JP2009244338A - 有機半導体素子、有機半導体素子の製造方法、および表示装置 - Google Patents

有機半導体素子、有機半導体素子の製造方法、および表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】有機トランジスタが用いられた有機半導体素子であって、簡易な工程で製造可能であり、表示装置に用いられた場合に高精細な画像を優れた品質で表示することが可能な有機半導体素子を提供することを主目的とするものである。
【解決手段】絶縁性材料からなり、貫通孔を有する絶縁性フィルムと、上記絶縁性フィルム上に形成された有機トランジスタと、上記絶縁性フィルムの上記有機トランジスタが形成された面とは反対側の面上に形成された表示電極とを有し、上記表示電極と、上記有機トランジスタとが上記絶縁性フィルムの貫通孔を通して通電するように接続されていることを特徴とする有機半導体素子を提供することにより、上記課題を解決するものである。
【選択図】図1

Description

本発明は、有機トランジスタが用いられた有機半導体素子およびその製造方法等に関するものである。
TFTに代表される半導体トランジスタは、近年、ディスプレイ装置の発展に伴ってその用途を拡大する傾向にある。このような半導体トランジスタは、半導体材料を介して電極が接続されていることにより、スイッチング素子としての機能を果たすものである。
従来、上記半導体トランジスタに用いられる半導体材料としては、シリコン(Si)やガリウム砒素(GaAs)やインジウムガリウム砒素(InGaAs)などの無機半導体材料が用いられており、近年、普及が拡大している液晶表示素子のディスプレイ用TFTアレイ基板にもこのような無機半導体材料を用いた半導体トランジスタが用いられている。
その一方で、上記半導体材料としては、有機化合物からなる有機半導体材料も知られている。このような有機半導体材料は、上記無機半導体材料に比べて安価に大面積化が可能であり、フレキシブルなプラスチック基板上に形成でき、さらに機械的衝撃に対して安定であるという利点を有することから、電子ペーパー代表されるフレキシブルディスプレイ等のディスプレイ装置への応用などを想定した研究が活発に行われている。
ここで、図7に例示するように、従来の有機半導体材料が用いられた半導体素子100は、任意の基板101上に有機半導体材料が用いられた有機トランジスタ102が形成され、さらに上記基板101の上記有機トランジスタが形成された面上に表示電極103が形成された構成を有するものが一般的であった。
ところで、近年のディスプレイ装置はより高密度の画像データ表示や、動画表示品質の向上のためのアクティブマトリクス駆動方式の採用等に代表される技術開発が進んでいる。このため、当該ディスプレイ装置に用いられる半導体素子についても、より開口率が高く、トランジスタが高密度かつ高精度で配置されたものが要求されるようになっている。このため、図7に例示したような構造を有する従来の半導体素子では、このような要求に応ずることができなくなりつつある点が問題になっていた。
この点、特許文献1には、基板と、上記基板上に形成された有機トランジスタと、上記有機トランジスタを覆うように形成された絶縁層と、当該絶縁層上に上記有機トランジスタと通電するように形成された表示電極とを有する半導体素子が開示されている。このような構造を有する半導体素子は、有機トランジスタと表示電極とを別の平面上に形成するものであるから、より開口率の高い半導体素子を作製することが可能であるという利点を有するとされている。
しかしながら、このような構造を有する半導体素子は種々の問題点が指摘されている。まず、絶縁層という新たな構成を採用しなければならないため、製造工程が煩雑になるという問題点があった。また、上記絶縁層は上記有機トランジスタを覆うように形成されることが必須になっているが、上記有機トランジスタに用いられる有機半導体材料は有機溶媒等に浸食されやすいため、上記絶縁層を形成する際に有機トランジスタが損傷してしまい、製造される半導体素子の性能が著しいく低下してしまうという問題点があった。さらに、上記構造を有する半導体素子においては、上記絶縁層上に表示電極が形成されることになるが、有機トランジスタの存在や表示電極と有機トランジスタを通電させるために絶縁層に形成された貫通孔の存在等により、絶縁層の表面に凹凸が形成されてしまうため、平坦な表面を有する表示電極を形成することが困難であるという問題点があった。
特開2004−281623号公報
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、有機トランジスタが用いられた有機半導体素子であって、簡易な工程で製造可能であり、表示装置に用いられた場合に高精細な画像を優れた品質で表示することが可能な有機半導体素子を提供することを主目的とするものである。
上記課題を解決するために本発明は、絶縁性材料からなり、貫通孔を有する絶縁性フィルムと、上記絶縁性フィルム上に形成された有機トランジスタと、上記絶縁性フィルムの上記有機トランジスタが形成された面とは反対側の面上に形成された表示電極とを有し、上記表示電極と、上記有機トランジスタとが上記絶縁性フィルムの貫通孔を通して通電するように接続されていることを特徴とする有機半導体素子を提供する。
本発明の有機半導体素子によれば、上記有機トランジスタと上記表示電極とが、上記絶縁性フィルムの互いに反対側の表面上に形成されていることにより、別途絶縁層等の新たな構成を採用することなく、より単純化された構成で上記有機トランジスタと上記表示電極とを異なる表面上に形成することができる。このため、本発明によれば簡易な構成で高開口率の有機半導体素子を製造することができる。
また本発明によれば、上記有機トランジスタ上に絶縁層等を形成する必要がないため、製造工程において有機トランジスタの特性が低下してしまうことが少なくなる。さらに上記有機トランジスタと、上記表示電極との間に上記絶縁性フィルムが存在するため、開口率を高めるために従来以上の更なる高密度で有機トランジスタおよび表示電極を形成したとしても両者が短絡することを物理的に防止することができる。これらのことより、本発明によれば、より高開口率で、よりトランジスタ特性に優れた有機半導体素子を得ることができる。
さらに本発明によれば、上記表示電極が凹凸の無い平坦な絶縁性フィルムの表面上に形成されることになるため、表示電極の表面を凹凸の無い平坦なものにすることができる。したがって、本発明によれば表示装置に用いられた場合に、優れた表示品質を達成することが可能な有機半導体素子を得ることができる。
このようなことから、本発明によれば有機トランジスタが用いられた有機半導体素子であって、簡易な工程で製造可能であり、表示装置に用いられた場合に高精細な画像を優れた品質で表示することが可能な有機半導体素子を提供することができる。
本発明の有機半導体素子においては、上記絶縁性フィルム上に上記有機トランジスタが形成されている位置と、上記絶縁性フィルム上に上記表示電極が形成されている位置とが、上記絶縁性フィルムの厚み方向において重なっていることが好ましい。これにより、本発明の有機半導体素子の開口率をさらに向上させることができるからである。
また本発明は、絶縁性材料からなる絶縁性フィルムと、上記絶縁性フィルム上に形成された電極層とを有する有機半導体素子用基板を用い、上記有機半導体素子用基板の、上記絶縁性フィルム側から上記絶縁性フィルムに貫通孔を形成する絶縁性フィルム貫通工程と、上記絶縁性フィルムに形成された貫通孔内に、上記貫通孔を貫くように形成され、上記電極層に接続するように導電性材料からなる通電部を形成する、通電部形成工程と、上記有機半導体素子用基板の上記絶縁性フィルム上であり、かつ上記通電部に接続されるように有機トランジスタを形成する有機トランジスタ形成工程と、を有することを特徴とする、有機半導体素子の製造方法を提供する。
