JP2009272136A - 燃料電池用電極の製造方法、燃料電池用膜−電極接合体の製造方法および燃料電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】触媒層のひび割れの発生をコントロールし、これによって燃料電池の放電特性を安定化させる。
【解決手段】まず、触媒および溶媒を含むペースト7を支持体15に塗布することによって、支持体15上に未乾燥の触媒層7’を形成する。次に、ガス拡散層12bを構成するべきシートを触媒層7’に積層する。次に、触媒層7’をガス拡散層12bと支持体15とで挟んだ状態で乾燥させる。乾燥工程よりも後に、触媒層7bから支持体15を離間させる。触媒層7およびガス拡散層12bを含む電極9bと電解質膜1とを接合する。
【選択図】図2
【解決手段】まず、触媒および溶媒を含むペースト7を支持体15に塗布することによって、支持体15上に未乾燥の触媒層7’を形成する。次に、ガス拡散層12bを構成するべきシートを触媒層7’に積層する。次に、触媒層7’をガス拡散層12bと支持体15とで挟んだ状態で乾燥させる。乾燥工程よりも後に、触媒層7bから支持体15を離間させる。触媒層7およびガス拡散層12bを含む電極9bと電解質膜1とを接合する。
【選択図】図2
Description
本発明は、燃料電池用電極の製造方法、燃料電池用膜−電極接合体の製造方法および燃料電池に関する。
近年、高効率および低環境負荷を実現できる燃料電池が、次世代のエネルギー源として期待されている。特に、プロトン導電性膜(高分子電解質膜)を用いた固体高分子型燃料電池(PEFC)は、各種電源としての応用が期待されており、最も注目を集めている。PEFCには、その発電要素として、高分子電解質膜と、この高分子電解質膜の両側に配置された一対の電極(アノードおよびカソード)とを有する膜−電極接合体(MEA:Membrane-Electrode Assembly)が広く用いられている。MEAの電極は、通常、触媒層とガス拡散層とを有する。
従来、MEAは次のような方法で製造されていた。まず、ガス拡散層を構成するカーボンシートを準備し、このカーボンシートに触媒および溶媒を含むペーストを塗布する。次に、塗布したペーストを乾燥させる。これによって、カーボンシートと、このカーボンシート上に形成された触媒層とを有する電極が得られる。アノードおよびカソードの各々をこの方法で作製する。最後に、触媒層と電解質膜とが接するように、アノード、電解質膜およびカソードを熱プレスによって一体化させる(特許文献1の実施例1)。
特開2005−222894号公報
上記方法によれば、触媒および溶媒を含むペーストを乾燥させることによって、このペーストに含まれる溶媒が揮発し、カーボンシート上に触媒層が形成される。溶媒の揮発に伴い、触媒層の表面に微小なひび割れが不可避的に発生する。ひび割れは、触媒(例えばPtを担持したカーボン粒子)が凝集することによって生じているものと考えられる。さらに、本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、触媒層に形成されたひび割れと、燃料電池の放電特性との間に相関があることを見出した。具体的には、燃料電池の放電特性がバラつく原因の一つが、触媒層のひび割れにあることを見出した。
本発明の目的は、触媒層のひび割れの発生をコントロールし、これによって燃料電池の放電特性を安定化させることにある。
すなわち、本発明は、
触媒および溶媒を含むペーストを支持体に塗布することによって、前記支持体上に未乾燥の触媒層を形成する工程と、
ガス拡散層を構成するべきシートを前記触媒層に積層する工程と、
前記触媒層を前記ガス拡散層と前記支持体とで挟んだ状態で乾燥させる工程と、
前記乾燥工程よりも後に、前記触媒層から前記支持体を離間させる工程と、
前記触媒層および前記ガス拡散層を含む電極と電解質膜とを接合する工程と、
を含む、燃料電池用膜−電極接合体の製造方法を提供する。
触媒および溶媒を含むペーストを支持体に塗布することによって、前記支持体上に未乾燥の触媒層を形成する工程と、
ガス拡散層を構成するべきシートを前記触媒層に積層する工程と、
前記触媒層を前記ガス拡散層と前記支持体とで挟んだ状態で乾燥させる工程と、
