JP2009269809A - 高炉用出銑孔閉塞材 - Google Patents
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Abstract
【課題】 高炉出銑孔の開孔時に発生する亀裂が少なく、安定した出銑が可能な高炉用出銑孔閉塞材を提供すること。
【解決手段】 本発明の高炉用出銑孔閉塞材は、1〜5mmの粒度域にロー石を10〜20重量%含有し、1500℃加熱後に膨張性を有し、かつ、カーボンブラックを1〜9重量%含有することを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】 本発明の高炉用出銑孔閉塞材は、1〜5mmの粒度域にロー石を10〜20重量%含有し、1500℃加熱後に膨張性を有し、かつ、カーボンブラックを1〜9重量%含有することを特徴とする。
【選択図】図1
Description
本発明は高炉の出銑孔に充填し出銑孔を閉塞するために用いられる高炉用出銑孔閉塞材に関する。
高炉用出銑孔閉塞材(以下、出銑孔閉塞材)の重要な特徴として、以下の(1)〜(3)が挙げられる。
(1)マッドガンによる高炉出銑孔への充填を容易に行うことができる押し出し性を有し、かつ出銑孔開孔時の被掘削性が良好なこと。
(2)充填後の閉塞材が短時間で硬化し、出銑時の溶銑及びスラグの磨耗損傷に耐えること。
(3)使用時の溶銑及びスラグによる化学的侵食に耐え、出銑口径の拡大が小さく、安定した出銑が長時間維持できる耐食性を有すること。
(1)マッドガンによる高炉出銑孔への充填を容易に行うことができる押し出し性を有し、かつ出銑孔開孔時の被掘削性が良好なこと。
(2)充填後の閉塞材が短時間で硬化し、出銑時の溶銑及びスラグの磨耗損傷に耐えること。
(3)使用時の溶銑及びスラグによる化学的侵食に耐え、出銑口径の拡大が小さく、安定した出銑が長時間維持できる耐食性を有すること。
出銑孔閉塞材は,粘土を含む耐火原料とタール、フェノール樹脂などの有機バインダーを配合してなる組成物が一般的に使用されている。
耐火原料としては、アルミナ(Al2O3)、シリカ(SiO2)、炭化珪素(SiC)、窒化珪素(Si3N4)、炭素(C)等が使用され、マッド材の品質特性としては出銑時間の延長を目的に、低気孔率、高強度の出銑孔閉塞材が主流となっている。
出銑時間延長対策として出銑孔閉塞材の強度を向上させる等が行われてきているが、出銑孔の開孔作業において強度の高い出銑孔閉塞材は開孔中に亀裂(以下、横穴)を発生させる等の不具合を生じさせる可能性が高くなり、さらに、この亀裂より侵入した溶銑により開孔中のドリルが溶けることにより、亀裂より奥側が開孔不能となる現象をしばしば生じさせることがある(図示せず)。これらの亀裂は既に充填された出銑孔閉塞材と新たに充填された出銑孔閉塞材との境界部で発生することが多いと考えられており、この新旧出銑孔閉塞材の接着性を高めることにより亀裂の発生は削減できると考えられている。また、近年は出銑孔閉塞材の高強度、低気孔率化が進んだため弾性率が高くなり、かえって開孔時の衝撃等により亀裂が発生しやすい状況となっており、この亀裂対策も出銑孔閉塞材に要求されている重要な課題の1つである。
本発明は出銑孔内部に充填された出銑孔閉塞材の旧材と新材との境界部の接着性に優れ、開孔時に発生する亀裂が少なく、さらに安定した長時間出銑が可能な高炉用出銑孔閉塞材を提供することにある。
上記課題を解決する手段として、出銑孔内の新旧出銑孔閉塞材の接着性を高めることが有効と考えられる。閉塞前の出銑孔は、旧出銑孔閉塞材に囲まれた孔であり、新たに充填される新しい出銑孔閉塞材は、旧材により拘束された状態となる。この状況より、新材が旧材と十分に接触し、接着するためには、新たに充填された新材が、加熱された後に、収縮することなく、若干の膨張性を持たせることが重要であると考える(図1参照)。
