JP2009271152A - 電子写真用感光体およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】感光体ドラムやその周辺部材のリサイクル時においても、また、液体現像プロセスに使用した際にもクラックを生じにくく、良好な画像を得る事のできる電子写真用感光体を提供する。
【解決手段】導電性基体上に少なくとも電荷発生材料および電荷輸送材料を含む感光層を有する電子写真用感光体において、前記感光層が樹脂バインダとして、特定の共重合ポリアリレート樹脂を含むことを特徴とする電子写真用感光体。
【選択図】なし

Description

本発明は電子写真用感光体(以下単に「感光体」とも称する)およびその製造方法に関し、詳しくは、主として導電性基体と有機材料を含む感光層とからなり、電子写真方式のプリンター、複写機、ファックスなどに用いられる電子写真用感光体およびその製造方法に関する。
電子写真用感光体は、導電性基体上に光導電機能を有する感光層を設置した構造を基本構造とする。近年、電荷の発生や輸送を担う機能成分として有機化合物を用いる有機電子写真用感光体が、材料の多様性、高生産性、安全性などの利点により、研究開発が活発に進められ、複写機やプリンターなどへの適用が進められている。
一般に、感光体には、暗所で表面電荷を保持する機能や、光を受容して電荷を発生する機能、さらには発生した電荷を輸送する機能が必要であり、これらの機能を併せ持った単層の感光層を備えた、いわゆる単層型感光体と、主として光受容時の電荷発生の機能を担う電荷発生層と、暗所で表面電荷を保持する機能および光受容時に電荷発生層にて発生した電荷を輸送する機能とを担う電荷輸送層とに機能分離した層を積層した感光層を備えた、いわゆる積層型(機能分離型)感光体とがある。
前記感光層は、電荷発生材料および電荷輸送材料と樹脂バインダとを有機溶剤に溶解あるいは分散させた塗布液を、導電性基体上に塗布することにより形成されるのが一般的である。これら有機電子写真用感光体の、特に最表面となる層においては、紙や、トナー除去のためのブレードとの間に生ずる摩擦に強く、可とう性に優れ、かつ、露光の透過性が良いポリカーボネートを樹脂バインダとして使用することが多く見られる。中でも、樹脂バインダとしては、ビスフェノールZ型ポリカーボネートが広く用いられている。樹脂バインダとしてかかるポリカーボネートを用いた技術は、特許文献1等に記載されている。
一方、ポリアリレート樹脂も公知である。特許文献2では熱安定化ジヒドロキシジアリールアルカン材料として、テレフタル酸、イソフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、およびビスフェノール等が構成要素として記載されている。特許文献3では易滑性フィルム用ポリエステルの製造法として、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、およびビスフェノールA、エチレングリコール等が構成要素として記載されている。特許文献4では乾湿熱エイジング耐久性向上型として、テレフタル酸、イソフタル酸、およびビスフェノールA等が構成要素として記載されている。特許文献5では製造法と難燃性成型用組成物として、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ビスフェノールA等が構成要素として記載されている。
さらに、電子写真技術関連としては、特許文献6ではトナー組成物の縮合ポリマーブロックとして、ポリビスフェノールA−アゼレート−コ−イソフタレートが記載されている。特許文献7では電子写真用紙等の電子写真受像材料のトナー受像層として、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ビスフェノールA等で構成されるポリエステル樹脂が記載されている。特許文献8では効率良く合成でき、低融点粘度を持ち面倒な副産物の少ない、感光体の電荷輸送中の樹脂バインダとして、ビスフェノール構造とフタル酸およびアルキレンが含まれるビスフェノールベースのポリエステルが記載されている。特許文献9では極めて高い光感度及び低い残留電位を示し、繰り返し使用しても残留電位の蓄積がほとんどなく、また帯電性、感度の変動も非常に少なく安定性が極めて良好で耐久性に優れた電子写真感光体を提供することを課題として、感光層中の樹脂バインダとして、ビスフェノール構造とイソフタル酸およびテレフタル酸が含まれるポリエステル樹脂が記載されている。
また、特許文献10には耐ソルベントクラック性及び機械的強度に優れるととともに、耐電気特性が良好であり、高感度かつフォトメモリーの電子感光体等を提供することを目的として、テレフタル酸、イソフタル酸およびアルキレン基を構成単位とするポリエステル樹脂が記載されている。さらに、特許文献11には、耐ソルベントクラック性の高い樹脂バインダとして、ビスフェノール構造とイソフタル酸およびテレフタル酸が含まれるポリアリレート樹脂が記載されている。
特開昭61−62040号公報 ドイツ特許1200319号公報 特公昭48−28800号公報 特開昭55−58223号公報 特開昭60−11441号公報 特開昭64−32267号公報 特開2000−352834号公報 特開平4−274434号公報 特開2002−23393号公報 特許第3953072号公報 特開2005−115091号公報
しかしながら、電子写真感光体の樹脂バインダとしてビスフェノールZ型ポリカーボネートを用いた場合、形成された感光層において、ソルベントクラックや、皮脂に起因するクラックを生じ易いという難点があった。このうちソルベントクラックは、感光体や帯電部材をクリーニングするために用いられるクリーナーの溶剤との接触により発生しやすく、特に、接触帯電方式の帯電ローラーを、クリーナーでクリーニングした後、溶剤が完全に揮発しないままの状態で感光体に接触させると、感光層により大きなクラックを生じさせることになる。
近年の環境問題に対する意識の高まりに伴いリサイクルに対する対応が進む中で、感光体やカートリッジにおいては、リチャージおよびクリーニングの実施が一般的になってきている。従って、このような状況の下、前記ソルベントクラックの問題の解消は急務である。また、特に、液体現像プロセスにおいては、トナーを分散させたキャリアー液が直接感光体ヘ接触するためにソルベントクラックが発生しやすいという問題があり、この点も強く解決が望まれているところである。
前記問題に対して、例えば、特許文献1においては、ビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂とビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂とを混合して用いることが開示されているが、この方法も十分な解決策とはなっていないのが現状である。また、これまでに提案されたビスフェノール構造を有する各種ポリエステル樹脂においても、耐ソルベントクラック性においてはなお十分とはいえなかった。
一方、感光層の保護や機械的強度の向上、表面潤滑性の向上などを目的として、感光層上に表面保護層を形成することも提案されているが、これら表面保護層においては、前記感光層と同様にクラックの問題は避けることができなかった。
かかる状況下、特許文献11には、これまでになく高い耐ソルベントクラック性を示す樹脂バインダとして特定のポリアリレートが記載されている。しかし、今日の環境問題に対する強い意識の高まりに伴い、電子写真感光体の樹脂バインダとしてより高い耐ソルベントクラック性を示すものが望まれている。
そこで、本発明の目的は、感光層に用いる樹脂バインダを改良することにより、感光体ドラムやその周辺部材のリサイクル時においても、また、液体現像プロセスに使用した際にも、これまで以上にクラックを生じにくく、良好な画像を得ることのできる電子写真用感光体およびその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、耐ソルベントクラック性の高い樹脂バインダにつき検討した結果、ポリアリレート樹脂に着目した。その中でもイソフタル酸構造の比率がより高いポリアリレート樹脂を樹脂バインダとして用いることにより、優れた耐ソルベントクラック性と、感光体塗布液用溶剤に対する高い溶解性とを得ることができ、感光体塗布液の安定性を向上できることを見出した。さらに当該ポリアリレート樹脂にアルキレン基を導入することにより分子の一部に柔軟性を取り入れることで構造の自由度を増やし、密度の向上、潤滑性が向上し、併せて電気特性に優れた電子写真用感光体を実現することが可能となることを見出して、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の電子写真用感光体は、導電性基体上に少なくとも電荷発生材料および電荷輸送材料を含む感光層を有する電子写真用感光体において、前記感光層が樹脂バインダとして、下記一般式(I)、
