JP2009270850A - 放射線測定装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】放射線の量の時間的な安定性を考慮して適切な時定数を設定する。
【解決手段】電離箱10は、入射する放射線60による電離電流を出力する。積分回路20は、入力電流を積分し、その積分値に応じた電圧信号を出力する。積分回路20から出力される電圧信号(アナログ信号)は、アナログデジタルコンバータ30においてデジタル信号に変換され、演算部40へ供給される。演算部40は、電圧信号(デジタル信号)から放射線の量を反映させた測定値を算出する。本発明においては、放射線の量の時間的な安定性を考慮して適切な時定数を設定する。つまり、互いに異なる仮の時定数を用いて得られる測定値の差に基づいて放射線の量に関する時間的な安定性を判断して真の時定数を決定する。
【選択図】図1

Description

本発明は、放射線測定装置に関し、特に、複数の時定数を用いる放射線測定装置に関する。
原子力発電所内などで発生する廃棄物などを所外に持ち出すためには、その廃棄物などの表面汚染密度の程度を測定し、所定の値以下であることを実測確認する必要がある。その目的のために利用されるサーベイメータなどの放射線測定装置が知られている。
そして、サーベイメータなどの放射線測定装置において、複数の時定数を用いる装置が知られている。例えば、特許文献1には、長い時定数で計測された第1の測定値と短い時定数で計測された測定値との差をとり、その差と第1の測定値との比を表示する旨の技術が記載されている。また、特許文献2には、異なる時定数を有する複数のレートメータ回路を用いる旨の技術が記載されている。
特許第3207310号公報 特許第3311123号公報
一般的に、時定数を大きくする(長くする)ことにより、放射線の測定結果が時間的に安定する。しかし、時定数を大きくすると応答特性が悪くなるため、例えばスポット汚染の測定にあたっては小さい(短い)時定数が望ましい。このように、時定数は、例えば測定対象などに応じて、適切に設定されることが望ましい。しかし、例えば測定結果と基準値との比較に基づいて時定数を自動的に切り換えてしまうといった単純な手法では、測定結果が基準値の付近で時間的に変動する場合に、時定数が頻繁に切り替わってしまい、測定結果の表示が安定しない。
本発明は、このような事情を鑑みて成されたものであり、その目的は、放射線の量の時間的な安定性を考慮して適切な時定数を設定する技術を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の好適な態様の放射線測定装置は、測定対象から放射される放射線を検出して検出信号を得る放射線検出部と、検出信号に基づいて放射線の量を反映させた測定値を算出する測定値算出部と、算出された測定値を表示する測定値表示部と、を有し、互いに異なる仮の時定数を用いて得られる測定値の差に基づいて放射線の量に関する時間的な安定性を判断して真の時定数を決定する、ことを特徴とする。
望ましい態様において、前記放射線測定装置は、仮の時定数T1を用いて得られる測定値D1と時定数T1よりも大きい仮の時定数T2を用いて得られる測定値D2との差が、予め設定された許容値の範囲内となる場合に、放射線の量が時間的に安定していると判断して、前記真の時定数として比較的大きな大時定数を選択する、ことを特徴とする。
望ましい態様において、前記放射線測定装置は、前記測定値D1と測定値D2との差が、連続的に前記許容値の範囲外となる場合に、放射線の量が時間的に変動していると判断して、前記真の時定数として、前記大時定数よりも小さい時定数を選択する、ことを特徴とする。
望ましい態様において、前記放射線測定装置は、放射線の量が時間的に変動していると判断した場合に、前記仮の時定数T1よりも小さい仮の時定数T3を用いて得られる測定値D3に基づいて、前記真の時定数として、前記大時定数よりも小さい時定数を選択する、ことを特徴とする。
望ましい態様において、前記測定値表示部は、真の時定数を用いて得られる最新の測定値を表示し、さらに、真の時定数を用いて得られる最新の測定値と前回の測定値との差を表示する、ことを特徴とする。
本発明により、放射線の量の時間的な安定性を考慮して適切な時定数を設定することができる。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。
