JP2009262059A - 遠心機 - Google Patents
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Abstract
【課題】ロータに設けられた運転実績データを記録する磁気記録媒体を有する遠心機において、磁気記録媒体の磁気皮膜の厚さがばらつくと磁気ヘッドを介して正確なデータを磁気記録媒体に記録、再生することが出来なくなる。本発明の目的は、遠心機のロータの磁気記録媒体に正しい運転実績データを記録することにある。
【解決手段】
制御装置8は、磁気ヘッド10に入力する運転実績データの入力信号電圧(理想値)Siを、ロータ3の回転センサ7から入力される回転検出信号Srに同期して生成し、該入力信号電圧Siに基づいて記憶したデータを、磁気ヘッド10を介して再生パルス信号Spとして再生させた場合、再生データSpと理想値Siとの間にずれ量Wがあれば、同一の入力信号電圧Siによって磁気ヘッド10を介して複数回重ねて磁気記録媒体9に記憶させる。
【選択図】図3
【解決手段】
制御装置8は、磁気ヘッド10に入力する運転実績データの入力信号電圧(理想値)Siを、ロータ3の回転センサ7から入力される回転検出信号Srに同期して生成し、該入力信号電圧Siに基づいて記憶したデータを、磁気ヘッド10を介して再生パルス信号Spとして再生させた場合、再生データSpと理想値Siとの間にずれ量Wがあれば、同一の入力信号電圧Siによって磁気ヘッド10を介して複数回重ねて磁気記録媒体9に記憶させる。
【選択図】図3
Description
本発明は、ロータの運転実績管理が可能な遠心機に関し、特に、ロータの積算運転回数または積算運転時間等の運転実績データを保持できる磁気記録媒体をロータに備える遠心機に関する。
細胞や遺伝子等の試料を収納する遠心機のロータ(回転体)は、高い遠心加速度を必要とするため、例えば、100,000min−1(rpm)の高速で回転させる必要がある。このため、ロータに働く遠心応力が高くなるので、繰り返し使用すると、チタン合金やジェラルミン等から成るロータ材料に疲労破壊が生ずる恐れがある。このため、ロータは、有限の寿命を持つものとして取り扱われ、積算運転回数または積算運転時間(例えば、5,000回または10,000時間)が規定されている。ロータが所定の運転回数または運転時間に達したとき、疲労限界としてその時点で使用を中止し、廃棄することにしている。従って、ロータには寿命があり、ロータを安全に運転させるためには、ロータの運転実績を管理する必要がある。一般に、遠心機本体は各種のロータを着脱可能に装着できるように構成されているので、運転実績は各種のロータ毎に管理することが必要である。
従来のロータの運転実績管理方法としては、下記特許文献1に示されるように、ロータに磁性皮膜を備えた磁気記録媒体を設け、磁気ヘッドでデータの記録および再生を行い、ロータに運転実績データを記録させる方法が提案されている。
かかる従来の遠心機は、遠心分離する試料を収納するロータと、ロータを回転させる駆動モータと、ロータの運転実績データを磁気記録媒体に記録させ、またはその磁気記録媒体から再生させる磁気ヘッドと、ロータの回転速度を測定する回転センサと、これら駆動モータ、磁気ヘッド等を制御する制御装置(コントローラ)と、を具備し、ロータの底部には、磁性皮膜が表面に被着された円筒形の磁気記録媒体が一体化されている。データ記録時には、制御装置に一時的に記憶された、ロータの型式、製造番号、積算運転回数、積算運転時間等の運転実績を示すデジタル情報を、該磁性皮膜に近接して配置される磁気ヘッドを介して、磁性皮膜の円筒外周面に規則的な間隔でSN極に磁化し、データの配列を記録する。また、データ再生時には、該磁性皮膜に近接して配置される磁気ヘッドを介して、規則的な間隔に配列された磁性皮膜の記録情報を制御装置へ読み取ることで、ロータの運転実績を示すデジタル情報を再生することができる。
