JP2007085761A - エンコーダの着磁方法及び着磁装置 - Google Patents

エンコーダの着磁方法及び着磁装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 円筒状のエンコーダを構成する永久磁石となるべき磁性部材15の着磁強度を、S極及びN極の各領域内で均一にできる着磁方法及び着磁装置を実現する。
【解決手段】 上記磁性部材15の外周面を着磁する際に使用する各着磁端子16a、16aの磁極面17a、17aを、それぞれ上記磁性部材15の外周面と同心の部分円筒面とする。この様な構成を採用する事により、上記各磁極面17a、17aから出入りする磁束を均一にして、上記課題を解決する。
【選択図】 図2

Description

この発明は、車輪支持用転がり軸受ユニット等の回転支持装置を構成する静止部材と回転部材との相対変位量、或いはこれら両部材同士の間に作用する荷重を測定する為に、センサと組み合わせて使用するエンコーダの着磁方法及び着磁装置の改良に関する。
例えば、車両の車輪を懸架装置に対して回転自在に支持する為に、転がり軸受ユニットを使用する。又、車両の走行安定性を確保する為に、アンチロックブレーキシステム(ABS)やトラクションコントロールシステム(TCS)、エレクトロニックスタビリティーコントロール装置(ESC)等の車両の走行状態安定化装置が広く使用されている。この様な各種車両用走行安定装置を制御する為には、車輪の回転速度、車体に加わる各方向の加速度等の信号が必要になる。そして、より高度の制御を行なう為には、車輪を介して上記転がり軸受ユニットに加わる荷重(ラジアル荷重、アキシアル荷重、モーメントのうちの少なくとも1種類)の大きさを知る事が好ましい場合がある。
この様な問題に対応する為には、懸架装置に対して車輪を支持する為の転がり軸受ユニットに、この車輪に加わる荷重を測定する為の荷重測定装置を組み込む事が考えられる。この様な場合に使用可能な荷重測定装置付車輪支持用転がり軸受ユニットとして従来から、例えば特許文献1〜4に記載されたものが知られている。ところが、これら特許文献1〜4に記載された荷重測定装置付車輪支持用転がり軸受ユニットの場合には、コストが嵩んだり、或は耐久性や荷重の測定精度を十分に確保するのが難しいと言った不都合がある。
この様な不都合を解消できる構造として、特願2005−147642号には、荷重の作用方向に配置された1対のセンサの出力信号の位相差に基づき、転がり軸受ユニットに加わる荷重の大きさを測定する発明が開示されている。図12〜15は、上記出願に開示された先発明の第1例を示している。この先発明の第1例に係る構造は、図12に示す様に、懸架装置に支持された状態で回転しない静止部材である外輪1の内径側に、車輪を支持固定(結合固定)して回転する回転部材であるハブ2を、複数個の転動体3、3を介して回転自在に支持している。そして、このハブ2の中間部にエンコーダ4を外嵌固定すると共に、上記外輪1の軸方向中間部で複列に配置された上記各転動体3、3の間部分に1対のセンサ5、5を、それぞれの検出部を、被検出面である上記エンコーダ4の外周面に近接対向させた状態で設けている。尚、上記各センサ5、5の検出部には、ホールIC、ホール素子、MR素子、GMR素子等の磁気検知素子を組み込む事が適切である。上記各転動体3、3には、接触角と共に、使用時に加わる荷重の方向及び大きさに拘わらず喪失しない程度の予圧を付与している。
上記エンコーダ4は、図12〜13に示す様に、軟鋼板等の磁性金属板により全体を円筒状に構成した芯金6と、この芯金6の外周面に全周に亙り添着固定した円筒状の永久磁石7とから成る。そして、このうちの芯金6を上記ハブの中間部に締り嵌めで外嵌固定している。又、上記エンコーダ4の被検出面である、上記永久磁石7の外周面には、N極に着磁した部分とS極に着磁した部分とを、円周方向に関して交互に且つ等間隔で配置している。これらN極に着磁された部分とS極に着磁された部分との境界は、上記永久磁石7の軸方向に対し同じ角度だけ傾斜させると共に、この軸方向に対する傾斜方向を、この永久磁石7の軸方向中間部を境に互いに逆方向としている。従って、上記N極に着磁された部分とS極に着磁された部分とは、軸方向中間部が円周方向に関して最も突出した(又は凹んだ)、「く」字形となっている。
又、上記両センサ5、5の検出部が上記永久磁石7の外周面に対向する位置は、この永久磁石7の円周方向に関して同じ位置としている。言い換えれば、上記両センサ5、5の検出部は、上記外輪1の中心軸を含む仮想平面上に配置されている。又、この外輪1と上記ハブ2との間にアキシアル荷重が作用しない状態で、上記N極に着磁された部分とS極に着磁された部分との軸方向中間部で円周方向に関して最も突出した部分(境界の傾斜方向が変化する部分)が、上記両センサ5、5の検出部同士の間の丁度中央位置に存在する様に、各部材4、5、5の設置位置を規制している。この様に、上記境界の傾斜方向が変化する部分を上記中央位置に存在させる事で、内外輪の温度差や熱膨張等の変形による誤差(変位が生じていなくても内外輪の温度差によって位相差が生じる、所謂オフセット)を小さく抑えられる様にしている。尚、上記エンコーダ4側に永久磁石7を組み込んでいるので、上記両センサ5、5側に永久磁石を組み込む必要はない。
上述の様に構成する先発明の第1例の場合、上記外輪1とハブ2との間にアキシアル荷重が作用すると、上記両センサ5、5の出力信号が変化する位相がずれる。即ち、上記外輪1とハブ2との間にアキシアル荷重が作用しておらず、上記外輪1と上記ハブ2とが相対変位していない、中立状態では、上記両センサ5、5の検出部は、図15の(A)の実線イ、イ上、即ち、上記最も突出した部分から軸方向に同じだけずれた部分に対向する。従って、上記両センサ5、5の出力信号の位相は、同図の(C)に示す様に、互いに一致する。
