JP2009274210A - ポリッシング装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 修正ツールの加工や検査をポリッシング盤の近くで容易に行うことのできるポリッシング装置を提供する。
【解決手段】 本発明に係るポリッシング装置20は、被加工物をポリッシングするポリッシング盤22と、ポリッシング盤22の表面形状を修正する円盤状の修正ツール26と、修正ツール26の外周面に回転力を与えて修正ツール26を回転させる駆動ローラー60とを有するポリッシング装置において、修正ツール26を上下反転させる反転手段が設けられている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、被加工物、例えばガラス部材の研磨加工に用いられるポリッシング装置に関する。
図7に示すように、ポリッシング装置におけるポリッシング盤1は、z軸(鉛直軸)を中心に回転するターンテーブル2と、ターンテーブル2の上面にピッチにより形成されたポリシャ3とから概略なり、回転するポリシャ3の表面3aに被加工物が摺接することにより研磨加工が行われる(特許文献1参照)。
ポリッシング盤1上には、円盤状の修正ツール4が一般に設けられているが、この修正ツール4は、被加工物との摩擦によるポリシャ3の表面形状の局部的損壊をピッチ表層を塑性流動させてインプロセスで(研磨加工中に)連続的に修復するとともに、ポリシャ3との接触圧によってその表面3aの曲率調整を行う。この曲率調整は、ポリッシング盤1と修正ツール4との中心間距離Cを調整し、ポリシャ3と修正ツール4との接触面の図心Aを修正ツール4の重心Gからずらし、この心ずらしによりラジアル方向に転がりモーメント(曲率偏向モーメント)My’を生じさせて修正ツール4がポリシャ3に及ぼす圧力pxy’を図のような分布とし、ポリシャ3の外周側により大きな圧力を作用させて行われる。曲率偏向モーメントMy’は、圧力pxy’を接触面全面について積分して得られる合力Pに、心ずらしの距離sを乗じて求めることができる。
My’=P・sP=∬pxy’dxdyこのようなポリッシング盤1、修正ツール4を備えるポリッシング装置としては、従来以下のようなものが知られている。
図8に示す装置では、スライド板5に設けられた複数のガイドローラー6が修正ツール4の外周面に転動可能に接して、修正ツール4を回転自在に保持する。スライド板5はポリッシング盤1のラジアル方向に沿って移動可能であり、このスライド板5の位置を調整することにより修正ツール4はポリッシング盤1に対して位置決めされる。修正ツール4はポリシャ3との摩擦力によりつれ回りで回転(自転)するが、ポリシャ3の表面3aの形状誤差により回転誤差が生じやすい。
図9に示す装置では、図8に示す装置のガイドローラー6の一つに電動機7による回転力が与えられ、それが駆動ローラーとして機能する。この駆動ローラー8は、修正ツール4を自転させるための回転力を修正ツール4の外周面に与え、修正ツール4を積極的に回転させるので、ポリシャ3の表面3aに形状誤差があったとしても回転誤差が生じにくい。
図10に示す装置では、図9に示す装置の修正ツール4の上面に中ぐり加工が施され、ここにジャッキ装置9に取り付けられる金属インサート10が埋め込まれて修正ツール4が昇降可能となっている。すなわち、ジャッキ装置9においては、ハンドル11が操作されるとネジスピンドル12が回転し、Y形部材13が昇降する。これに伴い、金属インサート10が固着され且つY形部材13に固定ピン14で固定されたI形部材15も昇降するので、I形部材15と一体となった修正ツール4も昇降する。これにより、メインテナンス作業時等に修正ツール4を上方に引き上げることができる。
図11に示す装置では、図10に示す装置と同様に修正ツール4が昇降可能となっているが、その昇降にはジャッキ装置9の代わりにエアシリンダ装置16が用いられ、ロッド17を下方に駆動することによって修正ツール4のポリシャ3に及ぼす圧力を高めることができる。
特開平10−329010号公報
