JP2009248118A - バックアップロール装置 - Google Patents

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泰延 大野
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Abstract

【課題】 回転トルクの低減に効果のあるバックアップロール装置を提供する。
【解決手段】 このバックアップロール装置11は、ロール13と軸12との間に、ラジアル荷重負荷用のころ軸受14とスラスト荷重負荷用の玉軸受15を介在させたものである。玉軸受15は、軸方向の一端側にのみ1個設けられる。この玉軸受15は、軸方向の両方向のスラスト荷重の支持が可能なものであって、ロール13および軸12に対して軸方向の両方向に固定される。
【選択図】 図4

Description

この発明は、鉄鋼材の圧延工程におけるテンションレベラ等に用いられるバックアップロール装置に関する。
鋼板等の圧延作業の最終工程では、圧延された鋼板等のレベリング材を矯正機であるテンションレベラに通すことで応力の除去が行なわれ、これによりレベリング材の精度が確保される。テンションレベラは、一般的にワークロール、中間ロール、およびバックアップロールを1つのユニットとして備え、そのユニットが、レベリング材をその進行方向の上下から挟み込むように配置される。このテンションレベラでは、前記ワークロールがレベリング材に直接的に接触して、レベリング材の矯正を行う。このワークロールを、前記中間ロールおよびバックアップロールで支持し、最終的には、バックアップロールがすべての荷重を支える。
前記バックアップロールにおいては、要求機能として回転トルクが低いことが求められる。すなわち、バックアップロールは相手ロールである中間ロールとの連れ回りで回転する構成であるため、負荷条件にもよるが、回転トルクが重ければ回転せず、スリップして軸受の損傷に止まらず、中間ロールを介してレベリング材にも傷を付け、品質のトラブルを生じさせる。
図8は、鉄鋼材の圧延工程で用いられている一般的なテンションレベラにおけるバックアップロール装置の一部を破断して示す断面図である。軸32の両端側にそれぞれ各1個の玉軸受35A,35Bが設けられ、各玉軸受35A,35Bの軸方向内側位置にはそれぞれ各1個のニードル軸受34が設けられている。これらの玉軸受35A,35Bとニードル軸受34とで、ロール33が軸32に回転自在に支持されている。前記2個の玉軸受35A,35Bは、軸32の軸方向両方向からのスラスト荷重を負荷するためのものであり、前記2個のニードル軸受34はラジアル荷重を負荷するためのものである。すなわち、玉軸受35A,35Bは、その設置において、軸32の外径面と軸受内輪との間に隙間が設けられており、ラジアル荷重は負荷されないが、スラスト荷重の受け渡しのために軸方向の一方向に内外輪が固定されている。これにより、ロール33の回転時には、ラジアル荷重負荷用のニードル軸受34の回転とともに、ロール33の内径面に圧入されている玉軸受35A,35Bもロール33に連れ回る形で回転する。この際の回転トルクを考えると、ニードル軸受34の回転とともに、玉軸受35A,35Bの回転トルクもトルク大の方向に影響を与えるのは明らかである。
一方、バックアップロール装置の要求機能を考えた場合、レベリング材への傷の転写は厳禁である。その傷の転写の原因となるバックアップロール装置と中間ロールとの間、あるいは中間ロールとワークロールとの間のすべりによる傷の発生を防止するために、スリップしないように回転トルクは可能な限り低減する必要がある。
また、圧延のサイクルタイム短縮の目的から、レベリング材を流すラインスピードは速くなっており、バックアップロール装置の回転数も高回転化が要求されている。この点からも、高速時の温度上昇を抑制し、高回転化を実現するために、回転トルクを低減することは有効である。
そこで、バックアップロール装置の回転トルクを低減する対策として、軸の両端側でロールを支持する軸受の軸方向外側位置において、ロール側に設けられロールと軸の間の空間を密封するシール部材の材料や構造について工夫したものが提案されている(例えば特許文献1,2)。
特開平5−296233号公報 実公昭61−28096号公報
しかし、特許文献1,2に開示のように、シール部材の材料や構造について工夫した対策のみでは、回転トルクの低減効果に限界があり、十分な回転トルク低減を行なえない。
この発明の目的は、回転トルクの低減に効果のあるバックアップロール装置を提供することである。
この発明のバックアップロール装置は、ロールと軸との間に、ラジアル荷重負荷用のころ軸受とスラスト荷重負荷用の玉軸受を介在させたバックアップロール装置において、前記玉軸受を軸方向の一端側にのみ1個設けたことを特徴とする。
