JP2009248807A - 車両用ホイール - Google Patents
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Abstract
【解決手段】リム11の外周面11dの全面には、厚さ5〜40μmのクリア塗装の下塗り層13が形成され、更に、タイヤ20のビード部21aが密着するビードシート部11a及びリムフランジ部11b(密着部)の一部、例えば、1mm幅を全周に亘ってマスキングして、マスキング部分を除いて全周面に対して、その上に厚さ500μmの遮熱断熱コーティングを施して遮熱断熱層14を形成する。そして、マスキングを外してその部分に500μm厚さのクリア塗装を行って導電層15を遮熱断熱層14と面一面になるように形成する。
【選択図】図1
Description
また、ウェル部の段差がなくなってしまい、タイヤの装着が困難であるという課題があった。
図1は、本実施形態に係る車両用ホイールにタイヤを装着した車輪の要部正面断面図である。
図1に示すように、車両用ホイール10は、タイヤ20を装着するためのリム11と、このリム11を図示しないハブに連結するためのディスク12とから構成される。
なお、タイヤ20に関して、符号21bはトレッド部を示す。
なお、これらの材料に限定されるものではなく、スチール(鋼)等から形成されるものであっても良い。また、車両用ホイール10は、スポークホイールであっても良い。
ここで、前記したタイヤ20のビード部21aが密着するビードシート部11a及びリムフランジ部11b(密着部)は、請求項に記載の「リム外周面のタイヤが接する部位全面」に対応する。
そして、例えば、図1に示すように車両外側のビードシート部11aの外周面11dの一部に遮熱断熱層14の代わりに導電層(導電部)15が形成されている。
更に、場所はビードシート部11に限定されず、タイヤ20のビード部21aが密着するリムフランジ部11b(密着部)でも良い。
要するに導電層14を形成する場所は、タイヤ20のビード部21aと密着するリム11の外周面11dの一部であって、経年変化によってビード部21aとの密着性に変化が無いところであればどこでも良い。
遮熱断熱層14は、遮熱性と断熱性を有する無機材料(フィラー)を有機材料(樹脂又はゴム)に配合した塗装材で形成する。ばね下重量の増加を最小限に抑えるために、より薄く軽量にコーティングするには、中空の微小無機フィラーを使用するのが望ましい。
また、遮熱断熱層14の塗装材としては、遮熱断熱性能の確保と同時に、塗装材の練り工程、塗装工程、タイヤ組込み工程での衝撃、せん断力、削り傷に耐える程度の強度と対摩耗性が確保できるとともに、タイヤ20に内圧や荷重が掛かった際にビード部21aとの接触圧力で挫屈をしない強度と空気漏れを起こさない微小無機フィラーの選定と配合及び塗膜厚さの選定が必要であり、本実施の形態の塗装剤及び塗膜厚さに限らない。
ここでは、水溶性塗料を例に説明する。表1は塗装材の配合比(%)を容積比で示したものである。
遮熱断熱層14を形成するための塗装材は、特開平11−323197号公報にも記載されているように、低熱伝導度(高断熱性)とするには中空粒子を稠密に分散させたものが適している。そして、中空粒子としては、強度が高く塗料との混練工程、塗装工程、タイヤ組み込み工程や、タイヤ組み込み後のビード部21aとの接触圧力でも破壊されず、中空粒子内に塗料が入りこまない(多孔質やオープンポア構造でない中空体)ものが適している。そのような中空粒子の候補としては、前記した中空の微小無機フィラーとして、セラミック中空粒子(以下、中空粒子をバルーンと称する)、シリカバルーン、ガラスバルーン、シラスバルーン、フライアッシュバルーン等が考えられる。特に、高強度の中空の微小無機フィラーとしてセラミックバルーンが挙げられ、セラミックの組成としては、例えば、ジルコニア、チタニア複合物、ホウ化ケイ素系セラミックが挙げられる。
なお、ここでいう真空とは雰囲気圧よりも気圧が低い状態をいい、絶対真空を意味するものではない。
更に、半透明よりも透明である方がより反射性に優れており好ましい。また、透明もしくは半透明であれば無色である必要はなく、色が付いていても良い。このような条件に対し、前記したセラミックの中でもホウ化ケイ素系セラミックは高い透明性を有するため、最も好適である。セラミックバルーンの粒子径は5〜150μmのものを用いる。この粒子径範囲は経験上、塗膜外観、塗装作業性、塗膜物性、及び遮熱機能性の点から最適の範囲である。
