請求項1に記載の発明は、水平面内に広がる板状部と、前記板状部と一体に設けられ、前記板状部の周縁に垂直方向に伸びる壁部と、前記板状部の下方へ膨出状に凹陥し、卵を保持する複数の保持部とを備えることにより、壁部と板状部とが一体で構成される。つまり、収容ケースと卵トレイとが一体構成となるので、卵収容ケースを持ち運んだ時、収容ケース内で卵トレイが移動することなく、安定して卵を保持することが可能となる。また、収容ケースと卵トレイとを一体で成型することができ、製造コストを低減させることが可能となる。
また、板状部及び壁部により区画された空間に卵が収容されるので、卵の殻に付着した雑菌等が他の食品に付着するのを抑制することが可能となる。
また、卵収容ケースを台所の流し台や食卓などに置いた時、卵収容ケースの壁部で、卵を保護できるので、不意に卵にお皿や人間の手などがぶつかった場合でも、卵が割れるのを防止することができる。
また、見栄えをよくしながら、卵を卵収容ケースに入れて台所の流し台や食卓などに置くことができる、という新しいスタイルを確立することができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記保持部は、前記板状部の板面に形成される開口の径より小さな径を有し、前記保持部の底部に設けられる副開口部を備えることにより、保持部は、径の異なる開口部を有する。つまり、大きなサイズの卵は、主として大きな径の開口部により保持し、小さなサイズの卵は、主として小さな径の副開口部により保持することが可能となる。すなわち、複数のサイズの卵を、より安定的に保持することができる。
さらに、副開口部により小さな卵を保持することができるので、開口部の径を卵パックが保持可能なまで大きくすることができる。したがって、卵パックを卵収容ケースに収容する時に、卵トレイの表裏を変更する必要がなくなり、使用者の利便性が向上する。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記板状部は、前記保持部が7個配列された保持部列を、2列備えることにより、卵収容ケースは、14個の卵を収容することができるので、卵収容ケース中に4個の卵が収容されている場合にも、さらに10個の卵を収容することが可能となる。さらに、卵収容ケースは、7個配列された保持部列を2列備えるので、古い卵と新たに購入した新しい卵とを分別して管理することが容易となる。つまり、使用者の利便性が向上する。
請求項4に記載の発明は、物を貯蔵する貯蔵室と、前記貯蔵室内に設置される引き出し式の卵収容ケースとを備える冷蔵庫であって、前記卵収容ケースは、水平面内に広がる板状部と、前記板状部と一体に設けられ、前記板状部の周縁に垂直方向に伸びる壁部と、前記板状部の下方へ膨出状に凹陥し、卵を保持する複数の保持部とを備えることにより、壁部と板状部とが一体で構成される。つまり、収容ケースと卵トレイとが一体構成となるので、収容ケース内で卵トレイが移動することなく、安定して卵を保持することが可能となる。また、収容ケースと卵トレイとを一体で成型することができ、製造コストを低減させることが可能となる。
また、板状部及び壁部により区画された空間に卵が収容されるので、卵の殻に付着した雑菌等が他の食品に付着するのを抑制することが可能となる。また、引き出し時の振動等により卵が保持部から飛び出した場合に、卵が卵収容ケースの外に落下するのを防ぐことができる。さらに、卵収容ケース内で卵が割れた場合に、卵の中身が卵収容ケースの外へ流出するのを防止することができる。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、前記保持部は、前記板状部の板面に形成される開口の径より小さな径を有し、前記保持部の底部に設けられる副開口部を備えることにより、保持部は、径の異なる開口部を有する。つまり、大きなサイズの卵は、主として大きな径の開口部により保持し、小さなサイズの卵は、主として小さな径の副開口部により保持することが可能となる。すなわち、複数のサイズの卵を、より安定的に保持することができる。
さらに、副開口部により小さな卵を保持することができるので、開口部の径を卵パックが保持可能なまで大きくすることができる。したがって、卵パックを卵収容ケースに収容する時に、卵トレイの表裏を変更する必要がなくなり、使用者の利便性が向上する。
