JP2004149917A - 薄膜製造装置およびその装置を用いた薄膜製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】薄膜製造装置は、反応室と、反応室内に反応ガスを導入するガス導入部と、反応室内の反応ガスを排気する排気部と、反応室内に設けられる平板状の第1および第2電極と、第1および第2電極を平行にそれぞれ支持する第1および第2支持体と、第1および第2電極の間に高周波電力を印加する高周波電源部と、第1および第2電極の一方を加熱する加熱部とを備え、加熱される電極に成膜されるべき基板が搭載され、第1および第2電極の少なくとも一方が熱膨張方向に移動可能に支持される。
【選択図】図1
Description
また、カソード電極は中空でアノード電極との対向面に多数の孔を有し、ガス導入部から供給されたガスを前記孔を介して噴出する。
そして、アノード電極とカソード電極は、それらの間の対向間隔を精密に維持するため反応容器に確実に固定される。
この際、アノード電極およびカソード電極は熱膨張して変形し、それらの対向間隔に狂いが生じる。
アノード電極とカソード電極の間の対向間隔に狂いが生じると、所望の装置性能が得られなくなり、膜厚分布などの面で悪影響が生じる。
また、第1および第2電極の少なくとも一方が熱膨張方向に移動可能に支持されるので、装置のメンテナンスを行う際に電極を装置から外し易くなり、プラズマCVD装置の整備性が向上する。
シリコン系薄膜としては、例えば、シリコンを主成分とする結晶質から非晶質までの薄膜を挙げることができ、反応ガスとしてはシリコン元素を含有するガスを用いることができる。
具体的には、反応ガスとしてシラン(SiH4)、ジシラン(Si2H6)などを用いることができ、これらのシラン、ジシランを水素(H2)やヘリウム(He)などで希釈してもよい。
炭化ケイ素膜を製造する場合には、反応ガスとしてシリコン元素を含有するガスの他に炭素元素を含有するCH4、C2H6などのガスを同時に導入する。
窒化ケイ素膜を製造する場合には、反応ガスとしてシリコン元素を含有するガスの他に窒素元素を含有するNH3、NOなどのガスを同時に導入する。
酸化ケイ素膜を製造する場合には、反応ガスとしてシリコン元素を含有するガスの他に酸素元素を含有するNO、CO2などのガスを同時に導入する。
SiGe膜を製造する場合には、反応ガスとしてシリコン元素を含有するガスの他にゲルマニウム元素を含有するGeH4などのガスを同時に導入する。
さらに、これらシリコン系薄膜には導電性を制御するために不純物を導入させてもよく、n型とする場合にはPH3など、p型とする場合にはB2H6などの不純物元素を含有するガスを同時に導入する。
このような反応室は、例えば、ステンレス鋼、アルミ合金などで製作することができ、2以上の部材で構成する場合には嵌合部にOリングなどを用いて完全に密閉できる構造とすることが好ましい。
また、この発明による薄膜製造装置において、排気部としては、例えば、真空ポンプ、反応室と真空ポンプを接続する排気管、排気管の途中に設けられた圧力制御器などで構成されたものを用いることができる。
また、この発明による薄膜製造装置において、高周波電源部としては、例えば、プラズマ励起電源とインピーダンス整合器などで構成されたものを用いることができる。
また、この発明による薄膜製造装置において、加熱部は基板が搭載される電極を加熱するために設けられる。加熱部としては、例えば、シースヒーターを用いることができ、これは第1または第2電極に内蔵して用いられてもよい。
第1電極は、例えば、ヒーターを内蔵したアノード電極であってもよく、また第2電極は、例えば、中空で第1電極との対向面に多数の孔を有するカソード電極であってもよい。
また、この発明による薄膜製造装置において、第1および第2電極の少なくとも一方はその一部が対応する支持体に固定され、かつ、他の部分が熱膨張方向に移動可能に支持されることが好ましい。
