JP2009251486A - 画像表示装置及び画像表示装置の製造方法 - Google Patents

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幸人 飯田
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Abstract

【課題】本発明は、画像表示装置及び画像表示装置の製造方法に関し、例えば有機EL素子によるアクティブマトリックス型の画像表示装置に適用して、隣接画素からの光による画質劣化を防止する。
【解決手段】本発明は、平坦化膜11に遮光溝30を形成し、この遮光溝30により隣接画素のトランジスタ7に向かう発光素子(16)の出射光を遮光する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、画像表示装置及び画像表示装置の製造方法に関し、例えば有機EL(Electro Luminescence)素子によるアクティブマトリックス型の画像表示装置に適用することができる。本発明は、平坦化膜に遮光溝を形成し、この遮光溝により隣接画素のトランジスタに向かう発光素子の出射光を遮光することにより、隣接画素からの光による画質劣化を防止することができるようにする。
近年、有機EL素子を用いたアクティブマトリックス型の画像表示装置の開発が盛んになっている。ここで有機EL素子を用いた画像表示装置は、電界の印加により発光する有機薄膜の発光現象を利用した画像表示装置である。有機EL素子は、10〔V〕以下の印加電圧で駆動することができる。従ってこの種の画像表示装置は、消費電力を低減することができる。また有機EL素子は、自発光素子である。従ってこの種の画像表示装置は、バックライト装置を必要とせず、軽量化、薄型化することができる。さらに有機EL素子は、応答速度が数μ秒程度と速い特徴がある。従ってこの種の画像表示装置は、動画像表示時に残像が殆ど発生しない特徴がある。
具体的に、有機EL素子を用いたアクティブマトリックス型の画像表示装置は、有機EL素子と有機EL素子を駆動する駆動回路とによる画素回路をマトリックス状に配置して表示部が形成される。この種の画像表示装置は、表示部に設けられた信号線及び走査線をそれぞれ介して、表示部の周囲に配置した信号線駆動回路及び走査線駆動回路により各画素回路を駆動して所望の画像を表示する。
図14は、トップエミッション方式によるこの種の画像表示装置を示す断面図である。従来、画像表示装置1は、例えばガラスによる絶縁基板2上に配線パターン材料層が堆積された後、この配線パターン材料層がエッチング処理されて第1配線3が作成される。画像表示装置1は、続いてゲート酸化膜4が作成された後、ポリシリコン膜による中間配線層5が作成される。画像表示装置1は、続いてチャンネル保護層等が作成された後、不純物がドープされ、各画素6の画素回路を構成するトランジスタ7がTFT(Thin Film Transistor)により作成される。
画像表示装置1は、続いて層間絶縁膜8が堆積された後、配線パターン材料層が堆積される。画像表示装置1は、この配線パターン材料層がエッチング処理されて第2配線9が作成される。なお層間絶縁膜8には、第2配線9及び中間配線層5を接続するコンタクト10が適宜設けられる。
画像表示装置1は、続いて絶縁性の平坦化膜11により表面が平坦化された後、下部電極材料が堆積される。画像表示装置1は、この下部電極材料がエッチング処理され、下部電極12及び補助電極13が設けられる。なお平坦化膜11には、下部電極12と各画素回路の対応するトランジスタとを接続するコンタクト14が設けられる。ここで下部電極12は、画素6毎に絶縁されて、例えば矩形形状により作成される。またトップエミッション方式の場合、下部電極材料は、反射率の高い材料により作成され、これにより画像表示装置1は、有機EL素子の出射光を効率良く出射できるように構成される。これに対して補助電極13は、下部電極12と絶縁されて、各画素6の下部電極12を区切るように、各下部電極12を囲む格子形状により作成される。
画像表示装置1は、続いて絶縁膜15が設けられた後、有機EL素子を構成する有機層16が設けられる。画像表示装置1は、続いて上部電極17が作成される。ここで画像表示装置1は、上部電極17が基板表面の全面に形成され、各画素6で上部電極17が共通に形成される。また補助電極13の部位では、補助電極13上に直接上部電極17が設けられ、これにより上部電極17のインピーダンスを補助電極13により低減する。また有機層16の部位では、有機層16を上部電極17及び下部電極12で挟持し、これら有機層16、上部電極17及び下部電極12により有機EL素子を構成する。トップエミッション方式の場合、上部電極17は、透過率の高い材料により作成され、これにより画像表示装置1、有機EL素子の出射光を効率良く出射できるように構成される。画像表示装置1は、続いてSiO2 等による絶縁膜18が形成された後、透明樹脂材料等による保護層19が設けられ、封止用の透明基板20が配置されて作成される。