請求項6に記載の発明は、請求項4または5に記載の発明において、前記板状部は、前記保持部が引き出し方向に7個配列された保持部列を、前記引き出し方向と交差する方向に2列備えることにより、卵収容ケースは、14個の卵を収容することができるので、卵収容ケース中に4個の卵が収容されている場合にも、さらに10個の卵を収容することが可能となる。さらに、卵収容ケースは、7個配列された保持部列を2列備えるので、古い卵と新たに購入した新しい卵とを分別して管理することが容易となる。つまり、使用者の利便性が向上する。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、前記冷蔵庫は、前記貯蔵室の左側面から右側面に亘って架橋状に設置される棚板とを備え、前記棚板は、前記卵収容ケースの奥行きに対応する奥行きを備える大棚板部と、前記大棚板部より奥行きの短い小棚板部とを備え、前記大棚板部は、前記卵収容ケースの設置位置に対応する位置に配置されることにより、奥行き寸法の大きい大棚板部が、卵収容ケースの設置位置に対応する位置に配置されるので、冷蔵庫全体の大きさを変えることなく、卵収容ケース、チルドケース、ドアポケット等に必要な収容スペースを確保することが可能となる。つまり、冷蔵庫全体の大きさを変えることなく、卵収容ケースは、奥行き方向に7個配列された保持部列を備えることが可能となる。
請求項8に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、前記卵収容ケースの側方の前記壁部の高さは、85mm以下の寸法であることにより、卵収容ケースに卵パックを載置した状態で、壁部に邪魔されることなく、卵パックの蓋を90度以上開放することが可能となり、使用者の利便性を向上させることができる。
請求項9に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、前記保持部は卵パックの下方突起部分に対応する位置に配置され、前記卵パックの下方突起部分が前記保持部に保持されるように、前記卵収容ケースに前記卵パックを収容した場合において、前記壁部は、九十度に開放した前記卵パックの蓋よりも高い位置に前記壁部の上端が位置し得る高さを有し、前記卵パックの蓋を九十度に開放し得る位置に配置されることにより、卵収容ケースに蓋を90度開放した卵パックを収容した状態で、卵収容ケースを引き出すことが可能となり、使用者の利便性を向上させることができる。
請求項10に記載の発明は、請求項4から7のいずれか一項に記載の発明において、前記卵収容ケースは、前記左右の壁部の下端に前記壁部と一体に設けられ、奥行き方向に伸びるスライド部を備え、前記スライド部の下端は、前記保持部の下端より高い位置にあることにより、通常は、摺動性を向上させるために、卵収容ケースのスライド部の下端には摺動部剤を塗るが、卵収容ケースを平らなテーブルの上などに置いた時に、摺動部となるスライド部の下端は設置面から離れることとなり、スライド部の下端に塗った摺動部剤が設置面に付着することはなく、摺動部剤でテーブルを汚すことはない。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明するが、従来例または先に説明した実施の形態と同一構成については同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における冷蔵庫の正面図である。
図1に示すように、冷蔵庫51は、観音開き式の扉を備える冷蔵庫であり、断熱箱体52内に複数に区画された貯蔵室を備えている。
具体的には、冷蔵庫51は、貯蔵室として、上部より冷蔵室53、製氷室54、製氷室54に併設され室内の温度が変更可能な切換室55、野菜室56、及び冷凍室57を備えている。
各貯蔵室の開口部には、例えばウレタンのような発泡断熱材を発泡充填した断熱扉が設けられている。具体的には、冷蔵室53には断熱箱体52の開口部を開閉自在に閉塞する左扉60a及び右扉60bが設けられている。
また、製氷室54、切換室55、野菜室56、及び冷凍室57にはそれぞれ引き出し式の扉61、扉62、扉63、及び扉64が設けられている。
