JP2009244270A - 検体分析において拡張ダイナミックレンジを提供する方法 - Google Patents

検体分析において拡張ダイナミックレンジを提供する方法 Download PDF

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ワーデン,ローレンス
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Abstract

【課題】仕様が容易で、検出感度が高く、検体の測定が広範囲の濃度に適用できる光散乱による診断測定方法を提供する。
【解決手段】散乱光で検出可能な粒子標識を使用する分析において、1つまたは複数の検体を特異的に検出するためのダイナミックレンジを拡大する方法であり、共振光散乱粒子標識とともに用いる。低濃度側および高濃度側のいずれかまたは両方にダイナミックレンジを拡張するために、集積光強度に比例するように集積光を2つ以上の露光時間で検出し、これらの信号を合成して光を定量する。
【選択図】図1

Description

本出願は、検体分析における信号の検出においてダイナミックレンジを拡張する方法に関する。
本出願は、Juan Yguerabide,Evangelina Yguerabide,Laurence WardenおよびTodd Petersonを発明人とする、2001年2月23日に出願された「Methods For Providing Extended Dynamic Range In Analyte Assays(検体分析において拡張ダイナミックレンジを提供する方法)」という名称の先願の米国仮出願番号60/271,089に基づく利益を主張するものであり、この先願は、図面も含めた全体として、参照により本明細書に組み込まれるものである。
いくつかの既存の検出方法を以下に簡単に説明する。これらは、特許請求する発明の詳細を理解する上で読者の助けとなる関連技術の概要でもある。これらの引用技術は、いずれも請求項に対する先行技術であることを承認するものではない。これらの引用技術は、本発明を実践するのに利用される該技術における一般的な手順および方法をここに再度記載しなくともよいように、参照により本出願に組み込んでいるものである。特に、出願人は、「結合対(Binding Pair)」法の一般的な方法、および光散乱測定法に関連するセクションを本明細書に組み込むものとする。
高感度検体分析
結合対(配位子受容体、分子識別結合等としても知られる)技術は、生物医学の分析の多くの用途において重要な役割を果たし、環境科学、獣医学、医薬研究、ならびに食品および水の品質管理等の分野において重要性を増しつつある。低濃度の検体の検出では(分析試料に対する検体の濃度が約1ピコモル未満の場合は)、蛍光、発光、化学発光または電気化学発光標識および検出法がしばしば使用される。
診断の分野における低濃度の検体の検出には、化学発光法や電気化学発光法が広く利用されている。これら化学発光法や電気化学発光法は、発光分子または光子生成事象を何倍にも増幅して「信号増幅」させ、次いで低濃度検体の検出を可能にすることによって低濃度の検体を検出する手段を提供する。
さらに、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)および他の関連技術が、試料における核酸検体の数を増幅するのに広く利用されてきた。最もよく知られた検出手段によって検体を検出することができるように、適切な酵素、試薬および温度サイクル法を付加することによって、核酸検体分子の数を増幅する。新しい信号生成および検出システムの開発、ならびに信号および検体分子増幅を利用した新しいタイプの試験キットおよび計測器の開発における高レベルな商業活動は、高感度検出法の重要性および必要性を実証するものである。
しかしながら、上記の信号および検体分子増幅法は、これらの方法による検体の検出を複雑で、困難で、時間がかかり、高価なものにするいくつかの制限を伴う。化学または酵素反応の干渉、汚染、複雑かつ工程の多い手順、単一工程の「均一」(非分離)形式に対する適応性の限界、ならびに高価で高精度な計測器の必要性の問題は、当業者が絶えず改善しようと努めている問題である。
したがって、使い易く、定量的で、多検体型で、かつ安価な検体検出手順および計測器が大いに必要とされている。当該手順、試験キットおよび計測器は、現行の信号および検体分子増幅方法の欠点および限界を克服するとともに、研究、個々の治療状況(医院、応急室、野外など)、ならびに高処理能力試験用途に役立つことになる。
本発明の目的は、これまで可能であった手段よりも、試料中の低濃度の1つまたは複数の検体を容易に検出する新しい手段を提供することである。本発明は、信号または検体分子の増幅を必要とせずに低濃度の検体を検出することができる。
本発明は、手順を単純化するとともに、工程および試薬の量および種類を減じることが可能な検体検出のための信号および検出システムを提供する。本発明は、試料中の単一または複数の検体の定量的検出を可能にする。本発明は、異なる試験の数、および分析する試料物質の量を実質的に減少させる。このように個々の試験の数を減少させることによって、コストおよび廃棄物生成量、特に処理しなければならない医療関連廃棄物の生成量が減少する。
光散乱検出法および光散乱粒子の特性
粒子による光散乱の現象、診断測定における粒状標識の使用、および診断測定における光散乱法の使用に関する多くの情報が存在し、以下の関連技術の説明においてこれらの情報を記述するが、これらの情報はいずれも、本出願に係る請求項に対する先行技術であると認めるものではない。この技術は、特許請求する発明の新規性および実用性を理解するための背景として示されるものである。
光散乱の一般的な研究は広範な分野を含む。光散乱の現象は、ほぼ過去100年間にわたって集中的に研究され、人間の取組みの様々な側面に対する光散乱の知識の応用は幅広く、多様化している。
入射放射線の波長の約20分の1以下の粒径の小さく、均一で光吸収性のない球状粒子による光散乱の古典的な理論は、本来レイリーによって展開された。後に、粒径および組成が任意の均一な球状粒子による光散乱のより一般的な現象学的理論が、ミーによって展開された。ミーの理論は、光吸収性粒子と光非吸収性粒子の両方に適用される。ミーの理論から、粒子が入射光の波長よりはるかに小さければ、光を吸収する粒子に適用されるようにレイリーの式を容易に一般化できることも証明された。これら粒径の小さな粒子に対しては、ミーの理論と、一般化されたレイリーの理論は同様の結果を与える。光散乱(弾性)を古典的または量子力学的観点からとらえることができる。古典的な観点を通じて優れた定量的記述を得ることができる。
歴史的背景、ならびに散乱光および他の電磁放射線の基本的理論の説明が以下の参考文献に記載されている:
「Absorption and scattering of Light by Small Particles」(1983)、c.f.Bohren,d.r.Huffman,John Wiley and Sons;「The Scattering of Light and Other Electromagnetic Radiation」(1969)、M.Kerker,Academic Press。
光散乱の現象についてのさらなる背景情報は、以下の出版物に見いだすことが可能である。
Zsigmondy、「Colloids and the Ultramicroscope-A Manual of Colloid Chemistry and Ultramicroscopy」、1914、John Wiley & Sons,Inc.には、金粒子および他のタイプの粒子の様々な光散乱特性が記載されている。
Hunter、「Foundation of Colloid Science」、Vol、I、105、1991には、粒子の観察における光学顕微鏡、限外顕微鏡および電子顕微鏡の使用について記載されている。
Shaw他.、「Introduction to Colloid and Surface Chemistry」、2nd ed.、41、1970には、コロイドの光学特性、ならびに電子顕微鏡、および暗視野顕微鏡、例えば限外顕微鏡の使用について記載されている。
Stolz,SpringerTracts,Vol.130には、時間分解光散乱手法が記載されている。
Klein and Metz、5「Photographic Science and Engineering」5−11、1961には、ゼラチンにおけるコロイド銀粒子の色について記載されている。
Eversole and Broida、15「Physical Review」1644−1654、1977には、銀、金および銅の如き様々な金属粒子からの光散乱に対する粒径および形状の影響が記載されている。
Kreibig and Zacharias、231「Z.Physik」128−143、1970には、球状の金および銀微粒子における表面プラズマ共鳴について記載されている。
Bloemer他.、37「Physical Review」8015−8021、1988には、マイクロメートル以下の粒径の銀針の光学的特性について記載されており、当該針の使用については、導波管を拡散する光を偏光させる金属微粒子の表面プラズモン共鳴が記載された米国特許第5,151,956号(Bloemer)に記載されている。
Wiegel、136「Zeitschrift fur Physik」、Bd.642−653、1954には、銀コロイドの色および電子顕微鏡の使用について記載されている。
粒子の使用、光散乱および他の検体検出法
過去約35年間にわたって、金および銀を含む金属粒子は、多くの異なるタイプの分析および/または診断用途におけるコントラスト増強剤および光吸収標識として使用されてきた。これらの用途の大部分は、金または銀強化金粒子をマーカーとして使用して、細胞、準細胞および組織の構造的側面を研究する細胞免疫化学の研究の範疇に含まれる。これらの研究では、走査、透過およびBEI(Backscattered Electron Imaging:背景電子撮像)を含む電子顕微鏡技術によって金属粒子を通常検出、特定する。これらの方法は、金属の電子密度が高い性質、または金属の原子数が多いことを利用して、高密度の金属によって生成される多数の2次電子および逆散乱電子により、金粒子を検出するものである(Hayat,Immunogold-silver staining reference Page 1、Chapters 1、6、15;Hayat,Colloid Gold reference Chapters 1、5、7他を参照のこと)。
光学顕微鏡の研究における金および銀強化金粒子の使用についてのいくつかの報告が提示されている。例えば、1978年に、光学顕微鏡による検出に免疫金染色剤として金粒子が使用された。1995年に出版された光学顕微鏡での金粒子の使用に対する考察(Hayat,Immunogold-Silver Staining Reference Page 3を参照)では、この1978年の試みについて議論し、以下のように分析している。
「Geoghehan他(1978年)は、パラフィン切片を用いた光学顕微鏡免疫金染色に赤またはピンク色のコロイド金のゾルを初めて使用した。準薄樹脂切片において、14nm程度の小さな金粒子から散乱する赤色の光が、光学顕微鏡における高濃度の標識抗原を含む細胞オルガネラに認められた(LucocqおよびRoth、1984年)。光学顕微鏡における免疫金染色の感度は、他の細胞免疫化学技術に比べて劣っているため、前者は一般的な承認を得られなかった。金の堆積物のピンク色を視覚化するのは困難である」。
このパラグラフは、診断および分析試験に対する金および他の金属粒子の光散乱特性の理解の状態を示す指標になる。該パラグラフは、具体的には、「準薄樹脂切片において、光学顕微鏡における高濃度の標識抗原を含むオルガネラに14nm程度の小さな金粒子からの赤色光の散乱が認められた」と述べている。
しかしながら、白色光の照明では、14nmの金粒子からの散乱光はほぼ緑色になる。光学顕微鏡では粒子は赤色に見えるため、このことは、純粋の光散乱以外の作用が検出されていることを示唆するものである。おそらく、光学顕微鏡で観察される赤色は、ほとんどが透過光であって散乱光ではない。金粒子が細胞、組織切片または他の表面の対象部位に十分に蓄積されると、透過光による赤色が認められることになる(J.Roth(1983)Immunocytochemistryに:217;およびDewaele他(1983)in「Techniques in Immunochemistry」Vol2pl、Eds.Bullock and Petrusz,Academic Pressも参照のこと)。
上記引用において述べたように、光学顕微鏡における免疫金染色の感度は他の方法より劣っていると考えられており、光学顕微鏡検出のためのマーカーとしての金粒子の使用は、一般的には受け入れられなかった。1995年の考察書の第12章のp198(Gao)における同一のテーマに対する記述を以下に引用する。
「コロイド金は、電子密度が高い性質、および二次電子放射特性を有するため、当初は電子顕微鏡(EM)のためのマーカーとしてしか使用されなかった(Horisberger、1979年)。光学顕微鏡(LM)においてコロイド金を直接視覚化することには限界があった。コロイド金は、サイズが小さいため光学顕微鏡レベルでは検出されないが、高濃度の免疫金細胞を使用すれば、この試薬により赤に染色することができる(Geoghegan他、1978年;Roth、1982年;Holgate他、1983年)」。
上記引用のいずれにおいても述べられているように、光学顕微鏡によるコロイド金の検出の感度は低いと考えられていた。この認識された欠点を克服するために、金粒子の銀強化方法が開発された。1995年の考察書からの他の引用文を以下に示す。
「光学顕微鏡に対する免疫金染色についての真の画期的発明は、5ミクロンのパラフィン切片において免疫グロビンに結合するコロイド金粒子(20nm)の銀強化の導入によるものであった(Holgate他、1983年)。このアプローチによって、光学顕微鏡における抗原検出性の感度、効率および精度が著しく高められた。IGSSを使用して、径が1nm程度の金粒子を光学顕微鏡において視覚化することができる。IGSSを施した薄切片は、特に位相差またはエピ偏光照明を利用することによって光学顕微鏡でも観察することが可能である(Stierhof他、1992年)」。
金粒子の銀強化法は広く使用されている。該強化方法は、マーカー金粒子をより大きな金属粒子、または径がミクロン以上のさらに大きな構造体に変換する。これらの構造体は主に銀で構成され、当該拡大粒子を明視野光学顕微鏡においてより容易に視覚的に検出することが可能になる。単一拡大粒子は、高解像度レーザ共焦点エピ偏光光学顕微鏡(Id.26および203)によって視覚化された。
しかしながら、銀強化技術を用いても、他の方法の感度および特定性におよばないであろうということが当業者によって指摘されている。例えば、Vener,t.I.他「Analytical Biochemistry 198:308−311(1991)において、著者は、ラテックス・ハイブリダイゼーション分析(LHA)と呼ばれる新しい高感度検体検出法について論じている。この方法において、彼らは、数多くの高蛍光染料分子で満たされた径が1.8ミクロンの大きなポリマー粒子を検体トレーサーとして使用し、蛍光信号により結合検体を検出する。この文献からの抜粋を以下に示す。
「LHAのメリットを評価するために、我々の技術と、文献に記載された他の2つの間接的な非放射性技術とを比較した。比較対象となる最も適切な技術は、競合的な粒子技術であるという理由から、ハイブリダイゼーション信号の銀強化を伴うストレプタビジン・コロイド金法である。しかしながら、この方法は、銀強化の追加的な工程を有するものの、さほど感度が高くない。この方法により8pgのλファージDNAが検出されるのに比べて、ナイロン膜上のLHAにより0.6pgまたは2×10分子のλDNAが検出される」。
Stimpson他.、Proc.Natl.Sci.USA,92:6379−6383、July 1995には、DNAハイブリダイゼーションの検出のためのリアルタイム検出法が記載されている。著者は、ターゲットDNA上の粒状標識の使用について、
「導波管の消散波(エバネセント波)によって照明されたときに光散乱源として作用し、表面に結合した標識のみが信号を生成する。...導波管によって生成された渉散波を使用して、導波管表面に配置された複数のDNA捕獲ゾーンに吸収される粒状標識からの光を散乱させる。渉散波は、単に導波管表面から数百ナノメートルに伸びるだけであるため、未結合/解離標識は、光を散乱せず、洗浄工程は必要とされない。信号強度は、表面結合を測定するのに十分であり、光散乱標識の脱離をリアルタイムで調べることができる。すなわち、検出はレート制限がない。チップ上のハイブリダイゼーション・パターンを目視評価するか、または1/30秒の8ビット・ビデオ・フレーム・グラバを備えた標準的なCCDカメラを使用することによって定量分析用に取得することができる」と記載している。
70ナノメートル経の金粒子および200ナノメートル経のセレニウム粒子を用いて実験が行われた。セレニウム粒子のほうがより強い信号が観察された。著者は、以下のことを示している。
「単独ベースの識別に十分な導波信号は、4nmと40nmの間のDNAで生成されたため、蛍光信号系と同等である」。
この方法は、導波管および消散型照明を使用している。加えて、該方法は、現行の蛍光ベースの検出システムと同程度の感度を有する。径が70nm以上の粒子が好ましいと言われている。これは、米国特許第5,599,688号(Stimpson他)にも記載されている。
米国特許第5,017,009号(Schutt他)には、リガンドまたは不均質な形のリガンド結合パートナを検出するための免疫測定システムが記載されている。該システムは、
「免疫反応によって界面に運ばれたコロイド状金粒子の存在によって乱された消散波からの逆散乱光の検出に基づいている。臨界角より大きい背面角に検出器を配置することによって、優れた信号/雑音比が保証される」。
著者は、記載の免疫測定システムは、散乱された全内部反射、すなわち消散波の伝搬を利用したものであると説明している。彼らは、コロイド状金の存在によって消散波の伝搬が妨害されて散乱光が生じ、それを光電子増倍管または他の光センサーによって検出して応答信号を与えることができることを示している。彼らは、彼らの発明の重要な態様は、検出器の物理的な位置であることを示している。
「理想的には、検出器を臨界角より大きい角度に配置し、光源に向かって散乱する光のみが検出される位置に配置する。このような位置に配置することにより、大容量液体媒体内の上位散乱光の検出が理想的に回避される」。
入射光線の全内部反射を用いて、消散波モードの照明を生成し、光透過面に対して検出を行う。特殊な装置を使用することが好ましい。
米国特許第4,313,734号(Leuvering)には、「径が少なくとも5nmの、金属、金属化合物、または金属もしくは金属化合物を塗布したポリマー核の」粒子を結合させることによって得られる標識化合物を使用することによって特定の結合タンパク質を検出する方法が記載されている。該方法は、ハプテン、抗原および抗体の如き免疫化学化合物の推定に特に適していると言われる。金属粒子は、電子顕微鏡検査におけるコントラスト強化標識として既に使用されていると言われているが、免疫測定での使用は、
「これまでにまだ報告されておらず、驚いたことには可能であることが証明された。
開発された即効的な発明による金属ゾル粒子免疫化学技術は、既知のラジオおよび酵素免疫技術より高感度でありうるばかりでなく、異なる化学組成のゾル粒子を標識として利用することにより、同時に同一の試験媒体における2つ以上の免疫成分を実証し、確定することを更に可能にするものである」。
金属の例としては、白金、金、銀、銅、およびそれらの塩が挙げられる。
「金属、および/または反応混合物の特定相に凝集体を含む成形金属の物理的特性および/または濃度の測定は、それ自体知られている多くの技術を用いて行うことができる。これらの技術の例としては、物理化学的変化によって色を更に変化させるいくつかの分散物の強い色を利用する比色定量;金属ゲルが着色する上述の事実に鑑みて既に定量にしばしば応用されている視覚的方法;フレーム放射分光測光、または同時測定を可能にする他のプラズマ放射分光測光法、および高感度なフレームレス原子吸光分析法を挙げることができる」。
フレーム放射分光測光または他のプラズマ分光測光法を用いることによって、試料中の2つ以上の検体を検出するのが好ましい。最高の感度に対する好ましい検出法は、フレームレス原子吸光分析によるものである。
米国特許第5,350,697号(Swope他)には、光を臨界角より小さい角度で試料に誘導するように光源を配置することによって散乱光を測定する装置が記載されている。臨界角の範囲外の散乱光を検出する検出器が配置される。
米国特許第4,480,042号(Craig他)には、光散乱免疫測定における高屈折率粒状試薬の使用が記載されている。好ましい粒子は、ポリマー物質から構成される。生物学的対象の化合物の濃度は、粒子凝集、または凝集の抑制によって生じる濁度変化を測定することによって求められる。好ましい粒子は、径が約0.1μより小さく、0.03μより大きいものとする。「340nmのような短波長のほうが、400nmのような長波長より信号差が大きくなる」。
米国特許第4,851,329号(Cohen他)および米国特許5,286,452号(Hansen)には、光学的パルス粒径分析によって、または光学的流動粒子分析装置を使用することによって凝集粒子を検出する方法が記載されている。これらのシステムは、抗原または抗体濃度の測定に有用であると言われている。これらの方法には、精巧な装置、および特殊な信号処理手段が用いられる。好ましい粒径は、Cohenの方法では約0.1から1ミクロンで、Hansenの方法では約0.5から約7.0ミクロンである。
Okano他、Analytical Biochemistry 202:120、1992には、倒立光学顕微鏡でカウントすることができる微粒子を利用して不均質なサンドウィッチ免疫測定が記載されている。該微粒子は、径がおよそ0.76ミクロンで、アクリル酸エステルから製造されたカルボキシル化微粒子であった。
米国特許第3,975,084号(Block)、米国特許第5,274,431号(Kuroda)、米国特許第5,305,073号(Ford,Jr)、米国特許第5,257,087号(Furuya)、および米国特許第5,311,275号(Taniguchi他)には、他の粒子検出方法が記載されている。
Geoghegan他、Immunological Communications 7:1−12、1978には、他の抗体の間接的な検出に向けてウサギの抗ヤギIgGを標識するためのコロイド金の使用が記載されている。光および電子顕微鏡を使用して標識粒子が検出された。金粒子は、平均粒径が18から20ナノメートルで、明視野光学顕微鏡が使用された。電子顕微鏡では、アラルダイト銀−金薄切片が使用された。免疫蛍光とコロイド金明視野法によって同様の比率の表面標識細胞が認められた。電子顕微鏡法によって細胞当たり1から5個の粒子を検出することが可能であったが、著者は以下のように述べている。
「このような少量の標識は、蛍光または明視野顕微鏡法によって検出されておらず、GADおよびGAM上の低レベルの表面免疫グロブリン(S.Ig)が細胞を処理した非特定かつFc受容体結合性のGADおよびGAMを表しうる」。
米国特許第5,079,172号(Hari他)には、抗体反応に金粒子を使用すること、および電子顕微鏡を使用してこれらの粒子を検出することが記載されている。15ナノメートルの金粒子が例示されている。好ましい方法では、電子顕微鏡が使用される。
米国特許第4,420,558号(De Mey他)には、金標識抗体で標識された細胞を数える明視野光学顕微鏡法の使用が記載されている。該方法は、明視野構成の光学顕微鏡を使用し、油浸レンズによる500倍以上の倍率を用いて、金標識ペルオキシダーゼ陰性細胞をカウントする。標識表面の視覚化は、金粒子の凝集特性に基づき、それらは、指定された雰囲気において大規模なパッチ形成を生じるが、細胞表面上のこれらのパッチは記載の方法によって解決可能である。40ナノメートルの菌が最適な結果を与えることが確認された。
米国特許第4,446,238号(De Mey他)には、組織切片において赤色マーカーとしての金標識免疫グロブリンを局在化させる同様の明視野光学顕微鏡免疫組織化学法が記載されている。免疫金染色(IGS)法について著者は以下のように述べている。
「どちらの手順においても、最終生成物は、抗原含有領域上の多数の金粒体の蓄積物であるため、典型的な赤色のコロイド金のゾルが生成される」。
米国特許第4,752,567号(DeBrabander他)には、明視野またはエピ偏光学顕微鏡法を用いることによって径が200nm未満の単一金属粒子を検出する方法が記載されており、またビデオ・カメラによるコントラストの強化が記載されている。発明人は以下のように述べている。
「典型的には、上述の手順において、採用される金属粒子は約10nmから約100nmの径を有する。これは、一般に200nm付近であるとされる明視野顕微鏡法の解像度限界をはるかに上回る。したがって、従来知られているどの視覚的光学顕微鏡法も、金属粒子の不動凝集体の検出に応用するには限界があったというのは極めて理にかなっている。単一粒子は、超顕微鏡法、特に電子顕微鏡によってのみ観察可能であった。
今では驚いたことに、得られた画像に電子コントラスト強化を施せば、径が200nm未満の単一金属粒子を、可視領域の明視野光学顕微鏡法またはエピ偏光学顕微鏡法によりはっきりと目視することが可能である」。
後続のセクションにおいて、著者は以下のように述べている。
「ゾル粒子免疫測定に基づく既存の診断法と比較すると、この方法ははるかに高感度である。実際、既存の方法は、概して、大量の吸収または懸濁金属粒子による光の吸収または散乱に基づくものである。明らかに、例えば吸取媒体上の色の観察には、多数の粒子の存在が必要である。それとは対照的に、この方法は、単一粒子の観察およびカウントを可能にする。したがって、この方法により、既存の、例えば視覚的または比色分析技術では感度が低すぎて、例えば肝炎の検出ができない用途に対する診断ブロットの開発が大いに促進される」。
Schafer他、Nature 352:444−448、1991には、ビデオ強化微分干渉コントラスト顕微鏡法を用いて観察することが可能なナノメートル・サイズの金の粒子を使用することが記載されている。40ナノメートル経の金粒子が使用された。
DeBrabander他、Cell Motility及びCytoskeleton 6:105−113、1986(および米国特許第4,752,567号)には、超顕微鏡的な金粒子、および明視野ビデオ・コントラスト強化の使用が記載されている。具体的には、5から40ナノメートル経の金粒子を用いた明視野ビデオ強化コントラスト顕微鏡法によって細胞の観察が行われた。著者は、また、以下のように述べている。
「ガラスまたは細胞に吸収され、または細胞に微注入される、径が100ナノメートル前後より小さい単一金粒子を光学顕微鏡で見ることはできない。しかしながら、ビデオ・カメラの機能を用いてコントラストを電子的に強化すると容易に視覚化される」。
著者は、偏光および反射光の集合体によるエピ照明、または単色光および単純なカメラを用いた透過明視野照明による「より簡単で明らかにより高感度な方法」の利用によるエピ照明の使用について記載している。著者は、位相差顕微鏡法によって金粒子を容易に検出できることを示している。
「より大きな金(通常は20から40nm)では可能であるが、例えば微小管の如き構造体上のさらに高密度の5nmの金の蓄積物は光学顕微鏡で見ることはできない。それらは、検出可能な赤色を生成しない。最近、これを銀塩による物理的現像によって補正したことで、粒子の径が拡大されて、見やすい黒色染色が生成されている。
我々は、ほぼ分子レベルでリガンドを局在化する方法を記載した。該方法は、背景構造と明確に区別することが可能な個々のマーカーを用いて、光学顕微鏡で初めてこれを可能にするものであるため、新規な方法である。生きた細胞にも適用可能であるため、個々のタンパク質の動的な挙動を追うことが可能である。該方法は、十分に発達した2つの技術、すなわち金標識とビデオ顕微鏡法とを組み合わせた方法だからである。最も優れた100倍の油浸対物レンズより低価格の安価なビデオ装置によってほとんどの用途をまかなうことができる。これを近代的なデジタル画像操作と組み合わせると、更に多くの可能性が生み出される。いくつかの追加的な利点は注目に値する。標識は個々のマーカーから構成されるため、手動計数も自動(コンピュータ支援)計数も簡単かつ確実である。マーカーのサイズが小さいため、浸透および拡散の問題が最小限に抑えられる。マーカーの充填量を自由に変更できることは、任意の特定用途において非特異的結合を弱めるのに役立つ」。
