JP2009249681A - 過熱水蒸気による電着水洗方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】電着水洗において、被塗物である自動車ボディ等の構造体の内外板(パネル)の隙間・内部に残った電着液が、その後の焼付けで2次タレするのを防止することのできる水洗方法を提供する。
【解決手段】電着塗膜形成後の被塗物の電着水洗において、過熱水蒸気を用いて水洗することを特徴とする電着水洗方法により達成することができる。
【選択図】図1
【解決手段】電着塗膜形成後の被塗物の電着水洗において、過熱水蒸気を用いて水洗することを特徴とする電着水洗方法により達成することができる。
【選択図】図1
Description
本発明は、被塗物、特に自動車ボディ等の構造体の塗装ラインの電着工程において、電着槽で電着塗装(電着塗膜形成)後の被塗物の内外板の表面(特に構造体内部)に残った電着液の水洗、更には水切り・プレヒート処理を行う(電着水洗という)方法に関する。
一般的な自動車等の被塗物の塗装ラインの構成は、前処理→電着→中塗→上塗の順になっている。このうち、防錆を主目的としている電着工程は、ディップ槽(電着槽)による電着→水洗(ディップ+シャワーを数回)→水切り+プレヒート→オーブン焼付の構成になっている。
防錆の為に行っている電着塗装は、その目的の為、被塗物である自動車ボディ等の構造体内部の内板まで電着(通電してボディ内外板の表面に電着塗料による電着塗膜の析出・形成)を行渡らせる様にディップ式を採用している。この為、熱風循環式のオーブンで焼付けを行うまでに自動車ボディ等の構造体の内外板の表面(特に構造体内部)に残った電着液(電着塗料)を槽やシャワーで洗い流し、更にその洗浄水が十分抜けきるまでの水切り、プレヒート工程が必要となっている(例えば、非特許文献1参照のこと)。
自動車工学全書第19巻自動車の製造(昭和55年4月20日 株式会社山海堂発行)の第195〜196頁の項目8.2.2「下塗り」
自動車工学全書第19巻自動車の製造(昭和55年4月20日 株式会社山海堂発行)の第195〜196頁の項目8.2.2「下塗り」
しかしながら、非特許文献1に記載の方法では、洗浄、水切りが不十分な場合、被塗物である自動車ボディ等の構造体の内外板(パネル)の隙間・内部に残った電着液がオーブン内で外板表面に流れ出す“2次タレ”という品質不具合が発生するという問題があった。
そこで本発明の目的は、電着水洗において、被塗物である自動車ボディ等の構造体の内外板(パネル)の隙間・内部に残った電着液が、その後の焼付けで2次タレするのを防止することのできる水洗方法を提供することである。
上記目的を達成するための本発明は、電着塗膜形成後の被塗物の電着水洗において、過熱水蒸気を用いて水洗することを特徴とする電着水洗方法である。
本発明によれば、被塗物、例えば自動車等の塗装ラインの電着工程、特に電着液の水洗から焼付けまでの工程手順を短縮し、固有不具合である2次タレを減少させることができる。
本発明の電着水洗方法は、電着水洗において、過熱水蒸気を用いて水洗することを特徴とするものである。本発明では、過熱水蒸気を用いて水洗することで、電着液を洗い流す水洗処理に加えて、更に水切り・プレヒート処理までも行うことが可能である。そのため水洗後に行っていた水切り、プレヒート処理を行う必要がなく、こうした処理工数(工程手順)を短縮することができる。また、過熱水蒸気に純水を用いることで、純水でのシャワー水洗も行う必要がなく、更なる工程の短縮が可能である。さらに、過熱水蒸気は水洗用の水(液体)と異なり気体(ガス)であるため、水洗水では物理的に入り込むのが難しい内外板パネルの隙間や内部にも素早く且つ十分に行き届かせることができる。その為、2次タレ不具合の原因であった隙間や内部の電着液を残らないように洗い流すこともできるし、こうした電着液を硬化させてタレないようにすることもできるのである。
以下、添付した図面を参照して本発明を適用した最良の実施形態を説明する。
図1は、本発明に係る電着水洗方法の代表的な一実施形態として、被塗物に自動車ボディを用いてなる、自動車塗装ラインの電着工程での電着からオーブン焼付けまでの工程手順の概要を模式的に表した工程概略図である。図2は、既存の一般的な自動車塗装ラインの電着工程での電着からオーブン焼付けまでの工程手順の概要を模式的に表した工程概略図である。
まず、既存の一般的な自動車塗装ラインの電着工程での電着からオーブン焼付けまでの工程手順の概要は、図2に示すように、ディップ槽(電着槽)による電着→水洗(ディップ+シャワーを数回)→水切り+プレヒート→オーブン焼付の構成になっている。詳しくは、自動車ボディ等の構造体の内外板の表面(特に構造体内部)に残った電着液(電着塗料)を槽やシャワーで数回づつ洗い流し、更にその洗浄水が十分抜けきるまでの水切り、電着塗膜の急激な昇温を避け、適当な温度に予熱(乾燥)するためのオーブン入り口でのプレヒートが行われている。その後、熱風循環式等のオーブン内で焼付を行い、電着塗装塗膜を得ている。しかしながら、こうした既存の方法では、上記したように洗浄、水切りが不十分な場合、自動車ボディ構造体の内外板パネルの隙間・内部に残った電着液がオーブン内で外板表面に流れ出す“2次タレ”という品質不具合が発生する問題があった。
かかる2次タレ不具合の原因については、以下の通りである。(1)内外板パネルの隙間、内部に水洗水が行き届かない為、濃度の高い電着液が残る。(2)残った電着液または、水洗により薄まった電着液がオーブン入り口のプレヒートゾーンにて加熱膨張して外部に染み出す。(3)水洗水(薄まった電着液)が水切りゾーン中に抜けきれず、オーブンゾーンで染み出す。
上記(1)の原因については、水洗ノズルで電着液が残りやすい構造体の特定部位を狙い打つ方式が有効といえるが、物理的に入り込むのが難しい箇所が存在する。上記(1)の原因を解決する為に、水洗水量を増やすと上記(3)の原因を作ることになる。上記(2)の原因も上記(1)の原因と関連しており、オーブンの設定上回避できない。即ち、オーブンの設定上、オーブン入り口のプレヒートゾーンで加熱膨張して外部に染み出したものはこの時点では水洗できないので除去できないため、2次タレ不具合となる。
