によって被覆された粒子が緻密化されることによって絶縁層3が形成されてもよい。絶縁層3を構成しうるHDDR粉末以外の磁石粉末としては、例えば、上記の異方性磁石を構成しうる磁石として上記で列挙した磁石の粉末が、絶縁層3を構成するために用いられてもよい。
図1に示す形態のように、HDDR粉末を絶縁皮膜で被覆すると、HDDR粉末以外のNd−Fe−B焼結磁石用の磁粉のような粉末を用いて絶縁層3を形成した場合と比較して、得られる磁石成形体の磁気特性がより一層向上しうる。
絶縁層3において上述した磁石粉末を被覆する絶縁皮膜は、絶縁性材料から構成される。絶縁皮膜は、特に制限されないが、希土類酸化物または有機物を主成分とすることが好ましい。具体的には、絶縁皮膜の主成分が希土類酸化物である場合には、希土類酸化物の含有量が、絶縁皮膜100質量%に対して、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは70質量%以上であり、さらに好ましくは80〜100質量%である。また、成形後の希土類磁石全体に対する絶縁皮膜の含有量の比(体積比)は、好ましくは1〜7.5体積%である。絶縁皮膜の含有量が1体積%以上であれば、絶縁性向上の効果が十分に得られる。一方、絶縁皮膜の含有量が7.5体積%以下であれば、磁石特性の低下が防止されうる。なお、磁石特性を重視する場合には、絶縁皮膜の含有量の比は好ましくは1〜3.0体積%であり、絶縁性を重視する場合には、当該比は好ましくは5.0〜7.5体積%である。双方の特性をバランスする好ましい条件は、2.0〜6.0体積%である。なお、絶縁皮膜の構成材料として希土類酸化物を主成分とすると、磁石粉末との反応性が低く、かつ、磁気特性に優れた磁石成形体が得られるため、好ましい。なお、絶縁皮膜の構成材料は、絶縁性材料であれば特に制限されない。例えば、希土類酸化物および有機物以外にも、無機炭化物、金属酸化物またはフッ化物などが用いられうる。
さらに、絶縁性材料のうち、磁石成形体における保磁力の維持という観点からいえば、希土類酸化物として好ましくは、下記式(I):
の組成を有する希土類酸化物が挙げられる。式(I)において、RおよびR’は、Nd、Y、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、YbまたはLuである。また、Xは0<X≦1を満たす。なかでも、絶縁皮膜は酸化ジスプロシウム(Dy2O3)および/または酸化テルビウム(Tb2O3)から構成されることが好ましい。さらに経済性(コスト面)の観点からは、Dy2O3から構成されることがより好ましい。なお、希土類酸化物は、非晶質であってもよいし、結晶質であってもよい。
絶縁皮膜が希土類酸化物からなる場合であっても、これ以外の不純物や製造工程に起因する反応生成物、未反応残存物、微小な空孔等の存在が生じうることは不可避的にありうる。これらの不純物の混入量は、導電性や磁気特性の観点からは少ないほど好ましい。ただし、絶縁皮膜における希土類酸化物の含有量が上記した範囲内であれば、製品としての磁石の磁気特性や導電性に実質的には問題ない。
上述した通り、絶縁層3は磁石粉末と絶縁皮膜とから構成される。ここで、磁石粉末の平均粒径は、1〜500μmとすることが好ましい。磁石粉末の平均粒径が小さすぎると、例えば0.1ppm程度の低酸素雰囲気下で磁石粉末への希土類酸化物による被覆を試みた場合に、磁石粉末の表面に不可避の酸化物が生成するおそれがある。この酸化物は、磁石特性、特に残留磁化の低下をもたらす。しかしながら、磁石粉末の粒径が1μm以上であれば、希土類酸化物により十分に被覆され、絶縁層が形成されうる。一方、磁石粉末の粒径が500μm以下であれば、保磁力の低下が防止されうる。
また、絶縁層3において磁石粉末の周囲に存在する絶縁皮膜の厚さは、好ましくは50nm〜5μmである。絶縁皮膜の厚さが50nm以上であれば、絶縁性が十分に確保され、比抵抗が十分高い値に確保されうる。一方、絶縁皮膜の厚さが50μm以下であれば、絶縁皮膜の体積比の増加が抑えられ、磁石特性の低下が防止されうる。
異方性磁石2の表面に配置される絶縁層3のサイズについても特に制限はなく、磁石成形体1の用途や製造の容易性などに応じて適宜調整されうる。例えば、絶縁層3の厚さは、通常0.5〜20μm程度であり、好ましくは1〜10μmである。
絶縁層3が磁石成形体1に対して占める質量割合についても特に制限はない。一例を挙げると、絶縁層3の含有量は、磁石成形体100質量%に対して、好ましくは3〜78質量%であり、より好ましくは5〜48質量%であり、さらに好ましくは7〜15質量%である。絶縁層3の含有量が上述した範囲内の値であれば、電気的な絶縁性が確保でき、渦電流による発熱抑制に効果がある。絶縁層の厚さは、使用者の意図により適宜決定されうる。例えば、本発明の磁石を回転機に用いた場合、磁石の使用環境や磁石特性の要件は、使用者の設計要件によって任意に決めることができる。
