JP2009250691A - Gnss測位装置及び方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】相関値の積算時間を適切に設定することでマルチパスの影響を効果的に除去すること。
【解決手段】本発明は、衛星から送られるPNコードにより変調された衛星電波を受信する受信手段を備え、受信したPNコードの位相の検出結果を用いて測位を行うGNSS測位装置において、前記受信手段により反射波で受信される衛星電波の搬送波位相の位相シフト周期であって、前記受信手段により直接波で受信される衛星電波の搬送波位相に対する位相シフト周期を、算出する位相シフト周期算出手段を備え、前記位相シフト周期算出手段により算出された位相シフト周期を用いて、測位結果に対するマルチパスの影響を除去することを特徴とする。
【選択図】図6

Description

本発明は、GPS(Global Positioning System)を代表とするGNSS(Global Navigation Satellite System)で用いられるGNSS測位装置及び方法に関する。
従来から、衛星受信信号における搬送波成分を含むPN信号の極性を変化させ、該極性を変化させたPN信号を同期加算し、同期加算した同期加算PN信号とレプリカPN符号とで相関計算を行い、該相関計算による結果から相関ピーク値と該相関ピーク値に対応する遅延値とを検出し、該遅延値から疑似距離を求めることを特徴とする衛星測位システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、PNコードにより変調された変調信号からPNコードの位相を検出する際、直接波に対してマルチパスによる反射波が重畳されていても、直接波によるPNコードの位相を正しく検出できるようにする技術が知られている(例えば、特許文献2参照)。
特開2005−55375号公報 特開2001−36429号公報
ところで、直接波に対してマルチパスによる反射波が重畳された場合には、直接波によるPNコードの位相を正しく検出することが困難となり、PNコードの位相を正しく検出できていない場合には、算出した擬似距離に誤差が生ずる。
この点、上述の特許文献2に記載の技術では、コリレータ間隔の異なる相関演算により複数の推定コード位相(相関ピーク値を取る位相)を求めることで、直接波によるPNコードの位相(真のコード位相)を推定している。このように、従来は、コリレータ間隔を工夫したり、相関値を取るポイント(位相)の位置や数を増加させたりすることで、マルチパスの影響を除去しようとするアプローチが主流であった。尚、従来では、相関値の積算時間は一定時間(例えば1ms)に設定されるのが通例であった。
そこで、本発明は、相関値の積算時間を適切に設定することでマルチパスの影響を効果的に除去することができるGNSS測位装置及び方法の提供を目的とする。
上記目的を達成するため、第1の発明は、衛星から送られるPNコードにより変調された衛星電波を受信する受信手段を備え、受信したPNコードの位相の検出結果を用いて測位を行うGNSS測位装置において、
前記受信手段により反射波で受信される衛星電波の搬送波位相の位相シフト周期であって、前記受信手段により直接波で受信される衛星電波の搬送波位相に対する位相シフト周期を、算出する位相シフト周期算出手段を備え、
前記位相シフト周期算出手段により算出された位相シフト周期を用いて、測位結果に対するマルチパスの影響を除去することを特徴とする。
第2の発明は、第1の発明に係るGNSS測位装置において、
前記PNコードに対するレプリカPNコードを発生するレプリカ符号発生手段と、
前記受信手段で受信されたPNコードと、前記レプリカ符号発生手段で発生されたレプリカPNコードとの間の相関値を、積算する積算手段を更に備え、
前記位相シフト周期に対応する周期分積算された相関値を用いて、測位結果に対するマルチパスの影響を除去することを特徴とする。
第3の発明は、第2の発明に係るGNSS測位装置において、
前記位相シフト周期に対応する周期分積算された相関値を用いて、前記レプリカ符号発生手段で発生されたレプリカPNコードと前記PNコードとの間の位相差を算出し、該算出した位相差に基づいて、測位結果に対するマルチパスの影響を除去することを特徴とする。
第4の発明は、第3の発明に係るGNSS測位装置において、
前記位相シフト周期に対応する周期分積算された相関値を用いて、前記レプリカ符号発生手段で発生されたレプリカPNコードと前記PNコードとの間の位相差を算出し、該算出した位相差に基づいて、擬似距離の計測値を補正することで、測位結果に対するマルチパスの影響を除去することを特徴とする。
第5の発明は、第1の発明に係るGNSS測位装置において、
前記位相シフト周期算出手段は、
マルチパスの影響を除去する対象となる衛星を対象衛星としたとき、該対象衛星以外の衛星からの衛星電波の受信結果から測位された前記受信手段の位置と、前記対象衛星に係る軌道情報から算出される該対象衛星の位置との間の距離を、第1距離として算出する第1距離算出手段と、
前記対象衛星からの衛星電波の受信結果から計測された擬似距離を、第2距離として算出する第2距離算出手段とを備え、
前記第1距離と前記第2距離の差の変動周期に基づいて、前記位相シフト周期を算出することを特徴とする。
第6の発明は、第1の発明に係るGNSS測位装置において、
前記位相シフト周期算出手段は、
マルチパスの影響を除去する対象となる衛星を対象衛星としたとき、該対象衛星以外の衛星からの衛星電波の受信結果から測位された前記受信手段の位置と、前記対象衛星に係る軌道情報から算出される該対象衛星の位置との間の距離を、第1距離として算出する第1距離算出手段と、
前記対象衛星からの衛星電波の受信結果から計測された擬似距離から、時計誤差分の距離を引いた距離を、第2距離として算出する第2距離算出手段とを備え、
前記第1距離と前記第2距離の差の変動周期に基づいて、前記位相シフト周期を算出することを特徴とする。
第7の発明は、第1の発明に係るGNSS測位装置において、
前記PNコードに対するレプリカPNコードを発生するレプリカ符号発生手段と、
前記レプリカPNコードと、前記受信手段で受信されたPNコードとの間の相関演算を、第1コリレータ間隔と、前記第1コリレータ間隔よりも広い第2コリレータ間隔の双方で実行する相関演算手段とを更に備え、
前記位相シフト周期算出手段は、前記第1コリレータ間隔で相関演算して推定された第1相関ピーク位相と、前記第2コリレータ間隔で相関演算して推定された第2相関ピーク位相との差の変動周期に基づいて、前記位相シフト周期を算出することを特徴とする。
第8の発明は、第2の発明に係るGNSS測位装置において、
前記レプリカ符号発生手段は、直接波の搬送波位相を基準として前記レプリカPNコードの位相を調整することを特徴とする。
第9の発明は、第8の発明に係るGNSS測位装置において、
前記レプリカPNコードは、基準となるレプリカPNコード(Promptコード)と、Promptコードに対して所定量位相が進んだレプリカPNコード(Early)と、Promptコードに対して所定量位相が遅れたレプリカPNコード(Lateコード)と、前記Earlyコードよりも更に位相が進んだレプリカPNコード(VEコード)を含み、
前記積算手段は、少なくとも前記Earlyコード及び前記Lateコードに係る相関値を、前記位相シフト周期に対応する周期分それぞれ積算し、
前記レプリカ符号発生手段は、前記VEレプリカPNコードによる相関値が一定となるように、前記Promptコードの位相を調整することを特徴とする。
第10の発明は、第9の発明に係るGNSS測位装置において、
