JP2009119959A - 車両の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】緊急回避時における車両の応答性を向上する。
【解決手段】車両(1)の制御装置は、障害物を回避するための回避力を車両に付与可能である第1回避手段(23a、23b)と、回避力を打ち消す打消力又は回避力を車両に付与可能である第2回避手段(25a〜25d)とを備える車両を制御する制御装置であって、障害物を検知して、検知された障害物との衝突危険度を取得する危険度取得手段(102)と、取得された衝突危険度が危険度閾値より大きいことを条件に、回避力を車両に付与するように第1回避手段を制御すると共に、打消力を車両に付与するように第2回避手段を制御し、車両の運転者が所定種類の回避操作を行った際に、打消力を付与することを停止する又は打消力に代えて回避力を車両に付与するように第2回避手段を制御する制御手段(101)とを備える。
【選択図】図2
【解決手段】車両(1)の制御装置は、障害物を回避するための回避力を車両に付与可能である第1回避手段(23a、23b)と、回避力を打ち消す打消力又は回避力を車両に付与可能である第2回避手段(25a〜25d)とを備える車両を制御する制御装置であって、障害物を検知して、検知された障害物との衝突危険度を取得する危険度取得手段(102)と、取得された衝突危険度が危険度閾値より大きいことを条件に、回避力を車両に付与するように第1回避手段を制御すると共に、打消力を車両に付与するように第2回避手段を制御し、車両の運転者が所定種類の回避操作を行った際に、打消力を付与することを停止する又は打消力に代えて回避力を車両に付与するように第2回避手段を制御する制御手段(101)とを備える。
【選択図】図2
Description
本発明は、例えば四輪操舵車を制御する車両の制御装置に関し、特に、緊急回避時に、アクチュエータや制動装置等を制御して回避動作を支援する車両の制御装置の技術分野に関する。
この種の制御装置には、例えば、緊急回避であると判別された時に、フィードバックゲインを大きな値に補正してヨーレートを抑制する方向に後輪の操舵量を多くする四輪操舵車の後輪制御装置が提案されている(特許文献1参照)。或いは、操舵ハンドルの操舵角の検知結果に基づき、緊急回避時のような操舵速度が高速域では、操舵速度の変化に対応する転舵輪の転舵角変化量を大に設定する操舵制御装置が提案されている(特許文献2参照)。或いは、ドライバーによる衝突回避操作であると判定された場合に、障害物を回避するために必要な回避運動量を算出し、ドライバーのステアリング操作に基づく目標運動量を算出された回避運動量で修正して、該修正された目標運動量に基づいて車両を回頭させる目標ヨーモーメントを算出する車両操作支援装置が提案されている(特許文献3参照)。
しかしながら、上述の背景技術によれば、運転者が行った、例えばハンドルの操作等の何らかの操作、或いは操作の結果生じる力に基づいて、緊急回避であるか否かを判定しているので、運転者が緊急回避操作を開始してから制御装置が実際に回避動作の支援を開始するまでに時間がかかる、即ち、制御装置の応答性に向上の余地があるという技術的問題点がある。
本発明は、例えば上記問題点に鑑みてなされたものであり、緊急回避時における車両の応答性を向上することができる車両の制御装置を提供することを課題とする。
本発明の第1の車両の制御装置は、上記課題を解決するために、障害物を回避するための回避力を車両に付与可能である第1回避手段と、前記回避力を打ち消す打消力又は前記回避力を前記車両に付与可能である第2回避手段とを備える前記車両を制御する制御装置であって、前記障害物を検知して、前記検知された障害物との衝突危険度を取得する危険度取得手段と、前記取得された衝突危険度が危険度閾値より大きいことを条件に、前記回避力を前記車両に付与するように前記第1回避手段を制御すると共に、前記打消力を前記車両に付与するように前記第2回避手段を制御し、前記車両の運転者が所定種類の回避操作を行った際に、前記打消力を付与することを停止する又は前記打消力に代えて前記回避力を前記車両に付与するように前記第2回避手段を制御する制御手段とを備える。
本発明の第1の車両の制御装置によれば、例えば四輪操舵車である車両は、例えば車両や構造物等である障害物を回避するための回避力を車両に付与可能な、例えば前輪転舵装置等である第1回避手段と、回避力を打ち消す打消力又は回避力を車両に付与可能な、例えば、後輪転舵装置、制動装置等である第2回避手段とを備える。
尚、本発明に係る「障害物」とは、一定時間内に当該車両が移動可能な範囲内に存在する他の車両や構造物等を意味する。また、本発明に係る「打消力」とは、当該車両に付与される回避力を打ち消す方向に作用する力を意味する。打消力の大きさは、付与される回避力の大きさと等しいことが望ましいが、回避力の大きさとほぼ同じであればよい。
危険度取得手段は、例えばミリ波レーダ、ステレオカメラ等の既存の障害物検知手段によって障害物を検知する。そして、障害物検知手段によって取得された障害物との距離及び相対速度、並びに例えば車速センサによって計測される当該車両の速度等から、衝突するまでの時間、或いは、急制動を行ったときの停止距離等を求めて、衝突危険度を取得する。
ここに、本発明に係る「衝突危険度」とは、当該車両が検知された障害物に衝突する可能性を数値化、或いは等級付けした値である。衝突する可能性のある障害物は、当該車両の前方や側方に存在する物に限らず、例えば、当該車両が急制動することによって、又は、回避のために進行方向を変更することによって衝突する可能性のある後方の車両も含んでよい。
衝突危険度は、単純には、例えば、緩やかなハンドル操作又は、通常の制動動作によって衝突を回避することが可能な場合、衝突危険度をゼロとし、速いハンドル操作及び急制動のうち少なくとも一方を行わなければ衝突を回避できない場合、衝突危険度を1とすればよい。或いは、例えば衝突までの時間を基準として、現在の車速及び進行方向を維持した場合の衝突までの時間が、3秒以内であれば衝突危険度を3とし、5秒以内であれば衝突危険度を2とし、7秒以内であれば衝突危険度を1とし、7秒より長ければ衝突危険度をゼロとすればよい。
危険度取得手段は、障害物検知手段として、更に、ナビゲーション情報、車車間通信、路車間通信等を利用すると共に、障害物の座標及び速度、予測針路、路面状態等に基づいて衝突危険度を取得又は決定してもよい。
制御手段は、取得された衝突危険度が危険度閾値より大きいことを条件に、先ず、回避力を車両に付与するように第1回避手段を制御すると共に、打消力を当該車両に付与するように第2回避手段を制御する。このように制御手段が第1及び第2回避手段を制御することによって、均衡状態又は均衡状態に近い状態が形成される。ここに、本発明に係る「均衡状態」とは、ヨーモーメント及び横加速度の少なくとも一方がゼロとなる状態を意味する。
付与される回避力の大きさは、衝突危険度に応じて変化することが望ましいが、衝突危険度に関係なく一定であってもよい。回避力の大きさが衝突危険度に応じて変化する場合、典型的には、衝突危険度が大きくなるほど付与される回避力の大きさが大きくなる。
尚、車両に回避力及び打消力を付与する際に、ヨーモーメント及び横加速度に係るフィードバック制御又はフィードフォワード制御を行うことによって、車両の安定性等を向上させてもよい。
第1回避手段が、例えば前輪転舵装置である場合、制御装置が前輪を転舵するように第1回避手段を制御することによって回避力が車両に付与される。この場合は、前輪の転舵角の大きさを変化させることによって付与される回避力の大きさが変化する。
第2回避手段が、例えば制動装置である場合、制御手段は、前輪が転舵された方向とは逆方向の車輪(具体的には例えば、進行方向右側に前輪が転舵された場合は左側の車輪)を制動するように第2回避手段を制御することにより、左側の車輪及び右側の車輪間に制動力差を発生させることによって打消力が車両に付与される。或いは、第2回避手段が、例えば後輪転舵装置である場合、制御手段が後輪を前輪と同相になるように転舵するように第2回避手段を制御することによって打消力が車両に付与される。
このような制動力差の発生には、制動装置に限らず、例えば差動装置を用いてもよい。即ち、左側の車輪に付与される駆動力と右側の車輪に付与される駆動力とが異なるように駆動力を分配するように差動装置が制御されることによって、かかる制動力差を発生させてもよい。
尚、本発明に係る「危険度閾値」とは、制御手段が衝突所定の回避制御処理を行うか否かを決定する値であり、予め固定値として、又は何らかのパラメータに応じた可変値として設定される値である。この危険度閾値は、車両の進行方向の変更や制動等の何らかの衝突回避動作を行わなければ、当該車両が障害物に衝突する可能性が高いと予測される値として設定される。
このような危険度閾値は、経験的若しくは実験的に又はシミュレーションによって、例えば、車両の速度、車両が障害物に衝突するまでの衝突時間、及び回避に必要な回避時間の関係を求めて、該求められた関係に基づいて、衝突時間と回避時間とが等しくなる衝突危険度として、或いは衝突時間が回避時間から所定時間だけ大きい時間と等しくなる衝突危険度として設定すればよい。
