JP2009274521A - 車両停止保持装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】制動力保持機能を備えた車両が、滑り易い道路を発進する場合を想定し、運転者の操舵操作を補助して車両姿勢の立直しを確実に図ることを可能とした車両停止保持装置を提案する。
【解決手段】ブレーキペダルの踏込の操作後、当該踏込操作が解除されたときに車輪の制動力を保持可能とする制動力保持手段を有している車両停止保持装置において、前記制動力保持手段が起動しているときに、走行路に対する車両の移動の有無を検出する移動検出手段と、前記車両の操舵角を検出する操舵角検出手段を含み、前記移動検出手段が車両の移動を検出したときに、運転者による操舵操作に応じて車両のヨー挙動を制御するヨー挙動制御手段とを備える。運転者によるステアリング操作を積極的にアシストするので、車両が滑り易い道路に停車した後に発進するときに発生する滑りに対して有効に対処しながら車両姿勢を修正できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、停止していた車両をスムーズに発進させるため、車両に適用される停止保持装置に関する。より詳細には、車両が坂道発進や摩擦係数の低い走行路(以下、低μ路、と称する場合がある)で発進する場合など、通常よりも発進が困難である状況でもスムーズな発進を行えるように運転者を補助(アシスト)する車両停止保持装置に関する。
従来から、坂道に停止した車両を「後ずさり(後退)」させることなく、スムーズに発進させるなど発進の際に運転操作を補助する車両停止保持装置が種々提案されている。そして、この種の車両停止保持装置として、車両を停止させた後にブレーキペダルから足を放しても制動力(ブレーキ力)を保持可能として、上り坂などに停車したときに「後ずさり」を防止しながらスムーズに発進できるように設計したものがある。
上記車両停止保持装置は、例えばアクセルペダルの踏込みを検出するアクセル検出手段、車輪の回転を検出する回転検出手段、更に前後4つの車輪のブレーキ油圧を保持するブレーキ油圧保持手段などを有している。そして、アクセルペダルの解放状態での車輪の停止時つまり停車時に、ブレーキ油圧保持手段を作動させて車輪の「後ずさり」を阻止すると共に、その後の坂道発進時にはアクセルペダルの踏込操作により上記ブレーキ油圧保持手段の作動を解除して、スムーズな発進を確保する。なお、このように、坂道でのスムーズな発進を意図した機能は、特に、坂道発進補助機能(Hill Start Assist(或いはAid))、「HSA機能」と称されるものである。
ところが、上記HSA機能を果たすように構成した車両停止保持装置であっても、冬期の雪道や凍結路等のように摩擦係数μが低い道路(低μ路)の走行時には、ブレーキ油圧保持手段の誤作動を招くことが懸念された。すなわち、低μ路走行時には、ブレーキペダルの軽い踏込操作によっても車輪のロック状態を招き易く、このブレーキペダルの踏込操作に起因する車輪ロックの発生時には、未だ車両の慣性による移動つまり車速があるにも拘わらず、回転検出手段は停車時と誤検出し、これによりブレーキ油圧保持手段が誤作動してしまう。そのため、その後に運転者がブレーキペダルを解放操作しても車輪がロック状態のままになる。その結果、車輪のスリップや車両のスピンを招き易くなり、走行安全上好ましくない状態となることが懸念された。
上記に対して、例えば特許文献1による車両停止保持装置が提案されている。この装置は、所定の車輪(回転検出用車輪)について回転が確保できるように設計して、その回転状態を検出するように回転検出センサが配備してある。更に、上記回転検出用車輪を除いた他の車輪に、ブレーキ油圧保持手段による油圧が作用するように構成されている。この装置は、ブレーキペダルの解放操作後に、回転検出センサで上記回転検出用車輪の回転を検出できる。よって、ブレーキ油圧保持手段の誤作動などで車輪がロックするような状況を招いたような場合であっても、アクセルペダルの踏込操作をしなくても上記回転検出用車輪により車両の移動を確認できる。したがって、その後にブレーキ油圧保持手段で保持している他の車輪への制動力保持制御を中止することで、車輪のロック状態を速やかに解除してスリップの発生、ひいては車両のスピンを抑制できるとしている。
特開昭61−253252号公報
ところで、低μ路を走行する車両が坂道で停止後、発進する際に車輪が路面に対して滑り出し、スリップやスピンを発生させた状況を想定すると、運転者はブレーキの踏み込みの操作をするだけでなく、ステアリング操作も行って車両の姿勢を正す(正しい向きに直す)ように対処の動作をするのが通常である。この対処動作を補助できれば車両姿勢の立直しに有効である。
しかしながら、上記特許文献1で開示する車両停止保持装置は、単に、スリップ時に回転検出用車輪用の車両の回転を確保するものである。すなわち、特許文献1はステアリング操作により車両姿勢の立直しを意図した技術を提案するものではないので、車両がスリップやスピンを発生させた状況に対処できない。
よって、本発明の目的は、制動力保持機能を備えた車両が、滑り易い道路を発進する場合を想定し、運転者の操舵操作を補助(アシスト)して車両姿勢の立直しを図ることを可能とした車両停止保持装置を提供することである。
なお、車両が滑り易い道路を発進したときにスピン等を発生させたときに、操舵車輪(一般に前輪)の回転を確保して運転者の操舵補助を図ることも考えられるが、本発明はより積極的に運転者の操舵補助を図る技術を提案するものである。
上記目的のため、本発明に係る車両停止保持装置は、ブレーキペダルの踏込の操作後、当該踏込操作が解除されたときに車輪の制動力を保持可能とする制動力保持手段を有していることを前提とし、