本発明の磁石成形体1においては、異方性磁石2と同様に、絶縁層3もまた、絶縁層3を構成する磁石粉末の異方性に起因して異方性を有する。そして、異方性磁石2の磁化方向と絶縁層3の磁化方向とは、略平行である。なお、「磁化方向が略平行である」とは、異方性磁石2の磁化方向ベクトルと絶縁層3の磁化方向ベクトルとがなす角の大きさが90°未満であることを意味する。好ましい形態においては、当該なす角は好ましくは0〜45°であり、より好ましくは0〜30°であり、さらに好ましくは0〜5°であり、最も好ましくは0°である。異方性磁石2の磁化方向と絶縁層3の磁化方向とが略平行となることで(好ましくは0°に近づくことで)、磁石成形体1の磁石特性が向上しうるという利点がある。なお、異方性磁石2および絶縁層3のそれぞれの磁化方向とそれらのなす角は、まず、走査型電子顕微鏡(SEM)にて、異方性磁石2および絶縁層3がともに見える視野で、異方性磁石2と絶縁層3とを観察する。この視野中では、磁気的に配向がなされている方向に粒子群が揃っていることが観察される。よって、異方性磁石2の配向方向および絶縁層3の配向方向にそれぞれ接線を引き、そのずれを上記「なす角」として求める。
磁石成形体1において、絶縁層3は、異方性磁石2の表面の少なくとも一部に存在すればよい。ただし、磁石成形体1に対して十分高い電気抵抗を付与するという観点からは、絶縁層は、異方性磁石2の表面の全面積の好ましくは3〜100%に存在し、より好ましくは15〜100%に存在し、特に好ましくは100%(全表面)に存在する。
[連結層]
連結層4は、上述した異方性磁石2と絶縁層3とを連結する機能を有する層である。連結層4の構成材料は特に制限されず、磁石成形体の磁石特性に悪影響を与えず、異方性磁石2と絶縁層3を連結可能な材料であればよい。ただし、連結層4は、上述した絶縁層3の耐熱温度以下の温度で液相を生じる必要がある。かような構成とすることで、後述するように磁石成形体1の製造時に異方性磁石2の表面近傍を連結層4として用いることが可能となる。その結果、簡便な手法により高磁石特性および高電気抵抗の磁石成形体の提供が可能となる。
連結層4は、上述した異方性磁石2と絶縁層3とを連結する機能を有する層である。連結層4の構成材料は特に制限されず、磁石成形体の磁石特性に悪影響を与えず、異方性磁石2と絶縁層3を連結可能な材料であればよい。ただし、連結層4は、上述した絶縁層3の耐熱温度以下の温度で液相を生じる必要がある。かような構成とすることで、後述するように磁石成形体1の製造時に異方性磁石2の表面近傍を連結層4として用いることが可能となる。その結果、簡便な手法により高磁石特性および高電気抵抗の磁石成形体の提供が可能となる。
絶縁層3の耐熱温度とは、絶縁層が液相を生成する温度を意味する。絶縁層3の耐熱温度の具体的な値は、絶縁層3の組成によって変動しうるが、例えば500〜700℃程度であり、好ましくは550〜650℃である。これに対し、連結層4が液相を生じる温度は、好ましくは480〜700℃程度であり、より好ましくは550〜650℃である。なお、絶縁層3の耐熱温度は、絶縁層を構成する絶縁性材料の種類やホットプレス時の温度を調節することにより制御可能である。また、連結層4が液相を生じる温度は、連結層の構成材料の種類やホットプレス時の温度を調節することにより制御可能である。
図1に示す形態において、連結層4は異方性磁石2由来である。「連結層が異方性磁石由来である」とは、異方性磁石2の表面近傍が接着機能を発揮して異方性磁石2と絶縁層3とが連結されていることを意味する。この場合には、上述した「表面近傍」が連結層4に相当し、通常、連結層4の組成は異方性磁石2と同一である。
連結層4の厚さは、一義的に規定することが困難であるが、連結層を作製する際の条件を適宜調節することにより、連結に十分なサイズに制御されうる。
[製造方法]
磁石成形体1を製造する手法について特に制限はない。製造方法の一例では、まず、HDDR法により作製された粉末からなる異方性磁石を準備する。一方、絶縁皮膜を有する磁石粉末を異方性化および緻密化し、成形してプレ成形体を得る。次いで、上記で準備した異方性磁石と上記プレ成形体とを、これらの磁化方向が略平行となるように並べて配置する。そして、これらをホットプレスにより一体化する。これにより本形態の磁石成形体が製造可能である。以下、かような製造方法について工程順に詳述する。ただし、本発明により提供される磁石成形体が下記の製造方法により得られたもののみに限定されることはない。
磁石成形体1を製造する手法について特に制限はない。製造方法の一例では、まず、HDDR法により作製された粉末からなる異方性磁石を準備する。一方、絶縁皮膜を有する磁石粉末を異方性化および緻密化し、成形してプレ成形体を得る。次いで、上記で準備した異方性磁石と上記プレ成形体とを、これらの磁化方向が略平行となるように並べて配置する。そして、これらをホットプレスにより一体化する。これにより本形態の磁石成形体が製造可能である。以下、かような製造方法について工程順に詳述する。ただし、本発明により提供される磁石成形体が下記の製造方法により得られたもののみに限定されることはない。
まず、HDDR法により作製された粉末からなる異方性磁石を準備する。かような異方性磁石の具体的な形態については上述した通りであるため、ここでは詳細な説明を省略する。異方性磁石の入手経路についても特に制限はなく、市販品を購入して用いてもよいし、従来公知の手法により自ら作製した異方性磁石を用いてもよい。異方性磁石を自ら作製するには、まず、HDDR法により得られた希土類磁石粉末を金型(例えば、超硬金型)中で磁場中配向する。次いで、ホットプレス処理を施すことで、異方性バルク磁石が得られる。
一方、絶縁皮膜を有する希土類磁石粉末(以下、「高抵抗化磁石粉末」とも称する)を準備する。
