JP2009269426A - 航空機用空気入りラジアルタイヤ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】一対のビードコア間にトロイダル状に延在し、タイヤのラジアル方向に延びるゴム被覆コードによるカーカスプライからなるカーカスを有する航空機用空気入りラジアルタイヤにおいて、前記カーカスプライが、ビードコア間に跨って延びる本体部とビードコアの周りにタイヤの幅方向内側から外側へ巻き返されて延びる折返し部とからなる少なくとも1層のターンアッププライと、該折返し部のタイヤ幅方向外側を覆って、少なくともビードコアの径方向内側まで延びる少なくとも1層のダウンプライと、を含み、前記折返し部の少なくとも端部領域のコードが波形状とする。
【選択図】図2
Description
また、上述したカーカスプライの折返し部の端末(カーカスプライ端)をトレッド部に近い位置に配置する手法では、カーカスプライ端を張力負担が大きい位置に配置するため、カーカスプライ端での応力集中もさらに増加することとなり、いわゆる、プライ端セパレーションの発生につながるおそれがあった。
(1)一対のビードコア間にトロイダル状に延在し、タイヤのラジアル方向に延びるゴム被覆コードによるカーカスプライからなるカーカスを有する航空機用空気入りラジアルタイヤにおいて、
前記カーカスプライが、ビードコア間に跨って延びる本体部とビードコアの周りにタイヤの幅方向内側から外側へ巻き返されて延びる折返し部とからなる少なくとも1層のターンアッププライと、該折返し部のタイヤ幅方向外側を覆って、少なくともビードコアの径方向内側まで延びる少なくとも1層のダウンプライと、を含み、
前記折返し部の少なくとも端部領域のコードが波形状である、
ことを特徴とする航空機用空気入りラジアルタイヤ。
タイヤ径方向最外側に位置する折返し部の端部領域のコードが波形状であることを特徴とする上記(1)に記載の航空機用空気入りラジアルタイヤ。
1.13λ≦l≦1.19λ
の関係を満足することを特徴とする上記(1)または(2)に記載の航空機用空気入りラジアルタイヤ。
タイヤ径方向最外側に位置する折返し部の端部領域が、該折返し部以外の折返し部のタイヤ径方向外側端とタイヤ幅方向に重ならないことを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の航空機用空気入りラジアルタイヤ。
0.45≦h1/H≦0.6
であることを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれかに記載の航空機用空気入りラジアルタイヤ。
図1は、本発明の航空機用空気入りラジアルタイヤの一実施例を示す幅方向断面図である。この航空機用空気入りラジアルタイヤ(以下、タイヤと称する)は、ビードコア1を埋設した一対のビード部3間にトロイダル状に延在するカーカス5を骨格とし、このカーカス5のクラウン部のタイヤ径方向外側に、複数層のベルト層、図では4層のベルト層からなるベルト7およびトレッド部9を配置して成る。
カーカス5は、ラジアル方向に延びるコードの多数本をゴムで被覆したゴム被覆コードによるターンアッププライ5aとダウンプライ5bとからなる。なお、図示はしないが、ベルト7とトレッド部9との間にベルト保護層を設けてもよい。カーカス5以外の部分について、その詳細な構造は一般の航空機用空気入りラジアルタイヤの構造に準ずるので、説明を省略する。
なお、「ラジアル方向」とは、直線状のコードの場合、タイヤ赤道CLに対して実質的に直交する方向であり、曲線状、例えば波形のコードの場合、コード軸方向がタイヤ赤道CLに対して実質的に直交する方向のことである。また、「タイヤ赤道CLに対して実質的に直交する方向」とは、タイヤ赤道CLに対して90°±10°の幅を有するものとする。
このようなアップダウン構造を用いることにより、高い内圧がタイヤに付加された状態においてもターンアッププライ5aがビードコア1から引き抜けるのを効果的に防止することができる。
