JP2009273982A - 濾過エレメント、およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 濾過エレメント3の製造型に平らな金網8を配置し、次に枠材9の成形金型に溶融したナイロン系樹脂などの溶融樹脂を充填する。この時、濾過するオイルの流れ方向を基準として、下流側から上流側に向けて溶融樹脂を充填することで、金型内の金網8を上流側に押し曲げて上流側に膨出させる。これにより、枠材9の内部にモールドされた金網8が上流側へ向かう膨出部8aとして形成される。この結果、金網8より下流側の枠材9をオイルの流れ方向に沿って厚くでき、金網8が枠材9から剥がれ難くなり、信頼性の高い濾過エレメント3を提供できる。
【選択図】 図1
Description
油圧制御装置は、油圧を発生させるオイルポンプと、このオイルポンプが発生した油圧の切替制御を行なって自動変速機に搭載される摩擦係合装置(多板クラッチ、多板ブレーキ等)の係脱制御を行なう油圧制御ボディとを備える。
油圧制御ボディは、自動変速機の下部のオイルパン内に配置されるものであり、油圧制御ボディとオイルパンとの間には、オイルポンプに吸引されるオイルを濾過する濾過器(オイルストレーナ)が配置されている。
なお、濾過器は一般的に油圧制御ボディの下面に装着されており、濾過器に吸い込まれたオイルは油圧制御ボディに形成されたバイパス路を通ってオイルポンプのオイル吸引側に導かれる。以下では、油圧制御ボディの下面に装着された濾過器を例に用いて説明する。
特許文献1の金網は、ストレーナボディの内周において環状に設けられた段差部に搭載された後、接着剤やろう付けなどでストレーナボディに固定され、金網の周縁部とストレーナボディの内周面との間に隙間(金網を通過せずにオイルが流れる部分)が形成されないように設けられている。
このように、ストレーナボディを樹脂で設ける場合、ストレーナボディを成す樹脂の溶着技術により金網をストレーナボディに固定するのが一般的である。
しかし、溶着では、接合代における溶着樹脂の厚みが薄く、ろう付け技術に比較して金網の結合力が弱い。
ここで、金網を通過するオイル(ATF)の流れ力(圧力損失)により、金網にはストレーナボディに対して剥離力(剥離する力)が加わる。特に、低温始動直後など、オイルの温度が低くてオイルの粘性が高い状態では、金網に作用する剥離力が大きい。このため、樹脂製のストレーナボディに金網を溶着する技術では、オイルの流れ力により金網がストレーナボディから剥がれる可能性がある。
しかし、上述したように、金網を通過するオイルの流れ力により、金網にはストレーナボディに対して剥離する力が加わる。特に、オイルの温度が低くてオイルの粘性が高い状態では、金網に作用する剥離力が大きくなる。
このため、金網を樹脂製の枠材で樹脂モールドする技術であっても、単に平らな金網を枠材にモールドするだけでは、長期の使用等によりオイルの流れ力によって金網が枠材から剥がれる可能性がある。
請求項1の手段を採用する濾過エレメントは、平らな濾材と、この濾材を樹脂モールドし、流体通過部材に取り付けられる枠材とを備えるものであり、濾材は、樹脂モールドされる枠材内において上流側へ向かって膨出する膨出部を備える。
このように、枠材内において濾材が上流側へ向かう膨出部を備えるため、濾材より下流側の枠材における流体の流れ方向に沿う厚みを厚くできる。また、枠材の断面において、濾材より下流側の枠材の断面(樹脂断面)を多くできる。
このように、濾材が枠材から剥がれ難くなることで、長期に使用されても濾材が枠材から剥がれない信頼性の高い濾過エレメントを提供できる。
請求項2の手段を採用する濾過エレメントの枠材は、外周縁を成す外周枠部と、この外周枠部の内部を横切るリテーナとを備える。そして、外周枠部の内部およびリテーナの内部の濾材に膨出部が設けられる。即ち、枠材にモールドされる濾材は、全て上流側に向かう膨出部として設けられるものである。
このように、リテーナを設けることにより、濾材が平らであっても濾過エレメントの強度を高めることができ、濾材を通過するオイルの流れ力が大きくても、濾過エレメントの変形を抑えることができる。
また、リテーナ内に濾材がモールドされることで、濾材と枠材との結合力を高めることができる。これにより、濾材が枠材から剥がれ難くなり、長期に使用されても濾材が枠材から剥がれない信頼性の高い濾過エレメントを提供できる。