これら貯蔵室のうち、冷蔵室53以外の貯蔵室は引き出し式の貯蔵室である。
また、図1に示すように、断熱箱体52は、ABSなどの樹脂体を真空成型した内箱70とプリコート鋼板などの金属材料を用いた外箱71とで構成された空間に発泡断熱材72が充填された断熱壁で構成されている。
野菜室56と冷凍室57の後側には、冷却器(図示せず)及びファン(図示せず)が設けられており、冷蔵庫51の本体下部に設置された圧縮機(図示せず)により冷却器が駆動され、冷却器から冷却された空気(冷気)が各貯蔵室に送られる。また、それぞれの貯蔵室ごとに所定の温度に冷却制御される。
図2は、本発明の実施の形態1における冷蔵庫の扉を開けた状態の斜視図である。
図2に示すように、冷蔵室53の開口部には、上述のように左扉60a及び右扉60bが設置されている。左扉60aは冷蔵室53側に上下方向に複数の左ドアポケット90を有しており、右扉60bは同様に複数の右ドアポケット91を有している。これら各扉における複数のドアポケットにより、冷蔵室53内に複数段に亘る収納空間が形成されている。
そして、これら複数のドアポケットのそれぞれは、主に飲料などのペットボトルや調味料などのビン類を収容する目的で、前後左右に壁を有し上方が開口した形状である。また、右ドアポケット91は、左ドアポケットより貯蔵室内側へ突出し収容スペースを大きくするよう構成されている。
さらに、冷蔵室53には、食品などを整理して収容するための複数の棚板80が左側面から右側面に渡って架橋状に設置されている。これら複数の棚板80により、冷蔵室53内に複数段に亘る収納空間が形成されている。
また、冷蔵室53内の収納空間の最下段には、複数の引き出しが配置されている。具体的には、生麺、水産練製品、総菜等のチルド食品等の収容に適したチルドケース82、袋入りの調味料等の小物の収容に適した小物ケース83、及び卵の収容に適した卵収容ケース100が配置されている。これらの引き出しは、それぞれ独立して引き出し可能である。
なお、本実施の形態の冷蔵庫51では、卵収容ケース100が下段に、小物ケース83が上段に設置されているが、卵収容ケース100が上段に、小物ケース83が下段に設置されてもよい。
図3は、本発明の実施の形態1における冷蔵庫の冷蔵室の部分斜視図である。
図3に示すように、棚板80は、奥行き寸法が冷蔵室53の開口部から向かって左右で異なる長さになっており、左側の奥行き寸法が、右側の奥行き寸法より長い。この棚板80は、左ドアポケット90及び右ドアポケット91と干渉しない奥行き寸法であり、かつ、左ドアポケット90及び右ドアポケット91の形状に対応した奥行き寸法である。
なお、棚板80において、奥行き寸法が長い部分を含む棚板80の左側の部分を大棚板部80aとし、奥行き寸法が短い部分を含む棚板80の右側の部分を小棚板部80bとする。
また、冷蔵室53内の収納空間の最下段に配置された左右の引き出しは、棚板80の形状に対応する。つまり、左右の引き出しは、それぞれ奥行き寸法が異なる。
具体的には、引き出しは、棚板80と同様に、左ドアポケット90及び右ドアポケット91と干渉しない奥行き寸法であり、かつ、左ドアポケット90及び右ドアポケット91の形状に対応した奥行き寸法である。
つまり、左側の大棚板部80aに対応する位置に設置される小物ケース83及び卵収容ケース100は、大棚板部80aと略同一の奥行き寸法である。また、右側の小棚板部80bに対応する位置に設置されるチルドケース82は、小棚板部80bと略同一の奥行き寸法である。
例えば、長い奥行き寸法を要する卵収容ケース100の奥行き寸法と、チルドケース82の奥行き寸法とを同一とした場合、卵収容ケース100及びチルドケース82と干渉しないように、左右のドアポケットの突出量を小さくする必要がある。したがって、このような冷蔵庫は、冷蔵庫全体の奥行きを増加させないことには、十分なドアポケットの収容スペースを確保できない。
一方、本実施の形態の冷蔵庫51のように、チルドケース82の奥行き寸法を、卵収容ケース100の奥行き寸法より小さくした場合、右ドアポケット91の突出量を大きくすることができる。すなわち、冷蔵庫51は、右ドアポケット91の収容スペースを確保するとともに、卵収容ケース100の奥行き寸法も確保することができる。
