JP2009265180A - 撮像装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】像振れ補正を行うに際して、姿勢検出の誤検出を防ぐことができる撮像装置を提供する。
【解決手段】像振れ補正機能が作用する毎に、可動部材の移動可能領域に対して、球部材407が転動する受部428の球受面の変形の度合いを球部材の位置を変える(Cen→Cen13、Cen→Cen23、Cen→Cen33、Cen→Cen43)ことにより調査し、最も変形の度合が小さい領域を、可動部材の移動可能領域として新たに切り換える移動可能領域切換手段を有する。
【選択図】図7

Description

本発明は、像振れ補正機能を有する撮像装置に関するものである。
スチルカメラ、ビデオカメラに代表される撮像装置において、その装置に外部から加えられた振れ(振動)を補正する方式として、以下の方式がある。つまり、シフトレンズ(補正レンズ)を光軸に垂直な面内で駆動する光学式像振れ補正方式、撮像素子を光軸に垂直な面内で駆動する撮像素子式像振れ補正方式等である。これらの方式では、振れの度合いを検出するセンサからの信号に対して、所定の周波数遮断を行う処理と、入出力の単位を合わせるための積分処理を中心とした演算を行う処理とにより、像振れ補正量を算出している。
ここで、振れの度合いの検出には角速度センサがよく用いられている。該角速度センサは、圧電素子等の振動材を一定周波数で振動させ、回転運動成分により発生するコリオリ力による力を電圧に変換して角速度情報を得ている。この振れを検出する方向としては、図10に示すように、撮像装置を直交座標系の中心に配置した時、縦方向(ピッチ)と横方向(ヨー)が一般的である。
光学式像振れ補正方式は、光軸に垂直な平面内で移動する像振れ補正用の補正手段としてのシフトレンズを像振れ補正量だけ移動させることにより、撮像素子上に結像された画像から像振れを取り除くものである。また、撮像素子式像振れ補正方式は、光軸に垂直な平面内で移動する像振れ補正用の補正手段としての撮像素子を像振れ補正量だけ移動させることにより、画像から像振れを取り除くものである。何れの方式であっても本発明の対象となるので、光学式像振れ補正方式の構成を代表例として、以下に説明する。
光学式像振れ補正方式を具備する撮像装置では、先ず、像振れ補正量分の移動をシフトレンズ駆動部へ指令して、制御対象であるシフトレンズを目標位置まで駆動させる。そして、シフトレンズが目標位置に達したときに、該シフトレンズの実位置を取得する。そして、これら目標位置と実位置の偏差をゼロにするようなフィードバック(帰還)制御を行っている。
一般にフィードバック制御では、PID制御と呼ばれる制御方法が用いられている。D制御(微分制御)は、P制御(比例制御)の過補償によるゲイン余裕および位相余裕の低下を改善し、フィードバック制御の安定性を向上させるために用いられる。I制御(積分制御)は、フィードバック制御のオフセット特性を改善するために用いられる。これらP制御、I制御及びD制御を、必要に応じて選択して組み合わせるようにしたフィードバック制御をPID制御と呼ぶ。
これらの結果、像振れをキャンセルする方向にシフトレンズが駆動され、像振れ補正が行われる。
ここで、特許文献1によると、取得されたシフトレンズの駆動力に関する信号の変化を検出することで、撮像装置の姿勢を判定するようにしている。上記像振れ補正装置の機構の望ましい特性としては、
1)摩擦が小さく、目標への追従が良いこと
2)共振周波数を設計者が操作しやすいこと
などが挙げられる。
これらを実現する機構として、特許文献2が提案されている。特許文献2に開示された機構の特徴は、シフトレンズを保持する可動部材と固定部材との間に複数の球を挟持し、弾性体で押圧していることである。このような構成とすることで、可動部材を転がり摩擦によって駆動でき、摩擦力を軽減できる。また、可動部材の重量と弾性体の弾性係数の比によって共振周波数が決まるので、目標とする共振周波数を容易に得ることができる。結果として、良好な制御性を得て、小さな振動に対しても適切に応答できる機構を実現している。
上記の特許文献2に示す機構では、球部材であるボールが常に転がりの状態にあることが望ましい。ボール受部の端面に接触した状態ではすべり摩擦に移行してしまい、追従性が低下するためである。