現在の出銑孔閉塞材は耐食性等の向上を目的に、強度向上あるいは出銑孔閉塞材の緻密化のために、出銑孔閉塞材は加熱後に収縮傾向にあるものがほとんどである。加熱後に膨張性を有するためには、1mm以上の粒度域において加熱後に膨張する原料を使用することが有効であり、その原料としてはロー石(パイロフィライト(Al2O3・4SiO2・H2O)を主成分とし、SiO2組成を60〜80重量%含むSiO2系原料)を使用することが有効である。特許文献1ではSiO2含有量75〜90重量%の高珪酸ロー石を使用することが開示されているが、これは出銑孔閉塞材の耐食性を強化するための対策であり、材質の膨張による旧材との接着性は特に考慮されていない。このことから本発明に使用するロー石中のSiO2含有量が特許文献1と異なる結果となっている。
本研究ではロー石の膨張特性を重要視しているため、ロー石としては一般的に産出されるグレードのもので使用上問題は無い。ただし、ロー石の膨張特性を出銑孔閉塞材に反映させるために、1〜5mmの粒度域にて10重量%以上の添加量を必要としている。これにより加熱後の体積変化を膨張傾向にすることが可能となる。ロー石添加量を20重量%以下に限定するのは、添加量が20重量%を超えると、出銑孔閉塞材が過度に膨張し、組織強度の低下が大きすぎるためである。これらのことよりロー石添加量は10〜20重量%に限定する。さらに、ロー石粒度を1〜5mmに限定するのは、1mm未満の粒度では、ロー石の膨張特性が出銑孔閉塞材に反映されず、さらに、耐食性の低下を招くためである。5mmを超える場合は出銑孔直径40〜75mmに対して大きすぎるため、出銑孔閉塞材の重要な具備特性の一つであるスベリ性が低下し、充填不良を招く可能性が高まるためである。
しかしながら、ロー石の使用により、出銑孔閉塞材のその加熱後の膨張により気孔率が高まり耐食性が低下することが懸念される。そこで、本発明はロー石を使用した出銑孔閉塞材に特殊なカーボンブラックを添加することで、気孔率を低下させることが可能であることを見出した。これはカーボンブラックの粒子が非常に細かく、膨張により拡大した気孔を塞ぎ、気孔率を低下させるものである。このロー石とカーボンブラックの組み合わせにより、出銑孔閉塞材が加熱により膨張し旧材との良好な接着性を保持し、かつ、緻密な組織を得ることで安定した長時間出銑が可能となる。
カーボンブラックの添加量が1重量%未満では、出銑孔閉塞材に発生する気孔を塞ぐには不十分で効果が小さい。また9重量%を超えると、バインダーの吸着量が過剰となってバインダー添加量が非常に増加するため、バインダーに含まれる揮発成分が増加し、揮発成分が抜けた後に生じる気孔が多くなり組織が脆くなる。このことからカーボンブラックの添加量は1〜9重量%が有効である。
また本発明に使用するカーボンブラックとしては粒子径が小さいほど気孔を塞ぎやすく、粒子径は100nmを超えると気孔を塞ぐように充填されないため、カーボンブラックは粒子径が100nm以下のものが好ましい。さらに粒子径50nm以下のものがより好ましい。
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明の出銑孔閉塞材を説明する。
表1に示す配合割合で耐火性原料の配合物を作成し、得られた配合原料を約5分間混錬し、60℃に保温したバインダーを添加して約1時間混錬した。なお、本実施例及び比較例では、バインダーとして無水コールタールを使用した。そして、約5MPaの成形圧で40×40×160mmに成形し、1500℃で3時間にわたり還元加熱した後の供試体について線変化率、曲げ強さ及び見掛気孔率の測定を行った。
さらに、耐食性試験は回転アーク炉侵食試験法により、銑鉄と高炉スラグを侵食剤として使用し、還元雰囲気、1550℃で10時間にわたり試験を行った後、供試体を切断して侵食寸法を測定し、比較例1の侵食寸法を100としたときの浸食寸法を指数化して溶損指数としたものである。溶損指数は小さいほど耐食性が良いことを示す。これらの結果を表に示す。
実施例1はロー石原料を1〜5mmの粒度域にて15重量%添加し、粒子径30nmのカーボンブラックを3重量%添加した配合であり、比較例1は1〜5mmの粒度域にてロー石原料を15重量%添加しているが、カーボンブラックは無添加である配合である。実施例1および比較例1はともに1500℃加熱後の線変化率が+1.0と膨張性を有しているが、比較例1は見掛気孔率が27%であるが、実施例1は24%と緻密化されている。耐食性も損耗指数が比較例1の100に対して実施例1は85と向上している。このことはカーボンブラックが気孔を塞ぐことにより、気孔率が低下し、耐食性も向上した結果であると考えられる。
