JP2009276256A - エンコーダの検査方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】エンコーダ4の被検出面に存在するS極とN極との境界の傾斜角度が、設計通り正確であるか否かを効率良く検査できる検査方法を実現する。
【解決手段】上記被検出面に検査用センサ10の検出部を対向させた状態で、上記エンコーダ4を回転させる事により上記検査用センサ10の出力信号を変化させる作業を、上記被検出面の幅方向複数個所で行う。これと共に、これら幅方向複数個所で求めた出力信号に関して、それぞれ所定の基準信号との間の位相差を求める。そして、上記被検出面の幅方向に関するこれら各位相差の変化の勾配が所定の範囲に収まっているか否かを確認する事に基づいて、上記境界の傾斜角度が設計通り正確であるか否かを検査する。この様な構成を採用する事により、上記課題を解決する。
【選択図】図3

Description

この発明に係るエンコーダの検査方法は、エンコーダの被検出面の特性変化の状態が適正であるか否かを判定する為に利用する。具体的には、回転部材に加わる外力(荷重、モーメント)等の状態量測定する為に使用する状態量測定装置に組み込む、被検出面の特性が変化する境界がこの被検出面の幅方向に対し傾斜している様なエンコーダの被検出面の状態の適否を判定する為に利用する。
例えば自動車の車輪は懸架装置に対し、複列アンギュラ型等の転がり軸受ユニットにより回転自在に支持する。又、自動車の走行安定性を確保する為に、例えばアンチロックブレーキシステム(ABS)やトラクションコントロールシステム(TCS)、更には、電子制御式ビークルスタビリティコントロールシステム(ESC)等の車両用走行安定化装置が使用されている。この様な各種車両用走行安定化装置を制御する為には、車輪の回転速度、車体に加わる各方向の加速度等を表す信号が必要になる。そして、より高度の制御を行う為には、車輪を介して上記転がり軸受ユニットに加わる荷重(例えばラジアル荷重とアキシアル荷重との一方又は双方)の大きさを知る事が好ましい場合がある。
この様な事情に鑑みて、特許文献1には、特殊なエンコーダを使用して、転がり軸受ユニットに加わる荷重の大きさを測定する発明が記載されている。図8は、この特許文献1に記載された構造と同じ荷重の測定原理を採用している、転がり軸受ユニットの状態量測定装置に関する従来構造の1例を示している。この従来構造は、使用時に懸架装置に結合固定した状態で回転しない外輪1の内径側に、使用時に車輪を支持固定した状態でこの車輪と共に回転するハブ2を、複数個の転動体3、3を介して、回転自在に支持している。これら各転動体3、3には、背面組み合わせ型の接触角と共に、予圧を付与している。尚、図示の例では、これら各転動体3、3として玉を使用しているが、重量が嵩む自動車用の軸受ユニットの場合には、玉に代えて円すいころを使用する場合もある。
又、上記ハブ2の軸方向内端部(軸方向に関して「内」とは、自動車への組付け状態で車両の幅方向中央側を言い、図8の右側。反対に、車両の幅方向外側となる、図8の左側を、軸方向に関して「外」と言う。本明細書全体で同じ。)には、円筒状のエンコーダ4を、上記ハブ2と同心に支持固定している。このエンコーダ4は、円環状の芯金5と、この芯金5の外周面に添着固定した、永久磁石製で円筒状のエンコーダ本体6とから成る。被検出面である、このエンコーダ本体6の外周面の軸方向内半部には、S極とN極とを、円周方向に関して交互に且つ等間隔に配置している。これらS極とN極との境界は、軸方向中央部が円周方向に関して最も突出した、「く」字形となっている。
又、上記外輪1の軸方向内端開口を塞ぐ、金属板製で有底円筒状のカバー7の内側に、合成樹脂製のセンサホルダ8を介して、1対のセンサ9a、9bを支持固定している。そして、この状態で、これら両センサ9a、9bの検出部を、上記エンコーダ4の被検出面の軸方向両半部に、それぞれ1つずつ近接対向させている。尚、上記両センサ9a、9bの検出部には、ホールIC、ホール素子、MR素子、GMR素子等の磁気検知素子を組み込んでいる。
