JP2009270540A - エンジン及びエンジン用点火プラグ - Google Patents

エンジン及びエンジン用点火プラグ Download PDF

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Abstract

【課題】燃焼室から噴孔を介して点火室に流入した混合気を点火プラグにより点火点で火花点火するエンジンにおいて、当該混合気を確実に点火点に導いて失火の発生を抑制し、安定した燃焼火炎を得て安定運転を実現し得る技術を提供する。
【解決手段】点火点Pを覆うプラグカバー7b内に点火室8が形成された点火プラグ7がシリンダヘッドに装着され、点火室8とピストンに面する燃焼室1とを連通する複数の噴孔10がプラグカバー7bに備えられたエンジン100であって、点火室8が、噴孔10が設けられたスロート空間部8aと、スロート空間部8aに連通する状態でシリンダヘッド側に延出するとともに点火点Pを備えた点火空間部8bとから構成され、スロート空間部8aの内径が点火空間部8bの内径よりも小さく形成され、かつ、スロート空間部8aの中心軸Yが、点火空間部8bの中心軸Xと交差して設定されている。
【選択図】図3

Description

本発明は、点火点を覆うプラグカバー内に点火室が形成された点火プラグがシリンダヘッドに装着され、点火室とピストンに面する燃焼室とを連通する複数の噴孔がプラグカバーに備えられ、燃焼室から噴孔を介して点火室に流入した混合気を点火プラグにより火花点火するエンジン、及びこのエンジンに用いられる点火プラグに関する。
上記のようなエンジンは、燃焼室に吸気された空気と燃料との混合気をピストンの上昇により圧縮して、その圧縮された混合気を、点火プラグのプラグカバーに設けられた噴孔を介して点火室に流入させ、その点火室に流入した混合気を点火プラグにより火花点火して燃焼させて、上記噴孔を介して燃焼室に燃焼火炎を噴射するように構成されている(例えば、特許文献1を参照。)。
特開2007−077902号公報
上記特許文献1に記載のエンジンの点火室では、噴孔を介して燃焼室から流入する混合気の流れは、速いガス流動となる。すなわち、燃焼室から噴孔を介して点火室内に流入した混合気は、当該点火室内において噴孔の延長線上に進み各混合気同士や点火室の壁面と衝突することにより、規則性の低い不安定なガス流動を形成する。
このように点火室におけるガス流動が規則性を有さず不安定となると、点火室内における混合気の混合濃度が不均一となってしまい、燃焼後に局所的に未燃焼残留ガスが存在する場合がある。そして、点火室内の点火プラグの点火点近傍に未燃焼残留ガスが残ると、点火点で火花点火するときに、その未燃焼残留ガスを含む混合気に火花点火できない失火が発生するおそれが高くなり、安定した燃焼火炎を形成することが困難となる。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、点火点を覆うプラグカバー内に点火室が形成された点火プラグがシリンダヘッドに装着され、点火室とピストンに面する燃焼室とを連通する複数の噴孔がプラグカバーに備えられ、燃焼室から噴孔を介して点火室に流入した混合気を点火プラグにより点火点で火花点火するエンジンにおいて、当該混合気を確実に点火点に導いて失火の発生を抑制し、安定した燃焼火炎を得て安定運転を実現し得る技術を提供する点にある。
上記目的を達成するための本発明に係る点火点を覆うプラグカバー内に点火室が形成された点火プラグがシリンダヘッドに装着され、前記点火室とピストンに面する燃焼室とを連通する複数の噴孔が前記プラグカバーに備えられているエンジンの第1特徴構成は、
前記点火室が、前記噴孔が設けられたスロート空間部と、前記スロート空間部に連通する状態で前記シリンダヘッド側に延出するとともに前記点火点を備えた点火空間部とから構成され、
前記スロート空間部の内径が前記点火空間部の内径よりも小さく形成され、かつ、前記スロート空間部の中心軸が、前記点火空間部の中心軸と交差するように設定されている点にある。
上記第1特徴構成によれば、燃焼室から噴孔を介して点火室に流入した混合気を、まず、比較的内径の小さいスロート空間部に流入させ、続いて、比較的内径の大きい点火空間部に流入させることができるので、噴孔から流入した混合気を、スロート空間部において当該スロート空間部の連通方向(スロート空間部の中心軸の軸方向)に向かうように案内しつつ流通させ、その方向を維持したまま点火空間部内に流入させることができる。
そして、スロート空間部の中心軸が、点火空間部の中心軸と交差するように設定されているので、スロート空間部から点火空間部の下部に流入した一定の方向性を持った状態の混合気は、点火空間部において、点火空間部の中心軸に平行な断面視で当該中心軸の上下方向にわたるタンブル流(縦渦)を形成し、点火空間部内全体、特に、点火空間部内の上部付近において比較的規則的なガス流動を発生させる。したがって、点火空間部内に備えられた点火点付近に混合気を案内して当該混合気を良好に混合し、少なくとも点火点側の混合気の混合濃度を新たに流入した混合気の濃度に確保される状態とすることができ、未燃焼残留ガスの影響を排除して、点火プラグにより安定して火花点火でき、失火を良好に防止することができる。これにより、安定した燃焼火炎を形成してエンジンの安定した運転を実現することができる。
上記目的を達成するための本発明に係る点火点を覆うプラグカバー内に点火室が形成された点火プラグがシリンダヘッドに装着され、前記点火室とピストンに面する燃焼室とを連通する複数の噴孔が前記プラグカバーに備えられているエンジンの第2特徴構成は、
前記点火室が、前記噴孔が設けられたスロート空間部と、前記スロート空間部に連通する状態で前記シリンダヘッド側に延出するとともに前記点火点を備えた点火空間部とから構成され、
前記スロート空間部の内径が前記点火空間部の内径よりも小さく形成され、かつ、前記スロート空間部の中心軸が、前記点火空間部の中心軸に対し平行で所定の距離ずれた位置に設定されている点にある。
上記第2特徴構成によれば、燃焼室から噴孔を介して点火室に流入した混合気を、まず、比較的内径の小さいスロート空間部に流入させ、続いて、比較的内径の大きい点火空間部に流入させることができるので、噴孔から流入した混合気を、スロート空間部において当該スロート空間部の連通方向(スロート空間部の中心軸の軸方向)に向かうように案内しつつ流通させ、その方向を維持したまま点火空間部内に流入させることができる。
そして、スロート空間部の中心軸が、点火空間部の中心軸に対し平行で所定の距離ずれた位置に設定されているので、スロート空間部から点火空間部の下部に流入した一定の方向性を持った状態の混合気は、点火空間部において、点火空間部の中心軸に平行な断面視で当該中心軸の上下方向にわたるタンブル流(縦渦)を形成し、点火空間部内全体、特に、点火空間部内の上部付近において比較的規則的なガス流動を発生させる。したがって、点火空間部内に備えられた点火点付近に混合気を案内して当該混合気を良好に混合し、少なくとも点火点側の混合気の混合濃度を新たに流入した混合気の濃度に確保される状態とすることができ、未燃焼残留ガスの影響を排除して、点火プラグにより安定して火花点火でき、失火を良好に防止することができる。これにより、安定した燃焼火炎を形成してエンジンの安定した運転を実現することができる。