以上のように、これらの複合的要因を総合的に解決しなければ、2次タレ不具合の件数としては減少しないことがわかった。
そこで、一般的な自動車塗装ラインの電着工程で用いられているディップ+シャワー(+ノズル狙い打ち方式)を数回用いた水洗、水切り、プレヒートという既存の洗浄技術に囚われることなく鋭意研究を重ねた結果、本発明を見出したものである。
即ち、本発明に係る電着水洗方法の代表的な一実施形態の工程手順の概要は、図1に示すように、ディップ槽(電着槽)による電着→[水洗(ディップ+シャワー)→水洗(高温水/100℃水蒸気)]→水洗(過熱水蒸気)→オーブン焼付の構成とするものである。以下、これらの工程順に詳しく説明する。
(a)電着準備工程
詳しくは、本発明でも、化成処理等の前処理を行なった自動車ボディは、まず必要に応じ、ボディ表面に付着しているゴミ、水滴、汚れのエアブローまたは溶剤拭きによる除去、研ぎによる錆の除去、通電の確保のための電極クリップ装着といった電着準備を行なう。かかる工程については、従来の水洗方法と同様である。
詳しくは、本発明でも、化成処理等の前処理を行なった自動車ボディは、まず必要に応じ、ボディ表面に付着しているゴミ、水滴、汚れのエアブローまたは溶剤拭きによる除去、研ぎによる錆の除去、通電の確保のための電極クリップ装着といった電着準備を行なう。かかる工程については、従来の水洗方法と同様である。
(b)電着塗膜形成工程
次いで、自動車ボディをディップ槽(電着槽)へと浸漬し、通電してボディ内外板の表面に電着塗料の塗膜を析出・形成させ、所定時間経過後に自動車ボディを電着槽より引上げる。
次いで、自動車ボディをディップ槽(電着槽)へと浸漬し、通電してボディ内外板の表面に電着塗料の塗膜を析出・形成させ、所定時間経過後に自動車ボディを電着槽より引上げる。
(c)ディップ槽+シャワーによる水洗工程
その後、熱風循環式等のオーブンで焼付けを行うまでの電着水洗として、まずは、自動車ボディ構造体の内外板の表面(特に構造体内部)に残った電着液(電着塗料)を、ディップ槽およびシャワーでそれぞれ1回ないし数回づつ洗い流すのが好ましい。かかるディップ槽+シャワーによる水洗工程を行うことで、ディップ槽+シャワーによる水洗工程を行うことで、自動車ボディ構造体の内外板の表面に残った電着液を簡単かつ既存の塗装ラインを有効活用して安価に洗浄できる。そのため、あとの過熱水蒸気を用いた水洗での消費電力などの使用が少なくてすみ、経済的である。詳しくは、自動車ボディ等の構造体の内外板(パネル)の隙間や内部以外の洗浄しやすい箇所は、既存の塗装ライン設備を利用して、安価かつ効率よく水洗により洗い流すのが望ましい。一方、こうした既存の水洗方法では構造体の内外板(パネル)の隙間や内部に残る電着液は十分に洗い流すことができない為、こうした箇所の電着液に対しては、本発明に係る過熱水蒸気を用いて水洗するのが、経済的にも優れる。これは、短時間とはいえ、自動車ボディ構造体に行き渡るだけの過熱水蒸気を発生・供給し続けるには、ディップ槽内で水を循環させたり、シャワーで水を吹付けるのに比べて、非常に大きなエネルギーを要する。そのため、自動車ボディ構造体全体の電着液を洗い流すのに、こうした過熱水蒸気を使うのは、本工程(c)と組み合わせる場合に比して、消費電力量が大きくなり、生産コストが高くなるためである。
その後、熱風循環式等のオーブンで焼付けを行うまでの電着水洗として、まずは、自動車ボディ構造体の内外板の表面(特に構造体内部)に残った電着液(電着塗料)を、ディップ槽およびシャワーでそれぞれ1回ないし数回づつ洗い流すのが好ましい。かかるディップ槽+シャワーによる水洗工程を行うことで、ディップ槽+シャワーによる水洗工程を行うことで、自動車ボディ構造体の内外板の表面に残った電着液を簡単かつ既存の塗装ラインを有効活用して安価に洗浄できる。そのため、あとの過熱水蒸気を用いた水洗での消費電力などの使用が少なくてすみ、経済的である。詳しくは、自動車ボディ等の構造体の内外板(パネル)の隙間や内部以外の洗浄しやすい箇所は、既存の塗装ライン設備を利用して、安価かつ効率よく水洗により洗い流すのが望ましい。一方、こうした既存の水洗方法では構造体の内外板(パネル)の隙間や内部に残る電着液は十分に洗い流すことができない為、こうした箇所の電着液に対しては、本発明に係る過熱水蒸気を用いて水洗するのが、経済的にも優れる。これは、短時間とはいえ、自動車ボディ構造体に行き渡るだけの過熱水蒸気を発生・供給し続けるには、ディップ槽内で水を循環させたり、シャワーで水を吹付けるのに比べて、非常に大きなエネルギーを要する。そのため、自動車ボディ構造体全体の電着液を洗い流すのに、こうした過熱水蒸気を使うのは、本工程(c)と組み合わせる場合に比して、消費電力量が大きくなり、生産コストが高くなるためである。
なお、当該工程は任意であり、必要に応じて実施すればよい。図1では、当該工程を行う実施形態を表している。
本工程の水洗方法は、従来の水洗方法と同様である。但し、従来の水洗方法では、図2に示すように、電着塗料瀘液、工業用水、純水等を用いたディップ槽およびシャワーでそれぞれ複数回の水洗処理を行うが、本発明では、過熱水蒸気を用いた水洗により、純水によるシャワー水洗と同様の効果が得られる。そのため、本発明では、図1に示すように、当該工程の最後に、純水によるシャワー水洗領域(処理工程)を設けなくてもよい。同様に、電着塗料瀘液、工業用水等を用いたディップ槽およびシャワーでの水洗回数に関しても、図2に示す従来の水洗方法と同様に(同数)行っても良いし、従来の水洗方法よりも少なくすることも可能である。過熱水蒸気を用いた水洗により、こうしたディップ+シャワー水洗処理と同様の洗浄効果を得ることもできるためである。
(d)高温水/水蒸気による水洗工程