Figure 2009271152
(式中、部分構造式(A)、(B)、および(C)は樹脂バインダを構成する構造単位を表し、l、m、およびnはそれぞれ各構造単位(A)、(B)および(C)のモル%を示し、l+m+nが100モル%、mが50〜65モル%、nが1〜10モル%であり、RおよびRは、同一でも異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、シクロアルキル基、またはアリール基を示し、もしくはこれらが結合している炭素原子と共に環状構造を形成していてもよく、該環状構造には1または2個のアリーレン基が結合していてもよく、R〜R18は、同一でも異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、フッ素原子、塩素原子、または臭素原子を示し、Aは炭素数4〜10の2価のアルキレン基を示す)で表される共重合ポリアリレート樹脂を含むことを特徴とするものである。
本発明の感光体においては、好適には、前記感光層が少なくとも電荷発生層と電荷輸送層からなる積層型であり、かつ該電荷輸送層が前記一般式(I)で表わされる共重合ポリアリレート樹脂を含む。または、前記感光層が少なくとも電荷輸送層と電荷発生層からなる積層型であり、かつ該電荷発生層が前記一般式(I)で表わされる共重合ポリアリレート樹脂を含む。あるいは前記感光層が単層型であり、かつ該単層型の感光層が前記一般式(I)で表わされる共重合ポリアリレート樹脂を含む。また、前記一般式(I)において、RおよびRがそれぞれメチル基であり、かつR〜R18が水素原子であることが好ましい。本発明の感光体は、接触帯電ローラーを用いた帯電プロセスに好適に適用することができ、また、帯電機構または転写機構から発生するオゾンまたは窒素酸化物を排出または減少させる機構を包含する電子写真装置に好適に組み込むことができ、さらに、液体現像剤を用いて現像する現像機構に適用した際に、特に効果的である。
また、本発明の電子写真用感光体の製造方法は、導電性基体上に、少なくとも樹脂バインダを含む塗布液を塗布して感光体を形成する工程を包含する電子写真用感光体の製造方法において、該塗布液中に、樹脂バインダとして、下記一般式(I)、
Figure 2009271152
(式中、部分構造式(A)、(B)、および(C)は樹脂バインダを構成する構造単位を表し、l、m、およびnはそれぞれ各構造単位(A)、(B)および(C)のモル%を示し、l+m+nが100モル%、mが50〜65モル%、nが1〜10モル%であり、RおよびRは、同一でも異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、シクロアルキル基、またはアリール基を示し、もしくはこれらが結合している炭素原子と共に環状構造を形成していてもよく、該環状構造には1または2個のアリーレン基が結合していてもよく、R〜R18は、同一でも異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、フッ素原子、塩素原子、または臭素原子を示し、Aは炭素数4〜10の2価のアルキレン基を示す)で表される共重合ポリアリレート樹脂を含むことを特徴とするものである。
前記特許文献11には、共重合ポリアリレート樹脂においてテレフタル酸構造とイソフタル酸構造との比率を所定の範囲に規定することで、耐ソルベントクラック性と電気特性とを両立することができることが記載されているが、特許文献11記載の共重合ポリアリレート樹脂には、前記構造単位(C)の2価のアルキレン基は導入されていない。本発明者らは、鋭意検討した結果、共重合ポリアリレート樹脂においてテレフタル酸構造とイソフタル酸構造との比率が所定の範囲の共重合ポリアリレート樹脂に、さらに所定の比率で前記構造単位(C)の2価のアルキレン基を導入することにより密度の向上を図ることが可能となり、耐ソルベントクラック性を更に向上させることが可能となることを見出したのである。また、導入されたこのアルキレン基部分がループ構造を形成して表面に露出することにより、潤滑性の向上にも寄与することが明らかとなった。
本発明によれば、前記特定の構造単位からなる共重合ポリアリレート樹脂を感光層の樹脂バインダとして使用することにより、感光体の電子写真特性を維持しつつ、耐ソルベントクラック性が向上して、良好な画像の得られる電子写真用感光体を実現することが可能となる。また、共重合ポリアリレート樹脂としてビスフェノールA型のものを用いれば、特にクラック対策上、より有効である。
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。
前述したように、電子写真用感光体は、積層型(機能分離型)感光体としての、いわゆる負帯電積層型感光体および正帯電積層型感光体と、主として正帯電型で用いられる単層型感光体とに大別される。図1は、本発明の一実施例の電子写真用感光体を示す模式的断面図であり、(イ)は負帯電型の積層型電子写真用感光体、(ロ)は正帯電型の単層型電子写真用感光体を夫々示している。
図1の(イ)に示すように、負帯電積層型感光体においては、導電性基体1の上に、下引き層2と、電荷発生機能を備えた電荷発生層4および電荷輸送機能を備えた電荷輸送層5からなる感光層とが順次積層されている。一方、正帯電単層型感光体においては、導電性基体1の上に、下引き層2と、電荷発生および電荷輸送の両機能を併せ持つ単一の感光層3とが順次積層されている。尚、いずれのタイプの感光体においても、下引き層2は必要に応じて設ければよく、また、図示するように、電荷輸送層5ないし感光層3の上に、更に表面保護層6を設けてもよい。表面保護層6を設ける場合には、この表面保護層6に、前記一般式(I)で表わされる共重合ポリアリレート樹脂を含有させる。
導電性基体1は、感光体の一電極としての役目と同時に感光体を構成する各層の支持体となっており、円筒状、板状、フィルム状などいずれの形状でもよく、材質的には、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケルなどの金属類、あるいはガラス、樹脂などの表面に導電処理を施したものでもよい。
下引き層2は、樹脂を主成分とする層やアルマイトなどの金属酸化皮膜からなり、導電性基体1から感光層3への電荷の注入性を制御するため、または、導電性基体1の表面の欠陥の被覆、感光層3と導電性基体1との接着性の向上などの目的で、必要に応じて設けられる。下引き層2に用いられる樹脂材料としては、カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリアミド、メラミン、セルロースなどの絶縁性高分子、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリンなどの導電性高分子が挙げられ、これらの樹脂は単独、あるいは適宜組み合わせて混合して用いることができる。また、これらの樹脂に、二酸化チタン、酸化亜鉛などの金属酸化物を含有させて用いてもよい。
電荷発生層4は、電荷発生材料の粒子を樹脂バインダ中に分散させた塗布液を塗布するなどの方法により形成され、光を受容して電荷を発生する。また、その電荷発生効率が高いことと同時に発生した電荷の電荷輸送層5への注入性が重要であり、電場依存性が少なく、低電場でも注入性の良いことが望ましい。電荷発生物質としては、X型無金属フタロシアニン、τ型無金属フタロシアニン、α型チタニルフタロシアニン、β型チタニルフタロシアニン、Y型チタニルフタロシアニン、γ型チタニルフタロシアニン、アモルファス型チタニルフタロシアニン、ε型銅フタロシアニンなどのフタロシアニン化合物、各種アゾ顔料、アントアントロン顔料、チアピリリウム顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、スクアリリウム顔料、キナクリドン顔料等を単独、または適宜組み合わせて用いることができ、画像形成に使用される露光光源の光波長領域に応じて好適な物質を選ぶことができる。