そこで、特許文献2では、予め最大移動量または実移動量分動かして初期化することを開示している。また、特許文献3には、像振れ補正装置の初期化タイミングとして、電池の抜き差しに連動して行うことが開示されている。
特許第2960796号公報 特開2001−290184号公報 特開平7−270846号公報
上記特許文献2や3によると、予め最大移動量または実移動量分動かして初期化することが可能である。しかしながら、撮像装置に長時間の振動、落下のような外力による強い衝撃が加わると、ボールとボール受面に圧力が加わる事がある。それにより、面が荒れたり、打痕がついたりしまう事がある。像振れ補正を行っている状態で、シフトレンズの駆動力に関する信号に基づいて撮像装置の姿勢を検出している場合、この面荒れや打痕により駆動力が変わり、姿勢検出において誤検出してしまう虞があった。
(発明の目的)
本発明の目的は、像振れ補正を行うに際して、姿勢検出の誤検出を防ぐことのできる撮像装置を提供しようとするものである。
上記目的を達成するために、本発明は、振れ度合いを検出する振れ検出手段と、像振れ補正用の補正手段を保持する可動部材と、光軸に垂直な平面内で前記可動部材を移動可能に支持する固定部材と、前記可動部材と前記固定部材との間に狭持され、前記可動部材と前記固定部材の少なくとも一方の面に形成された受部内で転動しつつ、前記固定部材に対して前記可動部材を移動させる球部材と、前記振れ度合いに応じて前記可動部材の目標位置を算出する目標位置算出手段と、前記可動部材の位置を検知する位置検知手段と、前記固定部材に対して、前記可動部材を、移動可能として規定される移動可能領域内で移動させる駆動手段と、前記可動部材の位置が前記目標位置算出手段によって算出された目標位置に収束するように帰還を行う帰還制御手段とを有する撮像装置において、像振れ補正機能が作用する毎に、前記可動部材の移動可能領域に対して、前記球部材が転動する前記受部の球受面の変形の度合いを前記球部材の位置を変えることにより調査し、最も変形の度合が小さい領域を、前記可動部材の移動可能領域として新たに切り換える移動可能領域切換手段を有する撮像装置とするものである。
本発明によれば、像振れ補正を行うに際して、姿勢検出の誤検出を防ぐことができる撮像装置を提供できるものである。
本発明を実施するための最良の形態は、以下の実施例に示す通りである。
図1は本発明の一実施例に係る像振れ補正機能を有する撮像装置の電気的構成を示すブロック図である。この撮像装置は、主に静止画像の撮影を行うためのデジタルカメラである。
図1において、101はズームユニットであり、変倍を行うズームレンズを含む。102はズーム駆動制御部であり、ズームユニット101を駆動制御する。103は光軸に対して垂直な平面での位置を変更することが可能な振れ補正光学系としてのシフトレンズである。104はシフトレンズ駆動制御部であり、シフトレンズ103を駆動制御する。また、省電力時にはシフトレンズ103への電源供給を停止する。
105は絞り・シャッタユニットである。106は絞り・シャッタ駆動制御部であり、絞り・シャッタユニット105を駆動制御する。107はフォーカスユニットであり、ピント調節を行うレンズを含む。108はフォーカス駆動制御部であり、フォーカスユニット107を駆動制御する。109は撮像素子が用いられる撮像部であり、各レンズ群を通ってきた光像を電気信号に変換する。
110は撮像信号処理部であり、撮像部109から出力された電気信号を映像信号に変換処理する。111は映像信号処理部であり、撮像信号処理部110から出力された映像信号を用途に応じて加工する。112は表示部であり、映像信号処理部111から出力された信号に基づいて、必要に応じて画像表示を行う。113は表示制御部であり、撮像部109および表示部112の動作および表示を制御する。114は姿勢情報制御部であり、映像信号処理部111および表示部112に対して撮影装置の姿勢を設定する。
115は電源部であり、システム全体に用途に応じて電源を供給する。116は外部入出力端子部であり、外部との間で通信信号及び映像信号を入出力する。117はシステムを操作するための操作部である。118は記憶部であり、映像情報など様々なデータを記憶する。119はシステム全体を制御する制御部である。
