JP2009268198A - 電動機の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】電動機が有する2重回転子の周方向の相対変位角を変更する機能が正常に動作しないときであっても、電動機を界磁強め状態に保持可能な電動機の制御装置を提供すること。
【解決手段】回転軸の周囲に同心円状に設けられた第1回転子及び第2回転子と、第1回転子及び第2回転子の周方向の相対変位角を変更する位相変更機構とを有し、車両の駆動源として設けられた電動機の制御装置は、位相変更機構の駆動を制御する駆動制御部と、駆動制御部の状態を判定する状態判定部と、第1回転子及び第2回転子による合成磁束が所定以上となる相対変位角の状態で、駆動制御部が非正常状態と判定されたとき、車両の状態及び電動機に求められたトルクに基づいて、第1回転子又は第2回転子に発生するイナーシャトルクを推定するイナーシャトルク推定部と、イナーシャトルク推定部によって推定された予想イナーシャトルクに応じて、電動機の駆動を制限する駆動制限部とを備える。
【選択図】図10

Description

本発明は、回転軸の周囲に同心円状に設けられた第1回転子及び第2回転子と、第1回転子及び第2回転子の周方向の相対変位角を変更する位相変更機構とを有する永久磁石界磁型の電動機の相対変位角を変更する機能が正常に動作しないときの電動機の制御装置に関する。
特許文献1に記載の電動機は、回転軸の周囲に周方向に沿って配置された内周側永久磁石を有する内周側回転子と、内周側回転子と同軸上に配置され、内周側回転子の外側に周方向に沿って配置された外周側永久磁石を有する外周側回転子と、内周側回転子と外周側回転子の周方向の相対変位角を変更可能な回動機構とを備える。なお、回動機構は、非圧縮性流体である作動油(作動液)の油圧(流体圧)によって、内周側回転子と外周側回転子との間の相対的な位相を変更する。回動機構への油圧の制御は油圧制御装置が行っている。
回動機構は、油圧制御装置による油圧制御に応じて、電動機が界磁強め状態又は界磁弱め状態となるよう内周側回転子と外周側回転子の相対変位角を変更する。界磁強め状態では、内周側回転子及び外周側回転子の対向する各永久磁石の磁化方向は同じである。一方、界磁弱め状態では、内周側回転子及び外周側回転子の対向する各永久磁石の磁化方向は逆である。界磁強め状態の電動機は、最大トルク出力が可能である。
特開2007−244042号公報 特開2002−204541号公報 特開2007−236049号公報
上記説明した電動機が備える回動機構への油圧を制御するオイルポンプや油圧バルブ等といった油圧制御装置にフェール(故障や異常、重度の性能劣化等)が発生しても、電動機が界磁強め状態であれば、電動機はそのままの状態で最大トルクを出力することができる。しかし、電動機が界磁強め状態であっても、油圧制御装置がフェール時に急発進操作等が行われ、電動機の外周側回転子に高いイナーシャトルク(慣性トルク)が発生した場合には、外周側回転子に対する内周側回転子の回動に周方向の遅れが生じる可能性がある。内周側回転子の回動に遅れが生じると内周側回転子と外周側回転子の相対変位角が変化するため、電動機が界磁弱め状態になる可能性がある。電動機が界磁弱め状態になると、当該電動機は最大トルクを出力することができない。
また、油圧制御装置のフェール時に当該装置に代わって同様の動作を行う代替装置が設けられている場合であっても、故障した装置から代替装置への切り替え中に電動機が界磁弱め状態になると、代替装置によって電動機が再び界磁強め状態とされるまで、当該電動機は最大トルクを出力することができない。
本発明の目的は、電動機が有する2重回転子の周方向の相対変位角を変更する機能が正常に動作しないときであっても、電動機を界磁強め状態に保持することのできる電動機の制御装置を提供することである。
上記課題を解決して係る目的を達成するために、請求項1に記載の発明の電動機の制御装置は、回転軸(例えば、実施の形態での回転軸12)の周囲に同心円状に設けられた第1回転子及び第2回転子(例えば、実施の形態での外周側回転子21及び内周側回転子22)と、前記第1回転子及び前記第2回転子の周方向の相対変位角(例えば、実施の形態でのロータ位相差)を変更する位相変更機構(例えば、実施の形態での回動機構30,30′)と、を有し、車両の駆動源として設けられた永久磁石界磁型の電動機(例えば、実施の形態での電動機10)の制御装置であって、前記位相変更機構の駆動を制御する位相変更駆動制御部(例えば、実施の形態での主オイルポンプ151)と、前記位相変更駆動制御部の状態を判定する状態判定部(例えば、実施の形態での制限制御部129,229)と、前記第1回転子及び前記第2回転子による合成磁束が所定以上となる前記相対変位角の状態で、前記状態判定部によって前記位相変更駆動制御部が非正常状態(例えば、実施の形態でのフェール状態又は軽度のフェール状態)と判定されたとき、前記車両の状態及び前記電動機に求められたトルクに基づいて、前記第1回転子又は前記第2回転子に発生するイナーシャトルクを推定するイナーシャトルク推定部(例えば、実施の形態での制限制御部129,229)と、前記イナーシャトルク推定部によって推定された予想イナーシャトルクに応じて、前記電動機の駆動を制限する駆動制限部(例えば、実施の形態での制限制御部129,229)と、を備えたことを特徴としている。
さらに、請求項2に記載の発明の電動機の制御装置では、前記駆動制限部(例えば、実施の形態での制限制御部129)は、前記予想イナーシャトルクに応じて、前記電動機に要求するトルクに制限を設けることを特徴としている。
さらに、請求項3に記載の発明の電動機の制御装置では、前記駆動制限部(例えば、実施の形態での制限制御部229)は、前記予想イナーシャトルクに応じて、前記電動機に要求する回転数に制限を設けることを特徴としている。