これに対して、上記エンコーダ4を固定したハブ2に、図15の(A)で下向きのアキシアル荷重が作用し{外輪1とハブ2とがアキシアル方向(軸方向)に相対変位し}た場合には、上記両センサ5、5の検出部は、図15の(A)の破線ロ、ロ上、即ち、上記最も突出した部分からの軸方向に関するずれが互いに異なる部分に対向する。この状態では上記両センサ5、5の出力信号の位相は、同図の(B)に示す様にずれる。更に、上記エンコーダ4を固定したハブ2に、図15の(A)で上向きのアキシアル荷重が作用した場合には、上記両センサ5、5の検出部は、図15の(A)の鎖線ハ、ハ上、即ち、上記最も突出した部分からの軸方向に関するずれが、逆方向に互いに異なる部分に対向する。この状態では上記両センサ5、5の出力信号の位相は、同図の(D)に示す様にずれる。
上述の様に先発明の第1例の場合には、上記両センサ5、5の出力信号の位相が、上記外輪1とハブ2との間に加わるアキシアル荷重の方向に応じた方向にずれる。又、このアキシアル荷重により上記両センサ5、5の出力信号の位相がずれる程度(変位量)は、このアキシアル荷重が大きくなる程大きくなる。従って、上記第1例の場合には、上記両センサ5、5の出力信号の位相ずれの有無、ずれが存在する場合にはその方向及び大きさに基づいて、上記外輪1とハブ2との間に作用しているアキシアル荷重の方向及び大きさを求められる。
次に、図16は、特願2005−238175号に開示された、先発明の第2例を示している。この先発明の第2例の場合、回転部材であるハブ2の中間部に、エンコーダ4aを外嵌固定している。このエンコーダ4aは、軟鋼板等の磁性金属板により断面クランク形で全体を円環状に構成した芯金6aと、この芯金6aの大径円筒部14の外周面に全周に亙り添着固定した円筒状の永久磁石7aとから成る。そして、このうちの芯金6aを上記ハブ2の中間部に締り嵌めで外嵌固定している。上記エンコーダ4aの被検出面である、上記永久磁石7aの外周面には、N極に着磁した部分とS極に着磁した部分とを、円周方向に関して交互に且つ等間隔で配置している。又、図16(A)に示す様に、上記N極に着磁された部分とS極に着磁された部分との境界の形状を、上記永久磁石7aの軸方向に対して同じ角度だけ傾斜させた直線形状としている。この様な永久磁石7aの外周面には、静止部材である外輪1の軸方向中間部に支持したセンサ5の検出部8を、径方向に近接対向させている。尚、このセンサ5の検出部8には、ホールIC、ホール素子、MR素子、GMR素子等の磁気検知素子を組み込む事が適切である。
又、上記外輪1の内端部{軸方向に関して「内」とは、自動車への組み付け状態で車両の幅方向中央側を言い、図16(A)の右側}内周面と上記ハブ2の内端部外周面との間を塞ぐ組み合わせシールリング9を構成する、上記ハブ2の内端部に外嵌固定したスリンガ10の内側面に、永久磁石により円輪状に構成した第二エンコーダ11を、上記ハブ2と同心に添着固定している。この第二エンコーダ11の被検出面である内側面には、N極に着磁した部分とS極に着磁した部分とを、円周方向に関して交互に且つ等間隔で配置している。又、図16(B)に示す様に、上記N極に着磁された部分とS極に着磁された部分との境界を、放射方向の直線形状としている。上記エンコーダ4aの外周面に存在するS極及びN極の数と、上記第二エンコーダ11の内側面に存在するS極及びN極の数とは、互いに等しい。この様な第二エンコーダ11の内側面には、懸架装置を構成するナックル(図示せず)等の静止部材の一部に支持した第二センサ12の検出部13を、軸方向に近接対向させている。尚、この第二センサ12の検出部13にも、ホールIC、ホール素子、MR素子、GMR素子等の磁気検知素子を組み込む事が適切である。
又、この先発明の第2例の場合には、上記外輪1と上記ハブ2との間にアキシアル荷重が作用せず、これら外輪1とハブ2とが軸方向に相対変位していない、中立状態で、上記両センサ5、12の出力信号が同時に(或いは所定の時間差で)変化する様にしている。この為に、上記中立状態で、上記第二センサ12の検出部13が上記第二エンコーダ11の内側面に存在するS極とN極との境界に対向するのと同時に、上記センサ5の検出部8が上記エンコーダ4aの外周面に存在するS極とN極との境界に対向する様に、各部材の設置位置を規制している。
上述の様に構成する先発明の第2例の場合、上記外輪1と上記ハブ2との間にアキシアル荷重が作用する(これら外輪1とハブ2とが軸方向に相対変位する)と、上記両センサ5、12の出力信号の位相がずれる。即ち、上記第二エンコーダ11の内側面に対向している上記第二センサ12の検出信号の位相は、上記相対変位の有無に関係なく、一定である(進んだり遅れたりする事はない)。これに対し、上記エンコーダ4aの外周面に対向している上記センサ5の検出信号の位相は、上記相対変位に伴って、進んだり遅れたりする。従って、この様に進んだり遅れたりする分だけ、上記両センサ5、12の出力信号の位相がずれる。
この様に、先発明の第2例の場合には、上記両センサ5、12の出力信号の位相が、上記外輪1と上記ハブ2との間に加わるアキシアル荷重の方向に応じた方向にずれる。又、このアキシアル荷重により上記両センサ5、12の出力信号の位相がずれる程度(変位量)は、このアキシアル荷重が大きくなる程大きくなる。従って、上述した先発明の第2例の場合には、上記両センサ5、12の出力信号の位相ずれの有無、ずれが存在する場合にはその向き及び大きさに基づいて、上記外輪1とハブ2との軸方向の相対変位の向き及び大きさ、延いては、これら外輪1とハブ2との間に作用しているアキシアル荷重の向き及び大きさを求められる。この先発明の第2例の場合も、前述した先発明の第1例の場合と同様、上記軸方向の相対変位量やアキシアル荷重を求める為の演算は、図示しない演算器により行なう。