ところで、図8〜図11に示す各装置では、修正ツール4の外周面にガイドローラー6又は駆動ローラー8が直接当接することにより、修正ツール4がポリッシング盤1上の定位置に保持されている。したがって、図12に示すように、ガイドローラー6のスピンドルには、ポリシャ3と修正ツール4との間に生じる摩擦力によりせん断力Fが常に作用する。また、図示のようにガイドローラー6が片持ちである場合には、せん断力Fの作用点からのアーム長L1に従って増大する曲げモーメントM=F・L1がそのスピンドルに作用する。
一方、駆動ローラー8のスピンドルは、図13に示すように、せん断力F及び曲げモーメントM=F・L2が駆動ローラー8の回転により周期的に変動する交番負荷条件下にある。駆動ローラー8のスピンドルには、さらに、修正ツール4に回転力を与えるためにねじりモーメントTが作用し、回転する修正ツール4が上下に微動する場合には、それに伴いスラスト方向の負荷も作用する。
このように駆動ローラー8が修正ツール4の外周面に直接回転力を与える構成では、そのスピンドルは過酷な負荷条件下に晒され疲労破壊を起こす危険性が高く、例えばローラーのスピンドルが破断若しくは大きく変形した場合には、修正ツール4はポリッシング盤1上の定位置での回転状態から解放され、装置の他の部分や被加工物等に衝突してポリッシング盤1上から落下する。このような事故では被加工物の巻込みによりポリシャ3の表面構造の損壊を招く場合が多く、精密工具である修正ツール4自身が落下で破壊されれば被害は甚大である。
また、メインテナンス作業時等に修正ツール4を持ち上げる場合には、小型のポリッシング装置では手で持ち上げることも可能であるが、中型乃至大型の装置では修正ツール4の重量は30kg〜100kg超となるため、図10、図11のように修正ツール4の上面に金属インサート10を埋め込み、アイボルト又はユニバーサルジョイント等のアンカー材にチェーン、ワイヤ、棒材等を締結させ、ウィンチ、ネジ、エアシリンダ等で持ち上げる方法が採られている。修正ツール4の上面中央部には、金属インサート10を埋め込むために中ぐり加工が施されるので、修正ツール4の中央部分は他の部分に比して肉薄となる。このため、修正ツール4がポリシャ3に与える圧力分布は中ぐり加工が施されない場合に対して微妙に異なることとなり、設計上意図した圧力分布が得られなくなってしまう。さらに、金属インサート10は温度外乱に対して敏感であるため、これが埋め込まれた修正ツール4の修正面全体の曲率は一般に不安定となる。
ポリッシング装置は、従来、事前に別途の工作機械により平面研削又はラッピング等の加工がなされて平面度及び表面粗さが要求仕様程度に満たされた修正ツール4が、ポリッシング盤1の盤上に組み込まれて構成されていた。このような装置では、修正ツール4の形状が大きく損なわれた場合、又は減耗により修正ツール4の修正面側の面取りが失われた場合等には、修正ツール4をポリシッング盤1上から取り除いて専門の工場まで移送し、上記工作機械に設置して再加工しなければならない。修正ツール4はグラナイト、ガラス等の高脆性材によるものがほとんどであるため、このように工場等他の場所へ移送する際に相当の手間と注意とを要するという問題がある。
さらに、従来のポリッシング装置では、修正ツール4がポリシャ3に及ぼす圧力は調整不可能であるか、あるいは複数のエアシリンダや複動型エアシリンダを用いることにより調整可能となっていた(図11参照)。修正ツール4の作用は既述のように、ポリシャ3の表面形状の局部的損壊を修復することと、その表面3aの曲率調整を行うことであるが、前者については修正ツール4がポリシャ3に及ぼす圧力が、後者についてはその圧力に加えて修正ツール4の外径とポリシャ3の幅(リング幅)との寸法比が性能を支配する。このため、修正ツール4の及ぼす圧力は大きいほどよいようにも思われるが、その圧力の増大は一方でポリシャ3の塑性変形速度増大による工具寿命の短縮を招き、ポリシャ3と修正ツール4との摩擦力の増大に見合う装置剛性及び動力系に対する過大な冗長設計を要求する。修正ツール4は効果を奏すれば可能な限り軽量であることが望ましく、上記エアシリンダによる圧力調整機構は、軽量な修正ツール4によって適切な圧力を得られるという点で有益である。