上述の様に構成する転がり軸受ユニットの状態量測定装置の場合、外輪1とハブ2との間にアキシアル荷重が作用する事により、これら外輪1とハブ2とがアキシアル方向に相対変位すると、これに伴って、上記両センサ9a、9bの出力信号同士の間に存在する位相差比(=位相差/1周期)が変化する。この位相差比は、上記アキシアル荷重の作用方向及び大きさ(上記相対変位の方向及び大きさ)に見合った値をとる。従って、この位相差比に基づいて、上記アキシアル荷重の作用方向及び大きさ(上記相対変位の方向及び大きさ)を求める事ができる。尚、これらを求める処理は、図示しない演算器により行う。この為、この演算器のメモリ中には、予め理論計算や実験により調べておいた、上記位相差比と、上記アキシアル方向の相対変位又は荷重との関係(零点及びゲイン)を表す、式やマップを記憶させておく。
尚、上述した従来構造の場合には、エンコーダの被検出面にその検出部を対向させるセンサの数を、2個としている。これに対し、図示は省略するが、特許文献2〜4には、当該センサの数を3個以上とする事で、多方向の変位や外力を求められる構造が記載されている。
又、上述した従来構造の場合には、エンコーダ4を永久磁石製とすると共に、このエンコーダ4の被検出面に設ける第一被検出部をN極とし、第二被検出部をS極とする構成を採用している。これに対し、エンコーダを単なる磁性材製とすると共に、このエンコーダの被検出面に設ける第一被検出部を凹部(若しくは透孔)とし、第二被検出部を凸部(若しくは柱部)とする構成を採用する事もできる。この様な構成を採用する場合には、1対のセンサ側に永久磁石を組み込む。又、エンコーダを円輪状に構成すると共に、このエンコーダの軸方向側面を被検出面とし、この被検出面に1対のセンサの検出部を、径方向にずらせた状態で対向させれば、上記外輪1と上記ハブ2とのラジアル方向に関する変位や、これら外輪1とハブ2との間に加わるラジアル荷重を求める事も可能である。
ところで、上述した様な転がり軸受ユニットの状態量測定装置を、実際に自動車等の車両の走行安定性確保を図る為に利用する場合には、エンコーダの被検出面に存在する第一被検出部と第二被検出部との境界位置が、設計通り正確である事が必要である。即ち、この境界位置が設計通り正確でない限り、1対のセンサの出力信号同士の間の位相差比と荷重等の状態量との間に所定の関係が成り立たない。この関係が成り立たない場合には、上記位相差比から導かれる上記状態量を十分な精度で求められなくなり、この状態量に基づいて、上記走行安定性確保の為に高度の制御を行う事が難しくなる。
一方、被検出面に存在する第一被検出部と第二被検出部との境界を、この被検出面の幅方向に対し傾斜させたエンコーダは、この境界をこの幅方向に対し傾斜させていない、一般的なABS制御用のエンコーダに比べて製造が面倒な為、上記境界位置が設計位置からずれる可能性を否定できない。この様に境界位置が設計位置からずれたエンコーダを状態量測定装置に組み込んでも、転がり軸受ユニットの状態量を十分な精度で測定する事はできない。従って、この状態量を十分な精度で測定できる様にすべく、上記境界位置が設計通り正確であるか否かを、効率良く検査できる方法を実現する事が望まれる。
この様な事情に鑑みて、特許文献5には、上記エンコーダの被検出面に存在する境界位置が設計通り正確であるか否かを検査する方法が記載されている。この特許文献5に記載された検査方法は、検査対象となるエンコーダを回転させながら、このエンコーダの被検出面の複数の幅方向位置で得られる検査用センサの出力信号の位相と、所定の基準信号の位相との差が、それぞれ所定の範囲に収まっている場合に合格の判定を出すものである。但し、この様な特許文献5に記載された検査方法では、上記被検出面に存在する境界の傾斜角度に相当する、この被検出面の幅方向に関する上記各検査用センサの出力信号と上記基準信号との位相差の勾配を、合否の判定材料として使用していない。これに対し、上記境界の傾斜角度が設計通り正確になっている事は、状態量を十分な精度で測定する為に必要な条件である。この為、上記位相差の勾配を判定材料として使用するエンコーダの検査方法を実現する事が(採用する検査方法の選択肢を増やす面からも)望まれる。
