JP2009249371A - テストステロン‐5‐α‐レダクターゼ阻害剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、レダクターゼ阻害効果に優れ、男性型脱毛症、アクネ及び前立腺肥大症の予防及び治療に有効でかつ安全性に優れたテストステロン‐5α‐レダクターゼ阻害剤を提供することを課題とする。
【解決手段】アスパラチン、特に飲料用非発酵ルイボスに含まれるアスパラチンに顕著なテストステロン‐5α‐レダクターゼ阻害作用を認め、本発明を完成した。本発明品は、男性型脱毛症、アクネ及び前立腺肥大症などの症状に効果を発揮することができる。
【選択図】なし
【解決手段】アスパラチン、特に飲料用非発酵ルイボスに含まれるアスパラチンに顕著なテストステロン‐5α‐レダクターゼ阻害作用を認め、本発明を完成した。本発明品は、男性型脱毛症、アクネ及び前立腺肥大症などの症状に効果を発揮することができる。
【選択図】なし
Description
本発明は男性型脱毛症、アクネ及び前立腺肥大症などの予防または治療に有効で、かつ副作用のない、テストステロン‐5‐α‐レダクターゼ阻害物質に関する。より詳細には、アスパラチンを有効成分としたテストステロン‐5‐α‐レダクターゼ阻害剤に関する。
男性型脱毛症、アクネ及び前立腺肥大症などは、男性ホルモン作用の増大がその原因の一つであり、このような疾患においては毛根、皮脂腺、前立腺などの標的器官でテストステロン‐5‐α‐レダクターゼが作用し、男性ホルモンの一つであるテストステロンから5α‐ジヒドロテストステロンが生成、これがアンドロゲンとして作用し、男性型脱毛症などの疾病を惹起すると推察される。
従って、テストステロン‐5‐α‐レダクターゼの作用を阻害することは、前立腺肥大症や男性型脱毛症に有効とされており、例えば、5‐α‐レダクターゼ阻害剤であるフィナステリドは、前立腺肥大症に対する薬剤として開発され、男性型脱毛症の治療にも用いられる(ステッドマン医学大辞典改訂第5版 2002 Feb、非特許文献1)。但し、フィナステリドは精力減退、勃起障害、妊娠女性では男児の性器形成を障害するといった副作用の報告がある。
また、生薬抽出物が有効であるとの知見もある。たとえば特開昭60−146829号公報(特許文献1)には、テストステロン‐5‐α‐レダクターゼ阻害剤としてアセンヤク、ウィキョウ、カンゾウ等の生薬を有効成分としている。また、特開平11−199503号公報(特許文献2)には、ユキノシタ科に属する植物であるベルゲニア・クラッシュフォリアの抽出物をテストステロン‐5‐α‐レダクターゼ阻害剤として有効であることが記載されている。
本発明は、レダクターゼ阻害効果に優れ、男性型脱毛症、アクネ及び前立腺肥大症の予防及び治療に有効でかつ安全性に優れたテストステロン‐5α‐レダクターゼ阻害剤を提供することを課題とする。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、飲料用非発酵ルイボスに含まれる成分、アスパラチンに顕著なテストステロン‐5α‐レダクターゼ阻害作用を認め、本発明を完成した。
すなわち本発明は、
(1)下記一般式Iで表されるアスパラチンを有効成分として含有するテストステロン‐5α‐レダクターゼ阻害剤、
(2)アスパラチンが非発酵型ルイボス茶由来であることを特徴とする(1)記載のテストステロン‐5α‐レダクターゼ阻害剤、
(3)(1)又は(2)記載のテストステロン‐5α‐レダクターゼ阻害剤を含有することを特徴とする頭髪化粧料、
(4)(1)又は(2)記載のテストステロン‐5α‐レダクターゼ阻害剤を含有することを特徴とする皮膚化粧料、
(5)(1)又は(2)記載のテストステロン‐5α‐レダクターゼ阻害剤を含有することを特徴とする飲食品
に関するものである。
(1)下記一般式Iで表されるアスパラチンを有効成分として含有するテストステロン‐5α‐レダクターゼ阻害剤、
(3)(1)又は(2)記載のテストステロン‐5α‐レダクターゼ阻害剤を含有することを特徴とする頭髪化粧料、
(4)(1)又は(2)記載のテストステロン‐5α‐レダクターゼ阻害剤を含有することを特徴とする皮膚化粧料、
(5)(1)又は(2)記載のテストステロン‐5α‐レダクターゼ阻害剤を含有することを特徴とする飲食品
に関するものである。
従来、南アフリカで育ち健康によい成分をもつというルイボスという植物を発酵させた発酵型ルイボス茶が知られているが、近年、非発酵型ルイボス茶が開発され、この非発酵型ルイボス茶は、従来の発酵型ルイボス茶よりも抗酸化力が強く、特異的な成分として糖化フラボノイドの一種、アスパラチンを多く含むことが報告されている(J Agric Food Chem. 2003 Dec 3;51(25):7472-4、非特許文献2)。
