JP2009278956A - 核酸増幅装置及び核酸増幅方法 - Google Patents

核酸増幅装置及び核酸増幅方法 Download PDF

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Abstract

【課題】正確に温度を調整し得る核酸増幅装置及び核酸増幅方法を提案する。
【解決手段】核酸の増殖反応の場として基板に形成される複数の容器にそれぞれ対応付けられる熱源素子の温度を、所定の周期ごとに、当該熱源素子の周囲に所定間隔で設けられる複数の検温素子を用いて求め、周期の反転周期ごとに、求めた温度に応じた熱量で、対応する各熱源素子に発熱作用を与える制御信号を生成する。
【選択図】図4

Description

本発明は核酸増幅装置及び核酸増幅方法に関し、PCR(Polymerase Chain Reaction)装置に好適なものである。
従来、核酸の増殖反応の場となる複数の微小容器に対する熱源として、薄膜トランジスタを用いたPCR装置が本出願人により提案されている(例えば特許文献1)。このPCR装置によれば、微小容器を高密度に形成して小型化しつつも、これら微小容器に対する温度を個別に制御することで正確に温度調整することが可能となる。
その後、半導体素子のばらつきによって温度制御の精度が低下することを回避するようにしたPCR装置が本出願人により提案された(例えば特許文献2)。
特開2003−298068公報 特願2007−171262公報
ところでかかるリアルタイムPCR装置では、半導体素子のばらつきによる温度制御の精度の低下が回避されても、高密度に形成される各微小容器での熱の相互作用によりばらつきが生じ、この結果、各微小容器の温度を正確に調整することが困難となるという問題があった。
各微小容器において異種の核酸を増殖させようとする場合、該核酸に対する増殖サイクルの各フェーズでの温度も異なることがあるため、このような場合には上記問題は特に深刻となる。
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、調整対象の温度を正確に調整し得る核酸増幅装置及び核酸増幅方法を提案しようとするものである。
かかる課題を解決するため本発明は、核酸増幅装置であって、核酸の増殖反応の場として基板に形成される複数の容器にそれぞれ対応付けられる熱源素子と、熱源素子ごとに、該熱源素子の周囲に所定間隔で設けられる複数の検温素子と、所定の周期ごとに、各熱源素子での温度を、当該熱源素子の周囲に設けられる複数の検温素子を用いて求める測温部と、周期の反転周期ごとに、測温部で求められる温度に応じた熱量で、対応する各熱源素子に発熱作用を与える制御信号を生成する生成部とを設ける。
また本発明は、核酸増幅方法であって、核酸の増殖反応の場として基板に形成される複数の容器にそれぞれ対応付けられる熱源素子の温度を、所定の周期ごとに、当該熱源素子の周囲に所定間隔で設けられる複数の検温素子を用いて求める測温ステップと、周期の反転周期ごとに、測温ステップで求められる温度に応じた熱量で、対応する各熱源素子に発熱作用を与える制御信号を生成する生成ステップとを設ける。
以上のように本発明によれば、各熱源素子の周囲温度をモニタリングする動作と、その結果を反映した熱量で、対応する各熱源素子に発熱作用を与える制御信号を生成する動作とを交互に繰り返すことにより、各微小容器での熱の相互作用によるばらつきを抑えて温度勾配を滑らかにすることが可能となり、この結果、正確に温度を調整し得る核酸増幅装置及び核酸増幅方法を実現できる。
以下図面について、本発明を適用した一実施の形態を詳述する。
(1)リアルタイムPCR装置の構造
図1において、本実施の形態によるリアルタイムPCR装置1の構造を示す。このリアルタイムPCR装置1は、反応室に対して、複数の基板11〜16を所定間隔で層状に配置した構造を有する。
