JP2009267048A - プラズマ処理装置およびそれを用いたプラズマ処理方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】反応室Rと、反応室Rに反応ガスG1を導入するガス導入部1aと、反応室Rから反応ガスG1を排気する排気部6と、反応室R内に対向状に配置されかつ反応ガスG1を介してプラズマ放電させる平板状の第1電極1および第2電極2と、第1電極1または第2電極2を支持または固定して対向方向に移動可能とする移動手段5と、第1電極と第2電極の少なくとも一方を支持または固定する固定片7a、7bとを備え、第1電極1または第2電極2が移動手段5により移動され、かつ第1電極1および第2電極2の周縁部が固定片7a、7bと当接することにより、第1電極1と第2電極2との最小電極間距離が決定されることを特徴とするプラズマ処理装置。
【選択図】図1
Description
プラズマを安定的に発生させるには、基板とそれに対向する電極との間の放電ギャップ長の管理が重要であるため、従来のプラズマ処理装置ではカソード電極とアノード電極が固定されることによって電極間距離(例えば5〜30mm程度)が一定に維持されている。
このスライド式プラズマ処理装置は、メインベース上に下部電極および2本のリニアガイドが取り付けられ、下部電極を跨ぐようにして各リニアガイド上にスライド部材が載置され、下部電極と対向するようにしてスライド部材にボルトにて上部電極が取り付けられ、ボールネジ機構によりスライド部材および上部電極を下部電極に対して水平平行移動させるように構成されている。また、基板の種類や厚さに応じて電極間距離を調整できるように、上部電極は隙間調整用ネジまたはスペーサを有する調整機構を介してスライド部材に取り付けられている。
この昇降式プラズマ装置は、上部電極を上下移動可能に支持する2本のリニアガイドと、上部電極の一端面に連結された可動片と、可動片を介して上部電極を上下移動させるボールネジ機構とを備えている。
また、前記昇降式プラズマ処理装置において、電極間距離はボールネジ機構の移動精度に依存するため、電極間距離が小さい場合には、高精度のボールネジ機構が必要となる。また、電極の放電面積が大きくなった場合、ボールネジ機構を複数ヶ所に設け、それぞれを制御する必要があるため、装置の構成が複雑になるといった問題がある。
かくして、本発明によれば、反応室と、反応室に反応ガスを導入するガス導入部と、反応室から反応ガスを排気する排気部と、反応室内に対向状に配置されかつ反応ガスを介してプラズマ放電させる平板状の第1電極および第2電極と、第1電極または第2電極を支持または固定して対向方向に移動可能とする移動手段と、第1電極と第2電極の少なくとも一方を支持または固定する固定片とを備え、第1電極または第2電極が前記移動手段により移動され、かつ第1電極および第2電極の周縁部が前記固定片と当接することにより、第1電極と第2電極との最小電極間距離が決定されることを特徴とするプラズマ処理装置が提供される。
したがって、第1電極と第2電極との間を最小電極間距離に設定した狭電極間プラズマ処理と、第1電極と第2電極との間を最小電極間距離よりも広い電極間距離に設定した広電極間プラズマ処理とのいずれか一方の処理または任意の順で連続的に両方の処理を行うこと(プラズマ処理方法)が可能となる。さらに、電極間距離を広くすることにより、電極間に被処理物である基板の設置および電極間からの基板の取り出しを容易に行うことができる。
さらに言えば、このプラズマ処理装置は、第1電極と第2電極との間隔を最小電極間距離に設定した状態でのプラズマ処理(狭電極間プラズマ処理工程)と、最小電極間距離よりも広い電極間距離に設定した状態でのプラズマ処理(広電極間プラズマ処理工程)の一方または両方を任意に行うことができることに加え、第1・第2電極を相対的に移動させて電極間を広くすることにより、電極間への基板の搬入、電極間からの基板の搬出、電極放電面のクリーニングを容易とするものである。
また、このプラズマ処理装置は、成膜用とエッチング用の両方に適用可能である。
