JP2009283257A - 膜電極接合体及び燃料電池 - Google Patents

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Hitoshi Koda
仁 甲田
Shinichi Onodera
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Akiko Fujisawa
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Abstract

【課題】出力性能が改善された膜電極接合体及び燃料電池を提供する。
【解決手段】カソード2と、アノード3と、前記カソード2及び前記アノード3の間に配置された電解質膜4とを具備する膜電極接合体1であって、前記カソード2及び前記アノード3のうち少なくとも一方の電極は、前記電解質膜4と対向する触媒層と、ガス拡散層と、前記触媒層及び前記ガス拡散層の間に配置され、王研式透気度試験機での透気抵抗度が30ガーレ秒以上の多孔質層とを含み、前記ガス拡散層と前記多孔質層との合計厚さが450〜700μmの範囲であることを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、膜電極接合体及び燃料電池に関するもので、特に小型の液体燃料直接供給型燃料電池に好適なものである。
近年、リチウムイオン二次電池に代わって、小型の燃料電池が注目を集めている。特に、メタノールを燃料として用いた直接メタノール型燃料電池(Direct Methanol Fuel Cell:DMFC)は、水素ガスを使用する燃料電池に比べ、水素ガスの取り扱いの困難さや、有機燃料を改質して水素を作り出す装置等が必要なく、小型化に優れている。
DMFCでは、アノード(例えば燃料極)においてメタノールが酸化分解され、二酸化炭素、プロトンおよび電子が生成する。一方、カソード(例えば空気極)では、空気から得られる酸素と、電解質膜を経て燃料極から供給されるプロトン、および燃料極から外部回路を通じて供給される電子によって水が生成する。また、この外部回路を通る電子によって、電力が供給されることになる。
DMFCにおいては、このような構成で発電を進めるために、メタノールを供給するポンプや空気を送り込むブロワが補器として備えられ、システムとして複雑な形態を成したDMFCが開発されてきた。そのため、この構造のDMFCでは、小型化を図ることは難しかった。
そこで、メタノールをポンプで供給するのではなく、メタノール収容室と発電素子の間にメタノールの分子を通す膜を設け、メタノールを透過させる代わりに、メタノール収容室を発電素子の近傍まで近づけることで小型化が進められた。また、空気の取り入れについては、ブロワを用いず、発電素子に直接取り付けた吸気口を設置することで、小型DMFCが構築された(例えば、特許文献1参照)。しかし、このような小型DMFCは、機構が簡略化された代わりに、温度などの外部環境要因の影響を受けた場合、発電素子に一定量のメタノールを送ることが難しくなっている。このため、出力を安定して高く発電することが困難となっていた。
そこで、特許文献2には、メタノールの供給量を制御するために、燃料収容室部分と負極の間に多孔体を設置し、メタノール供給量を絞る技術が開示されている。
また、特許文献3には、空孔をもつカーボン基体に触媒を染み込ませる触媒層が開示されており、かつ電解質膜に直接触媒を形成する方法が開示されている。
特開2007−157462号公報 特開2004−171844号公報 米国特許公報US6,221,523B1
本発明は、出力性能が改善された膜電極接合体及び燃料電池を提供しようとするものである。
本発明に係る膜電極接合体は、カソードと、アノードと、前記カソード及び前記アノードの間に配置された電解質膜とを具備する膜電極接合体であって、
前記カソード及び前記アノードのうち少なくとも一方の電極は、前記電解質膜と対向する触媒層と、ガス拡散層と、前記触媒層及び前記ガス拡散層の間に配置され、王研式透気度試験機での透気抵抗度が30ガーレ秒以上の多孔質層とを含み、
前記ガス拡散層と前記多孔質層との合計厚さが450〜700μmの範囲であることを特徴とする。
また、本発明に係る燃料電池は、前記膜電極接合体を具備することを特徴とする。
本発明によれば、出力性能が改善された膜電極接合体及び燃料電池を提供することができる。
(第1の発明の実施形態)
第1の発明の実施形態に係る膜電極接合体及び燃料電池は、カソードに王研式透気度試験機での透気抵抗度が30ガーレ秒以上であるカソード多孔質層を用いることを特徴とする。カソード多孔質層は、カソード触媒層とカソードガス拡散層との間に配置することができる。カソード多孔質層とカソードガス拡散層との合計厚さは450〜700μmの範囲にする。
カソード触媒層とカソードガス拡散層との間に透気抵抗度が30ガーレ秒以上であるカソード多孔質層を配置することによって、発電によりカソード触媒層に生成した水の蒸発が抑えられるため、カソード触媒層に生成した水の大部分を電解質膜を通してアノードに戻すことができる。その結果、アノード側での反応が十分に行われる。
カソード多孔質層の透気抵抗度が30ガーレ秒以上であっても、カソード多孔質層とカソードガス拡散層との合計厚さが450μm未満であると、アノード側に十分な量の水を供給することができないため、出力が低下するだけでなく、フラッティングにより出力が不安定となる。また、合計厚さが700μmを超えると、酸化剤ガス(空気)の拡散性が劣化し、カソード触媒層への空気の供給不足によって出力が低下する。