次に、前述の図13〜15に示した先発明の第1例に組み込む各エンコーダ4を構成する永久磁石7の製造方法の1例に就いて、図17〜19を参照しつつ説明する。上記永久磁石7を造る場合には、先ず、図17に示す様に、芯金6の外周面に、上記永久磁石7となるべき円筒状の磁性部材(永久磁石材、高保持力材)15を全周に亙り添着固定する。次いで、同図に示す様に、この芯金6及び磁性部材15を、着磁装置にセットする。この着磁装置は、図示しない割り出し装置と、1対の着磁端子16、16とを備える。このうちの割り出し装置は、上記芯金6及び磁性部材15を支持した状態で、この芯金6及び磁性部材15を、図17の矢印イ方向に所定角度ずつ間欠的に回転させる、割り出し作業を行なえるものである。又、上記各着磁端子16、16はそれぞれ、鉄系合金等の強磁性材製で、その断面形状を、上記永久磁石7の外周面に配置すべきS極及びN極の形状と同じ、「く」字形とすると共に、その先端面(図17〜19の下端面)である磁極面17を、自身の中心軸αに直角な平面としている。この様な各着磁端子16、16は、互いの中心軸α、αを平行にした状態で、上記永久磁石7の隣り合うS極とN極とのピッチと同じピッチ間隔で配置すると共に、互いの磁極面17、17を同一の仮想平面内に配置している。そして、この状態で、上記各磁極面17、17を、それぞれ上記磁性部材15の外周面に近接対向させている。又、この様に近接対向させた状態で、上記各磁極面17、17のうち、互いに近い側の端部を、それぞれ上記磁性部材15の外周面に最も近づけている。又、上記各着磁端子16、16の周囲には、それぞれ図示しないコイルを巻回している。
上述の様に芯金6及び磁性部材15を着磁装置にセットしたならば、次いで、図18に示す様に、上記芯金6及び磁性部材15の静止状態で、上記各コイルへの通電を行なう事に基づき、上記各着磁端子16、16の磁極面17、17同士の間に磁力線β(代表して1本のみ図示)を発生させる。そして、この磁力線βを、上記磁性部材15の外周面のうち、上記各磁極面17、17が対向する円周方向に隣り合う1対の「く」字形領域を通じて、上記磁性部材15の内部に貫通させる。これにより、この磁力線βを貫通させた部分を着磁し、上記1対の「く」字形領域をS極及びN極とする事で、1回目の着磁作業を完了する。次いで、上記割り出し装置により上記芯金6及び磁性部材15を、上記矢印イ方向に、上記永久磁石7の隣り合うS極とN極とを合わせた中心角ピッチ分(各極毎の中心角ピッチの2倍の角度分)だけ回転させ、再び静止させる。これにより、上記磁性部材15の外周面に対する上記各磁極面17、17の対向位置を、上述の様にS極及びN極に着磁した1対の「く」字形領域の分だけ、上記矢印イ方向と反対方向にずらせる。そして、この状態で、上記1回目と同様の着磁作業を行なう事により、上記磁性部材15の外周面のうち、上記各磁極面17、17と対向する円周方向に隣り合う1対の「く」字形領域を、S極及びN極に着磁する。その後更に、図19(図中のAは、着磁済み範囲)に途中経過を示す様に、上述した様な芯金6及び磁性部材15の回転及び静止と着磁作業とを交互に繰り返す事により、上記磁性部材15の外周面に、複数の「く」字形のS極とN極とを、全周に亙り交互に且つ等間隔に配置し、上記永久磁石7を完成させる。
尚、上述した様な着磁方法は、前述の図16に示した先発明の第2例に組み込むエンコーダ4aを構成する永久磁石7aを造る場合にも適用できる。この場合には、1対の着磁端子として、それぞれの断面形状が、上記永久磁石7aの外周面に配置すべきS極及びN極の形状と同じ、平行四辺形のものを使用する。
ところが、上述の図17〜19に示した着磁方法の場合には、次の様な不都合がある。即ち、上述した着磁方法の場合、上記各磁極面17、17が上記各着磁端子16、16の中心軸α、αに直角な平面になっており、且つ、これら各着磁端子16、16の中心軸α、αが上記磁性部材15の径方向に対して傾いている(これら各着磁端子16、16の中心軸α、αとこの磁性部材15の中心軸Oとが、互いに交差しない、捩れの位置関係にある)。この為、上記各磁極面17、17と上記磁性部材15の外周面との間隔が、これら各磁極面17、17の全面に亙り不均一になる程度が著しくなっている。具体的には、上記各磁極面17、17のうち、互いに近い側の端部から互いに遠い側の端部に向かう程、上記間隔が広くなっている。しかも、最も狭い部分の間隔C1 と最も広い部分の間隔D1 との差δ1 (=D1 −C1 )が大きくなっている。一方、上記各磁極面17、17から出入りする磁束密度は、これら各磁極面17、17と上記磁性部材15の外周面との間隔が狭い部分程高くなり、間隔が広い部分程低くなる。この為、上述した着磁方法の場合には、上記各磁極面17、17から出入りする磁束密度が、これら各磁極面17、17の全面に亙り、上記間隔と同じ傾向で(上記差δ1 に見合った高低差をもって)不均一になる。従って、上記S極及びN極に着磁した「く」形領域内の着磁強度も、上記磁束密度と同じ傾向で(上記差δ1 に見合った高低差をもって)不均一になる。この結果、着磁完了後に完成した前記エンコーダ4の使用時に、前記各センサ5、5の出力波形が大きく乱れたり、或は、上記S極及びN極に着磁した「く」形領域のうち、着磁強度が小さくなっている部分と対向する部分で、上記各センサ5、5の出力レベルが要求値に達しなくなると言った不都合を生じる可能性がある。ABS用として従来一般的に使用されている、S極とN極との境界が軸方向に対し平行な永久磁石製エンコーダの場合には、このエンコーダの回転方向に関する、各極の範囲が狭いので、上述の様な不都合が顕在化しにくい。これに対して、本発明の対象となるエンコーダ(永久磁石)の場合には、回転方向に関する各極の範囲が広く、上述の様な不都合が顕在化し易い。従って、上述の様な不都合が発生するのを防止すべく、上記S極及びN極に着磁した領域内の着磁強度を均一にできる着磁方法及び着磁装置を実現する事が望まれる。
特開平3−209016号公報 特開2004−3918号公報 特公昭62−3365号公報 特開2001−21577号公報
本発明は、上述の様な事情に鑑み、S極とN極との境界が軸方向に対し傾斜しているエンコーダを構成する永久磁石の周面に設けた、上記S極及びN極に着磁した領域内の着磁強度を均一にできる、着磁方法及び着磁装置を実現すべく発明したものである。
