JP2009262054A - ガス化触媒とその製造方法およびガス化処理システム - Google Patents

ガス化触媒とその製造方法およびガス化処理システム Download PDF

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Abstract

【課題】 高価な貴金属系の触媒を使用することなく、炉内を1000℃以下の低温で操業しても、高い耐硫黄被毒性等や触媒活性を有し、触媒が種々の形態の担体に強固に担持されたガス化触媒とその製造方法およびガス化処理システムを提供すること。
【解決手段】 タングステン塩、コバルト塩、モリブデン塩の1種または2種以上と、硫酸ニッケル、酢酸ニッケル、炭酸ニッケルから選ばれた1種又は2種以上と、マグネシウム原料およびカルシウム原料との複合体が、担体表面に担持されるガス化触媒であって、前記複合体が、スラリー化されて高分散状に担持され、かつ無機バインダによって担体表面に担持されることを特徴とする。
【選択図】 図3

Description

本発明はガス化触媒とその製造方法およびガス化処理システムに関し、詳しくは、有機系被ガス化物をガス化して利用するに際して、1000℃以下でガス化処理してもタール分を効果的に抑制可能なガス化触媒とその製造方法およびガス化処理システムに関する。
近年、バイオマス(量的生物資源)や下水汚泥など有機系被ガス化物を燃料として利用する技術が盛んであり、ガス化して処理する方法が進展している。バイオマスや下水汚泥をガス化するプロセスでは、通常、ガス化炉の炉内温度を1000℃以上にしているが、それはこの温度未満にすると、燃料の一部がタールやチャーに変換されて、ガス変換効率が低下するとともに、これらタールやチャーが炉内に蓄積されて操業に支障をきたすからである。
炉内を1000℃以上の高温に保つためには、燃料を多量に燃焼させたり、PSA(酸素製造装置)を用いてガス化剤である酸素濃度を高めたりする等、エネルギー消費を多くせざるを得ず、しかも高温に保持するために炉材も耐熱性に優れた高価なものを使用せざるを得ないのが現状であり、これが操業コストを高いものとしていた。
そこで、炉内温度を800℃程度にしてガス化する方法が提案されている。例えば、流動床式ガス化炉の場合は、流動媒体に水蒸気改質触媒などのNi系触媒を用いて、タール分の発生を抑制したり、あるいは後段のタール分解設備に触媒を用いて発生したタール分を改質したりする等が試みられている。しかし、触媒中のNiが硫黄被毒して不活性となり易いという問題、あるいは炭素析出(コーキング)の問題があり、実操業上十分ではなく、特にナフタレン等の多環芳香族系のタール分に対しては効果的でない。
また、より活性なロジウム(Rh)やルテニウム(Ru)系の触媒を用いて低温域でのタールやチャーを効果的に生じ難くする方法が提案されている(例えば特許文献1、2参照)。
具体的には、図5に示すように、ロジウム−セシウム(Ce)系触媒として、Rh/CeO/M(MはSiO、AlまたはZrOである)で表わされる触媒11が収容された流動床反応器12を、800℃未満に加熱する工程と、前記流動床反応器12の上部からバイオマス粒子13を導入する工程と、前記流動床反応器12の下部から空気および水蒸気を導入する工程と、前記バイオマス粒子13を前記Rh/CeO/M触媒11表面と反応させることにより、水素および合成ガスを製造する工程とを具備するバイオマスのガス化方法が提案されている(例えば特許文献1参照)。
また、α−アルミナ多孔体に、少なくともルテニウム成分を担持させ、その比表面積(S)を、8〜50m/gとするとともに、触媒の比表面積(Sとα−アルミナ多孔体の比表面積(S)との比(S/S)を3〜50とし、かつ5〜1000オングストロームの範囲にピークを持つ細孔構造を形成させることを特徴とするアルミナ担体ルテニウム触媒が提案されている(例えば特許文献2参照)。
さらに、本出願人は、バイオマスや下水汚泥等をガス化するプロセスの研究開発の一部として、ガス化触媒およびその製造方法を検証し、例えば、図1に例示するようなガス処理システムに使用されるガス化触媒およびその製造方法を提案した。具体的には、硫酸ニッケル、酢酸ニッケル、炭酸ニッケルから選ばれた1種又は2種以上と、マグネシウム原料およびカルシウム原料との複合体を有するガス化触媒であって、該複合体が、タングステン塩、コバルト塩、モリブデン塩の1種又は2種以上を含むとともにニッケル5〜30wt%を含み、前記複合体表面に、タングステン、コバルト、モリブデン成分の内1種また2種以上とニッケル成分とが高分散されていることを特徴とするガス化触媒が提案されている(例えば特許文献3参照)。
特開2003−246990号公報 特開平10−52639公報 特開2007−283209号公報
しかしながら、上記従来技術には、以下のような問題点や課題が生じることがある。
(i)以前から知られている触媒として、Ni/AlもしくはNi/Al・CaOなどのようなAlをベースとするものは、コーキングの発生が問題となる。MgOをベースとする触媒は、コーキングの発生は抑制されるが、活性成分のNiとMgOが固溶化し易く、固溶化したNiは還元が困難となり、不活性となるという問題がある。
