JP2009273581A - 粘着フィルムおよびシート - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、貼付時の位置決めが容易であり、かつ、操作性も容易であり、凹凸部および湾曲部への貼付が容易なドレッシング材などの皮膚貼着用粘着フィルムおよびシートを提供することを課題とする。
【解決手段】皮膚に順応しうるフィルム材、粘着剤層、粘着剤層を保護する剥離ライナーが積層され、かつ、前記フィルム材の粘着剤層とは反対側の面に積層されてなる裏打ち層を積層して構成される粘着フィルムおよびシートにおいて、裏打ち層を構成する材料の少なくとも一部が、皮膚に順応しうるフィルム材に対して開口部を設けてなる粘着フィルムおよびシートによる。
【選択図】図1

Description

本発明は、医療、衛生分野において用いられる皮膚貼着用粘着フィルムおよびシートに関する。詳しくは、医療および衛生材として用いられる救急絆やドレッシング材に用いられる粘着フィルムおよびシートに関する。
医療および衛生分野において使用される粘着フィルムおよびシートは、救急絆やドレッシング材等が挙げられる。これらフィルムやシートは、病気の予防や治癒および傷の治療のために使用される。具体的には病院での手術または入院時の使い捨て用品および外来患者の治療、一般家庭でのすり傷、切り傷の処置等に用いられる救急絆やドレッシング材などが挙げられ、病気の予防や治癒、傷の治療を目的として幅広く使用されている。これら医療および衛生材料用粘着テープは、皮膚面から剥離することなく貼付状態が所定の時間保持される必要がある。一方、医療および衛生材料用粘着フィルムやシートは、皮膚への接着性が強すぎると、使用後にフィルムやシートを皮膚から剥離する場合において物理的刺激により痛みを感じたり、体毛が強制的に脱毛されたり、逆に皮膚面に接着剤が残留し「糊残り」が生じる。よって、医療および衛生分野において使用される皮膚貼着用粘着フィルムおよびシートは、皮膚への適度な接着性、保持性、密着性が必要であると同時に、一定時間経過後に粘着剤が残留したり、物理的刺激による痛み生じたり、体毛を脱毛すること無く容易に剥離することが要求される。
さらに、これら粘着フィルムおよびシートは、肌に直接貼付されるため、刺激に敏感な部位では違和感による不快感を伴う。また発汗の多い部位に貼付された場合は、この部位の皮膚表面が蒸れて、皮膚刺激が発生するなどの問題点があった。また皮膚の動きを拘束すると、粘着テープと皮膚との間で物理的なストレスが生じて貼付部位に皮膚刺激を与え、カブレを生じさせたり、違和感や不快感を与えたりする。このような粘着フィルムおよびシートは、本来の貼付機能に加えて、伸縮性、低モジュラス、皮膚刺激性などの様々な機能および性能が求められる。
ここで、ドレッシング材の場合、皮膚の伸縮の追従、柔軟性と透湿性を重視しているため、材料にウレタン系が多く用いられる。多くのドレッシング材は、透湿性を考慮して薄層である。しかし薄層であるため、ポリウレタンフィルムに剛性が無いため、コシが無く、操作性が非常に悪い。多くのドレッシング材では、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)などのオレフィン系または、紙および合成紙を用いた裏打ち層をポリウレタン層に積層させて、見かけのコシを持たせ、ドレッシング材を皮膚に貼付する。その後、裏打ち層をポリウレタンフィルムから離脱させて使用し、操作性を向上させている。ここでオレフィン系の裏打ち層を持つドレッシング材は、比較的透明性があるため貼付時の位置決めが容易であり、さらに柔軟性があるため頬、額、鼻、眼、ひじなどの曲面および凹凸を有する部分でも貼付が可能であるが、十分なコシが無いため操作性に問題がある。紙および合成紙を用いた裏打ち層は、十分なコシがあり、操作性が容易であるが、透明性が無く、貼付時の位置決めが容易でない、さらに柔軟性が無いため凹凸部および湾曲のある部分へも貼付も困難である。特許文献1では、予め裏打ち層と剥離部の一部のみを残して全てを剥離した額縁形状を持つドレッシング材を、皮膚に貼付した後に、さらにウレタン部をミシン目に沿って剥離する方法がとられているが、貼付時に張力がかかるとミシン目で破れる可能性があることと、貼付した後にドレッシング材の周囲を剥離する際に、例えば眼の周囲などの形状が複雑な部位では操作性が容易で無いなどの問題がある。