図1には、本発明に係る放射線測定装置の好適な実施形態が示されており、図1はその全体構成を示すブロック図である。
電離箱10は、入射する放射線60による電離電流を出力する。電離箱10内に放射線60が入射すると電離箱10内の空気が電離し、電離の結果発生するプラス帯電体が電離箱10のバイアス電極14に引き寄せられ、また、マイナス帯電体が集電極16に引き寄せられる。こうして、集電極16に集められた電離電流(−I)が電離箱10から出力される。なお、集電極16は、高絶縁部品12によって、バイアス電極14や電離箱10の筐体との間において電気的な高絶縁状態が保たれている。なお、放射線検出部として、電離箱10に換えて半導体検出器などを用いてもよい。
積分回路20は、入力電流を積分し、その積分値に応じた電圧信号を出力する。積分回路20は、FETなどで構成されるアンプ24と、そのフィードバック回路に配置されたコンデンサ22を含んでいる。積分回路20は、電離箱10から出力される電離電流を積分するために設けられている。電離箱10から出力される電離電流は微弱(10-15A程度)である。このため、電離箱10から出力される電離電流は一旦コンデンサ22に蓄積され、コンデンサ22に蓄積された電荷量、すなわち電離電流の積分値に応じた電圧信号が積分回路20から出力される。こうして、積分回路20において、微弱な電離電流が後段の処理に適した電圧信号に変換される。
積分回路20から出力される電圧信号(アナログ信号)は、アナログデジタルコンバータ(ADC)30においてデジタル信号に変換され、演算部40へ供給される。
演算部40は、電圧信号(デジタル信号)から、放射線の線量当量や線量当量率など、放射線の量を反映させた測定値を算出する。積分回路20から出力される電圧信号は、電離箱10から出力される電離電流に依存している。つまり、電圧信号は、電離箱10に入射する放射線の量に依存している。演算部40は、電圧信号から、所定の換算式を利用して、放射線が生体に与える影響を示す量である線量当量(μSv:マイクロシーベルト)や、単位時間(1時間)あたりの線量当量の変化である線量当量率(μSv/h:マイクロシーベルトパーアワー)を演算する。
演算部40は、例えば、0.05秒ごとに得られる放射線の検出結果(デジタル信号)に基づいて、適切な時定数を用いて線量当量率(線量率)を算出する。時定数とは、ある時点から遡って放射線の検出結果を積分する時間であり、例えば、時定数が30秒の場合、ある時点から30秒だけ遡って過去30秒間に検出された検出結果が積分され、その積分結果に基づいてその時点における線量当量率が算出される。
演算部40における演算結果は表示部50に表示され、ユーザは表示部50に表示される線量当量や線量当量率などから、放射線の量を知ることができる。
本実施形態においては、放射線の量の時間的な安定性を考慮して適切な時定数を設定している。そこで、以下に時定数の設定処理について説明する。なお、既に図1に示した部分(構成)については、以下の説明においても図1の符号を利用する。
図2は、本実施形態における時定数の設定手順を示すフローチャートである。本フローチャートが開始されると、まず、放射線60の入射に応じて出力される電圧信号(デジタル信号)を演算部40が読み取り、仮の時定数を用いて測定値(線量当量率)を算出する(S201)。なお、電圧信号が極端に小さい場合や極端に大きい場合には、例えばコンデンサ22に蓄積された電荷量を一旦放電させてから再び放射線60を検出するようにしてもよい。
S201において、演算部40は、例えば、0.05秒ごとに得られる電圧信号に基づいて、仮の時定数6秒を用いて測定値D1を算出し、仮の時定数10秒を用いて測定値D2を算出し、仮の時定数3秒を用いて測定値D3を算出する。
仮の時定数を用いて測定値が算出されると、仮の時定数6秒を用いて算出された測定値D1の大きさが確認される(S202)。そして、測定値D1が1.0μSv/hよりも小さい場合には、バックグランドレベルであると判断して、真の時定数が30秒に設定され(S203)、演算部40が真の時定数を用いて測定値を算出する(S212)。
S202において、測定値D1が1.0μSv/h以上の場合には、仮の時定数6秒を用いて算出された測定値D1と、仮の時定数10秒を用いて算出された測定値D2との差(D1−D2)の大きさが確認される(S204)。