(ii)一方、比較的高活性と報告されているRhやRu系の触媒は、貴金属であるため非常に高価であり、このような厳しい反応条件下で、かつ工業的規模の設備には不向きである。
(iii)また、上記(i)および(ii)のいずれの触媒も、硫黄存在化ではNiやRhなどの触媒成分が被毒されて活性を示さなくなる。さらに低温域になるほど、活性は低下し、硫黄被毒とコーキングなどが発生しやすくなる。このため、低温域の高活性、耐硫黄被毒性、耐コーキング性、耐固溶性を示す触媒の開発が望まれている。
(iv)さらに、本出願人が提案したガス化触媒とその製造方法およびガス処理システムについては、上記(i)〜(iii)の課題に対する改善については効果的であったが、その後の流動槽のみならず固定槽における使用条件の多様性から、種々の形状あるいは触媒機能を有する使用形態において、さらに高い耐硫黄被毒性等に対応するガス化触媒およびその製造方法が要請され、その検証過程において、さらなる知見を得ることができた。こうした知見に基づく、種々の形状あるいは形態の担体を用い、これに強固に担持され強い耐久性を有するガス化触媒とその製造方法およびガス処理システムの検討が、本発明における課題となる。
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の有する問題点に鑑みて、高価な貴金属系の触媒を使用することなく、炉内を1000℃以下の低温で操業しても、高い耐硫黄被毒性、耐コーキング性、非固溶性、かつ触媒活性を有するとともに、触媒が種々の形態の担体に強固に担持されたガス化触媒とその製造方法およびガス化処理システムを提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、以下に示すガス化触媒とその製造方法およびガス処理システムによって上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに到った。
本発明は、タングステン塩、コバルト塩、モリブデン塩の1種または2種以上と、硫酸ニッケル、酢酸ニッケル、炭酸ニッケルから選ばれた1種又は2種以上と、マグネシウム原料およびカルシウム原料との複合体が、担体表面に担持されるガス化触媒であって、前記複合体が、スラリー化されて高分散状に担持され、かつ無機バインダによって担体表面に担持されることを特徴とする。
この構成によれば、タングステン、コバルト、モリブデン成分の内1種また2種以上とニッケル成分とを担体表面に分散して存在させることができるので、有機系被ガス化物のガス化にあたり、炉内温度を500〜900℃程度としてもチャーやタール分の生成を効果的に抑えることができ、生成したとしても効果的に分解できる。特に、タングステン、コバルト、モリブデン成分は、ニッケルに吸着し易い硫黄分を取り込み、本発明に係る触媒をガス化炉に投入した際、ガス中に離脱する作用をするので、ニッケルの触媒活性が高く維持され、触媒の硫黄被毒を確実かつ効果的に抑制する。しかも、従来技術では、タール分の生成を抑えることが困難とされていた、難分解性のナフタレンやフェナントレン等の多環芳香族系のタール分に対しても、効果的に分解を促進することができる。また、硫酸ニッケル、酢酸ニッケル、炭酸ニッケルでは、硝酸ニッケルに比べて酸化マグネシウムのシンタリング(結晶化)による、焼成時の比表面積の低下を効果的に抑制できて触媒活性を高めることができる。
また、触媒機能を有する成分(触媒成分)を含む複合体がスラリー化されて高分散状に担持され、かつ無機バインダによって担体表面に担持されることによって、触媒成分が複合体の内部だけではなく、担体表面に均一かつ高濃度に分散させることができ、さらに複合体を担体表面に強固に保持させることができる。その結果、担体表面における触媒活性を非常に高めることができるとともに、高価な貴金属系の触媒を使用することなく、炉内を1000℃以下の低温で操業しても、耐硫黄性、耐コーキング性を発揮し、Niが固溶し難く、それでいて高活性を発揮するガス化触媒を提供することができた。なお、本明細書において、高分散とは、複合体表面の全部または大部分を微粒のニッケル成分やタングステン、コバルト、モリブデン成分が覆う状態をいう。
本発明は、上記ガス化触媒であって、前記無機バインダが、前記担体と同一元素を主成分とすることを特徴とする。
この構成によれば、担体と同一元素を主成分とする無機バインダによって強化されたバインダ機能を用いることによって、担体表面での担体と無機バインダとの接合を非常に強固にすることができる。特に、複合体と無機バインダがスラリー化されることによって、均一かつ高密度に分布した同一元素を介して両者は担体表面において強固な結合体を形成し、強固に担持された触媒スラリーを形成することができる。
本発明は、ガス化触媒の製造方法であって、
(1)タングステン塩、コバルト塩、モリブデン塩の1種または2種以上と、硫酸ニッケル、酢酸ニッケル、炭酸ニッケルのいずれか1つあるいは2以上と、酸化マグネシウムを水溶液中で混合して複合化反応を生起し、複合体を作製する。
