JP2005037241A - 全地球測位システムの受信装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】
本発明は、一段と正確に自身と衛星との擬似距離を算出することができるようにする。
【解決手段】
本発明は、受信したGPS信号S1AとC/AコードS5との相関差分値S20を検出し、上記相関差分値S20が所定の閾値THを超えているときにGPS信号S1Aがマルチパスの影響を受けていると判断し、相関差分値S20を補正値として用いて第1GPS衛星2Aと自身との擬似距離を算出するようにしたことにより、マルチパスの影響による擬似距離の誤差を補正することができるので、従来と比して一段と正確に擬似距離を算出することができる。
【選択図】 図3

Description

本発明は全地球測位システムの受信装置に関し、例えばGPS(Global Positioning System)受信装置に適用して好適なものである。
従来、GPS受信装置においては、地球の所定軌道上を周回する複数のGPS衛星からそれぞれ送信されるGPS信号を受信し、当該受信したGPS信号を解析することにより各GPS衛星における軌道上の位置情報や時刻情報等の衛星情報を含んだ航法メッセージを取得すると共にGPS信号の到達時間をそれぞれ測定し、当該到達時間に光の速度を乗じた値を算出することにより各GPS衛星との距離(以下、これを擬似距離と呼ぶ)を取得する。
そしてGPS受信装置は、各GPS衛星の航法メッセージ及び各GPS衛星との擬似距離を基に当該GPS受信装置の位置を測位するようになされている。
ところでGPS受信装置においては、GPS衛星と当該GPS受信装置とを結ぶ直線上に建物等の障害物が存在しない場合には当該GPS衛星から送信されるGPS信号を直接波として受信することができる。一方、GPS受信装置においては、GPS衛星と当該GPS受信装置とを結ぶ直線上に建物等の障害物が存在する場合には、当該GPS衛星から送信されるGPS信号が当該障害物に遮られることにより当該GPS信号を直接波として受信することができず、障害物等によって反射した当該GPS信号を反射波として受信することになる。
この場合、一般的にGPS信号の到達時間は、直接波より反射波の方が反射する分だけ長くなり、その結果GPS受信装置が算出する擬似距離についても直接波より反射波を受信したときの方が長くなる。このような現象をマルチパスと呼び、当該マルチパスの影響によって擬似距離に誤差が生じる。
従来、このようなマルチパスによる擬似距離の誤差をなくすために、例えば、前回測定の擬似距離と前々回測定の擬似距離との差分における前回の差分絶対値と、今回測定の擬似距離と前回測定の擬似距離との差分における今回の差分絶対値とを比較し、今回の差分絶対値が前回の差分絶対値よりも大きい場合に、今回測定の擬似距離がマルチパスの影響を受けていると判断し、当該擬似距離に関わるGPS信号を測位計算の対象から外すようにしたものがある(例えば特許文献1参照)。
特開平7−333315号公報(第4頁、第4図)
ところでかかる構成のGPS受信装置においては、例えば当該GPS受信装置を搭載した自動車が高層ビルの立ち並ぶ道路を走行した際に、例えば5つのGPS衛星からそれぞれ送信されるGPS信号のうち、3つのGPS信号がマルチパスの影響を受けていたとすると、これらマルチパスの影響を受けた3つのGPS信号を測位計算の対象から外すために、測位計算を行うためのGPS信号は2つになってしまう。しかしながらGPS受信装置は、少なくとも4つのGPS衛星から送信されたGPS信号を必要とするため、正確な測位結果を得ることができないという問題があった。
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、簡易な構成で一段と正確に測位し得る全地球測位システムの受信装置を提案しようとするものである。
かかる課題を解決するため本発明においては、衛星から送信される衛生信号を受信する受信手段と、衛生信号に対応した擬似雑音符号と衛生信号との位相差を検出し、当該位相差に基づいて衛星信号の位相と擬似雑音符号の位相とを同期させた後、衛生信号から衛星情報を解読する衛星情報解読手段と、衛星情報解読手段によって検出した位相差が所定の閾値を超えているときに当該位相差をマルチパスの影響を受けた補正対象位相差であると判断し、前回検出した位相差と今回検出した補正対象位相差との変化分を当該補正対象位相差に含まれる誤差として検出した後に補正する誤差補正手段と、誤差補正手段によって誤差の補正された補正後位相差に基づいて衛星と自身との擬似距離を算出する擬似距離算出手段とを設けるようにした。
これによりマルチパスによる擬似距離の誤差を補正することができるので、簡易な構成で従来と比して一段と正確に擬似距離を算出することができる。
本発明によれば、マルチパスによる擬似距離の誤差を補正することができるので、簡易な構成で従来と比して一段と正確に自身と衛星との擬似距離を算出することができ、かくして簡易な構成で従来と比して一段と正確に自身と衛星との擬似距離を算出して測位し得る全地球測位システムの受信装置を実現できる。
以下、図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
(1)本発明によるGPSの全体構成
図1に示すように、GPS1は、地球の上空高度約2万キロメートルの軌道上を周回する第1GPS衛星2A〜第4GPS衛星2Dと、地球上のGPS受信装置3とによって構成されている。
第1GPS衛星2A〜第4GPS衛星2Dは、自身の軌道上の位置情報や自身に内蔵した原子時計の時刻情報等といった衛星情報を示す航法メッセージをGPS信号S1A〜GPS信号S1DとしてそれぞれGPS受信装置3へ送信するようになされている。