前記乾燥工程よりも後に、前記触媒層から前記支持体を離間させる工程と、
前記触媒層および前記ガス拡散層を含む電極と電解質膜とを接合する工程と、
を含む、燃料電池用膜−電極接合体の製造方法を提供する。
他の側面において、本発明は、
上記方法によって燃料電池用電極を作製する工程と、
前記燃料電池用電極と電解質膜とを接合する工程とを含む、
燃料電池用膜−電極接合体の製造方法を提供する。
上記方法によって燃料電池用電極を作製する工程と、
前記燃料電池用電極と電解質膜とを接合する工程とを含む、
燃料電池用膜−電極接合体の製造方法を提供する。
他の側面において、本発明は、上記方法によって製造された燃料電池用膜−電極接合体を発電要素として備える燃料電池を提供する。
前述したように、触媒層のひび割れと、燃料電池の放電特性との間には相関がある。ひび割れに関する情報は、レーザー顕微鏡によって触媒層の表面を観察することによって得られる。具体的には、触媒層の表面のレーザー顕微像を2値化処理することによって、ひび割れ面積率(%)を算出できる。ここで、(ひび割れ面積率)=(ひび割れが占める面積)/(測定面積)である。
触媒層のひび割れは、本発明の方法を採用したとしても不可避的に発生する。また、ひび割れ面積率の平均値も本発明の方法と従来の方法とで変わらない。
しかしながら、従来の方法では、触媒層に大きくて深いひび割れが発生しやすい。また、製品間のひび割れ面積率のバラつきも大きい。これは、触媒層の表面が空気に晒された状態で乾燥工程を行うことが一つの原因ではないかと考えられる。ひび割れ面積率がバラついていたり、大きなひび割れがあったりすると、電極と電解質膜とを熱プレスで接合する過程で、電解質膜の形状やMEAの厚みが不均一になりやすい。電解質膜の形状やMEAの厚みの不均一性は、燃料ガス、触媒およびアイオノマーが接する三相界面に影響を及ぼす。この結果として、燃料電池の放電特性がバラつくものと考えられる。
これに対し、本発明の方法によれば、ガス拡散層および支持体で挟んだ状態で触媒層を乾燥させる。つまり、触媒層が空気に曝露するのを防ぎつつ乾燥を行う。これにより、触媒層に大きいひび割れが生じにくくなるとともに、ひび割れ面積率のバラつきも小さくなる。この結果、電解質膜の形状やMEAの厚みの不均一化が抑制され、燃料電池の放電特性が均一化されうる。
本発明の製造方法の一例を、図1A〜図1Eに示す。
図1Aに示すように、まず、触媒層を形成するためのペースト7を支持体15に塗布する。ペースト7を塗布することによって、支持体15の上に未乾燥の触媒層7’が形成される。触媒層7’の厚さは、例えば175〜200μmである。ペースト7は、触媒と溶媒とを混練したものである。
触媒の種類は、燃料電池の触媒(アノード触媒またはカソード触媒)として機能できる限り特に限定されない。例えば、貴金属粉末および/または貴金属を担持したカーボン粒子を触媒として用いることができる。貴金属として、典型的には、白金(Pt)、パラジウム(Pd)およびルテニウム(Ru)からなる群より選ばれた少なくとも1つが用いられる。
溶媒として、短鎖アルコールや水を用いることができる。短鎖アルコールの具体例は、1-プロパノールや2−プロパノールである。
また、ペースト7は、触媒および溶媒以外の材料を含んでいてもよい。例えば、触媒層中において三相界面を確立するために、パーフルオロカーボンスルホン酸(例えば、デュポン社製ナフィオン(登録商標))などの高分子電解質を含んでいてもよい。
支持体15の材料は、ペースト7を均一の厚みで塗布することが可能で、事後的に剥離できるものであれば特に限定されない。入手し易さや取り扱い易さを考慮すると、20〜60μm程度の厚さを有する樹脂フィルムを支持体15として用いるのがよい。工業的には、ポリエチレンテレフタラートからなるキャリアフィルムが普及しているので、これを支持体15として用いてもよいが、本実施形態では、PTFEフィルムを用いている。
PTFEフィルムは耐薬品性に優れているとともに、ツルツルした表面を有していて剥離性にも優れるので、支持体15として好適な材料である。また、PTFEフィルムは、多孔性を有していてもよいし、有していなくてもよい。PTFEフィルムと同等の耐薬品性および剥離性を有する樹脂フィルムとして、ポリイミドフィルムを挙げることができ、これを支持体15として用いてもよい。