次に高温水および/または100℃水蒸気を用いて水洗するのが好ましい。但し、当該工程も任意である。図1では、当該工程を行う実施形態を表している。本工程(d)により、過熱水蒸気を用いた水洗領域の温度域まで、段階的に緩やかに昇温していった方が、隙間・内部に残る電着液(塗料)の洗浄効果を増すことができる。また本工程(d)は、被塗物表面の塗膜の急激な温度上昇を避けるための予熱を兼ねた水洗処理である。これは、上記(b)または(c)工程後、直ちに(e)工程を行うと被塗物表面の塗膜が急激な温度上昇に晒される為、塗膜のひび割れや被塗物と塗膜の界面隔離などのダメージを受けやすくなる。そのため、こうした急激な温度上昇を避け、段階的に温度を上げていくために行うものである。従って、(e)工程を多段階で行うような場合であって、当該(e)工程の最初段階(領域)の過熱水蒸気温度を、塗膜ダメージに生じない100℃近辺の比較的低い温度にする場合には、本工程(d)を省略することもできる。具体的には当該(e)工程の最初段階(領域)の過熱水蒸気温度を、100℃超〜120℃程度、好ましくは100℃超〜110℃程度にする場合には、本工程(d)を省略することもできる。
次に高温水および/または100℃水蒸気を用いて水洗するのが好ましい。但し、当該工程も任意である。図1では、当該工程を行う実施形態を表している。本工程(d)により、過熱水蒸気を用いた水洗領域の温度域まで、段階的に緩やかに昇温していった方が、隙間・内部に残る電着液(塗料)の洗浄効果を増すことができる。また本工程(d)は、被塗物表面の塗膜の急激な温度上昇を避けるための予熱を兼ねた水洗処理である。これは、上記(b)または(c)工程後、直ちに(e)工程を行うと被塗物表面の塗膜が急激な温度上昇に晒される為、塗膜のひび割れや被塗物と塗膜の界面隔離などのダメージを受けやすくなる。そのため、こうした急激な温度上昇を避け、段階的に温度を上げていくために行うものである。従って、(e)工程を多段階で行うような場合であって、当該(e)工程の最初段階(領域)の過熱水蒸気温度を、塗膜ダメージに生じない100℃近辺の比較的低い温度にする場合には、本工程(d)を省略することもできる。具体的には当該(e)工程の最初段階(領域)の過熱水蒸気温度を、100℃超〜120℃程度、好ましくは100℃超〜110℃程度にする場合には、本工程(d)を省略することもできる。
また、上記高温水の温度としては、上記目的を達成することができるものであればよく、概ね50℃以上100℃未満であればよいが、好ましくは80℃以上100℃未満である。
また、本工程(d)で用いる高温水や水蒸気にも、純水を用いるのが好ましい。
また、本工程(d)で用いる高温水による水洗は、ディップ(槽)方式、シャワー方式のいずれでも利用可能であり、100℃水蒸気による水洗は、シャワー方式が利用可能である。
(e)過熱水蒸気による水洗工程
次に、本発明では、過熱水蒸気を用いて水洗するものである。特に、本工程(e)では、上記したように、過熱水蒸気を用いて水洗することで、電着液を洗い流す水洗処理に加えて、更に水切り・プレヒート処理までも行うのが好ましい。
次に、本発明では、過熱水蒸気を用いて水洗するものである。特に、本工程(e)では、上記したように、過熱水蒸気を用いて水洗することで、電着液を洗い流す水洗処理に加えて、更に水切り・プレヒート処理までも行うのが好ましい。
そのためには、水洗時に過熱水蒸気温度域の異なる領域(ゾーン)を、好ましくは徐々に高くなるように多段階配置するのが有効である。即ち、塗装ラインの進行方向に沿って、過熱水蒸気温度域の低い水洗領域から該温度域の高い水洗領域を多段階に配置するのが望ましい。これにより、過熱水蒸気を用いて水洗、水切り・プレヒート処理を行うことができ、水切り・プレヒート処理を行う領域(工程)を設ける必要がなく、水洗から焼付けまでの工程手順(処理工数、処理時間、処理領域の全て)を短縮できる点で優れている。
とりわけ、図1に示すように、過熱水蒸気温度域を変えた水洗領域を多段階に配置する際に、少なくとも、
(i)水蒸気が凝集して水に相変化(して洗浄)する過熱水蒸気温度域の水洗領域と、
(ii)さらに凝集熱を与えて余分な水分を蒸発および/または電着液を硬化させる過熱水蒸気温度域の水洗領域と、を配置するのが特に有効である。
(i)水蒸気が凝集して水に相変化(して洗浄)する過熱水蒸気温度域の水洗領域と、
(ii)さらに凝集熱を与えて余分な水分を蒸発および/または電着液を硬化させる過熱水蒸気温度域の水洗領域と、を配置するのが特に有効である。
これにより、上記(i)の水洗領域では、被塗物である自動車ボディ等の構造体の内外板パネル表面(隙間・内部を含む)に過熱水蒸気が付着した際に、該水蒸気が凝集して水に相変化することで、パネル表面に残った電着液を洗い流す(洗浄する)ことができる。一方、上記(ii)の水洗領域では、より高温の過熱水蒸気を用いることで、該水蒸気がさらに凝集熱を与えてパネル表面(隙間・内部を含む)の余分な水分を蒸発させることができる。これにより、水切りと同等の効果が得られる。また該水蒸気がさらに凝集熱を与えてパネル表面の隙間・内部に残る電着液を硬化(塗膜化)させることもできる。この際に与えられた凝集熱により被塗物全体も加熱される。これにより、プレヒート処理と同等の効果が得られるものである。
(i)の水洗領域の過熱水蒸気温度
上記(i)の水洗領域での過熱水蒸気温度域としては、上記(i)作用効果を有効に発揮し得る温度範囲であればよく、過熱水蒸気が気体の状態(100℃超)であって、電着液(電着塗膜)が電着硬化反応しない温度(硬化温度未満)であればよい。よって、電着塗料の種類によって異なるが、例えば、170℃で電着硬化反応が生じる塗料を用いる場合には、かかる過熱水蒸気温度は、100℃超〜170℃未満であればよいが、過熱水蒸気による厳密な温度管理を行う必要がないことから、好ましくは110〜160℃、より好ましくは110℃〜150℃、特に好ましくは130〜150℃の範囲程度が望ましいといえる。110℃以上であれば該水蒸気が凝集して水に相変化することで、パネル表面に残った電着液を洗い流す(洗浄する)ことができる。一方、160℃以下であれば、塗膜が破壊される(例えば、塗膜焼け等を起こす)ことなく、隙間・内部に残る電着液を硬化させることなく、相変化後の凝集水で洗い流すことができるものいついては十分に洗い流す(洗浄する)ことができる。但し、これらの温度範囲に何ら制限されるものではなく、上記作用効果を有効に発揮し得る温度域であれば、上記範囲を外れていてもよい。