一方GPS受信装置3は、第1GPS衛星2A〜第4GPS衛星2Dからそれぞれ送信されたGPS信号S1A〜GPS信号S1Dを受信し、例えばGPS信号S1Aの到達時間を測定して当該到達時間に光の速度を乗じた値を算出することによりGPS信号S1AとGPS受信装置3との擬似距離を取得すると共に、GPS信号S1Aから航法メッセージを取得するようになされている。
また同様にGPS受信装置3は、GPS信号S1B〜GPS信号S1Dを受信し、当該GPS信号S1B〜GPS信号S1Dに基づいてそれぞれ擬似距離及び航法メッセージを取得し、これら複数の擬似距離及び航法メッセージを基に自身の現在位置を測位し得るようになされている。
ところで、GPS信号S1A〜GPS信号S1Dは、それぞれ第1GPS衛星2A〜第4GPS衛星2Dにそれぞれ固有のC/A(coarse and access)コードと呼ばれる擬似雑音符号で航法メッセージがスペクトラム拡散された信号である。
またGPS受信装置3は、第1GPS衛星2A〜第4GPS衛星2Dにそれぞれ対応したC/Aコードを生成し得るようになされており、例えば受信した第1GPS衛星2AのGPS信号S1Aに対して当該第1GPS衛星2Aに対応するC/Aコードを生成して同期させた後、スペクトラム逆拡散処理を行うことによりGPS信号S1Aから第1GPS衛星2Aの航法メッセージを取得するようになされている。
具体的に説明すると、図2に示すように、例えば第1GPS衛星2Aは、航法メッセージS2に対して時点t1で第1GPS衛星2A固有のC/AコードS3を乗積してスペクトラム拡散することにより、スペクトラム拡散信号S4を生成する。なお、C/AコードS3の最小単位はチップと呼ばれている。
次に第1GPS衛星2Aは、所定周波数の搬送波(図示せず)に対してスペクトラム拡散信号S4を乗積することによりGPS信号S1Aを生成し、これをGPS受信装置3に対して送信するようになされている。
一方、GPS受信装置3は、例えばGPS信号S1Aを受信すると、当該GPS信号S1Aに対して所定の復調処理を実行することによりスペクトラム拡散信号S4を得る。
このときGPS受信装置3が受信したスペクトラム拡散信号S4は、第1GPS衛星2AとGPS受信装置3との距離の分だけ送れた時点t2のタイミングで到着するので、その分だけ位相差が生じる。
したがってGPS受信装置3は、第1GPS衛星2A固有のC/AコードS3と同パターンのC/AコードS5をC/AコードS3と同じ時点t1のタイミングで発生した後、当該C/AコードS5の位相を少しずつ遅らせてスペクトラム拡散信号S4の到着した時点t2のタイミングに合わせることにより、スペクトラム拡散信号S4とC/AコードS5とを同期させる(以下、これを同期捕捉と呼ぶ)。
そしてGPS受信装置3は、スペクトラム拡散信号S4の同期捕捉後、種々の条件により変化するスペクトラム拡散信号S4の位相に対して常にC/AコードS5の位相が一致するように当該C/AコードS5の位相を調整し(以下、これを同期追跡と呼ぶ)、スペクトラム拡散信号S4に対して当該スペクトラム拡散信号S4と同期させたC/AコードS5を乗積してスペクトラム逆拡散処理を実行することにより、当該スペクトラム拡散信号S4から航法メッセージS2を取得するようになされている。
またこのときGPS受信装置3Aは、時点t1で発生させたC/AコードS5とスペクトラム拡散信号S4との位相差からGPS信号S1Aの到達時間を取得し、これを基に第1GPS衛星とGPS受信装置3との擬似距離を算出するようになされている。
次にGPS受信装置3の回路構成を同期捕捉モード、同期追跡モードに分けてそれぞれ説明する。
(2)同期捕捉モード
図3に示すように、GPS受信装置3には4チャンネル分の同期回路10A〜10Dが内蔵されており、これによりGPS受信装置3は、第1GPS衛星2A〜第4GPS衛星2Dからそれぞれ送信されるGPS信号S1A〜GPS信号S1Dを受信し、これらに対して同期回路10A〜10Dで同時に同期捕捉及び同期追跡することができるようになされている。
以下、一例として同期回路10AでGPS信号S1Aを同期捕捉する場合について述べるが、実際は、同期回路10B〜10Dにおいても同様にGPS信号S1B〜GPS信号S1Dをそれぞれ同期捕捉するようになされている。
すなわちGPS受信装置3は、アンテナ12を介して受信した例えば第1GPS衛星2AからのGPS信号S1Aを乗積器13に送出する。乗積器13は、GPS信号S1Aに対して局部発信器14から発信された所定周波数の局部発信信号S10を乗積することにより、GPS信号S1Aを所定周波数に変換して受信信号S11を生成し、これを復調部15へ送出する。
復調部15は、受信信号S11に対して所定の復調処理を実行することにより、スペクトラム拡散信号S4(図2)を得、これを同期回路10Aに送出する。
同期回路10Aは、復調部15からのスペクトラム拡散信号S4を乗積器16へ送出すると共に、制御部11によって指定された第1GPS衛星2AのC/AコードS3と同一パターンのC/AコードS5をPN信号発生器17において時点t1(図2)のタイミングで発生させ、これを乗積器16へ送出する。
乗積器16は、スペクトラム拡散信号S4に対してC/AコードS5を乗積することにより相関信号S12を得、これをローパスフィルタ18へ送出する。
ローパスフィルタ18は、相関信号S12の高周波成分を除去することにより相関値S13を得、これを制御部11へ送出する。このときのスペクトラム拡散信号S4とC/AコードS5との位相差及び相関値S13の関係は、図4に示すように、位相差「0」すなわちスペクトラム拡散信号S4とC/AコードS5との同期が取れているときには相関値S13が最大値1となり、位相差が拡がるに従って相関値S13が次第に小さくなり、位相差がC/AコードS5の1チップ以上または−1チップ以下に拡がると、相関値S13がほぼ0となる。