反応基板11は、基準層となる基板であり、該基板には、核酸の増殖反応の場とされる容器(以下、これをウェルとも呼ぶ)ULが高密度に形成される。これらウェルULには、増殖対象の標的核酸及びその標的核酸の増殖に要する各種物質(プライマー、緩衝液、酵素、dNTP、蛍光色素等)が与えられる。
例えば6[cm]四方の反応基板11を用いた場合、1[μL]以下の容量でなる4万個程度のウェルULを形成することが可能となる。したがって、このリアルタイムPCR装置1は、反応室を小型化した場合であっても、同種又は異種でなる多くの標的核酸を取り扱うことが可能となる。
発熱基板12は、反応基板11に対して下側の層として配される基板であり、該基板のうち、反応基板11と対向する面には、各ウェルULにそれぞれ対応付けて熱源素子HDが配され、これら熱源素子HDの周囲には複数の検温素子TDが配される。この熱源素子HDには例えばTFT(Thin Film Transistor)等が用いられ、検温素子TDには例えばピンダイオード等が用いられる。
このリアルタイムPCR装置1では、各ウェルULに対応する熱源素子HDが、該熱源素子HDを囲む複数の検温素子TDでセンシングされる温度に応じて個別に制御される。したがって、このリアルタイムPCR装置1は、例えば各ウェルULに与えられる標的核酸の種が異なる等に起因して温度条件が異なる場合であっても、高密度に配される各ウェルULの温度を、増殖サイクルとして規定される変性段階、アニーリング段階、伸長段階の各段階に要する温度を基準として高精度で調整することができるようになされている。
発熱補助基板13は、発熱基板12に対して下側の層として配される基板である。この発熱補助基板13は、反応室全体における熱を吸収又は発散することで、該反応室を設定温度に維持する。
したがって、このリアルタイムPCR装置1は、現段階で設定される温度から次段階で与えるべき温度にウェルULの温度を移行させるまでの時間(温度勾配の時間)を高速化できるようになされている。ちなみに、発熱補助基板13には例えばペルチェ素子等が用いられる。
光源基板14は、反応基板11に対して上側の層として配される基板であり、該基板のうち、反応基板11と対向する面には、各ウェルULにそれぞれ対応させて、インターカレータ等の蛍光物に対する励起光を照射する光源LSが配される。この光源LSには例えばLED(Light Emitting Diode)が用いられる。
励起光透過基板15は、反応基板11と光源基板14との中間層として配される基板であり、光源LSから照射される励起光を透過し、該励起光以外の光を反射する。この励起光透過基板15には例えばダイクロイックミラーが用いられる。
蛍光透過基板16は、発熱基板12と発熱補助基板13との中間層として配される基板であり、励起光によって励起される蛍光物の蛍光を透過し、該蛍光以外の光を反射する。また発熱補助基板13と対向する面には、各ウェルULにそれぞれ対応させて、当該ウェルで励起される蛍光を受光する受光素子LSAが配される。リアルタイムPCR装置1では、これら受光素子LDAで受光される蛍光量に応じた標的核酸量が、増殖サイクル単位で算出される。
この実施の形態におけるリアルタイムPCR装置1では、励起光透過基板15における光源基板14と対向する面のうち、該光源基板14の各光源LSの光軸に対応する位置を基準とする周囲に対して、当該光源LSから照射される励起光の散乱光を受光する受光素子LDBが配される。
そしてこのリアルタイムPCR装置1では、各受光素子LDBで受光される散乱光量が一定となるように、増殖サイクルの変性段階に入る前段階において、各ウェルULに対応する光源LSの光量が個別に制御される。したがって、このリアルタイムPCR装置1は、各ウェルULに対して一定量の励起光を照射することができるようになされている。
またこのリアルタイムPCR装置1では、現移行期間において受光素子LDBで受光される散乱光量と、前回の移行期間において受光素子LDBで受光される散乱光量との差に応じて、前回の増殖サイクルで算出された標的核酸量がウェルUL単位で個別に補正される。したがって、このリアルタイムPCR装置1は、増殖サイクルごとに、各ウェルでの標的核酸量を正確に取得することができるようになされている。