上記(i)の水洗領域での過熱水蒸気温度域としては、上記(i)作用効果を有効に発揮し得る温度範囲であればよく、過熱水蒸気が気体の状態(100℃超)であって、電着液(電着塗膜)が電着硬化反応しない温度(硬化温度未満)であればよい。よって、電着塗料の種類によって異なるが、例えば、170℃で電着硬化反応が生じる塗料を用いる場合には、かかる過熱水蒸気温度は、100℃超〜170℃未満であればよいが、過熱水蒸気による厳密な温度管理を行う必要がないことから、好ましくは110〜160℃、より好ましくは110℃〜150℃、特に好ましくは130〜150℃の範囲程度が望ましいといえる。110℃以上であれば該水蒸気が凝集して水に相変化することで、パネル表面に残った電着液を洗い流す(洗浄する)ことができる。一方、160℃以下であれば、塗膜が破壊される(例えば、塗膜焼け等を起こす)ことなく、隙間・内部に残る電着液を硬化させることなく、相変化後の凝集水で洗い流すことができるものいついては十分に洗い流す(洗浄する)ことができる。但し、これらの温度範囲に何ら制限されるものではなく、上記作用効果を有効に発揮し得る温度域であれば、上記範囲を外れていてもよい。
(i)の水洗領域の水洗時間
また、上記(i)の水洗領域での水洗時間は、上記(i)の作用効果を有効に発揮し得るだけの時間があればよく、特に制限されるものではない。170℃で電着硬化反応が生じる塗料を用いる場合には、0.5分以上、好ましくは1分以上であればよい。0.5分以上であれば該水蒸気が凝集して水に相変化することで、パネル表面に残った電着液を洗い流す(洗浄する)ことができる。一方、生産コスト等の観点から2分以下であれば十分である。この時点で隙間・内部に残る電着液のうち、相変化後の凝集水で洗い流すことができるものいついては十分に洗い流す(洗浄する)ことはできており、更なる洗浄を続けても更なる効果の向上が期待できないためである。但し、これらの範囲に何ら制限されるものではなく、上記作用効果を有効に発揮し得るものであれば、上記範囲を外れていてもよい。
また、上記(i)の水洗領域での水洗時間は、上記(i)の作用効果を有効に発揮し得るだけの時間があればよく、特に制限されるものではない。170℃で電着硬化反応が生じる塗料を用いる場合には、0.5分以上、好ましくは1分以上であればよい。0.5分以上であれば該水蒸気が凝集して水に相変化することで、パネル表面に残った電着液を洗い流す(洗浄する)ことができる。一方、生産コスト等の観点から2分以下であれば十分である。この時点で隙間・内部に残る電着液のうち、相変化後の凝集水で洗い流すことができるものいついては十分に洗い流す(洗浄する)ことはできており、更なる洗浄を続けても更なる効果の向上が期待できないためである。但し、これらの範囲に何ら制限されるものではなく、上記作用効果を有効に発揮し得るものであれば、上記範囲を外れていてもよい。
(ii)の水洗領域の過熱水蒸気温度
上記(ii)の水洗領域での過熱水蒸気温度域としては、上記(ii)の作用効果を有効に発揮し得る温度範囲であればよく、電着液(電着塗膜)の硬化温度より高い温度〜硬化した塗膜が破壊される(例えば、塗膜焼け等が起こる)温度より低い温度であればよい。よって、電着塗料の種類によって異なるが、例えば、170℃で電着硬化反応が生じる塗料を用いる場合には、かかる過熱水蒸気温度は、170℃〜230℃であればよい。過熱水蒸気による厳密な温度管理を行う必要がないことから、180〜220℃が好ましく、より好ましくは190〜210℃の範囲程度である。170℃以上であれば隙間・内部に残る電着液の硬化、余分な水分の蒸発(排出)が達成できる。一方、230℃以下であれば、塗膜が破壊される(例えば、塗膜焼け等を起こす)ことなく、隙間・内部に残る電着液の硬化、余分な水分の蒸発(排出)を達成することができる。但し、これらの温度範囲に何ら制限されるものではなく、上記作用効果を有効に発揮し得る温度域であれば、上記範囲を外れていてもよい。
上記(ii)の水洗領域での過熱水蒸気温度域としては、上記(ii)の作用効果を有効に発揮し得る温度範囲であればよく、電着液(電着塗膜)の硬化温度より高い温度〜硬化した塗膜が破壊される(例えば、塗膜焼け等が起こる)温度より低い温度であればよい。よって、電着塗料の種類によって異なるが、例えば、170℃で電着硬化反応が生じる塗料を用いる場合には、かかる過熱水蒸気温度は、170℃〜230℃であればよい。過熱水蒸気による厳密な温度管理を行う必要がないことから、180〜220℃が好ましく、より好ましくは190〜210℃の範囲程度である。170℃以上であれば隙間・内部に残る電着液の硬化、余分な水分の蒸発(排出)が達成できる。一方、230℃以下であれば、塗膜が破壊される(例えば、塗膜焼け等を起こす)ことなく、隙間・内部に残る電着液の硬化、余分な水分の蒸発(排出)を達成することができる。但し、これらの温度範囲に何ら制限されるものではなく、上記作用効果を有効に発揮し得る温度域であれば、上記範囲を外れていてもよい。
(ii)の水洗領域の水洗時間
上記(ii)の水洗領域での水洗時間は、上記(ii)の作用効果を有効に発揮し得るだけの時間があればよく、特に制限されるものではない。170℃で電着硬化反応が生じる塗料を用いる場合には、0.5分以上、好ましくは1分以上であればよい。0.5分以上であれば隙間・内部に残る電着液の硬化、余分な水分の蒸発(排出)が達成できる。一方、生産コスト等の観点から5分以下であれば十分であるが、好ましくは2分以下程度が好ましい。この時点で隙間・内部に残る電着液の硬化、余分な水分の蒸発(排出)は十分に達成されており、更なる洗浄を続けても更なる効果の向上が得られないためである。但し、これらの範囲に何ら制限されるものではなく、上記作用効果を有効に発揮し得るものであれば、上記範囲を外れていてもよい。