希土類磁石粉末の表面に絶縁皮膜を形成する手法について特に制限はなく、従来公知の知見が適宜参照されうる。なお、磁石粉末としては、例えば、HDDR法や温間変形加工(熱間変形加工)などの手法により得られた磁石粉末が用いられうる。HDDR法および温間変形加工(熱間変形加工)については、従来公知の条件により行うことができる。例えば、非特許文献(「希土類永久磁石」、俵 好夫、大橋 健 共著「森北出版株式会社」出版、1999年10月20日、p.115−121)などを参照することにより適宜条件設定が可能である。
また、希土類磁石粉末の表面に絶縁皮膜を形成する手法として、例えば、特開2005−191187号公報に記載の手法が採用されうる。具体的には、希土類磁石粉末の表面に希土類アルコキシドを塗布し、重縮合させることにより、希土類酸化物、または樹脂などの有機物からなる絶縁皮膜が表面に固着されてなる高抵抗化磁石粉末を得ることが可能である。以下、かような手法により絶縁皮膜を形成する場合について、詳細に説明する。
希土類アルコキシドは、希土類酸化物または有機物として希土類磁石粉末の表面に固着して高抵抗化磁石粉末を形成する。そして後述するプレ成形工程を経てプレ成形体となり、最終的には磁石成形体の絶縁層を構成することとなる。希土類アルコキシドとしては、市販の試薬を用いればよい。希土類アルコキシドが液体である場合には、液体の希土類アルコキシドを、希土類磁石粉末の表面に塗布すればよい。一方、希土類アルコキシドが固体である場合には、適切な有機溶媒に溶解した状態で、希土類磁石粉末の表面に塗布すればよい。
希土類アルコキシドの具体例としては、例えば希土類トリイソプロポキシドが挙げられる。希土類トリイソプロポキシドは、様々な有機溶媒との併用が可能であるため、好ましい。希土類トリイソプロポキシドの具体例としては、ジスプロシウムトリイソプロポキシド、ホルミウムトリイソプロポキシド、エルビウムトリイソプロポキシド、ツリウムトリイソプロポキシド、イッテルビウムトリイソプロポキシド、ルテチウムトリイソプロポキシド、ジスプロシウムトリイソプロポキシド、イットリウムトリイソプロポキシド、ガドリニウムトリイソプロポキシドなどが挙げられる。有機溶媒としては低温で除去可能な低沸点有機溶媒が挙げられる。すなわち、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒、ヘキサンなどの非極性溶媒、テトラヒドロフラン等の環状エーテル系溶媒、またはイソプロピルアルコールや2−エトキシエタノールなどのアルコール系溶媒などである。これらの有機溶媒は、あらかじめ脱水した上で用いることが好ましい。
第1段階として、希土類アルコキシドそのものを準備するか、または希土類アルコキシドが有機溶媒に溶解してなる希土類表面処理液を調製する。希土類アルコキシドは、ケイ素アルコキシド、アルミニウムアルコキシド、チタニウムアルコキシドなどと比較して、水分との反応活性が大きく、加水分解して、有機溶媒に不溶性の希土類水酸化物を生成しやすい。このため、大気中の水分との接触など、わずかな水分の混入にも注意することが好ましい。そこで、磁石粉末の表面に希土類アルコキシドを塗布する際、不活性ガス雰囲気などの乾燥雰囲気下にて行うことが好ましい。不活性ガスとしては、ヘリウム、ネオンまたはアルゴンなどが用いられうる。その際、雰囲気の露点を−40℃以下に設定するのが好ましく、−85〜−50℃に設定するのがより好ましい。また、上述のように、希土類アルコキシド溶解用の有機溶媒は、あらかじめ脱水処理を施した上で用いることが好ましい。有機溶媒を用いる場合には、希土類アルコキシドを有機溶媒に溶解し、希土類表面処理液を調製する。処理液の濃度は、磁石粉末への希土類アルコキシドの添加量を考慮して決定されうる。
第2段階として、希土類アルコキシド(場合によっては、希土類アルコキシドが有機溶媒に溶解してなる希土類表面処理液)を用いて、上記で得られた磁石粉末の表面を希土類アルコキシドで被覆する。すなわち、磁石粉末の表面に希土類アルコキシドを塗布し、皮膜を形成させる。ここで、前述のように、希土類アルコキシドが液体であれば、希土類アルコキシドそのものを希土類磁石粉末に塗布することが可能である。
液体の希土類アルコキシドまたは希土類表面処理液を、磁石粉末に添加する。有機溶媒を用いた場合には、次いで溶媒を乾燥させて除去し、磁石粉末の表面に希土類アルコキシドを析出させる。乾燥の際には、必要に応じて、減圧乾燥等の手法が併用されうる。1回の塗布で十分な量の希土類アルコキシドが塗布できない場合には、希土類アルコキシドまたは希土類表面処理液を供給する工程を、2回以上繰り返してもよい。このような作業により、磁石粉末の表面の大部分、好ましくは全体が希土類アルコキシドで被覆される。本段階は、不活性ガス雰囲気などの乾燥雰囲気下にて行うことが好ましい。不活性ガスとしては、ヘリウム、ネオンまたはアルゴンなどが用いられうる。
第3段階として、得られた粉末(皮膜を有する磁石粉末)を真空雰囲気または不活性ガス雰囲気の下で加熱処理する。加熱処理の温度は、100〜650℃であることが好ましく、300〜600℃であることがより好ましい。加熱処理の時間は、真空圧力計などにより炉内圧をモニタリングの上、熱分解ガスの放出が終了するまで実施する必要がある。なお、かかる加熱処理中、温度は常に一定でもよいし、途中で変化させてもよい。途中で加熱温度を変化させることにより、熱分解反応を制御することができ、炉内の過度な雰囲気汚染による磁気特性のダメージを防止できる。