この方法は、著者により、「微小ビデオ超顕微鏡法、またはショート・ナノビド超顕微鏡法」と名づけられた。同様の技術が「Greets他、Nature 351:765−766(1991)」に記載されている。
光散乱粒子を標識として使用する検体検出が、PCT/US/97/06584(WO97/40184)(Yguerabide他)およびPCT/US98/23160(WO99/20789)(Yguerabide他)に記載されている。該技術の要素は、Yguerabide&Yguerabide,Anal.Biochem.261:157−176(1998)、およびAnal.Biochem.262:137−156(1998)にも記載されている。
分析に光散乱(「プラズモン共振」と称する)標識を利用する方法は、PCT/US98/02995(WO98/37417)(Schultz他)にも記載されている。Schultz他の文献に記載されている方法は、一般に、個々のプラズモン共振粒子または要素の検出に基づくものである。
米国特許第6,171,793B1号(Phillips他)には、蛍光レポーター・グループで標示される遺伝子プローブ・アレイに対する検出器のダイナミックレンジを拡張する方法が記載されている。該方法は、一方の波長における信号強度はアレイのいくつかのサイトに対する検出器のダイナミックレンジを超えうるのに対して、他方の波長における信号強度は検出器のダイナミックレンジ内にある2つの異なる波長におけるアレイ上の複数のサイトから光信号を収集することを含む。アレイ上のすべてのサイトに対する2つの異なる波長における検出器応答のグラフに対する関数適合に基づいて、縮尺率相関関数を計算する。一方の波長において検出器を飽和させる信号を発生したサイトに対しては、検出器が飽和した波長の信号を外挿できるように、それが検出器のダイナミックレンジ内にある他の波長の信号に縮尺率相関関数を適用する。
光散乱法、光散乱粒子の利用、および診断分野での方法についての最新技術についての上述の説明は、現行の検体検出方法の限界、ならびに本発明の新規性および高い有用性を明確に示している。
米国仮出願番号60/271,089
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本発明の目的は、光散乱に基づく診断測定の現行の限界と欠点を克服するばかりでなく、信号および検体分子の増幅のような他の非光散乱法の限界と欠点を克服することである。ここに記載する本願発明は、使用が容易で、検出感度がより高く、以前に比べて、より広い検体濃度範囲にわたる検体の測定が可能である。本発明は、検体検出のための信号生成および検出システムとして、たいていの試料タイプおよび分析形式に広く適用可能である。
本発明は、光散乱粒子から集めた光を利用する方法において、試料内の1つまたは複数の検体を検出、測定する有利な方法を提供する。特に、該方法は、共振光散乱(Resonance Light Scatttering,RLS)粒子標識とともに用いられる。RLS標識の使用については、WO97/40181およびWO99/20789に記載されており、この文献は、図面を含めた全体が参照により本明細書に組み込まれるものとする。本発明の方法は、検体分析に対するダイナミックレンジを拡張し、複数の個別的なアドレス可能サイトを含む形式で実施される分析に特に有利である。当該形式を採用する分析には、典型的には、マイクロタイター・プレート、スライド・アレイおよびマイクロアレイが使用される。
WO97/40181およびWO99/20789(Yguerabide他)に記載されているように、RLS粒子を標識として使用する方法において、粒子の光散乱特性の検出および/または測定が、試料中の1つまたは複数の検体の存在、および/または存在量、あるいは不存在に関連づけられる。当該方法は、粒径が好ましくは照明光の波長より小さい少なくとも1つの検出可能光散乱粒子に試料中の1つまたは複数の検体を結合させることによってそれらの検体を検出することを含む。この粒子は、粒子により光線から散乱される光が、500倍未満の倍率で拡大すると人の目によって検出することができる条件で、光線により照明される。次いで、それら1つまたは複数の検体の存在の尺度として、その条件において、粒子から散乱される光を検出する。単に適切な照明を確保することによって、また特定の散乱光の最大限の検出を確保することによって、極めて高感度な検出方法を得ることができる。
多くの分析法の性能において、検出器の「好ましいレンジ」とも呼ばれる、検出が実質的に線形であるダイナミックレンジの幅が広いことは大いに有利である。すなわち、様々な試料からの信号を検出することができ、検体濃度または密度の少なくともいくつかの桁の変動に対して検体の存在を定量することができる。好ましくは、信号は、幅広いレンジ、好ましくは4、5、6,7またはそれより大きい桁にわたって存在する標識粒子の数に比例する。すなわち、標識濃度または密度と信号強度の間に定量可能な、好ましくは直線関係が存在する。当該幅広いダイナミックレンジ、好ましくは線形ダイナミックレンジは、例えば信号検出および/または信号処理における様々な技術によって様々な方式で提供されうる。以下に説明するように、上記の様々な技術は、単独で使用することもできるし、組み合わせて使用することもできる。ダイナミックレンジの拡張は、光散乱粒子標識からの散乱光の電子的検出に特に好適であるが、他のタイプの粒状標識にも適用可能である。例えば、本明細書に記載の、ダイナミックレンジを拡張するための方法を蛍光標識に適用することができるが、小さな蛍光体に対しては、一般には、蛍光体が充填されたビーズ、例えばポリスチレン・ビーズを使用するのが極めて有利である。
多くの検出デバイス、特に電子検出デバイスは、検出光に対して検出デバイスが線形に応答するレンジが限定的で、単一露光で典型的には約3桁または3.5桁に限定され、かつ/または計測器の信号/雑音比が許容可能な制限付きレンジにされる。例えば、非常に弱い信号レベルにおいて、システムからの電子雑音が、定量の精度に有意な支障を来す可能性がある。いくつかの技術は、主に、センサーの固有の限界を補償または克服することにより、検出器が正確な定量を与えうるレンジを拡張することを目的としている。他の技術は、主に、標識自体の特性に固有のダイナミックレンジの限界を克服することを目的としている。
検体分析の範疇において、「ダイナミックレンジ」とは、検体またはその代用物に直接的または間接的に添付された(またはそこから脱離した)特定の標識の存在に基づいた分析において検出することが可能な検体要素の密度もしくは濃度または絶対数のレンジを意味する。ダイナミックレンジは、新たな試料を必要とせずに、単一の分析性能で定量化できるレンジであるのが最も好ましい。
好ましくは、ダイナミックレンジは、標識濃度または密度と信号強度(すなわち応答曲線)の相関関係の直線部で、この場合は、それを「線形ダイナミックレンジ」と呼ぶことができる。この方法では、典型的には、ダイナミックレンジは粒子、好ましくは分析で定量化することが可能な光散乱粒子の濃度または密度レンジによって実証される。概して、ダイナミックレンジは、標識特性およびセンサーの限界に依存するが、他の要因にも影響されうる。ダイナミックレンジに関連して、「拡張」とは、少なくとも4桁を包括するダイナミックレンジを意味する。本発明の方法において、拡張ダイナミックレンジは、好ましくは、粒子計数、または他のダイナミックレンジ拡張技術を用いることなく、単一露光で同じ検出器を使用して同じ分析条件のもとで得られたダイナミックレンジより大きい。
第1の態様において、本発明は、複数のサイトを伴う分析形式で、光放射粒子、好ましくは光散乱粒子を標識として使用する検体分析において、拡張ダイナミックレンジ、好ましくは線形ダイナミックレンジを提供する方法に関する。該方法は、複数のサイトの標識から散乱する集積光をセンサーで検出することを含み、該センサーの応答は、高または低標識カウント、あるいはその両方において非線形になりうる。すなわち、蓄積光は、高光蓄積において非線形になり、また究極的には定量不可能になる信号を生成する。当該高光蓄積(集積信号)は、勿論、低強度信号よりも(高粒子密度に対応する)高強度信号によってより急速に生じる。検出デバイスのための応答レンジ、好ましくは線形応答レンジ内の少なくともいくつかのサイトから信号を提供するように選択される複数の異なる露光時間を用いて検出を行う。少なくとも2つの異なる露光時間を使用し、検出器に対する定量可能な応答レンジ内にあるそれぞれのサイトに対応する結果(すなわち、測定による読出し)を提供するように結果を選択する。
得られる拡張線形ダイナミックレンジは、少なくとも4桁、より好ましくは少なくとも5、6、7またはそれを上回る桁数であるのが好ましい。
好ましい実施形態において、各々のサイトに対する2つ以上の異なる露光時間からの結果を組み合わせて、所定のサイトの複合画像を形成する。異なる露光時間に対してそれらの値を正規化するために、拡大縮小が用いられる。当該組合せは、2つ以上の結果の集合体に対して対的に行うことが可能である。あるいは、対応するすべての読出し(例えば画素)を評価し、好ましいレンジの値を選択することによって上記の組合せを行うことが可能である。
好ましい実施形態において、複数の異なる露光時間は2つの異なる露光時間で、3、4、または5以上の異なる露光時間を利用することもできる。
異なるタイプの光センサーとともに、いくつかの異なる検出器を利用することもできる。好ましくは、センサーは、カメラにおけるセンサーで、好ましくは電子センサー、好ましくはデジタル・センサーである。センサーは、画像センサーであるのが好ましい。特定の用途において、2つまたは3つ以上のセンサーを利用して、例えば異なる強度および/または他の異なる特性の信号を検出するのが望ましいこともある。好ましい実施形態において、検出デバイスは、CCDセンサー、CIDセンサーまたはCMOSセンサーを利用する。好ましい実施形態において、センサーは、非ブルーミングまたはブルーミング抵抗センサーである。
本明細書において他の態様についても記載するように、好ましい実施形態において、個別的にアドレス可能な(位置を特定することが可能な)複数のサイトは、スライド上、チップ上、膜上、ゲル内、アレイ内、マイクロアレイ内、細胞内、細胞上、組織切片内に存在する。
詳細な説明に記載されているように、拡張ダイナミックレンジ、好ましくは線形ダイナミックレンジは、少なくとも4桁、より好ましくは少なくとも5、6または7桁以上とするのが好ましい。好ましい実施形態において、該方法は、単一の露光時間を利用する場合に比べて、ダイナミックレンジ、好ましくは線形ダイナミックレンジをダイナミックレンジ、好ましくは線形ダイナミックレンジに対して少なくとも1桁拡張する。より好ましくは、ダイナミックレンジを少なくとも2または3桁以上拡張する。
好ましい実施形態において、検出デバイスに対する線形応答レンジ内の信号を提供するように異なる露光時間を選択する。好ましくは、コンピュータによって異なる露光時間を選択かつ/または制御して、露光条件を最適化する。
ここでは、また本明細書に記載される他の態様において、様々な方式で複数のサイトの検出を行うことが可能である。例えば、複数のサイトを同時に走査することができ、1つまたは複数の異なるサイトを走査することができ、画像センサー、または複数の異なるセンサーの構成で複数のサイトを一緒に読み取ることができ、または画像センサー、または複数の異なるセンサーの構成で連続的なサイトの部分集合体を読み取ることができるなどの実現可能なサイトの読取り方法がある。画像センサーを使用して、複数の異なるサイトを読み取るときは、センサーは、サイト毎に少なくとも一画素、好ましくは複数の画素で各々のサイトを個別に画像化するのに十分な解像度を有するのが好ましい。
複数の露光時間の技術を、例えば弱信号による各サイトにおける粒子計数、および/または少なくとも1つのサイトから散乱する光がそのサイトの標識粒子の数に正比例しない強信号の非線形レンジにおけるサイトに対する信号のデコンボルーションによる他のダイナミックレンジ拡張技術と組み合わせることが可能である。ここでは、例えば本明細書に記載されているようなこれらの他の技術の様々な実施形態を利用することができる。
「分析形式」とは、標識を検出する、かつ/または検出のために標識を脱離させる様々な物理的形式を採用した分析構成要素の物理的構成または配置を意味する。分析形式は、「試料形式」とも呼ばれる。異なる分析形式には、例えば、スライド、チップ、膜、マイクロタイター・プレート、流動セル、キュベット、試験管、ゲル(例えばポリアクリルアミド・ゲルやアガロース・ゲル)の形式、ならびに小容量デバイス(マイクロリットルからピコリットルの範囲の容量のデバイス)における導管および液溜めを含む、異なる物理的形式が採用される。
ダイナミックレンジを拡張する方法に関連して、「サイト」とは、単一分析における物理的に不連続の空間、領域または位置を意味する。サイトは、分析形式によって決定される物理的形式に関連する。サイトは、不連続サイトが、オペレータまたは装置によって個別に識別されうる「アドレス可能サイト」であるのが好ましい。サイトのアドレス(特定された位置)は、試料および試薬の供給および/または検索、信号の検出、データ解析などのような様々な目的に利用できるが、それらに限定されない。典型的には、非限定的に、サイトは、異なる試料、検体、希釈率、サンプリングおよび/または異なる加工処理の存在に対応する。また、典型的には、異なるサイトは、サイト間の物理的感覚、例えば検体が結合しないプレートまたはチップの部分を有することになる。当該サイトおよびアドレス可能サイトの非限定的な例としては、スポット(マイクロアレイ・スポットを含む)、マイクロタイター・ウェル、ゲル内のスポットまたはバンド、膜またはフィルター上のスポットまたはバンド、小容量デバイスの導管および液溜め、ならびに染色体調製物、染色体またはその断片、区別可能な細胞区画、コンポーネント、オルガネラ、あるいは可視視野、細胞培養または組織切片における明確に異なる細胞が挙げられる。
「スポット」および「フィーチャ」という言葉もサイトを表すのに口語的に用いられる。複数サイトの分析形式に関連して、アレイ上のサイト(すなわちスポット)を表すのに「スポット」という言葉が使用されることになる。「フィーチャ」という言葉もしばしばこのように用いられるが、他の形式を表すのに使用することも可能である。
ここで用いられる「アレイ」とは、単一の物理的形式、例えばスライド、チップまたは膜における複数のサイトを意味する。該物理的形式における複数のサイトの構成は、試料形式または分析形式とも呼ばれる。好ましくは、試料形式は、平滑な試料胆持または試料結合面を有する固相物質である。好ましくは、アレイは、少なくとも4、6、8、10、20、50、100、200、400、800または1000、5000または10000個の個別的なサイトを含む。
検体分析標識およびこの方法の範疇において、「発光粒子」とは、分析の条件のもとで光を発する粒子を意味する。光を粒子によって発生させる必要があることを意味するものではない。例えば、入射光または蛍光の散乱によって発光させることができる。
同様に、「光散乱粒子」とは、検体分析における標識として有用性を発揮するのに十分な強度で、可視波長の光を散乱する粒子を意味する。例えば、当該粒子は、本明細書に記載されるように、金属または金属状物質を含む。どの粒子もある程度光を散乱することが認識されている。
ここで用いられるように、「集積強度」、「集積光」、「集積信号」および他の同様の言葉は、瞬間的な光強度、または検出器またはセンサーの最小集光期間に検出された光強度ではなく、ある期間にわたって集光された光を意味する。したがって、集光された集積光の量は、集光期間、その期間にわたる平均光強度、および集光器またはセンサーの集光効率に依存することになる。
本発明は、拡張ダイナミックレンジ、粒状標識を使用する検体分析において、好ましくは線形ダイナミックレンジを提供する方法をも提供する。好ましくは、粒状標識は、散乱光を検出する光散乱粒子である。分析は、複数のサイト、好ましくは個別的にアドレス可能なサイトに対して実施される。該方法は、個別的な画素に対応する非破壊的な信号読出しを与える画像センサーで、複数の異なる信号蓄積時間により、複数の個別的アドレス可能サイトにおける信号を測定することを含む。個別的アドレス可能サイトからの信号は正規化され、それぞれのサイトに対応する正規化信号は、これらのサイトに存在する標識粒子の数の指標を与える。
好ましくは、画像センサーにおける個別的な画素は、ランダム・アクセス画素である。好ましくは、個別的な画素、または画素群は、個別的に再設定可能である。好ましくは、画像センサーは、電荷注入デバイス・センサー(CIDセンサー)である。センサーがカメラであれば非常に好ましい。
該方法の好ましい実施形態において、強信号サイトに対応する画素または画素群は、センサーに対する線形応答レンジ内に信号を維持するように選択される時間間隔または蓄積閾値で再設定される。好ましくは、少なくとも1つの強信号サイトに対応する蓄積信号が読み取られ、複数の蓄積間隔に対して合計または平均化される。複数の蓄積間隔に対して合計すると、センサーに対する適切な応答レンジ内の信号をすべて合算することによって、前記少なくとも1つの強信号サイトに対する全露光時間が長くなる。同様に、複数の蓄積間隔に対して平均化すると、測定に対する統計的有効性が増す。
本発明は、フィルター、好ましくは光強度低減フィルターを使用する検体分析において、拡張ダイナミックレンジを提供する方法をも提供する。高強度の光を生成するサイトにおいて、フィルタリングを行うことによって、さもなければセンサーを飽和させるセンサー到達光量が低減される。
本発明は、少なくとも1つの高密度サイトが十分な数の標識粒子を含むため、散乱光信号は標識粒子の数に正比例しない複数の個別的アドレス可能サイトに対応する信号を画像センサーで測定することにより、これらのサイトに粒子、好ましくは光散乱粒子を標識として使用する検体分析において、拡張線形ダイナミックレンジを提供する方法をも提供する。前記少なくとも1つの高密度サイトに対する集積光信号のデコンボルーションを利用することによって、該少なくとも1つの高密度サイトにおける粒子間の相互作用を補正し、分析に対する定量可能レンジを拡張する。デコンボルーション技術は、粒子の密度または濃度が高くなって、粒子が互いに著しく干渉したときの比例的な散乱光信号の損失を調整する。デコンボルーションは、経験的、解析的、またはその組合せでありうる。
好ましくは、デコンボルーションによって、分析における定量のダイナミックレンジが少なくとも1桁、好ましくは少なくとも2桁拡張される。
拡張ダイナミックレンジを提供するためのこの技術を組み合わせて利用することも 可能である。例えば、特定の実施形態において、該方法は、複数露光時間技術(あるいは、非破壊的な蓄積信号読出しを提供するセンサーの使用)、フィルタリング技術および/またはデコンボルーションとともに二重粒子計数/集積信号技術の実施形態を含む。特定の実施形態において、該方法は、デコンボルーションとともに複数露光時間技術の実施形態を含む。特定の実施形態において、該方法は、デコンボルーションの技術とともに、蓄積信号の非破壊的読出しを提供するセンサーを利用する技術の実施形態を含む。
関連する態様において、複数の個別的アドレス可能サイトに発光粒子、好ましくは光散乱粒子を標識として使用して検体分析を行うためのシステム(装置)を提供する。該システムは、個別的アドレス可能サイトに光を提供する照明源と、個別的な画素または画素群の非破壊的読出しを提供する画像センサーとを含む。
光散乱標識を含むシステムでは、好ましくは、照明光は、(臨界角がその構成に合わせて設計される場合に)入射光に対する臨界角より直角に近い角度でアレイサイトに誘導されるか、または入射光に対して臨界角が設定されない(すなわち、入射光が、界面を通って屈折率の高い媒体から屈折率の低い媒体に達することはない)。
好ましくは、該システムは、複数の個別的アドレス可能サイトを含むサンプル・アレイ、例えばアレイまたはマイクロアレイ・スライド、チップ、膜、ゲル、マイクロタイター・プレート、または他のアレイ形式を含む。
好ましくは、個別的な画素または画素群の非破壊的読出しを与えるセンサーは、好ましくはカメラの電荷注入デバイス(CID)センサーで、ランダム画素アクセスが可能なセンサーが好ましい。好ましくは、センサーは、各画素配列寸法に少なくとも512画素、例えば512×512の画素配列、より好ましくは各画素配列寸法に少なくとも1024画素、例えば1024×1024、または1024×512の画素配列を与える。1つまたは両方の寸法における解像度が高いほうが多くの用途、例えばスポットまたはフィーチャ密度の高い分析媒体に対してより好ましい。
他の態様において、本発明は、複数の個別的アドレス可能サイトを有する分析媒体に粒子、好ましくは光散乱粒子を標識として使用する検体分析を行うためのシステムを提供する。該システムは、個別的アドレス可能サイトに光を提供する照明源と;画像を形成する、複数の個別的アドレス可能サイトに対する信号読出しを提供する少なくとも1つのセンサー、好ましくは画像センサーとを含む。該少なくとも1つのセンサーは、複数の異なる露光時間に信号読出しを提供することができる。該システムは、センサーから信号を受け取るとともに、不飽和画素値を選択することによって複数の異なる露光時間からの信号を合成(または選択)することにより、複数の個別的アドレス可能サイトに存在する標識粒子の数に対応する信号を提供するように構成されたコンピュータをも含む。
好ましくは、該システムは、複数の個別的アドレス可能サイトを含むサンプル・アレイ、例えばアレイまたはマイクロアレイ・スライド、チップ、膜、ゲル、マイクロタイター・プレートまたは他のアレイ形式をも含む。
他の態様において、本発明は、複数の個別的アドレス可能サイトに粒子、好ましくは光散乱粒子を標識として使用する検体分析を行うためのシステムを提供する。該システムは、個別的アドレス可能サイトに光を提供する照明源と;画像を形成する複数の個別的アドレス可能サイトに対する信号読出しを提供する少なくとも1つのセンサー、好ましくは画像センサーと;センサーから信号を受け取るとともに、非線形光散乱応答を、しかも補正可能な応答レンジ内で得るのに十分な粒子密度のサイトからの信号を畳み込むように構成されたコンピュータとを含む。したがって、該デコンボルーションは、複数の個別的アドレス可能サイトに存在する標識粒子の数に対応する信号を提供し、分析のダイナミックレンジを線形光散乱応答レンジからさらに拡張する。
好ましくは、該システムは、複数の個別的アドレス可能サイトを含むサンプル・アレイ、例えばアレイまたはマイクロアレイ・スライド、チップ、膜、ゲル、マイクロタイター・プレートまたは他のアレイ形式をも含む。
デコンボルーションを行うために、コンピュータは、デコンボルーションを行うための一連のソフトウェア命令を埋め込んだ記憶媒体を含むのが好ましい。
拡張ダイナミックレンジを提供するための上記システムは、上述の技術のうちの2つまたは3つの技術を提供するコンポーネントを組み合わせて含むこともできる。したがって、システムは、非破壊的信号読出しを提供するセンサーとともに、デュアル・モード技術(集積信号または粒子計数)を実行するためのコンポーネント、または複数の露光時間を提供するためのコンポーネント、および/またはデコンボルーションを行うためのコンポーネントを組み合わせて含むことができる。同様に、システムは複数の露光を行うためのコンポーネント、およびデコンボルーションを行うためのコンポーネントを組み合わせて含むことができる。同様に、システムは、デコンボルーションを行うためのコンポーネントと組み合わせてデュアル・モード技術のためのコンポーネントを含むことができる。
典型的には、複数露光技術(および関連コンポーネント)と、非破壊的信号読出しを提供するセンサーの使用は代替えとして扱われるが、単一の方法またはシステムにその両方を含めることも好適である。
拡張ダイナミックレンジを提供する方法を、例えば本明細書に記載されているようなRLS粒子標識、ならびに他の粒状標識を利用する検体検出方法の多くの異なる実施形態、および消散波照明を用いた光散乱粒子法と併用することが可能である。
ここに記載のRLSに基づく方法および関連装置は、粒子からの散乱光のみを最大限に検出するように設計されているため、蛍光体を使用する場合、または当該粒子を上述の方法に使用する場合に比べて何倍も感度が高い。当該粒子は、信号の電子的増幅を何ら必要とすることなく、低倍率の顕微鏡(2から500倍まで、例えば10から100倍の倍率)を使用することによって検出することが可能である。加えて、顕微鏡または撮像システムを一切必要とせず、光が散乱する液相または固相試料の1つまたは複数の光散乱特性を検出する方法が提供される。これらの散乱光特性を用いて、任意の特定試料中に存在する検体の有無または量を測定することができる。
概して、光源を特定の方法(例えば偏光、レーザまたは高強度)で処理する必要はなく、粒体からの散乱光を検出できるように、誘導すればよいだけである。空間フィルターを使用して、非特異的な光の散乱を抑えることができる。他の計測コンポーネント、および迷光を低減する試料槽で当該フィルターを補強することができる。
直接光は、多色性または単色性の光、定常光またはパルス光、凝集性または非凝集性の光とすることができる。それは偏光する必要がなく、発光ダイオード(LED)または12ワット白熱電球などのような低電力光源から生成させることができる。光は、直接光自体が粒子によって散乱されない限り検出器によって観察されないような角度で粒子を含みうる試料に誘導される。該方法および装置はSwopeの方法および装置とは異なり、臨界角度内、好ましくは照明角度内で当該散乱を目視できるという点で優れている。しかしながら、臨界角より大きな角度で、かつ散乱光の前方方向の強度範囲の外側で検出することもできる。この方法を撮像装置、例えば顕微鏡に用いるときは、試料の平面に対して直角な検出器を使用するのが好ましい。
より使い易くより安価な方法および装置を用いて、特定のタイプの粒子を、非常に低濃度まで、高度な特定性で、かつ幅広い濃度範囲にわたって検出、測定することが可能である。RLS粒状標示を使用する方法は、より使い易く、より高感度で、より特定性の高い検体検出を可能にするとともに、従来の検体検出法より低コストである。
理論的なモデリングおよび物理的実験によって、被覆金属状粒子は、非被覆金属状粒子と比べて同様の光散乱特性を有し、どちらも非金属状粒子に比べて優れた光散乱特性を有することが明らかになった。
「金属状」粒子とは、金属、金属化合物、金属酸化物、半導体(SC)、超伝導体からなる任意の粒子または粒子状物質、あるいは少なくとも0.1重量%の金属、金属化合物、金属酸化物、半導体または超伝導体物質を含む混合組成物からなる粒子を意味する。
「被覆」粒子とは、別の物質の層を表面に有する粒子を意味する。該層は、様々な試料環境において粒子を化学的に安定化させ、かつ/または分子的認識手段によって特定の検体を結合させるために存在する。当該被膜は、例えば、無機および有機化合物、ポリマー、タンパク質、ペプチド、ホルモン、抗体、核酸、受容体などである。
「非金属状」粒子とは、金属、金属化合物、超伝導体、金属酸化物、半導体から構成されない粒子、または少なくとも0.1重量%の金属、金属組成物、金属酸化物、超伝導体または半導体物質から構成されない混合組成物を意味する。
さらに以下のことが明らかになった。
(1)金属状粒子の1つまたは複数の特異的光散乱特性の検出および/または測定によって試料中の1つまたは複数の検体を検出、測定することが可能である。これらの光散乱特性としては、散乱光の強度、波長、色、極性、角度依存性およびRIFSLIW(個々の粒子の回転による、散乱光の強度および/または波長の変動(ムラ))が挙げられる。これらの粒子散乱光の1つまたは複数の特性を用いて、試料中の検体に関する情報を提供することが可能である。
(2)金属状粒子の粒径、および/または形状および/または組成を様々な組合せで変化させることによって、1つまたは複数の光散乱特性を調節して、より容易に検出および測定可能な光散乱信号を生成させることが可能である。
(3)本明細書に記載のRLS粒子法による特定の粒径、形状および組成の金属状粒子の照明および検出は、その光散乱特性によって金属状粒子の検出および測定を行う非常に高感度で使い易い方法を与える。該方法は、使い易く安価な装置手段による単一粒子の検出を容易にする。
(4)RLS法を粒子計数および/または集積光強度測定に用いて、幅広い濃度範囲にわたって粒子の検出および測定を行うことができる。
(5)屈折率増大法を用いることにより、粒子の光散乱特性の向上、および/または非特異的な背景光の低減が可能になる。
(6)RLSに対するビデオ・コントラスト強化法を用いることにより、多くの異なるタイプの試料および診断測定形式における検出感度を高めることが可能である。
