以下、本発明の一実施形態について説明する。図1は、光ディスクDKに記録されたディジタルデータを再生した際におけるアナログ再生信号(SUM信号)を評価することによって光ディスクDKを検査する光ディスク検査装置の全体概略図である。この装置は、光ディスクDKを回転駆動する駆動装置10と、光ディスクDKにレーザ光を照射するとともに同照射による光ディスクDKからの反射光を受光する光ピックアップ装置30とを備えている。
駆動装置10は、光ディスクDKを回転駆動するためのスピンドルモータ11及び光ディスクDKを径方向に移動させるフィードモータ12を備えている。スピンドルモータ11の回転軸11bにはターンテーブル13が固定されており、同ターンテーブル13上に光ディスクDKが着脱可能に組み付けられるようになっている。
スピンドルモータ11内には、スピンドルモータ11の回転すなわちターンテーブル13(光ディスクDK)の回転を検出して、同回転を表す回転検出信号を出力するエンコーダ11aが組み込まれている。この回転検出信号は、ターンテーブル13(光ディスクDK)の回転位置が一つの基準回転位置に来るごとに発生されるインデックス信号Indexと、所定の微小な回転角度ずつハイレベルとローレベルを繰返すパルス列信号からなるとともに互いにπ/2だけ位相のずれたA相信号φA及びB相信号φBとからなる。インデックス信号Index、A相信号φA及びB相信号φBはカウント回路21に供給され、A相信号φA及びB相信号φBはスピンドルモータ制御回路22にも供給される。
カウント回路21は、後述するコントローラ70によって指示されて、ターンテーブル13(光ディスクDK)の基準回転位置に対する回転位置(すなわち、ターンテーブル13を固定して見た場合、光ディスクDK上にレーザ光照射により形成される光スポットの基準回転位置に対する回転位置)を検出する。カウント回路21は、インデックス信号Indexによりリセットされるとともに、A相信号φA及びB相信号φBによって規定される光ディスクDKの回転方向に応じて正方向又は負方向にA相信号φA又はB相信号φBをカウントして、カウント値CNTをコントローラ70に出力する。したがって、カウント回路21から出力されるカウント値CNTは、光ディスクDKの基準回転位置からの回転角0〜2πを表す。ただし、この基準回転位置は、光ディスクDKのターンテーブル13への載置の仕方に依存して変化するもので、光ディスクDKの固定的な基準位置(例えば、データの開始記録位置など)に対応するものではない。
スピンドルモータ制御回路22は、コントローラ70により指示されて、コントローラ70によって指定された回転速度又はコントローラ70によって指定された線速度で、光スポットが光ディスクDK上を移動するようにスピンドルモータ11の回転を制御する。すなわち、ウォブル信号が与えられない状態では、スピンドルモータ制御回路22は、エンコーダ11aから供給されるA相信号φA及びB相信号φBを用いて、コントローラ70によって指定された回転速度で光ディスクDKが回転するようにスピンドルモータ11の回転を制御する。具体的には、パルス列信号であるA相信号φA又はB相信号φBの単位時間当たりのカウント数がコントローラ70によって指定された回転速度における単位時間当たりのカウント数に一致するように、スピンドルモータ11の回転を制御する。また、ウォブル信号が与えられれば、同ウォブル信号を用いて、光ディスクDK上の光スポットが線速度一定で同光ディスクDKに対して移動するように、スピンドルモータ11の回転速度を制御する。具体的には、ウォブル信号から生成したパルス列信号の単位時間当たりのカウント数がコントローラ70によって指定された線速度における単位時間当たりのカウント数と一致するように、スピンドルモータ11の回転を制御する。
フィードモータ12は、スクリューロッド14を介して、スピンドルモータ11を固定支持するとともに光ディスクDKの径方向の移動のみが許容された支持部材15に連結されている。スクリューロッド14は、その一端にてフィードモータ12の回転軸に一体回転するように連結され、その他端に支持部材15に固着されたナット(図示しない)に螺合している。したがって、フィードモータ12が回転すると、スピンドルモータ11、ターンテーブル13及び支持部材15は、スクリューロッド14及びナットからなるねじ機構により光ディスクDKの径方向に変位する。
フィードモータ12内にも、フィードモータ12の回転を検出して、前記エンコーダ11aと同様な回転検出信号を出力するエンコーダ12aが組み込まれている。この回転検出信号中のA相信号φA及びB相信号φBが、フィードモータ制御回路23及び半径位置検出回路24に出力される。フィードモータ制御回路23は、半径位置検出回路24、スレッドサーボ回路60及びコントローラ70にも接続されて、これらの回路12a,24,60,70からの信号に基づいてフィードモータ12を駆動制御する。具体的には、フィードモータ制御回路23は、コントローラ70によって初期作動の開始が指示されると、フィードモータ12の駆動を開始して、支持部材15を初期位置まで移動させる。なお、この初期位置は、フィードモータ12によって駆動される支持部材15の駆動制限位置である。
その後、フィードモータ制御回路23は、コントローラ70からの指示に従って、エンコーダ12aからのA相信号φA及びB相信号φB、半径位置検出回路24から入力される光スポットの半径方向位置、並びに後述するスレッドサーボ回路60からのスレッドサーボ信号を用いてフィードモータ12の回転を制御する。具体的には、コントローラ70から光スポットの半径方向位置が指示されると、フィードモータ制御回路23は、半径位置検出回路24から入力される光スポットの半径方向位置がコントローラ70によって指示された光スポットの半径方向位置に等しくなるように、フィードモータ12を駆動制御する。また、コントローラ70からスレッドサーボの開始が指示されると、フィードモータ制御回路23は、詳しくは後述するスレッドサーボ信号を用いてフィードモータ12の回転速度を計算し、計算した回転速度にエンコーダ12aから供給されるA相信号φA又はB相信号φBを用いて計算した回転速度が等しくなるようにフィードモータ12の回転を制御する。
半径位置検出回路24は、コントローラ70によって初期作動の開始が指示され、エンコーダ12aから供給されるA相信号φA及びB相信号φBの入力停止を検出すると、支持部材15が初期位置に達したことを表す信号をフィードモータ制御回路23に出力する。その後、半径位置検出回路24は、光スポットの半径方向位置を検出して、同半径方向位置を表す半径位置信号をフィードモータ制御回路23及びコントローラ70に出力する。具体的には、半径位置検出回路24は、カウント回路を有し、支持部材15の初期位置に達したことを検出した時点でカウント値を「0」にリセットする。その後、半径位置検出回路24は、A相信号φA及びB相信号φBによって規定されるフィードモータ12の回転方向に応じて正方向又は負方向にA相信号φA又はB相信号φBをカウントして積算することでカウント値を導出し、このカウント値を用いて移動量を計算し、初期位置の半径方向位置に加算することにより光スポットの半径方向位置を計算する。
光ピックアップ装置30は、レーザ光源31、コリメートレンズ32、偏光ビームスプリッタ33、1/4波長板34、対物レンズ35、凸レンズ36、シリンドリカルレンズ37及びフォトディテクタ38を備えている。そして、この光ピックアップ装置30においては、レーザ光源31からのレーザ光を、コリメートレンズ32、偏光ビームスプリッタ33、1/4波長板34及び対物レンズ35を介して、光ディスクDKの記録層に集光させ、光ディスクDKの記録層上に光スポットを形成する。レーザ光源31は、コントローラ70によって作動制御されるレーザ駆動回路41によって駆動制御される。
また、この光ディスクDKに形成された光スポットからの反射光は、対物レンズ35、1/4波長板34、偏光ビームスプリッタ33、凸レンズ36及びシリンドリカルレンズ37を介して、フォトディテクタ38に導かれて受光される。フォトディテクタ38は、分割線で区切られた4つの同一正方形状の受光素子からなる4分割受光素子によって構成されており、各受光素子は受光量に比例した検出信号Sa,Sb,Sc,Sdをそれぞれ受光信号として出力する。なお、検出信号Sa,Sb,Sc,Sdは、4分割受光素子を光ディスクDKのトラックの方向に合わせて見た場合、左上から時計回りに配置された各受光素子の受光量を表している。
また、この光ピックアップ装置30は、フォーカスアクチュエータ42及びトラッキングアクチュエータ43も備えている。フォーカスアクチュエータ42は、対物レンズ35をレーザ光の光軸方向(光ディスクDKの盤面に対して垂直方向)に駆動する。トラッキングアクチュエータ43は、対物レンズ35を光ディスクDKの半径方向に駆動する。
また、この光ディスクDKの信号再生装置は、フォトディテクタ38に接続されてその検出信号Sa,Sb,Sc,Sdをそれぞれ増幅するHF信号増幅回路51を備えている。このHF信号増幅回路51には、フォーカスエラー信号生成回路52、トラッキングエラー信号生成回路53及び再生信号生成回路54が接続されている。