本発明に係るエンジンの第3特徴構成は、上記第1又は第2特徴構成に加えて、前記スロート空間部が、前記点火空間部の中心軸に直交する方向で当該点火空間部の端部に配置されている点にある。
上記第3特徴構成によれば、スロート空間部が、前記点火空間部の中心軸に直交する方向で当該点火空間部の端部に配置されているので、スロート空間部から一定の方向性を持って点火空間部の端部に流入した混合気は、点火空間部において、一定の方向性を維持しつつ上下方向に加え左右方向にも大きく流動し、より大きなタンブル流を形成して、点火空間部内全体においてより大きく比較的規則的なガス流動を発生させることができる。したがって、点火空間部内に備えられた点火点において、未燃焼残留ガスの影響を排除して略確実に混合気に火花点火することができ、失火の発生をより確実に防止することができる。これにより、安定した燃焼火炎を形成してエンジンのより一層安定した運転を実現することができる。
本発明に係るエンジンの第4特徴構成は、上記第1から第3特徴構成の何れかに加えて、前記点火点が、前記点火空間部内の上部であって、当該点火空間部の中心軸上に配置されている点にある。
上記第4特徴構成によれば、点火点が、点火空間部内の上部であって中心軸上に配置されているので、点火空間部内に形成された上記タンブル流により充分に混合された混合気が、点火点近傍にほぼ確実に案内され、当該点火点において確実に火花点火して混合気の良好な燃焼状態を得ることができる。
本発明に係るエンジンの第5特徴構成は、上記第1から第4特徴構成の何れかに加えて、前記シリンダヘッドと対向する前記ピストンの天面に凹部が形成されるとともに、前記ピストンが上死点に位置する状態で少なくとも前記プラグカバーが前記凹部に侵入して配置されて、前記点火点が前記天面よりも前記凹部に侵入する側に配置された点にある。
上記第5特徴構成によれば、混合気を凹部に集中させるとともに、燃焼室の各部から噴孔を介して点火室内の点火点に到達するまでの距離を短く構成できるので、燃焼室から噴孔を介して点火室に流入する混合気を当該点火室に流入後、即座に点火点に到達させることができ、安定した点火を比較的容易に行って良好な燃焼状態を得ることができる。
また、混合気に火花点火して燃焼させた後においては、噴孔から燃焼室に燃焼火炎を即座に噴射することができ、希薄燃焼の場合であっても燃焼室内において確実に混合気を燃焼させて燃焼効率の高効率化を図ることができる。
上記目的を達成するための本発明に係る点火点を有するプラグ本体と、前記点火点を覆うように前記プラグ本体に設けられたプラグカバーとを備え、エンジンのシリンダヘッドに装着された状態において、ピストンに面する燃焼室と前記プラグカバー内に形成された点火室とを連通する複数の噴孔が前記プラグカバーに形成されているエンジン用点火プラグの第1特徴構成は、
前記点火室が、前記噴孔が設けられたスロート空間部と、前記スロート空間部に連通する状態で前記シリンダヘッド側に延出するとともに前記点火点を備えた点火空間部とから構成され、
前記スロート空間部の内径が前記点火空間部の内径よりも小さく形成され、かつ、前記スロート空間部の中心軸が、前記点火空間部の中心軸と交差するように設定されている点にある。
上記エンジン用点火プラグの第1特徴構成によれば、当該エンジン用点火プラグをエンジンのシリンダヘッドに装着することで、燃焼室から噴孔を介して点火室に流入した混合気を、まず、比較的内径の小さいスロート空間部に流入させ、続いて、比較的内径の大きい点火空間部に流入させることができるので、噴孔から流入した混合気を、スロート空間部において当該スロート空間部の連通方向(中心軸方向)に向かうように案内しつつ流通させ、その方向を維持したまま点火空間部内に流入させることができる。
そして、スロート空間部の中心軸が、点火空間部の中心軸と交差するように設定されているので、スロート空間部から点火空間部の下部に流入した一定の方向性を持った状態の混合気は、点火空間部において、点火空間部の中心軸に平行な断面視で当該中心軸の上下方向にわたるタンブル流(縦渦)を形成し、点火空間部内全体、特に、点火空間部内の上部付近において比較的規則的なガス流動を発生させる。したがって、点火空間部内に備えられた点火点付近に混合気を案内して当該混合気を良好に混合し、少なくとも点火点側の混合気の混合濃度を新たに流入した混合気の濃度に確保される状態とすることができ、未燃焼残留ガスの影響を排除して、点火プラグにより安定して火花点火でき、失火を良好に防止することができる。これにより、安定した燃焼火炎を形成してエンジンの安定した運転を実現することができる。
上記目的を達成するための本発明に係る点火点を有するプラグ本体と、前記点火点を覆うように前記プラグ本体に設けられたプラグカバーとを備え、エンジンのシリンダヘッドに装着された状態において、ピストンに面する燃焼室と前記プラグカバー内に形成された点火室とを連通する複数の噴孔が前記プラグカバーに形成されているエンジン用点火プラグの第2特徴構成は、
前記点火室が、前記噴孔が設けられたスロート空間部と、前記スロート空間部に連通する状態で前記シリンダヘッド側に延出するとともに前記点火点を備えた点火空間部とから構成され、
前記スロート空間部の内径が前記点火空間部の内径よりも小さく形成され、かつ、前記スロート空間部の中心軸が、前記点火空間部の中心軸に対し平行で所定の距離ずれた位置に設定されている点にある。
上記エンジン用点火プラグの第2特徴構成によれば、当該エンジン用点火プラグをエンジンのシリンダヘッドに装着することで、燃焼室から噴孔を介して点火室に流入した混合気を、まず、比較的内径の小さいスロート空間部に流入させ、続いて、比較的内径の大きい点火空間部に流入させることができるので、噴孔から流入した混合気を、スロート空間部において当該スロート空間部の連通方向(中心軸方向)に向かうように案内しつつ流通させ、その方向を維持したまま点火空間部内に流入させることができる。
そして、スロート空間部の中心軸が、点火空間部の中心軸に対し平行で所定の距離ずれた位置に設定されているので、スロート空間部から点火空間部の下部に流入した一定の方向性を持った状態の混合気は、点火空間部において、点火空間部の中心軸に平行な断面視で当該中心軸の上下方向にわたるタンブル流(縦渦)を形成し、点火空間部内全体、特に、点火空間部内の上部付近において比較的規則的なガス流動を発生させる。したがって、点火空間部内に備えられた点火点付近に混合気を案内して当該混合気を良好に混合し、少なくとも点火点側の混合気の混合濃度を新たに流入した混合気の濃度に確保される状態とすることができ、未燃焼残留ガスの影響を排除して、点火プラグにより安定して火花点火でき、失火を良好に防止することができる。これにより、安定した燃焼火炎を形成してエンジンの安定した運転を実現することができる。
本発明に係るエンジン用点火プラグの第3特徴構成は、上記エンジン用点火プラグの第1又は第2特徴構成に加えて、前記プラグカバーが、前記プラグ本体に一体的に形成されてなる点にある。