このような構成によれば、第1および第2電極を対応する支持体上にそれぞれ設置する際に、第1および第2電極の少なくとも一方は、対応する支持体に対する固定位置が自ずと定められ、位置決めを容易に行うことができる。
また、その電極は、支持体へ固定される部分が一部に限られるため、加熱時の熱膨張方向への移動は妨げられない。
なお、第1および第2電極の少なくとも一方を対応する支持体に固定する方法としては、例えば、ネジ止めが挙げられる。また、他の方法としては、対応する支持体と電極にボス(突起)と貫通孔をそれぞれ形成し、支持体のボスを電極の貫通孔に挿入する方法が挙げられる。
このような構成において、第1および第2支持体は、対応する電極の縁をゆるく係止する複数の係止部をそれぞれ有し、各係止部は対応する電極の縁と水平方向に隙間を有する係止片と、電極の下面を支持する支持片とからなっていてもよい。
例えば、第1および第2電極がほぼ方形である場合、第1および第2支持体の各々は対応する電極の4隅を支持する4つの係止部からなっていてもよい。
このように、第1および第2支持体がそれぞれ4つの係止部からなる場合、第2支持体を構成する4つの係止部は反応室の底面から垂直に延びる4本の支柱の上端にそれぞれ固定されていてもよい。
このように、第1および第2支持体の形状・形態は、第1および第2電極を平行に支持でき、かつ、第1および第2電極の少なくとも一方を熱膨張方向に移動可能に支持できればどのような形状・形態であってもよく特に限定されるものではない。
ここで、第1および第2支持体を構成する絶縁物としては、例えば、ガラス、アルミナまたはジルコニアなどの絶縁性・断熱性に優れた耐熱材料を挙げることができる。
これらの耐熱材料で第1および第2支持体を構成すると、第1および第2電極を反応容器と電気的に絶縁できるだけでなく、第1または第2電極が加熱されたときに反応室への熱伝導を最小限に抑制できるようになる。
この結果、従来のプラズマCVD装置において、反応室を冷却する目的で反応室の周囲に配設されていた冷却水管などの冷却装置を省略できるようになる。
また、複数対の第1および第2電極を備える上記薄膜製造装置において、第1および第2電極の各対の少なくとも一方はその一部が対応する支持体に固定され、かつ、他の部分が熱膨張方向に移動可能に支持されてもよい。
また、複数対の第1および第2電極を備える上記薄膜製造装置において、複数対の第1および第2電極は重力方向に対して直交するように水平に支持されてもよい。
また、この発明は更に別の観点からみると、複数対の第1および第2電極を備えるこの発明による上記薄膜製造装置を用い、成膜すべき各基板を各対の加熱される電極に載置し、反応室内に反応ガスを供給し、第1および第2電極の各対の間に高周波電力を印加して各基板上に薄膜を形成する薄膜製造方法を提供するものでもある。
チャンバー31には、排気管20、圧力制御器22および真空ポンプ21からなる排気部29が接続され、チャンバー31内を任意の真空度に制御できるように構成されている。
アノード電極4の寸法は成膜すべき基板1の寸法に応じた適切な寸法に設定する。実施例1では、基板1の寸法を900×550mm〜1200×750mmと設定し、これに対するアノード電極4の寸法を1000×600mm〜1200×800mmと設定する。
アノード電極4は、シースヒーター24を内蔵し、熱電対25などの密閉型温度センサーを使用して室温〜600℃の範囲で温度制御できるように構成されている。
係止部6は、アノード電極4からの熱伝導によるチャンバー31の熱上昇を抑えるため、ガラス、アルミナまたはジルコニアなどの熱伝導率の小さな材料で製作されることが望ましく、実施例1ではジルコニアを用いる。
また、アノード電極4からチャンバー31への熱伝導をさらに抑制するため、各係止部6のアノード電極4との接触面には深さ1〜5mmの掘り込みが数カ所にわたって設けられ、係止部6の強度を損なうことなく接触面積を減少させている。