前記制動力保持手段が起動しているときに、走行路に対する車両の移動の有無を検出する移動検出手段と、
前記車両の操舵角を検出する操舵角検出手段を含み、前記移動検出手段が車両の移動を検出したときに、運転者による操舵操作に応じて車両のヨー挙動を制御するヨー挙動制御手段とを、備えることにより特徴付けされるものである。
かかる本発明の車両停止保持装置によれば、ヨー挙動制御手段が運転者の操舵意図に応じて、その操舵を補助するようなヨーモーメントを発生させる。これにより、運転者の意図を反映したヨーモーメントが車両に作用することになるので車両姿勢を速やかに修正できる。よって、摩擦係数の小さな滑り易い坂道に停車して、発進するような場合にずり下がりが生じても、安全かつ円滑に発進できる車両停止保持装置を提供することができる。
以下、本発明の一実施形態として好適な実施例を、図を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の実施例に係る車両停止保持装置のシステム構成を示した図である。図1で、FL、FRはそれぞれ車両の左右前輪、またRL、RRはそれぞれ車両の左右後輪を示している。この各車輪、すなわち前後(F:フロント、R:リア)、及び左右(L:レフト、R:ライト)のそれぞれに制動装置(以下、ブレーキ装置と称す)が配設されている。各ブレーキ装置はコントローラCONTにより、その駆動が制御される。
各車輪に配備されているブレーキ装置は、例えば車輪と共に回転するブレーキディスクBDと、このブレーキディスクBDをブレーキ液圧(制動圧)に基づいてブレーキパッドで摩擦挟持して制動するホイールシリンダWCなどを備えて構成してある。図1では、ブレーキ液圧系BSを簡略化して図示してあるが、このブレーキ液圧系BSでは、各車輪に配置したホイールシリンダWCは油圧経路を介して不図示の油圧供給源に接続され、その経路途中にブレーキアクチュエータなどのブレーキ操作装置が配置されている。コントローラCONTがブレーキアクチュエータを制御することにより各ブレーキ装置の制動力を調整する。より具体的には、本実施例では、コントローラCONTがブレーキ装置個々の制動力を調整できるように設計してある。
上記コントローラCONTには、車両の状態を検出する種々のセンサからの出力信号が供給されている。コントローラCONTは、これらの出力に基づいて各車輪に配置したブレーキ装置を制御する。図1で、各車輪にはその回転数(回転速度)を検出するホイールセンサWSSが配設されている。ホイールセンサWSSは、車輪と共に回転するギアパルサ、高透磁率の磁心とコイルとによるサーチコイル部、そしてサーチコイル部を間にギアパルサと反対側に配置した永久磁石を含んで構成されている。これにより、車輪回転に伴って変化する磁束をサーチコイル部で検出する。ホイールセンサWSSの出力信号はコントローラCONTへ供給されている。なお、ホイールセンサWSSは、一般にABS(アンチロック ブレーキ システム)などに組込まれて、急ブレーキが踏まれたことを検出するセンサとして広く採用されているものである。
また、車両の前後方向に作用する加速度を検出する前後方向加速度センサ(前後Gセンサ)BFS、車両の左右方向に作用する加速度を検出する左右方向加速度センサ(横Gセンサ)RLSの出力信号もコントローラCONTへ供給されている。このように前後GセンサBFSが検出する前後方向加速度(前後G)、横GセンサRLSが検出する横方向加速度(横G)の各信号を受けるコントローラCONTは、メモリに車両の傾斜方向を検出するプログラムを格納してある。これにより、コントローラCONTは車両の傾斜している方向を検出できる。
ブレーキペダルBPの踏込みにより変化するマスタシリンダMCの液圧に関する情報もコントローラCONTに供給されている。また、運転者がステアリングホールSWを操舵操作したときにステアリングシャフトの操舵角(回転角)を検出する操舵角センサSASが配設され、その出力もコントローラCONTに供給されている。
以上、車両に組付されているブレーキ装置やセンサなどの主要構成について説明したが、本実施例に係る車両停止保持装置は車両が、停止状態からスムーズに発進できるように発進補助するための制動力保持手段としての制動力(ブレーキ力)保持装置を備えていることを前提するものである。この制動力保持装置は、ブレーキペダルの踏込の操作があり、その後に踏込操作が解除されたときに車輪への制動力を保持可能とするものである。このような装置を備えることで坂道発進するような場合に車両の後ずさりなどを防止してスムーズな発進が可能となる。図1で示す構成では、各車輪を制動するホイールシリンダWC、およびその駆動を制御するコントローラCONTが制動力保持装置の主要構成となる。
そして、本発明に係る実施例の車両停止保持装置は、更に、車両が滑り易い道路(低μ路)に停車し、上記制動力保持装置を起動させる状態で、発進する場合に予想される不都合に対処する新規な構成を具備するものである。より具体的には、例えば凍結して低μ路となっている坂道に車両が停止した場合に制動力保持装置が作動して制動力を保持した状況で、発進時に車両が後方或いは前方へずり下がる(車輪が路面に対してスリップする)などの不都合が発生したときに対処する技術である。このような状況になったとき、運転者はステアリング(ハンドル)操作して車両の姿勢を正そうとするものである。
本発明は、運転者による上記ステアリング操作から、その車両姿勢を得るために発生させるべきヨーモーメント(目標ヨーモーメント)求め、そのヨーモーメントが得られるよう車両のヨー挙動を調整するものである。