尚、回避力を付与する方向、即ち、当該車両が回避する方向は、例えば舵角センサやトルクセンサ等によって、取得された衝突危険度が危険度閾値より大きくなった際に、運転者がハンドルを操作した方向を検出して、該検出された方向とすればよい。或いは、例えばカメラの画像から回避空間を決定して、該決定された回避空間に向かう方向とすればよい。
制御手段は、次に、当該車両の運転者が、例えばハンドルの急操舵や急制動等の所定種類の回避操作を行った際に、少なくとも打消力を当該車両に付与することを停止するように第2回避手段を制御する。具体的には例えば、第2回避手段が制動装置であれば、制動を解除するように制御する。或いは、第2回避手段が後輪転舵装置であれば、転舵している後輪を元の位置に戻すように制御する。第2回避手段が後輪転舵装置である場合には、更に、後輪を前輪と逆相になるように転舵するように第2回避手段を制御して、回避力を車両に付与するようにしてもよい。これにより、形成されていた均衡状態又は均衡状態に近い状態がくずれ、少なくとも予め付与されていた回避力によって当該車両が回避動作を開始する。
尚、運転者が回避操作を行ったか否かは、例えば、車両の速度から推定される通常走行時における、ハンドルの操作範囲(即ち、角度範囲)や操作速度範囲(即ち、角速度範囲)等よりも大きい角度又は角速度であるか否かの判定結果に基づいて、判定すればよい。具体的には例えば、高速走行時(例えば時速80km)に、例えば10度より大きい角度でハンドルを操作した場合に、運転者が回避操作を行ったと判定すればよい。
通常走行時における操作角度や操作角速度等の範囲は、例えばメモリ等の記憶手段に予めマップとして格納しておけばよい。このようなマップは、経験的若しくは実験的に又はシミュレーションによって、例えば速度と操作角度又は操作角速度との関係を求め、該求められた関係に基づいて、構成すればよい。
仮に、運転者が回避操作を行ったと判定された後に、例えば車輪を通常より早く転舵する等の回避動作を支援する制御を行ったとしても、運転者が回避操作を開始してから実際に回避動作の支援が開始されるまでに時間がかかってしまう。
緊急回避時において、実際に回避動作の支援が開始されるまでには、運転者が衝突の危険性を認識する時点、運転者が回避操作を開始する時点、制御装置が回避操作を検出する時点、及び制御装置が回避動作の支援を開始する時点があり、各時点間には、ある時間差が存在する。そして、運転者が回避操作を開始してから制御装置が回避操作を検出するまでの時間を短縮しようとすれば、必然的に、回避操作判定の判定基準を緩和する、或いは何らかの物理量又はパラメータの検出時間を短縮することになり、誤動作が増加する可能性がある。また、制御装置が回避操作を検出してから支援を開始するまでの時間は、各種センサからの信号に基づく演算時間や各種アクチュエータの動作速度等によって最短時間が制限されてしまう。
しかるに本発明では、衝突危険度が危険度閾値より大きいことを条件に、制御手段が、予め、回避力を車両に付与するように、例えば前輪を回避方向に転舵するように第1回避手段を制御すると共に、車両に打消力を付与するように第2回避手段を制御することによって、均衡状態又は均衡状態に近い状態が形成される。即ち、運転者が衝突の危険性を認識する時点と前後して、予め回避方向に回避力を付与すると共に、打消力を付与することによって、均衡状態又は均衡状態に近い状態が形成される。
そして、運転者が回避操作を行った際に、制御手段が少なくとも打消力の付与を停止するように第2回避手段を制御することにより、形成された均衡状態又は均衡状態に近い状態をくずしている。これにより、打消力の大きさがゼロにならなくとも、均衡状態又は均衡状態に近い状態がくずれ始めた時点から、少なくとも予め付与されていた回避力によって、速やかに回避動作が開始されると共に、予め前輪が転舵されているので、比較的短時間で運転者の回避操作に応じた目標転舵角に到達することができる。即ち、当該車両の最短回避距離を短縮することが可能となる。
以上の結果、本発明の第1の車両の制御装置によれば、運転者が衝突の危険性を認識する時点と前後して、回避動作の支援を開始しているので、緊急回避時における車両の応答性を向上することができる。
更に、例えば、予め前輪が回避方向に転舵されており、運転者が回避操作を行った後の車輪の転舵角が小さいので、回避動作に伴う電力消費を抑制することができ、実用上非常に有利である。
尚、取得された衝突危険度が危険度閾値より大きいことを条件に、均衡状態又は均衡状態に近い状態が形成された後に、所定時間、運転者が回避操作を行わない場合、制御手段は、第1及び第2回避手段を夫々制御して、回避力及び打消力の付与を停止してもよい。この場合、衝突危険度が危険度閾値より大きいか否かを判定して、危険度閾値より小さいと判定された場合のみ、第1及び第2回避手段を夫々制御して、回避力及び打消力の付与を停止するようにしてもよい。このような運転者が回避操作を行わない場合でも、例えば、車輪が転舵されることによる摩擦力の増加や制動力等により、少なくとも車両の速度が減少して、衝突危険度が小さくなることが期待できる。尚、「所定時間」は、運転者等に違和感等を与えないような時間、或いは衝突危険度が所定数低下すると予測されるような時間として設定すればよい。
本発明の第2の車両の制御装置は、上記課題を解決するために、障害物を回避するための回避力を車両に付与可能である第1回避手段と、前記回避力を打ち消す打消力又は前記回避力を前記車両に付与可能である第2及び第3回避手段とを備える前記車両を制御する制御装置であって、前記障害物を検知して、前記検知された障害物との衝突危険度を取得する危険度取得手段と、前記取得された衝突危険度が危険度閾値より大きいことを条件に、前記回避力を前記車両に付与するように前記第1回避手段を制御すると共に、前記打消力を前記車両に付与するように前記第2回避手段を制御し、前記車両の運転者が所定種類の回避操作を行った際に、前記回避力を前記車両に付与するように前記第3回避手段を制御する制御手段とを備える。
本発明の第2の車両の制御装置によれば、例えば四輪操舵車である車両は、例えば車両や構造物等である障害物を回避するための回避力を車両に付与可能な、例えば前輪転舵装置等である第1回避手段と、回避力を打ち消す打消力又は回避力を車両に付与可能な、例えば、後輪転舵装置、制動装置等である第2及び第3回避手段とを備える。危険度取得手段は、既存の障害物検知手段によって障害物を検知して、該検知された障害物との衝突危険度を取得する。
制御手段は、取得された衝突危険度が危険度閾値より大きいことを条件に、先ず、回避力を車両に付与するように第1回避手段を制御すると共に、打消力を車両に付与するように第2回避手段を制御する。このように第1及び第2回避手段が制御されることによって、均衡状態又は均衡状態に近い状態が形成される。
具体的には例えば、第1回避手段が前輪転舵装置であり、第2回避手段が後輪転舵装置である場合、制御手段が前輪を転舵するように第1回避手段を制御することによって回避力が車両に付与され、制御手段が後輪を前輪と同相になるように転舵するように第2回避手段を制御することによって打消力が車両に付与される。
ここで、ヨーモーメントがゼロとなるように、前輪及び後輪を夫々転舵するように第1及び第2回避手段が制御されると、横加速度が発生するため、車両は姿勢を維持したまま横滑りする。一方、横加速度がゼロとなるように、前輪及び後輪を夫々転舵するように第1及び第2回避手段が制御されると、典型的には、制御手段がヨーモーメントを抑制するように車両の姿勢を変更する。具体的には、車両の前後方向と進行方向とが相互になす角(即ち、横滑り角)が所定値となるように車両の姿勢を変更する。
制御手段は、次に、運転者が回避操作を行った際に、回避力を車両に付与するように第3回避手段を制御する。具体的には例えば、第3回避手段が制動装置である場合、制御手段が、前輪が転舵された方向の車輪(具体的には例えば、進行方向右側に前輪が転舵された場合は右側の車輪)を制動するように第3回避手段を制御することにより、左側の車輪及び右側の車輪間に制動力差を発生させることによって回避力が車両に付与される。これにより、形成されていた均衡状態又は均衡状態に近い状態がくずれ、少なくとも付与された回避力によって当該車両が回避動作を開始する。
以上の結果、本発明の第2の車両の制御装置によれば、緊急回避時における車両の応答性を向上することができる。加えて、第3回避手段を制御することによって、均衡状態又は均衡状態に近い状態の維持及び回避動作を、容易に切り替えることができ、実用上非常に有利である。
尚、運転者が回避操作を行った際に、制御手段が、回避力を付与するように第3回避手段を制御することに加えて、打消力の付与を停止するように第2回避手段を制御するようにしてもよい。
本発明の第3の車両の制御装置は、上記課題を解決するために、障害物を回避するための回避力を車両に付与可能である第1回避手段と、前記回避力を打ち消す打消力又は前記回避力を前記車両に付与可能である第2及び第3回避手段とを備える前記車両を制御する制御装置であって、前記障害物を検知して、前記検知された障害物との衝突危険度を取得する危険度取得手段と、前記取得された衝突危険度が危険度閾値より大きいことを条件に、前記回避力を前記車両に付与するように前記第1回避手段を制御すると共に、前記打消力を前記車両に付与するように前記第2及び第3回避手段を制御し、前記車両の運転者が所定種類の回避操作を行った際に、前記打消力を付与することを停止する又は前記打消力に代えて前記回避力を前記車両に付与するように、前記第2及び第3回避手段の少なくとも一方を制御する制御手段とを備える。