前記VEコードは、反射波の影響を受けない相関値が得られるように位相がPromptコードに対して進まれることを特徴とする。
第11の発明は、第10の発明に係るGNSS測位装置において、
前記VEコードの前記Promptコードに対する位相進み量は、0.6チップから0.9チップの範囲内であることを特徴とする。
第12の発明は、第8の発明に係るGNSS測位装置において、
前記衛星電波の搬送波に対するレプリカ搬送波を発生するレプリカ搬送波発生手段と、
前記受信手段で受信された衛星電波と、前記レプリカ搬送波発生手段で発生されたレプリカ搬送波との間の相関値に基づいて、前記受信手段で受信された衛星電波の搬送波と、前記レプリカ搬送波発生手段で発生されたレプリカ搬送波との間の位相差を検出する位相差検出手段を更に備え、
前記レプリカPNコードは、基準となるレプリカPNコード(Promptコード)と、Promptコードに対して所定量位相が進んだレプリカPNコード(Early)と、Promptコードに対して所定量位相が遅れたレプリカPNコード(Lateコード)とを含み、
前記積算手段は、少なくとも前記Earlyコード及び前記Lateコードに係る相関値を、前記位相シフト周期に対応する周期分それぞれ積算し、
前記レプリカ符号発生手段は、前記位相差検出手段により検出された位相差に基づいて、前記Promptコードの位相を調整することを特徴とする。
第13の発明は、第12の発明に係るGNSS測位装置において、
前記レプリカ符号発生手段は、前記位相差に基づいて、搬送波の1周期あたり0.2/300チップシフトさせる態様で、前記Promptコードの位相を調整することを特徴とする。
第14の発明は、第9又は12の発明に係るGNSS測位装置において、
前記位相シフト周期に対応する周期分積算された相関値E及びLを用いて、前記Promptコードと前記PNコードとの間の位相差を、
位相差=(E−L)/2(E+L)
により算出し、該算出した位相差に基づいて、測位結果に対するマルチパスの影響を除去し、
上記式において、記号Eは、前記Earlyコードに係る積算された相関値を表し、記号Lは、前記Lateコードに係る積算された相関値を表すことを特徴とする。
第15の発明は、第1〜14のうちのいずれかの発明に係るGNSS測位装置において、
移動体に搭載され、移動体の位置又は速度を測位するように構成されたことを特徴とする。
第16の発明は、GNSS受信機を用いたGNSS測位装置であって、
衛星から送られるPNコードにより変調された衛星電波を受信する受信手段と、
前記PNコードとGNSS受信機内部で発生されるレプリカPNコードとの間の相関値を、所定周期分積算する第1の積算手段と、
前記積算手段で得られる積算された相関値を用いて、前記レプリカPNコードの位相を調整する第1の位相調整手段と、
前記第1の位相調整手段による位相調整が実行された状態で、前記受信手段により反射波で受信される衛星電波の搬送波位相の位相シフト周期であって、前記受信手段により直接波で受信される衛星電波の搬送波位相に対する位相シフト周期を、算出する位相シフト周期算出手段と、
前記位相シフト周期算出手段により位相シフト周期が算出された後に実行され、直接波の搬送波位相を基準として前記レプリカPNコードの位相を調整する第2の位相調整手段と、
前記第2の位相調整手段による位相調整が実行された状態で、前記PNコードとGNSS受信機内部で発生されるレプリカPNコードとの間の相関値を、前記位相シフト周期に対応する周期分、積算する第2の積算手段と、
前記第2の積算手段で得られる積算された相関値に基づいて、マルチパスの影響を除去するための補正量を決定する手段とを備えることを特徴とする。
第17の発明は、GNSS受信機を用いたGNSS測位方法であって、
衛星から送られるPNコードにより変調された衛星電波を受信する受信ステップと、
前記PNコードとGNSS受信機内部で発生されるレプリカPNコードとの間の相関値を、所定周期分積算する第1の積算ステップと、
前記積算ステップで得られる積算された相関値を用いて、前記レプリカPNコードの位相を調整する第1の位相調整ステップと、
前記第1の位相調整ステップが実行された状態で、前記受信ステップにより反射波で受信される衛星電波の搬送波位相の位相シフト周期であって、前記受信ステップにより直接波で受信される衛星電波の搬送波位相に対する位相シフト周期を、算出する位相シフト周期算出ステップと、
前記位相シフト周期算出ステップにより位相シフト周期が算出された後に実行され、直接波の搬送波位相を基準として前記レプリカPNコードの位相を調整する第2の位相調整ステップと、
前記第2の位相調整ステップが実行された状態で、前記PNコードとGNSS受信機内部で発生されるレプリカPNコードとの間の相関値を、前記位相シフト周期に対応する周期分、積算する第2の積算ステップと、
前記第2の積算ステップで得られる積算された相関値に基づいて、マルチパスの影響を除去するための補正量を決定するステップとを備えることを特徴とする。
本発明によれば、相関値の積算時間を適切に設定することでマルチパスの影響を効果的に除去することができるGNSS測位装置及び方法が得られる。
以下、図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態の説明を行う。
図1は、本発明に係るGNSS測位装置が適用されるGPSの全体的な構成を示すシステム構成図である。図1に示すように、GPSは、地球周りを周回するGPS衛星10と、地球上に位置し地球上を移動しうる車両90とから構成される。尚、車両90は、あくまで移動体の一例であり、その他の移動体としては、自動二輪車、鉄道、船舶、航空機、ホークリフト、ロボットや、人の移動に伴い移動する携帯電話等の情報端末等がありうる。
GPS衛星10は、航法メッセージ(衛星信号)を地球に向けて常時放送する。航法メッセージは、−1と1からなる信号列からなり、1ビット長は20msである。航法メッセージには、対応するGPS衛星10に関する衛星軌道情報(エフェメリスやアルマナク)、時計の補正値、電離層の補正係数が含まれている。航法メッセージは、C/Aコードにより拡散されL1波(周波数:1575.42MHz)に乗せられて、地球に向けて常時放送されている。尚、L1波は、C/Aコードで変調されたSin波とPコード(Precision Code)で変調されたCos波の合成波であり、直交変調されている。C/Aコード及びPコードは、PN(Pseudo Noise)コードであり、−1と1が不規則に周期的に並ぶ符号列である。尚、C/Aコードの1ビット長は、1μsである。
尚、現在、24個のGPS衛星10が高度約20,000kmの上空で地球を一周しており、各4個のGPS衛星10が55度ずつ傾いた6つの地球周回軌道面に均等に配置されている。従って、天空が開けている場所であれば、地球上のどの場所にいても、常時、少なくとも5個以上のGPS衛星10が観測可能である。
車両90には、GNSS測位装置としてのGPS受信機1が搭載される。GPS受信機1は、以下で詳説する如く、GPS衛星10からの衛星信号に基づいて、車両90の位置を測位する。
本実施例のGPS受信機1は、一般的なGPS受信機をベースとして構成することができるので、ここでは、本実施例のGPS受信機1のうちのベース部分、即ち従来の一般的なGPS受信機の構成について、先ず、図2を参照して、説明する。
尚、以下では、説明の複雑化を避けるため、1つのGPS衛星10からの衛星信号に関する構成が図示・説明されているが、他のGPS衛星10に関する構成は実質的に同じである。即ち、以下で説明する信号処理は、観測可能な各GPS衛星10からの衛星信号に対して並列的(同時)に実行される。