そのため、本実施例の車両停止保持装置は制動力保持装置が起動されたときに走行路に対する車両の移動の有無を検出する移動検出手段と、この移動検出手段が車両の移動を検出したときに、運転者による操舵操作に応じて車両のヨー挙動を制御するヨー挙動制御手段とを更に配備してある構成としたものである。ここでの移動検出手段およびヨー挙動制御手段は、図1に図示した構成要素を適宜に組み合わせて実現することができる。ヨー挙動制御手段は車両の操舵角を検出する操舵角検出手段を含んでいる。
以下、コントローラCONTを中心に実行されるルーチンを説明して、本実施例の車両停止保持装置の特徴点をより明らかなものとする。ただし、発明の理解を容易とするため、車両が低μ路の坂道に停車した状況にあり、発進時に後方へスリップして移動する状況(以下、単に「ずり下がり」と称する)にあることを前提として説明をする。
図2は、実施例の車両停止保持装置で運転者の操作補助のために実行されるヨー挙動制御の概略を示したメインフローチャートである。このフローチャートは制動力保持装置が機能して各車輪への制動力が保持されている状態を前提とするものである。
まず、車両停止保持装置の移動検出手段により、車両が走行路に対して移動しているか(上記のように制動力保持装置が車輪を制動しているのでスリップしているか)否かが検出される。図2で例示する場合は、低μ路を「ずり下がり」しているか否かが検出されることになる(ステップS1)。そして、「ずり下がり」が検出されたとき、すなわち移動検出手段が車両の移動を検出しているときに、ヨー挙動制御手段が運転者による操舵操作に応じて車両のヨー挙動を制御する(ステップS2)。ここでのヨー挙動制御は、運転者の操舵意図を推定し、例えば各車輪の制動力を調整してヨーモーメントを発生させることにより操舵操作を補助する。このように運転者の操舵を積極的に補助することで、速やかかつ確実に車両姿勢を正すことができる。
さらに、以下では車両停止保持装置を構成する移動検出手段およびヨー挙動制御手段に係る構成部分による処理を、図を参照して順に説明する。ただし、移動検出手段による「ずり下がり」検出の方法には特に限定はなく、車両の移動(ここでは、「ずり下がり」)を確実に検出できればよい。よって、図2のステップS2で示すヨー挙動制御手段による運転者の操舵操作に応じた車両のヨー挙動の制御について、図3及び図4を参照して説明する。
図3は、移動検出手段によって「ずり下がり」が検出されたときに実行されるヨー挙動制御について示したフローチャートである。
移動検出手段は制動力保持装置が起動して車輪がロック(停止保持)しているにもかかわらず、「ずり下がり」を検出した場合(ステップS101、S102)、すなわち、ステップS102で「ずり下がり」状態か否かを判定し、ずり下がっている場合にステップS103に進んで運転者の操舵操作をアシストするためのヨー挙動の制御を開始する。ステップS102で、「ずり下がり」検出しない場合には操舵角に応じたヨー挙動制御を実行しない。
ステップS103では、操舵角センサSASの出力から運転者による操舵角を入力する。続くステップS104でその操舵角に応じたヨー挙動制御を行うためのヨーモーメント量を演算する。このヨーモーメント量は、運転者が実際に操作しているステアリング(操舵角)から推測して発生させるべきヨーモーメント(目的ヨーモーメント)である。換言すると、ここで発生させる目的ヨーモーメントは、運転者が実行しようとしているステアリング操作を確実、早期に実現させるための操舵補助ヨーモーメントである。このようなヨーモーメントは、例えば検出した操舵角に対して予め準備した換算式で比例的に求めたヨーモーメント量として決定してもよい。このようにすれば、簡易に目的ヨーモーメントを発生させることができる。更に、例えば前述した前後GセンサBFS、横GセンサRLSのいずれか一方、又は双方から算出できる路面傾斜角αから、次式のようにヨーモーメント量Mψを計算してもよい。
Mψ=sinα*Fsa(θ/roa)*M*g*L
ここで、Fsa(θ/roa)は車輪スリップ角(θ/roa)に対する横力、θは操舵角センサSASで検出した操舵角、roaはオーバーオールギア比、Mは車両重量、gは重力加速度、Lはホイールベースである。これにより、直進で下っているときに操舵したのと同じヨーモーメント量を演算することが可能となる。
続くステップS105、S106にて、以上のようにステップS104で算出したヨーモーメント量を実現する制動力配分を演算して、これに基づいてヨー挙動の制御を実行する。ここでは、各車輪に配置してあるブレーキ装置(図1参照)について、コントローラCONTがブレーキアクチュエータを制御することにより制動力を配分制御する。よって、上記のように求めたヨーモーメントを車両に作用するように、次のステップS105が実行される。
例えばステップS105で次のように制動力の配分制御を実行する。まずヨーモーメントの向きで外輪となる前後2輪の制動力を徐々に低減させる(又は、これとは逆に増加させる)。例えば、車両がABS(アンチロック ブレーキ システム)を搭載している場合には、ABSの作動状態(路面利用率MAX)とする。このブレーキ液圧(制動圧)に対し、ヨーモーメントを実現するために必要な内外輪の制動圧の差圧を算出し、その液圧になるように内輪側2輪のブレーキ液圧を制御すれば運転者の操舵操作に応じたヨーモーメントを発生させえることができる(ステップS106)。
以上のように、図3で示すフローチャートにより、操舵に応じたヨーモーメントを発生させることで、運転者の操舵意思に応じて効果的に車両のヨー挙動をコントロールできる。これにより、運転者の意図を反映したヨーモーメントが車両に作用させることができるので車両姿勢を速やかに修正できる。よって、摩擦係数の小さな滑り易い坂道に停車して、発進するような場合であっても安全に発進できる車両停止保持装置を提供できる。