(2)発熱基板の具体的な構成
次に、発熱基板12の具体的な構成について、図2を用いて説明する。発熱基板12は、励起光が透過可能な例えばガラス等の基板でなり、複数対の発熱回路30及び温度センシング回路40と、走査駆動部50と、温度制御部60とを有する。
各発熱回路30はそれぞれ1つのTFT31を有し、これらTFT31は、反応基板11に形成される各ウェルにそれぞれ対応させてマトリクス状に配される。一方、各温度センシング回路40はそれぞれ複数のピンダイオード41を有し、これらピンダイオード41は、対となる発熱回路30がもつTFT31の周囲に一定の距離をもって所定間隔ごとに配される。
ここで、発熱回路30及び温度センシング回路40における具体的な回路構成を説明する。ただし、各対の発熱回路30及び温度センシング回路40はそれぞれ同一の構成であるため、1対の発熱回路30及び温度センシング回路40に着目して説明する。
図3に示すように、発熱回路30は、熱源素子として機能するTFT31と、スイッチング素子として機能するトランジスタT1,T2,T3と、発熱制御素子として機能するコンデンサ32とによって構成される。
一方、温度センシング回路40は、検温素子として機能する複数のピンダイオード41と、スイッチング素子として機能するトランジスタT4,T5と、電圧計42とによって構成される。
発熱回路30におけるトランジスタT1,T2,T3のゲートには、パルス信号PS1が第1の走査駆動部50A(図2)から与えられ、温度センシング回路40におけるトランジスタT3,T4のゲートには、パルス信号PS1とは反転した関係にあるパルス信号PS2が第2の走査駆動部50B(図2)から与えられる。
例えば、パルス信号PS1が「High」状態にある場合(発熱回路30が駆動状態にある場合)、パルス信号PS2は「Low」状態にある(温度センシング回路40が非駆動状態にある)。この状態では、発熱回路30におけるトランジスタT1,T2はオン状態にあり、発熱回路30におけるトランジスタT3と、温度センシング回路40におけるトランジスタT4,T5はオフ状態にある。
この状態の場合、発熱回路30には、加熱すべき温度に相当する電流値の信号(以下、これを加熱制御信号とも呼ぶ)Isigが温度制御部60(図2)与えられる。発熱回路30では、TFT31におけるドレインとゲートがトランジスタT2により短絡されているため、発熱制御信号IsigはトランジスタT1を介してTFT31に流れる。
この結果、TFT31には、発熱制御信号Isigに応じたゲート・ソース間電圧が発生し、この電圧が、TFT31に発生させるべき熱源要素として、コンデンサ22に保持されることとなる。
TFT31がエンハンスメント型トランジスタ(すなわち閾値Vth>0)である場合、該TFT31は飽和領域で動作することになるので、TFT31におけるゲート・ソース間電圧をVgsとすると、該電圧Vgsと発熱制御信号Isigとの間には、次式
Figure 2009278956
の関係が成立する。ちなみにこの(1)式における「μ」はキャリアの移動度を、「Cox」は単位面積当たりのゲート容量を、「W」はチャネルの幅を、「L」はチャネルの長さを示す記号である。
これに対して、パルス信号PS1が「Low」状態にある場合(発熱回路30が非駆動状態にある場合)、パルス信号PS2が「High」状態にある(温度センシング回路40が非駆動状態にある)。この状態における発熱回路30では、トランジスタT1,T2はオフ状態にあり、トランジスタT3がオン状態にあるため、電源電圧VDDからTFT31におけるソース端のGNDに向かって電流が流れる。
この電源電圧VDDからTFT31に与えられる電圧は、該TFT31が飽和領域で動作する電圧よりも高く設定される。つまり、TFT31が飽和領域で動作するように、該TFT31に対する電源電圧VDDは十分に高く、トランジスタT3のオン抵抗は十分に低く設定される。