本発明の対象となるエンコーダは、使用時に回転部材と共に回転及び変位する部分(例えば、この回転部材自体、或はディスクロータ、等速ジョイントの如く、この回転部材に結合固定される部材の一部)に支持されて、この回転及び変位する部分と同心に配置される円筒状の永久磁石を備える。そして、この永久磁石の外周面と内周面とのうち使用時にセンサの検出部を対向させる一方の周面にS極とN極とを円周方向に関して交互に且つ等間隔で配置すると共に、これらS極とN極との境界の少なくとも一部を、上記永久磁石の軸方向に対し傾斜させている。
そして、本発明のエンコーダの着磁方法及び着磁装置のうち、請求項1に記載したエンコーダの着磁方法は、上記永久磁石を造るべく、この永久磁石となるべき円筒状の磁性部材を着磁する為に、この磁性部材の一方の周面の一部で上記S極又はN極を配置すべき複数の領域のうちの1つの領域に、着磁端子の先端面である磁極面を対向させる。これと共に、この1つの領域に対し円周方向に隣り合う領域又は上記磁性部材の他方の周面のうち上記1つの領域と径方向に重畳する(整合する)領域に、他の着磁端子の先端面である磁極面を対向させる。そして、この状態で、これら両着磁端子の磁極面同士の間に磁力線を発生させる事により、この磁力線をこれら各磁極面が対向する上記各領域を通じて上記磁性部材の内部に貫通させ、この磁性部材を着磁する。
特に、請求項1に記載したエンコーダの着磁方法に於いては、上記各磁極面とこれら各磁極面が対向する上記各領域との間隔を、それぞれこれら各磁極面の全面に亙りほぼ(後述する実施例1と同等若しくはそれ以上に)均一にする。
又、請求項7に記載したエンコーダの着磁装置は、上記永久磁石を造るべく、この永久磁石となるべき円筒状の磁性部材を着磁する為に、その先端面である磁極面を、この磁性部材の一方の周面の一部で上記S極又はN極を配置すべき複数の領域のうちの1つの領域に対向させた着磁端子と、その先端面である他の磁極面を、上記1つの領域に対し円周方向に隣り合う領域又は上記磁性部材の他方の周面のうち上記1つの領域と径方向に重畳する領域に対向させた他の着磁端子とを備える。そして、着磁の際に、これら両着磁端子の磁極面同士の間で磁力線を発生させる事により、この磁力線をこれら各磁極面が対向する上記各領域を通じて上記磁性部材の内部に貫通させる。
特に、請求項7に記載したエンコーダの着磁装置に於いては、上記各磁極面とこれら各磁極面が対向する上記各領域との間隔を、それぞれこれら各磁極面の全面に亙りほぼ均一にしている。
上述した様な本発明のエンコーダの着磁方法及び着磁装置によれば、磁性部材の周面のうち、各磁極面と対向する各領域(S極及びN極に着磁すべき領域)を着磁する際に、これら各磁極面から出入りする磁束密度を、これら各磁極面の全面に亙りほぼ均一にできる。従って、上記各領域内の着磁強度をほぼ均一にできる。
本発明のエンコーダの着磁方法及び着磁装置を実施する場合には、例えば、請求項2及び請求項8に記載した様に、各磁極面をそれぞれ、円筒状の磁性部材の径方向に直角な平面とする。
この様な構成を採用すれば、上記各磁極面を加工し易い平面形状としたまま、本発明の構成を具体的に実現できる。
又は、例えば、請求項3及び請求項9に記載した様に、各磁極面をそれぞれ、円筒状の磁性部材の両周面と同心の部分円筒面とする。
この様な構成を採用すれば、上記各磁極面とこれら各磁極面が対向する各領域との間隔を、これら各磁極面の全面に亙り完全に均一にできる。
又、好ましくは、請求項4及び請求項11に記載した様に、各着磁端子の中心軸をそれぞれ、円筒状の磁性部材の径方向に配置する。
この様な構成を採用すれば、上記磁性部材の周面に対して上記各着磁端子の中心軸が垂直に配置される為、上記各磁極面から出入りする磁束の向きを安定させる事ができる。従って、これら各磁極面と対向する各領域の着磁強度を均一にする効果を高められる。
又、請求項1〜4に記載したエンコーダの着磁方法は、例えば、永久磁石の一方の周面に複数存在するS極とN極との境界が、それぞれこの永久磁石の軸方向に対し同じ角度だけ傾斜すると共に、この軸方向に対する傾斜方向が、この軸方向に関する上記各境界の中間部を境に互いに逆になっているエンコーダ(請求項5)や、永久磁石の一方の周面に複数存在するS極とN極との境界が、それぞれこの永久磁石の軸方向に対し全体的に同じ角度だけ傾斜しているエンコーダ(請求項6)を対象として実施できる。
又、請求項9に記載したエンコーダの着磁装置を実施する場合に、好ましくは、請求項10に記載した様に、各着磁端子の磁極面を、これら各着磁端子同士を磁性部材を着磁する際の位置関係に保持した状態で、それぞれ単一の工具により同時に円筒面加工を施されたものとする。
この様な構成を採用すれば、上記各着磁端子の磁極面に別々に円筒面加工を施した後、これら各着磁端子同士を互いに組み合わせる事により、これら各着磁端子の磁極面を同心に配置する構成を採用する場合に比べて、次の様な有利な効果を得られる。即ち、上記請求項10の構成を採用すれば、上記各磁極面の加工を単一の工具により同時に行なう為、これら各磁極面の加工時間を短くできる。又、これら各磁極面の加工終了と同時に、これら各磁極面を同心に配置できる為、この配置作業を別個に行なわずに済む。又、この配置作業に伴う組み付け誤差を生じる事がない為、上記各磁極面同士の同心度を良好にできる。
図1は、請求項1、2、4、5、7、8、11に対応する、本発明の実施例1を示している。尚、本実施例の特徴は、芯金6の外周面に添着固定した磁性部材15を着磁装置にセットした状態での、この磁性部材15の外周面に対する1対の着磁端子16、16の配置の仕方を工夫した点にある。その他の部分の構造及び作用は、前述の図17〜19に示したエンコーダの着磁方法及び着磁装置と同様である為、重複する図示並びに説明を省略若しくは簡略にし、以下、本実施例の特徴部分を中心に説明する。
本実施例の場合、上記芯金6及び磁性部材15を着磁装置にセットした状態で、上記1対の着磁端子16、16の中心軸α、αを、それぞれ上記磁性部材15の径方向に配置している。これに伴って、上記各着磁端子16、16の磁極面17、17を、それぞれ上記磁性部材15の径方向に対して直角な平面としている。又、円周方向に関する上記各着磁端子16、16同士の配置間隔(中心角ピッチ)を、上記磁性部材15の外周面に配置すべき隣り合うS極とN極との間の中心角ピッチPと等しくしている。そして、この状態で、上記両磁極面17、17を、それぞれ上記磁性部材15の外周面に近接対向させている。本実施例の場合には、この状態で、前述の図17〜19に示した着磁方法と同様の手順により、上記磁性部材15を着磁する。