(D1−D2)が予め設定された許容値の範囲内であれば、例えば−0.3μSv/hよりも大きく0.3μSv/hよりも小さい場合には、放射線の量が時間的に安定していると判断し、真の時定数を30秒に設定して(S203)、演算部40が真の時定数を用いて測定値を算出する(S212)。
S204において、(D1−D2)が予め設定された許容値の範囲内とならない場合には、放射線の量が時間的に変動している可能性がある。仮の時定数6秒を用いて算出された測定値D1と、仮の時定数10秒を用いて算出された測定値D2との比較においては、時定数の大きい測定値D2の応答特性が劣るため、測定値D1の変化に対して測定値D2が遅れて追従する。
例えば、放射線の量が増加している場合には、測定値D1と測定値D2が共に増加するものの、測定値D1に対して測定値D2が遅れて増加する。したがって、放射線の量が増加している場合のある時点における測定値D1と測定値D2との差(D1−D2)が正の値となる。特にその差の値が大きい場合には、放射線の量の増加が激しいことが予想される。本実施形態においては、その増加が連続的である場合に、放射線の量が時間的に変動していると判断する。
具体的には、S204において、(D1−D2)が0.3μSv/h以上の場合には、さらに、その差が連続的か否かが確認される(S205)。連続回数が2回よりも小さければ、放射線の量が時間的に安定していると判断し、真の時定数を30秒に設定して(S203)、演算部40が真の時定数を用いて測定値を算出する(S212)。連続回数が2回以上であれば、放射線の量が時間的に変動していると判断し、以降のステップにおいて、真の時定数として、30秒よりも小さい時定数が選択される。
小さい時定数の選択にあたっては、仮の時定数3秒を用いて測定された測定値D3の大きさが確認される(S206)。測定値D3が110μSv/h以上の場合には、放射線の量が激しく変動していると判断して、真の時定数が最も小さい1秒に設定される(S211)。また、測定値D3が110μSv/hよりも小さく、11μSv/hよりも大きい場合には、真の時定数が3秒に設定される(S210)。また、測定値D3が11μSv/h以下で1.1μSv/h以上の場合には、真の時定数が10秒に設定される(S209)。そして、演算部40が真の時定数を用いて測定値を算出する(S212)。
一方、放射線の量が減少している場合には、測定値D1と測定値D2が共に減少するものの、測定値D1に対して測定値D2が遅れて減少する。したがって、放射線の量が減少している場合のある時点における測定値D1と測定値D2との差(D1−D2)が負の値となる。特にその差の値が小さい場合(差の絶対値が大きい場合)には、放射線の量の減少が激しいことが予想される。本実施形態においては、その減少が連続的である場合に、放射線の量が時間的に変動していると判断する。
具体的には、S204において、(D1−D2)が−0.3μSv/h以下の場合には、さらに、その差が連続的か否かが確認される(S207)。連続回数が2回よりも小さければ、放射線の量が時間的に安定していると判断し、真の時定数を30秒に設定して(S203´)、演算部40が真の時定数を用いて測定値を算出する(S212)。連続回数が2回以上であれば、放射線の量が時間的に変動していると判断し、以降のステップにおいて、真の時定数として、30秒よりも小さい時定数が選択される。
小さい時定数の選択にあたっては、仮の時定数3秒を用いて測定された測定値D3の大きさが確認される(S208)。測定値D3が90μSv/h以上の場合には、放射線の量が激しく変動していると判断して、真の時定数が最も小さい1秒に設定される(S211)。また、測定値D3が90μSv/hよりも小さく、9.0μSv/hよりも大きい場合には、真の時定数が3秒に設定される(S210)。また、測定値D3が9.0μSv/h以下で0.9μSv/h以上の場合には、真の時定数が10秒に設定される(S209)。そして、演算部40が真の時定数を用いて測定値を算出する(S212)。
このように、本実施形態においては、仮の時定数を用いて測定値を算出し、放射線の量が時間的に変動していると判断すると、真の時定数として、30秒よりも小さい時定数を選択して、放射線の量の激しい変化に対応することができる。しかも、仮の時定数を用いて、いくつかの条件を設けて真の時定数を選択するため、例えば測定値と基準値との比較に基づいて時定数を自動的に切り換えてしまうといった単純な手法に比べて、本実施形態においては、時定数が頻繁に切り替わることがなく、測定値の表示が安定する。測定値の表示が安定するため、例えば、以下に示すような表示を形成してもよい。
