次に、本発明を実施するための最良の形態を、以下の実施例に基づき図面を参照しつつ説明する。
なお、実施例を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を用い、繰り返しの説明は省略する。
<第1の実施例>
<システム>
本実施例に従った全世界航法衛星システム(GNSS: Global Navigation Satellite System)は、地球周りを周回するGNSS衛星と、地球上に位置し地球上を移動しうるGNSS受信装置100とを備える。本実施例では、GNSSの一例としてGPSについて説明する。GPS以外のGNSSに適用してもよい。
GNSS衛星は、航法メッセージ(衛星信号)を地球に向けて常時放送する。航法メッセージには、対応するGNSS衛星に関する衛星軌道情報(エフェメリスやアルマナック)、時計の補正値、電離層の補正係数が含まれる。航法メッセージは、C/Aコードにより拡散され、L1帯の搬送波(周波数:1575.42MHz)に載せられて、地球に向けて常時放送されている。また、航法メッセージは、Pコードにより拡散され、L2帯の搬送波(周波数:1227.6MHz)に載せられて、地球に向けて常時放送されている。
L1帯の搬送波は、C/Aコードで変調されたSin波とPコード(Precision Code)で変調されたCos波との合成波であり、直交変調されている。また、L2帯の搬送波は、Pコードで変調されたCos波であり、直交変調されている。C/Aコード及びPコードは、擬似雑音(Pseudo Noise)符号であり、−1と1とが不規則に周期的に並ぶ符号列である。
尚、現在、約30個のGNSS衛星が高度約20,000kmの上空で地球を一周しており、55度ずつ傾いた6つの地球周回軌道面があり、各々の軌道面に4個以上のGNSS衛星が均等に配置されている。従って、天空が開けている場所であれば、地球上のどの場所にいても、常時、少なくとも5個以上のGNSS衛星が観測可能である。
<GNSS受信装置>
GNSS受信装置100は、例えば、移動体に搭載される。移動体には、車両、自動二輪車、列車、船舶、航空機、ロボットなど、また、人の移動に伴い移動する携帯端末などの情報端末などが含まれる。本実施例では、移動体の一例として、車両に搭載される場合について説明する。
本GNSS受信装置100は、少なくとも2つの相関器を有する。本実施例では、一例として2つの相関器を有する場合について説明する。2以上の相関器を有するようにしてもよい。換言すれば、本GNSS受信装置100は、複数の相関器を有する。2つの相関器は、位相差の異なる逆相関コードを生成する。該GNSS受信装置100は、該2つの相関器により得られるEarlyの位相(進み位相)とLateの位相(遅れ位相)とを結んだ線分の中点の位相を所定の時間モニターする。以下、EarlyとLateとを結んだ線分の中点の位相を「中点位相」と呼ぶ。該所定の時間は、車両の速度に応じて設定される。例えば、車両の速度が速くなるに従って短い時間が設定され、車両の速度が遅くなるに従って長い時間が設定される。該GNSS受信装置100は、2つの相関器により得られる中点位相の差を求める。中点位相をモニターする時間を車両の速度に応じて変更することにより、経路差(位相差)の変動周期は車両の速度に応じて変化するため、必要最小限の時間でマルチパスの影響を受けているかどうかを判定できる。
図5は、本実施例に従ったGNSS受信装置の一例を示す。
本GNSS受信装置100は、高周波回路102を有する。高周波回路102は、アンテナにより受信されたGNSS衛星からの電波をベースバンド信号に変換する。該ベースバンド信号は、相関器A104、及び相関器B106に入力される。
本GNSS受信装置100は、相関器A104を有する。相関器A104は、逆相関コードを生成する。該相関器A104は、該逆相関コードと、高周波回路102により入力されたベースバンド信号との間で、所定の相関処理時間の間、相関処理を行う。例えば、EarlyとLateと呼ばれる2つの逆相関コードを使用してもよい。相関器A104は、差分演算部110に、EarlyとLateとの間の中点の位相(中点位相)を出力する。
本GNSS受信装置100は、相関器B106を有する。相関器B106は、逆相関コードを生成する。該相関器B106は、該逆相関コードと、高周波回路102により入力されたベースバンド信号との間で、所定の相関処理時間の間、相関処理を行う。例えば、EarlyとLateと呼ばれる2つの逆相関コードを使用してもよい。相関器B106は、差分演算部110に、EarlyとLateとを結んだ線分の中点の位相(中点位相)を出力する。
本GNSS受信装置100は、モニター時間制御部108を有する。モニター時間制御部108には、車速情報が入力される。モニター時間制御部108は、相関器A104、及び相関器B106により実行される相関処理における処理時間を制御する。換言すれば、相関処理のタイミングを制御する。相関処理時間が制御されることにより、相関処理のタイミングも制御されるためである。