反応室内で第1電極と第2電極の一方を移動させるため、移動させる電極が給電ケーブル、接地部材またはガス導入管等の接続部材と接続される場合は、接続部材に可撓性を持たせて電極の動きを許容しかつ追随できるようにする必要がある。このような観点から、反応室内に支持手段を設け、支持手段に固定片を取り付ける手法が、チャンバー内壁面と電極周縁部との間の間隔にゆとりを持たせて接続部材が電極の動きを許容しかつ追随できる上で好ましい。この場合、支持手段としては、少なくとも固定片を取り付けるための支柱部材、梁部材、枠部材等の支持部材が反応室内に設けられていればよい。
電極を上下方向または水平方向に移動させる機構としては、例えば、油圧シリンダ機構、ボールネジ機構、これらを動力源として用いたリンク機構等が挙げられ、中でも重量物の昇降を高精度に行うことができる油圧シリンダ機構が好ましい。
以下、本発明に係る上下並列タイプと左右並列タイプのプラズマ処理装置の実施形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。
図1は本発明のプラズマ処理装置の実施形態1を示す正面から見た構成図であり、図2は本発明の実施形態1の一側面から見た内部構成図であり、図3は図2における電極が無い状態の内部構成図であり、図4は本発明の実施形態1の上方から見た内部構成図であり、図5は本発明の実施形態1における固定片と支持片との位置関係を説明する図であり、図6は本発明の実施形態1における第1電極が昇降する状態を示す説明図である。
排気部6としては、真空ポンプ6a、真空ポンプ6aと反応室Rとを接続する排気管6bおよび排気管6bにおける反応室Rと真空ポンプ6aとの間に配置された圧力制御器6cとを備える。
実施形態1の場合、後述する移動手段5によって第1電極1が昇降するため、第1電極1と接続される給電ケーブルe3の少なくとも一部は、第1電極1の昇降動作を許容しかつ追随できるよう可撓性を有している。例えば、チャンバーC1の箱型本体部C1aと第1電極1との間部分の給電ケーブルは、可撓性を有する金属製網部材とすることができる。
なお、実施形態1の場合、第1電極1の給電箇所は、第1電極1の右端面の前後方向中央位置とされている。また、第2電極2の接地箇所は、第2電極2の左端面の前後方向中央の両側位置とされている。
各第1電極1は、内部が空洞であると共に、対となる第2電極2に面するプラズマ放電面には多数の貫通穴が穴明け加工により明けられている。この穴明け加工は、直径0.1mm〜2mmの円形穴を数mm〜数cmピッチで行うのが望ましい。
また、各第1電極1の一端面には、ガス導入部1aとしてのガス導入管が接続されており、図示しないガス供給源とガス導入部1aとは接続パイプにて接続されており、反応ガスG1がガス供給源から第1電極2の内部に供給され、多数の貫通穴から基板S1の表面に向かって噴出するように構成されている。また、上述のように第1電極1が昇降するため、第1電極1と接続されるガス導入管1aの少なくとも一部は、第1電極1の昇降動作を許容しかつ追随できるよう可撓性を有している。例えば、チャンバーC1の箱型本体部C1aと第1電極1との間部分のガス導入管は、可撓性を有するフッ素系樹脂管とすることができる。なお、原料ガスとしては、例えば、H2で希釈したSiH4(モノシラン)ガスが使用される。
また、各第2電極2は、ステンレス鋼、アルミニウム合金、カーボンなどの、導電性および耐熱性を備えた材料で製作されている。
各第2電極2の寸法は、薄膜を形成するための基板S1の寸法に合わせて適当な値に決定されている。例えば、基板S1の寸法900〜1200mm×400〜900mmに対して、第2電極2の寸法を1000〜1500mm×600〜1000mmにして設計される。ただし、後で詳しく説明する支持片5cが下降する際に第2電極2に衝突しないように、第2電極2の左右方向の長さは第1電極1の左右方向の長さよりも短く設定されている(図1および図6参照)。
各第2電極2に内蔵されたヒータは、第2電極2を室温〜300℃に加熱制御するものであり、例えば、アルミニウム合金中にシースヒータなどの密閉型加熱装置と熱電対などの密閉型温度センサとを内蔵したものを用いることができる。
具体的には、各電極1、2の4つの角部付近に配置されるように4本の支持用支柱4aがチャンバーC1の底壁内面に固定されている。そして、4本の支持用支柱4aの上端が四角形の枠体4bにて連結されている。また、各支持用支柱4aの所定高さ位置の2箇所に、第1固定片7aおよび第2固定片7bがそれぞれ内向きに取り付けられている。なお、枠体4bは、4本のストレートな部材を組み合わせてなる。