この場合、磁気ヘッドには狭いギャップを有した磁気コアが設けられ、該コアには制御装置に接続されたコイルが巻かれている。実績データの記録時には、ロータを回転させた状態で、制御装置よりコイルに電流を流すことで、コアギャップから磁界を発生させ、実績データに従って規定された磁極によって磁性皮膜を磁化させる。また、データ再生時には、前記データ記録時と同じ回転速度に保ってロータを回転させることによって、前記磁性皮膜から発せられる磁束を磁気ヘッドに受けて、電磁誘導により起電力を発生させて制御装置により電気信号に変換するものである。また、実績データの磁性皮膜への記録は、下記特許文献2に示されるように、2進数のデジタル情報を、一旦、MFM変調方式の2値化信号に変換し、パルス幅の異なる複数種のパルス信号によって磁気ヘッドを駆動して記録するものがある。
上述した従来の遠心機では、磁気記録媒体がロータに設けられており、かつロータと共に高速で回転するため磁気記録媒体は高速回転に耐えうる強度が必要である。このため、磁気記録媒体は、カセットテープのような柔軟性がなく、データの記録および再生時において磁気ヘッドに接触させることができないため、磁気記録媒体と磁気ヘッドの両者間にある程度の間隙(エアギャップ)を設ける必要がある。このため、次のような問題点が生ずることが分かった。
磁気ヘッドと磁気記録媒体間に設けられた間隙によって磁気ヘッドからの書込磁界が弱くなるため、磁気記録媒体に磁気ヘッドを介して更新データを書換える場合、予め磁性皮膜に記録されている磁束の向きの影響により磁極の間隔にずれが生じる場合がある。このため、記録の前に、磁性皮膜の磁束の向きを一方向にそろえてデータを消去してから、データを記録する必要がある。また、磁気記録媒体の磁性皮膜は、メッキ、蒸着等の被着技術により形成されるが、母材のわずかな傷による凹みや被着技術の条件(例えば、メッキ液のpH)により磁気皮膜の厚さにばらつきが生じ、このため、磁極を反転させるために必要な磁界の大きさである保磁力にばらつきが生じる結果となる。
従って、磁性皮膜の保磁力にばらつきがあり、かつ磁気ヘッドと磁性皮膜の間に間隙を設けた状態でデータを記録する場合、磁気ヘッドから発せられる磁界の強さが不十分になる場合があるため、磁性皮膜を十分に所定の磁極に磁化できず、保磁力のばらつきが磁極間隔のずれとなり、データを正しく記録することができず、正確で安定したデジタル情報の復調ができないという問題を生ずる。
上記問題を解決するため、磁性皮膜の厚さのばらつきを少なくする磁気記録媒体の製造技術も考えられるが、磁気記録媒体の母材に生じるわずかな傷のチェックや、メッキ液のpHや温度等の被着技術の条件を精密に管理する必要があり、製造設備および製造管理の費用が高価になるという問題を生ずる。
さらに、データ記録時において、磁性皮膜に入力データを書込みした後にデータを直ちに再生させて、該再生データを入力データ(理想データ)と比較し、理想データ値とのずれ分(再生誤差分)を補正して再度記録させる方法があるが、一度、最初の再生データを消去させてしまうため、磁性皮膜上のずれた位置(欠陥位置)を特定することができないので、補正記録ができないという問題を生ずる。
従って、本発明の目的は、上記問題点を解消し、ロータに装着された磁気記録媒体に、磁気ヘッドを介して正確に運転実績データを記録または再生することが可能な制御手段を有する遠心機を提供することにある。
本発明の他の目的は、ロータの積算運転回数または積算運転時間等の運転実績データを記憶できる比較的安価な遠心機を提供することにある。
上記課題を解決するために、本願において開示される発明のうち、代表的なものの特徴を説明すれば、次のとおりである。
本発明の一つの特徴によれば、試料を収納した状態でモータによって回転駆動され、かつデータを記録する磁気記録媒体を有するロータと、前記磁気記録媒体のデータを再生または前記磁気記録媒体にデータを記録させるために、前記磁気記録媒体に近接した位置に配設される磁気ヘッドと、前記ロータの回転速度を検出するための回転センサと、前記回転センサの回転検出信号に基づいて前記モータの回転を制御し、かつ前記磁気記録媒体に対しデータの再生またはデータの記録を行うように前記磁気ヘッドを制御する制御装置と、を具備する遠心機において、前記制御装置は、前記磁気記録媒体に前記データの記録を行う場合、前記磁気ヘッドに同一のデータ入力信号を供給することによって、前記磁気記録媒体の所定位置に同一のデータ入力信号を複数回重ねて記憶させるように構成する。