したがって制御部11は、PN信号発生器17で発生させるC/AコードS5の発生タイミングを少しずつ遅らせながら相関値S13を監視し、当該相関値S13がほぼ1となったときにスペクトラム拡散信号S4とC/AコードS5との同期が獲得できたと判断して、それ以降そのときの発生タイミングすなわち時点t2(図2)でC/AコードS5を発生させるようになされている。また、このときの時点t1と時点t2との差分に光の速度を乗じた値が第1GPS衛星とGPS受信装置3との擬似距離となる。
(3)同期追跡モード
GPS受信装置3は、いったんGPS信号S1Aを同期回路10Aで同期捕捉すると、それ以降、GPS信号S1Aの同期位置を見失わないように同期追跡モードに入る。なお、同期回路10B〜10Dにおいても同様に、GPS信号S1B〜GPS信号S1Dをそれぞれ同期捕捉すると、それ以降同期追跡モードに入るようになされている。
GPS受信装置3は、同期捕捉モードで同期捕捉したGPS信号S1Aを引き続きアンテナ12を介して受信し続ける。そしてGPS受信装置3は、GPS信号S1Aを乗積器13及び復調部15を介して復調することにより、スペクトラム拡散信号S4を得、当該スペクトラム拡散信号S4を同期回路10Aに送出する。
同期回路10Aは、スペクトラム拡散信号S4を乗積器16へ送出すると共に、当該スペクトラム拡散信号S4と同期させたC/AコードS5をPN信号発生器17で発生する。乗積器16は、PN信号発生器17から供給されるC/AコードS5をスペクトラム拡散信号S4に対して乗積することにより相関信号S12を得、これをローパスフィルタ18に通すことにより相関値S13を得る。
さらに同期回路10Aは、スペクトラム拡散信号S4を乗積器19及び20へ送出すると共に、C/AコードS5よりも1/2チップだけ位相を早めたC/AコードS14及びC/AコードS5よりも1/2チップだけ位相を遅らせたC/AコードS15をPN信号発生器17で発生させ、当該C/AコードS14及びS15をそれぞれ乗積器19及び乗積器20へ送出する。
乗積器19及び20は、スペクトラム拡散信号S4に対してそれぞれC/AコードS14及びS15を乗積することにより相関信号S16及びS17を得、これらをそれぞれローパスフィルタ21及び22へ送出する。
ローパスフィルタ21及び22は、それぞれ相関信号S16及びS17の高周波成分を除去して相関値S18及びS19を得、これらを減算器23へ送出する。減算器23は相関値S18とS19との差分を取ることにより相関差分値S20を得、これをループフィルタ24へ送出する。
このときの相関値S18は、図5(A)に示すスペクトラム拡散信号S4とC/AコードS14との位相差が−1/2チップのときの値となる。
また相関値S19は、図5(B)に示すスペクトラム拡散信号S4とC/AコードS15との位相差が1/2チップのときの値となる。
さらに相関差分値S20は、相関値S18と相関値S19との差分値であるので、図5(C)に示すように、位相差が1/2チップのとき相関差分値S20が最大値となり、位相差が−1/2チップのとき相関差分値S20が最小となる。ここで、位相差が−1/2チップから1/2チップのときの相関差分値S20は、位相差に対して比例している。
したがってこのときの相関差分値S20の絶対値は位相差であるとみなすことができ、また相関差分値S20の符合が正のときは、C/AコードS5の位相がスペクトラム拡散信号S4の位相に対して遅れていることを表し、相関差分値S20の符合が負のときは、進んでいることを表している。
したがって図6(A)及び(B)に示すように、復調したスペクトラム拡散信号S4の位相がC/AコードS5の位相に対して例えば1/8チップ分だけ遅れていた場合、相関値S13の値は、図7に示すように、スペクトラム拡散信号S4とC/AコードS5との位相差が1/8チップ分ずれたときの値となる。さらに相関差分値S20の絶対値及び符合が位相差及び位相のずれ方向を表していることから、同期回路10Aは、スペクトラム拡散信号S4の位相がC/AコードS5の位相に対して1/8チップ分だけ遅れていることを認識することができる。
次にループフィルタ24(図3)は、相関差分値S20を所定の時定数で平均化し、平均化した相関差分値S20を電圧可変型発信機25に送出する。
電圧可変型発信機25は、相関差分値S20の絶対値及び符合に応じてC/AコードS5の位相を変化させるための位相変化信号S21を生成し、これをPN信号発生器17及び制御部11へ送出する。PN信号発生器17には、図8に示すように位相変化信号S21に応じてC/AコードS5のチップ幅を1/18チップ分だけ長く、もしくは短くすることができるシフトレジスタが内蔵されており、このシフトレジスタを位相変化信号S21に応じて駆動させることにより、図6(C)に示すように、スペクトラム拡散信号S4とC/AコードS5とを同期させることができるようになされている。
このように同期追跡モード時において、同期回路10A(図3)は、常にスペクトラム拡散信号S4とC/AコードS5とを同期させるように動作しており、このとき乗積器16でスペクトラム拡散信号S4に対してC/AコードS5を乗積してスペクトラム拡散信号S4をスペクトラム逆拡散することにより航法メッセージS2を取得する。
そして同期回路10Aは、航法メッセージS2を航法メッセージ解読部26で解読することにより、航法メッセージS2に含まれた衛星情報S22を取得し、これを制御部11へ送出するようになされている。
制御部11は、航法メッセージ解読部26から衛星情報S22を取得すると共に、電圧可変型発信器25で生成された位相変化信号S21を基に第1GPS衛星2AとGPS受信装置3との擬似距離を算出する。