図6は、モニター時間制御部108により制御されるモニター時間の一例を示す。図6において、横軸は車速であり、縦軸はモニター時間である。例えば、モニター時間制御部108は、車速が速いほどモニター時間(F)を短い時間に設定し、車速が遅いほどモニター時間を長い時間に制御する。経路差(位相差)の変動周期は、車速によって変化し、車速が速いほど経路差(位相差)の変動周期は短くなり、車速が遅いほど経路差(位相差)の変動周期は長くなるためである。
本GNSS受信装置100は、差分演算部110を有する。差分演算部110は、相関器A104により入力された中点位相と、相関器B106により入力された中点位相との間の差分を求める。差分演算部110は、差分判定部112に、該差分の情報を入力する。
本GNSS受信装置100は、差分判定部112を有する。差分判定部112は、差分演算部110により入力された差分の情報に基づいて、当該GNSS受信装置100により受信されたGNSS衛星からの電波がマルチパスの影響を受けているかどうかを判定する。例えば、差分判定部112は、差分の情報に基づいて、該差分がある場合にマルチパスの影響を受けていると判定する。また、差分判定部112は、差分の情報に基づいて、該差分がない場合にはマルチパスの影響を受けていないと判定する。差分判定部112は、マルチパスの影響を受けているかどうかの判定結果を出力する。
<本GNSS受信装置の動作>
図7は、本GNSS受信装置100の動作を示すフロー図である。
本GNSS受信装置100は、タイマーをカウントアップする(ステップS702)。例えば、モニター時間制御部108は、タイマー値(N)をカウントアップする。
本GNSS受信装置100は、タイマー値(N)が、車速に基づいて制御されるモニター時間Fに達したかどうかを判定する(ステップS704)。例えば、モニター時間制御部108は、タイマー値(N)が、モニター時間Fに達したかどうかを判定する。
タイマー値(N)がモニター時間Fに達したと判定された場合(ステップS704:YES)、タイマー値(N)を零にする(ステップS706)。
本GNSS受信装置100は、2つの相関器により得られる中点位相の差分を求める(ステップS708)。例えば、差分演算部110は、相関器A104により入力される中点位相と、相関器Bにより入力される中点位相との差分を求める。
本GNSS受信装置100は、ステップS708により得られる差分に基づいて、差分があるかどうか、換言すれば差分が零であるかどうかを判定する(ステップS710)。例えば、差分判定部112は、差分演算部110により入力される差分情報に基づいて、差分があるかどうかを判定する。
ステップS710により差分があると判定された場合(ステップS710:YES)、本GNSS受信装置100は、GNSS衛星により送信された電波がマルチパスの影響を受けていると判定する(ステップS712)。例えば、差分判定部112は、差分が零でないと判定した場合、マルチパスの影響を受けていると判定する。
ステップS710により差分がないと判定された場合(ステップS710:NO)、本GNSS受信装置100は、GNSS衛星により送信された電波がマルチパスの影響を受けていないと判定する(ステップS714)。例えば、差分判定部112は、差分が零であると判定した場合、マルチパスの影響を受けていないと判定する。
ステップS712、及びS714の処理が終了した場合、ステップS704によりタイマー値(N)がモニター時間Fに達したと判定されない場合(ステップS704:NO)、ステップS702に戻る。
本実施例によれば、車速に応じてモニター時間が制御されるため、必要最小限の時間で、マルチパスの影響を受けているかどうかを判定できる。当該GNSS受信装置が搭載された車両の位置を求めるには、最低4機のGNSS衛星からの電波を用いればよいので、マルチパスの影響を受けていると判定されたGNSS衛星を除外して測位を行うことにより、測位精度を向上させることができる。
<変形例>
図8は、本GNSS受信装置を示す。
本GNSS受信装置100は、図5を参照して説明したGNSS受信装置において、積分器114、及び116を有する。さらに、モニター時間制御部108は、積分器114、及び116と接続される。
相関器A104は、逆相関コードを生成する。該相関器A104は、該逆相関コードと、高周波回路102により入力されたベースバンド信号との間で、相関処理を行う。例えば、EarlyとLateと呼ばれる2つの逆相関コードを使用してもよい。相関器A104は、積分器114に、EarlyとLateとを結んだ線分の中点の位相(中点位相)を出力する。
積分器114は、相関器104と、差分演算部110と接続される。積分器114は、所定のモニター時間の間、相関器A104により入力された中点位相を積算する。積分器114は、中点位相の積算値を差分演算部110に出力する。
相関器B106は、逆相関コードを生成する。該相関器B106は、該逆相関コードと、高周波回路102により入力されたベースバンド信号との間で、相関処理を行う。例えば、EarlyとLateと呼ばれる2つの逆相関コードを使用してもよい。相関器B106は、積分器116に、EarlyとLateとを結んだ線分の中点の位相(中点位相)を出力する。
積分器116は、相関器B106と、差分演算部110と接続される。積分器116は、所定のモニター時間の間、相関器B106により入力された中点位相を積算する。積分器116は、中点位相の積算値を差分演算部110に出力する。