フォーカスエラー信号生成回路52は、HF信号増幅回路52を介したフォトディテクタ38からの検出信号Sa〜Sdを用いた演算(具体的には、非点収差法によるフォーカスサーボ制御の場合は(Sa+Sc)−(Sb+Sd)の演算)により、フォーカスエラー信号を生成して、フォーカスサーボ回路55に出力する。フォーカスサーボ回路55は、コントローラ70により作動制御され、フォーカスエラー信号に基づいてフォーカスサーボ信号を生成してドライブ回路56に供給する。ドライブ回路56は、このフォーカスサーボ信号に応じてフォーカスアクチュエータ42を駆動制御して、対物レンズ35をレーザ光の光軸方向に変位させる。これらのフォーカスエラー信号生成回路52、フォーカスサーボ回路55及びドライブ回路56により、対物レンズ35によって集光されたレーザ光は、光ディスクDKにおける記録層に合焦され続ける。
トラッキングエラー信号生成回路53は、HF信号増幅回路51を介してフォトディテクタ38からの検出信号Sa〜Sdを用いた演算(具体的には、プッシュプル法によるトラッキング制御の場合は(Sa+Sb)−(Sc+Sd)の演算)により、トラッキングエラー信号を生成して、トラッキングサーボ回路57に出力する。トラッキングサーボ回路57は、コントローラ70により作動制御され、トラッキングエラー信号に基づいてトラッキングサーボ信号を生成してドライブ回路58に供給する。ドライブ回路58は、このトラッキングサーボ信号に応じてトラッキングアクチュエータ43を駆動制御して、対物レンズ35を光ディスクDKの半径方向に変位させる。これらのトラッキングエラー信号生成回路53、トラッキングサーボ回路57及びドライブ回路58により、対物レンズ35によって集光されたレーザ光は、光ディスクDKのトラックに合焦され続ける。
また、トラッキングエラー信号生成回路53にて生成されたトラッキングエラー信号は、バンドパスフィルタからなるウォブル信号取出し回路59にも供給される。ウォブル信号取出し回路59は、トラッキングエラー信号からウォブル信号を取出してスピンドルモータ制御回路22に供給する。この供給されたウォブル信号は、前述のように、スピンドルモータ制御回路22において、光ディスクDKを線速度一定で回転させるために用いられる。また、トラッキングサーボ回路57にて生成されたトラッキングサーボ信号は、スレッドサーボ回路60にも供給される。スレッドサーボ回路60は、コントローラ70により作動が制御され、供給されたトラッキングサーボ信号からの直流的成分を抽出することによりスレッドサーボ信号を生成して、同スレッドサーボ信号をフィードモータ制御回路23に供給する。スレッドサーボ信号は、トラッキングアクチュエータ43の駆動中心位置のトラッキングアクチュエータ43の中立位置(信号が入力しない時の位置)からのずれ量であり、フィードモータ制御回路23は、このずれ量がなくなるようにフィードモータ12の回転を制御する。
再生信号生成回路54は、SUM信号生成回路からなり、HF信号増幅回路51にて増幅された検出信号Sa〜Sdを合算して、合算信号Sa+Sb+Sc+SdをSUM信号として波形等化回路61に出力する。波形等化回路61は、イコライズ回路で構成されてSUM信号の振幅を周波数に応じて補正して、2値化回路62に出力する。2値化回路62は、前記補正されたSUM信号を基準レベルと比較して、ハイレベル及びローレベルからなる2値化信号を生成して復号回路63に出力する。復号回路63は、コントローラ70の指示により、供給された2値化信号を復号してコントローラ70に供給する。この復号においては、光ディスクDKのデータ記録領域に記録されたデータの復号と、BCA(Burst
Cutting Area;バースト・カッティング・エリア)に記録されたデータの復号の2つの復号があり、どちらの復号が行われるかはコントローラ70によって指示される。
また、再生信号生成回路54から出力されたSUM信号は、アナログ/ディジタル変換器(以下、A/D変換器という)64にも供給される。A/D変換器64は、クロック信号発生回路65からのクロック信号の1周期毎にSUM信号をサンプリングホールドして、同サンプリングホールドした再生信号の瞬時値をA/D変換し、同瞬時値を表すディジタルデータ、具体的にはサンプリング時における再生信号の電圧値を表す波形値データおよび同サンプリング時におけるタイミングを表すタイミングデータからなる波形データを前記クロック信号の1周期ごとに外部記憶回路66に出力する。なお、アナログ再生信号を評価する光ディスクDKとしてブルーレイ・ディスク(Blu-ray Disk)を選定した場合、ブルーレイ・ディスクの基準クロック周波数(すなわち、すなわち信号長1Tに相当する周波数)は66.0MHzであるので、クロック信号発生回路65からのクロック信号の周波数はブルーレイ・ディスクの基準クロック周波数の2倍以上(すなわち、132.0MHz以上)であればよいが、本実施形態では約200MHzである。また、このクロック信号は、光ディスクDKに記録されている信号の基準クロックとは無関係である。なお、クロック信号発生回路65の作動は、コントローラ70によって制御される。
外部記憶回路66は、A/D変換器64からのディジタルデータを記憶するもので、コントローラ70により、データの記憶開始及び記憶終了が指示されるとともに、記憶したデータがクリアされる。また、外部記憶回路66は、信号評価回路67からの指示により、記憶したデータを信号評価回路67に出力する。本実施形態では、この外部記憶回路66としてRAMを用いているが、データの書き込みおよび読み出しが可能であれば、他の記録媒体を用いてもよい。
信号評価回路67は、CPU,ROM,RAMなどからなるマイクロコンピュータを内蔵している。マイクロコンピュータは、コントローラ70からの指示により図7のプログラムを実行して、波形表示のためのデータ作成処理及び評価値の算出処理を実行して、前記作成データ及び算出評価値を前記RAMで構成した内部メモリ67aに記憶する。この内部メモリ67aに記憶された作成データ及び算出評価値は、コントローラ70の指示により、コントローラ70に出力される。
光ディスクDKの上方位置には、光強度センサ68が設けられている。光強度センサ68は、その作動がコントローラ70により指示され、レーザ光を光ディスクDKのレーベル面LBに照射するとともに、レーベル面LBからの反射光を受光して、受光した反射光の光量の変化に従って変化する光の強度を表す光強度信号を特定位置検出回路69に出力する。特定位置検出回路69は、その作動がコントローラ70によって指示され、作動時に入力した光強度信号が予め決められた低い所定レベル以下であることを検出すると、特定位置検出信号をコントローラ70に出力する。なお、検査される光ディスクDKには、例えば図11に示すように、レーベル面LBのデザインの中に特定の周方向位置に反射率が低いラインマークMKが設けられている。なお、このラインマークMKに代えて、レーベル面LB上のデザインにおける模様の特定部分を特定位置とするようにしてもよい。また、特定位置検出回路69は、光強度信号の所定レベル以上を検出するようにしてもよい。要は、光ディスクDKの周方向の特定位置を検出できるものであれば、如何なるものでもよい。
コントローラ70は、CPU、ROM、RAM、ハードディスクなどの不揮発性メモリなどからなるコンピュータによって構成されており、キーボード、マウスなどからなる入力装置71からの指示に従って、図2のプログラム(図3〜6のサブプログラムを含む)を実行することにより、光ディスクDKに記録された情報を再生する。また、コントローラ70には、作動指示及び作動状況を作業者に対して視覚的に知らせるための液晶表示器、CRT表示器などの表示装置72も接続されている。
次に、上記のように構成した光ディスク検査装置の作動について説明する。作業者は、情報を記録した光ディスクDKをターンテーブル13の上に載せて、同光ディスクDKをターンテーブル13上に固定する。そして、図示しない電源スイッチの投入により、コントローラ70を含む各種回路の作動を開始させる。ただし、図1のコントローラ70からの信号を表す矢印が記載されている回路の作動開始及び停止、又は作動態様に関してはコントローラ70の指示に従う。前記コントローラ70が作動開始された状態で、ユーザが入力装置71を操作して、光ディスクDKに記録されているデータのアナログ再生信号の評価開始を指示すると、コントローラ70は、図2のステップS100にてメインプログラムの実行を開始する。