またこのとき制御部11は、同様に同期回路10B〜10Dからも、それぞれ衛星情報S22を取得すると共に、当該同期回路10B〜10Dからそれぞれ得られる位相変化信号S21を基に第2GPS衛星2B〜第4GPS衛星2DとGPS受信装置3との擬似距離をそれぞれ個別に算出する。
そして制御部11は、これら4つの衛星情報及び擬似距離を基にGPS受信装置3の現在位置を測位し、その結果を表示部27に表示することにより、GPS受信装置3の現在位置をユーザに対して目視確認させ得るようになされている。なお、このような回路構成の同期回路10A〜10Dは、位相同期型と呼ばれている。
ところで、このような一般的な同期捕捉モード及び同期追跡モードに加えて、本発明のGPS受信装置3は、マルチパスの影響による擬似距離の誤差を補正するマルチパス補正モードを有しており、以下、マルチパス補正モードにおけるマルチパス補正処理手順を説明する。なお、マルチパス補正モードは同期追跡モードで取得した擬似距離がマルチパスの影響を受けていた場合にのみ、当該擬似距離の誤差を補正するようになされており、またここでは一例としてGPS信号S1Aにおける擬似距離の誤差を補正する場合について述べるが、実際は、GPS信号S1B〜GPS信号S1Dについてもそれぞれ同様に擬似距離の誤差を補正するようになされている。
(4)マルチパス補正モード
図9に示すように制御部11は、ルーチンRT1の開始ステップから入ってステップSP1へ移る。ステップSP1において、制御部11は、マルチパス補正モードの初期化フラグを「0」、マルチパス判定フラグを「0」にセットし、次のステップSP2へ移る。
この場合の初期化フラグは、後述する初期化処理の実行前には「0」に設定され、当該初期化処理の実行後には「1」に設定されるようになされている。従って制御部11は、ステップSP1においては初期化処理の実行前であるので、初期化フラグを「0」に設定する。
またこの場合のマルチパス判定フラグは、後述するマルチパス判定処理でGPS信号S1Aがマルチパスの影響を受けていないと判定された場合には「0」に設定され、マルチパスの影響を受けていると判定された場合には「1」に設定されるようになされている。ここでは、最初からマルチパスの影響を受けてはいないものと仮定して、マルチパス判定フラグを「0」に設定する。
ステップSP2において制御部11は、スペクトラム拡散信号S4とC/AコードS5との位相差を表す相関差分値S20をループフィルタ24から取得し、これをメモリ28に格納して次のステップSP3へ移る。
ステップSP3において制御部11は、マルチパス補正モードの初期化フラグが「0」であるか否かを判定する。
ここで肯定結果が得られると、このことは、マルチパス補正モードの初期化処理がまだ実行されていないことを表しており、このとき制御部11は、ステップSP4からステップSP6までの初期化処理を実行するために次のステップSP4へ移る。
ステップSP4において制御部11は、予めメモリ28に確保してある相関差分値S20の累積加算値を「0」にクリアし、次のステップSP5へ移る。
ここで、マルチパス補正モードで利用する相関差分値S20及び当該相関差分値S20の累積加算値について説明する。図10(A)に示すように相関差分値S20は、時間の経過と共に常に変動している。そしてGPS受信装置3がマルチパスエリア外にあるとき、第1GPS衛星2Aから送信されたGPS信号S1AがGPS受信装置3に届くまでの到達時間は、GPS受信装置3の移動速度が十分遅いものだとすれば、短時間ではほとんど変動しない。したがってこの到達時間の変動によって生じる相関差分値S20は、マルチパスの影響を受けていない時点t10、t11、t16のときにはほとんど変動せず、GPS受信装置3の同期追跡によってほぼ「0」に収束している。
一方でGPS受信装置3が高層ビルの谷間等のマルチパスエリア内に移動した瞬間の時点t12のとき、第1GPS衛星2Aから受信するGPS信号S1Aが直接波から反射波に変わることにより、GPS信号S1Aの到達時間がマルチパスエリア外のときと比べて大きく変動し、それに伴って相関差分値S20もマルチパスエリア外のときと比べて大きく変動する。
その後、相関差分値S20は、GPS受信装置3の同期追跡によってほぼ「0」に収束され、以降マルチパスエリア内の時点t13、t14のときには、GPS信号S1Aの到達時間がほぼ一定になることによりほとんど変動せず、ほぼ「0」に収束する。
その後、GPS受信装置3がマルチパスエリア外に出た瞬間の時点t15のとき、再びGPS信号S1Aが反射波から直接波に変わることにより、GPS信号S1Aの到達時間がマルチパスエリア内の時点t13、t14のときと比べて非常に大きく変動するので、相関差分値S20も大きく変動する。
その後、相関差分値S20は、GPS受信装置3の同期追跡によって再度ほぼ「0」に収束され、それ以降マルチパスエリア外の時点t16、…のときには、再びGPS信号S1Aの到達時間がほぼ一定になることによりほとんど変動せず、ほぼ「0」に収束する。
このように相関差分値S20は、マルチパスエリア内に入った瞬間(時点t12)及びマルチパスエリア外に出た瞬間(時点t15)に大きく変動する。したがって制御部11は、相関差分値S20の変動を監視することで、GPS信号S1Aがマルチパスの影響を受けた瞬間の到達時間の変動を認識することができる。
しかしながら制御部11は、マルチパスエリア内(時点t13、t14)では相関差分値S20がほぼ「0」に収束するのでマルチパスエリア外(時点t10、t11)と区別することができない。
一方、図10(B)に示すように相関差分値S20の累積加算値S20Aは、マルチパスエリア外の時点t10、t11のときには、相関差分値S20がほぼ「0」に収束していることによりほぼ「0」となる。その後、マルチパスエリア内に入った瞬間の時点t12のとき、相関差分値S20が大きく変動することにより、以降マルチパスエリア内の時点t13、t14のときにも累積加算値S20Aがほぼ「0」に収束することはなく、時点t12〜時点t14まで累積加算値S20Aが所定のレベルを保持することになる。