モニター時間制御部108は、積分器114、及び積分器116により実行される積分処理における積算時間を制御する。
モニター時間制御部108により設定される積算時間は、図6に示したものと同様である。例えば、モニター時間制御部108は、車両の速度が速いほど積算時間(F)を短い時間に設定し、車両の速度が遅いほど積算時間を長い時間に設定する。経路差(位相差)の変動周期は、車速によって変化し、車両の速度が速いほど経路差(位相差)の変動周期は短くなり、車両の速度が遅いほど経路差(位相差)の変動周期は長くなるためである。
差分演算部110は、積分器114により入力された中点位相の積算値と、積分器116により入力された中点位相の積算値との間の差分を求める。差分演算部110は、差分判定部112に、該差分の情報を入力する。
本GNSS受信装置100の動作は、図7に示したフローと同様である。
<第2の実施例>
<システム>
本実施例に従った全世界航法衛星システム(GNSS: Global Navigation Satellite System)は、第1の実施例と同様である。
<GNSS受信装置>
図9は、本実施例に従ったGNSS受信装置100を示す。
本GNSS受信装置100は、図5を参照して説明したGNSS受信装置と、差分判定部112の代わりに、差分記憶部118と、差分最大値抽出部120と、差分最大値抽出時間制御部122とを有する。
差分記憶部118は、差分演算部110と接続される。差分記憶部118は、差分演算部110により入力された差分の情報を記憶する。
差分最大値抽出部120は、差分記憶部118と接続される。差分最大値抽出部120は、所定の抽出時間毎に、差分記憶部118に記憶された差分の情報から、差分の最大値を抽出し、出力する。
差分最大値抽出時間制御部122は、差分最大値抽出部120と接続される。差分最大値抽出時間制御部122には、車速情報が入力される。差分最大値抽出時間制御部122は、車速情報に基づいて、差分最大値抽出部120により抽出される差分の最大値の抽出時間を制御する。
図10は、差分最大値抽出時間制御部122により制御される抽出時間F2の一例を示す。例えば、差分最大値抽出時間制御部122は、車両の速度が速いほど抽出時間F2を短い時間に設定し、車両の速度が遅いほど抽出時間F2を長い時間に制御する。経路差(位相差)の変動周期は、車両の速度によって変化し、車両の速度が速いほど経路差(位相差)の変動周期は短くなり、車両の速度が遅いほど経路差(位相差)の変動周期は長くなるためである。
<本GNSS受信装置の動作>
図11は、本GNSS受信装置100の動作を示すフロー図である、
本GNSS受信装置100は、タイマーをカウントアップする(ステップS1102)。例えば、モニター時間制御部108は、タイマー値(N1)をカウントアップする。
本GNSS受信装置100は、タイマー値(N1)が、車速に基づいて制御されるモニター時間F1に達したかどうかを判定する(ステップS1104)。例えば、モニター時間制御部108は、タイマー値(N1)が、モニター時間F1に達したかどうかを判定する。
タイマー値(N1)がモニター時間F1に達したと判定された場合(ステップS1104:YES)、タイマー値(N1)を零にする(ステップS1106)。
本GNSS受信装置100は、2つの相関器により得られる中点位相の差分を求める(ステップS1108)。例えば、差分演算部110は、相関器A104により入力される中点位相と、相関器Bにより入力される中点位相との差分を求める。
本GNSS受信装置100は、ステップS1108により得られる差分を保存する(ステップS1110)。例えば、差分記憶部118は、差分演算部110により入力される差分情報を保存する。
本GNSS受信装置100は、タイマーをカウントアップする(ステップS1112)。例えば、差分最大値抽出時間制御部122は、タイマー値(N2)をカウントアップする。
本GNSS受信装置100は、タイマー値(N2)が、車速に基づいて制御される抽出時間F2に達したかどうかを判定する(ステップS1114)。例えば、差分最大値抽出時間制御部122は、タイマー値(N2)が、抽出時間F2に達したかどうかを判定する。
タイマー値(N2)が抽出時間F2に達したと判定された場合(ステップS1114:YES)、タイマー値(N2)を零にする(ステップS1116)。
本GNSS受信装置100は、差分の最大値を抽出する(ステップS1118)。例えば、差分最大値抽出部120は、差分記憶部118に記憶された差分の情報から、差分の最大値を抽出し、出力する。
ステップS1118により出力された差分の最大値は、定量的なマルチパスの影響指標として利用される。
本実施例によれば、車速情報に基づいて差分の最大値の抽出時間を制御することにより、必要最小限の時間で、差分の最大値を定量的に求めることができる。当該GNSS受信装置が搭載された車両の位置を求めるには、最低4機のGNSS衛星からの電波を用いればよいので、マルチパスの影響を受けていると判定されたGNSS衛星を除外して測位を行うことにより、測位精度を向上させることができる。また、マルチパスの影響を受けていると判定されたGNSS衛星を除外する場合、測位に使用できるGNSS衛星が3機以下となる場合がある。測位に使用できるGNSS衛星が3機以下となる場合でも、定量的に求められた差分の最大値を比較し、最もマルチパスの影響が小さいGNSS衛星を測位加えることができる。最もマルチパスの影響が小さいGNSS衛星を測位加えることにより、マルチパスの影響を受けていると判定されたGNSS衛星を除外した結果、測位に使用できるGNSS衛星が3機以下となった場合でも、該3機以下のGNSS衛星により測位を行う場合よりも測位精度を向上させることができる。