この種の画像表示装置に関して、特開2006−58814号公報には、各画素6において、画素回路を構成するトランジスタを下部電極12の下層に配置し、有機EL素子からトランジスタに向かう光を下部電極12で遮光する構成が提案されている。
特開2006−58814号公報
ところで特開2006−58814号公報に開示の手法によれば、各画素において、有機EL素子からトランジスタに向かう光を遮光することができ、これにより各画素回路を構成するトランジスタの特性変動を低減し、画質を向上することができる。
しかしながらこの特開2006−58814号公報に開示の手法によっては、図14において矢印Aにより示すように、隣接画素の有機EL素子からの光については、遮光し得ない。その結果、この隣接画素からの光によって、画素回路を構成するトランジスタの特性が変動し、各画素6の発光輝度が変動する問題があった。画像表示装置は、このように各画素6の発光輝度が変動すると、画質が劣化することになる。
なおこのトランジスタの特性の変化は、トランジスタへの入射光量、入射光の波長によって変化することから、各画素の発光輝度の変動は、トランジスタを配置する部位、各画素の色によって変動量が変化することになる。
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、隣接画素からの光による画質の劣化を防止することができる画像表示装置及び画像表示装置の製造方法を提案しようとするものである。
上記の課題を解決するため請求項1の発明は、画像表示装置に適用して、発光素子と、前記発光素子を駆動するトランジスタとによる画素回路をマトリックス状に配置して表示部が形成され、基板上に前記トランジスタ、平坦化膜、前記発光素子が順次設けられ、前記平坦化膜の前記発光素子側面に溝が作成され、前記溝により前記発光素子から出射されて隣接画素の前記トランジスタに向かう光を遮光する遮光溝が設けられる。
また請求項5の発明は、画像表示装置の製造方法に適用して、基板上に、画素回路を構成するトランジスタを作成するトランジスタ作成ステップと、前記トランジスタの上に、平坦化膜を作成する平坦化膜作成ステップと、前記平坦化膜の上に、前記画素回路を構成する発光素子を作成する発光素子作成ステップとを有し、さらに前記平坦化膜の前記発光素子側面に溝を作成し、前記溝により前記発光素子から出射されて隣接画素の前記トランジスタに向かう光を遮光する遮光溝を作成する遮光溝作成ステップを有するようにする。
請求項1の構成により、平坦化膜の発光素子側面に溝を作成し、この溝により発光素子から出射されて隣接画素のトランジスタに向かう光を遮光する遮光溝を設けるようにすれば、この遮光溝にあっては、発光素子から出射されて隣接画素のトランジスタに向かう光を遮光することができる。従ってトランジスタは、隣接画素の発光素子からの光の入射が防止され、隣接画素からの光の入射による特性変動が防止され、画像表示装置における画質劣化を防止することができる。
請求項5の構成によれば、平坦化膜の発光素子側面に溝を作成し、この溝により発光素子から出射されて隣接画素のトランジスタに向かう光を遮光する遮光溝が作成されることから、この溝により発光素子から出射されて隣接画素のトランジスタに向かう光を遮光することができる。従ってトランジスタは、隣接画素の発光素子からの光の入射が防止され、隣接画素からの光の入射による特性変動が防止され、画像表示装置における画質劣化を防止することができる。
本発明によれば、隣接画素からの光による各画素の発光輝度の変動を有効に回避し、画質劣化を防止することができる。
以下、適宜図面を参照しながら本発明の実施例を詳述する。
(1)実施例の構成
(1−1)全体構成(図2〜図12)
図2は、この実施例の画像表示装置を示すブロック図である。この画像表示装置21は、有機EL素子を用いたトップエミッション方式の画像表示装置であり、ガラス等の絶縁基板に表示部22が作成される。画像表示装置21は、この表示部22の周囲に信号線駆動回路23及び走査線駆動回路24が作成される。
