JP2009249610A - 環状オレフィン付加重合体及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
〔請求項1〕
下記式(1)で表される環状オレフィン官能性シロキサンを付加重合することで得られる環状オレフィン付加重合体。
〔請求項2〕
下記式(2)で表される環状オレフィン官能性シロキサンを付加重合することで得られる環状オレフィン付加重合体。
〔請求項3〕
下記式(3)で表される環状オレフィン官能性シロキサンを付加重合することで得られる環状オレフィン付加重合体。
〔請求項4〕
請求項1,2,3にそれぞれ記載の式(1),(2),(3)で表される環状オレフィン官能性シロキサンから選ばれる少なくとも2種を付加重合することで得られる環状オレフィン付加重合体。
〔請求項5〕
下記式(4)で表される環状オレフィン化合物と請求項1,2,3にそれぞれ記載の式(1),(2),(3)で表される環状オレフィン官能性シロキサンから選ばれる少なくとも1種を付加重合することで得られ、上記式(1),(2),(3)で表される環状オレフィン官能性シロキサンに由来する構造単位の割合が、共重合体中50モル%以上である環状オレフィン付加重合体。
〔請求項6〕
薄膜、シート又はフィルム形状である請求項1乃至5のいずれか1項記載の環状オレフィン付加重合体。
〔請求項7〕
上記式(1),(2),(3)で表される環状オレフィン官能性シロキサンから選ばれる1種又は2種以上、又は該環状オレフィン官能性シロキサンの1種又は2種以上50モル%以上と上記式(4)で表される環状オレフィン化合物50モル%以下とを、重合触媒であるニッケル、コバルト及びパラジウムから選ばれた遷移金属の化合物及び/又は該遷移金属化合物と超強酸との変性化合物と、ルイス酸性のアルミニウム化合物、ルイス酸性のホウ素化合物、イオン性アルミニウム化合物及びイオン性ホウ素化合物から選ばれた少なくとも1種の化合物を用いて付加重合することを特徴とする環状オレフィン付加重合体の製造方法。
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−プロピル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ブチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ペンチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヘキシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−オクチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−デシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−フェニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−シクロヘキシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−フルオロ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−クロロ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボン酸メチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボン酸エチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボン酸ブチル、2−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボン酸メチル、2−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボン酸エチル、2−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボン酸プロピル、2−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−カルボン酸トリフルオロエチル、2−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エニル酢酸エチル、アクリル酸2−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エニル、メタクリル酸2−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エニル、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸ジメチル、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン等を例示することができる。これらは、1種単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
[L1L2ML3]+[A]- (a)
(式(a)のMはニッケル(Ni)、コバルト(Co)、又はパラジウム(Pd)を表す。L1、L2、L3はMの配位子を示し、そのうち一つはσ結合を有し、すべての配位子で1〜3のπ結合を有する。Aは対アニオンを示す。L1、L2、L3は炭素数が6〜12のシクロジエン、ノルボルナジエン、炭素数が10〜20のシクロトリエン、炭素数が6〜20の芳香族化合物から選ばれる。Aの対アニオンとしては、BF4 -、PF6 -、SbF5SO3F-、AsF6 -、SbF6 -、CF3CO2 -、C2F5CO2 -、B[C6F5]4 -、B[C6H3(CF3)2]4 -であることが好ましい。)
式(a)で表される化合物の具体例としては、
[(η3−クロチル)Ni(シクロオクタ−1,5−ジエン)][B(C6H3(CF3)2)4]、
[(η3−クロチル)Ni(シクロオクタ−1,5−ジエン)][PF6]、
[(6−メトキシ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−エンド−5σ,2π)Pd(シクロオクタ−1,5−ジエン)][SbF6]、
[(η3−ally)Pd][BF4]、