なお、「ずり下がり」時に操舵が可能なように特定輪(一般に前後輪)の制動力を開放して、タイヤの横力で姿勢修正することも考えらえるが、これだけでは不十分で車両姿勢の修正を出来ない場合ある。例えば操舵角が大きすぎたり、走行路がスプリットμ路(左右で摩擦係数が異なる走行路)であったり、4WDなど駆動力の影響があったり、ずり下がる速度が大きい場合などの場合である。上述した本発明の実施例による車両停止保持装置によれば、ここで指摘した状況であっても対処できる。
また、図3で説明したヨー挙動制御は、操舵角検出手段(操舵角センサ)の出力から運転者のステアリング(操舵)意図を確認して、これに応じて各車輪の制動力を個別に調整して目的とするヨーモーメントを発生させる。例えばステアリングに応じて外輪の制動力を減じたり、開放したりすることにより、ずり下がり中にヨーモーメントを発生させ、これにより運転者が車両姿勢を正しく戻すようにステアリングの補助をできる。
更に、図4は、移動検出手段によって「ずり下がり」が検出されたときに実行される、他のヨー挙動制御について示したフローチャートである。このフローチャートで示すヨー挙動制御は、車両の状態を詳細に確認して、より最適なヨーモーメントを発生させるようにしたものである。まず、車両の傾斜方向を検出して制動力を補正する場合について説明する。そして、アクティブ前輪制御(AFS:Active front steering)、電気的にステアリング操作を行うステアリングバイワイヤ(SBW:steering by wire)、電動パワーステアリング(EPS:electric power steering)などを含む前輪操舵角自動制御手段や、HICAS(High Capacity Actively−controlled Suspension)などを含む後輪操舵角自動制御手段が適用され、更に駆動力を制御する駆動力制御手段を含み、ヨーモーメント量を実現するのに必要な駆動力の制御(駆動力の増減や開放)できるように設計されている車両であるものとして説明する。
図4でステップS201〜ステップS204は、図3のフローチャートでのステップS101〜ステップS104と同様であるので、重複する説明を省略してステップS205から説明する。
ステップS205で横GセンサRLSおよび前後GセンサBFSの出力信号を入力する。これにより車両軸に対する車両傾斜方向を算出し(ステップS206)、更にその傾斜角度を演算する(ステップS207)。
次のステップS208では、走行路面の摩擦係数μ(路面μ)を推定する。これは、図3のフローチャートにおけるステップS105、S106で行っているように、ABSを備えている場合に路面利用率MAXとなるブレーキ液圧から逆算してもよいし、車両停止間際のABSや、ビークルダイナミックスコントロールシステム(VDCシステム)を備えている場合にはその介入時推定μを記憶して用いてもよい。
以下のステップは、ヨー挙動制御手段が前輪操舵角自動制御手段、後輪操舵角自動制御手段および駆動力制御手段としても機能するものとして説明する。
ステップS209は前輪操舵角自動制御手段を利用するもので、横力を最大限活用してヨーモーメントが出せるよう前輪(フロント)の転舵角を演算し、これに基づいて制御する。基本は通常時の制御に従い、操舵角に応じた前輪転舵角とする。上記ステップS206で演算した傾斜方向に対する前輪の転舵角が「横力MAXを発生させるスリップ角」以上についている場合、その転舵角を傾斜方向と前記スリップ角が付く状態を維持するように戻す制御をすればよい。上記スリップ角は路面μに応じた変数とすればよい。
ステップS210は後輪操舵角自動制御手段を利用するもので、上記ステップS209と同様の考え方で後輪(リア)の転舵角度を制御する。上記ステップS204で演算したヨーモーメントを実現するため、本ロジックに入った場合は積極的に前輪と逆位相に転舵するように後輪の基準転舵量の演算を変更し、さらにステップS209同様の横力MAX補正を実施する。
そして、上記に続くステップS211(制動力配分演算)、ステップS212(制動力制御実施)では、先の図3で説明したフローチャートS105、S106のように、ステップS204で演算したヨーモーメントを実現するよう制動力をコントロールしてもよい。またステップS209、S210で横力MAXとなっている輪は横力を最大限活用するよう制動力(ブレーキ圧)を減圧補正し、横力が生かせない輪では制動力によりヨーモーメントを発生させるように制動力を制御してもよい。また、旋回外輪であっても、路面の傾斜方向により逆のヨーモーメントが発生してしまうような場合には制動力を開放する制御をしてもよい。
そして、上記ステップS211、ステップS212に続くステップS213では、駆動力に係る制御が実施される。ステップS213では、例えばFF車で駆動トルクにより前輪の制動力を開放してもタイヤのロック状態が継続するような場合、制動力・転舵によりヨーモーメントを発生させられないためにギアをニュートラルにする。ただし、一般にギアの変更にはタイムラグがあるため、非駆動輪の左右制動力差で必要なヨーモーメントを達成できる場合は、ギアをニュートラルにしないようにしてもよい。
次のステップS214では、四輪駆動(4WD)の前後輪速差制限を低減するために4WDセンターデフの締結トルクを低減もしくは開放させる。ヨーモーメントを左右差のみで実現できる場合はステップS213の場合と同様4WD締結トルクを低減しなくてもよい。
最後のステップS215ではフロント、リアの各デフ締結トルクを制御する。制動力でコントロールする場合には左右の締結を開放する。駆動トルク差を付けられる例えば駆動用のクラッチ付きデフの場合は、ヨーモーメントを実現するようクラッチ締結力(左右トルク差)を制御する。
以上のように、図4で示すフローチャートによる場合も、操舵に応じたヨーモーメントを発生させることで、運転者の操舵意思に応じて効果的に車両のヨー挙動をコントロールできる。これにより運転者のステアリング操作に基づいたその操作を補助するようなヨーモーメントを発生させて、運転者が意図する姿勢修正の早期の実現を図ることができる。