ここで表示部22は、画素回路(PXCL)25をマトリックス状に配置して形成される。信号線駆動回路23は、表示部22に設けられた信号線DTLに信号線用の駆動信号Ssigを出力する。より具体的に、信号線駆動回路23は、水平セレクタ(HSEL)23Aにより、ラスタ走査順に入力される画像データD1を順次ラッチして画像データD1を信号線DTLに振り分けた後、それぞれディジタルアナログ変換処理する。信号線駆動回路23は、このディジタルアナログ変換結果を処理して駆動信号Ssigを生成する。これにより画像表示装置21は、例えばいわゆる線順次により各画素回路25の階調を設定する。
走査線駆動回路24は、表示部22に設けられた書込信号用の走査線WSL及び電源用の走査線DSLにそれぞれ書込信号WS及び駆動信号DSを出力する。ここで書込信号WSは、各画素回路25に設けられた書込トランジスタをオンオフ制御する信号である。また駆動信号DSは、各画素回路25に設けられた駆動トランジスタのドレイン電圧を制御する信号である。走査線駆動回路24は、それぞれライトスキャン回路(WSCN)24A及びドライブスキャン回路(DSCN)24Bにおいて、所定のサンプリングパルスSPをクロックCKで処理して書込信号WS及び駆動信号DSを生成する。
図3は、画素回路25の構成を詳細に示す接続図である。画素回路25は、有機EL素子28のカソードが所定の負側電源Vssに接続され、有機EL素子28のアノードが駆動トランジスタTr2のソースに接続される。なお駆動トランジスタTr2は、例えばTFTによるNチャンネル型トランジスタである。画素回路25は、この駆動トランジスタTr2のドレインが電源用の走査線DSLに接続され、この走査線DSLに走査線駆動回路24から電源用の駆動信号DSが供給される。これらにより画素回路25は、ソースフォロワ回路構成の駆動トランジスタTr2を用いて有機EL素子28を電流駆動する。
画素回路25は、この駆動トランジスタTr2のゲート及びソース間に保持容量Csが設けられ、書込信号WSによりこの保持容量Csのゲート側端電圧が駆動信号Ssigの電圧に設定される。その結果、画素回路25は、駆動信号Ssigに応じたゲートソース間電圧Vgsにより駆動トランジスタTr2で有機EL素子28を電流駆動する。なおここでこの図3において、容量Celは、有機EL素子28の浮遊容量である。また以下において、容量Celは、保持容量Csに比して十分に容量が大きいものとし、駆動トランジスタTr2のゲートノードの寄生容量は、保持容量Csに対して十分に小さいものとする。
すなわち画素回路25は、書込信号WSによりオンオフ動作する書込トランジスタTr1を介して、駆動トランジスタTr2のゲートが信号線DTLに接続される。なおここで書込トランジスタTr1は、例えばTFTによるNチャンネル型トランジスタである。ここで信号線駆動回路23は、階調設定用電圧Vsig及びしきい値電圧の補正用電圧Voを所定のタイミングで切り換えて駆動信号Ssigを出力する。ここでしきい値電圧補正用の固定電圧Voは、駆動トランジスタTr2のしきい値電圧のばらつき補正に使用する固定電圧である。また階調設定用電圧Vsigは、有機EL素子28の発光輝度を指示する電圧であり、階調電圧Vinにしきい値電圧補正用の固定電圧Voを加算した電圧である。また階調電圧Vinは、有機EL素子28の発光輝度に対応する電圧である。階調電圧Vinは、水平セレクタ(HSEL)23Aにおいて、ラスタ走査順に入力される画像データD1を順次ラッチして各信号線DTLに振り分けた後、それぞれディジタルアナログ変換処理して信号線DTL毎に生成される。
画素回路25は、図4に示すように、有機EL素子28を発光させる発光期間の間、書込信号WSにより書込トランジスタTr1がオフ状態に設定される(図4(A))。また画素回路25は、発光期間の間、電源用の駆動信号DSによって駆動トランジスタTr2に電源電圧VccHが供給される(図4(B))。これにより画素回路25は、図5に示すように、発光期間の間、保持容量Csの端子間電圧である駆動トランジスタTr2のゲートソース間電圧Vgs(図4(D)及び(E))に応じた駆動電流Idsで有機EL素子28を発光させる。
画素回路25は、発光期間が終了する時点t0で、電源用の駆動信号DSが所定の固定電圧VccLに立ち下げられる(図4(B))。ここでこの固定電圧VccLは、駆動トランジスタTr2のドレインをソースとして機能させるのに十分に低い電圧であって、かつ有機EL素子28のカソード電圧Vssより低い電圧である。