本発明の第3の車両の制御装置によれば、例えば四輪操舵車である車両は、例えば車両や構造物等である障害物を回避するための回避力を車両に付与可能な、例えば前輪転舵装置等である第1回避手段と、回避力を打ち消す打消力又は回避力を車両に付与可能な、例えば、後輪転舵装置、制動装置等である第2及び第3回避手段とを備える。危険度取得手段は、既存の障害物検知手段によって障害物を検知して、該検知された障害物との衝突危険度を取得する。
制御手段は、取得された衝突危険度が危険度閾値より大きいことを条件に、先ず、回避力を車両に付与するように第1回避手段を制御すると共に、打消力を車両に付与するように第2及び第3回避手段を制御する。このように第1乃至第3回避手段が制御されることによって、均衡状態又は均衡状態に近い状態が形成される。
具体的には例えば、第1状態変更状態が前輪転舵装置であり、第2回避手段が後輪転舵装置であり、第3回避手段が制動装置である場合、制御手段が、前輪を転舵するように第1回避手段を制御することによって回避力が車両に付与される。そして、制御手段が、後輪を前輪と逆相になるように転舵するように第2回避手段を制御すると共に、前輪が転舵された方向とは逆方向の車輪(具体的には例えば、進行方向右側に前輪が転舵された場合は左側の車輪)を制動するように第3回避手段を制御することによって打消力が車両に付与される。
この場合に、例えば、第1及び第2回避手段が、横加速度がゼロになるように、前輪及び後輪を夫々転舵すると共に、第3回避手段が、ヨーモーメントがゼロになるように制動力差を発生させれば、横加速度及びヨーモーメントが発生しないので、運転者に違和感を与えることがなく、実用上非常に有利である。
或いは、制御手段が、前輪を転舵するように第1回避手段を制御することによって回避力が車両に付与され、制御手段が、後輪を前輪と同相になるように転舵するように第2回避手段を制御すると共に、前輪が転舵された方向とは逆方向の車輪を制動するように第3回避手段を制御することにより、左側の車輪及び右側の車輪間に制動力差を発生させることによって打消力が車両に付与される。
この場合に、例えば、制御手段は、車両の重心から前輪の接地点までの距離と前輪に生じる横力との積が車両の重心から後輪の接地点までの距離と後輪に生じる横力との積よりも大きくなるように、前輪及び後輪を夫々転舵するように第1及び第2回避手段を制御する。そして、ヨーモーメントがゼロになるような制動力差を発生させるように第3回避手段を制御すれば、前輪に生じる横力を大きく設定することができるので、均衡状態をくずす回避時において、応答性をより向上させることができると共に、後輪が前輪と同相になるように転舵されているので、安定性を確保することができる。
制御手段は、次に、運転者が回避操作を行った際に、少なくとも打消力の付与を停止するように、第2及び第3回避手段の少なくとも一方を制御する。具体的には例えば、前輪及び後輪が相互に逆相となるように転舵するように第1及び第2回避手段が制御され、制動力差が生じるように第3回避手段が制御されている場合、制御手段は、転舵されている後輪を元の位置に戻すように第2回避手段を制御する。或いは、前輪及び後輪が同相となるように転舵するように第1及び第2回避手段が制御され、制動力差が生じるように第3回避手段が制御されている場合、制御手段は、制動を解除するように第3回避手段を制御する。これにより、形成されていた均衡状態又は均衡状態に近い状態がくずれ、少なくとも付与されている回避力によって当該車両が回避動作を開始する。
以上の結果、本発明の第3の車両の制御装置によれば、緊急回避時における車両の応答性を向上することができる。
本発明の第1乃至第3の車両の制御装置の一態様では、前記危険度取得手段は、前記障害物を検知する障害物検知手段を含む。
この態様によれば、危険度取得手段が、例えばミリ波レーダ、ステレオカメラ等の障害物検知手段を含んでいるので、比較的容易にして障害物を検知することができる。
本発明の第1乃至第3の車両の制御装置の他の態様では、前記取得された衝突危険度が前記危険度閾値より大きいか否かを判定する判定手段を更に備え、前記制御手段は、前記危険度閾値より大きいと判定された場合に少なくとも前記第1及び第2回避手段に対する制御を行い、前記危険度閾値より小さいと判定された場合に前記制御を行わない。
この態様によれば、判定手段は、取得された衝突危険度が危険度閾値より大きいか否かを判定する。衝突危険度が危険度閾値より大きいと判定された場合、制御手段は上述したような制御を行う。
即ち、回避力を車両に付与するように第1回避手段を制御すると共に、打消力を車両に付与するように第2回避手段を制御し、車両の運転者が所定種類の回避操作を行った際に、打消力を付与することを停止する又は打消力に代えて回避力を車両に付与するように第2回避手段を制御する。或いは、回避力を車両に付与するように第1回避手段を制御すると共に、打消力を車両に付与するように第2回避手段を制御し、車両の運転者が所定種類の回避操作を行った際に、回避力を車両に付与するように第3回避手段を制御する。或いは、回避力を車両に付与するように第1回避手段を制御すると共に、打消力を車両に付与するように第2及び第3回避手段を制御し、車両の運転者が所定種類の回避操作を行った際に、打消力を付与することを停止する又は打消力に代えて回避力を車両に付与するように、第2及び第3回避手段の少なくとも一方を制御する。
一方、衝突危険度が危険度閾値より小さいと判定された場合、典型的には、制御手段は前記制御を行わない。
本発明の第1乃至第3の車両の制御装置の他の態様では、前記制御手段は、前記回避操作を検出する回避操作検出手段を含む。
この態様によれば、回避操作検出手段は、例えば舵角センサやトルクセンサ等のハンドルの操舵を検出するセンサ、及び/又は、例えばブレーキペダルの踏力を検出する踏力センサや踏み込み量を検出するストロークセンサ等のブレーキペダルの操作を検出するセンサと、該センサによって検出又は計測等された値が通常走行における値の範囲より大きいか否かを判定する判定手段とを備えて構成されている。回避操作検出手段は、検出又は計測等された値が通常走行における値の範囲より大きいと判定された場合に、運転者が回避操作を行ったことを検出する。これにより、比較的容易にして、運転者が回避操作を行ったことを検出することができ、実用上非常に有利である。
本発明の第1乃至第3の車両の制御装置の他の態様では、前記制御手段は、前記取得された衝突危険度が前記危険度閾値より大きいことを条件に、前記検知された障害物を回避する回避方向を決定する回避方向決定手段を含み、前記車両が前記決定された回避方向へ向かうような前記回避力を前記車両に付与するように前記第1回避手段を制御する。
この態様によれば、回避方向決定手段は、衝突危険度が危険度閾値より大きいことを条件に、検知された障害物を回避する方向である回避方向を決定する。具体的には例えば、舵角センサやトルクセンサ等によって、衝突危険度が危険度閾値より大きくなった際に、運転者がハンドルを操作した方向を検出して、該検出された方向を回避方向として決定する。
制御手段は、車両が決定された回避方向へ向かうような回避力を車両に付与するように第1回避手段を制御する。具体的には例えば、第1回避手段が前輪転舵装置である場合、回避方向側に前輪を転舵するように第1回避手段を制御することによって、車両に回避力を付与する。
本発明の第1の車両の制御装置の他の態様では、前記第1回避手段は、前輪転舵装置であり、前記第2回避手段は、制動装置である。
この態様によれば、制御手段が前輪を転舵するように、前輪転舵装置である第1回避手段を制御することによって回避力が車両に付与され、制御手段が前輪が転舵された方向とは逆方向の車輪に制動力を付与するように、制動装置である第2回避手段を制御して制動力差を発生させることによって打消力が車両に付与される。
この態様では、前記回避力は、前記制御手段が前記車両の前輪を転舵するように前記第1回避手段を制御することによって生じ、前記打消力は、前記制御手段が前記車両の左側の車輪及び右側の車輪の少なくとも一方に制動力を付与するように前記第2回避手段を制御して制動力差を発生させることによって生じてよい。
このように構成すれば、比較的単純な動作により回避力及び打消力を車両に付与することができると共に、転舵角の大きさ及び制動力差を夫々変更することによって回避力及び打消力の大きさを夫々変更することができ、実用上非常に有利である。
本発明の第1の車両の制御装置の他の態様では、前記第1回避手段は、前輪転舵装置であり、前記第2回避手段は、後輪転舵装置である。
この態様によれば、制御手段が前輪を転舵するように、前輪転舵装置である第1回避手段を制御することによって回避力が車両に付与され、制御手段が後輪を前輪と同相になるように転舵するように、後輪転舵装置である第2回避手段を制御することによって打消力が当該車両に付与される。
この態様では、前記回避力は、前記制御手段が前記車両の前輪を転舵するように前記第1回避手段を制御することによって生じ、前記打消力は、前記制御手段が前記車両の後輪を前記前輪と同相になるように転舵するように前記第2回避手段を制御することによって生じてよい。