さらに、請求項4に記載の発明の電動機の制御装置では、前記状態判定部が、前記位相変更駆動制御部の状態を、動作はするが所定の性能を満たさない状態(例えば、実施の形態での軽度のフェール状態)と判定した場合、当該制御装置は、前記相対変位角を前記第1回転子及び前記第2回転子の各磁束が強められる角度とする指令を前記電動機に行うことを特徴としている。
さらに、請求項5に記載の発明の電動機の制御装置では、前記位相変更駆動制御部が非正常状態のとき、前記位相変更駆動制御部の代替手段として利用される補助駆動制御部(例えば、実施の形態での補助オイルポンプ155)を備え、前記イナーシャトルク推定部及び前記駆動制限部は、前記位相変更機構の駆動を制御する手段が前記位相変更駆動制御部から前記補助駆動制御部に切り替わるまでの間に動作することを特徴としている。
さらに、請求項6に記載の発明の電動機の制御装置では、前記車両の状態は、前記車両の速度及び前記車両の傾斜角度を含み、前記イナーシャトルク推定部は、前記電動機に求められたトルクに応じた前記電動機の回転数指令値及び前記車両の速度に基づいて決定した値に、前記車両の傾斜及び前記電動機に求められたトルクに基づいて決定した補正係数を積算して得られた値を、前記予想イナーシャトルクとして推定することを特徴としている。
さらに、請求項7に記載の発明の電動機の制御装置では、前記駆動制限部は、前記予想イナーシャトルクが所定値よりも大きいとき前記電動機の駆動を制限し、前記予想イナーシャトルクの値が大きいほど前記電動機の駆動に対する制限を大きくすることを特徴としている。
請求項1〜7に記載の発明の電動機の制御装置によれば、電動機の第1回転子及び第2回転子による合成磁束が所定以上となる相対変位角の状態で、電動機の位相変更機構が非正常状態となっても、予想イナーシャトルクに応じて電動機の駆動が制限されるため、合成磁束が所定以上となる相対変位角の状態に電動機を保持することができる。
請求項4に記載の発明の電動機の制御装置によれば、電動機の位相変更機構が動作はするが所定の性能を満たさない状態となっても、相対変位角を第1回転子及び第2回転子の各磁束が強められる角度とした上で、この状態に電動機を保持することができる。
請求項5に記載の発明の電動機の制御装置によれば、位相変更駆動制御部から補助駆動制御部に切り替わるまでの間は、合成磁束が所定以上となる相対変位角の状態に電動機を保持することができる。
以下説明する実施形態で用いられる電動機は、例えばハイブリッド車両や電動車両の駆動源として使用され、ハイブリッド車両に搭載されたときは、電動機及び発電機として動作する。当該電動機は、図示しないクラッチを介して駆動輪に接続されている。
(第1の実施形態)
第1の実施形態の電動機10は、図1〜図4に示すように、円環状の固定子11の内周側に回転子ユニット20が配置されるインナロータ型のブラシレスDCモータである。固定子11は複数相の固定子巻線11aを有し、回転子ユニット20は軸芯部に回転軸12を有している。この電動機10を車両の走行駆動源として用いる場合、電動機10の回転力はトランスミッション(図示せず)を介して車輪の駆動軸(図示せず)に伝達される。この場合、電動機10を車両の減速時に発電機として機能させれば、発電電力を回生エネルギとして蓄電器137に回収することができる。
回転子ユニット20は、円環状の外周側回転子21と、この外周側回転子21の内側に同軸上に配置される円環状の内周側回転子22と、を備え、外周側回転子21と内周側回転子22が設定角度の範囲で相対回動可能とされている。例えば、外周側回転子21と内周側回転子22の相対回転角度は、少なくとも電気角で180度の範囲で進角側又は遅角側に変更される。なお、以下の説明では、外周側回転子21と内周側回転子22の周方向の相対変位角を「ロータ位相差」という。
外周側回転子21と内周側回転子22は、回転子本体である円環状のヨーク23,24が、例えば、複数の電磁鋼板を回転軸12に沿う方向に積層してなる積層鋼板によって形成される。各ヨーク23,24には、軸方向に貫通するように形成される複数の磁石装着スロット23a,24aが周方向に所定間隔(本実施形態では22.5°)で配置される。
各磁石装着スロット23a,24aには、厚み方向に磁化された平板状の外周側永久磁石25Aと内周側永久磁石25Bがそれぞれ装着される。そして、本実施形態では、図5に示すように、外周側永久磁石25Aは、着磁方向(厚み方向)が周方向に向くように配置され、内周側永久磁石25Bは、着磁方向(厚み方向)が径方向に向くように配置される。従って、隣接する外周側永久磁石25A,25Aと内周側永久磁石25Bとが略コの字状に配置される。
また、外周側永久磁石25Aと内周側永久磁石25Bは同数(本実施形態では8極対)設けられており、図5に示すように、外周側回転子21上において周方向に隣接する外周側永久磁石25Aの磁極の向きは逆に設定され、内周側回転子22上において周方向に隣接する内周側永久磁石25Bの磁極の向きも逆に設定される。
そして、図5に示すように、隣接する外周側永久磁石25Aの対向N極(またはS極)間に、内周側永久磁石25Bの同極つまりN極(またはS極)が対峙するように、外周側回転子21と内周側回転子22のロータ位相差を調整したときに、回転子ユニット20全体の界磁(合成磁束)が最も強められる「強め位相」の状態(界磁強め状態)となる。なお、この状態のロータ位相差を電気角で0度とする。また、図6に示すように、隣接する外周側永久磁石25Aの対向N極(またはS極)間に、内周側永久磁石25Bの異極つまりS極(またはN極)が対峙するように、外周側回転子21と内周側回転子22のロータ位相差を調整したときに、回転子ユニット20全体の界磁(合成磁束)が最も弱められる「弱め位相」の状態(界磁弱め状態)となる。なお、この状態のロータ位相差を電気角で180度とする。