電荷発生層4は電荷発生機能を有すればよいので、その膜厚は電荷発生物質の光吸収係数より決まり、一般的には1μm以下であり、好適には0.5μm以下である。電荷発生層4は、電荷発生材料を主体として、これに電荷輸送材料などを添加して使用することも可能である。樹脂バインダとしては、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリスルホン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メタクリル酸エステル樹脂の重合体および共重合体などを適宜組み合わせて使用することが可能である。
電荷輸送層5は、主として電荷輸送材料と樹脂バインダとにより構成される。本発明においては、電荷輸送層5の樹脂バインダとして、前記一般式(I)で示される構造単位を有する共重合ポリアリレート樹脂を用いることが必要であり、これにより、本発明の所期の効果を得ることができる。特には、ビスフェノールA型の共重合ポリアリレート樹脂を用いることが、クラック対策上、より有効である。前記一般式(I)に係る共重合ポリアリレート樹脂は、単独で使用してもよく、また、ビスフェノールA型、ビスフェノールZ型、ビスフェノールA型−ビフェニル共重合体、ビスフェノールZ型−ビフェニル共重合体などの各種ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリフェニレン樹脂などと混合して用いてもよい。好適には、樹脂バインダのうち1質量%〜100質量%、さらに好適には20質量%〜80質量%の範囲を式(I)で規定される共重合ポリアリレート樹脂とする。
以下に、前記一般式(I)で示される構造単位を有する共重合ポリアリレート樹脂の具体例を式(I−1)〜(I−10)で示す。但し、本発明に係る共重合ポリアリレート樹脂は、これら例示構造のものに限定されるものではない。
Figure 2009271152
Figure 2009271152
また、電荷輸送層5の電荷輸送材料としては、各種ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、ジアミン化合物、ブタジエン化合物、インドール化合物等を単独、あるいは適宜組み合わせて混合して用いることができる。かかる電荷輸送材料としては、以下の(II−1)〜(II−13)に示すものを例示することができるが、これらに限定されるものではない。
Figure 2009271152
Figure 2009271152
なお、電荷輸送層5の膜厚は、実用上有効な表面電位を維持するためには3〜50μmの範囲が好ましく、より好適には15〜40μmである。
また、図1の(ロ)に示す単層型の場合の感光層3は、主として電荷発生材料、正孔輸送材料、電子輸送材料(アクセプター性化合物)、および樹脂バインダからなる。
電荷発生材料としては、例えば、フタロシアニン系顔料、アゾ顔料、アントアントロン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、多環キノン顔料、スクアリリウム顔料、チアピリリウム顔料、キナクリドン顔料等を使用することができ、これら電荷発生材料を単独または2種以上を組み合わせて使用することが可能である。特に、本発明の電子写真用感光体においては、アゾ顔料としては、ジスアゾ顔料、トリスアゾ顔料、ペリレン顔料としては、N,N’−ビス(3,5−ジメチルフェニル)−3,4:9,10−ペリレン−ビス(カルボキシイミド)、フタロシアニン系顔料としては、無金属フタロシアニン、銅フタロシアニン、チタニルフタロシアニンが好ましい。さらには、X型無金属フタロシアニン、τ型無金属フタロシアニン、ε型銅フタロシアニン、α型チタニルフタロシアニン、β型チタニルフタロシアニン、Y型チタニルフタロシアニン、アモルファスチタニルフタロシアニン、特開平8−209023号公報に記載のCuKα:X線回析スペクトルにてブラッグ角2θが9.6°を最大ピークとするチタニルフタロシアニンを用いると、感度、耐久性および画質の点で著しく改善された効果を示す。電荷発生材料の含有量は、感光層3の固形分に対して、0.1質量%〜20質量%、好適には、0.5質量%〜10質量%である。
正孔輸送材料としては、例えば、ヒドラゾン化合物、ピラゾリン化合物、ピラゾロン化合物、オキサジアゾール化合物、オキサゾール化合物、アリールアミン化合物、ベンジジン化合物、スチルベン化合物、スチリル化合物、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリシラン等を使用することができる。これら正孔輸送材料を、単独または2種以上を組み合わせて使用することが可能である。本発明において用いられる正孔輸送材料としては、光照射時に発生する正孔の輸送能力が優れている他、電荷発生材料との組み合せに好適なものが好ましい。正孔輸送材料の含有量は、感光層3の固形分に対して、5質量%〜80質量%、好適には、10質量%〜60質量%である。
電子輸送材料(アクセプター性化合物)としては、無水琥珀酸、無水マレイン酸、ジブロモ無水琥珀酸、無水フタル酸、3−ニトロ無水フタル酸、4−ニトロ無水フタル酸、無水ピロメリット酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、無水トリメリット酸、フタルイミド、4−ニトロフタルイミド、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、クロラニル、ブロマニル、o−ニトロ安息香酸、マロノニトリル、トリニトロフルオレノン、トリニトロチオキサントン、ジニトロベンゼン、ジニトロアントラセン、ジニトロアクリジン、ニトロアントラキノン、ジニトロアントラキノン、チオピラン系化合物、キノン系化合物、ベンゾキノン化合物、ジフェノキノン系化合物、ナフトキノン系化合物、アントラキノン系化合物、スチルベンキノン系化合物、アゾキノン系化合物等を挙げることができる。これら電子輸送材料を、単独または2種以上を組み合わせて使用することが可能である。電子輸送材料の含有量は、感光層3の固形分に対して、1質量%〜50質量%、好適には、5質量%〜40質量%である。
単層型感光層3の樹脂バインダとしては、前記一般式(I)に係る共重合ポリアリレート樹脂を単独、もしくは、ポリエステル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、メタクリル酸エステルの重合体およびこれらの共重合体などの樹脂と適宜組み合わせて使用することが可能である。また、分子量の異なる同種の樹脂を混合して用いてもよい。樹脂バインダの含有量は、感光層3の固形分に対して10質量%〜90質量%、好適には20質量%〜80質量%であり、樹脂バインダ内における前記一般式(I)で規定される共重合ポリアリレート樹脂の占める割合は、好適には1質量%〜100質量%、さらに好適には20質量%〜80質量%の範囲である。
感光層3の膜厚は、実用的に有効な表面電位を維持するためには3〜100μmの範囲が好ましく、より好適には10〜50μmである。
積層型または単層型のいずれの感光層中にも、耐環境性や有害な光に対する安定性を向上させる目的で、酸化防止剤や光安定剤などの劣化防止剤を含有させることができる。このような目的に用いられる化合物としては、トコフェロールなどのクロマノール誘導体およびエステル化化合物、ポリアリールアルカン化合物、ハイドロキノン誘導体、エーテル化化合物、ジエーテル化化合物、ベンゾフェノン誘導体、ベンゾトリアゾール誘導体、チオエーテル化合物、フェニレンジアミン誘導体、ホスホン酸エステル、亜リン酸エステル、フェノール化合物、ヒンダードフェノール化合物、直鎖アミン化合物、環状アミン化合物、ヒンダードアミン化合物等が挙げられる。