これにより画素回路25は、図6に示すように、駆動トランジスタTr2を介して、保持容量Csの有機EL素子28側端の蓄積電荷が走査線DSLに流出する。その結果、画素回路25は、駆動トランジスタTr2のソース電圧Vsが電圧VccLに立ち下がり(図4(E))、有機EL素子28が発光を停止する。また画素回路25は、このソース電圧Vsの立ち下がりに連動して、駆動トランジスタTr2のゲート電圧Vgが低下する(図4(D))。
画素回路25は、続く所定の時点t1で、書込信号WSにより書込トランジスタTr1がオン状態に切り換えられ(図4(A))、駆動トランジスタTr2のゲート電圧Vgが信号線DTLに設定されたしきい値電圧補正用の固定電圧Voに設定される(図4(C)及び(D))。これにより画素回路25は、図7に示すように、駆動トランジスタTr2のゲートソース間電圧Vgsが電圧Vo−VccLに設定される。ここで画素回路25は、電圧Vo、VccLの設定により、この電圧Vo−VccLが駆動トランジスタTr2のしきい値電圧Vthより大きな電圧に設定される。
その後、画素回路25は、時点t2で駆動信号DSにより駆動トランジスタTr2のドレイン電圧が電源電圧VccHに立ち上げられる(図4(B))。これにより画素回路25は、駆動トランジスタTr2を介して保持容量Csの有機EL素子28側端に電源VccHから充電電流Idsが流入する。その結果、画素回路25は、保持容量Csの有機EL素子28側端の電圧Vsが徐々に上昇する。なおこの場合、画素回路25において、駆動トランジスタTr2を介して有機EL素子28に流入する電流Idsは、有機EL素子28の容量Celと保持容量Csの充電にのみ使用され、その結果、有機EL素子28を発光させることなく、単に駆動トランジスタTr2のソース電圧Vsのみが上昇することになる。
ここで画素回路25は、保持容量Csの端子間電圧が駆動トランジスタTr2のしきい値電圧Vthとなると、駆動トランジスタTr2を介した充電電流Idsの流入が停止することになる。従ってこの場合、この駆動トランジスタTr2のソース電圧Vsの上昇は、保持容量Csの両端電位差が駆動トランジスタTr2のしきい値電圧Vthとなると、停止することになる。これにより画素回路25は、駆動トランジスタTr2を介して保持容量Csの端子間電圧を放電させ、図8に示すように、保持容量Csの端子間電圧を駆動トランジスタTr2のしきい値電圧Vthに設定する。
画素回路25は、保持容量Csの端子間電圧を駆動トランジスタTr2のしきい値電圧Vthに設定するのに十分な時間が経過して時点t3になると、図9に示すように、書込信号WSにより書込トランジスタTr1がオフ状態に切り換えられる(図4(A))。続いて図10に示すように、信号線DTLの電圧が階調設定用電圧Vsig(=Vin+Vo)に設定される。
画素回路25は、続く時点t4で書込トランジスタTr1がオン状態に設定される(図4(A))。これにより画素回路25は、図11に示すように、駆動トランジスタTr2のゲート電圧Vgが階調設定用電圧Vsigに設定され、駆動トランジスタTr2のゲートソース間電圧Vgsは、階調電圧Vinに駆動トランジスタTr2のしきい値電圧Vthを加算した電圧に設定される。これにより画素回路25は、駆動トランジスタTr2のしきい値電圧Vthのばらつきを有効に回避して有機EL素子28を駆動することができ、有機EL素子28の発光輝度のばらつきによる画質劣化を防止することができる。
画素回路25は、この駆動トランジスタTr2のゲート電圧Vgを階調設定用電圧Vsigに設定する際に、駆動トランジスタTr2のドレイン電圧を電源電圧VccHに保持した状態で、一定期間の間、駆動トランジスタTr2のゲートが信号線DTLに接続される。これにより画素回路25は、併せて駆動トランジスタTr2の移動度μのばらつきが補正される。
すなわち保持容量Csの端子間電圧を駆動トランジスタTr2のしきい値電圧Vthに設定した状態で、書込トランジスタTr1をオン状態に設定して駆動トランジスタTr2のゲートを信号線DTLに接続した場合、駆動トランジスタTr2のゲート電圧Vgは、固定電圧Voから徐々に上昇して階調設定用電圧Vsigに設定される。
ここで画素回路25は、この駆動トランジスタTr2のゲート電圧Vgの立ち上がりに要する書込時定数が、駆動トランジスタTr2によるソース電圧Vsの立ち上がりに要する時定数に比して短くなるように設定される。
この場合、書込トランジスタTr1がオン動作すると、駆動トランジスタTr2のゲート電圧Vgは、速やかに階調設定用電圧Vsig(Vo+Vin)に立ち上がることになる。このゲート電圧Vgの立ち上がり時、有機EL素子28の容量Celが保持容量Csに比して十分に大きければ、駆動トランジスタTr2のソース電圧Vsは変動しないことになる。