メインプログラムの実行開始後、コントローラ70は、ステップS102にて、表示装置72を用いて、光ディスクDKにおける評価すべき半径方向位置を表す評価半径位置の入力を作業者に促す。作業者は、入力装置71を用いて、複数の評価半径位置を順次入力する。コントローラ70は、この入力された複数の評価半径位置を半径位置データr(1),r(2)・・・r(p)として記憶する。また、評価半径位置の数pが小さければ、前記方法を採用するが、評価半径位置の数pが大きい場合には、次の方法を採用するとよい。すなわち、光ディスクDKにおける評価すべき開始半径位置、半径位置の間隔及び半径位置数pを入力する。この代わりに、光ディスクDKにおける開始半径位置、半径位置の間隔及び終了半径位置を入力してもよい。さらには、光ディスクDKにおける開始半径位置、終了半径位置及び半径位置数pを入力してもよい。これらの場合には、コントローラ70は、入力された値を用いて、複数の評価半径位置を表わす半径位置データr(1),r(2)・・・r(p)を計算して記憶する。前記ステップS102の処理後、コントローラ70は、ステップS104にて半径位置数pを信号評価回路67に出力し、信号評価回路67の内部メモリ67aに半径位置数pを記憶させる。
次に、コントローラ70は、ステップS106にて、表示装置72を用いて、光ディスクDKの周方向の特定回転位置の取得方法を入力することを作業者に促す。特定回転位置の取得方法に関しては、光ディスクDKに記録されているデータの特定アドレスに対応した光ディスクDKの特定回転位置を取得する場合と、レーベル面LB上のデザイン(例えば、ラインマークMK)に対応した光ディスクDKの特定回転位置を取得する場合との2つの取得方法が用意されている。したがって、作業者は、前記2つの取得方法のいずれかを選択する。なお、評価半径位置が予め決められている場合には前記ステップS102の処理がスキップされ、特定回転位置の取得方法が予め決められている場合には、前記ステップS106の処理がスキップされる。
次に、コントローラ70は、ステップS108にて、装置作動開始ルーチンを実行する。装置作動開始ルーチンの詳細は、図3に示されており、その実行がステップS200にて開始される。この実行開始後、コントローラ70は、ステップS202にて、初期半径位置移動処理を実行する。この初期半径位置移動処理においては、コントローラ70は、フィードモータ制御回路23及び半径位置検出回路24に初期作動の開始を指示する。この指示により、フィードモータ制御回路23は、フィードモータ12の駆動制御を開始して、支持部材15を初期位置方向に支持部材15の移動が制限されるまで駆動する。一方、半径位置検出回路24は、エンコーダ12aからA相信号φA及びB相信号φBを入力して、これらのA相信号φA及びB相信号φBの変化停止を検出し始める。この変化停止の検出により、支持部材15の初期位置(駆動制限位置)への到達が検出される。この到達の検出時に、半径位置検出回路24は、フィードモータ制御回路23に前記検出信号を出力する。この検出信号に応答して、フィードモータ制御回路23は、フィードモータ12の駆動を停止する。一方、半径位置検出回路24は、支持部材15の初期位置への到達の検出時に、内蔵のカウント回路のカウント値を「0」にリセットする。その後、半径位置検出回路24は、A相信号φA及びB相信号φBによって規定される光ディスクDKの回転方向に応じて正方向又は負方向にA相信号φA又はB相信号φBのパルス数をカウントし、このカウント値を用いて光スポットの半径方向位置を計算して出力し続ける。
次に、コントローラ70は、ステップS204にて、レーザ光照射による光スポットが光ディスクDKのデータ記録開始半径位置に形成されるように、データ記録開始半径位置をフィードモータ制御回路23に出力する。これにより、フィードモータ制御回路23は、半径位置検出回路24から入力される光スポットの半径方向位置が前記データ記録開始半径位置に等しくなるように、フィードモータ12を駆動制御する。なお、データ記録開始半径位置に関しては、光ディスクDKのBCA(バースト・カッティング・エリア;Burst Cutting Area)に記録されているデータを利用したり、事前にコントローラ70に記憶されているデータを利用できる。
前記ステップS204の処理後、コントローラ70は、ステップS206にて、前記データ記録開始半径位置を用いて予め決められた線速度になるスピンドルモータ11の回転速度を計算し、スピンドルモータ制御回路22に、予め決められた線速度と、前記計算した回転速度とを出力するとともに、光ディスクDKを回転させることを指示する。この指示に応答して、スピンドルモータ制御回路22は、エンコーダ11aからのA相信号φA及びB相信号φBを用いて、光ディスクDKが前記回転速度で回転するように、スピンドルモータ11の回転を制御する。そして、後述するトラッキングサーボ制御後には、スピンドルモータ制御回路22は、ウォブル信号取出し回路59から入力されるウォブル信号を用いて、光ディスクDKが常に前記線速度で回転するように、スピンドルモータ11の回転を制御する。
次に、コントローラ70は、ステップS208にて、レーザ駆動回路41にレーザ駆動を指示する。これにより、レーザ駆動回路41は、レーザ光源31に作動電圧及び作動電流を供給することによりレーザ光源31を駆動制御して、レーザ光源31にレーザ光の出射を開始させる。レーザ光源31から出射されたレーザ光は、コリメートレンズ32、偏光ビームスプリッタ33、1/4波長板34及び対物レンズ35を介して光ディスクDKに導かれ、同光ディスクDKのデータ記録開始半径位置に光スポットを形成する。そして、光ディスクDKからの反射光が、対物レンズ35、1/4波長板34、偏光ビームスプリッタ33、凸レンズ36及びシリンドリカルレンズ37を介してフォトディテクタ38に入射する。フォトディテクタ38は、この入射光に対応した検出信号Sa〜Sdを、HF信号増幅回路51を介してフォーカスエラー信号生成回路52及びトラッキングエラー信号生成回路53に供給する。
前記ステップS208の処理後、コントローラ70は、ステップS210にて、フォーカスサーボ回路55に作動を指示して、図示しないフォーカスアクチュエータ駆動回路、S字信号検出回路などと共にフォーカスサーボ回路55によるフォーカス引込み処理を実行させるとともに、フォーカスサーボ制御を開始させる。すなわち、フォーカスサーボ回路55は、ドライブ回路56を介して、フォーカスアクチュエータ42をフォーカスサーボ信号に応じて駆動制御する。これにより、対物レンズ35がレーザ光の軸線方向に駆動制御されて、レーザ光源31からのレーザ光による光スポットが光ディスクDKのデータ記録層に正確に形成されるようになる。
前記ステップS210の処理後、コントローラ70は、ステップS212にてトラッキングサーボ回路57に作動を指示して、図示しないトラッキング引込みタイミング検出回路などと共にトラッキングサーボ回路57によるトラッキング引込み処理を実行させるとともに、トラッキングサーボ制御を開始させる。すなわち、トラッキングサーボ回路57は、ドライブ回路56を介して、トラッキングアクチュエータ43をトラックサーボ信号に応じて駆動制御する。これにより、対物レンズ35が光ディスクDKの半径方向に駆動制御されて、レーザ光源31からのレーザ光による光スポットが光ディスクDKのトラックを常に追従するようになる。
前記ステップS212の処理後、コントローラ70は、ステップS214にて、スレッドサーボ制御開始をスレッドサーボ回路60とフィードモータ制御回路23に指示する。これにより、スレッドサーボ回路60は、スレッドサーボ信号を生成してフィードモータ制御回路23に供給し始める。そして、フィードモータ制御回路23は、光スポットがトラックを追従する際のトラッキングアクチュエータ43の駆動中心位置が中立位置になるようにスレッドサーボ信号に応じてフィードモータ12を駆動制御する。その結果、レーザ光源31からのレーザ光による光スポットが光ディスクDKのトラックを追跡しながら半径方向に移動し始める。また、前述のように、この状態では、スピンドルモータ制御回路22のウォブル信号を用いた制御により、光ディスクDKは線速度一定で回転し続ける。そして、これらのステップS206〜S214の処理により、光ディスクDKに記録されているデータに対応した検出信号Sa〜Sdがフォトディテクタ38により検出され始める。この検出信号Sa〜Sdは、HF信号増幅回路51を介して再生信号生成回路54に供給され、再生信号生成回路54は、光ディスクDKに記録されているデータを表すアナログ信号であるSUM信号を波形等化回路61及びA/D変換器64に供給し始める。
次に、コントローラ70は、ステップS216にてカウント回路21の作動を開始させる。この作動開始により、カウント回路21は、以降、ターンテーブル13(光ディスクDK)の基準回転位置(インデックス信号Indexに対応)に対する回転位置を表すカウント値をコントローラ70に出力し始める。そして、ステップS218のリターン処理により、コントローラ70は、図2のステップS108の装置作動開始ルーチンの実行を終了して、ステップS110にてカウント値取り込みルーチンを実行する。
このカウント値取り込みルーチンは図4に詳細に示されており、その実行がステップS300にて開始される。このカウント値取り込みルーチンの実行開始後、コントローラ70は、ステップS302にて、前記図2のステップS106にて、特定回転位置の取得方法として、光ディスクDKの特定アドレスに対応した特定回転位置が選択されたか、レーベル面LB上のデザインに関係した特定回転位置が選択されたかを判定する。前者の場合には、ステップS304〜S310の処理が実行されて、光ディスクDKの特定アドレスに対応した特定回転位置を表すカウント値がカウント回路21から取り込まれる。後者の場合には、ステップS312〜S318の処理が実行されて、レーベル面LB上のデザインに関係した特定回転位置を表すカウント値がカウント回路21から取り込まれる。