次に、上記の構成を持つ撮像装置の動作について説明する。
操作部117にはシャッタレリーズボタンを含んでおり、該シャッタレリーズボタンが約半分押し込まれることによりスイッチSW1がオンし、シャッタレリーズボタンが最後まで押し込まれたときにスイッチSW2がオンする構造となっている。
上記スイッチSW1がオンされると、フォーカス駆動制御部108によりフォーカスユニット107が駆動されてピント調節が行われるとともに、絞り・シャッタ駆動制御部106により絞り・シャッタユニット105が駆動されて適正な露光量に設定される。さらにスイッチSW2がオンされると、撮像部109に露光された光像から得られた画像データが記憶部118に記憶される。このとき、操作部117より像振れ補正機能オンの指示があれば、制御部119によりシフトレンズ駆動制御部104に像振れ補正動作の指示がなされる。これにより、シフトレンズ駆動制御部104が像振れ補正機能オフの指示がなされるまでシフトレンズ103を駆動して像振れ補正動作を行うことになる。
また、操作部117の操作が一定時間操作されなかった場合、制御部119は省電力のためにディスプレイの電源を遮断する指示を出す。
また、操作部117により、静止画撮影モードと動画撮影モードとのうちの一方を選択可能となっており、それぞれのモードにおいて各駆動制御部の動作条件を変更することができる。
尚、操作部117に対してズームユニット101に含まれるズームレンズによる変倍の指示があると、制御部119を介して指示を受けたズーム駆動制御部102がズームユニット101を駆動して、指示されたズーム位置にズームレンズを移動する。それとともに、撮像部109から送られた各信号処理部110,111にて処理された画像情報に基づいて、フォーカス駆動制御部108がフォーカスユニット107を駆動してピント調節を行う。
図2は、図1に示すシフトレンズ駆動制御部104およびその前段の内部構成を示すブロック図である。
図2において、201はピッチ方向ジャイロ部であり、通常姿勢(画像フレームの長さ方向が水平方向とほぼ一致する姿勢)の撮像装置の垂直方向(ピッチ方向)の振れを検出する。202はヨー方向ジャイロ部であり、通常姿勢の撮像装置の水平方向(ヨー方向)の振れを検知する。203,204はそれぞれ、ピッチ方向、ヨー方向の駆動目標位置を決定する防振制御部であり、状況に応じて像振れ補正(防振)制御、シフトレンズ位置制御を行う。
205,206はフィードバック制御を行うPID部であり、ピッチ方向、ヨー方向それぞれの補正位置制御信号とシフトレンズ103の位置を示す位置信号との偏差から制御量を求め、位置指令信号を出力する。207,208はそれぞれドライブ部であり、PID部205,206から送られた位置指令信号に基づき、シフトレンズ103を駆動する。209,210はそれぞれホール素子であり、シフトレンズ103のピッチ方向、ヨー方向の位置を検知する。
次に、シフトレンズ駆動制御部104によるシフトレンズ103の位置制御について説明する。
シフトレンズ103の位置制御では、ピッチ方向ジャイロ部201、ヨー方向ジャイロ部202からの撮像装置のピッチ方向、ヨー方向の振れを表す振れ信号(角速度信号)に基づいて、それぞれの方向にシフトレンズ103を駆動させる。シフトレンズ103には磁石が一体的に付けられており、この磁石の磁場をホール素子209,210で検知し、シフトレンズ103の実位置を示す位置信号がPID部205,206へそれぞれ送られる。PID部205,206は、これらの位置信号が、防振制御部203,204から送られる補正位置制御信号にそれぞれ収束するようなフィードバック制御を行う。
尚、ホール素子209,210から出力される位置信号には個体ばらつきがあるため、規定の補正位置制御信号に対して、シフトレンズ103が規定の位置に移動するように、該ホール素子209,210の出力調整を行う必要がある。このとき、PID部205,206では比例制御と積分制御と微分制御とを選択的に組み合わせたPID制御を行う。また、PID部205,206で用いられる信号を用いて姿勢検出部211により撮像装置の姿勢検出が行われる。