<変形例>
図12は、本GNSS受信装置を示す。
本GNSS受信装置100は、図9を参照して説明したGNSS受信装置において、積分器114、及び116を有する。さらに、モニター時間制御部108は、積分器114、及び116と接続される。
相関器A104は、逆相関コードを生成する。該相関器A104は、該逆相関コードと、高周波回路102により入力されたベースバンド信号との間で、相関処理を行う。例えば、EarlyとLateと呼ばれる2つの逆相関コードを使用してもよい。相関器A104は、積分器114に、EarlyとLateとを結んだ線分の中点の位相(中点位相)を出力する。
積分器114は、相関器A104と、差分演算部110と接続される。積分器114は、所定のモニター時間の間、相関器A104により入力された中点位相を積算する。積分器114は、中点位相の積算値を差分演算部110に出力する。
相関器B106は、逆相関コードを生成する。該相関器B106は、該逆相関コードと、高周波回路102により入力されたベースバンド信号との間で、相関処理を行う。例えば、EarlyとLateと呼ばれる2つの逆相関コードを使用してもよい。相関器B106は、積分器116に、EarlyとLateとを結んだ線分の中点の位相(中点位相)を出力する。
積分器116は、相関器B106と、差分演算部110と接続される。積分器116は、所定のモニター時間の間、相関器B106により入力された中点位相を積算する。積分器116は、中点位相の積算値を差分演算部110に出力する。
モニター時間制御部108は、積分器114、及び積分器116により実行される積分処理における積算時間を制御する。
モニター時間制御部108により設定される積算時間は、図6に示したものと同様である。例えば、モニター時間制御部108は、車両の速度が速いほど積算時間(F)を短い時間に設定し、車両の速度が遅いほど積算時間を長い時間に設定する。経路差(位相差)の変動周期は、車両の速度によって変化し、車両の速度が速いほど経路差(位相差)の変動周期は短くなり、車両の速度が遅いほど経路差(位相差)の変動周期は長くなるためである。
差分演算部110は、積分器114により入力された中点位相の積算値と、積分器116により入力された中点位相の積算値との間の差分を求める。差分演算部110は、差分判定部112に、該差分の情報を入力する。
本GNSS受信装置100の動作は、図11に示したフローと同様である。
<第3の実施例>
<システム>
本実施例に従った全世界航法衛星システム(GNSS: Global Navigation Satellite System)は、第1の実施例と同様である。
<GNSS受信装置>
図13は、本実施例に従ったGNSS受信装置100を示す。
本GNSS受信装置100は、図9を参照して説明したGNSS受信装置と、差分判定部112を有する点で異なる。
差分判定部112は、差分演算部110と、差分記憶部118と接続される。差分判定部112は、差分演算部110により入力された差分の情報に基づいて、当該GNSS受信装置100により受信されたGNSS衛星からの電波がマルチパスの影響を受けているかどうかを判定する。例えば、差分判定部112は、差分の情報に基づいて、該差分がある場合にマルチパスの影響を受けていると判定する。また、差分判定部112は、差分の情報に基づいて、該差分がない場合にはマルチパスの影響を受けていないと判定する。差分判定部112は、差分演算部110により入力された差分の情報と、マルチパスの影響を受けているかどうかの判定結果とを出力する。
差分記憶部118は、差分判定部112と接続される。差分記憶部118は、差分判定部112により入力された差分の情報を記憶する。
<本GNSS受信装置の動作>
図14は、本GNSS受信装置100の動作を示すフロー図である、
本GNSS受信装置100は、タイマーをカウントアップする(ステップS1402)。例えば、モニター時間制御部108は、タイマー値(N1)をカウントアップする。
本GNSS受信装置100は、タイマー値(N1)が、車速に基づいて制御されるモニター時間F1に達したかどうかを判定する(ステップS1404)。例えば、モニター時間制御部108は、タイマー値(N1)が、モニター時間F1に達したかどうかを判定する。
タイマー値(N1)がモニター時間F1に達したと判定された場合(ステップS1404:YES)、タイマー値(N1)を零にする(ステップS1406)。タイマー値(N1)がモニター時間F1に達したと判定されない場合(ステップS1404:NO)、ステップS1402に戻る。
本GNSS受信装置100は、2つの相関器により得られる中点位相の差分を求める(ステップS1408)。例えば、差分演算部110は、相関器A104により入力される中点位相と、相関器B106により入力される中点位相との差分を求める。