具体的には、光ディスクDKの特定アドレスに対応した特定回転位置が選択された場合には、コントローラ70は、ステップS304にて、復号回路63にデータの復号処理の開始を指示する。これにより、復号回路63は、2値化回路62から入力するパルス信号から光ディスクDKに記録されているデータを作成し、このデータを復号したデータをコントローラ70に供給する。コントローラ70は、ステップS306にて、復号されたデータに含まれるアドレスデータを検出し、検出したアドレスデータが予め設定されている特定のアドレスであるか否かを判定し続ける。特定アドレスであると判定されると、コントローラ70は、ステップS306にて「Yes」と判定して、ステップS308にてカウント回路21から現在のカウント値を取り込んで、特定カウント値θaとして記憶する。そして、コントローラ70は、ステップS310にて、復号回路63の復号動作を停止させる。
また、レーベル面LB上のデザインに関係した特定回転位置が選択された場合には、コントローラ70は、ステップS312にて、光強度センサ68及び特定位置検出回路69を作動開始させる。これにより、光強度センサ68及び特定位置検出回路69は作動を開始し、特定位置検出回路69は、特定位置の検出時に検出信号をコントローラ70に出力するようになる。コントローラ70は、ステップS314にて、特定位置検出回路69からの検出信号を待ち続ける。特定位置の検出信号が特定位置検出回路69から入力されると、コントローラ70は、ステップS314にて「Yes」と判定して、ステップS316にてカウント回路21から現在のカウント値を取り込んで、特定カウント値θaとして記憶する。そして、コントローラ70は、ステップS318にて、光強度センサ68及び特定位置検出回路69を作動停止させる。前記ステップS310,S318の処理後、ステップS320のリターン処理により、コントローラ70は、図2のステップS110のカウント値取り込みルーチンの実行を終了して、ステップS112にて再生信号評価ルーチンを実行する。
この再生信号評価ルーチンは図5に詳細に示されており、その実行がステップS400にて開始される。この再生信号評価ルーチンは、信号評価回路67にて実行される図7の信号評価データ生成プログラムと連動して、再生信号の信号波長ごとの波形表示用データ及び再生信号の評価値を取得する。
前記再生信号評価ルーチンの実行開始後、コントローラ70は、ステップS402にて、評価半径位置を指定するための変数iを「1」に初期設定する。次に、コントローラ70は、ステップS404にて、クロック信号発生回路65に作動開始を指示する。クロック信号発生回路65は、所定周期のクロック信号をA/D変換器64に出力する。A/D変換器64は、クロック信号発生回路65からのクロック信号の1周期毎にSUM信号をサンプリングホールドして、同サンプリングホールドした再生信号の瞬時値をA/D変換して外部記憶回路66に出力し始める。
前記ステップS404の処理後、コントローラ70は、ステップS406〜S430からなる循環処理を繰り返し実行し始める。ステップS406にて、コントローラ70は、フォーカスサーボ回路55、トラッキングサーボ回路57及びスレッドサーボ回路60に作動停止を指示する。フォーカスサーボ回路55は作動を停止し、フォーカスサーボ制御は中断する。トラッキングサーボ回路57も作動を停止し、トラッキングサーボ制御も中断する。スレッドサーボ回路60も作動を停止し、フィードモータ12による光スポットの半径方向への移動が中断する。この状態で、コントローラ70は、ステップS408にて、半径位置データr(i)をフィードモータ制御回路23に出力するとともに、フィードモータ12の作動を指示する。フィードモータ制御回路23は、半径位置検出回路24によって検出される半径方向位置を用いて、光スポットが形成される半径方向位置が半径位置データr(i)によって表される半径方向位置に一致するまでフィードモータ12の回転を制御する。これにより、光ディスクDKが半径方向に移動して、光スポットが形成される半径方向位置が半径位置データr(i)によって表される半径方向位置となる。
次に、コントローラ70は、前述した図3のステップS210〜S214と同様なステップS410〜S414の処理により、フォーカスサーボ制御、トラッキングサーボ制御及び光スポットの半径方向への移動を開始させる。そして、コントローラ70は、ステップS416にて、カウント回路21によるカウント値を取り込んで、取り込んだカウント値が前記図4のステップS308又はステップS316の処理により記憶した特定カウント値θa以上になるまで判定処理を実行し続ける。そして、前記取り込んだカウント値が特定カウント値θa以上になると、コントローラ70は、ステップS416にて「Yes」と判定して、ステップS418にて現在の半径位置番号を表わす変数iを外部記憶回路66に出力する。そして、コントローラ70は、ステップS420にて外部記憶回路66に再生信号の記憶開始を指示する。外部記憶回路66は、A/D変換器64にてA/D変換されたアナログ再生信号の瞬時値(再生ディジタルデータ)を順次記憶し始める。この場合、外部記憶回路66は、A/D変換器64から供給された再生ディジタルデータを半径位置ごとにデータD(n,i)として順に記憶する。変数iが「1」であれば、データはD(1,1),D(2,1)・・・のようになる。なお、値nは、各半径位置において、「1」から順に「1」ずつ大きくなる入力番号である。また、値iは半径位置番号(1〜p)を表わす値である。
前記ステップS420の処理後、コントローラ70は、ステップS422にて、前記ステップS416の処理と同様にして、カウント回路21から取り込んだカウント値がふたたび前記特定カウント値θa以上になるまで判定処理を実行し続ける。そして、前記取り込んだカウント値が特定カウント値θa以上になると、コントローラ70は、ステップS422にて「Yes」と判定して、ステップS424にて外部記憶回路66に再生信号の記憶終了を指示する。このようなステップS416〜S424の処理により、評価半径位置r(i)における光ディスクDKの1回転分のアナログ再生信号のA/D変換値が外部記憶回路66に順次記憶される。コントローラ70は、ステップS426にて、信号評価回路67に作動開始、すなわち信号評価用データの作成処理の開始を指示する。信号評価回路67は、詳しくは後述する図7の信号評価用データ生成プログラムの実行により、外部記憶回路66に記憶されている再生ディジタルデータを用いた信号評価用データの作成処理を実行し始める。
前記ステップS426の処理後、コントローラ70は、ステップS428にて、変数iが半径位置数p未満であるか、すなわち全ての半径位置データr(1)〜r(p)により表された半径位置の再生信号のディジタルデータが外部記憶回路66に記憶され終えたかを判定する。変数iが半径位置数pよりも小さければ、コントローラ70は、ステップS430にて変数iを「1」だけインクリメントして、プログラムをステップS406に戻し、前述したステップS406〜S430からなる循環処理をふたたび実行する。これにより、変数iのインクリメントに従い、半径位置データr(1)〜r(p)により表された半径位置における光ディスクDKの1回転分ずつの再生信号のディジタルデータが外部記憶回路66に順次記憶されていく。そして、全ての半径位置データr(1)〜r(p)により表された半径位置の再生信号のディジタルデータが外部記憶回路66に記憶されて、変数iが半径位置数pに達すると、コントローラ70はステップS428にて「No」と判定してプログラムをステップS432に進める。この状態では、外部記憶回路66には、データとして、D(1,1),D(2,1)・・D(n1,1),D(1,2),D(2,2)・・D(n2,2),〜〜,D(1,p),D(2,p)・・D(np,p)なるデータが記憶されることになる。なお、値n1,n2・・npは半径位置ごとのディジタルデータの数であり、ほぼ同じ値を示すが、必ずしも同じである必要はない。
ステップS432においては、コントローラ70は、クロック信号発生回路65に作動停止を指示する。クロック信号発生回路65は作動を停止、すなわちA/D変換器64へのクロック信号の出力を停止する。これにより、A/D変換器64は、アナログ再生信号の瞬時値のA/D変換を停止して、A/D変換された再生ディジタルデータの外部記憶回路66への出力も停止する。前記ステップS432の処理後、コントローラ70は、ステップS434にて、信号評価回路67からの終了信号の入力を待つ。
前記再生信号評価ルーチンの実行中、信号評価回路67は、図7の信号評価用データ生成プログラムを実行している。このプログラムの実行はステップS600にて開始され、信号評価回路67内のマイクロコンピュータ(以下、単にマイクロコンピュータという)は、ステップS602にて変数jを「1」に初期設定する。この変数jは、光ディスクDKの評価半径位置を指定するための変数である。