従来のバックアップロール装置では、使用に際して発生する誘起スラスト荷重を軸方向の両端に配置した2個の玉軸受で負荷していたが、このバックアップロール装置では、1個のみの玉軸受でスラスト荷重を負荷する構成としているため、玉軸受の1個分だけ従来品に比べて回転トルクを低減できる。
このように、回転トルクを低減できることから、バックアップロール装置と相手ロールの間でのスリップが減少する。これにより、スリップによるロールのすべり傷も抑えられ、すべり傷がレベリング材に転写する不具合が減少する。
また、すべり傷が発生しにくくなることから、圧延工程のライン等においてバックアップロール装置の交換のサイクルを延ばすことができる。
また、回転トルクを低減できることから、回転時の温度上昇が抑えられ、従来のバックアップロール装置の場合と比較して高回転での使用が可能となる。
この発明において、前記玉軸受は、軸方向の両方向のスラスト荷重の支持が可能なものであって、前記ロールおよび軸に対して軸方向の両方向に固定してもよい。また、玉軸受を軸方向の両方向に固定するのに止め具を用いてもよい。
このように、1個の玉軸受を、例えば止め具で軸方向の両方向に固定することにより、玉軸受が1個のみでありながら、軸方向の両方向のスラスト荷重を負荷することができる。これにより、スラスト荷重負荷時のロールの抜け出しを防止することができる。
この発明において、軸方向における前記玉軸受の設置位置とは反対側のロール端付近に、前記軸とロールの間に形成される環状空間を密封するシール部材を設けてもよい。
このように、玉軸受が設けられない他端側に、シール部材を設けることにより、玉軸受が設けられないことで密封性が損なわれるのを防止できる。
この発明において、前記玉軸受および前記シール部材に対する軸方向外側位置に、前記軸と前記ロールの間に形成される環状空間を密封する第2のシール部材をそれぞれ設けてもよい。
このように、玉軸受およびシール部材の軸方向外側位置に、軸とロールの間に形成される環状空間を密封する第2のシール部材をそれぞれ設けることにより、洗浄液がかかる条件(ウェット仕様)で使用しても、ころ軸受や玉軸受の内部に洗浄液が侵入するのを確実に防止できる。この場合、第2のシール部材は接触シールであることが望ましい。
この発明のバックアップロール装置は、ロールと軸との間に、ラジアル荷重負荷用のころ軸受とスラスト荷重負荷用の玉軸受を介在させたバックアップロール装置において、前記玉軸受を軸方向の一端側にのみ1個設けたため、回転トルクの低減に効果のあるバックアップロール装置とすることができる。
この発明の一実施形態を図1ないし図5と共に説明する。図1は鋼板等の圧延作業の最終工程における圧延設備の概略図を示す。この工程では、上下に配置された駆動ロール1に挟まれて移送される鋼板等のレベリング材2の応力が、矯正機であるテンションレベラ3により除去され、これによりレベリング材2の精度が確保される。テンションレベラ3は、レベリング材2の移送路を挟んで上下に配置される複数のテンションレベラユニット4からなる。
図2および図3に、前記テンションレベラユニット4の側面図および正面図を示す。このテンションレベラユニット4は、ワークロール5、中間ロール6、およびこの発明のバックアップロール装置11を備える。ワークロール5はレベリング材2に直接的に接触して、レベリング材2の矯正を行う。このワークロール5を、前記中間ロール6およびバックアップロール装置11で支持し、最終的には、バックアップロール装置11ですべての荷重を支える。
図4は、この発明のバックアップロール装置11の一実施形態を、一部を破断した断面図で示す。このバックアップロール装置11は洗浄液のかからない条件で使用されるドライ仕様のものであって、軸12に外嵌したロール13を、ラジアル荷重負荷用の2個のころ軸受14とスラスト荷重負荷用の1個の玉軸受15とで、軸12に対して回転自在に支持している。ころ軸受14は保持器付針状ころからなり、軸12の軸方向両端側に1個ずつ配置される。玉軸受15は深溝玉軸受からなり、2個のころ軸受14のうち、一方のころ軸受14(図の右側)の設置位置の軸方向外側に配置される。玉軸受15としては、このほか4点接触型玉軸受を用いてもよい。なお、ころ軸受14は、保持器付き針状ころに限らず、軌道軸付きの軸受や、円筒ころ軸受であってもよく、また、その配置個数も、1個ずつに限らず、両側または片側につき、複数個配置してもよい。
各ころ軸受14の保持器14aは、ロール13の内径面に嵌合した環状のワッシャー16および止め具17により軸方向の両方向に固定されている。