また、図2に示す構成において、測位演算部36による各種の演算処理は、例えばDSP(Digital Signal Processor)等のような適切なプロセッサないしマイクロコンピューターにより実現されてよい。
図2に示す従来の構成では、GPS衛星10から送信された電波は、受信アンテナ20で受信され、高周波回路22によってベースバンド信号に変換される。このベースバンド信号は、キャリア成分を除去するために、レプリカキャリア生成器34で発生させたレプリカキャリア信号とミキサ23にて掛け合わされる。尚、後述するキャリア位相を検出するために、図示のように、I成分とQ成分に分けた複素検波が用いられることが多い。ミキサ23からの受信信号は、相関器25において、C/Aコード生成部24で発生させたレプリカC/Aコードに対して相関演算される。レプリカC/Aコードとは、GPS衛星10からの衛星信号に乗せられるC/Aコードに対して、+1、−1の並びが同一のコードである。C/Aコード生成部24では、基準となるレプリカC/Aコード(以下、「Promptコード」という)と、Promptコードに対して所定位相(例えば0.5チップ)進んだレプリカPNコード(以下、「Earlyコード」という)と、Promptコードに対して所定位相(例えば0.5チップ)遅れたレプリカPNコード(以下、「Lateコード」という)とが生成される(尚、図2中、Earlyコードは記号ECで指示され、Lateコードは記号LCで指示され、Promptコードは記号PCで指示されている)。従って、相関器25では、受信C/AコードとEarlyコードとの相関値E、受信C/AコードとPromptコードとの相関値P、及び、受信C/AコードとLateコードとの相関値Lについて、それぞれ実数成分(E、P、L)と、虚数成分(E、P、L)が演算される。このようにして得られた相関値(E、P、L、E、P、L)は、積算器26において、積算処理を受けて、熱雑音の影響が抑制される。尚、積算器26における積分時間は、熱雑音の影響を抑える観点から定まる一定のデフォルト時間(例えば1msから20msの間の固定値)に設定される。このデフォルト時間は、後述の位相シフト周期よりも有意に短いのが通例である。その後、積算処理を受けた相関値(E、P、L、E、P、L)は、自乗平方演算器28にて自乗平方演算されることで、航法メッセージとキャリアによる位相ノイズを除去した相関値(E、P、L)が導出される。尚、その後、更に積算が必要な場合には、積算器29で積算してもよい。尚、相関値Pは、あくまで相関ピーク値の推定値であり、実際の相関値のピーク値と異なる場合もありうる。その後、コード位相差検出器30において、受信C/AコードとPromptコードとの間の位相差Δφが、Δφ=(E−L)/2(E+L)により演算される。C/Aコード生成部24では、コード位相差検出器30で検出された位相差Δφがゼロになるように、Promptコードの位相(それに伴いEarlyコード及びLateコードの位相)が調整される。例えば、Promptコードの位相が、例えば以下の演算式に従って算出される位相補正量だけ補正される。
(位相補正量)=(Pゲイン)×(位相差Δφ)+(Iゲイン)×Σ(位相差Δφ)
この式は、PI制御を利用したフィードバック制御を表す式であり、Pゲイン及びIゲインは、それぞれバラツキと応答性の兼ね合いから実験的に決定される。このようにして、DLL(Delay―Locked
Loop)により受信C/AコードとPromptコードとの間の位相差ΔφがゼロになるようにPromptコードの位相が制御される(コード同期が実行される)。また、キャリア位相差検出器32においては、受信キャリアとレプリカキャリアとの位相差ΔΘが、ΔΘ=P・P、又は、ΔΘ=tan−1(P/P)により演算される。レプリカキャリア生成器34では、キャリア位相差検出器32で検出された位相差ΔΘがゼロになるように、位相を補正したレプリカキャリアを生成する。このようにして、PLL(Phase−Locked
Loop)により受信キャリアとレプリカキャリアとの間の位相差がゼロになるようにレプリカキャリアの位相が制御される。測位演算部36では、C/Aコード生成部24で生成されるPromptコードの位相に基づいて、GPS衛星10とGPS受信機1(又は車両90)の間の擬似距離ρが、例えば以下の式により演算(計測)される。
ρ=NCA×300
ここで、NCAは、GPS衛星10とGPS受信機1との間のC/Aコードのビット数に相当し、C/Aコード生成部24で生成されるPromptコードの位相及びGPS受信機1内部の受信機時計に基づいて算出される。300は、C/Aコードの1ビット分に相当する距離[m]である。このようにして算出された擬似距離ρは、例えばドップラレンジを用いたキャリアスムージングなどのフィルタ処理を受けてもよい。次いで、測位演算部36では、航法メッセージの衛星軌道情報に基づいて、GPS衛星10の、ワールド座標系(例えばWGS84)での現在位置(X、Y、Z)が計算される。そして、測位演算部36では、衛星位置の算出結果と、擬似距離の算出結果に基づいて、車両90の位置(X,Y,Z)が測位される。尚、測位結果は例えば車載ナビゲーションシステムに出力されてもよい。車両90の位置の測位には、具体的には、以下の関係式が用いられてよい。
ρ=√{(X−X+(Y−Y+(Z−Z}+Δτ・c 式(1)
ここで、Δτは、主に受信部20の時計誤差を表し、cは光速である。尚、この式は、全てのGPS衛星10に対して成立する。車両90の位置は、3つのGPS衛星10に対して上述の如く得られるそれぞれの擬似距離ρ及び衛星位置を用いて、三角測量の原理で導出されてよい。この場合、擬似距離ρは上述の如く時計誤差成分を含むので、4つ目のGPS衛星10に対して得られる擬似距離ρ及び衛星位置を用いて、時計誤差成分が除去されてよい。尚、測位演算部36において、車両90の位置の測位に加えて、ドップラレンジを用いた車両90の速度の測位が実行されてもよい。
ところで、マルチバスが発生していない状況では、GPS衛星10から直接波だけが受信されることになるので、図3に示すように、受信C/Aコードの位相で相関ピーク値を取り、当該受信C/Aコードの位相を中心とした左右対称の相関波形となる。この結果、図2に示すような構成で位相調整されるPromptコードは、直接波に係る受信C/Aコードに対する位相差(距離誤差)が小さくなる(図示の例では、理想的な相関波形であるが故に位相差はゼロである)。
他方、マルチバスが発生する状況では、図4に模式的に示すように、GPS衛星10から送信された電波は、建築物等の影響で反射・回折してGPS受信機1に受信されるので、直接波に反射波が重畳された合成波としてGPS受信機1に受信される。この場合、直接波と反射波からなる合成波に基づいて相関演算されるので、相関波形には、図5に示すように、直接波に係る相関ピークが明瞭に現れなくなる。尚、図5に示す例では、反射波と直接波が同相のときの相関波形(上に凸の相関波形)が示されているが、下に凸の相関波形を有する場合(反射波と直接波が逆相の場合)もある。いずれにしても、マルチバスが発生した場合には、受信電波(合成波)の相関波形において、直接波に係る相関ピークが明瞭に現れなくなるので、受信C/Aコード(直接波に係る受信C/Aコード、以下同じ)の位相を検出し難くなる。この結果、図2に示すような構成で位相調整されるPromptコードは、受信C/Aコードに対する位相差(距離誤差)が大きくなる。従って、マルチバスに起因した誤差要因を除去することが高精度測位にとって重要となる。
本実施例では、以下で詳説するように、積算器29における積算期間(積分時間)を適切に設定することで、マルチバスに起因した誤差要因を除去する。