また、回転子ユニット20は、外周側回転子21と内周側回転子22を相対回動させるための回動機構30を備える。この回動機構30は、外周側回転子21と内周側回転子22の相対変位角を任意に変更するための位相変更機構13を構成するものであり、非圧縮性の作動流体である作動油(作動液)の油圧(流体圧)によって駆動される。位相変更機構13は、回動機構30と、回動機構30に対する作動油の給排を制御する油圧制御装置(図示せず)と、を主要な要素として構成される。
回動機構30は、図1〜図3に示すように、回転軸12の外周に一体回転可能にスプライン嵌合されるベーンロータ31と、ベーンロータ31の外周側に相対回動可能に配置される環状ハウジング32と、を備える。
ベーンロータ31は、図1に示すように、環状ハウジング32及び内周側回転子22の軸方向両端面を跨ぐ円板状の一対の第1ドライブプレート14A,14B、及び環状ハウジング32の軸方向両端部の開口を閉塞する円板状の一対の第2ドライブプレート15A,15Bを介して外周側回転子21に連結される。従って、外周側回転子21、第1ドライブプレート14A,14B、第2ドライブプレート15A,15B、ベーンロータ31、及び回転軸12が一体化されるので、外周側回転子21の駆動力が第1ドライブプレート14A,14Bを介して回転軸12に伝達される。
なお、図中の符号16は、第1ドライブプレート14A,14B、第2ドライブプレート15A,15B、及びベーンロータ31を一体的に連結するボルトで、符号26は、外周側回転子21と第1ドライブプレート14Aとの間に介装されるロストモーション用の皿バネで、符号27は、第1ドライブプレート14A,14B、第2ドライブプレート15A,15B、及びベーンロータ31の位置決めを行う位置決めピンである。
環状ハウジング32は、図1及び図4に示すように、その外周面に、内周側回転子22と、内周側回転子22を軸方向に挟むように配置され、磁石装着スロット24aから内周側永久磁石25Bが抜け出ることを防止する一対の端面板33,33と、環状ハウジング32の軸方向端部に形成される鍔部32aとの間に内周側回転子22及び一対の端面板33,33を挟み込むカラー34と、が一体的に嵌合固定される。従って、環状ハウジング32及び内周側回転子22が一体化される。
また、ベーンロータ31は、回転軸12にスプライン嵌合される円筒状のボス部35の外周に、径方向外側に突出する複数のベーン36が周方向等間隔で設けられる。環状ハウジング32は、内周面に周方向等間隔に複数の凹部37が設けられ、これら各凹部37にベーンロータ31の対応するベーン36が収容配置される。各凹部37は、ベーン36の先端部の回転軌道にほぼ合致する円弧面を有する底壁38と、隣接する凹部37同士を画成する仕切壁39と、によって構成され、ベーンロータ31と環状ハウジング32の相対回動時に、ベーン36が一方の仕切壁39と他方の仕切壁39の間を移動する。
また、各ベーン36の先端部には、底壁38と軸方向に沿うように摺接するシール40aと、シール40aを底壁38に向けて押圧するスプリング40bと、によって構成されるシール部材40が設けられており、このシール部材40は、ベーン36と底壁38との間を液密にシールする。また、各仕切壁39の先端部には、ボス部35の外周面と軸方向に沿うように摺接するシール41aと、シール41aをボス部35の外周面に向けて押圧するスプリング41bと、によって構成されるシール部材41が設けられており、このシール部材41は、仕切壁39とボス部35の外周面との間を液密にシールする。
第2ドライブプレート15A、15Bは、環状ハウジング32の軸方向端面に摺動自在に密接し、環状ハウジング32の各凹部37の側方をそれぞれ閉塞する。従って、環状ハウジング32の各凹部37は、ベーンロータ31のボス部35と両側の第2ドライブプレート15A,15Bと共にそれぞれ独立した空間を形成し、この空間は、作動油が導入される導入空間となっている。各導入空間内は、ベーンロータ31の対応する各ベーン36によってそれぞれ2室に隔成され、一方の室が進角側作動室42とされ、他方の室が遅角側作動室43とされている。
進角側作動室42は、内部に導入された作動油の圧力によって内周側回転子22を外周側回転子21に対して進角方向に相対回動させ、遅角側作動室43は、内部に導入された作動油の圧力によって内周側回転子22を外周側回転子21に対して遅角方向に相対回動させる。この場合、「進角」とは、内周側回転子22を外周側回転子21に対して図2中の矢印Rで示す電動機10の主回転方向に進めることを言い、「遅角」とは、内周側回転子22を外周側回転子21に対して電動機10の主回転方向Rと逆側に進めることを言うものとする。
また、各進角側作動室42と遅角側作動室43に対する作動油の給排は回転軸12を通して行われるようになっている。具体的には、進角側作動室42は、回転軸12に形成される通路孔44aと、回転軸12の外周面に形成され、通路孔44aと接続される環状溝44bと、ベーンロータ31のボス部35に略径方向に形成される複数の導通孔44cと、を介して油圧制御装置に接続される。また、遅角側作動室43は、回転軸12に形成される通路孔45aと、回転軸12の外周面に形成され、通路孔45aと接続される環状溝45bと、ベーンロータ31のボス部35に略径方向に形成される複数の導通孔45cと、を介して油圧制御装置に接続される。
本実施形態では、外周側回転子21と第1ドライブプレート14A,14Bとの連結は、図1〜図3及び図5に示すように、外周側回転子21のヨーク23の外周側永久磁石25A間のうちの均等間隔(本実施形態では180°間隔、図2の12時及び6時方向)に位置する2箇所の外周側永久磁石25A間の周方向中央部にそれぞれ形成される長穴形状の第1貫通穴51と、この2箇所の第1貫通穴51にそれぞれ挿通され、その両端部が第1ドライブプレート14A,14Bの内側面に形成されるピン保持穴17に挿入又は圧入される円筒形状のトルク伝達ピン61と、によって行われる。