上述した様に、本実施例のエンコーダの着磁方法及び着磁装置の場合には、上記各磁極面17、17を、それぞれ上記磁性部材15の径方向に対して直角な平面としている。この為、上記各磁極面17、17と上記磁性部材15の外周面との間隔を、それぞれこれら各磁極面17、17の全面に亙りほぼ均一にできる。具体的には、これら各磁極面17、17と上記磁性部材15の外周面との間隔が最も小さい部分である、円周方向中央部の間隔C2 と、上記間隔が最も大きい部分である、円周方向端部の間隔D2 との差δ2 を、前述の図17〜19に示した着磁方法に比べて、十分に小さく{δ2 ≪δ1 (図17〜19)}できる。この為、本実施例の場合には、上記磁性部材15を着磁する際に、上記各磁極面17、17から出入りする磁束密度を、これら各磁極面17、17の全面に亙りほぼ均一にできる。従って、上記磁性部材15の外周面のうち、上記各磁極面17、17と対向する各領域(S極及びN極)内の着磁強度を、ほぼ均一にできる。特に、本実施例の場合には、上記各着磁端子16、16の中心軸α、αを、それぞれ上記磁性部材15の径方向に配置している。言い換えれば、これら各着磁端子16、16の中心軸α、αを、それぞれ上記磁性部材15の周面に対して垂直に配置している。この為、上記各磁極面17、17から出入りする磁束の向きを安定させる事ができる。従って、上記各領域(S極及びN極)内の着磁強度を均一にする効果を高められる。尚、本実施例の場合には、前述の図17〜19に示したエンコーダの着磁方法及び着磁装置の場合と同様、上記各磁極面17、17を平面形状としている為、上記各着磁端子16、16を造る際に、上記各磁極面17、17の加工を容易に行なえる。
次に、図2〜3は、請求項1、3、5、7、9、10に対応する、本発明の実施例2を示している。本実施例の場合、芯金6及び磁性部材15を着磁装置にセットした状態での、この磁性部材15の外周面に対する1対の着磁端子16a、16aの配置の仕方は、前述の図17〜19に示したエンコーダの着磁方法及び着磁装置の場合と同様である。但し、本実施例の場合には、それぞれが上記磁極部材15の外周面に近接対向させる面である、上記各着磁端子16a、16aの磁極面17a、17aを、それぞれ上記磁性部材15の外周面(曲率半径R15)と同心の部分円筒面{曲率半径R17a (>R15)}としている。そして、この様な構成を採用する事により、上記各磁極面17a、17aと上記磁性部材15の外周面との間隔を、それぞれこれら各磁極面17a、17aの全面に亙り均一にしている。この為、本実施例の場合、上記磁性部材15を着磁する際に、上記各磁極面17a、17aから出入りする磁束密度を、これら各磁極面17a、17aの全面に亙り均一にできる。従って、上記磁性部材15の外周面のうち、上記各磁極面17a、17aと対向する各領域(S極及びN極)内の着磁強度を均一にできる。
又、本実施例の場合、上述の様な各磁極面17a、17aを備えた着磁端子16a、16aを造る為に、図3に示す様に、これら各着磁端子16a、16a同士を、図2に示す様な着磁作業の際の位置関係に保持した状態で、単一の工具{例えば円筒フライス用切削工具(外周縁の曲率半径R17a )}18により、上記各着磁端子16a、16aの先端面(図3の下端面)に、同時に円筒面加工を施す(ハッチングを施した部分を削り取る)。これにより、上記各着磁端子16a、16aの先端面を、それぞれ上述の様な各磁極面17a、17aとする。この様にして各磁極面17a、17aを加工する本実施例の場合には、これら各磁極面17a、17aの加工を別々に行なった後、上記各着磁端子16a、16a同士を互いに組み合わせる事により、上記各磁極面17a、17aを同心に配置する構成を採用する場合に比べて、次の様な有利な効果を得られる。即ち、本実施例の場合には、上記各磁極面17a、17aの加工を単一の工具18により同時に行なう為、これら各磁極面17a、17aの加工時間を短くできる。又、これら各磁極面17a、17aの加工終了と同時に、これら各磁極面17a、17aを同心に配置できる為、この配置作業を別個に行なわずに済む。又、この配置作業に伴う組み付け誤差を生じる事がない為、上記各磁極面17a、17a同士の同心度を良好できる。
次に、図4は、請求項1、3、4、5、7、9、10、11に対応する、本発明の実施例3を示している。本実施例の場合、芯金6及び磁性部材15を着磁装置にセットした状態での、この磁性部材15の外周面に対する1対の着磁端子16b、16bの配置の仕方は、前述の図1に示した実施例1の場合と同様である。但し、本実施例の場合には、それぞれが上記磁極部材15の外周面に近接対向させる面である、上記各着磁端子16b、16bの磁極面17a、17aを、それぞれ上記磁性部材15の外周面(曲率半径R15)と同心の部分円筒面{曲率半径R17a (>R15)}としている。そして、この様な構成を採用する事により、上記各磁極面17a、17aと上記磁性部材15の外周面との間隔を、それぞれこれら各磁極面17a、17aの全面に亙り均一にしている。この為、本実施例の場合、上記磁性部材15を着磁する際に、上記各磁極面17a、17aから出入りする磁束密度を、これら各磁極面17a、17aの全面に亙り均一にできる。従って、上記磁性部材15の外周面のうち、上記各磁極面17a、17aと対向する各領域(S極及びN極)内の着磁強度を均一にできる。又、本実施例の場合も、上記各磁極面17a、17aは、上述した実施例2の場合と同様にして、単一の工具により同時に円筒面加工する。その他の構成及び作用は、上述した実施例1〜2の場合と同様である。