したがって、TFT31に流れる電流Idrvはドレイン・ソース間電圧Vdsには依存せず、次式
Figure 2009278956
によって与えられる。
一般に、TFTでは(1)式及び(2)式の右辺に現れる各パラメータがばらつくものであるが、この発熱回路30では、TFT31が飽和領域で動作するので、該パラメータの値に関係なく、電流Idrvと発熱制御信号Isigとは一致することとなる。
したがって、TFT31での発熱量は、該TFT31の特性ばらつきによらず、温度制御部60(図2)から与えられる発熱制御信号Isigと、電源電圧VDDとの積で決まる正確なものとなる。
また発熱制御信号Isigは、温度制御部60(図2)において、その電流値を正確に可変することができるものである。したがって、この発熱回路30は、温度制御部60での電流制御によって、TFT31を通じてウェルに対する温度を適応的に可変することが可能となる。
一方、温度センシング回路40には、パルス信号PS1が「Low」状態(発熱回路30が非駆動状態)、かつ、パルス信号PS2が「High」状態(温度センシング回路40が駆動状態)にある場合、側温制御信号Idetが温度制御部60(図2)与えられる。
この場合、温度センシング回路40では、側温制御信号IdetはトランジスタT4を介して直列に接続された複数のピンダイオード41に流れる。この結果、これらピンダイオード41には電圧が加わり、該電圧が電圧計42によって計測されることになる。
この電圧計32における計測値は、温度制御部60(図2)によってTFT31周囲における平均的な温度を示すパラメータとして取り込まれ、該温度制御部60(図2)において、発熱制御信号Isigの電流値を決定するために用いられる。
このようにして各対の発熱回路30及び温度センシング回路40は、温度制御部60の制御のもとで、交互に動作するようになされている。
走査駆動部50(図2)は、各発熱回路30に対して、所定間隔ごとに駆動期間をもつ同位相又は異位相のパルス信号を第1の走査駆動部50Aから送出する一方、各温度センシング回路40に対して、対とされる発熱回路30に送出されるパルス信号とは反転した関係にあるパルス信号を第2の走査駆動部50Bから送出する。
このようにして走査駆動部50は、発熱回路30の駆動と、温度センシング回路40の駆動とを単位(以下、これを駆動サイクルとも呼ぶ)として、各発熱回路30及び温度センシング回路40を対ごとに循環駆動させるようになされている。
温度制御部60は、ウェルに与えるべき温度(以下、これをウェル温度とも呼ぶ)として、変性段階に要する温度(95℃)から標的核酸の種に応じて増減した温度を初期設定する(図4:ステップSP1)。
また温度制御部60は、変性段階,アニーリング段階,伸長段階への移行タイミングを計測し(図4:ステップSP2)、該移行タイミングとなったときには、ウェル温度の設定を、その移行すべき段階に要する温度(95℃、55℃又は72℃)から標的核酸の種に応じて増減した温度に変更する(図4:ステップSP3)。
そして温度制御部60は、ウェル温度を基準として、加熱すべき温度に相当する電流値の信号(以下、これを加熱制御信号とも呼ぶ)を駆動サイクルごとに生成する。
すなわち温度制御部60は、駆動対象の温度センシング回路40に対して、例えば100[μA]の側温制御信号Idet1と、10[μA]の側温制御信号Idet2とを与え、これらを与えたときの電圧計42(図3)の計測値から、該温度センシング回路40に対の発熱回路30での温度を求める(図4:ステップSP4)。
具体的には、側温制御信号Idet1を与えたときの電圧値と、側温制御信号Idet2を与えたときの電圧値との差が電圧計42(図3)の計測値となるが、この計測値をΔVとすると、次式
Figure 2009278956
により求める。この(3)式における「5.0072」はボルツマン定数である。