タイヤの走行時にカーカスへ繰り返し入力があると、該カーカスのコードの端部に応力が集中し易くなる結果、いわゆるプライ端セパレーションを誘発するおそれがあるのは上述したとおりである。そこで、規定内圧下での走行中は、カーカスへ繰り返し入力があると、端部領域Aに含まれるコードは、波形が伸び縮みすることにより張力を直接に負担することなく周囲の変形に追随する結果、端部領域Aへの応力集中は緩和される。一方、高内圧下において走行する場合、端部領域Aに含まれるコードの波形部分は引張され直線状になるまで変形し、この直線状となったコード部分は以降張力を負担することになり、耐圧性能の向上に寄与する。よって、規定内圧下においてプライ端セパレーションを防止するとともに、耐圧性能試験時の規定内圧の4倍以上に達する高内圧下において、耐圧性能を向上させることができる。
なお、ターンアッププライのコードは、端部領域Aのコードを波形状とし、端部領域A以外のコードを直線状にした同一のコードからなるものである。また、端部領域Aに含まれるコードは波形状でなくジグザグ状とすることもできる。
図3(a)に示す例では、ビードコア1から外側に向かって順にターンアッププライ5a1、5a2がビードコア1の周りに巻き返され、ターンアッププライ5a1、5a2のうちタイヤ径方向最外側に折返し部が位置する(トレッド9に近い位置)ターンアッププライ5a1の折返し部の端部領域Aのコードを波形状にしたものである。
図3(b)に示す例では、ターンアッププライ5a1、5a2のうちタイヤ径方向最外側に折返し部が位置するターンアッププライ5a2の折返し部の端部領域Aのコードを波形状にしたものである。
図3(a)、(b)に示すように、タイヤ径方向最外側に折返し部が位置するターンアッププライの折返し部の端部領域を波形状にすることが好適である。これは、タイヤ径方向最外のカーカスプライ端には応力が集中しやすく、この領域のコードを波形にすることによって、プライ端セパレーションの発生を効果的に抑制することができるためである。
1.13λ≦l≦1.19λ
の関係を満足することが好適である。
コード長lが1.13λ未満の場合、すなわち、波形が緩やかな場合、規定内圧下での繰り返し入力により、波形のコードが直線状にまで変形してしまうため、コードがプライ端の張力を緩和する効果が十分に得られないおそれがある。一方、コード長lが1.19λを超えると、高内圧下において、コードが引張されてもコードが波形であり直線状にまで変形しないため、コードが直線状になって張力を負担する作用を十分に発揮できないおそれがあるためである。
なお、コード長とはコードに沿った長さのことである。
すなわち、図3(a)では、ターンアッププライ5a1の端部領域Aがターンアッププライ5a2のタイヤ径方向外側端5a2Eとタイヤ幅方向に重ならないこと、図3(b)では、ターンアッププライ5a2の端部領域Aがターンアッププライ5a1のタイヤ径方向外側端5a1Eとタイヤ幅方向に重ならないことが好適である。
なぜなら、タイヤ径方向最外側に位置する折返し部の端部領域Aが、該折返し部以外の折返し部のタイヤ径方向外側端とタイヤ幅方向に重なる場合、この重なり部分でプライ端セパレーションが発生しやすくなるおそれがあるためである。なお、通常は、端部領域Aのタイヤ径方向内側端と、その他のターンアッププライのタイヤ径方向外側端は、タイヤ赤道CLに直交する一直線上で25mm程度離間している。
0.45≦h1/H≦0.6
であることが好適である。
これは、張力負担の大きいサイドウォール部を折返し部5apで保護するための規定である。この比h1/Hが0.45未満の場合、張力負担の大きいサイドウォール部を折返し部5apで補強していないため、十分な耐圧性能を得られないおそれがある。また、折返し部5apの端部領域Aがビード部3付近に存在することになり、走行中に生じるビード部3の変形に伴い、この端部領域Aに大きな歪みが生じ、その結果、端部領域Aにてセパレーションが発生するおそれがある。カーカスプライ5bを適用することにより、折返し部5apの端部領域Aがビード部3付近に存在する場合であっても、端部領域Aに対する保護効果は得られるが、上記の比h1/Hを0.45以上とすることが、さらに該端部領域でのセパレーションを防止し、ビード部3の耐久性を向上させる点で好適である。