そのため、本発明では、各放電部3における第1電極(カソード電極)1と第2電極(アノード電極)2との間の電極間距離Aに対して放電部間距離Bが2倍以上(B/A≧2)となるように設定されている。例えば、電極間距離Aは2〜30mmに設定され、放電部間距離Bは4〜60mm以上に設定される。なお、面内における電極間距離Aの精度は、数%以内であることが好ましく、1%以下であること特に好ましい。
各固定片7a、7bは、各固定片7a、7bにて支持された状態の第1電極1または第2電極2から熱が各固定片7a、7bを介して支持用支柱4aへ伝わり難いように、例えば、アルミナ、ジルコニア等の金属酸化物またはセラミック等の絶縁材料、中でも熱伝導率が低いジルコニアが第1電極1または第2電極と支持用支柱4aの間に介在するように構成されていることが好ましい。すなわち、固定片7aの全てが絶縁材料で構成されていても良いが、一部が絶縁材料で構成されていても良い。このように絶縁材料が介在する構成とすれば、各固定片7a、7bにて支持された第1電極1または第2電極の熱が支持用支柱4aへ伝わり難くなり、支持用支柱4aの熱膨張による伸びを抑えることができる。
図7(A)の場合、例えば、支持用支柱4aの所定高さ位置に溶接される金属製受け片7a1と、受け片7a1上に設置される絶縁部材7a2と、受け片7a1および絶縁部材7a2に形成された貫通孔に挿入されるボルト部材(図示省略)と、ボルト部材に螺合して絶縁部材7a2を受け片7a1に締め付けて固定するナット部材(図示省略)とから固定片7aを構成することができる。なお、図7(A)では固定片7aのみを示したが、固定片7bも固定片7aと同様に構成して支持用支柱4aに固定される。
図7(B)の場合、図7(A)で示した第1電極1と当接する絶縁部材7a2上に、耐衝撃性を有する金属材料(例えば鉄クロム系金属)から形成された金属片7a3を載置し、前記ボルト・ナット結合により受け片7a1、絶縁部材7a2および金属片7a3を結合して固定片7aを構成することができる。なお、図7(B)では固定片7aのみを示したが、固定片7bも固定片7aと同様に構成して支持用支柱4aに固定される。
この移動手段5は、所定ストロークの上昇動作によって、第1固定片7a上の第1電極1を第2電極2から離間させ(図6(A)参照)、所定ストロークの下降動作によって、第1電極1を第1固定片7a上に載置する(図6(B)参照)ように構成されている。
図6(B)は、第1固定片7aに第1電極1が当接しかつ第2固定片7bに第2電極2が当接することにより、前記最小電極間距離Aが決定された状態を示している。
また、支持片5cは、上下の放電部3の第1電極1を昇降可能なように、4本の昇降用支柱4aに2つずつ内向きに取り付けられている。また、支持片5cの内側への突出寸法は、支持片5cが下降した際に第2電極2と衝突しない長さに設定されている。このとき、図6(B)に示すように、昇降用支柱5aを下降させて最小電極間距離Aに設定された状態において、各昇降用支柱5aに対応する上下2つの支持片5cは、上下の放電部3の第2電極2の下面よりも僅かに(例えば5mm程度)下方に位置する。
なお、支持片5cを第2電極2の下面よりも下に下降させるのは、電極間のプラズマ放電領域に第1電極を支持していない支持片が存在すると、支持片がプラズマに干渉して放電空間に均一なプラズマを発生できなくなるからである。
連結部5eは、2つの油圧シリンダの伸縮ロッドの先端に固定された連結板5e1と、連結板5e1と4本の昇降用支柱5aの下端とを連結する連結支柱5e2とを備え、昇降駆動部5dの昇降動作を連結板5e1および4本の連結支柱5e2を介して4本の昇降用支柱5aおよびこれらに取り付けられた各支持片5cに同期的に伝達するように構成されている。この際、昇降駆動部5の上昇動作の限界は、上方の枠体5bが支持手段4の上方の枠体4bに当たらない程度とされる。
連結部5eの4本の連結支柱5e2は、チャンバーC1の底壁の4箇所に形成された挿通孔を上下移動可能に挿通しており、さらに、チャンバーC1の底壁には4つの挿通孔と連通して各連結支柱5e2をガイドする筒状のガイド部材5fが取り付けられており、挿通孔と連結支柱5e2の間およびガイド部材5fと連結支柱5e2の間の隙間は耐熱シール材にてシールされている。