上記エンジン用点火プラグの第3特徴構成によれば、点火室を内部に形成するプラグカバーが点火プラグ本体に一体的に形成されているので、点火室(スロート空間部、点火空間部)、点火点、噴孔の配置を予め設定した位置関係にしておくことができ、点火プラグをエンジンのシリンダヘッドに装着するだけで、所望の点火室、点火点、噴孔の位置関係をエンジンにおいて簡単に実現することができる。したがって、面倒な点火室や点火点の配置を装着毎に確認する必要が無く、簡便に点火プラグを装着して、良好な燃焼状態を確保することができる。
〔第1実施形態〕
本発明に係るエンジンの第1実施形態について、図1から図3に基づいて説明する。
ここで、図1は、エンジン100のシリンダ3上部とシリンダヘッド6下部周辺における点火空間部8bの中心軸Yに平行な面の縦断面図であり、図2は、図1上、点火室8近傍におけるスロート空間部8aの中心軸Xに直交するII−II面の平断面図であり、図3は
、図1における点火室8近傍の拡大縦断面図である。
〔エンジン〕
図1に示すように、エンジン100は、ピストン2と、ピストン2を収容するシリンダ3と、シリンダ3の上部に設けられピストン2の天面Hとシリンダ3の内側面とにより燃焼室1を形成するシリンダヘッド6と、シリンダヘッド6の下部に混合気Mに火花点火する点火プラグ7とを備えている。そして、ピストン2をシリンダ3内で往復運動させると共に、吸気バルブ4及び排気バルブ(図示せず)を開閉動作させて、燃焼室1において吸気、圧縮、燃焼・膨張、排気の諸行程を行い、ピストン2の往復動を連結棒(図示せず)によってクランク軸(図示せず)の回転運動として出力されるものであり、このような構成は、通常の4ストローク内燃機関と変わるところはない。なお、このエンジン100は、例えば、吸気バルブ4と排気バルブとを一つずつ設けた2弁式のエンジンである。
また、エンジン100は、気体燃料である都市ガス(13A)を燃料Gとして利用するものであり、吸気行程において吸気バルブ4を開状態として、吸気ポート5から燃焼室1に空気Aと燃料Gとの混合気M(好ましくは希薄混合気等)を吸入し、圧縮及び燃焼・膨張行程において吸気バルブ4及び排気バルブを閉状態として、この吸入した混合気Mを圧縮して点火プラグ7により火花点火して燃料Gを燃焼・膨張させ、排気行程において排気バルブを開状態として、燃焼室1から排気ポート(図示せず)に排ガスを排出するように運転される。
〔ピストン〕
図1に示すように、後述するシリンダヘッド6と対向するピストン2の天面H(ピストン2のヘッド面で、縦置きエンジンの場合は最上部に位置する面)の中央部には、いわゆる深皿型の凹部2aが形成されている。これにより、燃焼室1は、ピストン2の天面Hとシリンダ3の内面との間の空間に加え、凹部2aにて形成される空間から構成されている。このように燃焼室1を形成することにより、圧縮行程においてピストン2が上昇するときに、凹部2aの周囲から凹部2aの中心に向かう渦流、いわゆるスキッシュを発生させるように構成されている。
〔シリンダヘッド〕
エンジン100のシリンダヘッド6には、吸気バルブ4を介して燃焼室1に混合気Mを供給できるように吸気ポート5が設けられており、この吸気ポート5内に配置された燃料供給弁9から供給された燃料Gと空気Aとが適切に混合されて混合気Mが形成されている。この混合気Mの混合割合は、エンジン100の運転状況に応じて適宜変更することができるように設定されている。なお、後述する点火プラグ7の点火室8に供給される混合気Mは、吸気ポート5から吸気バルブ4を介して燃焼室1に供給され、この燃焼室1から噴孔10を介して点火室8に流入する混合気Mに限られており、点火プラグ7の点火室8に噴孔10を介さずに直接燃料Gや混合気Mが供給されることはない。
〔点火プラグ〕
図1に示すように、シリンダヘッド6の下部のピストン2の凹部2aに対向する箇所(シリンダヘッド6の最下面)には、混合気Mに火花点火する点火プラグ7が装着されている。この点火プラグ7の最下部(後述するプラグカバー7bの最下部)は、シリンダヘッド6の最下面及びピストン2の天面Hよりも下側、すなわち、ピストン2が上死点に位置する状態で少なくとも当該ピストン2の凹部2aに侵入するように配置され、また、後述する点火プラグ7の点火点Pもシリンダヘッド6の最下面及びピストン2の天面Hよりも下側、すなわち、ピストン2が上死点に位置する状態で少なくともピストン2の凹部2aに侵入するように配置されている。また、当該プラグカバー7bの最下部は、ピストン2の凹部2aの底面と接触しないように設定されている。すなわち、ピストン2の天面Hから凹部2aの底面までの深さは、シリンダヘッド6の最下面から点火プラグ7のプラグカバー7bの最下部までの長さよりも大きく設定されている。なお、点火プラグ7の点火点Pは、後述するプラグカバー7bにより形成された点火空間部8bの中心軸Y上に配置されている。
また、図1、図3に示すように、点火プラグ7は、先端に点火点Pを形成するプラグ本体7aと当該点火点Pを覆うように形成されたプラグカバー7bとから構成され、このプラグカバー7bはプラグ本体7aに設けられて、プラグカバー7bの内側には前記点火点Pを備えた点火室8が形成されている。なお、プラグカバー7bの外周に設けられたねじ部分をシリンダヘッド6にねじ込むことで、点火プラグ7をシリンダヘッド6に装着できるように構成されている。
また、プラグカバー7bには、点火室8とピストン2に面する燃焼室1との間を連通する複数の噴孔10が形成されており、シリンダヘッド6に装着された状態で点火室8と燃焼室1との間で混合気Mの通流が可能に構成されている。
すなわち、詳細は後述するが、複数の噴孔10がプラグカバー7bに設けられていることにより、圧縮行程において燃焼室1に存在する混合気Mを複数の噴孔10を介して点火室8に流入させることができ、また、燃焼・膨張行程において点火室8で形成された燃焼火炎を複数の噴孔10を介して燃焼室1に噴射させることができる。
ここで、プラグ本体7aとプラグカバー7bとは、当該プラグ本体7aの下部及び点火点Pを覆うように一体的に形成されて点火プラグ7を構成しており、点火室8、点火点P、噴孔10のプラグ本体7a、プラグカバー7bに対する相対的な位置関係を予め適宜設定した上で点火プラグ7を形成することができ、エンジン100への装着が容易となっている。
なお、プラグカバー7bの厚さは、十分な熱耐久性・強度を確保できるとともに、混合気Mの点火室8への流入方向を確実に設定できる程度の厚さであれば特に制限されないが、例えば、1.5〜3mm程度の厚さとすることができる。また、プラグカバー7bは、例えば、SUS(ステンレス鋼)等の材料により構成することができる。
〔エンジンの動作〕
エンジン100は、上記のような構成を採用することにより、燃焼室1に吸気された混合気Mをピストン2の上昇により圧縮して、圧縮された混合気Mを燃焼室1からプラグカバー7bに設けられた噴孔10を介して点火室8に流入させ、点火室8に流入した混合気Mを点火室8において点火プラグ7により火花点火して燃焼させて、点火室8から噴孔10を介して燃焼室1に燃焼火炎を噴射するように構成されている。以下、そのエンジン100における1サイクルの動作状態について説明する。
エンジン100は、先ず、吸気バルブ4が開状態となり、ピストン2のTDC(上死点)からの下降により、吸気ポート5から燃焼室1に混合気Mが吸入される吸気行程が行われる。
