JP2009254062A - 共振型dcチョッパ回路 - Google Patents

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Abstract

【課題】共振型DCチョッパ回路は、電流または電圧がゼロの時にスイッチングして出力を制御している。ゼロとなる時点は共振素子により定まる。出力を小に制御するにはスイッチング周期を大に変える必要があった。スイッチング周波数が小となり、共振コイルを大型にしておかなければならぬとか、騒音が発生するといった問題点があった。
【解決手段】共振コンデンサを2つの共振コンデンサで構成し、一方の共振コンデンサ10に並列にスイッチ素子11,ダイオードを接続する。スイッチ素子11がオンかオフかにより、2種類の共振回路が得られる。スイッチ素子11をオンしている時の共振期間は、スイッチ素子11を適宜の時点でオフすることにより可変し得る。これによりスイッチング周期を変えることなく、スイッチ素子2による出力の制御が可能となる。
【選択図】図1

Description

本発明は、ソフトスイッチングで動作する共振型DCチョッパ回路に関するものである。
DCチョッパ回路では直流電源をオン,オフすることにより出力を制御しているが、そのスイッチング方式には、ハードスイッチング方式とソフトスイッチング方式とがある。ソフトスイッチング方式は、電流または電圧がゼロの時にスイッチングする方式であり、ハードスイッチング方式はそうではない方式である。
電流または電圧がゼロの時にスイッチングすれば、スイッチ素子での電力損失であるスイッチング損失がゼロとなり、消費電力が少なくて済み、効率の点でも望ましい。
ソフトスイッチング方式には、電流がゼロの時にスイッチングするZCS方式(Zero Current Switching)と、電圧がゼロの時にスイッチングするZVS方式(Zero Volt Switching)とがある。
共振型DCチョッパ回路は、DCチョッパ回路内に共振する回路を含むよう構成し、電流または電圧に共振を起こさせ、電流または電圧がゼロになった時にスイッチングするようにしたものである。
以下の従来例では、電流に共振を起こさせるものを例にとって説明する。
図4は、従来の共振型DCチョッパ回路を示す図である。図4(1)は全体回路を示し、(2)は共振に関与する部分の回路を示している。図4において、1は直流電源、2はスイッチ素子、3はダイオード、4は共振コイル、5は共振コンデンサ、6は還流ダイオード、7は平滑インダクタンス、8は負荷抵抗であり、Eは直流電源1の電圧、I0 は負荷電流である。
スイッチ素子2としては、例えばMOSFETが用いられる。平滑インダクタンス7は、スイッチング周期のような短い時間においては、負荷電流I0 を一定に保つのに充分な大きさとされる。
負荷電流I0 が一定に保たれるため、平滑インダクタンス7,負荷抵抗8を含む部分はあたかも定電流源のように考えることが出来る。定電流源は高インピーダンスを呈し、共振には関与しない。直流電源1はそのような定電流源に直列に接続されているから、これも共振には関与しない。その結果、共振に関与する回路は、図4(2)のようになる。
以下、従来の共振型DCチョッパ回路の動作を、図5,図6によって説明する。尚、回路素子は全て理想素子とする。
図5は、図4で示した従来の共振型DCチョッパ回路に、動作を理解し易いようにするため、各種の電流経路を書き込んだ図である。図中に記したK1 〜K4 は、それぞれ次のような電流経路である。

1 …平滑インダクタンス7→負荷抵抗8→還流ダイオード6→平滑インダクタンス7
2 …直流電源1→スイッチ素子2→ダイオード3→共振コイル4→平滑インダクタンス7→負荷抵抗8→直流電源1
3 …共振コンデンサ5→スイッチ素子2→ダイオード3→共振コイル4→共振コンデンサ5