本発明の他の特徴によれば、前記データ入力信号は、ビット信号を複数のパルス幅でMFM変調した2値化信号である。
本発明のさらに他の特徴によれば、前記制御装置は、前記回転センサから入力される前記回転検出信号に同期して前記磁気ヘッドに同一のデータ入力信号を複数回供給するように構成する。
本発明のさらに他の特徴によれば、前記制御装置は、前記データ入力信号を記録するメモリ部を有し、前記磁気記録媒体に記録された前記データ入力信号を、前記磁気ヘッドを介して再生し、該再生出力信号と前記データ入力信号からずれ量を算出し、該ずれ量が許容範囲外であると判別した場合、前記磁気記録媒体の所定位置に同一のデータ入力信号を複数回重ねて記憶させるように構成する。
上記本発明によれば、制御装置は、磁気記録媒体に運転実績データの記録を行う場合、磁気ヘッドに同一のデータ入力信号を供給することによって、磁気記録媒体の所定位置に同一のデータ入力信号を複数回重ねて記憶させるように構成するので、磁界の弱さを補い、十分な磁気エネルギーを与えることができる。これによって磁気記録媒体の磁極間隔のずれを解消することができる。
本発明によれば、制御装置の制御フローの比較的簡単な変更によりロータの運転実績データを正確に記録できるので、比較的安価な遠心機を提供することができる。
本発明の他の目的、ならびに他の特徴および利点は、以下の本明細書の記述および添付図面からさらに明らかにされるであろう。
以下、本発明の実施形態に係る遠心機について図面を参照して説明する。なお、実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明を省略する場合がある。
図1は本発明の実施形態に係る遠心機の全体の断面構造を示す構成図、図2は図1に示した磁気記録媒体と磁気ヘッドの関係を示す拡大構造図、図3は図1に示した遠心機の機能ブロック図をそれぞれ示す。
図1は本発明の実施形態に係る遠心機の全体の断面構造を示す構成図、図2は図1に示した磁気記録媒体と磁気ヘッドの関係を示す拡大構造図、図3は図1に示した遠心機の機能ブロック図をそれぞれ示す。
最初に遠心機の全体の構成について説明する。図1に示すように、遠心機1は、上面から見た断面形状が略四角形を有する筐体(フレーム)2を備え、筐体2の内部には、チューブ等の試料容器(図示なし)を保持するためのチタン合金またはアルミニウム合金等から成るロータ(回転体)3と、ロータ3に回転駆動力を与えるための駆動モータ4と、底部材(プレート)5aおよびチャンバ5bによって区画されたロータ室(回転室)5とを具備し、また、筐体2内に形成されたロータ室5の上部開口部には、ノブ6aによって開閉可能なスライド式ドア6が開閉自在に取付けられている。ドア6は、ロータ3の回転中には、後述する制御装置8(図3参照)によって開放されないようにロックされる。
駆動モータ4は、例えば誘導モータから構成され、ロータ3を、制御装置8によって低速回転または高速回転で駆動することができる。モータ4によって回転駆動されるロータ3の回転速度は、ロータ3の底部に近接して設けられた回転センサ7によって検出される。図3の機能ブロック図に示されるように、回転センサ7の検出値(回転信号)は制御装置(コントローラ)8に入力され、制御部8eはその検出値と設定値とを比較、演算しながら駆動部8fに3相交流電源(例えば、5Hz〜2.6kHz)を生成してモータ4の回転速度を制御する。また、回転センサ7の回転信号は、後述するように、運転実績データの入力信号(パルス信号)に対する同期信号としても使用される。
図2に示されるように、ロータ3の底部には、円筒形の磁気記録媒体9が設けられている。円筒形の磁気記録媒体9は、円筒状のアルミニウム基板9aの上にメッキ、蒸着等の被膜技術によって形成された磁性皮膜(磁性メモリ薄膜)9bと、その上に形成されたコーティング膜(保護膜)9cと、を含む。磁気記録媒体9に運転実績データを書込または読出するための磁気ヘッド10は、水平方向Xに前進および後退可能な移動部材10aに固定されており、書込時(記録時)または読出時(再生時)において、後述する制御装置8からの指令によって、磁気記録媒体9に近接してこの間に電磁誘導を起こすための適切な間隙(エアギップ)を確保する。