マイクロコンピュータは、ステップS604にて、外部記憶回路66に、変数jによって指定される光ディスクDKの評価半径位置r(j)に関する1周分のデータD(1,j),D(2,j)・・D(nj,j)の出力を指示する。この指示に応答して、外部記憶回路66は、前記記憶データD(1,j),D(2,j)・・D(nj,j)を信号評価回路67に出力する。マイクロコンピュータは、前記ステップS604にて、外部記憶回路66から出力される記憶データD(1,j),D(2,j)・・D(nj,j)を内部メモリ67aに記憶する。そして、ステップS606にて、変数jによって指定される1周分の全てのデータD(1,j),D(2,j)・・D(nj,j)を入力したかを判定する。この場合、外部記憶回路66に前記全てのデータD(1,j),D(2,j)・・D(nj,j)が用意されていなくて、前記全てのデータD(1,j),D(2,j)・・D(nj,j)が信号評価回路67に入力されていなければ、マイクロコンピュータは、ステップS606にて「No」と判定して、ステップS626に進む。ステップS626においては、マイクロコンピュータは、変数jが評価すべき半径位置数pよりも大きいかを判定する。この場合、変数jは最初「1」に設定されているので、マイクロコンピュータは、ステップS626にて「No」と判定して、ステップS604,S606,S626からなる循環処理を実行する。そして、前記全てのデータD(1,j),D(2,j)・・D(nj,j)が信号評価回路67に入力された時点で、マイクロコンピュータは、ステップS606にて「Yes」と判定して、ステップS608以降の処理を実行する。
ステップS608においては、マイクロコンピュータは、前記入力記憶したデータD(1,j),D(2,j)・・D(nj,j)の平均値を計算して、後述の2値化処理のために必要な基準レベルVrefを計算する。図8(a)は、データD(1,j),D(2,j)・・D(nj,j)により表される信号波形を示している。図8(b)は、図8(a)の信号波形の時間軸方向の一部を取出して、時間軸方向に拡大して示している。なお、前記基準レベルVrefの計算においては、前記単純な平均値の計算に代え、全てのデータD(1,j),D(2,j)・・D(nj,j)の度数分布を求め、度数分布が予め決めた小さな所定値よりも低くなる部分を除外し、データD(1,j),D(2,j)・・D(nj,j)のうちで前記所定値よりも度数分布が高いデータの平均値を計算するようにしてもよい。また、データD(1,j),D(2,j)・・D(nj,j)のうちで、前記度数分布が前記所定値近傍の値となる大小2組ずつのデータ(1ずつのデータ又は複数ずつのデータ)の平均値を計算するようにしてもよい。この変形例によれば、光ディスクDK上の傷などにより、再生信号波形の瞬時値が極めて大きくなったり、小さくなったりする部分の影響をなくすことができる。また、前記入力記憶したデータD(1,j),D(2,j)・・D(nj,j)のうちの、最初の部分、中間の部分又は最後の部分の所定数個のデータの平均値を基準レベルVrefとして計算するようにしてもよい。さらには、前記入力記憶したデータD(1,j),D(2,j)・・D(nj,j)のうちで、所定数(例えば、5,10個)おきのデータの平均値を基準レベルVrefとして計算するようにしてもよい。
次に、マイクロコンピュータは、ステップS610にて、正負のパルス状信号の信号長及びその振幅を計算して記憶する。正の信号長の計算においては、前記入力記憶したデータD(1,j),D(2,j)・・D(nj,j)の値が、この順に基準レベルVrefを正側に超えてから、基準レベルVrefを負側に超えるまでの信号長(時間長)を順次計算する。負の信号長の計算においては、前記入力記憶したデータD(1,j),D(2,j)・・D(nj,j)の値が、この順に基準レベルVrefを負側に超えてから、基準レベルVrefを正側に超えるまでの信号長(時間長)を順次計算する。そして、図8(c)に示すように、正の信号長を出現順に信号長Wp(1,j),Wp(2,j),Wp(3,j)・・・として内部メモリ67aに記憶するとともに、負の信号長を出現順に信号長Wn(1,j),Wn(2,j),Wn(3,j)・・・として内部メモリ67aに記憶する。なお、この信号長の計算処理は、光ディスクDKに記録されたデータの再生において、再生信号(SUM信号)を所定のスライスレベルでスライスして2値化信号を生成し、この2値化信号を正側と負側で複数の信号長のデータに変換する処理に相当する。
正の振幅の計算においては、前記正の信号長Wp(1,j),Wp(2,j),Wp(3,j)・・・にそれぞれ含まれるデータD(1,j),D(2,j)・・D(nj,j)の中から最大値を示すデータをそれぞれ抽出する。負の振幅の計算においては、前記負の信号長Wn(1,j),Wn(2,j),Wn(3,j)・・・にそれぞれ含まれるデータD(1,j),D(2,j)・・D(nj,j)の中から最小値を示すデータをそれぞれ抽出する。そして、これらの最大値及び最小値を示すデータを、前記信号長に対応させて、正の振幅Hp(1,j),Hp(2,j),Hp(3,j)・・・として内部メモリ67aに記憶するとともに、負の振幅Hn(1,j),Hn(2,j),Hn(3,j)・・・として内部メモリ67aに記憶する。また、このステップS610においては、マイクロコンピュータは、前記正の振幅Hp(1,j),Hp(2,j),Hp(3,j)・・・及び前記負の振幅Hn(1,j),Hn(2,j),Hn(3,j)・・・として採用したデータD(1,j),D(2,j)・・D(nj,j)の順番(1,2・・nj)を、データ番号Np(1,j),Np(2,j),Np(3,j)・・・及びデータ番号Nn(1,j),Nn(2,j),Nn(3,j)・・・として内部メモリ67aにそれぞれ記憶する。なお、図7のステップS610内においては、正側の信号長Wp、振幅Hp及びデータ番号Npの順番を変数s(1,2,3・・・)で表し、負側の信号長Wn、振幅Hn及びデータ番号Nnの順番を変数m(1,2,3・・・)で表している。
なお、前記信号長Wp,Wnの計算においては、CD、DVDにような光ディスクDKの場合には信号長の区別は高精度で行われるが、ブルーレイ・デクィスク(Blu−ray Disk)、HD DVDのような高密度記録の光ディスクDKの場合には、2T,3Tの信号長が極めて短くかつ振幅も小さいため、信号長の区別が必ずしも高精度で行われ得ないこともある。このような場合には、データD(1,j),D(2,j)・・D(nj,j)から、公知の手法であるPR等化処理及びビタビ復号処理を用いて信号長を計算するとよい。このPR等化処理及びビタビ復号処理に関しては、例えば特開2006−18866号公報に説明されている。
また、例えば特開2007−066412号公報に示されているように、トリガレベルをクロスしてから最大値に達するまでの時間と振幅値から作成した分布から、信号長が短い2T,3T,4Tを区別するようにしてもよい。また、この場合、信号長の長い信号に関しては、スライスレベルをクロスしてから次にクロスするまでの幅から信号長を区別するとよい。ただし、この方法は、トリガレベルをクロスしない信号の信号長が判別できないので、判別ができなかった場合には、前後にある信号長が判別できた信号の波高値から信号長を判別する必要がある。なお、トリガレベルとは、前記基準レベルVrefと波高値(最大値及び最小値)との間に設定される中間レベルである。また、スライスレベルとは、トリガレベルよりも若干絶対値の大きな中間レベルである。
前記ステップS610の処理後、マイクロコンピュータは、ステップS612にてデータ番号Np(s,j)に対応した回転角度RAp(s,j)(s=1,2,3・・・)及びデータ番号Nn(m,j)に対応した回転角度RAn(m,j)(s=1,2,3・・・)を計算する。変数jによって指定される半径位置のデータD(1,j),D(2,j)・・D(nj,j)の数は、nj個である。また、前記半径位置のデータD(1,j),D(2,j)・・D(nj,j)は、クロック信号発生回路65からA/D変換器64に入力するクロック信号の1周期ごとに取り込まれた、光ディスクDKの特定回転位置から1回転分のデータである。したがって、データ番号Np(s,j)に対応した回転角度RAp(s,j)は、ラジアン単位では演算RAp(s,j)=2π・Np(s,j)/nj(s=1,2,3・・・)により計算される。また、データ番号Nn(m,j)に対応した回転角度RAn(m,j)は、ラジアン単位では演算RAn(m,j)=2π・Np(m,j)/nj(m=1,2,3・・・)により計算される。このような演算によって計算された回転角度RAp(s,j)及び回転角度RAn(m,j)は、光ディスクDKの特定回転位置からの回転角を表しており、これらの回転角度RAp(s,j),RAn(m,j)も内部メモリ67aに記憶される。