これにより、希土類アルコキシドの重縮合が促進され、希土類磁石粉末の表面に絶縁皮膜が形成され、高抵抗化磁石粉末が得られる。希土類アルコキシドの重縮合反応は、加熱によって促進しうる。ただし、酸素や水分共存下で加熱する場合には、磁石成形体の酸化劣化をもたらす恐れがあるため、大気中で加熱する場合は200℃以下に留めることが好ましい。より一層、重縮合反応を促進させるためには、真空雰囲気または不活性ガスフローの下、300℃以上の温度で熱処理を行うことが効果的である。不活性ガスとしては、ヘリウム、ネオンまたはアルゴンなどが用いられうる。上記第1段階および第2段階を、適宜繰り返し行ってもよい。これにより、異方性磁石粉末の表面のほぼ全体に絶縁皮膜を形成することができる。
続いて、上記で得られた、絶縁皮膜を有する磁石粉末(高抵抗化磁石粉末)を成形してプレ成形体を得る。具体的には、まず、所望の量の高抵抗化磁石粉末を金型(例えば、超硬金型)中に配置する。次いで、磁場中で配向することにより、高抵抗化磁石粉末を異方性化する。この際の磁場中での配向処理の条件について特に制限はなく、従来公知の知見が適宜参照されうる。一例を挙げると、800〜2400kA/m程度の磁場中で、10秒間〜5分間程度処理すればよい。なお、ここでいう処理の時間とは、最大印加磁場での保持時間を意味する。
次いで、上記で磁場中配向された高抵抗化磁石粉末を同様の金型中でホットプレス処理する。これにより、当該粉末が緻密化されるとともに、成形される。これにより得られた成形体を、本願では「プレ成形体」と称する。プレ成形体を得るためのホットプレス条件について特に制限はない。一例を挙げると、成形圧は0.1〜10トン/cm2程度であり、成形温度は金型温度で500〜750℃程度であり、成形時間は1〜30分間程度である。なお、ここでいう成形時間とは、目的温度に達してからの保持時間を意味する。
続いて、上記で得られた異方性磁石(HDDR磁石)およびプレ成形体を、金型中に並べて配置する。この際の並べ方に特に制限はなく、最終的に得られる磁石成形体における異方性磁石と絶縁層との所望の配置形態に応じて配置すればよい。例えば、直方体形状の異方性磁石に対して、対向する2つの面に接するようにプレ成形体を配置すれば、後述するホットプレス工程を経て、異方性磁石の対向する2つの面に絶縁層が形成されたサンドイッチ状の磁石成形体が製造されうる。また、直方体形状の異方性磁石の6つの全て面に接するようにプレ成形体を配置すれば、後述するホットプレス工程を経て、異方性磁石の全表面に絶縁層が形成されてなる磁石成形体が製造されうる。また、異方性磁石およびプレ成形体の配置は、異方性磁石の磁化方向とプレ成形体の磁化方向とが略平行となるように行なう。
そして最終的に、金型中に並べて配置された異方性磁石およびプレ成形体に対してホットプレス処理を施す。これにより、図1に示す形態の磁石成形体が製造される。この際のホットプレス条件についても特に制限はなく、上述したプレ成形体を得るためのホットプレス条件が同様に用いられうる。
本発明者らは、本発明の課題を解決しうる手段を探索する過程で、高磁気特性を有する磁石を内部に配置し、その外部を従来公知の高抵抗化磁石粉末で被覆した上で、一体成形して磁石成形体とすることをまず試みた。しかしながら、内部に配置された磁石が着磁された状態で高抵抗化磁石粉末をその周囲に配置しても、最終的にも十分高い電気抵抗を有する磁石成形体が得られなかった。これは、周囲に配置した高抵抗化磁石粉末が内部の磁石の磁場分布の影響で偏ってしまい、その結果、磁石の周囲に均一な絶縁層が形成できなかったこと、および磁石の配向が十分になされなかったことが原因であると考えられる。
これに対し、上述した本形態の製造方法によれば、絶縁層を予め成形しておくことで、かような問題が解決されうる。また、ホットプレス時にHDDR磁石の表面近傍(プレ成形体と接触する面の近傍)が溶融して液相が生じる。この際に生じる液相が、冷却されて固化することで異方性磁石とプレ成形体とを接着する機能を示す。その結果、異方性磁石の表面に絶縁層が均一に形成されてなる本形態の磁石成形体が製造されうるのである。ここで、一旦液相となった後に冷却固化したHDDR磁石の表面近傍は、連結層に相当する。
以上のように、本形態の製造方法によれば、簡便な手法により異方性磁石の表面に均一に絶縁層を設けることが可能となる。その結果、高磁石特性と高電気抵抗との両立が可能な磁石成形体が提供されうる。
得られた磁石成形体に対しては、必要に応じて各種処理を施してもよい。例えば、成形温度以下での歪とりを主な目的とした熱処理や、加工(切断、研磨など)、表面処理(保護膜の形成、塗装など)、着磁などの処理を行うことができる。
(第2実施形態)
図2は、本形態の磁石成形体の断面図である。図2に示す形態の磁石成形体1は、図1に示す第1実施形態の磁石成形体と比較して以下の点で異なる。すなわち、図2に示す形態では、内部コア構造を構成する異方性磁石2はHDDR磁石ではなく、Nd−Fe−B系の異方性焼結磁石である。また、連結層4はHDDR粉末が緻密化されてなる層である。以下、図2に示す形態の磁石成形体1の各構成要素のうち、第1実施形態との相違点に係る構成に重点を置いて詳細に説明する。
図2は、本形態の磁石成形体の断面図である。図2に示す形態の磁石成形体1は、図1に示す第1実施形態の磁石成形体と比較して以下の点で異なる。すなわち、図2に示す形態では、内部コア構造を構成する異方性磁石2はHDDR磁石ではなく、Nd−Fe−B系の異方性焼結磁石である。また、連結層4はHDDR粉末が緻密化されてなる層である。以下、図2に示す形態の磁石成形体1の各構成要素のうち、第1実施形態との相違点に係る構成に重点を置いて詳細に説明する。