また、本実施形態では、第1貫通穴51は、径方向の幅B1がトルク伝達ピン61の直径Dより大きく、周方向の幅B2がトルク伝達ピン61の直径Dと略同一に設定される。このため、トルク伝達ピン61と第1貫通穴51とが周方向に接触するので、外周側回転子21の駆動力が第1ドライブプレート14A,14Bに伝達され、また、トルク伝達ピン61と第1貫通穴51との間に径方向のクリアランスが形成されるので、遠心力でヨーク23が変形したとしても、トルク伝達ピン61に変形荷重が作用することはない。
また、本実施形態では、外周側回転子21のヨーク23の外周側永久磁石25A間のうちの均等間隔(本実施形態では180°間隔、図2の3時及び9時方向)に位置する2箇所の外周側永久磁石25A間の周方向中央部に円形状の第2貫通穴52が形成され、この第2貫通穴52に円筒形状の剥離防止ピン62が圧入される。このため、ヨーク23を構成する積層鋼板が軸方向に一体的に固定されるので、ヨーク23の積層鋼板の剥離が防止されると共に、ヨーク23の一端側の上下左右方向の位置が規制されれば、外周側回転子21の軸心が確保される。さらに、トルク伝達ピン61及び剥離防止ピン62は、交互に周方向に均等(90°間隔で)に配置される。
また、本実施形態では、図2に示すように、剥離防止ピン62の内径は、剥離防止ピン62の内径側の面積と第1貫通穴51の面積が同等となるように設定される。このため、遠心力によりヨーク23に作用する応力が周方向に均等化される。
また、本実施形態では、図7に示すように、第1ドライブプレート14Aの内側面にヨーク23の内径と同一径を有する段部18が形成されており、この段部18にヨーク23が外嵌される。このため、第1ドライブプレート14Aの段部18により外周側回転子21の上下左右方向の位置が規制され、外周側回転子21が第1ドライブプレート14Aと同一軸心に配置されるので、外周側回転子21の軸心が確保されると共に、外周側回転子21が内周側回転子22と同軸上に配置される。
さらに、第1ドライブプレート14A,14Bの内側面には、剥離防止ピン62との間に所定のクリアランスを設ける凹部19が形成される。このため、第1ドライブプレート14A,14Bと剥離防止ピン62とは径方向・周方向ともに接触することはない。
また、本実施形態では、図1及び図5に示すように、外周側回転子21のヨーク23の外周側永久磁石25A間のうちのトルク伝達ピン61及び剥離防止ピン62が配置される以外の外周側永久磁石25A間の周方向中央部には、上記第1貫通穴51がそれぞれ形成される。このため、遠心力によりヨーク23に作用する応力が周方向に均等化される。
このように構成された電動機10では、界磁特性を変更する場合、油圧制御装置による作動油の給排により、進角側作動室42と遅角側作動室43の一方に作動油を供給すると共に他方から作動油を排出する。そして、こうして作動油の給排が制御されると、ベーンロータ31と環状ハウジング32が相対的に回動し、それにともなって外周側回転子21と内周側回転子22の相対位相が操作される。
外周側回転子21と内周側回転子22のロータ位相差が操作されると、図5に示す強め位相の状態(界磁強め状態)と、図6に示す弱め位相の状態(界磁弱め状態)の間で、固定子11に及ぼす磁界の強さが変化する。磁界の強さが変化すると、それに伴って誘起電圧定数が変化し、その結果、電動機10の特性が変更される。即ち、図8に示すように、強め界磁によって誘起電圧定数Keが大きくなると、電動機10として運転可能な許容回転速度は低下するものの、出力可能な最大トルクは増大し、逆に、弱め界磁によって誘起電圧定数Keが小さくなると、電動機10として出力可能な最大トルクは減少するものの、運転可能な許容回転速度は上昇する。
上記説明した回動機構30は、ベーンタイプの位相変更機構であるが、以下説明するプラネタリタイプの位相変更機構であっても良い。図9は、プラネタリタイプの回動機構を備えた電動機の内部構成を示す図である。図9に示す回動機構30′は、内周側回転子22の内周側の中空部に配置されたシングルピニオン型の遊星歯車機構であり、外周側回転子21と同軸且つ一体に形成された第1リングギアR1、内周側回転子22と同軸且つ一体に形成された第2リングギアR2、第1リングギアR1と噛合する第1プラネタリギア71、第2リングギアR2に噛合する第2プラネタリギア72、第1プラネタリギア71及び第2プラネタリギア72と噛合するアイドルギアであるサンギアS、第1プラネタリギア71を回転自在に支持すると共に回転軸12に回転可能に軸支された第1プラネタリキャリアC1、及び第2プラネタリギア72を回転自在に支持すると共に固定子11に固定された第2プラネタリキャリアC2を備える。
第1リングギアR1及び第2リングギアR2は略同等のギア形状であり、第1プラネタリギア71及び第2プラネタリギア72も略同等のギア形状である。また、サンギアSの回転軸73は電動機10の回転軸12と同軸に配置されると共に、軸受け74により回転可能に軸支されている。このため、第1プラネタリギア71及び第2プラネタリギア72がサンギアSと噛合し、外周側回転子21と内周側回転子22が同期して回転する。さらに、第1プラネタリキャリアC1の回転軸75は、電動機10の回転軸12と同軸に配置されると共にアクチュエータ125に接続されており、第2プラネタリキャリアC2は固定子11に固定されている。
アクチュエータ125は、制御装置の位相差制御系から入力される制御信号に応じて、油圧により第1プラネタリキャリアC1を正転方向又は逆転方向に回転させ、或いは回転軸2回りの第1プラネタリキャリアC1の回転を規制する。アクチュエータ125によって第1プラネタリキャリアC1が回転すると、外周側回転子21と内周側回転子22間のロータ位相差が変化する。
<電動機10の制御装置>