運転者の操舵操作の通り、そのまま操舵輪を転舵するように制御すると不都合である場合もある。例えば、運転者による転舵量が大きい場合にスリップ角に対しタイヤ角が直角に近くなり、効果的にタイヤ横力を発生できない状況などがある。このような状況でも上記ステップS209を加えることで、必要以上に操舵輪を切ることなく、タイヤの横力を最大限利用しながら目標のヨーモーメントを達成することが可能となる。
また、例えば低速時の逆位相制御に従い、運転者の操舵通りに後輪操舵角を決定してしまうと、車両スリップ角に対しタイヤ角が直角に近くなり効果的にタイヤ横力を発生することができない場合がある。しかしながら、このような場合でも、上記ステップS209を加えることにより、リアタイヤの横力を最大限利用しながら目標ヨーモーメントを発生させることができる。
更に、駆動輪においては、操舵や制動力の開放などを行っても駆動トルクにより車輪が回転せず必要なヨーモーメントを出せない場合がある。このような場合に、上記ステップS213以後のステップを加えることにより、例えば4WDの締結トルクを開放したり、コントロールスリップデファレンシャルCSDの締結トルクを開放したり、自動変速機ATをNレンジに入れて開放したり、後退R(前進D)レンジに入れて降坂方向にトルクをかけたりすることでヨーモーメントを効果的に発生させることが可能となる。
以下では、図3のステップS101、図4のステップS201で示す移動検出手段により実行される車両の移動検出(本実施例では「ずり下がり」検出)のフローチャートを更に説明する。なお、移動検出手段は、車輪の回転数を検出するホイールセンサWSSおよびコントローラCONTを含んで構成されているものとし、ホイールセンサWSSの出力に基づいて車輪速度を検出するものとする。
また、所定の操舵角入力があった場合にだけ、この後の制動力開放を実行するように設定することで不必要な制動力低減操作を抑制できる。
図5は、第1例の移動検出手段に係り、その移動検出手段によって実行される車両の移動検出(本実施例では「ずり下がり」検出)について示しているフローチャートである。
図5で、操舵角センサSASの出力により操舵角θが検出されたときに(ステップS301)、移動検出手段はホイールセンサWSSの出力により車輪回転速度を検出する(ステップS302)。更に、ブレーキ力(制動力)保持中であるか、すなわち前述した制動力保持装置が起動されて坂道発進の補助中の状態にあるかを確認する(ステップS303)。そして、制動力保持装置の起動中である(上記ステップS303でY:イエスである)ときに、更に車輪回転速度(4輪でのMAX速度)が所定低速Vmin未満かを確認する(ステップS304)。このステップS304により、発進時に発生する緩やかなスリップ移動の場合を対象としている。なお、上記ステップS304は、低μ路の坂道で発進する車両の「ずり下がり」状態をより確実に検出するため、設定するのがより好ましいステップである。よって、このステップS304は省略可能である。
そして、操舵角センサSASが検出する操舵角θが所定の操舵角θ1より大きいかを確認することで、運転者が操舵操作をしているかを確認する(ステップS305)。これにより操舵角入力があった場合だけ、その後の制動力を開放処理することで不必要な制動力低減操作を抑制する。
移動検出手段は、上記ステップS303〜305でイエスとなった場合、更に制動力開放輪を決定する処理を実行する(ステップS306)。なお、前述のように制動力保持装置を起動したとき、所定輪を回転自在として車両の移動を検出する場合、残りの3車輪で制動力保持することになるので制動力不足が懸念されることになる。そこで、本実施例では制動力保持装置を起動したときは全ての車輪によって実行し、車両移動検出の際だけ検出用の車輪の制動力を開放するようにしている。
ここで、一般に車両はステアリング操作に対応するのは前輪である。本発明は車両が坂道の低μ路などでスリップしたときに、運転者のステアリング操作に応動して転舵する車輪を回転させ補助を図るものである。よって、予め前輪のいずれかで車両の移動を検出するように設定した場合は、その前輪の制動力を開放すればよい。このようにする場合には、図3でのフローチャートにおけるステップS306を省略できる。
移動検出手段は、上記のように制動力を開放する車輪を決定した後(ステップS306)、更に開放輪を設けること(4輪での制動から3輪での制動へと切替えること)に伴って制動力の補正量を決定する(ステップS307)。そして、開放を決定した車輪についての制動力の開放、及び、その制動力の補償するために他の車輪のホイールシリンダWCの増圧を実行する(ステップS308)。これにより、残りの3車輪で必要な制動力を確保できる。すなわち、ここでは移動検出手段が更に総制動力補償手段としても機能して、総制動力が低下しないよう制動力低減輪以外の制動力を変更する。これにより制動力の開放を行っても、制動力不足による車両ずり下がりが発生することなく、低μ路でのずり下がりを効果的に検出することが可能となる。
最後に、移動検出手段は開放した車輪に配置してあるホイールセンサWSSの出力信号(車速パルス)が所定数(例えば、5パスル)を超えているかを確認する(ステップS309)。ホイールセンサWSSの出力が所定パスルを超えていることは、車両が走行路に対して一定以上のスピードで移動している、ここでは「ずり下がり」をしていることなる。
移動検出手段は、これにより「ずり下がり」を検出した場合は判定フラグを1とする(ステップS310)。一方、「ずり下がり」を検出しない場合は判定フラグ0とする(ステップS311)。