次に、マイクロコンピュータは、ステップS614にて、正側のデータ番号Np(s,j)、振幅Hp(s,j)及び回転角度RAp(s,j)を、それらに対応する正側の信号長Wp(s,j)を用いて信号長(既定パルス幅)ごとに分類する。また、負側のデータ番号Nn(m,j)、振幅Hn(m,j)及び回転角度RAn(m,j)を、それらに対応する負側の信号長Wn(m,j)を用いて信号長(既定パルス幅)ごとに分類する。この場合、光ディスクDKがCDであれば、信号長(既定パルス幅)の種類は3T〜11Tである。光ディスクDKがDVDであれば、信号長(既定パルス幅)の種類は3T〜11T及び14Tである。光ディスクDKがブルーレイ・ディスクであれば、信号長(既定パルス幅)の種類は2T〜8Tである。光ディスクDKがHD DVDであれば、信号長(既定パルス幅)の種類は2T〜11Tである。前記分類においては、信号長Wn(m,j),Wn(m,j)が最も近い既定の信号長である既定パルス幅に分類される。なお、光ディスクDKがブルーレイ・ディスク又はHD DVDであっても、信号長は前述した方法により高精度で計算されるので、信号長の分類には支障がなくなる。
そして、信号長(既定パルス幅)の種類を小さい側からw1,w2・・・wmaxとすると、正側のデータ番号Np(s,j)、振幅Hp(s,j)及び回転角度RAp(s,j)に関して、データ番号Np(s,w1,j)〜Np(s,wmax,j)、振幅Hp(s,w1,j)〜Hp(s,wmax,j)及び回転角度RAp(s,w1,j)〜RAp(s,wmax,j)のように分類されたデータが生成され、内部メモリ67aに記憶される。また、負側のデータ番号Nn(m,j)
、振幅Hn(m,j)及び回転角度RAn(m,j)に関して、データ番号Nn(m,w1,j)〜Nn(m,wmax,j)、振幅Hn(m,w1,j)〜Hn(m,wmax,j)及び回転角度RAn(m,w1,j)〜RAn(m,wmax,j)のように分類されたデータが生成され、内部メモリ67aに記憶される。但し、変数s,mは、それぞれ1,2,3・・・を示す。また、変数jは、評価半径位置を表している。
その結果、内部メモリ67aには、第j番目の評価半径位置に関して、下記表1に示す分類された正の信号に関するデータからなるテーブルが形成される。
また、内部メモリ67aには、第j番目の評価半径位置に関して、下記表2に示す分類された負の信号に関するデータからなるテーブルが形成される。
前記ステップS614の処理後、マイクロコンピュータは、ステップS616にて、前記分類した正側の振幅Hp(s,wk,j)の平均値AveHp(wk,j)及び負側の振幅Hn(m,wk,j)の平均値AveHn(wk,j)を、信号長(既定パルス幅)ごとにそれぞれ計算して内部メモリ67aに記憶しておく。ただし、変数wkは、値w1,w2・・・wmaxのいずれかを表すもので、複数の信号長(既定パルス幅)にそれぞれ対応する。また、変数jは、値1,2・・・pのいずれかを表すもので、複数の評価半径位置にそれぞれ対応する。
次に、マイクロコンピュータは、ステップS618にて、前記分類した正側の振幅Hp(s,wk,j)の最大値maxHp(wk,j)及び最小値minHp(wk,j)を、信号長(既定パルス幅)ごとにそれぞれ計算して内部メモリ67aに記憶しておく。また、前記分類した負側の振幅Hn(s,wk,j)の最大値maxHn(wk,j)及び最小値minHn(wk,j)を、信号長(既定パルス幅)ごとにそれぞれ計算して内部メモリ67aに記憶しておく。ただし、最大値maxHn(wk,j)及び最小値minHn(wk,j)は、負の絶対値が最大な値及び最小な値である。また、この場合も、変数wkは、値w1,w2・・・wmaxのいずれかを表すもので、複数の信号長(既定パルス幅)にそれぞれ対応する。また、変数jも、値1,2・・・pのいずれかを表すもので、複数の評価半径位置にそれぞれ対応する。
次に、マイクロコンピュータは、ステップS620にて、前記分類した正側の振幅Hp(s,wk,j)及び負側の振幅Hn(m,wk,j)に基づいて、各振幅Hp(s,wk,j),Hn(m,wk,j)に対応した色データCrp(s,wk,j),Crn(m,wk,j)をそれぞれ計算する。すなわち、振幅Hp(s,wk,j),Hn(m,wk,j)を、その大きさに応じて異なる色に割り当てる。これは、振幅Hp(s,wk,j),Hn(m,wk,j)の大きさを色別に表示するためである。ただし、この場合も、変数s,mは、それぞれ値1,2,3・・・のいずれかを表す。変数wkは、値w1,w2・・・wmaxのいずれかを表す。変数jは、値1,2・・・pのいずれかを表す。
このステップS620の色データの計算について具体的に説明すると、信号長wk(k=1,2・・・max)ごとに、正側及び負側の振幅の平均値AveHp(wk,j),AveHn(wk,j)の差に所定数αを乗算した値V(=α・{AveHp(wk,j)−AveHn(wk,j)})を計算する。この場合、αは例えば0.1程度の小さな値であり、平均値AveHn(wk,j)はAveHp(wk,j)より小さいので、値Vは両平均値AveHp(wk,j),AveHn(wk,j)間の差の10分の1程度の値を示す。次に、正側の振幅Hp(s,wk,j)(但し、s=1,2,3・・・、wk=w1,w2・・・wmax、j=1,2・・・p)のそれぞれに対して、下記表3に示す複数の不等式を適用することにより、該当する不等式に対応させて振幅Hp(s,wk,j)を分類して、各不等式に対応した下記表3の右側に示す色を振幅Hp(s,wk,j)にそれぞれ割り当てる。
前記割り当て後、マイクロコンピュータは、振幅Hp(s,wk,j)にそれぞれ対応させた正側の色データCrp(s,wk,j)に、前記割り当てた白、青、黄、桃及び赤のいずれかを表す色コードをそれぞれ設定して、内部メモリ67aに記憶する。
次に、負側の振幅Hn(m,wk,j)(但し、m=1,2,3・・・、wk=w1,w2・・・w
max、j=1,2・・・p)のそれぞれに対して、下記表4に示す複数の不等式を適用することにより、該当する不等式に対応させて振幅Hn(m,wk,j)を分類して、各不等式に対応した下記表4の右側に示す色を振幅Hn(m,wk,j)にそれぞれ割り当てる。
前記割り当て後、マイクロコンピュータは、振幅Hn(m,wk,j)にそれぞれ対応させた負側の色データCrp(m,wk,j)に、前記割り当てた白、青、黄、桃及び赤のいずれかを表す色コードをそれぞれ設定して、内部メモリ67aに記憶する。
その結果、前記表1に示す正側のデータ番号Np(s,w1,j)〜Np(s,w
max,j)、振幅Hp(s,w1,j)〜Hp(s,w
max,j)及び回転角度RAp(s,w1,j)〜RAp(s,w
max,j)に加えて、下記表5に示す正側の色データCrp(s,wk,j)が内部メモリ67aに追加される。
また、前記表2に示す負側のデータ番号Nn(m,w1,j)〜Nn(m,w
max,j)、振幅Hn(m,w1,j)〜Hn(m,w
max,j)及び回転角度RAn(m,w1,j)〜RAn(m,w
max,j)に加えて、下記表6に示す負側の色データCrn(m,wk,j)が内部メモリ67aに追加される。
なお、前記色データCrp(s,wk,j),Crn(m,wk,j)の割り当てにおいては、白、青、黄、桃及び赤を用いたが他の色を用いてもよい。また、色を異ならせるのに代えて、又は加えて、異なる明度(例えば、パーソナルコンピュータ画面の0〜255段階の明度)を割り当ててもよい。さらに、色彩又は明度を異ならせるのに代えて、又は加えて、異なる模様を割り当ててもよい。さらに、前記実施形態では、振幅Hp(s,w1,j),Hn(m,w1,j)を5段階に振り分けたが、さらに多くの段階又は少ない段階に振り分けてもよい。この場合、振り分けの段階数に応じて、色、明度又は模様の数を異ならせるとよい。
次に、マイクロコンピュータは、ステップS622にて、信号長wkが最小の信号長w1に関する正側及び負側の振幅平均値AveHp(w1,j),AveHn(w1,j)と、信号長wkが最大の信号長w
maxに関する正側及び負側の振幅平均値AveHp(w
max,j),AveHn(w
max,j)とを用いて、評価値HY(1,j),HY(2,j),HY(3,j)をそれぞれ計算する。なお、変数j(1,2・・・p)は、評価半径位置を表す。具体的には、最大信号長w
maxの正側の振幅平均値AveHp(w
max,j)に対する、最大信号長w
maxにおける正側の振幅平均値AveHp(w
max,j)と負側の振幅平均値AveHn(w
max,j)との差(すなわち距離)AveHp(w
max,j)−AveHn(w
max,j)の比を、下記数1に従って評価値HY(1,j)として計算するとともに、内部メモリ67aに記憶する。これは、最大信号長w
maxにおける正側の振幅平均値AveHp(w
max,j)と、負側の振幅平均値AveHn(w
max,j)の差を評価する値であり、値が大きいほど信号の変化が大きいことを示している。
また、最大信号長w
maxにおける正側の振幅平均値AveHp(w
max,j)と負側の振幅平均値AveHn(w
max,j)との差(すなわち距離)AveHp(w
max,j)−AveHn(w