玉軸受15はラジアル荷重を負荷しないので、その外輪15bがロール13の内径面に圧入され、内輪15aの内径面と軸12の外径面との間には隙間が設けられている。この玉軸受15は、軸方向の両方向(矢印A,Bで示す)のスラスト荷重の支持が可能なものであって、前記ロール13および軸12に対して軸方向の両方向に固定されている。具体的には、玉軸受15の軸方向内側に配置されるころ軸受14を軸方向の一方向に固定するワッシャー16と、玉軸受15との間に介在して、ロール13の内径面に嵌合した環状の止め具17と、玉軸受15の軸方向外側に配置されてロール13の内径面に嵌合した環状の止め具18とで、玉軸受15の外輪15bが挟まれて、軸方向の両方向に固定される。また、軸12における玉軸受15の軸方向内側に形成された段面12aと、軸12における玉軸受15の軸方向外側に配置されて軸12の外径面に嵌合した環状のカバー19とで、玉軸受15の内輪15aが挟まれて、軸方向の両方向に固定される。この場合、軸12の前記段面12aと前記カバー19が、玉軸受内輪15aの止め具となる。前記カバー19は、軸12の外径面に嵌合した環状の止め具20により、軸方向の一方向(玉軸受15とは反対側)に固定される。
軸方向における玉軸受15の設置位置とは反対側である他端側、つまり他端側のころ軸受14の設置位置の軸方向外側には、軸12とロール13の間に形成される環状空間を密封する環状のシール部材21が設けられている。このように、玉軸受15が設けられない他端側に、シール部材21を設けることにより、玉軸受15が設けられないことで密封性が損なわれるのを防止できる。このシール部材21は、その外周部がロール13の内径面に形成された円周溝に嵌合して固定され、内周部が軸12の外径面に非接触で対向する非接触シールとされている。この実施形態のバックアップロール装置11はドライ仕様であるため、このような非接触シールで十分にころ軸受14および玉軸受15を保護することができる。
軸12における前記シール部材21の設置位置よりも軸方向外側にも、前記玉軸受15の設置側と同様の構造のカバー19が設けられている。これら両カバー19の外径面に、軸方向に並ぶ複数の円周溝19aを形成し、カバー19の外径面と径方向に対向するロール13の内径面との間に非接触シールであるラビリンスシール22を構成してもよい。
また、このバックアップロール装置11がドライ仕様であることから、玉軸受15における内外輪15a,15bの間に形成される環状空間を密封するシール部材15cも非接触シールとされている。図4の例では、玉軸受15のシール部材15cを、図5(A)のように玉軸受15の軸方向外側位置にだけ設けているが、同図(B)のように軸方向外側位置と内側位置の両方に設けてもよく、さらには同図(C)のように軸方向両側位置のいずれにもシール部材15cを設けない構成としてもよい。
従来のバックアップロール装置では、使用に際して発生する誘起スラスト荷重を軸方向の両端に配置した2個の玉軸受で負荷していたが、このバックアップロール装置11では、1個のみの玉軸受15でスラスト荷重を負荷する構成としているため、玉軸受15の1個分だけ従来品に比べて回転トルクを低減できる。
このように、回転トルクを低減できることから、バックアップロール装置11と相手ロールである中間ロール6(図2)との間でのスリップが減少する。これにより、スリップによるロール13のすべり傷も抑えられ、すべり傷がレベリング材2(図1)に転写する不具合が減少する。
また、すべり傷が発生しにくくなることから、圧延工程のラインにおいてバックアップロール装置11の交換のサイクルを延ばすことができる。
また、回転トルクを低減できることから、回転時の温度上昇が抑えられ、従来のバックアップロール装置の場合と比較して高回転での使用が可能となる。
従来のバックアップロール装置では、図9のように2個の玉軸受35A,35Bで方向の異なるスラスト荷重を分担して負荷するようにしている。すなわち、同図において、矢印Aの方向からのスラスト荷重は玉軸受35Aで負荷し、矢印Bの方向からのスラスト荷重は玉軸受35Bで負荷するようにしている。このため、ロール33および軸32に対して、玉軸受35Aでは同図におけるA1,A2の部分で矢印Aの方向に固定され、玉軸受35Bでは同図におけるB1,B2の部分で矢印Bの方向に固定されている。
これに対して、この実施形態のバックアップロール装置では、1個の玉軸受15を、ロール13および軸12に対して、止め具17,18、および止め具となる軸12の段面12aとカバー19とで、軸方向の両方向に固定しているので、玉軸受15が1個でありながら、軸方向の両方向のスラスト荷重を負荷することができる。これにより、スラスト荷重負荷時のロール13の抜け出しを防止することができる。