尚、本発明に関連する他の先行技術文献として、下記の特許文献6がある。
特開2006−317420号公報 特開2006−322928号公報 特開2007−93580号公報 特開2008−64731号公報 特開2007−132773号公報 特開2005−331496号公報
本発明は、上述の様な事情に鑑み、エンコーダの被検出面に存在する第一被検出部と第二被検出部との境界の傾斜角度が設計通り正確であるか否かを効率良く検査できる方法を実現すべく発明したものである。
本発明のエンコーダの検査方法は、被検出面に、互いに異なる特性を有する第一被検出部と第二被検出部とを円周方向に関して交互に(一般的には等間隔で)配置すると共に、これら第一被検出部と第二被検出部との境界の少なくとも一部分を、上記被検出面の幅方向に対し傾斜させているエンコーダを対象として、上記境界の精度を検査する。
この様な本発明のエンコーダの検査方法では、上記被検出面に検査用センサの検出部を対向させた状態で、上記エンコーダを回転させる事によりこの検査用センサの出力信号を変化させる作業を、上記被検出面の幅方向複数個所で行う。これと共に、これら幅方向複数個所で求めた上記検査用センサの出力信号に関して、それぞれ所定の信号との間の位相差{又は位相差比(=位相差/1周期)}を求める。そして、上記被検出面の幅方向に関するこれら各位相差(又は各位相差比)の変化の勾配が所定の範囲に収まっているか否かを検査基準として、上記境界の精度を検査する。
上述の様な本発明のエンコーダの検査方法を実施する場合で、対象となるエンコーダの被検出面に存在する第一被検出部と第二被検出部との境界の、この被検出面の幅方向に対する傾斜の向きと角度とのうちの少なくとも一方が、この被検出面の幅方向両側部分同士で互いに異なっている場合に、好ましくは、請求項2に記載した様に、上記被検出面の幅方向片側部分で求めた、この被検出面の幅方向に関する上記各位相差(又は各位相差比)の変化の勾配と、この被検出面の幅方向他側部分で求めた、この被検出面の幅方向に関する上記各位相差(又は各位相差比)の変化の勾配との差が、所定の範囲に収まっているか否かを検査基準に加えて、上記境界の精度を検査する。
又、上述の様な本発明のエンコーダの検査方法を実施する場合には、例えば請求項3に記載した様に、上記所定の信号として、別途用意した基準信号を使用する。
或いは、対象となるエンコーダの被検出面に存在する第一被検出部と第二被検出部との境界の、この被検出面の幅方向に対する傾斜の向きと角度とのうちの少なくとも一方が、この被検出面の幅方向両側部分同士で互いに異なっている場合には、例えば請求項4に記載した様に、上記被検出面の幅方向に所定の間隔をあけて配置され、且つ、それぞれの検出部を上記被検出面の幅方向両側部分に1つずつ対向させた1対の検査用センサを使用する。そして、これら両検査用センサのうちの何れか一方のセンサの出力信号と上記所定の信号との間の位相差(又は位相差比)を求める際の、この所定の信号として、他方の検査用センサの出力信号を使用する。
又、上述の様な本発明のエンコーダの検査方法を実施する場合に、好ましくは、請求項5に記載した様に、上記被検出面の幅方向複数個所で求めた検査用センサの出力信号と所定の信号との間の位相差(又は各位相差比)として、それぞれエンコーダの1回転分の平均化処理を施したもの{エンコーダの1回転分の出力信号に含まれる総てのパルス位置に於ける位相差(又は各位相差比)の平均値}を使用する。