特開平7−16258号公報
従来の粘着フィルムおよびシートにおける上記問題に鑑みて、本発明は、貼付時の位置決めが容易であり、かつ、操作性も容易であり、凹凸部および湾曲部への貼付が容易なドレッシング材などの皮膚貼着用粘着フィルムおよびシートを提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を達成するために鋭意検討を重ねた結果、皮膚に順応しうるフィルム材、粘着剤層、粘着剤層を保護する剥離ライナーが積層され、かつ、前記フィルム材の粘着剤層とは反対側の面に積層されてなる裏打ち層を積層して構成される粘着フィルムおよびシートにおいて、裏打ち層を構成する材料の少なくとも一部が皮膚に順応しうるフィルム材に対して開口部を設けることにより、上記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明は、以下からなる。
1.1)皮膚に順応しうるフィルム材、2)粘着剤層、3)粘着剤層を保護する剥離ライナーが積層され、かつ、前記フィルム材の粘着剤層とは反対側の面に、4)前記フィルム材とは異なる素材のフィルム材、粘着剤層および基材からなる剥離可能な裏打ち層を積層して構成される粘着フィルムおよびシートにおいて、前記4)の裏打ち層に含まれる粘着剤層および基材が、1)の皮膚に順応しうるフィルム材に対して開口部を設けてなることを特徴とする粘着フィルムおよびシート。
2.前記開口部の面積率が、粘着フィルムおよびシートの面積に対して2〜95%であることを特徴とする前項1に記載の粘着フィルムおよびシート。
3.前記4)の裏打ち層に含まれるフィルム材が、開口部を有さないで、前記1)皮膚に順応しうるフィルム材に積層されている前項1または2に記載の粘着フィルムおよびシート。
4.前記4)の裏打ち層に含まれるフィルム材が、同4)の裏打ち層に含まれる粘着剤層および基材に有する開口部と同形の開口部を設けてなる前項1または2に記載の粘着フィルムおよびシート。
5.前記1)の皮膚に順応しうるフィルム材および/または前記4)の裏打ち層に含まれるフィルム材の光沢度が50以下である前項1〜4のいずれか一に記載の粘着フィルムおよびシート。
6.前記3)の粘着剤層を保護する剥離ライナーが少なくとも2分割以上からなり、その一方の面積比が1〜50%である前項1〜5のいずれか一に記載の粘着フィルムおよびシート。
7.前記4)の裏打ち層に含まれるフィルム材の少なくとも一方向における引張強度が3〜200N/10mmであり、伸びが10〜1500%である前項1〜6のいずれか一に記載の粘着フィルムおよびシート。
8.前記4)の裏打ち層に含まれる基材の剛軟度が60(mm)以上である前項1〜7のいずれか一に記載の粘着フィルムおよびシート。
9.前記1)の皮膚に順応しうるフィルム材がポリウレタンであり、前記4)の裏打ち層に含まれるフィルム材が、ポリオレフィンである前項1〜8のいずれか一に記載の粘着フィルムおよびシート。
本発明の粘着フィルムおよびシートは、皮膚貼付時の位置決めが容易であり、かつ、操作性も容易であり、凹凸部および湾曲部への貼付が容易である。さらに、皮膚に順応しうるフィルム材と裏打ち層の剥離を容易に行うことができ、簡便に使用することができる。
(粘着フィルムおよびシート)