図10は、本発明に係る第1の実施形態の電動機の制御装置を示すブロック図である。図10に示すように、第1の実施形態の電動機の制御装置は、レゾルバ101と、回転数算出部103と、電流指令算出部105と、電流制御部106と、上記説明したアクチュエータ125と、アクチュエータ125を駆動する油圧制御部150と、吐出圧センサ108と、ロータ位相差検出部117と、Ke算出部119と、位相差制御系に含まれる指令値決定部121及びロータ位相差制御部123と、各種センサ127と、制限制御部129とを備える。なお、電動機10は図示しないクラッチを介して駆動輪に接続されている。また、電流制御部106には蓄電器137が接続されている。
レゾルバ101は、電動機10の外周側回転子12の機械角度を検出し、検出した機械角度に応じた電気角度θmを出力する。レゾルバ101から出力された電気角度θmは、電流制御部106及び回転数算出部103に送られる。回転数算出部103は、レゾルバ101から入力された電気角度θmから、外周側回転子12の角速度ω及び外周側回転子12の単位時間当たりの回転数Nmを算出する。回転数算出部103によって算出された回転数Nmは、電流指令算出部105及び指令値決定部121に送られる。
電流指令算出部105は、制限制御部129を介して入力されたトルク指令値STmと、回転数算出部103によって算出された電動機1の回転数Nmと、Ke算出部119によって算出された誘起電圧定数Keとに基づいて、d軸側の電機子(以下「d軸電機子」という。)に流す電流(以下「d軸電流」という。)の指令値Id_c及びq軸側の電機子(以下「q軸電機子」という。)に流す電流(以下「q軸電流」という。)の指令値Iq_cを決定する。d軸電流の指令値Id_c及びq軸電流の指令値Iq_cは電流制御部106に入力される。
図11は、電流制御部106の内部構成を示すブロック図である。図11に示すように、電流制御部106は、バンドパスフィルタ(BPF)107と、3相−dp変換部109と、電流FB制御部111と、rθ変換部113と、インバータ(INV)115と、界磁制御部141と、電流制御部143とを有する。蓄電器137は、電流制御部106のインバータ115に接続されている。
3相−dq変換部109は、電流センサ131,133により検出されBPF107により不要成分が除去された電流検出信号Iu,Iwと、レゾルバ73によって検出された外周側回転子12の電気角度θmとに基づいて3相−dq変換を行って、d軸電流の検出値Id_s及びq軸電流の検出値Iq_sを算出する。
電流FB制御部111は、d軸電流の指令値Id_cと検出値Id_sの偏差ΔId及びq軸電流の指令値Iq_cと検出値Iq_sの偏差ΔIqが減少するよう、d軸電機子の端子間電圧(以下「d軸電圧」という。)の指令値Vd_c及びq軸電機子の端子間電圧(以下「q軸電圧」という。)の指令値Vq_cを決定する。なお、偏差ΔIdは、界磁制御部141によって制御される。また、偏差ΔIqは、電力制御部143によって制御される。
rθ変換部113は、d軸電圧の指令値Vd_c及びq軸電圧の指令値Vq_cを大きさV1と角度θの成分に変換する。インバータ115は、大きさV1と角度θの成分に基づいてPWM信号を生成して、蓄電器137からの直流電流をPWM制御により3相(U,V,W)の交流電圧に変換する。
ロータ位相差検出部117は、実際のロータ位相差θsを検出する。ロータ位相差検出部117によって検出されたロータ位相差θsは、Ke算出部119及び制限制御部129に送られる。上述したように、ロータ位相差に応じて界磁の磁束が変化すると、電動機1の誘起電圧定数Keも変化する。したがって、Ke算出部119は、ロータ位相差検出部117によって検出された実際のロータ位相差θsから誘起電圧定位数Keを算出する。
指令値決定部121は、制限制御部129を介して入力されたトルク指令値STmと、回転数算出部103によって算出された電動機1の回転数Nmと、外部から入力された蓄電器137のバッテリ電圧Vdcとに基づいて、誘起電圧定数の指令値Ke_cを決定する。ロータ位相差制御部123は、指令値決定部121から出力された誘起電圧定数の指令値Ke_cとKe算出部119によって算出された誘起電圧定数Keの偏差ΔKeが減少するよう制御信号を出力し、アクチュエータ125を制御する。なお、アクチュエータ125によってロータ位相差が変わると界磁の磁束が変化するため、電動機1の誘起電圧定数Keも変化する。
油圧制御部150は、アクチュエータ125に供給する作動油の量を調整する主オイルポンプ151と、主オイルポンプ151を駆動するモータ153とを有する。モータ153には、ロータ位相差制御部123から出力される制御信号が送られる。なお、油圧制御部150には、主オイルポンプ151がフェールした際、主オイルポンプ151の代わりに用いられ、モータ153によって駆動される補助オイルポンプ155が設けられても良い。吐出圧センサ108は、油圧制御部150による作動油の吐出圧を検出する。
各種センサ127には、車両速度(車速)を検出する車速センサと、車両の傾斜角度を検出する傾斜センサとが含まれる。各センサで得られた情報は制限制御部129に送られる。
制限制御部129は、図12のフローチャートによって示される処理を行うことによって、油圧制御部150がフェール時であってもイナーシャトルクによってロータ位相差が変化しないようトルク指令値STmを制限する。図12は、第1の実施形態の制限制御部129が行う処理を示すフローチャートである。図12に示すように、制限制御部129は、吐出圧センサ108が検出した吐出圧情報に基づいて、油圧制御部150がフェール状態(故障や異常、重度の性能劣化等)か否かを判断し(ステップS101)、フェール状態でなければ処理を終了し、フェール状態であればステップS103に進む。尚、フェール状態の判断は、具体的には、油圧制御部150の吐出圧指令値に対する吐出圧センサ108の吐出圧との偏差に基いて判断され、この偏差の大小により故障状態を検知する。
ステップS103では、制限制御部129は、ロータ位相差検出部117が検出した現在のロータ位相差θsを読み込む。次に、制限制御部129は、ステップS103で読み込んだロータ位相差θsが所定値(α)未満であるかを判断し(ステップS105)、所定値以上であれば処理を終了し、所定値未満であればステップS107に進む。なお、ロータ位相差θsの値が小さい程、外周側回転子21及び内周側回転子22によって構成される回転子ユニット20全体の界磁は強い。