そしてマルチパスエリア外に出た瞬間の時点t15のとき、相関差分値S20がマルチパスエリア内に入った瞬間の時点t12のときとは逆方向すなわち図10(A)に示したように大きく変動することにより、累積加算値S20Aは再びほぼ「0」に収束され、それ以降、マルチパスエリア外の時点t15、…でも累積加算値S20Aはほぼ「0」に収束される。
このように累積加算値S20Aでは、マルチパスエリア内に入ってからマルチパスエリア外に出るまで所定レベルの値を保持し続け、またマルチパスエリア外では、ほぼ「0」に収束される。したがって制御部11は、所定の閾値THを予め設けておき、累積加算値S20Aが当該閾値THを超えたか否かに応じて、現在受信しているGPS信号S1Aがマルチパスの影響を受けているか否かを判定することができる。
同時に制御部11は、当該累積加算値S20A自体が各時点(t10〜t16…)におけるGPS信号S1Aの到達時間の変動を表しているので、閾値THを超えている間の累積加算値S20Aを監視することにより、当該GPS信号S1Aがマルチパスの影響を受けている間(時点t12、t13及びt14)における到達時間の変動を取得することができる。
すなわちマルチパス補正モードにおいて制御部11は、相関差分値S20の累積加算値S20Aを用いてマルチパスエリア内の各時点t12、t13及びt14における到達時間の変動を認識し、このときの当該到達時間の変動を基に擬似距離の誤差を補正するようになされている。
ステップSP5(図9)において制御部11は、現在取得した相関差分値S20の符号と、前回取得した相関差分値S20の符号とが異なっているか否かを判定する。
ここで否定結果が得られると、このことは、符合に変化がないので相関差分値S20(図10(A))が増加し続けている、あるいは減少し続けていることを表しており、このことから初期化処理時に受信したGPS信号S1Aが既にマルチパスの影響を受けていると考えられ、制御部11は、ステップSP2に戻りステップSP2からステップSP5までの処理を繰り返す。
これに対してステップSP5で肯定結果が得られると、このことはGPS信号S1Aがマルチパスの影響を受けていない状態であることを表しており、このとき制御部11は、次のステップSP6へ移る。
ステップSP6において制御部11は、ループフィルタ24から取得した相関差分値S20をメモリ28の累積加算値S20Aに加算して格納し、次のステップSP7へ移る。ステップSP7において制御部11は、ステップSP4からステップSP6までの初期化処理を実行したので、初期化フラグを「1」に設定し、ステップSP2に戻る。
ステップSP2において制御部11は、再度新たな相関差分値S20を取得して次のステップSP3へ移り、このとき初期化フラグが「1」に設定されているので、当該ステップSP3で否定結果が得られることになり、次のステップSP8へ移る。
ステップSP8において制御部11は、マルチパス判定フラグが「0」であるか否かを判定する。ここでは、まだ後述するマルチパス判定処理を実行していないのでマルチパス判定フラグは「0」のままである。したがって肯定結果が得られることになり、制御部11は、サブルーチンSRT1へ移ってマルチパス判定処理を実行する。
制御部11は、図11に示すようにサブルーチンSRT1の開始ステップから入ってステップSP10へ移り、当該ステップSP10において、メモリ28に既に格納されている累積加算値S20Aに対して新たに取得した相関差分値S20を累積加算して更新し、次のステップSP11へ移る。
ステップSP11において制御部11は、累積加算値S20Aの最大値をメモリ28に記憶し、次のステップSP12へ移る。ステップSP12において制御部11は、累積加算値S20Aが予め設定してある閾値THを超えたか否かを判定する。
ここで否定結果が得られると、このことは例えば図10(B)に示す時点t10やt11のときのように累積加算値S20Aが「0」近辺に収束していることから、GPS信号S1Aがマルチパスの影響を受けていないことを表しており、このとき制御部11は、次のステップSP13へ移る。
ステップSP13において制御部11は、現在取得した相関差分値S20の符合と前回取得した相関差分値S20の符合とが異なっているか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、このことは、相関差分値S20がほぼ「0」に収束していることを表しており、このとき制御部11は、ステップSP14へ移って累積加算値S20Aを「0」にセットすることにより初期化し、次のステップSP16へ移る。
これに対してステップSP13で否定結果が得られると、このことは、微小ではあるが相関差分値S20が増加し続けている、あるいは減少し続けていることを表しており、このとき制御部11は、相関差分値S20の累積加算値S20Aを初期化せずに次のステップSP16へ移る。
一方、ステップSP12において肯定結果が得られると、このことは図10(B)に示す時点t12のときのように相関差分値S20の累積加算値S20Aが閾値THを超えている状態であり、このとき制御部11は、受信しているGPS信号S1Aがマルチパスの影響を受けていると判断してマルチパス判定フラグを「1」に設定し、次のステップSP16へ移る。
ステップSP16において制御部11は、マルチパス判定処理を終了し、再度ステップSP2(図9)へ戻る。ここでマルチパス判定フラグが「0」であった場合、制御部11は、受信しているGPS信号S1Aがマルチパスの影響を受けていないものと判断し、ステップSP2に戻って新たな相関差分値S20を取得して引き続きマルチパス判定処理を実行する。