本GNSS受信装置100は、ステップS1408により得られる差分を保存する(ステップS1410)。例えば、差分記憶部118は、差分判定部112により入力される差分情報を保存する。
本GNSS受信装置100は、ステップS1408により得られる差分に基づいて、差分があるかどうか、換言すれば差分が零であるかどうかを判定する(ステップS1412)。例えば、差分判定部112は、差分演算部110により入力される差分情報に基づいて、差分があるかどうかを判定する。
ステップS1412により差分があると判定された場合(ステップS1412:YES)、本GNSS受信装置100は、GNSS衛星により送信された電波がマルチパスの影響を受けていると判定する(ステップS1414)。例えば、差分判定部112は、差分が零でないと判定した場合、マルチパスの影響を受けていると判定する。
ステップS1412により差分がないと判定された場合(ステップS1412:NO)、本GNSS受信装置100は、GNSS衛星により送信された電波がマルチパスの影響を受けていないと判定する(ステップS1416)。例えば、差分判定部112は、差分が零であると判定した場合、マルチパスの影響を受けていないと判定する。マルチパスの影響を受けていないと判定された場合、ステップS1402に戻る。
ステップS1414によりマルチパスの影響を受けていると判定された場合、本GNSS受信装置100は、タイマーをカウントアップする(ステップS1418)。例えば、差分最大値抽出時間制御部122は、タイマー値(N2)をカウントアップする。
本GNSS受信装置100は、タイマー値(N2)が、車速に基づいて制御される抽出時間F2に達したかどうかを判定する(ステップS1420)。例えば、差分最大値抽出時間制御部122は、タイマー値(N2)が、抽出時間F2に達したかどうかを判定する。
タイマー値(N2)が抽出時間F2に達したと判定された場合(ステップS1420:YES)、タイマー値(N2)を零にする(ステップS1422)。タイマー値(N2)が抽出時間F2に達したと判定されない場合(ステップS1422:NO)、ステップS1402に戻る。
本GNSS受信装置100は、差分の最大値を抽出する(ステップS1424)。例えば、差分最大値抽出部120は、差分記憶部118に記憶された差分の情報から、差分の最大値を抽出し、出力する。
ステップS1424により出力された差分の最大値は、定量的なマルチパスの影響指標として利用される。
本実施例によれば、車速の情報に基づいて差分の最大値の抽出時間を制御することにより、必要最小限の時間で、差分の最大値を定量的に求めることができる。また、車速に応じてモニター時間が制御されるため、必要最小限の時間で、マルチパスの影響を受けているかどうかを判定できる。
当該GNSS受信装置が搭載された車両の位置を求めるには、最低4機のGNSS衛星からの電波を用いればよいので、マルチパスの影響を受けていると判定されたGNSS衛星を除外して測位を行うことにより、測位精度を向上させることができる。また、マルチパスの影響を受けていると判定されたGNSS衛星を除外する場合、測位に使用できるGNSS衛星が3機以下となる場合がある。測位に使用できるGNSS衛星が3機以下となる場合でも、定量的に求められた差分の最大値を比較し、最もマルチパスの影響が小さいGNSS衛星を測位加えることができる。最もマルチパスの影響が小さいGNSS衛星を測位加えることにより、マルチパスの影響を受けていると判定されたGNSS衛星を除外した結果、測位に使用できるGNSS衛星が3機以下となった場合でも、該3機以下のGNSS衛星により測位を行う場合よりも測位精度を向上させることができる。
<変形例>
図15は、本GNSS受信装置を示す。
本GNSS受信装置100は、図13を参照して説明したGNSS受信装置において、積分器114、及び116を有する。さらに、モニター時間制御部108は、積分器114、及び116と接続される。
相関器A104は、逆相関コードを生成する。該相関器A104は、該逆相関コードと、高周波回路102により入力されたベースバンド信号との間で、相関処理を行う。例えば、EarlyとLateと呼ばれる2つの逆相関コードを使用してもよい。相関器A104は、積分器114に、EarlyとLateとを結んだ線分の中点の位相(中点位相)を出力する。
積分器114は、相関器104と、差分演算部110と接続される。積分器114は、所定のモニター時間の間、相関器A104により入力された中点位相を積算する。積分器114は、中点位相の積算値を差分演算部110に出力する。
相関器B106は、逆相関コードを生成する。該相関器B106は、該逆相関コードと、高周波回路102により入力されたベースバンド信号との間で、相関処理を行う。例えば、EarlyとLateと呼ばれる2つの逆相関コードを使用してもよい。相関器B106は、積分器116に、EarlyとLateとを結んだ線分の中点の位相(中点位相)を出力する。
積分器116は、相関器B106と、差分演算部110と接続される。積分器116は、所定のモニター時間の間、相関器B106により入力された中点位相を積算する。積分器116は、中点位相の積算値を差分演算部110に出力する。
モニター時間制御部108は、積分器114、及び積分器116により実行される積分処理における積算時間を制御する。