非発酵型ルイボス茶とは、従来のルイボス茶が発酵と呼ばれる酸化プロセスを経て製造されるのに対し、この酸化プロセス、すなわち発酵を経ないで製造される茶を示す。
従来の発酵型ルイボスにはアスパラチンは0.1%程度である(J Agric Food Chem. 2003 Dec 3;51(25):7472-4.)のに対して、非発酵型ルイボス茶はアスパラチンを1.5%以上含有している。非発酵型ルイボス茶は、グリーンルイボス茶として市販されている。
本発明者らは、アスパラチンを非発酵型ルイボス茶より精製し、アスパラチンに肝癌細胞の増殖抑制活性と癌細胞の転移抑制活性を見出し、2006年度の日本農芸化学会で発表し、特許出願も行っている(特開2007−197409号公報、特許文献3)。また、インスリン分泌促進作用、筋管組織によるグルコース取込み促進作用を認め、糖尿病モデルマウスを用いた試験により血糖値抑制作用を見出した(J. Clin. Biochem. Nutr. 2007 Nov;41(Sup):129、非特許文献3)。
上記のほか、アスパラチンは皮膚外用剤(特開平11−071292号公報、特許文献4)として、血圧安定化治療剤(特開平06−199694号公報、特許文献5)として、白内障改善治療剤(特開平06−199692号公報、特許文献6)として、また活性酸素消去・除去剤(特開平05−271090号公報、特許文献7)として有効であるとの開示もある。
本発明者らは、このアスパラチンを更に有効活用すべく研究を行ったところ、アスパラチンはテストステロン‐5α‐レダクターゼ阻害剤として有用であることを見出した。
アスパラチンは、下記のような一般式で表すことができる。
アスパラチンは、下記のような一般式で表すことができる。
非発酵型ルイボス茶からアスパラチンを精製する方法は、アスパラチンが287nmに特異的な極大吸収を示すことから、これを指標として、例えばHPLCで分析し、精製することができる。
例えば、非発酵型ルイボス茶からアスパラチンをエタノールにてソックスレー抽出し、濃縮する。次いで、得られた濃縮物にヘキサンを添加し、ヘキサン層と含水エタノール層を形成するまで脱イオン水を攪拌しながら添加する。含水エタノール層を濃縮し、脱エタノール後、吸着樹脂にアスパラチンを吸着させる。アスパラチンを吸着した吸着樹脂を脱イオン水で洗浄した後、吸着したアスパラチンをエタノールで溶出させ、これを更にシリカゲル、HP20SS吸着樹脂、ウィンタリングなどを用いて精製し、高純度(例えば、純度96.3%)のアスパラチンを得ることができる。
本発明は、前記のように男性型脱毛症、アクネ及び前立腺肥大症の予防及び治療に有効であるばかりでなく、多毛症、脂漏症、化膿性汗腺炎等にも効果を奏することができる。
従って、皮膚外用剤、化粧料、医薬品等として利用できるが、特に頭髪化粧料、皮膚化粧料及び前立腺肥大治療剤として好適である。
従って、皮膚外用剤、化粧料、医薬品等として利用できるが、特に頭髪化粧料、皮膚化粧料及び前立腺肥大治療剤として好適である。
本発明に係るテストステロン‐5α‐レダクターゼ阻害剤の剤形は、特に限定されるものではないが、例えば、トニック、リンス、ローション、クリーム、乳液、パック、軟膏、浴用剤等の外皮用剤、内服剤、注射剤、座剤等が挙げられる。
本発明においてテストステロン‐5α‐レダクターゼ阻害剤を含有せしめる飲食品としては、野菜果実加工品、穀物加工品、清涼飲料水、お茶、畜肉加工品、水産加工品、乳製品等各種の飲食品に適用できる。
本発明によって、アスパラチンがテストステロン‐5α‐レダクターゼ阻害剤として有効であることが判明し、男性型脱毛症、アクネ及び前立腺肥大症などの症状に効果を発揮することができる。
本発明を具体的に説明するために、実施例を示すが本発明はこれに限定されるものではない。
(アスパラチンの精製)
非発酵型ルイボス茶より、アスパラチンを精製した。アスパラチンは、287nmに特異的な極大吸収を示すが、これを指標としてHPLCで分析し精製を行った。アスパラチンをエタノールにてソックスレー抽出し、濃縮、ヘキサンを添加し、ヘキサン層と含水エタノール層を形成するまで脱イオン水を攪拌しながら添加した。含水エタノール層を濃縮、脱エタノール後、吸着樹脂にアスパラチンを吸着させた。吸着樹脂を脱イオン水で洗浄後、吸着したアスパラチンをエタノールで溶出させ、これをさらにシリカゲル、HP20SS吸着樹脂、ウィンタリング、結晶化などで精製し、純度96.3%のアスパラチンを得た。