カソード多孔質層の透気抵抗度を30ガーレ秒以上とし、かつ合計厚さを450〜700μmの範囲にすることによって、カソード触媒層への空気取り込み効率を高くすることができ、かつカソード触媒層からアノード触媒層へ十分な量の水を供給することができるため、燃料電池の出力を向上することができる。特に、カソード多孔質層の厚さを180μm〜360μmの範囲にすると共に、カソードガス拡散層の厚さを150〜350μmの範囲内にすることによって、長期出力性能を向上することができる。
カソード多孔質層の透気抵抗度は、30ガーレ秒以上であれば特に限定されるものではないが、透気抵抗度が500ガーレ秒を超えるカソード多孔質層では、気体の透過が困難となり、出力が上がらない恐れがある。このため、透気抵抗度は、30〜500ガーレ秒の範囲にすることが望ましい。透気抵抗度のより好ましい範囲は、30ガーレ秒以上、300ガーレ秒以下である。
カソード多孔質層は、カーボンペーパーからなる多孔質基材と、多孔質基材の両面に形成され、炭素材料及び撥水剤を含む多孔質膜とを備えるものであることが望ましい。多孔質膜の1層当たりの厚さは30〜60μmにすることができる。撥水剤には、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のようなフッ素系樹脂等を挙げることができる。一方、炭素材料には、ケッチェンブラック、プリンテックス、カーボンナノチューブなどが挙げられ、粒子(例えば、球状粒子、扁平状粒子)もしくは繊維の形態を有する炭素材料であれば特に限定されるものではない。特に、炭素材料の微粒子もしくは炭素材料のナノ繊維が好適である。
カソード多孔質層は、例えば、以下に説明する方法で作製される。基材としてのカーボンペーパーに、炭素材料と撥水剤とを含むスラリーをスプレーコート法にて塗布し、乾燥もしくは焼成することにより、カソード多孔質層が得られる。また、スラリー中に撥水剤を添加する代わりに、撥水剤を含まないスラリーを用いてカソード多孔質層を作製した後、得られたカソード多孔質層を撥水剤の溶液に浸漬処理しても良い。なお、カーボンペーパーには、撥水処理が施されていても、いなくても良い。撥水処理には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のようなフッ素系樹脂を使用することができる。
カソード多孔質層の透気抵抗度は、例えば、下記の(1)〜(5)の方法により30ガーレ秒以上に設定することができる。
(1)カソード多孔質層が導電性物質として炭素材料を含む場合には、炭素材料のかさ密度や形状を選択することにより、透気抵抗度を前述した範囲内に設定することができる。
(2)カソード多孔質層が炭素材料及び撥水剤を含む場合には、炭素材料と撥水剤との比率を調整することにより、透気抵抗度を前述した範囲内に設定することができる。炭素材料の量を増加させると透気抵抗度を低下させることができ、撥水剤の量を増加させると透気抵抗度を高くすることができる。
(3)基材に塗布するスラリー量を調整することによって透気抵抗度を前述した範囲内に設定することができる。塗布量を増やすと透気抵抗度を高くすることができ、塗布量を減らすと透気抵抗度を低くすることができる。
(4)上記製造方法における基材にスラリーを塗布する工程でノズルを使用する場合には、ノズル条件、例えばノズル種類、吐出圧、吐出量、吐出距離、吐出時間等を変更すると、スラリーの塗布により形成された膜の密度や膜の表面状態が変わるため、透気抵抗度を前述した範囲内に設定することができる。一般に、膜の表面の平滑性を高めることにより透気抵抗度を増加させることができ、表面粗さを大きくすることにより透気抵抗度を低下させることができる。また、塗布膜の密度を低くすることにより、透気抵抗度を低下させることができる。
(5)上記製造方法により得られた膜にプレスを施すと、物理的に膜の密度が高くなるため、膜の表面が滑らかになり、透気抵抗度を高くすることができ、透気抵抗度を前述した範囲内に設定することができる。
カソード多孔質層の厚さは、180μm〜360μmの範囲にすることが望ましい。これにより、カソード触媒層からアノード触媒層への水の供給量を増加させることができると共に、カソード触媒層への空気供給量を十分なものにすることができる。
カソード多孔質層は、孔径が50nm以上、100μm以下であることが好ましい。
カソードガス拡散層には、例えば、撥水処理の施されたカーボンペーパーを使用することができる。撥水処理には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のようなフッ素系樹脂を使用することができる。
カソードガス拡散層の撥水度は5〜40重量%の範囲にすることが望ましい。
カソードガス拡散層の厚さは150〜350μmの範囲内にすることが望ましい。これにより、カソード触媒層からアノード触媒層への水の供給量を増加させることができると共に、カソード触媒層への空気供給量を十分なものにすることができる。
カソード触媒層に含有される触媒としては、例えば、白金族元素である、Pt、Ru、Rh、Ir、Os、Pd等の単体金属、白金族元素を含有する合金などを挙げることができる。具体的には、白金やPt−Niなどを用いることが好ましいが、これらに限定されるものではない。また、炭素材料のような導電性担持体を使用する担持触媒、あるいは無担持触媒を使用してもよい。
カソード触媒層に含有されるプロトン伝導性材料としては、例えば、スルホン酸基を有するフッ素系樹脂(デュポン社製の商品名ナフィオン(登録商標)や旭硝子社製の商品名フレミオン(登録商標)のようなパーフルオロスルホン酸重合体等)、スルホン酸基を有する炭化水素系樹脂、無機物(例えば、タングステン酸、リンタングステン酸、硝酸リチウムなど)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
カソード触媒層の厚さは、30〜60μmにすることができる。
(第2の発明の実施形態)