(2)該複合体を脱水して洗浄し、これにカルシウム原料を混合した後、乾燥させて触媒前駆体を作製する。
(3)該触媒前駆体をスラリー化し、触媒スラリーを作製する。
(4)さらに、該触媒スラリーに、無機バインダまたはこれと有機バインダを添加し、バインダ入の触媒スラリーを作製する。
(5)該バインダ入の触媒スラリーを担体表面に担持させて乾燥した後、焼成する。
ことによって作製することを特徴とする。
この構成によれば、高価な貴金属系の触媒を使用することなく、炉内を1000℃以下の低温で操業しても、耐硫黄性、耐コーキング性を発揮し、Niが固溶し難く、それでいて高活性を発揮するガス化触媒の製造方法を提供することができる。特に、触媒成分を含む複合体がスラリー化されて高分散状に担持され、かつ無機バインダによって担体表面に担持されることによって、担体表面に均一かつ高濃度に分散させることができ、さらに複合体を担体表面に強固に保持させることができる。
本発明は、上記ガス化触媒の製造方法であって、前記(3)触媒スラリーの作製において、前記触媒前駆体に、アルコール類またはアルコール類の水溶液を混合してスラリー化することを特徴とする。
担体への触媒スラリーの担持操作においては、スラリーの粘度または表面張力が高いと担持にムラができてしまい、乾燥、焼成を行ううちにそのムラにより亀裂、剥離がおこり良好な担持が得られない可能性があった。本発明は、粘度または表面張力が低いアルコール類を用いてスラリー化することによって、担持物を均一化して強固な担持を確保し、剥離を未然に防止することが可能となった。特に、有機バインダを用いた場合には、有機バインダとの融合によって乾燥時に担持強度が増し、乾燥後の剥離を一層防止することができる。
本発明は、上記ガス化触媒の製造方法であって、前記(4)バインダ入の触媒スラリーの作製において、前記無機バインダが、前記担体と同一元素を主成分とすることを特徴とする。
この構成によれば、上記のように、担体と同一元素を主成分とする無機バインダによって強化されたバインダ機能を用いることによって、担体表面での担体と無機バインダとの接合を非常に強固にすることができる。
本発明は、上記ガス化触媒の製造方法であって、前記(5)のバインダ入の触媒スラリーの担持方法として、ディッピング法を用いることを特徴とする。
スラリーの担体への担持方法としては、担体表面への塗布や吹き付けなどによって行うことも可能であるが、スラリーの粘度または表面張力が高い場合には担持のムラを生じやすく、担体の細孔部まで浸透させることは難しい。本発明は、スラリー中に担体を浸漬(ディッピング)することによって、担体表面に均一に触媒スラリーを担持させることを図るもので、特に粘度または表面張力の低いスラリーを用いることによって、任意の形状の担体においても細孔部まで均一に担持させることができる。
本発明は、ガス化処理システムであって、有機系被ガス化物を加熱・燃焼してガス化するガス化炉に、上記ガス化触媒が導入されることを特徴とする。
この構成によれば、高価な貴金属系の触媒を使用することなく、炉内を1000℃以下の低温で操業しても、耐硫黄性、耐コーキング性を発揮し、Niが固溶し難く、それでいて高活性を発揮するガス化触媒を有するガス化処理システムを提供することができる。しかも、炉内温度を低くできるので、炉構成材料として高価な材料を用いる必要がなく、システム全体の製造コストを低減できる。
本発明は、上記ガス化処理システムであって、前記ガス化炉の下流側に、導入された前記触媒を回収する触媒回収装置を有するとともに、さらに下流側に前記触媒を充填するタール分解設備を有することを特徴とする。
この構成によれば、タール分解設備により、ガス化後に残存する可能性のある少量のタール分を確実に分解することができる。
本発明は、ガス化触媒とその製造方法およびガス処理システムに関するもので、以下その実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。
<本発明の実施形態に係るガス化処理システム>
本実施形態に係るガス化処理システム(以下「本システム」という)は、高価な貴金属系の触媒を使用することなく、1000℃以下の低温で操業しても、高い耐硫黄被毒性、耐コーキング性、非固溶性、かつ触媒活性を有するとともに、触媒が種々の形態の担体に強固に担持されたガス化触媒を用いることを特徴とする。これによって、かかるガス化触媒を用いたガス化炉において、炉内温度を低くできるので、炉構成材料として高価な材料を用いる必要がなく、システム全体の製造コストを低減することができる。
図1は、本システムの概略構成を示す。本システムは、バイオマス等の有機系被ガス化物からなる燃料および空気、必要に応じて酸素、水蒸気が送給されるガス化炉1と、このガス化炉1内に、後述するタール成分の生成を抑制するガス化触媒を投入する手段と、投入されたガス化触媒を回収する触媒回収装置2と、必要に応じて発生したガス中の塵芥を除去する集塵機3と、タール分解設備4などとから構成されている。タール分解設備4から排出されるガスは、さらに下流側のガスタービンやガスエンジン等からなる発電設備や各種燃料変換設備(図示せず)などに送給され、燃料として利用される。