(7)マイクロアレイおよびアレイ・チップ形式に広く使用されるような小さな固相領域における検体の高感度検出には、特定のタイプの金属状粒子が他のものより好ましく使用される。RLS法を用いることによって、マイクロアレイおよびアレイ・チップ形式の金属状粒子を最も容易に、かつ安価に検出することができる。これらの形式の当該粒子をレーザ走査共焦点顕微鏡法、明視野またはエピ偏光学顕微鏡法、ならびに反射コントラストおよび微分干渉コントラスト顕微鏡法といった方法によって検出することも可能である。しかしながら、これらの方法および装置は、RLS法および装置ほど使い易くなく、安価でもない。
(8)特定の試験キットのための有用な装置および粒子タイプを作製することができる。これらの様々な試験キットおよび関連装置は、消費者用途、野外携帯用途、医院、クリニックおよび救急治療室などの医療用途、研究室、ならびに集中高スループット試験に対する応用に有用である。本発明の上記態様は、多くの異なるタイプの試料および診断測定形式における1つまたは複数の検体の検出を可能にする。
光照明および検出の方法は、「DLASLPD」(検出された粒子からのみの散乱光に対して傾斜した直接光)と命名される。
以下により詳細に述べるように、粒子、光源および光検出機構には多くの種類がある。加えて、使用される粒子も多くの種類のものを適用することが可能である。
好ましい実施形態において、粒子は、特定の波長、色、偏光、角度依存性、および肉眼または光検出手段で検出可能な散乱光のRIFSLIWの特定の光散乱信号を生成するのに適した粒径、組成および形状を有する;検出は、粒子を計数する方法、および/または粒子の濃度の測定としての散乱光の強度の測定を含む;粒子は、金属状物質から形成されるか、または非金属状物質を含む混合組成物から形成され、球状、卵形または非対称形である(非対称形とは略球状でないことを意味する);粒子は、結合剤、ポリマー、反応性化学基、基材分子、ならびに無機および有機化合物が塗布されている;二次的な結合対を用いて、1つまたは複数の光散乱粒子を検体に対応づける;分析形式において2つ以上の粒子を互いに密着させたときの散乱光特性の変化を利用する;金属状物質から構成され、結合剤を結合するように成された基材分子が塗布された粒子試薬を使用する;2つ以上の粒子の光散乱特性を単一粒子から導くことができるように2つ以上の粒子を十分に密着させる分析形式を用いる;いずれか1つの粒子の光散乱特性が変化するように、互いに近接する2つ以上の粒子を分離させる分析形式を用いる;粒子を結合させる分子的相互作用が破壊したときに、1つまたは複数の粒子が分子的相互作用から放出されるように、1つまたは複数の分子的相互作用によって2つ以上の粒子を結合させる分析形式を用いる;化学的または生物学的架橋剤を使用して2つ以上の粒子を架橋させることによって検体の増幅検出を達成する分析形式を用いる;細胞表面受容体、細胞内受容体、細胞内信号タンパク質、G−タンパク質結合受容体、イオン・チャネル、プロテアーゼおよびタンパク質キナーゼを含む酵素、DNA結合タンパク質、核酸およびホルモンを含む薬剤標的物質を使用して新しい薬剤のスクリーニング、同定および特性決定を行う分析形式;磁気ビーズまたは他のビーズを固相として使用し、ビーズに結合した光散乱粒子を検出するか、または検出に先立って溶液に分散させる分析形式;粒子を別の物質で構成して、電場、磁場または関連する電磁場(EMF)で配向させる;粒子を磁性または強誘電特性を有する他の粒子に結合させる;磁場および電場をそれぞれ試料に加えて、試料の1つまたは複数の領域に光散乱粒子を集中できるように、使用される光散乱粒子が磁性または光電特性を有する分析形式;照明光線は、他の波長に比べて背景光を低減するように選択された波長を有する。
特定の実施形態において、照明光は、定常光またはパルス光である;照明光は、凝集性または非凝集性である;照明光は、偏光または非偏光である;同一の光源、または2つ以上の異なる光源からの2つ以上の異なる波長を用いて、試料を照明し、散乱光信号を検出する。
特定の実施形態において、該方法は、肉眼または光検出器手段によって検出することができる1つまたは複数の散乱光特性をそれぞれ有する複数の異なる粒子を使用することを含む;かつ/または複数の異なる光の波長を照明または検出工程に使用する;屈折率増大法を用いて、非特異的な背景光を低減する;試料および光線散乱光の前方方向の範囲外の角度に検出器を配置する;空間フィルタリング法を使用し、遮断および・または狭帯域フィルターの如き光学フィルターを検出工程に使用して、非特異的な背景光を低減する。
また、特定の実施形態において、検出に先立ち、自動メタログラフィーによって粒子のサイズを大きくする;照明光線は赤外線が不足している。検体が血清中に存在している。検出に先立って粒子を溶液に分散させる;検出に先立って、粒子を小容量または固相領域に集中させる;時間依存的に表面に結合させるか、または粒子を検出器または検出器の集合体を通過させることによって粒子を検出する;核酸、タンパク質、ペプチド、抗体、抗原物質、薬剤またはターゲットまたは他の結合剤から構成されるアレイまたはマイクロアレイにおいて複数の検体を固相上で検出する;アレイまたはマイクロアレイの異なる領域に結合した光散乱粒子のパターンおよび量を用いて、遺伝子発現およびタンパク質発現レベル、核酸配列の正体、生体またはその細胞または菌株の正体、ならびに薬剤の薬学的特性を測定する;マイクロアレイを液体で覆うか、または乾燥状態にする;細胞表面、細胞溶解物または染色体調整物において単一または複数の検体を検出する;照明光線は多色性の白色光または単色性の光である;検体は、溶液または固相に存在し、あるいは顕微鏡スライド、マイクロタイター・プレート、試験管、毛細管、流動セル、マイクロチャネル・デバイス、キュベット、計量棒または他のプラスチック容器に存在する;粒子は、粒径が1から500nm、好ましくは10から200nmの金または銀粒子である。検出工程は、電子手段によって散乱された光の増幅を含まない;照明光線は、プリズムまたは他の光誘導システムによって粒子のほうへ誘導される。
加えて、検出は、少なくともa×10の対物レンズを通じて粒子観察することを含むことができる;ビデオ・コントラスト強化法を用いる;光繊維照明および検出を用いる;明視野、レーザ共焦点走査、反射コントラストまたは微分干渉コントラスト顕微鏡検出法を用いる;試料を走査し、試料内の1つまたは複数のサイトにおける散乱高強度を検出する装置を使用する;測定された各々の検出点における検出光散乱信号から試料の1つまたは複数の領域の二次元画像を再現する;試料の1つまたは複数の領域の画像を回収する装置を使用する;画像光検出器で粒子を検出し、試料の1つまたは複数の領域のデジタル画像を画像処理手段によって取得する;直接観測または画像解析方法を用いて、試料中の粒子の1つまたは複数の特性の検出および測定を行う;エッジ検出法を用いて試料内の粒子を識別する;階調または色に基づく強度値、粒径、形状またはこれらの特性の組合せを含む1つまたは複数の検出および測定特性に基づいて、画像化粒子の識別および分類を行う;識別粒子の計数、粒子として識別された画像の全領域における単一画素値の合計、粒子として識別された画像領域毎の中間または平均強度値の合計、またはそれらの組合せによって、試料中の光散乱粒子の量を求める;コンビナトリアル合成分子の検出および生成を行う;組合せまたは他の合成分子に対する固相合成支持体として粒子および/または特殊被膜を使用する;特別に設計された試料槽を使用する;光学的コンポーネントおよび試料槽上の反射防止膜を利用する;野外用途、医院、クリニックおよび病院治療室用の装置を使用する;適切な試験キットに特殊な粒子タイプを提供する。
本発明の信号生成および検出システムが高感度で使い易いということは、当業者が、信号(標識)または標的検体分子増幅方法を必要とせずに、安価な手段により、試料中の1つまたは複数の検体を極めて低濃度まで検出、測定できることを意味する。
本発明において異なる粒子タイプからの特定の光散乱信号のレンジが広いということは、当業者が、試料中の1つまたは複数の検体を高度な特定性で検出、測定できることを意味する。
本発明において2つ以上の異なる粒子タイプの光学的分解能が高いということは、複雑な装置を必要とせずに、試料における非常に単純な複数検体検出(2つ以上の異なる検体の検出)が可能であることを意味する。
ここに記載される方法および装置は広く利用されることを当業者なら理解するであろう。それらは、信号生成および検出システムを分析システムの一部として使用して、検体の有無を定量かつ/または検出することが望ましいたいていの状況に対して何らかの形で適用可能である。当該検体としては、あらゆるタイプの工業化合物および薬剤化合物、タンパク質、ペプチド、ホルモン、核酸、脂質および炭水化物、ならびにあらゆる種類の生物細胞および生体が挙げられる。本発明の1つまたは他の実施様式を、あらゆるタイプの診断測定に広く用いられるたいていの分析形式に適応させることができる。例えば、これらは、サンドウィッチ型、集合型、間接的または直接的等の異種および同種分析形式を含む。試料タイプは、液相、固相または混合相でありうる。
本発明の他の特徴および利点は、以下の好ましい実施形態の説明および請求項により明らかになるであろう。
試料に対する下からの照明を示す図である。Lはレンズ;Dはレンズの直径;0は表面S上の検出領域;Cは、Lが光を集光する角度を示す円錐;LBは照明光線である。 レンズの集光角度を示す図である。Dはレンズの直径;fは焦点長さ;Oは検出領域;θは平面的な集光円錐角度の半角である。 表面における反射および屈折を示すのに用いられる角度を定めた図である。Sは表面、nおよびnは、それぞれ入射媒体および表面媒体の屈折率;RFRBおよびRFLBは、それぞれ屈折光線および反射光線;IBは入射光線;θi、θrおよびθtは光線の入射角、反射角および屈折角である。 図4Aおよび図4Bは、様々な文献から採用したn<ntに対する光反射グラフである。 図4Cは、様々な文献から採用したn<ntに対する光反射グラフである。 図5Aは、様々な文献から採用したn>nに対する光反射グラフである。 図5Bは、様々な文献から採用したn>nに対する光反射グラフである。 空気中の乾燥表面上の粒子の照明に伴う屈折および反射を示す図である。 =1.5+n=1に対してθi2とθi1をプロットしたグラフである(図6参照)。 表面の人工構造および粒子によって散乱した光の角度分布を示す図である。破線は粒子によって散乱した光を表し;矢印の付いた実線は白色光線、および表面の人工構造による散乱光の1つの光線で、円は、前方方向に散乱した光に対する強度範囲である。 顕微鏡スライド上に存在し、カバー・ガラスで覆われた水の薄膜内の試料を示す図である。照明光線は4つの媒体界面、すなわちS1(空気とガラス);S2(ガラスと水);S3(水とガラス);S4(ガラスと空気)に遭遇する。粒子は、表面S2上の0に位置するか、または表面S2の上を自由に移動する。入射光は表面S1に衝突する。 試料に対する下からの照明を示す図である。Lはレンズ;Cは集光円錐角である。 プリズム構成を用いた照明(下からの照明)を示す図である。S1は光が入射するプリズムの表面;S2およびS3は、それぞれプラスチック基板の底面および上面である。 図12Aおよび図12Bは、それぞれポア・プリズム(12A)および等面プリズム(12B)を示す図である。 図12Cおよび図12Dは、ホーム・メード・プリズム(12Cおよび12D)を示す図である。 図12Eは、および平凸レンズを示す図である。 ローダミン・プラスチック・ブロックを用いて観察した照明光線を示す図である。 図15の説明を目的とした表面および関連する平面を示す図である。S1は光透過性または光不透過性固体基板;SP1表面S1の平面の上に位置する三次元空間;SP2は、表面S1の平面の下に位置する三次元空間である。光散乱粒子または物質は、表面S1またはその付近のSP1平面内に存在する。 異なるDLASLPD照明および検出法の概要を示す図である。 異なるDLASLPD照明および検出法の概要を示す図である。 実験的に測定した光強度と、径が100nmの被覆および未被覆の金粒子に対する入射波長スペクトルとの関係を示す図である。 図17、18及び19は、非特異的な背景光のレベルを低減する様々な試料槽設計を示す図である。これらの試料槽は、液状試料と固定化試料との両方を試験することが可能である。図17では、S1は光線が試料槽に衝突する表面を表しており、S2は、(固定化試料に対する)光散乱体質を含む表面を表す。S3は他の傾斜面を表している。表面S1およびS3は、照明角度に応じて、約20°から70°傾斜し、表面S1は、直角に対して0°の角度で光線がS1に衝突するような角度を有する必要がある。S4は、開口部を有する、または有さない光透過性の表面である。S5は、表面S2の反対面である。槽が閉鎖されている場合は(すなわち、S4が開口部を有さない固体面である場合は)、試料を導入し、かつ必要な場合は洗浄を行うために、表面の1つに小さな開口が設けられる。 傾斜面が曲面に代えられていることを除いて、図17と同様に設計された試料槽を示す図である。他のすべての点は図17の設計と同じである。 S1は、光線が試料槽に衝突する光透過性の平滑傾斜表面である。表面S1の面は、光線が0°でS1に衝突するような角度を有する必要がある。S2は、物質が固定化された場合に光散乱体質を含む表面である。S3は、他の曲面または傾斜表面である。S4は、閉鎖された試料槽に対する光透過性表面である。あるいは、S4は、試料の導入および洗浄ならびに検出のための様々な大きさおよび形状の開口部を有する。S5は、表面S2の反対面である。槽が閉鎖されている場合は、表面の1つに、試料の導入および/または洗浄のための小さな開口部が必要になる。 粒子と偏光された光との相互作用を説明するのに用いられる座標系を示す図である。光は、y軸に沿って進み、z軸方向に偏光される。Dは散乱光強度の検出器である。γは観察方向である。θおよびφは、それぞれコア角および偏光角である。 液体試料を分析するための計測器の概要を示す図である。フィラメントまたは放電灯からの光を、レンズL1で表されるレンズ・システムによって、モノクロメータの入口スリット上に集める。モノクロメータを出た単色光をレンズL2で集光し、レンズL3によって透明な試料キュベット(ST)の中心に集める。試料キュベットは、蛍光分子の溶液または光散乱粒子の懸濁液を含有する。試料キュベットは、その壁から反射された光が、下方に偏向し、光検出器から離れるような角度で傾斜する。試料によって散乱または放射された光は、試料キュベットおよび液体内容物の拡大画像を平面Maに形成するレンズL4によって集光される。平面Mには、キュベットの中心の液体によって放射または散乱された光が光検出器に到達することを選択的に可能にするが、試料キュベットの側壁から反射または散乱された光から光検出器を遮蔽する小さな開口が配置される。液体内容物の中心のMにおける拡大画像は、放射または散乱光が検出される傾斜試料キュベットの壁の屈折率効果によって、レンズL4の光軸から変位する。液体中央の変位画像が開口および光検出器に重なるように、レンズL4の光軸の片側に対して、光検出器および開口を配置する。光学フィルターおよび/または偏光子を照明光および散乱光の経路に導入するためのホルダー(H1およびH2)を設ける。光検出器の前方に光シャッタを配置する。光検出器が小さな感光領域を有する場合は、Mで開口を横切る光をその感光領域に集める。単色光を必要としない場合は、モノクロメータを容易に除去し、フィラメントまたは放電灯からの光をレンズL1、L2およびL3によって試料容器の中心に直接運ぶことが可能である。 光散乱粒子の使用方法、および特定のDLASLPD法の概要を示し、それにより特定の試験キットおよび装置を説明する図である。 光散乱粒子の使用方法、および特定のDLASLPD法の概要を示し、それにより特定の試験キットおよび装置を説明する図である。 光散乱粒子の使用方法、および特定のDLASLPD法の概要を示し、それにより特定の試験キットおよび装置を説明する図である。 装置および分析展開手順の概要を示す図である。 図26Aおよび図26Bは、それぞれ径が10nmの球状の金および銀についての散乱光強度の計算値と入射波長分布の関係を示す図である。Lは波長;Cscaは光散乱断面である。 図26Cおよび図26Dは、それぞれ径が10nmの球状のセレニウムおよびポリスチレン粒子についての散乱光強度の計算値と入射波長分布の関係を示す図である。Lは波長;Cscaは光散乱断面である。 図26Eおよび図26Fは、それぞれ径が10nmの球状のアルミニウムおよび銅についての散乱光強度の計算値と入射波長分布の関係を示す図である。Lは波長;Cscaは光散乱断面である。 図27A、図27B、図27C、図27D、図27Eおよび図27Fは、様々な粒径の金粒子についての散乱光強度の計算値と入射波長の関係を示す図である。A、B、C、D、EおよびFは、それぞれ径が10、20、40、60、80および100nmの球状金粒子に対応する。REL CSCAは、相対的な光散乱断面;WAVE、NMは波長である。 球状の被覆粒子の図である。(1)は、ポリマー、結合剤、または粒子表面上の他の物質の被膜;(2)はコア粒子である。 図29A、図29Bおよび図29Cは、MLSP(操作可能な光散乱粒子)混合組成物粒子の図である。A(1)は、(2)所望の光散乱物質を塗布したコア磁性または強誘電物質;Bは、(3)磁性または強誘電物質を塗布した(4)光散乱物質のコア;Cは、(5)光散乱物質と(6)磁性または強誘電物質の混合物を示す。 図30A、図30Bおよび図30Cは、それぞれ、配向性MLSP粒子に対するダイマー、テトラマーおよびより高次元の粒子構造体を示す図である。(1)は検出可能な光散乱粒子で、(2)は磁性または強誘電体粒子である。ライン(3)は、多粒子構造体において粒子を結合させる化学結合、イオン結合またはその他の結合である。 検出された散乱光強度と、一連の径が異なる略球状金粒子についての粒子濃度との関係を示す図である。 検出された散乱光強度と、固相に関連する径が約60nmの略球状金粒子についての粒子密度との関係を示す図である。 光散乱粒子から散乱する光を検出するための装置の図である。照明源(100)は、合焦レンズ(200)および光導体(500)を介して試料(400)に照明光線(IB)を提供する。照明角度の調節、光線の合焦、および光導体の位置合わせによって、照明される試料内の領域の位置および大きさを確定する。試料ホルダー(300)を用いて試料を所定位置に保持し、三次元の照明および検出光学素子に対して試料位置を調節する。照明光線が試料(400)に入り、迷光または反射光(RIB)がほとんどまたは全く集光光学素子(600)に入り込まないように、配向される。試料についての所望の視野が得られるように、様々なレンズの組合せを変更することによって集光光学素子を調節する。集光光学素子を介して試料の放射光線(RBS)を画像光検出器(700)上に集める。画像光検出器の出力は、コンピュータ・スクリーンおよび/または記憶媒体へのデジタル化画像の転送を制御するマイクロプロセッサ・コントローラまたはコンピュータ(1000)の一部となる、またはそれに取りつけられる光学的デジタイザ(800)および画像プロセッサ(900)に添付される。 信号・粒子密度曲線を示す図で、特にデコンボリューションによって補正可能な例示的な曲線部を示す図である。
略語
ここでは、以下の略語を使用する。
E−EMR−放射電磁放射線
I−EMR−入射電磁放射線
EMF−電磁場
SC−半導体
Sec−秒
−蛍光量子効率
abs−入射光吸収(1秒当たりの吸収光子量)
−入射光強度(1秒当たりの光子量)
M−モル濃度(1リットル当たりのモル数)
ml−ミリリットル
mM−ミリモル
g−グラム
mg−ミリグラム
mm−ミリメートル
μl−マイクロリットル
pI−等電点
Eore−モル十進法吸光係数(M−1cm−1
C−モル濃度(M)
X−光路長(cm)
If−蛍光強度(1秒当たりの光子量)
eff−粒子の散乱光率
abs−吸収断面積(cm
CSR−粒子の物理的断面積に対する粒子の吸光断面積の比率
sca−散乱断面積(cm
CSR−粒子の物理的断面積に対する粒子の散乱断面積の比率
a−粒子の半径
ext−粒子の散乱吸光断面積(cm
I−溶液厚Xを通過後に溶液を出る1秒当たりの光子量
N−粒子濃度(粒子数/cm
t−懸濁液の濁度
−散乱強度(光子量/秒)
−物質の屈折率
Rel−nの実成分
Im−nの虚成分
−媒体の屈折率
m−媒体の屈折率に対する粒体物質の屈折率の比率
−入射光波長(mm)
RI−屈折率係数
Refmed−媒体の屈折率(n
−媒体の誘電率
−媒体の屈折率
a−被覆粒子の分極率の算定
nm−ナノメートル
cm−センチメートル
μ−ミクロン
本発明の方法は、試料中の1つまたは複数の検体の検出および測定方法、特に特定の組成、粒径および形状の特定タイプの粒子(RLS粒子)の使用に基づく検体検出および/または定量方法、ならびに1つまたは複数の粒子の光散乱特性の検出および/または測定に有利に適用される。
RLS粒子を利用するここに記載の方法は、従来可能であったものに比べてより使い易く、感度および特定性がより高く、検体のより広い濃度範囲にわたって検出および測定を行うことが可能である。したがって、ここに記載のRLS粒子法は、信号および標的検体増幅(例えば化学発光およびPCR)法、蛍光標識および蛍光法、ならびに従来の粒子に基づく分析および光散乱法の使用に比べて多くの利点を有する。該方法は、汎用性があり、診断の分野、ならびに他の分野に広く応用される。該方法は、液相、混合相、固相および固液マイクロアレイ分析形式の試料に対する免疫測定、核酸分析など、すべてではなくてもたいていの標準的な結合対型分析に用いることが可能である。
本発明の特定の形態の各々の具体的な取組みを明示することによってRLS粒子法の幅広い有用性を説明するのではなく、当業者が本発明を実践して、すべてではなくてもたいていの検体検出要件を満たす際の主要な要素および検討事項を説明する。このような取組みにより、具体的な方法の実施形態、ならびに具体的な装置および試験キットを提示する。
ここに記載の開示内容は、当業者が、多くの異なる形態のRLS粒子法を実践して、すべてではなくてもたいていの試料タイプ、検体タイプ、診断測定形式タイプおよび装置タイプに適合する所望の検体または粒子検出機能を達成することを可能にするものである。該方法は汎用性が高いため、(実験室ではなく)現場、あるいは小規模な医療または分析実験室、寝台、救急治療室、特殊な病院の治療室(心臓治療、集中治療、外傷治療室など)、研究室、または1日当たり大量の試料を処理する施設において1つまたは複数の検体を検出するのに実施することが可能である。何らかの形態で本発明を実践することにより、様々なタイプの安価な装置および試験キットを作製して、具体的な検体診断要件に適応することが可能である。
RLS粒子法には、様々な組合せで実行すると、具体的な取組みに対する検体検出機能を定めるいくつかの特徴がある。これらの特徴のうちの2つの特徴としては、(1)所定の分析形式および試料タイプにおいて高度な加速性および検出性の光散乱特性を有する特定の粒子タイプの使用、および(2)好ましい照明および検出方法に対する特定の粒子タイプの使用が挙げられる。特定の用途においては、屈折率増大法およびビデオ・コントラスト強化法も用いられる。
金属状粒子の有用な光散乱特性の測定
RLS粒子法を十分に理解するのに役立つ情報を以下に示す。それらの式は、本発明を実践し、最適化するのに有用であるが、請求項に対する先行技術であると承認されるものではない。
RLS粒子法の検体の検出のための信号生成および検出システムの開発において、我々が、蛍光パラメータによって異なる粒子タイプの様々な光散乱属性を評価することを可能にする新しい式を展開することが有用であった。これによって、我々は、ε、Qf、蛍光および吸光スペクトル、放射光強度の観察角度への依存性、および放射光の偏光状態を調べることができた(これらについては以下に説明する)。これらの式により、当業者は、組成、粒径および形状の如き具体的な粒子パラメータを選択して、診断測定または任意の他の用途で使用するときに検出、測定することが可能な望ましい光散乱特性を具現化することができる。読者が新たな式8から式15を理解できるように、式1から式7を背景情報として提示する。記載されているいずれかの式または光散乱パラメータが請求項に対する先行技術であることを承認するものではない。
開発された分析法は、粒径、形状、組成および均質性といった様々なパラメータにより多くの異なるタイプの粒子を評価して、分析および診断測定において容易に検出、測定される望ましい光散乱信号を生じる具体的な粒子パラメータの特定構成を判断する当該技術分野の既知のレイリーおよびミーの光散乱理論に基づいている。
蛍光パラメータの定義
蛍光物質については、式1に示すようにして、1秒間に吸収される光子の数と、光として再放射される吸収光子の割合(Q)との積から蛍光強度が求められる。
abs(λ)=2.303I(λ)e(λ)Cx (1)
上式において、I(λ)は波長λの入射光の強度(光子量/秒)、I(λ)は波長λにおけるモル十進法吸光係数(単位M−1cm−1)、Cは蛍光体のモル濃度(M単位)であり、xは光路長(cm)である。
放射波長λおよび吸光波長λにおける積分蛍光強度I(λ)(1秒当たり全方向に放射される光子量の合計)は、(光子濃度が低い場合は)以下の式で与えられる。
I(λ)=2.303I(λ)Q(λ)e(λ)Cx (2)
上記パラメータに関して分析用途での蛍光化合物の有用性を評価することはよく知られた手順である。蛍光分子および蛍光技術の使用は、蛍光分子の光安定性、ならびに非特異的な蛍光、燐光および散乱光の量が多い試料において特定の蛍光放射信号を検出する能力によって制限される。蛍光分子、または蛍光染料から構成される粒子の如き他の蛍光物質の高感度検出では、より高精度な計測が必要とされる。
光散乱パラメータの定義
粒子の吸収断面積(C abs
波長λの単色光線によって照明される粒子について考えてみる。粒子の吸収断面積Cabsは、その領域に入射する光子はすべて非可逆的に粒子に吸収されるような粒子を囲む領域の面積(通常、単位cmまたはμで表される)として定義される。Cabsの値は、粒径、組成、形状および均質性に依存する。Cabsの値は、また、光の波長にも依存し、Cabsと波長のグラフは、粒子の純粋な吸収分布を示す。均質的な組成の任意の球状粒子に対するCabsと波長の分布は、レイリーまたはミーの理論によって計算することが可能である。我々の用語定義では、Cabsは非可逆的な光吸収に関連する。吸光断面積Cextの定義を示す以下のセクションを参照すれば、Cabsの性質をより深く理解することができる。
相対的吸収断面積A csr
相対的吸収断面積Acsrは、粒子のCabsを粒子の物理的断面積πa(aは粒子の半径)で割った比率、すなわちAcsr=Cabs/πaとして定義づけられる。Acsrは、粒子を囲む領域に入射する光子を不可逆的に吸収する粒子の能力の尺度を与える。Acsrは、粒子の組成、形状および粒径、ならびに光の波長に依存する0から6の範囲の値を有することができる。1より大きい値は、粒子がその物理的寸法を上回って、光子を引きつけ、吸収できることを意味する。物理学の文献では、Acsrは粒子の吸収効率係数と呼ばれている。Acsrは、効率性に関係なく、1より大きい値を有することができるため、このような命名は間違いである。
粒子の光散乱断面積(C sca
散乱粒子に吸収された光の光子(ここでの吸収は可逆的および非可逆的吸収を含む)が(量子力学的観点から)吸収された光子と同じ波長で再放射される限定的な可能性が存在する。再放射された光子は、入射光子の方向と異なる方向で放射されうる。すなわち、入射光子は、吸収および再放射によって散乱される。入射波長における粒子の散乱断面積(Csca)は、その領域に入射するすべての光子が散乱される(量子力学的観点から、吸収され、次いで再放射される)ような粒子を囲む領域の面積として定義づけられる。Cscaは、通常、cmまたはμの単位で表され、粒子の組成物、形状、粒径および均質性、ならびに波長に依存する。均質な組成の任意の球状粒子については、レイリーおよびミーの理論を用いて、光散乱分布Cscaと波長の関係を計算することができる。
粒子の物理的または幾何学的断面積(S csr )に対するC sca の比率
粒子のCscaを粒子の物理的または幾何学的断面積πa(a波粒子の吸半径である)で割った比率は、粒子を囲む領域からの光子を引きつけ、吸収し、再放射する粒子の能力の尺度を与える。すなわち、Scsr=Csca/πaが成り立つ。物理学の文献では、Scsrは散乱効率係数と呼ばれている。
csrの値は、粒子の組成、形状、均質性および粒径、ならびに光の波長に応じて、1から5またはそれより大きい範囲の値をとりうることが実験的および理論的結果によって証明される。1より大きいScsr値は、粒子がその物理的寸法を上回って、光子を引きつけ、吸収し、次いで再放射できることを意味する。これが可能であるのは、粒子の半径より大きな距離で、粒子と光子の電磁波との電気的相互作用が起こりうるためである。概して、Scsrは、粒径とともに増加する。小さな粒子(40nm未満)では、Scsrは1より小さいのに対して、より大きな粒子ではScsrは1以上で、さらに大きな粒子については5に達しうる。