また、前記感光層中には、形成した膜のレベリング性の向上や潤滑性の付与を目的として、シリコーンオイルやフッ素系オイル等のレベリング剤を含有させることもできる。さらに、摩擦係数の低減、潤滑性の付与等を目的として、酸化ケイ素(シリカ)、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化カルシウム、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化ジルコニウム等の金属酸化物、硫酸バリウム、硫酸カルシウム等の金属硫化物、窒化ケイ素、窒化アルミニウム等の金属窒化物微粒子、または、4フッ化エチレン樹脂等のフッ素系樹脂粒子、フッ素系クシ型グラフト重合樹脂等を含有してもよい。また、必要に応じて、電子写真特性を著しく損なわない範囲で、その他公知の添加剤を含有させることもできる。
以下、本発明の具体的態様を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例によって限定されるものではない。
(共重合ポリアリレート樹脂の製造)
製造例1(共重合ポリアリレート樹脂(III−1)の製造方法)
5リットルの4口フラスコに、イオン交換水300mLと、NaOH1.24gと、p−tert−ブチルフェノール0.459gと、ビスフェノールA30.3gと、テトラブチルアンモニウムブロミド0.272gとを仕込んだ。そこに、塩化メチレン300mLに、テレフタル酸クロライド9.261gと、イソフタル酸クロライド17.704gと、アジピン酸クロライド0.246gとを溶解して、その溶液を2分ほどで投入し、更に、1.5時間攪拌して反応を行った。反応終了後、塩化メチレン200mLを追加して希釈した。水相を分離し、これを4倍容量のメタノールにて再沈した。60℃、2時間乾燥させた後、得られた粗製物を塩化メチレンにて5%溶液にし、それをイオン交換水にて洗浄した。反応液に対して5倍量のアセトンを激しく攪拌しながら、反応液を滴下させて再沈を行った。析出物をろ過し、60℃で2時間乾燥して、目的のポリマー22.5g(収率47.1%)を得た。得られた共重合ポリアリレート樹脂(III−1)のポリスチレン換算重量平均分子量Mwは68,500であった。この共重合ポリアリレート樹脂(III−1)の構造式を以下に示す。
Figure 2009271152
(III−1)l:m:n=34:65:1(モル比)
製造例2(共重合ポリアリレート樹脂(III−2)の製造方法)
製造例1中の、テレフタル酸クロライドの添加量を13.346g、イソフタル酸クロライドの添加量を13.619gとした以外は製造例1と同様に行った。得られた共重合ポリアリレート樹脂(III−2)(23.2g、収率48.5%)のポリスチレン平均分子量Mwは70,200であった。この共重合ポリアリレート樹脂(III−2)の構造式を以下に示す。
Figure 2009271152
(III−2)l:m:n=49:50:1(モル比)
製造例3(共重合ポリアリレート樹脂(III−3)の製造方法)
製造例1中の、テレフタル酸クロライドの添加量を12.802g、イソフタル酸クロライドの添加量を13.619gとし、さらにアジピン酸クロライドの添加量を0.737gとした以外は製造例1と同様に行った。得られた共重合ポリアリレート樹脂(III−3)(23.5g、収率49.2%)のポリスチレン平均分子量Mwは72,300であった。この共重合ポリアリレート樹脂(III−3)の構造式を以下に示す。
Figure 2009271152
(III−3)l:m:n=47:50:3(モル比)
製造例4(共重合ポリアリレート樹脂(III−4)の製造方法)
製造例1中の、テレフタル酸クロライドの添加量を11.985g、イソフタル酸クロライドの添加量を13.619gとし、さらにアジピン酸クロライドの添加量を1.473gとした以外は製造例1と同様に行った。得られた共重合ポリアリレート樹脂(III−4)(24.3g、収率51.0%)のポリスチレン平均分子量Mwは69,000であった。この共重合ポリアリレート樹脂(III−4)の構造式を以下に示す。
Figure 2009271152
(III−4)l:m:n=44:50:6(モル比)
製造例5(共重合ポリアリレート樹脂(III−5)の製造方法)
製造例1中の、テレフタル酸クロライドの添加量を10.895g、イソフタル酸クロライドの添加量を13.619gとし、さらにアジピン酸クロライドの添加量を2.456gとした以外は製造例1と同様に行った。得られた共重合ポリアリレート樹脂(III−5)(24.5g、収率51.0%)のポリスチレン平均分子量Mwは72,700であった。この共重合ポリアリレート樹脂(III−5)の構造式を以下に示す。
Figure 2009271152
(II−5)l:m:n=40:50:10(モル比)
製造例6(共重合ポリアリレート樹脂(III−6)の製造方法)
製造例1中の、ビスフェノールAを4,4’−シクロヘキシリデンビスフェノール35.6gとし、テレフタル酸クロライドの添加量を12.802g、イソフタル酸クロライドの添加量を13.619g、さらにアジピン酸クロライドの添加量を0.737gとした以外は製造例1と同様に行った。得られた共重合ポリアリレート樹脂(III−6)(28.0g、収率58.6%)のポリスチレン平均分子量Mwは72,700であった。この共重合ポリアリレート樹脂(III−6)の構造式を以下に示す。
Figure 2009271152
(III−6)l:m:n=47:50:3(モル比)
製造例7(共重合ポリアリレート樹脂(III−7)の製造方法)
製造例1中の、ビスフェノールAを4,4’−イソプロピリデン−ビス−(2−メチルフェノール)34.0gとし、テレフタル酸クロライドの添加量を12.802g、イソフタル酸クロライドの添加量を13.619g、さらにアジピン酸クロライドの添加量を0.737gとした以外は製造例1と同様に行った。得られた共重合ポリアリレート樹脂(III−7)(22.0g、収率46.2%)のポリスチレン平均分子量Mwは72,200であった。この共重合ポリアリレート樹脂(III−7)の構造式を以下に示す。
Figure 2009271152
(III−7)l:m:n=47:50:3(モル比)
製造例8(共重合ポリアリレート樹脂(III−8)の製造方法)
製造例1中の、テレフタル酸クロライドの添加量を6.537g、イソフタル酸クロライドの添加量を20.428gとし、さらにアジピン酸クロライドの添加量を0.246gとした以外は製造例1と同様に行った。得られた共重合ポリアリレート樹脂(III−8)(23.0g、収率48.1%)のポリスチレン平均分子量Mwは74,000であった。この共重合ポリアリレート樹脂(III−8)の構造式を以下に示す。
Figure 2009271152
(III−8)l:m:n=24:75:1(モル比)
製造例9(共重合ポリアリレート樹脂(III−9)の製造方法)
製造例1中の、テレフタル酸クロライドの添加量を7.899g、イソフタル酸クロライドの添加量を19.066gとし、さらにアジピン酸クロライドの添加量を0.246gとした以外は製造例1と同様に行った。得られた共重合ポリアリレート樹脂(III−9)(22.1g、収率46.2%)のポリスチレン平均分子量Mwは69,900であった。この共重合ポリアリレート樹脂(III−9)の構造式を以下に示す。
Figure 2009271152
(III−9)l:m:n=29:70:1(モル比)
製造例10(共重合ポリアリレート樹脂(III−10)の製造方法)
製造例1中の、テレフタル酸クロライドの添加量を16.070g、イソフタル酸クロライドの添加量を10.895gとし、さらにアジピン酸クロライドの添加量を0.246gとした以外は製造例1と同様に行った。得られた共重合ポリアリレート樹脂(III−10)(23.9g、収率50.0%)のポリスチレン平均分子量Mwは68,200であった。この共重合ポリアリレート樹脂(III−10)の構造式を以下に示す。
Figure 2009271152
(III−10)l:m:n=59:40:1(モル比)
製造例11(共重合ポリアリレート樹脂(III−11)の製造方法)
製造例1中の、テレフタル酸クロライドの添加量を18.794g、イソフタル酸クロライドの添加量を8.171gとし、さらにアジピン酸クロライドの添加量を0.246gとした以外は製造例1と同様に行った。得られた共重合ポリアリレート樹脂(III−11)(23.0g、収率48.1%)のポリスチレン平均分子量Mwは69,800であった。この共重合ポリアリレート樹脂(III−11)の構造式を以下に示す。
Figure 2009271152
(III−11)l:m:n=69:30:1(モル比)