なお、大きいひび割れが生じにくくなったり、ひび割れ面積率のバラつきが小さくなったりする理由は必ずしも明らかではないが、本発明者らは、支持体15で保持することによって、ペーストが乾燥する際に触媒の凝集が起こりにくくなっていることが主因であると考えている。
図1Aには、支持体15にペースト7を塗布する方法として、バーコート法を示している。バーコート法では、ペースト7をダイ20から支持体15に供給するとともに、支持体15に供給したペースト7の厚みをメタルバー21にて調節する。これによって、触媒層7’が所定の厚みで支持体15上に連続的に形成される。なお、塗布方法はバーコート法に限定されるものではなく、印刷法、スプレー法、ドクターブレード法、ディッピング法などの公知の塗布方法を適宜採用しうる。
次に、図1Bに示すように、ガス拡散層12bを構成するべきシート12bを未乾燥の触媒層7’に積層する。触媒層7’とシート12bとを軽く加圧し、両者が剥離しないようにする。シート12bの材料は、燃料ガスが拡散可能かつ導電性を有するものであれば特に限定されない。シート12bとして、カーボンクロス、カーボンペーパー、カーボンフェルトなどのカーボン繊維の織布、不織布などを使用できる。
次に、図1Cに示すように、触媒層7’およびガス拡散層12bを支持体15上で乾燥させる。具体的には、触媒層7’およびガス拡散層12bを支持体15とともに恒温槽19に搬入する。恒温槽19の雰囲気温度を50〜70℃の範囲に設定することによって、未乾燥の触媒層7’から溶媒を揮発させ、乾燥した触媒層7bが形成される。
次に、図1Dに示すように、触媒層7bから支持体15を離間させる。本実施形態では、支持体15として樹脂フィルムが用いられているので、離間工程において、触媒層7bから樹脂フィルムを剥離する操作を実施する。樹脂フィルムを剥離するだけでよいので、本実施形態の方法は、カーボンシート(ガス拡散層)に触媒層を直接形成する従来の方法と比べて、生産性の面でも遜色ない。
なお、触媒層7bから支持体15としての樹脂フィルムを剥離する際、触媒層7bが連れ剥がれることもありうる。優れた剥離性を有するPTFEフィルムを支持体15に用いることによって、この連れ剥がれの問題が生じにくくなり、高い歩留まりを達成できる。
以上の方法によって、カソード9bを作製できる。カソード9bと同じ方法でアノード9aも作製できる。なお、貴金属を担持したカーボン粒子を触媒として用いた場合に凝集が顕著となる傾向があるので、その場合に本発明を適用すると一層高い効果が得られる。
さらに、図1Eに示すように、アノード触媒層7aと電解質膜1とが接し、カソード触媒層7bと電解質膜1とが接するように、アノード9a、電解質膜1およびカソード9bを重ね合わせる。熱プレスによって、アノード9aと電解質膜1とを接合し、電解質膜1とカソード9bとを接合する。これにより、図2に示す燃料電池用MEA31が得られる。
図3は、本発明の方法によって製造されたMEAを用いた燃料電池の一例を示している。燃料電池11は、図2に示すMEA31と、MEA31を挟むように配置された一対のセパレータ(アノードセパレータ13aおよびカソードセパレータ13b)とを備えている。燃料電池11を構成する各部材は、各部材の主面に垂直な方向に、所定の圧力が印加された状態で保持されている。
燃料電池11は、典型的には、固体高分子型燃料電池(PEFC)であり、電解質膜1の種類によっては、リン酸型燃料電池(PAFC)とすることもできる。なお、PEFCには、ダイレクトメタノール型燃料電池(DMFC)が含まれる。
図3に示す燃料電池11は単セル(シングルセル)であるが、このような単セルを複数積層して、燃料電池スタックとしてもよい。
セパレータ13a,13bは、導電性を有しており、通常、カーボンまたはSUSなどの金属から構成される。各々のセパレータ13a,13bには、燃料ガス流路14aおよび酸化剤ガス流路14bが形成されている。各流路を介して、燃料ガスおよび酸化剤ガスが、MEA31に供給される。
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明する。本発明は、以下に示す実施例に限定されない。
(アノード触媒層を形成するためのペースト(A)の調製)