しかしながら、このようなエアシリンダによる圧力調整機構では、ロッドとの連結に供するユニバーサルジョイント等を埋め込むために、修正ツール4の上面に中ぐり加工を施す必要があり、設計上意図した圧力分布が得られない等の上述した弊害が生じるおそれがある。
本発明は、上記の事情に鑑みて為されたもので、修正ツールの加工や検査をポリッシング盤の近くで容易に行うことのできるポリッシング装置を提供することにある。
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、被加工物をポリッシングするポリッシング盤と、該ポリッシング盤の表面形状を修正する円盤状の修正ツールと、該修正ツールの外周面に回転力を与えて該修正ツールを回転させる駆動ローラーとを有するポリッシング装置において、前記修正ツールを上下反転させる反転手段が設けられていることを特徴とする。
請求項1の発明によれば、一般に脆性が高く寸法・重量の大きい修正ツールを反転手段により上下反転させることができるので、修正ツールを反転させて行う必要のある修正面の加工や検査、測定等を、ポリッシング盤の近くで容易に実施することができる。
本発明に係るポリッシング装置を示す説明図である。 図1のポリッシング装置の修正ツール保持部を示し、(a)は平面図、(b)は背面図、(c)は側面図である。 図2の修正ツール保持部の駆動リング及び摩擦駆動ローラーを拡大して示し、駆動リングが修正ツールを係止した状態を示す説明図である。 図2の修正ツール保持部の駆動リング及び摩擦駆動ローラーを拡大して示し、修正ツールがリングポリシャ盤上にある状態を示す説明図である。 修正ツール保持部が補助装置において上下反転した状態を示す説明図である。 修正ツールの上面に液槽が設けられた状態を示す説明図である。 ポリッシング盤上における修正ツールの作用を示す説明図である。 従来のポリッシング装置であって、修正ツールをガイドローラーで保持するものを示す説明図である。 従来のポリッシング装置であって、修正ツールを駆動ローラー及びガイドローラーで保持するものを示す説明図である。 従来のポリッシング装置であって、修正ツールを駆動ローラー及びガイドローラーで保持し、その修正ツールがジャッキ装置により昇降可能なものを示す説明図である。 従来のポリッシング装置であって、修正ツールを駆動ローラー及びガイドローラーで保持し、その修正ツールがエアシリンダ装置により昇降可能なものを示す説明図である。 図8〜図11のポリッシング装置においてガイドローラーに作用する負荷を示す説明図である。 図9〜図11のポリッシング装置において駆動ローラーに作用する負荷を示す説明図である。
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
〔実施例1〕
図1は本発明に係るポリッシング装置の全体構成を示す。このポリッシング装置20は、回転装置21と、ポリッシング盤としてのリングポリシャ盤22と、ダム23と、ツルーイング装置24と、補助装置25とを備える。
リングポリシャ盤22は回転装置21により軸線O1まわりに回転し、被加工物であるガラス部材を研磨加工する。ダム23は研磨加工中にリングポリシャ盤22に供給される研磨液を保持する。ツルーイング装置24はリングポリシャ盤22のツルーイングに用いられ、修正ツール26を保持する修正ツール保持部27を備える。この修正ツール保持部27については後に詳述する。
ツルーイング装置24の筐体28は正面視で門形を呈している。筐体28の天井部29には固定板30が設けられ、固定板30にはジャッキ装置31が固定されている。筐体28の側壁部32a,32bのそれぞれの内面側には、鉛直方向に延びる案内棒33a,33bが4本ずつ設けられている。側壁部32a,32bの対向空間には、ジャッキ装置31により案内棒33a,33bに沿って上下動可能な昇降部34が、リングポリシャ盤22の一部に上方から臨むように設けられている。