防振制御部203,204は、ピッチ方向ジャイロ部201、ヨー方向ジャイロ部202からの振れ信号に基づき、撮像装置の振れによる像振れを補正する方向にシフトレンズ103の位置を移動させるための補正位置制御信号(駆動目標位置)をそれぞれ出力する。これにより、撮像装置に手振れなどが発生しても像振れを補正することができる。
図3は、図2に示すシフトレンズ駆動制御部104の内部にあるPID部205の詳細な構成およびその周辺の構成を示すブロック図である。尚、PID部206も同様な構成であるので、ここではPID部205についてのみ説明する。
防振制御部203の出力値である補正位置制御信号とホール素子209の出力値である位置信号をA/D変換部308にてA/D変換することにより、デジタル信号としての実位置との差分が偏差算出部302により算出される。この偏差は比例制御(P制御)部303と微分制御(D制御)部304と積分制御(I制御)部305においてそれぞれ演算される。比例制御部303では偏差をゼロに近づける、即ち目標位置である像振れ振れ位置と実位置とを近づけるための制御が行われる。しかしながら、比例制御部303のみでは定常的に偏差にオフセット成分が乗るため、積分制御部305によりオフセット成分をゼロに漸近させる(除去する)制御が行われる。
撮像装置の姿勢が変化した場合、即ちシフトレンズ103に加わる重力の方向が変化した場合、前記オフセット成分はシフトレンズ103の実位置と同様に、姿勢変化に応じた変動を示す。
ここで、姿勢変化に応じた変動とは、カメラ姿勢が正位置の場合は、図10のY軸マイナス方向へ重力が掛かる。そのためシフトレンズ103のY軸の実位置は、中心位置に対して積分制御で算出されたオフセット分マイナスの位置にある。つまり、Y軸に対してプラス方向にオフセット成分が生じる。次に、カメラ姿勢が左方向に回転して縦位置に変化した場合、図10のX軸マイナス方向へ重力が掛かる。そのため、シフトレンズ103のX軸の実位置は、中心位置に対して積分制御で算出されたオフセット分マイナスの位置にある。つまり、X軸に対してプラス方向にオフセット成分が生じる。
この関係はカメラ姿勢が右方向に回転して縦位置になった場合、カメラ姿勢が逆位置になった場合でも同様に説明できる。実位置、偏差の積分制御部305の出力は姿勢判定のため、姿勢検出部211へ渡される。
また、シフトレンズ103の応答性を高めるために偏差に対して微分制御部304による制御が行われる。最終的に比例制御部303の結果と微分制御部304の結果と積分制御部305の結果が和算出部306により加算され、D/A変換部307によりアナログ信号としてドライブ部207へ渡され、シフトレンズ103が駆動される。
図4は、光学式像振れ補正装置の所要部分の構成を示す分解斜視図である。
図4において、401は像振れ補正装置の基台であるベースであり、シャッタ機構、NDフィルタ機構も同時に固定保持されている。ベース401には一体的に2つのフォロワピン402が設けられ、また不図示の可動フォロワピンが備えられている。そして、ベース401の径方向外側にある不図示のカム筒の3本のカム溝に前述の3つのフォロワピンが嵌合してカム溝に沿って光軸方向に進退するようになっている(詳細は省略)。
406はシフトレンズ(図1のシフトレンズ103に相当)であり、シフトレンズホルダ416に不図示のカシメ爪によって一体的に保持されている。403はシフトレンズ406を通過する光束を制限する開口部を備えたレンズカバーであり、側面に伸びた3カ所の腕部404それぞれに開口405が設けられている。そして、シフトレンズホルダ416の側面3カ所に設けられた突起415と嵌合することにより、シフトレンズホルダ416に一体的に保持される。シフトレンズホルダ416にはマグネット(磁石)412,413が一体的に保持されている。
シフトレンズホルダ416は3つのボール(転動ボール)407を介してベース401に圧接されており、ボール407が転がることにより該シフトレンズホルダ416が光軸に垂直な面内で自由に移動することが可能になっている。この方式だとガイドバーで案内する方式に比べてより微小な振幅で、より高周期の振動を実現できる効果があり、高画素化するデジタルカメラにおいても良好な補正を行うことが可能になる。
