JP2009280660A - ポリイミド樹脂 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】エステル構造含有芳香族テトラカルボン酸二無水物及び/またはエステル構造含有芳香族ジアミンとの付加重合により得られるポリアミド酸と溶媒とからなるポリアミド酸ワニス中にオキサゾール化合物、アミド化合物、ニトリル化合物、またはベンゾフラザンからなる群より選ばれるものである含窒素芳香族化合物を含有することによって得られるポリアミド酸ワニス組成物。
【選択図】なし
Description
多くのポリイミド樹脂は有機溶媒に不溶で、ガラス転移温度以上でも溶融しないため、ポリイミド樹脂そのものを成型加工することは通常容易ではない。そのためポリイミド樹脂は一般に、無水ピロメリット酸(PMDA)等の芳香族テトラカルボン酸二無水物と4,4’−オキシジアニリン(ODA)等の芳香族ジアミンとをジメチルアセトアミド(DMAc)等の非プロトン性極性有機溶媒中で等モル反応させて、先ず高重合度のポリアミド酸ワニスを重合し、このポリアミド酸ワニスを銅箔上に塗付し、250〜400℃で加熱脱水閉環(イミド化)して製膜される。
熱応力低減の方策として、絶縁膜であるポリイミド樹脂層自身を低線熱膨張化することが有効である。殆どのポリイミド樹脂では線熱膨張率が40〜100ppm/℃の範囲にあり、金属箔、例えば銅箔の線熱膨張率17ppm/℃よりもはるかに大きいため、銅箔の値に近い、およそ20ppm/℃以下を示す低線熱膨張率のポリイミド樹脂の研究開発が行われている。
現在実用的な低線熱膨張率のポリイミド樹脂の材料としては3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とパラフェニレンジアミンから形成されるポリイミド樹脂が最もよく知られている。このポリイミド樹脂層は、膜厚や作製条件にもよるが、5〜10ppm/℃と非常に低い線熱膨張率を示すことが知られているが、低吸湿膨張率は示さない(非特許文献1参照)。
低吸湿膨張率を実現するための分子設計として、例えば式(19)で表されるエステル構造を有する酸無水物を使用してポリイミド骨格への芳香族エステル結合を導入することが有効であると報告されている(特許文献1参照)。
接着層を別途設けずにイミダゾール化合物等の添加剤をポリアミド酸ワニス中に使用することにより得られるポリイミド樹脂層と金属箔との密着性を向上させる検討もなされている(特許文献2参照)。同様にしてイミダゾール化合物等の添加剤をエステル構造含有するポリアミド酸ワニス中に使用すると、ポリイミド樹脂層と金属箔との密着性の低下、吸湿膨張率の低下、得られるポリイミドフィルムの機械強度の低下をもたらすという不具合があった。
Macromolecules,29,7897(1996)
1.芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンとの付加重合により得られるポリアミド酸、含窒素芳香族化合物および溶媒を含有するポリアミド酸ワニス組成物であって、該芳香族テトラカルボン酸二無水物が式(1)で表されるエステル構造を有する、及び/または該芳香族ジアミンが式(2)で表されるエステル構造を有し、かつ該含窒素芳香族化合物が式(3)〜(12)で表されるオキサゾール化合物、アミド化合物、ニトリル化合物、およびベンゾフラザン誘導体からなる群より選ばれるものであることを特徴とするポリアミド酸ワニス組成物。
2.前記含窒素芳香族化合物が、式(13)〜(15)のいずれか一種類以上で示されるオキサゾール化合物であることを特徴とする1記載のポリアミド酸ワニス組成物。
3.前記含窒素芳香族化合物が、式(16)〜(18)のいずれか一種類以上で示されるアミド化合物であることを特徴とする1記載のポリアミド酸ワニス組成物。
4.前記含窒素芳香族化合物が、式(16)で示されるアミド化合物であることを特徴とする1記載のポリアミド酸ワニス組成物。
5.前記含窒素芳香族化合物が、前記ポリアミド酸100質量部に対して0.01〜20質量部であることを特徴とする1記載のポリアミド酸ワニス組成物。