本発明の有機半導体素子の製造方法によれば、上記有機トランジスタ形成工程において、上記有機半導体素子用基板の絶縁性フィルム上に有機トランジスタを形成することにより、上記有機トランジスタと上記電極層とが、上記絶縁性フィルムの互いに反対側の表面上に形成されることになる。このため、本発明によれば、別途絶縁層等の新たな構成を形成することなく、簡易な工程で高開口率の有機半導体素子を製造することができる。
また本発明によれば、上記有機トランジスタと上記表示電極とが、上記絶縁性フィルムのそれぞれ反対側の表面上に形成されるため、開口率を高めるために従来以上の更なる高密度で有機トランジスタおよび表示電極を形成したとしても、製造過程において有機トランジスタと表示電極とが短絡することを物理的に防止することができる。このため、本発明によれば、より高開口率で、よりトランジスタ特性に優れた有機半導体素子を得ることができる。
さらに本発明によれば、予め絶縁性フィルムと電極層とが積層された構成を有する有機半導体素子用基板を用いることにより、電極の表面を凹凸の無い平坦なものにすることができる。このため、本発明によれば表示装置に用いられた場合に、優れた表示品質を達成することが可能な有機半導体素子を製造することができる。
このようなことから、本発明によれば有機トランジスタが用いられた有機半導体素子であって、表示装置に用いられた場合に高精細な画像を優れた品質で表示することが可能な有機半導体素子を簡易な工程で製造することができる。
さらに本発明は、上記本発明に係る有機半導体素子が用いられたことを特徴とする、表示装置を提供する。本発明の表示装置は上記本発明に係る有機半導体素子が用いられていることにより、高精細な画像を優れた品質で表示することができる。
本発明の有機半導体素子は、簡易な工程で製造可能であり、表示装置に用いられた場合に高精細な画像を優れた品質で表示することができるという効果を奏する。また本発明の有機半導体素子の製造方法は、このような有機半導体素子を簡易な工程で製造することができるという効果を奏する。
本発明は、有機半導体素子、有機半導体素子の製造方法、および表示装置の発明に関するものである。以下、これらの発明について順に説明する。
A.有機半導体素子
まず、本発明の有機半導体素子について説明する。上述したように本発明の有機半導体素子は、絶縁性材料からなり、貫通孔を有する絶縁性フィルムと、上記絶縁性フィルム上に形成された有機トランジスタと、上記絶縁性フィルムの上記有機トランジスタが形成された面とは反対側の面上に形成された表示電極とを有し、上記表示電極と、上記有機トランジスタとが上記絶縁性フィルムの貫通孔を通して通電するように接続されていることを特徴とするものである。
このような本発明の有機半導体素子について図を参照しながら説明する。図1は本発明の有機半導体素子の一例を示す概略断面図である。図1に例示するように本発明の有機半導体素子10は、絶縁性材料からなる絶縁性フィルム1と、上記絶縁性フィルム1上に形成された有機トランジスタ2および表示電極3を有するものである。
このような例において、本発明の有機半導体素子10は、上記有機トランジスタ2と上記表示電極3とが上記絶縁性フィルム1の互いに反対側の表面上に形成されており、かつ、上記有機トランジスタ2と上記表示電極3が上記絶縁性フィルム1に形成された貫通孔を通して通電するように接続されていることを特徴とするものである。
なお、図1においては上記有機トランジスタ2と表示電極3とが、上記絶縁性フィルムの1の貫通孔内に形成された通電部5を通じて接続されている。
本発明の有機半導体素子によれば、上記有機トランジスタと上記表示電極とが、上記絶縁性フィルムの互いに反対側の表面上に形成されていることにより、別途絶縁層等の新たな構成を採用することなく、より単純化された構成で上記有機トランジスタと上記表示電極とを異なる表面上に形成することができる。このため、本発明によれば簡易な構成で高開口率の有機半導体素子を製造することができる。
また本発明によれば、上記有機トランジスタ上に絶縁層等を形成する必要がないため、製造工程において有機トランジスタの特性が低下してしまうことが少なくなる。さらに上記有機トランジスタと、上記表示電極との間に上記絶縁性フィルムが存在するため、開口率を高めるために従来以上の更なる高密度で有機トランジスタおよび表示電極を形成したとしても両者が短絡することを物理的に防止することができる。これらのことより、本発明によれば、より高開口率で、よりトランジスタ特性に優れた有機半導体素子を得ることができる。
さらに本発明によれば、上記表示電極が凹凸の無い平坦な絶縁性フィルムの表面上に形成されることになるため、表示電極の表面を凹凸の無い平坦なものにすることができる。したがって、本発明によれば表示装置に用いられた場合に、優れた表示品質を達成することが可能な有機半導体素子を得ることができる。
このようなことから、本発明によれば有機トランジスタが用いられた有機半導体素子であって、簡易な工程で製造可能であり、表示装置に用いられた場合に高精細な画像を優れた品質で表示することが可能な有機半導体素子を提供することができる。
本発明の有機半導体素子は、少なくとも絶縁性フィルム、有機トランジスタおよび表示電極を有するものであり、必要に応じて他の任意の構成を有してもよいものである。
以下、本発明に用いられる各構成について順に説明する。
1.絶縁性フィルム
まず、本発明に用いられる絶縁性フィルムについて説明する。本発明に用いられる絶縁性フィルムは、絶縁性材料からなるものであり、かつ後述する有機トランジスタと表示電極とを通電するように接続することが可能な貫通孔が形成されたものである。
以下、このような絶縁性フィルムについて説明する。
本発明に用いられる絶縁性フィルムは絶縁性を有する絶縁性材料からなり、所望の絶縁性を示すものであれば特に限定されるものではない。
ここで、本発明に用いられる絶縁性フィルムは、フィルムとしての形態を有するものを意味し、自己支持性を有さない塗膜の形態として形成されたものは、たとえ絶縁性材料からなるものであっても本発明における絶縁性フィルムには該当しないものとする。このため、本発明に用いられる絶縁性フィルムは両表面が平坦なものであり、後述する有機トランジスタおよび表示電極は、当該平坦な表面上に形成されたものになる。
本発明に用いられる絶縁性フィルムとしては、貫通孔以外の部位において後述する有機トランジスタと表示電極とが短絡することを防止できる程度の絶縁性を有するものであれば特に限定されるものではない。なかでも本発明に用いられる絶縁性フィルムは、体積抵抗率が1010Ω・cm以上であることが好ましく、1014Ω・cm以上であることがさらに好ましい。ここで、上記体積抵抗率は四探針法または四端子法、二重リング電極法などにより測定することができる。
また、上記絶縁性フィルムを構成する絶縁性材料としては、上述したような所望の絶縁性を有する絶縁性フィルムを得ることができるものであれば特に限定されるものではない。このような絶縁性材料としては、例えば、ポリイミド、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタラート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、液晶ポリマー、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フィノール樹脂等を挙げることができる。本発明においてはこれらのいずれの絶縁性材料であっても好適に用いることができる。なかでも本発明においては上記絶縁性材料として、耐熱性、耐衝撃性、寸法安定性、表面平滑性等を考慮すると、ポリイミド、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタラート、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミドを用いることが好ましい。