第2の発明の実施形態に係る膜電極接合体及び燃料電池は、アノードに王研式透気度試験機での透気抵抗度が30ガーレ秒以上であるアノード多孔質層を用いることを特徴とする。アノード多孔質層は、アノード触媒層とアノードガス拡散層との間に配置することができる。アノード多孔質層とアノードガス拡散層との合計厚さは450〜700μmの範囲にする。
発電によりカソードに生成した水は、電解質膜を透過してアノード触媒層に供給されてアノード側での反応に利用されるが、一部はアノード触媒層を透過する。アノード触媒層とアノードガス拡散層との間に透気抵抗度が30ガーレ秒以上のアノード多孔質層を配置することによって、液体の水の透過を阻止することができるため、アノードガス拡散層の水による目詰まりを抑制することができる。また、燃料としてメタノールのような液体燃料を使用する場合には、アノード多孔質層に保持された水も燃料の希釈に利用されるため、燃料効率を良化することができる。
アノード多孔質層の透気抵抗度が30ガーレ秒以上であっても、アノード多孔質層とアノードガス拡散層との合計厚さが450μm未満である場合には、カソードへの燃料のクロスオーバーが増加するため、出力が低下する。また、合計厚さが700μmを超えると、アノードでの燃料拡散が劣るため、アノード触媒層への燃料供給量が不足し、出力が低下する。
透気抵抗度が30ガーレ秒以上のアノード多孔質層とアノードガス拡散層との合計厚さを450〜700μmの範囲にすることによって、アノードガス拡散層の水による目詰まりの抑制と、クロスオーバーの減少と、アノード触媒層への燃料拡散の促進とを図ることができるため、燃料電池の出力性能を向上することができる。特に、アノード多孔質層の厚さを180μm〜360μmの範囲にすると共に、アノードガス拡散層の厚さを150〜350μmの範囲内にすることによって、長期出力性能を向上することができる。
アノード多孔質層の透気抵抗度は、30ガーレ秒以上であれば特に限定されるものではないが、透気抵抗度が500ガーレ秒を超えるアノード多孔質層を気体の燃料が透過することが困難となり、出力が上がらない恐れがある。このため、透気抵抗度は、30〜500ガーレ秒の範囲にすることが望ましい。透気抵抗度のより好ましい範囲は、30ガーレ秒以上、300ガーレ秒以下である。
アノード多孔質層は、カーボンペーパーからなる多孔質基材と、多孔質基材の両面に形成され、炭素材料及び撥水剤を含む多孔質膜とを備えるものであることが望ましい。多孔質膜の1層当たりの厚さは30〜60μmにすることができる。撥水剤には、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のようなフッ素系樹脂等を挙げることができる。一方、炭素材料には、ケッチェンブラック、プリンテックス、カーボンナノチューブなどが挙げられ、粒子(例えば、球状粒子、扁平状粒子)もしくは繊維の形態を有する炭素材料であれば特に限定されるものではない。特に、炭素材料の微粒子もしくは炭素材料のナノ繊維が好適である。
アノード多孔質層は、例えば、以下に説明する方法で作製される。基材としてのカーボンペーパーに、炭素材料と撥水剤と溶媒とを含むスラリーをスプレーコート法にて塗布し、乾燥もしくは焼成することにより、アノード多孔質層が得られる。スラリー中に撥水剤を添加する代わりに、撥水剤を含まないスラリーを用いてアノード多孔質層を作製した後、得られたアノード多孔質層を撥水剤の溶液に浸漬処理しても良い。なお、カーボンペーパーには、撥水処理が施されていても、いなくても良い。撥水処理には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のようなフッ素系樹脂を使用することができる。
アノード多孔質層の透気抵抗度は、例えば、下記の(1)〜(5)の方法により30ガーレ秒以上に設定することができる。
(1)アノード多孔質層が導電性物質として炭素材料を含む場合には、炭素材料のかさ密度や形状を選択することにより、透気抵抗度を前述した範囲内に設定することができる。
(2)アノード多孔質層が炭素材料及び撥水剤を含む場合には、炭素材料と撥水剤との比率を調整することにより、透気抵抗度を前述した範囲内に設定することができる。炭素材料の量を増加させると透気抵抗度を低下させることができ、撥水剤の量を増加させると透気抵抗度を高くすることができる。
(3)基材に塗布するスラリー量を調整することによって透気抵抗度を前述した範囲内に設定することができる。塗布量を増やすと透気抵抗度を高くすることができ、塗布量を減らすと透気抵抗度を低くすることができる。
(4)上記製造方法における基材にスラリーを塗布する工程でノズルを使用する場合には、ノズル条件、例えばノズル種類、吐出圧、吐出量、吐出距離、吐出時間等を変更すると、スラリーの塗布により形成された膜の密度や膜の表面状態が変わるため、透気抵抗度を前述した範囲内に設定することができる。一般に、膜の表面の平滑性を高めることにより透気抵抗度を増加させることができ、表面粗さを大きくすることにより透気抵抗度を低下させることができる。また、塗布膜の密度を低くすることにより、透気抵抗度を低下させることができる。
(5)上記製造方法により得られた膜にプレスを施すと、物理的に膜の密度が高くなるため、膜の表面が滑らかになり、透気抵抗度を高くすることができ、透気抵抗度を前述した範囲内に設定することができる。
アノード多孔質層の厚さは、180μm〜360μmの範囲にあることが望ましい。これにより、アノード触媒層への燃料拡散の促進と、カソードへの燃料のクロスオーバーの抑制とを図ることができる。
アノード多孔質層は、孔径が50nm以上、100μm以下であることが好ましい。
アノードガス拡散層には、例えば、撥水処理の施されたカーボンペーパーを使用することができる。撥水処理には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のようなフッ素系樹脂を使用することができる。
アノードガス拡散層の撥水度は5〜40重量%の範囲にすることが望ましい。