粒子の吸光断面積(C ext
光散乱粒子の吸光断面積Cextは、粒子の散乱断面積(Csca)と吸収断面積(Cabs)の和として定義づけられる。
ext=Csca+Cabs (3)
extは、通常、単位cmまたはμで表される。
任意の粒子の吸光断面積Cestは、通常の吸収分光計における任意の所定の波長で容易に測定することが可能である。N(粒子数)/cmの濃度の粒子の懸濁液に入射する光線の強度をI(光子量/秒)とする。X(cm)は溶液の厚さ、I(光子量/秒)は、距離xを移動した後に溶液を出る光の量である。強度とCextの関係は以下の式で与えられる。
(λ)=I0(λ)−Next(λ) (4)
この式は、明らかに、パラメータがλに依存することを示している。光検出器は、それが散乱光を検出しないように配置されるものと想定される。
粒子が純粋の散乱体である、すなわち光を不可逆的に吸収しないときは、cext=Cscaが成り立ち、上式は以下のように表される。
I=I−NC sca (5)
=I−tx (6)
ただし、t=NCscaは懸濁液の濁度である。
モル十進法吸光係数
化学の分野では、溶液中の物質が所定の波長の光を吸収する強度は、M−1cm−1(Mはモル/リットルを表す)の単位をもつモル十進法吸光係数eによって表される。この係数と、実験により求められた吸光度との関係は以下の式で与えられる。
(λ)=e(λ)Cx (7)
粒子の光散乱パラメータを調べるために出願人が行った式の展開
次に、ここに記載のRLS粒子法に用いられる理論的手法について説明する。当業者は、以下の方法を用いて、組成、粒径、形状および均質性といった具体的な粒子パラメータの評価、修正および調整を行って、容易に検出、測定される1つまたは複数の望ましい光散乱特性を導くことができる。試料タイプ、診断形式、および装置手段の限界を考慮する必要がある。例えば、ある用途では、高スループットの試験装置で、非特異的な背景光を多く含む固相試料に対する多検体検出を行うことができるのに対して、他の用途では、医院において、溶液中の単一検体検出が行われる。
主な関心の対象は、分析および診断測定に使用される粒子タイプの最適化であった。これらのうちのほとんどの用途では、粒子にポリマーやタンパク質などの高分子物質を塗布して、様々な媒体に好適な化学的安定性を付与する。当該技術分野では、そのような塗布剤がいくつか示されてきた。被覆粒子を分析または診断形式に使用できるように、抗体、受容体、ペプチドなどの結合剤を粒子の表面に塗布する。いくつかの用途において、結合剤は、溶液中の粒子を安定化させるとともに、特定の認識結合成分を提供して検体を結合するという点において二重機能を果たす。粒子に抗体の如きタンパク質を塗布することは、当該技術分野で知られている。しかしながら、このRLS法については、場合によっては粒径および/または形状および/または組成が類似する、異なるタイプの粒子の光散乱信号の1つまたは複数の具体的なパラメータを測定するのに、被覆粒子の1つまたは複数の具体的な光散乱特性の当該光学分割が可能であるかどうかは未知であった。
粒子表面上の結合剤、(スペクトルの可視領域での)非光吸収性ポリマー、または他の物質の薄い塗布膜の存在が、これらのタイプの物質が塗布されていないタイプの粒子に特有の光散乱特性を著しく変化させないことが、物理的実験および理論的モデルによって明らかになった。
「薄い塗布膜」とは、粒子の表面に塗布される様々な量および組成の上記物質の単分子膜を意味する。
被覆または未被覆の粒子懸濁液に対する任意の波長におけるモル十進法吸光係数波、その波長におけるその吸光度を測定することによって求めることが可能である。次いで、その波長におけるモル十進法吸光係数を式(7)および以下の式により計算して、粒子濃度をN(粒子数/cm)からC(M)に変換することができる。Mはモル/リットルである。
C(M)=1000N(粒子数/cm)/6.03×1023 (8)
モル十進法吸光係数と吸光断面積Cextとの関係(または吸光断面積Cextとモル十進法吸光係数との関係)は以下の式で与えられる。
ε(M−1cm−1)=[Cext(cm2/粒子数)(6.03×1023)]/2.303×1000 (9)
=2.63×1020ext(cm2/粒子数) (10)
または
ext(cm2/粒子数)=2.303(M−1cm−1)×1000/6.03×1023 (11)
=3.82×10-21ε(M−1cm−1) (12)
式(9)または(10)によって、Cextからεを計算することができる。
先述したように、粒子について、吸光断面積(Cext)は、散乱断面積(Csca)と吸収断面積(Cabs)との和に等しいことが当該技術分野においてよく知られている。吸光係数εは、不可逆的な吸収、ならびに散乱(吸収および再放射)による入射光線からの光子の損失を反映する。実験的に、または吸光断面積からの計算によって評価された粒子のモル十進法吸光係数を用いて、粒子の吸収力と、後に示す蛍光体の吸収力を比較することができることが明らかになった。
光散乱効率(S eff
蛍光効率Qを模倣することによって、散乱光として再放射される、粒子により吸収された(可逆的および非可逆的吸収)光子の割合として、被覆または未被覆粒子に対する光散乱効率Seffを定めることが可能であることが明らかになった。数学的には、出願人は、以下の式によって散乱光率を定める。
eff=Csca/Cext (13)
=Csca/(Csca+Cabs
純粋の散乱体である粒子、すなわち光子を不可逆的に吸収せずに、単に光子を吸収して再放射する物質から構成される粒子については、Cabsは0に等しく、Seffは1に等しい。ポリスチレン微粒子は、スペクトルの可視領域において純粋の光散乱体としての挙動を示し、この粒子に対するSeffは1である。可逆的及び非可逆的に光子を吸収する物質から構成される粒子については、Seffは1より小さい。金粒子は、スペクトルの可視領域において後者のタイプの挙動を示す。
粒子によって散乱された光の強度
被覆または未被覆粒子によって散乱された光の強度は、1秒当たりに(可逆的及び非可逆的に)吸収される光子の数と、(量子力学的観点から)再放射される吸収光子の割合との積によって求められることが明らかになった。光散乱強度の測定は、通常、希釈溶液で行われ、吸収された光の量(1秒当たりに吸収された光子量)Iabsは、以下の式で与えられる。
abs=2.303IεCx (14)
は入射光の強度(光子量/秒)、εはM−1cm−1で表される粒子のモル十進法吸光係数、Cは粒子のモル濃度、xは光路長(cm)である。
出願人は、全散乱光強度I、すなわちすべての光散乱角度に対して積分された強度が以下の関係式で与えられることをさらに認識するものである。
s(λ)=2.303I0(λ)eff(λ)ε(λ)(c)(x) (15)
ただし、I0(λ)は入射光の強度である。この式は、蛍光体についての式(2)に相当するものである。
scaおよびCextについてのεおよびSeffに関する式を上式に代入すると、散乱光強度は、散乱断面積(Csca)の大きさに正比例し、それによって完全に決定づけられるという結果が示される。これは、異なる粒子の相対的な散乱強度をそれらの散乱断面積から推定できることを意味する。
粒子の具体的な散乱特性
次に、様々な異なる分析形式を用いて様々な試料タイプにおける検体を検出するのに利用できるいくつかの最も重要な光散乱特性について説明する。検出される実測光散乱特性としては、以下の特性、すなわち散乱光の強度、波長、色、偏光、角度依存性およびRIFSLIW(個々の回転による、散乱光の強度および/または波長の変動)のうちの1つまたは複数の特性が上げられる。
被覆および未被覆金属状粒子は同様の光散乱特性を有し、どちらも非金属状粒子と比較して優れた光散乱特性を有する。加えて、出願人は、様々な試料タイプにおける金属状粒子から具体的な光散乱属性を測定できるように、何らかの形で、粒径、形状、組成および均質性を変化させることによって金属状粒子における光散乱特性のタイプを調整することは比較的容易であると判断した。
金属状粒子を極めて高感度なレベルまで検出することが可能である。単一粒子は、安価で使いやすい装置により、ここに記載の証明および検出方法を用いて、単一粒子の限界まで容易に検出される。
記載の照明および検出方法を用いて、白色光または同様の広帯域照明のもとでその色を測定することにより、試料中で、1つまたは複数のタイプの金属状粒子を検出する。例えば、それら特有の散乱光の色により各粒子タイプを識別することによって、かつ/またはその強度を測定することによって、直径が40、60および80nmの略球状の金の粒子(例えば、結合剤が塗布された粒子、検体に結合した粒子、溶液中に拡散した粒子、または固相に結合した粒子)および直径が約30nmの銀粒子を試料中で容易に検出および定量することができる。これは、マイクロタイター・ウェルまたはミクロアレイ・チップの如き固相上、または溶液中で行うことが可能である。粒子は、試料中では、固相上ほど立体的に分散しないため、溶液中での測定のほうがより複雑である。例えば、それぞれ異なる波長またはスペクトルの色領域を測定するように設定された一連の検出器に溶液を流すことによってその溶液中の異なるタイプの粒子を検出することができ、これらの異なる波長における強度が測定される。あるいは、流動システムを使用し、または使用せずに、照明および/または検出の一連の異なる波長を用いて、異なる粒子タイプを検出することもできる。
固相分析用途では、粒子の濃度に応じて、粒子係数から集積光強度測定に切り替えることによって、非常に広範囲な濃度の金属状粒子が検出可能である。単位面積当たりの粒子密度が非常に低いレベルから非常に高いレベルにわたって粒子を検出することができる。
他の分析用途において、pH、イオン強度または他の液体特性を調整することにより、ビードなどの固体や、ウェルの底などの表面に結合した粒子を溶液中に分散させることができる。より屈折率の高い液体を加えることができ、溶液中で粒子の光散乱特性が測定される。同様に、光散乱特性を測定する前に、様々な手段によって溶液中の粒子を濃縮して、その体積または面積を小さくすることができる。ここでも、測定に先立って、より屈折率の高い液体を加えることが可能である。
理論的評価および物理的実験は、ともに、直径が約120nmを少し上回る程度までの任意の組成の球状粒子について、該粒子により散乱される光の多くが、散乱光の前方方向の範囲外で放射されることを示唆している(図8参照)。出願人は、散乱光の前方方向の範囲外の角度における散乱光の検出および測定は、光線、ならびに他の光散乱成分および検出対象物からの非特異的な散乱光を著しく減少させるものであると判断した。これは、多くの試料について、非特異的な光散乱信号に対する特異的な光散乱信号の比率を著しく増加させるものである。
粒子によって異なる方向に散乱される光の強度、および散乱光の偏光の状態は、入射光の波長および偏光の状態、ならびに粒子の粒径、形状および均質性に依存する。特定タイプの粒子によって異なる方向に放射される光の強度および偏光の状態に関する最も重要な事実を以下に説明する。
より小さな球状粒子(光の波長に比べて1/20以下の粒子)は、等方性双極子散乱体または放射体としての挙動を示し、すなわち光は大きく偏光する。これは、通常、線形双極子放射体としての挙動を示す蛍光分子とは全く異なる。例えば、当該粒子を非偏光で照明すると、φ=0、θ=90の方向に散乱された光(図20を参照)は100%線形に偏光する(P=1)。この特性は、多くの異なるタイプの試料における蛍光分子に比べて、光散乱特性の測定による検体の検出の特定性および感度を高める。
さらに大きな粒径(光の波長の1/20より大きな粒子)については、光Pの偏光度が減少し、粒径が大きくなるにつれて波長への依存性が強くなる特定の粒径範囲が存在する。粒径が非常に大きくなると、θ=0、Φ=90°の方向に対して偏向度が0に近づく。偏光の変化が最も大きく変化し、粒径に対する偏光度の傾きが最大になる特定の粒径範囲が存在するものと思われる。そのような傾きが変化する領域を、例えば凝着または凝集型の分析のような特定の分析用途に用いて、試料中の1つまたは複数の検体の検出および測定が行われる。
例えば直径が約200nmから約1.2ミクロンの特定粒径範囲のより大きな球状粒子では、図20に示されるように、(単色入射光についての)光の強度は、角φが、θ=0に対して90°から−90°に変化するに従って、1から0の相対値間で変動する。すなわち、水平面(θ=0)で散乱光を観察すると、θ=90°から−90°に視線を動かすにつれて光強度が明から暗に変動する。白色光による照明では、θ=90°からθ=−90°に視線を動かすにつれて光が色を変える。すなわち、粒子は回折格子としての挙動を示す。当該光散乱特性は、多くの異なるタイプの試料における1つまたは複数の検体をより明確に、かつより高い感度で検出するのに有用である。
小さい非球状微粒子は、幾分、吸収および放射モーメントが粒子の長軸に沿う線形双極子散乱体としての挙動を示す。出願人は、通常の光学顕微鏡において、好適に選択された照明および検出条件で以下のことを確認した。照明光が線形に偏光すると、非球状粒子は回転しながら振動する。粒子は、それらの長軸が偏光方向に配向し、モーメントがこの方向に垂直になるときに最小になるような配向性を有する場合に最も強度が高くなる。対照的に、球状微粒子は、偏光によって照明されても振動しない。
特定の組成の非球状粒子については、(白色光の照明を伴う)散乱光の色が非対称性の度合いによって変化する。非対称性が強くなると、色は波長が長いほうへとシフトする。例えば、DLASLPDと同様の条件下で通常の光学顕微鏡を用いて観察すると、銀の非対称性粒子は、粒子が試料中で回転するに従って色を変化させることが出願人によって確認された。出願人が「RIFSLIW」と命名したこの特性(個々の回転による、散乱光の強度および/または波長の変動)を本発明の多くの異なる態様に用いて、試料中の1つまたは複数の検体または粒子をより明確に、またより感度よく検出かつ/または測定する。
金属状物質と、非金属状および金属状物質の特定の混合粒子組成により、さらなる光散乱特性および/またはさらなる物理的特性がもたらされる。これらの特性としては、EMF場を加えることによって粒子を処理する能力が上げられる。本発明の1つまたは複数の態様を実行することにより、この粒子の特性を様々な方法で利用することができる。次に、出願人は、粒子に依存する光散乱特性、およびこれらの特性を用いた試料中の1つまたは複数の検体の検出を例示的に説明する。
まず、粒径および組成が異なる均質な球状粒子の光散乱特性を取り上げて、本発明を説明するのが有益である。しかしながら、本発明の基本的態様は、当業者が測定できるような非球状粒子にも適応する。さらに、300nmから700nmの範囲の入射光波長を取り上げて、本発明を説明するのが有益である。しかしながら、本発明の基本的態様は、本質的にすべての波長の電磁放射線にも適応する。
「光」とは、紫外線、可視光、近赤外線、赤外線、およびマイクロ波周波数の電磁放射線を意味する。
様々なタイプの非金属状粒子を代表するポリスチレン粒子を使用するRLS粒子法を説明するのがさらに有益である。他の非金属状粒子タイプとしては、ガラスや他の多くの高分子化合物から構成される粒子が挙げられる。当該粒子は、ポリスチレン粒子に比べて光散乱特性がほぼ類似している。
同じ強度で放射された、異なる粒子から得られた散乱光の相対強度、および入射光の波長は、それらのCscaを比べることによって直接比較することが可能である。Cscaが高いほど、粒子の散乱能(光散乱強度)が増す。以下のセクションでは、Cscaまたは散乱光強度を意味する「散乱能」という言葉を使用する。
300から700ナノメートル(nm)の波長範囲にわたる入射波長に対して、粒径が同じで組成が異なる球状微粒子の水中における光散乱能を計算した。これらの計算では、真空中の異なる集合体についての標準的なハンドブックに列記されている屈折率対波長値を利用した。
いくつかの粒子組成では、300から700nmにかけて光散乱能が連続的に低下するのに対して、他の組成では、散乱能対波長分布は、ピークまたはバンドを示す。これらのピークまたはバンドがスペクトルの可視領域にあるときは、入射光が白色である場合に、粒子によって散乱される光が着色する。
例示を目的として、以下の表のいくつかに、直径が10nmの異なるタイプの粒子について、光散乱特性の様々な比較を示す。これらの直径10nmの粒子に対して実証される散乱光の相対的な大きさおよび波長に関する一般的な傾向は、概して、約100nmまでのより大きな粒子についても当てはまる。例えば、表1の計算は、直径10ナノメートルの粒子を用いて行った。しかしながら、小さな粒子(光の波長の約1/20未満の粒子)では、小さな粒子に限定する限りは、粒径が大きくなっても、光散乱強度対波長分布の形は変化しない。粒径が大きくなることの見かけの効果は、分布グラフの振幅が大きくなることである。理論物理学および光散乱の分野において、微粒子の散乱能は、半径の6乗に比例して大きくなることがよく知られている。当業者は、10nmの粒子の光散乱能に(d/10)(dの単位はnm)を掛けることにより、直径10nmの粒子に対して得られた値から直径dの任意の微粒子の相対的な光散乱能を求めることができる。当業者は、この方法を用いて、粒子の散乱光の強度を利用して検体の存在を検出する様々な診断測定用途における特定の粒径の有用性を判断することが可能である。
我々の理論的および物理的実験から、意外にも、この一般的な関係がレイリーの限界を超えるより大きな粒子、すなわち直径が約30nmを上回る粒子にも適応することがわかった。
表1は、Cscaの計算値(光散乱能)、および粒子が光を最も強く散乱させる可視領域におけるそれぞれのおよその波長を示す。表1のデータは、金属状粒子は、例えばポリスチレン粒子より強力な光散乱体であることを示唆している。
図26は、特定のタイプの10nmの球状粒子について、選択された光散乱強度の計算値対波長の分布を示す図である。金または銀から構成される微粒子は、可視波長領域において非常に顕著な散乱および吸収ピークを示すのに対し、銅粒子はこの領域では小さな散乱および吸収ピークを示す。金および銀の散乱光は、それぞれ530nmおよび380nmで極大に達する。光散乱極大波長から十分に離れた入射波長においても、金、銀、および他の金属状粒子の光散乱能は、同様の粒径の非金属状ポリスチレン粒子の光散乱能よりはるかに大きい。
表2は、入射(照明)波長がはるかに長い波長にシフトした場合における直径10nmの金属状粒子およびポリスチレン(非金属状)に対する光散乱能(Ssca)の計算値を示す。多くの異なる分析および診断測定において、より長い波長で作業を行うのが好ましい。表2は、当業者がはるかに長い波長で照明波長を使用できること、および分析または診断手法への応用に対しては、金属状粒子のほうが、例えばポリスチレンとしての非金属状粒子よりはるかに優れることを示唆している。例えば、金粒子について、530nmの光散乱極大波長からはるかに離れた波長である700nmの入射光波長において、金粒子の散乱光強度は、粒径および形状が類似したポリスチレン粒子の約220倍であることをデータは示唆している。実際に、スペクトルの可視波長にわたって、金属状粒子の光散乱能(強度)は非金属状粒子よりはるかに大きいことを実験により確認した。
これらの結果は、金属状粒子は、粒径および形状が類似した非金属状粒子よりはるかに大きな光散乱能を有し、信号生成および検出システムを使用するのが望ましいたいていの分野に使用される分析および診断トレーサーとして広く適用可能であることを示している。例えば、粒子からの散乱光を検出することによって検体物質の有無を検出することを目的とした任意の分析において。
Figure 2009244270
Figure 2009244270
表3は、直径が異なる球状金粒子に対するモル十進法吸光係数(ε)の計算値と実験による実測値との比較を示す。
先述の式を用いて、最大値の波長におけるε値を計算した。εの実測値は、計算された最大吸収波長において、標準的な分光光度計で光吸収量を測定することによって得られた。εの計算値と実験による実測値は、完璧ではないが、よく一致している。観察結果と計算結果との間にはおよそ2倍の差が認められるが、これは提示された金粒子の直径が不正確であることを反映するものと考えられる。実験方法の詳細は、
実施例のセクションに示している。
Figure 2009244270
入射光の可視波長において、金属状粒子の光散乱能(すなわちCsca)は、ポリスチレンの如き相応の非金属状粒子よりはるかに大きい。金属状粒子と非金属状粒子の光散乱特性の間の他の重要な違いは、金属状粒子では、組成が同じで粒径が異なる金属状粒子に対する散乱光強度対入射光波長の分布が大きく変化しうることである。これは、直径が約10nmから数百nmの粒径範囲では、分布が実質的に同一である非金属状粒子と対照的である。これらの違いは、様々な試料における金属状粒子をより特定的かつより感度良く検出するのに極めて有益である。銀、金、銅およびアルミニウムの様々な直径の粒子に対して光散乱(Csca)が最大になる入射波長を表4に示す。
図16は、ポリエチレン化合物(MW=20,000)が塗布された、またはポリエチレン化合物が塗布されていない直径100nmの略球状の金粒子に対する実験による実測散乱光強度対入射光波長分布を示す図である。それらのデータは、直径100nmの被覆または未被覆金粒子の波長依存性光散乱強度特性が極めて類似していることを示している。
図27は、直径が異なる球状の金粒子に対する計算による散乱光強度対入射光波長スペクトル分布を示す図である。散乱光強度ピーク波長は、金粒子の粒径が大きくなるに従ってより長い波長にシフトする。我々は、直径が40、60、80および100nmの被覆または未被覆の金粒子について、これらの光散乱特性を確認し、それらは、溶液中、またはDLASLPD照明法を用いた光学顕微鏡において白色光源で照明されると、緑色、黄緑色、オレンジ色および橙色の粒子になる。銀の球状微粒子は青色になる。したがって、様々なタイプの結合剤を塗布した金属状粒子を分析型測定に様々な様式で使用することができる。異なるタイプの金属状粒子の散乱光の色特性は、多検体の視覚的検出を可能にする。例えば、それぞれ異なるタイプの結合剤を塗布した直径40、60、80および100nmの球状の金粒子および直径20nmの銀粒子を同一の試料に使用して、試料中の5つの異なる検体を検出することができる。1つの形式において、5つの異なるタイプの細胞表面受容体、または細胞表面上に存在する他の表面成分を検出し、視覚化することが可能である。これは、細胞の表面に結合した様々に塗布された粒子の散乱光の色を、DLASLPD条件下で、光学顕微鏡を用いて、白色光照明により検出することで可能になる。検体の数およびタイプは、検出された緑色、黄色、オレンジ色、赤色および青色の粒子の数で識別される。同様に、原位置ハイブリダイゼーションなどの染色体および遺伝子分析も、異なるタイプの金属状粒子を「染色体塗料」として使用して、異なるタイプの金属状粒子の散乱光の色により異なるタイプの核酸配列、核酸結合タンパク質、および試料中の他の同様の検体を識別する上述の方法を用いて実施することが可能である。これらの例は例示的なものとして提示されているもので、異なるタイプの金属状粒子の散乱光の色も、単一または多検体検出に向けた多くの異なる分析形式に利用されうることを当業者なら認識するであろう。
したがって、特定のタイプの球状の金属状粒子の粒径の調整は、それらの散乱光の色および/または他の特性を用いることによって様々な試料中のそれらの検出性を高める有益な方法である。白色光源を使用することによって、2つ以上の異なるタイプの粒子を非常に低濃度まで容易に検出することが可能になる。
表5は、金粒子の粒径が適度に大きくなると、粒子の光散乱能(Csca)が増すことを示している。最大Cscaに対する入射波長は粒径とともに有意に増加し、散乱光強度も有意に増加する。例えば、最大のCscaに対する入射波長は、直径が40nm、100nmおよび140nmの金粒子に対して、それぞれ約535nm、575nmおよび635nmである。白色光で照明すると、40nmの金粒子は、535nm付近の波長を強力かつ優先的に散乱させ、粒子は緑色になるのに対して、100nmの粒子は橙色になり、140nmの粒子は赤色になる。これは、さらに、白色光で照明すると、組成が同じで粒径の異なる特定の金属状粒子を、散乱光の色によって同一試料中で互いに区別できることを示すものである。散乱光強度の相対的な大きさを測定し、散乱光の色または波長依存性とともにそれを用いて、非特異的な背景光が大きい試料においても、同一試料中の異なる粒子をより特定的かつ感度良く検出することができる。
対照的に、非金属状粒子では、これらの粒子はこのような特異的な光散乱特性を有さないため、金属状粒子に比べて、たいていのタイプの試料媒体における非金属状粒子を検出するのはより困難である。
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入射光の光路に直角の光散乱強度を比較することによって、形状および粒径が同じで組成が異なる粒子の光散乱能を実験により直接比較することが可能である。入射光の光路に直角の散乱光を測定するように設計され、他のサイトにも記載されている自製の光散乱測定装置を使用して、同様の粒径および形状を有する金粒子とポリスチレン粒子の相対的光散乱能を実験により比較した。表6は、金およびポリスチレンの両粒子タイプを同一の入射可視波長で比較した場合に、金で構成される粒子の実験により測定された光散乱能は、ポリスチレンで構成される粒子の散乱能よりはるかに大きい。表6の実験による実測値は、計算値の二分の一から三分の一である。この違いは、おおむね、金粒子の実験により測定されたモル十進法吸光係数に対して得られた値が、計算値に比べて約二分の一以下であることに起因するものと考えることができる(表3参照)。加えて、粒径にある程度の不確実性が存在する(例えば、21nm±1.5nmのポリエステル粒子調製物では、実際の粒径はそれより約1.5nm大きいか小さい)。この不確実性により、ポリスチレンと金粒子の両方に対する定量値がより不確実になるが、相対的散乱能に関する基本的な結論が変わるわけではない。不確実性の程度がより高くなっても、表6は、金粒子の散乱能は、最大で、同様の粒径および形状を有するポリスチレン粒子の散乱能の100から200倍になることを示している。
表7は、可視光の異なる波長における、同様の粒径および形状を有する球状の金およびポリスチレン粒子の相対的光散乱能を比較したものである。表7は、最大の光散乱強度の波長からかなり離れた照明波長においても、金粒子の光散乱能は、粒径および形状が類似したポリスチレン粒子の光散乱能よりはるかに大きいことを示している。これらの実験結果は、我々の計算結果と一致している(表2参照)。
表8は、白色白熱光照明条件を用い、実験により測定した球状金粒子の光散乱能は、相応のポリスチレン粒子よりはるかに大きいことを示している。
全体的に、ここに示す我々の計算結果と実験測的結果は極めて良く一致している。これは、計算結果、ならびに潜在的に有用な粒子素材および組成を識別するとともに、当該粒子の光散乱特性の有用性を評価するための計算処理の使用を実証するものである。多色光および/または単色光、定常光および/またはパルス光、ならびに干渉性または非干渉性の光を生成するたいていのタイプの光源を照明に使用できる。我々の結果は、粒径および形状が類似した非金属状粒子に比べて、より特異的でより強力な光散乱信号を金属状粒子から得ることができることを示唆している。我々の結果は、本発明により、従来可能であったものに比べて、より少量の粒子を検出するとともに、より少量かつより多量の粒子をより特異的に検出する手段が提供されることを示している。
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蛍光と比較した粒子の光生成能
蛍光は、現在、検体物質の有無を検出するように設計された多くの分析に使用されている。
フルオレセインは、最もよく知られ、また最も良く使用されている蛍光化合物である。可能な限り少量のフルオレセイン分子を検出する目的で、数多くの研究が行われてきた。フルオレセインは、モル十進法吸光係数が高く(約6×10−1cm−1)、蛍光量子効率が約0.8と非常に高い。
表9は、特定粒子とフルオレセインとの信号生成能の計算値を比較したものである。明らかに、単一の金または銀粒子は、単一の蛍光分子よりはるかに強い光源である。理想的な条件で、適切な光学フィルターを使用すれば、良好な蛍光測定器により、約10−10Mから10−11Mのより低い濃度でフルオレセインを検出することが可能である。表9に示される比較は、この同じ蛍光測定器によって、約10−15Mから10−16Mのより低い濃度の60nmの金粒子を検出できることを示唆している。我々は、この所見を実験的に検証した。