4 …直流電源1→共振コンデンサ5→平滑インダクタンス7→負荷抵抗8→直流電源1
なお、i2 はスイッチ素子2を流れる電流、i6 は還流ダイオード6を流れる電流、v2 はスイッチ素子2の両端電圧、v5 は共振コンデンサ5の両端電圧、v6 は還流ダイオード6の両端電圧である。
図6は、従来の共振型DCチョッパ回路の動作を説明するタイムチャートである。Tはスイッチング周期、TONはオン期間、TOFF はオフ期間、T1 〜T7 は動作モードの境界時刻を示す。
以下、図6の時系列に沿って定常動作について説明するが、前記したように負荷抵抗8には一定の負荷電流I0 が流れている(図6(6))。また、スイッチ素子2がオンされる直前においては、共振コンデンサ5は図示の極性に充電されている(直流電源1のプラス側に接続されている側がプラス)。
(1)時点T1 …スイッチ素子2がオンされた時点
図6(1)で示すように、この時点でスイッチ素子2がオンとされる。それまでオフのスイッチ素子2の両端には、図6(9)に示すように直流電源1の電圧Eがかかっていた(v2 =E)が、それがゼロとなる。
スイッチ素子2のオンにより経路K2 で電流が流れ始めるが、この電流は徐々にしか増加しない。その理由は、経路K1 の電流は平滑インダクタンス7のエネルギーを放出しつつ流れている電流であるが、この電流は急激には変動しないからである。
一定の負荷電流I0 は、スイッチ素子2がオンするまでは平滑インダクタンス7のエネルギー放出電流でまかなわれており、オンした後はそれを経路K1 の電流が少しづつ肩代わりして行く。図6(2)(5)に示されているように、還流ダイオード6を流れる電流i6 は徐々に減少して行き、スイッチ素子2を流れる電流i2 は徐々に増大して行く。
スイッチ素子2がオンした時点では、経路K1 の電流は殆ど減少していないから、経路K2 の電流はほぼゼロである。つまり、スイッチ素子2を流れる電流i2 はほぼゼロである(図6(2)参照)。これにより、スイッチ素子2のオンはZCSスイッチングで行われる。
(2)時点T2 …経路K2 の電流がI0 まで増大した時点
経路K2 の電流が負荷電流I0 に達すると、肩代わりが終了する。即ち、電流i2 =I0 となり、経路K1 の電流i6 はゼロとなる(図6(5)でi6 ゼロ)。そのため、還流ダイオード6はオフとなる。
還流ダイオード6がオフとなると、共振コンデンサ5の電荷が経路K3 を通って放電し始め、共振動作を開始する。共振動作による電流は、図6(3)に示すように共振波形で変化するが、この波形は共振コンデンサ5の容量C5 ,共振コイル4のリアクタンスLの大きさによって定まる。
スイッチ素子2を流れる電流i2 は、直流電源1から供給されている一定な電流I0 に、共振電流が重畳された電流となる。共振コンデンサ5の両端電圧v5 は、図6(7)に示すように、共振コンデンサ5の放電と共に減少して行く。また、還流ダイオード6の両端にかかる電圧v6 は、回路構成より明らかなようにv6 =E−v5 で算出されるが、v5 の減少と共に増大する(図6(8))。
(3)時点T3 …共振コンデンサ5の電圧v5 がゼロになった時点
共振動作では周知のように、共振コンデンサ5の電圧v5 がゼロとなった時、共振電流は最大となっている。その後は、それまでの共振電流で共振コイル4に蓄えられたエネルギーが放出される形で、電流が同方向に流れ続ける。しかし、共振コイル4に蓄えられたエネルギーが減少して行くと共に、共振電流も減少して行く。
共振コンデンサ5の電圧v5 がゼロとなった後に流れる共振電流により、共振コンデンサ5は今度は図示と逆極性に充電されて行く。
(4)時点T4 …共振電流がゼロになった時点
共振電流がゼロとなった時には逆極性でEの電圧となる(図6(7))。この時には、還流ダイオード6の両端電圧v6 は、2Eとなる(v6 =E−(−E)=2E)。共振電流がゼロになると、次には共振電流が反転する。即ち、逆極性に充電された共振コンデンサ5が、経路K3 とは逆の経路で放電し始める。ダイオード3には、経路K2 で一定電流I0 が流れているから、それに逆方向の共振電流は、それがI0 の大きさになるまでは流れ得る。