[(シクロオクタ−1,5−ジエン)Pd(CH3)Cl][B(C6H3(CF3)2)4]
等が挙げられる。
[Pd(II)(L4)4][A]2 (b)
(ここで、Aは、対アニオンであり(A−1)で記載したものと同じである。L4はニトリル化合物、3級アミン化合物、トリアリールホスフィン化合物から選ばれる。)
式(b)で表される化合物の具体例としては、
[Pd(C6H5CN)4][BF4]2、
[Pd(C6H5CN)4][SbF6]2、
[Ph3PdCH3][B(C6H3(CF3)2)4]
(ここで、Phはフェニル基を示す。)
等が挙げられる。
この具体例としては、トルエン・Ni(C6F5)2、キシレン・Ni(C6F5)2、トルエン・Ni(SiCl3)2等が挙げられる。
遷移金属化合物として、以下に挙げる群から選ばれた少なくとも1種の化合物が挙げられる。
a)ニッケル(Ni)、コバルト(Co)及びパラジウム(Pd)の有機カルボン酸塩、有機亜リン酸塩、有機リン酸塩、有機スルフォン酸塩、β−ジケトン化合物等から選ばれた化合物。具体的には、酢酸ニッケル、オクタン酸ニッケル、2−エチルヘキサン酸ニッケル、オレイン酸ニッケル、ステアリン酸ニッケル、ジブチルリン酸ニッケル、ジオクチル酸ニッケル、ドデシルベンゼンスルフォン酸ニッケル、ビス(アセチルアセテート)ニッケル、ビス(アセチルアセトナート)ニッケル、2−エチルヘキサン酸コバルト(II)、2−エチルヘキサン酸コバルト(III)、ドデカン酸コバルト(II)、トリス(アセチルアセトナート)コバルト(III)、酢酸パラジウム、2−エチルヘキサン酸パラジウム、ビス(アセチルアセトナート)パラジウム等が挙げられる。
b)上記のニッケル(Ni)、コバルト(Co)及びパラジウム(Pd)の有機カルボン酸塩と超強酸との変性化合物。超強酸の具体例としては、六フッ化アセトン、六フッ化アンチモン酸、四フッ化ホウ素酸、トリフルオロ酢酸等が挙げられる。
c)ニッケルジエンもしくはニッケルトリエン錯体。
具体的には、
[(η3−クロチル)Ni(シクロオクタ−1,5−ジエン)][B(C6H3(CF3)2)4]、
[bis(ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2,5−ジエン)Ni]、
[(シクロドデク−1,5,9−トリエン)Ni]
等が挙げられる。
d)ニッケルにリン(P)、窒素(N)、酸素(O)等の原子を有する配位子が配位した錯体。
具体的には、
(PPh3)2NiCl2、(PPh3)2NiBr2、(PPh3)2CoCl2、
Bis[N−(3−tert−ブチルサリシリデン)フェニルアミナト]Ni、
Ni(OC(O)(C6H4)PPh2)(H)(PCy3)、
Ni(OC(O)(C6H4)PPh2)(H)(PPh3)、
Ni(COD)2とPh3P=CHC(O)Phの反応物
(ここで、Phはフェニル基、Cyはシクロヘキシル基、CODは1,5−シクロオクタジエンを示す。)
等が挙げられる。
具体的には、メチルアルモキサン、ブチルアルモキサン、トリアルキルアルミニウムが部分混合されたメチルメチルアルモキサン、トリメチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、ジイソブチルアルミニウムヒドリド、ジエチルアルミニウムクロライド等が挙げられる。
具体的には、三フッ化ホウ素あるいは三フッ化アルミニウムのエーテル、アミン、フェノール等の錯体、トリ(ペンタフルオロフェニル)ボラン、トリ(3,5−ジ−トリフルオロメチルフェニル)ボラン、トリ(ペンタフルオロフェニル)アルミニウム等のルイス酸性を示すホウ素化合物及びアルミニウム化合物が挙げられ、また、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリブチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)アルミナート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(2,4,6−トリフルオロフェニル)アルミナート等のイオン性ホウ素化合物及びイオン性アルミニウム化合物が挙げられる。
ニッケル化合物、コバルト化合物及びパラジウム化合物等の遷移金属化合物は、単量体1モルに対して0.01〜100ミリモル原子、有機アルミニウム化合物は遷移金属化合物1モル原子に対して1〜1,000モル、またルイス酸性のホウ素化合物及びアルミニウム化合物、あるいはイオン性のホウ素化合物及びアルミニウム化合物は、ニッケル又はコバルト1モル原子に対して0.5〜100モルである。
重合反応は、−20℃〜100℃、特に0〜80℃の温度範囲で行うことが好ましい。反応温度が低すぎると重合活性の点で劣る場合があり、高すぎるとゲル化を引き起こしたり、分子量の調節が困難になる場合がある。
2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、
4,4’−チオビス−(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、
1,1’−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、
2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、
ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート等のフェノール系あるいはヒドロキノン系、
トリス(4−メトキシ−3,5−ジフェニル)ホスファイト、
トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、
トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、
ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト等のリン系、更にはチオエーテル系、ラクトン系化合物等が挙げられる。これらの化合物の中でも、その分解温度(5%の質量減少温度)が250℃以上のものが好ましい。また、これら酸化防止剤の配合量は、本発明の環状オレフィン付加重合体100質量部に対し、0.05〜5.0質量部の範囲である。
(1)分子量(重量平均分子量、数平均分子量):