モニター時間制御部108により設定される積算時間は、図4に示したものと同様である。例えば、モニター時間制御部108は、車両の速度が速いほど積算時間(F)を短い時間に設定し、車両の速度が遅いほど積算時間を長い時間に設定する。経路差(位相差)の変動周期は、車両の速度によって変化し、車両の速度が速いほど経路差(位相差)の変動周期は短くなり、車両の速度が遅いほど経路差(位相差)の変動周期は長くなるためである。
差分演算部110は、積分器114により入力された中点位相の積算値と、積分器116により入力された中点位相の積算値との間の差分を求める。差分演算部110は、差分判定部112に、該差分の情報を入力する。
本GNSS受信装置100の動作は、図14に示したフローと同様である。
<第4の実施例>
<システム>
本実施例に従った全世界航法衛星システム(GNSS: Global Navigation Satellite System)は、第1の実施例と同様である。
<GNSS受信装置>
本GNSS受信装置100は、図5に示される機能ブロック図により説明される。
図16は、マルチパス(反射波)を示す。
GNSS衛星からの電波がマルチパスの影響を受けている場合の経路には、GNSS衛星から反射物までの経路と、反射物からGNSS受信装置までの経路とが含まれる。反射物には、ビルなどが含まれる。
マルチパス波に含まれる経路のうち、反射物からGNSS受信装置までの経路と比較して、GNSS衛星から反射物までの経路は長い。従って、マルチパス波の経路は、主に、反射物からGNSS受信装置までの経路の影響を受けると想定される。該反射物からGNSS受信装置までの経路は、GNSS受信装置が搭載された車両の移動により影響される。
しかし、該車両が停止している場合、極低速で走行している場合には、GNSS衛星の移動の影響も無視できなくなると想定される。
そこで、本GNSS受信装置100は、車両の速度及びGNSS衛星の軌道に応じて設定される所定の時間の間、2つの相関器により得られるEarlyとLateとを結んだ線分の中点の位相を所定の時間モニターする。
本GNSS受信装置100は、図5に示される機能ブロック図において、モニター時間制御部108の機能が異なる。
図17は、本GNSS受信装置100のモニター時間制御部108を示す。
本GNSS受信装置100の有するモニター時間制御部108は、車速判定部1082と、モニター時間設定部1084とを有する。
車速判定部1082は、車両の速度が或る所定の速度K以下であるかどうかを判定する。該速度Kは、衛星軌道の影響を無視できないと判定される速度であることが好ましい。例えば、該速度Kは、衛星軌道と、当該車両と反射物との位置関係に基づいて設定される。車速判定部1082は、車両の速度と、該速度が速度K以下であるかどうかを示す情報をモニター時間設定部1084に入力する。
モニター時間設定部1084は、車速判定部1084と接続される。車速判定部1084は、車速判定部1082により入力された車速情報と、該車速が速度K以下であるかどうかを示す情報に基づいて、モニター時間を設定する。
図18は、モニター時間の設定例を示す。図18において、(1)は上述した第1の実施例−第3の実施例に従ったモニター時間の設定例を示す。(2)、(3)は本実施例に従ったモニター時間の設定例を示す。
図18(1)によれば、車速に基づいてモニター時間を設定した場合、低速の場合には、非常に長い観測時間が必要となる。そこで、本GNSS受信装置100では、車両が停止している場合、走行している場合でも低速である場合には、車両の速度よりもGNSS衛星の軌道の方がモニター時間に与える影響が大きいため、モニター時間を一定とする。例えば、図18(2)、(3)において、速度K以下の場合には、衛星軌道の影響が大きいと想定されるため、モニター時間を一定とする。図18(2)と、(3)との違いは、衛星軌道の影響の度合いを示す。(3)の場合と比較して、(2)の場合が衛星軌道の与える影響が大きい。図18(2)、(3)において、(A)の領域ではGNSS衛星の軌道の影響を受けやすいと想定され、(B)の領域ではGNSS衛星の軌道の影響を受けにくいと想定される。
<GNSS衛星軌道による影響>
図19は、マルチパスにより生じる経路差を示す。
シュードレンジ(擬似距離)の変動周期について説明する。シュードレンジは、直接波と反射波との間の位相差により変動する。経路差が搬送波の1周期分、つまり20cm変化する毎に、シュードレンジ誤差が1周期分変動する。従って、経路差の変化速度を求めることにより、シュードレンジ誤差の変動周期が分かる。
図19では、X点に受信アンテナが位置する。該X点と反射壁との間の距離をR、GNSS衛星の仰角をθとする。そうすると、経路差は、A+Bの長さにより示される。
ここで、cosθ=R/B、cos2θ=A/Bである。
従って、A+B=(R/cos2θ)(1+cos2θ)=(R/cos2θ)(1+(1-2sin2θ))=2Rcosθ (A)
経路差は、2Rcosθにより示される。
<車両が停止している場合の誤差変動周期>
最初に、車両が停車している場合の誤差変動周期を求める。