表9は、60nmの単一の金粒子からの全散乱光の出力は、約350、000フルオレセイン分子の出力に匹敵する。1つのフルオレセイン分子は光学顕微鏡で直接視覚化できないが、多くの異なるタイプの試料および分析形式において、単一金属状粒子を直接視覚化することが可能である。光は、粒子から散乱された光が肉眼または光検出器によって最大限に視覚化または測定されるような角度で試料に誘導される。分析および診断用途に使用されるように我々が何らかの形態で開発したこの広く適用可能な照明および検出法をDLASLPD(検出される粒子のみの散乱光に対して傾斜した光の誘導)と呼ぶ。これらの方法を他のサイトでより詳細に説明する。これは、単一粒子の検出、および画像解析、光子相関分光法、光学顕微鏡法および他の方法を含む粒子係数法による当該粒子の定量を可能にする。対照的に、DLASLPD技術を使用して、ポリスチレンの非常に大きな粒子のみを光学顕微鏡で観察することができる。
表10は、白色光照明を用いた、様々な粒径のフルオレセインと金粒子の実験により測定した相対的信号生成能を比較した結果を示す。これらの結果は、表8に示された結果と類似しており、金粒子の光生成能はフルオレセイン分子よりはるかに大きいことを示している。例えば、白色光で照明された場合に、直径が39.9nmおよび59.6nmの金粒子は、それぞれ、約2×10および2.3×10のフルオレセイン分子によって発せられる光強度に匹敵する光強度を放射する。
白色光で照明された金粒子により放射される散乱光は入射白色光に存在するすべての波長から構成されるが、任意の特定波長で散乱する光の効率は、散乱光の波長の1つまたは複数の帯域がより強く散乱するように変化する。白色光を用いた場合における実際の波長組成、および散乱光波長帯散乱光強度分布は、使用する光源のタイプおよび光検出方法を含む多数の変数に依存する。表10の結果は、2、800°ケルビンの白熱光源または色温度によって達成したもので、光を試料に通す前に赤外線成分を低減するために簡単なフィルターに光を通した。標準的な光電子増倍管を用いて散乱光強度を測定した。表10の結果は、光電管または光源特性に対して補正されていない。当該補正は、ここに記載する結論に影響するものではない。
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入射単色光に照明された場合におけるフルオレセイン、および粒径の異なる略球状金粒子の相対的信号生成能の測定結果を表11に示す。フルオレセイン試料を入射波長(490nm)の単色光で照明したところ、得られた放射光は単色光または偏光で、フルオレセイン放射線に特有の波長から構成されていた。入射光の散乱レベルが最大になる入射波長の単色光で異なる粒径の球状金粒子を照明したところ、得られた散乱光は、粒子の粒径に応じて完全または部分的に偏光していた。
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表11は、入射単色光で照明された様々な粒径の単一金粒子から生成された散乱光信号強度は、単一のフルオレセイン分子からの光信号強度に比べてはるかに大きいことを示している。これらの結果は、さらに、入射単色光で照明した場合における例えば金粒子のような単一金属状粒子を極めて低濃度まで検出できることを示している。当該検出性は、診断測定および分析用途における極めて高感度な光散乱標識として、適切な検出方法に当該粒子を使用するのに極めて有用である。
粒子本体に100から1000の高い蛍光性を有する分子を導入した、例えばポリスチレンのような非金属状粒子は、当該技術分野においてよく知られている。当該粒子の例としては、フルオレセインに類似した、それぞれ490nmおよび515nmの吸光および放射波長を有する蛍光化合物を導入した直径110nmの粒子が挙げられる。各粒子は、平均4、400の蛍光性の強い分子を含有し、当該粒子の体積は約7×10−16cmで、粒子の蛍光分子濃度は約10−5Mである。表12は、蛍光性の強い化合物の多数の分子が充填された直径110nmのポリスチレン粒子と、直径100nmの金粒子の光生成能に対する実験による実測値を示している。これらの光生成能を、同じ光生成能を与えるフルオレセインの溶液と直接比較する。110nmポリスチレン粒子のみからの全散乱光信号が、約12、000のフルオレセイン分子からの光信号に等しいというのは興味深い。ポリスチレン粒子における蛍光分子の存在によって、全光信号が粒子の約1.5倍に増強される。入射光波長を排除し、蛍光放射線に特有の波長を通過させる好適なフィルターを試料と検出器の間に用いることによって、この粒子からの蛍光信号を光散乱信号から分離することが可能である。当該フィルターにより、この粒子は、約3、000のフルオレセイン分子に匹敵する蛍光信号強度を生成する。直径100nmの金粒子は、これらの粒子に比べて明らかに、放射光生成能がはるかに優れていた。
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混合組成粒子
理論的かつ物理的実験によって混合組成の球状粒子を評価して、様々な診断および分析用途におけるそれらの有用性を査定した。理論的評価では、異なる厚みの銀を塗布した金の「核」粒子、および異なる厚みの金またはポリスチレンを塗布した銀の核粒子を調べた。「核」とは、それぞれ異なる光散乱物質の追加的な層または厚みをその上に配置して、特定の割合の混合組成物とした球状粒子を意味する。追加的な厚みの銀を直径16nmの金の核粒子に付加した混合組成物から構成された粒子に対して直接的な物理的実験を行った。これらの説明例において、金および銀は金属状物質を表し、ポリスチレンは、非金属状物質を表す。これらの例は、1つまたは複数の異なる金属状物質および/または非金属状物質混合物から構成される粒子を含むより多くの異なる組合せのうちのほんの数例にすぎない。
上記説明例の光散乱特性に対する計算の結果を表13および表14に示す。表13のセクションAは、金の核に対する銀の塗布膜の割合を増やしたものから構成される一連の直径10nmの球状粒子では、光散乱特性は、純銀粒子に近い粒子に変化することを示している。最も重要なこととして、我々は、これらの計算および物理的実験により、特定の割合の銀被覆粒子は、このおおよその粒径の純金および純銀粒子に特有の波長に近い入射波長において、2つの強い光散乱レベルの最大値を示すことを確認した。
単純な光学顕微鏡により、DLASLPD条件下で白色照明を用いて、銀を塗布した直径16nmの金粒子を直接的な実験で観察したところ、純金または純銀粒子調製物においてこれまで見られなかった新しい色がこれらの粒子からの散乱光に認められた。それらの粒子の多くは、散乱光の色が明るい紫色かマゼンタ色であった。
表13のセクションBは、異なる厚みの銀を塗布した直径10nmの金の球状粒子から構成される混合組成粒子に対する計算結果の比較を示す。これらの結果は、金に対する銀の割合が変化するに従ってこれらの混合組成物の光散乱特性に対する、表13セクションAに見られるような同様の傾向を示す。銀の核粒子に様々な厚みの金を塗布した場合の別の計算(表14)において、光散乱特性は、表13に示されるように金と銀の割合が変化するに従って、同様の変化傾向を示す。
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我々の理論的実験と物理的実験の併用から以下のことが明らかになった。例えば金および銀の混合組成物のような金属状物質の特定の混合組成物から構成される粒子について、多くの異なる試料タイプおよび具体的な診断および分析用途に有用な新たな光散乱特性が存在する。金属状物質の組成を変化させることによって、散乱強度が高い光学的に特異的かつ分解性の2つ以上の波長の粒子を作製することができる。
対照的に、非金属状物質と金属状物質の混合組成物から構成される粒子は、一般に、両者の割合が同じか、または金属状物質に対する非金属状物質の割合が低い場合は金属状物質と類似した光散乱特性を示す。表14のセクションBが示すように、金属状物質に対する非金属状物質の割合が極めて高い場合にのみ、混合組成粒子の光散乱特性は非金属状物質と類似したものになる。
銀−金混合組成物および銀−ポリスチレン混合組成物は、ともに高い光散乱能、および純粋の金属状物質から構成される粒子に特有の可視波長散乱帯域を示す。特定の混合組成物の粒子は、散乱強度ピークの一方または両方からの散乱光を特異的に検出することによって、かつ/またはこれらの混合組成タイプの粒子の1つまたは複数の色によって検出可能である。当該混合組成タイプの粒子は、これまで可能であったものに比べて、より小量の粒子を検出するとともに、より小量かつ大量の粒子をより特異的に検出するための機能を高める。
非対称性粒子
光線に対する非対称性粒子の物理的配向は、これらの粒子の検出にさらなる散乱光特性を利用することを可能にする。現行の発明の多くの異なる態様にRIFSLIWの特性を用いて、試料中の1つまたは複数の検体または粒子をより特異的かつより感度良く検出することが可能である。例えば、散乱光強度の変動および/または色の変化は、どの粒子が表面に結合し、どの粒子が結合していないかを判断するためのさらなる検出手段を提供する。これは、非分離型の分析(均一)の開発を可能にする。必要なのは、粒子係数、強度測定などによって、明滅および/または変色する粒子を検出することだけである。溶液中の非結合粒子は明滅および/または変色するのに対して、表面への結合粒子はそうではない。ビデオ・レコーダなどのようなさらなる画像処理手段は、さらなる検出方法を非対称性(粒子)と球状(対称性)粒子の両方に用いることを可能にする。例えば、分離または非分離形式において、表面に集光レンズを集中させ、ある期間にわたって一定の単位面積当たりの散乱光信号を単に記録することによって結合粒子を検出する。ブラウン運動または他のタイプの運動を行う、溶液中に遊離した粒子によって、これらの粒子に対する単位時間の単位面積当たりの散乱光強度の変動が生じる。結合した光散乱粒子は、空間に固定され、運動しない。画像処理方法を用いて、「運動する」光散乱粒子を「結合した」光散乱粒子から分離することによって、結合粒子の量を測定し、試料中の検体の量に関連づける。表面への結合粒子と溶液中の球状または非対称性の非結合粒子とを区別するのに用いることができる他の多くの画像処理方法が存在することを当業者なら認識するであろう。
他の物質を粒子の表面または核に付加して、光散乱特性に関連しない別の物理的属性を提供する特定の用途において、また特定タイプの組成物を使用する場合に、粒子の表面に「塗布」を施して粒子をさらに化学的に安定化させ、または分析的診断測定に対する具体的な用途において極めて重要でありうるさらなる表面結合属性を付加することが有用であると考えられる。例えば、銀は急速に酸化することはよく知られている。銀粒子、または銀を含む混合組成の粒子を使用する際に、銀がその化学的安定性に対する環境的影響を受けないように、その表面に金または他の物質の薄膜を塗布することにより銀含有粒子を化学的に安定化することが可能である。
他の例において、特異的に結合するポリマー含有結合剤の如き他の物質、または結合剤を塗布するのに有用な他の物質を表面に塗布するか、あるいは結合剤自体を粒子に塗布することが望まれる場合もある。これらの各々の例において、これらの「薄」膜は、核となる物質の光散乱特性を著しく変化させるものではない。「薄」膜とは、粒子の表面上に存在するモノポリマーまたは同様のタイプの被膜を意味する。
処理可能光散乱粒子(MLSP)は、1つまたは複数の所望の光散乱特性を有するのに加えて、EMFを適用することにより、一次元、二次元または三次元の空間で処理することが可能な粒子である。MLSP粒子は、多くの異なる方法で作製することが可能である。例えば、MLSP粒子は、望ましい光散乱特性を有する物質の割合がはるかに大きい、直径の小さい「核」強誘電体、磁性体または同様の物質を塗布することによって作製され、例えば、直径10nmの磁性体または強誘電体の核に十分な金を塗布することで直径50、70または100nmの粒子が作製される。これを図29Aに示す。
当該粒子を作製する他の方法は、望ましい光散乱特性を有する物質に磁性体または強誘電体の薄膜を塗布するものである。例えば、約50nmの金または銀粒子に1から2nmの厚みの磁性体または強誘電体の薄膜を塗布する。これを図29Bに示す。
あるいは、粒子が形成されると、粒子当たりの磁性体または強誘電体に対する望ましい光散乱物質の割合が適切なレベルになるように、適切な割合で、望ましい光散乱物質と強誘電体または磁性体とを混合することによって、MLSP粒子を作製する。これを図29Cに示す。
上記MLSP粒子に対する代替法は、望ましい光散乱特性を有する1つまたは複数のタイプの粒子と、EMFによって移動させることが可能な1つまたは複数の粒子とを結合、または組み合わせることである。次いで、当該多粒子構造体に、MLSPと同様の特性をもたせることができる。例えば、当該磁性体または強誘電体の微粒子を、その光散乱特性が検出される1つまたは複数の粒子に結合させる。該結合は、イオン結合、化学結合、または安定した多粒子構造体が得られる他の任意の結合である。適切な割合で混合すると、異なるタイプの単一粒子を架橋することによって、所定の分布の個別的な多粒子構造体が得られるように、異なる粒子に適切なポリマーを塗布する。粒子を結合して、所望の多粒子構造体を得るための多くの異なる方法がある。例示を目的として、いくつかの可能な多粒子構造体を図30に示す。図30A、BおよびCは、それぞれ配向性MLSP粒子に対するダイマー、テトラマーおよびより高次元の粒子構造体を示す図である。これらは、多くの異なるタイプの可能な多粒子構造体のうちの数タイプにすぎず、当該構造を構成するための多くの方法が存在することを当業者なら認識するであろう。
1つまたは複数の混合物から構成されるこれら粒子の例は、可能な異なる物質の非常に数多い異なる組成物の数例にすぎず、そのことは当業者も理解するであろう。
粒径および形状均一性
粒子の光検出特性をどのように検出するかによっては、粒子全体におけるおよその粒径および粒径の分布が極めて重要になりうる。例として、市販されている多くの金粒子調製物では、約10%弱から約20%弱の変動率の粒径分布が表示されている。変動率は、粒子調製物の平均で割った粒径分布の標準偏差と定義される。したがって、変動率が20%の60nmの粒子調製物では、標準偏差単位は±12nmである。これは、粒子の約10%が48nmより小さいか、または72nmより大きいことを意味する。調製物における粒子のおよその「平均」粒径によっては、当該粒径の変動は、散乱光の強度および散乱光の色に著しく影響する。
我々は、市販のものより狭い粒径分布を与えるものと思われる粒子成長手順を開発した。この手順は、まず、「シード」金粒子の調製物を作製した後に、該「シード」粒子調製物を採取し、化学的方法によって、粒径の異なる金粒子(実施例11および15を参照)または銀粒子(実施例13を参照)を成長させることを含む。例えば、直径16nmの金粒子を「シード」粒子として使用し、適切な試薬を添加することによってより大きな直径の金粒子を作製する(実施例15を参照)。この方法は、混合組成粒子を作製するのにも極めて有用である。
粒子均質性−単一粒子の散乱光色による検体の検出
特定の用途において、単一粒子の色を利用して、特定タイプの検体の識別および定量が行なわれる。例えば、画像血球の用途では、表面に付着する異なるタイプの粒子の数および色を検出することによって、異なるタイプの細胞表面抗原等の識別および計数を行うことが関心の対象となることもある。この検出、または関連する他の任意のタイプの多検体検出では、異なる粒子の粒径分布を可能な限り密に維持する必要がある。異なる散乱光の色を生成するために同じ用途に使用されることになるより小さい粒子とより大きい粒子の中間粒子間の中間粒径に近い平均または「中間」粒径を用いて、白色照明のもとで所望の散乱光の色を与えるように、隆起調製物の平均粒子直径を選択すべきである。このようにして、それぞれの散乱光の色による異なるタイプの粒子の分解性を最大化する。
粒子均質性−集積光強度の測定
他のセクションにおいて、粒径が増加または減少するに従って散乱光の強度が如何に大きく変動しうるかということについて説明した。特に集積光強度の測定を行うときには、この強度の変動を考慮に入れなければならない。変動率が20%の上述の60nmの粒子調製物を使用すると、粒子のうちの10%が、60nm粒子の3倍または3分の1の強度を有することになる。加えて、粒子全体の残りの90%は、強度のばらつきが極めて大きくなる。多くの粒子を測定する用途では、「平均」集積光強度は、60nmの粒子に近くなる。しかしながら、粒子の濃度が低くなると、当該ばらつきの統計が資料毎の読取り精度に影響を及ぼす可能性があり、補正アルゴリズムが必要になることもある。可能な限り狭い粒子分布を使用することによって、測定の精度および簡便性さが向上する。
光吸収色による検体の検出に有用な金属状粒子
いくつかのタイプの検体分析では、検体は、光吸収特性による検体の検出を成し遂げることが可能な濃度にある。例えば、免疫クロマトグラフィーなどの技術分野における現行の問題は、典型的に用いられる粒径(直径が4から50nm)の金粒子の使用は、それらの光吸収色により光学的に分解できない粒子に限られることである。これらの粒子は、濾紙または同様の診断測定固相媒体上で観察した場合に桃色または赤色を有する。銀粒子および他の金属状粒子の粒径および/または形状を変えることによって、多くの異なる光吸収色を得ることができる。光吸収によるこれら粒子の異なる色を用いて、粒子の光吸収色による異なる検体の検出を行うことができる。肉眼によって検出できるこれらの色は、免疫クロマトグラフィー・フロー分析、パネル型、およびマイクロアレイまたはより大きな固相単一または多検体分析の如き多くのタイプの固相分析に極めて有用である。銀の球状粒子および非対称性粒子、ならびに他の金属状粒子は、光吸収による広範囲な色に対応する。
粒子の光散乱特性のオートメタログラフィック強化
オートメタログラフィーおよび関連技術を用いて、小さな、または大きな倍率で既存の金属状粒子の粒径を拡大できることは当該技術分野においてよく知られている。金属および/または半導体物質、そして特に金および銀粒子の光吸収力は、肉眼、または吸光度を測定するように設計された計測器を使用することによって、これらの粒子の存在の定量および/または検出を行うのにしばしば利用されてきた。そのような方法は、メタログラフィーによって拡大された小量の粒子を検出するその能力において、本発明の光散乱検出より劣っている。
例として、直径1ナノメートルの金粒子をメタログラフィック法によって拡大し、約20分間で、直径1nmの金粒子に平均直径約110nmまで銀を塗布したことが報告されている(Immunogold−Silver Staining、Principles、Methods and Applications、CRC Press、1995年 M.A.Hayat編を参照のこと)。この調製物における粒子の直径は、約40nmから200nmの範囲にあり、形状はおおよそ球状であった。我々の計算では、意外にも、1nmの核トレーサー粒子を110nmに拡大すると、光散乱能がおよそ1010増加するのに対して、光吸収力は10しか増加しないことが示されている。
微粒子の直径を大きくすることにより、同じ物質の微粒子に比べて、光散乱レベルが最大になる入射波長がはるかに長い波長にシフトする。したがって、拡大された粒子からの光散乱信号を測定することによって、1nmの微粒子の有無において拡大粒子が容易に検出される。拡大粒子に対する散乱レベルが最大になる波長の入射光の拡大粒子の検出に対する利用は、非特異的な光散乱背景の主たる源を構成するより小さい粒子に対して拡大粒子をより特異的に検出することを可能にする。
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表15は、メタログラフィック法または関連する方法によって粒径が拡大された微粒子の光散乱特性に関する追加的なデータを提供するものである。我々の計算データは、粒子の粒径を拡大することで、その光吸収力と比較した場合の粒子の光散乱能がより顕著に高められることを示している。例えば、粒子の直径を20%拡大すると、微粒子の光散乱能は、(1.2)または約3倍高められる。微粒子の直径が2倍および10倍になると、散乱能は、それぞれ64倍および100万倍になるのに対して、光吸収力は、それぞれわずか8倍および1000倍にとどまる。
したがって、本発明の方法を用いて、メタログラフィ(すなわち、金属状または非金属状物質から構成される小粒径上への金属状物質の被膜の積層)により拡大された粒子の存在を定量かつ/または検出するときに、従来可能であったものよりも、より小量の当該粒子を検出するとともに、より小量の当該粒子をより特異的に検出することが可能である。
上記は、核上に金属状被膜を積層することによる金属状粒子核のメタログラフィック拡大と、その後に続く本発明の方法による拡大粒子の検出との組合せの例である。当該方法は、溶液中に遊離する粒子、および/または表面に付着する粒子を拡大するのに用いることができる。先述の例は、光散乱によって粒子を検出するためのここに記載の多くの異なる方策および方法、ならびに核および被膜組成の異なる組合せ、および異なる度合いの拡大の使用を含むこの組合せ方法の多くの異なる順列の1つにすぎない。これらの代替的組合せは、当業者に容易に理解されるであろう。当該組合せ手法は、信号生成および検出システムを使用して検体を検出することが望ましいほとんどすべての状況に適用されうる。
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屈折率増大法
光学顕微鏡、電気通信および他の関連分野における屈折率整合技術は、当該技術分野においてよく知られている。この技術は、光線が、例えば1つの物質の表面から他の異なる物質の表面へと通過するように、1つの媒体またはデバイスから他の媒体またはデバイスへと通過するときに生じる非特異的な光散乱および反射を低減するのに広く使用されている。
我々は、特定タイプの粒子の光散乱能(Csca)は、粒子が存在する媒体に影響されることを確認した。媒体の屈折率を変えると、粒子の光散乱特性が変化する。
表16は、選択された粒子に対する媒体屈折率の影響の説明例を示す。直径10nmの金、銀およびポリスチレン球状粒子に対する計算された屈折率媒体の影響が示されている。
表16に示されるように、媒体の屈折率の影響は、非金属状粒子に比べて金属状粒子の場合は極めて差が大きい。例えば金のような金属状粒子に対する媒体の屈折率を大きくすると、その粒子からの散乱光の強度および最大波長が大きくなるのに対して、例えばポリスチレンのような非金属状粒子では光散乱能が低下する。
試料媒体の屈折率の影響として、非金属状粒子と比べた場合における金属状粒子の特有の光散乱特性を利用して、非特異的光散乱背景を多く含む粒子を含む試料中の金属状粒子をより特異的かつより感度良く検出することが可能である。これは、多くの異なるタイプの診断分析測定にとって重要である。
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多くのタイプの試料および診断測定形式において、試料容器および検体以外の試料成分からの非特異的な散乱、反射および他の背景光の問題はよく知られている。これらの非特異的背景光は、粒子の散乱光特性の検出および/または測定による検体の高感度レベルから超高感度レベルの検出を不可能にせずとも困難にする。
我々は、屈折率増大法を用いたときは、非金属状粒子に比べて、金属状粒子のほうがはるかに特異的かつ感度良く検出できることを確認した。次に、該方法を説明する。以下の式(RIは屈折率係数)を用いることによって、散乱光強度に対する粒子および媒体の屈折率の影響を評価することができる。
Figure 2009244270
上式において、refmedは媒体の屈折率で、mは、粒子の屈折率/refmedに等しい。mは、暗に波長に依存するが、厳密な依存性は、粒子組成および媒体に応じて変化する。色を有さないたいていの溶媒の屈折率は、少なくともスペクトルの可視領域では、通常波長に無関係である。
高感度分析において光散乱粒子を使用するにあたっては、どのような屈折率の値を用いればより高い光散乱強度が得られるかということが関心の対象となる。これは、式(16)の屈折率係数(RI)から求められる。この係数は、式(16)の分子が0になるときに最大値になる。この条件では、屈折率係数は無限の値になる。したがって、高レベルの光散乱の条件は以下の式で与えられる。
+2=0 (17)
上式をmについて解くと、以下の式が導かれる。
m=√−2 (18)
=1.41i (19)
上式において、i=√−1である。上式は、屈折率が1.41の値を有する純虚数であるときに、屈折率係数が最大値になり、粒子による光散乱レベルが最大になることを示唆している。表16に示される計算データは、予測された傾向に従う。加えて、屈折率増大法は、金属状粒子に対して光散乱レベルが最大になる入射波長からかなり離れた入射波長においても非常に有効である。
次に、屈折率増大法の使用例を示す。高レベルの非特異的光散乱背景が存在する試料の如き高散乱試料において、金属状粒子および屈折率増大法は以下のように使用される。
当業者は、例えば水または他の液体の膜を乾燥した試料または湿った試料の上部に配置し、試料媒体の屈折率を高める。これによって、媒体の屈折率が高められる。他の例では、高散乱試料を媒体の屈折率を実質的に高める高屈折率の液体で血清または他のタイプの高散乱試料を希釈する。
上述の例では、以下のようなプロセスが生じる。試料の屈折率が高くなるに従って、金属状粒子の特異的光散乱信号が増加し、非特異的光散乱背景が減少する。表16に示されているように、試料媒体屈折率が金属状粒子の屈折率に近づくと、非特異的散乱背景に対する粒子の光散乱レベルの割合が最大限に増加する。これは、媒体屈折率が適正な値を有すると、血清タンパク質または同様の成分により非特異的な光の散乱が著しく減少するか、または消滅するのに対して、粒子の特異的光散乱強度は増加することを意味する。これにより、金属状粒子の光散乱特性を分析トレーサーとして使用する場合に、優れた検体検出信号/背景比が得られる。これらの方法は、乾燥表面、溶液で覆われた表面、または溶液の如き試料に適用可能である。
金属状粒子に対するより長い波長に対してもこれらの屈折率整合法を使用して、非特異的散乱背景に対する特異的光散乱信号の割合をさらに高めることができる。表16は、金および銀粒子に対する効果を示しているにすぎないが、他の金属状物質から構成される粒子を使用して、我々が説明した方法を用いてより小量の粒子を検出することも可能である。ここに記載されている屈折率増大法の説明では、本発明のこの粒子の多くの可能なタイプのうちのわずか数種類が示されているにすぎない。該方法の他の多くの変形形態も可能であり、それを当業者は理解するであろう。これらの変形形態の1つまたは他の形態をたいていの診断形式に効果的に利用して、検体の有無を判断することができる。本発明のこの態様は、従来可能であったものに比べて、より小量の粒子を検出する手段、より小量の粒子をより特異的に検出する手段、およびより小量の粒子およびより大量の粒子をより特異的に検出する手段を提供する。
従来可能であったものに比べて、より小量の粒子およびより大量の粒子を検出するのに、屈折率増大と、先述した狭帯域フィルター手法とを組み合わせた方法が広く利用される。これらの手法は相補的なものである。屈折率増大法は、非特異的光散乱背景を低減するのに用いられるのに対して、狭帯域フィルターは、蛍光のような他の非特異的背景光の源を低減し、かつ最小限に抑えるのに使用される。これらの方法を組み合わせることによって、非特異的背景光に対する粒子特有の散乱信号の割合が高度に最適化されるとともに、粒子をより特異的かつより感度良く検出することが可能になる。
上記の例は、この複合的な方法の多くの可能な形態の1つにすぎない。他の多くの形態が存在することを当業者は理解するであろう。
高散乱および蛍光試料−血清における光散乱粒子の検出
哺乳動物の血清は医学的に重要な多くの物質を含み、その定量化および/または存在は臨床実験室ならびに他の施設で特定されている。多くの異なる信号生成および検出システムを使用して、血清中のこれらの検体の存在が確認されており、これらは、蛍光法、光散乱および化学発光法の如き光信号生成法、ならびに直接標識法および信号増幅法の両方を含む形式に用いられる比色法を含む。天然の血清は、蛍光、化学発光または光散乱機構によって非特異的光信号を生成することが可能な様々な物質を含有する。加えて、血清は、トレーサー体からの特異的光信号の生成および/または検出を妨害する物質をしばしば含有する。これらの問題は、純粋またはほぼ純粋な血清試料における検体検出を不可能にせずとも困難にする。