(5)時点T5 …スイッチ素子2の電流i2 ゼロになった時点
逆方向の共振電流が増大してI0 に達すると、経路K2 の電流I0 と丁度打ち消し合い、スイッチ素子2の電流i2 はゼロになる。すると、スイッチ素子2,ダイオード3はオフとなる。その結果、スイッチ素子2を流れる電流i2 も共振電流も共にゼロとなる。
これらがゼロとなった後、負荷抵抗8への一定電流I0 は、直流電源1から経路K4 で供給される(図6(4))。この電流により共振コンデンサ5は充電されて行く。
スイッチ素子2を流れる電流i2 がゼロとなったから、この状態の時にスイッチ素子2をオフしてやれば(図6(1))、そのオフはZCSスイッチングで行われる。
共振は、時点T5 で終了する。図6(3)中に記した時点T2 〜T5 までの期間TR は、共振により決まる期間である。これを、説明の便宜上「共振関与期間TR 」と言うことにする。
図6(1)(3)を観察すれば分かるように、ソフトスイッチングを維持しようとすると、スイッチ素子2のオン期間TONは共振関与期間TR によって定まることになる。
(6)時点T6 …共振コンデンサ5の電圧が逆極性電圧からゼロまで上昇した時点
経路K4 の電流により充電されていた共振コンデンサ5の電圧v5 は、この時点で逆極性電圧からゼロに達する。その後は、充電の進行と共に、図示の極性でEに向かって上昇して行く。これに伴い、スイッチ素子2の両端電圧v2 もEに向かって上昇して行く。
(7)時点T7 …共振コンデンサ5の充電電圧がEに達した時点
共振コンデンサ5の充電の結果、電圧v5 ,電圧v2 等が図示の極性でEに達すると、回路構成から明らかなように、還流ダイオード6のカソード電位は下がり、還流ダイオード6は順バイアスとなりオンとなる。すると、平滑インダクタンス7に蓄えられたエネルギーが経路K1 で放出され、負荷抵抗8に負荷電流I0 が供給され始める。
かくして、時点T1 の前の状態に戻る。次のスイッチ素子2のオンで(1)〜(7)の動作が繰り返される。
以上述べた従来例は、電流に共振を起こさせてZCSスイッチングするものであり、共振関与期間TR はスイッチ素子2のオン期間TONを規定する。
他方、詳細な説明は省略するが、電圧に共振を起こさせるようにしたものではZVSスイッチングが行われ、共振関与期間TR はスイッチ素子2のオフ期間を規定する。
これらの共振型DCチョッパ回路において、出力の制御は、スイッチング周期に対しオン期間またはオフ期間の占める割合を変えることにより行われる。
特開2006−271099号公報 特開2006−271196号公報
(問題点)
前記した従来の共振型DCチョッパ回路には、次のような問題点があった。
第1の問題点は、共振関与期間TR で規定される期間(電流共振型ではオン期間、電圧共振型ではオフ期間)を変えて出力を制御しようとすると、ソフトスイッチングが出来なくなるという点である。
第2の問題点は、共振関与期間TR で規定される期間を変えずに出力を制御しようとすると、共振コイル4を大型のものとしておく必要があると共に、騒音問題が発生するという点である。
(問題点の説明)
まず第1の問題点について説明する。図4の共振型DCチョッパ回路では、図6の(1)(3)の波形で理解されるように、スイッチ素子2のオン期間TONは共振関与期間TR により規定される。そのため、この期間より早い時点や、遅い時点でオフすると、スイッチ素子2の電流i2 はまだゼロとなっておらず、ZCSスイッチングをすることが出来ない。
同様に、スイッチ素子2のオフ期間が共振関与期間TR により規定される共振型DCチョッパ回路では、この期間より早い時点や、遅い時点でオンすると、スイッチ素子2の電圧v2 はまだゼロとなっておらず、ZVSスイッチングをすることが出来ない。