請求項3の手段を採用する濾過エレメントの製造方法は、枠材を成形する金型内に溶融樹脂を充填する樹脂充填時に、濾過対象の流体の流れの下流側から上流側に向けて溶融樹脂を充填して、平らな濾材を金型内において濾過対象の流体の流れの上流側に膨出させる。
この製造方法によって製造される濾過エレメントは、流体の濾過を行なう濾材と、この濾材を樹脂モールドし、流体通過部材に取り付けられる枠材とを備え、枠材内にモールドされる濾材が上流側へ向かって膨出する膨出部として設けられる。そして、樹脂の充填により膨出部が設けられるため、膨出部を予め形成しておく必要がなく、製造コストを抑えることができる。
請求項4の手段の濾過エレメントは、自動変速機の油圧制御に用いられるオイルの濾過を行なうものである。
この濾過エレメントは、流体の濾過を行なう金網、樹脂メッシュ、不織布等よりなる平らな濾材と、この濾材を樹脂モールドし、流体通過部材に取り付けられる枠材とを備える。そして、濾材は、樹脂モールドされる枠材内において上流側へ向かって膨出する膨出部を備える。
車両走行用エンジンの出力回転比および回転方向を可変する自動変速機は、流体継手(トルクコンバータ等)、複数の遊星歯車装置、および複数の遊星歯車装置の切替えを行う摩擦係合装置(多板クラッチ、多板ブレーキ等)の係脱をコントロールするための油圧制御装置を備える。
ここで、自動変速機は、油圧源となるオイルポンプを搭載している。
油圧制御ボディには、上下方向に延びるバイパス路が形成されており、このバイパス路の上方開口はオイルポンプのオイル吸引側に接続され、バイパス路の下方開口にはオイルパンの最底部近傍からオイルを吸い込むとともに、吸い込んだオイルを濾過する濾過器1が接続される。
そして、オイルポンプがエンジンの回転によって駆動されると、オイルポンプはオイルパン内のオイルを濾過器1を介して吸引、圧縮して吐出する。オイルポンプから吐出されたオイルは、自動変速機内の各潤滑部に供給されるとともに、油圧制御ボディ内に油圧源として供給される。
ストレーナボディ2は、油圧制御ボディのバイパス路の下部開口に接続される接続口4を備える上部ボディ5と、オイルパンの略中央部に開口してオイルパン内のオイルを吸い込む吸込口6を備える下部ボディ7とを結合したものであり、上部ボディ5と下部ボディ7の結合部分に濾過エレメント3の外周縁が挟まれた状態で固定され、ストレーナボディ2の内周面と濾過エレメント3の外周縁との間に隙間(濾過エレメント3を通過せずにオイルが流れる部分)が形成されないように設けられている。なお、上部ボディ5と下部ボディ7は、共に樹脂成形品であり、上部ボディ5、下部ボディ7および濾過エレメント3の外周縁(後述する樹脂製の外周枠部9a)が、溶着技術で結合されるものである。
ここで、枠材9は、外周縁を成す外周枠部9aと、この外周枠部9aの内部を架橋することで横切るリテーナ9bとからなり、外周枠部9aとリテーナ9bは一体に設けられている。
外周枠部9aは、上部ボディ5と下部ボディ7との間に全周に亘って挟まれる部分である。
リテーナ9bは、濾過エレメント3の補強部材であり、平らな金網8を用いてもリテーナ9bによって濾過エレメント3の変形を防ぐことができる。また、リテーナ9b内に金網8がモールドされることで、金網8の結合力を高めることができる。
なお、この実施例では、リテーナ9bが外周枠部9aの内側に格子状に設けられる例を示すが、適宜変更可能なものである。
即ち、濾過エレメント3の上流側をダーティサイド(未濾過側)と称し、濾過エレメント3の下流側をクリーンサイド(濾過完了側)と称した場合、枠材9の内部に樹脂モールドされた金網8は、ダーティサイド側に向かって膨出する膨出部8aとして設けられている。
なお、図1(b)では、リテーナ9bの内部に配置される金網8の形状を示すが、外周枠部9aの内部に配置される金網8も、リテーナ9b内の金網8と同様に、オイル流の下流側から上流側へ向かって膨出する膨出部8aとして設けられている。
先ず、濾過エレメント3を製造する製造型の内側に、黄銅やステンレス等よりなり、目の細かくて変形が容易な、平らな金網8を配置する。