このように構成すれば、比較的単純な動作により回避力及び打消力を当該車両に付与することができると共に、転舵角の大きさを変更することによって回避力及び打消力の大きさを夫々変更することができ、実用上非常に有利である。更に、運転者が回避操作を行った際に、制御手段が後輪を前輪と逆相になるように転舵するように第2回避手段を制御することによって、回避力を車両に付与することができ、より回避動作を容易にすることが可能となる。
本発明の第2の車両の制御装置の他の態様では、前記第1回避手段は、前輪転舵装置であり、前記第2回避手段は、後輪転舵装置であり、前記第3回避手段は、制動装置である。
この態様によれば、制御手段が前輪を転舵するように、前輪転舵装置である第1回避手段を制御することによって回避力を車両に付与され、制御手段が後輪を前輪と同相になるように転舵するように、後輪転舵装置である第2回避手段を制御することによって打消力が車両に付与される。そして、運転者が所定種類の回避操作を行った際に、制御装置が前輪が転舵している方向の車輪に制動力を付与するように、制動装置である第3回避手段を制御して制動力差を発生させることによって回避力が車両に付与される。
この態様では、前記回避力は、前記制御手段が、前記車両の前輪を転舵するように前記第1回避手段を制御すること、及び前記車両の左側の車輪及び右側の車輪の少なくとも一方に制動力を付与するように前記第3回避手段を制御して制動力差を発生させることによって生じ、前記打消力は、前記制御手段が前記車両の後輪を前記前輪と同相になるように転舵するように前記第2回避手段を制御することによって生じてよい。
このように構成すれば、比較的単純な動作により回避力及び打消力を車両に付与することができると共に、転舵角の大きさ及び制動力差を夫々変更することによって回避力及び打消力の大きさを夫々変更することができ、実用上非常に有利である。
本発明の第3の車両の制御装置の他の態様では、前記第1回避手段は、前輪転舵装置であり、前記第2回避手段は、後輪転舵装置であり、前記第3回避手段は、制動装置である。
この態様によれば、制御手段が前輪を転舵するように、前輪転舵装置である第1回避手段を制御することによって回避力が車両に付与され、制御装置が後輪を前輪と逆相になるように、又は同相になるように転舵するように、後輪転舵装置である第2回避手段を制御することによって、及び前輪が転舵している方向の車輪に制動力を付与するように、制動装置である第3回避手段を制御して制動力差を発生させることによって、打消力が車両に付与される。
この態様では、前記回避力は、前記制御手段が前記車両の前輪を転舵するように前記第1回避手段を制御することによって生じ、前記打消力は、前記制御手段が前記車両の後輪を前記前輪と逆相になるように転舵するように前記第2回避手段を制御すると共に、前記車両の左側の車輪及び右側の車輪の少なくとも一方に制動力を付与するように前記第3回避手段を制御して制動力差を発生させることによって生じてよい。
このように構成すれば、比較的単純な動作により回避力及び打消力を車両に付与することができると共に、転舵角の大きさ及び制動力差を夫々変更することによって回避力及び打消力の大きさを夫々変更することができ、実用上非常に有利である。
本発明の作用及び他の利得は次に説明する実施するための最良の形態から明らかにされよう。
以下、本発明の車両の制御装置に係る実施形態を図面に基づいて説明する。
<第1実施形態>
本発明の車両の制御装置に係る第1実施形態を、図1乃至図3を参照して説明する。
本発明の車両の制御装置に係る第1実施形態を、図1乃至図3を参照して説明する。
先ず、図1を参照して本実施形態に係る制御装置が搭載されている車両の構成について説明する。図1は、本実施形態に係る車両のブロック図である。
図1において、例えば四輪操舵車である車両1は、ECU(Electronic Control Unit)10、前輪21a及び21b、後輪22a及び22b、前輪転舵装置23a及び23b、後輪転舵装置24a及び24b、ブレーキ25a乃至25d、ハンドル26、ミリ波レーダ31、ステレオカメラ32、車速センサ33並びにトルクセンサ34を備えて構成されている。ここに、本実施形態に係る「前輪転舵装置23a及び23b」、「後輪転舵装置24a及び24b」及び「ブレーキ25a乃至25d」は、夫々、本発明に係る「第1回避手段」、「第2回避手段」及び「第3回避手段」の一例である。また、本実施形態に係る「ミリ波レーダ31」及び「ステレオカメラ32」は、本発明に係る「障害物検知手段」の一例である。
ECU10は、制御部101、危険度取得部102、判定部103、回避方向決定部104、記憶部105及び入出力部106を有している。記憶部105は、例えば、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory)、バックアップROM、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリである。ここに、本実施形態に係る「制御部101」、「危険度取得部102」、「判定部103」及び「回避方向決定部104」は、夫々、本発明に係る「制御手段」、「危険度取得手段」、「判定手段」及び「回避方向決定手段」の一例である。また、本実施形態に係る「トルクセンサ34」及び「判定部103」は、本発明に係る「回避操作検出手段」の一例である。本実施形態では、各種電子制御用のECU10の一部を、制御装置の一部として用いている。
(回避動作制御処理)
次に、以上のように構成された車両1の走行時において、車両1が障害物を回避する際にECU10が実行する回避動作制御処理について図2のフローチャートを参照して説明する。この回避動作制御処理は、主に車両が走行中に、例えば定期的に又は不定期的にコンマ数秒〜数秒毎に周期的に実行される。
次に、以上のように構成された車両1の走行時において、車両1が障害物を回避する際にECU10が実行する回避動作制御処理について図2のフローチャートを参照して説明する。この回避動作制御処理は、主に車両が走行中に、例えば定期的に又は不定期的にコンマ数秒〜数秒毎に周期的に実行される。
図2において、先ず、判定部103は、後述する予備回避動作フラグがONであるか否かを判定する(ステップS101)。予備回避動作フラグがOFFであると判定された場合(ステップS101:No)、判定部103は、ミリ波レーダ31から送信される信号に基づいて、及び/又はステレオカメラ32から送信される画像信号に基づいて、障害物が存在するか否かを判定する(ステップS102)。障害物が存在しないと判定された(即ち、障害物が検知されない)場合(ステップS102:No)、一旦処理を終了する。
障害物が存在すると判定された(即ち、障害物が検知された)場合(ステップS102:Yes)、危険度取得部102は、車両1及び障害物間の距離及び相対速度、並びに、例えばシャフト21cの回転速度を検出する車速センサ33から送信される信号に基づく車両1の速度等に基づいて、衝突危険度を取得する(ステップS103)。続いて、判定部103は、取得された衝突危険度が危険度閾値より大きいか否かを判定する(ステップS104)。危険度閾値より小さいと判定された場合(ステップS104:No)、一旦処理を終了する。
危険度閾値より大きいと判定された場合(ステップS104:Yes)、回避方向決定部104は、例えばハンドルシャフト26aに生じるトルクを検出するトルクセンサ34から送信される信号に基づいて、衝突危険度が危険度閾値より大きいと判定された際に、運転者がハンドル26を切った方向を検出して、該検出された方向を回避方向として決定する(ステップS105)。
次に、制御部101は、決定された回避方向に車両1を回避させるように、所定の回避制御を実行する。
ここで、制御部101が実行する所定の回避制御について、図2と併せて図3を参照して具体的に説明を加える。ここに、図3は、本実施形態において制御部101が実行する所定の回避制御の概念を示す概念図である。尚、以下の図では、説明の便宜上、車輪の転舵角等を実際より大きくなるように図示している。
制御部101は、予備回避動作として、図3に示すように、前輪21a及び21bを決定された回避方向側(ここでは進行方向の右側)に夫々転舵するように前輪転舵装置23a及び23bを夫々制御すると共に、右側の前輪21a及び後輪22aと左側の前輪21b及び後輪22bとの間に制動力差が生じるように、ブレーキ25b及び25dを夫々制御する(ステップS106)。制御部101は、更に、予備回避動作フラグをONにする(ステップS107)。
これにより、各前輪21a及び21bには、横力f1及びf2が夫々生じる。該生じた横力f1及びf2によって、重心G回りのヨーモーメントM1が生じる。即ち、制御部101は、ヨーモーメントM1を車両1に付与するように前輪転舵装置23a及び23bを夫々制御する。他方、各前輪21b及び後輪22bには、制動力f3及びf4が夫々付与される。該付与された制動力f3及びf4によって、重心G回りのヨーモーメントM2が生じる。即ち、制御部101は、ヨーモーメントM2を車両1に付与するようにブレーキ25b及び25dを夫々制御する。ヨーモーメントM2の大きさは、典型的には、ヨーモーメントM1の大きさと等しく、前輪転舵装置23a及び23b、並びにブレーキ25b及び25dが夫々制御された結果、均衡状態が形成される。尚、本実施形態に係る「ヨーモーメントM1」及び「ヨーモーメントM2」は、夫々、本発明に係る「回避力」及び「打消力」の一例である。