このように、奥行き寸法の大きい大棚板部80aが、卵収容ケース100の設置位置に対応する位置に配置されることにより、冷蔵庫51全体の大きさを変えることなく、卵収容ケース100、チルドケース82、左ドアポケット90、及び右ドアポケット91に必要な収容スペースを確保することが可能となる。
なお、引き出しは、一番下の棚板80の下の空間に配置される必要はなく、複数の棚板80のいずれかにより仕切られた冷蔵室53の空間に配置されればよい。すなわち、引き出しは、冷蔵室53に備えられる棚板80の上面又は底面と、冷蔵室53の内箱70とで形成される空間に配置されればよい。
次に、卵収容ケース100について、詳細に説明する。
図4は、本発明の実施の形態1における冷蔵庫が備える卵収容ケースの斜視図である。
図4に示すように、冷蔵庫51の奥行き方向をx軸、左右方向をy軸、高さ方向をz軸と表す。なお、以降の図においても同様とする。
卵収容ケース100は、板状部101、保持部102、壁部103、及びスライド部104を備える。
板状部101は、卵収容ケース100内において、水平面内に広がる部材である。
保持部102は、板状部101に複数設けられ、板状部101の下方へ膨出状に凹陥した部材である。また、保持部102は、板状部101と一体で構成される。これら複数の保持部102については、図5〜図7を用いて後述する。
壁部103は、板状部101と一体に設けられ、板状部101の周縁に垂直方向に伸びる部材である。つまり、壁部103と板状部101とは、一体で構成される部材である。
スライド部104は、左右の壁部103の下端に、壁部103と一体に設けられ、奥行き方向(x軸方向)に伸びる部材である。また、スライド部104は、振動を抑制しつつ、卵収容ケース100を奥行き方向に引き出し可能とする部材である。
以上のように、卵収容ケース100は、壁部103と板状部101とが一体で構成される。つまり、収容ケースと卵トレイとが一体構成となるので、収容ケース内で卵トレイが移動することなく、安定して卵を保持することが可能となる。また、収容ケースと卵トレイとを一体で成型することができ、製造コストを低減させることが可能となる。
また、板状部101及び壁部103により区画された空間に卵が収容されるので、卵の殻に付着した雑菌等が他の食品に付着するのを抑制することが可能となる。また、引き出し時の振動等により卵が保持部102から飛び出した場合に、卵が卵収容ケース100の外に落下するのを防ぐことができる。さらに、卵収容ケース100の中で卵が割れた場合に、卵の中身が卵収容ケース100の外へ流出するのを防止することができる。
また、衛生上、収容ケースや卵トレイは洗浄する機会が多く、使用者が収容ケース302や卵トレイ301を洗浄したり、あるいは、卵トレイ301を取り出し表裏を変更して使用したりするなど、従来の構成では、卵トレイの使い方の自由度が高く、このように、卵トレイを収容ケースから取り出す機会が多いため、卵トレイ301を紛失する可能性があるが、本実施の形態では、卵収容ケース100は、壁部103と板状部101とが一体で構成される、つまり、収容ケースと卵トレイとが一体構成となるので、卵トレイを紛失することはない。
なお、本実施の形態の卵収容ケース100は左右の壁部103の下端に設けられたスライド部104を備えているが、左右の壁部103の高さ方向の中間位置外側に、奥行き方向に伸びる凸状のスライド部を備えてもよい。すなわち、卵収容ケース100を奥行き方向に引き出し可能とするとともに、引き出し時の卵収容ケース100の振動を抑制することが可能であれば、卵収容ケース100は、どのようなスライド部を備えていてもよい。
図5は、本発明の実施の形態1における冷蔵庫が備える卵収容ケースの上面図であり、図6は、本発明の実施の形態1における冷蔵庫が備える卵収容ケースの断面図(図5に示すA−A断面図)である。
図5に示すように、板状部101は、保持部102が引き出し方向(x軸方向)に7個配列された保持部列を、引き出し方向と交差する方向(y軸方向)に2列備える。
このように、卵収容ケース100は、14個の卵を収容することができるので、卵収容ケース中に4個の卵が収容されている場合にも、さらに10個の卵を収容することが可能となる。