6.1記載の前記ポリアミド酸ワニス組成物をイミド化して得られたポリイミド樹脂。
7.1記載のポリアミド酸ワニス組成物をイミド化して得られるポリイミド樹脂と、金属箔とから構成される金属−ポリイミド複合体。
添加剤として用いる含窒素芳香族化合物は、一般式(3)〜一般式(12)のオキサゾール化合物、アミド化合物、ニトリル化合物および、ベンゾフラザンからなる群より選ばれるものである。式中のX1、X3は一般式(3)、(4)、(7)、(8)で表される4価の芳香族基であり、X2、X4は一般式(5)、(9)で表される2価の芳香族基である。式中、Y1〜Y5は、エーテル、−S−、C1〜4の飽和、不飽和アルキレン基、カルボニル基、または、スルホニル基である。R7〜R14、R16〜R29、R31〜R33は、水素原子、C1〜C4のアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン基、ニトロ基、シアノ基、水酸基、−SO2H、−OPh、−SCH3、または−SPhであり、n=0、1、2である。R15、R30、R34は上述の置換基、またはフェニル基である。
本発明のエステル構造を有するポリアミド酸ワニス組成物は、ポリアミド酸の原料となる芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンのうち、少なくともどちらか一方がエステル構造を有することが必要である。
例えば、3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、オキシジフタル酸、ジフェニルスルホンテトラカルボン酸、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸等の二無水物があげられる。線熱膨張率やガラス転移温度等の耐熱性を向上する観点から、3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物を使用することが好ましい。また、非芳香族テトラカルボン酸二無水物、シクロブタンテトラカルボン酸、シクロヘキサンテトラカルボン酸等の二無水物を、本発明の効果を損なわない範囲で用いてもよい。
例えば、パラフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン、 4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノベンズアニリド、2,2−ジメチル−4,4−ジアミノビフェニル、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)スルホンがあげられる。線熱膨張率やガラス転移温度などの耐熱性を向上する観点から、パラフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニルを使用することが好ましい。
また、末端構造が酸無水物の場合は、モノアミン類にて末端封止してもよい。具体的には、アニリン、トルイジン、アミノフェノール、アミノビフェニル、アミノベンゾフェノン、ナフチルアミン等があげられる。これらのモノアミンを単独もしくは2種以上を混合して用いてもよい。
また、物性を損なわない範囲において、添加剤として、シリカ等のフィラー、及びシランカップリング剤やチタネートカップリング剤等の表面改質剤等を加えても良い。
これらの溶媒の使用量には、特に制限はなく、ポリアミド酸ワニス組成物の粘度等に応じて利用することができる。
溶媒中での固形分濃度に特に制限はない。固形分濃度とは、溶媒を含めた全芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンの総質量に対する全芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンの質量の百分率である。好ましい固形分濃度は、5〜35質量%であり、より好ましくは10〜25質量%である。
また、ポリイミドフィルムの靭性およびポリアミド酸ワニスのハンドリングの観点から、ポリアミド酸ワニスの固有粘度は好ましくは0.1〜25.0dL/gの範囲であり、好ましくは0.3〜20dL/gさらに好ましくは0.5〜15.0dL/gの範囲であることがより好ましい。