これに対して、マルチパス判定フラグが「1」であった場合、制御部11は、受信しているGPS信号S1Aがマルチパスの影響を受けていると判断し、再びステップSP2へ戻って新たに相関差分値S20を取得してステップSP3へ移り、当該ステップSP3からステップSP8へ移る。
ステップSP8において、制御部11は、マルチパス判定フラグが「1」であるので否定結果を得、サブルーチンSRT2へ移って誤差補正処理を開始する。
制御部11は、図12に示すようにサブルーチンSRT2の開始ステップから入ってステップSP20へ移り、当該ステップSP20において、メモリ28に既に格納されている累積加算値S20Aに対して新たに取得した相関差分値S20を累積加算して更新し、次のステップSP21へ移る。
ステップSP21において制御部11は、マルチパス判定フラグが「1」であるためマルチパスエリア内に入ったと認識し、その時点からタイマーのカウントを開始して次のステップSP22へ移る。ところで、タイマーのカウント値が一定の時間を超えても累積加算値S20Aが閾値THを超え続けていた場合、制御部11はGPS信号S1Aがマルチパス以外の別の影響を受けている可能性が高いと判断して誤差補正処理を終了するようになされている。
ステップSP22において制御部11は、累積加算値S20Aの最大値をメモリ28に記憶して次のステップSP23へ移る。ステップSP23において制御部11は、累積加算値S20Aを基に同期回路10Aから得られた擬似距離を補正する。
このときの累積加算値S20Aは、マルチパスの影響によるGPS信号S1Aの到達時間の誤差を表しているので、当該累積加算値S20Aに光の速度を乗じた値が擬似距離の誤差を表すことになる。したがって制御部11は、同期回路10Aから得られた擬似距離に対して、累積加算値S20Aから得られる擬似距離の誤差分を補正することにより正確な擬似距離を得、次のステップSP24へ移る。
ステップSP24において制御部11は、累積加算値S20Aが最大値の例えば7割以下になったか否かを判定する。ここでは、マルチパスエリア外に出たか否かを判定する際に、予め設けられた閾値THではなく、累積加算値S20Aの最大値を基に判定するようになされている。
これにより例えば図13に示すように制御部11は、閾値THに対して累積加算値S20Aが大きく超えている場合であっても、マルチパスエリア内に入った時点を当該閾値THで直ちに判定し得、マルチパスエリア外に出た直後の時点を累積加算値S20Aの最大値の割合から判定するので、閾値THのみでマルチパスエリア外に出た時点を判定する場合に比べて一段と正確にマルチパスエリアの範囲を特定し得るようになされている。
ステップSP24(図12)で否定結果が得られると、このことは例えば図10(B)に示す時点t13のときのようにGPS信号S1Aが未だマルチパスの影響を受けていることを表しており、このとき制御部11は、ステップSP27へ移る。
ステップSP27において制御部11は、タイマーのカウントが所定のカウント値以上になったか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、このことは累積加算値S20Aが閾値THを超えてから一定時間以上が経過したにも関わらず、当該累積加算値S20Aが未だ減少していないことを表しており、このとき制御部11は、当該累積加算値S20Aがマルチパス以外の他の影響を受けているものと判断し、次のステップSP25へ移る。
これに対してステップSP27で否定結果が得られると、このことはGPS信号S1Aがマルチパスの影響を受けており、かつ所定時間以上経過していないことを表しており、このとき制御部11は、次のステップSP28へ移る。
一方、ステップSP24において肯定結果が得られると、このことは例えば図10(B)に示す時点t15のときのようにGPS信号S1Aがマルチパスの影響を受けなくなったことを表しており、このとき制御部11は、次のステップSP25へ移る。
ステップSP25において制御部11は、マルチパスエリア外に出たと認識することができるので、マルチパス判定フラグを「0」にして次のステップSP26へ移り、当該ステップSP26において、累積加算値S20Aを「0」にセットして再び初期化した後、次のステップSP28へ移る。
ステップSP28において制御部11は、マルチパス補正処理を終了し、再びステップSP2へ戻って新たな相関差分値S20を取得し、上述したようにマルチパス判定フラグが「0」の場合は、マルチパス判定処理を実行し、マルチパス判定フラグが「1」の場合は誤差補正処理を実行するようになされている。
このように制御部11は、ループフィルタ24から出力される相関差分値S20を累積加算し、その結果得られる累積加算値S20Aを常に監視することにより、当該累積加算値S20Aが所定の閾値THを超えた場合に、GPS信号S1Aがマルチパスの影響を受けていると判断し得、累積加算値S20Aを補正値として用いることにより、GPS受信装置3と第1GPS衛星2Aとの正確な擬似距離を算出することができるようになされている。
(5)動作及び効果
以上の構成において、GPS受信装置3の制御部11は、同期追跡モード時にスペクトラム拡散信号S4とC/AコードS5との位相差である相関差分値S20を所定の間隔で累積加算することにより当該相関差分値S20の累積加算値S20Aを得、これをメモリ28に記憶する。
そして制御部11は、累積加算値S20Aの変動を常に監視し、当該累積加算値S20Aが予め設定した閾値THを超えていない場合には、GPS信号S1Aがマルチパスの影響を受けていないと判断し、同期回路10Aから擬似距離及び航法メッセージを取得する。
同様にGPS信号S1B〜GPS信号S1Dについてもマルチパスの影響を受けているか否かを判定し、GPS信号S1A〜GPS信号S1Dがマルチパスの影響を受けていないと判断した場合には、同期回路10B〜10Dからそれぞれ擬似距離及び航法メッセージを取得する。