414はシフトレンズホルダ416をベース401に向かって付勢するスラストスプリング、417,418はシフトレンズホルダ416の回転を防ぐ為のラジアルスプリングである。スラストスプリング414は引っ張りスプリングであり、シフトレンズホルダ416の引掛爪415に一端が係合し、他端はベース401の不図示の引掛爪に係合していて付勢力を与えている。408,409はコイル、410,411はコイル408,409を保持する樹脂製のボビンであり、先端に金属製のピンが一体的に構成されていて、コイル408,409の端部が絡げられている。この金属ピンに後述のフレキシブルプリント基板の導通パターンを半田することで、制御部119の制御により電源115から電力を供給されている。
424はコイル408,409に電力を供給する為のフレキシブルプリント基板(以下、FPC)であり、ランド425において金属ピンを介してコイル408,409が半田で電気的に接続されている。422,423は磁界の変化を検知する為のホール素子(図2のホール素子209,210に相当)であり、マグネット412,413に近接して配置されて該マグネット412,413の移動に伴う磁界の変化を検知する。そして、この検知出力が移動量を算出するのに用いられる。ホール素子422,423もまたFPC424に実装されており、該FPC424によって電力が供給されている。
427はシャッタ及びNDフィルタの駆動部に電力を供給する為のFPCである。420はFPC424,427を固定する為のFPCホルダであり、円柱の突起421にFPC424,427の穴が圧入されて該FPC424,427が位置決めされ、固定される。
図5は、像振れ補正装置を被写体側から見た正面図である。図5において、428はシフトレンズ406近傍に配置されるボール407が成す三角形の頂点に配置された該ボール407の受面を有するボール受部である。実施例1では、球部材であるボール407にセラミックを、ボール受部428にモールド材を、それぞれ使用している。
図6(a)は、ボール受部428内のボール407の配置を立体的に示したイメージ図であり、図6(b)は、図6(a)を被写体側から見た正面図である。図6(b)の正面図において、ボール407とボール受部428の接点はボール407の中心と一致している。尚、ボール受部428はシフトレンズ406近傍のボール407が成す三角形の頂点にそれぞれ配置されているが、このボール受部428とボール407の3つの組み合わせは同じ構成であるため、以後の説明は任意の一つの組み合わせについて述べる。
図7(a),(b)は、ボール受部428の受面の変形等の度合いを調査する方法(スキャン)を示したイメージ図である。
図7(a),(b)にはスキャン範囲としてボール受部428の一部を示しており、予め最大移動量または実移動量分動かして初期化動作が完了している状態、即ちボール受部428の端面にボール407が接触して、すべり摩擦に移行していない状態である。以下、1回分のスキャンを説明するが、複数回のスキャンに関しては、スキャン開始位置が異なるだけで、同様の操作の繰り返しとなる。
ボール407を動かす方法は、シフトレンズ406の位置を指令することにより行う。シフトレンズ406とボール407は接触しているため、シフトレンズ406の位置指令に対して、ボール407はその指令分だけ転がることになる。光軸と垂直な平面内におけるシフトレンズ406の位置は、レンズ群における光学性能へ影響を与える。例として、解像度、コントラスト、周辺光量(シェーディング)であり、これらの光学性能はシフトレンズ406が光軸より離れれば離れる程、劣化する傾向にある。そのため、光学性能が所定レベル以下にならない程度でシフトレンズ406の位置を指令する。
図7(a)では、最初にあるボール407とボール受部428の接点をCenとする。シフトレンズ406の位置指令が、指令中心から指令11→指令12→指令13へ向かうに従い、接点はCenからCen11→Cen12→Cen13と上方へ向かって動く(スキャンを行う)。指令中心、指令11、指令12、指令13は実移動量分を等分割しているため、Cen11,Cen12,Cen13も実移動量分を等分割した接点となる。