支持片5cは、支持片5cにて支持された状態の第1電極1から電流が支持片5cを介して昇降用支柱5aへ流れないように、例えば、アルミナ、ジルコニア等の金属酸化物またはセラミック等の絶縁材料、中でも熱伝導率が低いジルコニアが第1電極1と昇降用支柱5aの間に介在するように構成されていることが好ましい。熱伝導率が低い絶縁材料が介在する構成とすれば、支持片5cにて支持された第1電極1の熱が昇降用支柱5aへ伝わり難くなり、昇降用支柱5aの熱膨張による伸びを抑えることもできる。さらに、少なくとも支持片5cの第1電極1と当接する部分は、耐衝撃性を有する金属材料から形成されることが好ましく、このような金属材料としては、例えば鉄クロム系金属が挙げられる。
図8(A)の場合、例えば、昇降用支柱5aの所定高さ位置に溶接される金属製受け片5c1と、受け片5c1上に設置される絶縁部材5c2と、受け片5c1および絶縁部材5c2に形成された貫通孔に挿入されるボルト部材(図示省略)と、ボルト部材に螺合して絶縁部材5c2を受け片5c1に締め付けて固定するナット部材(図示省略)とから支持片5cを構成することができる。
図8(B)の場合、図8(A)で示した第1電極1と当接する絶縁部材5c2上に、耐衝撃性を有する金属材料(例えば鉄クロム系金属)から形成された金属片5c3を載置し、前記ボルト・ナット結合により受け片5c1、絶縁部材5c2および金属片5c3を結合して支持片5cを構成することができる。
また、図6(A)の状態から、昇降駆動部5dの短縮動作による移動手段5の下降動作によって、最上位置の支持片5cが下降して第1電極1が第1固定片7a上に載置され、これによって最小電極間距離Aが決定され、さらに支持片5cが第2電極2の下面よりも下の最下位置まで下降することによって、狭電極間プラズマ処理が可能となる。
また、図6(A)の状態から、最上位置の支持片5cが下降し、第1電極1が第1固定片7a上に載置される前に支持片5cの下降が停止することにより、あるいは図6(B)の状態から支持片5cが上昇して第1電極1を受け、支持片5cの上昇が最上位置に達する前に停止することにより、最小電極間距離Aよりも広い広電極間距離(例えば15〜30mm程度)が決定され、広電極間プラズマ処理が可能となる。
ここで、「プラズマ処理の目的に応じて」とは、成膜すべき膜の材料、膜の緻密度、基板S1の厚み等に対応するという意味である。
このような結晶を含むシリコン系半導体膜を形成するプラズマCVD工程と、非晶質シリコン系半導体膜を形成するプラズマCVD工程は、いずれか一方の工程のみを行う、あるいは任意の順で両方の工程を連続的に行うことができる。
例えば、膜原料である反応ガスG1を所定の流量および圧力で第1電極1と第2電極2との間隙に充填し、第1電極1と第2電極2とに高周波電力を印加することで、第1電極1と第2電極2との間にグロー放電領域(プラズマ放電領域)を発生させ、基板S1上に非晶質の膜、結晶性の膜またはこれらの積層膜を高精度に効率よく形成することができる。例えば、原料ガスとしてH2で希釈したSiH4ガスを使用して、膜厚300nmのシリコン薄膜を膜厚分布±10%以内で堆積させることができる。
図9は本発明のプラズマ処理装置の実施形態2における第2電極が昇降する状態を示す説明図である。
実施形態2のプラズマ処理装置は、上下並列タイプの成膜用プラズマ処理装置であって、実施形態1で説明した第1電極用固定片と第2電極用固定片が一体状に形成された1つの固定片7からなり、固定片7上に第1電極1が載置され、移動手段4の上昇動作によって第2電極2が固定片7の下面に圧接されることにより、最小電極間距離Aが決定されるように構成されている。
つまり、実施形態2は、固定片7に関する点および第2電極2を移動させる構成に関する点以外は、実施形態1と概ね同様の構成である。なお、図9において、図1〜図8で示した構成要素と同一の構成要素には、同一の符号を付している。
以下、実施形態2の実施形態1とは異なる点を主に説明する。
また、実施形態2における移動手段4の支持片5は、第2電極2を昇降可能に支持するものであり、昇降用支柱5aへの取付位置が異なる以外は実施形態1と同様に構成されている。つまり、図9(B)に示す移動手段4の上昇限界付近のときに、支持片5上の第2電極2の上面が固定片7の下面に圧接するように、支持片5cは昇降用支柱5aに取り付けられている。なお、この場合も、支持片5cおよび固定片7は絶縁部材からなる絶縁部材を有して構成されている。