係止片6aは、加熱によるアノード電極4の熱膨張を勘案したうえで、アノード電極4の縁と各係止片6aとの間に適当な隙間が生じるような寸法と位置で形成される。実施例1では、図2に示されるように、室温状態における熱膨張前のアノード電極4の縁と各係止片6aとの間の隙間D2を5mmに設定する。
なお、アノード電極4とチャンバー31とは接地線26によって電気的に接続されている。接地線26は幅10〜35mm、厚さ0.5〜3mmのアルミ板で製作され、アノード電極4の4隅に取り付けられている。
カソード電極34の内部は中空であり、ガス導入部28と反応性ガス配管23によって接続されている。ガス導入部28から反応性ガス配管23を通じてカソード電極34内へ導入された反応性ガスは、カソード電極34のシャワープレート2に形成された複数の孔からシャワー状に導出される。
図1および図5に示されるように、カソード34は、その4隅が4つの係止部5上にそれぞれ載置されている。4つの係止部5は第2支持体を構成する。
各係止部5はチャンバー31の底面から垂直に延びる4本の支柱8の上端近傍にそれぞれ固定されている。また4本の支柱8を補強するために、それらの上端には天板9が取り付けられる。
天板9はステンレス鋼、アルミ合金などで製作でき、実施例1ではアルミ合金を用いる。
この接触面積もまた、係止部6と同様に、カソード電極34が撓まないようにすることを考慮して設定される。
係止片5aは、アノード電極4からの輻射熱を受けて加熱されるカソード電極34の熱膨張を勘案したうえで、カソード電極34の縁と各係止片5aとの間に適当な隙間が生じるような寸法と位置で形成される。実施例1では、室温状態における熱膨張前のカソード電極34の縁と各係止片5aとの間の隙間D3を5mmに設定する。
つまり、実施例1では、アノード電極4とカソード電極34の両方が、熱膨張方向に移動可能となるように支持されるので、アノード電極4およびカソード電極34の熱膨張は、いずれも係止部6,5の支持片6b,5b上で生じる摺動によって逃がされ、アノード電極4とカソード電極34との対向間隔に狂いが生じず、設計通りの間隔精度が維持される。
また、上述の通り、アノード電極4およびカソード電極34は、いずれもネジ止めなどの固定がなされないため、装置のメンテナンスの際に容易に取り外すことができ、装置の整備性に優れている。
アノード電極4とカソード電極34との対向間隔の公差(間隔精度)は、設定値の数%以内であることが望ましく、実施例1では1%以内に収められる。
具体的には1段目のカソード電極34の上に2段目のアノード電極4を載置するための係止部6を設け、2組のアノード電極4およびカソード電極34を上下に重ねている。
なお、チャンバー31、ガス導入部28、排気部29、高周波電源部30、各アノード電極4、各カソード電極34、各第1支持体6および各第2支持体5など各部の構成については実施例1と同じである。
そして、固定用係止部306,305に立設されたボス306a,305aをアノード電極304およびカソード電極334の孔304a,334aにそれぞれ嵌め込むことにより、アノード電極304およびカソード電極334は固定用係止部306,305に対して着脱可能に固定される。
また、アノード電極304およびカソード電極334は、1つの隅のみが固定用係止部306,305に固定されるので、他の3つの隅は熱膨張方向への移動が妨げられない。
従って、実施例1と同様に、アノード電極304とカソード電極334が加熱されて膨張しても、アノード電極304とカソード電極334の対向間隔は精度よく維持される。
また、図示はしないが、この実施例3においても、上述の実施例2と同様に1つのチャンバー内に複数対のアノード電極およびカソード電極と、複数対の係止部を設けることにより多段構成とすることができる。
2・・・シャワープレート
3・・・裏板
4,304・・・アノード電極
5,6・・・係止部
5a,6a・・・係止片
5b,6b・・・支持片
8・・・支柱
9・・・天板
10・・・扉部
11・・・本体部
12・・・プラズマ励起電源