なお、本発明に用いられる絶縁性材料は1種類のみであってもよく、あるいは2種類以上であってもよい。
本発明に用いられる絶縁性フィルムの厚みは、上記絶縁性材料の種類等に応じて絶縁性フィルムに所望の絶縁性を付与することが可能であり、かつ貫通孔を形成することができる範囲内であれば特に限定されるものではない。換言すると、上記絶縁性フィルムの厚みは、貫通孔を形成できる範囲内で所望の絶縁性を有するように適宜決定することができるものである。なかでも本発明に用いられる絶縁性フィルムの厚みは、フィルムの絶縁性と、フィルムの可撓性とを両立し得るという観点から、10μm〜200μmの範囲内であることが好ましく、15μm〜150μmの範囲内であることがより好ましく、25μm〜100μmの範囲内であることがさらに好ましい。
また本発明に用いられる絶縁性フィルムの構成としては、絶縁性材料によって構成される単一層からなる構成であってもよく、あるいは複数の層が積層された構成であってもよい。ここで、本発明に用いられる絶縁性フィルムが複数の層が積層された構成を有するものである場合は、最表層のみが絶縁性材料からなることにより、所望の絶縁性が付与されたものであってもよい。
本発明に用いられる絶縁性フィルムは、後述する有機トランジスタと表示電極とが通電するように接続されることが可能な貫通孔が形成されたものであるが、当該貫通孔が形成された態様としては、当該貫通孔を通して有機トランジスタと表示電極とを通電するように接続できる態様であれば特に限定されるものではない。なかでも本発明においては、通常、絶縁性フィルムの厚み方向に対して平行に貫通孔が形成されることが好ましい。
また、絶縁性フィルム表面を正視した際の上記貫通孔の開口形状は、本発明の有機半導体素子の用途や、絶縁性フィルム上に形成される有機トランジスタの構造、さらには当該有機トランジスタが絶縁性フィルム上に配置される態様等に応じて適宜決定することができるものであり、特に限定されるものではない。したがって、上記開口形状としては、円形状、楕円形状、多角形状あるいは矩形状等のいずれであってもよい。また上記開口形状は絶縁性フィルムの表裏において同一であってもよく、あるいは異なっていてもよい。
上記開口形状を円形状とする場合、貫通孔の直径は、当該貫通孔を通して、有機トランジスタと表示電極とを通電するように接続できる範囲内であれば特に限定されるものではない。なかでも本発明においては、10μm〜500μmの範囲内であることが好ましく、30μm〜100μmの範囲内であることがより好ましく、50μm〜80μmの範囲内であることがさらに好ましい。貫通孔の直径が上記範囲よりも大きいと、本発明の有機半導体素子の開口率を所望の程度に増加させることができない場合があるからである。また直径が上記範囲よりも小さいと、本発明の有機半導体素子を製造する過程において、絶縁性フィルムに貫通孔を形成することが実質的に困難になる場合があるからである。
もっとも、貫通孔の大きさは上記絶縁性フィルムの厚みにも依存するものである。より具体的には、絶縁性フィルムに形成することができる貫通孔の大きさは、絶縁性フィルムの厚みと同程度が実質的な下限となるため、絶縁性フィルムの厚みが薄いほど貫通孔の大きさを小さくすることが可能であり、厚みが増すほど形成可能な貫通孔の大きさを大きくすることができる。
2.表示電極
次に、本発明に用いられる表示電極について説明する。本発明に用いられる表示電極は、上述した絶縁性フィルム上であって、後述する有機トランジスタが形成された表面とは反対側の表面上に形成されるものである。また本発明に用いられる表示電極は、上記絶縁性フィルムが備える貫通孔を通して、後述する有機トランジスタと通電するように形成されたものである。
以下、このような表示電極について説明する。
本発明に用いられる表示電極としては、導電性材料からなるものであれば特に限定されるものではなく、本発明の有機半導体素子の用途等に応じて、透明な導電性材料および不透明な導電性材料のいずれからなる表示電極であっても使用することができる。
上記表示電極に用いられる導電性材料としては、所望の導電性を有する表示電極を形成できるものであれば特に限定されるものではない。このような導電性材料としては、例えば、金、銅、銀、アルミニウム、クロム、ニッケル、スズ等の金属材料とポリアニリン、ポリエチレンジオキシチオフェン等の導電性高分子材料とITO、IZO等の酸化物を挙げることができる。本発明においてはこれらのいずれの導電性材料であっても好適に用いることができるが、なかでも金、銀、銅、アルミニウム、ポリアニリン、ポリエチレンジオキシチオフェンがフィルム基材上に形成した場合であっても、亀裂や破断等の破損を生じにくいため好ましい。
本発明に用いられる表示電極は、通常、後述する有機トランジスタに対応してパターン状に形成されたものになる。ここで、表示電極が形成されるパターンや、個々の表示電極の形状および大きさ等は特に限定されるものではなく、本発明の有機半導体素子の用途等に応じて、適宜決定することができる。
また、本発明に用いられる表示電極の厚みについては、上記導電性材料の種類等に応じて表示電極に所望の導電性を付与することができる範囲内であれば特に限定されるものではない。もっとも、本発明の有機半導体素子を製造する方法として、後述する「B.有機半導体素子の製造方法」の項において説明するような、絶縁性フィルムに貫通孔を形成する方法として絶縁性材料からなる絶縁性フィルムと、上記絶縁性フィルム上に形成された表示電極とを有する有機半導体素子用基板を用い、上記有機半導体素子用基板の、上記絶縁性フィルム側から上記絶縁性フィルムに貫通孔を形成する方法を用いる場合は、表示電極の厚みが薄すぎると上記絶縁性フィルムに貫通孔を形成する際に、表示電極にまで貫通孔が形成されてしまう可能性がある。このようなことを考慮すると、本発明に用いられる表示電極の厚みは100nm〜100μmの範囲内であることが好ましく、100nm〜50μmの範囲内であることがより好ましく、100nm〜10μmの範囲内であることがさらに好ましい。
さらに、本発明における表示電極は表面の凹凸が平坦な表面を有するものであることが好ましい。これにより本発明の有機半導体素子を用いた表示装置において、表示電極の表面の凹凸に起因する表示品質の低下を抑制することができるからである。
なお、本発明における表示電極は平坦な表面を有する絶縁性フィルム上に形成されているため、特別な技術を用いることなく、容易に平坦な表面を有する表示電極を形成することができるという利点を有する。
3.有機トランジスタ
次に、本発明に用いられる有機トランジスタについて説明する。本発明に用いられる有機トランジスタは、上記絶縁性フィルムの上記表示電極が形成された表面とは反対側の表面上に形成されるものである。また本発明に用いられる有機トランジスタは、上記絶縁性フィルムが備える貫通孔を介して、上記表示電極と通電するように形成されたものである。
以下、このような有機トランジスタについて詳細に説明する。
本発明に用いられる有機トランジスタとしては、有機半導体材料からなる有機半導体層が用いられ、トランジスタとして機能するものであれば特に限定されるものではない。このような有機トランジスタとしては、通常、少なくとも有機半導体材料からなる有機半導体層、ゲート電極、ゲート絶縁層、ソース電極およびドレイン電極によって構成されるものが用いられる。また、本発明においては、上記ドレイン電極または上記ソース電極のいずれか一方が絶縁性フィルムの貫通孔を介して表示電極と接続されるように形成される。