後に、吸気バルブ4が閉状態となり、ピストン2の上昇により、燃焼室1に吸気された混合気Mを圧縮する、いわゆる圧縮行程が行われる。
そして、圧縮行程では、ピストン2の上昇により、燃焼室1の容積減少によって、燃焼室1の混合気Mが噴孔10を介して点火室8に流入し、点火室8には、混合気Mの流入によりガス流動が発生することで、この混合気Mと未燃焼残留ガスが既に存在する場合にはこの未燃焼残留ガスとが混合されて、火花点火可能範囲内(例えば1程度)の当量比の混合気Mが形成される。
そして、エンジン100は、上死点直前の例えば8°BTDC付近において、点火プラグ7を作動させて、上記点火室8に形成された点火点Pにおいて火花点火して燃焼させる。すると点火室8では、燃焼が進み、燃焼火炎が噴孔10を介して燃焼室1に噴出される。すなわち、点火室8と燃焼室1とを連通する複数の噴孔10から、それぞれ燃焼火炎が燃焼室1に放射状に噴射されるように構成されている。
一方、燃焼室1においては、それぞれの噴孔10から噴射された燃焼火炎により混合気Mを安定して燃焼させるので、急激な圧力上昇を伴わず、高効率且つ低NOxとなる燃焼が行われる。
以上がエンジン100の基本構成及び動作についての説明である。
本願のエンジン100は、点火プラグ7のプラグカバー7b(点火室8)が特徴的な構造を有することにより、点火室8に発生するガス流動を適切且つ比較的規則的なものとして、混合気Mの混合を促進し、上記未燃焼残留ガスの影響を排除して、安定した燃焼火炎を形成し得るように構成されており、かかる特徴的なプラグカバー7b(点火室8)の構造について以下に説明する。
〔プラグカバー(点火室)〕
本願のエンジン100では、特に、本願の点火プラグ7のプラグカバー7bは、上記圧縮行程において、燃焼室1からの混合気Mを点火室8内の点火点Pに案内するようなガス流動(点火室8の上下方向にわたるタンブル流(縦渦)T)を発生させることができるように構成されている。ここで、タンブル流とは、点火室8の上下方向にわたって回転する縦方向の回転(旋回)渦流をいう。
具体的には、図1、図2、図3に示すように、プラグカバー7bは、内側に点火室8を形成できるよう有底筒状に構成されており、この点火室8は、下部に比較的内径の小さいスロート空間部8a、およびこのスロート空間部8aの上部に設けられた比較的内径の大きい点火空間部8bにより構成されている。
スロート空間部8aは、下部が概略球状の有底部分で、その上部が筒状の円筒部分(中心軸はX)で構成されており、有底部分の底部には燃焼室1と点火室8とを連通する複数の噴孔10が形成されており、シリンダヘッド6に装着された状態で点火室8と燃焼室1との間で混合気Mの通流が可能に構成されている。
この複数の噴孔10は、具体的には、図2、図3に示すように、概略球状の有底部分の底部に円周方向で等間隔に複数(例えば、4つ)の噴孔10が設けられ、燃焼室1から噴孔10を介してスロート空間部8aに流入する各混合気Mの流入方向が、図2に示すように、スロート空間部8aの中心軸Xに直交する断面視(図1、図3上、II−II断面)で、
全て中心軸X方向となるように形成されている。すなわち、噴孔10の流入方向は、点火室側端部Lと中心軸Xとが結ばれる直線の方向に形成されている。ここで、噴孔10の点火室側端部Lとは、スロート空間部8aの中心軸Xに直交する断面において、噴孔10がスロート空間部8aに接する最も内側の箇所をいう。なお、図2、図3に示すように、複数の噴孔10は、中心軸Xに対して対称となるように配置されている。
したがって、上記圧縮行程において、燃焼室1から噴孔10を介して点火室8に流入した混合気Mは、点火室側端部Lと中心軸Xとが結ばれる直線的な経路で中心軸Xに向かい、各混合気Mと中心軸Xの近傍で合流する。
加えて、図3に示すように、これら噴孔10は、燃焼室1から噴孔10を介してスロート空間部8aに流入する各混合気Mの流入方向が、スロート空間部8aの中心軸Xに平行な断面視で、この中心軸Xに直交する方向に沿って噴孔10の点火室側端部Lと中心軸Xとが結ばれる直線に対して、点火室側端部Lを軸として点火点Pに接近する側(図3では、中心軸Xの上方)に所定の角度βずれて形成されている。したがって、圧縮行程において、燃焼室1から噴孔10を介して点火室8に流入した混合気Mは、点火室側端部Lから角度βだけ上方にずれた延長線上の経路で中心軸X近傍に流入し、各混合気Mと中心軸Xの近傍で合流する。なお、図3においては、所定の角度βは各噴孔10で同じ角度とされており、角度β=45度を例示している。
したがって、比較的内径が小さく形成されたスロート空間部8aに流入した各混合気Mは、当該スロート空間部8aの中心軸X近傍で合流しつつ、このスロート空間部8aの中心軸Xに沿った方向に案内されて上方に通流し、この方向を維持したまま点火空間部8bに流入することとなる。
次に、点火空間部8bは、図3に示すように、下部が概略球状の有底部分で、上部が筒状の円筒部分(中心軸はY)で構成されている。この有底部分の底部は上記スロート空間部8aと連通され、当該スロート空間部8aからの混合気Mが流入可能に連通されている。また、この有底部分の円筒部分はシリンダヘッド6側(図3上、上側)に延出するように構成されている。なお、点火空間部8bの上部で、中心軸Y上には混合気Mを火花点火する点火点Pが配置されている。
加えて、点火空間部8bの中心軸Yと、スロート空間部8aの中心軸Xとは、図3に示すように、所定の角度αで交差するように設定されており、点火空間部8bとスロート空間部8aとは、互いに傾いた状態で点火室8を形成している。
したがって、上述のようにスロート空間部8aの中心軸X方向に通流して点火空間部8b内に流入した混合気Mは、図3に示すように、中心軸Yに対し角度α(図3では、α=10度程度)だけずれて点火空間部8b内を通流する。これにより、当該混合気Mは、一定の方向性を持った状態となり、点火空間部において、点火空間部8bの中心軸Yに平行な断面視で当該中心軸Yの上下方向にわたるタンブル流(縦渦)Tを形成し、点火空間部8b内全体、特に、点火空間部8b内の上部付近において比較的規則的なガス流動を発生させる。なお、図1から図3では、燃焼室1の中心軸は、点火プラグ7の点火空間部8bの中心軸Yと同じ軸となっており、更には、ピストン2、シリンダ3の中心軸とも同じ軸となっている。
よって、上記圧縮行程において、図3に示すように、点火空間部8b内の上部で、中心軸Y上に配置された点火点P付近に混合気Mを案内し当該混合気Mを良好に混合して、少なくとも点火点側の混合気の混合濃度を新たに流入した混合気の濃度に確保される状態とすることができ、点火プラグ7の点火空間部8b内に未燃焼残留ガスが存在している場合、特に、点火空間部8bの中心軸Y近傍や点火空間部8bの上部近傍に酸素濃度の比較的低い未燃焼残留ガスが多く存在する場合であっても、混合気Mのガス流動(タンブル流T)により混合気Mの混合を促進して、局所的な未燃焼残留ガスの存在を解消することができる。