社団法人日本養鶏協会の統計ホームページによると、総務省の家計調査からの引用で、1日1人当たりの鶏卵消費量を年別に表している。これによれば、平成19年の1日1人当たりの鶏卵消費量は27.2gと示されている。卵は1個あたりおおよそ60gとみなして、約1/2個が消費されていることがわかる。ただし、卵を1/2個使用して1/2個を残しておく使用形態は一般的でないので、平均的に2日に1個を消費していると考えることが妥当と思われる。
また、卵は一般的に10個1パック(2列×5個のプラスチック容器)の形態で販売されていることが多い。
大型冷蔵庫の購買層の平均的な家族構成を4人として、冷蔵庫に求められる卵収納個数は最低10個であるが、この場合は完全に卵を使い切るまで次の卵パックを収納できない。また、卵を12個収納可能な場合は、卵が2個残った時点で次の卵を収納することができるが、統計から見て家族4人では一度に使用する量は平均的に4個と考えると、2個では不満足となる可能性がある。
したがって、本実施の形態のように、10個1パックと4個以上の収納が可能な卵収納ケース100とすることで、使用者が効果的に卵の購入サイクルを作ることができ、常に新鮮な卵を購入し食することが可能となる。つまり、使用者が4人家族の場合、家族1人に1個の卵を保持した状態で、新たに購入した10個入りパックの卵を卵収容ケース100に収容できるので、使用者の利便性が向上する。
さらに、卵収容ケースは、7個配列された保持部列を2列備えるので、古い卵と新たに購入した新しい卵とを分別して管理することが容易となる。さらに、前後方向に残りの卵を手前側に収納し、その奥部に次の卵パックを収納することで、古い卵から順番に間違うことなく消費できるので、ムダな食品の廃棄を防止でき、使用者の利便性が向上するとともに環境に貢献することができる。
また、図3に示したように、棚板80の奥行き寸法の大きい大棚板部80aは、卵収容ケース100の設置位置に対応する位置に配置される。したがって、ドアポケットに必要な収納スペースを確保するとともに、冷蔵庫全体の大きさを変えることなく、卵収容ケース100は、奥行き方向に7個配列された保持部列を2列備えることが可能となる。
また、図4に示したように、卵収容ケース100は一体部品で構成されるので、卵トレイを収容ケースから取り出すための遊び代が不要である。つまり、卵収容スペースを増加させることができるので、冷蔵庫全体の大きさを変えることなく、奥行き方向に7個配列された保持部列を2列備えることが可能となる。
また、図5及び図6に示すように、保持部102は、主開口部102a及び副開口部102bを有する。
主開口部102aは、板状部101の板面に位置する。
副開口部102bは、保持部102の底部に位置し、副開口部102bの径は、主開口部102aの径より小さい。また、副開口部102bは、主開口部102aと滑らかな曲面により連続的に繋がれる。さらに、副開口部102bは、保持部102の底面と滑らかな曲面により連続的に繋がれる。
そして、主開口部102aと副開口部102bとを繋ぐ曲面と、副開口部102bと底面とを繋ぐ曲面とは、副開口部102bにおいて、段差状に連続的に繋がれる。
図7(a)は、本発明の実施の形態1における冷蔵庫が備える卵収容ケースに比較的大きな卵を収容した場合の保持部の断面図である。また、図7(b)は、本発明の実施の形態1における冷蔵庫が備える卵収容ケースに比較的小さな卵を収容した場合の保持部の断面図である。
図7(a)に示すように、比較的大きな卵201は、主として主開口部102a及び主開口部102aと副開口部102bとを繋ぐ滑らかな曲面により支持され、サイズが多少異なり、曲面に合致しないものでも、比較的大きな卵は主開口部102aで卵の表面曲面を保持することができる。
また、図7(b)に示すように、比較的小さな卵202は、主として副開口部102bにより卵表面曲面を保持される。この時、底面は卵の先端部が当接しない寸法に設定されており、副開口部102bで卵が保持されるより先に底面に当接して不安定となることを防止している。