円筒形の磁気記録媒体9と磁気ヘッド10は一種のハードディスクメモリとして動作し、両者間の電磁誘導により、磁気記録媒体9は、その円筒状磁気皮膜9bの円周に沿って規則的な間隔で所定方向にSN磁極が磁化されており、運転実績データを記録できる。この場合、磁性皮膜9bの厚さd1(例えば、9μm)は、磁気皮膜9bと磁気ヘッド10の離間距離d2(例えば、0.3mm)に比較して、非常に薄い厚さとなるので、アルミニウム基板(母材)9aのわずかな傷による凹みや被着技術の条件により、磁気皮膜9bの厚さにばらつきが生ずる場合がある。この厚さd1のばらつきによって保持力(予め磁化された磁極を反転させるために必要な磁界の大きさ)にばらつきを生じ、書込または読出に誤差を生じる場合がある。本発明に従えば、そのような問題が解消される。
図3に示されるように、磁気記録媒体9は、磁気ヘッド10を介して、制御装置8に結合される。制御装置8は、演算部8a、メモリ部8b、表示部8cおよびタイマ部8dを具備する制御部(マイクロコンピュータ)8eを含み、さらに、駆動モータ4のインバータ駆動回路を含む駆動部8fと、磁気ヘッド10に運転実績データの書込信号(入力信号)Siを出力するための書込部8hと、磁気ヘッド10からの運転実績データの読出信号(再生信号)Sgを制御部8eへ出力する読出部8gと、を具備する。
表示部8cは、ロータ3の回転速度や遠心分離を行う時間等の運転条件を示すデータを制御部8eに入力するための操作パネル、および入力された情報の表示や運転中の情報をモニタする機能を有する。
メモリ部8bは、駆動モータ4の予め定められた手順に従って処理を実行するための制御プログラムが格納されたROMメモリと、磁気記録媒体9に記録された積算運転回数、積算運転回転時間等の運転実績データを再生したものを記憶したり、さらに磁気記録媒体9に記録すべき更新運転実績データを一時的に記憶するためのRAMメモリとを具備する。
タイマ部8dは、読出部8gから出力される再生信号(Sg)(図6参照)に基づいて再生されるパルス(Sp)間の周期(Tr)を計測する第1のタイマ、および回転センサ7から検出される回転信号(Sr)の周期を計測する第2のタイマを具備する。また、タイマ部8dは、回転信号(Sr)に同期してビットタイミング信号(Sb)を発生するタイミングジェネレータを含んでいる。
次に、遠心機1の運転動作について、図4の運転モードを示すタイムチャートを参照して説明する。時刻t0で遠心機1の運転を開始すると、ロータ3が駆動モータ4により回転を始め、時刻t1において、制御装置8は、駆動モータ4の回転をある一定の低速の回転速度N1(例えば、1,000rpm)に整定制御する。
時刻t1〜時刻t2の間において、磁気記録媒体9に記録されているこれまでの運転実績データは、磁気ヘッド10を介して再生される。この時、磁気ヘッド10は磁気記録媒体9に近接して配置され、円筒状磁気皮膜9bに規則的な間隔でSN極に磁化されたこれまでの運転実績データが、磁気ヘッド10を介して、後述するように制御装置8によって読み出され、制御装置8のメモリ部(RAM部)8bに一旦記憶される。ここで、再生された運転実績データがロータ3の寿命制限値に達している場合、制御装置8は、故障または寿命であることを、表示部8cに報知するか、または警告アラームを発生させ、同時に、駆動モータ4の回転を停止させる。
一方、制御装置8は、再生のチェック機能を有し、運転実績データがメモリ部8bに記憶されている場合、再生された運転実績データを、メモリ部8bに記憶されている前回入力された記憶データと比較し、再生運転実績データが少ない数値の場合、制御装置8は故障であると判断し、故障アラームを発生して駆動モータ4の回転を停止させる。また、再生運転実績データがメモリ部8bの記憶データと同等である場合、またはメモリ部8bに記憶されているデータよりも多い数値である場合は、正常と判断し、制御装置8は再生したデータを最新運転実績データとしてメモリ部8bに記憶させる。ここで、メモリ部8bに記憶されているデータよりも再生された運転実績データが多い数値の場合でも、制御装置8はロータ3が他の遠心機で運転されている実績が加算されているものと判断し、正常と判断する。