製造例12(共重合ポリアリレート樹脂(III−12)の製造方法)
製造例1中の、テレフタル酸クロライドの添加量を13.483g、イソフタル酸クロライドの添加量を13.619gとし、さらにアジピン酸クロライドの添加量を0.123gとした以外は製造例1と同様に行った。得られた共重合ポリアリレート樹脂(III−12)(21.9g、収率45.8%)のポリスチレン平均分子量Mwは72,200であった。この共重合ポリアリレート樹脂(III−12)の構造式を以下に示す。
Figure 2009271152
(III−12)l:m:n=49.5:50:0.5(モル比)
製造例13(共重合ポリアリレート樹脂(III−13)の製造方法)
製造例1中の、テレフタル酸クロライドの添加量を10.623g、イソフタル酸クロライドの添加量を13.619gとし、さらにアジピン酸クロライドの添加量を2.701gとした以外は製造例1と同様に行った。得られた共重合ポリアリレート樹脂(III−13)(23.6g、収率49.6%)のポリスチレン平均分子量Mwは73,900であった。この共重合ポリアリレート樹脂(III−13)の構造式を以下に示す。
Figure 2009271152
(III−13)l:m:n=39:50:11(モル比)
製造例14(共重合ポリアリレート樹脂(III−14)の製造方法)
製造例1中の、テレフタル酸クロライドの添加量を9.533g、イソフタル酸クロライドの添加量を13.619gとし、さらにアジピン酸クロライドの添加量を3.683gとした以外は製造例1と同様に行った。得られた共重合ポリアリレート樹脂(III−14)(24.1g、収率50.8%)のポリスチレン平均分子量Mwは71,000であった。この共重合ポリアリレート樹脂(III−14)の構造式を以下に示す。
Figure 2009271152
(III−14)l:m:n=35:50:15(モル比)
製造例15(共重合ポリアリレート樹脂(III−15)の製造方法)
製造例1中の、テレフタル酸クロライドの添加量を8.035g、イソフタル酸クロライドの添加量を19.066gとし、さらにアジピン酸クロライドの添加量を0.123gとした以外は製造例1と同様に行った。得られた共重合ポリアリレート樹脂(III−15)(23.7g、収率49.6%)のポリスチレン平均分子量Mwは71,100であった。この共重合ポリアリレート樹脂(III−15)の構造式を以下に示す。
Figure 2009271152
(III−15)l:m:n=29.5:70:0.5(モル比)
製造例16(共重合ポリアリレート樹脂(III−16)の製造方法)
製造例1中の、テレフタル酸クロライドの添加量を13.483g、イソフタル酸クロライドの添加量を13.619gとし、さらにアジピン酸クロライドの添加量を0.123gとした以外は製造例1と同様に行った。得られた共重合ポリアリレート樹脂(III−16)(24.5g、収率51.2%)のポリスチレン平均分子量Mwは73,000であった。この共重合ポリアリレート樹脂(III−16)の構造式を以下に示す。
Figure 2009271152
(III−16)l:m:n=49.5:50:0.5(モル比)
製造例17(共重合ポリアリレート樹脂(III−20)の製造方法)
製造例1中の、テレフタル酸クロライドの添加量を5.175g、イソフタル酸クロライドの添加量を19.066gとし、さらにアジピン酸クロライドの添加量を2.701gとした以外は製造例1と同様に行った。得られた共重合ポリアリレート樹脂(III−17)(22.6g、収率47.5%)のポリスチレン平均分子量Mwは72,800であった。この共重合ポリアリレート樹脂(III−17)の構造式を以下に示す。
Figure 2009271152
(III−17)l:m:n=19:70:11(モル比)
製造例18(共重合ポリアリレート樹脂(III−18)の製造方法)
製造例1中の、テレフタル酸クロライドの添加量を13.346g、イソフタル酸クロライドの添加量を10.895gとし、さらにアジピン酸クロライドの添加量を2.701gとした以外は製造例1と同様に行った。得られた共重合ポリアリレート樹脂(III−18)(24.3g、収率51.1%)のポリスチレン平均分子量Mwは71,000であった。この共重合ポリアリレート樹脂(III−18)の構造式を以下に示す。
Figure 2009271152
(III−18)l:m:n=49:40:11(モル比)
製造例19(共重合ポリアリレート樹脂(III−22)の製造方法)
製造例1中の、テレフタル酸クロライドの添加量を12.802g、イソフタル酸クロライドの添加量を13.619gとし、さらにアジピン酸クロライドをスベリン酸クロライドとし、添加量を0.850gとした以外は製造例1と同様に行った。得られた共重合ポリアリレート樹脂(III−19)(23.5g、収率49.2%)のポリスチレン平均分子量Mwは72,400であった。この共重合ポリアリレート樹脂(III−19)の構造式を以下に示す。
Figure 2009271152
(III−19)l:m:n=47:50:3(モル比)
製造例20(共重合ポリアリレート樹脂(III−20)の製造方法)
製造例1中の、ビスフェノールAを4,4’−イソプロピリデン−ビス−(2,6−ジメチルフェノール)37.8gとし、テレフタル酸クロライドの添加量を12.802g、イソフタル酸クロライドの添加量を13.619g、さらにアジピン酸クロライドをスベリン酸クロライドに変え、添加量を0.850gとした以外は製造例1と同様に行った。得られた共重合ポリアリレート樹脂(III−20)(27.9g、収率58.6%)のポリスチレン平均分子量Mwは73,000であった。この共重合ポリアリレート樹脂(III−20)の構造式を以下に示す。
Figure 2009271152
(III−20)l:m:n=47:50:3(モル比)
製造例21(共重合ポリアリレート樹脂(III−21)の製造方法)
製造例1中の、テレフタル酸クロライドの添加量を12.802g、イソフタル酸クロライドの添加量を13.619gとし、さらにアジピン酸クロライドをセバシン酸クロライドとし、添加量を0.963gとした以外は製造例1と同様に行った。得られた共重合ポリアリレート樹脂(III−21)(22.9g、収率47.4%)のポリスチレン平均分子量Mwは71,100であった。この共重合ポリアリレート樹脂(III−21)の構造式を以下に示す。
Figure 2009271152
(III−21)l:m:n=47:50:3(モル比)
製造例22(共重合ポリアリレート樹脂(III−22)の製造方法)
製造例1中の、ビスフェノールAを4,4’−フェニル−メチレン−ビス−(2−メチルフェノール)36.7gとし、テレフタル酸クロライドの添加量を12.802g、イソフタル酸クロライドの添加量を13.619g、さらにアジピン酸クロライドをセバシン酸クロライドに変え、添加量を0.963gとした以外は製造例1と同様に行った。得られた共重合ポリアリレート樹脂(III−22)(25.4g、収率53.4%)のポリスチレン平均分子量Mwは72,000であった。この共重合ポリアリレート樹脂(III−22)の構造式を以下に示す。
Figure 2009271152
(III−22)l:m:n=47:50:3(モル比)
製造例23(共重合ポリアリレート樹脂(III−23)の製造方法)
製造例1中の、テレフタル酸クロライドの添加量を12.802g、イソフタル酸クロライドの添加量を13.619gとし、さらにアジピン酸クロライドをドデカン二酸クロライドとし、添加量を1.075gとした以外は製造例1と同様に行った。得られた共重合ポリアリレート樹脂(III−23)(24.0g、収率49.5%)のポリスチレン平均分子量Mwは73,000であった。この共重合ポリアリレート樹脂(III−23)の構造式を以下に示す。
Figure 2009271152
(III−23)l:m:n=47:50:3(モル比)
製造例24(共重合ポリアリレート樹脂(III−24)の製造方法)
製造例1中の、ビスフェノールAを4,4’−メチル−フェニル−メチレン−ビス−(2−メチルフェノール)38.6gとし、テレフタル酸クロライドの添加量を12.802g、イソフタル酸クロライドの添加量を13.619g、さらにアジピン酸クロライドをドデカン二酸クロライドに変え、添加量を1.075gとした以外は製造例1と同様に行った。得られた共重合ポリアリレート樹脂(III−24)(29g、収率61.0%)のポリスチレン平均分子量Mwは70,500であった。この共重合ポリアリレート樹脂(III−24)の構造式を以下に示す。