上述の様な本発明のエンコーダの検査方法によれば、エンコーダの被検出面に存在する第一被検出部と第二被検出部との境界の傾斜角度が設計通り正確になっているか否かを、エンコーダを回転させつつ効率良く検査できる。
[実施の形態の第1例]
図1〜4は、請求項1〜3、5に対応する、本発明の実施の形態の第1例を示している。本例では、前述の図8に示した永久磁石製のエンコーダ4を対象として、このエンコーダ4の被検出面(外周面)に存在するS極とN極との境界の精度を検査する。但し、本例の場合、この検査は、上記被検出面のうち、軸方向(幅方向。図1の左右方向)両端寄り部分に存在する1対の軸方向検査範囲のみに就いて行う。この理由は、実際の使用状態で、これら1対の軸方向検査範囲以外の部分(軸方向中央部分及び両端部分)には、余程大きな荷重が加わったとしても、1対のセンサ9a、9b(図8参照)の検出部が対向する事はない為である。即ち、上記検査は、実際の使用状態で、上記両センサ9a、9bの検出部が対向する可能性があると考えられる、上記1対の軸方向検査範囲のみで行えば十分だからである。
本例の検査を行う場合には、上記エンコーダ4の被検出面を、図1に白抜きで上向きの太矢印により示した、検査用センサ10により走査する。この際、上記エンコーダ4は、軸方向に変位させずに、一定速度で回転のみさせる。これに対して、上記検査用センサ10は、軸方向に関して間欠的に移動させる。そして、図1に上向きの細矢印で示す様な、上記1対の軸方向検査範囲内の複数の軸方向位置で、それぞれ上記被検出面を周方向(エンコーダ4の回転方向)に走査する。即ち、上記検査用センサ10は、図1に横向きの細矢印により示した軸方向への移動と、停止とを繰り返し、上記複数の軸方向位置での停止時毎に、上記被検出面を周方向に、1回転分以上走査する。そして、この停止時毎に、この被検出面に存在する上記S極とN極との繰り返しに基づいて、出力信号を変化させる。これにより、上記複数の軸方向位置に対応する、複数種類の検査用の出力信号(例えば、それぞれが48パルス/1回転、又は、60パルス/1回転で変化する出力信号)を得る。尚、本発明を実施する場合、上記検査用センサ10により走査する軸方向位置の数は、特に限定しない。但し、この軸方向位置の数が多い程、検査の信頼性は高くなる。
上述の様にして複数の軸方向位置での検査用の出力信号を得たならば、次いで、図2の(A)に示す様な、予め用意しておいた基準信号と、(B)〜(D)に代表して3例のみ示す様な、上記各検査用の出力信号との間の位相差を求める。尚、上記基準信号は、図示しない基準信号用エンコーダ(1回転当たりの境界の数が上記エンコーダ4と同じであって、この境界が設計通り正確に仕上げられたもの)の被検出面の軸方向一部にその検出部を対向させた、やはり図示しない基準信号用センサ(上記検査用センサ10と同様のもの)により得たものである。この基準信号を得る際の上記基準信号用エンコーダの回転速度は、上記各検査用の出力信号を得る際の上記エンコーダ4の回転速度と同じにしている。従って、上記基準信号の周波数(エンコーダの1回転当りの変化の回数)は、上記各検査用の出力信号の周波数と同じである。又、上記検査用センサ10の軸方向位置を順次移動させる事に伴って、上記各検査用の出力信号の位相は、例えば図2の(B)→(C)→(D)の順{或いは(D)→(C)→(B)の順}に示す様に変化する。
尚、本例の場合、上述の様に各検査用の出力信号と基準信号との間の位相差を求める場合には、これら各位相差としてそれぞれ、上記エンコーダ4の1回転分の平均化処理を施したものを求める。別な言い方をすれば、上記各位相差としてそれぞれ、上記エンコーダ4の1回転分の出力信号に含まれる総てのパルス位置に於ける位相差の平均値を求める。この理由は、上記エンコーダ4の被検出面に存在する境界のピッチ誤差の影響を低減して、この境界の傾斜角度の評価を正確に行える様にする為である。又、実際の使用時にも、通常、上記ピッチ誤差の影響を低減する為、前記両センサ9a、9bの出力信号を処理する際に、これら両出力信号にフィルタ処理を施してその平均値を使用する為である(例えば、特許文献6参照)。