次に、枠材9(外周枠部9aおよびリテーナ9b)を成形する金型内に溶融したナイロン系樹脂などの溶融樹脂を充填する。この樹脂充填時は、濾過器1におけるオイルの流れ方向を基準として、下流側から上流側に向けて溶融樹脂を充填する。この溶融樹脂の充填による樹脂の流れが、金型内の金網8を上流側に押し曲げ、その結果、平らな金網8を金型内においてオイルの流れの上流側に凸状に膨出させる。そして、樹脂が硬化することで、枠材9(外周枠部9aおよびリテーナ9b)の内部にモールドされた金網8が、下流側から上流側へ向かう膨出部8aとして形成される。
ここで、金網8より下流側の枠材9がオイルの流れ方向に沿って薄い場合、金網8より下流側の枠材9の強度が低くなるため、金網8に加わる剥離力(金網8に付与されるオイルの流れ力により金網8と枠材9とが剥がれる方向に作用する力)によって金網8が枠材9から剥がれ易くなる。
しかるに、この実施例1の濾過エレメント3では、枠材9の内部に上流側に向かう膨出部8aを設けたことにより、金網8より下流側の枠材9をオイルの流れ方向に沿って厚くでき、金網8より下流側の枠材9の強度が高まることで、枠材9から金網8を剥がれ難くすることができる。
このように、この実施例1の濾過エレメント3では、金網8が枠材9から剥がれ難くなるため、長期に使用されても金網8が枠材9から剥がれない信頼性の高い濾過エレメント3を提供できる。
このように、枠材9にリテーナ9bを設けることにより、金網8が平らであっても濾過エレメント3の強度を高めることができる。これにより、金網8を通過するオイルの流れ力が大きくても、濾過エレメント3の変形を抑えることができる。
また、格子状のリテーナ9b内に金網8がモールドされることで、金網8と枠材9との結合力を高めることができる。これにより、濾過エレメント3の濾過面積が大きくても、金網8が枠材9から剥がれ難くなり、長期に使用されても金網8が枠材9から剥がれない信頼性の高い濾過エレメント3を提供できる。
上記の実施例では、濾材の一例として金網8を用いたが、樹脂製のメッシュであっても良いし、不織布や和紙のような繊維の結合による濾材であっても良い。
上記の実施例では、自動変速機の油圧制御に用いられるオイルの濾過を行なう濾過エレメント3に本発明を適用した例を示したが、自動変速機とは異なる他のオイルの濾過器1の濾過エレメント3に本発明を適用しても良い。あるいは、オイル以外の流体(例えば、空気やガス等の気体や、水等の液体)の濾過を行なう濾過エレメント3に本発明を適用しても良い。具体的な一例を示すと、例えばエアコンの空気取入口の濾過エレメント3等に本発明の技術を採用しても良い。
2 ストレーナボディ(流体通過部材)
3 濾過エレメント
8 金網(濾材)
8a 膨出部
9 枠材
9a 外周枠部
9b リテーナ
Claims (4)
- 上流から下流へ向けて流体が一方向に流れる流体通過部材に取り付けられ、この流体通過部材の内側を通過する流体の透過を行なうとともに、流体に含まれる異物を捕捉する濾過エレメントにおいて、
この濾過エレメントは、流体の濾過を行なう金網、樹脂メッシュ、不織布等よりなる平らな濾材と、この濾材を樹脂モールドし、前記流体通過部材に取り付けられる枠材とを備え、
前記濾材は、樹脂モールドされる前記枠材内において上流側へ向かって膨出する膨出部を備えることを特徴とする濾過エレメント。 - 請求項1に記載の濾過エレメントにおいて、
前記枠材は、外周縁を成す外周枠部と、この外周枠部の内部を横切るリテーナとを備え、
前記膨出部は、前記外周枠部の内部の前記濾材に設けられるとともに、前記リテーナの内部の前記濾材に設けられることを特徴とする濾過エレメント。 - 流体の濾過を行なう金網、樹脂メッシュ、不織布等の濾材と、
この濾材を樹脂モールドし、上流から下流へ向けて流体が一方向に流れる流体通過部材に取り付けられる枠材と、
を備える濾過エレメントの製造方法において、
前記枠材を成形する金型内に溶融樹脂を充填する樹脂充填時に、濾過対象の流体の流れ方向の下流側から上流側に向けて溶融樹脂を充填して、平らな濾材を前記金型内において濾過対象の流体の流れの上流側に膨出させることを特徴とする濾過エレメントの製造方法。 - 請求項1〜請求項3のいずれかに記載の濾過エレメントまたはその製造方法において、 前記濾過エレメントは、自動変速機の油圧制御に用いられるオイルの濾過を行なうことを特徴とする濾過エレメントまたはその製造方法。
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