アノード触媒としてのPt−Ru粒子(ジョンソン・マッセイ・フュエルセルズ・ジャパン社製HiSPEC6000、Pt/Ru(重量比)=67/33)10.4gと、ナフィオン溶液(DE2020CS、固形分20重量%)5.2gと、溶媒としての適量の1−プロパノールとをボールミルで混合した。混合物を冷蔵庫で1日以上静置した。これにより、アノード触媒層を形成するためのペースト(A)を得た。
アノード触媒としてのPt−Ru粒子(ジョンソン・マッセイ・フュエルセルズ・ジャパン社製HiSPEC6000、Pt/Ru(重量比)=67/33)10.4gと、ナフィオン溶液(DE2020CS、固形分20重量%)5.2gと、溶媒としての適量の1−プロパノールとをボールミルで混合した。混合物を冷蔵庫で1日以上静置した。これにより、アノード触媒層を形成するためのペースト(A)を得た。
(カソード触媒層を形成するためのペースト(B)の調製)
カソード触媒としてのPt担持カーボン粒子(田中貴金属工業社製TEC10E50E)6.76gと、ナフィオン溶液(DE2020CS、固形分20重量%)16.90ggと、溶媒としての適量の1−プロパノールとをボールミルで混合した。混合物を冷蔵庫で1日以上静置した。これにより、カソード触媒層を形成するためのペースト(B)を得た。
カソード触媒としてのPt担持カーボン粒子(田中貴金属工業社製TEC10E50E)6.76gと、ナフィオン溶液(DE2020CS、固形分20重量%)16.90ggと、溶媒としての適量の1−プロパノールとをボールミルで混合した。混合物を冷蔵庫で1日以上静置した。これにより、カソード触媒層を形成するためのペースト(B)を得た。
(高分子電解質膜の作製)
電解質膜に用いる高分子基材として、10cm角に切断したポリフッ化ビニリデン(PVdF)フィルム(膜厚50μm)を準備した。次に、このPVdFフィルムの表面に、室温、大気雰囲気下において、加速電圧を250kVとして得た電子線を線量にして30kGy照射した。次に、電子線照射により生成したラジカルが維持されるように、PVdFフィルムをドライアイス温度にまで冷却して保管した。一方、スチレンモノマー200g、ジビニルベンゼン6.94g、メタノール100gおよびクロロホルム100gを混合し、90℃のオイルバスで加熱して沸騰させて得たグラフト重合溶液を準備した。そして、PVdFフィルムをグラフト重合溶液に浸漬し、PVdFフィルムにスチレンをグラフト重合させた。グラフト重合を行う際には、重合前後におけるフィルムの重量増加率が13%になるように、重合時間を調整した。
電解質膜に用いる高分子基材として、10cm角に切断したポリフッ化ビニリデン(PVdF)フィルム(膜厚50μm)を準備した。次に、このPVdFフィルムの表面に、室温、大気雰囲気下において、加速電圧を250kVとして得た電子線を線量にして30kGy照射した。次に、電子線照射により生成したラジカルが維持されるように、PVdFフィルムをドライアイス温度にまで冷却して保管した。一方、スチレンモノマー200g、ジビニルベンゼン6.94g、メタノール100gおよびクロロホルム100gを混合し、90℃のオイルバスで加熱して沸騰させて得たグラフト重合溶液を準備した。そして、PVdFフィルムをグラフト重合溶液に浸漬し、PVdFフィルムにスチレンをグラフト重合させた。グラフト重合を行う際には、重合前後におけるフィルムの重量増加率が13%になるように、重合時間を調整した。
重合完了後、PVdFフィルムを重合溶液から取り出し、トルエン中において12時間洗浄し、さらにメタノール中において10分間洗浄した後、60℃の乾燥炉中において乾燥させた。これにより、ポリスチレン鎖がグラフト重合したPVdFフィルムを得た。
次に、得られたフィルムを、濃度0.2Mの1,3,5−トリメチルベンゼン−2−スルホン酸/o−ジクロロベンゼン溶液中に浸漬し、135℃で30分処理して、ポリスチレン鎖にスルホン基を導入した。次に、ポリスチレン鎖にスルホン基を導入したフィルムを、イソプロピルアルコール中で30分間、2回洗浄し、さらに60℃の温水中で30分間洗浄した後、60℃の乾燥炉中において乾燥させて、PVdFからなる基材の表面に、イオン伝導基としてスルホン基を有するポリスチレン鎖がグラフト重合した構造を有する高分子電解質膜を得た。