このように、保持部102は、径の大きさが異なる主開口部102a及び副開口部102bを有するので、大きさの異なる卵を安定的に保持することができる。具体的には、保持部102は、S、M、L等で区分される複数サイズの卵を安定的に保持することができる。
また、保持部102は、板状部101に複数設けられ、板状部101の下方へ膨出状に凹陥した部材で、板状部101と一体で構成される。これにより、従来の特許文献2で示したような、板状部がフラット状なものと比較して、ひねり強度が向上できるので卵収容ケースを引き出す際の剛性を高めることとなり、無理な力で卵収容ケースを引き出した時にでも、卵収容ケースの変形を抑制できるので、安定して引き出すことができる。
図8は、本発明の実施の形態1における冷蔵庫の卵パックを収容した卵収容ケースの断面図(図5に示すA−A断面図)である。
図8に示すように、保持部102は、卵パック203の下方突起部分を収容し得る位置に配置される。また、主開口部102aは、卵パック203の下方突起部分を収容し得る径を有する。
また、卵収容ケース100は、蓋の付いた卵パック203を収容し得る高さの収容スペースを有する。
このように、卵収容ケース100は、卵本体に加えて卵パック203を安定的に保持することができる。
また、図7に示したように、保持部102は、副開口部102bを有するので、主開口部102aの径が卵パック203を保持可能とする大きさである場合にも、Sサイズ等の小さな卵を安定的に保持することができる。
以上のように、本実施の形態によれば、引き出し可能な卵収容ケースを一体で成型できるので、製造コストを低減させることができる。さらに、卵トレイが卵収容ケース内で移動することもないので、卵を安定的に保持させることが可能となる。
さらに、保持部が径の異なる開口部を2つ有するので、卵収容ケースは、大きさの異なる複数の卵と卵パックとを安定的に保持することが可能となる。
なお、本実施の形態では、卵収容ケースを備えた冷蔵庫について説明したが、以下に、卵収容ケースのみについて説明する。
水平面内に広がる板状部と、前記板状部と一体に設けられ、前記板状部の周縁に垂直方向に伸びる壁部と、前記板状部の下方へ膨出状に凹陥し、卵を保持する複数の保持部とを備えるものである。
これにより、壁部と板状部とが一体で構成される。つまり、収容ケースと卵トレイとが一体構成となるので、卵収容ケースを持ち運んだ時、収容ケース内で卵トレイが移動することなく、安定して卵を保持することが可能となる。また、収容ケースと卵トレイとを一体で成型することができ、製造コストを低減させることが可能となる。
また、板状部及び壁部により区画された空間に卵が収容されるので、卵の殻に付着した雑菌等が他の食品に付着するのを抑制することが可能となる。
また、一般には、卵は10℃以下で保存することが望ましいことから、冷蔵庫で保存することが多いが、短期間で一つの卵パックの卵を使い切る場合や、冬季もしくは寒冷地などでは、必ずしも、卵は冷蔵庫に入れて保存されないことも多く、例えば、卵パックのままの状態で、台所の流し台や食卓の上に置かれることも多々ある。
このように、卵収容ケースを台所の流し台や食卓などに置いた時、卵収容ケースの壁部で、卵を保護できるので、不意に卵にお皿や人間の手などがぶつかった場合でも、卵が割れるのを防止することができる。
また、見栄えをよくしながら、卵を卵収容ケースに入れて台所の流し台や食卓などに置くことができる、という新しいスタイルを確立することができる。
また、保持部は、板状部の板面に形成される開口の径より小さな径を有し、保持部の底部に設けられる副開口部を備えることにより、保持部は、径の異なる開口部を有する。つまり、大きなサイズの卵は、主として大きな径の開口部により保持し、小さなサイズの卵は、主として小さな径の副開口部により保持することが可能となる。すなわち、複数のサイズの卵を、より安定的に保持することができる。
さらに、副開口部により小さな卵を保持することができるので、開口部の径を卵パックが保持可能なまで大きくすることができる。したがって、卵パックを卵収容ケースに収容する時に、卵トレイの表裏を変更する必要がなくなり、使用者の利便性が向上する。