次に第2の問題点について説明する。図4の共振型DCチョッパ回路で、ZCSスイッチングを行いつつ出力を制御しようとすると、オン期間TONは変えずにスイッチング周期Tを変えることになる(図6(1)参照)。
従って、出力を小にしようとする場合、スイッチング周期Tを大にしなければならない。スイッチング周期Tを大にするとはスイッチング周波数fを小にするということであり、その場合には次のような問題が生ずる。
第1に、共振コイル4のインピーダンスは2πfLであるから、fが小になるとインピーダンスは小になってしまい、所定のインピーダンスを得るためにはリアクタンスLを大なものとしておく必要がある。リアクタンスLを大にするためには、共振コイル4を大型なものとする必要がある。共振コイル4が大型となると、共振型DCチョッパ回路のサイズも大型となってしまう。
第2に、出力を小にしようとしてスイッチング周期Tを大にすると、スイッチング周波数fを低下させることになる。低下させた周波数が可聴周波数の領域に入ると、ノイズとして人の耳に聞こえて来ることになり、共振型DCチョッパ回路は騒音発生源となってしまう。
本発明は、以上のような問題点を解決することを課題とするものである。
前記課題を解決するため、本発明では、第1のスイッチ素子,共振コイルおよび共振コンデンサを具え、該第1のスイッチ素子のオン期間,オフ期間を制御することにより出力を制御する共振型DCチョッパ回路において、前記共振コンデンサを第1の共振コンデンサと第2の共振コンデンサとで構成すると共に、該第2の共振コンデンサに第2のスイッチ素子およびダイオードをそれぞれ並列に接続した構成とし、該第2のスイッチ素子のオン期間,オフ期間を制御することにより、スイッチング周期を変えることなく前記第1のスイッチ素子のオン期間,オフ期間を制御し得るようにした。
なお、直流電源から負荷への直列回路中に第1のスイッチ素子,ダイオード,共振コイルおよび平滑インダクタンスが接続され、該第1のスイッチ素子,ダイオードおよび共振コイルの直列回路に対し共振コンデンサが並列に接続され、前記平滑インダクタンスと負荷とに対し並列となる箇所に還流ダイオードが接続されて成る共振型DCチョッパ回路において、前記共振コンデンサを第1の共振コンデンサと第2の共振コンデンサとで構成すると共に、該第2の共振コンデンサに第2のスイッチ素子およびダイオードをそれぞれ並列に接続した構成とし、該第2のスイッチ素子のオン期間,オフ期間を制御することにより、スイッチング周期を変えることなく前記第1のスイッチ素子のオン期間,オフ期間を制御し得るようにすることも出来る。
また、直流電源から負荷への直列回路中に第1のスイッチ素子,共振コイルおよび平滑インダクタンスが接続され、該第1のスイッチ素子に対し共振コンデンサが並列に接続され、前記平滑インダクタンスと負荷とに対し並列となる箇所に還流ダイオードが接続されて成る共振型DCチョッパ回路において、前記共振コンデンサを第1の共振コンデンサと第2の共振コンデンサとで構成すると共に、該第2の共振コンデンサに第2のスイッチ素子およびダイオードをそれぞれ並列に接続した構成とし、該第2のスイッチ素子のオン期間,オフ期間を制御することにより、スイッチング周期を変えることなく前記第1のスイッチ素子のオン期間,オフ期間を制御し得るようにすることも出来る。
本発明の共振型DCチョッパ回路によれば、次のような効果を奏する。
1.共振関与期間TR で規定される期間(電流共振型ではオン期間、電圧共振型ではオフ期間)が可変となるので、共振関与期間TR で規定されるオン期間あるいはオフ期間を変えることにより出力を制御しても、ソフトスイッチングを行うことが可能となる。