ここで、ボール407が転動するボール受部408の受面の変形の度合いは、シフトレンズ406の位置を検出するホール素子422,423の各スキャン位置での出力値と所定変化率とを比較して算出される。図3では、ホール素子209の出力値がA/D変換部308およびPID制御部205を経由して位置近傍調査部309に入力され、ここで出力値と所定変化率とが比較される。
また、ボール407が転動するボール受部408の受面の変形の度合いは、位置近傍調査部309にて、PID制御部205内の積分制御部304の出力値の各スキャン位置での出力値と所定変化率とを比較することでも算出可能である。
図8(a),(b)は、シフトレンズ406の位置指令に対する位置検知の出力又は積分制御の出力を示した図であり、それぞれX軸が位置指令、即ち接点の指令であり、Y軸が位置検知の出力又は積分制御の出力である。図8(a),(b)では、線形性のある所定幅を有した領域が設定されている。接点における位置検知の出力、又は積分制御の出力が、上記所定幅を有した領域内にある場合、所定変化率内であると判定する。
図8(a)では、Cen,Cen11,Cen12,Cen13は全て所定変化率内にある。それに対して図8(b)では、Cen,Cen13は所定変化率内にあるが、Cen11,Cen12は所定変化率外にあり、それぞれの所定変化率からの乖離をギャップとして、図3の位置近傍調査結果保存部310へ保存する。
図7(a)で上方へのスキャンが終了したところで、一旦最初の指令中心(接点Cen)に戻る。そして、図7(b)のように、指令中心(接点Cen)から指令21(Cen21)、指令22(Cen22)、指令23(Cen23)と左方へ向かって動く(スキャンを行う)。この後の所定変化率との比較の流れは前述した上方と同様であるため省略する。ここで、上方と同様に、Cen,Cen23は所定変化率内にあるが、Cen21,Cen22は所定変化率外にある場合、それぞれの所定変化率からの乖離をギャップとして、図3の位置近傍調査結果保存部310に保存する。
図7(c)は、引き続き指令中心(接点Cen)から指令31(Cen31)→指令32(Cen32)→指令33(Cen33)と下方へ向かって動く。その後、指令中心(接点Cen)から指令41(Cen41)→指令42(Cen42)→指令43(Cen43)と右方へ向かって動き、それぞれスキャンを行った結果である。
今回の例では、スキャン方向は上下左右の4方向のみであるが、放射状に複数の方向へスキャンを行う場合も同様の手順を繰り返すことで実現できる。実移動量分の分割数、放射状の方向、また所定変化率については、ボール407とボール受部428の材質、そして像振れ補正が機能するまでの余裕時間等によってチューニングされるパラメータ値である。
また、前述したように、ボール受部428とボール407の3つの組み合わせのうち、一つの組み合わせに対して説明をしたが、ホール素子209もしくは積分制御部305の出力値は3つを組み合わせた結果である。そのため、何れか一つのボール受部の受面が変形しただけでも、ホール素子209もしくは積分制御部305の出力値は所定変化率外になる場合もある。
これら3つの接点の何れか一つでもスキャンしている接点が変わると、スキャン結果も変わることがあるため、像振れ補正機能が有効となる(作用する)毎にスキャンを行う必要がある。各方向に対してスキャンを終えたところで、全ての接点において所定変化率内にある場合は、図7(a)において最初の接点に対する実移動量の円周内を振れ補正機能に使用することになる。一つでもスキャン結果が所定変化率外にある場合は、指令中心(接点Cen)を他の場所へ移動させ、その接点を中心点としてスキャン動作を継続する。
図9は、接点Cenが、Cen_A〜Cen_Eへと移動させている状態を示している。各円近傍での所定変化率とのギャップを比較することにより、最もギャップの個数が少ない、もしくは、最もギャップの総計量が少ない領域を新たな像振れ補正機能に使用する範囲とする。これにより、シフトレンズ406の駆動力を用いて撮像装置の姿勢を検出する場合、撮像装置に加えられた振動、衝撃によりボール407がボール受部428の受面の変形、つまり打痕、磨耗の影響を最小限に抑えることができる。それにより、撮像装置の姿勢が誤検出されることを回避することができる。