何れにしても、上述の様にして求めた各位相差は、上記被検出面の軸方向位置と位相差との関係を表すグラフ上で、図3に示す様にプロットされる。この図3に於いて、上記各位相差の変化の勾配θ1、θ2(又は、90度−θ1、90度−θ2)は、それぞれ前記1対の軸方向検査範囲に於ける、S極とN極との境界の傾斜角度に見合ったものとなる。この為、上記両勾配θ1、θ2が設計で定めた所定の範囲(図3の破線イ、ロに挟まれた範囲)に収まっていない場合には、上記境界が設計通り正確に形成されておらず、上記両センサ9a、9bの出力信号同士の間の位相差比から荷重等の状態量を算出する際に使用する関係{これら位相差比と状態量との関係(零点及びゲイン)}に関するゲインと、実際のゲインとの間に、許容限度を越える差が生じているとみなす事ができる。この様な許容限度を越える差が生じた場合には、上記位相差比から導かれる上記状態量を十分な精度で求められなくなる。そこで、本例の場合には、上記両勾配θ1、θ2が設計で定めた所定の範囲に収まっている(第一の検査基準を満たしている)か否かを確認する。
又、実際の使用時には、上記1対の軸方向検査範囲に対向させた、上記1対のセンサ9a、9bの出力信号同士の間の位相差比から上記状態量を算出する。この為、この状態量の算出精度をより十分に高められる様にする為には、上記1対の軸方向検査範囲に於ける、上記両勾配θ1、θ2同士の差(θ1−θ2)を、設計で定めた所定の範囲に収める必要がある。そこで、本例の場合には、上記差(θ1−θ2)が設計で定めた所定の範囲に収まっている(第二の検査基準を満たしている)か否かを確認する。そして、本例の場合には、上記第一の検査基準と、この第二の両検査基準との、双方の検査基準を満たした場合にのみ、最終的な合格判定を出す。尚、上記第一、第二の両検査基準に関して、合否の目安となる所定の範囲を、それぞれ具体的にどの程度の幅を持った範囲にするかは、状態量測定装置に要求される測定精度との関係で設計的に定める。
又、上述した様な本例の方法を実施する場合で、図3に示した様な測定結果を得る際、図4の(A)に示す様に、グラフ上にプロットした複数の点同士(互いに隣り合う点同士)を直線で結ぶと、全体としてギザギザな形状の線になる場合がある。これは、被検出面に存在する境界の形状が実際にそうなっている為なのか、或いは単に測定誤差が生じた為なのか、或いはこれら双方の理由が合わさった為なのかは、判別しがたい。しかし、何れにしても、上記ギザギザな形状の線に関しては、局所的に見た場合に、各部分での勾配が異なる(例えば、一端部では勾配がθAになり、他端部では勾配がθBになる)。この為、この様なギザギザな形状の線は、ゲインを評価する材料としては適さない。そこで、この様な不具合が発生するのを回避すべく、上述の図3に示した様な測定結果を得る際には、図4の(B)に示す様に、グラフ上にプロットした複数の点の回帰直線を引いて、単一の勾配θを得られる様にするのが好ましい。
又、上述した様な本例の方法を実施する場合に、好ましくは、図2の(A)に示した基準信号を得る際の基準信号用エンコーダの初期位相と、同図の(B)〜(D)に示した各検査用の出力信号を得る際のエンコーダ4の初期位相とを、正確に合わせておく。この様にすれば、上記基準信号と上記各検査用の出力信号との間の位相差を求め、更に、上記第一、第二の両検査基準を満たしているか否かの確認作業を容易に行える。但し、上記両初期位相差が合っていなくても、図3の破線イ、ロを同図の上下方向に移動させて、上記各位相差の変化の勾配が所定の範囲に収まっているか否かを観察等する事で、上記確認作業を行う事もできる。尚、上記第一、第二の両検査基準を満たすか否かの判定は、検査装置による演算処理のみによって(図3のグラフを実際に描かずに)行う事もできる。