また温度制御部60は、駆動対象の温度センシング回路40を用いて、対となる発熱回路30での温度を求めた場合、この求めた温度(測定温度)と、ウェル温度との温度差に比例する電流値を発熱制御信号Isigの電流値として決定し、該決定した電流値の発熱制御信号Isigを生成する(図4:ステップSP5)。
そして温度制御部60は、この発熱制御信号Isigを、かかる温度センシング回路40に対の発熱回路30が駆動対象となったとき、該発熱回路30に対して送出する(図4:ステップSP6)。
このようにして温度制御部60は、規定された回数分の増殖サイクルを経るまで(図4:ステップSP7)、発熱回路30に対の温度センシング回路40で測定した温度とウェル温度との温度差に応じて、駆動サイクルごとに発熱回路30に送出すべき加熱制御信号を生成するようになされている。
したがって、この温度制御部60は、ウェル温度に至るまでそのウェル温度に応じた固定の電流値でなる加熱制御信号を与え続ける場合に比して、温度勾配を滑らかに(一定に)推移させることができ、この結果、急激な温度変化に起因する標的核酸等の劣化を回避できるようになされている。
(3)動作及び効果
以上の構成において、このリアルタイムPCR装置1は、基板に形成される複数のウェルULにそれぞれ対応付けられる熱源素子HD(31)と、当該熱源素子HD(31)の周囲に所定間隔で設けられる複数の検温素子TD(41)と、温度制御部60とを有する(図2)。
この温度制御部60は、所定の周期ごとに、各熱源素子HD(31)での温度を、当該熱源素子HD(31)の周囲に設けられる検温素子TD(41)を用いて求め、該周期の反転周期ごとに、検温素子TD(41)を用いて求めた温度に応じた熱量で、対応する各熱源素子HD(31)に発熱作用を与える発熱制御信号Isigを生成する(図3)。
したがって、このリアルタイムPCR装置1は、各熱源素子HD(31)の周囲温度をモニタリングする動作と、その結果を反映した熱量で、対応する各熱源素子HD(31)に発熱作用を与える発熱制御信号Isigを生成する動作とを交互に繰り返し、発熱動作の開始もしくは停止又は発熱期間をウェルUL単位で実行させることが可能となる。
このため、このリアルタイムPCR装置1は、ウェルULごとに、当該ウェル間での熱の相互作用や、半導体素子自体の経時的変化等を抑えて発熱させることができ、この結果、ウェルULごとに、当該ウェルULが到達すべき温度までの温度勾配を滑らか(一定)かつ速やかに推移させることができる。
ちなみに、このリアルタイムPCR装置1では、20[℃]以上/秒の温度制御が可能であり、30回の増殖サイクルを行った場合に要する時間は従来のPCR装置に比べて5分以上の短縮が図れることが本出願人により確認されている。
また、発熱制御信号Isigの生成手法として、温度制御部60は、増殖サイクルとして規定される複数のフェーズのうち、次のフェーズへの移行タイミング時点で、移行すべきフェーズに要する温度を設定し、その設定温度と、検温素子TD(41)を用いて求めた温度との差に比例する熱量に相当する発熱制御信号Isigを生成する。
したがって、このリアルタイムPCR装置1では、増殖サイクルごとにその増殖サイクルで規定される各フェーズに要する期間のなかで、ウェルULごとに温度勾配を滑らかに(一定に)推移させることができる。
また、かかる設定温度は、移行すべきフェーズに要する温度に対して標的核酸の種に応じて増減された温度とされる。したがって、このリアルタイムPCR装置1では、増殖させるべき標的核酸の種が異なることに起因して、各ウェルに与えるべき温度が異なる場合であっても、ウェルULごとに、当該ウェルULが到達すべき温度までの温度勾配を滑らかに(一定に)推移させることができる。
また、このリアルタイムPCR装置1では、各熱源素子HD(31)をもつ発熱回路30と、該熱源素子HD(31)に対応する検温素子TD(41)をもつ温度センシング回路40とを同一基板上に配したことにより(図3)、小型化しながらも高精度で温度制御することができる。