Figure 2009271152
(III−24)l:m:n=47:50:3(モル比)
製造例25(共重合ポリアリレート樹脂(III−25)の製造方法)
製造例1中の、テレフタル酸クロライドの添加量を7.354g、イソフタル酸クロライドの添加量を19.066gとし、アジピン酸クロライドをスベリン酸クロライドとし、添加量を0.850gに置き換えた以外は製造例1と同様に行った。得られた共重合ポリアリレート樹脂(III−25)(23.4g、収率48.9%)のポリスチレン換算重量平均分子量Mwは72,800であった。この共重合ポリアリレート樹脂(III−25)の構造式を以下に示す。
Figure 2009271152
(III−25)l:m:n=27:70:3(モル比)
製造例26(共重合ポリアリレート樹脂(III−26)の製造方法)
製造例1中の、テレフタル酸クロライドの添加量を13.483g、イソフタル酸クロライドの添加量を13.619gとし、アジピン酸クロライドをスベリン酸クロライドとし、添加量を0.142gに置き換えた以外は製造例1と同様に行った。得られた共重合ポリアリレート樹脂(III−26)(23.3g、収率48.7%)のポリスチレン換算重量平均分子量Mwは71,000であった。この共重合ポリアリレート樹脂(III−26)の構造式を以下に示す。
Figure 2009271152
(III−26)l:m:n=49.5:50:0.5(モル比)
製造例27(共重合ポリアリレート樹脂(III−27)の製造方法)
製造例1中の、テレフタル酸クロライドの添加量を7.354g、イソフタル酸クロライドの添加量を19.066gとし、アジピン酸クロライドをセバシン酸クロライドとし、添加量を0.963gに置き換えた以外は製造例1と同様に行った。得られた共重合ポリアリレート樹脂(III−27)(23.5g、収率49.0%)のポリスチレン換算重量平均分子量Mwは69,000であった。この共重合ポリアリレート樹脂(III−27)の構造式を以下に示す。
Figure 2009271152
(III−27)l:m:n=27:70:3(モル比)
製造例28(共重合ポリアリレート樹脂(III−28)の製造方法)
製造例1中の、テレフタル酸クロライドの添加量を13.483g、イソフタル酸クロライドの添加量を13.619gとし、アジピン酸クロライドをセバシン酸クロライドとし、添加量を0.160gに置き換えた以外は製造例1と同様に行った。得られた共重合ポリアリレート樹脂(III−28)(22.8g、収率47.6%)のポリスチレン換算重量平均分子量Mwは68,100であった。この共重合ポリアリレート樹脂(III−28)の構造式を以下に示す。
Figure 2009271152
(III−28)l:m:n=49.5:50:0.5(モル比)
製造例29(共重合ポリアリレート樹脂(III−29)の製造方法)
製造例1中の、テレフタル酸クロライドの添加量を7.354g、イソフタル酸クロライドの添加量を19.066gとし、アジピン酸クロライドをドデカン二酸クロライドとし、添加量を1.075gに置き換えた以外は製造例1と同様に行った。得られた共重合ポリアリレート樹脂(III−29)(24.2g、収率50.3%)のポリスチレン換算重量平均分子量Mwは72,300であった。この共重合ポリアリレート樹脂(III−29)の構造式を以下に示す。
Figure 2009271152
(III−29)l:m:n=27:70:3(モル比)
製造例30(共重合ポリアリレート樹脂(III−30)の製造方法)
製造例1中の、テレフタル酸クロライドの添加量を13.483g、イソフタル酸クロライドの添加量を13.619gとし、アジピン酸クロライドをドデカン二酸クロライドとし、添加量を0.179gに置き換えた以外は製造例1と同様に行った。得られた共重合ポリアリレート樹脂(III−30)(23.9g、収率49.9%)のポリスチレン換算重量平均分子量Mwは72,200であった。この共重合ポリアリレート樹脂(III−30)の構造式を以下に示す。
Figure 2009271152
(III−30)l:m:n=49.5:50:0.5(モル比)
製造例31(共重合ポリアリレート樹脂(III−31)の製造方法)
製造例1中の、テレフタル酸クロライドの添加量を13.619g、イソフタル酸クロライドの添加量を13.619gとし、アジピン酸クロライドは添加せずに製造例1と同様に行った。得られた共重合ポリアリレート樹脂(III−31)(24.0g、収率50.2%)のポリスチレン換算重量平均分子量Mwは72,700であった。この共重合ポリアリレート樹脂(III−31)の構造式を以下に示す。
Figure 2009271152
(III−31)l:m=50:50(モル比)
製造例32(共重合ポリアリレート樹脂(III−32)の製造方法)
製造例1中の、テレフタル酸クロライドの添加量を8.171g、イソフタル酸クロライドの添加量を19.066gとし、アジピン酸クロライドは添加せずに製造例1と同様に行った。得られた共重合ポリアリレート樹脂(III−32)(24.0g、収率50.2%)のポリスチレン換算重量平均分子量Mwは74,200であった。この共重合ポリアリレート樹脂(III−32)の構造式を以下に示す。
Figure 2009271152
(III−32)l:m=30:70(モル比)
感光体の製造
実施例1
導電性基体1としてのアルミニウム製円筒の外周に、下引き層として、アルコール可溶性ナイロン(東レ(株)製、商品名「CM8000」)5質量部と、アミノシラン処理された酸化チタン微粒子5質量部とを、メタノール90質量部に溶解、分散させて調製した塗布液を浸漬塗工し、温度100℃で30分間乾燥して、膜厚3μmの下引き層2を形成した。
この下引き層2上に、電荷発生材料としての下記式、
Figure 2009271152
で示される無金属フタロシアニン1質量部と、樹脂バインダとしてのポリビニルブチラール樹脂(積水化学(株)製、商品名「エスレックKS−1」)1.5質量部とをジクロロメタン60質量部に溶解、分散させて調製した塗布液を浸漬塗工し、温度80℃で30分間乾燥して、膜厚0.3μmの電荷発生層4を形成した。
この電荷発生層4上に、電荷輸送材料としての下記式、
Figure 2009271152
で示されるスチルベン化合物90質量部と、樹脂バインダとしての前記製造例1の共重合ポリアリレート樹脂(III−1)110質量部とを、ジクロロメタン1000質量部に溶解して調製した塗布液を浸漬塗工し、温度90℃で60分間乾燥して、膜厚25μmの電荷輸送層5を形成し、有機電子写真用感光体を作製した。
実施例2
実施例1で使用した製造例1の共重合ポリアリレート樹脂(III−1)を、製造例2で製造した共重合ポリアリレート樹脂(III−2)に代えた以外は、実施例1と同様の方法で有機電子写真用感光体を作製した。
実施例3
実施例1で使用した製造例1の共重合ポリアリレート樹脂(III−1)を、製造例3で製造した共重合ポリアリレート樹脂(III−3)に代えた以外は、実施例1と同様の方法で有機電子写真用感光体を作製した。
実施例4
実施例1で使用した製造例1の共重合ポリアリレート樹脂(III−1)を、製造例4で製造した共重合ポリアリレート樹脂(III−4)に代えた以外は、実施例1と同様の方法で有機電子写真用感光体を作製した。
実施例5
実施例1で使用した製造例1の共重合ポリアリレート樹脂(III−1)を、製造例5で製造した共重合ポリアリレート樹脂(III−5)に代えた以外は、実施例1と同様の方法で有機電子写真用感光体を作製した。
実施例6
実施例1で使用した製造例1の共重合ポリアリレート樹脂(III−1)を、製造例6で製造した共重合ポリアリレート樹脂(III−6)に代えた以外は、実施例1と同様の方法で有機電子写真用感光体を作製した。
実施例7
実施例1で使用した製造例1の共重合ポリアリレート樹脂(III−1)を、製造例7で製造した共重合ポリアリレート樹脂(III−7)に代えた以外は、実施例1と同様の方法で有機電子写真用感光体を作製した。
比較例1