なお、上記所定の角度αは、スロート空間部8aから点火空間部8bの下部に流入した一定の方向性を持った状態の混合気Mにより、点火空間部8b内で上記中心軸Yの上下方向にわたるタンブル流(縦渦)Tを形成することができる角度であれば適宜選択することができる。例えば、5度以上から45度以下程度とすると、タンブル流Tを的確に形成することができ、点火室8内全体、特に点火空間部8b内全体の混合を促進することができる。ちなみに、角度を小さくし過ぎると、各噴孔10から流入した各混合気Mが点火空間部8bの天井面にのみ衝突してより大きなタンブル流Tを形成することが困難となるおそれがあり、角度を大きくし過ぎると、各噴孔10から流入した各混合気Mが点火空間部8bの側壁面の下部にのみ衝突して、上方(点火点P付近)に当該混合気Mを案内することが困難となり、より大きなタンブル流Tを形成することが困難となるおそれがある。すなわち、より大きなタンブル流Tを形成して混合を促進し、点火空間部8b内において局所的に未燃焼残留ガスが滞留してしまうことをできるだけ防止することが好ましい。
また、上記所定の角度βは、スロート空間8a内において当該スロート空間8aの中心軸Xに沿った方向で、点火点Pの存在する方向に混合気Mを案内することができる角度であれば適宜選択することができる。例えば、噴孔数を4とする場合には30度以上から75度以下程度とすると、混合気Mを的確に点火点Pの存在する方向に案内することができる。ちなみに、角度を小さくし過ぎると、各噴孔10から流入した各混合気Mの勢いが減衰して、大きなタンブル流Tを形成することが困難となり、点火空間部8b、特に点火点P近傍の混合を促進することが困難となるおそれがあり、角度を大きくし過ぎると、各混合気Mが中心軸X近傍で合流せず、中心軸Xに沿った方向のタンブル流Tを形成することが困難となり、点火空間部8b、特に点火点P近傍の混合を促進することが困難となるおそれがある。なお、角度βは噴孔10ごとに異なる角度とすることもでき、また同じ角度に設定することもできる。
よって、燃焼室1から噴孔10を介して比較的規則的なガス流動(タンブル流T)を発生しつつ点火室8に流入した一定の方向性を持った状態の混合気Mは、既に未燃焼残留ガスが点火室8内に存在する場合であっても良好に混合を促進することができる。特に、上記タンブル流Tにより、未燃焼残留ガスが滞留しやすい中心軸Y近傍、特に点火空間部8bの上部の点火点P近傍においても充分に混合を促進することができる。これにより、混合気Mを上記中心軸Y上に配置された点火プラグ7の点火点Pにより安定して火花点火することができ、失火の発生を防止することができる。
同様に、点火室8において、比較的規則的なガス流動(タンブル流T)を発生させながら均質な混合気Mを燃焼させるので、その点火室8(特に、点火空間部8b)における燃焼時の温度分布が略均一な状態となり、燃焼後において未燃焼残留ガス発生を充分に抑制することができ、良好な燃焼を実現することができる。
〔シミュレーション結果〕
以下、点火室8におけるガス流動(タンブル流T)についてのシミュレーション結果を、図4、図9に基づいて説明する。
〔実施例1〕
図4(a)は、本願の実施例1に係る点火室8内の混合気Mの燃料Gの濃度分布を示す縦断面図、図4(b)は、図4(a)における点火空間部8bの濃度分布を示す平断面図、図9(a)は、比較例に係る点火室内の混合気Mの燃料Gの濃度分布を示す縦断面図、図9(b)は、図9(a)における点火室の濃度分布を示す平断面図である。
なお、図上、混合気Mにおいて燃料Gの濃度が濃い部分を黒く、薄い部分を白く示しており、黒い領域ほど酸素濃度が低い未燃焼残留ガスが多く存在することを示している。
上記本願の第1実施形態に係る複数の噴孔10を備えた点火プラグ7を用いた場合には、図4(a)に示すように、図4(a)の下方である燃焼室1から噴孔10を介して混合気M(図4(a)上、燃料Gの濃度が比較的薄い、すなわち空気Aの濃度が比較的濃い白い領域で示される)が点火室8のスロート空間部8aに流入し、このスロート空間部8aの中心軸Xに沿った方向で通流して、この方向のまま拡径された点火空間部8bに流入していることがわかる。そして、当該中心軸Xに沿った方向に通流した混合気Mは、点火空間部8b内で点火空間部8bの上下方向にわたるタンブル流Tを形成している。したがって、点火空間部8b内において、タンブル流Tを形成して、当該タンブル流Tが点火点P近傍に案内されており、点火空間部8bの上部近傍において混合を促進するとともに、中心軸Y上に配置された点火点Pにおいても、比較的燃料Gの濃度が比較的薄い領域を形成していることがわかる。すなわち、未燃焼残留ガスが点火点P近傍にほとんど存在していないことが確認できる(図4(b)参照)。
したがって、本実施例1では、点火空間部8aの上部、特に点火点P近傍において燃料Gの濃度が比較的濃い領域(空気Aの濃度が比較的薄い領域)が形成されてしまうことを防止して、点火プラグ7の点火点Pにおける失火を防止することができる。
なお、当該点火プラグ7においては、プラグカバー7bの噴孔10付近の厚さを1.5mm、スロート空間部8aの内径を3.5mm、円筒の長さを11mm、点火空間部8bの内径を9mmとし、スロート空間部8aの中心軸Xと点火空間部8bの中心軸Yとが交差する角度(α)を10度、噴孔10の流入方向を、角度(β1)55度、角度(β2)35度、噴孔10の数を4と設定してシミュレーションを行った。なお、本実施例1では、複数の噴孔10を中心軸Yに対称となるように配置しているため(図4参照)、図3に対応する2つの対向する噴孔10における角度βは、上記のように2つの異なる角度β1(図3上、左側のβ)及び角度β2(図3上、右側のβ)としてシミュレーションを行っている。
〔比較例〕
一方、比較例として、点火室をスロート空間部8a及び点火空間部8bに分割せず、一つの有底筒状の点火室として形成する。さらに、複数の噴孔の流入方向を、ある噴孔の点火室側端部から、同一回転方向で隣接する他の噴孔の点火室側端部に向かう概略接線方向、すなわち、点火室の中心軸に直交する断面視で、点火室側端部と当該中心軸とを結ぶ直線に対し、当該点火室側端部を軸として同一回転方向に角度90度程度ずれており、さらに、点火室の中心軸に平行な断面視で、点火室側端部と当該中心軸とを結ぶ直線に対し点火室側端部を軸として、点火点P側に角度β=45度ずれた方向とした点火プラグを用いた場合には、図9(a)に示すように、図9(a)の下方である燃焼室から噴孔を介して混合気Mが流入し、中心軸を回転中心とする回転流を形成するものの、実際には、点火室内の最外周付近にしか混合気Mが流通しておらず、中心軸近傍、特に点火室の上部及び下部ではガス流動がほとんど存在していないことがわかる。すなわち、中心軸近傍には点火室の上下にわたって燃料Gの濃度が比較的濃い領域(図9(a)上、燃料Gの濃度が比較的濃いこと、すなわち空気Aの濃度が比較的薄いことを示す黒い領域)が形成され、未燃焼残留ガスが点火点P近傍に大量に存在していることが確認できる(図9(b)参照)。
したがって、プラグカバー7b(点火室8のスロート空間部8a及び点火空間部8b)の形状を、本願のように適切に設定することで、比較的規則的なガス流動(タンブル流T)を発生させることにより、比較例と比較して、点火室8内(特に、点火空間部8b内)の未燃焼残留ガスの影響を排除して、良好な混合状態を得られることが確認できた。
〔第2実施形態〕