2.スイッチング周期T(スイッチング周波数f)は変えずに、共振関与期間TR で規定されるオン期間あるいはオフ期間の方を変えることにより出力が制御出来るので、スイッチング周波数fの低下に備えて共振コイル4を大型のものにしておく必要もないし、出力を小に制御する場合、スイッチング周波数fの低下により騒音問題が発生することもなくなる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1の(1)は、本発明の共振型DCチョッパ回路を示す図である。この回路は図4の従来例に対応させた例であり、符号は図4のものに対応し、9,10は共振コンデンサ、11はスイッチ素子、12はダイオードである。図4に対応した部分についての説明は省略する。
この回路でも、図4の回路と同様、スイッチ素子2を流れる電流i2 中に共振電流が含まれるようにし、電流i2 がゼロになった状態の時に、スイッチ素子2がZCSスイッチングされるようにしたものである。
図4の従来例と構成上相違する点は、共振コンデンサを2つのコンデンサ9,10との直列接続で構成し、一方のコンデンサ10に対しスイッチ素子11,ダイオード12をそれぞれ並列接続した点である。
そのため、共振回路の構成は、スイッチ素子11がオンされている場合とオフされている場合とでは異なることになる。
図1(2)は、スイッチ素子11がオンされている場合の共振回路である。この場合には、共振コンデンサ10はスイッチ素子11にバイパスされるから、共振は共振コンデンサ9と共振コイル4とにより発生する。図4の共振コンデンサ5の容量に対応した作用をするのは、共振コンデンサ9の容量だけである。
図1(3)は、スイッチ素子11がオフされている場合の共振回路である。この場合には、共振コンデンサ10はスイッチ素子11にバイパスされていないから、共振は共振コンデンサ9,10と共振コイル4とにより発生する。即ち、共振コンデンサ9,10の合成容量が、図4の共振コンデンサ5の容量に対応した作用をする。
つまり、スイッチ素子11をオンした場合とオフした場合とで、共振に関与する容量の大きさが変えられることになる。
以下、本発明の共振型DCチョッパ回路の動作を、図2,図3によって説明する。
図2は、図1で示した本発明の共振型DCチョッパ回路に、動作を理解し易いようにするため、各種の電流経路を書き込んだ図である。図中に記したK1 〜K42は、それぞれ次のような電流経路である。

1 …平滑インダクタンス7→負荷抵抗8→還流ダイオード6→平滑インダクタンス7
2 …直流電源1→スイッチ素子2→ダイオード3→共振コイル4→平滑インダクタンス7→負荷抵抗8→直流電源1
31…共振コンデンサ9→スイッチ素子2→ダイオード3→共振コイル4→スイッチ素子11→共振コンデンサ9
32…共振コンデンサ9→スイッチ素子2→ダイオード3→共振コイル4→共振コンデンサ10→共振コンデンサ9
41…直流電源1→共振コンデンサ9→共振コンデンサ10→平滑インダクタンス7→負荷抵抗8→直流電源1
42…直流電源1→共振コンデンサ9→ダイオード12→平滑インダクタンス7→負荷抵抗8→直流電源1
なお、i1 は直流電源1から流れ出る電流、i2 はスイッチ素子2を流れる電流、i6 は還流ダイオード6を流れる電流、i910 は共振コンデンサ10→9の方向へ流れる電流、i11はスイッチ素子11を流れる電流、v6 は還流ダイオード6の両端電圧、v11はスイッチ素子11の両端電圧である。
図3は、本発明の共振型DCチョッパ回路の動作を説明するタイムチャートである。t1 〜t8 は動作モードの境界時刻を示す。
以下、図3の時系列に沿って定常動作について説明するが、負荷抵抗8には一定の負荷電流I0 が流れている(図3(6))。また、スイッチ素子2がオンされる直前においては、共振コンデンサ9は図示の極性に充電されている(直流電源1のプラス側に接続されている側がプラス)。
なお、従来例と同様の動作あるいはそれより容易に類推し得る動作についての説明は、適宜省略するか簡略に済ますこともある。