何れにしても、上述した様な本例のエンコーダの検査方法によれば、エンコーダ4の被検出面に存在するS極とN極との境界の傾斜角度が設計通り正確であるか否かを、当該エンコーダ4を回転させつつ効率良く検査できる。
尚、本発明を実施する場合には、上記第一の検査基準を満たす事のみを条件として、最終的な合格判定を出す様にする事もできる。
[実施の形態の第2例]
図5は、請求項1〜3、5に対応する、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例の場合には、その検出部をエンコーダ4の被検出面に対向させた、検査用センサ10の、この被検出面の軸方向に関する位置を、連続的に(一時停止を行う事なく)一定速度で変化させる。即ち、上記検査用センサ10を上記被検出面の軸方向に相対変位させつつ、上記エンコーダ4を一定速度で回転させ、この検査用センサ10の出力信号を記録する。この様な本例の方法によれば、上述した第1例の場合に必要になる、検査用センサ10の移動、停止を行う煩わしさをなくせる。
この様な本例の方法を実施する場合に於ける、上記検査用センサ10の、上記被検出面の軸方向への移動速度は、上記エンコーダ4の回転速度(被検出面の周速)に比べて遥かに(例えば1/100以下、乃至は1/1000以下と言った程度に、被検出面の周速に比べて上記移動速度を殆ど無視できる程度に)遅くする。この理由は、この移動速度が速いと、上記被検出面の複数の軸方向位置での、上記検査用センサ10の出力信号と基準信号との間の位相差の平均値として、妥当な値を得にくくなる(幅方向の移動距離分、平均値が本来の平均値から大きくずれる)為である。これに対して、上記被検出面の幅方向への移動速度をこの被検出面の周速に比べて遥かに遅くすれば、実用上十分な精度で評価を行える。尚、上記幅方向の移動速度を基に、各軸方向位置での位相差の平均値を補正してから評価を行っても良い。その他の点に関しては、上述した第1例の場合と同様である。
[実施の形態の第3例]
図6は、請求項1〜3、5に対応する、本発明の実施の形態の第3例を示している。本例の場合には、エンコーダ4の被検出面のうち、検査時に検査用センサ10の検出部を対向させるべき複数の軸方向位置に、それぞれ検査用センサ10、10の検出部を1個ずつ対向させている(図6では、図示の制約上、検査用センサ10、10は、代表して4個のみ図示している)。そして、これら各検査用センサ10、10の出力信号に基づいて、上述した第1例の場合と同様の検査を行う。本例の場合には、検査時に、上記各検査用センサ10、10を軸方向に移動させる必要がない為、上記エンコーダ4の検査の能率化を図れる。
[実施の形態の第4例]
図7は、請求項1、2、4、5に対応する、本発明の実施の形態の第4例を示している。本例の場合には、エンコーダ4の被検出面の1対の軸方向検査範囲にそれぞれの検出部を対向させた、1対の検査用センサ10a、10bを、上記被検出面の軸方向に所定の間隔をあけて配置している。そして、上記エンコーダ4を回転させつつ、上記両軸方向検査範囲に於ける、上記両検査用センサ10a、10bの軸方向位置を、それぞれ前述した第1例の如く間欠的に、又は、上述した第2例の如く連続的に、互いに同期させて移動させる。又、これに伴い、上記両軸方向検査範囲の複数の軸方向位置に於ける、上記両検査用センサ10a、10bの出力信号同士の間の位相差を求める。そして、これら各位相差に基づいて、前述した第1例の場合と同様の検査を行う。
この様な本例の方法によれば、上記被検出面の幅方向に関する、上記両検査用センサ10a、10bの移動距離を短くできて、上記エンコーダ4の合否判定の能率化を図れる。又、上記1対の検査用センサ10a、10bを使用する為、実際に上記エンコーダ4を状態量測定装置に組み込んだ場合に近い状態で、このエンコーダ4を検査する事ができる。又、上述した第1〜3例の場合と異なり、基準信号を得る為の基準信号用エンコーダや基準信号用センサが不要になる。