このとき、ガス化炉1は、上記のように、バイオマスと燃焼用空気の他、炉内を1000℃以下の低温で操業してもタール成分の生成を効果的に抑制可能なガス化触媒が供給されるようになっている。また、ガス化炉1の下流側には、導入されたガス化触媒を回収する回収装置2として、サイクロンが接続されている。ただし、触媒回収装置2は、サイクロンに限定されるものではなく、セラミックフィルタ等を用いてもよい。さらに触媒回収装置2の下流側には、ガス化触媒を充填するタール分解設備4が設けられる。タール分解設備4により、ガス化後に残存する可能性のある少量のタール分を確実に分解することができ、有用な燃料を作製することができる。
また、ガス化炉1としては、流動床式、固定床式、キルン炉、回転炉など種々のタイプの炉を使用することができ、特に限定されるものではない。流動床タイプのガス化炉1を用いる場合には、ガス化触媒を流動媒体に混入させることができ、その他の固定床タイプのガス化炉を用いる場合には、ガス化触媒を炉内に噴霧して用いることができる。このようにすると、ガス化が著しく促進されるため、1000℃以下の炉内温度で操業しても、タール分の生成を大幅に抑えることができる。実際に操業される炉内温度は、500〜900℃程度でよく、より好ましくは700〜850℃で操業することである。ガス化炉1に供給されるガス化触媒およびその製造方法については、後述する。
タール分解設備4は、ガス化後に残存する可能性のある少量のタール分を分解するためのもので、ガス化炉1の後段側で、集塵処理した後に設けられることが好ましく、ここでも上記ガス化触媒を投入してタール分の分解を確実にする。タール分解設備4の触媒部4aは、固定床タイプでも流動床タイプでもよく、500〜900℃、より好ましくは750〜850℃に加熱してガス化触媒を充填あるいは噴霧あるいは流動媒体として投入してタール分を分解する。
<ガス化触媒について>
本システムに用いられるガス化触媒は、タングステン塩、コバルト塩、モリブデン塩の1種または2種以上と、硫酸ニッケル、酢酸ニッケル、炭酸ニッケルから選ばれた1種又は2種以上と、マグネシウム原料およびカルシウム原料との複合体が、担体表面に担持されて形成される。
ニッケルを主成分とし、タングステンやコバルトあるいはモリブデン成分、およびマグネシウムとカルシウムを含む複合体とすることによって、有機系被ガス化物を低温でガス化することを可能にするとともに、バイオマス等の有機系被ガス化物をガス化してもチャーやタール分の生成が抑制されるので、炭素変換効率が高くなり、生成したガスを発電設備に利用する場合には発電効率が高まり、生成したガスをメタノールやジメチルエーテルに利用する場合には、燃料変換効率が高まることになる。のみならず、HO/C比が1〜3のような低い場合でもガス化が促進されるので、ガス化炉を操業する際に、水蒸気量を低減できるとともに、水蒸気投入による顕熱分の熱的ロスを低減できることになる。
このとき、ガス化触媒中に含有するニッケルの量が、5〜30wt%であることが好ましい。5wt%未満では、触媒効果を十分に発揮することが難しく、逆に30wt%を越えて加えても、量の割に効果の増加が少なく好ましくない。
また、ニッケル原料として、硫酸ニッケル、酢酸ニッケル、炭酸ニッケルから選ばれた1種又は2種以上が好ましい。硝酸ニッケルなどに比べて酸化マグネシウムのシンタリング(結晶化)による、焼成時の比表面積の低下を効果的に抑制できて触媒活性を高めることができる。さらに、硫酸ニッケルを用いた場合、洗浄時に発生する廃液処理量が少なく処理コストが少なくて済む。また、酢酸ニッケル又は炭酸ニッケルを用いた場合には、カルシウム原料を添加する前に脱水処理する必要はなく、工程を簡略化することができる。
また、ガス化触媒中に含有するタングステンやコバルトあるいはモリブデン成分については、タングステン塩がタングステン酸アンモニウムであり、コバルト塩が硝酸コバルト又は硫酸コバルト又は酢酸コバルトであり、モリブデン塩がモリブデン酸アンモニウムであることが好ましい。この構成によれば、一層耐硫黄性が高くて活性度の高い触媒作用を維持できる。また、タングステン酸アンモニウム、硝酸コバルト又は硫酸コバルト又は酢酸コバルト、モリブデン酸アンモニウムは、触媒全体に対し各金属成分(タングステン、コバルト、モリブデン)として5〜30wt%含むことが好ましく、5〜15wt%含むことがより好ましく、10〜15wt%含むことが一層好ましい。5wt%未満であると、耐硫黄効果が十分でなく、30wt%を超えて添加しても、添加量の割に効果の増加は少ない。なお、カルシウム原料としては、ドロマイト、軽焼ドロマイト(ドロマイトを約950℃以上で焼成したもの)、および重焼ドロマイト(ドロマイトを約1300℃以上で焼成したもの)、消石灰などを挙げることができる。
このとき、上記複合体が、スラリー化されて高分散状に担持され、かつ無機バインダによって担体表面に担持されることが好ましい。ここで、高分散状とは、複合体表面の全部または大部分を微粒のニッケル成分やタングステン、コバルト、モリブデン成分が覆う状態をいう。これらニッケル成分などが大きく粗に分散していると、その近傍に炭素が析出し、タール分解反応を阻害するとともに、析出した炭素がニッケル成分などを触媒表面から剥離させ、触媒性能を劣化させる要因となる。