上記第1実施形態では、点火室8をスロート空間部8aと点火空間部8bとから構成し、これらの中心軸Xと中心軸Yとを所定の角度αで交差させるようにプラグカバー7bを構成したが、点火室8(特に点火空間部8b)内にタンブル流Tを形成して、点火室8内を充分に混合することができる構成であれば、上記構成に限定されるものではなく、中心軸Xと中心軸Yとが所定の距離Dをおいて平行に位置するようにプラグカバー7bを構成してもよい。
このように中心軸Xと中心軸Yとを所定の距離Dをおいて平行に配置したプラグカバー7bを用いたエンジン200について、以下、図5、図6、図7に基づいて、本願の第2実施形態として説明する。なお、上記第1実施形態と同様の点については簡単のため適宜省略して説明する。
ここで、図5は、エンジン200のシリンダ3上部とシリンダヘッド6下部周辺における点火空間部8bの中心軸Yに平行な面の縦断面図であり、図6は、図5上、点火室8近傍におけるスロート空間部8aの中心軸Xに直交するVI−VI面の平断面図であり、図7は
、図5における点火室8近傍の拡大縦断面図である。
本願の第2実施形態のエンジン200は、上述の通り、点火プラグ7のプラグカバー7b(点火室8)の構成が異なる。
〔プラグカバー(点火室)〕
本願のエンジン200では、特に、本願の点火プラグ7のプラグカバー7bは、上記圧縮行程において、燃焼室1からの混合気Mを点火室8内の点火点Pに案内するようなガス流動(点火室8の上下方向にわたるタンブル流(縦渦)T)を発生させることができるように構成されている。ここで、タンブル流とは、点火室の上下方向にわたって回転する縦方向の回転(旋回)渦流をいう。
具体的には、図5、図6、図7に示すように、プラグカバー7bは、内側に点火室8を形成できるよう有底筒状に構成されており、この点火室8は、下部に比較的内径の小さいスロート空間部8a、およびこのスロート空間部8aの上部に設けられた比較的内径の大きい点火空間部8bから構成されている。
スロート空間部8aは、下部が概略球状の有底部分で、その上部が筒状の円筒部分(中心軸はX)で構成されており、有底部分の底部には燃焼室1と点火室8とを連通する複数の噴孔10が形成されており、シリンダヘッド6に装着された状態で点火室8と燃焼室1との間で混合気Mの通流が可能に構成されている。
この複数の噴孔10は、具体的には、図6、図7に示すように、概略球状の有底部分の底部に円周方向で等間隔に複数(例えば、4つ)の噴孔10が設けられ、燃焼室1から噴孔10を介してスロート空間部8aに流入する各混合気Mの流入方向が、図6に示すように、スロート空間部8aの中心軸Xに直交する断面視(図5、図7上、VI−VI断面)で、
全て中心軸X方向となるように形成されている。すなわち、噴孔10の流入方向は、点火室側端部Lと中心軸Xとが結ばれる直線の方向に形成されている。ここで、噴孔10の点火室側端部Lとは、スロート空間部8aの中心軸Xに直交する断面において、噴孔10がスロート空間部8aに接する最も内側の箇所をいう。
したがって、上記圧縮行程において、燃焼室1から噴孔10を介して点火室8に流入した混合気Mは、点火室側端部Lと中心軸Xとが結ばれる直線的な経路で中心軸Xに向かい、各混合気Mと中心軸Xの近傍で合流する。
加えて、図7に示すように、これら噴孔10は、燃焼室1から噴孔10を介してスロート空間部8aに流入する各混合気Mの流入方向が、スロート空間部8aの中心軸Xに平行な断面視で、この中心軸Xに直交する方向に沿って噴孔10の点火室側端部Lと中心軸Xとが結ばれる直線に対して、点火室側端部Lを軸として点火点Pに接近する側(図7では、中心軸Xの上方)に所定の角度β(図7では、45度程度)ずれて形成されている。したがって、圧縮行程において、燃焼室1から噴孔10を介して点火室8に流入した混合気Mは、点火室側端部Lから角度βだけ上方にずれた延長線上の経路で中心軸X近傍に流入し、各混合気Mと中心軸Xの近傍で合流する。
したがって、比較的内径が小さく形成されたスロート空間部8aに流入した各混合気Mは、当該スロート空間部8aの中心軸X近傍で合流しつつ、このスロート空間部8aの中心軸Xに沿った方向に案内されて上方に通流し、この方向を維持したまま点火空間部8bに流入することとなる。
次に、点火空間部8bは、図7に示すように、下部が概略球状の有底部分で、上部が筒状の円筒部分(中心軸はY)で構成されている。この有底部分の底部は上記スロート空間部8aと連通され、当該スロート空間部8aからの混合気Mが流入可能に連通されている。また、この有底部分の円筒部分はシリンダヘッド6側(図7上、上側)に延出するように構成されている。なお、点火空間部8bの上部で、中心軸Y上には混合気Mを火花点火する点火点Pが配置されている。
加えて、図7に示すように、点火空間部8bの中心軸Yとスロート空間部8aの中心軸Xとが平行で所定距離Dだけずれた位置に配置されており、点火空間部8bの中心軸Yに直交する方向で当該点火空間部8bの一方の端部(径方向端部)に、スロート空間部8aの一方の端部(径方向端部)が配置されるように構成されている。すなわち、中心軸Yと中心軸Xとは、所定の距離Dをおいて平行となるように設定されており、点火空間部8bの円筒部分とスロート空間部8aの円筒部分とは互いに平行な状態で配置されるとともに、これら円筒部分の一方の端部が側壁面を共有して(同一の側壁面で構成されて)点火室8を形成している。
したがって、上述のようにスロート空間部8aの中心軸X方向に通流して点火空間部8b内に流入した混合気Mは、図7に示すように、中心軸Yと平行に、かつ当該中心軸Yから平均的に距離Dだけ離れた状態で点火空間部8b内を通流するため、当該混合気Mは、一定の方向性を持った状態となり、点火空間部8bにおいて、点火空間部8bの中心軸Yに平行な断面視で当該中心軸Yの上下方向にわたるタンブル流(縦渦)Tを形成し、点火空間部8b内全体、特に、点火空間部8b内の上部付近において比較的規則的なガス流動を発生させる。この際には、スロート空間部8aは、点火空間部8bの一方の端部に設けられているため、上記混合気Mは点火空間部8bにおいて、一定の方向性を維持しつつ上下方向に加え左右方向にも大きく流動し、上記タンブル流Tは点火空間部8bの上下方向のみならず左右方向にも大きいガス流動となり、より大きなタンブル流Tとなって、より混合を促進することができる。なお、図5、図6、図7では、燃焼室1の中心軸は、点火プラグ7の点火空間部8bの中心軸Yと同じ軸となっており、更には、ピストン2、シリンダ3の中心軸とも同じ軸となっている。
よって、上記圧縮行程において、図7に示すように、点火空間部8b内の上部で、中心軸Y上に配置された点火点P付近に混合気Mを案内し当該混合気Mを良好に混合して、少なくとも点火点側の混合気の混合濃度を新たに流入した混合気の濃度に確保される状態とすることができ、点火プラグ7の点火空間部8b内に未燃焼残留ガスが存在している場合、特に、点火空間部8bの中心軸Y近傍や点火空間部8bの上部近傍に酸素濃度の比較的低い未燃焼残留ガスが多く存在する場合であっても、混合気Mのガス流動(タンブル流T)により混合気Mの混合を促進して、局所的な未燃焼残留ガスの存在を解消することができる。