実施例1で使用した製造例1の共重合ポリアリレート樹脂(III−1)を、製造例8で製造した共重合ポリアリレート樹脂(III−8)に代えた以外は、実施例1と同様の方法で有機電子写真用感光体を作製した。
比較例2
実施例1で使用した製造例1の共重合ポリアリレート樹脂(III−1)を、製造例9で製造した共重合ポリアリレート樹脂(III−9)に代えた以外は、実施例1と同様の方法で有機電子写真用感光体を作製した。
比較例3
実施例1で使用した製造例1の共重合ポリアリレート樹脂(III−1)を、製造例10で製造した共重合ポリアリレート樹脂(III−10)に代えた以外は、実施例1と同様の方法で有機電子写真用感光体を作製した。
比較例4
実施例1で使用した製造例1の共重合ポリアリレート樹脂(III−1)を、製造例11で製造した共重合ポリアリレート樹脂(III−11)に代えた以外は、実施例1と同様の方法で有機電子写真用感光体を作製した。
比較例5
実施例1で使用した製造例1の共重合ポリアリレート樹脂(III−1)を、製造例12で製造した共重合ポリアリレート樹脂(III−12)に代えた以外は、実施例1と同様の方法で有機電子写真用感光体を作製した。
比較例6
実施例1で使用した製造例1の共重合ポリアリレート樹脂(III−1)を、製造例13で製造した共重合ポリアリレート樹脂(III−13)に代えた以外は、実施例1と同様の方法で有機電子写真用感光体を作製した。
比較例7
実施例1で使用した製造例1の共重合ポリアリレート樹脂(III−1)を、製造例14で製造した共重合ポリアリレート樹脂(III−14)に代えた以外は、実施例1と同様の方法で有機電子写真用感光体を作製した。
比較例8
実施例1で使用した製造例1の共重合ポリアリレート樹脂(III−1)を、製造例15で製造した共重合ポリアリレート樹脂(III−15)に代えた以外は、実施例1と同様の方法で有機電子写真用感光体を作製した。
比較例9
実施例1で使用した製造例1の共重合ポリアリレート樹脂(III−1)を、製造例16で製造した共重合ポリアリレート樹脂(III−16)に代えた以外は、実施例1と同様の方法で有機電子写真用感光体を作製した。
比較例10
実施例1で使用した製造例1の共重合ポリアリレート樹脂(III−1)を、製造例17で製造した共重合ポリアリレート樹脂(III−17)に代えた以外は、実施例1と同様の方法で有機電子写真用感光体を作製した。
比較例11
実施例1で使用した製造例1の共重合ポリアリレート樹脂(III−1)を、製造例18で製造した共重合ポリアリレート樹脂(III−18)に代えた以外は、実施例1と同様の方法で有機電子写真用感光体を作製した。
実施例8
実施例1で使用した製造例1の共重合ポリアリレート樹脂(III−1)を、製造例19で製造した共重合ポリアリレート樹脂(III−19)に代えた以外は、実施例1と同様の方法で有機電子写真用感光体を作製した。
実施例9
実施例1で使用した製造例1の共重合ポリアリレート樹脂(III−1)を、製造例20で製造した共重合ポリアリレート樹脂(III−20)に代えた以外は、実施例1と同様の方法で有機電子写真用感光体を作製した。
実施例10
実施例1で使用した製造例1の共重合ポリアリレート樹脂(III−1)を、製造例21で製造した共重合ポリアリレート樹脂(III−21)に代えた以外は、実施例1と同様の方法で有機電子写真用感光体を作製した。
実施例11
実施例1で使用した製造例1の共重合ポリアリレート樹脂(III−1)を、製造例22で製造した共重合ポリアリレート樹脂(III−22)に代えた以外は、実施例1と同様の方法で有機電子写真用感光体を作製した。
実施例12
実施例1で使用した製造例1の共重合ポリアリレート樹脂(III−1)を、製造例23で製造した共重合ポリアリレート樹脂(III−23)に代えた以外は、実施例1と同様の方法で有機電子写真用感光体を作製した。
実施例13
実施例1で使用した製造例1の共重合ポリアリレート樹脂(III−1)を、製造例24で製造した共重合ポリアリレート樹脂(III−24)に代えた以外は、実施例1と同様の方法で有機電子写真用感光体を作製した。
比較例12
実施例1で使用した製造例1の共重合ポリアリレート樹脂(III−1)を、製造例25で製造した共重合ポリアリレート樹脂(III−25)に代えた以外は、実施例1と同様の方法で有機電子写真用感光体を作製した。
比較例13
実施例1で使用した製造例1の共重合ポリアリレート樹脂(III−1)を、製造例26で製造した共重合ポリアリレート樹脂(III−26)に代えた以外は、実施例1と同様の方法で有機電子写真用感光体を作製した。
比較例14
実施例1で使用した製造例1の共重合ポリアリレート樹脂(III−1)を、製造例27で製造した共重合ポリアリレート樹脂(III−27)に代えた以外は、実施例1と同様の方法で有機電子写真用感光体を作製した。
比較例15
実施例1で使用した製造例1の共重合ポリアリレート樹脂(III−1)を、製造例28で製造した共重合ポリアリレート樹脂(III−28)に代えた以外は、実施例1と同様の方法で有機電子写真用感光体を作製した。
比較例16
実施例1で使用した製造例1の共重合ポリアリレート樹脂(III−1)を、製造例29で製造した共重合ポリアリレート樹脂(III−29)に代えた以外は、実施例1と同様の方法で有機電子写真用感光体を作製した。
比較例17
実施例1で使用した製造例1の共重合ポリアリレート樹脂(III−1)を、製造例30で製造した共重合ポリアリレート樹脂(III−30)に代えた以外は、実施例1と同様の方法で有機電子写真用感光体を作製した。
比較例18
実施例1で使用した製造例1の共重合ポリアリレート樹脂(III−1)を、製造例31で製造した共重合ポリアリレート樹脂(III−31)に代えた以外は、実施例1と同様の方法で有機電子写真用感光体を作製した。
比較例19
実施例1で使用した製造例1の共重合ポリアリレート樹脂(III−1)を、製造例32で製造した共重合ポリアリレート樹脂(III−32)に代えた以外は、実施例1と同様の方法で有機電子写真用感光体を作製した。
実施例14
導電性基体1としてのアルミニウム製円筒の外周に、下引き層として、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体(日信化学(株)製、商品名「SOLBIN−A」)5質量部をメチルエチルケトン95質量部に攪拌溶解させて調製した塗布液を浸漬塗工し、温度100℃で30分間乾燥して、膜厚0.2μmの下引き層2を形成した。
この下引き層2上に、電荷発生材料としての下記式、
Figure 2009271152
で示される無金属フタロシアニン2質量部と、正孔輸送材料としての下記式、
Figure 2009271152
で示されるスチルベン化合物65質量部と、電子輸送材料としての下記式、
Figure 2009271152
で示される化合物28質量部と、樹脂バインダとしての前記製造例1の共重合ポリアリレート樹脂(III−1)105質量部とを、ジクロロメタン1000質量部に溶解、分散させて調製した塗布液を浸漬塗工し、温度100℃で60分間乾燥して、膜厚25μmの感光層を形成し、有機電子写真用感光体を作製した。
比較例20
実施例8で使用した製造例1の共重合ポリアリレート樹脂(III−1)を、製造例8で製造した共重合ポリアリレート樹脂(III−8)に代えた以外は、実施例9と同様の方法で有機電子写真用感光体を作製した。
感光体の評価
上述した実施例1〜14および比較例1〜20で作製した感光体の、耐ソルベントクラック性、潤滑性、および電気特性を下記の方法で評価した。併せて、塗布液状態の評価として、電荷輸送層用塗布液調製時における共重合ポリアリレート樹脂の溶剤に対する溶解性の評価も示した。
<耐ソルベントクラック性試験>
各感光体に25℃/50%環境でデオックスクリーム(米国 LaserLand Inc.製)を感光体ドラム表面に約2mlを7等分し、スポイトを使用して7箇所に均等に塗布し、そのまま放置した。放置時間を5分、10分、15分、30分、60分、90分、120分とし、各時間が経過したところで、清浄なウエスを用いてふきとりをおこなった。この際、クリームを塗布した表面にクラックが生じているか否かで判定を行った。結果はクラックが検出された最短の時間を示した。また120分経過でもクラックが生じていなかった場合は「120分以上」として判定した。得られた結果を下記の表3および4中に示す。
<潤滑性評価>