内部コア構造を構成する異方性磁石2の具体的な形態は特に制限されず、従来公知の異方性磁石が用いられうる。例えば、異方性焼結磁石が用いられてもよいし、上述した第1実施形態での必須の構成要素であったHDDR磁石が用いられてもよい。ただし、本形態の作用効果をより一層顕著に発揮させうるという観点からは、HDDR磁石以外の焼結磁石が、本形態の異方性磁石2として用いられる。例えば、Nd(Pr)−Fe−B系磁石、Sm−Co系磁石、Nd(Pr)−Fe−B系交換スプリング磁石などが異方性磁石2として用いられる。なお、磁石組成については上述した第1実施形態で説明したのと同様の形態が採用されうるため、ここでは詳細な説明を省略する。
本形態において、連結層4は、HDDR粉末が緻密化されてなる層である。かような構成とすることにより、異方性磁石2としてHDDR磁石を用いなくとも異方性磁石2と絶縁層3とを連結することが可能となる。
連結層4の組成は、HDDR粉末が緻密化されてなる層であれば特に制限はない。連結層4の厚さについても、上述した第1実施形態と同様に適宜制御されうる。
本形態の磁石成形体1を製造する手法についても特に制限はない。製造方法の一例では、まず、異方性磁石を準備する。一方、絶縁皮膜を有する磁石粉末を異方性化および緻密化し、成形してプレ成形体を得る。次いで、上記で準備した異方性磁石と上記プレ成形体とを、これらの磁化方向が略平行となるように並べて配置する。この際、上述した第1実施形態の磁石成形体の製造方法とは異なり、並べて配置される異方性磁石とプレ成形体との間に、HDDR粉末を介在させる。そして、これらをホットプレスにより一体化する。これにより本形態の磁石成形体が製造可能である。
製造時の各種の条件等については、上述した第1実施形態の磁石成形体の製造方法の欄で説明した形態が同様に好適に採用されうる。第1実施形態との相違点である配置時にHDDR粉末を介在させる点について、用いられるHDDR粉末の量は、最終的に得られる磁石成形体における連結層の好ましい厚さを考慮して決定されうる。また、用いられるHDDR粉末の粒径は、好ましくは1〜500μmであり、より好ましくは3〜300μmである。この粒径が1μm以上であれば、連結層の厚さが十分に確保され、異方性磁石2と絶縁層4とが強固に接合できる。一方、一方、粒径が500μm以下であれば、加圧熱処理時のHDDR粉末の粒径の増大が抑制され、保磁力の低下が防止されうる。
かような形態の製造方法によれば、HDDR粉末の介在により、異方性磁石としてホットプレス時に表面が溶融しないもの(焼結磁石など)を用いても、異方性磁石と絶縁層とを連結して一体化することが可能となる。
以上のように、本形態の製造方法によってもまた、簡便な手法により異方性磁石の表面に均一に絶縁層を設けることが可能となる。その結果、高磁石特性と高電気抵抗との両立が可能な磁石成形体が提供されうる。
本発明はさらに、上述した磁石成形体を用いたモータを提供する。参考までに図3に、本発明により提供される磁石成形体が適用された集中巻の表面磁石型モータの1/4断面図を示す。図中、11はu相巻線、12はu相巻線、13はv相巻線、14はv相巻線、15はw相巻線、16はw相巻線、17はアルミケース、18はステータ、19は磁石、20はロータ鉄、21は軸である。本発明の磁石成形体は、高い電気抵抗を有し、その上、保磁力などの磁石特性にも優れる。このため、本発明の磁石成形体を用いて製造されたモータを利用すれば、モータの連続出力を高めることが容易に可能であり、中から大出力のモータとして好適といえる。また、本発明の磁石成形体を用いたモータは、保磁力などの磁石特性が優れるために、製品の小型軽量化が図れる。例えば、自動車用部品に適用した場合には、車体の軽量化に伴う燃費の向上が可能である。さらに、特に電気自動車やハイブリッド電気自動車の駆動用モータとしても有効である。これまではスペースの確保が困難であった場所にも駆動用モータを搭載することが可能となり、電気自動車やハイブリッド電気自動車の汎用化に大きな役割を果たすと考えられる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、下記実施例により本発明が限定されることはない。
<実施例1>
(希土類磁石粉末の調製)
希土類磁石粉末(希土類磁石粒子の粉末状の集合体)として、HDDR法を用い、Nd−Fe−B系異方性磁石粉末(HDDR粉末)を調製した。具体的な調製手順は以下の通りである。
(希土類磁石粉末の調製)
希土類磁石粉末(希土類磁石粒子の粉末状の集合体)として、HDDR法を用い、Nd−Fe−B系異方性磁石粉末(HDDR粉末)を調製した。具体的な調製手順は以下の通りである。
まず、組成Nd12.6Fe残部Co17.4B6.5Ga0.3Al0.5Zr0.1の成分組成の鋳塊を準備した。この鋳塊を1120℃にて20時間保持して均質化した。均質化した鋳塊は水素雰囲気中で室温から500℃まで5℃/分の昇温速度で昇温させて60分間保持し、さらに、5℃/分の昇温速度で850℃まで昇温させて150分間保持した。引き続いて、850℃の真空雰囲気中に保持した後、Arガス気流中で冷却して、微細な強磁性相の再結合集合組織(結晶粒)を有する合金を得た。この合金をジョークラッシャーおよびブラウンミルを用いてArガス中で粉体化し、篩にかけて平均粒径300μm以下の希土類磁石粉末を得た。得られた希土類磁石粉末の融点をDSC解析した結果、740℃付近で溶融反応が認められた。