血清検体の検出のための既存の試験システムのすべてではなくても、そのほとんどを採用できるようにするためには、血清が試験に対応するように、血清に何らかの方法で前処理を施すことがほぼ常に必要である。当該血清処理方法は数多く存在し、おそらく最も単純な方法は、通常水性である何らかの適切な溶液で血清を希釈することである。広く用いられる他の手法は、特定の光生成トレーサーの存在を確認する前に望ましくない血清成分を除去するように実際の試験を行うものである。費用および労力の観点から、試験を実施するのに必要な労力および試薬が少ないほど好ましい。試料に前処理を施さないことが大いに望ましい。当該機能は、試験の性能に対しても有益でありうる。本発明の方法は、ほぼ純粋な血清において当該検体試験を実施する手段を提供するとともに、従来可能であったものに比べて、より高濃度の血清試料において、より小量または大量の粒子をより特異的に検出する手段をさらに提供する。
例えば、フルオレセインの如き蛍光トレーサーによって血清試料を分析する前に、それを約5パーセントの最終血清濃度まで希釈することが広く行われている。血清試料を490nmの単色光で照明し、光学フィルターを使用して非特異的な背景散乱光を最小に抑える。非特異的光信号は、10−8Mから10−9Mのフルオレセインを含有するフルオレセインの高純度の液体試料に相当する。したがって、5%の血清試料において、信号/雑音比が2のレベルで、10−8Mから10−9Mのフルオレセインを検出することができる。95パーセントの血清試料では、フルオレセインの検出の下限は約19倍、すなわち1.9×10−7Mから1.9×10−8Mになる。したがって、光学フィルターによる95パーセントの血清では、フルオレセインの検出の下限は約1.9×10−7Mから1.9×10−8Mになり、この量のフルオレセイン光信号では、(全光信号)と(非特異的光信号)の比が約2:1になる。
表17は、(全光信号)と(非特異的光信号)の比が2:1の場合における、非常に高血清濃度における実験的に測定可能な検出限界を示す。このような高血清濃度において、散乱入射光による非特異的光信号を除去するための光学フィルターが存在しない場合は、フルオレセインの検出の下限は約6×10−7Mである。
表18は、入射光の散乱による非特異的光信号を除去する光学フィルターが試料と光電子増倍管の間に配置された場合における非常に高血清濃度でのフルオレセインの検出の下限を示す。この状況において、高血清濃度におけるフルオレセインの検出の下限は約2×10−8Mである。
フルオレセインと対照的に、表17セクションBおよび表18に示される結果は、光学的濾過を行わなくても、約1.8×10−12Mの濃度において、(全光信号)と(非特異的光信号)の比が2:1のレベルで、95パーセントの血清における直径59.6nmの金粒子の存在が検出できることを実証するものである。血清から観察された非特異的光信号は、5×10−7Mのフルオレセインからのものと同等であった。これらの同じ条件下で、高血清濃度における直径60nmのポリスチレン粒子は、約6×10−9Mの下限で検出可能であるにすぎない(表18を参照)。
Figure 2009244270
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表19に示される結果は、95.7パーセントの血清において、直径100nmの金粒子と、直径110nmのポリスチレン粒子と、蛍光性の強い化合物を一粒子当たり4、400分子含む直径110nmのポリスチレンとの(全光信号対非特異的光信号比が約2:1の場合における)相対的検出限界の比較を示している。これらの結果は、直径100nmの金粒子は、ポリスチレン、または蛍光性の強い化合物の分子を多数含むポリスチレンから構成される直径110nmの粒子よりはるかに低い濃度で検出可能であることを証明するものである。金粒子は、血清中において、他の非金属状粒子に比べて約230分の1の濃度で検出されうる。
表20は、同じ照明条件下で、高濃度の血清を含む溶液と水だけを含む溶液における同一濃度の59.nmの金粒子から測定された散乱光の量を比較している。これらの条件下で、約3の信号/背景比で1.8×10−12Mの濃度の金粒子が検出可能であった。これらの結果は、血清または任意の共通成分の存在は、金粒子の光散乱能に直接的な影響を与えないことを示唆している。金属状粒子の光散乱特性の安定性および不動性は、それらの金属粒子を血清の如き試料、および他の多くの成分を含有する他の関連試料に極めて有用なものにしている。
血清中の直径100nmの球状ポリスチレン粒子または金粒子の検出は、さらなる例を提供する。
哺乳動物の血清は、約3.7グラム・パーセントのタンパク質を含み、その約3分の2が血清アルブミンである。血清中のポリスチレン粒子の検出は、血清中のタンパク質および他の物質、ならびに他の多くの源に起因する非特異的光散乱に妨害される。ポリスチレン粒子とタンパク質および血清中の他の物質との光散乱強度対入射可視波長分布の類似性は、血清または他の任意の高散乱媒体中のポリスチレン粒子を検出する能力を著しく制限する。
Figure 2009244270
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300nmの代わりに575nmの入射波長を用いて血清を照明すると、非特異的光散乱信号が13分の1に減少するが、ポリスチレン粒子からの特異的散乱信号に対してもほぼ同規模の減少がもたらされる。ポリスチレンまたは他の非金属状粒子に対する照明の波長を大きくしても、特異的信号対背景比、すなわち試料中のポリスチレン粒子の検出性が著しく高められることはない。
対照的に、金属状粒子は、照明および/または検出の可視波長を大きくすることにより、非金属状粒子に比べて、より大きな信号対背景比で検出される。直径100nmの金粒子は、水と類似した水性媒体において約575nmの波長付近の光を最大限に散乱させる。575nm付近の波長の単色光で試料を照明すると、金粒子から最大の光散乱信号が生成され、非特異的光散乱が著しく減少する。例えば、これらの条件下において、全体的な非特異的光散乱は、300nmの入射波長に対する300nmの照明波長に比べて約13分の1に減少する。
入射白色光、および対象波長外(約575nmを中心とした特定帯域より小さいかつ/または大きい波長の)光の量を最小限にする適切な光学フィルターを用いた血清試料の照明は、血清中のより小量の金属粒子を検出する他の手段を提供する。これらの条件下で、金粒子から最大の光散乱強度を生成する入射可視波長が利用され、血清タンパク質および他の物質、ならびに他の源に起因する非特異的光散乱信号が著しく低減される。白色光(またはいくつかの異なる波長)で照明し、適切な配列の光学フィルターを使用すると、血清試料において、複数のタイプの異なる金属状粒子が検出可能になる。この方法は、光散乱レベルが最大になる入射波長が異なる各々のタイプの粒子を利用している。
他の手法は、適切な偏光フィルターおよび/または帯域フィルターを介して試料からの全光信号を濾過することを含む。適切な偏光フィルターを使用すると、非偏光蛍光背景が効果的に除去されるが、非特異的光散乱背景はたいてい偏光しているためほとんど影響されない。より高い波長の光学的帯域フィルターを使用し、例えば白色光照明のような広帯域照明を用いると、非特異的光散乱および蛍光背景を著しく低減することが可能になる。金属状粒子の多くは、より長い波長で高い光散乱強度を有し、この特性を帯域フィルターおよび/または偏光フィルター手法と組み合わせて利用することができる。例えば、直径300nmの球状金粒子は、約700nmの波長においてほぼ最大の散乱光率を有し、その散乱光強度は、直径100nmの金粒子の約6倍である。300nmの粒子、および700nmを中心とした帯域フィルターを使用すると、非特異的光が約半分に減少し、金粒子の散乱能が(100nmの粒子に比べて)約6倍に増加する。したがって、このシステムにおける信号対背景比は約12倍に高められた。非金属状粒子、例えば同等の粒径のポリスチレン粒子にこの手法を用いても、信号対背景比が著しく高められることはなく、実際には低下するおそれがある。装置の光学的コンポーネントおよび/または試料槽上の反射防止コーティングを用いても信号対背景比を向上させることができる。他の多くのスキームおよび手法を用いることも可能であり、当業者はこれらを理解するであろう。
本発明のこの態様は、試験システム形式の一部として散乱光の検出を利用する他の方法によって達成可能なものに比べて、診断測定システムの特異的光散乱信号と非特異的光散乱背景信号との識別能を向上させる。加えて、白色光で照明されると異なる色を示す異なるタイプの金属状粒子の可用性は、1つの試料における複数のタイプの粒子の存在を検出することを可能にし、1つの試料における複数の検体タイプの検出に有用である。
金属状粒子のさらなる利点は、それらが、蛍光化合物に対して化学的に不活性なことである。当該粒子は、光漂白を行わず、それらの信号生成能力は当該機構に影響されない。
上記の手法は、粒子による特異的光散乱信号と、様々な源に起因しうる非特異的光散乱信号との間の識別能を向上させるために、金属状材料からなる粒子を使用するための多くの手法のうちの数例にすぎない。例えば、当該粒子を、使用されている粒子に対して光散乱レベルが最大になる波長と異なる波長で特異的に検出する数多くのスキームが可能である。他の多くのスキームまたは手法も可能であり、当業者はこれらを理解するであろう。
次に、1つまたは複数の光散乱粒子の特性の検出による固相または関連試料中の1つまたは複数の検体の検出について説明する。
固相検出方法
これまでのセクションでは、金属状粒子の特定の光散乱特性、および溶液中のこれら粒子の検出に関連する本発明の様々な態様を説明した。次に、表面上、または表面の極めて近くに存在する粒子を検出するための方法について説明する。
我々は、DLASLPD照明および検出法に金、銀および他の金属状粒子を使用することによって、単位面積当たり極めて小量の粒子および粒子標識結合剤(被覆粒子)を検出することができ、単純な照明および検出手段を使用して、表面または表面付近の単一粒子、および結合剤を塗布した粒子を検出することが可能であることを確認した。光透過性表面に対しても光不透過性表面に対しても、これらの方法を用いることができる。
我々は、粒子ならびに照明および検出方法の特定の組合せを用いることで、試料中において約0.001から10個毎平方ミクロン(μ)の広範囲な粒子密度を検出できることを確認した。適切なタイプの粒子を使用することによって、同一の試料、例えばマイクロアレイにおいて、極めて小量まで、非常に広い濃度範囲にわたって異なるタイプの検体を検出することが可能になる。これは、(低粒子密度における)粒子計数と、同一試料に対する(高密度における)集積光強度測定の両方を利用することによって1つの装置上で達成される。例えば、アレイ・チップの如き固相関連手段または他の固相方法を用いることによって、2つ以上の異なる検体に対して試料を分析する場合は、試料中に異なるタイプの検体が異なる濃度で存在する。すなわち、いくつかの検体は、試料中の他の検体に比べて、2桁から数桁高いまたは低い濃度で存在しうる。所望の検体検出感度、および方法が機能する濃度範囲を達成する上で、適切なタイプの粒子を選択することが極めて重要である。ここに記載する我々の方法は、当該試料中の検体の検出を可能にする。レーザの如きより強力な光源を使用し、共焦点撮像の如きより高度な方法を我々の基本的な照明および検出法に付加すれば、より広い検出レンジおよびより高感度が可能になる。
我々は、高密度の粒子をより特異的かつ容易に、すなわち単純な方法を用いて非常に良好な信号対背景比で検出できることを確認した。本発明のある態様では集光レンズ(撮像レンズ、ミラーまたは同様のデバイス)が使用され、他の態様では集光レンズは使用されない。
粒子による散乱光は、例えばフォトダイオードまたはフォトダイオード・アレイ、光電増倍管、カメラ、ビデオ・カメラまたは他のCCDデバイスの如き光検出器、あるいは人間の肉眼によって検出される。粒子の量は、単位面積当たりの粒子の数をカウントし、かつ/または単位面積当たりの全集積光強度を測定することによって求められる。検出および測定される具体的な散乱光特性としては、1つまたは複数の波長における散乱光強度、色、偏光性、RIFSLIW、および/または単位面積当たりの粒子散乱光の角度依存性が挙げられる。次いで、これを試料中の検体の存在、不在および/または量に関連づける。
1つまたは複数の検体を測定するいくつかの分析において、粒子計数または集積光強度測定の一方または両方を用いることができる。粒子を正しく選択し、DLASLPD照明および検出法を用いることで、通常光学的分解性および検出性が十分な散乱光強度が得られるため、より高度な光源、ならびに空間および光学濾過技術は不要であることに留意されたい。しかしながら、非特異的背景光の量が多いいくつかの試料では、光学フィルター、共焦点撮像、または他の開口型空間濾過技術を使用して、全非特異的背景光に対する粒子散乱光信号の比率を高めることによって究極的な信号対背景比を向上させる。
いくつかの分析および診断用途では、集光レンズまたはミラーを使用せずに、我々の基本的方法を用いて散乱光強度の検出および測定を行うことが可能である。これらの試料において、集光レンズを使用することなく、上記と同様にして散乱光の1つまたは複数の特性の検出および測定を行う。次に、それらの方法をより詳細に説明する。
集光レンズまたはミラーを使用した光散乱粒子による散乱光の検出
我々は、様々なタイプの集光光デバイスを使用して、粒子の散乱光を集光できることを確認した。粒子計数と強度測定(単位表面面積当たりの集積強度)の両方を用いて、我々のDLASLPD照明および検出方法により、所定領域における粒子の1つまたは複数の具体的な光散乱特性を検出した。我々は、実施したほとんどの実験において、粒子密度が約0.1個/μ以下のときは、一般に計数測定法を用いるのが有用であることを確認した。粒子密度が約0.1個/μを上回るときは、全集積光強度の測定が有用な測定方法であることがわかる。しかしながら、約0.1個/μより大きいまたは小さい粒子密度において、計数測定または集積光強度測定を使用できることに留意されたい。
測定の対象とする表面の視野または領域、測定される試料容器のタイプ、および粒子計数によって測定される粒子密度の上限によっては、試料による散乱光を集光かつ/または画像化するために1つまたは複数の特定タイプのレンズを使用することが有用であることが分かった。例えば、より大きな領域を測定して散乱光を検出したい場合は、a×10、またはさらに小さな顕微鏡対物レンズ、あるいはレンズまたはミラーを使用して試料による散乱光を集光することができる。同様に、試料のより小さい領域を測定しようとする場合は、a×20、×40、×100またはより大きな顕微鏡対物レンズ、あるいは同様のレンズまたはミラーを使用して光を集光することが可能である。より高い粒子密度において粒子計数法を用いる場合は、より高倍率の対物レンズによって、高密度の粒子をより良好に分解することが可能になる。より大きな対物レンズを使用するときは、さらなる条件および制限が課されることに留意されたい。例えば、作用距離が極めて小さくなり、浸漬油を試料に添加しなければならない場合がある。カメラ、ビデオ・カメラまたは同様のCCD型光検出器を使用すると、その試料領域による全散乱光が検出される。次いで、この情報を単純なハードウェアおよび/またはソフトウェア手段によって処理して、散乱光測定値を解析することができる。これは、固相マイクロアレイ、アレイ・チップまたは同様の形式を使用することによって試料中の多くの異なる検体を検出および定量できるため、強力な機能である。マイクロアレイ形式では、特定の検体を特異的に結合させる、空間的に分離した領域における異なるタイプの結合剤で表面の小さな領域を覆う。後に、固相多検体マイクロアレイなどへの本発明の具体的な応用について説明する。
粒子計数法は、通常、集積光強度測定法よりも機器的要件が厳しい。しかしながら、粒子の1つまたは複数の光散乱特性を非常に感度良く検出するにあたっては、計数技術の使用に大いに利点がある。例えば、光源または試料槽の変動および不均質性によって粒子計数測定が影響されることはないのに対して、集積光強度測定法を用いる場合はこの問題が深刻な問題を引き起こす可能性がある。加えて、計数技術による測定粒子の品質および信号/背景比を向上させるための多くのソフトウェアおよびハードウェア・オプションが存在している。
集光レンズまたはミラーを使用しない光散乱粒子の検出
表面または表面付近の粒子の散乱光を検出するのに集光レンズを使用する必要のない方法をも開発した。この構成では、通常、集積光強度によって、対象領域から入射する散乱光を検出する。これは、先述したように、矯正した、または未矯正の肉眼、あるいは光検出器によって行うことが可能である。我々は、直径が約120nm以下の金属状粒子を使用すると、散乱光の前方方向の包絡線の外側の角度に検出器(肉眼または光検出器)を配置することによって、全体的な非特異的背景光に対する粒子の光散乱信号の比を著しく高められることを確認した。
信号/背景比を高めるための主要概念
DLASLPD照明および検出法を詳細に説明する前に、何らかの形態で使用すると、光散乱粒子の検出に対する信号および信号対背景比の限界を決定づける主要概念の概要を説明することが有益である。これらの方法は、より強力な光源、より平光度の高い光源、より小さな波長帯域の光源、異なる波長の光源、より高感度な光検出器、照明光源と試料の間かつ/または試料と検出器の間の光学フィルターおよび/または空間フィルター、および/または共焦点もしくは類似の撮像技術を使用することなど、様々な装置コンポーネントの調整または変更に加えて実施される。これらの方策および方法の概要を以下に説明する。
(1)より大きな直径の金属状粒子を使用することによって、粒子の光散乱能を著しく高めることが可能である。粒径を大きくしても、散乱光強度対入射波長分布を変化させることができる。1つまたは複数の散乱光特性を容易に検出できるように、任意の具体的な分析のニーズに合わせてこれらの特性を調整することが可能である。例えば、非特異的背景光が大きい試料中の検体を測定する場合は、直径が約80から120nmのより大きい金粒子が有用である。直径が40nmの金粒子に比べて、光散乱レベルが最大になる最大波長がより光波長にシフトし、散乱光の強度も高くなる。これらの2つの効果を組み合わせると、直径40nmの金粒子に比べて、信号/背景比が著しく高められる。
(2)散乱光の前方方向の包絡線の外側の角度で試料の散乱光を測定することによって、強度または計数方式における信号/背景比が実質的に高められる。試料の表面の上側または下側、ならびに照明光線が位置する試料面と同じ側または反対側に検出器を配置することができる。これらの様々な方位において、散乱光の前方方向の包絡線の外側で粒子からの特異的光散乱信号が検出されるのに対して、試料槽内の光学収差および試料中の他の成分からの非特異的散乱光の大半は、散乱光の前方方向の包絡線の内側にある。これによって、粒子散乱光のより高感度で特異的な検出が可能になる。
(3)先述したように、非特異的反射光の量も検出の感度に影響を与える。我々は、検出される集光領域から入射光の表面を可能な限りずらすことによって、反射光の量を実質的に減少させることが可能である。これは、(後に説明する)試料槽の適切な設計を含む多くの異なる方法で達成することができる。例えば、我々は、ガラスのスライドの底面に浸漬油の薄膜を設け、それを介して反対面の粒子に光線を照射すると、結果の有意な向上が認められることに注目した。他の実験において、小さなプラスチックの光導体を、結合粒子のマイクロアレイが表面の反対側に存在するプラスチックの試料槽の底面に付着させると、有意な結果の向上が認められた。また、等面プリズムおよび/または他のタイプのプリズムまたは光学光導体の如きより大きな光学的配列手段を使用するとともに、試料容器がプリズムに接する表面に浸漬油を仕込んだ。我々は、これらの優れた結果は、(i)光入射面と、光散乱粒子を含む検出の領域との距離をより大きくしたこと;(ii)プリズム面などの光導体の表面における入射角を(直角に対して)0°としたこと;および(iii)システム内に生じる反射光の多くをシステムから外に誘導し、集光点から離すことによるものと結論づけた。これらの方法はいずれも、様々な試料中の光散乱粒子の検出に対する信号/背景比を高める上で有用である。システムから反射光を効果的に除去して信号対背景比を向上させるのに用いることができるいくつかの光誘導法がある。
(4)屈折率増大法も、多くの異なるタイプの試料における信号対背景比を高める上で極めて有用である。我々は、信号対背景比を高めるためのいくつかの方法を見いだし、ここでそのいくつかを説明する。粒子を含む表面を覆う液体を使用する方法では、その液体の屈折率が、粒子を含む表面の屈折率に近いほど、信号/背景比が高くなる。我々は、乾燥した固相上の検体を検出する際は、表面の上部に液体層を配置することによって信号/背景比が高められることを見いだした。屈折率が約1.33の水性緩衝液を使用して試料表面を覆うと、空中で同じ表面上の粒子を測定するのに比べて、はるかに良好な結果が得られる。固相の屈折率により近い液体を使用することによって、さらに良好な信号/背景比が得られる。例えば、まず、光散乱粒子に結合剤が塗布された検体を試料媒体、または他の適切な反応混合物もしくは緩衝液中の固相に結合させることによって分析を実施することができる。次いで、粒子の検出に先立って、固相を覆う、選択された屈折率の溶液で試料中の溶液を希釈または置換する。このようにして、極めて高感度の結果を達成することができる。
上述の方法に加えて、照明光線と試料の間、かつ/または試料と光検出器または肉眼の間に狭帯域光学フィルター、カットオフ光学フィルター、開口の如き空間フィルターをさらに使用しても信号/背景比が高められることになる。技術および装置のコストおよび制度が問題にされない特定の分析測定用途では共焦点撮像技術も有用であると思われる。光学的に濾過された、またはされていない長波長源を使用することも信号/背景比を高める方法である。余剰の光を除去するように特別に設計された試料槽を使用することによって余剰の非特異的な光をシステムの外に誘導することももう1つの有用な方法である。有用とされる一般的な試料槽設計については後に説明する。本発明の1つまたは複数の態様に対するこれらの変形形態は、いずれも、信号/背景比を高め、試料中の1つまたは複数の検体をより特異的かつ感度良く検出することを可能にするものである。
DLASLPD照明および検出法を試料に特異的に適用できる多くの異なる方法が存在し、これらの概要が図15に示されている。図14は、図15に示されるDLASLPD法の流れと概要を示す図である。特定の金属状粒子を使用して固相または同様の試料中の1つまたは複数の検体を検出する場合に該方法が与える有用性を当業者なら認識するであろう。
拡張ダイナミックレンジ
本発明は、検体分析の性能を向上させるための方法を提供する。ダイナミックレンジが広いことは、検体の定量が望まれる分析に特に有益である。拡張ダイナミックレンジを有することによって、単一分析における広範囲な標識密度または濃度にわたって(存在する検体の量の表現としての)検出領域または容量に存在する標識の量を差別的に検出、定量することが可能になる。本発明の方法は、特に複数の分析サイトで極端な光強度を生成する分析において、光を散乱させる粒状標識に対して有用である。極端な光強度は、多重検体分析で複数の光色を検出する場合などにおける、ある分析または分析サイトの範囲内の高い光強度、低い光強度、またはその両方を含む。
ダイナミックレンジに対する制限は、一般に2つの範疇に分けられる。1つの範疇は、分析および分析形式の要素における固有の制限を表し、検体密度、標識密度および標識相互作用に対する制限を含む。典型的には、当該制限は、高検体密度および/または高標識密度においてのみ重要になる。
第2の範疇の制限は、センサーに起因する。これらは、低光レベルまたは異なる波長(すなわち光の色)における非線形センサー応答の如き感度の限界、および低信号レベルにおける低信号/雑音比の如き背景の問題を含む。第2の範疇の制限は高い光強度レベルにおいても見られる。多くのタイプのセンサーは、ある露光時間にわたって光を集光することによって、信号に変換するための光エネルギーを蓄積する。センサーにより生成される信号は、露光時間にわたって集積された検出光に対応する。光の強度が高い、かつ/または露光時間が長い場合は、多くのタイプのセンサーは飽和し、非線形応答曲線および/またはブルーミングにいたる。このような条件下では、センサーの出力信号はセンサーによって検出された光に比例または線形に比例しないため、分析の分解能が低下する。したがって、応答するセンサーによって生成される信号は、変形し、または不正になりうるため、分析には無効である。第2の範疇の制限は、センサーによって検出される光の波長にも依存し、例えば、センサーは、強度が同じで波長が異なる光に応答して異なる強度の信号を生成することになる。
低信号レベルと高信号レベルの両方において制限されるセンサーの例としては、写真フィルムがある。典型的には、当該フィルムは、低光レベルにおいて非線形応答を有し、中間的な光レベルにおいてほぼ線形応答部を有し、高信号レベルにおいて非線形応答部を有するため、S状の応答曲線が得られる。光強度レベルが極めて高くなると、該フィルムは飽和し、さらに強い光に対して強い応答を示さなくなる。
当該制限は、電子センサー、例えばCCDセンサーにも見られる。加えて、全露光により蓄積が過剰になると当該センサーの多くはブルーミングを起こし、信号強度と位置識別能の両方が失われるか、または少なくとも低下することになる。
多検体検出サイトが存在する分析では、あるサイトは強信号を有し、あるサイトは弱信号を有する場合がある。信号レベルの差が大きいことは、サイトによる標識濃度のばらつきが大きいことによるものと考えられる。それは、また、例えば異なるピーク散乱波長を有する、明確に異なる粒子の集合体を使用する多重分析において、そのサイトに存在する光散乱標識の組合せによるばらつきが大きいことによるものと考えられる。サイトによる信号レベルの差が大きいことは、サイトを標示する各々明確に異なる粒子との粒子密度の差と信号レベルの差の両方を合わせたものに起因する実施形態もある。弱信号と強信号の差より有効応答レンジが狭いセンサーに単純な単一の露光時間を適用すると、信号のいずれかまたは両方が非最適応答レンジに入ることになる。このような問題には、以下に記載する様々な方法で対処することが可能である。通常、拡張ダイナミックレンジを提供するためのこれらの技術は、信号が大きく変化する複数の個別的アドレス可能サイトが存在する分析形式に使用されることになる。例としては、マイクロタイター・プレート、ならびにスライド、チップ、膜、ゲルおよびフィルター上のマイクロアレイ上のアレイの如き多くの固相および多ウェル形式が挙げられる。
粒状光散乱標識(RLS粒子)を利用するここに記載の方法は、一般には、粒子により散乱される光が、検出領域または容量に存在する粒子の数と線形に関連づけられるレンジを含む。
拡張ダイナミックレンジを提供するためのこの方法は、本明細書に記載のRLS粒子分析法と併用すると、一般に、4桁のダイナミックレンジ、および5、6、または7桁以上のダイナミックレンジを提供することができる。強度差が大きい異なる色の光を生成しうる異なる標識を含むために、広いダイナミックレンジの分析を必要とする多重検体分析にも本発明の方法を適用することが可能である。典型的には、多重分析は、分析サイトまたは検査ゾーン内の異なる標識から明確に異なる色(すなわち異なる波長)の光を検出することを含む。本発明の様々な実施形態では、1つの波長に対するセンサーから得られる分析サイトの光強度読出しを様々に組み合わせることにより、上記分析サイトについて正確かつ定量的な、上記波長に対する1つの信号または読出しを生成している。好ましい実施形態では、本発明の方法は、第1の波長での1つまたは複数の光強度の読出しを用いて、第2の異なる波長に対する信号または読出しを推定、外挿または生成することは行わない。
拡張ダイナミックレンジを提供するための本発明の方法を以下に詳細に説明する。
1.集積光強度と粒子計数検出の組合せ