筐体28の底部にはレベル調整用のネジ脚35が設けられている。このネジ脚35により筐体28の姿勢及びリングポリシャ盤22に対する高さは適切に調整される。
昇降部34は、略水平に直線状に延びる一対の案内軌道部材36a,36bと、案内軌道部材36a,36bに跨って両者を接続する接続板37とを備える。案内軌道部材36aには案内棒33aが挿通され、案内軌道部材36bには案内棒33bが挿通され、接続板37の中央部にはフランジ38を介してジャッキ装置31のネジ部39が接続されている。このジャッキ装置31では、ハンドル40の回転操作による入力があると、その回転が図示を略すウォーム機構により減速することによってネジ部39に大きな推力が与えられ、ネジ部39が筐体28に対して昇降する。昇降部34はそのネジ部39の昇降に伴い昇降し、鉛直方向の所定位置にセルフロックされる。
補助装置25は修正ツール保持部27を一時的に担持し、修正ツール26の修正面の再加工に供する。図1では便宜上、修正ツール保持部27がツルーイング装置24側の通常位置にある場合に加えて、これが補助装置25に担持されている様子も併せて示すが、実際には修正ツール保持部27はツルーイング装置24又は補助装置25のいずれかの側にあればよい。また、同図では補助装置25をツルーイング装置24と離間させて示すが、両者は連結されていてもよい。
補助装置25は、修正ツール保持部27を担持しこれを上下反転させる反転部41と、反転部41を支持する架台42とを備える。架台42の底部にはキャスター43が設けられ、不要なときには補助装置25をツルーイング装置24の側から他の場所へ容易に移動させることができるようになっている。架台42の底部には、レベル調整用のネジ脚44がさらに設けられている。このネジ脚44は、補助装置25の使用時にキャスター43を床面から浮かせて架台42の移動を不可とするとともに、架台42の高さをツルーイング装置24に合わせて調整するために用いられる。
反転部41は、側板45a,45b及びこれらを連結する連結板46,47により箱形に形成され、架台42に軸支されている。この反転部41は、ハンドル48と、ハンドル48からの回転入力を減速して出力するウォーム減速装置49と、ウォーム減速装置49の出力に基づき軸線O2まわりに回転する小径歯車と、小径歯車と噛合し且つ側板45aに直結された大径歯車とからなる回転機構により、軸線O3まわりに回転して反転する。その小径歯車及び大径歯車は安全カバー50に覆われているので図示を省略する。
連結板46には、後述する円盤形工具51の径よりも大きな径をもつ円形開口52が中央部に形成されている。連結板46の箱形内側には、その円盤形工具51をガイドするためのガイドローラー53が円形開口52の周方向に沿って複数取り付けられている。
側板45a,45bの箱形内側には、補助装置25がツルーイング装置24に連結された際に、昇降部34の案内軌道部材36a,36bに連結されて一対の案内軌道54a,54bを形成する案内軌道部材55a,55bが設けられている。修正ツール保持部27は、その案内軌道54a,54bに保持されて、ツルーイング装置24と補助装置25との間で移動することができるようになっている。
修正ツール保持部27は、図2に示すように、基盤56と、基盤56の両側に左右対になるように設けられた計6個のガイドローラー57と、ガイドローラー57と同一形状を有するリング部材保持手段としてのガイドローラー58と、リング部材としての駆動リング59と、駆動ローラーとしての摩擦駆動ローラー60とを有する。
ガイドローラー57は上下対称形状であって2つの円錐面61を有し、この円錐面61で案内軌道54a,54bに形成された傾斜面62(図1参照)と接するようになっている。すなわち、その円錐面61に傾斜面62が上下から当接することにより、ガイドローラー57は案内軌道54a又は54bに保持され、これにより修正ツール保持部27が案内軌道54a,54bに保持される。また、ガイドローラー57が案内軌道54a,54bに対して転動することにより、修正ツール保持部27は案内軌道54a,54bに沿って移動することができる。