max,j)に対する、最小信号長w1における正側の振幅平均値AveHp(w1,j)と負側の振幅平均値AveHn(w1,j)との差(すなわち距離)AveHp(w1,j)−AveHn(w1,j)の比を、下記数2に従って評価値HY(2,j)として計算するとともに、内部メモリ67aに記憶する。これは、最小信号長w1における正側と負側の振幅間距離の、最大信号長w
maxにおける正側と負側の振幅間距離に対する割合を評価する値であり、値が大きいほど、最大信号長の振幅と最小信号長の振幅との差が小さいことを示している。なお、この評価値は、一般的に変調振幅と呼ばれるものである。
また、最大信号長w
maxにおける正側の振幅平均値AveHp(w
max,j)と負側の振幅平均値AveHn(w
max,j)との差(すなわち距離)AveHp(w
max,j)−AveHn(w
max,j)に対する、最大信号長w
maxにおける正側の振幅平均値AveHp(w
max,j)と負側の振幅平均値AveHn(w
max,j)の中央値{AveHp(w
max,j)+AveHn(w
max,j)}/2と、最小信号長w1における正側の振幅平均値AveHp(w1,j)と負側の振幅平均値AveHn(w1,j)の中央値{AveHp(w1,j)+AveHn(w1,j)}/2との差の比を、下記数3に従って評価値HY(3,j)として計算するとともに、内部メモリ67aに記憶する。これは、最大信号長w
maxにおける正側と負側の振幅間距離と対比して、最小信号長w1における正側と負側の振幅中央値と、最大信号長w
maxにおける正側と負側の振幅中央値のずれを表わすもので、両中央値が同じことを示す「0」が望ましい評価値である。なお、この評価値は、一般的にアシンメトリと呼ばれるものである。
さらに、マイクロコンピュータは、ステップS622にて、前記ステップS618の処理によって計算した正側の最大値maxHp(wk,j)及び最小値minHp(wk,j)を用いた下記数4の演算の実行により、最大値maxHp(wk,j)に対する、最大値maxHp(wk,j)と最小値minHp(wk,j)との差maxHp(wk,j)−minHp(wk,j)の比を評価値HY(4,j)として計算する。なお、この場合も、変数j(1,2・・・p)は、評価半径位置を表す。これは、正側における最大振幅値と最小振幅値とのずれを表わすもので、最大及び最小振幅値が同じであることを示す「0」が望ましい評価値である。
前記ステップS622の処理後、マイクロコンピュータは、ステップS624にて評価半径位置を表す変数jに「1」を加算して、ステップS604に戻る。そして、マイクロコンピュータは、ステップS604,S606,S626からなる循環処理により、変数jによって指定される1周分の全てのデータD(1,j),D(2,j)・・D(nj,j)を外部記憶回路66から取り込んで内部メモリ67aに記憶した後、前述のステップS608〜S624からなる処理を実行し続ける。前記処理により、最大の評価半径位置に関する前記ステップS604〜S624の処理が終了して、変数jが最大の評価半径位置を越えた位置を表す値p+1に達すると、ステップS626にて「Yes」と判定して、ステップS628に進む。マイクロコンピュータは、ステップS628にて、信号評価データの生成処理を終了したことを表す終了信号をコントローラ70に出力し、ステップS630にてこの信号評価用データ生成プログラムの実行を終了する。
ふたたび、図5の再生信号評価ルーチンの説明に戻ると、コントローラ70は、ステップS434にて、信号評価回路67からの終了信号に応答して、「Yes」と判定してステップS436に進む。ステップS436においては、コントローラ70は、信号評価回路67が信号評価用データ生成プログラムの実行により生成した全ての評価データを取り込んで、RAM、ハードディスクなどの内部メモリに記憶する。次に、コントローラ70は、ステップS438にて、外部記憶回路66に記憶データのクリアを指示する。外部記憶回路66は、記憶中の全てのデータをクリアする。前記ステップS436,S438の処理後、ステップS440のリターン処理により、コントローラ70は、図2のステップS112の再生信号評価ルーチンの実行を終了する。
次に、コントローラ70は、ステップS114にて、前記取込み記憶した評価データの表示処理を実行する。この表示処理においては、作業者は、入力装置71を操作して、表示内容を指示することにより、評価データを用いた種々の内容が表示装置72に表示される。次に、この表示装置72による表示の具体例について説明する。
例えば、評価半径位置j及び信号長wkを指定して、正側の振幅値の表示を指定すると、コントローラ70は、前記記憶した評価データの中から、評価半径位置j及び信号長wkに関するデータ番号Np(1,wk,j),Np(2,wk,j),Np(3,wk,j)・・・及び振幅値Hp(1,wk,j),Hp(2,wk,j),Hp(3,wk,j)・・・を抽出する。そして、コントローラ70は、表示装置72にて、データ番号Np(1,wk,j),Np(2,wk,j),Np(3,wk,j)・・・に対応した横軸上の位置に、振幅値Hp(1,wk,j),Hp(2,wk,j),Hp(3,wk,j)・・・を順次表示するとともに、各振幅値Hp(1,wk,j),Hp(2,wk,j),Hp(3,wk,j)・・・を曲線で繋げる。この場合、データ番号Np(1,wk,j),Np(2,wk,j),Np(3,wk,j)・・・は光ディスクDKの周方向の特定回転位置からの順番を表わすので、表示装置72には、図9(a)に示すように、評価半径位置j及び信号長wkに関する特定回転位置からの1周分の正側の振幅値の変化が表示される。これにより、正側の振幅値の変化を視覚的に確認できるようになる。
また、この表示状態で、作業者が入力装置71を用いて最大値及び最小値を指定すると、図9(a)の黒丸で示すように、コントローラ70は、前記記憶した評価データの中から最大値maxHp(wk,j)及び最小値minHp(wk,j)を抽出し、前記振幅値Hp(1,wk,j),Hp(2,wk,j),Hp(3,wk,j)・・・の中から、これらの最大値maxHp(wk,j)及び最小値minHp(wk,j)に等しい振幅値Hpを見つけ出して、同振幅値Hpの対応する位置にマーク(例えば、図9(a)の黒丸)を表示する。これにより振幅の最大値及び最小値の位置を視覚的に確認できるようになる。
さらに、負側の振幅値の表示が指定された場合には、コントローラ70は、前記記憶した評価データの中から、評価半径位置j及び信号長wkに関するデータ番号Nn(1,wk,j),Nn(2,wk,j),Nn(3,wk,j)・・・及び振幅値Hn(1,wk,j),Hn(2,wk,j),Hn(3,wk,j)・・・を抽出して、正側の振幅値と同様に、曲線及びマークを表示装置72に表示する。なお、この負側の振幅値に関しては、振幅値Hnは負の値として表示される。これにより、負側の振幅値の変化を視覚的に確認できるようになる。
また、1つの評価半径位置j及び複数の信号長wkを指定して、正側及び負側の振幅値の表示を指定すると、コントローラ70は、前記記憶した評価データの中から、評価半径位置j及び複数の信号長wkに対応した複数組のデータ番号Np,Nn及び振幅値Hp,Hnを抽出する。そして、前記場合と同様に、指定した評価半径位置jの複数の信号長wkに関する特定回転位置から1周分の正側及び負側の振幅値の変化が表示される。図9(b)は、この複数の振幅値の変化の表示状態を示している。この表示状態で、作業者が入力装置71を用いて平均値を指定すると、コントローラ70は、前記記憶した評価データの中から平均値AveHp(wk,j),AveHn(wk,j)を抽出する。そして、コントローラ70は、図9(b)に破線で示すように、前記振幅値の変化に平均値AveHp(wk,j),AveHn(wk,j)を破線で加えて表示する。なお、この場合において、作業者が最小の信号長w1と最大の信号長wmaxを指定すれば、変調振幅及びアシンメトリを視覚的に確認することができる。
また、このとき、前記評価半径位置j及び複数の信号長wkを指定するのに加えて、再生信号波形を同時に表示することを指定すれば、図9(b)に図8(a)の再生信号波形が重ねて表示される。この場合、振幅の変化と、再生信号波形の表示色を異ならせるとよい。これによれば、信号長ごとの振幅の変化を再生信号波形と対比させて視覚的に確認できる。また、この場合も、最大値、最小値及び平均値を指定することにより、最大値、最小値及び平均値を再生信号波形と対比させて視覚的に確認できる。
また、複数の評価半径位置j及び1つの信号長wkを指定して、正側(又は負側)の振幅値の表示を指定すると、コントローラ70は、前記記憶した評価データの中から、複数の評価半径位置j及び1つの信号長wkに関するデータ番号Np(又はNn)及び振幅値Hp(又はHn)を抽出する。そして、コントローラ70は、表示装置72にて、図9(c)に示すように、複数の評価半径位置j及び1つの信号長wkに関する特定回転位置から1周分の正側の振幅値の変化を表示する。この場合、評価半径位置jごとに、振幅値の表示色を異ならせるとよい。これによれば、複数の評価半径位置に関する振幅値の変化を視覚的に同時に確認できるようになる。