ヨーモーメントM1及びM2は相互に打ち消し合うため、車両1の進行方向が変化することは無い、又はほとんど変化しない。他方、横力f1及びf2により、車両1には横加速度Fg1が生じる。このため、車両1は、図3中に点線201で示すように、横滑りしながら走行することとなる。
尚、本実施形態では、ブレーキ25b及び25dのみを夫々制御して、前輪21b及び後輪22bにのみ制動力f3及びf4を夫々付与して制動力差を発生させているが、ブレーキ25a乃至25dを夫々制御して、前輪21a及び後輪22aと前輪21b及び後輪22bとに、異なる制動力を夫々付与して制動力差を発生させてもよい。或いは、図示しない差動装置を制御して、前輪21a及び後輪22aと前輪21b及び後輪22bとに、異なる駆動力を夫々付与して制動力差を発生させてもよい。
次に、判定部103は、運転者が回避操作を行ったか否かを判定する(ステップS108)。具体的には例えば、判定部103は、車速センサ33から送信される信号、トルクセンサ34から送信される信号、及び記憶部105に格納されている回避操作判定マップ151に基づいて、トルクセンサ34によって検出されたトルクが、回避操作判定マップ151において車速によって特定される、通常走行時におけるトルクの上限値より大きいか否かを判定する。そして、上限値より大きいと判定された場合に、回避操作を行った(即ち、回避操作を検出した)と判定し、上限値より小さいと判定された場合に、回避操作を行っていない(回避操作は不検出である)と判定する。回避操作を行っていないと判定された場合(ステップS108:No)、続いてステップS101の処理が行われる。
回避操作を行ったと判定された場合(ステップS108:Yes)、制御部101は、制動力f3及びf4を開放するようにブレーキ25b及び25dを夫々制御する(ステップS109)と共に、予備回避動作フラグをOFFにする(ステップS110)。これにより、少なくとも予め付与されているヨーモーメントM1によって、図3中に破線202で示すように、車両1の進行方向が変化し、回避動作を開始する。更に、運転者のハンドル26の操作量に応じて前輪21a及び22bが夫々転舵されることにより、車両1が障害物300を回避することが可能となる。
ここで、本実施形態では特に、衝突危険度が危険度閾値より大きいと判定された際に、車両1が予備回避動作を行うことによって、運転者が回避操作を行ってから、実際に車両1が回避動作を行うまでの時間を短縮することができる。即ち、車両1の応答性を向上することができる。これにより、最短回避距離を短縮することが可能となる。
更に、前輪21a及び21bが予め回避方向に夫々転舵されているため、運転者のハンドル26の操作量に応じた転舵角まで、前輪21a及び21bを夫々転舵するための、前輪転舵装置23a及び24bにおける電力消費を抑制することが可能となる。
ステップS101において、予備回避動作フラグがONであると判定された場合(ステップS101:Yes)、判定部103は、障害物が存在するか否かを判定する(ステップS111)。障害物が存在すると判定された場合(ステップS111:Yes)、危険度取得部102は、衝突危険度を取得する(ステップS112)。続いて、判定部103は、取得された衝突危険度が危険度閾値より大きいか否かを判定する(ステップS113)。危険度閾値より大きいと判定された場合(ステップS114:Yes)、ステップS108の処理が行われる。
一方、障害物が存在しないと判定された場合(ステップS111:No)、及び危険度閾値より小さいと判定された場合(ステップS113:No)、制御部101は、上述の予備回避動作を解除する(ステップS114)即ち、前輪転舵装置23a及び23bを夫々制御して前輪21a及び21bを夫々元の位置に戻すと共に、ブレーキ25b及び25dを夫々制御して前輪21b及び後輪22bに夫々付与されている制動力f3及びf4を開放する。制御部101は、更に、予備回避動作フラグをOFFにして(ステップS115)、一旦処理を終了する。
<第2実施形態>
本発明の車両の制御装置に係る第2実施形態を、図4を参照して説明する。第2実施形態では、制御部101が実行する所定の回避制御が異なる以外は、第1実施形態の構成と同様である。よって、第2実施形態について、第1実施形態と重複する説明を省略すると共に、図面上における共通箇所には同一符号を付して示し、基本的に異なる点についてのみ、図4を参照して説明する。ここに、図4は、図3と同趣旨の、本実施形態において制御部101が実行する所定の回避制御の概念を示す概念図である。尚、本実施形態における「後輪転舵装置24a及び24b」は、本発明に係る「第2回避手段」の他の一例である。
本発明の車両の制御装置に係る第2実施形態を、図4を参照して説明する。第2実施形態では、制御部101が実行する所定の回避制御が異なる以外は、第1実施形態の構成と同様である。よって、第2実施形態について、第1実施形態と重複する説明を省略すると共に、図面上における共通箇所には同一符号を付して示し、基本的に異なる点についてのみ、図4を参照して説明する。ここに、図4は、図3と同趣旨の、本実施形態において制御部101が実行する所定の回避制御の概念を示す概念図である。尚、本実施形態における「後輪転舵装置24a及び24b」は、本発明に係る「第2回避手段」の他の一例である。
判定部103によって衝突危険度が危険度閾値より大きいと判定され(ステップS104:Yes)、回避方向決定部104によって回避方向が決定されると(ステップS105)、制御部101は、決定された回避方向に車両1を回避させるように、所定の回避制御を実行する。
即ち、制御部101は、予備回避動作として、図4に示すように、前輪21a及び21bを決定された回避方向側(ここでは進行方向の右側)に夫々転舵するように前輪転舵装置23a及び23bを夫々制御すると共に、後輪22a及び22bが前輪21a及び21bと同相になるように夫々転舵するように後輪転舵装置24a及び24bを夫々制御する(ステップS106)。制御部101は、更に、予備回避動作フラグをONにする(ステップS107)。
これにより、各前輪21a及び21bには、横力f1及びf2が夫々生じる。該生じた横力f1及びf2によって、重心G回りのヨーモーメントM1が生じる。即ち、制御部101は、ヨーモーメントM1を車両1に付与するように前輪転舵装置23a及び23bを夫々制御する。他方、各後輪22a及び22bには、横力f5及びf6が夫々生じる。該生じた横力f5及びf6によって、重心G回りのヨーモーメントM3が生じる。即ち、制御部101は、ヨーモーメントM3を車両1に付与するように後輪転舵装置24a及び24bを夫々制御する。ヨーモーメントM3の大きさは、典型的には、ヨーモーメントM1の大きさと等しく、前輪転舵装置23a及び23b、並びに後輪転舵装置24a及び24bが制御された結果、均衡状態が形成される。尚、本実施形態に係る「ヨーモーメントM3」は、本発明に係る「打消力」の他の一例である。
ヨーモーメントM1及びM3は相互に打ち消し合うため、車両1の進行方向が変化することは無い、又はほとんど変化しない。他方、横力f1、f2、f5及びf6により、車両1には横加速度Fg2が生じる。このため、車両1は、図4中に点線201で示すように、横滑りしながら走行することとなる。
次に、判定部103は、運転者が回避操作を行ったか否かを判定する(ステップS108)。回避操作を行っていないと判定された場合(ステップS108:No)、続いてステップS101の処理が行われる。
回避操作を行ったと判定された場合(ステップS108:Yes)、制御部101は、少なくとも後輪22a及び22bを夫々元の位置に戻すように後輪転舵装置24a及び24bを夫々制御する(ステップS109)と共に、予備回避動作フラグをOFFにする(ステップS110)。制御部101は、更に、後輪22a及び22bが前輪21a及び21bと逆相になるように夫々転舵するように後輪転舵装置24a及び24bを夫々制御してよい。これにより、少なくとも予め付与されているヨーモーメントM1によって、図4中に破線202で示すように、車両1の進行方向が変化し、回避動作を開始する。更に、運転者のハンドル26の操作量に応じて前輪21a及び22bが夫々転舵されることにより、車両1が障害物300を回避することが可能となる。
図2におけるステップS101の処理において予備回避動作フラグがONであると判定された場合であって、ステップS111の処理において障害物が存在しないと判定された場合、又はステップS113において危険度閾値より小さいと判定された場合、制御部101は、上述の予備回避動作を解除する(ステップS114)。即ち、前輪転舵装置23a及び23bを夫々制御して前輪21a及び21bを夫々元の位置に戻すと共に、後輪転舵装置24a及び24bを夫々制御して後輪22a及び22bを夫々元の位置に戻す。
<第3実施形態>
本発明の車両の制御装置に係る第3実施形態を、図5を参照して説明する。第3実施形態では、制御部101が実行する所定の回避制御が異なる以外は、第1実施形態の構成と同様である。よって、第3実施形態について、第1実施形態と重複する説明を省略すると共に、図面上における共通箇所には同一符号を付して示し、基本的に異なる点についてのみ、図5を参照して説明する。ここに、図5は、図3と同趣旨の、本実施形態において制御部101が実行する所定の回避制御の概念を示す概念図である。