本発明に用いられる有機トランジスタについて図を参照しながら説明する。図2は本発明に用いられる有機トランジスタの例を示す概略断面図である。図2(a)に例示するように、本発明に用いられる有機トランジスタ2は、絶縁性フィルム1上に形成されたゲート電極2aと、上記ゲート電極2aを覆うように形成されたゲート絶縁層2bと、上記ゲート絶縁層2b上にチャネル領域を構成するように形成されたソース電極2cおよびドレイン電極2dと、上記チャネル領域上に形成され、有機半導体材料からなる有機半導体層2eとを有するものであってもよい。このような例において上記有機トランジスタ2と表示電極3とは、上記絶縁性フィルム1の貫通孔内に形成された通電部5に上記ドレイン電極2dと、表示電極3とが接続されることにより通電状態にされている。
また、図2(b)に例示するように、本発明に用いられる有機トランジスタ2は、絶縁性フィルム1上に形成され、有機半導体材料からなる有機半導体層2eと、上記有機半導体層2e上においてチャネル領域を構成するように形成されたソース電極2cおよびドレイン電極2dと、上記チャネル領域上に形成されたゲート絶縁層2bと、上記ゲート絶縁層2b上に形成されたゲート電極2aとを有するものであってもよい。このような例においても上記有機トランジスタ2と表示電極3とは、上記絶縁性フィルム1の貫通孔内に形成された通電部5に上記ドレイン電極2dと、表示電極3とが接続されることにより通電状態にされている。
ここで、上記図2(a)に例示した有機トランジスタは、ボトムゲート型構造を有するものとなり、上記図2(b)に例示した有機トランジスタはトップゲート型構造を有するものとなるが、本発明に用いられる有機トランジスタの構造としては、図2に例示した構造に限定されるものではなく、任意の構造の有機トランジスタを用いることができる。
なお、上記図2においては、ドレイン電極と表示電極とが接続されることにより有機トランジスタと表示電極とが通電状態にされた例を示したが、本発明において有機トランジスタが用いられる態様としては、このような態様に限定されるものではなく、例えば、有機トランジスタと表示電極とがソース電極と表示電極とが接続されることにより通電状態にされたものであってもよい。
上述したように本発明に用いられる有機トランジスタは、有機半導体材料からなる有機半導体層を有するものであるが、上記有機半導体材料としては、本発明の有機半導体素子の用途等に応じて、所望の半導体特性を備える有機半導体層を形成できる材料であれば特に限定されるものではなく、一般的に有機トランジスタに用いられる有機半導体材料を用いることができる。このような有機半導体材料としては、例えば、π電子共役系の芳香族化合物、鎖式化合物、有機顔料、有機ケイ素化合物等を挙げることができる。より具体的には、ペンタセン等の低分子系有機半導体材料、および、ポリピロール、ポリ(N−置換ピロール)、ポリ(3−置換ピロール)、ポリ(3,4−二置換ピロール)等のポリピロール類、ポリチオフェン、ポリ(3−置換チオフェン)、ポリ(3,4−二置換チオフェン)、ポリベンゾチオフェン等のポリチオフェン類、ポリイソチアナフテン等のポリイソチアナフテン類、ポリチェニレンビニレン等のポリチェニレンビニレン類、ポリ(p−フェニレンビニレン)等のポリ(p−フェニレンビニレン)類、ポリアニリン、ポリ(N−置換アニリン)等のポリアニリン類、ポリアセチレン等のポリアセチレン類、ポリジアセチレン、ポリアズレン等のポリアズレン類等の高分子系有機半導体材料を挙げることができる。なかでも本発明においては、ペンタセンまたはポリチオフェン類を好適に用いることができる。
また、本発明に用いられる有機半導体層の厚みについては、上記有機半導体材料の種類等に応じて所望の半導体特性を発現させることができる範囲内であれば特に限定されない。なかでも本発明に用いられる有機半導体層の厚みは1000nm以下であることが好ましく、なかでも5nm〜300nmの範囲内であることが好ましく、特に20nm〜100nmの範囲内であることが好ましい。
また、上述したように本発明に用いられる有機トランジスタには、通常、上記有機半導体層以外にゲート電極、ゲート絶縁層、ソース電極およびドレイン電極が用いられるが、これらの各構成については、一般的に有機トランジスタに用いられるものと同様であるため、ここでの詳しい説明は省略する。
5.有機半導体素子
本発明の有機半導体素子は、有機トランジスタと表示電極とが絶縁性フィルムの互いに異なる表面上に形成され、当該絶縁性フィルムに形成された貫通孔を通じて、有機トランジスタと表示電極とが通電するように接続されていることを特徴とするものであるが、上記有機トランジスタと表示電極とが上記貫通孔を通して接続されている態様としては、有機トランジスタと表示電極とが通電するような態様であれば特に限定されるものではない。なかでも本発明においては、上記絶縁性フィルムに形成された貫通孔内に、当該貫通孔を貫くように通電部が形成され、当該通電部に有機トランジスタおよび表示電極が接続されることにより、有機トランジスタと表示電極とが通電するように接続されていることが好ましい(図1、図2参照)。
本発明に用いられる通電部としては、有機トランジスタと表示電極とが通電させることができるように、電導性材料から形成されたものであれば特に限定されるものではない。このような通電部としては、例えば、上記絶縁性フィルムの貫通孔を閉塞させるように形成されたものと、上記貫通孔を閉塞させることなく、上記貫通孔の内側の表面上のみに形成されたものとを挙げることができる。
このような通電部について図を参照しながら説明する。本発明の有機半導体素子において、上記通電部が形成される態様の一例を示す概略断面図である。図3(a)に例示するように、本発明における通電部5は、絶縁性フィルム1の貫通孔を閉塞させるように形成されたものであってもよく、あるいは図3(b)に例示するように絶縁性フィルム1に形成された貫通孔を閉塞させることなく、当該貫通孔の内側の表面上のみに形成されたものであってもよい。
本発明においては、上記のいずれの態様で形成された通電部であっても好適に用いることができる。
なお、上記通電部として絶縁性フィルムに設けられた貫通孔を閉塞させることなく、当該貫通孔の内側の表面上のみに形成されたものを用いる場合、貫通孔に内側の表面上に形成される通電部の厚みは特に限定されないが、より低い電気抵抗で有機トランジスタと表示電極と接続させるという観点からは、100nm〜10μmの範囲内であることが好ましく、200nm〜5μmの範囲内であることがより好ましく、500nm〜5μmの範囲内であることがさらに好ましい。
上記通電部に用いられる電導性材料としては、有機トランジスタと表示電極とを通電させることが可能な通電部を形成できるものであれば特に限定されるものではない。このような電導性材料としては、例えば、金、銅、銀、アルミニウム、クロム、ニッケル、スズ等の金属材料とポリアニリン、ポリエチレンジオキシチオフェン等の導電性高分子材料等を挙げることができる。本発明においてはこれらのいずれの電導性材料であっても好適に用いることができるが、なかでも上記通電部として絶縁性フィルムの貫通孔を閉塞させるように形成されたものを用いる場合は銅等のめっき金属等を用いることが好ましい。一方、上記通電部として絶縁性フィルムに形成された貫通孔を閉塞させることなく、当該貫通孔の内側の表面上のみに形成されたものを用いる場合は、銅等のめっき金属等、金、銀、銅等の導電性ペースト等を用いることが好ましい。