これら、構造保持材としてのアクリル系ポリマとシリカ粒子は、特開平11−323197号公報の段落[0026],[0027]に記載されているように、溶液に分散させたときに、分子間の水素結合、配位結合、ファンデルワールス力などの非共有結合によっていわゆる足場構造を形成し、この足場構造が形成されている溶液中にセラミックバルーン等の粒子を存在させると、セラミックバルーンは足場構造の中に取り込まれた状態となり、溶液中においてバブルの均一分布状態が保持される。
なお、(Co,Fe)(Fe,Cr)2O4やCr2O3等の赤外線反射複合酸化物系黒顔料を加えても良い。
本実施形態では、導電層15としては、抵抗率103〜105cmΩを有する樹脂塗装材又は導電粉体を含有した塗料を用いる。
導電層15として具体的には、例えば、アクリル系クリア塗装を、車両外側のビードシート部11aに、下塗り層13の上に、幅1mm、厚さ500μmで図1に示すようホイール全周に亘って帯状に、幅方向を遮熱断熱層14に挟まれるように塗装する。
ここで、導電層15のアクリル系クリア塗装を厚さ500μmとしたのは、導電層15についても、遮熱断熱性能を確保するには、500μm程度の厚さが必要であるためである。
従って、遮熱断熱層14と導電層15の厚さをともに500μmとして、ビード部21aに接する面が同じ高さとなるようにする。
このとき、ホイール周方向の一方側やホイール幅方向の一方側に塗膜が偏らないようにすることが必要である。例えば、冶具を用いてホイール中心軸を水平に保った状態の車両用ホイール10を、ホイール中心軸周りにゆっくり回転させながら塗布し、且つ、乾燥状態がある程度進み、垂れがなくなるまでその回転を維持する手法や、塗装を数回に分け、塗布した表面を乾燥させてから次の塗装を行なう手法等により、より均一な層となる工程が好ましい。
また、車両用ホイール10を水平に寝かせた状態にして、塗装を数回に分け、塗布した表面を乾燥させてから次の塗装を行なっても良い。
このようにすることで、ホイール周方向の一方側やホイール幅方向の一方側に塗装材が偏ることや、ウェル部11cからビードシート部11aに至るホイール径方向外方側への立ち上がり部分の塗膜が薄くなって、ウェル部11cに偏ることが防止できる。
比較例の通常のクリア塗装13’だけの遮熱断熱層を有しない車両用ホイール10Aの場合、タイヤ20の自己発熱による熱は、以下の3つの経路で放熱される。
(1)矢印Aで示したようにタイヤ20の表面から大気に放熱
(2)矢印B示したようにビード部21aから、ビードシート部11aを経て、リム11、ディスク12を介して大気に放熱
(3)矢印Cで示したようにタイヤ空気室MC内の空気を加熱して、リム11を経て、ディスク12を介して大気に放熱、又は、タイヤ20の内面から直接リム11へ熱放射により熱伝達されて、ディスク12を介して大気に放熱
この場合、車両が停止して十分タイヤ温度が低下した低温状態からの走行開始で、60km/hの速度で30分走行したとき、タイヤトレッド部温度が5℃比較例の曲線l2Aより高くすることができることがわかった。また、タイヤ空気室MCの温度は、図示しないが比較例の場合よりも8℃上昇することが分かった。
また、図3の(b)のグラフは、(a)と同一条件の下でのタイヤ空気室MCの圧力の時間推移を示した図である。縦軸がタイヤ20のタイヤ空気室MCの圧力を、横軸が車両が走行開始してからの経過時間を表わしたものであり、曲線l1Bは、遮熱断熱層14を有する場合、曲線l2Bは、遮熱断熱層14を有しない場合を示している。
タイヤ空気室MCの圧力は、比較例の場合よりも10kPa上昇した。また、60km/hの速度で30分走行した後停止した場合の、タイヤ空気室MCの圧力は、本実施形態の場合の曲線l1Bでは、10分間当たり7kPaの割合で圧力が低下したのに対し、比較例の曲線l2Bの場合10分間当たり10kPaの割合で圧力が低下し、本実施形態における遮熱断熱層14の効果が歴然と現れ、車両が一時停止や駐車をしても、タイヤ20の温度低下が抑制される。
その結果、転がり抵抗がその分低下し、燃費が1%向上することが分かった。
11 リム
11a ビードシート部
11b リムフランジ部
11c ウェル部
11d 外周面
12 ディスク
13 下塗り層
14 遮熱断熱層(コーティング部)
15 導電層(導電部)
20 タイヤ
21a ビード部
21b トレッド部
MC タイヤ空気室
Claims (2)
- リム外周面のタイヤ空気室の空気が接する部位全面及びタイヤが接する部位全面に、遮熱断熱コーティングによるコーティング部を形成したことを特徴とする車両用ホイール。
- 前記コーティング部は、前記リム外周面のタイヤが接する部位面の一部に、前記タイヤを通じて静電気を路面に放電するための導電部を有することを特徴とする請求項1に記載の車両用ホイール。
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