図6は、本実施例のGPS受信機1により実現される反射波除去原理の説明図である。図6(A)は、時間の経過と共に変化する直接波と反射波の相関波形を示し、図6(B)は、位相シフト周期分の相関値が積算器29にて積算される様子を模式的に示し、図6(C)は、位相シフト周期分の相関値の積算の結果として反射波の影響が除去された相関波形を模式的に示す。
直接波と反射波の経路差は、GPS受信機1を搭載した車両90の移動、及び/又は、GPS衛星10の軌道運動に起因して、時間と共に変化する。これは直接波の搬送波位相を基準とした相関波形で見ると、図6(A)に示すように、経路差の変化に伴って反射波の位相がシフトすることになる。即ち、反射波の搬送波位相は、経路差が変化すると、経路差の変化分に応じた位相だけ直接波の搬送波位相に対してシフトしていく。そして、経路差が搬送波の1波長分変化すると、反射波の搬送波位相が直接波の搬送波位相に対して一周期分変化する。図6(A)には、ちょうど一周期分で、反射波の搬送波位相がシフトする様子が示されている。以下では、直接波の搬送波位相を基準として反射波の搬送波位相がシフトする周期を、「位相シフト周期」という。
位相シフト周期分の相関値を積算器29にて積算することは、図6(B)に示すように、反射波の相関波形を位相シフト周期分積分することであり、この結果、図6(C)に示すように、反射波の影響が除去された相関波形が得られる。
図7は、本実施例のGPS受信機1により実現される反射波除去処理の要部の流れを示すフローチャートである。
ステップ70では、現在観測中の各GPS衛星10に関して、マルチバスが発生したか否かが判定される。マルチバスの検出方法は、多種多様な方法が提案されており、任意の適切な方法が使用されてもよい。例えば、今回の制御サイクルで得られる相関値P(受信C/AコードとPromptコードとの間の相関値P)が所定範囲内に無いこと、及び、今回の制御サイクルで得られる位相差Δφ(受信C/AコードとPromptコードとの間の位相差)が所定範囲内に無いことの少なくともいずれかが検出された場合に、マルチパスが発生したと判定されてもよい。マルチバスが発生したと判定された場合には、ステップ72に進む。
ステップ72では、上述の従来構成によるコード同期を行いつつ、反射波の搬送波位相の位相シフト周期(図6の関連した説明参照)が検出される。ステップ72の処理方法の詳細(位相シフト周期の算出方法の具体例)については、後述する。
ステップ74では、上述の従来構成によるコード同期から、直接波の搬送波位相を基準としたコード同期に切り替えられ、積算器29において、上記ステップ72で得られた位相シフト周期に対応する積分時間で相関値(E、P、L、E、P、L)が積算される。そして、この積算後の自乗平方演算で得られた相関値(E、P、L)を用いて、マルチパスによる残差Δφ(マルチパスに起因した位相誤差)が、Δφ=(E−L)/2(E+L)により演算される。このステップ74の処理方法の詳細(特に、直接波の搬送波位相を基準としたコード同期・相関値積算方法の具体例)については、後述する。
ステップ76では、上記ステップ74で得られたマルチパスによる残差Δφに基づいて、測位結果に対するマルチパスの影響が除去される。具体的には、残差Δφ分に相当する距離(例えばΔφ×300)だけ擬似距離ρが補正される。この場合、測位演算部36では、補正後の擬似距離ρを用いて測位が実行され、測位結果に対するマルチパスの影響が除去されることになる。
ステップ78では、上記ステップ70で検出されたマルチバスが継続して発生しているか否かが判定される。上記ステップ70で検出されたマルチバスが継続して発生している場合には、ステップ74に戻り、ステップ74及び76の処理を繰り返す。上記ステップ70で検出されたマルチバスが終了した場合には、上記ステップ70に戻る。尚、上記ステップ70で検出されたマルチバスが長期間継続する場合には、定期的に、ステップ72の処理を実行して、位相シフト周期を再検出し、積算器29における積分時間を更新することとしてもよい。或いは、GPS受信機1と略同一の位置に設けられる別の新たな受信機を用いて、上記ステップ72の処理を常時実行して位相シフト周期をモニタリングし、GPS受信機1において、ステップ74及び76の処理における積算器29の積分時間を更新することとしてもよい。
このように本実施例によれば、反射波の相関波形が、直接波と反射波の経路差の変化に起因して、直接波の搬送波位相を基準として周期的に変化することに着目し、積算器29における積算期間(積分時間)を反射波の位相シフト周期に対応するように設定することで、反射波の影響が除去された相関波形に基づいて測位を行うことができる。これにより、マルチパスの影響を除去した高精度測位を実現することが可能となる。
尚、図7の反射波除去処理では、マルチパスの発生の有無が判定されているが、マルチパスの発生の有無を判定せずに、常時若しくは定期的に、又は、車両90の移動態様や周辺の建築物との関係の変化等(ナビゲーション装置の地図データ等により検出)に応じて不定期的に、図7のステップ72の処理及びそれに後続するステップ74及び76の処理が実行されてもよい。この場合も、上記ステップ72の処理は、GPS受信機1と略同一の位置に設けられる別の新たな受信機を用いて常時実行して位相シフト周期をモニタリングし、GPS受信機1において、ステップ74及び76の処理における積算器29の積分時間を更新することとしてもよい。
次に、上述の図7のステップ72の処理で採用されてよい位相シフト周期算出方法及びこれを実現するための構成の例、及び、上述の図7のステップ74の処理で採用されてよい直接波の搬送波位相を基準としたコード同期・相関値積算方法の例及びこれを実現するための構成の例について、説明する。以下では、図2に示した構成を、従来構成ともいい、当該従来構成に対して、追加される構成について重点的に説明する。
[位相シフト周期の算出方法の例1]
図8は、本例の位相シフト周期の算出方法の説明図であり、ここでは、図8に示すように、5つのGPS衛星10を、衛星A,B,C,D,Eとし、衛星AとGPS受信機1間のマルチパスによる反射波の位相シフト周期を検出する方法について説明する。尚、図8において、GPS受信機1の位置が符号Xにて指示されている。
図9は、本例の位相シフト周期の算出方法を実現する処理フローの一例を示す。図9に示す処理フローは、位相シフト周期検出部を実現する処理として、例えば図2に示す測位演算部36において実行されてよい。
ステップ100では、衛星B,C,D,Eのそれぞれに関して算出した衛星位置と、衛星B,C,D,Eのそれぞれに関する擬似距離ρとを用いて、上記式(1)の関係式を用いて、GPS受信機1の位置が測位される。この際、GPS受信機1の位置の測位結果に基づいて、GPS受信機1の時計誤差Δτが逆算により算出される。衛星B,C,D,Eは、好ましくは、衛星Aと同様のマルチパスの影響を受けないように、図8に示すように、衛星Aとは異なる方位角の衛星から選択される。
ステップ102では、上記ステップ100におけるGPS受信機1の時計誤差Δτの算出結果と、衛星Aに関する擬似距離ρとを用いて、衛星AとGPS受信機1の間の距離Ra’’が算出される。例えば、Ra’’=ρ−Δτ・cにより、衛星AとGPS受信機1の間の距離Ra’’が算出される。
ステップ104では、上記ステップ100におけるGPS受信機1の位置の測位結果と、衛星Aに関して算出した衛星位置とを用いて、衛星AとGPS受信機1の間の距離Ra’が算出される。例えば、衛星AとGPS受信機1の間の距離Ra’は、Ra’=√{(X−X+(Y−Y+(Z−Z}により算出される。ここで、(X,Y,Z)は衛星Aの位置を表し、(X,Y,Z)はGPS受信機1の位置を表す。
ステップ106では、上記ステップ102で算出された距離Ra’’と、上記ステップ104で算出された距離Ra’との差ΔR(ΔR=Ra’’−Ra’)が算出される。