上記(ii)の水洗領域での水洗時間は、上記(ii)の作用効果を有効に発揮し得るだけの時間があればよく、特に制限されるものではない。170℃で電着硬化反応が生じる塗料を用いる場合には、0.5分以上、好ましくは1分以上であればよい。0.5分以上であれば隙間・内部に残る電着液の硬化、余分な水分の蒸発(排出)が達成できる。一方、生産コスト等の観点から5分以下であれば十分であるが、好ましくは2分以下程度が好ましい。この時点で隙間・内部に残る電着液の硬化、余分な水分の蒸発(排出)は十分に達成されており、更なる洗浄を続けても更なる効果の向上が得られないためである。但し、これらの範囲に何ら制限されるものではなく、上記作用効果を有効に発揮し得るものであれば、上記範囲を外れていてもよい。
本工程(e)での過熱水蒸気を用いて水洗する際の該過熱水蒸気の噴出方向、吹き出し口の大きさ(噴出圧力)や数、過熱水蒸気の噴出ノズル(吹き出し口)と被塗物の距離などは、上記(i)(ii)のいずれも、特に制限されるものではない。すなわち、被塗物である自動車ボディ等の構造体全体が過熱水蒸気に晒される(過熱水蒸気雰囲気内におかれる)ようにすればよい。例えば、上記(i)(ii)の各水洗領域を適当な閉空間とし、この内部に過熱水蒸気が充満されていれば、この中に被塗物をおくことで、該被塗物構造体の内外板パネルの表面、特に隙間や内部にも素早く且つ十分に行き届かせることができるためである。過熱水蒸気が適当な閉空間内部に常に充満された状態とするには、例えば、該閉空間の一部(上部、側部等)から過熱水蒸気を連続的ないし断続的に供給し、該閉空間の下部から過熱水蒸気、更には凝集水を連続的ないし断続的に排出する方法などが挙げられる。但し、これらの方法に何ら制限されるものではなく、上記作用効果(目的)を有効に達成し得るものであれば、上記方法以外であってもよい。過熱水蒸気の供給も、例えば、従来のシャワーと同じように噴出するだけでもよい。また、特に排気は行わなくても、液体(水)になったものを抜き出すようにしてもよい。
また、本工程(e)にて過熱水蒸気温度域を多段階配置する場合の段階数は、上記(i)(ii)の水洗領域のように2段階配置する方法が好ましいものであるが、これに制限されるものではなく、3段階以上に配置してもよいことはいうまでもない。例えば、上記(ii)の水洗領域を、2段階で行うようにしてもよい。例えば、170℃前後と、200℃程度に分けて、前半では、主に水切りを行い、後半では、主にプレヒートを行うように配置してもよいといえる。
また本工程(e)では、過熱水蒸気温度域を1段階としてもよい。
例えば、過熱水蒸気温度域を上記(i)の水洗領域だけの1段階とする場合には、過熱水蒸気が、水洗水では物理的に入り込むのが難しい内外板パネルの隙間や内部にも素早く且つ十分に行き届かせることができる。その為、2次タレ不具合の原因であった隙間や内部の電着液を残らないように洗い流すこともできる点で、従来の水洗方法に比して優れている。また、この場合には、本工程(e)の後に、必要に応じて、水切り、プレヒートを行うのが望ましい。ここでの水切りは、従来の水洗方法と同様に、洗浄水である上記(i)の凝集水が十分抜けきるまでの時間、被塗物を静置(放置)するか、搬送すればよい。また、ここでのプレヒートは、従来の水洗方法と同様に、例えば、オーブン入り口で、電着塗膜の急激な昇温を避け、段階的に温度上げていく為に行うことから、従来の洗浄方法でのプレヒートと同じ温度で予熱(乾燥)すればよい。具体的には、使用する電着塗料の硬化反応温度によっても異なるが、通常、オーブン焼付け温度よりも、数十℃程度低い温度範囲とすればよい。
また、過熱水蒸気温度域を上記(ii)の水洗領域だけの1段階とする場合には、過熱水蒸気が、水洗水では物理的に入り込むのが難しい内外板パネルの隙間や内部にも素早く且つ十分に行き届かせることができる。その為、2次タレ不具合の原因であった隙間や内部に残る電着液または薄まった電着液を硬化させてタレないようにすることもできる点で、従来の水洗方法に比して優れている。この場合には、上記(b)の工程を従来の水洗方法と同様に行い、隙間や内部に残る濃度の濃い電着液をできるだけ洗い流し、薄めておいてもよい。
(f)オーブン焼付け工程
本発明の電着水洗方法による上記(e)工程(ないしはプレヒート処理)を経た後、従来の水洗方法と同様に、熱風循環式等のオーブン内で、適当な温度で焼付乾燥することで、電着塗装塗膜を得ることができる。例えば、電着塗料の硬化温度が170℃程度であれば、170〜180℃程度で温度で20〜30分程度焼付け乾燥を行えばよい。
本発明の電着水洗方法による上記(e)工程(ないしはプレヒート処理)を経た後、従来の水洗方法と同様に、熱風循環式等のオーブン内で、適当な温度で焼付乾燥することで、電着塗装塗膜を得ることができる。例えば、電着塗料の硬化温度が170℃程度であれば、170〜180℃程度で温度で20〜30分程度焼付け乾燥を行えばよい。
実験で用いた過熱水蒸気発生装置、テストピースに施した電着塗装条件等、洗浄実験に用いた実験装置を以下に示す。
・過熱水蒸気発生装置:出力5kwの高周波過熱式過熱水蒸気発生装置(試験機)を用いた。
・テストピースの電着塗装条件等:A6用紙サイズの鋼板を電着槽(デッップ槽)へと浸漬し、通電して鋼板表面に電着塗料の塗膜を析出させた。所定時間経過後に該鋼板を電着槽より引上げ、その後、純水がオーバーフロー(流水状態に)されている水洗槽(デッップ槽)へと浸漬し、十分に水洗(した。これにより、鋼板表面に残る電着液を、純水にて洗い流されたT/Pを得た。その後、水洗槽よりテストピースを取り出し、テストピース表面の余分な水分(水滴)をエアガンで吹き飛ばしただけの、電着塗膜がウエット状態のテストピースにて、下記の過熱水蒸気による洗浄実験を行った。なお、上記電着塗料には、ブロックイソシアネート変性エポキシ系樹脂を主要樹脂とするカチオン型電着用塗料を用いた。
