JP2017081237A - 坂道補助装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】車両が坂道でのスタック又は停車に関する状態になった場合に、車両を高い安全性で降坂させることができる坂道補助装置を提供する。【解決手段】車両が坂道でのスタック又は停車に関する所定停車状態であるか否かを判定する状態判定部171と、車両が降坂状態であるか否かを判定する降坂判定部172と、車両の前後方向ベクトルと左右方向ベクトルの和に関する勾配ベクトルを演算する勾配ベクトル演算部173と、勾配ベクトルに基づいて車両が降坂した場合に第二加速度センサ93の検出値が小さくなる車両の旋回方向を演算する旋回方向演算部174と、車両が所定停車状態で且つ降坂状態である場合、車両が降坂した場合に車両が旋回方向に旋回するように、車両の車輪の制動力及び操舵角のうち少なくとも一方を制御する補助制御を実行する制御部177と、を備える。【選択図】図5
Description
本発明は、車両に搭載される坂道補助装置に関する。
例えば特開2006−292185号公報には、車両が坂道でスタックした場合に、GPSの位置情報及び地図データに基づいて、最適な経路をディスプレイに提示する経路案内装置が開示されている。また、下り坂において各車輪の制動力を制御するヒルディセントコントロールを実行するHDC装置も存在する。これらは、車両が坂道に位置する際に各種制御を実行する装置であり、坂道補助装置といえる。
上記の経路案内装置では、車両を最適な経路に誘導することは可能であるが、運転者の操作状態や操作能力によっては、スタック状態から抜け出せない可能性がある。特に前方スタック等の所定の停車状態においては、車両降坂時に、車両を安全に後進させる(又は滑らせる)必要があり、運転者に高い操作能力が求められる。また、上記のHDC装置では、スタック状態から安全に抜け出すための制御は実施されない。
本発明は、このような事情に鑑みて為されたものであり、車両が坂道でのスタック又は停車に関する状態になった場合に、車両を高い安全性で降坂させることができる坂道補助装置を提供することを目的とする。
本発明の坂道補助装置は、車両が坂道での前方スタック又は停車に関する所定停車状態であるか否かを判定する状態判定部と、前記車両が降坂しようとしている状態又は降坂している状態である降坂状態であるか否かを判定する降坂判定部と、前記車両の前後方向の加速度を検出する第一加速度センサと、前記車両の左右方向の加速度を検出する第二加速度センサと、前記第一加速度センサの検出結果及び前記第二加速度センサの検出結果に基づき、車両の前後方向ベクトルと左右方向ベクトルの和に関する勾配ベクトルを演算する勾配ベクトル演算部と、前記勾配ベクトルに基づいて、前記車両が降坂した場合に前記第二加速度センサの検出値が小さくなる前記車両の旋回方向を演算する旋回方向演算部と、前記状態判定部により前記車両が前記所定停車状態であることが判定され且つ前記降坂判定部により前記車両が降坂状態であることが判定されている場合、前記車両が降坂した場合に前記車両が前記旋回方向に旋回するように、前記車両の車輪の制動力、操舵角、及び操舵トルクのうち少なくとも一つを制御する補助制御を実行する制御部と、を備える。
勾配ベクトルは、重力加速度方向に平行なベクトルを、路面に平行な成分と路面に垂直な成分に分解した際の「路面に平行な成分」に相当する。本発明によれば、車両が所定停車状態である場合、車両が降坂する際に、車両の前後方向が勾配ベクトルと一致する側に向けて、制動力、操舵角、及び/又は操舵トルクが自動制御される。これにより、運転者の操作によらず、車両降坂時に車両の向きを重力加速度方向に合わせることができる。つまり、降坂時に車両がまっすぐに近づき、車両に対する左右方向の力が低減され、高い安全性で車両を降坂させることができる。
以下、本発明に係る坂道補助装置を車両に適用した一実施形態を図面を参照して説明する。車両は、各車輪W(4輪)に液圧制動力を付与して車両を制動させる車両用制動装置Aを備えている。車両用制動装置Aは、図1に示すように、ブレーキペダル11と、倍力装置12と、マスタシリンダ13と、リザーバ14、ストロークセンサ15と、アクチュエータ16と、ブレーキECU17と、ホイールシリンダWCと、ステアリングセンサ91と、第一加速度センサ92と、第二加速度センサ93と、車輪速度センサSと、を備えている。坂道補助装置Bは、少なくとも、ブレーキECU17、第一加速度センサ92、及び第二加速度センサ93で構成されている。
ホイールシリンダWCは、車輪Wの回転をそれぞれ規制するものであり、キャリパCLに設けられている。ホイールシリンダWCは、アクチュエータ16から供給されるブレーキ液の圧力(ブレーキ液圧)に応じて、車両の車輪Wに制動力を付与する制動力付与機構である。ホイールシリンダWCにブレーキ液圧が供給されると、ホイールシリンダWCの各ピストン(図示省略)が摩擦部材である一対のブレーキパッド(図示省略)を押圧して車輪Wと一体回転する回転部材であるディスクロータDRを両側から挟んでその回転を規制するようになっている。なお、第一実施形態においては、ディスク式ブレーキを採用するようにしたが、ドラム式ブレーキを採用するようにしてもよい。第一実施形態の操舵車輪は、左前輪Wfl及び右前輪Wfrである。操舵車輪は、ステアリングSWの操作に応じて旋回する車輪Wである。また、第一実施形態の車両は前輪駆動である。