また、板状部は、保持部が7個配列された保持部列を、2列備えることにより、卵収容ケースは、14個の卵を収容することができるので、卵収容ケース中に4個の卵が収容されている場合にも、さらに10個の卵を収容することが可能となる。さらに、卵収容ケースは、7個配列された保持部列を2列備えるので、古い卵と新たに購入した新しい卵とを分別して管理することが容易となる。つまり、使用者の利便性が向上する。
次に、他の卵収容ケースについて説明する。
図12は、本発明の実施の形態1における冷蔵庫が備える他の卵収容ケースの断面図、図13は、図12のB−B断面図である。
なお、本実施の形態では、図6に示すように、卵収容ケース100の左右の壁部103の下端に壁部103と一体に設けられ奥行き方向に伸びるスライド部104の下端(L)は、保持部102の下端(M)より低い位置にある。
しかしながら、図12や図13に示すように、他の卵収容ケース100は、左右の壁部103の下端に壁部103と一体に設けられ、奥行き方向に伸びるスライド部104を備え、スライド部104の下端(L)は、保持部102の下端(M)より高い位置にある。
これにより、通常は、摺動性を向上させるために、卵収容ケース100のスライド部104の下端(M)には摺動部剤を塗るが、卵収容ケース100を平らなテーブルの上などに置いた時に、摺動部となるスライド部104の下端(L)は設置面から離れることとなり、スライド部104の下端(L)に塗った摺動部剤が設置面に付着することはなく、摺動部剤でテーブルを汚すことはない。
また、スライド部104の下端(L)は、保持部102の下端(M)より低い位置にあると、保持部102とスライド部104とで形成される空間に指がとどきにくく、卵収容ケース100の清掃が困難である。
しかしながら、図13に示すように、スライド部104の下端(L)は、保持部102の下端(M)より高い位置にあると、保持部102とスライド部104とで形成される空間(図13における点線A)に指がとどきやすくなり、この非常に狭い空間近傍のスライド部104や保持部102に付着した汚れを拭き取りやすくなり、卵収容ケース100の清掃性を向上できる。
なお、前面の壁部103の下端(N)は、保持部102の下端(M)とほぼ同等の高さとしている。これにより、卵収容ケースを正面から見たときに、直接に保持部102が見えないので外観上もよい。
(実施の形態2)
以下、本発明の実施の形態2における冷蔵庫について、図面を参照しながら説明する。
実施の形態1では、図8に示すように、卵収容ケース100に卵パック203を収容した場合において、卵収容ケース100の側方の壁部103の上端は、蓋を閉じた卵パック203の上面と同程度の高さに位置していた。しかし、実施の形態2では、卵収容ケース100に卵パック203を収容した場合において、卵収容ケース100の側方の壁部103の上端は、卵パック203の蓋の開閉面よりも低い位置にある。
図9は、本発明の実施の形態2における冷蔵庫の正面から見た場合の卵パックを収容した卵収容ケースの断面図である。
図9に示すように、卵パック203の下方突起部分は、卵収容ケース100の保持部102に保持されている。このように卵パック203が卵収容ケース100に収容された状態において、卵パック203の開閉面の位置は、卵収容ケース100の側方の壁部103の上端部よりも高い位置にある。つまり、側方の壁部103の高さHは、卵収容ケース100に収容された卵パック203の蓋203aの開閉面の位置よりも低くなるような高さである。
具体的には、卵収容ケース100の側方の壁部103の高さHは、85mm以下であり、より望ましくは、78mmである。この高さは、卵パック203の高さを65〜70mmと想定した場合に、卵収容ケース100に収容した卵パック203の開閉面の位置が、壁部103の上端よりも高くなる高さである。
これにより、図9において点線で示すように、使用者は、卵収容ケース100に卵パック203を載置した状態で、側方の壁部103に邪魔されることなく、卵パック203の蓋203aを90度以上開放することが可能となる。
つまり、卵収容ケース100に、蓋を付けた卵パック203を収容する使用者にとって、実施の形態2に係る卵収容ケース100は、利便性が高い。
(実施の形態3)
以下、本発明の実施の形態3における冷蔵庫について、図面を参照しながら説明する。