なお、組成中「Fe残部」と表記したが、原料や製造雰囲気等から混入する合計量が2%以内の範囲であれば、O、H、Nなどのガス成分やC、S、Pなどの非金属元素および金属元素、希土類元素を問わない。さらには、不純物成分を含有しても、特に本発明に影響はしない。
(高抵抗化磁石粉末の調製)
高抵抗化磁石粉末の調製には、希土類アルコキシドであるジスプロシウムトリイソプロポキシドを塗布し、ジスプロシウムトリイソプロポキシドの加熱処理による重縮合により、上記で調製した希土類磁石粉末(HDDR粉末)の表面に希土類酸化物を固着させて絶縁皮膜とする手法を採用した。絶縁皮膜の形成により高抵抗化磁石粉末を得る詳細な手順は、以下の通りである。
高抵抗化磁石粉末の調製には、希土類アルコキシドであるジスプロシウムトリイソプロポキシドを塗布し、ジスプロシウムトリイソプロポキシドの加熱処理による重縮合により、上記で調製した希土類磁石粉末(HDDR粉末)の表面に希土類酸化物を固着させて絶縁皮膜とする手法を採用した。絶縁皮膜の形成により高抵抗化磁石粉末を得る詳細な手順は、以下の通りである。
(1)露点が−80℃以下のArガスを満たしたグローブボックス内で、希土類アルコキシドであるジスプロシウムトリイソプロポキシド200gに、有機溶媒として脱水ヘキサンを加えて溶解し、全量が1000mlのジスプロシウム表面処理液を調製した。
(2)Ar雰囲気としたグローブボックス内で、前記ジスプロシウム表面処理液273mlを、上記で得た混合粉末1000gに添加し、攪拌したのち、溶媒を除去し、混合粉末の表面を、希土類アルコキシド(ジスプロシウムトリイソプロポキシド)で被覆した。
(3)上記の操作により得られた皮膜を有する磁石粉末を、真空中で350℃にて30分間熱処理し、引き続き600℃で60分間熱処理を実施して、錯体を熱分解し、絶縁皮膜を形成させて、高抵抗化磁石粉末を得た。
(異方性バルク磁石の作製)
上記で調製したNd−Fe−B系異方性希土類磁石粉末を3g秤量し、底面が1cm×1cmの正方形を有する超硬の金型に入れ、2000kA/mの磁場中で5分間配向処理を施した。その後、ホットプレスを用い、成形圧5トン/cm2、金型温度600℃の条件下で5分間保持することにより、磁場配向された板状の異方性バルク磁石を得た。得られた異方性バルク磁石のサイズは縦1cm×横1cm×厚さ0.39cmであった。
上記で調製したNd−Fe−B系異方性希土類磁石粉末を3g秤量し、底面が1cm×1cmの正方形を有する超硬の金型に入れ、2000kA/mの磁場中で5分間配向処理を施した。その後、ホットプレスを用い、成形圧5トン/cm2、金型温度600℃の条件下で5分間保持することにより、磁場配向された板状の異方性バルク磁石を得た。得られた異方性バルク磁石のサイズは縦1cm×横1cm×厚さ0.39cmであった。
(プレ成形体の作製)
続いて、上記で調製した高抵抗化磁石粉末を成形して、プレ成形体を作製した。具体的には、上記で調製した高抵抗化磁石粉末を1g秤量し、底面が1cm×1cmの正方形を有する超硬の金型に入れ、2000kA/mの磁場中で5分間配向処理を施した。その後、ホットプレスを用い、成形圧5トン/cm2、金型温度600℃の条件下で5分間保持することにより、磁場配向された板状のプレ成形体(高抵抗化磁石)を得た。得られたプレ成形体のサイズは縦1cm×横1cm×厚さ0.13cmであった。なお、同様の操作を繰り返すことにより、同一のプレ成形体を2つ作製した。
続いて、上記で調製した高抵抗化磁石粉末を成形して、プレ成形体を作製した。具体的には、上記で調製した高抵抗化磁石粉末を1g秤量し、底面が1cm×1cmの正方形を有する超硬の金型に入れ、2000kA/mの磁場中で5分間配向処理を施した。その後、ホットプレスを用い、成形圧5トン/cm2、金型温度600℃の条件下で5分間保持することにより、磁場配向された板状のプレ成形体(高抵抗化磁石)を得た。得られたプレ成形体のサイズは縦1cm×横1cm×厚さ0.13cmであった。なお、同様の操作を繰り返すことにより、同一のプレ成形体を2つ作製した。
(磁石成形体の作製)
上記で作製した2つのプレ成形体および上記で作製した異方性バルク磁石を、当該プレ成形体によって当該異方性バルク磁石を挟持するように、底面が1cm×1cmの正方形を有する超硬の金型に配置した。この際、プレ成形体および異方性バルク磁石の配置は、これらの縦および横が揃うように、かつ、それぞれの磁化方向が平行になるように行なった。その後、ホットプレスを用い、成形圧5トン/cm2、金型温度600℃の条件下で5分間保持することにより、本実施例の磁石成形体を作製した。
上記で作製した2つのプレ成形体および上記で作製した異方性バルク磁石を、当該プレ成形体によって当該異方性バルク磁石を挟持するように、底面が1cm×1cmの正方形を有する超硬の金型に配置した。この際、プレ成形体および異方性バルク磁石の配置は、これらの縦および横が揃うように、かつ、それぞれの磁化方向が平行になるように行なった。その後、ホットプレスを用い、成形圧5トン/cm2、金型温度600℃の条件下で5分間保持することにより、本実施例の磁石成形体を作製した。
<実施例2>
異方性バルク磁石として、従来公知のNd−Fe−B系異方性焼結磁石(信越化学工業株式会社製、Nd−Fe−B系焼結磁石(品種:N45)、サイズ:縦1cm×横1cm×厚さ0.39cm)を準備した。なお、当該焼結磁石は着磁された状態であった。また、上述した実施例1と同様の手法により、高抵抗化磁石粉末およびプレ成形体(2つ)を調製・作製した。