また、図9(A)の状態から、移動手段5の下降動作によって、第2電極2が第1電極1から離間して電極間距離を広くすることができ、第2電極2上に基板S1を容易に設置する、あるいは第2電極2上から基板S1を容易に取り出すことができる。
また、図9(B)の状態から、支持片5cが所定距離だけ下降して最下位置に達する前に停止する、あるいは図9(A)の状態から支持片5cが所定距離だけ上昇して第2電極2が固定片7に当接する前に停止することにより、最小電極間距離Aよりも広い広電極間距離が決定され、広電極間プラズマ処理が可能となる。
なお、実施形態2の場合、プラズマ処理工程の間、昇降駆動部5dによって支持片5c上に支持された第2電極2を固定片7へ継続的に圧接させていれば、実施形態1のような熱による部材の伸びによって生じる電極間距離の変動の心配はない。
図10は本発明のプラズマ処理装置の実施形態3を示す正面から見た構成図である。
この実施形態3のプラズマ処理装置は、上下並列タイプのエッチング用プラズマ処理装置であり、アノード電極である第1電極1が接地され、カソード電極である第2電極2が電源部Eと接続されていること以外は、概ね実施形態1と同様に構成されている。図10では図示されていないが、第1電極1の左端面は、実施形態1における第2電極2を接地させる接地部材8と接続されている(図1および図4参照)。
この場合、第1電極1が昇降するため、実施形態1と同様に第1電極1と接続するガス導入部1aとしてのガス導入管は可撓性を有することに加え、第1電極1と接続される接地部材8も可撓性を有している。
なお、図10において、図1〜図8で示した構成要素と同一の構成要素には、同一の符号を付している。
この際、エッチングに最適な電極間距離は、通常、成膜時の最小電極間距離Aよりも広いため、例えば、広電極間距離を15〜30mmに設定した広電極間プラズマエッチング処理が適切である。なお、最小電極間距離Aに設定した狭電極間プラズマエッチング処理も可能であるが、電極間距離が狭くなるため、反応室R内の圧力をエッチングに最適な圧力まで高める必要がある。
図示しない実施形態4は、実施形態3と同様に上下並列タイプのエッチング用プラズマ処理装置であって、実施形態2のように第1電極用固定片と第2電極用固定片が一体状に形成された1つの固定片からなり、固定片上に第1電極が載置され、移動手段の上昇動作によって第2電極が固定片の下面に圧接されることにより最小電極間距離Aが決定されると共に、最小電極間距離Aよりも広い広電極間距離に設定可能に構成されている(図9参照)。
図11は本発明のプラズマ処理装置の実施形態5を示す正面から見た構成図であり、図12は本発明の実施形態5の一側面から見た内部構成図であり、図13は本発明の実施形態5の上方から見た内部構成図であり、図14は本発明の実施形態5における第1電極が水平方向に移動する状態を示す説明図である。なお、図11〜図14において、図1〜図8で示した構成要素と同様の構成要素には、同一の符号を付している。
また、実施形態5では、第2電極12の放電面に被処理物である基板S1(図14参照)が設置され、放電部13が左右2列で反応室内Rに配置された場合を例示しているが、放電部13の数は2つに限定されるものではなく、1つまたは3つ以上でも本発明は適用可能である。
以下、実施形態5の実施形態1とは異なる点を主に説明する。
各梁部材14aの左端部はチャンバーC2の左内壁面に固定され、下方の2本の梁部材14aは支持台14cに固定され、各支持部材14はチャンバーC2に固定されている。
固定片17は、左右2列の放電部3における第2電極12を第2部分17bにて保持し、かつ第2電極12の放電面に当接させた状態で基板S1を第1部分17aで保持し、かつ第1電極11と第2電極12との間の最小電極間距離Aを第1部分17aにて決定する。
1つの第2電極12を垂直状に保持するために、4つの固定片17がそれぞれ4本の梁部材14aに固定されている。また、1つの第2電極12を保持する4つの固定片17と、他の第2電極12を保持する4つの固定片17との間は、最小電極間距離Aにセットされた2つの放電部13の間の放電部間距離Bが最小電極間距離Aの2倍以上(B/A≧2)となる間隔に設定されている。