なお、本発明に用いられる電導性材料は1種類のみであってもよく、あるいは2種類以上であってもよい。
また本発明の有機半導体素子は、有機トランジスタと表示電極とが絶縁性フィルムの互いに異なる表面上に形成されていることを特徴とするものであるが、上記有機トランジスタが形成される位置と、上記表示電極が形成される位置との関係については特に限定されるものではない。したがって、本発明の有機半導体素子においては、上記絶縁性フィルム上に上記有機トランジスタが形成されている位置と、上記絶縁性フィルム上に上記表示電極が形成されている位置とが、上記絶縁性フィルムの厚み方向において重なっていてもよく、あるいは両者の位置が重なっていなくてもよい。
図4は本発明の有機半導体素子において上記有機トランジスタと上記表示電極とが形成される位置関係について、その一例を示す概略断面図である。図4に例示するように、本発明の有機半導体素子10において、上記絶縁性フィルム1上に上記有機トランジスタ2が形成されている位置と、上記絶縁性フィルム1上に上記表示電極3が形成されている位置との関係は、図4(a)に例示するように、上記絶縁性フィルムの厚み方向において互いに重なる態様であってもよく、あるいは図4(b)に例示するように両者の位置が重なっていない態様であってもよい。
本発明においては、上記絶縁性フィルム上に上記有機トランジスタが形成されている位置と、上記絶縁性フィルム上に上記表示電極が形成されている位置とが、上記絶縁性フィルムの厚み方向において重なっている態様と、上記絶縁性フィルム上に上記有機トランジスタが形成されている位置と、上記絶縁性フィルム上に上記表示電極が形成されている位置とが重なっていない態様のいずれであっても好適に用いることができる。前者の態様は、特に本発明の有機半導体素子においてより高い開口率を実現できるという利点があり、また後者の態様は、特に本発明の有機半導体素子を液晶表示装置等の透過光を利用する表示装置にも使用することが可能であるという利点を有する。
本発明の有機半導体素子は、少なくとも絶縁性フィルム、有機トランジスタおよび表示電極を有するものであるが、必要に応じて他の任意の構成が用いられてもよい。このような任意の構成としては、本発明の有機半導体素子の用途等に応じて、本発明の有機半導体素子に所望の機能を付与することが可能なものを適宜選択して用いることができる。なかでも上記任意の構成として本発明に用いられることが好ましいものとしては、例えば、上記有機トランジスタを覆うように形成されるパッシベーション層を挙げることができる。このようなパッシベーション層が用いられることにより、上記有機トランジスタの経時劣化を防止することができるため、本発明の有機半導体素子をより耐久性に優れたものにできるという利点がある。
図5は本発明の有機半導体素子にパッシベーション層が用いられる場合の一例を示す概略断面図である。図5に例示するように本発明の有機半導体素子10は、有機トランジスタ2を覆うようにパッシベーション層4が形成されたものであってもよい。
ここで、本発明の有機半導体素子は有機トランジスタと、表示電極とが絶縁性フィルムの互いに異なる表面上に形成されていることから、有機トランジスタに用いられる有機半導体材料に対し、高開口率な表示電極を維持した状態での最適なパッシベーション層を採用することが可能になるという利点がある。
例えば、有機トランジスタに用いられる有機半導体材料が有機溶媒等に浸食されやすく、有機半導体層上に新たに絶縁層を形成することで製造される半導体素子の性能が著しく低下する場合には、封止材を上記有機トランジスタの周囲もしくは有機トランジスタを形成した基材周囲に塗工し、不活性ガス雰囲気中にてガスバリア性を有する高分子フィルムもしくはガラス等を貼り合わせる方法を選択することができる。つまり、上記の貼り合せによるパッシベーション層を用いて、有機半導体素子を集積化した有機半導体素子アレイを封止した場合、有機トランジスタと表示電極とが絶縁性フィルムの互いに異なる表面上に形成されていることから、張り合わせに用いるガスバリア性を有する高分子フィルムもしくはガラス等を表示電極形成のために別途加工することなく、高開口率な表示電極を有する有機半導体装置を製造することができる。
本発明に用いられるパッシベーション層としては、例えば、フルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリビニルフルオライド(PVD)等のフッ素系樹脂からなるものや、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)等のアクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、カルド系樹脂、シリコーン樹脂、または有機−無機ハイブリッド材料等を挙げることができる。
6.有機半導体素子の製造方法
本発明の有機半導体素子は、一般的に有機トランジスタが用いられた有機半導体素子を製造する方法として公知の方法を適宜選択して用いることによって製造することができる。もっとも、本発明の有機半導体素子は、後述する「B.有機半導体素子の製造方法」の項において詳述する有機半導体素子の製造方法を用いることによって、より簡易な工程で製造することが可能である。
B.有機半導体素子の製造方法
次に、本発明の有機半導体素子の製造方法について説明する。上述したように本発明の有機半導体素子の製造方法は、絶縁性材料からなる絶縁性フィルムと、上記絶縁性フィルム上に形成された電極層とを有する有機半導体素子用基板を用い、上記有機半導体素子用基板の、上記絶縁性フィルム側から上記絶縁性フィルムに貫通孔を形成する絶縁性フィルム貫通工程と、上記絶縁性フィルムに形成された貫通孔内に、上記貫通孔を貫くように形成され、上記電極層に接続するように導電性材料からなる通電部を形成する、通電部形成工程と、上記有機半導体素子用基板の上記絶縁性フィルム上であり、かつ上記通電部に接続されるように有機トランジスタを形成する有機トランジスタ形成工程とを有することを特徴とするものである。
このような本発明の有機半導体素子の製造方法について図を参照しながら説明する。図6は、本発明の有機半導体素子の製造方法について、その一例を示す概略図である。図6に例示するように、本発明の有機半導体素子の製造方法は、絶縁性材料からなる絶縁性フィルム1と、上記絶縁性フィルム1上に形成された電極層3’とを有する有機半導体素子用基板11を用い(図6(a))、上記有機半導体素子用基板11の、上記絶縁性フィルム1側から上記絶縁性フィルム1に貫通孔を形成する絶縁性フィルム貫通工程と(図6(b))、上記絶縁性フィルム1に形成された貫通孔内に、上記貫通孔を貫くように形成され、上記電極層3’に接続するように導電性材料からなる通電部5を形成する通電部形成工程と(図6(c))、上記絶縁性フィルム1上であり、かつ上記通電部5に接続されるように有機トランジスタ2を形成する有機トランジスタ形成工程と(図6(d))、上記電極層3’をパターニングする電極層パターニング工程と(図6(e))、を有するものであり、貫通孔を有する絶縁性フィルム1と、上記絶縁性フィルム1上に形成された有機トランジスタ2と、上記絶縁性フィルム1の上記有機トランジスタ2が形成された面とは反対側の面上に形成された表示電極3とが、上記通電部5を介して通電するように接続された構成を有する有機半導体素子10を製造するものである(図6(e))。
本発明の有機半導体素子の製造方法によれば、上記有機トランジスタ形成工程において、上記有機半導体素子用基板の絶縁性フィルム上に有機トランジスタを形成することにより、上記有機トランジスタと上記電極層とが、上記絶縁性フィルムの互いに反対側の表面上に形成されることになる。このため、本発明によれば、別途絶縁層等の新たな構成を形成することなく、簡易な工程で高開口率の有機半導体素子を製造することができる。