なお、上記所定の距離Dは、点火空間部8b内で上記中心軸Yの上下方向にわたるタンブル流(縦渦)Tを形成することができる距離であれば適宜選択することができる。例えば、点火空間部8bの内径の直径(R)と当該距離(D)との比D/Rを0.125以上0.25以下程度とすると、タンブル流Tを的確に形成することができ、点火室8内全体、特に点火空間部8b内全体の混合を促進することができる。ちなみに、比を小さくし過ぎると、各噴孔10から流入した各混合気Mが点火空間部8bの中心軸Y近傍の天井面にのみ衝突してより大きなタンブル流Tを形成することが困難となるおそれがあり、比を大きくし過ぎると、スロート空間部8aの径方向端部が点火空間部8bの径方向端部よりも外側となってしまい、混合気Mが点火空間部8bの側壁面に衝突し、タンブル流Tを良好に形成することが困難となるおそれがある。すなわち、より大きなタンブル流Tを形成して混合を促進し、点火空間部8b内において局所的に未燃焼残留ガスが滞留してしまうことをできるだけ防止することが好ましい。
また、上記所定の角度βは、スロート空間8a内において当該スロート空間8aの中心軸Xに沿った方向で、点火点Pの存在する方向に案内することができる角度であれば適宜選択することができる。例えば、30度以上から75度以下程度とすると、混合気Mを的確に点火点Pの存在する方向に案内することができる。ちなみに、角度を小さくし過ぎると、各噴孔10から流入した各混合気Mの勢いが減衰して、大きなタンブル流Tを形成することが困難となり、点火空間部8b、特に点火点P近傍の混合を促進することが困難となるおそれがあり、角度を大きくし過ぎると、各混合気Mが中心軸X近傍で合流せず、中心軸Xに沿った方向でタンブル流Tを形成することが困難となり、点火空間部8b、特に点火点P近傍の混合を促進することが困難となるおそれがある。
よって、燃焼室1から噴孔10を介して比較的規則的なガス流動(タンブル流T)を発生しつつ点火室8に流入した一定の方向性を持った状態の混合気Mは、既に未燃焼残留ガスが点火室8内に存在する場合であっても良好に混合を促進することができる。特に、上記タンブル流Tにより、未燃焼残留ガスが滞留しやすい中心軸Y近傍、特に点火空間部8bの上部の点火点P近傍においても充分に混合を促進することができる。これにより、混合気Mを上記中心軸Y上に配置された点火プラグ7の点火点Pにより安定して火花点火することができ、失火の発生を防止することができる。
同様に、点火室8において、比較的規則的なガス流動(タンブル流T)を発生させながら均質な混合気Mを燃焼させるので、その点火室8(特に、点火空間部8b)における燃焼時の温度分布が略均一な状態となり、燃焼後において未燃焼残留ガス発生を充分に抑制することができ、良好な燃焼を実現することができる。
〔シミュレーション結果〕
以下、点火室8におけるガス流動(タンブル流T)についてのシミュレーション結果を、図8に基づいて説明する。
〔実施例2〕
図8(a)は、本願の実施例2に係る点火室8内の混合気Mの燃料Gの濃度分布を示す縦断面図(図7における点火室8内の濃度分布に相当する。)、図8(b)は、図8(a)における点火空間部の濃度分布を示す平断面図である。
なお、図上、混合気Mにおいて燃料Gの濃度が濃い部分を黒く、薄い部分を白く示しており、黒い領域ほど酸素濃度が低い未燃焼残留ガスが多く存在することを示している。
上記本願の第2実施形態に係る複数の噴孔10を備えた点火プラグ7を用いた場合には、図8(a)に示すように、図8(a)の下方である燃焼室1から噴孔10を介して混合気M(図8(a)上、燃料Gの濃度が比較的薄い、すなわち空気Aの濃度が比較的濃い白い領域で示される)が点火室8のスロート空間部8aに流入し、このスロート空間部8aの中心軸Xに沿った方向で通流して、この方向のまま拡径された点火空間部8bに流入していることがわかる。そして、当該混合気Mはスロート空間部8a及び点火空間部8bの径方向端部である側壁面に沿った方向に通流して、点火空間部8b内で上下方向にわたるタンブル流Tを形成している。特に、当該タンブル流Tは、点火空間部8bの上下方向のみならず左右方向にも大きいガス流動となり、より大きなタンブル流Tとなっている。したがって、点火空間部8b内において、より大きなタンブル流Tを形成して、当該タンブル流Tが点火点P近傍に案内されており、点火空間部8bの上部近傍において混合をより一層促進するとともに、中心軸Y上に配置された点火点Pにおいても、比較的燃料Gの濃度が比較的薄い領域を形成していることがわかる。すなわち、未燃焼残留ガスが点火点P近傍にほとんど存在していないことが確認できる(図8(b)参照)。
したがって、本実施例2では、点火空間部8aの上部、特に点火点P近傍において燃料Gの濃度が比較的濃い領域(空気Aの濃度が比較的薄い領域)が形成されてしまうことを防止して、点火プラグ7の点火点Pにおける失火を防止することができる。
なお、当該点火プラグ7においては、プラグカバー7bの噴孔10付近の厚さを1.5mm、スロート空間部8aの内径(直径)を4mm、円筒の長さを11mm、点火空間部8bの内径(直径)を9mmとし、スロート空間部8aの中心軸Yと点火空間部8bの中心軸Xとの距離Dを0.5mm(点火空間部の内径(直径R)と距離Dとの比D/Rを0.2)、噴孔10の流入方向を、角度(β)45度、噴孔10の数を4と設定してシミュレーションを行った。
なお、比較例は、図9に示すように、第1実施形態における比較例と同様とした。
したがって、プラグカバー7b(点火室8のスロート空間部8a及び点火空間部8b)の形状を、本願のように適切に設定することで、比較的規則的なガス流動(タンブル流T)を発生させることにより、比較例と比較して、点火室8内(特に、点火空間部8b内)の未燃焼残留ガスの影響を排除して、良好な混合状態を得られることが確認できた。
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、燃料Gとして都市ガスを使用したが、これに限らず、都市ガス以外の水素やプロパン等のCOやH2を主成分とする炭化水素以外の気体燃料を利用する場合であっても優れた効果を発揮することができる。また、燃料Gとして気体燃料以外の燃料を利用することもでき、例えば、ガソリン、アルコール、メタノール、エタノールなど任意の燃料を使用することができる。
(2)上記実施形態では、図3、図7に示すように、点火空間部8bの中心軸Y上に点火プラグ7の点火点Pを配置したが、これに制限されず、より混合気Mの混合が良好に行われている箇所に点火点Pを配置することもできる。
(3)上記実施形態では、図3、図7に示すように、複数の噴孔10の流入方向を点火室側端部Lと中心軸Xとを結ぶ直線に対し上方に角度βを設定したが、噴孔10の点火室側端部Lよりも下方に点火点Pがある場合には、混合気Mを良好に点火点Pに案内できるように、点火室側端部Lと中心軸Xとを結ぶ直線に対し下方に角度βを設定してもよい。
(4)上記実施形態では、複数の噴孔10として、4つの噴孔10をプラグカバー7bに設けたが、燃焼室1から噴孔10を介して点火室8(スロート空間部8a及び点火空間部8b)に混合気Mを良好に流入させることができれば、噴孔数を適宜変更してもよい。