ステップ108では、上記ステップ106により得られるΔRの変動周期を、衛星Aからの反射波の搬送波位相の位相シフト周期として検出する。即ち、所定の制御サイクル毎に実行される上記ステップ102乃至106の処理から得られる各周期のΔRに基づいて、ΔRの変動周期(増減の繰り返し周期)が検出され、当該検出されたΔRの変動周期が、衛星Aからの反射波の搬送波位相の位相シフト周期とされる。
ここで、ΔR=Ra’’−Ra’の変動周期が反射波の搬送波位相の位相シフト周期に対応する理由について、図10を参照して、説明する。
図10(A)は、衛星Aに関する直接波と反射波の経路差の変化に伴って変化するΔR=Ra’’−Ra’の変動態様を模式的に示す図であり、図10(B)は、衛星Aに関する直接波と反射波の経路差の変化に伴って変化するマルチパスによる残差Δφの変動態様を模式的に示す図である。図10(B)には、時間t=t1乃至t7間での残差Δφの変動態様が示されている。
図6を参照して上述した如く、衛星Aに関する反射波の相関波形は、衛星Aに関する直接波と反射波の経路差の変化に起因して、図10(B)に示すように、衛星Aに関する直接波の搬送波位相を基準とした相関波形で周期的に変化する。これに伴い、マルチパスによる残差Δφが、反射波の搬送波位相の位相シフト周期と同様の周期で、周期的に変化する。即ち、時刻t1では、マルチパスによる残差Δφは、遅れ方向の最大値をとり、時刻t1から時刻t4にかけて、徐々に進み方向に向かって変化し、時刻t2から時刻t3の間で、反射波と直接波が逆相になり、時刻t4でマルチパスによる残差Δφが進み方向の最大値をとる。そして、時刻t4から時刻t7にかけて、徐々に遅れ方向に向かって変化し、時刻t5から時刻t6の間で、反射波と直接波が再び同相になり、時刻t7でマルチパスによる残差Δφが再び遅れ方向の最大値をとる。
マルチパスによる残差Δφは、受信C/AコードとPromptコードとの間の位相差であり、従って、衛星Aに関する擬似距離ρの誤差に実質的に比例する。従って、衛星Aに関する擬似距離ρの誤差に相当するΔRは、図10(A)に示すように、マルチパスによる残差Δφの変動周期と同様の周期、即ち反射波の搬送波位相の位相シフト周期と同様の周期で、変化する。このことから、ΔRの変動周期を検出することで、反射波の搬送波位相の位相シフト周期を検出することができることがわかる。図10に示した例では、反射波の搬送波位相の位相シフト周期Tは、T=t7−t1となる。尚、図10に示した例では、反射波の搬送波位相の1位相シフト周期あたり7点(t=t1乃至t7)のΔRに基づいて、ΔRの変動周期を検出しているが、当然ながら、より多数の点のΔRに基づいて、ΔRの変動周期を検出してもよいし、最小の2点のΔRに基づいて、ΔRの変動周期を検出してもよい。
以上説明した位相シフト周期の算出方法の例1によれば、上述の如く、衛星Aに関する直接波と反射波の経路差の変化に伴って、反射波の搬送波位相の位相シフト周期と同様の周期で、衛星Aに関する擬似距離ρの誤差が周期的に変化することに着目して、反射波の搬送波位相の位相シフト周期が検出される。これにより、反射波の搬送波位相の位相シフト周期を精度良く検出することが可能となる。
尚、以上説明した位相シフト周期の算出方法の例1では、Ra’’は、Ra’の幾何的意味に対応させるべく、擬似距離ρから時計誤差分の距離を除去して算出されているが、時計誤差分の距離は一定であり、ΔRの変動周期に影響を与えないことを考慮して、Ra’’は、擬似距離ρ自体であってもよい。
[位相シフト周期の算出方法の例2]
図11は、本例の位相シフト周期の算出方法を実現する受信機1の構成例を示す図である。図11に示す構成例は、図2に示した従来構成に対して、ワイドコリレータとナローコリレータの双方で相関処理を行い、Promptコードを2つ用いる点が異なるが、ワイドコリレータとナローコリレータ自体は従来技術であるので詳細な説明は省略する。図11に示す構成例は、位相シフト周期検出部40が追加されている点が、従来技術と異なる。位相シフト周期検出部40の機能の一部若しくは全部は、測位演算部36により実現されてもよい。
C/Aコード生成器24では、基準となる第1のPromptコードPC1と、PromptコードPC1に対して所定位相(例えば0.5チップ)進んだEarlyコードEC1と、PromptコードPC1に対して所定位相(例えば0.5チップ)遅れたLateコードLC1とが生成される。PromptコードPC1を基準として生成されるEarlyコードEC1とLateコードLC1の組は、ワイドコリレータを実現し、例えば1チップのコリレータ幅を有する。
C/Aコード生成器24では、更に、基準となる第1のPromptコードPC2と、PromptコードPC2に対して所定位相(例えば0.1チップ)進んだEarlyコードEC2と、PromptコードPC2に対して所定位相(例えば0.1チップ)遅れたLateコードLC2とが生成される。PromptコードPC2を基準として生成されるEarlyコードEC2とLateコードLC2の組は、ナローコリレータを実現し、例えば0.2チップのコリレータ幅を有する。
これらの6組の信号(EC1,EC2,PC1,PC2,LC1,LC2)は、図2に示した従来構成の3組の信号と同様に、相関処理、積算処理、自乗平方演算処理を受ける。その後、EarlyコードEC1の相関値E1、PromptコードPC1の相関値P1、及び、LateコードLC1の相関値L1を用いて、従来構成と同様の方法で、受信C/Aコードの位相が推定される(ワイドコリレータ)。この推定された受信C/Aコードの位相(相関ピーク位相)を、Pwとする。同様に、EarlyコードEC2の相関値E2、PromptコードPC2の相関値P2、及び、LateコードLC2の相関値L2を用いて、従来構成と同様の方法で、受信C/Aコードの位相が推定される(ナローコリレータ)。この推定された受信C/Aコードの位相(相関ピーク位相)を、Pnとする。
位相シフト周期検出部40では、上述の如くC/Aコード生成器24にて得られるPwとPnの差ΔP(=Pw−Pn)の符号が監視され、ΔPの符号の変動周期が、衛星Aからの反射波の位相シフト周期として検出される。即ち、所定の制御サイクル毎に得られる各周期のΔPに基づいて、ΔPの変動周期が、衛星Aからの反射波の搬送波位相の位相シフト周期として検出される。
ここで、ΔP=Pw−Pnの変動周期が反射波の搬送波位相の位相シフト周期に対応する理由について、図12を参照して、説明する。
図12(A)は、衛星Aに関する直接波と反射波の経路差の変化に伴って変化するPwの変動態様を模式的に示す図であり、図12(B)は、衛星Aに関する直接波と反射波の経路差の変化に伴って変化するPnの変動態様を模式的に示す図である。
図12に示すように、反射波と直接波が同相のときは、Pw及びPnは、共に受信C/Aコードの位相に対して遅れ方向に誤差を有するが、コリレータ幅の相違に起因してPnの方がPwよりも誤差が小さい。従って、反射波と直接波が同相のときは、Pw−Pnの符合は正となる。他方、図12に示すように、反射波と直接波が逆相のときは、Pw及びPnは、共に受信C/Aコードの位相に対して進み方向に誤差を有するが、コリレータ幅の相違に起因してPnの方がPwよりも誤差が小さい。従って、反射波と直接波が逆相のときは、Pw−Pnの符合は負となる。このことから、ΔPの変動周期を検出することで、反射波の搬送波位相の位相シフト周期を検出することができることがわかる。尚、図12に示した例では、反射波の搬送波位相の1位相シフト周期あたり4点のΔPに基づいて、ΔPの変動周期を検出しているが、当然ながら、より多数の点のΔPに基づいて、ΔPの変動周期を検出してもよいし、最小の2点のΔPに基づいて、ΔPの変動周期を検出してもよい。