また本発明によれば、上記有機トランジスタと上記表示電極とが、上記絶縁性フィルムのそれぞれ反対側の表面上に形成されるため、開口率を高めるために従来以上の更なる高密度で有機トランジスタおよび表示電極を形成したとしても、製造過程において有機トランジスタと表示電極とが短絡することを物理的に防止することができる。このため、本発明によれば、より高開口率で、よりトランジスタ特性に優れた有機半導体素子を得ることができる。
さらに本発明によれば、予め絶縁性フィルムと電極層とが積層された構成を有する有機半導体素子用基板を用いることにより、電極の表面を凹凸の無い平坦なものにすることができる。このため、本発明によれば表示装置に用いられた場合に、優れた表示品質を達成することが可能な有機半導体素子を製造することができる。
このようなことから、本発明によれば有機トランジスタが用いられた有機半導体素子であって、表示装置に用いられた場合に高精細な画像を優れた品質で表示することが可能な有機半導体素子を簡易な工程で製造することができる。
本発明の有機半導体素子の製造方法は、少なくとも絶縁性フィルム貫通工程、通電部形成工程、および有機トランジスタ形成工程とを有するものであり、必要に応じて他の任意の工程を有してもよいものである。
以下、本発明に用いられる各工程について順に説明する。
1.絶縁性フィルム貫通工程
まず、本発明に用いられる絶縁性フィルム貫通工程について説明する。本工程は、絶縁性材料からなる絶縁性フィルムと、上記絶縁性フィルム上に形成された電極層とを有する有機半導体素子用基板を用い、上記有機半導体素子用基板の、上記絶縁性フィルム側から上記絶縁性フィルムに貫通孔を形成する工程である。
以下、このような絶縁性フィルム貫通工程について説明する。
(1)有機半導体素子用基板
まず、本工程に用いられる有機半導体素子用基板について説明する。本工程に用いられる有機半導体素子用基板は、絶縁性材料からなる絶縁性フィルムと、上記絶縁性フィルム上に形成された電極層とを有するものである。
ここで、上記電極層は、本発明によって製造される有機半導体素子において表示電極として用いられるものである。
上記絶縁性フィルムとしては、絶縁性フィルムは絶縁性を有する絶縁性材料からなり、所望の絶縁性を示すものであれば特に限定されるものではない。
ここで、本発明に用いられる絶縁性フィルムは、上記「A.有機半導体素子」の項において説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
また、本発明に用いられる電極層は、本発明によって製造される有機半導体素子において表示電極として用いられるものである。このため、本発明に用いられる電極層は表示電極として利用することが可能な導電性を有するものであれば特に限定されるものではない。また、本発明に用いられる電極層は、上記絶縁性フィルム表面の全面に形成されたものであってもよく、あるいはパターン状に形成されたものであってもよい。
ここで、本発明に用いられる電極層は、絶縁性フィルム表面の全面に形成される場合があることを除いては、上記「A.有機半導体素子」の項において説明した表示電極と同様であるため、ここでの詳しい説明は省略する。
なお、本発明おける電極層が上記絶縁性フィルム表面の全面に形成されたものである場合は、後に当該電極層をパターニングする電極層パターニング工程が用いられることになる(図6参照)。
(2)貫通孔の形成方法
次に、本工程において上記絶縁性フィルムに貫通孔を形成する方法について説明する。本工程において上記絶縁性フィルムに貫通孔を形成する方法としては、上記有機半導体素子用基板の、上記絶縁性フィルム側から上記絶縁性フィルムに貫通孔を形成できる方法であれば特に限定されるものではない。したがって、本工程は上記絶縁性フィルムに貫通孔が形成され、かつ上記電極層には全く孔が形成されない場合であってもよく、あるいは上記絶縁性フィルムに貫通孔が形成され、かつ上記電極層にも貫通していない孔が形成される場合であってもよい。
本工程において貫通孔を形成する方法としては、所定の位置に所望の大きさの貫通孔を形成できる方法であれば特に限定されるものではない。このような方法としては、上記絶縁性フィルムを分解することが可能なレーザー光等を、貫通孔を形成する位置のみに照射する方法、貫通孔を形成する位置のみが開口部とされたマスクを介して、上記絶縁性フィルムの表面に上記絶縁性フィルムを分解することが可能なエネルギー線を照射する方法、上記絶縁性フィルム上に貫通孔を形成する位置のみが開口部としたパターンをドライフィルム等により形成し、開口部の上記絶縁性フィルムを化学エッチングする方法、および、上記絶縁性フィルム上に貫通孔を形成する位置のみが開口部としたパターンをメタルマスク等により形成し、適当なガスを選択しプラズマエッチングする方法等を挙げることができる。本工程においてはこれらのいずれの方法であっても好適に用いることができるが、なかでもレーザーまたは化学エッチングによる加工方法が、微細な貫通孔の形成と安価な加工方法という観点から好ましい。また、レーザーを用いた場合では、バリの少ないホールを形成するため、高分子フィルムの分子結合を直接切断するアブレーション作用のある紫外線領域の波長が特に好ましい。
2.通電部形成工程
次に、本発明に用いられる通電部について説明する。本工程は上記絶縁性フィルム貫通工程において上記絶縁性フィルムに形成された貫通孔内に、上記貫通孔を貫くように形成され、上記電極層に接続されるように導電性材料からなる通電部を形成する工程である。
本工程において、上記絶縁性フィルムに形成された貫通孔内に通電部を形成する方法としては、上記貫通孔を貫くように通電部を形成できる方法であれば特に限定されるものではない。このような方法としては、上記貫通孔を電導性材料で閉塞させるように通電部を形成する方法と、上記貫通孔を閉塞させることなく、上記貫通孔の内側の表面上のみに電導性材料からなる通電部を形成する方法とを挙げることができる。前者の方法としては、例えば、貫通孔内部に優先的にめっき金属を析出させるビアフィル法等を挙げることができる。また後者の方法としては、例えば、導電性ペーストを用いたスクリーン印刷法、導電性溶液を用いたインクジェット法、スパッタ法、めっき法等を挙げることができる。本工程においてはこれらのいずれの方法であっても好適に用いることができるが、なかでも通電部の信頼性のため、貫通孔内の通電部の膜厚を上記「2.表示電極」に記載の厚みに形成することのできるめっき法、スクリーン印刷法が好ましい。
なお、本工程において通電部を形成するために用いられる電導性材料については、上記「A.有機半導体素子」の項において説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
3.有機トランジスタ形成工程
次に、本発明に用いられる有機トランジスタ形成工程について説明する。本工程は、上記有機半導体素子用基板の上記絶縁性フィルム上であり、かつ上記通電部形成工程において形成された通電部に接続されるように有機トランジスタを形成する工程である。
本工程において有機トランジスタを作製する方法としては、上記通電部形成工程において形成された通電部に接続されるように有機トランジスタを形成することができる方法であれば特に限定されるものではない。なかでも本工程においては、少なくともゲート電極、ゲート絶縁層、有機半導体層、ソース電極およびドレイン電極を有する構造の有機トランジスタを、上記ソース電極またはドレイン電極が上記通電部に接続されるように形成する方法が用いられることが好ましい。