ブレーキペダル11は、ブレーキ操作部材である。ブレーキペダル11の近傍には、ブレーキペダル11の踏み込みによるブレーキ操作状態であるブレーキペダルストローク(操作量:以下、ストロークとも称する)を検出するストロークセンサ15が設けられている。このストロークセンサ15はブレーキECU17に接続されており、検出信号(検出結果)がブレーキECU17に出力される。
倍力装置12は、エンジンの吸気負圧をダイヤフラムに作用させてブレーキペダル11の踏み込み操作により生じるブレーキ操作力を助勢して倍力(増大)する真空式の倍力装置である。マスタシリンダ13は、運転者によるブレーキペダル11の操作力をマスタ圧(基礎液圧)に変換し、そのマスタ圧をアクチュエータ16を介してホイールシリンダWCに供給する装置である。マスタシリンダ13は、ブレーキペダル11の操作に応じたマスタ圧を発生させる第1マスタ室13a及び第2マスタ室13bを備えている。マスタシリンダ13は、第1マスタ室13aと第2マスタ室13bとに同一の液圧が形成されるように構成されている。すなわち、第1マスタ室13aは、第1ピストン13cと第2ピストン13dとの間に形成され、第2マスタ室13bは、第2ピストン13dとマスタシリンダ13の底部との間に形成されている。第1ピストン13cと第2ピストン13dとの間には、第1スプリング13eが介装され、第2ピストン13dとマスタシリンダ13の底部との間には、第2スプリング13fが介装されている。
リザーバ14は、ブレーキ液を貯蔵してマスタシリンダ13にそのブレーキ液を補給するためのものである。アクチュエータ16は、マスタシリンダ13とホイールシリンダWCとの間に設けられて、ブレーキペダル11の操作にかかわらず形成できる制御液圧をホイールシリンダWCに付与し、対応する車輪Wに制動力(摩擦制動力)を発生させる装置である。ブレーキECU17は、ホイールシリンダWCの液圧であるホイール圧が、目標のホイール圧である目標ホイール圧となるように、アクチュエータ16を制御する。
具体的に、アクチュエータ16は、各ホイールシリンダWCに付与する制動液圧を調整する装置であり、第一、第二配管系統40、50が設けられている。第一配管系統40は、左前輪Wflと右後輪Wrrに加えられるブレーキ液圧を制御し、第二配管系統50は、右前輪Wfrと左後輪Wrlに加えられるブレーキ液圧を制御する。つまり、ホイールシリンダWCに接続される油路構成は、X型配管で構成されている。
マスタシリンダ13から供給される液圧は、第一配管系統40と第二配管系統50を通じて各ホイールシリンダWCに伝えられる。第一配管系統40には、油路22とホイールシリンダWCfl、WCrrとを接続する油路40aが備えられている。第二配管系統50には、油路24とホイールシリンダWCfr、WCrlとを接続する油路50aが備えられ、これら各油路40a、50aを通じてマスタシリンダ13から供給される液圧がホイールシリンダWC側に伝えられる。
油路40a、50aは、分岐点Z1、Z2においてそれぞれ2つの油路40a1、40a2、50a1、50a2に分岐する。油路40aにおけるマスタシリンダ13と分岐点Z1の間には、第一差圧制御弁49が配置されている。同様に、油路50aにおけるマスタシリンダ13と分岐点Z2の間には、第二差圧制御弁59が配置されている。第一、第二差圧制御弁49、59は、上下流間に発生させられる差圧をリニアに制御するリニア弁として機能する。第一、第二差圧制御弁49、59 は、連通・遮断状態を制御できる常開型の電磁弁により構成されているが、自身のソレノイドに流す電流値を調整すると弁体と弁座の間隔が制御され、弁体と弁座の間に発生する絞り効果が変化する。この絞り効果に応じた差圧が保持さされるため、ブレーキECU17は、第一、第二差圧制御弁49、59をリニア弁として機能させることができる。
分岐した油路40a1、50a1には、ホイールシリンダWCrl、WCfrへのブレーキ液圧の増圧を制御する第一増圧制御弁41、51が備えられている。油路40a2、50a2にはホイールシリンダWCrr、WCflへのブレーキ液圧の増圧を制御する第二増圧制御弁42、52が備えられている。これら第一、第二増圧制御弁41、42、51、52は、連通・遮断状態を制御できる2位置電磁弁により構成されている。第一、第二増圧制御弁41、42、51、52は、第一、第二増圧制御弁41、42、51、52に備えられるソレノイドコイルへの制御電流がゼロとされる時(非通電時)には連通状態となり、ソレノイドコイルに制御電流が流される時(通電時)に遮断状態に制御される常開型の電磁弁である。なお、第一、第二増圧制御弁41、42、51、52は、リニア制御可能なリニア弁で構成されても良い。