しかしながら駆動トランジスタTr2のゲートソース間電圧Vgsがしきい値電圧Vthより増大すると、駆動トランジスタTr2を介して電源VccHから電流Idsが流入し、駆動トランジスタTr2のソース電圧Vsが徐々に上昇することになる。その結果、画素回路25は、保持容量Csの端子間電圧が駆動トランジスタTr2により放電し、ゲートソース間電圧Vgsの上昇速度が低下することになる。
この端子間電圧の放電速度は、駆動トランジスタTr2の能力に応じて変化する。より具体的には、駆動トランジスタTr2の移動度μが大きい場合程、放電速度は、早くなる。
その結果、画素回路25は、移動度μが大きい駆動トランジスタTr2程、保持容量Csの端子間電圧が低下するように設定され、移動度のばらつきによる発光輝度のばらつきが補正される。なおこの移動度μの補正に係る端子間電圧の低下分を図4、図11及び図12ではΔVで示す。
画素回路25は、この移動度の補正期間が経過すると、時点t5で書込信号WSが立ち下げられる。その結果、画素回路25は、発光期間が開始し、図12に示すように、保持容量Csの端子間電圧に応じた駆動電流Idsにより有機EL素子28を発光させる。なお画素回路25は、発光期間が開始すると、いわゆるブートストラップ回路により駆動トランジスタTr2のゲート電圧Vg及びソース電圧Vsが上昇する。図12におけるVelは、この上昇分の電圧である。
これらにより画素回路25は、時点t0から時点t1までの駆動トランジスタTr2のゲート電圧を電圧VccLに立ち下げている期間で、駆動トランジスタTr2のしきい値電圧を補正する処理の準備を実行する。また続く時点t2から時点t3までの期間で、保持容量Csの端子間電圧を駆動トランジスタTr2のしきい値電圧Vthに設定して、駆動トランジスタTr2のしきい値電圧を補正する。また時点t4から時点t5までの期間で、駆動トランジスタTr2の移動度を補正すると共に、階調設定用電圧Vsigをサンプリングする。
(1−2)製造工程(図1)
図1は、図14との対比により、この画像表示装置21の構成を示す断面図である。この画像表示装置21は、平坦化膜11の作成工程が異なる点を除いて、図14について上述した画像表示装置1と同一に構成される。なおこれにより、図14の画像表示装置1と同一の構成は、対応する符号を付して示し、適宜、重複した説明は省略する。
この画像表示装置21は、絶縁基板2上に、第1配線3、ゲート酸化膜4、中間配線層5が順次作成される。画像表示装置21は、これら第1配線3及び中間配線層5が局所的に対向するように作成され、この局所的に対向する部位により保持容量Csが作成される。画像表示装置21は、続いてチャンネル保護層等が作成されて書込トランジスタTr1及び駆動トランジスタTr2が作成される。なおこの図1において、断面により表示されるトランジスタ7は、駆動トランジスタTr2である。
画像表示装置21は、続いて層間絶縁膜8、第2配線9が作成された後、平坦化膜11が作成される。画像表示装置21は、露光処理又はハーフ露光処理により、画素6間の補助電極13を作成する部位に溝(トレンチ構造)29が作成される。ここで補助電極13は、下部電極12と絶縁されて、各画素6の下部電極12を区切るように、各下部電極12を囲む格子形状により作成されることから、溝29にあっても、同様に、各画素6の下部電極12を区切るように、各下部電極12を囲む格子形状により作成される。なおこの図1において、溝29は、第2配線9に到達する深さにより作成されているが、溝29の深さは、これに限られるものではなく、種々に設定することができる。
この実施例において、画像表示装置21の製造工程は、例えばポジ型の感光性樹脂材料をスピンコート法により塗布した後、露光処理又はハーフ露光処理してパターンニングすることにより、平坦化膜11を作成し、さらにこの平坦化膜11に溝29を作成する。
続いて画像表示装置21は、下部電極材料が堆積された後、エッチング処理され、下部電極12及び補助電極13が設けられる。なおこれによりこの実施例において、下部電極12は、有機EL素子28のアノード電極を構成する。なお下部電極12及び補助電極13は、反射率が高く、かつ透過率の低い材料により作成される。具体的に、下部電極12及び補助電極13は、金(Au)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、銅(Cu)、タングステン(W)等の金属材料膜、これら金属材料の合金膜、これら金属材料膜又は合金膜と有機材料膜又は無機材料膜との積層構造により作成される。なおこの実施例において、下部電極12及び補助電極13は、銀合金膜をITOで挟持した積層構造により作成される。