異方性バルク磁石として、従来公知のNd−Fe−B系異方性焼結磁石(信越化学工業株式会社製、Nd−Fe−B系焼結磁石(品種:N45)、サイズ:縦1cm×横1cm×厚さ0.39cm)を準備した。なお、当該焼結磁石は着磁された状態であった。また、上述した実施例1と同様の手法により、高抵抗化磁石粉末およびプレ成形体(2つ)を調製・作製した。
(磁石成形体の作製)
上記で準備した2つのプレ成形体および異方性バルク磁石を、当該プレ成形体によって当該異方性バルク磁石を挟持するように、底面が1cm×1cmの正方形を有する超硬の金型に配置した。この際、プレ成形体および異方性バルク磁石の配置は、これらの縦および横が揃うように、かつ、それぞれの磁化方向が平行になるように行なった。また、プレ成形体と異方性バルク磁石の2つの界面のそれぞれに、上述した実施例1で調製した希土類磁石粉末を1.0gずつ平らに配置した。その後、ホットプレスを用い、成形圧5トン/cm2、金型温度600℃の条件下で5分間保持することにより、本実施例の磁石成形体を作製した。
上記で準備した2つのプレ成形体および異方性バルク磁石を、当該プレ成形体によって当該異方性バルク磁石を挟持するように、底面が1cm×1cmの正方形を有する超硬の金型に配置した。この際、プレ成形体および異方性バルク磁石の配置は、これらの縦および横が揃うように、かつ、それぞれの磁化方向が平行になるように行なった。また、プレ成形体と異方性バルク磁石の2つの界面のそれぞれに、上述した実施例1で調製した希土類磁石粉末を1.0gずつ平らに配置した。その後、ホットプレスを用い、成形圧5トン/cm2、金型温度600℃の条件下で5分間保持することにより、本実施例の磁石成形体を作製した。
<比較例1>
上述した実施例1で作製した異方性バルク磁石を、底面が1cm×1cmの正方形を有する超硬の金型に配置した。この際、異方性バルク磁石の厚さ方向に垂直な2つの面に接するように、上述した実施例1で調製した希土類磁石粉末をそれぞれ1gずつ平らに配置した。その後、ホットプレスを用い、成形圧5トン/cm2、金型温度600℃の条件下で5分間保持することにより、本比較例の磁石成形体を作製した。
上述した実施例1で作製した異方性バルク磁石を、底面が1cm×1cmの正方形を有する超硬の金型に配置した。この際、異方性バルク磁石の厚さ方向に垂直な2つの面に接するように、上述した実施例1で調製した希土類磁石粉末をそれぞれ1gずつ平らに配置した。その後、ホットプレスを用い、成形圧5トン/cm2、金型温度600℃の条件下で5分間保持することにより、本比較例の磁石成形体を作製した。
<比較例2>
希土類磁石粉末に代えて上述した実施例1で調製した高抵抗化磁石粉末を金型内に配置したこと以外は、上述した比較例1と同様の手法により、本比較例の磁石成形体を作製した。
希土類磁石粉末に代えて上述した実施例1で調製した高抵抗化磁石粉末を金型内に配置したこと以外は、上述した比較例1と同様の手法により、本比較例の磁石成形体を作製した。
<比較例3>
上述した実施例2と同様のNd−Fe−B系異方性焼結磁石(信越化学工業株式会社製、Nd−Fe−B系焼結磁石(品種:N45)、サイズ:縦1cm×横1cm×厚さ0.38cm)を準備した。準備した磁石をホットプレスの炉内に入れ、試験片表面の温度が350℃となるまで昇温し、350℃の温度で1時間保持した。次いで、アルゴンガスで炉内を置換した後に炉内を真空にし、無加圧状態で熱消磁した。
上述した実施例2と同様のNd−Fe−B系異方性焼結磁石(信越化学工業株式会社製、Nd−Fe−B系焼結磁石(品種:N45)、サイズ:縦1cm×横1cm×厚さ0.38cm)を準備した。準備した磁石をホットプレスの炉内に入れ、試験片表面の温度が350℃となるまで昇温し、350℃の温度で1時間保持した。次いで、アルゴンガスで炉内を置換した後に炉内を真空にし、無加圧状態で熱消磁した。
上述した実施例1で調製した高抵抗化磁石粉末0.8g、上述した実施例1で調製した希土類磁石粉末0.2g、上記で準備した異方性焼結磁石、前記希土類磁石粉末0.2g、および前記高抵抗化磁石粉末0.8gをこの順に、底面が1cm×1cmの正方形を有する超硬の金型に配置した。次いで、この金型を2000kA/mの磁場中で5分間配向処理を施した。その後、ホットプレスを用い、成形圧5トン/cm2、金型温度600℃の条件下で5分間保持することにより、本比較例の磁石成形体を作製した。
<比較例4>
異方性磁石を構成する希土類磁石粉末に代えて、上述した実施例1で調製した高抵抗化磁石粉末を用いたこと以外は、上述した比較例2と同様の手法により、磁石成形体を作製した。
異方性磁石を構成する希土類磁石粉末に代えて、上述した実施例1で調製した高抵抗化磁石粉末を用いたこと以外は、上述した比較例2と同様の手法により、磁石成形体を作製した。
<磁石特性の測定>
1600kA/mの磁場を発生できる市販の直流磁気磁束計を用いて、上記の各実施例および各比較例で作製した磁石成形体の磁石特性(最大エネルギー積(BH)maxおよび保磁力HcJ)を測定した。測定には直流磁気磁束計(東英工業株式会社製、TRF−5AH型)を用い、20℃における磁石成形体の磁石特性を測定した。また、各磁石成形体の表面にK熱電対を設置し、9kHz、0.003T(30Gauss)の交流磁場を5分間印加した。そしてこの交流磁場印加時の磁石成形体の温度(最高値)を測定した。これらの結果を下記の表1に示す。なお、それぞれの結果の値は実施例2の値を100%とした場合の相対値として示される。(BH)maxおよびHcJは値が大きいほど好ましく、表面温度は値が小さいほど好ましい。