(1)時点t1 …スイッチ素子2,11へゲート信号が印加された時点
図3(1)はスイッチ素子2へのゲート信号2を表し、図3(2)はスイッチ素子11へのゲート信号11を表している。この時点でスイッチ素子2はオンとされる(図3(3))。それまでオフのスイッチ素子2の両端には、図3(8)に示すように直流電源1の電圧Eがかかっていた(v2 =E)が、それがゼロとなる。
スイッチ素子2がオンする直前に負荷抵抗8への一定の電流I0 をまかなっていたのは、経路K6 を流れる電流i6 であるが、それを経路K1 の電流が少しづつ肩代わりして行く。即ち、図3(13)(7)に示されているように、還流ダイオード6を流れる電流i6 は徐々に減少して行き、スイッチ素子2を流れる電流i2 は徐々に増大して行く。
スイッチ素子2がオンした時点では、経路K1 の電流は殆ど減少していないから、経路K2 の電流はほぼゼロである。つまり、スイッチ素子2を流れる電流i2 はほぼゼロである(図3(7)参照)。これにより、スイッチ素子2のオンはZCSスイッチングで行われる。
なお、この時点より次の時点t2 までは、直流電源1から供給される電流i1 は、そのままスイッチ素子2を流れるから、i1 =i2 である(図3(5))。
(2)時点t2 …経路K2 の電流がI0 まで増大した時点
経路K2 の電流が負荷電流I0 に達すると、肩代わりが終了する。即ち、電流i2 =I0 となり、経路K1 の電流i6 はゼロとなる(図3(13)でi6 ゼロ)。そのため、還流ダイオード6はオフとなる。
還流ダイオード6がオフとなると、共振コンデンサ9の電荷が経路K31を通って放電しようとする。スイッチ素子11のゲートへは既にゲート信号11が与えられているから、スイッチ素子11はこの時点でオンする(図3(4))。この時にスイッチ素子11に流れようとする電流は、電流i2 から負荷抵抗8へ流れてゆく負荷電流I0 を差し引いた分であるから、ほぼゼロである。従って、スイッチ素子11のオンはZCSスイッチングで行われる。
これ以後、経路K31を舞台にした共振動作が開始される。この共振動作による電流i11は、図3(9)に示されるように共振波形で変化する。この波形は、共振コンデンサ9の容量C9 ,共振コイル4のリアクタンスLの大きさによって定まる。
スイッチ素子2を流れる電流i2 は、直流電源1から供給されている一定の電流I0 に、共振電流i11が重畳された電流となる。
(3)時点t3 …ゲート信号11がオフされた時点
制御指令に従い、ここでゲート信号11がオフされたとする。すると、スイッチ素子11がオフとされ、スイッチ素子11に流れていた共振電流i11は、共振コンデンサ10へ転流される。つまり、共振コンデンサ9と共振コイル4による共振はこの時点で終了する。時点t2 〜t3 の期間TR1を、説明の便宜上、第1の共振期間と言うことにする。この第1の共振期間TR1は、オンしているスイッチ素子11を、任意の時点でオフすることにより可変することが可能である。
さて、共振コンデンサ10は転流電流により充電が開始され、その両端電圧(図で右側がプラス、左側がマイナス)は徐々に増加する。スイッチ素子11の両端間の電圧は共振コンデンサ10の両端間電圧に他ならないが、スイッチ素子11オフ直前の共振コンデンサ10の両端間電圧は、スイッチ素子11がオンしていたためゼロであった。コンデンサの電圧は急に変われないから、スイッチ素子11のオフは、その両端電圧がゼロの状態で行われることになり、ZVSスイッチングで行われる。
共振コンデンサ10へ転流した後は、共振電流は経路K32で流れる。この時の共振電流i910 の波形は、直列接続された共振コンデンサ9,10の合成容量(これをCT とする)と共振コイル4のリアクタンスLにより決まる(図3(10)参照)。
スイッチ素子2を流れる電流i2 は、一定電流I0 にこの共振電流i910 が重畳されたものとなる。