本発明の粘着フィルムおよびシートは、1)皮膚に順応しうるフィルム材、2)粘着剤層、3)粘着剤層を保護する剥離ライナーが積層され、かつ、前記フィルム材の粘着剤層とは反対側の面に、4)前記フィルム材とは異なる素材のフィルム材、粘着剤層および基材からなる剥離可能な裏打ち層を積層して構成される粘着フィルムおよびシートである。図1に示すように、フィルム材(1)、粘着剤層(2)、および剥離ライナー(3)を積層しており、さらに(1)とは異なる素材のフィルム材(41)、粘着剤層(42)および基材(43)からなる剥離可能な裏打ち層(4)を積層して構成される。本発明の、剥離可能な裏打ち層のうち、少なくとも粘着剤層(42)および基材(43)が開口部を設けてなることを特徴とする。さらに、本発明の粘着フィルムおよびシートを開口部側から見たときの形状の一例を図2に示す。該粘着フィルムおよびシートのうち、皮膚に貼着するのは、上記構成のうち粘着剤層(2)とフィルム材(1)である。
(剥離可能な裏打ち層)
本発明の剥離可能な裏打ち層(4)は、前記フィルム材(1)とは異なる素材のフィルム材、粘着剤層および基材を積層して構成される。本発明において、剥離可能な裏打ち層(4)は、開口部を設けてなることが、最大の特徴点である。該開口部の大きさは、特に限定されないが、該開口部の面積率は2〜95%が好適であり、さらに好ましくは15〜93%である。開口部の面積率とは、粘着フィルムおよびシート全体の面積に対する開口部の面積の比率である。面積率が2%未満では、開口部の面積が小さくて、剛性があり、操作性は良いが、貼付時の位置決めが十分にできない。さらに凹凸部の貼付において追従性が十分でない。95%を超えると凹凸部の貼付において追従性が十分であり、また貼付時の位置決めも十分にできるが、非開口部の面積が小さいため、非開口部による形状保持性(剛性)が十分でなく、貼付時にカールが発生して、貼付が困難となる。
本発明において、開口部は、剥離可能な裏打ち層(4)のうち、少なくとも粘着剤層(42)および基材(43)に設けられていれば良く、さらにはフィルム材(41)にも設けられていても良い。
本発明におけるフィルム材(41)は、貼付時の位置確認が容易であるためには、JIS-K 7105に基く光沢度が50以下であり、好ましくは45以下である。光沢度が50を超えると、透明性が低下して、貼付時の位置決めが困難になるからである。
本発明におけるフィルム材(41)の引張強度は、3〜200N/10mm、好ましくは10〜100N/10mm、より好ましくは15〜55N/10mmである。引張強度は、試料を所定幅×長さ150mmに切出し、100mmの標線を入れ、この試料を引張速度300mm/分で引張り、破断時の引張応力を測定して得た。またそのときの伸び量の比率を伸びとしたときの伸びは、10〜1500%、好ましくは10〜1200%である。引張強度が3N/10mm未満では、十分な剛性が得えられず、コシがないのでハンドリングが十分でない。引張強度が200N/10mmを超えると、剛性であるが、柔軟性がないため、曲面部および凹凸部への貼付が困難である。伸びが10%未満では、湾曲部および凹凸部への貼付時などで、フィルム材(1)への追従が困難になる。1500%を超えるとフィルム材(1)への追従は十分であるが、フィルム材(1)に比べて伸びすぎるため、フィルム材(1)とフィルム材(41)の界面で浮きが生じて、操作性が困難になる。フィルム材(41)の厚さは、引張強度および伸びを満足させるものであれば、特に限定しないが、好ましくは5〜500μmである。5μm未満では、フィルム材(1)との十分な密着性が得られないが、厚さが500μmを超えると、フィルム材(1)との密着性は十分であるが、剛性があり、ハンドリングが十分であるが、厚さが厚くなり、曲面部および凹凸部への貼付が良いとはいえない。
本発明におけるフィルム材(41)は、オレフィン系が好適であり、具体的にはポリエチレンまたはポリプロピレンが好適であり、上記条件を満たすものであれば、高分子鎖が直鎖または分岐鎖であってもよい。製膜方法は、公知の方法を適用することができるが、大きく分類すると、Tダイ、インフレなどのノズルから押し出す方法とカレンダーのようにロールで圧延する方法が挙げられる。
該剥離可能な裏打ち層(4)に含まれる粘着剤層(42)は、後述の剥離強度を満足するものであれば、ゴム系、合成ゴム系、エステル系、アクリル系、シリコーン系等、特に限定されず、また粘着剤層の厚みは、適宜決定される。