これにより画像表示装置21は、溝29の内側に補助電極13が積層され、この溝29及び補助電極13により、有機層16から出射されて隣接画素6のトランジスタ7に向かう光を遮光する遮光溝30が形成される。
なお画像表示装置21は、駆動トランジスタTr2、書込トランジスタTr1が、下部電極12の下に設けられる。
続いて画像表示装置21は、上部電極17が基板表面の全面に形成された後、絶縁膜18、保護層19が設けられ、封止用の透明基板20が配置されて作成される。従ってこの実施例において、上部電極17は、有機EL素子28のカソード電極を構成する。
(2)実施例の動作
以上の構成において、この画像表示装置21では、信号線駆動回路23において、順次入力される画像データD1が表示部22の信号線DTLに振り分けられた後(図2及び図3)、ディジタルアナログ変換処理される。これにより画像表示装置1では、信号線DTLに接続された各画素回路の階調を指示する階調電圧Vinが信号線DTL毎に作成される。画像表示装置21では、走査線駆動回路24による表示部22の駆動により、表示部22を構成する各画素回路25に例えば線順次によりこの階調電圧Vinが設定される。また各画素回路25では、この階調電圧Vinに応じた駆動トランジスタTr2による駆動によりそれぞれ有機EL素子28が発光する(図4)。これにより画像表示装置21では、画像データD1に応じた画像を表示部22で表示することができる。
より具体的に、画素回路25においては、ソースフォロワ回路構成の駆動トランジスタTr2により有機EL素子28が電流駆動される。画素回路25においては、この駆動トランジスタTr2のゲート、ソース間に設けられた保持容量Csのゲート側端の電圧が階調電圧Vinに応じた電圧Vsigに設定される。これにより画像表示装置21では、画像データD1に応じた発光輝度により有機EL素子28を発光させて所望の画像を表示する。
しかしながらこれら画素回路25に適用される駆動トランジスタTr2は、しきい値電圧Vthのばらつきが大きい欠点がある。その結果、画像表示装置21では、単に保持容量Csのゲート側端電圧を階調電圧Vinに応じた電圧Vsigに設定したのでは、駆動トランジスタTr2のしきい値電圧Vthのばらつきにより有機EL素子28の発光輝度がばらつき、画質が劣化する。
そこで画像表示装置21では、事前に、駆動信号DS及び書込信号WSによる駆動トランジスタTr2の制御等により、保持容量Csの端子間電圧が駆動トランジスタTr2のしき値電圧Vthに設定される(図2〜図6)。その後、画像表示装置21では、保持容量Csの端子電圧が階調設定用電圧Vsig(Vin+Vo)に設定される(図10)。これにより画像表示装置21では、駆動トランジスタTr2のしきい値電圧Vthのばらつきによる画質劣化を防止することができる。また一定時間の間、駆動トランジスタTr2に電源を供給した状態で、駆動トランジスタTr2のゲート電圧を階調設定用電圧Vsigに保持することにより、駆動トランジスタTr2の移動度のばらつきによる画質劣化を防止することができる。
このように画像表示装置21では、画素回路を構成するトランジスタのばらつき対策を種々に講じていることから、このばらつき対策で対応可能に、これらのトランジスタの特性変動を極力低減することが望まれる。特に、書込トランジスタTr1にあっては、特性の変動により、信号線DTLの電位に対する駆動トランジスタTr2のゲート電圧Vgが変化し、さらには書込信号WSによって移動度のばらつきを補正する期間が変化する。その結果、有機EL素子28の駆動電流が種々に変動し、有機EL素子28の発光輝度が種々に変動することになる。従って書込トランジスタTr1については、特に特性変動を極力低減することが望まれる。
これに対してこの種のトランジスタTr1、Tr2は、光の入射により特性が変化する欠点があり、画像表示装置21では、これらのトランジスタTr1、Tr2が発光素子である有機EL素子28に近接して配置される。その結果、画像表示装置21では、有機EL素子28の出射光がこれらのトランジスタTr1、Tr2に入射し、画質が劣化する恐れがある。
そこでこの実施例では、透過率の低い材料で作成される下部電極12の下に、トランジスタTr1、Tr2を配置し、この下部電極12により有機EL素子28から画素内のトランジスタTr1、Tr2に向かう光を遮光する。これにより画像表示装置21では、有機EL素子28の出射光によるトランジスタTr1、Tr2の特性変動を防止し、画質劣化を防止することができる。