油路40a、50aにおける第一、第二増圧制御弁41、42、51、52と各ホイールシリンダWCとの間は、減圧油路としての油路40b、50bを通じてリザーバ43、53に接続されている。油路40b、50bには、連通・遮断状態を制御できる2位置電磁弁により構成される第一、第二減圧制御弁44、45、54、55がそれぞれ配設されている。これら第一、第二減圧制御弁44、45、54、55は、第一、第二減圧制御弁44、45、54、55に備えられるソレノイドコイルへの制御電流がゼロとされる時(非通電時)には遮断状態となり、ソレノイドコイルに制御電流が流される時(通電時)に連通状態に制御される常閉型の電磁弁である。なお、第一、第二減圧制御弁44、45、54、55は、リニア制御可能なリニア弁で構成されても良い。
リザーバ43、53と主油路である油路40a、50aとの間には、還流油路となる油路40c、50cが配設されている。油路40c、50cには、リザーバ43、53からマスタシリンダ13側又はホイールシリンダWC側に向けてブレーキ液を吸入吐出するポンプ46、56が設けられている。ポンプ46、56は、モータ47によって駆動される。ポンプ46、56は、リザーバ43、53を介してブレーキ液を吸入し、第一、第二差圧制御弁49、59のホイールシリンダWC側の油路40a、50aに吐出することで、ホイールシリンダWC側にブレーキ液を供給する。また、アクチュエータ16には、リザーバ43、53とマスタシリンダ13とを接続するように、補助管路となる油路A1、A2が設けられている。したがって、ポンプ46、56の駆動により、ブレーキ液は、マスタシリンダ13からリザーバ43、53を介してホイールシリンダWC側に吸入される。第一、第二差圧制御弁49、59にて差圧が発生している状態で、ポンプ46、56を駆動させることで、ホイールシリンダWCを加圧することができる。第一、第二差圧制御弁49、59が互いに異なる差圧に制御されることで、例えば左前輪Wflの制動力と右前輪Wfrの制動力とを個別にリニアに制御することができる。
アクチュエータ16の制御には、例えば、減圧制御、保持制御、増圧制御、及び加圧制御(自動加圧制御)がある。この制御について第一配管系統40を例に説明する。ブレーキECU17は、減圧制御において、第一差圧制御弁49を連通状態とし、第一増圧制御弁41、42を遮断状態とし、第一減圧制御弁44、45を連通状態とし、ポンプ46を駆動させる。ブレーキECU17は、保持制御において、第一差圧制御弁49を連通状態とし、第一増圧制御弁41、42を遮断状態とし、第一減圧制御弁44、45を遮断状態とする。ブレーキECU17は、増圧制御において、第一差圧制御弁49を連通状態とし、第一増圧制御弁41、42を連通状態とし、第一減圧制御弁44、45を遮断状態とする。ブレーキECU17は、加圧制御において、第一差圧制御弁49を差圧発生状態(絞り状態)とし、第一増圧制御弁41、42を連通状態とし、第一減圧制御弁44、45を遮断状態とし、ポンプ46を駆動させる。
ブレーキECU17には、車両の車輪W毎に備えられた車輪速度センサSからの検出信号が入力される。車輪速度センサSは、車輪Wの回転速度を検出する。ブレーキECU17は、車輪速度センサSの検出信号に基づいて、各車輪速度や推定車体速度及びスリップ率などを演算している。ブレーキECU17は、これらの演算結果に基づいてアンチスキッド制御(ABS制御)などを実行している。このように、アクチュエータ16を用いた各種制御は、ブレーキECU17にて実行される。例えば、ブレーキECU17は、アクチュエータ16に備えられる各種制御弁41、42、44、45、49、51、52、54、55、59や、ポンプ駆動用のモータ47を制御するための制御電流を出力することにより、アクチュエータ16に備えられる液圧回路を制御し、ホイールシリンダWCに伝えられるホイールシリンダ圧を個別に制御する。例えば、ブレーキECU17は、制動時の車輪スリップ時にホイールシリンダ圧の減圧、保持、増圧を行うことで車輪ロックを防止するアンチスキッド制御や、制御対象輪のホイールシリンダ圧を自動加圧することで横滑り傾向(アンダーステア傾向もしくはオーバステア傾向)を抑制して理想的軌跡での旋回が行えるようにする横滑り防止制御を行なうことができる。ブレーキECU17は、このようなブレーキ制御を実行する。
ブレーキECU17は、CPUやメモリを有する電子制御ユニットである。ステアリングセンサ91は、車両の舵角情報を取得するセンサである。第一加速度センサ92は、車両の前後方向の加速度を検出するセンサである。第二加速度センサ93は、車両の左右方向の加速度を検出するセンサである。ステアリングセンサ91、第一加速度センサ92、及び第二加速度センサ93による検出結果は、他のセンサ同様、ブレーキECU17に送信される。第一加速度センサ92及び第二加速度センサ93は、例えば、ブレーキECU17内に配置されている。
また、車両には、GPS機能を有するナビゲーションシステム94、車両後方の障害物を検出するレーダー95、運転者に情報を報知する報知装置(「報知部」に相当する)96、及びアクセル開度センサ97が設けられている。レーダー95は、例えば、車両後部に設けられたミリ波レーダーである。報知装置96は、ディスプレイ及び/又はスピーカを備えており、運転者に各種情報を表示及び/又は音声により報知する。報知装置96は、ブレーキECU17やナビゲーションシステム94から情報を受信する。ブレーキECU17は、ナビゲーションシステム94、レーダー95、及びアクセル開度センサ97からも情報を受信する。
(補助制御)