なお、上記フローチャートに関連して、前記操舵角センサSAS(車輪速度検出手段)が検出する全ての車輪の車輪速度がゼロで、前記操舵角センサSAS(操舵角検出手段)が検出する操舵角が所定以上である場合に、少なくとも1つの車輪の制動力を開放して車両の移動を確実に検出できる。
図6は、図5におけるステップS306の制動力を開放する車輪を決定するときに採用可能なルーチン例を示したフローチャートである。このフローチャートで示すステップS401〜S406は、「j」を車両の左右前輪FL、FR、左右後輪RL、RRの順に変えて、それらから操舵輪を特定し、特定した輪が駆動輪であった場合は更にその駆動力を開放して(ステップS406)、開放輪とする場合(ステップS405)を示している。このフローチャートにより制動力を開放すべき車輪を決定して車両の移動検出を確実に行える。
なお、4輪駆動車や前輪転舵前輪駆動車などは、転舵輪となる前輪に駆動力(トルク)が掛っているので、移動検出のときに不適切な車輪の制動力を開放しても、回転を確保できず車両の移動有無を正確に検出できない場合がある。上記のように制動力(ブレーキ力)及び駆動力(トルク)を同時に開放して車輪の回転を確実に確保して移動検出性の精度向上を図ることができる。
ただし、図5のステップS306は車両の移動検出のためにフリーに回転する車輪を単に決定すればよいものである。一方、図6は、この特定輪の制動力を開放して回転を確保するフローチャートになっている。よって、移動検出手段が車両の移動検出の際に、図6のフローチャートに基づいて車輪を決定して移動検出をした場合、転舵輪の回転を確保できるので好ましい。
図7は、第2例の移動検出手段に係り、その移動検出手段によって実行される車両の「ずり下がり」検出を示しているフローチャートである。ここでの移動検出手段は、図1で示す構成に加えて、車両周辺の外界を検出する外界検出手段としてサイドビューモニタおよびバックビューモニタを備え、これらモニタで検出した外界に対する車両の相対速度を演算する車両相対速度演算手段を上記コントローラCONTにより実現して移動検出手段が構成される。
図7で、車両周辺の外界を検出するサイドビューモニタの入力(ステップS501)、バックビューモニタの入力(ステップS502)に基づいて、コントローラCONTが画像認識処理およびこれに基づいて車両の移動量を演算する(ステップS503)。
そして、上記演算で検出した移動量dが所定移動量(d1)を超えているかを確認する(ステップS504)。移動量dがd1超えている場合、車両が走行路に対して移動している、ここでは「ずり下がり」をしていると推定できる。移動検出手段は、これにより「ずり下がり」を推定した場合は判定フラグを1とする(ステップS505)。一方、「ずり下がり」を推定できない場合は判定フラグ0とする(ステップS506)。
図7によるフローチャートにおける例は、カメラ、バックソナーなどを含み、これら外界検出手段により車両周辺の画像を取得して、画像処理技術や演算処理を行って走行路に対する車両の相対移動量を検出してずり下がりを推定する。これにより車輪の制動力を開放するなどの検出操作を行うことなく低μ路でずり下がりを簡易に検出できる。
図8は、第3例の移動検出手段に係り、その移動検出手段によって実行される車両の「ずり下がり」検出について示しているフローチャートである。ただし、ここでの車両は操舵アシスト装置(いわゆる、パワーステアリング装置)が搭載されていることを前提とする。
移動検出手段は、図1で示す構成に加えて、車両が走行する走行路の傾斜角を推定する手段として例えば傾斜角センサや加速度(G)センサが更に配備されている。そして、ここでの移動検出手段は、図1における、上記傾斜角センサおよびコントローラCONTを含んで構成されているものとし、さらに上記操舵アシスト装置による操舵アシスト力を推定する操舵アシスト推定手段としても機能する場合とする。
図8で、傾斜角度センサの出力から走行路の傾斜角ψが推定され(ステップS601)、操舵角センサSASの出力により操舵角θが検出され(ステップS602)、更に操舵アシスト装置による操舵アシスト力が検出される(ステップS603)。ここで、移動検出手段は上記のように検出した操舵角θおよび操舵アシスト力に基づく演算により車両が走行してい走行路の摩擦係数μを推定する(ステップS604)。
そして、上記摩擦係数μが走行路の傾斜角ψについてのtanψを超えているかを確認する(ステップS605)。摩擦係数μがtanψを超えていることは、車両が走行路に対して移動している、ここでは「ずり下がり」をしていると推定できる。移動検出手段はこれにより「ずり下がり」を推定した場合は判定フラグを1とする(ステップS606)。一方、「ずり下がり」を推定できない場合は判定フラグ0とする(ステップS607)。
図8によるフローチャート例は、例えば車両が停車状態での操舵アシスト力から走行路の摩擦係数μを推定し、その摩擦係数μが走行路の傾斜に対し車両の停止状態を維持できないほど小さいと判断した場合に、車両がずり下がりを起こしていると推定するようにしている。これにより、車輪の制動力を開放することなく、つまり制動力の低下による車両ずり下がりが発生することなく、低μ路ずり下がりを検出することが可能となる。
上記図8は、車両が操舵アシスト装置を備えた、移動検出手段が操舵アシスト装置によるアシスト量を推定する操舵アシスト推定手段とを含み、操舵アシスト装置が作動しているときに、前記操舵角の変化量に対する前記操舵アシスト力推定量から走行路の摩擦係数を求めて、該摩擦係数が前記傾斜角に対して当該車両が停車維持するのに十分ではないと判断した場合に車両の移動を推定するものであった。
上記に限らず、アンチロック ブレーキ システム(ABS)や車両の操縦安定化を図るビークルダイナミックスコントロール(VDC:以下、VDCシステム)を備えた車両についても同様である。