一実施形態において、本発明は、適度に高い光強度に対する集積光測定と、低光強度に対する粒子計数とを組み合わせた方法を提供する。当該方法は、典型的には、スケールの低信号末端に対する制限に対処するために用いられる。集積光測定から粒子計数へ変化するための遷移点は、実験的な試験に基づいて確定することが可能である。したがって、例えば、選択した露光時間に対して集積光測定を用いることができる。標識密度の高いサイトが、センサーを飽和させる強度を提供しないように、あるいは受け取られた全信号を、センサーが正確な定量可能検出を提供できないレンジに押し込むように、露光時間を選択するのが好ましい。選択されたこの露光時間において、センサーが、存在する標識の正確な検出および/または測定を提供できる光強度または粒子密度のレンジで集積光測定が行われる。下限においては、例えば、隣接する粒子が単一粒子を確実に区別できないほど密にならないように、あるサイト、またはあるサイトの少なくとも統計学的に許容される部分の粒子密度を、実用的な時間内に、許容しうる精度で計数できる場合に粒子計数が行われる。遷移密度は、使用されるセンサーおよび検出デバイス、利用される具体的な粒子ならびに分析形式に依存することを当業者なら理解するであろう。指摘したように、最適な、または許容しうる遷移点は実験的に求めることができる。自動的に選択することも可能である。したがって、例えば、定量に向けた適切な信号蓄積を提供するコンピュータ・カメラ・コントローラによって露光時間を設定することが可能である。その露光時間に十分に強い信号を提供しないサイトを、倍率を高めることを含む粒子計数によって読み取ることが可能である。ここで指摘したように、粒子計数は様々な方法で実施できるが、電子方法で実施するのが好ましい。場合によっては、集積信号測定の下限が、粒子計数の実際的な上限と重複することもある。そのような場合は、両方の方法によって重複領域を読み取り、補正対照値として利用することができる。
検出方式の組合せを多くの異なる方法で実現することができる。アレイの実施形態に対する1つの好ましい実施態様は、集積信号方式を用いた試料の初期的な撮像を含む。信号閾値(一般にはあらかじめ設定された閾値)を下回るアレイ・フィーチャ(または少なくともフィーチャの一部)を走査し、粒子を計数する。好ましくは、走査をコンピュータで制御し、次いで当該技術分野において知られる画像処理ソフトウェアで処理される1つまたは複数の画像を作成して粒子の識別および計数を行う。閾値を上回るアレイ・フィーチャに対する信号は、集積光の定量化に直接使用され、粒子計数アレイ・フィーチャを拡大縮小して、同等のアレイ・フィーチャ領域に対する定量化を行う。
当該二重方式手法は、例えば80nmの金粒子に対しては、約0.003個/μmから約0.00003個/μmに拡張するといったように、通常、RLS粒子に対するダイナミックレンジを密度スケールの下端に向かって1から2桁拡張することができる。背景および/または電子的雑音が小さいときは2桁の拡張が可能である。理想的な条件のもとでは、粒子計数は、アレイ・フィーチャ内または視野毎に存在する1つの粒子まで拡張する。信頼できるデータ解析に向けた統計的要件を伴う実質的な条件では、粒子計数は、例えば、10−4、10−5または10−6毎μmの粒子表面密度を確実にカウントすることができる。
当該二重方式の分析を実施するための例示的なシステムは、より高い倍率でスポットを走査するための(好ましくはコンピュータ制御される)モータ駆動XYステージ制御、ならびに極めて好ましくは(好ましくはコンピュータ制御される)モータ駆動ズーム制御を利用する。したがって、機器の試料ホルダーは厳密に取りつけられ、モータ駆動XYステージは、スライドまたは他の形式の試料媒体を、コンピュータを介してカメラ・レンズの下に配置することを可能にしている。画像を取り込むためのデジタル・カメラを、ズームとフォーカスの双方がコンピュータを介して制御される動力ズーム・レンズに接続する。測定時、ズームを広い視野、好ましくは最大視野に合わせて設定して、初期画像を取り込む。XYステージは、カメラがアレイ(または視野に覆われるアレイの部分)の中心に合うように配置される。初期画像を取り込み、グリッド・オーバレイ・プログラムで処理して、各スポットから背景を差し引き、データを抽出する。
所定の閾値以下であると判断されたスポットには、粒子計数技術による解析のためのマーク付けを行う。閾値を上回るスポットに対する集積信号定量データは最終レポートに使用され、これらのスポットの粒子計数は必要とされない。
粒子計数段階において、スポット内の粒子の視覚化を可能にする倍率にカメラ・レンズをズームする。機械的なズーム・レンズでは必要なズーム・レベルが達成できない場合には、そのようなレンズを2つ利用することができる。コンピュータは、XYステージを使用して、初期画像により閾値を下回るものと判断された各スポット上にカメラ・レンズを配置する。これらのスポットの各々のまわりをXY方向に少しずつ移動させながらいくつかの画像をとる。画像解析を行うコンピュータ・プログラムが各画像において粒子計数を行い、結果を平均して、各スポットの粒子密度を求める。好ましくは、この画像処理は、特別に設計されたハードウェアを用いてリアルタイムで行われる。
単一粒子によって生成されるスペクトルの特性に関する情報を用いて、2つの異なる領域を統合することが可能である。本発明の一実施形態において、単一粒子の既知の信号にサイトまたは視野においてカウントされた粒子の数を掛けることによって、粒子数の少ない分析サイトの信号を生成することができる。代替的な実施形態では、単一粒子のスペクトルの特性に関する情報を用いて、集積光強度信号を粒子数が同等の信号に変換することも可能である。このように、2つの異なる測定タイプによる結果を組み合わせ、かつ/または比較することができる。
本発明によれば、複数のサイトで信号として光散乱粒子から集光した光を使用する検体分析において拡張ダイナミックレンジを提供するための方法が提供される。該方法は、それらのサイトからの集積信号をセンサーで検出することを含み、1つまたは複数のサイトでは、集積光強度が低いため、センサーによって生成された信号は検出された集積光に比例しない。コンピュータにより制御される自動方式でも、オペレータによる手動方式でも、サイト毎の粒子の数をカウントすることによって、集積光強度が低いそれらのサイトの画像を解析する。それらのサイトにおける検出を粒子計数毎に繰り返すことができる。粒子計数によって集積光強度が低いサイトから得られた信号を集積光強度で正規化することによって、分析のための拡張ダイナミックレンジを提供する。拡張ダイナミックレンジは線形ダイナミックレンジであるのが好ましい。随意に、視野の拡大を利用して粒子計数を支援することができる。このダイナミックレンジを拡張する方法を用いるときは、個別的アドレス可能サイトを使用するのが好ましい。
2.多重露光時間
他の実施形態において、本発明は、露光時間が異なる複数の検出を用いることによって検体分析のダイナミックレンジを拡張するための方法を提供する。この方法は、特にスポット(フィーチャ)毎の強度の差が大きいアレイまたはマイクロアレイを画像化するときにダイナミックレンジを大きくする画像データ処理を含む。カメラのセンサー、例えばCCDアレイ・センサーは、光強度低減フィルターのない条件で、単一の集光(露光)時間に定量的に読み取ることができる暗から明のレンジが限定される。低信号領域の観察および定量を行う必要があるため、低信号スポットを読み取るのに必要な長時間の露光でより明るいスポットがカメラ・センサーを飽和させる可能性がある。センサーにおける領域または画素の飽和により非線形応答になり、多くのセンサーではブルーミングが生じる。このような効果によって、高輝度のスポットを好適に定量することが不可能になる。広い密度または濃度範囲にわたって定量を行うことが望ましいため、当該定量には、線形応答が拡大された画像が有利に利用される。したがって、この画像処理技術は、(単一露光時間が用いられるときは)実際のカメラの範囲をはるかに超えた画像の範囲を拡張することが可能である。
例えば、複数の個別的アドレス可能サイト(例えばスポット)を伴う単一の分析ユニットでは、少なくとも2つの異なる露光時間が選択される。3つ以上、例えば3、4または5つ以上の異なる露光時間を用いることも有益である。有利な異なる露光時間数は、少なくとも一部に、検出器センサーのダイナミックレンジ機能、および特定の分析形式および粒子タイプの選択に対して起こりうる信号レンジに依存する。概して短い露光時間を利用して、非常に密度の高い分析サイトからの信号を検出器センサーに対する許容定量レンジ、好ましくはセンサーに対する線形応答レンジ内に維持する。このような短い露光時間では、非常に粒子密度の低いサイトは、検出器が許容しうる結果を提供するのに十分な信号、または場合によっては、検出器が何らかの応答を提供するのに十分な信号を生成しない。弱信号サイトの定量を可能にし、好ましくはセンサーに対する線形応答内の応答を提供するために、検出センサーが十分な信号を蓄積することを可能にする長い露光時間が用いられることになる。要望に応じて、中間的な露光時間を利用して、例えば中間的な密度のサイトに対する応答をセンサーに対する有利なレンジに維持することができる。複数の露光を行うことに基づく本発明の方法は、分析サイトまたは検査ゾーン内の異なる標識から明確に異なる色(波長)の光を検出することを含む多重分析にも適用可能である。
この方法では、非ブルーミング・センサーを使用することが有利である。ブルーミングは、より長時間の露光を伴う高密度のサイトに対して、飽和画素から近隣画素への電子のオーバフローにより多くのセンサーに生じる。近隣画素の汚染により、より長い時間を用いて低信号サイトを読み取る能力が付近の飽和画素によって損なわれうる。したがって、飽和画素が近隣画素または付近の画素を汚染することのない非ブルーミングセンサーを使用するのが好ましい。当該デバイスにおいて、過剰電子は、一般に「シンク」または「チャネル」に送られる。
露光時間を長時間間隔および短時間間隔の2つ以上のレベルに設定してカメラによる画像を記録する。すべての画像を記録している間は試料を静止状態に維持する。各画像からのデータを露光差に等しい倍率で拡大縮小し、または2つの画像を統合することができる。2つの画像の統合は以下のようにして行われる。12ビット画像から開始する:
1.拡大縮小を行うことなく両画像を16ビットに変換する。すなわち、12ビット画像において画素値が200であれば、16ビット・ファイルにおける画素値は200である。
2.短露光時間の画像に以下の2つの露光時間の比で定められる係数を掛ける。すなわち、
長露光時間=変換係数
短露光時間
変換係数は、機器およびカメラの背景を除去した画像に用いられる(すなわち、標識による信号のみに拡大縮小が適用される)。背景が差し引かれた短露光時間の画像に変換係数を掛けて2つの画像を正規化する。
画像を重ねる前に、長時間露光に対する飽和画素をゼロ値(ブラック)に置き換える。次いで、長露出画像からの暗い画素に、より明るい画素(すなわち短露光時間画像からの正規化画素)を重ねることによって2つの画像を合併させる。これにより、個別的アドレス可能サイトの各々からの本来飽和した画素であったものを、所定サイトに対する短露光画像からの「増幅」(正規化)画素に置き換える。
したがって、アレイの個別的アドレス可能サイトの各々から導かれた複合画像は、該サイトからの信号が検出器の好ましいレンジにあるときに集められた画像データから構成される。本発明は、一般的スケール変換係数に基づいて分析のダイナミックレンジを拡張するための方法を提供する。これにより、近隣アレイサイトから相関に基づいてデータを外挿することによって発生しうる検体検出および定量における潜在的な誤差が取り除かれる。
分析による画像を集めるのに費やされる露光時間は、使用される検出器の感度、分析を標示するのに使用される粒子によって放射される光の量、ならびに光学的セットアップの照明および検出構造を含むいくつかの要因に応じて変わる。好ましい実施形態において、例えば、分析を標示する粒子の一部が(RLS粒子のような)良好な散乱体であるか、または強い蛍光を発する場合は、露光時間は10ミリ秒前後から100ミリ秒以上のオーダである。露光時間を1秒間以上のオーダとすることも可能である。他の実施形態において、例えば、アレイのサイトを標示する粒子の一部が散乱体として劣っている場合、または発する蛍光が弱い場合は、露光時間を10秒から100秒以上、さらには1000秒以上に至るまで著しく長くすることが可能である。
この処理を延長して、3つ以上の異なる露光時間で作成された画像をカバーすることができる。例えば、すべての画像を合併させるまで、近隣の露光時間画像に対して重畳処理を繰り返すことが可能である。画素値が望ましいレンジにある画像からの画素値が使用されるように、重畳処理を構成することができる。例えば、3つの露光時間の重畳において、長露光画像における画素を飽和し、中間的な露光時間の画像では対応する画素を好ましいレンジ内におさめ、短露光時間の画像では対応する画素を最適レンジの下におくことができる。この場合、合併した画像は、短露光時間の画像からではなく、中間的な露光時間の画像からの増幅または正規化画素を利用することになる。したがって、重畳処理を実施する1つの方法は、最長の露光時間から最短の露光時間まで連続的に重畳を行いながらも、各画素に対して、カメラの応答特性によって決定づけられる好ましいレンジに画素が本来の値を有しているときに置換処理を停止する。
積分スポット値を使用して、上述の複数露光を用いた拡張レンジ技術を正規化することも可能である。この手法では、2つ以上の露光で取られた各々の画像にスポット検索および定量手順が適用される。次いで、集積信号に対して上述のように正規化を行い、さらに露光を式に因数分解する。この技術を用いれば、複合画像を作成する必要がなくなる。有利な点は、複合画像を必要な精度で記憶するために上述した16ビット・ファイルの如き大きな画像ファイルを必要としないことである。2つの12ビット・ファイルは、2つまたは3つの16ビット画像に比べて、必要なディスク・スペースがはるかに小さい。
ダイナミックレンジが限られたセンサーを使用する実施形態では、画像を調べることによって、または特定の露光に対する値のレンジを読み取ることによって、望ましい露光時間(すなわち集光期間)を手操作で決定することができる。しかしながら、自動化された方法で、露光時間の選択を行うのが好ましい。好ましくは、露光時間の選択は、特定の分析または分析の集合に対して利用する異なる露光時間の数の選択(これも自動化されるのが好ましい)をも含む。当該自動化は、ハードウェア、またはより一般的にはソフトウェアの多くの異なる様式で実現することが可能である。
手短に述べると、例示的な実施態様において、コンピュータは試験露光に対する画素値を読み取る。試験露光は、好ましくは、集積信号測定を用いて解析される分析に期待される最も弱い信号に対する適切な露光を提供する時間に設定される。当該レベルは、典型的には、特定タイプの分析および使用される粒径による経験に基づく。強度の下限またはその付近に画素が存在しない場合は、そうすることが望ましければ、露光時間をより長時間に調整する。強度のレンジは、値を比較し、読み取られた最高値を記録または記憶する(最高値および最低値、または他の所望の選択値を記録または記憶することもできる)ことによって決定される。最も強い信号に対する信号蓄積体を定量レンジ(または、好ましくは線形応答レンジ)、かつ好ましくは使用されるセンサー・カメラの線形応答レンジ内におさめる、最高値を読み取るのに適した露光時間を計算することができる。全強度レンジをセンサー/カメラの定量レンジ内に維持するのに2つの露光が不十分な場合は、異なる露光時間の少なくとも1つに対するセンサーの定量レンジ(好ましくは線形応答レンジ)内のすべてのサイトについて、全強度レンジの読み取りを可能にする、1つまたは複数の中間的な露光時間を計算することも可能である。
処理効率および/またはデータ記憶スペースによっては、特定の分析に対する最適数または露光の時間を決定することなく、あらかじめ選択された露光時間で行うことができる一定数の露光を実施するのが好ましいこともある。例えば、特定タイプの分析には最も高い密度で検体を定量する必要がないため、より限定的なレンジに対する定量を可能にする露光時間をあらかじめ選択するだけで十分である。露光時間の選択および/または調整を便宜的に適応して、対象となる標識密度/濃度範囲をカバーできることを当業者なら容易に理解するであろう。
本発明によれば、複数のサイトの光散乱粒子から集光した光を信号として使用する検体分析におけるダイナミックレンジを拡張する方法が提供される。該方法は、複数のサイトからの集積光をセンサーで検出し、センサーにより生成された信号は、極端な集積光強度により、1つまたは複数のサイトで検出された集積光に線形に比例せず;かつセンサーにより生成された信号が、極端な集積光強度を有する1つまたは複数のサイトで検出された集積光強度に線形に比例するように、少なくとも1つの異なる露光時間を用いて、集積光強度の検出を繰り返すことを含む。少なくとも2つの異なる露光時間からの信号を組み合わせて、極端な集積光強度を有する1つまたは複数のサイトからの光を定量化することによって、拡張ダイナミックレンジを提供する。信号が組み合わせられるときは、露光時間に基づく変換係数によって拡大縮小する。拡張ダイナミックレンジは直線であるのが好ましい。
3.光フィルター
他の実施形態において、該方法は、フィルターを使用することによって、分析における拡張ダイナミックレンジを提供する。この技術は、アレイを照明する光の量を制御する光学フィルターを使用し、またはCCD、光電増倍管、フォトダイオードまたは他の感光性アレイ・センサーを導入することによって、スポット毎(すなわちフィーチャ毎)の強度差が大きい分析を画像化する場合に拡張ダイナミックレンジを提供する。さもなければセンサーおよび電子機器のレンジを超える所定の検体アレイにおける広範囲な粒子密度または光強度を画像化する際に、光学フィルターを単一または複数の露光時間と併用することが可能である。
光学フィルターは、1つまたは複数の波長の透過光の強度を低減することによってダイナミックレンジの拡張を提供する。1つまたは複数のフィルターを使用して形成された(または採取された)画像を、露光時間とフィルターの波長依存光低減機能の両方から計算された変換係数を使用して画像を同じスケールに変換した後に、合併させて分析サイトの複合画像を作成する。
画像の収集には様々なタイプのフィルターを使用することができる。長域フィルターは、フィルターに対するカットオフ波長より長い波長の光を透過させる一方で、より短い波長を遮断する。短域フィルターは、フィルターに対するカットオフ波長より短い波長の光を透過させる一方で、より長い波長を遮断する。多重分析の場合のように、2つ以上のタイプの区別可能な標識(例えば、粒径および/または組成が異なる光散乱粒子)を使用する場合は、間隔におさまる波長の光を透過させる一方で、間隔より大きい波長および小さい波長を遮断する干渉帯域フィルターを用いて、アレイの画像内の特定の所望のスペクトル・フィーチャを選定することが可能である。代替的な実施形態において、特定のスペクトル・フィーチャを画像から排除する一方で、波長間隔より小さい波長および大きい波長を透過させることにより他のすべてのフィーチャを収集することを可能にするフィルターは、スペクトルの大部分に集中することを可能にする。これは、1つのスペクトル・フィーチャが、例えば分析における異なるタイプのRLS粒子に対して、他のスペクトル・フィーチャよりはるかに強度が大きくなる分析において望ましい。当該フィルターとしては、ノッチ・フィルター、ノッチプラス・フィルター、スーパーノッチ・フィルターおよびスーパーノッチプラス・フィルターが挙げられる。カラー・フィルター、フィルター・ホイール、フィルター・モノクロメータおよび中性密度フィルターを含む他のタイプのフィルターも、画像を収集するための異なる様々な実施形態に使用することができる。当業者は、フィルターを選択するスキルを十分に有するものである。
例示的な実施形態において、特に分析サイトからの光のスペクトル・フィーチャが十分に特徴づけられる状況では、フィルターの1つおよび1つの露光時間群を用いて、特定波長(すなわちスペクトルのピーク)の光強度の光を他の波長の光個別的に集光する。異なるタイプのフィルター、およびおそらくは異なる露光時間を用いて、他の波長の光を集光する。したがって、様々な波長における2つ以上の異なる読出しを組み合わせる場合は、信号が、分析サイトの粒子からの実質的な光読出しになる。
フィルターの波長依存透過曲線がメーカーから提供されない場合は、市販の白色光源を用いてそれを測定値から計算することができる。まず、所定の露光時間で白色光源の画像を収集して、100%の透過率に対するスペクトルを作成する。次いで、白色光がフィルターを通過した後に同じ露光時間を用いて光を集光する。次いで、フィルター無しで採取した画像に対する所定のフィルターで採取した画像の比率を求めることにより、フィルターの波長依存透過曲線を計算することができる。フィルターの組合せに対する波長依存透過曲線も、2つ以上のフィルターを白色光源の光路に配置することにより、同様にして求めることができる。次いで、所定のフィルターまたはフィルターの組合せを使用して採取される画像の拡大縮小を行うための変換係数を計算するのにフィルターの透過曲線を使用することができる。
好ましい実施形態において、ときにはグレー・フィルターとも呼ばれる中性密度(ND)光学フィルターを使用して画像を収集する。理想的には、NDフィルターは、すべての波長の可視光の強度を等しく低下させるため、白色光源を使用して計算された透過曲線は波長に無関係なものとなる。NDフィルターは色に影響せず、光の低下は分析サイト全体の画像に対して均一になるため、計算された透過曲線がなくても、所定の画像内のアレイサイト間の直接的な比較が可能になる。NDフィルターは、それらが透過させる光の量を示す数字によって等級分けされる。NDフィルターの等級(または光学密度)は、透過光のパワーに対する入射光のパワーの比の10進対数として定義づけられる。例えば、「ND0.1」と標示されたフィルターは、入射光の80%を透過させるのに対して、ND1.0のフィルターはわずか10%しか透過させない。以下の表は、様々なNDフィルターに対する等級レンジ、透過光の比率(%)およびスケール係数を示している。
Figure 2009244270
複数の個別的アドレス可能サイト(例えばスポット)を伴う単一分析ユニットに対する光学フィルターの使用例として、1つまたは両方の画像を収集するのに光低減フィルターを使用した結果、高光レベルおよび低光レベルで少なくとも2つの画像が収集される。光低減レベルが異なる3つまたは4つ以上の光学フィルターを使用して画像を収集することも有益であるといえる。分析において個々に濾過された収集画像の数は、少なくとも一部に、センサーのダイナミックレンジおよび分析に使用される光の強度のレンジに依存することになる。
本発明の好ましい実施形態において、単一の露光時間で、センサーからの画像をすべて記録する。第1の画像はフィルターを配置せずに取り込まれるため、高輝度画像が記録される。この第1の画像において、画像内のいくつかのサイトは、センサーの好ましいダイナミックレンジを上回ることになる。第2の画像は、粒子を照明する光の光路内、または試料と検出器の間に配置される光学フィルターを使用して取り込まれる。光低減能力のレベルがより高いまたは低い光学フィルターを使用してさらなる画像を収集することが可能である。すべての画像を記録している間は、試料は静止状態に維持される。この好ましい実施形態において、専ら光学フィルターの波長依存光学密度に基づく変換係数を用いて、各画像からのデータの統合および正規化を行う。2つ以上の画像の単一複合画像への統合は以下の工程を含む。
1.8、12、14または16ビットの画像から始まって、すべての画像を浮動小数点まで変換して、数学的処理時の精度を確保する。
2.画像を収集するのに使用される光学フィルター(好ましくはNDフィルター)の値に基づいて各画像にスケール係数を掛ける。スケール係数は、機器およびカメラの背景が既に除去された後で画像に対し適用される(すなわち、粒子標識による信号のみに拡大縮小を適用する)。
3.画像を重ねる前に、すべての画像に対する飽和画素をゼロ(すなわちブラック)に置き換える。次いで、より強度値の高い画素をゼロに設定された画素(すなわち、光学的に濾過された画像からの正規化画素)に重ねることによって2つ以上の画像を合併させる。これにより、本来飽和した画素であったものが、フィルターを使用して収集された画像からの「増幅」(正規化)画素に置き換えられる。
4.次いで、16ビット・ファイルにおいて利用可能なあらゆる精度を用いるために、ストレッチ処理を介して浮動小数点画像を16ビット画像に変換することができる。
複合浮動小数点画像が作成されるまで、追加画像毎にその手順を繰り返す。例えば、3つの画像を含む画像集合体の重畳において、非濾過画像内、中間的なNDフィルターに対する好ましいレンジ内、かつ高度に濾過された画像における好ましいレンジを下回るレンジで検出器の画素を飽和させることができる。この場合は、合併画像は、高度に濾過された画像からではなく、中間的な濾過画像からの増幅または正規化画素を利用することになる。したがって、重畳処理を実施する1つの方法は、非濾過画像から高度に濾過された画像まで連続的に行うが、画像に対するその信号がセンサーの好ましいレンジにおさまると、画素に対する置換処理を終了する。
したがって、本実施形態におけるアレイの個別的アドレス可能サイトの各々から導かれる複合画像は、各サイトに対する検出器の好ましい範囲内で収集されたデータから構成される。光学フィルターの波長依存光低減機能は、センサーのダイナミックレンジを拡張する際の一般的な変換係数を提供するため、近隣のアレイサイトから相関に基づいてデータを外挿することによって生じうる検体検出および定量の潜在的な誤差を取り除く。
本発明の代替的な実施形態において、線形正規化手順を用いて、いくつかの異なる画像を再統合して、システムの非直線性に対する補正を行うことが可能である。この技術は、有効レンジ内のすべての画素に対するフレーム間の中央偏差を求めるための画像処理関数を使用することになる。次いで、各画像を非濾過画像に対して正規化し、次いで先の2つのパラグラフで記載したのと同じ方法で統合する。
本発明の他の実施形態において、露光時間を変化させることに1つまたは複数の光学フィルターを併用して、センサーのダイナミックレンジを拡張する。この併用は、(光学フィルターを使用せずに)所定の検出器に対して達成可能な最短の露光時間を用いる場合であっても、アレイ上の最も高輝度のスポットからの信号の強度が検出器のダイナミックレンジを超えるときに特に有利である。単一画像を収集するのに2つ以上の光学フィルターを組み合わせることが可能である。組み合わせて使用する光学フィルターは、検出器の好ましいレンジ、すなわち線形応答レンジに信号強度がおさまるように選択される。露光時間および光学フィルターの組合せを変えることによって次の画像を採取することができる。各画像に対する拡大縮小変換係数の計算は、露光時間に対する係数、ならびに使用される1つまたは複数の光学フィルターの光低減機能に対する波長依存係数を含む。
本発明によれば、光散乱粒子からの光を信号として使用する検体分析のダイナミックレンジを拡張するための方法であって、集積光をセンサーで検出し、1つまたは複数のサイトからの集積光の強度を1つまたは複数の光フィルターによって、センサーにより生成される信号が検出される集積光に線形に比例する程度まで低下させ;かつ1つまたは複数のサイトからの集積光を定量するために、前記1つまたは複数のフィルターに透過する光によって決定される係数により信号の拡大縮小を行うことを含む方法が提供される。提供される拡張ダイナミックレンジは線形であるのが好ましい。該方法に用いられるフィルターは、フィルターに入射する光の1%、3.2%、6.3%、10%、13%、16%、20%、25%、32%、40%、50%、63%、70%、80%、90%および95%を透過させることができる。
4.非破壊的センサー読出し
他の実施形態において、本発明の方法は、単一の実質的な露光の範囲内の一連の露光時間を提供することが可能な特定タイプのセンサーを使用する。あるタイプのセンサーは、信号の読出しを1回のみ許可し、その後でセンサーをリセットしなければならないこととなっている。すなわち、読出しのプロセスは信号に対して非破壊的である。この特定の実施形態の方法は、信号の非破壊読出しを可能にするため、単一の露光時間を通じて複数の読出しを行うことが可能になる。当該複数の読出しは様々な方法で行うことが可能である。1つの方法は、露光時間全体を通じて、撮像センサー全体に対して複数の読出しを行うことである。しかしながら、いくつかの撮像センサーは、単一画素または画素群に対するランダム・アクセスを許可している。当該センサーは、特定の分析サイトからの信号を扱う上での柔軟性を高める。例えば、規則的な時間間隔、不規則的な時間間隔、および好ましくは記録された時間間隔を含む時間間隔で単一画素測定を監視することができる。所望の最大蓄積レベルに近づいている任意の画素をリセットすることができる。当該リセットは、ブルーミングを引き起こし、究極的には近隣画素を汚染する、画素内の電子のオーバフローの問題を防ぐ。そのような単一の時間間隔に対して当該リセットされた画素を使用し、あるいは時間間隔を組み合わせて平均的な応答を提供し、または時間間隔を組み合わせて全蓄積期間を提供することができる。それと同時に、低密度の分析サイトに対応する画素は連続的に蓄積することにより、より長い露光時間にわたって応答を提供することができる。