そして制御部11は、これら複数の擬似距離及び航法メッセージを基に自身の位置を測位する。
実際上、制御部11は、相関差分値S20のみを監視したとすると、GPS信号S1Aがマルチパスの影響を受けた瞬間(時点t12、t15)の到達時間の変動すなわち擬似距離の誤差を認識することができ、その瞬間(時点t12、t15)においては当該相関差分値S20を基に擬似距離を補正することができる。
しかしながら制御部11は、マルチパスエリア内(時点t13、t14)においては相関差分値S20がほぼ「0」に収束するのでマルチパスエリア外(時点t10、t11)と区別することができず、このとき当該相関差分値S20を基に正確に擬似距離を補正することはできない。
一方、制御部11は、相関差分値S20の代わりに累積加算値S20Aを監視すれば、累積加算値S20Aが予め設定した閾値THを超えた場合にGPS信号S1Aがマルチパスの影響を受けていると判断し、同期回路10Aから出力される擬似距離を累積加算値S20Aで補正することができる。
そのうえ制御部11は、累積加算値S20Aがマルチパスエリア内(時点t12、t13及びt14)であれば閾値THを超えた所定レベルを常に保ち続けるので、マルチパスエリア外(t10、t11)とマルチパスエリア内(時点t12、t13及びt14)とを確実に区別することができると共に、累積加算値S20Aを基にマルチパスエリア内(時点t12、t13及びt14)での擬似距離を正確に補正することができる。
このように制御部11は、GPS信号S1Aがマルチパスの影響を受けている場合であっても、当該マルチパスの影響による擬似距離の誤差を累積加算値S20Aで補正して正確な擬似距離を算出することができる。
同様に制御部11は、GPS信号S1B〜GPS信号S1Dについてもマルチパスの影響を受けていると判断した場合には、同期回路10B〜10Dからそれぞれ得られる擬似距離を累積加算値S20Aで補正する。
このように制御部11は、GPS信号S1A〜GPS信号S1Dがマルチパスの影響を受けている場合にも、当該GPS信号S1A〜GPS信号S1Dから得られる擬似距離を補正することができるので、4つの擬似距離に基づいて自身の正確な位置を測位することができる。
また、制御部11は、マルチパスエリア内に入った時点を閾値THで判定し、マルチパスエリア外に出た時点を累積加算値S20Aの最大値の割合から判定するようにしたことにより、閾値THのみでマルチパスエリア外に出た時点を判定する場合に比べて一段と正確にマルチパスエリアの範囲を特定することができ、かくして一段と高精度に現在位置を測位することができる。
さらに、制御部11は、従来と比して累積加算値S20Aを格納するためのメモリ28を追加しただけの簡易な構成であり、これにより簡易な構成でマルチパスの影響による擬似距離の誤差を補正することができる。
以上の構成によれば、GPS受信装置3は、スペクトラム拡散信号S4とC/AコードS5との位相差である相関差分値S20を所定の間隔で累積加算することにより当該相関差分値S20の累積加算値S20Aを得、当該累積加算値S20Aが予め設定した閾値THを超えた場合に、GPS信号S1Aがマルチパスの影響を受けていると判断し、同期回路10Aから得られる擬似距離を累積加算値で補正する。
これによりGPS受信装置3は、受信したGPS信号S1Aがマルチパスの影響を受けている場合であっても、当該マルチパスの影響による擬似距離の誤差を累積加算値S20Aで補正して正確な擬似距離を取得することができ、同様にしてGPS信号S1B〜GPS信号S1Dから得られる擬似距離を補正して正確な擬似距離を取得することができるので、常に自身の正確な位置を測位することができる。
(6)他の実施の形態
なお上述の実施の形態においては、4チャンネル分の同期回路10A〜10DをGPS受信装置3に内蔵している場合について述べたが、本発明はこれに限らす、4チャンネル以上の同期回路を内蔵するようにしてもよい。
また上述の実施の形態においては、4チャンネル分の同期回路10A〜10DをGPS受信装置3に内蔵し、当該同期回路10A〜10Dで同時に衛星信号としてのGPS信号S1A〜GPS信号S1Dの同期捕捉及び同期追跡を実行する場合について述べたが、本発明はこれに限らす、例えば1チャンネルの同期回路を内蔵するようにし、当該1チャンネルの同期回路でGPS信号S1A〜GPS信号S1Dを高速に切り替えて同期捕捉及び同期追跡するようにしてもよい。
さらに上述の実施の形態においては、アナログ信号であるスペクトラム拡散信号S4に対して同期捕捉及び同期追跡するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば復調部15と同期回路10A〜10Dの間にDSP(digital signal processor)を設け、当該DSPでスペクトラム拡散信号S4をデジタル信号に変換し、以降の処理を全てデジタル化してもよい。
さらに上述の実施の形態においては、PN信号発生器17で擬似雑音符合としてのC/AコードS5を発生させ、当該C/AコードS5でスペクトラム拡散信号S4をスペクトラム逆拡散するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えばGPS信号S1A〜GPS信号S1DがP(protect)コードでスペクトラム拡散されている場合、PN信号発生器17でPコードを発生させ、当該PコードでGPS信号S1A〜GPS信号S1Dをそれぞれスペクトラム逆拡散するようにしてもよい。
さらに上述の実施の形態においては、位相同期型の同期回路10A〜10Dで同期捕捉及び同期追跡を実行する場合について述べたが、本発明はこれに限らず位相非同期型やタウディザ型等の同期回路で同期捕捉及び同期追跡を実行するようにしてもよい。