本発明の車両の制御装置に係る第3実施形態を、図5を参照して説明する。第3実施形態では、制御部101が実行する所定の回避制御が異なる以外は、第1実施形態の構成と同様である。よって、第3実施形態について、第1実施形態と重複する説明を省略すると共に、図面上における共通箇所には同一符号を付して示し、基本的に異なる点についてのみ、図5を参照して説明する。ここに、図5は、図3と同趣旨の、本実施形態において制御部101が実行する所定の回避制御の概念を示す概念図である。
判定部103によって衝突危険度が危険度閾値より大きいと判定され(ステップS104:Yes)、回避方向決定部104によって回避方向が決定されると(ステップS105)、制御部101は、決定された回避方向に車両1を回避させるように、所定の回避制御を実行する。
即ち、制御部101は、予備回避動作として、図5に示すように、前輪21a及び21bを決定された回避方向側(ここでは進行方向の右側)に夫々転舵するように前輪転舵装置23a及び23bを夫々制御すると共に、後輪22a及び22bが前輪21a及び21bと同相になるように夫々転舵するように後輪転舵装置24a及び24bを夫々制御する(ステップS106)。制御部101は、更に、予備回避動作フラグをONにする(ステップS107)。
これにより、各前輪21a及び21bには、横力f1及びf2が夫々生じる。該生じた横力f1及びf2によって、重心G回りのヨーモーメントM1が生じる。即ち、制御部101は、ヨーモーメントM1を車両1に付与するように前輪転舵装置23a及び23bを夫々制御する。他方、各後輪22a及び22bには、横力f5及びf6が夫々生じる。該生じた横力f5及びf6によって、重心G回りのヨーモーメントM3が生じる。即ち、制御部101は、ヨーモーメントM3を車両1に付与するように後輪転舵装置24a及び24bを夫々制御する。ヨーモーメントM3の大きさは、典型的には、ヨーモーメントM1の大きさと等しく、前輪転舵装置23a及び23b、並びに後輪転舵装置24a及び24bが夫々制御された結果、均衡状態が形成される。
ヨーモーメントM1及びM3は相互に打ち消し合うため、車両1の進行方向が変化することは無い、又はほとんど変化しない。他方、横力f1、f2、f5及びf6により、車両1には横加速度Fg2が生じる。このため、車両1は、図5中に点線201で示すように、横滑りしながら走行することとなる。
次に、判定部103は、運転者が回避操作を行ったか否かを判定する(ステップS108)。回避操作を行っていないと判定された場合(ステップS108:No)、続いてステップS101の処理が行われる。
回避操作を行ったと判定された場合(ステップS108:Yes)、制御部101は、右側の前輪21a及び後輪22aと左側の前輪21b及び後輪22bとの間に制動力差が生じるように、ブレーキ25a及び25cを夫々制御する(ステップS109)と共に、予備回避動作フラグをOFFにする(ステップS110)。これにより、各前輪21a及び後輪22aには、制動力f7及びf8が夫々付与される。該付与された制動力f7及びf8によって、図示しない重心G回りの右ヨーモーメント(即ち、ヨーモーメントM1と同方向のヨーモーメント)が生じる。これにより、図5中に破線202で示すように、車両1の進行方向が変化し、回避動作を開始する。更に、運転者のハンドル26の操作量に応じて前輪21a及び22bが夫々転舵されることにより、車両1が障害物300を回避することが可能となる。
ここで、本実施形態では特に、前輪転舵装置23a及び23b、並びに後輪転舵装置24a及び24bとは異なるブレーキ25a及び25cによって、車両1が回避動作を開始するためのモーメントを発生させている。このため、均衡状態の維持及び回避動作を、容易に切り替えることができ、実用上非常に有利である。
図2におけるステップS101の処理において予備回避動作フラグがONであると判定された場合であって、ステップS111の処理において障害物が存在しないと判定された場合、又はステップS113において危険度閾値より小さいと判定された場合、制御部101は、上述の予備回避動作を解除する(ステップS114)。即ち、前輪転舵装置23a及び23bを夫々制御して前輪21a及び21bを夫々元の位置に戻すと共に、後輪転舵装置24a及び24bを夫々制御して後輪22a及び22bを夫々元の位置に戻す。
<第4実施形態>
本発明の車両の制御装置に係る第4実施形態を、図6を参照して説明する。第4実施形態では、制御部101が実行する所定の回避制御が異なる以外は、第1実施形態の構成と同様である。よって、第4実施形態について、第1実施形態と重複する説明を省略すると共に、図面上における共通箇所には同一符号を付して示し、基本的に異なる点についてのみ、図6を参照して説明する。ここに、図6は、図3と同趣旨の、本実施形態において制御部101が実行する所定の回避制御の概念を示す概念図である。
本発明の車両の制御装置に係る第4実施形態を、図6を参照して説明する。第4実施形態では、制御部101が実行する所定の回避制御が異なる以外は、第1実施形態の構成と同様である。よって、第4実施形態について、第1実施形態と重複する説明を省略すると共に、図面上における共通箇所には同一符号を付して示し、基本的に異なる点についてのみ、図6を参照して説明する。ここに、図6は、図3と同趣旨の、本実施形態において制御部101が実行する所定の回避制御の概念を示す概念図である。
判定部103によって衝突危険度が危険度閾値より大きいと判定され(ステップS104:Yes)、回避方向決定部104によって回避方向が決定されると(ステップS105)、制御部101は、決定された回避方向に車両1を回避させるように、所定の回避制御を実行する。
即ち、制御部101は、予備回避動作として、横加速度が生じないように、又は横加速度の大きさがほぼゼロとなるように、前輪21a及び21bを決定された回避方向側(ここでは進行方向の右側)に夫々転舵するように前輪転舵装置23a及び23bを夫々制御すると共に、後輪22a及び22bが前輪21a及び21bと同相になるように夫々転舵するように後輪転舵装置24a及び24bを夫々制御する。前輪21a及び21bが夫々転舵されることによって、本発明に係る「回避力」としての、図示しない重心G回りの時計回りのヨーモーメントが生じる。また、後輪22a及び22bが夫々転舵されることによって、本発明に係る「打消力」としての、図示しない重心G回りの反時計回りのヨーモーメントが生じる。
制御部101は、更に、ヨーモーメントが発生しないように、又はヨーモーメントを抑制するように車両1の姿勢を変更する。具体的には、車両1の前後方向(即ち、図6中の一点鎖線に沿う方向)と進行方向(即ち、図6中の点線に沿う方向)とが相互になす角θが所定値(例えば1〜2度)となるように車両1の姿勢を変更する(ステップS106)。制御部101は、更に、予備回避動作フラグをONにする(ステップS107)。
このため、車両1の姿勢は変化するが、車両1は横滑りすることなく走行することとなる。
このため、車両1の姿勢は変化するが、車両1は横滑りすることなく走行することとなる。
次に、判定部103は、運転者が回避操作を行ったか否かを判定する(ステップS108)。回避操作を行っていないと判定された場合(ステップS108:No)、続いてステップS101の処理が行われる。
回避操作を行ったと判定された場合(ステップS108:Yes)、制御部101は、右側の前輪21a及び後輪22aと左側の前輪21b及び後輪22bとの間に制動力差が生じるように、ブレーキ25a及び25cを夫々制御する(ステップS109)と共に、予備回避動作フラグをOFFにする(ステップS110)。このため、各前輪21a及び後輪22aには、制動力f7及びf8が夫々付与される。該付与された制動力f7及びf8によって、図示しない重心G回りの右ヨーモーメントが生じる。これにより、図6中に破線202で示すように、車両1の進行方向が変化し、回避動作を開始する。更に、運転者のハンドル26の操作量に応じて前輪21a及び22bが夫々転舵されることにより、車両1が障害物300を回避することが可能となる。本実施形態では特に、予備回避動作時に、車両1の姿勢がわずかに変化するが横加速度が発生しないので、運転者に違和感を与えることはほとんど無い。
図2におけるステップS101の処理において予備回避動作フラグがONであると判定された場合であって、ステップS111の処理において障害物が存在しないと判定された場合、又はステップS113において危険度閾値より小さいと判定された場合、制御部101は、上述の予備回避動作を解除する(ステップS114)。即ち、前輪転舵装置23a及び23b、並びに後輪転舵装置24a及び24bを夫々制御して、前輪21a及び21b並びに後輪22a及び22bを夫々元の位置に戻すと共に、車両1の姿勢を元に戻す。
<第5実施形態>
本発明の車両の制御装置に係る第5実施形態を、図7を参照して説明する。第5実施形態では、制御部101が実行する所定の回避制御が異なる以外は、第1実施形態の構成と同様である。よって、第5実施形態について、第1実施形態と重複する説明を省略すると共に、図面上における共通箇所には同一符号を付して示し、基本的に異なる点についてのみ、図7を参照して説明する。ここに、図7は、図3と同趣旨の、本実施形態において制御部101が実行する所定の回避制御の概念を示す概念図である。