なお、この実施形態では、止め具17,18、および止め具となる軸12の段面12aとカバー19とで、ロール13および軸12に対して、玉軸受15を軸方向の両方向に固定しているが、その固定手段は止め具に限らず、どのような構成のものであってもよい。
図6は、この発明の他の実施形態を示す。このバックアップロール装置11Aは洗浄液がかかる条件で使用されるウェット仕様のものであって、図4の実施形態において、前記玉軸受15および前記シール部材21の軸方向外側位置に、軸12とロール13の間に形成される環状空間を密封する第2のシール部材23をそれぞれ設けている。この場合の第2のシール部材23は接触シールとなるものであって、例えば芯金に弾性部材を接着した環状のものが使用される。
具体的には、玉軸受15の軸方向外側位置に配置されるシール部材23については、玉軸受外輪15bを軸方向の両方向に固定する2つの止め具17,18Aのうち、軸方向外側に位置する断面逆L字状の止め具18Aの円筒部内径面に、その外径部の芯金が圧入嵌合されている。このシール部材23の内周側に延びる弾性部材からなるリップ部23aは、玉軸受内輪15aの止め具となる断面L字状のカバー19Aの円筒部外径面に摺接している。前記止め具18Aは、軸12の外径面に嵌合する環状の止め具24により、軸方向の一方向(玉軸受15とは反対側)に固定される。
また、シール部材21の軸方向外側位置に配置されるシール部材23については、その外周部の芯金がロール13の内径面に圧入嵌合され、その内周側に延びる弾性部材からなるリップ部23aが、断面L字状のカバー19Aの円筒部外径面に摺接している。
なお、前記シール部材21については、上記構成のものに限らず、オイルシールなど他の形式のものを使用してもよい。
また、この玉軸受15における内外輪15a,15bの間に形成される環状空間を密封するシール部材15cは、回転トルクを低減する観点からは非接触シールとするのが望ましいが、この実施形態のバックアップロール装置11Aはウェット仕様であることから、接触シールとしてもよい。図6の例では、玉軸受15のシール部材15cを、図7のように玉軸受15の軸方向外側位置と内側位置の両方に設けている。
このように、この実施形態のバックアップロール装置11Aでは、図6の実施形態において、前記玉軸受15および前記シール部材21の軸方向外側位置に、軸12とロール13の間に形成される環状空間を密封する第2のシール部材23をそれぞれ設けているので、洗浄液がかかる条件(ウェット仕様)で使用しても、ころ軸受14や玉軸受15の内部に洗浄液が侵入するのを確実に防止できる。
鋼板等の圧延作業の最終工程の設備を示す概略図である。 テンションレベラユニットの側面図である。 テンションレベラユニットの正面図である。 この発明の一実施形態にかかるバックアップロール装置の一部を破断して示す断面図である。 (A)は同バックアップロール装置に用いられる玉軸受の拡大断面図、(B)は同玉軸受の他の例の拡大断面図、(C)は同玉軸受のさらに他の例の拡大断面図である。 この発明の他の実施形態にかかるバックアップロール装置の一部を破断して示す断面図である。 同バックアップロール装置に用いられる玉軸受の拡大断面図である。 従来例の一部を破断して示す断面図である。
符号の説明
11,11A,11B…バックアップロール装置
12…軸
13…ロール
14…ころ軸受
15,15A,15B…玉軸受
17,18…止め具
19,19A…カバー(止め具)
21…シール部材
23…第2のシール部材

Claims (5)

  1. ロールと軸との間に、ラジアル荷重負荷用のころ軸受とスラスト荷重負荷用の玉軸受を介在させたバックアップロール装置において、前記玉軸受を軸方向の一端側のみに1個設けたことを特徴とするバックアップロール装置。
  2. 請求項1において、前記玉軸受は、軸方向の両方向のスラスト荷重の支持が可能なものであって、前記ロールおよび軸に対して軸方向の両方向に固定したバックアップロール装置。
  3. 請求項2において、前記玉軸受を止め具により軸方向の両方向に固定したバックアップロール装置。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、軸方向における前記玉軸受の設置位置とは反対側のロール端付近に、前記軸と前記ロールの間に形成される環状空間を密封するシール部材を設けたバックアップロール装置。
  5. 請求項4において、前記玉軸受および前記シール部材に対する軸方向外側位置に、前記軸と前記ロールの間に形成される環状空間を密封する第2のシール部材をそれぞれ設けたバックアップロール装置。
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