該剥離可能な裏打ち層(4)に含まれる基材(43)の剛軟度は60(mm)以上、好ましくは80(mm)以上、より好ましくは100(mm)以上である。これ未満では、十分な剛性が得られないため、粘着フィルムおよびシートの操作性に問題がある。そのような基材(43)としては、上質紙、グラシン紙、パーチメント紙などや、上質紙にレジンをアンカーコートしたもの、またはポリエチレンをラミネートしたものなど、上記条件を満たせば、特に限定する事は無い。
(皮膚に順応しうるフィルム材)
本発明における皮膚に順応しうるフィルム材(1)は、粘着剤層(2)を支持するものである。該フィルム材(1)は、貼付時の位置確認が容易であるため、光沢度が50以下であり、好ましくは45以下である。光沢度が50を超えると透明性が低下して、貼付時の位置決めが困難になるからである。
本発明におけるフィルム材(1)は適度な伸張度により屈曲部および皮膚の伸縮に追従できる柔軟性と固定性を有すると共に、皮膚刺激を著しく低減する効果を付与する。そのような柔軟性と固定性を付与するために、引張強度が3〜100N/20mm、好ましくは5〜90N/20mm、より好ましくは15〜55N/20mm、伸びが250〜1500%、好ましくは200〜1400%である。引張強度の3〜100N/20mmは、屈曲部および凹凸部または皮膚の伸縮の追従へ影響を与えるためである。引張強度が3N/20mm未満では、強度が低くなり、屈曲部の追従および皮膚の伸縮に伴う追従が困難になり、柔軟性に問題がある。引張強度が100N/20mmを超えると、屈曲部の追従および皮膚の伸縮に伴う追従、特に伸長時の追従が困難になり、柔軟性に問題がある。
さらに繰返し使用すると伸長時の抵抗が大きいため皮膚刺激を受けやすくなる。伸びの250〜1500%は、伸びが250%未満であると、屈曲部の追従および皮膚の伸縮に伴う追従が十分できなくなるからである。また、1500%を超えると、屈曲部への追従や皮膚の伸縮に伴う追従は十分であるが、俊敏な追従性に欠けるようになる。
フィルム材(1)の素材は、皮膚に順応し得るものであれば特に制限はなく、例えばアクリル重合体、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン、ポリエーテルポリエステルおよびナイロン誘導体等の重合体を使用することができる。特にポリウレタンは、フィルム材とした時の水蒸気透過性に優れているので、被覆した皮膚の呼吸を妨げることが少なく、かつ皮膚の白化現象を抑制することができるという理由や、透明性を有しているため貼付場所を見ながら貼付することができ、特に好適である。ポリウレタンは、エステル系、エーテル系のいずれであってもよい。
該フィルム材(1)層の厚さは、引張強度および伸びを満足させるものであれば、特に限定しないが、好ましくは10〜100μmである。厚さは、透湿度にも影響を与え、100μmを超えると、屈曲部の追従および皮膚の伸縮に伴う追従が悪くなる。さらに、温度40℃、相対湿度30%において透湿度200g/m・24hr以下となり、十分な透湿性が得られず、蒸れてカブレの原因となる。さらに皮膚貼付時に盛り上がってしまい目立つという問題がある。厚さが10μm未満では、屈曲部の追従および皮膚の伸縮に伴う追従および透湿性が十分に得られるが、薄いため、屈曲部の伸縮で破断するなどの問題が発生する。
本発明において、剥離可能な裏打ち層(4)における基材(43)とフィルム材(41)との剥離強度は、フィルム材(1)とフィルム材(41)との剥離強度より大きければ、特に限定しないが、好ましくは2.0N/20mm以上である。2.0N/20mm未満では、皮膚貼付後に、フィルム材(41)とフィルム材(1)の界面で剥離する場合に、基材(43)とフィルム材(41)の界面で剥離され、本来の機能が発現されない。