時刻t2〜時刻t3において、制御装置8は、駆動モータ4を加速し、時刻t3〜時刻t4において駆動モータ4の回転速度を予め使用者が設定した回転速度(例えば、10,000rpm)に整定制御する。この期間に、ロータ3に保持された試料は回転により遠心される。遠心後、制御装置8は、時刻t4〜時刻t5において、駆動モータ4を減速し、時刻t5〜時刻t6において再び回転速度N1に整定させる。
時刻t5〜時刻t6において、制御装置8から磁気ヘッド10に運転実績データの入力信号を印加して磁界を発生させて円筒状磁気皮膜9b(図2参照)に対し規則的な間隔でSN極に磁化させることによって新たな運転実績データを記録させる。この場合、運転実績データは、制御装置8のメモリ部8bに一旦記憶された再生時の過去分データに、今回の運転実績データを積算して、磁気記録媒体9に記録する。このように、遠心機1は、ロータ3の低速度の定速回転時において、磁気記録媒体9によって、ロータ3の積算使用運転回数や積算運転回転時間等の運転実績データを記録および再生できるように構成されている。
本発明は、特に、運転実績データの記録時(上記時刻t5〜時刻t6間)の制御手段に係り、制御装置8は、磁気ヘッド10を介して磁気記録媒体9に記憶したデータが、制御装置8で記録時に生成した真のデータ入力信号と一致して正しく記憶されたか否かをチェックし、かつ制御装置8に正しいデータが再生できない場合は、磁気記録媒体9の所定位置に同一のデータ入力信号を複数回重ねて記憶させるように構成するので、磁界の弱さを補い、十分な磁気エネルギーを与えることができる。これによって磁気記録媒体9の磁極間隔のずれを解消することができる。
以下、本発明の実施形態に係る運転実績データの記録手段につき、図5に示す制御フローチャートに基づいて説明する。
図5に示すステップ100において、ロータ3の運転実績データの最新データ(過去分と今回分を積算したデータ)を制御装置8のメモリ部(RAM)8bに記憶する。本実施形態では、図9に示すように、運転実績データは、メモリ部8bに記憶されたビット情報(2進数データ)Bd(図9(b)参照)を、MFM変調方式により複数種のパルス幅信号に変換して磁気ヘッド10の入力信号電圧Si(図9(c)参照)とする。この入力信号電圧Siは、回転信号Sr(図9(a)参照)と同期して変換される。ロータ3の寿命に関係する運転実績データは、例えば、ロータ形式、製造番号、積算運転回数、および積算運転時間であり、これらのデータは、メモリ部8bに2進数データとして連続的に記憶される。
MFM変調信号Siは、上記特許文献2に開示された技術と同様に、例えば、3つのパルス幅1.0Tw、1.5Twおよび2.0Tw(1.0Twは1ビット分のビットタイミングSbにおけるパルス間の周期に等しい)によって変調される。変調の仕方は、“1”のビット情報Bdは、パルス幅Twの区切り点が反転するように変換され、また、“0”のビット情報Bdは、パルス幅Twが反転しないように上記3つのパルス幅(1.0Tw、1.5Tw)に変換する。なお、ここで、1.0Twは、低速回転時の1回転の回転周期Tr(図6参照)を運転実績データのビット数で除算した値に相当する。
図9に示した例では、ビット情報Bd“1111”(図9(b)参照)は、同一のパルス幅を有する4つの入力信号電圧Si“1.0Tw、1.0Tw、1.0Tw、および1.0Tw”(図9(c)参照)に変換され、磁気ヘッド10に印加される。なお、データのビット数が小さい場合は、MFM変調を行うことなく、ビット情報信号をパルス信号電圧として直接入力してもよい。
ステップ101において、磁気記録媒体9の過去の実績データを消去する。このため、制御装置8は、図6の磁束方向の模式図に示すように、磁気ヘッド10に連続的に消去電流(直流電流)Ierを流し、連続的に磁界を発生させる。これにより、磁気記憶媒体9における磁性皮膜9bの磁束の方向は一方向に揃えられてデータは消去される。
ステップ102において、図7に示すように、上記入力信号電圧(MFM変調パルス信号)Siは、書込部8hから磁気ヘッド10に出力され、磁気記録媒体9の磁気皮膜9bに新しい積算運転実績データとして記録される。ここで、磁気記録媒体9の磁気皮膜9bは、通常の記録状態では、磁気ヘッド10からの磁界により規則的な間隔でSN極に磁化される。すなわち、正常な記録状態であれば、回転センサ7から制御装置8に入力される回転信号Sr(図9(a)参照)に同期した、磁気皮膜9bの所定位置にSN極が磁化されることになる。