担体は、ハニカム形状、リング状、発泡体、多孔体などの充填をしたときに圧力損失(以下「圧損」という)が低い形状が好ましい。担体の形状として、リング形状の場合とペレット形状の場合の圧損の比較実験を行った結果を後述する。また、その材質はセラミックス、コージェライト、アルミナ、シリカ、シリカアルミナなど、十分な強度および熱耐性を有する物質で構成されたものを用いることが好ましく、担体の圧壊強度は1.0kgf/cm以上、耐熱性は1000℃以上が好ましい。
無機バインダとしては、コロイダルシリカ(シリカゾル)、コロイダルアルミナ(アルミナゾル)などを用いることができ、それぞれの添加量は触媒スラリー比で0.1〜10%が好ましい。このとき、無機バインダが、前記担体と同一元素を主成分とすることが好ましい。この構成によれば、担体と同一元素を主成分とする無機バインダによって強化されたバインダ機能を用いることによって、担体表面での担体と無機バインダとの接合を非常に強固にすることができる。特に、複合体と無機バインダがスラリー化されることによって、均一かつ高密度に分布した同一元素を介して両者は担体表面において強固な結合体を形成し、強固に担持された触媒スラリーを形成することができる。
〔圧損比較実験〕
(i)実験条件
外径5mmφ、内径2mmφ、高さ5mmの円柱中抜きのリング形状の触媒を使用する場合の圧損と、3mmφ×3mmのペレット型の触媒を使用する場合の圧損の比較を行った。ただし、本試験で使用したリング形状の触媒は従来法で製造した触媒を打錠成形にて成形したものを使用した。
(ii)実験結果
結果を図2に示す。リング形状の触媒ではペレット型触媒と比較して各流速において20%以上圧損が低減している結果が得られた。
<触媒の製造方法>
つぎに、本発明に係るガス化触媒の製造方法(以下「本製造方法」という)について、図3および図4を参照して説明する。
本製造方法は、
(1)タングステン塩、コバルト塩、モリブデン塩の1種または2種以上と、硫酸ニッケル、酢酸ニッケル、炭酸ニッケルのいずれか1つあるいは2以上と、酸化マグネシウムを水溶液中で混合して複合化反応を生起し、複合体を作製する。
(2)該複合体を脱水して洗浄し、これにカルシウム原料を混合した後、乾燥させて触媒前駆体を作製する。
(3)該触媒前駆体をスラリー化し、触媒スラリーを作製する。
(4)さらに、該触媒スラリーに、無機バインダまたはこれと有機バインダを添加し、バインダ入の触媒スラリーを作製する。
(5)該バインダ入の触媒スラリーを担体表面に担持させて乾燥した後、焼成する。
ことによって構成されることを特徴とする。
この構成によれば、上記本製造方法において、触媒成分を含む複合体がスラリー化されて高分散状に担持され、かつ無機バインダによって担体表面に担持されることによって、担体表面に均一かつ高濃度に分散させることができ、さらに複合体を担体表面に強固に保持させることができる。ここで、主成分であるニッケル原料を、硫酸ニッケル水溶液とする場合(製造方法1)、および酢酸ニッケル水溶液または炭酸ニッケル水溶液とする場合(製造方法2)に分けて説明する。
〔製造方法1〕
製造方法1として、硫酸ニッケルを用いた場合について、図3に例示するフローを参照して説明する。
(1)複合体の作製
(#1)まず、ニッケル塩の1種である硫酸ニッケルの水溶液を所定量作成し、これとタングステン、コバルト、モリブデンの酸化物から選ばれた1種又は2種以上の水溶液もしくは懸濁液もしくは粉末を十分に混合する。硫酸ニッケルは、触媒中のニッケル5〜30wt%となるように配合する。ニッケルが5wt%未満では、触媒効果を十分に発揮することが難しく、逆に30wt%を越えて加えても、表面に積層され、加えた量の割に分散効果の増加が少ないため好ましくない。好ましくは、触媒中のニッケルは15〜25wt%である。
(#2)さらに酸化マグネシウム粉末もしくは懸濁液を添加して十分に混合し、複合化反応を生起させ、1次の複合体を作製する。この場合、混合溶液を45〜90℃、好ましくは60〜90℃にして複合化反応させる。45℃未満では、複合化反応の進行が遅く、90℃を超えると、均一な複合化反応が生起せず、好ましくない。
(#3)この複合体をろ過して脱水・洗浄し、生成した硫酸イオンを除去する。硫酸成分を除去することにより、次工程でカルシウム原料を添加した際、触媒活性を阻害する硫酸カルシウムの生成を阻止できる。
(#4)脱水・洗浄した後、これに水を加えて加水するとともに、カルシウム原料である軽焼ドロマイト等のドロマイト類あるいは消石灰などを添加して十分に混合し、複合化反応を生起させ、2次の複合体を作製する。カルシウム原料が酸化マグネシウム中に分散することにより、ニッケルと酸化マグネシウムの固溶化を阻止する。カルシウム原料は、酸化カルシウムとして5〜20wt%程度添加することが好ましく、7〜12wt%前後がより好ましい。カルシウム原料が20wt%を超えると、ニッケルの均一分散性が低くなる。この場合も、混合溶液を45〜90℃、好ましくは60〜90℃にて複合化反応させる。