ここで、本工程に用いられる有機トランジスタの形成方法としては、一般的に有機トランジスタを形成する方法として公知の方法を用いることができるため、ここでの説明は省略する。
また、本工程において形成される有機トランジスタの構造は特に限定されるものではない。したがってトップゲート型構造を有する有機トランジスタが形成されてもよく、あるいはボトムゲート型構造を有する有機トランジスタが形成されてもよい。
4.その他の工程
本発明の有機半導体素子の製造方法は、少なくとも上記絶縁性フィルム貫通工程、通電部形成工程、および有機トランジスタ形成工程を有するものであるが、必要に応じて他の任意の工程を有してもよいものである。このような他の工程としては本発明によって製造される有機半導体素子の用途等に応じて、所望の機能を有する有機半導体素子を製造するために必要な工程を適宜選択して用いることができる。なかでも本発明に好ましく用いられる任意の工程としては、上記有機トランジスタ形成後に実施され、上記有機トランジスタを覆うようにパッシベーション層を形成するパッシベーション層形成工程や、上記有機半導体素子用基板の電極層をパターニングすることにより表示電極を形成する、電極層パターニング工程等を挙げることができる。
上記パッシベーション層形成工程においてパッシベーション層を形成する方法としては、所望の材料からなるパッシベーション層を形成できる方法であれば特に限定されるものではなく、所定の材料が溶媒に溶解されたパッシベーション層形成用塗工液を、上記有機トランジスタを覆うように塗工する方法、所定の材料からなるドライフィルムを上記有機トランジスタを覆うように貼付する方法、封止材を上記有機トランジスタの周囲に塗工し、不活性ガス雰囲気中にてガスバリア性を有する高分子フィルムもしくはガラス等を貼り合わせる方法等を挙げることができる。
なお、パッシベーション層を形成するために用いられる材料については、上記「A.有機半導体素子」の項において説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
また、電極層パターニング工程において電極層をパターニングする方法としては、本発明によって製造される有機半導体素子の用途等に応じて、電極層を所望の形状にパターニングできる方法であれば特に限定されるものではない。このような方法としては、例えば、フォトリソグラフィー法、導電性ペーストを用いたスクリーン印刷法、ディスペンス法、導電性溶液を用いたインクジェット法、ディップコート法、ビートコート法、ダイコート法等を挙げることができる。
5.有機半導体素子
本発明の有機半導体素子の製造方法によって製造される有機半導体素子は、貫通孔を有する絶縁性フィルムと、上記絶縁性フィルム上に形成された有機トランジスタと、上記絶縁性フィルムの上記有機トランジスタが形成された面とは反対側の面上に形成された表示電極とが、上記通電部を介して通電するように接続された構成を有するものとある。このような有機半導体素子については、上記「A.有機半導体素子」の項において説明した本発明に係る有機半導体素子と同様であるため、ここでの説明は省略する。
C.表示装置
次に本発明の表示装置について説明する。本発明の表示装置は、上記本発明の有機半導体素子が用いられたことを特徴とするものである。
本発明の表示装置としては、上記本発明に係る有機半導体素子が用いられ、画像表示に寄与する各画素が、上記有機半導体素子が備える各有機トランジスタによってスイッチングされる構成を有するものであれば特に限定されるものではない。このような構成を有する表示装置としては、例えば、液晶ディスプレイ装置、電気泳動ディスプレイ装置、および、有機ELディスプレイ装置等を挙げることができる。
また、本発明の有機半導体素子は、有機トランジスタと表示電極とが絶縁性フィルムの互いに異なる表面上に形成されていることから、高い開口率を実現することが可能なものである。したがって、本発明の表示装置としてはアクティブマトリクスが採用されたものであることが好ましい。
なお、本発明の表示装置については、従来のTFTアレイに替えて、上記本発明の有機半導体素子を用いること以外は一般的に公知のものと同様であるため、ここでの詳しい説明は省略する。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
[実施例]
1.貫通孔形成工程
大きさ150mm×150mmの片面銅箔ポリイミド(Cu厚み:ポリイミド厚み=9μm:25μm)を有機半導体素子用基板として用い、ポリイミド側からYAGレーザーを照射し、50μmφの貫通孔をポリイミドのみに形成した。
2.通電部形成工程
次いで、貫通孔底面の銅から銅電解メッキにより銅を析出成長させて貫通孔内に通電部を形成した。このときに析出成長させた銅は貫通孔を閉塞させるように成長し、接触式段差計の測定結果によると貫通孔底の銅箔面より23μmの高さまで銅が析出成長していた。
3.電極層パターニング工程
次に、銅箔面上にフォトレジストをスピンコートした。その後、基材を100℃で1分乾燥させた後、50mJ/cmでパターン露光した。次に、表示電極とする部分以外のフォトレジストを除去するために現像工程を行い、その後、エッチング工程にて現像工程で露出した部分の銅を除去した。次いで、現像工程とエッチング工程にて形成した表示電極上のレジストをレジスト剥離液にて剥離し、450μm角の表示電極を形成した。
4.有機トランジスタ形成工程
(ゲート電極形成工程)
次に、上記表示電極と反対側のポリイミド表面にアルミニウムをスパッタ法により成膜し、膜厚150nmのアルミニウム層を形成した。次いで、上記アルミ二ウム層上にフォトレジストをスピンコートした。その後、100℃で1分乾燥させた後、50mJ/cmでパターン露光した。次に、ゲート電極とする部分以外のフォトレジストを除去するために現像工程を行い、その後、エッチング工程にて現像工程で露出した部分のアルミニウムを除去した。次いで、現像工程とエッチング工程にて形成したゲート電極パターン上のレジストをレジスト剥離液にて剥離し、ゲート電極を形成した。
(ゲート絶縁層形成工程)
次に、上記有機半導体素子用基板のポリイミド表面にゲート絶縁層としてフォトレジスト(アクリル系ネガレジスト)をスピンコートした。その後、120℃で2分乾燥させた後、350mJ/cmでパターン露光した。次に、ゲート電極以外の部分を除去するために現像工程を行い、その後、150℃のオーブンで30分乾燥させ、膜厚1.1μmのゲート絶縁層を形成した。
(ソース・ドレイン電極形成工程と貫通孔内の通電部とドレイン電極との導通工程)
上記ゲート絶縁層形成後、ゲート絶縁層を形成した表面上に、ソース・ドレイン電極形状の開口部を有するスクリーンマスクを用い、Agナノペースト(藤倉化成製)をスクリーン印刷し、ソース・ドレイン電極を形成した。このとき用いたスクリーンマスクのドレイン電極の開口部は、上記貫通孔形成工程でポリイミドフィルムに形成した貫通孔の領域まで開口部を有しているため、ソース・ドレイン電極形成と同時に貫通孔内の通電部とドレイン電極とを導通させた。このときスクリーン版は、500メッシュ、乳剤1μmのものを使用した。印刷条件は、印圧0.185MPa、クリアランス2.6mm、スキージスピード200mm/secで行った。その後、上記有機半導体素子用基板を150℃で30min焼成した。形成されたソース電極およびドレイン電極を反射型光学顕微鏡にて観察したところ、ソース電極とドレイン電極との電極間距離(チャネル長)は70μmであった。またソース・ドレイン電極の膜厚は2μmであった。
(有機半導体層形成工程)