ステップS107では、制限制御部129は、各種センサ127に含まれる車速センサによって検出された現在の車速情報NVを読み込む。次に、ステップS109では、制限制御部129は、各種センサ127に含まれる傾斜センサによって検出された現在の傾斜情報NAを読み込む。次に、ステップS111では、制限制御部129は、外部から入力されるトルク指令値STを読み込む。次に、ステップS113では、制限制御部129は、ステップS111で読み込んだトルク指令値STに応じた回転数指令値SNを推定する。
次に、ステップS115では、制限制御部129は、トルク指令値STに応じて駆動したとき電動機10の外周側回転子21に発生すると予想されるイナーシャトルク(以下「予想イナーシャトルク」という。)PTを以下説明する演算によって求める。まず、制限制御部129は、ステップS109で得られた傾斜情報NA及びステップS111で得られたトルク指令値STと、図13に示す補正係数マップとを用いて、後述する予想イナーシャトルクPTの算出式で用いられる補正係数Mを取得する。なお、図13に示す補正係数マップは、外部のメモリに格納されていても制限制御部129が記憶していても良い。
次に、制限制御部129は、取得した補正係数Mと、予め決められた値である基準イナーシャJ及び駆動輪から電動機10の回転軸12までのレシオ(RATIO)と、ステップS107で得られた車速情報NVと、ステップS113で得られた回転数指令値SNとを、以下に示す数式(1)に代入して、予想イナーシャトルクPTを算出する。
Figure 2009268198
次に、制限制御部129は、ステップS115で得られた予想イナーシャトルクPTが所定値(β)よりも大きいかを判断し(ステップS117)、所定値以下であれば処理を終了し、所定値より大きければステップS119に進む。ステップS119では、制限制御部129は、ステップS115で得られた予想イナーシャトルクPTと、図14に示すトルク指令値フィルタマップとを用いて、フィルタレベル値RTを取得する。なお、図14に示すトルク指令値フィルタマップは、外部のメモリに格納されていても制限制御部129が記憶していても良い。
次に、制限制御部129は、取得したフィルタレベル値RTに応じて、ステップS111で得られたトルク指令値STを補正する(ステップS121)。制限制御部129は、補正されたトルク指令値STmを電流指令算出部105及び指令値決定部121に送る。その結果、図15に示すように、イナーシャトルクを増加させるレベルのトルク指令値STは抑えられ、低く制限されたトルク指令値STmが出力される。その結果、車速の加速度が制限される。
本実施形態によれば、油圧制御部150がフェールした状態では、トルクを急激に上げるよう指示するトルク指令値は制限されるため、電動機10には大きなイナーシャトルクが発生せず、電動機10は現在のロータ位相差を保ったまま回転する。すなわち、油圧制御部150がフェールしても電動機10の強め界磁状態は保持される。
(第2の実施形態)
第2の実施形態の電動機は、第1の実施形態の電動機10と同様である。また、第2の実施形態の電動機の制御装置は、第1の実施形態の電動機の制御装置と比較して、電流指令算出部、指令値決定部及び制限制御部の各処理が一部異なる。図16は、本発明に係る第2の実施形態の電動機10の制御装置を示すブロック図である。図16に示すように、第2の実施形態の電動機の制御装置は、電流指令算出部105の代わりに電流指令算出部205を、指令値決定部121の代わりに指令値決定部221を、制限制御部129の代わりに制限制御部229を備える。他の構成は第1の電動機の制御装置と同様である。
電流指令算出部205は、外部から入力されたトルク指令値STと、制限制御部229から入力された回転数指令値SNmと、Ke算出部119によって算出された誘起電圧定数Keとに基づいて、d軸電流の指令値Id_c及びq軸電流の指令値Iq_cを決定する。また、指令値決定部221は、外部から入力されたトルク指令値STと、制限制御部229から入力された回転数指令値SNmと、外部から入力された蓄電器137のバッテリ電圧Vdcとに基づいて、誘起電圧定数の指令値Ke_cを決定する。
制限制御部229は、図17のフローチャートによって示される処理を行うことによって、油圧制御部150がフェール時であってもイナーシャトルクによってロータ位相差が変化しないよう電動機10の回転数指令値を制限する。なお、電動機10の回転数指令値を制限すると車速が制限されるため、本実施形態による回転数指令値の制限は車速の制限と同義である。
図17は、第2の実施形態の制限制御部229が行う処理を示すフローチャートである。図17に示すように、制限制御部229は、第1の実施形態で説明した図12に示すステップS101〜S117の処理を行った後、予想イナーシャトルクPTが所定値(β)よりも大きいと判断したとき、ステップS219に進む。ステップS219では、制限制御部229は、ステップS115で得られた予想イナーシャトルクPTと、図18に示す回転数指令値減算量マップとを用いて、回転数指令値の減算量RNを取得する。なお、図18に示す回転数指令値減算量マップは、外部のメモリに格納されていても制限制御部229が記憶していても良い。
次に、制限制御部229は、取得した減算量RNに応じて、ステップS113で得られた回転数指令値SNを補正する(ステップS221)。制限制御部229は、補正された回転数指令値SNmを電流指令算出部105及び指令値決定部121に送る。その結果、図19に示すように、電動機10の回転数指令値は所定の値まで抑えられ、車速が制限される。