次に、図5〜6は、やはり請求項1、3、4、5、7、9、10、11に対応する、本発明の実施例4を示している。本実施例の場合には、芯金6及び磁性部材15を着磁装置にセットした状態で、それぞれの中心軸α、αを上記磁性部材15の径方向に配置した1対の着磁端子16b、16cの磁極面17a、17bを、上記芯金6及び磁性部材15の円周方向一部を挟んで径方向に対向させている。そして、この状態で、上記磁性部材15の外周面に近接対向させた一方の着磁端子16bの磁極面17aを、上記磁性部材15の外周面(曲率半径R15)と同心の部分円筒面{曲率半径R17a (>R15)}としている。これと共に、上記芯金6を介して上記磁性部材15の内周面に近接対向させた他方の着磁端子16cの磁極面17bを、上記磁性部材15の内周面(曲率半径r15)及び上記芯金6の内周面(曲率半径r6 )と同心の部分円筒面{曲率半径r17b (<r6 )}としている。そして、この様な構成を採用する事により、上記磁極面17aと上記磁性部材15の外周面との間隔、並びに、上記磁極面17bと上記磁性部材15の内周面(上記芯金6の内周面)との間隔を、それぞれ上記各磁極面17a、17bの全面に亙り均一にしている。
本実施例の場合、上記磁性部材15を着磁する際には、図示しない割り出し装置により上記芯金6及び磁性部材15を、図5の矢印イ方向に、この磁性部材15の外周面に配置すべき隣り合うS極とN極との間の中心角ピッチ分だけ回転させる作業と、静止させる作業とを、交互に繰り返す。そして、各静止時毎に、上記磁性部材15の円周方向一部で上記各磁極面17a、17b同士の間に挟まれた部分に、これら各磁極面17a、17b同士の間で発生させた磁力線βを、径方向に貫通させる。これにより、この貫通させた部分の外周面をS極(N極)に着磁する。但し、この際の磁力線βの向き(径方向に関する着磁の向き。上記各着磁端子16a、16bに巻回した図示しないコイルへの通電方向)は、上記各静止時の度に交互に変化させる。これにより、上記磁性部材15の外周面に全周に亙り、複数のS極とN極とを交互に且つ等間隔に配置する。
上述した様に、本実施例の場合も、上記各磁極面17a、17bと上記磁性部材15の両周面との間隔を、それぞれこれら各磁極面17a、17bの全面に亙り均一にしている。この為、本実施例の場合も、上記磁性部材15を着磁する際に、上記各磁極面17a、17bから出入りする磁束密度を、これら各磁極面17a、17bの全面に亙り均一にできる。従って、上記磁性部材15の外周面のうち、上記一方の磁極面17aと対向する領域(S極又はN極)内の着磁強度を均一にできる。又、本実施例の場合には、上記各着磁端子16b、16cの中心軸α、αを、それぞれ上記磁性部材15の径方向に配置している。言い換えれば、これら各着磁端子16b、16cの中心軸α、αを、それぞれ上記磁性部材15の周面に対して垂直に配置している。この為、上記各磁極面17a、17bから出入りする磁束の向きを安定させる事ができる。従って、上記各領域(S極及びN極)内の着磁強度を均一にする効果を高められる。
又、本実施例の場合、上述の様な各磁極面17a、17bを備えた着磁端子16b、16cを造る為に、図6に示す様に、これら各着磁端子16b、16c同士を、図5に示す様な着磁作業の際の位置関係に保持した状態で、単一の円筒状工具(外周縁の曲率半径R17a 、内周縁の曲率半径r17b )18aにより、上記各着磁端子16b、16cの先端面に、同時に円筒面加工を施す(ハッチングを施した部分を削り取る)。これにより、これら各着磁端子16b、16cの先端面を、それぞれ上述の様な各磁極面17a、17bとする。この様にして各磁極面17a、17bを加工する本実施例の場合も、これら各磁極面17a、17bの加工を単一の円筒状工具18aにより同時に行なう為、これら各磁極面17a、17bの加工時間を短くできる。又、これら各磁極面17a、17bの加工終了と同時に、これら各磁極面17a、17bを同心に配置できる為、この配置作業を別個に行なわずに済む。又、この配置作業に伴う組み付け誤差を生じる事がない為、上記各磁極面17a、17b同士の同心度を良好できる。
尚、本実施例の着磁装置によれば、芯金の内周面に添着固定した磁性部材の内周面を着磁し、この内周面に複数のS極とN極とを円周方向に関して交互に且つ等間隔に配置する事もできる。
次に、図7は、請求項1、3、5、7、9、10に対応する、本発明の実施例5を示している。前述の図2に示した実施例2の場合が、磁性部材15の外周面のうち円周方向に隣り合う2つの領域に、2個の着磁端子16a、16aの磁極面17a、17aを近接対向させていたのに対し、本実施例の場合には、磁性部材15の外周面のうち円周方向に連続する3つの領域に、3個の着磁端子16d、16eの磁極面17a、17aを近接対向させている。この様な本実施例の場合、上記磁性部材15を着磁する際には、図示しない割り出し装置により芯金6及び磁性部材15を、図7の矢印イ方向に、この磁性部材15の外周面に配置すべき隣り合うS極とN極との間の中心角ピッチの3倍の角度だけ回転させる作業と、静止させる作業とを、交互に繰り返す。そして、各静止時毎に、上記磁性部材15のうち上記各磁極面17a、17aと対向する部分に、これら各磁極面17a、17a同士の間に発生させた磁力線β、βを貫通させる。これにより、これら各貫通させた部分の外周面(上記3つの領域)をS極及びN極に着磁する。但し、この際の磁力線β、βの向き(着磁の向き。上記各着磁端子16d、16eに巻回した図示しないコイルへの通電方向)は、上記各静止時の度に交互に変化させる。これにより、上記磁性部材15の外周面に全周に亙り、複数のS極とN極とを交互に且つ等間隔に配置する。その他の部分の構成及び作用は、上記実施例2の場合と同様である。