アノードガス拡散層の厚さは150〜350μmの範囲内にすることが望ましい。これにより、アノード触媒層への燃料拡散の促進と、カソードへの燃料のクロスオーバーの抑制とを図ることができる。
アノード触媒層に含有される触媒としては、例えば、白金族元素である、Pt、Ru、Rh、Ir、Os、Pd等の単体金属、白金族元素を含有する合金などを挙げることができる。具体的には、燃料極側の触媒として、メタノールや一酸化炭素に対して強い耐性を有するPt−RuやPt−Moなどを用いることが好ましいが、これらに限定されるものではない。また、炭素材料のような導電性担持体を使用する担持触媒、あるいは無担持触媒を使用してもよい。
アノード触媒層に含有されるプロトン伝導性材料としては、例えば、スルホン酸基を有するフッ素系樹脂(デュポン社製の商品名ナフィオン(登録商標)や旭硝子社製の商品名フレミオン(登録商標)のようなパーフルオロスルホン酸重合体等)、スルホン酸基を有する炭化水素系樹脂、無機物(例えば、タングステン酸、リンタングステン酸、硝酸リチウムなど)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
アノード触媒層の厚さは、50〜100μmにすることができる。
(第3の発明の実施形態)
第3の発明の実施形態に係る膜電極接合体及び燃料電池は、第1の実施形態に係るカソードと、第2の実施形態に係るアノードとを備える。
(I)このような構成によれば、発電によりカソード触媒層に生成した水の蒸発が抑えられるため、カソード触媒層に生成した水の大部分を電解質膜を通してアノードに戻すことができる。カソードからアノードへ水が円滑に供給されることから、カソードガス拡散層のフラッティングを抑制できるため、カソード触媒層に十分に空気を供給することができ、カソード側での反応が十分に行われる。
(II)アノード触媒層に供給された水は、アノード触媒層とアノード多孔質層との界面に保持されることから、アノードガス拡散層の水による目詰まりを抑制することができる。これにより、アノードガス拡散層からアノード触媒層に燃料が速やかに供給されるため、アノード側での反応が十分に行われる。また、燃料としてメタノールのような液体燃料を使用する場合には、アノード多孔質層に保持された水も燃料の希釈に利用されるため、燃料効率を良化することができる。
(III)さらに、カソード側への燃料のクロスオーバーも抑制することができる。
上記(I)〜(III)の結果、燃料電池の出力性能を向上することができる。
本実施形態に係る膜電極接合体及び燃料電池の一例を図1〜図4に示す。
図1に示すように、膜電極接合体1は、図1に示すように、カソード(空気極)2と、アノード(燃料極)3と、空気極2及び燃料極3の間に配置されたプロトン(水素イオン)伝導性の電解質膜4とから構成される。空気極2は、電解質膜4の一方の面と対向している空気極触媒層5と、空気極触媒層5に積層された空気極多孔質層(カソード多孔質層)6と、空気極多孔質層6に積層された空気極ガス拡散層7とを有する。
空気極多孔質層6は、図2に示すように、カーボンペーパーからなる導電性多孔質基材6aと、導電性多孔質基材6aの両面に形成され、撥水剤及び炭素材料を含む多孔質膜6b,6cとを有する。空気極多孔質層6は、王研式透気度試験機での透気抵抗度が30ガーレ秒以上である。空気極ガス拡散層7と接している多孔質膜6bは、二層構造を有し、その厚さが、空気極触媒層5と接している多孔質膜6cに比して厚い。これにより、空気極触媒層5からの水の蒸発を抑制する効果を高めることができる。
燃料極3は、電解質膜4の他方の面と対向している燃料極触媒層8と、燃料極触媒層8に積層された燃料極多孔質層(アノード多孔質層)9と、燃料極多孔質層9に積層された燃料極ガス拡散層10とを有する。燃料極多孔質層9は、カーボンペーパーからなる導電性多孔質基材9aと、導電性多孔質基材9aの両面に形成され、撥水剤及び炭素材料を含む多孔質膜9b,9cとを有する。燃料極多孔質層9は、王研式透気度試験機での透気抵抗度が30ガーレ秒以上である。燃料極ガス拡散層10と接している多孔質膜9bの厚さは、燃料極触媒層8と接している多孔質膜9cに比して厚い。これにより、燃料極ガス拡散層10の水による目詰まりを抑制する効果を高めることができる。
空気極ガス拡散層7は、空気極触媒層5に酸化剤を均一に供給する役割を果たすと同時に、空気極触媒層5の集電体も兼ねている。一方、燃料極ガス拡散層10は、燃料極触媒層8に燃料を均一に供給する役割を果たすと同時に、燃料極触媒層8の集電体も兼ねている。
電解質膜4に含まれるプロトン伝導性材料としては、例えば、スルホン酸基を有するフッ素系樹脂(デュポン社製の商品名ナフィオン(登録商標)や旭硝子社製の商品名フレミオン(登録商標)のようなパーフルオロスルホン酸重合体等)、スルホン酸基を有する炭化水素系樹脂、無機物(例えば、タングステン酸、リンタングステン酸、硝酸リチウムなど)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
この膜電極接合体1に燃料を供給する燃料分配機構11と、液体燃料を収容する燃料収容部12と、これら燃料分配機構11と燃料収容部12とを接続する流路13とから主として構成されている。
上記膜電極接合体1を備えた燃料電池を図3及び図4を参照して説明する。
図3及び図4に示す燃料電池は、膜電極接合体1と、この膜電極接合体1に燃料を供給する燃料分配機構11と、液体燃料を収容する燃料収容部12と、これら燃料分配機構11と燃料収容部12とを接続する流路13とから主として構成されている。