車両が停車している場合には、車両の位置は変化しないため、Rは変化しない。車両が停車している場合には、GNSS衛星の移動により衛星の仰角θが変化する。式(A)によれば、高仰角の衛星ほど経路差の影響が大きくなる。しかし、高仰角の衛星によりマルチパスを発生されるには、高い反射壁が必要となる。従って、実際には、高仰角の衛星からはマルチパスはあまり発生しない。
図20は、経路差とシュードレンジ誤差との関係を示す。
図20によれば、ナローコリレータによる誤差量が0.17chipの場合に最大となるのが分かる。
実際にマルチパスを発生させる衛星の仰角として30°を仮定する。反射壁と車両との間の距離Rをナローコリレータによる誤差量が最大となる50m(=0.17chip)とする。経路差が20cm変化するために必要な仰角の変化量をΔθとすると式(A)により、Δθが求められる。
0.2=2Rcos30°-2Rcos(30°+Δθ)
Δθ=0.066°
図21は、衛星軌道のスカイプロットを示す。
単位時間あたりの衛星仰角の変化量は、衛星軌道により異なる。図21のA点のように目標仰角(30°)付近を垂直に移動するときに最大となる。衛星仰角の変化量が最大となる場合には、1時間あたり30°程度となる。また、B点のように目標仰角付近を水平に移動するときに最小となる。衛星仰角の変化量が最小となる場合には、1時間あたり3°程度となる。
以上より、仰角が0.066°変化するのに要する時間t1はt1=8sec-80secとなる。該時間t1が停車している場合のシュードレンジ誤差の変動周期となる。例えば、都市部を走行している場合には、ある衛星のシュードレンジ誤差の停車時の変動周期は約30secとなる。
<車両が移動している場合の誤差変動周期>
次に、車両が移動している場合の誤差変動周期を求める。
車両が移動している場合には、車両の位置が変化するため、Rが変化する。車両が移動している場合には、GNSS衛星の移動により衛星の仰角θも変化する。
実際にマルチパスを発生させる衛星の仰角として30°を仮定する。反射壁に対する車両の移動速度を時速60kmとする。式(A)において、単位時間あたりのRの変化量をΔRとすると、ΔR=17m/sとなる。従って、経路差が20cm変化するのに要する時間t2は、t2=6msecとなる。時間t2は車速の低下に従って長くなる。
以上より、シュードレンジ誤差の変動周期tは、停車−時速60kmでは、t=6msec-80secとなる。
従って、車両の速度が速度K以下の場合には、モニター時間を80sec程度の値とするのが好ましい。また。速度Kはモニター時間が80secとなる速度に設定されるのが好ましい。
<本GNSS受信装置の動作>
図22は、本GNSS受信装置100の動作を示すフロー図である。
本GNSS受信装置100は、本GNSS受信装置100の搭載された車両の速度が速度Kを超えるかどうかを判定する(ステップS2202)。例えば、速度判定部1082は、車速情報が予め設定された速度Kを超えるかどうかを判定する。
車両の速度が速度Kを超えると判定された場合(ステップS2202:YES)、本GNSS受信装置100は、タイマーをカウントアップする(ステップS2204)。例えば、モニター時間制御部108は、タイマー値(N)をカウントアップする。
本GNSS受信装置100は、タイマー値(N)が、車速に基づいて制御されるモニター時間Fに達したかどうかを判定する(ステップS2206)。例えば、モニター時間制御部108は、タイマー値(N)が、モニター時間Fに達したかどうかを判定する。
タイマー値(N)がモニター時間Fに達したと判定された場合(ステップS2206:YES)、タイマー値(N)を零にする(ステップS2208)。
本GNSS受信装置100は、2つの相関器により得られる中点位相の差分を求める(ステップS2210)。例えば、差分演算部110は、相関器A104により入力される中点位相と、相関器Bにより入力される中点位相との差分を求める。
本GNSS受信装置100は、ステップS2210により得られる差分に基づいて、差分があるかどうか、換言すれば差分が零であるかどうかを判定する(ステップS2212)。例えば、差分判定部112は、差分演算部110により入力される差分情報に基づいて、差分があるかどうかを判定する。
ステップS2212により差分があると判定された場合(ステップS2212:YES)、本GNSS受信装置100は、GNSS衛星により送信された電波がマルチパスの影響を受けていると判定する(ステップS2214)。例えば、差分判定部112は、差分が零でないと判定した場合、マルチパスの影響を受けていると判定する。
ステップS2212により差分がないと判定された場合(ステップS2212:NO)、本GNSS受信装置100は、GNSS衛星により送信された電波がマルチパスの影響を受けていないと判定する(ステップS2216)。例えば、差分判定部112は、差分が零であると判定した場合、マルチパスの影響を受けていないと判定する。
車両の速度が速度Kを超えると判定されない場合(ステップS2202:NO)、本GNSS受信装置100は、タイマーをカウントアップする(ステップS2218)。例えば、モニター時間制御部108は、タイマー値(M)をカウントアップする。
本GNSS受信装置100は、タイマー値(M)が、車速及び衛星軌道に基づいて制御されるモニター時間Fに達したかどうかを判定する(ステップS2220)。例えば、モニター時間制御部108は、タイマー値(M)が、モニター時間Fに達したかどうかを判定する。