・洗浄実験に用いた実験装置:図3Aに示す密閉型の容器を用い、これに過熱水蒸気発生装置で発生させた過熱水蒸気を導入、排出する導入口、排出口を設け、過熱水蒸気発生装置と該導入口を配管で連結し、排出口と配管を連結した。排出口側の配管のもう一方の端は開放系としたものを用いた。
・実験容器
<過熱水蒸気による洗浄実験(1)> 水蒸気が凝集して水に相変化して洗浄する過熱水蒸気温度域を用いた洗浄実験(その1)
上記テストピース2枚を間隔1mmで垂直に重ね合わせ、図3A、Bに示すように、テストピースの上辺隙間に電着液(上記電着塗料を使用)を5cc入れたものを、それぞれのテストピース(ED−1〜7)とした。テストピース(ED−1〜5)を、図3Aに示す実験装置の容器上蓋を開けて容器内に垂直に立てて設置し、その後、容器上蓋を閉めた。ここで、テストピース2枚を間隔1mmで重ね合わせるには、テストピースの重ね合わせる面側の四隅に厚さ1mm、直径1mm程度のスペーサを挟み込んで重ね合わせた後、これらのテストピースの四隅を着脱自在なようにクリップで固定した。また、容器内の過熱水蒸気の導入口から排出口を結ぶ軸線方向と、垂直に立てたテストピースの上辺の軸線方向とが並行になるようにした(図3A参照のこと)。
<過熱水蒸気による洗浄実験(1)> 水蒸気が凝集して水に相変化して洗浄する過熱水蒸気温度域を用いた洗浄実験(その1)
上記テストピース2枚を間隔1mmで垂直に重ね合わせ、図3A、Bに示すように、テストピースの上辺隙間に電着液(上記電着塗料を使用)を5cc入れたものを、それぞれのテストピース(ED−1〜7)とした。テストピース(ED−1〜5)を、図3Aに示す実験装置の容器上蓋を開けて容器内に垂直に立てて設置し、その後、容器上蓋を閉めた。ここで、テストピース2枚を間隔1mmで重ね合わせるには、テストピースの重ね合わせる面側の四隅に厚さ1mm、直径1mm程度のスペーサを挟み込んで重ね合わせた後、これらのテストピースの四隅を着脱自在なようにクリップで固定した。また、容器内の過熱水蒸気の導入口から排出口を結ぶ軸線方向と、垂直に立てたテストピースの上辺の軸線方向とが並行になるようにした(図3A参照のこと)。
次に、過熱水蒸気発生装置(図示せず)より下記表1に示す付与温度の過熱水蒸気を供給を行って容器内部を過熱水蒸気で充満させ、下記表1に示す付与時間にわたって、過熱水蒸気を用いた水洗を行った。その後、過熱水蒸気の供給を停止し、容器内よりテストピース(ED−1〜5)を取り出した。但し、テストピース(ED−1)は、過熱水蒸気に変えて、80℃の高温水を用い、上記導入口よりスプレーガンで吹付けた。テストピース(ED−2)は、過熱水蒸気に変えて、100℃水蒸気を用いた。100℃水蒸気は、過熱水蒸気発生装置で発生させることができたので、過熱水蒸気と同様にして洗浄実験を行った。取り出したテストピース(ED−1〜5)につき、下記に示す塗膜硬化および隙間洗浄性を確認した。得られた結果を下記表1に示す。
下記表1のED−1〜5の結果より、付与時間を2分共通とし、過熱水蒸気温度(付与温度)を80〜160℃の範囲で変更した場合、付与温度を140℃にすると塗膜は硬化しないがパネル間に浸透し、凝集して電着液を水洗するのに最も良い結果データが得られた。
また、上記と同様にしてテストピース(ED−1〜5)を作製し、図3Aに示す実験装置の容器内に水平に寝かせて設置した以外は、上記過熱水蒸気による洗浄実験(1)と同じ実験を行った。
その結果、上記過熱水蒸気による洗浄実験(1)と同じ結果が得られた。このことから、自動車ボディのような立体的かつ複雑な構造体の内外板(パネル)の如何なる隙間や内部にも、過熱水蒸気を素早く且つ十分に行き届かせ、所望の洗浄効果が得られることが確認できた。
<過熱水蒸気による洗浄実験(2)> 水蒸気が凝集して水に相変化して洗浄する過熱水蒸気温度域を用いた洗浄実験(その2)
最適な洗浄時間(=過熱水蒸気供給時間)を得る為に、上記過熱水蒸気による洗浄実験(1)と同様の条件(但し、付与温度および付与時間は下記表1に示す条件とした)で、テストピース(ED−6〜7)につき、洗浄実験を行なった。
最適な洗浄時間(=過熱水蒸気供給時間)を得る為に、上記過熱水蒸気による洗浄実験(1)と同様の条件(但し、付与温度および付与時間は下記表1に示す条件とした)で、テストピース(ED−6〜7)につき、洗浄実験を行なった。
下記表1のED−6〜7と上記(1)のED−4の結果より、付与温度を140℃で共通とし、付与時間を0.5分から2分の範囲で変更した場合、1分(60秒)以上あれば隙間洗浄性が良好であり、優れた効果があるというデータが得られた。これ以上の洗浄時間には2次タレ防止効果の更なる向上は認められなかった。
また、上記と同様にしてテストピース(ED−6〜7)を作製し、図3Aに示す実験装置の容器内に水平に寝かせて設置した以外は、上記過熱水蒸気による洗浄実験(2)と同じ実験を行った。
その結果、上記過熱水蒸気による洗浄実験(2)と同じ結果が得られた。このことからも、自動車ボディのような立体的かつ複雑な構造体の内外板(パネル)の如何なる隙間や内部にも、過熱水蒸気を素早く且つ十分に行き届かせ、所望の洗浄効果が得られることが確認できた。
<過熱水蒸気による洗浄実験(3)> 凝集熱を与えて余分な水分を蒸発し、電着液を硬化させる過熱水蒸気温度域を用いた洗浄実験(その1)
上記テストピース2枚を間隔1mmで垂直に重ね合わせ、図3A、Bに示すように、テストピースの上辺隙間に電着液(上記電着塗料を使用)を5cc入れたものを、それぞれのテストピース(ED−10、12)とした。テストピース(ED−10、12)を、図3Aに示す実験装置の容器上蓋を開けて容器内に垂直に立てて設置し、その後、容器上蓋を閉めた。ここで、テストピース2枚を間隔1mmで重ね合わせるには、テストピースの重ね合わせる面側の四隅に厚さ1mm、直径1mm程度のスペーサを挟み込んで重ね合わせた後、これらのテストピースの四隅を着脱自在なようにクリップで固定した。