膜電極接合体1の燃料極ガス拡散層10及び空気極ガス拡散層7には、必要に応じて導電層14が積層される。これら導電層14としては、例えば、金、ニッケルなどの金属材料からなる多孔質層(例えばメッシュ)または箔体、あるいはステンレス鋼(SUS)などの導電性金属材料に金などの良導電性金属を被覆した複合材などが用いられる。電解質膜4と燃料分配機構11およびカバープレート15との間には、それぞれゴム製のOリング16が介在されており、これらによって膜電極接合体(MEA)1からの燃料漏れや酸化剤漏れを防止している。
図示を省略したが、カバープレート15は酸化剤である空気を取入れるための開口部を有している。カバープレート15とカソード2との間には、必要に応じて保湿層や表面層が配置される。保湿層は空気極触媒層5で生成された水の一部が含浸されて、水の蒸散を抑制すると共に、空気極触媒層5への空気の均一拡散を促進するものである。表面層は空気の取入れ量を調整するものであり、空気の取入れ量に応じて個数や大きさ等が調整された複数の空気導入口を有している。このようなカバープレート15を備えることにより、酸化剤を供給するためのブロワを用いることなく、酸化剤をカソード2に自然供給することができる。なお、酸化剤は、空気に限定されるものではなく、O2を含むガスを使用可能である。
燃料収容部12には、膜電極接合体1に対応した液体燃料が収容されている。液体燃料としては、各種濃度のメタノール水溶液や純メタノール等のメタノール燃料が挙げられる。液体燃料は必ずしもメタノール燃料に限られるものではない。液体燃料は、例えばエタノール水溶液や純エタノール等のエタノール燃料、プロパノール水溶液や純プロパノール等のプロパノール燃料、グリコール水溶液や純グリコール等のグリコール燃料、ジメチルエーテル、ギ酸、その他の液体燃料であってもよい。いずれにしても、燃料収容部12には膜電極接合体1に応じた液体燃料が収容される。
液体燃料の種類や濃度は限定されるものではない。ただし、複数の燃料排出口22を有する燃料分配機構11の特徴がより顕在化するのは燃料濃度が濃い場合である。このため、燃料電池は、濃度が80%以上のメタノール水溶液もしくは純メタノールを液体燃料として用いた場合に、その性能や効果を特に発揮することができる。
膜電極接合体1のアノード(燃料極)3側には、燃料分配機構11が配置されている。燃料分配機構11は配管のような液体燃料の流路13を介して燃料収容部12と接続されている。燃料分配機構11には燃料収容部12から流路13を介して液体燃料が導入される。流路13は燃料分配機構11や燃料収容部12と独立した配管に限られるものではない。例えば、燃料分配機構11と燃料収容部12とを積層して一体化する場合、これらを繋ぐ液体燃料の流路であってもよい。燃料分配機構11は流路13を介して燃料収容部12と接続されていればよい。
液体燃料を燃料収容部12から燃料分配機構11まで送る機構は特に限定されるものではない。例えば、使用時の設置場所が固定される場合には、重力を利用して液体燃料を燃料収容部12から燃料分配機構11まで落下させて送液することができる。また、多孔体等を充填した流路13を用いることによって、毛細管現象で燃料収容部12から燃料分配機構11まで送液することができる。さらに、燃料収容部12から燃料分配機構11への送液は、図3に示すように、ポンプ17で実施してもよい。あるいは、燃料分配機構11から膜電極接合体1への燃料供給が行われる構成であればポンプ17に代えて燃料遮断バルブを配置する構成とすることも可能である。この場合には、燃料遮断バルブは、流路による液体燃料の供給を制御するために設けられるものである。
燃料分配機構11は、図4に示すように、液体燃料が流路13を介して流入する少なくとも1個の燃料注入口21と、液体燃料やその気化成分を排出する複数個の燃料排出口22とを有する燃料分配板23を備えている。燃料分配板23の内部には図4に示すように、燃料注入口21から導かれた液体燃料の通路となる空隙部24が設けられている。複数の燃料排出口22は燃料通路として機能する空隙部24にそれぞれ直接接続されている。
燃料注入口21から燃料分配機構11に導入された液体燃料は空隙部24に入り、この燃料通路として機能する空隙部24を介して複数の燃料排出口22にそれぞれ導かれる。複数の燃料排出口22には、例えば液体燃料の気化成分のみを透過し、液体成分は透過させない気液分離体(図示せず)を配置してもよい。これによって、膜電極接合体1の燃料極3には液体燃料の気化成分が供給される。なお、気液分離体は燃料分配機構11と燃料極3との間に気液分離膜等として設置してもよい。液体燃料の気化成分は複数の燃料排出口22から燃料極3の複数個所に向けて排出される。
燃料排出口22は膜電極接合体1の全体に燃料を供給することが可能なように、燃料分配板23の燃料極3と対向する面に複数設けられている。燃料排出口22の個数は2個以上であればよいが、膜電極接合体1の面内における燃料供給量を均一化する上で、0.1〜10個/cm2の燃料排出口22が存在するように形成することが好ましい。燃料排出口22の個数が0.1個/cm2未満であると、膜電極接合体1に対する燃料供給量を十分に均一化することができない。燃料排出口22の個数を10個/cm2を超えて形成しても、それ以上の効果が得られない。
上述した燃料分配機構11に導入された液体燃料は空隙部24を介して複数の燃料排出口22に導かれる。燃料分配機構11の空隙部24はバッファとして機能するため、複数の燃料排出口22からそれぞれ規定濃度の燃料が排出される。そして、複数の燃料排出口22は膜電極接合体1の全面に燃料が供給されるように配置されているため、膜電極接合体1に対する燃料供給量を均一化することができる。
燃料分配機構11から均一に放出された燃料は、燃料極ガス拡散層10及びアノード多孔質層9を拡散して燃料極触媒層8に供給される。燃料としてメタノール燃料を使用する場合には、次の式(a)に示すメタノールの内部改質反応を生じさせる必要がある。
CHOH+HO → CO+6H+6e …式(a)