タイマー値(M)がモニター時間Fに達したと判定された場合(ステップS2220:YES)、タイマー値(M)を零にする(ステップS2222)。
本GNSS受信装置100は、2つの相関器により得られる中点位相の差分を求める(ステップS2224)。例えば、差分演算部110は、相関器A104により入力される中点位相と、相関器Bにより入力される中点位相との差分を求める。
本GNSS受信装置100は、ステップS2224により得られる差分に基づいて、差分があるかどうか、換言すれば差分が零であるかどうかを判定する(ステップS2226)。例えば、差分判定部112は、差分演算部110により入力される差分情報に基づいて、差分があるかどうかを判定する。
ステップS2226により差分があると判定された場合(ステップS2226:YES)、本GNSS受信装置100は、GNSS衛星により送信された電波がマルチパスの影響を受けていると判定する(ステップS2228)。例えば、差分判定部112は、差分が零でないと判定した場合、マルチパスの影響を受けていると判定する。
ステップS2212により差分がないと判定された場合(ステップS2226:NO)、本GNSS受信装置100は、GNSS衛星により送信された電波がマルチパスの影響を受けていないと判定する(ステップS2230)。例えば、差分判定部112は、差分が零であると判定した場合、マルチパスの影響を受けていないと判定する。
ステップS2214、S2216、S2228、及びS2230の処理が終了した場合ステップS2202に戻る。
本実施例によれば、車速及び衛星軌道に応じてモニター時間が制御されるため、必要最小限の時間で、マルチパスの影響を受けているかどうかを判定できる。車両が停止している場合や、低速で移動している場合でも、モニター時間が必要以上に長くならないためである。当該GNSS受信装置が搭載された車両の位置を求めるには、最低4機のGNSS衛星からの電波を用いればよいので、マルチパスの影響を受けていると判定されたGNSS衛星を除外して測位を行うことにより、測位精度を向上させることができる。
<変形例>
本GNSS受信装置は、図8に示されるGNSS受信装置により説明される。
本GNSS受信装置100は、図5を参照して説明したGNSS受信装置において、積分器114、及び116を有する。さらに、モニター時間制御部108は、積分器114、及び116と接続される。
相関器A104は、逆相関コードを生成する。該相関器A104は、該逆相関コードと、高周波回路102により入力されたベースバンド信号との間で、相関処理を行う。例えば、EarlyとLateと呼ばれる2つの逆相関コードを使用してもよい。相関器A104は、積分器114に、EarlyとLateとを結んだ線分中点の位相(中点位相)を出力する。
積分器114は、相関器104と、差分演算部110と接続される。積分器114は、所定のモニター時間の間、相関器A104により入力された中点位相を積算する。積分器114は、中点位相の積算値を差分演算部110に出力する。
相関器B106は、逆相関コードを生成する。該相関器B106は、該逆相関コードと、高周波回路102により入力されたベースバンド信号との間で、相関処理を行う。例えば、EarlyとLateと呼ばれる2つの逆相関コードを使用してもよい。相関器B106は、積分器116に、EarlyとLateとを結んだ線分の中点の位相(中点位相)を出力する。
積分器116は、相関器B106と、差分演算部110と接続される。積分器116は、所定のモニター時間の間、相関器B106により入力された中点位相を積算する。積分器116は、中点位相の積算値を差分演算部110に出力する。
モニター時間制御部108は、積分器114、及び積分器116により実行される積分処理における積算時間を制御する。
モニター時間制御部108により設定される積算時間は、図18(2)、(3)に示したものと同様である。例えば、モニター時間制御部108は、車両の速度が速いほど積算時間(F)を短い時間に設定し、車両の速度が遅いほど積算時間を長い時間に設定する。しかし、車両の速度が速度Kより遅い場合には、一定値に制御される。
差分演算部110は、積分器114により入力された中点位相の積算値と、積分器116により入力された中点位相の積算値との間の差分を求める。差分演算部110は、差分判定部112に、該差分の情報を入力する。
本GNSS受信装置100の動作は、図22に示したフローと同様である。
なお、上述した第2及び第3の実施例に本実施例に係るモニター時間制御部を適用してもよい。本実施例に係るモニター時間制御部を適用することにより、必要最小限の時間で、マルチパスの有無を判定でき、差分値の最大値を得ることができる。
以上、本発明は特定の実施例を参照しながら説明されてきたが、各実施例は単なる例示に過ぎず、当業者は様々な変形例、修正例、代替例、置換例等を理解するであろう。説明の便宜上、本発明の実施例に従った装置は機能的なブロック図を用いて説明されたが、そのような装置はハードウエアで、ソフトウエアで又はそれらの組み合わせで実現されてもよい。本発明は上記実施例に限定されず、本発明の精神から逸脱することなく、様々な変形例、修正例、代替例、置換例等が包含される。