(実施例のカソードの作製)
ペースト(B)をバーコート法でPTFEフィルム(日東電工社製MPS−31、厚さ25μm)に200μmの厚さで塗布した(Pt担持量1.5mg/cm2)。次に、PTFEフィルムに塗布したペースト(未乾燥の触媒層)の上に、ガス拡散層としてのカーボンシート(NOK社製H2315IX6、厚さ0.2mm)を積層した。その後、触媒層およびガス拡散層をPTFEフィルムに載せたまま雰囲気温度が60℃の恒温槽に入れ、触媒層を10分間乾燥させた。最後に、触媒層からPTFEフィルムを剥離し、実施例1のカソード(表面積25cm2)を得た。同じ手順で実施例2〜実施例5のカソードを作製した。
ペースト(B)をバーコート法でPTFEフィルム(日東電工社製MPS−31、厚さ25μm)に200μmの厚さで塗布した(Pt担持量1.5mg/cm2)。次に、PTFEフィルムに塗布したペースト(未乾燥の触媒層)の上に、ガス拡散層としてのカーボンシート(NOK社製H2315IX6、厚さ0.2mm)を積層した。その後、触媒層およびガス拡散層をPTFEフィルムに載せたまま雰囲気温度が60℃の恒温槽に入れ、触媒層を10分間乾燥させた。最後に、触媒層からPTFEフィルムを剥離し、実施例1のカソード(表面積25cm2)を得た。同じ手順で実施例2〜実施例5のカソードを作製した。
(比較例のカソードの作製)
ペースト(B)をバーコート法でカーボンシートに直接塗布し、60℃の恒温槽で10分間乾燥させた。これにより、比較例のカソードを得た。同じ手順で比較例2〜比較例5のカソードを作製した。
ペースト(B)をバーコート法でカーボンシートに直接塗布し、60℃の恒温槽で10分間乾燥させた。これにより、比較例のカソードを得た。同じ手順で比較例2〜比較例5のカソードを作製した。
(触媒層の表面観察)
カソード触媒層の中央部の表面をレーザー顕微鏡(レーザーテック社製VL2000)で観察し、ひび割れ面積率を算出した。結果を表1に示す。
カソード触媒層の中央部の表面をレーザー顕微鏡(レーザーテック社製VL2000)で観察し、ひび割れ面積率を算出した。結果を表1に示す。
表1に示すように、ひび割れ面積率の平均値に関して、実施例と比較例との間に大きな差は生じなかった。他方、最大値と最小値との差(Max−Min)に関して、比較例は13.1%と大きかったが、実施例は5.9%と小さかった。つまり、実施例では、ひび割れ面積率のバラつきが小さかった。
図4Aは、実施例1のカソード触媒層の表面像である。図4Bは、比較例1のカソード触媒層の表面像である。図4Aおよび図4Bは、いずれも2値化処理が施された像である。ただし、図4Aでは白い筋状の部分がひび割れを表しており、図4Bでは黒い筋状の部分がひび割れを表している。図4Aおよび図4Bより、以下の事実が明らかとなった。
(i)実施例のひび割れの方が、比較例のひび割れよりも緻密に形成されていた。
(ii)実施例には、比較例に見られるような太いひび割れがなかった。
(iii)実施例のひび割れの太さは揃っていた。
(i)実施例のひび割れの方が、比較例のひび割れよりも緻密に形成されていた。
(ii)実施例には、比較例に見られるような太いひび割れがなかった。
(iii)実施例のひび割れの太さは揃っていた。
(燃料電池の作製)
まず、ペースト(A)をバーコート法でカーボンシート(NOK社製H2315IX6、厚さ0.2mm)に直接塗布し(Pt−Ru担持量3.0mg/cm2)、60℃の恒温槽で10分間乾燥させた。その後、触媒層およびガス拡散層(カーボンシート)を135℃、2.0MPa、1分間の条件で熱プレスし、アノードを得た。
まず、ペースト(A)をバーコート法でカーボンシート(NOK社製H2315IX6、厚さ0.2mm)に直接塗布し(Pt−Ru担持量3.0mg/cm2)、60℃の恒温槽で10分間乾燥させた。その後、触媒層およびガス拡散層(カーボンシート)を135℃、2.0MPa、1分間の条件で熱プレスし、アノードを得た。
実施例1のカソードと、先に作製した電解質膜と、アノードとを175℃、1.5MPa、5分間の条件で熱プレスし、これらを一体化することによってMEAを得た。同様の方法で、実施例2、実施例3および比較例1〜3のカソードを用いてMEAを得た。