本発明の車両の制御装置に係る第5実施形態を、図7を参照して説明する。第5実施形態では、制御部101が実行する所定の回避制御が異なる以外は、第1実施形態の構成と同様である。よって、第5実施形態について、第1実施形態と重複する説明を省略すると共に、図面上における共通箇所には同一符号を付して示し、基本的に異なる点についてのみ、図7を参照して説明する。ここに、図7は、図3と同趣旨の、本実施形態において制御部101が実行する所定の回避制御の概念を示す概念図である。
判定部103によって衝突危険度が危険度閾値より大きいと判定され(ステップS104:Yes)、回避方向決定部104によって回避方向が決定されると(ステップS105)、制御部101は、決定された回避方向に車両1を回避させるように、所定の回避制御を実行する。
即ち、制御部101は、予備回避動作として、横加速度が生じないように、又は横加速度の大きさがほぼゼロとなるように、前輪21a及び21bを決定された回避方向側(ここでは進行方向の右側)に夫々転舵するように前輪転舵装置23a及び23bを夫々制御すると共に、後輪22a及び22bが前輪21a及び21bと逆相になるように夫々転舵するように後輪転舵装置24a及び24bを夫々制御する。制御部101は、更に、右側の前輪21a及び後輪22aと左側の前輪21b及び後輪22bとの間に制動力差が生じるように、ブレーキ25b及び25dを夫々制御する(ステップS106)。制御部101は、更に、予備回避動作フラグをONにする(ステップS107)。
これにより、各前輪21a及び21b並びに後輪22a及び22bには、横力f1、f2、f9及びf10が夫々生じる。該生じた横力f1、f2、f9及びf10によって、重心G回りのヨーモーメントM4が生じる。ここに、本実施形態に係る「ヨーモーメントM4」は、本発明に係る「回避力」の他の一例である。また、各前輪21b及び後輪22bには、制動力f3及びf4が夫々付与される。該付与された制動力f3及びf4によって、重心G回りのヨーモーメントM2が生じる。ヨーモーメントM2の大きさは、典型的には、ヨーモーメントM4の大きさと等しく、前輪転舵装置23a及び23b、後輪転舵装置24a及び24b、並びにブレーキ25b及び25dが夫々制御された結果、均衡状態が形成される。
横加速度が生じないように前輪21a及び21b、並びに後輪22a及び22bが夫々転舵され、且つヨーモーメントM2及びM4が相互に打ち消し合うため、車両1は姿勢変化も横滑りもすることなく走行することとなる。
次に、判定部103は、運転者が回避操作を行ったか否かを判定する(ステップS108)。回避操作を行っていないと判定された場合(ステップS108:No)、続いてステップS101の処理が行われる。
回避操作を行ったと判定された場合(ステップS108:Yes)、制御部101は、後輪22a及び22bを元の位置に戻すように後輪転舵装置24a及び24bを制御すると共に、制動力f3及びf4を開放するようにブレーキ25b及び25dを夫々制御する(ステップS109)。制御部101は、更に、予備回避動作フラグをOFFにする(ステップS110)。これにより、前輪21a及び21bが転舵されていることにより生じるヨーモーメント及び、少なくとも均衡状態がくずれたことにより生じる横加速度によって、図7中に破線202で示すように、車両1の進行方向が変化し、回避動作を開始する。更に、運転者のハンドル26の操作量に応じて前輪21a及び22bが夫々転舵されることにより、車両1が障害物300を回避することが可能となる。本実施形態では特に、予備回避動作時に、車両1の横滑り及び姿勢変化が無いので、運転者に違和感を与えることは無い。
図2におけるステップS101の処理において予備回避動作フラグがONであると判定された場合であって、ステップS111の処理において障害物が存在しないと判定された場合、又はステップS113において危険度閾値より小さいと判定された場合、制御部101は、上述の予備回避動作を解除する(ステップS114)。即ち、前輪転舵装置23a及び23b、並びに後輪転舵装置24a及び24bを夫々制御して、前輪21a及び21b並びに後輪22a及び22bを夫々元の位置に戻すと共に、ブレーキ25b及び25dを夫々制御して制動力f3及びf4を開放する。
<第6実施形態>
本発明の車両の制御装置に係る第6実施形態を、図8及び図9を参照して説明する。第6実施形態では、制御部101が実行する所定の回避制御が異なる以外は、第1実施形態の構成と同様である。よって、第6実施形態について、第1実施形態と重複する説明を省略すると共に、図面上における共通箇所には同一符号を付して示し、基本的に異なる点についてのみ、図8及び図9を参照して説明する。ここに、図8は、図3と同趣旨の、本実施形態において制御部101が実行する所定の回避制御の概念を示す概念図であり、図9は、所定の回避制御によって生じるヨーモーメントの大きさを説明するための説明図である。
本発明の車両の制御装置に係る第6実施形態を、図8及び図9を参照して説明する。第6実施形態では、制御部101が実行する所定の回避制御が異なる以外は、第1実施形態の構成と同様である。よって、第6実施形態について、第1実施形態と重複する説明を省略すると共に、図面上における共通箇所には同一符号を付して示し、基本的に異なる点についてのみ、図8及び図9を参照して説明する。ここに、図8は、図3と同趣旨の、本実施形態において制御部101が実行する所定の回避制御の概念を示す概念図であり、図9は、所定の回避制御によって生じるヨーモーメントの大きさを説明するための説明図である。
判定部103によって衝突危険度が危険度閾値より大きいと判定され(ステップS104:Yes)、回避方向決定部104によって回避方向が決定されると(ステップS105)、制御部101は、決定された回避方向に車両1を回避させるように、所定の回避制御を実行する。
即ち、制御部101は、予備回避動作として、図8に示すように、前輪21a及び21bを決定された回避方向側(ここでは進行方向の右側)に夫々転舵するように前輪転舵装置23a及び23bを夫々制御すると共に、後輪22a及び22bが前輪21a及び21bと同相になるように夫々転舵するように後輪転舵装置24a及び24bを夫々制御する。制御部101は、更に、右側の前輪21a及び後輪22aと左側の前輪21b及び後輪22bとの間に制動力差が生じるように、ブレーキ25b及び25dを夫々制御する(ステップS106)。制御部101は、更に、予備回避動作フラグをONにする(ステップS107)。
これにより、各前輪21a及び21bには、横力f1及びf2が夫々生じる。該生じた横力f1及びf2によって、重心G回りのヨーモーメントM1が生じる。即ち、制御部101は、ヨーモーメントM1を車両1に付与するように前輪転舵装置23a及び23bを夫々制御する。
他方、各後輪22a及び22bには、横力f5及びf6が生じ、各前輪21b及び後輪22bには、制動力f3及びf4が夫々付与される。生じた横力f5及びf6、並びに付与された制動力f3及びf4によって、重心G回りのヨーモーメントM5が生じる。即ち、制御部101は、ヨーモーメントM5を車両1に付与するように後輪転舵装置24a及び24b、並びにブレーキ25b及び25dを夫々制御する。ヨーモーメントM5の大きさは、典型的には、ヨーモーメントM1の大きさと等しく、前輪転舵装置23a及び23b、後輪転舵装置24a及び24b、並びにブレーキ25b及び25dが制御された結果、均衡状態が形成される。尚、本実施形態に係る「ヨーモーメントM5」は、本発明に係る「打消力」の他の一例である。
ヨーモーメントM1及びM5は相互に打ち消し合うため、車両1の進行方向が変化することは無い、又はほとんど変化しない。他方、横力f1、f2、f5及びf6により、車両1には横加速度Fg3が生じる。このため、車両1は、図8中に点線201で示すように、横滑りしながら走行することとなる。
ここで、横力f1、f2、f5及びf6、並びに制動力f3及びf4について、図9を参照して説明を加える。尚、図9において、重心G及び前輪21aの接地点P1間の距離を距離L1とし、重心G及び前輪21bの接地点P2間の距離を距離L2とし、重心G及び後輪22aの接地点P3間の距離を距離L3とし、重心G及び後輪22bの接地点P4間の距離を距離L4とする。
ヨーモーメントM1の大きさは、(L1×f1+L2×f2)であり、ヨーモーメントM5の大きさは、(L3×f5+L4×f6+L2×f3+L4×f4)である。本実施形態では、典型的は、ヨーモーメントM1の大きさとヨーモーメントM5の大きさとが等しいので、(L1×f1+L2×f2)>(L3×f5+L4×f6)という関係が成立する。
仮に、前輪21a及び21b、並びに後輪22a及び22bの転舵のみで、均衡状態を形成しようとすると、前輪21a及び21bに夫々生じる横力f1及びf2の大きさを小さくする、又は後輪22a及び22bに夫々生じる横力f5及びf6の大きさを大きくしなければならない。しかしながら、後輪22a及び22bが転舵可能な角度範囲は、前輪21a及び21bが転舵可能な角度範囲に比べて非常に小さい。従って、前輪21a及び21b、並びに後輪22a及び22bの転舵のみで、均衡状態を形成しようとすれば、必然的に、前輪21a及び21bに夫々生じる横力f1及びf2の大きさを小さくしなければならない。
しかるに本実施形態では、前輪21a及び21b、並びに後輪22a及び22bの転舵に加えて、ブレーキ25b及び25dを夫々制御して均衡状態を形成している。このため、前輪21a及び21bに夫々生じる横力f1及びf2の大きさを大きくすることができ、後述する均衡状態をくずした際に、回避方向側に大きなモーメントを得ることができ、より速やかに回避動作を開始することが可能となる。即ち、車両1の応答性をより向上することが可能となる。