1つの第1電極11を垂直状に保持するために、4つの可動片15cがそれぞれ4本の梁部材15aに固定されている。また、1つの第1電極11を保持する4つの可動片15cと、他の第1電極11を保持する4つの可動片15cとの間は、2つの放電部13の間が同時に最小電極間距離Aにセット可能な間隔に設定されている。
連結部15gは、2つの油圧シリンダの伸縮ロッドの先端に固定された連結板15g1と、連結板15g1と4本の梁部材15aの左端とを連結する連結部材15g2とを備え、往復駆動部15fの左右水平方向の動作を連結板15g1および4本の連結部材15g2を介して4本の梁部材15aおよびこれらに取り付けられた各可動片15cに同期的に伝達するように構成されている。
連結部15gの4本の連結部材15g2は、チャンバーC2の左側壁の4箇所に形成された挿通孔を左右方向に移動可能に挿通しており、さらに、チャンバーC2の左側壁には4つの挿通孔と連通して各連結部材15g2をガイドする筒状のガイド部材15hが取り付けられており、挿通孔と連結部材15g2の間およびガイド部材15hと連結部材15g2の間の隙間は耐熱シール材にてシールされている。
ガス導入部(ガス導入管)11aは、各第1電極11の上端に接続されている。
また、電源部Eは、実施形態1と同様の構成である。
実施形態5では、移動手段15によって第1電極11が左右方向に移動するため、第1電極1と接続されるガス導入部11aおよび給電ケーブルe3の少なくとも一部は、第1電極11の移動を許容しかつ追随できるよう可撓性を有している。
なお、実施形態5の場合、第1電極11の給電箇所は、第1電極11の下端面の前後方向中央位置とされている。また、第2電極12の接地箇所は、第2電極12の上端面の前後方向中央の両側位置とされている。
また、図14(A)の状態から、移動手段15の右方向への水平動作によって、第1電極11が第2電極12から離間して電極間距離を広くすることができ、第2電極12に沿って基板S1を容易に設置する、あるいは第2電極12から基板S1を容易に取り出すことができる。
また、図14(B)の状態から、可動片15cが所定距離だけ右方向へ移動する、あるいは図14(A)の状態から可動片15cが所定距離だけ左方向へ移動して第1電極11が固定片17に当接する前に停止することにより、最小電極間距離Aよりも広い広電極間距離が決定され、広電極間プラズマ処理が可能となる。
梁部材15aおよび連結部材15g2の材料は、導電性と絶縁性のどちらでもよいが、加工性および耐熱性の観点から、例えば、ステンレス、あるいはアルミ合金の金属材料が好ましい。
可動片15cは、可動片15cにて支持された状態の第1電極11から電流が可動片15cを介して梁部材15aへ流れないように、例えば、アルミナ、ジルコニア等の金属酸化物またはセラミック等の絶縁材料、中でも熱伝導率が低いジルコニアが第1電極11と梁部材15aの間に介在するように構成されていることが好ましい。熱伝導率が低い絶縁材料が介在する構成とすれば、可動片15cにて支持された第1電極11の熱が梁部材15aへ伝わり難くなり、梁部材15aの熱膨張による伸びを抑えることもできる。さらに、少なくとも可動片15cの第1電極1と当接する部分は、耐衝撃性を有する金属材料から形成されることが好ましく、このような金属材料としては、例えば鉄クロム系金属が挙げられる。
なお、実施形態5の場合、プラズマ処理工程の間、往復駆動部15fによって可動片15cにて保持された第1電極11を固定片17へ継続的に圧接させていれば、実施形態1のような熱による部材の伸びによって生じる電極間距離の変動の心配はない。
また、実施形態5では、移動構造体の下部の梁部材15aにローラ15eを設けて支持ガイドレール15d上を走行させる構成を例示したが、支持ガイドレール15dに複数のローラを設けて梁部材15aを走行させるようにしてもよい。
図15は本発明のプラズマ処理装置の実施形態6を示す正面から見た構成図である。
この実施形態6のプラズマ処理装置は、左右並列タイプのエッチング用プラズマ処理装置であり、アノード電極である第1電極11が接地され、カソード電極である第2電極12が電源部Eと接続されていること以外は、概ね実施形態5と同様に構成されている。図15では図示されていないが、第1電極11の上端面は、実施形態5における第2電極12を接地させる接地部材8と接続されている(図12参照)。