基盤56の中央部には円形状の開口63が形成され、ガイドローラー58はその開口63の周方向に沿って90°ごとに計4個設けられている。ガイドローラー58もガイドローラー57と同様に、上下に円錐面64を有する。
駆動リング59は基盤56の開口63に設けられ、駆動リング59の外周面の上下には傾斜面65が形成されている。ガイドローラー58はその傾斜面65に円錐面64で当接することによって、駆動リング59の上下動を規制するようにその外周面に係合し、駆動リング59を基盤56上の定位置に保持する。但し、ガイドローラー58は駆動リング59に対して転動可能であるので、駆動リング59はその定位置において回転することができる。
駆動リング59の内周面には、保持部としての駆動棒66が周方向に沿って等間隔に複数個(ここでは18個)設けられている。駆動棒66は上下方向に延び、その下端部には駆動リング59の中心に向けて突出する突起部67が形成されている。修正ツール26は、その突起部67により保持されている。
摩擦駆動ローラー60は電動機68により回転し、自らの回転を駆動リング59の外周面に伝えて駆動リング59を回転させ、これを介して修正ツール26を回転させる。電動機68は基盤56に対して位置調整可能な電動機固定板69に固定され、電動機68の回転力は駆動側プーリー70、タイミングベルト71、従動側プーリー72を介して摩擦駆動ローラー60に伝達される。この実施例では、その電動機固定板69の基盤56に対する位置を調整することにより、タイミングベルト71の張りが調整されるようになっている。なお、図2において、73は基盤56の補強用リブを、74は安全カバーを、110はツルーイング装置24及び補助装置25にそれぞれ設けられた送りネジ111に固定するためのブラケットを示す。
図3及び図4は、駆動リング59及び摩擦駆動ローラー60の詳細構造を示す。駆動リング59は、リング本体75にネジ76により駆動棒66が固定されてなる。駆動棒66の下部は開口63を通じて基盤56の下方に突出している。駆動棒66の下端部には、調整用座金77を介してゴム部材78がネジ79により取り付けられ、これにより突起部67が形成されている。一方、修正ツール26は、修正面80を有する円盤状のツール本体部81と、ツール本体部81よりも大径に形成されたフランジ部82とからなり、本体部81の外周面と駆動棒66との間の距離が調整用座金77により1〜2mmとなるように調整されている。
摩擦駆動ローラー60は、基盤56上に固定された固定軸83にボールベアリング84を介して回転部85が取り付けられ、この回転部85に回転軸部86を介して従動側プーリー72が締結されることにより構成されている。詳細には、固定軸83はネジ87により取付フランジ88に取り付けられ、この取付フランジ88がネジ89により基盤56上に固定されている。ボールベアリング84は固定軸83の外周の上下にそれぞれ設けられ、2つのボールベアリング84の間にはスペースカラー90,91が介装されている。回転部85はボールベアリング84及びスペースカラー91の外周に設けられ、その外周面には断面V字状の溝92が全周に及ぶように複数形成されている。各溝92にはOリング93が取り付けられ、このOリング93が駆動リング59の外周面の傾斜面65でない部分、すなわち、リング本体75の外周面の円柱面状の部分と接して摩擦により回転力を伝達する。回転軸部86はその軸94が固定軸83と同軸となるように、回転部85の上部にネジ95により固定されている。従動側プーリー72には回転軸部86の軸94が同軸となるように嵌挿され、平行キー96及び固定ネジ97により従動側プーリー72と回転軸部86とが締結されている。
この修正ツール保持部27では、研磨加工時においては、摩擦駆動ローラー60による駆動リング59の回転駆動に伴い修正ツール26が回転するように、突起部67のゴム部材78がツール本体部81の外周面に弾接してこれに回転力を与える(図4)。また、研磨加工時には、突起部67とフランジ部82との間隔hは3mm以上となっている。一方、ジャッキ装置31により昇降部34が上昇し、これに伴い修正ツール保持部27が上昇する場合には、突起部67がフランジ部82に係止して修正ツール26が持ち上げられる(図3)。