また、この基板として光透明性をもつものを選定することにより、このリアルタイムPCR装置1は、ウェルULで励起される蛍光を遮断する影響度を小さくすることが可能となる。この結果、このリアルタイムPCR装置1では、蛍光の受光素子等に対する構成レイアウトの制限を緩和でき、より一段と小型化を図ることが可能となる。
以上の構成によれば、各熱源素子HD(31)の周囲温度をモニタリングする動作と、その結果を反映した熱量で、対応する各熱源素子HD(31)に発熱作用を与える発熱制御信号Isigを生成する動作とを交互に繰り返すようにしたことにより、各ウェルULでの熱の相互作用によるばらつきを抑えて温度勾配を滑らかにすることができ、かくして正確に温度を調整し得るリアルタイムPCR装置1を実現できる。
(4)他の実施の形態
上述の実施の形態における温度制御部60では、測定温度とウェル温度との温度差に比例する電流値が発熱制御信号Isigとして生成された。しかしながら、この生成手法はこの実施の形態に限定されるものではない。
例えば、測定温度とウェル温度との温度差に比例する電流値から、前回の測定温度との単位時間当たりの変化量に比例する電流値を減算した電流値を適用するといった手法を適用することができる。これを適用した場合、加熱すべき温度に相当する電流値が、前回の測定期間までの温度勾配の変化量が小さいほど大きい値として設定されるため、全体の温度勾配をより一段と滑らかに推移させるとともに高速に推移させることが可能となる。
また上述の実施の形態では、発熱回路30及び温度センシング回路40として、図3に示す回路構成が適用された。しかしながら、この回路構成はこの実施の形態に限定されるものではない。発熱回路30にあっては、例えば、先の本出願人が特願2007−171262号公報により開示したものを適用することが可能である。
また、温度センシング回路40にあっては、一例として、図3との対応部分に同一符号を付した図6に示すように、側温制御信号Idetを与えるラインを1つとした温度センシング回路70を適用することが可能である。ここで、この温度センシング回路70を適用した場合、温度制御部60では、対の発熱回路30での温度の求め方を代える必要がある。
一般に、ピンダイオード41に生じる電圧と、温度との関係はおおよそ線形関係にあることが知られている。したがってこの温度センシング回路70を適用した場合、所定の電流値でなる側温制御信号Idetを与えたときの電圧計42での計測値に比例するテーブルを温度制御部60に保持すれば、温度センシング回路40を適用した場合と同等の精度で、対の発熱回路30での温度を得ることができる。
また上述の実施の形態では、リアルタイムPCR装置1として、いわゆる透過型のものが適用された。しかしながら、これに代えて、例えば、図1との対応部分に同一符号を付した図7に示すように、いわゆる反射型のリアルタイムPCR装置100を適用するようにしてもよい。
このリアルタイムPCR装置100における反応基板111には、側壁の底面がR状に形成された複数のウェルULが形成され、これらウェルULに対応させて受光素子LDAが一面に配される。各光源LSから照射される励起光は、励起光透過基板15を介して反応基板111に形成される対応するウェルULに導光される。各ウェルULでは、励起光によって励起される蛍光物の蛍光はウェルULの壁面で反射し、反応基板111の一面に受光素子LDAに入射する。
このような反射型のリアルタイムPCR装置100を適用した場合であっても、上述の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
なお、リアルタイムPCR装置1又は100の構成要素は図示した場合に限らず、適宜設計変更することができる。
本発明は、遺伝子解析、遺伝子診断又は医薬の創製などのバイオ産業上において利用可能である。
リアルタイムPCR装置の概略構造を示す断面図である。 加熱基板の構成を示す概略図である。 発熱回路及び温度センシング回路の構成を示す図である。 温度制御処理手順を示すフローチャートである。 他の実施の形態による温度センシング回路の構成を示す図である。 他の実施の形態によるリアルタイムPCR装置の概略構造を示す断面図である。