次に、ステップ103において、制御装置8は、磁気ヘッド10を介して、磁気記録媒体9の磁気皮膜9bに、ステップ102において記録した運転実績データを再生する。この再生は、図8に示すように、磁気ヘッド10を介して読出部8gにより再生信号Sgを再生する。再生信号Sgは、交流電圧波形である。
ステップ103のデータの再生において、制御装置8の制御部8eは、図9に示すように、再生電圧波形Sg(図9(e)参照)のゼロクロス時点を基準とする再生パルス信号Sp(図9(f)参照)を発生させる。この再生パルス信号Spのパルス間隔は、正常な再生動作の場合、回転信号Srに同期して上記入力信号Siのパルス幅(1.0Tw、1.5Tw、および2.0Tw)に等しい間隔となる。この再生パルス信号Spは、制御装置8のメモリ部8bに一時的に記憶される。この時、上記入力信号電圧Siも、メモリ部8bから消去することなく、メモリ部8bに記憶保持しておく。
ステップ104において、制御装置8は、図9に示すように、再生運転実績データを示す再生パルス信号Sp(図9(f)参照)と、入力信号電圧(理想信号)Si(図9(c)参照)との周期のずれ量W(例えば、時刻t14におけるずれ量W)を制御部8eによって演算する。図9に示すように、入力信号電圧Siおよび再生パルス信号Spは、共に回転信号Srに同期して発生するので、制御部8eは、入力信号電圧Siと再生パルス信号Spのずれ量Wを検出することができる。図9に示した例では、時刻t14において、入力信号電圧(理想信号)Siに対して再生パルス信号Spのパルス幅(区切り点)がずれ量Wをもつ例が示されている。
次に、ステップ105において、ステップ104で算出したずれ量Wが許容範囲内にあるか否かについて判定する。ずれ量Wの許容範囲は、例えば、0.5Tw未満に設定される。入力信号電圧(理想信号)Siの0.5Tw以内のずれ量で有れば、時刻t14において再生される2進数データは、データ“1”を復調することができるので、許容範囲内と判定することができる。逆に、ずれ量Wが入力信号Siのパルス幅0.5Twより大きくずれている場合は、所期の入力信号データに対して逆転したデータが再生される場合もある。
ステップ105でずれ量Wが許容範囲(例えば、0.5Tw)より大きく、再生データに誤差を与えるような大きなずれ量と判断された場合、ステップ106に進み、大きなずれ量と判断された場合が何回判別されるか、NGの回数をカウントする。
次にステップ107にて、NG回数が規定回数(例えば、5回)以下であるか判定する。規定回数以下の場合は、ステップ102に戻り、最初の入力信号(理想データ)Si(図9(g)参照)によって再記録する。この再記録を磁気記録媒体9の磁気皮膜9bの所定位置に複数回重ねて行うことで、磁気皮膜9bは、図9(h)に示すように、十分な磁気エネルギーを与えられて磁極間隔のずれ量Wが解消される。結果的に、再生パルス信号Spは、図9(j)に示すように、入力信号電圧Siに対してずれ量Wを解消することができる。
ステップ107において、NG回数が規定回数を超える場合は、制御装置8は、故障しているものと判断し、ステップ108に進み、故障の表示またはアラームを行い、駆動モータ4の回転を停止させて遠心機1の運転を終了する。
また、ステップ105においてずれ量Wが許容範囲内であると判断された場合、運転実績データは正しく記録され、かつ再生されたものと判断できるので、ステップ109に進み、ロータ3が寿命であるか否かについて判定する。ロータ3が寿命に達していると判定された場合は、制御装置8は、ステップ110に進み、寿命表示または寿命アラームを発生させて駆動モータ4の回転を停止し、遠心機1の運転を終了する。ステップ109で再生実績データが寿命に満たないと判断された場合は、制御装置8は、通常の運転に従って駆動モータ4の回転を停止させ、遠心機1の運転を正常に終了させる。