しかしながらこのように下部電極12の下に、トランジスタTr1、Tr2を配置する場合、画素内の有機EL素子28からの光については、遮光し得るもの、隣接画素の有機EL素子28からの光については、遮光し得ない(図14参照)。その結果、有機EL素子28から隣接画素のトランジスタに向かう光により、当該トランジスタの特性が変化し、画質が劣化することになる。
そこで画像表示装置21では、平坦化膜11の露光処理又はハーフ露光処理により、各画素6の下部電極12を区切るように、各下部電極12を囲む格子形状により溝29が作成される(図1)。またこの溝29に、下部電極12の材料により補助電極13が設けられ、これら溝29及び補助電極13により有機EL素子28から出射されて隣接画素のトランジスタに向かう光の遮光溝30が作成される。
これによりこの画像表示装置21では、隣接画素からの光についても、遮光溝30により遮光してトランジスタへの入射を防止することができ、このトランジスタの特性変動による画質劣化を防止することができる。
また溝29及び補助電極13により遮光溝30を作成することにより、簡易な構成により特性変動による画質劣化を防止することができる。
(3)実施例の効果
以上の構成によれば、平坦化膜の加工により画素間に溝を作成し、この溝を用いて発光素子から出射されて隣接画素のトランジスタに向かう光の遮光溝を作成することにより、隣接画素によるトランジスタの特性変動を防止し、これにより隣接画素からの光による各画素の発光輝度の変動を有効に回避することができる。
また平坦化膜に形成した溝に、補助電極を構成する下部電極材料を配置して遮光溝を作成することにより、簡易な構成によりトランジスタの特性変動による画質劣化を防止することができる。
また矩形形状に形成された下部電極をそれぞれ囲む格子形状に溝を作成することにより、水平方向及び垂直方向に隣接する画素からの光を確実に遮光することができ、これにより一段と画質劣化を防止することができる。
図13は、図1との対比により、本発明の実施例2の画像表示装置31の構成を示す断面図である。この画像表示装置31は、第2配線9の作成工程が異なる点を除いて、図1について上述した画像表示装置21と同一に構成される。なおこれにより、図1の画像表示装置21と同一の構成は、対応する符号を付して示し、適宜、重複した説明は省略する。
この画像表示装置31は、有機EL素子28の下部電極12をトランジスタTr2に接続する配線材料である第2配線3の配線材料のパターンニングにより、溝29に対応する形状により第2配線3の材料が取り残され、この取り残された部位により、遮光溝30の基板2側に、発光素子28から出射されて隣接画素のトランジスタに向かう光を遮光する遮光壁32がさらに設けられる。なお第2配線3は、信号線DTL又は走査線DSL、WSLをも構成することから、これら信号線DTL又は走査線DSL、WSLが遮光壁32と交差する部位にあっては、遮光壁32が部分的に途絶えるように形成される。
この実施例によれば、トランジスタを下部電極に接続する配線材料により、遮光溝の基板側に、発光素子から出射されて隣接画素のトランジスタに向かう光を遮光する遮光壁をさらに設けることにより、一段と確実に、隣接画素からの光を遮光することができる。従って隣接画素からの光による各画素の発光輝度の変動を有効に回避して、一段と画質を向上することができる。
なお上述の実施例においては、下部電極をそれぞれ囲む格子形状により遮光溝30を作成する場合、又はこの遮光溝30に対応して遮光壁32を作成する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば有機EL素子と隣接画素のトランジスタとを結ぶ直線を横切る部位にのみ遮光溝30、遮光壁32を作成する場合等、実用上十分に隣接画素からの光を遮光できる場合には、種々の形状により遮光溝30、遮光壁32を作成して上述の実施例と同様の効果を得ることができる。
また上述の実施例においては、遮光溝30に補助電極を配置して遮光部を作成する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、別途、遮光用の部材を遮光溝30の内側に堆積して遮光部としてもよい。
また上述の実施例においては、各画素回路にそれぞれ遮光溝30、遮光溝30及び遮光壁32を設ける場合について述べたが、本発明はこれに限らず、特定色の画素回路についてだけ遮光溝30、遮光溝30及び遮光壁32を設けるようにしてもよい。またさらにカラー画像の1画素を構成する赤色、緑色、青色のサブ画素間だけ、遮光溝30、遮光溝30及び遮光壁32を設けるようにしてもよい。なおこのようにサブ画素間だけ、遮光溝30、遮光溝30及び遮光壁32を設ける場合にあっては、表示部がストライプ配列の場合、垂直方向に延長する形状により遮光溝30、遮光溝30及び遮光壁32を作成することになる。