次に、上記スキャンを行う必要のある像振れ補正機能が作用するタイミングとして、撮像装置の電源がオンされた直後のタイミングがあるが、これ以外に、撮像装置のモードが再生モードから撮像モードに切り変った直後のタイミングがある。つまり、撮像装置には、撮影した画像を確認する再生モードと撮影を行う撮影モードが存在する。再生モード時には、撮像装置の省電力化を行うため、シフトレンズ駆動制御部104の電源供給を停止している場合がある。そのため、コイル408,409への通電は行われず、シフトレンズ406は励磁されていないので、この際、ボール受部428内のボール407の位置は不定となっている。そのため、再生モードから撮影モードへ推移した時には、撮像装置の電源投入時と同様に、改めてスキャンを行う必要となる。
さらに、上記キャンを行う必要のある像振れ補正機能が作用するタイミングとして、振れ度合いを検出するピッチ方向ジャイロ部201、もしくはヨー方向ジャイロ部202の出力が所定レベル以上、かつ所定時間以上続いた場合がある。つまり、この場合は、撮像装置に加えられた振動、衝撃によりボール407がボール受部428へ与える打痕、磨耗の影響が甚大であると想定できるので、その状態が収まった段階でスキャンを行う必要がある。
上記実施例によれば、振れ補正機能が作用する毎に、予めシフトレンズ406(103)の移動可能として規定される領域に対してボール407がボール受部428の受面に与える変形の度合いを検出し、最も変形の度合いが小さい領域を探し出す。そして、そこを新たなシフトレンズ406の移動可能領域として切り換えるようにしている。これにより、ボール受部428の受面の面荒れ等の変形が原因で撮像装置の姿勢の誤検出を防ぐことが可能である。
上記の効果を得るために、本実施例の撮像装置は、以下のような構成要素を具備している。撮像装置に加えられた振れ度合いを検出するピッチ方向ジャイロ部201、ヨー方向ジャイロ部202と、光軸に垂直な平面内で移動可能な像振れ補正用の、シフトレンズ403を具備するシフトレンズホルダ416とを有する。さらに、シフトレンズホルダ416を移動可能に支持するベース401を有する。さらに、シフトレンズホルダ416とベース401との間に狭持される。そして、シフトレンズホルダ416とベース401の少なくとも一方の面に形成されたボール受部428内(受部内)で転動しつつ、ベース401に対するシフトレンズホルダ416を移動させるボール407を有する。さらに、検出された振れ度合いに応じてシフトレンズホルダ416の目標位置を算出する防振制御部203,204と、シフトレンズホルダ416の実位置を検知するホール素子209,210とを有する。さらに、ベース401に対して、シフトレンズホルダ416を、移動可能として規定される領域内(移動可能領域内)で移動させるドライブ部207,208を有する。さらに、シフトレンズホルダ416の実位置が防振制御部203,204によって算出された目標位置に収束するように帰還を行うPID制御部205,206を有する。さらに、像振れ補正機能が作用する毎に、シフトレンズホルダ416の移動可能領域に対して、ボール407が転動するボール受部428の受面(球受面)の変形の度合いを、ボール407の位置を変える、つまりスキャンすることにより調査する。そして、最も変形の度合が小さい領域を、シフトレンズホルダ416の移動可能領域として新たに切り換える位置近傍調査部309、位置近傍調査結果保存部310及び防振制御部203を有する。
(本発明と実施例の対応)
ピッチ方向ジャイロ部201及びヨー方向ジャイロ部202が本発明の振れ検出手段に、シフトレンズ403を保持するシフトレンズホルダ416が本発明の可動部材に、ベース401が本発明の枠部材に、それぞれ相当する。また、ボール407が本発明の球部材に、ボール受部428が本発明の受部に、防振制御部203,204が本発明の目標位置算出手段に、ホール素子209,210が本発明の位置検知手段に、それぞれ相当する。また、PID制御部205,206が本発明の帰還制御手段に、位置近傍調査部309、位置近傍調査結果保存部310及び防振制御部203が本発明の移動可能領域切換手段に相当する。また、シフトレンズ103,406が本発明の補正手段に相当する。また、比例制御部303が本発明の比例制御手段に、積分制御部305が本発明の積分手段に、それぞれ相当する。また、球部材の位置を変えるとは、スキャンさせることを意味する。