以上の実施形態の説明から明らかにされるように、本発明によれば、ロータに装着された磁気記録媒体に運転実績データを更新する場合、磁気ヘッドを介して再生された更新データが、記録したときの入力データ(理想値)との間にずれ量が生じても、磁気記録媒体の所定位置に同一の入力データを複数回重ねて記録するので、ずれ量を解消して正確な運転実績データを記録することができる。また、磁気記録媒体のデータが異常値と判定された場合、ロータまたは遠心機本体の故障または寿命として判別できるので、安全な運転実績管理が可能である。さらに、運転実績データを記録するための制御装置は、制御フローを部分的に変更することにより構成することができるので、遠心機の製造コストを低減することができる。
以上、本発明者によってなされた発明を実施形態に基づき説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態では、ずれ量Wの判定をMFM変調信号のパルス幅(0.5Tw)を基準にして判定したが、ビットタイミング信号(弁別信号)のパルス幅を基準にしてもよい。また、磁気ヘッドを駆動する2値化信号は、MFM変調方式以外の他の方式で変調してもよく、さらに、ビット情報信号をパルス信号電圧として直接入力してもよい。
1:遠心機 2:筐体(フレーム) 3:ロータ 4:駆動モータ
5:ロータ室 5a:底部材(プレート) 5b:仕切り部材 6:ドア
6a:ドアのノブ 7:回転センサ 8:制御装置(コントローラ)
8a:演算部 8b:メモリ部 8c:表示部 8d:タイマ部
8e:制御部 8f:駆動部 8g:読出部 8h:書込部
9:磁気記録媒体 9a:アルミニウム基板 9b:磁気皮膜
9c:コーティング膜(保護膜) 10:磁気ヘッド 10a:移動部材
5:ロータ室 5a:底部材(プレート) 5b:仕切り部材 6:ドア
6a:ドアのノブ 7:回転センサ 8:制御装置(コントローラ)
8a:演算部 8b:メモリ部 8c:表示部 8d:タイマ部
8e:制御部 8f:駆動部 8g:読出部 8h:書込部
9:磁気記録媒体 9a:アルミニウム基板 9b:磁気皮膜
9c:コーティング膜(保護膜) 10:磁気ヘッド 10a:移動部材
Claims (4)
- 試料を収納した状態でモータによって回転駆動され、かつデータを記録する磁気記録媒体を有するロータと、前記磁気記録媒体のデータを再生または前記磁気記録媒体にデータを記録させるために、前記磁気記録媒体に近接した位置に配設される磁気ヘッドと、前記ロータの回転速度を検出するための回転センサと、前記回転センサの回転検出信号に基づいて前記モータの回転を制御し、かつ前記磁気記録媒体に対しデータの再生またはデータの記録を行うように前記磁気ヘッドを制御する制御装置と、を具備する遠心機において、前記制御装置は、前記磁気記録媒体に前記データの記録を行う場合、前記磁気ヘッドに同一のデータ入力信号を供給することによって、前記磁気記録媒体の所定位置に同一のデータ入力信号を複数回重ねて記憶させることを特徴とする遠心機。
- 前記データ入力信号は、ビット信号を複数のパルス幅でMFM変調した2値化信号であることを特徴とする請求項1に記載された遠心機。
- 前記制御装置は、前記回転センサから入力される前記回転検出信号に同期して前記磁気ヘッドに同一のデータ入力信号を複数回供給することを特徴とする請求項1または請求項2に記載された遠心機。
- 前記制御装置は、前記データ入力信号を記録するメモリ部を有し、前記磁気記録媒体に記録された前記データ入力信号を、前記磁気ヘッドを介して再生し、該再生出力信号と前記データ入力信号からずれ量を算出し、該ずれ量が許容範囲外であると判別した場合、前記磁気記録媒体の所定位置に同一のデータ入力信号を複数回重ねて記憶させることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載された遠心機。
Priority Applications (1)
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Citations (4)
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-
2008
- 2008-04-25 JP JP2008114979A patent/JP2009262059A/ja active Pending
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