この場合も、第1電極11が左右方向へ水平移動するため、実施形態5と同様に第1電極11と接続するガス導入部11aとしてのガス導入管は可撓性を有することに加え、第1電極11と接続される接地部材8も可撓性を有している。例えば、チャンバーC1の箱型本体部C1aと第1電極1とを接続する接地部材8は、可撓性を有する金属製網部材とすることができる。
なお、図15において、図11〜図14で示した構成要素と同一の構成要素には、同一の符号を付している。
なお、この場合も、エッチングに最適な電極間距離は、通常、成膜時の最小電極間距離Aよりも広いため、例えば、広電極間距離を15〜30mmに設定した広電極間プラズマエッチング処理が適切である。なお、最小電極間距離Aに設定した狭電極間プラズマエッチング処理も可能であるが、電極間距離が狭くなるため、反応室R内の圧力をエッチングに最適な圧力まで高める必要がある。
1a、11a ガス導入部(ガス導入管)
2、12 第2電極
3、13 放電部
4、14 支持手段
4a 支持用支柱
4b 枠体
5、15 移動手段
5a 昇降用支柱
5b 枠体
5d、15f 昇降駆動部
5e、15g 連結部
6 排気部
7、17 固定片
7a 第1電極用固定片
7b 第2電極用固定片
8 接地部材
A 最小電極間距離
B 放電部間距離
C1、C2 チャンバー
E 電源部
G1、G2 反応ガス
R 反応室
S1、S2 基板
Claims (16)
- 反応室と、反応室に反応ガスを導入するガス導入部と、反応室から反応ガスを排気する排気部と、反応室内に対向状に配置されかつ反応ガスを介してプラズマ放電させる平板状の第1電極および第2電極と、第1電極または第2電極を支持または固定して対向方向に移動可能とする移動手段と、第1電極と第2電極の少なくとも一方を支持または固定する固定片とを備え、
第1電極または第2電極が前記移動手段により移動され、かつ第1電極および第2電極の周縁部が前記固定片と当接することにより、第1電極と第2電極との最小電極間距離が決定されることを特徴とするプラズマ処理装置。 - 前記第1電極および第2電極の少なくとも一方を水平状に支持する支持手段をさらに備え、
前記支持手段は、反応室内に所定高さ位置で配置され第1電極における周縁部の下面に当接して第1電極を所定位置に位置決めする第1電極用固定片と、該第1電極用固定片の下方に配置されかつ第2電極における周縁部の下面または上面に当接して第2電極を所定位置に位置決めする第2電極用固定片とを備え、
前記移動手段は、第1電極または第2電極の周縁部の下面を水平状に支持可能な支持片を備え、前記移動手段の上昇動作によって、前記第1電極用固定片上の第1電極を第2電極から離間させるまたは第2電極を前記第2電極用固定片の下面に圧接した状態で支持し、移動手段の下降動作によって、第1電極を第1電極用固定片上に載置するまたは第2電極用固定片に圧接されている第2電極を第1電極から離間させ、第1電極用固定片に第1電極が当接しかつ第2電極用固定片に第2電極が当接することにより、前記最小電極間距離が決定される請求項1に記載のプラズマ処理装置。 - 前記支持手段が、反応室内における第1電極および第2電極の周囲に配置された複数本の支持用支柱をさらに備え、各支持用支柱に前記固定片が取り付けられている請求項2に記載のプラズマ処理装置。
- 前記移動手段が、反応室内における第1電極および第2電極の周囲に配置された複数本の昇降用支柱と、複数本の昇降用支柱を連結する枠体と、前記固定片と干渉しないように前記昇降用支柱または前記枠体に取り付けられた複数の支持片と、昇降駆動部と、前記昇降駆動部と前記昇降用支柱または前記枠体とを連結し前記昇降駆動部の昇降動作を伝達する連結部とを備える請求項3に記載のプラズマ処理装置。
- 前記支持片は、少なくとも絶縁材料からなる絶縁部材を有して構成されている請求項4に記載のプラズマ処理装置。
- 前記支持手段が、各支持用支柱に固定片を上下複数段で有し、
前記上下複数段の固定片に対応して上下複数段で第1電極および第2電極がそれぞれ設けられ、