図3は、本実施形態における測定値の表示例を説明するための図である。図1の表示部50は、例えば、図3(A)(B)に示すような出力結果を形成する。
表示部50は、真の時定数を用いて得られる最新の測定値を数値60で表示する。数値60は、例えば0.5秒ごとに最新の値に更新される。図3(A)は、最新の測定値が160μSv/hであることを示しており、図3(B)は、最新の測定値が95.9μSv/hであることを示している。
表示部50は、さらに、真の時定数を用いて得られる最新の測定値と前回の測定値との差をデジタルメータ62で表示する。図3(A)は、最新の測定値と前回の測定値との差が無い(極めて小さい)場合であり、デジタルメータ62には、測定値160μSv/hに対応した指針のみが表示されている。これに対し、図3(B)は、最新の測定値と前回の測定値との差が比較的大きい場合であり、デジタルメータ62には、前回の測定値(約70μSv/h)に対応した指針から最新の測定値(95.9μSv/h)に対応した指針までの複数の指針が帯状に連なって表示されている。
図3(A)(B)の比較からも分かるように、ユーザは、表示部50に表示される出力結果から、最新の測定値に加えて前回の測定値との差を視覚的に容易に確認することができる。つまり、デジタルメータ62に表示される複数の指針が帯状に広がっている場合には、前回の測定値と最新の測定値との差が大きく測定結果が安定していないことが分かる。そのため、例えば、図3(A)に示すようにデジタルメータ62に表示される指針が1つのみとなった場合に測定結果が安定していると判断して、正式な測定結果として記録用紙などに記録するようにしてもよい。
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、上述した実施形態は、あらゆる点で単なる例示にすぎず、本発明の範囲を限定するものではない。本発明は、その本質を逸脱しない範囲で各種の変形形態を包含する。
本発明に係る放射線測定装置の全体構成を示すブロック図である。 時定数の設定手順を示すフローチャートである。 測定値の表示例を説明するための図である。
符号の説明
10 電離箱、20 積分回路、30 アナログデジタルコンバータ、40 演算部、50 表示部。

Claims (5)

  1. 測定対象から放射される放射線を検出して検出信号を得る放射線検出部と、
    検出信号に基づいて放射線の量を反映させた測定値を算出する測定値算出部と、
    算出された測定値を表示する測定値表示部と、
    を有し、
    互いに異なる仮の時定数を用いて得られる測定値の差に基づいて放射線の量に関する時間的な安定性を判断して真の時定数を決定する、
    ことを特徴とする放射線測定装置。
  2. 請求項1に記載の放射線測定装置において、
    仮の時定数T1を用いて得られる測定値D1と時定数T1よりも大きい仮の時定数T2を用いて得られる測定値D2との差が、予め設定された許容値の範囲内となる場合に、放射線の量が時間的に安定していると判断して、前記真の時定数として比較的大きな大時定数を選択する、
    ことを特徴とする放射線測定装置。
  3. 請求項2に記載の放射線測定装置において、
    前記測定値D1と測定値D2との差が、連続的に前記許容値の範囲外となる場合に、放射線の量が時間的に変動していると判断して、前記真の時定数として、前記大時定数よりも小さい時定数を選択する、
    ことを特徴とする放射線測定装置。
  4. 請求項3に記載の放射線測定装置において、
    放射線の量が時間的に変動していると判断した場合に、前記仮の時定数T1よりも小さい仮の時定数T3を用いて得られる測定値D3に基づいて、前記真の時定数として、前記大時定数よりも小さい時定数を選択する、
    ことを特徴とする放射線測定装置。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載の放射線測定装置において、
    前記測定値表示部は、真の時定数を用いて得られる最新の測定値を表示し、さらに、真の時定数を用いて得られる最新の測定値と前回の測定値との差を表示する、
    ことを特徴とする放射線測定装置。
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