金属箔の厚みは、特に限定されないが、好ましくは35μm以下、より好ましくは18μm以下である。
このようにして得られる金属−ポリイミド複合体は、金属箔、特に銅箔とポリイミド樹脂層との密着性が良好である。
尚、以下の実施例において、ポリアミド酸ワニス組成物の特性や、イミド化後のポリイミド樹脂および銅−ポリイミド複合体の物性測定は、次のようにして行った。
(1)固有粘度(η)
0.5質量%のポリアミド酸ワニス組成物を、オストワルド粘度計を用いて30℃で測定した。
得られた銅−ポリイミド複合体を長さ50mm、幅3mm、厚み25μmに切出し、塩化第2鉄水溶液(鶴見曹達製)に浸漬し、銅箔層をエッチング処理し水洗を行った。得られたポリイミドフィルムを105℃にて熱風乾燥機にて乾燥させた後、熱分析装置(TMA-50、株式会社島津製作所製)を用いて引っ張りモード、5g荷重、試料長15mm、昇温速度10℃/min、N2雰囲気下にて測定を行い、接線の交点からTgを求め、また50℃〜200℃の線熱膨張率を算出した。
上記と同様にして銅−ポリイミド複合体を長さ150mm、幅10mm、厚み25μmに切出し、幅10mmの中央部の幅1.5mmをビニールテープにてマスキングし、塩化第2鉄水溶液(鶴見曹達製)に浸漬し、銅箔をエッチング処理し水洗を行った。その後、ビニールテープを除去し、得られたフレキシブル基板を105℃にて熱風乾燥機にて乾燥させた後、幅3mmの銅箔をポリイミド樹脂から剥離し、その応力を測定した。剥離角度を90°、剥離速度を50mm/minとした。
縦3cm×横6cmの銅−ポリイミド複合体を切り出し、中央部の2.5cm×2.5cmをビニールテープにてマスキングし、塩化第2鉄水溶液(鶴見曹達製)に浸漬し、銅箔をエッチング処理し水洗を行った。その後、ビニールテープを除去し、得られた銅−ポリイミド複合体を105℃にて熱風乾燥機にて乾燥させた後、300℃に設定したハンダ浴中に試料を銅箔光沢面側をハンダ浴に接触するように1min静置した際の外観変化による評価を行った。
上記と同様にして縦3cm×横6cmの銅−ポリイミド複合体を切り出し、中央部の2.5cm×2.5cmをビニールテープにてマスキングし、塩化第2鉄水溶液(鶴見曹達製)に浸漬し、銅箔をエッチング処理し水洗を行った。その後、ビニールテープを除去し、得られた試料を煮沸水中にて2時間浸漬し、その後室温にて水中に浸漬し取出し、表面に付着する水をふき取り、すみやかに、280℃で1min静置した際の外観変化による評価を行った。
アルバック理工株式会社製熱機械分析装置(TM−9400)及び湿度雰囲気調整装置(HC−1)を用いて、幅3mm、長さ20mm(チャック間長さ15mm)、厚み20〜25μm、のフィルムを23℃、荷重5gにて湿度30%RHから70%RHに変化させた際の試験片の伸びから30%RH〜70%RHにおける平均値としてポリイミドフィルムの吸湿膨張率を求めた。
(合成例1)含窒素芳香族化合物の合成1
2Lセパラフラスコ中に、ポリリン酸1000g、3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニル200mmol(和歌山精化工業株式会社製)を入れ、窒素雰囲気下にて150℃で2時間攪拌を行った。その後安息香酸400mmol(和光純薬工業社製)を加え、200℃にて5時間反応させた。反応液を室温まで放令後、精製水中に滴下し、得られた黄緑色析出物をろ過により分取した後、125℃で真空乾燥させ、粗結晶を得た。その後、粗結晶をN−メチルピロリドンに100℃付近で溶解させ、室温まで放冷した溶液をろ過し、不溶成分を除去した後、得られたろ液に3質量%の炭酸ナトリウム水溶液を滴下し、固体を析出させた。析出した固体を、ろ過により分取し、精製水で2〜3回洗浄した後、125℃にて真空乾燥させ、下記式(20)で表されるオキサゾール構造含有する含窒素芳香族化合物(以下、OXANと称する)を得た。