前記移動手段が、上下複数段の第1電極または第2電極に対応する前記支持片を上下複数段で有している請求項4または5に記載のプラズマ処理装置。 - 前記支持用支柱と前記昇降用支柱とが同じ材料にて形成されている請求項4〜6のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置。
- 前記第1電極と第2電極の間のプラズマ放電領域から前記支持用支柱までの距離と、前記プラズマ放電領域から前記昇降用支柱までの距離が同じである請求項7に記載のプラズマ処理装置。
- 前記移動手段は、上昇動作によって、支持片にて第1電極を持ち上げて第2電極から離間させ、下降動作によって、支持片上の第1電極を第1電極用固定片上に載置した後、支持片を第2電極の上面よりも下に下降させるように構成された請求項2〜8のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置。
- 前記第1電極用固定片と第2電極用固定片が一体状に形成された1つの固定片からなり、
前記固定片上に第1電極が載置され、移動手段の上昇動作によって第2電極が固定片の下面に圧接されることにより、前記最小電極間距離が決定される請求項2〜8のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置。 - 前記第1電極がカソード電極であり、前記第2電極がアノード電極であり、前記移動手段によってアノード電極を移動させる請求項1〜10のいずれか1つプラズマ処理装置。
- 前記第1電極がアノード電極であり、前記第2電極がカソード電極であり、前記移動手段によってカソード電極を移動させる請求項1〜10のいずれか1つプラズマ処理装置。
- 請求項1に記載のプラズマ処理装置を用いて前記第1電極または第2電極に設置された基板の表面をプラズマ処理する方法であって、
プラズマ処理の目的に応じて、前記移動手段の動作によって、第1電極と第2電極の間を前記最小電極間距離に調整した後、第1電極と第2電極の間に反応ガスを介してプラズマ放電させる狭電極間プラズマ処理工程と、第1電極と第2電極の間を前記最小電極間距離よりも広い広電極間距離に調整した後、第1電極と第2電極の間に反応ガスを介してプラズマ放電させる広電極間プラズマ処理工程のいずれか一方を行うか、或いは前記狭電極間プラズマ処理工程と前記広電極間プラズマ処理工程を任意の順で連続的に行うプラズマ処理方法。 - 前記プラズマ処理装置が、第1電極および第2電極を水平対向状に支持する支持手段をさらに備え、
前記支持手段は、反応室内に所定高さ位置で配置され第1電極における周縁部の下面に当接して第1電極を所定位置に支持する第1電極用固定片と、該第1片の下方に配置されかつ第2電極における周縁部の下面または上面に当接して第2電極を所定位置に支持または位置決めする第2電極用固定片とを備え、
前記最小電極間距離の調整が、移動手段の上昇動作によって第2電極を前記第2電極用固定片の下面に圧接した状態で支持する、あるいは移動手段の下降動作によって第1電極を前記第1電極用固定片上に載置して、第1電極用固定片に第1電極を当接させかつ第2電極用固定片に第2電極を当接させることにより行われ、
前記広電極間距離の調整が、移動手段の上昇動作によって、第1電極用固定片上の第1電極を第2電極用固定片上の第2電極から離間させるまたは第2電極を第1電極用固定片上の第1電極に接近させる、あるいは昇降手段の下降動作によって、第2電極用固定片に圧接されている第2電極を第1電極用固定片上の第1電極から離間させるまたは第1電極を第2電極用固定片上の第2電極に接近させることにより行われる請求項13に記載のプラズマ処理方法。 - 前記移動手段は、第1電極または第2電極の周縁部の下面を支持する支持片を備え、
前記最小電極間距離の調整が、第1電極を支持する前記支持片が下降することにより第1電極が第1電極用固定片上に載置された後、支持片が第2電極よりも下方まで下降して停止することにより行われる請求項14に記載のプラズマ処理方法。 - 前記狭電極間プラズマ処理工程は基板の表面に結晶を含むシリコン系半導体膜を形成するプラズマCVD工程であり、前記広電極間プラズマ処理工程は基板の表面に非晶質シリコン系半導体膜を形成するプラズマCVD工程である請求項13〜15のいずれか1つに記載のプラズマ処理方法。
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