本発明において、フィルム材(1)とフィルム材(41)は境界面で分離可能であり、その剥離強度は0.03〜2.0好ましくは0.05〜2.0より好ましくは0.06〜2.0N/50mmである。0.03N/50mm未満では、剥離力が軽く、貼付中にフィルム材(1)とフィルム材(41)の境界面で分離するため問題となる。2.0N/50mmを超えると、皮膚貼付後にフィルム材(1)とフィルム材(41)の境界面で分離する場合、剥離が困難で、フィルム材(1)と皮膚の界面で剥離する。
本発明における製法は、少なくともフィルム材(1)とフィルム材(41)を積層する方法であれば、特に限定されない。好ましくは、インフレ法などの押出しによる方法である。その製膜条件である温度、圧力は、フィルム材(1)とフィルム材(41)の融点およびMI(Melt Index)によって適時決定される。フィルム材(41)とフィルム材(1)を二層押出しにて同時に製膜することによって、フィルム材(1)とフィルム材(41)の密着性が制御し易い。また必要に応じてフィルム材(41)層とフィルム材(1)層の間にプライマーの役目をする層を設けても何ら差し支えない。さらに、図1のようにフィルム材(1)よりフィルム材(41)が長くなっても良い。フィルム材(41)部が長くなることにより、その部分の持ち手とすることにより剥離が容易となる。
(粘着剤層)
本発明における粘着剤層(2)は、上述のフィルム材(1)との投錨性がよく、温度40℃、相対湿度30%において200g/m・24hr以上の透湿度を発現し、皮膚接着性等を満足するものであればよい。かかる性状の粘着剤として、天然ゴム系、合成ゴム系、エステル系、アクリル系、シリコーン系等の粘着剤を使用することができる。該粘着剤層の厚みは5〜180μmが好ましく、より好ましくは10〜150μmである。
本発明における粘着剤層(2)としては、好ましくは、皮膚から飛散される水蒸気を大気中に飛散される機能である透湿性の機能を粘着剤層に持たせると、カブレに対して良好である。さらに前記機能を比較的容易に発現できる粘着剤は、アクリル系である。アクリル系重合体としては、炭素数が2〜15の脂肪族基を有する(メタ)アクリル酸エステルを主成分とするアクリルエステルが用いられる。本発明において用いる炭素数が2〜15からなる(メタ)アクリル酸エステルの例としては、ペンチル基、ヘキシル基、ノニル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基などの脂肪族基を有するアクリル酸ないしメタクリル酸のエステルなどがあげられる。これらから1種類または多種類を用いることができる。脂肪族基は、直鎖であっても分岐鎖であっても問題ない。また、アクリル酸ないしメタクリル酸のエステル、イタコン酸、(無水)マレイン酸などカルボキシル基を有するエチレン性単量体、メトキシポリエテレングリコールアクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレート、ブトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシエチルアクリレート、エトキシエチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレートなどのアルコキシル基を有するエチレン性単量体、さらに必要に応じて側鎖に水酸基、アミノ基、エポキシ基などの架橋を設ける場合に架橋点となる官能基を持つもの、およびジビニルアクリレート、トリメチルプロパノールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートなどの一分子中に2個以上の重合性炭素−炭素二重結合を有する多官能不飽和モノマーなどを、共重合モノマーとして併用も可能である。