実施例2は実施例1よりもさらにカーボンブラック添加量を5重量%と増量した配合であるが、さらに見掛気孔率が低下し、耐食性も向上している。
比較例2は1〜5mmの粒度域のロー石原料を5%のみ使用した配合であり、加熱後の線変化率が−1.0となり収縮傾向である。出銑孔閉塞材が加熱後収縮を起こす場合は、旧材との接着面に隙間を生じさせるため、接着性に問題が生じる可能性が考えられる。
比較例3は実施例1および2より粒子径の大きなカーボンブラック(粒子径120nm)を使用した配合である。実施例と比較し気孔率が高く、耐食性が劣る結果であった。このことはカーボンブラックの粒子径が100nm以上と大きな場合には、気孔を塞ぐように充填されないためと考えられる。実施例1及び2と比較例3よりカーボンブラックの粒子径は100nm以下の小径のものを使用することが望ましいと考えられる。
これらの結果より、1〜5mmの粒度のロー石を10〜20重量%と粒子径が100nm以下のカーボンブラックを1〜5重量%含有し、1500℃加熱後に膨張性を有することを特徴とする出銑孔閉塞材を使用することにより、出銑孔内部に充填された出銑孔閉塞材の旧材と新材との境界部の接着性が高まり、開孔時に発生する亀裂が削減され、かつ、安定した長時間出銑が可能となる。
また、上記実施例および比較例においては、バインダーとして無水コールタールを使用した例を説明したが、石油系タール、レジン系バインダー等を使用することも可能であり、上記実施例と同様な結果を得ることが可能である。
本発明によって、安定して長時間出銑が可能な高炉用出銑孔閉塞材を提供することができる。
1 新たに充填された出銑孔閉塞材(新材)
2 前に充填された出銑孔閉塞材(旧材)
3 高炉出銑孔
4 高炉の炉壁
5 高炉の炉内
2 前に充填された出銑孔閉塞材(旧材)
3 高炉出銑孔
4 高炉の炉壁
5 高炉の炉内
Claims (2)
- 1〜5mmの粒度域にロー石(パイロフィライト(Al2O3・4SiO2・H2O)を主成分とし、SiO2組成を60〜80重量%含む)を10〜20重量%含有し、1500℃加熱後に膨張性を有し、かつ、カーボンブラックを1〜9重量%含有することを特徴とする高炉用出銑孔閉塞材。
- 使用するカーボンブラックの粒子径が100nm以下であることを特徴とする請求項1記載の高炉用出銑孔閉塞材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008143682A JP2009269809A (ja) | 2008-05-02 | 2008-05-02 | 高炉用出銑孔閉塞材 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008143682A JP2009269809A (ja) | 2008-05-02 | 2008-05-02 | 高炉用出銑孔閉塞材 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2009269809A true JP2009269809A (ja) | 2009-11-19 |
Family
ID=41436711
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2008143682A Pending JP2009269809A (ja) | 2008-05-02 | 2008-05-02 | 高炉用出銑孔閉塞材 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2009269809A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015171991A (ja) * | 2014-02-20 | 2015-10-01 | Jfeスチール株式会社 | 製鉄用容器 |
-
2008
- 2008-05-02 JP JP2008143682A patent/JP2009269809A/ja active Pending
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