以上説明した位相シフト周期の算出方法の例2によれば、上述の如く、衛星Aに関する直接波と反射波の経路差の変化に伴って、反射波の搬送波位相の位相シフト周期と同様の周期で、異なるコリレータ幅で推定された受信C/Aコードの位相Pw、Pnの差ΔPが周期的に変化することに着目して、反射波の搬送波位相の位相シフト周期が検出される。これにより、反射波の搬送波位相の位相シフト周期を精度良く検出することが可能となる。また、位相シフト周期の算出方法の例2によれば、上述の位相シフト周期の算出方法の例1と異なり、相関処理の負荷が増すものの、GPS衛星10毎に独立した態様で位相シフト周期を検出することができる。従って、他のGPS衛星10における誤差要因(例えばマルチパス)の影響を受けることなく、精度の良い位相シフト周期を検出することができる。
[直接波の搬送波位相を基準としたコード同期・相関値積算方法の例1]
図13は、本例のコード同期・相関値積算方法を実現する受信機1の構成例を示す図である。
C/Aコード生成器24では、従来構成におけるPromptコードPC、EarlyコードEC及びLateコードLCに加えて、Promptコードに対して、EarlyコードECよりも更に位相が進んだレプリカPNコード(以下、Very
Earlyを略して「VEコード」という)が生成される。VEコードVECは、図2に示した従来構成の3組の信号(EC,PC,LC)と同様に、相関処理、積算処理、自乗平方演算処理を受ける。
VEコードのPromptコードに対する位相進み量は、図14に示すように、VEコードの相関値VEがノイズの影響を受けないほど大きな値となり、且つ、VEコードの相関値VEが反射波の影響を受けないように決定される。具体的には、EarlyコードのPromptコードに対する位相進み量が、従来構成では0.1チップ(ナローコリレータ)〜0.5チップ(ワイドコリレータ)であるのに対して、VEコードのPromptコードに対する位相進み量は、例えば0.6チップ〜0.9チップの範囲内で設定されてよい。VEコードのPromptコードに対する位相進み量は、例えば0.6チップ〜0.9チップの範囲内で、ノイズの状況や反射波の遅れ量等に応じて可変されてもよい。但し、この場合も、後述のコード同期中(直接波の搬送波位相を基準としたコード同期中)は、VEコードのPromptコードに対する位相進み量は、可変後の位相進み量で固定される。
本例では、直接波の搬送波位相を基準としたコード同期を実現するために、VEコードの相関値VEが一定となるように、Promptコードの位相が調整される。即ち、従来構成では、上述の如く受信C/AコードとPromptコードとの間の位相差ΔφがゼロになるようにPromptコードの位相が調整されるのに対して、本例では、VEコードの相関値VEが一定値VE0となるようにPromptコードの位相が調整される。
本例では、先ず、図13の示す構成のうちの従来構成の部分(図2)で、受信C/AコードとPromptコードとの間の位相差Δφがゼロになるように、従来構成によるコード同期を実行し、コード同期が取れた状態で得られるVEコードの相関値VEを、VE0として記憶・保持しておく。次いで、コード同期方法を切り替える。即ち、各制御サイクルでのVEコードの相関値VE値(VE(t))を用いて、ΔVE=VE(t)−VE0を求め、ΔVEがゼロになるようにPromptコードの位相が制御される。これにより、直接波の搬送波位相を基準としたコード同期が実現される。尚、VE0の記憶処理は、例えば上述の図7のステップ72の処理中(従来構成によるコード同期中)に実行しておくことができる。
上述のコード同期方法の切り替えが実行されると、それに伴って、積算器29で位相シフト周期に対応する時間積算される。従って、VEコードの相関値VEが一定値VE0となるように制御されている状態で、積算器29において、制御サイクル毎に、位相シフト周期に対応する積分時間で相関値(E、P、L、E、P、L)が積算され、コード位相差検出器30において、この積算後の自乗平方演算で得られた相関値(E、P、L)を用いて、制御サイクル毎に、受信C/AコードとPromptコードとの間の位相差Δφが演算される。ここで、直接波の搬送波位相を基準としたコード同期が実行されている状態では、図6を参照して上述した如く、反射波の相関波形が、直接波と反射波の経路差の変化に起因して、直接波の搬送波位相を基準とした周期的な変化を示し、この周期が位相シフト周期である。従って、直接波の搬送波位相を基準としたコード同期が実行されている状態において、位相シフト周期に対応する積分時間で相関値を積算し、当該積算した相関値に基づいて、受信C/AコードとPromptコードとの間の位相差Δφを演算した場合、当該演算により得られる位相差Δφは、マルチパスによる残差Δφ(マルチパスに起因した位相誤差)を表すことになる。このようにして、コード位相差検出器30において、マルチパスによる残差ΔφがΔφ=(E−L)/2(E+L)により演算される。尚、このようにして制御サイクル毎に演算された残差Δφは、上述の如く、対応する制御サイクルで得られる擬似距離ρを補正するために利用される。尚、制御サイクル毎に演算された残差Δφは、対応する制御サイクルよりも位相シフト周期前の制御サイクルで得られる擬似距離ρを補正するために利用されてもよい。
以上説明した直接波の搬送波位相を基準としたコード同期・相関値積算方法の例1によれば、上述の如く、反射波の影響を受けないVEコードの相関値VEを演算し、VEコードの相関値VEが一定値VE0となるようにPromptコードの位相を制御することで、直接波の搬送波位相を基準としたコード同期・相関値積算処理を適切に実現することができる。
[直接波の搬送波位相を基準としたコード同期・相関値積算方法の例2]
図15は、本例のコード同期・相関値積算方法を実現する受信機1の構成例を示す図である。
本例では、直接波の搬送波位相を基準としたコード同期を実現するために、受信キャリアとレプリカキャリアとの位相差ΔΘに基づいて、Promptコードの位相が調整される。即ち、従来構成では、上述の如く受信C/AコードとPromptコードとの間の位相差ΔφがゼロになるようにPromptコードの位相が調整されるのに対して、本例では、受信キャリアとレプリカキャリアとの位相差ΔΘに応じたコード位相差がゼロになるように、Promptコードの位相が調整される。具体的には、搬送波の1周期が約1/1.5×10−9[s]であり、C/Aコードの1ビット長が約1×10−6[s]であることから、搬送波の1周期あたり0.2/300チップずつシフトさせる態様で、Promptコードの位相が調整される。
本例では、上述の例1と同様、先ず、図13の示す構成のうちの従来構成の部分(図2)で、受信C/AコードとPromptコードとの間の位相差Δφがゼロになるように、従来構成によるコード同期を実行し、コード同期が取れた状態を形成してから、コード同期方法を切り替える。なお、この従来構成によるコード同期が取れた状態は、例えば上述の図7のステップ72の処理中に実現されるので、図7のステップ72の処理後のステップ74を開始する際に直ちにコード同期方法を切り替えればよい。コード同期の切り替えは、図15のスイッチSW1の位置をコード位相差検出器30側からキャリア位相差検出器32側に切り替えることで実現されてもよい。スイッチSW1がキャリア位相差検出器32側の位置に切り替えられると、上述の如く、受信キャリアとレプリカキャリアとの位相差ΔΘに基づいて、ΔΘが搬送波の1周期分変化する毎に0.2/300チップずつシフトさせる態様で、Promptコードの位相が調整される。例えば、受信キャリアとレプリカキャリアとの位相差ΔΘが搬送波の300周期分である場合には、0.2チップだけPromptコードの位相が調整される。これにより、直接波の搬送波位相を基準としたコード同期が実現される。