すなわち、ABS装置を備えた車両の場合は、移動検出手段が前記車両が走行している走行路の傾斜角を推定する傾斜角度推定手段と、制動圧制御により車輪制動ロックを防止するABS装置とを含むものとし、前記車両の停止するときに前記ABS装置による制御が作動しているときに、前記傾斜角に対して当該車両が停車維持するのに走行路の摩擦係数が十分ではないと判断した場合に前記車両の移動を推定するようにすればよい。
これにより、停止直前のABS装置の制御から走行路の摩擦係数(路面μ)を推定し、その路面μが路面傾斜に対し車両の停止状態を維持できないほど小さいと判断した場合、車両が移動している(「ずり下がり」している)と推定する。このようにすることにより、車輪の制動力を開放することなく、つまり制動力の低下により車両が「ずり下がり」状態になるという危険を冒すことなく、低μ路での移動検出を行える。
VDCを備えた車両の場合は、移動検出手段が前記車両の走行している走行路の傾斜角を推定する傾斜角度推定手段と、前記車両の操縦安定性の良否を判断して当該操縦安定性を確保する方向にヨーモーメントを発生させる車両挙動安定制御システムとを含むものとし、前記車両の停止直前に前記車両挙動安定制御システムによる制御が作動しているときに、前記傾斜角に対して当該車両が停車維持するのに走行路の摩擦係数が十分ではないと判断した場合に車両の移動を推定するようにすればよい。
これにより、停止直前のVDCシステムの制御から走行路の摩擦係数(路面μ)を推定し、その路面μが路面傾斜に対し車両の停止状態を維持できないほど小さいと判断した場合、車両が移動している(「ずり下がり」している)と推定する。このようにすることにより、車輪の制動力を開放することなく、つまり制動力の低下により車両が「ずり下がり」状態になるという危険を冒すことなく、低μ路での移動検出をできる。
図9は、第4例の移動検出手段に係り、その移動検出手段によって実行される車両の「ずり下がり」検出について示しているフローチャートである。ただし、ここでの車両はABS(アンチブレーキシステム)装置が搭載されていることを前提とするものである。
移動検出手段は、図1における、ステアリングシャフトの操舵角を検出する操舵角センサSAS、上記傾斜角センサおよびコントローラCONTを含んで構成され、ABS装置も含む場合として説明する。
図9で、移動検出手段は車両が停止する際に(ステップS701)、更に操舵角センサSASの出力を確認して(ステップS702)、ABS装置の作動時の操舵角を確認する(ステップS703)。このステップS703で、車両停止を判断した時の操舵角θ0に対してその後の操舵角θとの差が所定値θ2よりも大きい場合(Y:イエスの場合)、車両の停止後に運転者が操舵操作を行っていることになる。これは走行路が低μ路であるために、車両が「ずり下がり」をしているので運転者が操舵操作していると予想できる。よって、この場合には、移動検出手段は「ずり下がり」の判定フラグを1とする(ステップS709)。
一方、移動検出手段は、上記ステップS703でN(ノー)と判断した場合、更に操舵角θを一定時間積算して(ステップS704)、その積算∫θが所定値θ3を超えているかを確認する(ステップS705)。積算∫θがθ3を超えていることは、運転者が操舵操作を継続していることになり、この場合も走行路が低μ路であるために、車両が「ずり下がり」をしているので運転者が左右に操舵操作していると予想できる。よって、移動検出手段は、同様に「ずり下がり」の判定フラグを1とする(ステップS709)。
更に、移動検出手段は、上記ステップS705でN(ノー)と判断した場合、更に操舵角センサSASの角度変化dθにより操舵の反転回数Nθを演算し(ステップS706)、その反転回数Nθが所定値n1を超えているかを確認する(ステップS707)。この場合にも、反転回数Nθがn1を超えていることは、運転者が操舵操作を継続していることになる。これは走行路が低μ路で車両が「ずり下がり」をしているので運転者が操舵操作していると予想できる。よって、移動検出手段は、同様に「ずり下がり」の判定フラグを1とする(ステップS709)。
そして、上記各ステップS703、各ステップS705、及びステップS707のいずれによってもN(ノー)であった場合には、移動検出手段は「ずり下がり」を推定せず判定フラグ0とする(ステップS708)。
以上で説明した図9によるフローチャート例は、例えば車両の停車直前にABS装置が作動されたときに、その後の運転者の操舵操作から車両がずり下がりを起こしていると推定するようにしている。この場合も車輪の制動力を開放することなく、つまり制動力の低下による車両ずり下がりが発生することなく、低μ路ずり下がりを検出することが可能となる。図9で例示するフローチャートは、操舵角θの大小、操舵角θの積算、更にはステアリング操作(左右反転するハンドル操作)まで確認しているので、運転者のステアリング操作に基づいて精度よく車両の移動検出を行える。
以上本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。以上で説明した実施例では、発明の理解のため車両が低μ路の坂道に停車していた場合の発進補助を行う場合として説明した。よって、前提をHSA(坂道発進補助機能)を前提としているが、本発明はHSAに適用する場合に限るものではない。所定の意図をもって車輪に制動力与える場合のある種々のシステム、例えばVDC(ビークルダイナミクスコントロール)システム、自動パーキングシステム、BBW(ブレーキバイワイヤ)システムなどが採用されている車両にも、本発明を同様に適用できる。