尚、本発明を実施する場合に、検査用センサとエンコーダとを、被検出面の幅方向に関して相対移動させる作業は、この検査用センサを移動させるのに代えて、エンコーダを移動させる事でも行える。又、本発明を実施する場合には、検査用センサの出力信号に関する位相差に代えて、この検査用センサの出力信号に関する位相差比(位相差/1周期)を用いる事で、検査を行う事もできる。
本発明の実施の形態の第1例を説明する為の模式図。 同じく検査用センサの出力信号と基準信号とを示す線図。 この出力信号の位相差に基づいてエンコーダの合否判定を行う状況の第1例を示すグラフ。 複数の軸方向位置で求めた出力信号の位相差の変化の勾配を、(A)は隣り合う位相差同士を直線で結んで表した、(B)は総ての位相差の回帰直線を引いて表した、それぞれグラフの部分拡大図。 本発明の実施の形態の第2例を説明する為の模式図。 同じく第3例を説明する為の模式図。 同じく第4例を説明する為の模式図。 転がり軸受ユニットの状態量測定装置に関する、従来構造の1例を示す断面図。
符号の説明
1 外輪
2 ハブ
3 転動体
4 エンコーダ
5 透孔
6 柱部
7 カバー
8 センサホルダ
9a、9b センサ
10、10a、10b 検査用センサ

Claims (5)

  1. 被検出面に、互いに異なる特性を有する第一被検出部と第二被検出部とを円周方向に関して交互に配置すると共に、これら第一被検出部と第二被検出部との境界の少なくとも一部分を、上記被検出面の幅方向に対し傾斜させているエンコーダを対象として、上記境界の精度を検査する、エンコーダの検査方法であって、上記被検出面に検査用センサの検出部を対向させた状態で、上記エンコーダを回転させる事によりこの検査用センサの出力信号を変化させる作業を、上記被検出面の幅方向複数個所で行うと共に、これら幅方向複数個所で求めた上記検査用センサの出力信号に関して、それぞれ所定の信号との間の位相差を求め、上記被検出面の幅方向に関するこれら各位相差の変化の勾配が所定の範囲に収まっているか否かを検査基準として、上記境界の精度を検査する、エンコーダの検査方法。
  2. 対象となるエンコーダの被検出面に存在する第一被検出部と第二被検出部との境界の、この被検出面の幅方向に対する傾斜の向きと角度とのうちの少なくとも一方が、この被検出面の幅方向両側部分同士で互いに異なっており、この被検出面の幅方向片側部分で求めた、この被検出面の幅方向に関する各位相差の変化の勾配と、この被検出面の幅方向他側部分で求めた、この被検出面の幅方向に関する各位相差の変化の勾配との差が、所定の範囲に収まっているか否かを検査基準に加えて、上記境界の精度を検査する、請求項1に記載したエンコーダの検査方法。
  3. 所定の信号が、別途用意した基準信号である、請求項1〜2のうちの何れか1項に記載したエンコーダの検査方法。
  4. 対象となるエンコーダの被検出面に存在する第一被検出部と第二被検出部との境界の、この被検出面の幅方向に対する傾斜の向きと角度とのうちの少なくとも一方が、この被検出面の幅方向両側部分同士で互いに異なっており、この被検出面の幅方向に所定の間隔をあけて配置され、且つ、それぞれの検出部を上記被検出面の幅方向両側部分に1つずつ対向させた1対の検査用センサを使用し、これら両検査用センサのうちの何れか一方のセンサの出力信号と所定の信号との間の位相差を求める際の、この所定の信号として、他方の検査用センサの出力信号を使用する、請求項1〜2のうちの何れか1項に記載したエンコーダの検査方法。
  5. 被検出面の幅方向複数個所で求めた検査用センサの出力信号と所定の信号との間の位相差として、それぞれエンコーダの1回転分の平均化処理を施したものを使用する、請求項1〜4のうちの何れか1項に記載したエンコーダの検査方法。
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