また開始剤としては、過酸化水素、過酸化ベンゾイルなどの過酸化物、またはAIBNに代表されるアゾ系などの熱分解によりラジカルを発生させるか、紫外線によりラジカルを発生させる一般的な開始剤であれば、何ら特に規定するものではない。重合方法については、何ら規定すること無く、溶媒または水存在下で熱分解による開始剤を用いてラジカルを発生させるか、紫外線による開始剤を用いてラジカルを発生させる一般的な手法で行う。また、必要に応じて、一分子中に2個以上の重合性炭素−炭素二重結合を有する多官能不飽和モノマー以外や、架橋剤を使用しても何ら差し支えない。架橋剤としては、エポキシ系、イソシアネート系、金属イオン系、アミン系、シラノール系および過酸化物系などの化学的な手法および電子線などの物理的な手法であり、一般的な方法で、あれば何ら差し支えない。これらの粘着フィルムおよびシートは、滅菌処理した状態で使用される場合もある。滅菌処理の方法としては、EOGのガスによる方法とガンマ線、電子線の放射線による方法があり、滅菌処理方法によって、粘着特性を調整してもよい。さらに特開2002-65841号公報に開示された添加物を添加した粘着剤であっても何ら差し支えない。さらに必要に応じて、特許請求の範囲内であれば粘着付与剤、老化防止剤などを添加して粘着特性を調整しても何ら差し支えない。
また粘着剤層(2)における粘着剤の塗布形状に関しては、特許請求の範囲内で、貼付中に水中で使用して水の浸入を防げれば、上記した支持材の片面の全面に設けるか、または部分的に設けても何らかまわない。部分的に設ける場合は、ドット状または条状が設けられる。条間空間を設けることによって、通気路として機能する空間が確保されていれば、直線状、波状、あるいはその他の形状であってよい。一般的には条間空間の断面積の経時的な変化が少ない波状が好ましいが、使用する粘着剤の特性や本発明の粘着フィルムおよびシートの使用部位によって適宜決定してよい。
(剥離ライナー)
本発明の粘着剤層を保護する剥離ライナー(3)は、粘着フィルムおよびシートを使用する際、剥がして使用される。該剥離ライナーは、剥離ライナーとして使用される公知のものを使用することができる。具体的には上質紙、グラシン紙、パーチメント紙等の表面に、シリコーン等の剥離性能を有する剥離剤をコーティングしたものや、上質紙にレジンをアンカーコートしたもの、またはポリエチレンをラミネートしたもの等の表面に、シリコーンなどの剥離性能を有する剥離剤をコーティングしたものなどを使用することができる。この剥離ライナーの厚みは、使用する粘着剤の特性や適用部位によって適宜設定する。
本発明の粘着フィルムおよびシートに用いる剥離ライナー(3)は、少なくとも2分割以上からなり、その一方の面積比が1〜50%からなる。少なくとも2分割以上からなることにより、粘着フィルムおよびシートの糊面が剥離ライナーに覆われているため、操作の際に糊面に指などが直に接して粘着性を低下させることを防げる。さらに、粘着フィルムおよびシートの中央部から端部へ剥離ライナー(3)を剥がすため該粘着フィルムおよびシートの端部がめくれること無く、操作性が良好である。なお、面積比が1%未満では貼付時に開口部が十分に確保されているが、指で掴む部分の面積が小さく操作性が困難である。また、50%を超えると、貼付時に掴む部分は確保されるが、開口部が十分に確保されていないので、貼付位置の確認がしづらいという問題が生じる。
また、剥離ライナー(3)の分割部分であるが、剥離ライナー部分が重複していても良く、また少なくとも一方が折返されていても良い。剥離ライナーは、粘着剤層(2)の表面の汚染を防ぐために、使用するまで粘着剤層表面を被覆させておくことが好ましい。この剥離ライナーは一般的に皮膚へ貼付する粘着フィルムおよびシートなどに用いられる。
(使用方法)
本発明の粘着フィルムおよびシートの使用方法は、図1において、最初に分割された剥離ライナー(3)のうち端部の一つを残して粘着フィルムおよびシートから剥離する(3−1)。次に開口部にて貼付位置を確認して貼付した後、残っている剥離ライナーを剥離する(3−2)。最後にフィルム材(41)と粘着剤層(42)を設けた紙および合成紙(43)が積層された裏打ち層(4)を剥離するという簡単な方法で実施可能である。
以下に本発明の実施例を示し、さらに具体的に本発明を説明するが、本発明は、これらに限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の応用が可能である。