1600kA/mの磁場を発生できる市販の直流磁気磁束計を用いて、上記の各実施例および各比較例で作製した磁石成形体の磁石特性(最大エネルギー積(BH)maxおよび保磁力HcJ)を測定した。測定には直流磁気磁束計(東英工業株式会社製、TRF−5AH型)を用い、20℃における磁石成形体の磁石特性を測定した。また、各磁石成形体の表面にK熱電対を設置し、9kHz、0.003T(30Gauss)の交流磁場を5分間印加した。そしてこの交流磁場印加時の磁石成形体の温度(最高値)を測定した。これらの結果を下記の表1に示す。なお、それぞれの結果の値は実施例2の値を100%とした場合の相対値として示される。(BH)maxおよびHcJは値が大きいほど好ましく、表面温度は値が小さいほど好ましい。
表1に示す結果から、本発明によれば、優れた磁気特性を維持しつつ、渦電流に起因する磁石の温度上昇を十分に抑制する(すなわち、十分に高い電気抵抗を発現させる)ことが可能となることが示される。
なお、比較例1、2および4において十分な磁石特性が得られなかったことについては、以下の理由が推定される。すなわち、HDDR粉末または高抵抗化磁石粉末が内部コア構造を構成する磁石の磁場分布の影響で偏ってしまい、その結果、磁石の周囲に均一な絶縁層が形成できず、さらに磁石の配向が十分になされなかったためである。
また、比較例3では消磁状態の焼結磁石を用いており、上記の問題点は解決されていると考えられる。にもかかわらず十分な磁石特性が得られなかったことについては、以下の理由が推定される。すなわち、比較例3では焼結磁石が消磁状態であるため、当該磁石とともに金型中に配置された高抵抗化磁石粉末は略等方的に存在する。そしてそのままホットプレスにより一体化されているため、絶縁層に十分に異方性が付与されず、その結果として十分な磁石特性が達成できなかったと考えられる。
1 磁石成形体、
2 異方性磁石、
3 絶縁層、
4 連結層、
11 u相巻線、
12 u相巻線、
13 v相巻線、
14 v相巻線、
15 w相巻線、
16 w相巻線、
17 アルミケース、
18 ステータ、
19 磁石、
20 ロータ鉄、
21 軸。
2 異方性磁石、
3 絶縁層、
4 連結層、
11 u相巻線、
12 u相巻線、
13 v相巻線、
14 v相巻線、
15 w相巻線、
16 w相巻線、
17 アルミケース、
18 ステータ、
19 磁石、
20 ロータ鉄、
21 軸。
Claims (11)
- 異方性磁石と、
前記異方性磁石の表面の少なくとも一部に配置され、絶縁皮膜を有する磁石粉末が緻密化されてなる絶縁層と、
を有し、前記異方性磁石の磁化方向と前記絶縁層の磁化方向とが略平行であり、前記異方性磁石と前記絶縁層とが、前記絶縁層の耐熱温度以下の温度で液相を生じる連結層により連結されてなる、磁石成形体。 - 前記絶縁層が前記異方性磁石の全表面に配置されている、請求項1に記載の磁石成形体。
- 前記異方性磁石が異方性希土類磁石である、請求項1または2に記載の磁石成形体。
- 前記異方性希土類磁石がHDDR法により作製された粉末からなる異方性希土類磁石であり、前記連結層が前記異方性希土類磁石由来である、請求項3に記載の磁石成形体。
- 前記異方性希土類磁石が焼結磁石であり、前記連結層がHDDR法により作製された粉末が緻密化されてなる層である、請求項3に記載の磁石成形体。
- 前記異方性磁石がNd−Fe−B系磁石である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の磁石成形体。
- HDDR法により作製された粉末からなる異方性磁石を準備する工程と、
絶縁皮膜を有する磁石粉末が異方性化および緻密化されてなるプレ成形体を準備する工程と、
前記異方性磁石と前記プレ成形体とを、これらの磁化方向が略平行となるように並べて配置する工程と、
前記異方性磁石と前記プレ成形体とをホットプレスにより一体化して磁石成形体を得る工程と、
を含む、磁石成形体の製造方法。 - 異方性磁石を準備する工程と、
絶縁皮膜を有する磁石粉末が異方性化および緻密化されてなるプレ成形体を準備する工程と、
前記異方性焼結磁石と前記プレ成形体とを、これらの磁化方向が略平行となるように、かつ、これらの間にHDDR法により作製された異方性磁石の粉末が存在するように並べて配置する工程と、
前記異方性磁石と前記プレ成形体とをホットプレスにより一体化して磁石成形体を得る工程と、
を含む、磁石成形体の製造方法。 - 前記異方性磁石が異方性希土類磁石である、請求項8または9に記載の製造方法。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の磁石成形体、または請求項8〜10のいずれか1項に記載の製造方法により製造された磁石成形体を用いた、モータ。
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2008
- 2008-05-20 JP JP2008132284A patent/JP2009283568A/ja active Pending
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