また上述の実施例2においては、遮光溝30に対応するように遮光壁32を設ける場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えばカラー画像の1画素を構成する赤色、緑色、青色のサブ画素間だけ遮光壁32を設ける場合等、遮光溝30の特定部位にのみ遮光壁32を設けるようにしてもよい。
また上述の実施例においては、1つの画素回路を2つのトランジスタと有機EL素子とで構成する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、種々の構成による画素回路を用いて画像表示装置を構成する場合に広く適用することができる。
また上述の実施例においては、下部電極及び上部電極がそれぞれアノード電極及びカソード電極である有機EL素子により画像表示装置を構成する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、これとは逆に上部電極及び下部電極がそれぞれアノード電極及びカソード電極である有機EL素子により画像表示装置を構成する場合にも広く適用することができる。
また上述の実施例においては、本発明を有機EL素子の画像表示装置に適用する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、電流駆動型の各種自発光素子による画像表示装置に広く適用することができる。
本発明は、画像表示装置及び画像表示装置の駆動方法に関し、例えば有機EL素子によるアクティブマトリックス型の画像表示装置に適用することができる。
本発明の実施例1の画像表示装置の断面図である。 本発明の実施例1の画像表示装置を示すブロック図である。 図2の画像表示装置の画素回路を示す接続図である。 図3の画素回路の動作の説明に供するタイムチャートである。 図4のタイムチャートの説明に供する接続図である。 図5の続きの説明に供する接続図である。 図6の続きの説明に供する接続図である。 図7の続きの説明に供する接続図である。 図8の続きの説明に供する接続図である。 図9の続きの説明に供する接続図である。 図10の続きの説明に供する接続図である。 図11の続きの説明に供する接続図である。 本発明の実施例2の画像表示装置の断面図である。 従来の画像表示装置の断面図である。
符号の説明
1、21、31……画像表示装置、6……画素、22……表示部、23……信号線駆動回路、24……走査線駆動回路、28……有機EL素子28……溝、32……遮光壁、Tr1、Tr2……トランジスタ、Cs……保持容量

Claims (5)

  1. 発光素子と、前記発光素子を駆動するトランジスタとによる画素回路をマトリックス状に配置して表示部が形成され、
    基板上に前記トランジスタ、平坦化膜、前記発光素子が順次設けられ、
    前記平坦化膜の前記発光素子側面に溝が作成され、前記溝により前記発光素子から出射されて隣接画素の前記トランジスタに向かう光を遮光する遮光溝が設けられた
    画像表示装置。
  2. 前記溝に、前記発光素子の下部電極材料により、前記発光素子の上部電極の補助電極が作成された
    請求項1に記載の画像表示装置。
  3. 前記発光素子の下部電極が矩形形状に形成され、
    前記溝が、前記下部電極をそれぞれ囲む格子形状に作成された
    請求項2に記載の画像表示装置。
  4. 前記トランジスタを前記下部電極に接続する配線材料により、前記遮光溝の前記基板側に、前記発光素子から出射されて隣接画素の前記トランジスタに向かう光を遮光する遮光壁がさらに設けられた
    請求項2に記載の画像表示装置。
  5. 基板上に、画素回路を構成するトランジスタを作成するトランジスタ作成ステップと、
    前記トランジスタの上に、平坦化膜を作成する平坦化膜作成ステップと、
    前記平坦化膜の上に、前記画素回路を構成する発光素子を作成する発光素子作成ステップとを有し、
    さらに前記平坦化膜の前記発光素子側面に溝を作成し、前記溝により前記発光素子から出射されて隣接画素の前記トランジスタに向かう光を遮光する遮光溝を作成する遮光溝作成ステップを有する
    画像表示装置の製造方法。
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