ヘイドン表面性試験機を用い、実施例及び比較例にて作製された感光体ドラム表面の潤滑性を測定した。ウレタン性ゴムブレードを一定荷重(20g)にてドラム表面に押し付け、ドラムの長手方向にこのブレードを動かすことにより生じる摩擦での荷重を摩擦力として計測した。基準試料としてポリエチレン製のフィルムを用い、測定サンプルとおなじ形状の素管上にのせ、フィルムが動かない様に固定した上で、被験サンプルと全く同じ測定方法により測定を実施した。
被験サンプルとフィルムのそれぞれの摩擦力を用いて下記式により摩擦係数を算出した。
(摩擦係数)=(被験サンプルの摩擦力)/(基準試料(フィルム)の摩擦力)
本測定に共した実験パラメーターは下記の通りであった。
測定機 ヘイドン表面試験機 14−D型
ゴム硬度
ゴム接触角度
ゴム移動幅 50mm
ゴム移動速度 10mm/秒
接触荷重 50g
基準試料 ポリエチレンフィルム(25μm厚)
<電気特性>
実施例1〜13および比較例1〜19の積層型感光体については、まず、感光体の表面を暗所にてコロナ放電により−650Vに帯電せしめた後、帯電直後の表面電位Vを測定した。
続いて、暗所で5秒間放置後、表面電位Vを測定し、下記式(1)、
Vk=V/V×100 (1)
に従って、帯電後5秒後における電位保持率Vk(%)を求めた。
次に、ハロゲンランプを光源とし、フィルターを用いて780nmに分光した露光光を表面電位が−600Vになった時点から感光体に5秒間照射して、表面電位が−300Vとなるまで光減衰するのに要する露光量をE1/2、−50Vとなるまで光減衰するのに要する露光量を感度E50(μJcm−2)として求めた。
また、実施例14および比較例20の単層型感光体については、まず、感光体の表面を暗所にてコロナ放電により+650Vに帯電せしめた後、帯電直後の表面電位Vを測定した。
続いて、暗所で5秒間放置後、表面電位Vを測定し、前記式(1)に従って帯電後5秒後における電位保持率Vk(%)を求めた。
次に、ハロゲンランプを光源とし、フィルターを用いて780nmに分光した露光光を表面電位が+600Vになった時点から感光体に5秒間照射して、表面電位が+300Vとなるまで光減衰するのに要する露光量をE1/2、+50Vとなるまで光減衰するのに要する露光量を感度E50(μJcm−2)として求めた。
さらに、実施例1から13及び比較例1から19において作製した感光体を、感光体の表面電位も測定できるように改造を施した非磁性1成分現像で負帯電接触帯電機構を有するプリンターに搭載し、このプリンターの電気特性について評価した。
実施例14比較例20において作製した感光体を、感光体の表面電位も測定できるように改造を施した非磁性1成分現像で正帯電接触帯電機構を有するプリンターに搭載し、このプリンターの電気特性について評価した。
実施例1〜14および比較例1〜20の内容および得られた種々の評価結果を表1〜4に示した。
Figure 2009271152
Figure 2009271152
Figure 2009271152
Figure 2009271152
前記表3および4の結果から、実施例1〜14では、感光体としての電気特性を損なうことなく、耐ソルベントクラック性についても良好な特性を示す一方、比較例1では溶解性に問題があり、電気特性も損なう結果となった。また、比較例2〜19では、電気特性については問題なく、潤滑性も良好であったが、耐ソルベントクラック性に欠点が生じることがわかった。また、比較例5〜11、13、15、17、19では耐ソルベントクラック性とともに潤滑性にも問題がある結果となった。また、比較例18では耐ソルベントクラック性は良好であったが、潤滑性に問題があった。単層型感光体に係る実施例14および比較例20については、実施例14では溶解性、耐ソルベントクラック性、潤滑性、電気特性のいずれも良好であるのに対し、比較例20では耐ソルベントクラック性の悪化が顕著であり、積層型負帯電感光体の場合と同様の結果が得られた。さらに、比較例1以外ではいずれの例においても、接触帯電機構を持つプリンターに搭載した際の電気特性に問題は見られなかった。
以上により、本発明に係る共重合ポリアリレート樹脂を感光層に用いることによって、電気特性を損なうことなく、耐ソルベントクラック性及び潤滑性に優れた電子写真用感光体が得られることが確かめられた。
(イ)は、本発明に係る負帯電機能分離積層型電子写真用感光体を示す模式的断面図であり、(ロ)は、本発明に係る正帯電単層型電子写真用感光体を示す模式的断面図である。
符号の説明
1 導電性基体
2 下引き層
3 感光層(単層型)
4 電荷発生層
5 電荷輸送層
6 表面保護層

Claims (9)

  1. 導電性基体上に少なくとも電荷発生材料および電荷輸送材料を含む感光層を有する電子写真用感光体において、前記感光層が樹脂バインダとして、下記一般式(I)、
    Figure 2009271152
    (式中、部分構造式(A)、(B)、および(C)は樹脂バインダを構成する構造単位を表し、l、m、およびnはそれぞれ各構造単位(A)、(B)および(C)のモル%を示し、l+m+nが100モル%、mが50〜65モル%、nが1〜10モル%であり、RおよびRは、同一でも異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、シクロアルキル基、またはアリール基を示し、もしくはこれらが結合している炭素原子と共に環状構造を形成していてもよく、該環状構造には1または2個のアリーレン基が結合していてもよく、R〜R18は、同一でも異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、フッ素原子、塩素原子、または臭素原子を示し、Aは炭素数4〜10の2価のアルキレン基を示す)で表される共重合ポリアリレート樹脂を含むことを特徴とする電子写真用感光体。
  2. 前記感光層が少なくとも電荷発生層と電荷輸送層とからなる積層型であり、かつ該電荷輸送層が前記一般式(I)で表わされる共重合ポリアリレート樹脂を含む請求項1記載の電子写真用感光体。
  3. 前記感光層が少なくとも電荷輸送層と電荷発生層とからなる積層型であり、かつ該電荷発生層が前記一般式(I)で表わされる共重合ポリアリレート樹脂を含む請求項1記載の電子写真用感光体。
  4. 前記感光層が単層型であり、かつ該単層型の感光層が前記一般式(I)で表わされる共重合ポリアリレート樹脂を含む請求項1記載の電子写真用感光体。
  5. 前記一般式(I)において、RおよびRがそれぞれメチル基であり、かつR〜R18が水素原子である請求項1記載の電子写真用感光体。
  6. 前記感光層の表面に接触して帯電させる帯電機構により帯電されることを特徴とする請求項1記載の電子写真用感光体。
  7. 帯電機構または転写機構から発生するオゾンまたは窒素酸化物を排出または減少させる機構を包含する電子写真装置に組み込まれる請求項1記載の電子写真用感光体。
  8. 液体現像剤を用いて現像する現像機構により現像される請求項1記載の電子写真用感光体。
  9. 導電性基体上に、少なくとも樹脂バインダを含む塗布液を塗布して感光体を形成する工程を包含する電子写真用感光体の製造方法において、該塗布液中に、樹脂バインダとして、下記一般式(I)、
    Figure 2009271152
    (式中、部分構造式(A)、(B)、および(C)は樹脂バインダを構成する構造単位を表し、l、m、およびnはそれぞれ各構造単位(A)、(B)および(C)のモル%を示し、l+m+nが100モル%、mが50〜65モル%、nが1〜10モル%であり、RおよびRは、同一でも異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、シクロアルキル基、またはアリール基を示し、もしくはこれらが結合している炭素原子と共に環状構造を形成していてもよく、該環状構造には1または2個のアリーレン基が結合していてもよく、R〜R18は、同一でも異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、フッ素原子、塩素原子、または臭素原子を示し、Aは炭素数4〜10の2価のアルキレン基を示す)で表される共重合ポリアリレート樹脂を含むことを特徴とする電子写真用感光体の製造方法。
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