2Lセパラフラスコ中に、N,N’−ジメチルホルムアミド溶液1200ml、3,3’−ジヒドロキシビフェニル200mmol(和歌山精化工業株式会社製)とトリエチルアミン400mmolを溶解し、窒素雰囲気下にて0℃に冷却した。その後、N,N’−ジメチルホルムアミド溶液100mlにp−ニトロ塩化ベンゾイル400mmolを溶かした溶液を、10℃以下になるように2時間かけて滴下し、その後、6時間攪拌を行った。
次いで、析出物をろ過し、N,N’−ジメチルホルムアミドで洗浄し、更に水で洗浄した後、乾燥して、式(21)で表される3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジニトロビフェニルアニリドの黄白色結晶を得た。
<ポリアミド酸ワニス組成物、イミド化およびポリイミドフィルム特性の評価>
よく乾燥した攪拌機付密閉反応容器中にモノマー骨格中にエステル基を含有する4−アミノフェニル−4’−アミノベンゾエート(以下APABと称する)40mmol、4、4’−ジアミノジフェニルエーテル以下ODAと称する)10mmol、N−メチル−2−ピロリドン191mL(脱水)(和光純薬工業株式会社製)(以下NMPと称する)に溶解した後、この溶液にモノマー骨格中にエステル基を含有するp−ビフェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)(以下TABPと称する)の粉末50mmolを徐々に加えた。30分後、溶液粘度が急激に増加した。更に80℃で4時間撹拌し透明、均一で粘稠なエステル基を有するポリアミド酸ワニスを得た。このポリアミド酸ワニス中に、合成例1で得た含窒素芳香族化合物(OXAN)を樹脂固形分に対して6質量部となるように添加し、溶解させポリアミド酸ワニス組成物を得た。得られたポリアミド酸ワニス組成物は室温および−20℃で一ヶ月間放置しても沈澱、ゲル化は全く起こらず、高い溶液貯蔵安定を示した。NMP中、30℃、0.5質量%の濃度でオストワルド粘度計にて測定したポリアミド酸ワニス組成物の固有粘度は、0.72dL/gであった。このポリアミド酸ワニス組成物を、金属製の塗工台に12μm厚の銅箔(古川サーキットフォイル株式会社 F2-WS箔)マット面側を表面になるように静置する。塗工台の表面温度を90℃に設定し、ポリアミド酸ワニス組成物を用いてドクターブレードにて銅箔マット面に塗布する。その後、塗工台で30分静置、さらに乾燥器中で100℃で30min静置の後、タック性のないポリアミド酸フィルム(厚み45μm)を得た。その後、SUS製金属板にポリアミド酸フィルムをはりつけ、窒素雰囲気下、熱風乾燥器中にて、昇温速度5℃/minにて、150℃で30min、200℃で1h、400℃で1hにてイミド化を行った。カールのない25μm厚みの銅箔付きポリイミドフィルムが得られた。
得られたポリイミドフィルムを引っ張り試験により弾性率6.9GPa及び破断伸び53%が得られた。
OXANの代わりに一般式(21)、および下記式(22)〜下記式(26)で示されるいずれかの含窒素芳香族化合物を樹脂固形分に対して3もしくは6質量部となるように添加し、実施例1と同様の操作を繰り返すことにより、ポリアミド酸ワニス組成物、ポリイミド樹脂および銅−ポリイミド複合体を得た。
なお、実施例2に使用した、合成例2の合成で得られた一般式(21)をのぞく含窒素芳香族化合物下記式(22)〜下記式(26)(順に実施例3〜7に使用)は、東京化成工業株式会社製を使用した。
よく乾燥した攪拌機付密閉反応容器中にモノマー骨格中にエステル基を含有する4−アミノフェニル−4’−アミノベンゾエート(以下APABと称する)45mmol、4、4’−ジアミノジフェニルエーテル(以下ODAと称する)5mmol、N−メチル−2−ピロリドン191mL(脱水)(和光純薬工業株式会社製)(以下NMPと称する)に溶解した後、この溶液にモノマー骨格中にエステル基を含有するp−メチルフェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物(以下MTAHQと称する)の粉末50mmolを徐々に加えた。30分後、溶液粘度が急激に増加した。更に80℃で4時間撹拌し透明、均一で粘稠なエステル基を有するポリアミド酸ワニスを得た。このポリアミド酸ワニス中に、含窒素芳香族化合物(OXAN)を樹脂固形分に対して6質量部となるように添加し、溶解させポリアミド酸ワニス組成物を得た。