ブレーキECU17は、上記のようなブレーキ制御を実行する機能の他に、坂道補助装置Bとしての機能を有している。具体的に、ブレーキECU17は、図2に示すように、状態判定部171と、降坂判定部172と、勾配ベクトル演算部173と、旋回方向演算部174と、障害物判定部175と、旋回角度演算部176と、制御部177と、を備えている。ブレーキECU17内の各部は、互いに通信可能となっている。
ブレーキECU17は、上記のようなブレーキ制御を実行する機能の他に、坂道補助装置Bとしての機能を有している。具体的に、ブレーキECU17は、図2に示すように、状態判定部171と、降坂判定部172と、勾配ベクトル演算部173と、旋回方向演算部174と、障害物判定部175と、旋回角度演算部176と、制御部177と、を備えている。ブレーキECU17内の各部は、互いに通信可能となっている。
状態判定部171は、車両が坂道でのスタック又は停車に関する所定停車状態であるか否かを判定する。第一実施形態のブレーキECU17の設定において、所定停車状態は、車両が坂道において上り向きに前方からスタックしている状態である。つまり、第一実施形態の状態判定部171は、車両が坂道において上り向きに前方からスタックしている状態である場合に、「車両が所定停車状態である」と判定する。所定停車状態は、車両が上り坂で前方からスタックしている状態であるともいえる。具体的に、状態判定部171は、第一加速度センサ92の検出結果及び車輪速度センサSの検出結果に基づいて、車両が所定停車状態であるか否かを判定する。例えば、状態判定部171は、車速がゼロの状態で車両後方に所定加速度以上の加速度が検出されている場合、車両が所定勾配以上の坂道に上り向きに停車していると判定する。そして、状態判定部171は、各車輪速度センサSの検出結果から、駆動輪と従動輪との回転速度の差が所定しきい値以上である場合、車両がスタックした状態であると判定する。また、状態判定部171は、車両が停車する直前の車両の挙動又は停車後の車両の挙動が、前進であるか後進であるか(例えばシフトレバーSLからのシフト位置情報など)により、車両が前方からスタックしたか否かを判定する。車両が所定停車状態である場合、実際の車両の状態は、前進が困難な状態にあるといえる。
降坂判定部172は、車両が降坂しようとしている状態又は降坂している状態である降坂状態であるか否かを判定する。第一実施形態のブレーキECU17の設定において、降坂状態は、上り坂において運転者が後進の意思を表した状態、すなわちシフトレバーSLがバック(後進)位置にあり、且つブレーキ操作が解除中又は解除された後の状態である。例えば、降坂判定部172は、シフトレバーSLのシフト位置情報がバック(後進)を示し且つストロークセンサ15の値が減少している又はゼロである場合、「車両が降坂状態である」と判定する。ブレーキECU17は、シフトレバーSLからシフト位置情報を受信する。降坂は、主に上り坂での後進又は下り坂での前進を意味する。第一実施形態の補助制御は、車両が上り坂で前方にスタックした場合に、車両を後進させて降坂させる場合(すなわち上り坂で後進させる場合)を対象としている。なお、補助制御が下り坂で前方に降坂することを対象とした場合、シフトレバーSLが前進位置(例えばドライブ、セカンド、又はロー)にあり且つブレーキ操作が解除中又は解除された後の状態が、降坂状態といえる。また、上り坂(車両前方が後方よりも上方にある状態)か否かの判定は、例えば第一加速度センサ92と車輪速度センサSの検出結果に基づいて実施することができる。
勾配ベクトル演算部173は、第一加速度センサ92の検出結果及び第二加速度センサ93の検出結果に基づき、車両が受ける重力加速度に起因する路面の勾配ベクトルを演算する。勾配ベクトルは、図3に示すように、車両停車時における前後方向ベクトル(図3では後方ベクトル)と左右方向ベクトル(図3では左方ベクトル)とを合成したものである。つまり、勾配ベクトルは、車両の前後方向ベクトルと左右方向ベクトルの和である。勾配ベクトルは、重力加速度方向に平行なベクトルを、路面に平行な成分と路面に垂直な成分に分解した際の「路面に平行な成分」に相当する。勾配ベクトル演算部173は、車両の前後方向ベクトルと左右方向ベクトルとの和を演算する。
旋回方向演算部174は、勾配ベクトル演算部174で演算された勾配ベクトルに基づいて、車両が降坂(ここでは後進)した場合に第二加速度センサ93の検出値が小さくなる車両の旋回方向(時計回り/反時計回り)を演算する。換言すると、旋回方向演算部174は、車両が降坂した場合に、上記ベクトルの合成における勾配ベクトルと前後方向ベクトルとの為す角(鋭角)Xが小さくなる旋回方向を演算する。さらに換言すると、旋回方向演算部174は、車両の前後方向に平行な第一仮想直線と勾配ベクトルに平行な第二仮想直線とが為す鋭角Xが小さくなる旋回方向を演算する。図3の例では、後方ベクトルをその始点を中心に時計回りに回転させることで、勾配ベクトルとの為す角Xが小さくなり、後方ベクトルと勾配ベクトルとが平行状態に近づき、左右方向ベクトルは小さくなる。したがって、図3の場合、旋回方向演算部174は、旋回方向を時計回りと算出する。