これらのMEAを用いて、図3に示す燃料電池(単セル)を作製した。セルの面積は、電解質膜における触媒層が形成された部分の面積と同一(25cm2)とした。
(燃料電池の放電特性)
このように作製した燃料電池のアノード側に燃料として濃度1mol/リットルのメタノール水溶液を流し、カソード側に酸化剤として空気を流して発電させ、セル電圧が0.4Vのときの電流密度を測定した。なお、発電条件は、セル温度70℃、燃料の流量3.0ml/分、酸化剤の流量500ml/分とした。測定結果を図5に示す。
このように作製した燃料電池のアノード側に燃料として濃度1mol/リットルのメタノール水溶液を流し、カソード側に酸化剤として空気を流して発電させ、セル電圧が0.4Vのときの電流密度を測定した。なお、発電条件は、セル温度70℃、燃料の流量3.0ml/分、酸化剤の流量500ml/分とした。測定結果を図5に示す。
比較例にかかるMEAを用いた燃料電池の電流密度は、大きくバラついた。これに対し、実施例にかかるMEAを用いた燃料電池は、ほぼ一定の値を示した。
1 電解質膜
7 ペースト
7’ 触媒層(未乾燥)
7a,7b 触媒層
9a アノード
9b カソード
11 燃料電池
12a,12b ガス拡散層
15 支持体
31 膜−電極接合体(MEA)
7 ペースト
7’ 触媒層(未乾燥)
7a,7b 触媒層
9a アノード
9b カソード
11 燃料電池
12a,12b ガス拡散層
15 支持体
31 膜−電極接合体(MEA)
Claims (6)
- 触媒および溶媒を含むペーストを支持体に塗布することによって、前記支持体上に未乾燥の触媒層を形成する工程と、
ガス拡散層を構成するべきシートを前記触媒層に積層する工程と、
前記触媒層を前記ガス拡散層と前記支持体とで挟んだ状態で乾燥させる工程と、
前記乾燥工程よりも後に、前記触媒層から前記支持体を離間させる工程と、
を含む、燃料電池用電極の製造方法。 - 前記支持体が、樹脂フィルムであり、
前記離間工程において、前記触媒層から前記樹脂フィルムを剥離する操作を実施する、請求項1に記載の燃料電池用電極の製造方法。 - 前記樹脂フィルムが、ポリテトラフルオロエチレンフィルムである、請求項2に記載の燃料電池用電極の製造方法。
- 前記触媒が、貴金属を担持しているカーボン粒子である、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の燃料電池用電極の製造方法。
- 請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の方法によって燃料電池用電極を作製する工程と、
前記燃料電池用電極と電解質膜とを接合する工程とを含む、
燃料電池用膜−電極接合体の製造方法。 - 請求項5に記載の方法によって製造された燃料電池用膜−電極接合体を発電要素として備える燃料電池。
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JP (1) | JP2009272136A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7837819B2 (en) * | 2007-09-07 | 2010-11-23 | Hyundai Motor Company | Method of manufacturing membrane-electrode assembly for fuel cell |
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2008
- 2008-05-07 JP JP2008121410A patent/JP2009272136A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7837819B2 (en) * | 2007-09-07 | 2010-11-23 | Hyundai Motor Company | Method of manufacturing membrane-electrode assembly for fuel cell |
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