非発酵型ルイボス茶より、アスパラチンを精製した。アスパラチンは、287nmに特異的な極大吸収を示すが、これを指標としてHPLCで分析し精製を行った。アスパラチンをエタノールにてソックスレー抽出し、濃縮、ヘキサンを添加し、ヘキサン層と含水エタノール層を形成するまで脱イオン水を攪拌しながら添加した。含水エタノール層を濃縮、脱エタノール後、吸着樹脂にアスパラチンを吸着させた。吸着樹脂を脱イオン水で洗浄後、吸着したアスパラチンをエタノールで溶出させ、これをさらにシリカゲル、HP20SS吸着樹脂、ウィンタリング、結晶化などで精製し、純度96.3%のアスパラチンを得た。
(阻害活性の測定)
テストステロン‐5α‐レダクターゼ阻害活性の測定は以下のように実施した。
[サンプルの調製]
(+)コントロールとなるクエルシトリン(シグマ社製)は微量のエタノールに溶解した後、純水で20mg/mlの溶液を調製し、アスパラチンは、純水により80mg/ml、20mg/ml、2mg/mlの溶液に調製した。
テストステロン‐5α‐レダクターゼ阻害活性の測定は以下のように実施した。
[サンプルの調製]
(+)コントロールとなるクエルシトリン(シグマ社製)は微量のエタノールに溶解した後、純水で20mg/mlの溶液を調製し、アスパラチンは、純水により80mg/ml、20mg/ml、2mg/mlの溶液に調製した。
[試薬の調製]
テストステロン(和光純薬社製)はプロピレングリコールで溶解し、1.16mg/mlの溶液に調製した。5mMトリス塩酸緩衝液(pH7.2)は、常法により調製した0.1Mトリス塩酸緩衝液を希釈して調製し、NADPH(オリエンタル酵母社製)は、5mMトリス塩酸緩衝液で1.08mg/mlの溶液とした。
テストステロン(和光純薬社製)はプロピレングリコールで溶解し、1.16mg/mlの溶液に調製した。5mMトリス塩酸緩衝液(pH7.2)は、常法により調製した0.1Mトリス塩酸緩衝液を希釈して調製し、NADPH(オリエンタル酵母社製)は、5mMトリス塩酸緩衝液で1.08mg/mlの溶液とした。
[テストステロン‐5α‐レダクターゼ阻害試験]
テストステロン溶液90μlに、NADPH溶液730μlを加えて混合し、次にサンプル溶液50μlを加えた。(−)コントロールとして純水50μlを加えたものを用意した。最後に、S‐9ラット肝臓ホモジネート(オリエンタル酵母社製)120μlを加えて混合し、37℃1時間インキュベーションした。
テストステロン溶液90μlに、NADPH溶液730μlを加えて混合し、次にサンプル溶液50μlを加えた。(−)コントロールとして純水50μlを加えたものを用意した。最後に、S‐9ラット肝臓ホモジネート(オリエンタル酵母社製)120μlを加えて混合し、37℃1時間インキュベーションした。
ジクロロメタン(ナカライ社製)1mlを加え、激しく振とうして反応を停止させ、内部標準物質として、250μg/mlのプロステロン/メタノール溶液を0.2ml加え、充分に攪拌した。その後、1500rpmで10分間遠心分離し、ジクロロメタン層を分取して、その残存テストステロンをガスクロマトグラフィーで分析した。内部標準物質量を基準として、これら成分を測定した。ガスクロマトグラフィーの条件は、キャピラリーカラムDB‐17(0.2mm x 30m)、カラム温度、280℃、注入口温度、300℃、検出はFIDであった。テストステロンの減少から酵素阻害活性を求め、次の計算式で阻害率を求めた。その結果を表1に示す。
阻害活性率(%)=[(サンプルを加えた反応60分のテストステロン量−(−)コントロール反応60分のテストステロン量) / (−)コントロール反応0分のテストステロン量−(−)コントロール反応60分のテストステロン量]] x 100
阻害活性率(%)=[(サンプルを加えた反応60分のテストステロン量−(−)コントロール反応60分のテストステロン量) / (−)コントロール反応0分のテストステロン量−(−)コントロール反応60分のテストステロン量]] x 100
表1から分かるように、(+)コントロールとなるクエルシトリンは、1mg/mlの添加濃度で、52.4%の阻害活性を示すのに対し、アスパラチンは、1mg/mlの添加濃度で、44.0%の阻害活性を示しクエルシトリンと同程度の顕著な阻害活性を示した。
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JP2008103158A JP2009249371A (ja) | 2008-04-11 | 2008-04-11 | テストステロン‐5‐α‐レダクターゼ阻害剤 |
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