リングポリシャ盤22上にある修正ツール保持部27を補助装置25に移送して、修正ツール26の修正面80を加工する場合には、昇降部34を所定の高さまで上昇させた後、その案内軌道部材36a,36bと反転部41の案内軌道部材55a,55bとのアライメントを行って一対の案内軌道54a,54bを形成し、この案内軌道54a,54bに沿って修正ツール保持部27を補助装置25側に移動させる。
具体的には、まずキャスター43によりツルーイング装置24に対する補助装置25の位置決めをして、そのレベル調整をネジ脚44により行う。つぎに、ジャッキ装置31により昇降部34を所定の高さまで上昇させるとともに、修正ツール保持部27の受け入れ態勢を整えるべく回転機構により反転部41の角度調整を行う。この際、円形開口52が形成された連結板46が下方に、連結板47が上方にくるように反転部41の上下の向きを合わせる。
このようにして案内軌道54a,54bを形成した後、これに沿って修正ツール保持部27を補助装置25の側に移動させるが、このとき、基盤56のブラケット110をツルーイング装置24側の送りネジ111のナットから外し、修正ツール保持部27を補助装置25の任意の位置まで滑り込ませ、そのブラケット110を補助装置25側の送りネジ111のナットと接続する。
また、補助装置25において修正ツール保持部27は反転部41により上下反転させられるが、この反転時の修正ツール26の落下を防止するため、駆動棒66には図5に示すようにゴム板98が貼着された支持片99があらかじめネジ止めされている。支持片99はすべての駆動棒66について設ける必要はないが、これを複数の駆動棒66に設けることにより、反転時の修正ツール26は下方から支持されて落下が防止される。
修正ツール26の修正面80の再加工は、反転部41により修正ツール保持部27を反転させた状態で、ラッピング及びポリッシング用の円盤形工具51を円形開口52を通じて修正面80上に載置し、電動機68により修正ツール26を回転させて行われる。修正ツール26が回転すると、円盤形工具51はガイドローラー53により一定位置に保持されているので、修正面80上でつれ回りしてこれを加工する。修正ツール26と円盤形工具51との相対的な位置関係は、前述の送りネジ111により自由に規定することができるので、両者の接触面の図心と円盤形工具51の重心との心ずらしを調整することができ、円盤形工具51の運動軌跡に変化を与えることもできる。なお、この加工時に使用した研磨液は、着脱容易で簡易な構成の円環型容器100(図1参照)に保持されて、修正ツール26からこぼれ落ちないようになっている。
この実施例に係るポリッシング装置20では、摩擦駆動ローラー60は駆動リング59を介して修正ツール26を回転させるが、ガイドローラー58が駆動リング59の外周面に接して駆動リング59の横方向(ラジアル方向)の移動を規制するので、修正ツール26からのラジアル荷重、モーメント荷重はガイドローラー58に吸収される。このため、摩擦駆動ローラー60は専ら駆動リング59に回転力を与えるだけでよく、駆動リング59を保持する役割を果たす必要がないため、摩擦駆動ローラー60には回転力の伝達に必要な予圧だけがラジアル方向に定常的に作用する。さらに、この予圧に基づくせん断力は2つのボールベアリング84により上下に分割されて固定軸83に伝達されるので、固定軸83や取付フランジ88に作用する曲げモーメントは微小に抑制される。
また、ガイドローラー58は円錐面64により駆動リング59の傾斜面65に係合し、駆動リング59の上下動を規制するとともに、摩擦駆動ローラー60はその傾斜面65と接触しないように構成されているので、修正ツール26からのスラスト荷重はすべてガイドローラー58に吸収され、摩擦駆動ローラー60への伝達が防止される。