内部改質反応で生成されたプロトン(H)は、電解質膜4を伝導し、空気極触媒層5に到達する。空気極ガス拡散層7から供給される気体燃料(たとえば空気)は、空気極ガス拡散層7及び空気極多孔質層6を拡散して、空気極触媒に供給される。空気極触媒に供給された空気は、次の式(b)に示す反応を生じる。この反応によって、水が生成され、発電反応が生じる。
(3/2)O+6H+6e → 3HO …式(b)
上記第1〜第3の実施形態で用いられるカソード多孔質層、アノード多孔質層、カソードガス拡散層及びアノードガス拡散層等の各層の厚さは、マイクロメーターにて測定される。
以下、王研式透気度試験機による透気抵抗度について説明する。透気抵抗度の単位であるガーレ秒は、ガーレ法(JIS P8117)に準ずるもので、圧力差0.0132 Kgf/cm2の下で100 cm3の空気が64.5 cm2広さの紙(サンプル)を通過する時間(秒)を意味する。
王研式透気度試験機の規格は、J. TAPPI NO5B(紙パルプ技術協会規格)であり、型式はEGO-2Sである。また、測定端の直径はφ30mmでノズル型名はG,100、またはφ10mmでノズル型名は1/10G,100である。
以下に測定原理を図5〜図7を参照して説明する。
図5は、王研式(背圧式)透気度測定機の模式図を示す。測定端101には、測定サンプル102(例えばアノード多孔質層)が配置されている。測定端101には、細管103を介して水柱圧力計104が接続されている。水柱圧力計104は、細管103に接続された側圧室(B室)105と、ノズルと呼ばれる細管106を介して接続された定圧室(A室)107とを有する。水柱圧力計104の定圧室(A室)107は、細管108を介して外部圧縮源109に接続されている。細管108には、圧力ゲージ110が設けられている。
測定サンプル102には、外部圧縮源109から配管108、定圧室(A室)107、細管106、側圧室(B室)105、及び細管103を通して供給された空気圧が加わる。外部圧縮源109から供給された時点での空気圧は、圧力ゲージ110により測定される。空気圧が加わるのと反対側の面に加わる圧力は、大気圧に保たれる。
測定サンプル102を透過する空気圧は、水柱圧力計104により測定される。測定サンプル102のガーレの透気度TGは、以下に説明する原理に基づいて得られる。
図6に、図5の測定機の流路に関する模式図を示す。図6では、図5で説明したのと同様な部材については同符号を付しているが、側圧室(B室)105の右側に接続されている細管111は、測定サンプル102を見立てたものである。
図6に関して、両細管内の流れが層流の場合は、流量と差圧の関係はハーゲン=ポアゼイユの法則に従う。また、流速が小さい場合は、流路系に連続の法則が適用できる。
C=Q=π/8μ・(PC−P)・R4/L …(1)
Q=π/8μ・P・r4/l …(2)
Cは定圧室(A室)107の圧力で、500mmH2Oの定圧に保たれており、Pは側圧室(B室)105の圧力で、QCはノズル106での流量(cm3/sec)で、Qは細管111での流量(cm3/sec)で、Lはノズル106の長さ(mm)、lは細管111の長さ(mm)で、Rはノズル106の内径(mm)で、rは細管111の内径(mm)で、μは空気の粘性係数である。
図7は、ガーレ式測定機の流路についての模式図で、定圧PGに保たれるG室112の空気が細管113を通じて大気中に放出されることを示している。また、細管113は、測定サンプル102を見立てたものである。図7のG室112及び細管113は、図5で説明したのと同様な法則に従う。
G=π/8μ・PG・r4/l …(3)
G=100/QG…(4)
G=4W/πD2=0.0132(kgf/cm2)…(5)
Gは、JIS P8117により規定される測定部の内筒(W=567g,D=74mm)から算出される。QGは細管113での流量(cm3/sec)で、TGは透気度(sec)である。
上記の式(1),(2),(3),(4)よりTGとPの関係は次式(6)で与えられる。測定機の定数Kが決定されれば、図5の水柱圧力計に直接ガーレの透気度TGを見積もることができる。
G=800μ/πPG・L/R4・P/(PC−P)
=K・P/(PC−P)…(6)
ここで、Kは測定機の定数(K=800μ/πPG・L/R4)であり、細管106の長さL(mm)及び内径R(mm)は設計上定められる。
次いで、燃料極多孔質層9と空気極多孔質層6の撥水度の測定方法を説明する。
まず、膜電極接合体1の最外層表面(例えば燃料極ガス拡散層10の表面)の撥水度を調べるため、水の接触角を以下に説明する方法で測定する。次に、膜電極接合体1の表面をマイクロスコープとマイクロメーターで注意深く確認しながら住友3M製ポリッシングフィルム3M291Xで削り、接触角が増加し、変化が見られなくなったところの接触角を測定し、この値を燃料極多孔質層9の撥水度とする。空気極多孔質層6の撥水度を測定する際には、膜電極接合体1の最外層表面における空気極ガス拡散層7の表面の撥水度の測定から行う。
水の接触角θは、図8に示すように、液滴DRと測定対象物X(ガス拡散層もしくは多孔質層)とが接触する点Pにおける液滴DRの表面カーブに対する接線Lと測定対象物Xの表面とが成す角である。
この接触角θは以下のように測定する。最初に、図9に示すように、マイクロシリンジMで、純水の液滴DRを形成する。本実施形態の場合、液滴(水滴)DRは約0.5マイクロリットルである。
次に、図10に示すように、液滴DRの底を測定対象物Xに付ける。そして、マイクロシリンジMを測定対象物Xから離すと、測定対象物Xの表面に図11に示すように液滴DRが付着する。この状態で、3000ms後に、液滴DRの高さhと、液滴DRの半径rを測定する。ここで、液滴DRの高さhとは、測定対象物Xの界面と液滴DRの頂点との距離である。
接触角θは、図8に示すθ1(=arctan(r/h))の2倍に等しいことから、測定された水滴DRの高さhおよび半径rから、下記の式(A)を用いて接触角θの値が算出される。