さらに、振幅の変化を光ディスクDKの盤面に対応させて2次元表示すなわちマップ表示させたい場合、作業者は、入力装置71を用いて、信号長wkと正側(又は負側)のマップ表示を指定する。この場合、コントローラ70は、評価データの中から、回転角度RAp(1,wk,j),RAp(2,wk,j),RAp(2,wk,j)・・・及び色データCrp(1,w1,j),Crp(2,w1,j),Crp
(3,w1,j)・・・(又は回転角度RAn(1,wk,j),RAn(2,wk,j),RAn(2,wk,j)・・・及び色データCrn(1,wk,j),Crn(2,wk,j),Crn(3,wk,j)・・・)を抽出する。この場合、変数jは、1,2・・・pの全ての値をとる。そして、コントローラ70は、表示装置72にて、変数jによって指定される評価半径位置及び回転角度RAp(1,wk,j),RAp(2,wk,j),RAp(2,wk,j)・・・(又は回転角度RAn(1,wk,j),RAn(2,wk,j),RAn(2,wk,j)・・・)により指定される光ディスクDK上の位置を、色データCrp(1,w1,j),Crp(2,w1,j),Crp
(3,w1,j)・・・(又は色データCrn(1,wk,j),Crn(2,wk,j),Crn(3,wk,j)・・・)により指定される色で着色表示する。この場合、評価半径位置jと両側の評価半径位置j−1,j+1との各中間位置で挟まれた区間を評価半径位置jとし、回転角度RAp(1,wk,j),RAp(2,wk,j),RAp(2,wk,j)・・・に関しても、回転角度RApと両隣りの回転角度RApとの各中間位置で挟まれた区間を1つの回転角度とすればよい。図10は、このマップ表示状態を示す図である。これにより、光ディスクDKの盤面全体における信号長ごとの振幅の変化を視覚的に同時確認できる。
このような表示による光ディスクDKの視覚的な評価後、作業者が入力装置71を用いて表示処理の終了を指示すると、コントローラ70は、ステップS114の表示処理の実行を終了する。なお、前記評価データの表示処理に関しては、図2のメインプログラムを実行することなく単独で実行することも可能である。すなわち、評価データは、RAM、ハードディスクなどの内部メモリに記憶されているので、作業者はこの記憶されている評価データを用いた前記表示処理をいつでも行って、光ディスクDKの評価を行うことができる。さらには、前記図7のステップS622で計算した評価値HY(1,j)〜HY(4,j)を前述の各種表示に加え又は単独で表示装置72に表示するとよい。前記ステップS114の処理後、コントローラ70は、ステップS114にて装置作動停止ルーチンを実行する。
この装置作動停止ルーチンは図6に詳細に示されており、その実行がステップS500にて開始される。この実行開始後、コントローラ70は、ステップS502にて、カウント回路21の作動を停止させる。次に、コントローラ70は、フォーカスサーボ回路55、トラッキングサーボ回路57、スレッドサーボ回路60及びフィードモータ制御回路23の作動停止を指示して、フォーカスサーボ制御、トラッキングサーボ制御及びフィードモータ12による光スポットの半径方向への移動を停止させる。次に、コントローラ70は、ステップS506にてレーザ駆動回路41の作動停止を指示して、レーザ光源31からのレーザ光の出射を停止する。さらに、コントローラ70は、ステップS508にてスピンドルモータ制御回路22に作動停止を指示して、スピンドルモータ11の回転も停止する。その後、コントローラ70は、ステップS510のリターン処理により、図2のステップS116の装置作動停止ルーチンの実行を終了して、ステップS118にてメインプログラムの実行を終了する。
上記の動作する実施形態によれば、振幅値の変動状態を信号長(既定パルス幅)ごとに視覚的に確認することができ、評価値だけでは分からない振幅値の変動状態を簡単に確認できて、光ディスクDKの再生信号を簡単かつ適切に評価できるようなる。
以上、本発明の実施形態について詳しく説明したが、本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変形も可能である。
例えば、上記実施形態では、光ディスクDKに記録されているディジタルデータの中のアドレスデータから予め設定した特定アドレスを検出することにより、又は光ディスクDKのレーベル面LBに設けた特定のマーク又は模様を検出することにより、光ディスクDKの特定回転位置を検出するようにした。しかし、これに代えて、光ディスクDKのバースト・カッティング・エリア(BCA)にレーザ光を照射し、BCAからの反射光を受光してBCAに記録されたデータ(すなわち、光ディスクDKの識別コード、具体的にはバーコードで記録されたBCAコード)の特定位置を検出することにより、光ディスクDKの特定回転位置を検出するようにしてもよい。具体的には、BCAコードの開始位置又は終了位置を光ディスクDKの特定回転位置とすることができる。
BCAコードの開始位置又は終了位置を特定回転位置として検出するには、具体的には次のように行う。パルス信号がハイレベルからローレベルに変化するごとに検出信号をコントローラ70に出力する回路を設け、この回路に2値化回路62が出力する2値化信号を入力させるようにする。そして、コントローラ70は、検出信号が入力するごとに、カウント回路21が出力するカウント値を順に取得するようにし、順に取得したカウント値の中で隣同士のカウント値の差が大きいカウント値をBCAコードの終了位置及び開始位置のカウント値とする。これにより、BCAコードの開始位置又は終了位置を特定回転位置としたときのカウント値が取得される。
また、上記実施形態においては、1つの半径位置ごとに光ディスクDKの1回転分のアナログ再生信号を取得するようにしたが、1つの半径位置ごとに光ディスクDKの複数回転分の再生信号を取得して、取得したデータを平均して光ディスクDKの1回転分のデータとするようにしてもよい。この場合、光ディスクDKが1回転するごとに、元の位置にトラックジャンプすることにより、複数回転分のデータを取得すればよい。これによれば、より高精度の波形表示を行えるとともに、高精度の評価値を取得できるようになる。
また、上記実施形態では、複数の半径位置における再生信号を取得する際に、フォーカスサーボ、トラッキングサーボ及びスレッドサーボを停止して半径方向の移動を行うようにした。しかし、これに代えて、再生信号を取得する半径位置の間隔が短い場合には、トラックジャンプを繰り返して半径位置を変えるようにしてもよい。これによれば、光ディスクDKの検査に必要な時間を短縮することができる。
また、上記実施形態では、光ディスクDK(すなわち、ターンテーブル13)を移動させることにより、光ディスクDKに対するレーザ光照射位置を光ディスクDKの半径方向に移動させるようにした。しかし、これに代えて、光ピックアップ装置30を光ディスクDKの半径方向に移動させることにより、光ディスクDKに対するレーザ光照射位置を光ディスクDKの半径方向に移動させるようにしてもよい。
また、上記実施形態においては、光ディスクDKの検査装置に本発明を適用するようにした。しかし、これに代えて、光ディスクDKに記録されたデータのアナログ再生信号を評価することにより、光ピックアップを評価する装置に本発明を適用するようにしてもよい。
さらに、上記実施形態では、光ディスクDKのデータ記録部に記録されたディジタルデータのアナログ再生信号の評価に関して説明した。しかし、これに限らず、光ディスクDKのBCAに記録されたBCAコード(識別コード)の再生アナログ信号を評価する際にも、本発明は適用できる。この場合、BCAコードをアナログ再生して、このアナログ再生信号を上記実施形態と同様に所定のサンプリングレートでサンプリングするとともに、A/D変換する。そして、このA/D変換されたディジタルデータを用いて、BCAコードのアナログ再生波形信号を表示装置72に表示するようにすればよい。しかし、BCAコードのアナログ再生信号のパルス幅は大きく瞬時値が大きく変動するので、スムージング処理などの補正処理を施して、表示波形信号を滑らかにするとよい。また、このBCAコードのアナログ再生信号波形においては、各パルス幅ごとに、上述した振幅値に相当する極大値及び極小値を求めて同時に表示するようにするとよい。この場合も、BCAコードのアナログ再生信号のパルス幅は大きく瞬時値の変動が大きいので、隣り合う極大値間の差及び隣り合う極小値間の差が小さい場合には、大きい方の極大値及び小さい方の極小値のみ採用して、各パルス状信号に対して1つの極大値及び極小値のみを表示するようにするとよい。
11…スピンドルモータ、12…フィードモータ、13…ターンテーブル、21…カウント回路、24…半径位置検出回路、30…光ピックアップ装置、55…フォーカスサーボ回路、57…トラッキングサーボ回路、60…スレッドサーボ回路、63…復号回路、64…A/D変換器、65…クロック信号発生回路、66…外部記憶回路、67…信号評価回路、68…光強度センサ、69…特定位置検出回路、70…コントローラ、71…入力装置、72…表示装置