なお、加水処理後、カルシウム原料を添加する際、アルミニウム5〜15wt%になるように酸化アルミニウムを添加してもよい。このようにすると、耐コーキング性を損なうことなく、さらに熱安定性を高めることができる。
(2)触媒前駆体の作製
(#5)その後、乾燥炉などを用いて水分を蒸発すべく乾燥させ、触媒前駆体を形成させる。乾燥温度は、80〜120℃程度で行うことが好ましい。もっとも、スプレードライ方法などにより加熱雰囲気中に噴霧して急速乾燥させるようにしてもよく、特に乾燥方法に限定されるものではない。
(3)触媒スラリーの作製
(#6−1)乾燥して得られた触媒前駆体を、媒体(スラリー溶媒)としてアルコール類もしくはアルコール類の水溶液に添加し、スラリー状にする。このときアルコール類はメタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどを用いることができる。触媒スラリーに対する触媒前駆体の添加量は1〜30%が好ましい。
(4)バインダ入の触媒スラリーを作製
(#6−2)担体への剥離強度を向上させるために、無機バインダまたはこれと有機バインダを添加する。添加後、触媒とバインダがよく分散するように攪拌し、バインダ入の触媒スラリーを作製する。このとき、有機バインダにはポリエチレングリコール、ポリビニルアルコールチルセルロスなど、無機バインダにはコロイダルシリカ(シリカゾル)、コロイダルアルミナ(アルミナゾル)などを用いることができ、それぞれの添加量は触媒スラリー比で0.1〜10%が好ましい。また有機バインダおよび無機バインダの添加する割合は、それぞれ、触媒/バインダ=1〜30であることが好ましい。
(5)触媒の担持および焼成
(#7)調製されたバインダ入の触媒を、スラリー中に担体を浸漬(ディッピング)する。これによって、担体表面に均一に触媒スラリーを担持することができる。担体を触媒スラリー中にゆっくりと浸漬していき、担体表面の気泡が抜けた時点でゆっくりと引き上げる。引き上げた担体には、触媒スラリーが均一に担持されたており、さらに担体を乾燥させスラリー中の液分を蒸発させる。このときの乾燥温度は、80〜120℃程度が好ましい。乾燥した後、触媒の担持量を測定し、所定の担持量に達していない場合は、再度、触媒スラリー中に、乾燥後の触媒を担持した担体(以下、担持触媒と記す)を浸漬し、所定の担持量に達するまでこの操作を繰り返す。
(#8)このようにして得られた乾燥後の担持触媒を加熱して焼成する。焼成は、500〜900℃に加熱して行うことが好ましい。特に約700℃程度で加熱して行うことが好ましい。
(#9)担持触媒を焼成することにより、高活性かつ複合体を担体表面に強固に保持させたガス化触媒を生成できる。
〔製造方法2〕
製造方法2として、製造方法1で用いた硫酸ニッケルに代えて、酢酸ニッケル又は炭酸ニッケルを用いた場合について、図4に例示するフローに参照して説明する。
(1)複合体の作製
(#1)ニッケル塩の1種である酢酸ニッケル又は炭酸ニッケルの水溶液を所定量作成し、これとタングステン、コバルト、モリブデンの酸化物から選ばれた1種又は2種以上の水溶液もしくは懸濁液もしくは粉末を十分に混合する。
(#2)さらに酸化マグネシウム粉末もしくは懸濁液を添加して十分に混合し、複合化反応を生起させ、1次の複合体を作製する。この場合、酢酸ニッケル又は炭酸ニッケルは、触媒中のニッケル5〜30wt%となるように配合する。
(#3)そして、脱水・洗浄することなく、カルシウム原料である軽焼ドロマイト等のドロマイト類あるいは消石灰などを添加して十分に混合し、複合化反応を生起させ、2次の複合体を作製する。この場合も、混合溶液を45〜90℃、好ましくは60〜90℃にして複合化反応させる。このとき、カルシウム原料がニッケル・マグネシア等の化合物中に分散すること、カルシウム原料は酸化カルシウムとして5〜20wt%程度添加することが好ましいこと、あるいは酸化アルミニウムの添加することについては、製造方法1と同様である。
(2)触媒前駆体の作製
(#4)次いで、ろ過して脱水・洗浄し、
(#5)その後、乾燥炉などを用いて水分を蒸発すべく乾燥させ、触媒前駆体を形成させる。その場合の乾燥温度は、80〜120℃程度で行うことが好ましい点等は、製造方法1と同様である。
(3)触媒スラリーの作製(#6−1)、(4)バインダ入の触媒スラリーを作製(#6−2)および(5)触媒の担持および焼成(#7〜#9)については、製造方法1と同様であり、詳細な説明は省略する。
以下に、本製造方法により製造したガス化触媒につき、他の方法によって製造した触媒との比較性能試験を行った結果を説明する。評価項目は、(i)担持状態および(ii)触媒機能とした。
<担持状態の評価>
評価項目「担持状態」について、以下の方法により評価を行った。
〔ガス化触媒の作製〕