得られたポリアミド酸ワニス組成物は室温および−20℃で一ヶ月間放置しても沈澱、ゲル化は全く起こらず、高い溶液貯蔵安定を示した。NMP中、30℃、0.5質量%の濃度でオストワルド粘度計にて測定したポリアミド酸ワニス組成物の固有粘度は、0.82dL/gであった。このポリアミド酸ワニス組成物を、金属製の塗工台に12μm厚の銅箔(古川サーキットフォイル株式会社 F2−WS箔)マット面側を表面になるように静置する。塗工台の表面温度を90℃に設定し、ポリアミド酸ワニス組成物を用いてドクターブレードにて銅箔マット面に塗布する。その後、塗工台で30分静置、さらに乾燥器中で100℃で30min静置の後、タック性のないポリアミド酸フィルム(厚み45μm)を得た。その後、SUS製金属板にポリアミド酸フィルムをはりつけ、窒素雰囲気下、熱風乾燥器中にて、昇温速度5℃/minにて、150℃で30min、200℃で1h、400℃で1hにてイミド化を行った。カールのない25μm厚みの銅箔付きポリイミドフィルムが得られた。
実施例1と同様の操作を繰り返すことにより、ポリイミド樹脂ならびに銅−ポリイミド複合体を得た。
合成例2で合成した一般式(21)で示される含窒素芳香族化合物を樹脂固形分に対して6質量部となるように添加し、実施例8と同様の操作を繰り返すことにより、ポリアミド酸ワニス、ポリイミド樹脂および銅−ポリイミド複合体を得た。
よく乾燥した攪拌機付密閉反応容器中にモノマー骨格中にエステル基を含有するAPAB40mmol、ODA10mmol、NMP191mL(脱水)に溶解した後、この溶液にモノマー骨格中にエステル基を含有するTABPの粉末50mmolを徐々に加えた。30分後、溶液粘度が急激に増加した。更に80℃で4時間撹拌し透明、均一で粘稠なエステル基を有するポリアミド酸ワニスを得た。得られたポリアミド酸ワニスは室温および−20℃で一ヶ月間放置しても沈澱、ゲル化は全く起こらず、高い溶液貯蔵安定を示した。NMP中、30℃、0.5質量%の濃度でオストワルド粘度計にて測定したポリアミド酸の固有粘度は、0.72dL/gであった。 実施例1と同様にして、このポリアミド酸ワニスを、金属製の塗工台に12μm厚の銅箔(古川サーキットフォイル株式会社 F2−WS箔)マット面側を表面になるように静置する。塗工台の表面温度を90℃に設定し、ポリアミド酸ワニスを用いてドクターブレードにて銅箔マット面に塗布する。その後、塗工台で30分静置、さらに乾燥器中で100℃で30min静置の後、タック性のないポリアミド酸フィルム(厚み45μm)を得た。その後、SUS製金属板にポリアミド酸フィルムをはりつけ、窒素雰囲気下、熱風乾燥器中にて、昇温速度5℃/minにて、150℃で30min、200℃で1h、400℃で1hにてイミド化を行った。カールのない25μm厚みの銅箔付きポリイミドフィルムが得られた。
また同様にして、このポリアミド酸ワニスを6インチのシリコンウエハ上に、スピンコーター(MS−250 ミカサ株式会社製)にてスピンコートし、乾燥器中で100℃で30min静置の後、タック性のないポリアミド酸フィルム(厚み17μm)を得た。その後、シリコンウエハを窒素雰囲気下、熱風乾燥器中にて、昇温速度5℃/minにて、150℃で30min、200℃で1h、400℃で1hにてイミド化を行った。その後、フッ酸にてシリコンウエハから剥離して10μm厚みのポリイミドフィルムが得られた。
比較例1で得られたポリアミド酸ワニスに、2−エチル−4−メチル−イミダゾール(四国化成株式会社製 製品名2E4MZ)を樹脂固形分に対して6質量部になるように添加したポリアミド酸ワニス組成物を得た。比較例1と同様の操作を繰り返すことによりポリイミド樹脂ならびに銅−ポリイミド複合体を得た。
得られたポリイミド樹脂のガラス転移温度(Tg)および線熱膨張率(CTE)、吸湿膨張率(CHE)、弾性率、破断伸び、銅−ポリイミド複合体の接着強度ならびにハンダ耐熱性および吸湿ハンダ耐熱性の結果を表1に示す。