一方、比h1/Hが0.6超の場合、カーカスプライのプライ端をトレッド部に近い位置に配置することとなり、プライ端セパレーションが発生しやすいおそれがある。
発明例タイヤ1、2は端部領域Aに含まれるコードが波形状であるのに対し、従来例タイヤおよび比較例タイヤ1、2は端部領域Aに含まれるコードが直線状である。なお、発明例タイヤ1、2はともに、端部領域Aの長さ18mm、端部領域Aに含まれる波形のコードの波長λ=9mm、波高2.5mm(振幅1.25mm)、波形のコードのコード長l=10.5mmである。
また、表1に示すプライ枚数は、(ターンアッププライの枚数+ダウンプライの枚数)を示している。
各供試タイヤ内をリムサイズ1400×530R23のリムに装着した後、水で満たし、タイヤ内圧を上昇させたとき、タイヤが破壊する圧力、いわゆる破壊圧を測定した。従来例タイヤにおいてタイヤ破壊が発生した圧力を100として、指数表示し、数値が大きいほどタイヤの耐圧性能が良好であることを示す。
各供試タイヤを、リムサイズ1400×530R23のリムに装着し、室内ドラム試験機上に取り付け、規定内圧1720kPa、規定荷重34000kgの条件下で、離陸試験条件を繰り返し実施した際にタイヤ故障(プライ端セパレーション)が発生するまでの試験回数を測定した。従来例タイヤにおいてタイヤ故障が発生した試験回数を100として、指数表示し、数字が大きいほど耐久性能が良好であることを示す。
2 ビードトゥ
3 ビード部
5 カーカス
5a ターンアッププライ
5b ダウンプライ
5ap 折返し部
7 ベルト
9 トレッド部
CL タイヤ赤道
Claims (7)
- 一対のビードコア間にトロイダル状に延在し、タイヤのラジアル方向に延びるゴム被覆コードによるカーカスプライからなるカーカスを有する航空機用空気入りラジアルタイヤにおいて、
前記カーカスプライが、ビードコア間に跨って延びる本体部とビードコアの周りにタイヤの幅方向内側から外側へ巻き返されて延びる折返し部とからなる少なくとも1層のターンアッププライと、該折返し部のタイヤ幅方向外側を覆って、少なくともビードコアの径方向内側まで延びる少なくとも1層のダウンプライと、を含み、
前記折返し部の少なくとも端部領域のコードが波形状である、
ことを特徴とする航空機用空気入りラジアルタイヤ。 - 前記ターンアッププライが複数層であって、
タイヤ径方向最外側に位置する折返し部の端部領域のコードが波形状であることを特徴とする請求項1に記載の航空機用空気入りラジアルタイヤ。 - 前記端部領域のコードの波長λと、1周期におけるコード長lとが、
1.13λ≦l≦1.19λ
の関係を満足することを特徴とする請求項1または2に記載の航空機用空気入りラジアルタイヤ。 - 前記端部領域が、前記コードの波形の1波長以上の長さであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の航空機用空気入りラジアルタイヤ。
- 前記ターンアッププライが複数層であって、
タイヤ径方向最外側に位置する折返し部の端部領域が、該折返し部以外の折返し部のタイヤ径方向外側端とタイヤ幅方向に重ならないことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の航空機用空気入りラジアルタイヤ。 - 前記コードがポリケトン繊維コードであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の航空機用空気入りラジアルタイヤ。
- 前記端部領域のタイヤ径方向外側端にタイヤの回転軸と平行に引いた線分とビードトゥにタイヤの回転軸と平行に引いた線分との最短距離h1の、タイヤの断面高さHに対する比h1/Hが、
0.45≦h1/H≦0.6
であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の航空機用空気入りラジアルタイヤ。
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