東ソー(株)製(HLC−8220GPC)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー装置を用い、トルエンを溶媒として、40℃で測定した。得られた分子量は、標準ポリスチレン換算値である。
(2)全光線透過率:
(株)日立ハイテクノロジーズ製(U−3310)スペクトロフォトメーター装置を用い、所定の厚さ(100μm)のフィルム及びプレートにて、全光線透過率を測定した。
(3)屈折率:
アタゴ(株)製(DR−M2/1550)多波長アッベ屈折計を用い、25℃におけるD線(589nm)の屈折率n25 Dを測定した。
(4)ガラス転移温度:
メトラー社製DSC(DSC820)装置を用い、室温から10℃/minで昇温して測定した。
(5)有機溶媒への溶解性:
溶媒として、トルエン、キシレン、デカン、シクロへキサン、ヘキサン、ジクロロメタン、ヘキサメチルジシロキサン、メチルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、デカメチルシクロペンタシロキサンを用い、10質量%溶液になるように調製し評価した。
単量体として、下記に示す化合物Aを500ミリモル、溶媒としてトルエン522gを1Lの反応容器に窒素雰囲気下で仕込んだ。そこに、ビス(アセチルアセテート)ニッケルを0.50ミリモル、トリ(ペンタフルオロフェニル)ボランを2.50ミリモル仕込み、重合を行った。50℃で24時間重合を行い、メタノールで重合を停止した。
得られた重合体溶液を3Lのメタノールに入れ、重合体を凝固し、未反応単量体と触媒残渣を除去した。凝固した重合体を乾燥し、重合体P(1)を得た。
また、重合体P(1)のポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は29,100、重量平均分子量(Mw)は61,100で、Mw/Mnは2.1であった。重合反応の結果を表1に、重合体の有機溶媒への溶解性を表2に示す。
重合体P(1)をトルエンに溶解し、10質量%の重合体溶液を調製した。この溶液をキャストして、厚さ100μmのフィルムF(1)を作製した。このフィルムの各種物性評価結果を表3に示す。
単量体として、下記に示す化合物Bを250ミリモル用いた以外は、実施例1と同様に行い、重合体P(2)を得た。
また、重合体P(2)のポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は29,000、重量平均分子量(Mw)は78,300で、Mw/Mnは2.7であった。重合反応の結果を表1に、重合体の有機溶媒への溶解性を表2に示す。
重合体P(2)をトルエンに溶解し、10質量%の重合体溶液を調製した。この溶液をキャストして、厚さ100μmのフィルムF(2)を作製した。このフィルムの各種物性評価結果を表3に示す。
単量体として、下記に示す化合物Cを500ミリモル用いた以外は、実施例1と同様に行い、重合体P(3)を得た。
また、重合体P(3)のポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は41,800、重量平均分子量(Mw)は83,600で、Mw/Mnは2.0であった。重合反応の結果を表1に、重合体の有機溶媒への溶解性を表2に示す。
重合体P(3)をトルエンに溶解し、10質量%の重合体溶液を調製した。この溶液をキャストして、厚さ100μmのフィルムF(3)を作製した。このフィルムの各種物性評価結果を表3に示す。
単量体として、化合物Cを300ミリモル、下記に示す化合物Dを200ミリモル、溶媒としてトルエン522gを1Lの反応容器に窒素雰囲気下で仕込んだ。そこに、ビス(アセチルアセテート)ニッケルを0.50ミリモル、トリ(ペンタフルオロフェニル)ボランを2.50ミリモル仕込み、重合を行った。25℃で5時間重合を行い、メタノールで重合を停止した。
得られた共重合体溶液を3Lのメタノールに入れ、共重合体を凝固し、未反応単量体と触媒残渣を除去した。凝固した共重合体を乾燥し、共重合体P(4)を得た。
また、共重合体P(4)のポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は99,000、重量平均分子量(Mw)は198,000で、Mw/Mnは2.0であった。重合反応の結果を表1に、共重合体の有機溶媒への溶解性を表2に示す。
共重合体P(4)をトルエンに溶解し、10質量%の共重合体溶液を調製した。この溶液をキャストして、厚さ100μmのフィルムF(4)を作製した。このフィルムの各種物性評価結果を表3に示す。
評価)○:溶解,△:わずかに溶解,×:ほとんど溶解しない。
ポリシロキサン溶媒)D5:デカメチルシクロペンタシロキサン,M3T:メチルトリス(トリメチルシロキシ)シラン,M2:ヘキサメチルジシロキサン。
Claims (7)
- 請求項1,2,3にそれぞれ記載の式(1),(2),(3)で表される環状オレフィン官能性シロキサンから選ばれる少なくとも2種を付加重合することで得られる環状オレフィン付加重合体。
- 下記式(4)で表される環状オレフィン化合物と請求項1,2,3にそれぞれ記載の式(1),(2),(3)で表される環状オレフィン官能性シロキサンから選ばれる少なくとも1種を付加重合することで得られ、上記式(1),(2),(3)で表される環状オレフィン官能性シロキサンに由来する構造単位の割合が、共重合体中50モル%以上である環状オレフィン付加重合体。
- 薄膜、シート又はフィルム形状である請求項1乃至5のいずれか1項記載の環状オレフィン付加重合体。
- 下記式(1),(2),(3)で表される環状オレフィン官能性シロキサンから選ばれる1種又は2種以上、又は該環状オレフィン官能性シロキサンの1種又は2種以上50モル%以上と下記式(4)で表される環状オレフィン化合物50モル%以下とを、重合触媒であるニッケル、コバルト及びパラジウムから選ばれた遷移金属の化合物及び/又は該遷移金属化合物と超強酸との変性化合物と、ルイス酸性のアルミニウム化合物、ルイス酸性のホウ素化合物、イオン性アルミニウム化合物及びイオン性ホウ素化合物から選ばれた少なくとも1種の化合物を用いて付加重合することを特徴とする環状オレフィン付加重合体の製造方法。
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