障害物判定部175は、車両の降坂側(ここでは後方)に障害物があるか否かを判定する。具体的に、障害物判定部175は、ナビゲーションシステム94及び/又はレーダー95からの情報に基づき、車両の後方の所定距離範囲内に障害物(例えばガードレール等)があるか否かを判定する。障害物判定部175は、勾配ベクトル又は平行旋回角度Xに基づいた車両の後進軌道上(所定距離範囲内)に障害物があるか否かを判定しても良い。障害物判定部175は、例えばナビゲーションシステム94からの情報、すなわちGPSによる自車両の位置情報と地図データから読み取れるガードレール等の位置情報に基づいて、所定距離範囲内における障害物の有無を判定する。また、障害物判定部175は、レーダー95からの情報により、近距離に障害物が存在することを検出できる。
旋回角度演算部176は、通常時(ここでは障害物判定部175が「障害物無し」と判定した場合)、旋回方向演算部174で演算された旋回方向(以下、演算旋回方向とも称する)において、車両の前後方向と勾配ベクトルとが平行になるための旋回角度(以下、平行旋回角度とも称する)を演算する。平行旋回角度は、前後方向ベクトル(第一仮想直線)と勾配ベクトル(第二仮想直線)とが為す鋭角Xに相当する。また、旋回角度演算部176は、障害物判定部175が「障害物有り」と判定した場合、図5に示すように、演算旋回方向において、車両が降坂(ここでは後進)した場合に車両が障害物に接触しない旋回角度である回避旋回角度Yを演算する。回避旋回角度Yは、角度X未満に設定される(0<Y<X)。また、回避旋回角度は、障害物を回避可能な最大値に設定される。回避旋回角度Yは、勾配ベクトルと後方ベクトルの間に障害物を避け得る回避ベクトルが設定された場合、後方ベクトルと当該回避ベクトルとの間の角度であるといえる。
制御部177は、状態判定部171により車両が所定停車状態であることが判定され且つ降坂判定部172により車両が降坂状態であることが判定されている場合、車両が降坂した場合に車両が演算旋回方向に旋回するように(第二加速度センサ93の検出値が小さくなる範囲で旋回するように)、車両の車輪Wの制動力及び操舵角のうち少なくとも一方を制御する補助制御を実行する。操舵角は、ステアリングSWの操舵角や、操舵車輪Wfl、Wfrの切り角といえる。
第一実施形態の制御部177は、補助制御において、各車輪Wの制動力を制御する。具体的に、制御部177は、補助制御において、演算旋回方向における内輪側の車輪Wである旋回内輪の制動力を、演算旋回方向における外輪側の車輪Wである旋回外輪の制動力よりも大きくする。制御部177は、旋回方向演算部174の演算結果に基づき、左右の車輪Wのうち何れの車輪Wが旋回内輪(又は旋回外輪)となるかを判定する。制御部177による制動力の制御は、上記の増圧制御、保持制御、減圧制御、及び/又は加圧制御を利用して各車輪Wに対して実行される。なお、旋回内輪と旋回外輪の判定や制動力の制御は、操舵車輪Wfl、Wfrに対して為されても良いし、前後の車輪(4輪)に対して為されても良い。
図3の例では、制御部177は、補助制御において、旋回内輪Wfl、Wrlの制動力を、旋回外輪Wfr、Wrrの制動力よりも大きくする。ここでの制動力の関係は、例えば、左前輪Wfl>右前輪Wfr、且つ、左後輪Wrl>右後輪Wrrとなっている。また、制御部177は、通常時、演算旋回方向において車両の前後方向と勾配ベクトルとが平行になるための旋回角度、すなわち平行旋回角度Xが大きいほど、旋回内輪の制動力と旋回外輪の制動力との差を大きくする。制御部177は、車両の前後方向と勾配ベクトルとが平行になるように、すなわち角度Xがゼロになるように、補助制御を実行する。なお、制御部171は、補助制御において、従動輪側(前輪駆動の場合、後輪)における左右の車輪Wを同じ制動力に制御しても良い。また、制御部171は、補助制御において、例えば旋回外輪の目標ホイール圧だけを大気圧にするなど、旋回外輪の制動力だけをゼロにしても良い。補助制御において、前輪Wfでの制動力差と後輪Wrでの制動力差は、同じであっても異なっていても良い。
制御部177は、障害物判定部175により障害物があることが判定されている場合、車両が回避旋回角度Yだけ旋回するように、補助制御を実行する。このように、制御部177は、平行旋回角度X又は回避旋回角度Yに応じて、旋回内輪の制動力を、旋回外輪の制動力よりも大きくする。制御部177により設定される各車輪Wの目標の制動力は、例えば、アクセル操作が為されていない場合(アクセル開度がゼロの場合)には、エンジンがアイドリングの状態で車両が動く現象(クリープ現象)及び/又は自重による移動を想定した値に設定され、アクセル操作が為されている場合には、アクセル開度に応じて(例えば低速走行するように)設定される。
制御部177は、補助制御に関する情報を報知装置96に送信する。報知装置96は、運転者に補助制御に応じた車両の操作情報を報知する。報知装置96は、例えば、補助制御が実行中であることを運転者に報知する。また、報知装置96は、例えば、ディスプレイに操作手順を表示し、及び/又は音声で操作手順をガイドし、運転者にステアリングSWの操作等を伝達する。