共振電流i910 による充電の進行により、共振コンデンサ10の両端電圧は増加する。それに伴い、スイッチ素子11の両端電圧も増加する(図3(12))。一方、共振電流i910 は徐々に減少する(図3(10))。
(4)時点t4 …共振電流i910 が反転する時点
経路K32で共振コンデンサ10に流れ込んでいた共振電流i910 は、やがてゼロとなり反転する。即ち、経路K32を逆方向にたどって流れ始める。その結果、スイッチ素子2を流れる電流i2 は、直流電源1から供給されている一定電流I0 から共振電流i910 を差し引いた電流となる。
(5)時点t5 …反転した共振電流i910 がI0 に達した時点
反転した共振電流i910 がI0 に達すると、電流I0 と打ち消し合う。ダイオード3はオンを維持出来なくなり、オフとなる。そのため、共振電流i910 はもはや流れなくなり、ここで共振は終了する。ダイオード3オフのため、スイッチ素子2の電流i2 はゼロとなる。
時点t3 〜t5 までの期間TR2は、共振コンデンサ9,10の合成容量CT と共振コイル4のリアクタンスLにて定まる共振が行われた期間であるが、この期間を説明の便宜上、第2の共振期間と言うことにする。第2の共振期間TR2は共振周期のほぼ半分であるが、共振周期は合成容量CT とリアクタンスLで定まってしまうから(πf√(LCT ))、第2の共振期間TR2の長さ(≒πf√(LCT )÷2)を可変することは出来ない。
なお、共振コンデンサ9,10の容量をそれぞれC9 ,C10とした場合、これらが直列接続された合成容量CT は、下記の式で求められる。
T =C9 ・C10/(C9 +C10
仮にC9 ≫C10とすると、CT ≒C10となり、TR2≒πf√(LC10)÷2となる。
さて、経路K32がオフとなると、負荷抵抗8への負荷電流I0 は、直流電源1から経路K41を通って供給される。この電流は、反転した共振電流i910 で放電しつつあった共振コンデンサ10の残留電荷を放電して行く。従って、スイッチ素子11の両端電圧v11(=共振コンデンサ10の充電電圧)は減少して行く。
(6)時点t6 …スイッチ素子2へのゲート信号2をオフした時点
時点t5 以後、スイッチ素子2の電流i2 はゼロとなっているから、時点t5 以後の時点t6 でスイッチ素子2へのゲート信号2をオフにしてやれば、そのオフはZCSスイッチングで行われる。
(7)時点t7 …共振コンデンサ10の電圧が逆極性電圧からゼロまで上昇した時点
経路K41を流れる電流で共振コンデンサ10が放電し、その両端電圧がゼロとなると、共振コンデンサ10に並列接続されているダイオード12がオンする(図3(11))。 ダイオード12がオンすると、負荷抵抗8への負荷電流I0 は、今度は経路K42で流れ始める。共振コンデンサ9は、直流電源1に接続される側をプラスとして充電され、その充電電圧は徐々に増加して行く。
(8)時点t8 …共振コンデンサ9の充電電圧がEに達した時点
共振コンデンサ9の充電電圧がEに達すると、スイッチ素子2の両端電圧v2 もEとなる。この時、回路構成から明らかなように、還流ダイオード6のカソード電位は下がり、還流ダイオード6は順バイアスとなりオンとなる。すると、平滑インダクタンス7に蓄えられたエネルギーが経路K1 で放出され、負荷抵抗8に負荷電流I0 が供給され始める。 かくして時点t1 の前の状態に戻る。次のスイッチ素子2のオンで(1)〜(8)の動作が繰り返される。
図7は、本発明の共振型DCチョッパ回路の他の例を示す図であり、符号は図1のものに対応している。図1の回路は電流共振型のものであるが、図7の回路は電圧共振型のものである。電圧共振型DCチョッパ回路の動作は公知であり、共振コンデンサの部分に加えた本発明の工夫部分は、図1の回路で説明したのと同様の作用を果たすので、それについての説明は省略する。