本発明の一実施例に係る撮像装置の構成を示すブロック図である。 本発明の一実施例に係るシフトレンズ駆動制御部及び前段の内部構成を示すブロック図である。 本発明の一実施例に係るPID制御部及びその周辺の構成を示すブロック図である。 本発明の一実施例に係る像振れ補正装置を示す分解斜視図である。 本発明の一実施例に係る像振れ補正装置を示す正面図である 本発明の一実施例に係るボールとボール受部を示す図である 本発明の一実施例に係るボール受部の受面のスキャンを示す図である 本発明の一実施例に係る位置指令に対する位置検知の出力又は積分制御の出力を示す図である。 本発明の一実施例に係るボール受部の受面のスキャンの他の例を示す図である。 一般的に撮像装置に加わる振れ方向を示した図である。
符号の説明
103 シストレンズ
104 シフトレンズ駆動制御部
114 姿勢情報制御部
117 操作部
201 ピッチ方向ジャイロ部
202 ヨー方向ジャイロ部
203 防振制御部
204 防振制御部
205 PID部
206 PID部
207 ドライブ部
208 ドライブ部
209 ホール素子
210 ホール素子
211 姿勢検出部
302 偏差算出部
303 比例制御部
304 微分制御部
305 積分制御部
306 和算出部
401 ベース
407 ボール
416 シフトレンズホルダ
428 ボール受部

Claims (5)

  1. 振れ度合いを検出する振れ検出手段と、
    像振れ補正用の補正手段を保持する可動部材と、
    光軸に垂直な平面内で前記可動部材を移動可能に支持する固定部材と、
    前記可動部材と前記固定部材との間に狭持され、前記可動部材と前記固定部材の少なくとも一方の面に形成された受部内で転動しつつ、前記固定部材に対して前記可動部材を移動させる球部材と、
    前記振れ度合いに応じて前記可動部材の目標位置を算出する目標位置算出手段と、
    前記可動部材の位置を検知する位置検知手段と、
    前記固定部材に対して、前記可動部材を、移動可能として規定される移動可能領域内で移動させる駆動手段と、
    前記可動部材の位置が前記目標位置算出手段によって算出された目標位置に収束するように帰還を行う帰還制御手段とを有する撮像装置において、
    像振れ補正機能が作用する毎に、前記可動部材の移動可能領域に対して、前記球部材が転動する前記受部の球受面の変形の度合いを前記球部材の位置を変えることにより調査し、最も変形の度合が小さい領域を、前記可動部材の移動可能領域として新たに切り換える移動可能領域切換手段を有することを特徴とする撮像装置。
  2. 像振れ補正機能が作用するタイミングは、電源がオンされた直後のタイミング、再生モードから撮像モードに切り変った直後のタイミング、もしくは、検出された前記振れ度合いを示す出力が所定レベル以上、かつ所定時間以上続いたタイミングであることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
  3. 前記可動部材の移動可能領域は、前記補正手段の光学性能が所定レベル以下にならない程度に前記可動部材を移動させる領域であることを特徴とする請求項1または2に記載の撮像装置。
  4. 前記球部材が転動する前記受部の球受面の変形の度合いは、前記球部材の位置を変える毎に検知される前記位置検知手段の出力値と所定変化率とを比較することにより算出されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の撮像装置。
  5. 前記帰還制御手段は、前記目標位置と前記位置の偏差を無くなるような制御を行う比例制御手段と、該比例制御手段により定常的に発生する偏差のオフセットを除去する積分制御手段とを有し、
    前記球部材が転動する前記受部の球受面の変形の度合いは、前記球部材の位置を変える毎に検出される前記積分制御手段の出力値と所定変化率とを比較することにより算出されることを特徴とする撮像装置。
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