(実施例1)
上質紙にポリエチレンをラミネートした面にシリコーン処理を施した剥離ライナーの処理面に、イソノニルアクリレート63重量部、2−メトキシエチルアクリレート33部、およびアクリル酸4重量部とトリメチルプロパノールトリアクリレート0.01重合部からなる混合物を不活性ガス雰囲気下で酢酸エチルによって共重合されたアクリル系ポリマーを乾燥後の厚みが30μmになるように塗布し、この粘着剤からなる粘着剤層上に支持体として、厚さが15μmで引張強度が20N/20mmで伸びが700%で光沢度が20のポリエーテル系ウレタンと厚さが80μmで引張強度が50N/10mm、伸びが800%で光沢度が40のポリエチレンフィルムを貼合せて、さらに、剛軟度が120(mm)である粘着剤層を設けた合成紙をポリエチレンフィルムの上に貼合わせて、本実施例の粘着シートを得た。本テープに25kGyでガンマ線を照射した。本実施例の粘着シートの中央部において、合成紙に開口率50%の開口部を設けた。
(実施例2)
実施例1と同様に、シリコーン処理をした剥離ライナー上に、2−エチルヘキシルアクリレート60重量部、2-エトキシエチルアクリレート35部、およびアクリル酸3重量部、メタアクリル酸2重量部とトリメチルプロパノールトリアクリレート0.01重量部からなる混合物を不活性ガス雰囲気下で酢酸エチルによって共重合されたアクリル系ポリマーに、多官能基をもったポリイソシアネート0.05部を添加した組成の粘着剤を乾燥後の厚みが25μmになるように塗布した粘着剤層に条状を設けた。この粘着剤層上に支持体として、厚さが25μmで、引張強度が45N/20mm、伸びが350%で光沢度が40のポリエステル系ウレタンと厚さが80μmで、引張強度が120N/10mm、伸びが10%で光沢度が45のポリプロピレンフィルムを貼合せて、さらに、剛軟度が109(mm)である粘着剤層を設けた合成紙をポリプロピレンフィルムの上に貼合せた後、50℃で48時間エージングを行って本実施例の粘着シートを得た。本実施例の粘着シートの中央部において、ポリプロピレンフィルムおよび合成紙に開口率80%の開口部を設けた。
(比較例1)
実施例1と同様の粘着剤およびポリウレタンとポリエチレンフィルムであるが、粘着剤層を設けた紙および合成紙からなる基材をポリエチレンフィルムの上に貼合せないものを、本比較例の粘着シートを得た。
(比較例2)
実施例2と同様の粘着剤およびポリウレタンであるが、予め、ポリウレタンと紙に12μmのポリプロピレンラミネート層が設けられた基材が熱ラミネート処理された基材を貼合せて、本比較例の粘着シートを得た。
(比較例3)
実施例1と同様の粘着剤およびポリウレタンとポリエチレンフィルムであるが、剛軟度が20(mm)である合成紙をポリエチレンフィルムの上に貼合せて、本比較例の粘着シートを得た。
(試験例)
試験方法は以下の方法によった。
・引張強度および伸び
試料を所定幅×長さ150mmに切出し、100mmの標線を入れた。この試料を引張速度300mm/分で引張り、破断時の引張応力を引張強度とした。またそのときの伸び量の比率を伸びとした。
・ポリウレタンフィルムとポリオレフィン層の剥離強度
ポリウレタンフィルムとポリオレフィン層からなる試料を幅50mm×長さ150mmに切出し、ポリウレタン層をステンレス板に固定して、剥離角度180°、剥離速度300m/分で剥離した強度をポリウレタンフィルムとポリオレフィン層の剥離強度とした。
・剛軟度
JIS-L 1096 A法(45°カンチレバー法)に基いた。
・光沢度
JIS-K 7105に基いた。
・面積率
面積率 = (開口部の面積/粘着フィルムおよびシートの面積)×100
・面積比
面積比 =(2分割された剥離ライナーのどちらか一方の面積/粘着フィルムおよびシートの面積)×100
Figure 2009273581
実施例1〜2、および比較例1〜3(100mm×100mm)で調製したテープを使い、年齢層30代以上のボランティア20人に協力を得て、予め両面テープにて固定された10mmφのステンレス球を凸部とし、ステンレス球が開口部の中央にくるように貼付し、下記の基準によって貼付性評価を行った。