触媒前駆体(製造方法1の#1〜#5で得られた生成物を粉末状にしたもの)を所定の溶媒(スラリー溶媒)に20g添加し、必要に応じて無機バインダあるいは有機バインダを添加した後、攪拌して均一な状態にした触媒スラリーを作製する。作製された触媒スラリーをディッピング法により、コージェライトリング担体(外径7mmφ内径2.5mmφ、高さ7mm)に担持し、乾燥後焼成することによりガス化触媒を調製した。
〔評価方法〕
作製した触媒スラリー中に上記コージェライト担体を10g浸漬し、気泡が出なくなった時点でゆっくりと引き上げた。この状態での担持状態を「ディッピング後」とし、この後、乾燥機にて105℃で30分乾燥した状態での担持状態を「乾燥後」とし、この後、電気炉にて500℃で4時間焼成した後、自然冷却して室温まで冷やした状態での担持状態を「焼成後」として評価した。それぞれの評価は、以下の○,△,×として表した。
○:均一に担持ができている
△:担持はできたが、一部均一でないところ(凹凸あり、もしくは、亀裂あり、もしくは剥離あり)があった
×:担持ができなかった
△について実用上の使用が可能であり、○についてより好ましい。
〔実施例1〕
スラリー溶媒としてメタノール172mLを用い、無機バインダとしてシリカゾル(商品名:スノーテックスOS 日産化学社製)を10g添加し、攪拌して均一な状態にした後、触媒前駆体(上記製造方法1の#1〜#5で得られた生成物を粉末状にしたもの)を20g添加し、攪拌して均一な状態にした触媒スラリーを作製した。作製された触媒スラリー中に上記コージェライト担体を10g浸漬し、気泡が出なくなった時点でゆっくりと引き上げた。この後、乾燥機にて105℃で30分乾燥し、電気炉にて500℃で4時間焼成した後、自然冷却して室温まで冷やし、ガス化触媒を作製した。
〔実施例2〕
スラリー溶媒としてメタノール172mLを用い、有機バインダとしてPEG(ポリエチレングリコール)を2g溶解させた後、無機バインダとしてシリカゾル(実施例1と同じ)を10g添加し、攪拌して均一な状態にした後、触媒前駆体(実施例1と同じ)を20g添加し、攪拌して均一な状態にした触媒スラリーを作製した。以下実施例1と同様。
〔比較例1〕
スラリー溶媒として水200mLを用い、触媒前駆体(実施例1と同じ)を20g添加し、攪拌して均一な状態にした触媒スラリーを作製した。以下実施例1と同様。
〔比較例2〕
スラリー溶媒として水180gを用い、有機バインダとしてPEG(実施例2と同じ)を2g溶解させた後、触媒前駆体(実施例1と同じ)を20g添加し、攪拌して均一な状態にした触媒スラリーを作製した。以下実施例1と同様。
〔比較例3〕
スラリー溶媒として水172mLを用い、無機バインダとしてシリカゾル(実施例1と同じ)を10g添加し、攪拌して均一な状態にした後、触媒前駆体(実施例1と同じ)を20g添加し、攪拌して均一な状態にした触媒スラリーを作製した。以下実施例1と同様。
〔比較例4〕
スラリー溶媒として水172mLを用い、有機バインダとしてPEG(実施例2と同じ)を2g溶解させた後、無機バインダとしてシリカゾル(実施例1と同じ)を10g添加し、攪拌して均一な状態にした後、触媒前駆体(実施例1と同じ)を20g添加し、攪拌して均一な状態にした触媒スラリーを作製した。以下実施例1と同様。
〔比較例5〕
スラリー溶媒としてメタノール180gを用い、触媒前駆体(実施例1と同じ)を20g添加し、攪拌して均一な状態にした触媒スラリーを作製した。以下実施例1と同様。
〔比較例6〕
スラリー溶媒としてメタノール180gを用い、有機バインダとしてPEG(実施例2と同じ)を2g溶解させた後、触媒前駆体(実施例1と同じ)を20g添加し、攪拌して均一な状態にした触媒スラリーを作製した。以下実施例1と同様。
〔評価結果〕
上記実施例1,2および比較例1〜6についての評価結果を、下表1に纏める。
(i)実施例1では、メタノールとシリカゾルおよび触媒前駆体を用いて触媒スラリーを作製した。「ディッピング後」では均一な担持が得られ、「乾燥後」および「焼成後」では一部剥離がみられたが、その他の部分では均一な担持が得られた。
(ii)実施例2では、実施例1の成分に有機バインダとしてPEGを追加した成分で触媒スラリーを作製した。このとき、いずれの工程においても均一で良好な担持が得られた。
(iii)比較例1〜4では、スラリー溶媒として水を用いて触媒スラリーを作製した。いずれの場合においても「ディッビング後」に担持が不均一になり、比較例1では「乾燥後」に、比較例2〜4では「焼成後」に、ほとんどが剥離してしまった。
(iv)比較例5、6では、スラリー溶媒としてメタノールを用いて触媒スラリーを作製した。比較例5では、「ディッピング後」にほとんど担持していなかった。比較例6では、「ディッビング後」および「乾燥後」までは均一な担持が得られたが、焼成するとほとんどが剥離してしまった。
(v)以上の現象は、スラリー溶媒として水を用いると触媒スラリーの粘度または表面張力が高くなり、ディッピングの工程で担持にムラができてしまい、乾燥、焼成を行ううちにそのムラにより亀裂、剥離がおこり良好な担持が得られなかった。スラリー溶媒として水より粘度または表面張力が低いアルコールを用いることでディッピング時の担持が均一になりやすい。また、有機バインダ(ここではPEG)を添加すると乾燥時に強度が増し、乾燥後に剥離がしにくくなる。有機バインダを添加しない場合でも、無機バインダによって乾燥工程にて強度が増すものを用いることで同様の効果が得られる。ただし、有機バインダは、焼成温度条件下では分解してしまうため焼成後には強度を保つことができない。そのため、無機バインダを添加することで焼成後にも強度を保つことができる。