ここで、第一実施形態の補助制御の流れを図5を参照して説明する。まず、ブレーキECU17は、各種センサ15、91〜97、S及びシフトレバーSLから情報を取得する(S101)。ブレーキECU17は、取得した情報に基づいて車両が所定停車状態であるか否かを判定する(S102)。車両が所定停車状態である場合(S102:Yes)、ブレーキECU17は、取得した情報に基づいて車両が降坂状態であるか否かを判定する(S103)。車両が降坂状態である場合(S103:Yes)、ブレーキECU17は、取得した情報に基づいて勾配ベクトルを演算する(S104)。そして、ブレーキECU17は、旋回方向及び平行旋回角度Xを演算する(S105)。
ブレーキECU17は、取得した情報に基づいて車両の後方に障害物があるか否かを判定する(S106)。例えば、ブレーキECU17は、勾配ベクトル又は平行旋回角度Xに基づいて、所定距離範囲内において車両の後進軌道上(降坂軌道上)に障害物があるか否かを判定する(S106)。車両の後方に障害物がある場合(S106:Yes)、ブレーキECU17は、回避旋回角度Yを算出し、回避旋回角度Yに応じた補助制御を実行する(S107)。つまり、ブレーキECU17は、回避旋回角度Yに応じて旋回内輪の制動力を旋回外輪の制動力よりも大きくする。一方、車両の後方に障害物がない場合(S106:No)、ブレーキECU17は、平行旋回角度Xに応じた補助制御を実行する(S108)。つまり、ブレーキECU17は、平行旋回角度Xに応じて旋回内輪の制動力を旋回外輪の制動力よりも大きくする。
第一実施形態によれば、車両が所定停車状態である場合、車両が降坂する際に、車両の前後方向が勾配ベクトルと一致する側に向けて、各車輪Wの制動力が自動制御される。これにより、運転者の操作によらず、車両降坂時に車両の向きを重力加速度方向に合わせることができ、車両に対する左右方向の力が低減され、スタック状態から高い安全性で車両を降坂させることができる。制御部177は、補助制御を実行し、内外輪の制動力差によりヨーモーメントを発生させることと急激な速度変化を減らすことで、安定して車両を降坂させることができる。
また、第一実施形態によれば、補助制御により、車両の前後方向が勾配ベクトルと平行になるように各車輪Wの制動力が制御されるため、車両の後進に伴い車両の向きが自動でまっすぐ(勾配ベクトルと平行)になる。これにより、重力加速度による車両が受ける左右方向の力がなくなり、より安全な状態で車両を降坂させることができる。
また、補助制御は、車両の制御に、旋回内輪と旋回外輪の制動力差を利用しており、さらには目標の旋回角度(X、Y)に応じて制動力差を変更するように設定されている。これにより、簡易で且つ確実性の高い車両の降坂制御が可能となる。また、第一実施形態によれば、障害物がある場合、回避旋回角度Yに基づく補助制御が実行されるため、車両と障害物の接触を避けつつ、より安全に車両を降坂させることができる。回避旋回角度Yに基づく補助制御が実行された後、障害物が検出されなくなれば、その時の平行旋回角度Xに基づき補助制御が実行されれば良い。また、報知装置96により補助制御に応じた操作情報が運転者に報知されるため、運転者に操作を適切にガイドすることができる。なお、補助制御は、制動力の制御に加えて、操舵角及び/又は操舵トルクの制御を実行するように設定されても良い。これによれば、車両降坂時に、さらに効果的に車両の向きを調整することができる。
(第二実施形態)
第二実施形態の坂道補助装置は、補助制御において、制御部177が、車輪Wの制動力ではなく操舵角を制御するように設定されている点で第一実施形態と異なっている。したがって、当該異なる部分について説明する。第二実施形態の説明において第一実施形態と同じ符号は、第一実施形態と同様の構成を示すものであって、先行する説明及び図面が参照される。
第二実施形態の坂道補助装置は、補助制御において、制御部177が、車輪Wの制動力ではなく操舵角を制御するように設定されている点で第一実施形態と異なっている。したがって、当該異なる部分について説明する。第二実施形態の説明において第一実施形態と同じ符号は、第一実施形態と同様の構成を示すものであって、先行する説明及び図面が参照される。
第二実施形態の制御部177は、補助制御(図5のS107及びS108参照)において、車両が降坂した場合に車両が演算旋回方向に旋回するように、操舵角を制御する。つまり、制御部177は、ステアリングセンサ91の検出結果に基づき、ステアリングSWの操舵角(操舵輪の切れ角)を演算旋回方向に自動操作する。さらに制御部177は、通常時(障害物無しの時)、車両の前後方向と勾配ベクトルとが平行になるように補助制御を実行する。つまり、制御部177は、通常時、ステアリングSWが演算旋回方向と反対方向(図3の例では反時計回り)に平行旋回角度Xに応じた角度だけ回転するように、ステアリングSWを制御する。また、同様に、制御部177は、車両の後方に障害物がある場合、ステアリングSWが演算旋回方向と反対方向に回避旋回角度Yに応じた角度だけ回転するように、ステアリングSWを制御する。ステアリングSWの位置制御は、一時に行われても良く、車両の降坂速度に応じて(徐々に)行われても良い。報知装置96は、自動制御されたステアリングSWの状況や、アクセル/ブレーキ操作の指示等を表示・音声ガイドしても良い。第二実施形態によっても、第一実施形態同様の効果が発揮される。また、制御部177は、補助制御において、操舵角制御に代えて又は操舵角制御に加えて、操舵トルクを制御しても良い。つまり、制御部177は、補助制御において、操舵角及び/又は操舵トルクを制御しても良い。