(試験結果:確認性)
確認性については、「見易い」「問題なし」「見難い」「非常に見難い」の4段階で評価し、相当する人数の結果を表2に記す。上記段階のうち、「見易い」「問題なし」を確認性が良好であるので有効であるとし、有効率を表2に併記した。
Figure 2009273581
(試験結果:凹凸接着性)
凹凸接着性については、「接着性がよい」「問題なし」「接着性がよくない」「非常に接着性がよくない」の4段階で評価し、相当する人数の結果を表3に記した。上記段階のうち、「接着性がよい」「問題なし」を凹凸接着性が良好であるので有効であるとし、有効率を表3に併記した。
Figure 2009273581
(試験結果:操作性)
操作性については、裏打ち層の剥離が、「剥離易い」「問題なし」「剥離難い」「非常に剥離難い」の4段階で評価し、相当する人数の結果を表4に記す。上記段階のうち、「剥離易い」「問題なし」を操作性が良好であるので有効であるとし、有効率を表4に併記した。
Figure 2009273581
(試験結果:貼付性)
貼付性については、「貼り易い」「問題なし」「貼り難い」「非常に貼り難い」の4段階で評価し、相当する人数の結果を表5に記す。上記段階のうち、「貼り易い」「問題なし」を貼付性が良好であるので有効であるとし、有効率を表5に併記した。
Figure 2009273581
本発明の粘着フィルムおよびシートの断面図である。 本発明の粘着フィルムおよびシートの表面図である。
符号の説明
1 フィルム材
2 粘着剤層
3 剥離ライナー
4 剥離可能な裏打ち層
41 フィルム材
42 粘着剤層
43 基材

Claims (9)

  1. 1)皮膚に順応しうるフィルム材、2)粘着剤層、3)粘着剤層を保護する剥離ライナーが積層され、かつ、前記フィルム材の粘着剤層とは反対側の面に、4)前記フィルム材とは異なる素材のフィルム材、粘着剤層および基材からなる剥離可能な裏打ち層を積層して構成される粘着フィルムおよびシートにおいて、前記4)の裏打ち層に含まれる粘着剤層および基材が、1)の皮膚に順応しうるフィルム材に対して開口部を設けてなることを特徴とする粘着フィルムおよびシート。
  2. 前記開口部の面積率が、粘着フィルムおよびシートの面積に対して2〜95%であることを特徴とする請求項1に記載の粘着フィルムおよびシート。
  3. 前記4)の裏打ち層に含まれるフィルム材が、開口部を有さないで、前記1)皮膚に順応しうるフィルム材に積層されている請求項1または2に記載の粘着フィルムおよびシート。
  4. 前記4)の裏打ち層に含まれるフィルム材が、同4)の裏打ち層に含まれる粘着剤層および基材に有する開口部と同形の開口部を設けてなる請求項1または2に記載の粘着フィルムおよびシート。
  5. 前記1)の皮膚に順応しうるフィルム材および/または前記4)の裏打ち層に含まれるフィルム材の光沢度が50以下である請求項1〜4のいずれか一に記載の粘着フィルムおよびシート。
  6. 前記3)の粘着剤層を保護する剥離ライナーが少なくとも2分割以上からなり、その一方の面積比が1〜50%である請求項1〜5のいずれか一に記載の粘着フィルムおよびシート。
  7. 前記4)の裏打ち層に含まれるフィルム材の少なくとも一方向における引張強度が3〜200N/10mmであり、伸びが10〜1500%である請求項1〜6のいずれか一に記載の粘着フィルムおよびシート。
  8. 前記4)の裏打ち層に含まれる基材の剛軟度が60(mm)以上である請求項1〜7のいずれか一に記載の粘着フィルムおよびシート。
  9. 前記1)の皮膚に順応しうるフィルム材がポリウレタンであり、前記4)の裏打ち層に含まれるフィルム材が、ポリオレフィンである請求項1〜8のいずれか一に記載の粘着フィルムおよびシート。
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