θ=2×{arctan(r/h)} 式(A)
上記のように算出された接触角θは、その値が大きいほど、測定対象物の撥水度が高いことを示し、その値が小さいほど測定対象物の撥水度が低いことを示している。
本発明に適用可能な燃料電池は、その形態から、液体燃料と酸化剤の供給をポンプなどの補器を用いて行うアクティブ型燃料電池、液体燃料の気化成分をアノードに供給するパッシブ型(内部気化型)燃料電池、前述した図3〜図4に示すセミパッシブ型の燃料電池などが挙げられる。アクティブ型燃料電池では、メタノール水溶液からなる燃料について、その量が一定になるようにポンプで調整しながらMEAのアノードへ供給する一方、カソードに対しても空気をポンプで供給する方式が採られる。パッシブ型燃料電池では、MEAのアノードに気化したメタノールを自然供給で送り、一方カソードに対しても外部の空気を自然供給することで、ポンプなどの余計な機器を装備しない方式が採られる。セミパッシブ型の燃料電池は、燃料収容部から膜電極接合体に供給された燃料は発電反応に使用され、その後に循環して燃料収容部に戻されることはない。セミパッシブ型の燃料電池では、燃料を循環させないことから、アクティブ方式とは異なるものであり、装置の小型化等を損なうものではない。また、セミパッシブ型の燃料電池は、燃料の供給にポンプを使用しており、内部気化型のような純パッシブ方式とも異なる。なお、このセミパッシブ型の燃料電池では、燃料収容部から膜電極接合体への燃料供給が行われる構成であればポンプに代えて燃料遮断バルブを配置する構成とすることも可能である。この場合には、燃料遮断バルブは、流路による液体燃料の供給を制御するために設けられる。
[実施例]
以下、本発明の実施例を図面を参照して説明する。
(実施例1)
<アノード触媒スラリーの作製>
Pt/Ru触媒を2.00g、純水を3.30g、プロパノールを4.00g、グリセリンを1.40g、濃度20%のパーフルオロスルホン酸重合体溶液(商品名がNafion(登録商標))を17.30gとを混合し、ディゾルバーによる分散にて2時間分散させ、アノード触媒スラリー約26gを得た。
<カソード触媒スラリーの作製>
Pt触媒を3.00g、純水を7.20g、プロパノールを11.50g、グリセリンを0.35g、濃度20%のパーフルオロスルホン酸重合体溶液(商品名がNafion(登録商標))を5.40gとを混合し、ディゾルバーによる分散にて2時間分散させ、カソード触媒スラリー約27gを得た。
<MPL溶液の作製>
炭素材料(市販品、ValcanXC-72)を6.50g、純水を65.00g、界面活性剤(市販品)を1.30g、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)溶液(市販品:濃度60%)を7.20gとを混合し、スターラー分散にて80分分散させ、MPL溶液約72gを得た。
<アノード多孔質層及びカソード多孔質層の作製>
市販のカーボンペーパー(東レ製:TGP-H-030もしくは060)を50×200mmに切断し回転ドラムに装着させた。作製したMPL溶液を回転ドラムに装着したカーボンペーパーに塗布した。塗布方式はスプレー方式にて行った。塗布スピードは溶液1g当たり1分で、1層当たり10g、全部で3層塗布した。
前述した図2に示すように、カーボンペーパーの一方の面にMPL溶液を塗布した後、他方の面にMPL溶液を塗布し、再び一方の面に戻り、既にMPL溶液が塗布された部分にMPL溶液を重ねて塗布した。
塗布したMPL層を焼成温度380℃、焼成時間1時間の条件にて焼成し、アノード多孔質層を得た。同様な方法により、カソード多孔質層を作製した。
得られたアノード多孔質層及びカソード多孔質層について、前述した王研式透気度試験機で透気抵抗度を測定し、その結果を表1に示す。
<アノード触媒層の作製>
上記で得られたアノード多孔質層の厚さの薄い多孔質膜上に、得られたアノード触媒スラリーをダイコーターにて塗布し、乾燥させて、アノード触媒層を得た。
<カソード触媒層の作製>
上記で得られたカソード多孔質層の厚さの薄い多孔質膜上に、得られたカソード触媒スラリーをダイコーターにて塗布し、乾燥させて、カソード触媒層を得た。
<アノードガス拡散層の作製>
カーボンペーパー(東レ製、TGP-H-060、090、120)に撥水処理(撥水度が5重量%)を施し、アノードガス拡散層を得た。得られたアノードガス拡散層の透気抵抗度を前述した王研式透気度試験機で測定したところ、2ガーレ秒以下であった。
<カソードガス拡散層の作製>
カーボンペーパー(東レ製、TGP-H-060、090、120)に撥水処理(撥水度が40重量%)を施し、カソードガス拡散層を得た。得られたカソードガス拡散層の透気抵抗度を前述した王研式透気度試験機で測定したところ、2ガーレ秒以下であった。
<膜電極接合体(MEA)の作製>
作製したアノードガス拡散層、カソードガス拡散層、アノード触媒層が形成されたアノード多孔質層、カソード触媒層が形成されたカソード多孔質層層、及び電解質膜を積層し、プレスのセッターにセットしてプレスを施し、MEAを得た。プレス条件は150℃、30KN、300secで行った。得られたMEAにおけるアノード多孔質層、カソード多孔質層、アノードガス拡散層、カソードガス拡散層の厚さをマイクロメーターにて測定し、その結果を下記表1に示す。
<燃料電池の組み立て>
続いて、この膜電極接合体を、空気および気化したメタノールを取り入れるための複数の開孔を有する金箔で挟み、燃料極導電層および空気極導電層を形成した。
上記の膜電極接合体(MEA)、燃料極導電層、空気極導電層が積層された積層体を樹脂製の2つのフレームで挟み込んだ。なお、膜電極接合体の空気極側と一方のフレームとの間、膜電極接合体の燃料極側と他方のフレームとの間には、それぞれゴム製のOリングを挟持してシールを施した。