このように摩擦駆動ローラー60に作用する負荷が最小限に抑えられていることにより、ポリッシング装置20の耐久性は向上し、且つ、その疲労破壊の発生も効果的に抑制される。
修正ツール26の昇降は、そのフランジ部82に駆動棒66の突起部67が係止して行われるので、修正ツール26に対する中ぐり加工や金属インサートの埋込み等は不要となる。このため、修正ツール26がリングポリシャ盤22に及ぼす圧力分布や修正ツール26の修正面80の曲率を設計上意図したものとすることができ、ひいてはリングポリシャ盤22の表面形状を安定的に保つことができる。
修正ツール保持部27は、案内軌道54a,54b及びガイドローラー57により補助装置25に容易に移送することができ、この補助装置25では、反転部41によりそれを容易に上下反転させ再加工することができるので、修正ツールを工場等に移送していた従来に比して、著しく効率的に修正ツールの再加工を行うことができる。この際、修正ツール26及び摩擦駆動ローラー60等は修正ツール保持部27として一体に移送されるので、補助装置25の側に別途駆動装置を設けることなく修正ツール26を回転させることができる。なお、このように修正ツール26の移動、反転が容易であるということは、修正面80の再加工に限らず検査、測定等においても非常に有利である。
〔実施例2〕
本実施例に係るポリッシング装置は、実施例1に係るポリッシング装置20の修正ツール26の上面に薄肉円筒101を設けることにより構成されるが(図1枠内参照)、全体構成等については同様であるので説明を省略する。
図6に示すように、修正ツール26の上面には、薄肉円筒101が水密となるようにシリコンゴム102により接着され、これによりその上面を底面とする液槽103が構成されている。この液槽103には、液面保持手段としての液面保持装置104が設けられている。
液面保持装置104は、図示を略すポンプの加圧送液した液体を導入する液体導入管105に接続され、液体導入管105からの液体を液槽103内に吐出する吐出管106と、液槽103内の液体107の液面高さに反応し、内蔵電磁弁を動作制御するフロートスイッチ108とを備える。
この実施例に係るポリッシング装置では、液槽103に入れられる液体107の重さにより上面を加圧される修正ツール26が、その液体107の量に応じた強さでリングポリシャ盤22を加圧するので、修正ツール26に中ぐり加工を施すことなく、それがリングポリシャ盤22に及ぼす圧力を調整することができる。
また、その修正ツール26の上面形状がいびつであったとしても、液体107により上面に作用する圧力pはパスカルの原理に従い一様となるため、修正ツール26の上面形状はリングポリシャ盤22に及ぼす圧力には影響せず、リングポリシャ盤22をムラなく加圧することができる。
さらに、液体107の量が減少してその液面高さが低下すると、液面保持装置104が電磁弁を解放してフロートスイッチ108が液面を検知するまで吐出管106から液体を吐出する。これにより、液体107の液面高さはあらかじめ設定された一定値に保持され、液体107の修正ツール26の上面に対する加圧力、修正ツール26のリングポリシャ盤22に対する加圧力を安定させることができる。
なお、液面保持装置104には図示するように、液体107を吸い込む吸込管109が付加されていてもよく、これにより温度制御された液体を循環させつつ液体107の液面高さを一定に保持することができる。
20 ポリッシング装置
22 リングポリシャ盤(ポリッシング盤)
26 修正ツール
41 反転部(反転手段)
60 摩擦駆動ローラー(駆動ローラー)

Claims (1)

  1. 被加工物をポリッシングするポリッシング盤と、該ポリッシング盤の表面形状を修正する円盤状の修正ツールと、該修正ツールの外周面に回転力を与えて該修正ツールを回転させる駆動ローラーとを有するポリッシング装置において、前記修正ツールを上下反転させる反転手段が設けられていることを特徴とするポリッシング装置。
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