Figure 2009262054
<触媒機能の評価>
本製造方法によって作製されたガス化触媒が、十分な触媒機能を有することを確認するために、比較例として従来法(特許文献3参照)で調製されたガス化触媒を用い、以下の方法により評価を行った。
〔実施例3〕
実施例2と同じ方法によって作製された触媒スラリーを、ディッピングにより担持を行い、乾燥機にて105℃で30分乾燥した後、重量を測定し、担持量が担体比20wt%を超えるまでディッピングと乾燥を繰り返し実施した。担持量が所定の重量に達した後、電気炉にて500℃で4時間焼成を実施した。自然冷却して室温になったものを10g触媒反応器に充填し、評価試験を実施した。
〔比較例7〕
実施例1と同じ方法によって作製された触媒前駆体を、乾燥機にて120℃で30分乾燥させ、乾燥したものを電気炉にて約500℃で4時間焼成し、ペレット型触媒(3mmφ×3mm)を作製した。作製された触媒を5g反応器に充填し、評価試験を実施した。
〔評価方法〕
触媒の機能であるタール分解の性能評価試験は、自然冷却して室温になった触媒を10g触媒反応器に充填し、下表2に示す成分の模擬ガスおよび条件により実施した。タール成分としてナフタレンを添加し、その分解率を測定した。タール分解率の測定は、ナフタレン分解により発生した一酸化炭素(CO),二酸化炭素(CO),メタン(CH)などを、熱伝導度式検出器(TCD)を用いたガスクロマトグラフィを用いて測定し、炭素の物質収支より算出した。
Figure 2009262054
〔評価結果〕
上記実施例3および比較例7についての評価結果を、下表3に示す。比活性は同じ外表面積に換算した活性の比で示す。
実施例3において、本製造方法によって作製した触媒が従来法と同等の性能を有することが確認できた。
Figure 2009262054
本発明に係るガス化処理システムを例示する概略構成図 本発明に係るガス化触媒における圧損比較実験結果を例示する説明図 本発明に係るガス化触媒の製造方法(製造方法1)を例示するフロー図 本発明に係るガス化触媒の製造方法(製造方法2)を例示するフロー図 従来技術に係るバイオマスのガス化方法を示す概略構成図
符号の説明
1 ガス化炉
2 触媒回収装置
3 集塵機
4 タール分解設備

Claims (8)

  1. タングステン塩、コバルト塩、モリブデン塩の1種または2種以上と、硫酸ニッケル、酢酸ニッケル、炭酸ニッケルから選ばれた1種又は2種以上と、マグネシウム原料およびカルシウム原料との複合体が、担体表面に担持されるガス化触媒であって、
    前記複合体が、スラリー化されて高分散状に担持され、かつ無機バインダによって担体表面に担持されることを特徴とするガス化触媒。
  2. 前記無機バインダが、前記担体と同一元素を主成分とすることを特徴とする請求項1のガス化触媒。
  3. (1)タングステン塩、コバルト塩、モリブデン塩の1種または2種以上と、硫酸ニッケル、酢酸ニッケル、炭酸ニッケルのいずれか1つあるいは2以上と、酸化マグネシウムを水溶液中で混合して複合化反応を生起し、複合体を作製する。
    (2)該複合体を脱水して洗浄し、これにカルシウム原料を混合した後、乾燥させて触媒前駆体を作製する。
    (3)該触媒前駆体をスラリー化し、触媒スラリーを作製する。
    (4)さらに、該触媒スラリーに、無機バインダまたはこれと有機バインダを添加し、バインダ入の触媒スラリーを作製する。
    (5)該バインダ入の触媒スラリーを担体表面に担持させて乾燥した後、焼成する。
    ことによって作製することを特徴とするガス化触媒の製造方法。
  4. 前記(3)触媒スラリーの作製において、前記触媒前駆体に、アルコール類またはアルコール類の水溶液を混合してスラリー化することを特徴とする請求項3記載のガス化触媒の製造方法。
  5. 前記(4)バインダ入の触媒スラリーの作製において、前記無機バインダが、前記担体と同一元素を主成分とすることを特徴とする請求項3または4記載のガス化触媒の製造方法。
  6. 前記(5)のバインダ入の触媒スラリーの担持方法として、ディッピング法を用いることを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載のガス化触媒の製造方法。
  7. 有機系被ガス化物を加熱・燃焼してガス化するガス化炉に、請求項1または2記載のガス化触媒が導入されることを特徴とするガス化処理システム。
  8. 前記ガス化炉の下流側に、導入された前記ガス化触媒を回収する触媒回収装置を有するとともに、さらに下流側に前記ガス化触媒を充填したタール分解設備を有することを特徴とする請求項7記載のガス化処理システム。
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