また、前述したように本発明は運転者の操舵操作に基づいて目標ヨーモーメントを求めて、このヨーモーメントが発生するように制動力などを調整するものである。これについて、更に車両のヨーモーメントを検出するヨーレートセンサを配備して、実際のヨーモーメントを確認しながらヨー挙動を制御するようにしてもよい。
以上のように、本発明の車両停止保持装置によれば、ヨー挙動制御手段が運転者の操舵意図に応じて、その操舵を補助するようなヨーモーメントを発生させる。これにより、運転者の意図を反映したヨーモーメントが車両に作用することになるので車両姿勢を速やかに修正できる。よって、摩擦係数の小さな滑り易い坂道に停車して、発進するような場合にずり下がりが生じても、安全かつ円滑に発進できる車両停止保持装置を提供することができる。
そして、前記ヨー挙動制御手段は、前記操舵角検出手段が検出する操舵角に応じて車両に発生させるべきヨーモーメント量を演算し、各車輪の制動力を調整して前記ヨーモーメントを発生させるようにしてもよい。
また、前記ヨー挙動制御手段は、前記車両の傾斜している方向を検出する傾斜方向検出手段を含み、当該傾斜方向検出手段が検出した車両の傾斜方向に基づいて車輪スリップ角を演算して、前記各車輪の制動力を補正するようにしてもよい。
このように車両の傾斜方向を検出することにより、車輪のスリップ角を求め、その車輪スリップ角を参照して操舵補助のため発生させるべきヨーモーメント(目標ヨーモーメント)を発生させるについて、制動力を保持するのがよいか、或いは、制動力を開放してタイヤをフリーに回転させて横力を確保するのがよいかを判定する。この判定に基づいて制動力を適宜に補正することで、例えば車両のスリップ角が大きく付いていたような場合でも、ドライバの意図に応じたヨーモーメントを実現できる。
また、前記ヨー挙動制御手段は、前輪操舵角自動制御手段を含み、ヨーモーメント量を実現する前輪操舵角の制御を実行するようにしてもよい。
また、前記ヨー挙動制御手段は、後輪操舵角自動制御手段を含み、ヨーモーメント量を実現する後輪操舵角の制御を実行するようにてしもよい。
また、前記ヨー挙動制御手段は、車両の駆動力を制御する駆動力制御手段を含み、
ヨーモーメント量を実現するのに必要な駆動力の制御を実行してもよい。
また、前記移動検出手段は、前記車両の各車輪の車輪速度を検出する車輪速度検出手段とを含めて構成できる。
本発明の実施例に係る車両停止保持装置のシステム構成を示した図である。 車両停止保持装置により実行される運転者の操作補助のために実行される制動力制御の概略を示したメインフローチャートである。 ヨー挙動制御例について示したフローチャートである。 ヨー挙動制御の他の例について示したフローチャートである。 第1例の移動検出手段よって実行される車両の移動検出について示しているフローチャートである。 図5におけるステップS306の制動力を開放する車輪を決定するときに採用可能なルーチン例を示したフローチャートである。 第2例の移動検出手段よって実行される車両の移動検出について示しているフローチャートである。 第3例の移動検出手段よって実行される車両の移動検出について示しているフローチャートである。 第4例の移動検出手段よって実行される車両の移動検出について示しているフローチャートである。
符号の説明
FL 左前輪
FR 右前輪
RL 左後輪
RR 右後輪
SW ステアリングホール
CONT コントローラ
WC ホイールシリンダ
WSS ホイールセンサ
SAS 操舵角センサ(操舵角検出手段)
BFS 前後加速度センサ
RLS 左右加速度センサ

Claims (7)

  1. ブレーキペダルの踏込の操作後、当該踏込操作が解除されたときに車輪の制動力を保持可能とする制動力保持手段を有している車両停止保持装置において、
    前記制動力保持手段が起動しているときに、走行路に対する車両の移動の有無を検出する移動検出手段と、
    前記車両の操舵角を検出する操舵角検出手段を含み、前記移動検出手段が車両の移動を検出したときに、運転者による操舵操作に応じて車両のヨー挙動を制御するヨー挙動制御手段とを、備えることを特徴とする車両停止保持装置。
  2. 前記ヨー挙動制御手段は、前記操舵角検出手段が検出する操舵角に応じて車両に発生させるべきヨーモーメント量を演算し、各車輪の制動力を調整して前記ヨーモーメントを発生させる、ことを特徴とする請求項1に記載の車両停止保持装置。
  3. 前記ヨー挙動制御手段は、前記車両の傾斜している方向を検出する傾斜方向検出手段を含み、当該傾斜方向検出手段が検出した車両の傾斜方向に基づいて車輪スリップ角を演算して、前記各車輪の制動力を補正する、ことを特徴とする請求項2に記載の車両停止保持装置。
  4. 前記ヨー挙動制御手段は、前輪操舵角自動制御手段を含み、ヨーモーメント量を実現する前輪操舵角の制御を実行する、ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の車両停止保持装置。
  5. 前記ヨー挙動制御手段は、後輪操舵角自動制御手段を含み、ヨーモーメント量を実現する後輪操舵角の制御を実行する、ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の車両停止保持装置。
  6. 前記ヨー挙動制御手段は、車両の駆動力を制御する駆動力制御手段を含み、
    ヨーモーメント量を実現するのに必要な駆動力の制御を実行する、ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の車両停止保持装置。
  7. 前記移動検出手段は、前記車両の各車輪の車輪速度を検出する車輪速度検出手段とを含む、ことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の車両停止保持装置。
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