次に、判定部103は、運転者が回避操作を行ったか否かを判定する(ステップS108)。回避操作を行っていないと判定された場合(ステップS108:No)、続いてステップS101の処理が行われる。
回避操作を行ったと判定された場合(ステップS108:Yes)、制御部101は、制動力f3及びf4を開放するようにブレーキ25b及び25dを夫々制御する(ステップS109)と共に、予備回避動作フラグをOFFにする(ステップS110)。これにより、ヨーモーメントM5の大きさが小さくなり均衡状態がくずれることによって、図8中に破線202で示すように、車両1の進行方向が変化し、回避動作を開始する。更に、運転者のハンドル26の操作量に応じて前輪21a及び22bが夫々転舵されることにより、車両1が障害物300を回避することが可能となる。本実施形態では特に、予備回避動作時に、前輪21a及び21bに夫々生じる横力f1及びf2の大きさを大きくすることができるので、車両1の応答性をより向上することができる。加えて、前輪21a及び21bと後輪22a及び22bとが同相となるように、夫々転舵されているので、車両1の安定性を向上することができる。
図2におけるステップS101の処理において予備回避動作フラグがONであると判定された場合であって、ステップS111の処理において障害物が存在しないと判定された場合、又はステップS113において危険度閾値より小さいと判定された場合、制御部101は、上述の予備回避動作を解除する(ステップS114)。即ち、前輪転舵装置23a及び23b、並びに後輪転舵装置24a及び24bを夫々制御して、前輪21a及び21b並びに後輪22a及び22bを夫々元の位置に戻すと共に、ブレーキ25b及び25dを夫々制御して制動力f3及びf4を開放する。
尚、本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨、或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う車両の制御装置もまた、本発明の技術的範囲に含まれるものである。
1…車両、10…ECU、21a、21b…前輪、22a、22b…後輪、23a、23b…前輪転舵装置、24a、24b…後輪転舵装置、25a〜25d…ブレーキ、26…ハンドル、31…ミリ波レーダ、32…ステレオカメラ、33…車速センサ、34…トルクセンサ、101…制御部、102…危険度取得部、103…判定部、104…回避方向決定部、105…記憶部、106…入出力部
Claims (15)
- 障害物を回避するための回避力を車両に付与可能である第1回避手段と、前記回避力を打ち消す打消力又は前記回避力を前記車両に付与可能である第2回避手段とを備える前記車両を制御する制御装置であって、
前記障害物を検知して、前記検知された障害物との衝突危険度を取得する危険度取得手段と、
前記取得された衝突危険度が危険度閾値より大きいことを条件に、前記回避力を前記車両に付与するように前記第1回避手段を制御すると共に、前記打消力を前記車両に付与するように前記第2回避手段を制御し、前記車両の運転者が所定種類の回避操作を行った際に、前記打消力を付与することを停止する又は前記打消力に代えて前記回避力を前記車両に付与するように前記第2回避手段を制御する制御手段と
を備えることを特徴とする車両の制御装置。 - 障害物を回避するための回避力を車両に付与可能である第1回避手段と、前記回避力を打ち消す打消力又は前記回避力を前記車両に付与可能である第2及び第3回避手段とを備える前記車両を制御する制御装置であって、
前記障害物を検知して、前記検知された障害物との衝突危険度を取得する危険度取得手段と、
前記取得された衝突危険度が危険度閾値より大きいことを条件に、前記回避力を前記車両に付与するように前記第1回避手段を制御すると共に、前記打消力を前記車両に付与するように前記第2回避手段を制御し、前記車両の運転者が所定種類の回避操作を行った際に、前記回避力を前記車両に付与するように前記第3回避手段を制御する制御手段と
を備えることを特徴とする車両の制御装置。 - 障害物を回避するための回避力を車両に付与可能である第1回避手段と、前記回避力を打ち消す打消力又は前記回避力を前記車両に付与可能である第2及び第3回避手段とを備える前記車両を制御する制御装置であって、
前記障害物を検知して、前記検知された障害物との衝突危険度を取得する危険度取得手段と、
前記取得された衝突危険度が危険度閾値より大きいことを条件に、前記回避力を前記車両に付与するように前記第1回避手段を制御すると共に、前記打消力を前記車両に付与するように前記第2及び第3回避手段を制御し、前記車両の運転者が所定種類の回避操作を行った際に、前記打消力を付与することを停止する又は前記打消力に代えて前記回避力を前記車両に付与するように、前記第2及び第3回避手段の少なくとも一方を制御する制御手段と
を備えることを特徴とする車両の制御装置。 - 前記危険度取得手段は、前記障害物を検知する障害物検知手段を含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の車両の制御装置。
- 前記取得された衝突危険度が前記危険度閾値より大きいか否かを判定する判定手段を更に備え、
前記制御手段は、前記危険度閾値より大きいと判定された場合に少なくとも前記第1及び第2回避手段に対する制御を行い、前記危険度閾値より小さいと判定された場合に前記制御を行わない
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の車両の制御装置。 - 前記制御手段は、前記回避操作を検出する回避操作検出手段を含むことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の車両の制御装置。
- 前記制御手段は、
前記取得された衝突危険度が前記危険度閾値より大きいことを条件に、前記検知された障害物を回避する回避方向を決定する回避方向決定手段を含み、
前記車両が前記決定された回避方向へ向かうような前記回避力を前記車両に付与するように前記第1回避手段を制御する
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の車両の制御装置。 - 前記第1回避手段は、前輪転舵装置であり、
前記第2回避手段は、制動装置である
ことを特徴とする請求項1に記載の車両の制御装置。 - 前記回避力は、前記制御手段が前記車両の前輪を転舵するように前記第1回避手段を制御することによって生じ、
前記打消力は、前記制御手段が前記車両の左側の車輪及び右側の車輪の少なくとも一方に制動力を付与するように前記第2回避手段を制御して制動力差を発生させることによって生じる
ことを特徴とする請求項8に記載の車両の制御装置。 - 前記第1回避手段は、前輪転舵装置であり、
前記第2回避手段は、後輪転舵装置である
ことを特徴とする請求項1に記載の車両の制御装置。 - 前記回避力は、前記制御手段が前記車両の前輪を転舵するように前記第1回避手段を制御することによって生じ、
前記打消力は、前記制御手段が前記車両の後輪を前記前輪と同相になるように転舵するように前記第2回避手段を制御することによって生じる
ことを特徴とする請求項10に記載の車両の制御装置。 - 前記第1回避手段は、前輪転舵装置であり、
前記第2回避手段は、後輪転舵装置であり、
前記第3回避手段は、制動装置である
ことを特徴とする請求項2に記載の車両の制御装置。 - 前記回避力は、前記制御手段が、前記車両の前輪を転舵するように前記第1回避手段を制御すること、及び前記車両の左側の車輪及び右側の車輪の少なくとも一方に制動力を付与するように前記第3回避手段を制御して制動力差を発生させることによって生じ、
前記打消力は、前記制御手段が前記車両の後輪を前記前輪と同相になるように転舵するように前記第2回避手段を制御することによって生じる
ことを特徴とする請求項12に記載の車両の制御装置。 - 前記第1回避手段は、前輪転舵装置であり、
前記第2回避手段は、後輪転舵装置であり、
前記第3回避手段は、制動装置である
ことを特徴とする請求項3に記載の車両の制御装置。 - 前記回避力は、前記制御手段が前記車両の前輪を転舵するように前記第1回避手段を制御することによって生じ、
前記打消力は、前記制御手段が前記車両の後輪を前記前輪と逆相になるように転舵するように前記第2回避手段を制御すると共に、前記車両の左側の車輪及び右側の車輪の少なくとも一方に制動力を付与するように前記第3回避手段を制御して制動力差を発生させることによって生じる
ことを特徴とする請求項14に記載の車両の制御装置。
Priority Applications (1)
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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-
2007
- 2007-11-13 JP JP2007294376A patent/JP2009119959A/ja active Pending
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