上述のコード同期方法の切り替えが実行されると、それに伴って、積算器29で位相シフト周期に対応する時間積算される。従って、受信キャリアとレプリカキャリアとの位相差ΔΘに基づく上述のコード同期が実行されている状態で、積算器29において、制御サイクル毎に、位相シフト周期に対応する積分時間で相関値(E、P、L、E、P、L)が積算され、コード位相差検出器30において、この積算後の自乗平方演算で得られた相関値(E、P、L)を用いて、制御サイクル毎に、受信C/AコードとPromptコードとの間の位相差Δφが演算される。ここで、直接波の搬送波位相を基準としたコード同期が実行されている状態では、図6を参照して上述した如く、反射波の相関波形が、直接波と反射波の経路差の変化に起因して、直接波の搬送波位相を基準とした周期的な変化を示し、この変化の周期が位相シフト周期に対応する。従って、直接波の搬送波位相を基準としたコード同期が実行されている状態において、位相シフト周期に対応する積分時間で相関値を積算し、当該積算した相関値に基づいて、受信C/AコードとPromptコードとの間の位相差Δφを演算した場合、当該演算により得られる位相差Δφは、マルチパスによる残差Δφ(マルチパスに起因した位相誤差)を表すことになる。このようにして、コード位相差検出器30において、マルチパスによる残差ΔφがΔφ=(E−L)/2(E+L)により演算される。尚、このようにして制御サイクル毎に演算された残差Δφは、上述の如く、対応する制御サイクルで得られる擬似距離ρを補正するために利用される。尚、制御サイクル毎に演算された残差Δφは、対応する制御サイクルよりも位相シフト周期前の制御サイクルで得られる擬似距離ρを補正するために利用されてもよい。
以上説明した直接波の搬送波位相を基準としたコード同期・相関値積算方法の例2によれば、上述の如く、反射波の影響を受けない位相差ΔΘ(受信キャリアとレプリカキャリアとの位相差ΔΘ)に基づいてPromptコードの位相を制御することで、直接波の搬送波位相を基準としたコード同期・相関値積算処理を適切に実現することができる。
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
例えば、上述の実施例では、GPS受信機1は、移動体としての車両90に搭載されているが、測量用に用いるために、固定位置に設置されてもよい。
また、上述の実施例では、GPS受信機1は、単独測位により車両90の位置を求めているが、擬似雑音符号(PNコード)の位相の検出結果(等価的に、当該推定結果に基づく擬似距離ρ)を直接的若しくは間接的に用いて測位する構成であれば測位方法は任意であり、例えば、位相積算値と共に擬似距離ρを用いる干渉測位により車両90の位置を求める構成であってもよい。
また、上述の実施例では、C/Aコードを用いているが、その他の擬似雑音符号(PNコード)を用いる構成も可能である。例えば、本発明は、L1波のPコード及び/又はL2波のPコードに基づいて、同様に、GPS衛星10に対する擬似距離ρを算出する構成にも適用可能である。尚、Pコードの場合、Wコードで暗号化されているので、Pコード同期を行う際に、クロス相関方式を利用したDLLにより、Pコードを取り出すこととしてよい。Pコードに基づく擬似距離ρは、GPS衛星10でPコードが0ビット目であるとしてPコードのMビット目が車両90にて受信されているかを計測することで、ρ=M×30として求めることができる。
また、上述の実施例では、GPSに本発明が適用された例を示したが、本発明は、GPS以外の衛星システム、例えばガリレオ等の他のGNSSにも適用可能である。
本発明に係るGNSS測位装置が適用されるGPSの全体的な構成を示すシステム構成図である。 本実施例のGPS受信機1のうちのベース部分(従来構成の部分)だけを示す図である。 マルチパスが無いときの理想的な相関値の波形を示す図である。 マルチパスが生ずる環境の一例を示す図である。 マルチパス発生時の相関波形を示す図である。 本実施例のGPS受信機1により実現される反射波除去原理の説明図である。 本実施例のGPS受信機1により実現される反射波除去処理の要部の流れを示すフローチャートである。 位相シフト周期の算出方法の例1を実現する処理フローの一例を示す図である。 ΔRの変動周期と反射波の搬送波位相の位相シフト周期との関係を示す図である。 ΔRの変動周期から反射波の搬送波位相の位相シフト周期が検出される理由の説明図である。 位相シフト周期の算出方法の例2を実現する受信機1の構成例を示す図である。 ΔPの変動周期から反射波の搬送波位相の位相シフト周期が検出される理由の説明図である。 直接波の搬送波位相を基準としたコード同期・相関値積算方法の例1を実現する受信機1の構成例を示す図である。 VEコードを用いたコード同期の説明図である。 直接波の搬送波位相を基準としたコード同期・相関値積算方法の例2を実現する受信機1の構成例を示す図である。
符号の説明
1 GPS受信機
10 GPS衛星
20 GPSアンテナ
22 高周波回路
23 ミキサ
24 C/Aコード生成器
25 相関器
26 積算器
28 自乗平方演算器
29 積算器
30 コード位相差検出器
32 キャリア位相差検出器
34 レプリカキャリア生成器
36 測位演算部
40 位相シフト周期検出部
90 車両

Claims (17)

  1. 衛星から送られるPNコードにより変調された衛星電波を受信する受信手段を備え、受信したPNコードの位相の検出結果を用いて測位を行うGNSS測位装置において、
    前記受信手段により反射波で受信される衛星電波の搬送波位相の位相シフト周期であって、前記受信手段により直接波で受信される衛星電波の搬送波位相に対する位相シフト周期を、算出する位相シフト周期算出手段を備え、
    前記位相シフト周期算出手段により算出された位相シフト周期を用いて、測位結果に対するマルチパスの影響を除去することを特徴とする、GNSS測位装置。
  2. 前記PNコードに対するレプリカPNコードを発生するレプリカ符号発生手段と、
    前記受信手段で受信されたPNコードと、前記レプリカ符号発生手段で発生されたレプリカPNコードとの間の相関値を、積算する積算手段を更に備え、
    前記位相シフト周期に対応する周期分積算された相関値を用いて、測位結果に対するマルチパスの影響を除去する、請求項1に記載のGNSS測位装置。
  3. 前記位相シフト周期に対応する周期分積算された相関値を用いて、前記レプリカ符号発生手段で発生されたレプリカPNコードと前記PNコードとの間の位相差を算出し、該算出した位相差に基づいて、測位結果に対するマルチパスの影響を除去する、請求項2に記載のGNSS測位装置。
  4. 前記位相シフト周期に対応する周期分積算された相関値を用いて、前記レプリカ符号発生手段で発生されたレプリカPNコードと前記PNコードとの間の位相差を算出し、該算出した位相差に基づいて、擬似距離の計測値を補正することで、測位結果に対するマルチパスの影響を除去する、請求項3に記載のGNSS測位装置。
  5. 前記位相シフト周期算出手段は、
    マルチパスの影響を除去する対象となる衛星を対象衛星としたとき、該対象衛星以外の衛星からの衛星電波の受信結果から測位された前記受信手段の位置と、前記対象衛星に係る軌道情報から算出される該対象衛星の位置との間の距離を、第1距離として算出する第1距離算出手段と、
    前記対象衛星からの衛星電波の受信結果から計測された擬似距離を、第2距離として算出する第2距離算出手段とを備え、