以上述べたように、本発明によれば、スイッチ素子2,11のスイッチングは、全てソフトスイッチングで行われる。
また、スイッチ素子2のオン期間TONは、共振関与期間TR によって規定されるが、本発明ではその共振関与期間TR は第1の共振期間TR1と第2の共振期間TR2との和となっており、その内の第1の共振期間TR1はスイッチ素子11のスイッチングにより可変し得る期間である。従って、スイッチング周期Tを変えなくとも、第1の共振期間TR1を可変することにより、スイッチ素子2のオン期間TONを制御し得ることになる。
そのため、出力を小にする場合、従来のようにスイッチング周期Tを大(スイッチング周波数fを小に)する必要がなくなるので、共振コイル4を大型にしておく必要もないし、騒音問題が発生することもない。
本発明の共振型DCチョッパ回路を示す図 本発明回路における各種の電流経路を示す図 本発明の共振型DCチョッパ回路の動作を説明するタイムチャート 従来の共振型DCチョッパ回路を示す図 従来回路における各種の電流経路を示す図 従来の共振型DCチョッパ回路の動作を説明するタイムチャート 本発明の共振型DCチョッパ回路の他の例を示す図
符号の説明
1…直流電源、2…スイッチ素子、3…ダイオード、4…共振コイル、5…共振コンデンサ、6…還流ダイオード、7…平滑インダクタンス、8…負荷抵抗、9,10…共振コンデンサ、11…スイッチ素子、12…ダイオード

Claims (3)

  1. 第1のスイッチ素子,共振コイルおよび共振コンデンサを具え、該第1のスイッチ素子のオン期間,オフ期間を制御することにより出力を制御する共振型DCチョッパ回路において、
    前記共振コンデンサを第1の共振コンデンサと第2の共振コンデンサとで構成すると共に、
    該第2の共振コンデンサに第2のスイッチ素子およびダイオードをそれぞれ並列に接続した構成とし、
    該第2のスイッチ素子のオン期間,オフ期間を制御することにより、スイッチング周期を変えることなく前記第1のスイッチ素子のオン期間,オフ期間を制御し得るようにした
    ことを特徴とする共振型DCチョッパ回路。
  2. 直流電源から負荷への直列回路中に第1のスイッチ素子,ダイオード,共振コイルおよび平滑インダクタンスが接続され、該第1のスイッチ素子,ダイオードおよび共振コイルの直列回路に対し共振コンデンサが並列に接続され、前記平滑インダクタンスと負荷とに対し並列となる箇所に還流ダイオードが接続されて成る共振型DCチョッパ回路において、
    前記共振コンデンサを第1の共振コンデンサと第2の共振コンデンサとで構成すると共に、
    該第2の共振コンデンサに第2のスイッチ素子およびダイオードをそれぞれ並列に接続した構成とし、
    該第2のスイッチ素子のオン期間,オフ期間を制御することにより、スイッチング周期を変えることなく前記第1のスイッチ素子のオン期間,オフ期間を制御し得るようにした
    ことを特徴とする共振型DCチョッパ回路。
  3. 直流電源から負荷への直列回路中に第1のスイッチ素子,共振コイルおよび平滑インダクタンスが接続され、該第1のスイッチ素子に対し共振コンデンサが並列に接続され、前記平滑インダクタンスと負荷とに対し並列となる箇所に還流ダイオードが接続されて成る共振型DCチョッパ回路において、
    前記共振コンデンサを第1の共振コンデンサと第2の共振コンデンサとで構成すると共に、
    該第2の共振コンデンサに第2のスイッチ素子およびダイオードをそれぞれ並列に接続した構成とし、
    該第2のスイッチ素子のオン期間,オフ期間を制御することにより、スイッチング周期を変えることなく前記第1のスイッチ素子のオン期間,オフ期間を制御し得るようにした
    ことを特徴とする共振型DCチョッパ回路。
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