次に、図8は、請求項1、3、4、5、7、9、10、11に対応する、本発明の実施例6を示している。前述の図4に示した実施例3の場合が、磁性部材15の外周面のうち円周方向に隣り合う2つの領域に、2個の着磁端子16b、16bの磁極面17a、17aを近接対向させていたのに対し、本実施例の場合には、磁性部材15の外周面のうちそれぞれがS極又はN極を配置すべき総ての領域に、この磁性部材15の外周面に配置すべきS極及びN極と同数の着磁端子16b、16bの磁極面17a、17aを近接対向させている。この様な本実施例の場合、上記磁性部材15の外周面を着磁する際には、芯金6及び磁性部材15を所定角度ずつ回転させる作業は行なわない。本実施例の場合には、この芯金6及び磁性部材15を静止させた状態で、上記各着磁端子16b、16bの磁極面17a、17a同士の間で発生させた磁力線β、βにより、上記総ての領域を一度に着磁する。これにより、着磁作業時間の短縮を図っている。その他の構成及び作用は、上記実施例3の場合と同様である。
次に、図9〜10は、請求項1、3、5、7、9、10に対応する、本発明の実施例7を示している。前述の図2〜3に示した実施例2の場合が、円筒状の芯金6の外周面に添着固定した円筒状の磁性部材15の外周面を、着磁すべき周面としていたのに対し、本実施例の場合には、円筒状の芯金6aの内周面に添着固定した円筒状の磁性部材15aの内周面を、着磁すべき周面としている。又、上記実施例2の場合が、上記磁性部材15の外周面のうち円周方向に隣り合う2つの領域に、着磁端子16a、16aの磁極面17a、17aを近接対向させていたのに対し、本実施例の場合には、上記磁性部材15aの内周面のうち円周方向に隣り合う2つの領域に、着磁端子16f、16fの磁極面17b、17bを近接対向させている。そして、この状態で、これら各磁極面17b、17bを、それぞれ上記磁性部材15aの内周面(曲率半径r15a )と同心の部分円筒面{曲率半径r17b(<r15a )}としている。これにより、上記各磁極面17b、17bと上記磁性部材15aの内周面との間隔を、それぞれ上記各磁極面17b、17bの全面に亙り均一にしている。そして、この状態で、上記実施例2の場合と同様にして、図示しない割り出し装置と、上記各着磁端子16f、16fとにより、上記磁性部材15aの内周面を着磁する。
上述した様に、本実施例の場合も、上記各磁極面17b、17bと上記磁性部材15aの内周面との間隔を、これら各磁極面17b、17bの全面に亙り均一にしている。この為、上記磁性部材15aを着磁する際に、上記各磁極面17b、17bから出入りする磁束密度を、これら各磁極面17b、17bの全面に亙り均一にできる。従って、上記磁性部材15aの内周面のうち、上記各磁極面17b、17bが対向する領域(S極又はN極)内の着磁強度を均一にできる。
又、本実施例の場合、上述の様な各磁極面17b、17bを備えた着磁端子16f、16fを造る為に、図10に示す様に、これら各着磁端子16f、16f同士を、図9に示す様な着磁作業の際の位置関係に保持した状態で、単一の円筒状工具(内周縁の曲率半径r17b )18bにより、上記各着磁端子16f、16fの先端面に、同時に円筒面加工を施す(ハッチングを施した部分を削り取る)。これにより、これら各着磁端子16f、16fの先端面を、それぞれ上述の様な各磁極面17b、17bとする。この様にして各磁極面17b、17bを加工する本実施例の場合も、これら各磁極面17b、17bの加工を単一の円筒状工具18bにより同時に行なう為、これら各磁極面17b、17bの加工時間を短くできる。又、これら各磁極面17b、17bの加工終了と同時に、これら各磁極面17b、17bを同心に配置できる為、この配置作業を別個に行なわずに済む。又、この配置作業に伴う組み付け誤差を生じる事がない為、上記各磁極面17b、17b同士の同心度を良好できる。
尚、本発明を実施する場合には、上記実施例2に限らず、他の実施例(図5〜6に示した実施例4を除く)に就いても、磁性部材と各磁極端子との径方向に関する配置関係を逆にする事により、芯金の内周面に添着固定した磁性部材を着磁し、この磁性部材の内周面に複数のS極とN極とを、円周方向に関して交互に且つ等間隔に配置する事ができる。
次に、図11は、請求項1、3、6、7、9、10に対応する、本発明の実施例8を示している。前述の図2に示した実施例2の場合が、前述の図12〜15に示したエンコーダ4を構成する永久磁石7となるべき磁性部材15を着磁の対象としていたのに対し、本実施例の場合には、前述の図16に示したエンコーダ4aを構成する永久磁石7aとなるべき磁性部材15bを着磁の対象としている。これに伴い、本実施例の場合、1対の着磁端子16g、16gの断面形状は、それぞれ上記永久磁石7aの外周面に配置するS極及びN極の形状と同じ平行四辺形としている。その他の部分の構成及び作用は、前述の図2に示した実施例2の場合と同様である。
尚、上記実施例2に限らず、他の実施例でも、各着磁端子の断面形状を上述の様な平行四辺形とすれば、上記永久磁石7aとなるべき磁性部材15bの着磁を行なえる。
尚、本発明を実施する場合、永久磁石となるべき磁性部材の周面に対向させる着磁端子の数は、2個以上であれば特に数を問わない。又、上記磁性部材は、芯金の周面に固定する以前に着磁する事もできる。又、この芯金の周面に対する上記磁性部材の固定方法としては、接着、かしめ、圧入等、各種の方法を採用できる。又、上述した各実施例では、磁性部材の着磁作業を、この磁性部材を間欠的に回転させながら(回転と停止とを繰り返しながら)行なう方法を採用した。但し、本発明を実施する場合、磁性部材の着磁作業は、この磁性部材を連続的に回転させながら行なう事もできる。この場合には、例えば、この磁性部材を回転駆動するステッピングモータ等により、この磁性部材の回転角度を正確に監視しつつ、各着磁端子に巻回したコイルの通電状態(ON、OFF)や通電方向(正、逆)を適切なタイミングで切り換える。又、本発明を実施する場合、着磁作業の際に上記磁性部材を回転させる回数は、この磁性部材に必要な着磁強度を与えられる回数であれば良く、特に何回転であるかを問わない。