実施の形態1では、図8に示すように、卵収容ケース100に卵パック203を収容した場合において、卵収容ケース100の側方の壁部103の上端は、蓋を閉じた卵パック203の上面と同程度の高さに位置していた。しかし、実施の形態3では、卵収容ケース100に卵パック203を収容した場合において、卵収容ケース100の壁部103は、90度に開放した卵パック203の蓋よりも高い位置に壁部103の上端が位置し得る高さを有し、卵パック203の蓋を90度に開放し得る位置に配置される。
図10は、本発明の実施の形態3における冷蔵庫の卵パックを収容した場合の卵収容ケースを冷蔵庫の正面から見たときの断面図である。
図10に示すように、卵パック203の下方突起部分は、卵収容ケース100の保持部102に保持されている。このように卵パック203が卵収容ケース100に収容された状態において、卵収容ケース100の壁部103は、90度に開放した卵パック203の蓋203aよりも高い位置に壁部103の上端が位置し得る高さを有する。
さらに、卵収容ケース100の、少なくとも片側の側方の壁部103は、卵パック203の蓋を90度に開放し得る位置に配置される。
これにより、使用者は、図10において点線で示すように、蓋203aを90度開放した卵パック203を収容した状態で、卵収容ケース100を引き出すことが可能となる。
つまり、卵収容ケース100に、蓋を付けた卵パック203を収容する使用者にとって、実施の形態3に係る卵収容ケース100は、利便性が高い。
(実施の形態4)
以下、本発明の実施の形態4における冷蔵庫について、図面を参照しながら説明する。
実施の形態1から3では、卵収容ケースは、冷蔵室内の収納空間に、引き出し可能なように配置されていた。しかし、実施の形態4では、卵収容ケースは、冷蔵室の開口部に設置された扉の上下方向に設けられたドアポケットの代わりに、卵収容ケース300を設置している。
図14は、本発明の実施の形態4における冷蔵庫の扉の斜視図である。図15は、本発明の実施の形態4における冷蔵庫の扉の縦断面図である。
図14や図15に示すように、冷蔵室53の開口部に設置された右扉60bには、最上段と最下段にはドアポケット91が設けられており、飲料などのペットボトルや調味料などのビン類が収容される。また、最上段と最下段のドアポケット91の間には、ドアポケットの代わりに、卵収容ケース300を設置している。
図14や図15に示すように、この卵収容ケース300は、板状部101、保持部102、壁部103を備える。この板状部101、保持部102、壁部103については、実施の形態1で説明したものと同じなので、詳細な説明は省略する。
なお、本実施の形態の板状部101は、冷蔵庫の左右方向(P方向)に6個配列された保持部列を、冷蔵庫の前後方向(Q方向)に3列備える。このように、卵収容ケース300は、18個の卵を収容できる。
以上のように、卵収容ケース300は、壁部103と板状部101とが一体で構成される。つまり、収容ケースと卵トレイとが一体構成となるので、開閉頻度が多い扉60bを開け閉めする際に、収容ケース内で卵トレイが移動することなく、安定して卵を保持することが可能となり、また、卵トレイが移動しないので、音の発生を防止でき、品位の低下を防止できる。また、収容ケースと卵トレイとを一体で成型することができ、製造コストを低減させることが可能となる。
なお、本実施の形態では、卵収容ケース300は、冷蔵室の右扉60bの中央段に設けたが、必要に応じて、卵収容ケース300は、左扉60aに設けてもよく、また、最上段や最下段に設けてもよいが、使い勝手の面からいうと、卵収容ケース300は、中央段もしくは最下段に設けることがよい。
なお、本実施の形態では、卵収容ケース300は、冷蔵庫の左右方向(P方向)に6個配列された保持部列を、冷蔵庫の前後方向(Q方向)に3列備えたが、必要に応じて、冷蔵庫の左右方向(P方向)を4個や5個や7個に配列してもよく、冷蔵庫の前後方向(Q方向)は2列にしてもよい。
また、本実施の形態の冷蔵庫は、実施の形態1で示した観音開き式の扉を備える冷蔵庫としたが、一枚の扉を有した片開き式の冷蔵庫に、卵収容ケース300を設けてもよい。この場合、扉の左右方向の長さが長くなるので、冷蔵庫の左右方向の保持部列の数を増すことができる。