本実施形態によれば、油圧制御部150がフェールした状態では、高い回転数指令値は制限値に制限されるため、電動機10には大きなイナーシャトルクが発生せず、電動機10は現在のロータ位相差を保ったまま回転する。すなわち、油圧制御部150がフェールしても電動機10の強め界磁状態は保持される。
(第3の実施形態)
第3の実施形態の電動機は、第1の実施形態の電動機10と同様である。また、第3の実施形態の電動機の制御装置は、第1の実施形態又は第2の実施形態の電動機の制御装置と比較して、制限制御部の処理が一部異なる。第3の実施形態の制限制御部は、図20のフローチャートによって示される処理を行うことによって、油圧制御部150が完全にフェールしてはいないがフェールに近い状態(軽度のフェール状態)のとき、イナーシャトルクによってロータ位相差が変化しないようトルク指令値又は電動機10の回転数指令値を制限する。
図20は、第3の実施形態の制限制御部が行う処理を示すフローチャートである。図20に示すように、制限制御部は、第1の実施形態の図12又は第2の実施形態の図17に示すステップS101を行う代わりに、以下説明するステップを行う。まず、制限制御部は、油圧制御部150の主オイルポンプ151への吐出圧指令値nSPを読み込む(ステップS301)。次に、制限制御部は、吐出圧指令値nSPの過去5秒間の平均値nSPaveを算出する(ステップS303)。次に、制限制御部は、吐出圧センサ108が検出した現在の吐出圧nRPを読み込む(ステップS305)。次に、制限制御部は、実際の吐出圧nRPの過去5秒間の平均値nRPaveを算出する(ステップS307)。
次に、制限制御部は、ステップS303で得られた吐出圧指令値nSPの平均値nSPaveと、実際の吐出圧nRPの平均値nRPaveの差の絶対値(|nSPave−nRPave|)が所定値(γ)より大きいかを判断し(ステップS309)、所定値以下であれば処理を終了し、所定値より大きければステップS310に進む。ステップS310では、制限制御部は、車速情報NVを読み込む。次に、制限制御部は、ステップS310で読み込んだ車速情報NVと制限車速Vmを比較して(ステップS311)、車速情報NVが制限車速Vm以上であれば処理を終了し、車速情報NVが制限車速Vm未満であればステップS313に進む。ステップS313では、制限制御部は、電動機10を界磁強め状態とする指令を行った上で、第1の実施形態の図12又は第2の実施形態の図17に示したステップS103に進む。すなわち、制限制御部がステップS313を行った後は、現在のロータ位相差や予想イナーシャトルクに応じて、トルク指令値又は電動機10の回転数を制限する。
本実施形態によれば、油圧制御部150が軽度のフェール状態であれば、電動機10を界磁強め状態とした上で、この状態が保たれる。
(第4の実施形態)
第4の実施形態の電動機は、第1の実施形態の電動機10と同様である。また、第4の実施形態の電動機の制御装置は、第1の実施形態又は第2の実施形態の電動機の制御装置と比較して、制限制御部の処理が一部異なる。
図21は、第4の実施形態の制限制御部が行う処理を示すフローチャートである。図20に示すように、制限制御部は、第1の実施形態の図12又は第2の実施形態の図17に示すステップS101を行った結果、油圧制御部150がフェール状態と判断されたとき、ステップS401に進む。ステップS401では、制限制御部は、油圧制御部150のモータ153が駆動する対象を主オイルポンプから補助オイルポンプに切り替える。次に、制限制御部は、補助オイルポンプ155への切り替えが終了したか否かを判断し(ステップS403)、切り替えが終了すれば処理を終了し、切り替え中であれば第1の実施形態の図12又は第2の実施形態の図17に示したステップS103に進む。すなわち、制限制御部がステップS403を行った後は、現在のロータ位相差や予想イナーシャトルクに応じて、トルク指令値又は電動機10の回転数を制限する。
本実施形態によれば、油圧制御部150においてオイルポンプの切り替え中は、ロータ位相差を保ったまま電動機10を駆動することができる。
なお、上記説明した実施形態の電動機10はハイブリッド車両や電動車両の駆動源として使用されると説明したが、当該ハイブリッド車両には、もう一つの駆動源として内燃機関が設けられ、内燃機関の駆動に応じて電動機10の回転軸12が回動する構成としても良い。但し、当該車両では、上記説明した電動機10のトルク制限又は回転数制限を行っても、内燃機関の回転によって電動機10は当該制限を越えた状態となり得る。したがって、油圧制御部150がフェール状態となったとき、制限制御部は、内燃機関の回転数も制限する必要がある。
また、第1の実施形態で説明した図10に示す電動機の制御装置又は第2の実施形態で説明した図16に示す電動機の制御装置の他の実施形態として、ロータ位相差検出部117を除いた構成としても良い。但し、当該構成では、回転数算出部103によって算出された角速度ωは、Ke算出部119に送られる。Ke算出部119は、以下の式(2)から誘起電圧定数Keを算出する。
Ke=(Vq−ω・Ld・Id−R・Iq)/ω …(2)
(ω:電動機1の角速度、R:q軸電機子及びd軸電機子の抵抗、Iq:q軸電流、Vq:q軸電機子の端子間電圧、Ld:d軸電機子のインダクタンス、Id:d軸電流)
また、上記説明した電動機の制御装置の他の実施形態として、指令値決定部121,221は、トルク指令値STm,STと、電動機1の回転数Nm,SNmと、蓄電器137のバッテリ電圧Vdcとに基づいて、ロータ位相差の指令値θc_cを決定しても良い。この場合、ロータ位相差制御部123は、指令値決定部121,221から出力されたロータ位相差の指令値θc_cとロータ位相差検出部117によって検出された実際のロータ位相差θsの偏差Δθが減少するよう制御信号を出力し、アクチュエータ125を制御する。