(第三実施形態)
第三実施形態の坂道補助装置は、所定停車状態及び降坂状態として、車両が坂道を車両後部から後方に滑っている状態(以下、滑り状態と称する)に設定されている点で第一実施形態と異なっている。したがって、当該異なる部分について説明する。第三実施形態の説明において第一実施形態と同じ符号は、第一実施形態と同様の構成を示すものであって、先行する説明及び図面が参照される。滑り状態は、例えば図3に示すように車両の前方側が後方側よりも高所である状態(車両が坂道に上り向きで存在している状態)で、ブレーキ操作が為された状態で、且つ車両が後方に移動している状態であるといえる。
第三実施形態の坂道補助装置は、所定停車状態及び降坂状態として、車両が坂道を車両後部から後方に滑っている状態(以下、滑り状態と称する)に設定されている点で第一実施形態と異なっている。したがって、当該異なる部分について説明する。第三実施形態の説明において第一実施形態と同じ符号は、第一実施形態と同様の構成を示すものであって、先行する説明及び図面が参照される。滑り状態は、例えば図3に示すように車両の前方側が後方側よりも高所である状態(車両が坂道に上り向きで存在している状態)で、ブレーキ操作が為された状態で、且つ車両が後方に移動している状態であるといえる。
第三実施形態のブレーキECU17、例えば状態判定部171及び降坂判定部172は、車両が滑り状態であるか否かを判定する。ブレーキECU17は、例えば、車輪速度センサSの検出結果がゼロ(又は各車輪Wの制動力が所定値以上)である状態で、第一加速度センサ92の検出値において後方への加速度が増大するように変化している場合、車両が滑り状態であると判定する。そして、制御部177は、車両が滑り状態である場合に、第一実施形態及び/又は第二実施形態の補助制御を実行する。第三実施形態の補助制御の流れは、図6に示すように、第一実施形態(図5)におけるステップS102とS103とを1つのステップS202(車両が滑り状態であるか否かの判定)とすることに相当する。図6の他のステップは、図5の対応するステップと同様であるため、説明は省略する。第三実施形態によれば、車両が運転者の意思に反して降坂している場合でも、車両をより安全に降坂させることができる。なお、制御部177は、車両が滑り状態である場合、操舵角及び/又は操舵トルクの制御を含んだ補助制御を実行することが好ましい。また、滑り状態は、下り坂を前方に滑っている状態でも良い。
(その他の変形態様)
本発明は、上記実施形態に限られない。例えば、降坂判定部172は、補助制御を実行するための運転者の操作(例えば所定のスイッチが押される、又はタッチパネルで操作される等)の有無により、車両が降坂状態であるか否かを判定しても良い。また降坂状態は、後方又は前方に車速が出ている状態でも良い。また、所定停車状態は、車両が下り坂(前方が後方より下方にある状態)において後方からスタックしている状態であっても良い。この場合も上記実施形態同様、補助制御により、車両を安全に降坂(この場合、前進)させることができる。この場合、障害物判定部175は、前方に障害物があるか否かを判定し、旋回角度演算部176は、車両が前進した場合に車両が障害物に接触しない旋回角度である回避旋回角度を演算しても良い。また、参考に、所定停車状態は、車両が坂道において下り向きに前方からスタックしている状態(車両が下り坂で前方からスタックしている状態ともいえる)であっても良い。この場合でも、補助制御により、運転者の操作能力にかかわらず、高い安全性で車両を登坂させることができる。また、所定停車状態は、車両が所定勾配以上の勾配の坂道に停車している状態であっても良い。このような状態でも、補助制御によれば、運転者の操作能力にかかわらず、車両を高い安全性で降坂(又は登坂)させることができる。
本発明は、上記実施形態に限られない。例えば、降坂判定部172は、補助制御を実行するための運転者の操作(例えば所定のスイッチが押される、又はタッチパネルで操作される等)の有無により、車両が降坂状態であるか否かを判定しても良い。また降坂状態は、後方又は前方に車速が出ている状態でも良い。また、所定停車状態は、車両が下り坂(前方が後方より下方にある状態)において後方からスタックしている状態であっても良い。この場合も上記実施形態同様、補助制御により、車両を安全に降坂(この場合、前進)させることができる。この場合、障害物判定部175は、前方に障害物があるか否かを判定し、旋回角度演算部176は、車両が前進した場合に車両が障害物に接触しない旋回角度である回避旋回角度を演算しても良い。また、参考に、所定停車状態は、車両が坂道において下り向きに前方からスタックしている状態(車両が下り坂で前方からスタックしている状態ともいえる)であっても良い。この場合でも、補助制御により、運転者の操作能力にかかわらず、高い安全性で車両を登坂させることができる。また、所定停車状態は、車両が所定勾配以上の勾配の坂道に停車している状態であっても良い。このような状態でも、補助制御によれば、運転者の操作能力にかかわらず、車両を高い安全性で降坂(又は登坂)させることができる。