本発明の実施例1を示す、エンコーダを構成する永久磁石となるべき円筒状の磁性部材に着磁する作業の途中段階を、このエンコーダの軸方向片側から見た状態で示す図。 同実施例2を示す、図1と同様の図。 この実施例2で使用する1対の着磁端子の磁極面を加工する状況を示す模式図。 本発明の実施例3を示す、図1と同様の図。 同実施例4を示す、図1と同様の図。 この実施例2で使用する1対の着磁端子の磁極面を加工する状況を示す模式図。 本発明の実施例5を示す、図1と同様の図。 同実施例6を示す、図1と同様の図。 同実施例7を示す、図1と同様の図。 この実施例7で使用する1対の着磁端子の磁極面を加工する状況を示す模式図。 本発明の実施例8を示す、図1と同様の図。 先発明の第1例を示す断面図。 この第1例に組み込むエンコーダの斜視図。 同じく展開図。 アキシアル荷重の変動に伴って変化するセンサの出力信号を示す線図。 先発明の第2例を示す断面図。 先発明の第1例のエンコーダを構成する永久磁石となるべき円筒状の磁性部材に着磁する作業の初期段階を、このエンコーダの軸方向片側から見た状態で示す図。 同じく、上記初期段階に続く段階を示す、図17と同様の図。 同じく、その後の途中段階を示す、図17と同様の図。
符号の説明
1 外輪
2 ハブ
3 転動体
4、4a エンコーダ
5 センサ
6、6a 芯金
7、7a 永久磁石
8 検出部
9 組み合わせシールリング
10 スリンガ
11 第二エンコーダ
12 第二センサ
13 検出部
14 大径円筒部
15、15a 磁性部材
16、16a〜16g 着磁端子
17、17a、17b 磁極面
18、18a、18b 工具

Claims (11)

  1. 使用時に回転部材と共に回転及び変位する部分に支持されて、この回転及び変位する部分と同心に配置される円筒状の永久磁石を備え、この永久磁石の外周面と内周面とのうち使用時にセンサの検出部を対向させる一方の周面にS極とN極とを円周方向に関して交互に且つ等間隔で配置すると共に、これらS極とN極との境界の少なくとも一部を、上記永久磁石の軸方向に対し傾斜させているエンコーダのうち、この永久磁石を造るべく、この永久磁石となるべき円筒状の磁性部材を着磁する為に、この磁性部材の一方の周面の一部で上記S極又はN極を配置すべき複数の領域のうちの1つの領域に着磁端子の先端面である磁極面を対向させると共に、この1つの領域に対し円周方向に隣り合う領域又は上記磁性部材の他方の周面のうち上記1つの領域と径方向に重畳する領域に他の着磁端子の先端面である磁極面を対向させた状態で、これら両着磁端子の磁極面同士の間に磁力線を発生させる事により、この磁力線をこれら各磁極面が対向する上記各領域を通じて上記磁性部材の内部に貫通させ、この磁性部材を着磁するエンコーダの着磁方法に於いて、上記各磁極面とこれら各磁極面が対向する上記各領域との間隔を、それぞれこれら各磁極面の全面に亙りほぼ均一にする事を特徴とするエンコーダの着磁方法。
  2. 各磁極面をそれぞれ、円筒状の磁性部材の径方向に直角な平面とする、請求項1に記載したエンコーダの着磁方法。
  3. 各磁極面をそれぞれ、円筒状の磁性部材の両周面と同心の部分円筒面とする、請求項1に記載したエンコーダの着磁方法。
  4. 各着磁端子の中心軸をそれぞれ、円筒状の磁性部材の径方向に配置する、請求項1〜3のうちの何れか1項に記載したエンコーダの着磁方法。
  5. 永久磁石の一方の周面に複数存在するS極とN極との境界が、それぞれこの永久磁石の軸方向に対し同じ角度だけ傾斜すると共に、この軸方向に対する傾斜方向が、この軸方向に関する上記各境界の中間部を境に互いに逆になっている、請求項1〜4のうちの何れか1項に記載したエンコーダの着磁方法。
  6. 永久磁石の一方の周面に複数存在するS極とN極との境界が、それぞれこの永久磁石の軸方向に対し全体的に同じ角度だけ傾斜している、請求項1〜4のうちの何れか1項に記載したエンコーダの着磁方法。
  7. 使用時に回転部材と共に回転及び変位する部分に支持されて、この回転及び変位する部分と同心に配置される円筒状の永久磁石を備え、この永久磁石の外周面と内周面とのうち使用時にセンサの検出部を対向させる一方の周面にS極とN極とを円周方向に関して交互に且つ等間隔で配置すると共に、これらS極とN極との境界の少なくとも一部を、上記永久磁石の軸方向に対し傾斜させているエンコーダのうち、この永久磁石を造るべく、この永久磁石となるべき円筒状の磁性部材を着磁する為に、その先端面である磁極面を、この磁性部材の一方の周面の一部で上記S極又はN極を配置すべき複数の領域のうちの1つの領域に対向させた着磁端子と、その先端面である他の磁極面を、上記1つの領域に対し円周方向に隣り合う領域又は上記磁性部材の他方の周面のうち上記1つの領域と径方向に重畳する領域に対向させた他の着磁端子とを備え、着磁の際に、これら両着磁端子の磁極面同士の間で磁力線を発生させる事により、この磁力線をこれら各磁極面が対向する上記各領域を通じて上記磁性部材の内部に貫通させるエンコーダの着磁装置に於いて、上記各磁極面とこれら各磁極面が対向する上記各領域との間隔を、それぞれこれら各磁極面の全面に亙りほぼ均一にしている事を特徴とするエンコーダの着磁装置。
  8. 各磁極面をそれぞれ、円筒状の磁性部材の径方向に直角な平面としている、請求項7に記載したエンコーダの着磁装置。
  9. 各磁極面をそれぞれ、円筒状の磁性部材の両周面と同心の部分円筒面としている、請求項7に記載したエンコーダの着磁装置。
  10. 各着磁端子の磁極面が、これら各着磁端子同士を磁性部材を着磁する際の位置関係に保持した状態で、それぞれ単一の工具により同時に円筒面加工を施されたものである、請求項9に記載したエンコーダの着磁装置。
  11. 各着磁端子の中心軸をそれぞれ、円筒状の磁性部材の径方向に配置している、請求項7〜10のうちの何れか1項に記載したエンコーダの着磁装置。
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JP2009250851A (ja) * 2008-04-09 2009-10-29 Nsk Ltd エンコーダの着磁方法
JP2016095208A (ja) * 2014-11-13 2016-05-26 日本精工株式会社 磁気検出装置

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