よく乾燥した攪拌機付密閉反応容器中にモノマー骨格中にエステル基を含有する4−アミノフェニル−4’−アミノベンゾエート(以下APABと称する)45mmol、4、4’−ジアミノジフェニルエーテル(以下ODAと称する)5mmol、N−メチル−2−ピロリドン191mL(脱水)(和光純薬工業株式会社製)(以下NMPと称する)に溶解した後、この溶液にモノマー骨格中にエステル基を含有するp−メチルフェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物(以下MTAHQと称する)の粉末50mmolを徐々に加えた。30分後、溶液粘度が急激に増加した。更に80℃で4時間撹拌し透明、均一で粘稠なエステル基を有するポリアミド酸ワニスを得た。得られたポリアミド酸ワニスは室温および−20℃で一ヶ月間放置しても沈澱、ゲル化は全く起こらず、高い溶液貯蔵安定を示した。NMP中、30℃、0.5質量%の濃度でオストワルド粘度計にて測定したポリアミド酸の固有粘度は、0.82dL/gであった。このポリアミド酸ワニスを、金属製の塗工台に12μm厚の銅箔(古川サーキットフォイル株式会社 F2−WS箔)マット面側を表面になるように静置する。塗工台の表面温度を90℃に設定し、ポリアミド酸ワニスを用いてドクターブレードにて銅箔マット面に塗布する。その後、塗工台で30分静置、さらに乾燥器中で100℃で30min静置の後、タック性のないポリアミド酸フィルム(厚み45μm)を得た。その後、SUS製金属板にポリアミド酸フィルムをはりつけ、窒素雰囲気下、熱風乾燥器中にて、昇温速度5℃/minにて、150℃で30min、200℃で1h、400℃で1hにてイミド化を行った。カールのない25μm厚みの銅箔付きポリイミドフィルムが得られた。
また同様にして、このポリアミド酸ワニスを6インチのシリコンウエハ上に、スピンコーター(MS−250 ミカサ株式会社製)にてスピンコートし、乾燥器中で100℃で30min静置の後、タック性のないポリアミド酸フィルム(厚み17μm)を得た。その後、シリコンウエハを窒素雰囲気下、熱風乾燥器中にて、昇温速度5℃/minにて、150℃で30min、200℃で1h、400℃で1hにてイミド化を行った。その後、フッ酸にてシリコンウエハから剥離して10μm厚みのポリイミドフィルムが得られた。
得られたポリイミド樹脂のガラス転移温度(Tg)および線熱膨張率(CTE)、吸湿膨張率(CHE)、弾性率、破断伸び、銅−ポリイミド複合体の接着強度ならびにハンダ耐熱性および吸湿ハンダ耐熱性の結果を表1に示す。
比較例3で得られたポリアミド酸ワニスに、2−エチル−4−メチル−イミダゾール(四国化成株式会社製 製品名2E4MZ)を樹脂固形分に対して6質量部になるように添加したポリアミド酸ワニス組成物を得た。比較例1と同様の操作を繰り返すことによりポリイミド樹脂ならびに銅−ポリイミド複合体を得た。
得られたポリイミド樹脂のガラス転移温度(Tg)および線熱膨張率(CTE)、吸湿膨張率(CHE)、弾性率、破断伸び、銅−ポリイミド複合体の接着強度ならびにハンダ耐熱性および吸湿ハンダ耐熱性の結果を表1に示す。
Claims (7)
- 芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンとの付加重合により得られるポリアミド酸、含窒素芳香族化合物および溶媒を含有するポリアミド酸ワニス組成物であって、該芳香族テトラカルボン酸二無水物が式(1)で表されるエステル構造を有する、及び/または該芳香族ジアミンが式(2)で表されるエステル構造を有し、かつ該含窒素芳香族化合物が式(3)〜(12)で表されるオキサゾール化合物、アミド化合物、ニトリル化合物、およびベンゾフラザン誘導体からなる群より選ばれるものであることを特徴とするポリアミド酸ワニス組成物。
- 前記含窒素芳香族化合物が、前記ポリアミド酸100質量部に対して0.01〜20質量部であることを特徴とする請求項1記載のポリアミド酸ワニス組成物。
- 請求項1記載の前記ポリアミド酸ワニス組成物をイミド化して得られたポリイミド樹脂。
- 請求項1記載のポリアミド酸ワニス組成物をイミド化して得られるポリイミド樹脂と、金属箔とから構成される金属−ポリイミド複合体。
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