電動機の断面図であり、図2のA−A線矢視断面図に相当する図 図1に示す回転子ユニットを軸方向から見た図 図2に示す回転子ユニットの分解斜視図 図2に示す内周側回転子の分解斜視図 回転子ユニットの強め界磁位相の状態を説明するための要部拡大図 回転子ユニットの弱め界磁位相の状態を説明するための要部拡大図 図2に示すB−B線矢視断面図 誘起電圧定数Keに応じて変化する電動機の回転数及びトルクに応じた運転可能領域を示す図 プラネタリタイプの回動機構を備えた電動機の内部構成を示す図 本発明に係る一実施形態の電動機の制御装置を示すブロック図 電流制御部106の内部構成を示すブロック図 第1の実施形態の制限制御部が行う処理を示すフローチャート 補正係数マップを示す図 トルク指令値フィルタマップを示す図 制限前のトルク指令値STと制限されたトルク指令値STmを示す図 本発明に係る第2の実施形態の電動機の制御装置を示すブロック図 第2の実施形態の制限制御部が行う処理を示すフローチャート 回転数指令値減算量マップを示す図 制限前の電動機の回転数指令値SNと制限された回転数指令値SNmを示す図 第3の実施形態の制限制御部が行う処理を示すフローチャート 第4の実施形態の制限制御部が行う処理を示すフローチャート
符号の説明
10 電動機
11 固定子
12 回転軸
13 位相変更手段
14A 第1ドライブプレート
14B 第1ドライブプレート
20 回転子ユニット
21 外周側回転子
22 内周側回転子
23 ヨーク
24 ヨーク
25A 外周側永久磁石
25B 内周側永久磁石
30,30′ 回動機構
31 ベーンロータ
32 環状ハウジング
51 第1貫通穴
52 第2貫通穴
53 第3貫通穴
61 トルク伝達ピン
62 剥離防止ピン
B1 第1貫通穴の径方向の幅
B2 第1貫通穴の周方向の幅
B3 第3貫通穴の周方向の幅
D トルク伝達ピンの直径
R1 第1リングギア
R2 第2リングギア
71 第1プラネタリギア
72 第2プラネタリギア
73,75 回転軸
74 軸受け
S サンギア
C1 第1プラネタリキャリア
C2 第2プラネタリキャリア
101 レゾルバ
103 回転数算出部
105,205 電流指令算出部
106 電流制御部
125 アクチュエータ
108 吐出圧センサ
117 ロータ位相差検出部
119 Ke算出部
121,221 指令値決定部
123 ロータ位相差制御部
127 各種センサ
129,229 制限制御部
137 蓄電器
107 バンドパスフィルタ(BPF)
109 3相−dp変換部
111 電流FB制御部
113 rθ変換部
115 インバータ(INV)
141 界磁制御部
143 電流制御部
150 油圧制御部
151 主オイルポンプ
153 モータ
155 補助オイルポンプ

Claims (7)

  1. 回転軸の周囲に同心円状に設けられた第1回転子及び第2回転子と、前記第1回転子及び前記第2回転子の周方向の相対変位角を変更する位相変更機構と、を有し、車両の駆動源として設けられた永久磁石界磁型の電動機の制御装置であって、
    前記位相変更機構の駆動を制御する位相変更駆動制御部と、
    前記位相変更駆動制御部の状態を判定する状態判定部と、
    前記第1回転子及び前記第2回転子による合成磁束が所定以上となる前記相対変位角の状態で、前記状態判定部によって前記位相変更駆動制御部が非正常状態と判定されたとき、前記車両の状態及び前記電動機に求められたトルクに基づいて、前記第1回転子又は前記第2回転子に発生するイナーシャトルクを推定するイナーシャトルク推定部と、
    前記イナーシャトルク推定部によって推定された予想イナーシャトルクに応じて、前記電動機の駆動を制限する駆動制限部と、
    を備えたことを特徴とする電動機の制御装置。
  2. 請求項1に記載の電動機の制御装置であって、
    前記駆動制限部は、前記予想イナーシャトルクに応じて、前記電動機に要求するトルクに制限を設けることを特徴とする電動機の制御装置。
  3. 請求項1に記載の電動機の制御装置であって、
    前記駆動制限部は、前記予想イナーシャトルクに応じて、前記電動機に要求する回転数に制限を設けることを特徴とする電動機の制御装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の電動機の制御装置であって、
    前記状態判定部が、前記位相変更駆動制御部の状態を、動作はするが所定の性能を満たさない状態と判定した場合、
    当該制御装置は、前記相対変位角を前記第1回転子及び前記第2回転子の各磁束が強められる角度とする指令を前記電動機に行うことを特徴とする電動機の制御装置。
  5. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の電動機の制御装置であって、
    前記位相変更駆動制御部が非正常状態のとき、前記位相変更駆動制御部の代替手段として利用される補助駆動制御部を備え、
    前記イナーシャトルク推定部及び前記駆動制限部は、前記位相変更機構の駆動を制御する手段が前記位相変更駆動制御部から前記補助駆動制御部に切り替わるまでの間に動作することを特徴とする電動機の制御装置。
  6. 請求項1に記載の電動機の制御装置であって、
    前記車両の状態は、前記車両の速度及び前記車両の傾斜角度を含み、
    前記イナーシャトルク推定部は、前記電動機に求められたトルクに応じた前記電動機の回転数指令値及び前記車両の速度に基づいて決定した値に、前記車両の傾斜及び前記電動機に求められたトルクに基づいて決定した補正係数を積算して得られた値を、前記予想イナーシャトルクとして推定することを特徴とする電動機の制御装置。
  7. 請求項1に記載の電動機の制御装置であって、
    前記駆動制限部は、前記予想イナーシャトルクが所定値よりも大きいとき前記電動機の駆動を制限し、前記予想イナーシャトルクの値が大きいほど前記電動機の駆動に対する制限を大きくすることを特徴とする電動機の制御装置。
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