次に、上記ソース電極およびドレイン電極が形成された有機半導体素子用基板にインクジェット法を用いチオフェン系の高分子有機半導体をソース電極とドレイン電極とのチャネル間に吐出し、有機半導体層を形成した。高分子有機半導体は固形分0.5wt%、溶剤デカヒドロナフタレンを含む溶液を用いた。その後、上記有機半導体素子用基板を160℃まで20℃/minのレートで徐々に加温していき、160℃で10min保持した後、6℃/minのレートで室温まで徐冷を行った。有機半導体層の厚みは約100nmであった。
5.パッシベーション層形成工程
次に、形成した有機半導体層を覆うようにパッシベーション層としてフォトレジスト(アクリル系ネガレジスト)をスピンコートした。その後、基材を120℃で2分乾燥させた後、350mJ/cmで露光した。その後、150℃のオーブンで30分乾燥させ、膜厚8μmのパッシベーション層を形成した。
6.電子ペーパー貼り合わせ工程
次に、電子ペーパーを表示電極とPETフィルム全面に成膜したITO電極とで挟み、貼り合わせた。
7.評価
フィルムを介してトランジスタと反対側に作製した表示電極に測定端子を接触させ、有機半導体素子の有機半導体トランジスタのトランジスタ特性を測定した結果、貫通孔内の通電部を通じてトランジスタとして駆動していることが分かった。このとき、有機半導体トランジスタの移動度は2.0×10−2cm/Vsと見積もられ、ON/OFF比は6桁であり、閾値電圧は−2Vであった。測定条件はゲート電圧を50V〜−80Vまで−2V刻みで印加した。次いでソース・ドレイン電圧を−80Vと固定し、ソース・ドレイン間に流れる電流値を測定した。また、トランジスタ評価においてはいずれの場合においても大気中、遮光下で測定を行った。
また、片面銅箔ポリイミドに対してフィルムのみに貫通孔を形成したため、接触式段差計によると表示電極上の貫通孔領域での段差は認められなかった。さらに、貼り合わせた電子ペーパーのコントラスト比を測定したところ、9:1であった。
[比較例]
基材として厚さ25μmのポリイミドフィルムを用いて、基材上に実施例のゲート電極形成工程から有機半導体層形成工程まで同様の方法にて有機トランジスタを作製した。
その後、前記パッシベーション層形成工程にてパターン露光する以外は同様にパッシベーション層を形成した。次に、フィルムの厚み方向にて有機半導体素子の位置と重なる位置に表示電極を形成した。以下に、パッシベーション層形成工程と表示電極形成工程の詳細を示す。
(パッシベーション層形成工程)
ポリイミドフィルム上に形成した有機半導体素子を覆うようにパッシベーション層としてフォトレジスト(アクリル系ネガレジスト)をスピンコートした。その後、基材を120℃で2分乾燥させた後、有機半導体素子のドレイン電極領域の一部を遮光したマスクを用いて、350mJ/cmでパターン露光した。次に、現像工程にて露光時に遮光された部分のレジストを除去し、有機半導体素子のドレイン電極の一部を露出させる貫通孔をパッシベーション層に形成した。その後、150℃のオーブンで30分乾燥させ、膜厚8μmのパッシベーション層を形成した。
(表示電極の形成工程)
上記パッシベーション層形成後、表示電極形状を開口部とするスクリーンマスクを用い、Agナノペースト(藤倉化成製)をスクリーン印刷し、450μm角の表示電極を形成した。このとき形成した表示電極は、上記パッシベーション工程で露出させたドレイン電極が表示電極パターン内に位置するように印刷され、ドレイン電極と表示電極とを導通させた。またスクリーン版は、500メッシュ、乳剤1μmのものを使用した。印刷条件は、印圧0.185MPa、クリアランス2.6mm、スキージスピード200mm/secで行った。その後、上記基材を150℃で30min焼成した。表示電極の膜厚は2μmであった。
(電子ペーパー貼り合わせ工程)
次に、電子ペーパーを表示電極とPETフィルム全面に成膜したITO電極とで挟み、貼り合わせた。
(評価)
パッシベーション層上に形成した表示電極に測定端子を接触させ、上記有機半導体素子の有機半導体トランジスタのトランジスタ特性を測定した。このとき、有機半導体トランジスタの移動度は2.0×10−2cm/Vsと見積もられ、ON/OFF比は6桁であり、閾値電圧は−2Vであった。測定条件はゲート電圧を50V〜−80Vまで−2V刻みで印加した。次いでソース・ドレイン電圧を−80Vと固定し、ソース・ドレイン間に流れる電流値を測定した。また、トランジスタ評価においてはいずれの場合においても大気中、遮光下で測定を行った。
また、上記パッシベーション層形成工程にて、有機半導体素子のドレインの一部を露出させる貫通孔をパッシベーション層に形成し、その後にスクリーン印刷法にて表示電極を形成したため、貫通孔領域で段差がある表示電極が形成された。接触式段差計によると、パッシベーション層の厚みに相当する8μmの段差が認められた。さらに、形成した有機半導体素子上にパッシベーション層を介して表示電極を形成しているため、表示電極の貫通孔領域以外の領域でも1μmの緩やかな段差が認められた。そして、貼り合わせた電子ペーパーのコントラスト比を測定したところ、コントラスト比7:1であった。
以上より、片面銅箔ポリイミドに貫通孔を形成した場合では、表示電極に段差がなく、表示電極と対向するITO電極との間で電子ペーパーに均一な電圧が印加されるため、より高いコントラスト比を得ることができたと考えられる。
本発明の有機半導体素子の一例を示す概略断面図である。 本発明の有機半導体素子の他の例を示す概略断面図である。 本発明の有機半導体素子の他の例を示す概略断面図である。 本発明の有機半導体素子の他の例を示す概略断面図である。 本発明の有機半導体素子の他の例を示す概略断面図である。 本発明の有機半導体素子の製造方法の一例を示す概略図である。 従来の有機半導体素子の一例を示す概略断面図である。
符号の説明
1 … 絶縁性フィルム
2 … 有機トランジスタ
2a … ゲート電極
2b … ゲート絶縁層
2c … ソース電極
2d … ドレイン電極
2e … 有機半導体層
3 … 表示電極
3’ … 電極層
4 … パッシベーション層
5 … 通電部
10 … 有機半導体素子
11 … 有機半導体素子用基板

Claims (4)

  1. 絶縁性材料からなり、貫通孔を有する絶縁性フィルムと、
    前記絶縁性フィルム上に形成された有機トランジスタと、
    前記絶縁性フィルムの前記有機トランジスタが形成された面とは反対側の面上に形成された表示電極とを有し、
    前記表示電極と前記有機トランジスタとが前記絶縁性フィルムの貫通孔を通して通電するように接続されていることを特徴とする、有機半導体素子。
  2. 前記絶縁性フィルム上に前記有機トランジスタが形成されている位置と、前記絶縁性フィルム上に前記表示電極が形成されている位置とが、前記絶縁性フィルムの厚み方向において重なっていることを特徴とする、請求項1に記載の有機半導体素子。
  3. 絶縁性材料からなる絶縁性フィルムと、前記絶縁性フィルム上に形成された電極層とを有する有機半導体素子用基板を用い、
    前記有機半導体素子用基板の、前記絶縁性フィルム側から前記絶縁性フィルムに貫通孔を形成する絶縁性フィルム貫通工程と、
    前記絶縁性フィルムに形成された貫通孔内に、前記貫通孔を貫くように形成され、前記電極層に接続するように導電性材料からなる通電部を形成する通電部形成工程と、
    前記有機半導体素子用基板の前記絶縁性フィルム上であり、かつ前記通電部に接続されるように有機トランジスタを形成する有機トランジスタ形成工程と、を有することを特徴とする、有機半導体素子の製造方法。
  4. 請求項1または請求項2に記載の有機半導体素子が用いられたことを特徴とする、表示装置。
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