また、燃料極側のフレームは、気液分離膜を介して、液体燃料収容室にネジ止めによって固定した。気液分離膜には、厚さ0.2mmのシリコーンシートを使用した。一方、空気極側のフレーム上には、気孔率が28%の多孔質板を配置し、保湿層を形成した。この保湿層上には、空気取り入れのための空気導入口(口径4mm、口数64個)が形成された厚さが2mmのステンレス板(SUS304)を配置して表面カバー層を形成し、ネジ止めによって固定した。
上記したように形成された燃料電池の液体燃料収容室に、純メタノールを5ml注入し、温度25℃、相対湿度50%の環境で、出力(mW/cm2)の経時変化(運転時間300時間)を測定し、その結果を図12に示す。
(実施例2〜5及び比較例1)
アノード多孔質層、カソード多孔質層、アノードガス拡散層、カソードガス拡散層の厚さを下記表1に示すように設定すること以外は、実施例1で説明したのと同様な構成の燃料電池を作製し、出力(mW/cm2)の経時変化(運転時間300時間)を測定し、その結果を図12に示す。
Figure 2009283257
図12から明らかなように、実施例1〜5の燃料電池は、300時間運転を行った際の出力低下が、比較例1に比して小さいことがわかる。特に、第3の実施形態に包含される実施例1の燃料電池は、第2の実施形態に包含される実施例2,3の燃料電池、第1の実施形態に包含される実施例4,5の燃料電池に比して300運転時間後の出力に優れている。
(実施例6〜13及び比較例2)
アノード多孔質層及びカソード多孔質層の厚さと透気抵抗度、アノードガス拡散層及びカソードガス拡散層の厚さを下記表2に示すように設定すること以外は、実施例1で説明したのと同様な構成の燃料電池を作製し、300運転時間後の出力維持率を測定し、その結果を下記表2に示す。
Figure 2009283257
表2から明らかなように、実施例6〜13の燃料電池は、比較例2の燃料電池に比して300運転時間後の出力維持率が高いことがわかる。特に、アノード及びカソードの双方における多孔質層とガス拡散層の合計厚さが450〜700μmの実施例6〜10の燃料電池は、アノードのみ合計厚さの規定を満たす実施例11の燃料電池、カソードのみ合計厚さの規定を満たす実施例12の燃料電池に比して300運転時間後の出力維持率が高い。
上記実施の形態ではパッシブ型DMFCを例に説明を行ったが、パッシブ型に限らず反応によって生成した水を燃料極側で利用する構造のものであれば、何らその燃料電池の方式について限定されるものではない。
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。また、アクティブ型燃料電池及びセミパッシブ型の燃料電池においても、上記した説明と同様の作用効果が得られる。MEAへ供給される液体燃料の蒸気においても、全て液体燃料の蒸気を供給してもよいが、一部が液体状態で供給される場合であっても本発明を適用することができる。
本発明の実施形態に係る燃料電池に用いる膜電極接合体の拡大断面図。 図1の膜電極接合体のカソード多孔質層の拡大断面図。 本発明の実施形態に係る燃料電池を示す内部透視断面図。 図3の燃料電池の燃料分配機構を示す斜視図。 王研式(背圧式)透気度測定機の模式図。 図5の測定機の流路に関する模式図。 ガーレ式測定機の流路についての模式図。 本実施形態に係る燃料電池に用いる多孔質層の表面の接触角を測定する方法を説明するための模式図。 本実施形態に係る燃料電池に用いる多孔質層の表面の接触角を測定する方法を説明するための模式図。 本実施形態に係る燃料電池に用いる多孔質層の表面の接触角を測定する方法を説明するための模式図。 本実施形態に係る燃料電池に用いる多孔質層の表面の接触角を測定する方法を説明するための模式図。 実施例1〜5及び比較例1の燃料電池における出力の経時変化を示す特性図。
符号の説明
1…膜電極接合体(MEA)、2…カソード(空気極)、3…アノード(燃料極)、4…電解質膜、5…空気極触媒層、6…空気極多孔質層、6a…導電性多孔質基材、6b,6c…多孔質膜、7…空気極ガス拡散層、8…燃料極触媒層、9…燃料極多孔質層、9a…導電性多孔質基材、9b,9c…多孔質膜、10…燃料極ガス拡散層、11…燃料分配機構、12…燃料収容部、13…流路、14…導電層、15…カバープレート、16…Oリング、17…ポンプ、21…燃料注入口、22…燃料排出口、23…燃料分配板、24…空隙部、101…測定端、102…測定サンプル、103,108,111,113…細管、104…水柱圧力計、105…側圧室(B室)、106…ノズル、107…定圧室(A室)、109…外部圧縮源、110…圧力ゲージ、112…G室。

Claims (5)

  1. カソードと、アノードと、前記カソード及び前記アノードの間に配置された電解質膜とを具備する膜電極接合体であって、
    前記カソード及び前記アノードのうち少なくとも一方の電極は、前記電解質膜と対向する触媒層と、ガス拡散層と、前記触媒層及び前記ガス拡散層の間に配置され、王研式透気度試験機での透気抵抗度が30ガーレ秒以上の多孔質層とを含み、
    前記ガス拡散層と前記多孔質層との合計厚さが450〜700μmの範囲であることを特徴とする膜電極接合体。
  2. 前記ガス拡散層の厚さは150〜350μmの範囲であることを特徴とする請求項1記載の膜電極接合体。
  3. 前記ガス拡散層は、5〜40重量%の撥水度を有することを特徴とする請求項1または2記載の膜電極接合体。
  4. 前記多孔質層の厚さは180〜360μmの範囲であることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項記載の膜電極接合体。
  5. 請求項1〜4いずれか1項記載の膜電極接合体を具備することを特徴とする燃料電池。
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