また、坂道補助装置Bは、補助制御を実行せず、補助制御に関する操作情報を報知装置96により運転者に報知する構成であっても良い。これによっても、運転者は操作情報、特に操作手順情報(例えばステアリングSWの切り角や、ブレーキ/アクセル操作など)に従って降坂すれば良く、操作が比較的難しい後進であっても、高い安全性で車両を降坂させることができる。また、坂道補助装置Bは、補助制御において、さらに各車輪Wに対する駆動力(トルク)を制御しても良い。駆動力は、例えば駆動トルクコントロールユニット(図示せず)により制御できる。これにより、より効果的に車両の向きを調整することができる。また、補助制御を実行するための装置は、ブレーキECU17に限らず、他のECUや補助制御専用のECUであっても良い。また、ブレーキECU17は、公知の方法で路面の摩擦係数(μ)を推定して、停車前の摩擦係数を所定停車状態の判定又は降坂状態の判定に利用しても良い。また、車両が滑り状態か否かの判定などは、公知の方法でも良い。
また、ブレーキECU17は、ナビゲーションシステム94及び/又はヨーレートセンサを用いて、車両に関するスタック直前の情報からスタックの向き等(例えば、前方スタックか否か、上り向きか否か)を演算しても良い。また、第一加速度センサ92と第二加速度センサ93は、1つのセンサであっても良い。また、ブレーキECU17は、障害物判定部175を備えてなくても良い。また、所定停車状態は、例えば車両が所定の勾配以上の坂道上に位置する際に、降坂(前進又は後進)が困難になった状態であっても良い。この場合、例えば運転者がスイッチを押すなど、運転者が補助制御を実行する意思(降坂する意思など)を車両に示すことで、補助制御が実行されても良い。この場合、スイッチが押されることにより、状態判定部171は車両が所定停車状態であると判定し、降坂判定部172は車両が降坂状態であると判定する。また、車輪Wに制動力を発生させる構成は、上記に限らず、倍力装置12に代えて例えばサーボ室とサーボ室の液圧を制御する弁部(例えば電磁弁及びレギュレータ)とを備える構成であっても良い。
11…ブレーキペダル、12…倍力装置、13…マスタシリンダ、14…リザーバ、15…ストロークセンサ、16…アクチュエータ、17…ブレーキECU、171…状態判定部、172…降坂判定部、173…勾配ベクトル演算部、174…旋回方向演算部、175…障害物判定部、176…旋回角度演算部、177…制御部、92…第一加速度センサ、93…第二加速度センサ、S…車輪速度センサ、W…車輪、A…車両用制動装置、B…坂道補助装置。
Claims (7)
- 車両が坂道でのスタック又は停車に関する所定停車状態であるか否かを判定する状態判定部と、
前記車両が降坂しようとしている状態又は降坂している状態である降坂状態であるか否かを判定する降坂判定部と、
前記車両の前後方向の加速度を検出する第一加速度センサと、
前記車両の左右方向の加速度を検出する第二加速度センサと、
前記第一加速度センサの検出結果及び前記第二加速度センサの検出結果に基づき、車両の前後方向ベクトルと左右方向ベクトルの和に関する勾配ベクトルを演算する勾配ベクトル演算部と、
前記勾配ベクトルに基づいて、前記車両が降坂した場合に前記第二加速度センサの検出値が小さくなる前記車両の旋回方向を演算する旋回方向演算部と、
前記状態判定部により前記車両が前記所定停車状態であることが判定され且つ前記降坂判定部により前記車両が前記降坂状態であることが判定されている場合、前記車両が降坂した場合に前記車両が前記旋回方向に旋回するように、前記車両の車輪の制動力、操舵角、及び操舵トルクのうち少なくとも一つを制御する補助制御を実行する制御部と、
を備える坂道補助装置。 - 前記制御部は、前記車両の前後方向と前記勾配ベクトルとが平行になるように、前記補助制御を実行する請求項1に記載の坂道補助装置。
- 前記制御部は、前記補助制御において、前記旋回方向における内輪側の前記車輪である旋回内輪の制動力を、前記旋回方向における外輪側の前記車輪である旋回外輪の制動力よりも大きくする請求項1又は2に記載の坂道補助装置。
- 前記制御部は、前記旋回方向において前記車両の前後方向と前記勾配ベクトルとが平行になるための旋回角度が大きいほど、前記旋回内輪の制動力と前記旋回外輪の制動力との差を大きくする請求項3に記載の坂道補助装置。
- 前記車両の降坂側に障害物があるか否かを判定する障害物判定部と、
前記障害物判定部の判定結果に基づき、前記旋回方向において、前記車両が降坂した場合に前記車両が前記障害物に接触しない旋回角度である回避旋回角度を演算する旋回角度演算部と、
を備え、
前記制御部は、前記障害物判定部により前記障害物があることが判定されている場合、前記車両が前記回避旋回角度だけ旋回するように、前記補助制御を実行する請求項1〜4の何れか一項に記載の坂道補助装置。 - 運転者に前記補助制御に応じた前記車両の操作情報を報知する報知部を備える請求項1〜5の何れか一項に記載の坂道補助装置。
- 前記所定停車状態は、前記車両が坂道において上り向きに前方からスタックしている状態である請求項1〜6の何れか一項に記載の坂道補助装置。
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