13・・・インピーダンス整合器
20・・・排気管
21・・・真空ポンプ
22・・・圧力制御器
23・・・反応性ガス配管
24・・・シースヒーター
25・・・熱電対
26・・・接地線
27・・・電力導入端子
28・・・ガス導入部
29・・・排気部
30・・・高周波電源部
31・・・チャンバー
34,334・・・カソード電極
304a,334a・・・孔
305,306・・・固定用係止部
305a,306a・・・ボス
D1・・・チャンバーとアノード電極の下面との間の間隙
D2・・・アノード電極の縁と係止部の係止片との間の隙間
D3・・・カソード電極の縁と係止部の係止片との間の隙間
D4・・・アノード電極とカソード電極との対向間隔
Claims (14)
- 反応室と、反応室内に反応ガスを導入するガス導入部と、反応室内の反応ガスを排気する排気部と、反応室内に設けられる平板状の第1および第2電極と、第1および第2電極を平行にそれぞれ支持する第1および第2支持体と、第1および第2電極の間に高周波電力を印加する高周波電源部と、第1および第2電極の一方を加熱する加熱部とを備え、加熱される電極に成膜されるべき基板が搭載され、第1および第2電極の少なくとも一方は対応する支持体によって熱膨張方向に移動可能に支持される薄膜製造装置。
- 第1および第2電極の少なくとも一方はその一部が対応する支持体に固定される請求項1に記載の薄膜製造装置。
- 第1および第2電極の少なくとも一方はその一部が対応する支持体に固定され、かつ、他の部分が熱膨張方向に移動可能に支持される請求項1に記載の薄膜製造装置。
- 第1および第2電極は重力方向に対して直交するように水平に支持される請求項1〜3のいずれか1つに記載の薄膜製造装置。
- 第1および第2支持体は、対応する電極の縁をゆるく係止する複数の係止部をそれぞれ有し、各係止部は対応する電極の縁と水平方向に隙間を有する係止片と、電極の下面を支持する支持片とからなる請求項4に記載の薄膜製造装置。
- 第1および第2電極はほぼ方形であって、第1および第2支持体の各々は対応する電極の4隅を支持する4つの係止部からなる請求項4に記載の薄膜製造装置。
- 第1および第2支持体は絶縁物で構成される請求項1〜6のいずれか1つに記載の薄膜製造装置。
- 絶縁物がガラス、アルミナまたはジルコニアからなる請求項7に記載の薄膜製造装置。
- 反応室と、反応室内に反応ガスを導入するガス導入部と、反応室内の反応ガスを排気する排気部と、反応室内に設けられる複数対の平板状の第1および第2電極と、第1および第2電極の各対を平行にそれぞれ支持する第1および第2支持体と、第1および第2電極の各対の間に高周波電力を印加する高周波電源部と、各対における第1および第2電極の一方を加熱する加熱部とを備え、成膜されるべき各基板が各対の加熱される電極に搭載され、第1および第2電極の各対は少なくとも一方が熱膨張方向に移動可能に支持される薄膜製造装置。
- 第1および第2電極の各対の少なくとも一方はその一部が対応する支持体に固定される請求項9に記載の薄膜製造装置。
- 第1および第2電極の各対の少なくとも一方はその一部が対応する支持体に固定され、かつ、他の部分が熱膨張方向に移動可能に支持される請求項9に記載の薄膜製造装置。
- 複数対の第1および第2電極は重力方向に対して直交するように水平に支持される請求項9〜11のいずれか1つに記載の薄膜製造装置。
- 請求項1〜8のいずれか1つに記載の薄膜製造装置を用い、成膜すべき基板を加熱される電極に載置し、反応室内に反応ガスを供給し、第1および第2電極間に高周波電力を印加して基板上に薄膜を形成する薄膜製造方法。
- 請求項9〜12のいずれか1つに記載の薄膜製造装置を用い、成膜すべき各基板を各対の加熱される電極に載置し、反応室内に反応ガスを供給し、第1および第2電極の各対の間に高周波電力を印加して各基板上に薄膜を形成する薄膜製造方法。
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