上記テストピース2枚を間隔1mmで垂直に重ね合わせ、図3A、Bに示すように、テストピースの上辺隙間に電着液(上記電着塗料を使用)を5cc入れたものを、それぞれのテストピース(ED−10、12)とした。テストピース(ED−10、12)を、図3Aに示す実験装置の容器上蓋を開けて容器内に垂直に立てて設置し、その後、容器上蓋を閉めた。ここで、テストピース2枚を間隔1mmで重ね合わせるには、テストピースの重ね合わせる面側の四隅に厚さ1mm、直径1mm程度のスペーサを挟み込んで重ね合わせた後、これらのテストピースの四隅を着脱自在なようにクリップで固定した。
次に、過熱水蒸気発生装置(図示せず)より下記表1に示す付与温度の過熱水蒸気を供給を行って容器内部を過熱水蒸気で充満させ、下記表1に示す付与時間にわたって、過熱水蒸気を用いた水洗(水分の蒸発、電着液の硬化実験)を行った。その後、過熱水蒸気の供給を停止し、容器内よりテストピース(ED−10、12)を取り出した。取り出したテストピース(ED−10、12)につき、下記に示す塗膜硬化および隙間塗料硬化・排出性を確認した。得られた結果を下記表1に示す。
下記表1のED−10、12の結果より、付与時間を2分共通とし、過熱水蒸気温度(付与温度)を200〜300℃の範囲で変更した場合、付与温度を200℃にすると、余分な塗料(電着液)が過熱膨張排出し残存分は硬化するのに最も良い結果データが得られた。
また、上記と同様にしてテストピース(ED−10、12)を作製し、図3Aに示す実験装置の容器内に水平に寝かせて設置した以外は、上記過熱水蒸気による洗浄実験(3)と同じ実験を行った。
その結果、上記過熱水蒸気による洗浄実験(3)と同じ結果が得られた。このことからも、自動車ボディのような立体的かつ複雑な構造体の内外板(パネル)の如何なる隙間や内部にも、過熱水蒸気を素早く且つ十分に行き届かせ、所望の塗膜硬化による2次タレ防止効果が得られることがわかる。
<過熱水蒸気による洗浄実験(4)> 凝集熱を与えて余分な水分を蒸発し、電着液を硬化させる過熱水蒸気温度域を用いた洗浄実験(その2)
最短の硬化時間(=過熱水蒸気供給時間)を得る為に、上記過熱水蒸気による洗浄実験(3)と同様の条件(但し、付与温度および付与時間は下記表1に示す条件とした)で、テストピース(ED−8〜11)につき、洗浄(硬化)実験を行なった。
最短の硬化時間(=過熱水蒸気供給時間)を得る為に、上記過熱水蒸気による洗浄実験(3)と同様の条件(但し、付与温度および付与時間は下記表1に示す条件とした)で、テストピース(ED−8〜11)につき、洗浄(硬化)実験を行なった。
下記表1のED−8〜11の結果より、付与温度を200℃で共通とし、付与時間を0.5分から5分の範囲で変更した場合、完全硬化には5分(300秒)かかた。ただし、1分(60秒)以上で染み出さない程度(T/P垂直でタレが落ちない程度)に硬化させるデータが得られた。
また、上記と同様にしてテストピース(ED−8〜11)を作製し、図3Aに示す実験装置の容器内に水平に寝かせて設置した以外は、上記過熱水蒸気による洗浄実験(4)と同じ実験を行った。
その結果、上記過熱水蒸気による洗浄実験(4)と同じ結果が得られた。このことからも、自動車ボディのような立体的かつ複雑な構造体の内外板(パネル)の如何なる隙間や内部にも、過熱水蒸気を素早く且つ十分に行き届かせ、所望の塗膜硬化による2次タレ防止効果が得られることがわかる。
<過熱水蒸気による洗浄実験(5)> 水蒸気が凝集して水に相変化して洗浄する過熱水蒸気温度域と、凝集熱を与えて余分な水分を蒸発し、電着液を硬化させる過熱水蒸気温度域の2段階を用いた洗浄実験
上記過熱水蒸気による洗浄実験(1)と同様の条件でテストピース(ED−13)を作製した。このテストピース(ED−13)につき、洗浄実験で最適な結果が得られた上記テストピース(ED−6)と同じ洗浄実験(2)を行い、連続して洗浄(硬化)実験で最適な結果が得られた上記テストピース(ED−9)と同じ洗浄実験(4)を行った。
上記過熱水蒸気による洗浄実験(1)と同様の条件でテストピース(ED−13)を作製した。このテストピース(ED−13)につき、洗浄実験で最適な結果が得られた上記テストピース(ED−6)と同じ洗浄実験(2)を行い、連続して洗浄(硬化)実験で最適な結果が得られた上記テストピース(ED−9)と同じ洗浄実験(4)を行った。
下記表1のED−13の結果より、過熱水蒸気温度域を変えた2段階で水洗を行うことで、隙間洗浄性、隙間塗料硬化排出性が良好であり、隙間洗浄と隙間塗料硬化(プレヒート)を短時間(工程短縮)で行うことができる良好なデータが得られた。
また、上記と同様にしてテストピース(ED−13)を作製し、図3Aに示す実験装置の容器内に水平に寝かせて設置した以外は、上記過熱水蒸気による洗浄実験(5)と同じ実験を行った。
その結果、上記過熱水蒸気による洗浄実験(5)と同じ結果が得られた。このことからも、自動車ボディのような立体的かつ複雑な構造体の内外板(パネル)の如何なる隙間や内部にも、過熱水蒸気を素早く且つ十分に行き届かせ、所望の塗膜硬化による2次タレ防止効果が得られることがわかる。
(i)塗膜硬化の確認および評価基準
・塗膜硬化の確認
テストピース2枚を固定していたクリップを外し、重ね合わされた隙間に入れられた電着液部分の様子を目視、触指、爪先での引っ掻き等を行って確認した。
・塗膜硬化の確認
テストピース2枚を固定していたクリップを外し、重ね合わされた隙間に入れられた電着液部分の様子を目視、触指、爪先での引っ掻き等を行って確認した。
・塗膜硬化の評価基準
ED−1〜7とED−13(表1の上段)について
「未硬化」:電着液部分が、ウエット状態のままである。
ED−1〜7とED−13(表1の上段)について
「未硬化」:電着液部分が、ウエット状態のままである。
「僅かに硬化促進中」:電着液部分が、最初のウエット状態のよりもやや水分が蒸発した状態であり、電着液が僅かに塗膜硬化されている。
ED−8〜12とED−13(表1の下段)について
「硬化促進中」:電着液部分が、最初のウエット状態から、水分が蒸発し、電着液の硬化が促進されている(硬くなってきており、ドライでない部分も残る)。