    前記第1距離と前記第2距離の差の変動周期に基づいて、前記位相シフト周期を算出する、請求項1に記載のGNSS測位装置。
  6. 前記位相シフト周期算出手段は、
    マルチパスの影響を除去する対象となる衛星を対象衛星としたとき、該対象衛星以外の衛星からの衛星電波の受信結果から測位された前記受信手段の位置と、前記対象衛星に係る軌道情報から算出される該対象衛星の位置との間の距離を、第1距離として算出する第1距離算出手段と、
    前記対象衛星からの衛星電波の受信結果から計測された擬似距離から、時計誤差分の距離を引いた距離を、第2距離として算出する第2距離算出手段とを備え、
    前記第1距離と前記第2距離の差の変動周期に基づいて、前記位相シフト周期を算出する、請求項1に記載のGNSS測位装置。
  7. 前記PNコードに対するレプリカPNコードを発生するレプリカ符号発生手段と、
    前記レプリカPNコードと、前記受信手段で受信されたPNコードとの間の相関演算を、第1コリレータ間隔と、前記第1コリレータ間隔よりも広い第2コリレータ間隔の双方で実行する相関演算手段とを更に備え、
    前記位相シフト周期算出手段は、前記第1コリレータ間隔で相関演算して推定された第1相関ピーク位相と、前記第2コリレータ間隔で相関演算して推定された第2相関ピーク位相との差の変動周期に基づいて、前記位相シフト周期を算出する、請求項1に記載のGNSS測位装置。
  8. 前記レプリカ符号発生手段は、直接波の搬送波位相を基準として前記レプリカPNコードの位相を調整する、請求項2に記載のGNSS測位装置。
  9. 前記レプリカPNコードは、基準となるレプリカPNコード(以下、「Promptコード」という)と、Promptコードに対して所定量位相が進んだレプリカPNコード(以下、「Earlyコード」という)と、Promptコードに対して所定量位相が遅れたレプリカPNコード(以下、「Lateコード」という)と、前記Earlyコードよりも更に位相が進んだレプリカPNコード(以下、「VEコード」という)を含み、
    前記積算手段は、少なくとも前記Earlyコード及び前記Lateコードに係る相関値を、前記位相シフト周期に対応する周期分それぞれ積算し、
    前記レプリカ符号発生手段は、前記VEレプリカPNコードによる相関値が一定となるように、前記Promptコードの位相を調整する、請求項8に記載のGNSS測位装置。
  10. 前記VEコードは、反射波の影響を受けない相関値が得られるように位相がPromptコードに対して進まれる、請求項9に記載のGNSS測位装置。
  11. 前記VEコードの前記Promptコードに対する位相進み量は、0.6チップから0.9チップの範囲内である、請求項10に記載のGNSS測位装置。
  12. 前記衛星電波の搬送波に対するレプリカ搬送波を発生するレプリカ搬送波発生手段と、
    前記受信手段で受信された衛星電波と、前記レプリカ搬送波発生手段で発生されたレプリカ搬送波との間の相関値に基づいて、前記受信手段で受信された衛星電波の搬送波と、前記レプリカ搬送波発生手段で発生されたレプリカ搬送波との間の位相差を検出する位相差検出手段を更に備え、
    前記レプリカPNコードは、基準となるレプリカPNコード(以下、「Promptコード」という)と、Promptコードに対して所定量位相が進んだレプリカPNコード(以下、「Earlyコード」という)と、Promptコードに対して所定量位相が遅れたレプリカPNコード(以下、「Lateコード」という)とを含み、
    前記積算手段は、少なくとも前記Earlyコード及び前記Lateコードに係る相関値を、前記位相シフト周期に対応する周期分それぞれ積算し、
    前記レプリカ符号発生手段は、前記位相差検出手段により検出された位相差に基づいて、前記Promptコードの位相を調整する、請求項8に記載のGNSS測位装置。
  13. 前記レプリカ符号発生手段は、前記位相差に基づいて、搬送波の1周期あたり0.2/300チップシフトさせる態様で、前記Promptコードの位相を調整する、請求項12に記載のGNSS測位装置。
  14. 前記位相シフト周期に対応する周期分積算された相関値E及びLを用いて、前記Promptコードと前記PNコードとの間の位相差を、
    位相差=(E−L)/2(E+L)
    により算出し、該算出した位相差に基づいて、測位結果に対するマルチパスの影響を除去し、
    上記式において、記号Eは、前記Earlyコードに係る積算された相関値を表し、記号Lは、前記Lateコードに係る積算された相関値を表す、請求項9又は12に記載のGNSS測位装置。
  15. 移動体に搭載され、移動体の位置又は速度を測位するように構成された、請求項1〜14のうちのいずれか1項に記載のGNSS測位装置。
  16. GNSS受信機を用いたGNSS測位装置であって、
    衛星から送られるPNコードにより変調された衛星電波を受信する受信手段と、
    前記PNコードとGNSS受信機内部で発生されるレプリカPNコードとの間の相関値を、所定周期分積算する第1の積算手段と、
    前記積算手段で得られる積算された相関値を用いて、前記レプリカPNコードの位相を調整する第1の位相調整手段と、
    前記第1の位相調整手段による位相調整が実行された状態で、前記受信手段により反射波で受信される衛星電波の搬送波位相の位相シフト周期であって、前記受信手段により直接波で受信される衛星電波の搬送波位相に対する位相シフト周期を、算出する位相シフト周期算出手段と、
    前記位相シフト周期算出手段により位相シフト周期が算出された後に実行され、直接波の搬送波位相を基準として前記レプリカPNコードの位相を調整する第2の位相調整手段と、
    前記第2の位相調整手段による位相調整が実行された状態で、前記PNコードとGNSS受信機内部で発生されるレプリカPNコードとの間の相関値を、前記位相シフト周期に対応する周期分、積算する第2の積算手段と、
    前記第2の積算手段で得られる積算された相関値に基づいて、マルチパスの影響を除去するための補正量を決定する手段とを備えることを特徴とする、GNSS測位装置。
  17. GNSS受信機を用いたGNSS測位方法であって、
    衛星から送られるPNコードにより変調された衛星電波を受信する受信ステップと、
    前記PNコードとGNSS受信機内部で発生されるレプリカPNコードとの間の相関値を、所定周期分積算する第1の積算ステップと、
    前記積算ステップで得られる積算された相関値を用いて、前記レプリカPNコードの位相を調整する第1の位相調整ステップと、
    前記第1の位相調整ステップが実行された状態で、前記受信ステップにより反射波で受信される衛星電波の搬送波位相の位相シフト周期であって、前記受信ステップにより直接波で受信される衛星電波の搬送波位相に対する位相シフト周期を、算出する位相シフト周期算出ステップと、
    前記位相シフト周期算出ステップにより位相シフト周期が算出された後に実行され、直接波の搬送波位相を基準として前記レプリカPNコードの位相を調整する第2の位相調整ステップと、
    前記第2の位相調整ステップが実行された状態で、前記PNコードとGNSS受信機内部で発生されるレプリカPNコードとの間の相関値を、前記位相シフト周期に対応する周期分、積算する第2の積算ステップと、
    前記第2の積算ステップで得られる積算された相関値に基づいて、マルチパスの影響を除去するための補正量を決定するステップとを備えることを特徴とする、GNSS測位方法。
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