さらに上述の実施の形態においては、累積加算値S20Aの最大値の7割以下になったかどうかでマルチパスエリア外に出たか否かを判定するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らずGPS受信装置3Aの利用環境に合わせた割合で判定するようにしてもよい。
さらに上述の実施の形態においては、受信手段としてのアンテナ12、乗積器13、局部発信機14、復調部15、衛星情報解読手段としての乗積器16、19及び20、PN信号発生器17、ローパスフィルタ18、21及び22、減算器23、航法メッセージ解読部26、誤差補正手段、擬似距離算出手段及び測位手段としての制御部11、メモリ28によってGPS受信装置3を構成する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、この他の種々の受信手段、衛星情報解読手段、誤差補正手段、擬似距離算出手段及び測位手段によりGPS受信装置3を構成するようにしてもよい。
本発明は、カーナビゲーションシステムや、GPS機能を有する携帯端末に適用できる。
本発明を適用したGPSの全体構成を示す略線図である。 GPS信号のタイミングチャートを示す略線図である。 GPS受信装置の回路構成を示す略線図である。 同期捕捉時の相関波形を示す略線図である。 相関値及び相関差分値と位相差との関係を示す略線図である。 同期追跡時におけるC/Aコードのタイミングチャートを示す略線図である。 位相差が生じた際の相関波形を示す略線図である。 シフトレジスタによる位相変化量を示す略線図である。 マルチパス補正処理手順を示すフローチャートである。 相関差分値及び相関差分値の累積加算値の時間変化を示す略線図である。 マルチパス判定処理手順を示すフローチャートである。 誤差補正処理手順を示すフローチャートである。 実際のマルチパスエリアとGPS受信装置が認識したマルチパスエリアを示す略線図である。
符号の説明
1……GPS、2A、2B、2C、2D……GPS衛星、3……GPS受信装置、10A、10B、10C、10D……同期回路、11……制御部、12……アンテナ、13、16、19、20……乗積器、17……PN信号発生器、18、21、22……ローパスフィルタ、23……減算器、24……ループフィルタ、25……電圧可変型発信器、26……航法メッセージ解読部、28……メモリ、S1A、S1B、S1C、S1D……GPS信号、S2……航法メッセージ、S3、S5……C/Aコード、S20……相関差分値、S20A……累積加算値、TH……閾値。

Claims (5)

  1. 衛星から送信される衛生信号を受信する受信手段と、
    上記衛生信号に対応した擬似雑音符号と上記衛生信号との位相差を検出し、当該位相差に基づいて上記衛星信号の位相と上記擬似雑音符号の位相とを同期させた後、上記衛生信号から衛星情報を解読する衛星情報解読手段と、
    上記衛星情報解読手段によって検出した上記位相差が所定の閾値を超えているときに当該位相差をマルチパスの影響を受けた補正対象位相差であると判断し、前回検出した位相差と今回検出した上記補正対象位相差との変化分を当該補正対象位相差に含まれる誤差として検出した後に補正する誤差補正手段と、
    上記誤差補正手段によって上記誤差の補正された補正後位相差に基づいて上記衛星と自身との擬似距離を算出する擬似距離算出手段と
    を具えることを特徴とする全地球測位システムの受信装置。
  2. 上記擬似距離算出手段によって算出された複数の上記衛星からの複数の上記擬似距離と上記衛星情報解読手段によって解読された複数の上記衛星情報とに基づいて上記自身の現在位置を測位する測位手段と
    を具えることを特徴とする請求項1に記載の全地球測位システムの受信装置。
  3. 上記擬似距離算出手段は、
    上記誤差補正手段によって上記補正対象位相差であると判断した場合には上記補正後位相差に基づいて上記衛星と自身との擬似距離を算出し、上記誤差補正手段によって上記補正対象位相差ではないと判断した場合には上記マルチパスの影響を受けていない上記位相差に基づいて上記衛星と自身との擬似距離を算出し、
    上記測位手段は、上記擬似距離算出手段により上記補正後位相差に基づいて算出した複数の上記擬似距離と、上記擬似距離算出手段により上記位相差に基づいて算出した複数の上記擬似距離と、複数の上記衛星情報とに基づいて上記自身の現在位置を測位する
    ことを特徴とする請求項2に記載の全地球測位システムの受信装置。
  4. 上記誤差補正手段は、
    上記変化分を累積加算して累積加算値として記憶し、当該累積加算値が所定の閾値を超えているときに上記累積加算値を上記補正対象位相差に含まれる誤差として補正する
    ことを特徴とする請求項1に記載の全地球測位システムの受信装置。
  5. 衛星から送信される衛生信号を受信する受信ステップと、
    上記衛生信号に対応した擬似雑音符号と上記衛生信号との位相差を検出し、当該位相差に基づいて上記衛星信号の位相と上記擬似雑音符号の位相とを同期させた後、上記衛生信号から衛星情報を解読する衛星情報解読ステップと、
    上記衛星情報解読ステップによって検出した上記位相差が所定の閾値を超えているときに当該位相差をマルチパスの影響を受けた補正対象位相差であると判断し、前回検出した位相差と今回検出した上記補正対象位相差との変化分を当該補正対象位相差に含まれる誤差として検出した後に補正する誤差補正ステップと、
    上記誤差補正ステップによって上記誤差の補正された補正後位相差に基づいて上記衛星と自身との擬似距離を算出する擬似距離算出ステップと
    を具えることを特徴とする全地球測位システムの測位計算方法。
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