「硬化促進中」:電着液部分が、最初のウエット状態から、水分が蒸発し、電着液の硬化が促進されている(硬くなってきており、ドライでない部分も残る)。
「完全硬化」:電着液部分が、最初のウエット状態から、水分が蒸発し、電着液が全て硬化されている(硬くなっている)。
(ii)隙間洗浄性の確認および評価基準
・隙間洗浄性の確認
テストピース2枚を固定していたクリップを外し、重ね合わされた隙間に入れられた電着液部分の様子を目視により、隙間に入れた電着液が残っているか否かにより確認した。
・隙間洗浄性の確認
テストピース2枚を固定していたクリップを外し、重ね合わされた隙間に入れられた電着液部分の様子を目視により、隙間に入れた電着液が残っているか否かにより確認した。
・隙間洗浄性の評価基準(ED−1〜7とED−13(表1の上段))
「○」:隙間に入れた電着液が残っておらず、良好と判断したもの。(オーブン焼付け時に2次タレ不具合が起こり難くい)。
「○」:隙間に入れた電着液が残っておらず、良好と判断したもの。(オーブン焼付け時に2次タレ不具合が起こり難くい)。
「△」:隙間に入れた電着液が僅かに残っているが、やや良好と判断したもの。(オーブン焼付け時に2次タレ不具合までには至り難くい)。
「×」:隙間に入れた電着液が残っており、洗浄不十分であり、不良と判断したもの。(オーブン焼付け時に2次タレ不具合が起こり易い)。
[−」:評価対象外のもの。
(iii)隙間塗料硬化・排出性の確認および評価基準
・隙間塗料硬化・排出性の確認
テストピース2枚を固定していたクリップを外し、重ね合わされた隙間に入れられた電着液部分の様子を目視により、隙間に入れた電着液が硬化し、余分な水分が蒸発(排出)されているか否かを確認した。
・隙間塗料硬化・排出性の確認
テストピース2枚を固定していたクリップを外し、重ね合わされた隙間に入れられた電着液部分の様子を目視により、隙間に入れた電着液が硬化し、余分な水分が蒸発(排出)されているか否かを確認した。
・隙間塗料硬化排出性の評価基準(ED−8〜12とED−13(表1の下段))
「○」:隙間に入れた余分な塗料(電着液)が過熱膨張排出し残存分は硬化されており、良好と判断したもの。(オーブン焼付け時に2次タレ不具合が起こり難くい)。
「○」:隙間に入れた余分な塗料(電着液)が過熱膨張排出し残存分は硬化されており、良好と判断したもの。(オーブン焼付け時に2次タレ不具合が起こり難くい)。
「△」:隙間に入れた余分な塗料(電着液)の多くが過熱膨張排出し残存分は硬化され、染み出さない程度(T/P垂直でタレ落ちない程度)であり、やや良好と判断したもの。(オーブン焼付け時に2次タレ不具合までには至り難くい)。
「×」:隙間に入れた余分な塗料(電着液)が十分に過熱膨張排出されず、残存分も十分に硬化されず、染み出しが起こる(T/P垂直でタレ落ちが生じる)ため、不良と判断したもの。(オーブン焼付け時に焼付けにより2次タレ不具合が起こり易い。)。
[−」:評価対象外のもの(ED−1〜7)、または
隙間に入れた余分な塗料(電着液)は過熱膨張排出し残存分は硬化され、(2次タレ不具合が起こり難くいと思われ)、良好と判断できるが、硬化実験により塗膜焼けが生じたため、総合的な評価として、不良(NG)と判断したもの(表1の備考参照のこと)。
隙間に入れた余分な塗料(電着液)は過熱膨張排出し残存分は硬化され、(2次タレ不具合が起こり難くいと思われ)、良好と判断できるが、硬化実験により塗膜焼けが生じたため、総合的な評価として、不良(NG)と判断したもの(表1の備考参照のこと)。
Claims (5)
- 電着水洗において、過熱水蒸気を用いて水洗することを特徴とする電着水洗方法。
- 水洗時に過熱水蒸気温度域の異なる水洗領域を多段階配置してなることを特徴とする請求項1に記載の電着水洗方法。
- 前記過熱水蒸気温度域を変えた水洗領域を多段階配置する際に、少なくとも、
過熱水蒸気が凝集して水に相変化する過熱水蒸気温度域の水洗領域と、
過熱水蒸気が凝集熱を与えて余分な水分を蒸発および/または電着液を硬化させる過熱水蒸気温度域の水洗領域と、を配置してなることを特徴とする請求項2に記載の電着水洗方法。 - 前記電着水洗において、ディップ及びシャワーを用いた水洗を行った後に、前記過熱水蒸気を用いた水洗を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電着水洗方法。
- 前記電着水洗において、さらに高温水および/または100℃水蒸気を用いた水洗を併用することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の電着水洗方法。
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JP2008098538A JP2009249681A (ja) | 2008-04-04 | 2008-04-04 | 過熱水蒸気による電着水洗方法 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2017010504A1 (ja) * | 2015-07-15 | 2017-01-19 | マツダ株式会社 | 電着塗装システム、及び、電着塗装方法 |
JP2018016867A (ja) * | 2016-07-29 | 2018-02-01 | マツダ株式会社 | 電着塗装方法及び電着塗装ラインの洗浄水除去促進装置 |
-
2008
- 2008-04-04 JP JP2008098538A patent/JP2009249681A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US10676839B2 (en) | 2015-07-15 | 2020-06-09 | Mazda Motor Corporation | Electrodeposition system and electrodeposition method |
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