符号の説明
1、100……リアルタイムPCR装置、11、111……反応基板、12……発熱基板、13……発熱補助基板、14……光源基板、15……励起光透過基板、16……蛍光透過基板、30……発熱回路、31……TFT、32……コンデンサ、40……温度センシング回路、41……ピンダイオード、42……電圧計。

Claims (10)

  1. 核酸の増殖反応の場として基板に形成される複数の容器にそれぞれ対応付けられる熱源素子と、
    上記熱源素子ごとに、該熱源素子の周囲に所定間隔で設けられる複数の検温素子と、
    所定の周期ごとに、各上記熱源素子での温度を、当該熱源素子の周囲に設けられる複数の検温素子を用いて求める測温部と、
    上記周期の反転周期ごとに、上記測温部で求められる温度に応じた熱量で、対応する各熱源素子に発熱作用を与える制御信号を生成する生成部と
    を有する核酸増幅装置。
  2. 上記生成部は、
    増殖サイクルとして規定される複数のフェーズのうち、次のフェーズへの移行タイミング時点で、移行すべきフェーズに要する温度を設定し、上記反転周期ごとに、その設定温度と、上記測温部で求められる温度との差に比例する熱量で、対応する各熱源素子に発熱作用を与える制御信号を生成する、請求項1に記載の核酸増幅装置。
  3. 上記生成部は、
    移行すべきフェーズに要する温度に対して標的核酸の種に応じて増減された温度を設定する、請求項2に記載の核酸増幅装置。
  4. 上記生成部は、
    上記設定温度と、上記測温部で求められる温度との差に比例する熱量から、上記測温部で前回に求められる温度との単位時間当たりの変化量に応じた熱量を減算した熱量で、対応する各熱源素子に発熱作用を与える制御信号を生成する、請求項2に記載の核酸増幅装置。
  5. 上記複数の検温素子は直列に接続され、
    上記測温部は、上記複数の検温素子に対して電流を与えたときに生じる電圧値から、対応する熱源素子での温度を求める、請求項3に記載の核酸増幅装置。
  6. 上記複数の検温素子は、該検温素子に囲まれる熱源素子に結線される第1のスイッチング素子と、入力端との間に設けられた、上記第1のスイッチング素子のスイッチング動作とは反転関係にある第2のスイッチング素子を介して直列に接続され、
    上記測温部は、
    上記第2のスイッチング素子がオン状態とされる場合、上記入力端から上記複数の検温素子に対して電流を与えたときに上記複数の検温素子に生じる電圧値から、各上記熱源素子での温度を求め、
    上記生成部は、上記第1のスイッチング素子がオン状態とされる場合、上記入力端から対応する熱源素子に対して上記制御信号を与える、請求項5に記載の核酸増幅装置。
  7. 上記第2のスイッチング素子は、上記第1のスイッチング素子と、入力端との間に並列に結線され、ゲートを共通とする2つのトランジスタでなる、請求項6に記載の核酸増幅装置。
  8. 上記測温部は、
    上記複数の検温素子に対して第1の信号と、該信号よりも電流値が大きい第2の信号とをそれぞれ与えたときに生じる電圧値の差に定数を乗算して得た値を熱力学温度に換算し、その換算された温度を上記熱源素子での温度とする、請求項5に記載の核酸増幅装置。
  9. 各上記熱源素子から発生される全体熱を吸収又は発散し、規定された温度を維持する温度維持部をさらに有する請求項7又は請求項8に記載の核酸増幅装置。
  10. 核酸の増殖反応の場として基板に形成される複数の容器にそれぞれ対応付けられる熱源素子の温度を、所定の周期ごとに、当該熱源素子の周囲に所定間隔で設けられる複数の検温素子を用いて求める測温ステップと、
    上記周期の反転周期ごとに、上記測温ステップで求められる温度に応じた熱量で、対応する各熱源素子に発熱作用を与える制御信号を生成する生成ステップと
    を有する核酸増幅方法。
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