(5)上記実施形態では、プラグカバー7bに複数の噴孔10を形成する際には、プラグカバー7bにより形成されたスロート空間部8aの有底筒状に形成された球状の有底部分に同一の円周上で等間隔に配置したが、点火室8内に中心軸Xに沿って通流するガス流動を形成することができれば、同一の円周上において等間隔ではなく、同一の円周上において異なる間隔で複数の噴孔を配置することもできる。また、プラグカバー7bにより形成されたスロート空間部8aの有底筒状に形成された球状の有底部分において、同一の円周方向に限らず、径方向に異なる位置での複数の円周上に等間隔若しくは異なる間隔で複数の噴孔を配置することもできる。
(6)上記実施形態では、プラグ本体7aとプラグカバー7bとを一体的に構成して点火プラグ7を構成したが、これに限らず、プラグ本体7aとプラグカバー7bとをそれぞれ別々の部材として構成し、これを組合わせて点火プラグ7を構成することもできる。
(7)上記実施形態では、シリンダヘッド6に吸気バルブ4と排気バルブとの2つの弁を設けて2弁式のエンジンとしたが、弁の数は特に制限されるものではなく、4弁式や8弁式など、適宜変更弁の数を変更して本願のエンジンに用いることができる。
(8)上記実施形態では、スロート空間部8aの中心軸Xに直交する断面において、点火室側端部Lと中心軸Xとが結ばれる直線の方向に対して、点火室側端部Lを軸として点火点Pに接近する側に所定の角度βずれるように設定したが、点火空間部8b内においてタンブル流Tを良好に形成することができる構成であれば、これに限らず、角度βを、点火空間部8bの中心軸Yに直交する断面において、点火室側端部Lと中心軸Yとが結ばれる直線の方向に対して、点火室側端部Lを軸として点火点Pに接近する側に設定してもよい。
本発明に係るエンジンは、燃焼室から噴孔を介して点火室に流入した混合気を点火プラグにより点火点で火花点火するエンジンにおいて、当該混合気を確実に点火点に導いて失火の発生を抑制し、安定した燃焼火炎を得て安定運転を実現し得るエンジンとして有効に利用可能である。
本願の第1実施形態に係るエンジンのシリンダ上部とシリンダヘッド下部周辺における点火空間部の中心軸Yに平行な面の縦断面図 図1上、点火室近傍におけるスロート空間部の中心軸Xに直交するII−II面の平断面図 図1における点火室近傍の拡大縦断面図 (a)本願の実施例1に係る点火室内の混合気の燃料の濃度分布を示す縦断面図、(b)図4(a)における点火空間部の濃度分布を示す平断面図 本願の第2実施形態に係るエンジンのシリンダ上部とシリンダヘッド下部周辺における点火空間部の中心軸Yに平行な面の縦断面図 図5上、点火室近傍におけるスロート空間部の中心軸Xに直交するVI−VI面の平断面図 図5における点火室近傍の拡大縦断面図 (a)本願の実施例2に係る点火室内の混合気の燃料の濃度分布を示す縦断面図、(b)図8(a)における点火空間部の濃度分布を示す平断面図 (a)比較例に係る点火室内の混合気の燃料の濃度分布を示す縦断面図、(b)図9(a)における点火空間部の濃度分布を示す平断面図
符号の説明
1: 燃焼室
2: ピストン
2a: 凹部
3: シリンダ
6: シリンダヘッド
7: 点火プラグ
7a: プラグ本体
7b: プラグカバー
8: 点火室
8a: スロート空間部
8b: 点火空間部
10: 噴孔
100、200:エンジン
G: 燃料
A: 空気
M: 混合気
X: スロート空間部の中心軸
Y: 点火空間部の中心軸
P: 点火点
T: タンブル流
L: 点火室側端部
α: 角度

Claims (8)

  1. 点火点を覆うプラグカバー内に点火室が形成された点火プラグがシリンダヘッドに装着され、前記点火室とピストンに面する燃焼室とを連通する複数の噴孔が前記プラグカバーに備えられているエンジンであって、
    前記点火室が、前記噴孔が設けられたスロート空間部と、前記スロート空間部に連通する状態で前記シリンダヘッド側に延出するとともに前記点火点を備えた点火空間部とから構成され、
    前記スロート空間部の内径が前記点火空間部の内径よりも小さく形成され、かつ、前記スロート空間部の中心軸が、前記点火空間部の中心軸と交差するように設定されているエンジン。
  2. 点火点を覆うプラグカバー内に点火室が形成された点火プラグがシリンダヘッドに装着され、前記点火室とピストンに面する燃焼室とを連通する複数の噴孔が前記プラグカバーに備えられているエンジンであって、
    前記点火室が、前記噴孔が設けられたスロート空間部と、前記スロート空間部に連通する状態で前記シリンダヘッド側に延出するとともに前記点火点を備えた点火空間部とから構成され、
    前記スロート空間部の内径が前記点火空間部の内径よりも小さく形成され、かつ、前記スロート空間部の中心軸が、前記点火空間部の中心軸に対し平行で所定の距離ずれた位置に設定されているエンジン。
  3. 前記スロート空間部が、前記点火空間部の中心軸に直交する方向で当該点火空間部の端部に配置されている請求項1又は2に記載のエンジン。
  4. 前記点火点が、前記点火空間部内の上部であって、当該点火空間部の中心軸上に配置されている請求項1から3の何れか一項に記載のエンジン。
  5. 前記シリンダヘッドと対向する前記ピストンの天面に凹部が形成されるとともに、前記ピストンが上死点に位置する状態で少なくとも前記プラグカバーが前記凹部に侵入して配置されて、前記点火点が前記天面よりも前記凹部に侵入する側に配置された請求項1から4の何れか一項に記載のエンジン。
  6. 点火点を有するプラグ本体と、前記点火点を覆うように前記プラグ本体に設けられたプラグカバーとを備え、
    エンジンのシリンダヘッドに装着された状態において、ピストンに面する燃焼室と前記プラグカバー内に形成された点火室とを連通する複数の噴孔が、前記プラグカバーに形成されているエンジン用点火プラグであって、
    前記点火室が、前記噴孔が設けられたスロート空間部と、前記スロート空間部に連通する状態で前記シリンダヘッド側に延出するとともに前記点火点を備えた点火空間部とから構成され、
    前記スロート空間部の内径が前記点火空間部の内径よりも小さく形成され、かつ、前記スロート空間部の中心軸が、前記点火空間部の中心軸と交差するように設定されているエンジン用点火プラグ。
  7. 点火点を有するプラグ本体と、前記点火点を覆うように前記プラグ本体に設けられたプラグカバーとを備え、
    エンジンのシリンダヘッドに装着された状態において、ピストンに面する燃焼室と前記プラグカバー内に形成された点火室とを連通する複数の噴孔が、前記プラグカバーに形成されているエンジン用点火プラグであって、
    前記点火室が、前記噴孔が設けられたスロート空間部と、前記スロート空間部に連通する状態で前記シリンダヘッド側に延出するとともに前記点火点を備えた点火空間部とから構成され、
    前記スロート空間部の内径が前記点火空間部の内径よりも小さく形成され、かつ、前記スロート空間部の中心軸が、前記点火空間部の中心軸に対し平行で所定の距離ずれた位置に設定されているエンジン用点火プラグ。
  8. 前記プラグカバーが、前記プラグ本体に一体的に形成されてなる請求項6又は7に記載のエンジン用点火プラグ。
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