当該デバイスの例としては、カメラに組み込むことが可能な電荷注入デバイス(CID)イメージング・センサーが挙げられる。CIDセンサー・アレイの各画素は、読出し時に個別的にアドレスされるが、それは、個別的にアドレスされた画素内の収集「電荷パケット」を転送または「シフト」させ、センサー・アレイサイトにおける配列電極に対して置換値を検出することによって達成される。電荷は、信号レベルが測定された後も画素内で完全な状態を維持するため、このタイプの読出しは非破壊的である。新たなフレームの集積に向けて画素を空にするために、配列電極にバイアスをかけて、基板コレクタに電荷パケットを「注入」する。当該CIDセンサーは、例えばThermo Cidtech(登録商標)、例えばRACID84、85および86イメージング・センサーから利用可能である。これらのセンサーは、それぞれ1024×1024、1024×256、および512×512画素構成を与える。
本発明によれば、光散乱粒子から集光された光を使用する検体分析において拡張ダイナミックレンジを提供するための方法であって、単一画素または画素群からの信号の非破壊読出しを行うセンサーによって集積光を検出する方法が提供される。分析サイトを単一露光時間にわたってセンサーに曝露させながら、飽和状態に近づく任意の画素がリセットされるような時間間隔で画素からの信号を読み取る。好ましくは、各画素にランダムにアクセスすることができ、時間間隔が記録される。時間間隔を考慮してリセットされた画素毎に信号を組み合わせて、検出された集積光を定量することにより、拡張ダイナミックレンジを提供する。信号の処理は、前記時間間隔で読み出された信号を合計すること、および/または前記時間間隔で読み出された信号を平均化することを含むことができる。
5.高粒子密度におけるデコンボルーション
他の実施形態において、本発明は、センサーに関連しない制限に対処する分析のダイナミックレンジを拡張するための方法を提供する。本発明の方法は、分析形式および標識の干渉特性による高粒状標識密度における応答のばらつきを補償するためにデコンボルーションを利用する。以下の説明は、特にRLS粒子標識を対象としているが、粒状蛍光標識でも同様の影響が発生する。
RLS粒子標識は、粒子が互いに干渉する密度までの幅広い粒子密度で検出視野内に存在する粒子の数と線形関係を有する散乱光信号を生成する。この密度は、少なくとも一部に粒子の粒径に依存し、低密度では大きい粒子のほうが小さい粒子より互いに干渉する。高密度において非線形応答に寄与するいくつかの異なるタイプの干渉または相互作用が発生しうる。
1つのタイプの干渉は、粒子が十分に密になって、表面が反射面、本質的にミラーとして作用し始めるときに生じる。これは、特に、チップまたはスライド上のアレイの如き固相用途に対して当てはまる。アレイ・フィーチャ上の粒子が密になると、粒子は平板を形成し、個別的な散乱体の集合体としてではなく反射面として作用する。
第2の干渉は、遮断効果である。固相媒体上のアレイを用いても、結合粒子までは特定の深さがある。したがって、アレイ・フィーチャがある角度で照明されると、粒子が他の粒子の「影」に入る確率がある程度存在する。当該遮断の確率は、粒子が大きく、充填が密になるほど高くなる。粒子により散乱された光も、一部に、他の1つまたは複数の粒子によって遮断される可能性があり、この効果の規模または確率も粒子の密度および粒径に依存する。
この説明に限定されるものではないが、「遮断」と「反射」の間の支配的な干渉現象は、トランス照明かエピ照明かに応じて異なるといえる。トランス照明については、1つの粒子が、他の粒子が光源からの照明を受けるのを「遮断」する程度まで粒子密度が高くなると、粒子密度が高くなるに従って信号が実質的に低下する。加えて、検出源の近くに位置する粒子は、本質的に、照明源の近くに位置する他の粒子による散乱光を遮断している。エピ照明の場合は、粒子の増加によって、金泊の層に類似した、反射板として作用する層が生成する。そこで、エピ照明では、粒子の密度がスライドの表面を完全に覆う程度まで増加した後も強度が一定に保たれることになる。
さらに他のタイプの相互作用は、粒子が互いに密接するのに伴って発生する光散乱の摂動によるものである。このような摂動も応答のばらつきの原因になりうる。
1つまたは複数の分析または準分析タイプの式、あるいはそれらの2つのタイプの組合せを使用し、標準曲線を用いてデコンボルーションを実施することができる。
標準曲線を用いたデコンボルーションは以下のようにして実施することが可能である。スポット・マイクロアレイに対する集積RLS信号は、粒径にもよるが、約10個/μmの粒子密度まで直線性を維持する。約10個/μmを上回ると、重なる粒子による遮断効果とともに、粒子同士の密着により波長がシフトし、粒子のピーク検出波長における信号の低下を引き起こす。約10個から100個/μmでは、10個から100個/μmの範囲の標準的なスポットの希釈系列(希釈系列は単一のスライドまたはチップ上に存在しうる)に対して収集されたデータから生成される標準曲線から式を導くことによって相関集積強度を計算することが可能である。100個/μmを超えると、散乱光強度対粒子密度の曲線の傾きが水平に近づき、デコンボルーションが不可能になる。曲線の当てはめによって式を求めるために標準曲線(データ)を使用することが可能である。いくつかの異なる曲線当てはめ法、例えば線形回帰、非線形回帰およびスプライン法ならびに他の方法が利用可能である。次いで、曲線から導かれた式を収集された任意のデータに適用して、非線形であるが補正可能な範囲内で強度のデコンボルーションを行うことができる。この技術を適用する際は、適切にデータの拡大縮小を行うために、カメラ露光時間も式の要因に含める。加えて、標準曲線を確立する際に、実験的定量の精度を向上させるためには、各スポットにおける粒子密度を正確に求めることが重要である。
デコンボルーション方程式を準解析的に得ることもできる。溶液中の検体および固体表面上の検体を定量するための式を得ることが可能である。その際、光散乱強度と粒子(標識)濃度または表面密度との定量的関係、ならびにRLS粒子による光散乱強度と検体濃度または表面密度との関係を把握することが有益である。前者の関係は、所定のRLS粒子で達成可能な最大のレンジおよび感度を設定するためより重要である。
光散乱強度と、溶液および固体表面における粒子(標識)濃度との関係を調べ、これらの関係を表すとともに、定量的な較正データ(すなわちデコンボルーション方程式)を表すのに使用できる数式を得た。
本発明によれば、あるサイトの光散乱粒子から集光された光を信号として使用する検体分析におけるダイナミックレンジを拡張する方法であって、前記光散乱粒子から集光された光は、該サイトの粒子の数に比例しない方法が提供される。該方法は、センサーで散乱光を検出し;かつ集積光強度とサイト当たりの光散乱粒子の数との関係を示す標準曲線を生成し、検出した集積光に基づいてそのサイトでの粒子数を計算するために、標準曲線を適用することにより、検体分析の拡張ダイナミックレンジを提供することを含む。単位面積または体積の粒子の数が異なるサイトを含む希釈系列から標準曲線を生成することが可能である。好ましい実施形態において、希釈系列を含むサイトは、検体分析の同一の物理的形態に関連づけられる。
保存の法則に基づき、体積Vまたは表面Sにおける粒子によって散乱される光の強度は、入射光強度I(光子/s−cm)、粒子に吸収される入射光子の割合φ、および再放射される吸収光子の割合φに比例するといえる。これらのパラメータはどれも波長に依存する。数学的には、以下のように表すことができる。
=aIφφ (1)
上式において、aは装置定数である。式(1)は、入射光が単色で、特定の波長λを有することを想定している。
と懸濁液中の粒子濃度との明確な関係を得るために、式(1)におけるそれぞれのパラメータの粒子濃度依存性を考慮する。概して、Iは粒子濃度とは無関係である。粒子濃度が低いところでは、aおよびφは濃度に無関係である。したがって、粒子濃度が低いところでは、φのみが濃度に依存し、Iの濃度依存性は、完全にφによって決定づけられる。より濃度が高くなると、φは、粒子間摂動により濃度依存性が強くなるとともに、幾何学的かつ内部フィルター効果により濃度依存性が強くなる。
ベール・ランベルトの法則が有効であると仮定すれば、φの濃度依存性を以下のように表すことができる。
φ=(1−10−εCx) (2)
上式において、ε(M−1cm−1)は、モル十進法吸光係数、Cは粒子モル濃度、x(cm)は光路長である。したがって、粒子間の距離が大きく、幾何学的かつ内部フィルター効果が存在しない場合の粒子濃度については、式(1)および式(2)から以下の式を導くことができる。
=a(1−10−εCx)φ (3)
εCxが1よりはるかに小さい場合の低粒子密度については、以下の式を用いて、式(3)の指数項をべき級数拡張で拡張することができる。
Figure 2009244270
(z<<1に対する)最初の2つの項のみを保持すると、式(2)から以下の式を導くことができる。
φ=2.303εCx (5)
つまり、
=2.303aIεCxφ (6)
となる。
上述のよく知られた近似式は、基本的に、光路長xで吸収される光の量が非常に小さい場合の粒子懸濁液に適用される。この条件では、入射光の強度は、光路xを通じて実質的に一定している。しかしながら、懸濁液の吸収力が強い場合は、光の強度は光路xの各点で一定せず、x=0からxにかけて低下する。後者の場合、式(2)および式(3)を使用する。式(5)および式(6)は、εCx<0.05の値に対して5%以内の精度を有する。
理論から、粒子間の平均距離が、それらの距離dの約3倍より大きい場合は、φは粒子に依存することが見込まれる。約3dより小さい距離については、粒子同士は、(1)それらの吸収および光散乱スペクトルがより長い波長に向かってシフトし、(2)φおよびφの値が粒子濃度の増加とともに変化するように相互作用する。したがって、高粒子濃度では、φおよびεが濃度に依存することが見込まれる。粒子が懸濁液中でランダムに分布している場合は、濃度c(個/cm)において以下の式で与えられる粒子間の平均距離D(cm)は、おおよそ1/(c)1/3に等しい。
Figure 2009244270
しかしながら、粒子が結合する傾向を有する場合は、結合定数の値に応じて、粒子濃度が低いところでもφは粒子濃度に依存しうる。この式から、以下の式(Cはモル濃度で、dの単位はcmである)を用いて、D=3dにおける濃度を計算することができる。
Figure 2009244270
例えば、d=60nmでは、1cmの光路長に対して1200付近の吸光度に対応するC=4.8×10−8Mが成り立つ。金粒子懸濁液の吸光係数が非常に大きいため、10−8付近の濃度で作業することはない。したがって、一般に使用する濃度範囲では粒子間の摂動は、重要でないと思われる。
粒子の懸濁液による散乱光強度は、内部フィルター効果、および光散乱体積の幾何学構造にも影響されうる。これらの効果は、照明光線の相対的方位、検出方向、および迷光を低減するのに使用される空間フィルターに依存する。このワークでは、検出システムは、照明光線の方向に対して直角に位置する。非特異的散乱光を最小限に抑えるために、キュベットの中心の小さな体積から散乱される光のみが検出されるように、検出光学素子を配置する。入射光は、この検出体積に達するために、光が入射するキュベット面とキュベットの中心との間の懸濁液の介在体積を最初に横切らなければならない。介在体積に吸収される入射光の量は、粒子濃度が増加するに従って増加するため、介在体積は、濃度依存内部光学フィルターとして作用する。粒子濃度が極めて高くなると、ほとんどの光が介在体積に吸収され、極めてわずかな量の光がキュベットの中心に到達する。同様に、検出器に向かって散乱される光は、光散乱体積と、検出器に直面するキュベットの壁との間の懸濁液の介在体積を通過しなければならない。これらの効果も濃度依存内部光学フィルターとして作用する。これらの幾何学的かつ内部フィルター効果により、高粒子濃度において、散乱光強度は粒子濃度とともに低下する。10−axの形を有する係数を式(1)に掛けることによって、幾何学的効果を式(1)に考慮することができる。
(固相の免疫またはDNAプローブ・アレイの場合のように)透明な表面に付着した粒子については、式(1)が適用され、表面粒子密度が低い場合は、Iの粒子密度依存性は、完全にφによって決定づけられる。表面上の粒子に対して式(2)と同等の式は、粒子が表面上でどのように分布しているか、すなわち粒子がすべて1つの面に集まっているか、または表面から一定の高さにわたって分布している(積み重なっている)かに応じて導かれる。しかしながら、φに対する式は、粒子がすべて同じ面に存在するか、または一定の厚さの空間に分布しているかに依存する。粒子がすべて同じ面に存在する場合は、以下の式を導くことができる。
φ=ρσext (9)
上式において、ρは粒子密度(個/cm)、σext(cm)は、粒子の吸光断面積(cm)である。吸光断面積は、その領域に入射する光のすべての光子が吸収され、その領域の外側のすべての光子が透過するような粒子の周囲の円形領域を表す。次いで、吸収される光の割合は、式(9)に示すように、単に粒子断面が占める全表面積に粒子密度を掛けたものである。以下の関係式を用いて、吸光係数について式(9)を表すことができる。
Figure 2009244270
=3.8×10−21ε (11)
上式において、Navはアボガドロ数である。すべての粒子が同一面にある表面からの散乱光強度は、式(1)および式(5)から以下の式で与えられる。
=aIρσextφ (12)
粒子が特定の面に集中しておらず、一定の厚さにわたって分布している固体表面については、φは以下の式で与えられる。
φ=(1−10−ρσext)φ (13)
また、散乱光強度は以下の式で表される。
=aI(1−10−ρσext)φ (14)
ρσext<0.05の値に対しては、式(14)は式(12)の形に換算される。
幾何学的かつ内部フィルター効果も、表面上の粒子から散乱する光にとって重要である。該効果は、トランス照明が使用されるかエピ照明が使用されるかに応じて変わる。通常は、エピ照明の場合のほうが効果は小さい。最終的には、平均粒子間距離が3dより小さいときは、粒子間摂動もIに影響する可能性がある。
以下のセクションでは、上式の有効性に対する実験的試験について述べる。
吸光度と、懸濁液中のRLS粒子の粒子濃度との関係を測定することによって、ベール・ランベール則のRLS粒子への適用性を試験することが可能である。吸光度A(光学密度とも呼ばれる)に対して、ベール・ランベール則を以下のように表すことができる。
A=εCx (15)
上式において、ε、Cおよびxは式(2)に定められる通りである。0.01から2の吸光度レンジをカバーする、異なる直径の金粒子に対してAとCの関係をプロットした。各粒径に対する最大吸収波長:525nm(40nm)、535nm(60nm)、545nm(80nm)および525(100nm)における吸光度を測定した。そのグラフは、式(15)から予測されるように、Aが粒子濃度とともに線形に増加することを示していた。それらの結果は、少なくともA=2までは、ベール・ランベール則がRLS粒子に適用され、粒子が互いに結合または摂動することがないことを示唆している。小さな光路長のキュベットを使用し、Aの値が2より大きい場合にもベール・ランベール則が実際に適用されることを確認した。したがって、それらの結果は、散乱光強度と粒子濃度または表面密度の理論的関係においてベール・ランベール則を利用できることを示すものである。図1のグラフの傾きから、吸光係数:8×10−1cm−1(40nm、525nm)、2×1010−1cm−1(60nm、535nm)、6×1010−1cm−1(80nm、545nm)、1011(100nm、555nm)を得る。
散乱光強度Iと懸濁液における粒子濃度との定量的関係を求めるために、6×50mmのチューブをキュベットとして使用し、必要な測定を行った。検出は、入射光線に対して直角に行い、キュベットの中心の小さな体積に限定して行った。最大吸収の波長と等しい波長で粒子を照明した。直径が40nm、60nm、80nmおよび100nmの粒子について、散乱光強度と粒子濃度の関係を測定した。
散乱光強度と、5×10−14Mから2×10−10Mの濃度範囲の粒子濃度との関係を自然および半対数形式でプロットした。式(3)がすべての濃度に適用されるとすれば、散乱光強度は、粒子濃度が低いところでは粒子濃度とともに線形に増加し、濃度がより高くなると増加が非線形になり、最終的には一定の値になるものと想定される。たいていは、実験グラフによりこれらの関係が示されるが、高濃度においては、強度は、濃度が高くなるにつれて一定にならずに減少する。この効果は、内部フィルターおよび幾何学効果に起因する。したがって、式(3)は、フィルターおよび幾何学的効果を無視しているため、実験データを正確に表すものではない。これらの効果を考慮して、式(3)を以下の形に書き換える。
=B(1−10−εCx)10−εCL (16)
上式において、B=Iaφが成り立ち、括弧の外側の新指数項は、内部フィルター効果を表すのに対して、括弧内の項は、検出された散乱光の体積に吸収される光の量を表す。式(16)が、散乱光強度と粒子濃度のグラフを正確に表しているかどうかを判断するために、非線形回帰解析によってこの式を曲線に適合させた。適合パラメータは、B、xおよびLで、ε=8×10−1cm−1である。解析により得られた値はB=201.474、x=0.008484cm、L=0.62754cmである。式(16)は、データと非常に良く適合しているようであった。低粒子密度では、括弧の外側の指数項は1に等しく、また濃度依存性を有し、括弧内の項は式(4)および(6)が示唆するように、2.303εCxまで減少するものと想定される。したがって、濃度が低い場合は、式(16)から以下の式を導くことができる。
=2.303BεCx (17)
低粒子密度における上記関係の適用性を試験するために、上記引用した値Bおよびxの値を用いてIとCの関係を計算し、低濃度における実験データとともにそれらをプロットした。式(17)は、5×10−13MまでのCの値に対して10%以内の精度で適合する。
式(17)は、B、x、Lおよびεの値を用いた、直径60nm、80nmおよび100nmの粒子に対する実験に基づくIと濃度のグラフをも正確に表すことを確認した。
それぞれ異なる粒径に対する具体的な適合パラメータを以下の表に示す。ここに示される具体的な値は、測定に使用した特定の装置構成にのみ適用される。しかしながら、式(17)は広く適用可能で、我々は、IとCの実験に基づく関係の定量的表現としてこの関係を利用できることを証明した。したがって、この関係を利用して較正データを表すことができる。
Figure 2009244270
実験に基づく散乱光強度と粒子表面密度との関係を得るために、粒子密度が異なる金粒子のスポットを調製した。それらのスポットを清潔な顕微鏡スライドガラスに付着させた。散乱光強度を測定するために、スライドの底部を通じてスポットを照明し、スライドの上に配置されたビデオ・カメラを用いて、グリーン・フィルターを通じて散乱光強度を測定した(トランス照明検出システム)。測定した強度をカメラの非直線に対して補正した。
固相表面上の80nmの金に対する実験に基づく散乱光強度と粒子密度のプロットは、実験に基づくグラフは、計算で求めたプロットのグラフに類似していること、すなわち、強度は低粒子濃度において粒子密度とともに線形に増加し、濃度がより高くなると非線形になり、さらに濃度が高くなると、表面密度の増加とともに減少することを示している。より濃度が高くなると強度が減少することは、内部フィルター効果が重要であることを示唆している。液(懸濁液)相における結果から類推して、固相に対して式(14)を使用するが、それを内部フィルター効果に対応して修正する。
修正式は次式のように書くことができる。
=B(1−10−ρσext)10−Lρ (18)
上式において、B、σextおよびLは、適合パラメータである。実験に基づくデータは、ρの単位を個/μで表し、B=1.73、σext=0.01887μおよびL=0.00407μを用いた式(18)に良く適合していた。それらの値は、実験データに対する式(18)の非線形曲線の当てはめによって得られた。したがって、式(18)は、実験データを非常に正確に表すものである。粒子密度が低い場合は、散乱光強度は、表面密度とともに非線形に変化するものと想定される。これら低濃度では、式(18)は以下の式に換算される。
=2.303Bσextρ (19)
図6bは、低粒子密度における実験データのプロットを示す図である。上記B、σextおよびLの値を用いた式(19)によって、プロットを通る実線の計算を行った。図は、低粒子濃度において散乱光強度は粒子密度とともに線形に変化し、式(19)はデータとの適合性が極めて良好であることを示す。同様に、我々は、式(18)は他の粒径に対する実験データを極めて正確に表すことを証明した。
所定の照明波長において、散乱光強度の有用なレンジは、ダイナミックレンジ拡張技術を用いることなく、通常は約3桁である。しかしながら、異なる照明波長で測定を行うことによってこのレンジを広げることができる。加えて、粒子間の距離が光の波長にほぼ等しくなる高表面密度では、各粒子により散乱される光は、近隣粒子によって散乱される光と同相になる。これは高反射を引き起こす。低粒子密度では、粒子は相互作用せず、各粒子は他の粒子に関係なく散乱する。粒子密度が十分に高くなると、スポットは室内灯のもとで色を示し、拡散染色スポット(拡散反射)のように見える。しかしながら、粒子間の距離が照明光の波長とほぼ等しくなる粒子濃度では、スポットに衝突する光が、研磨された金の表面から反射されるように反射され、すなわちスポットはミラーのように振る舞う。
これまで、実験に基づく散乱光強度と粒子密度の関係を得るための方法を示した。これらは基本的な関係である。実際、我々は、散乱光強度と、所定のサイトで検出された検体の量との関係に関心をもっている。検体表面密度によって量を表すことができる。RLS標示の実験において、あるサイトにおける各検体分子が金粒子と結合すれば、そのサイトにおける検体の量は、散乱光強度、および散乱光強度を粒子密度に関連づける較正グラフまたは較正式から求めることが可能である。粒子密度と検体密度は同じである。しかしながら、幾何学的効果、結合定数および他の要因により、表面上のすべての検体分子が金粒子に結合するわけではないと思われる。この場合は、較正スライドを使用し、数式で結果を表すことによって、散乱光強度と検体濃度の関係を求めることができる。これは、例えば、上述の方法によって実施することができる。
既に示したように、ここに記載しているダイナミックレンジを拡張するための技術は、分析が単一タイプのRLS粒子を採用するか、多重分析のように、異なる最大散乱波長を有する明確に異なるRLS粒子の集合体を使用するかに関係なく、RLS粒子を利用する分析に特に有益である。しかしながら、該技術を他の粒子標識に適用することもできる。例えば、それらを蛍光粒子、例えばフルオレセインまたは他の蛍光染料の如き複数の蛍光体を充填したポリスチレン・ビーズに適用することができる。概して、単一の小さな分子蛍光体は、分析における個々の視覚化に合わせて調整できないが、充填ビーズまたは微球体は可能である。しかしながら、この技術を蛍光標識に適用すると、標識の性質に関連する問題が生じる。例えば、標識密度が高いと、蛍光の消光および漂白に対処する必要が生じ、繰返し露光または延長露光に対しては、漂白に対処する必要が生じうる。さらに、蛍光標識に対する信号減衰の時間コースは標識密度に依存する。
したがって、デコンボルーション法については、デコンボルーションを行うための数学的手法は、標識清光および漂白の如き要因により、RLS粒子に対するよりも蛍光法に対するほうが複雑になる。複数露光技術は、検出法の信号/雑音比が高い場合に最も有用であるため、蛍光法を含む多くの分析形式に対するほうがRLS粒子に対するよりも限定される。蛍光法を用いた多くの用途では、弱い信号を引きつけるために露光時間を長くすると固有の背景雑音も大きくなるため、信号/雑音比により利点が制約される。しかしながら、ここに記載した技術は、RLS粒子以外の標識の検出にも有用であるが、RLS粒子が最も好ましい標識である。
多くの電子センサーは、特定の露光時間に対する強度範囲にわたってほぼ線形応答を有するため、定量にそのまま使用することができる。しかしながら、センサーがそのような線形応答を与えない場合、またはその範囲の何らかの点において有意な偏りが生じた場合は、異なる検出信号に対する値に重み付けを行うことによって記録値を補正して正確な定量を行うことができる。センサーの応答はそれぞれの波長で異りうるため、当該補正も波長依存性を有するといえる。加えて、それぞれの波長に対する感度が異なるセンサーについては、定量には、検出する散乱光の波長に応じて異なる重み付け、または異なる標準曲線の使用も含まれる。これは、最高散乱波長が異なる区別可能な粒子の集合体が使用され、多色光、好ましくは白色光の照明に対して異なる色の散乱光を提供する多重分析では特に重要である。それぞれの波長に対する感度の差を補償することで適正な定量が可能になる。当該感度および応答偏差に関する使用は、センサーまたはカメラのメーカーから入手するか、または標準媒体、例えば(規定の散乱光特性に対する)粒子タイプおよび密度が定まったスポットを有するスライドを使用することによってセンサー毎に求めることが可能である。
本発明の好ましい実施形態において、センサーが信号を生成した後に、処理または操作を受けるのが標識からの信号になるように、すべての変換ファクターが適用される前に、または信号が拡大縮小される前に、スペクトルの背景部に対応する信号を除去する。標識からの光のピークが把握されているため、背景スペクトルを識別し、除去することができる。例えば、より長い露光時間を使用するときは、標識からの波長以外の波長の光は、標識からの光とともに増加する。複数の読出しを組み合わせて最終的なスペクトルを作成しているときは、誤ったスペクトル・フィーチャまたは異常なスペクトル・フィーチャを除去するのに役立つため、データ処理およびデータ操作前に背景スペクトルを除去するのが特に有益である。
本発明の他の実施形態において、信号を合成して画像を形成する場合に、当該技術分野で利用可能な標準的なソフトウェア・ツールを適用して、画像における対象サイトまたはオブジェクト(単一粒子など)からの信号を識別することができる。画像の背景部に対応する他の信号を画像から差し引いて、画像の解析および観察に役立てることができる。画像の背景部は、分析サイト間における標識、分析サイト内の標識間の物理的空間、および分析サイト間の物理的空間を含むが、それらに限定されない多くのファクターの結果として発生しうる。該方法は、ソフトウェアが、分析サイトではない領域のような画像の背景部、または異常標識などを識別することを可能にする画像をもたらす第1回目の検出を行うことを含む。それに続く1つまたは複数の検出において、信号、または画像のこれらの背景部(すなわちサイト外領域)から光を集光する画素からの信号は無視されるか、または画像から差し引かれることになる。
上述のような拡張ダイナミックレンジに対する分析法を実施するのに好適なシステム(すなわち装置)も有用である。概して、このシステムは本書の他の部分に記載するような構成を有するものである。
照明および集光光学素子
1.一般的概念
以下に説明する固相法を光散乱粒子の検出に適用することが可能である。次いで、1つまたは複数の光散乱特性の検出および測定を、試料中の1つまたは複数の検体の存在、不在または濃度に関連づける。これらの方法は、マイクロアレイ、アレイ・チップまたは同様の形式を含む、すべてではなくとも、たいていの固相検体法に用いることができる。該方法は、(低感度から超高感度までの)広範囲な感度を有するように設計される。この範囲の感度は、使い易く安価な装置で達成される。
該技術では、粒子の光散乱特性に応じた方法を介して表面上の粒子の数、または相対的な数を求める。検出システムは、基本的に、(1)光散乱粒子パッチまたは該パッチの一部の拡大画像を形成する拡大レンズ(撮像または集光レンズとも呼ばれる)、および(2)粒子を暗い背景上の明るいオブジェクトに見えるようにする照明システム(DLASLPD法)からなる。該方法は、集光レンズを必要とせずに実施することも可能である。拡大画像内の粒子の数は、粒子計数、または(粒子数または密度に比例する)散乱光強度の測定を行うことによって定量することが可能である。粒子計数は、(a)(粒径に応じて、裸眼または眼鏡を伴う)肉眼で、(b)電子撮像システム(例えばビデオ・カメラ、CCDカメラ、画像増強管など)、または(c)視野開口絞りおよび走査光線機構を備えた感光検出器によって行うことが可能である。散乱光強度は、電子撮像システムまたは光検出器を用いて測定することができる。粒子表面密度が低い場合は(約0.1個/μ未満の場合は)粒子計数法が好ましいのに対して、表面密度が高い場合は(特に、単一粒子が拡大レンズの空間分解能より接近している場合は)安定した光散乱強度測定が好ましい。該技術は、これら2つの検出方法の間で、すなわち粒子計数と強度測定の間で容易にシフトするように設計され、粒子の光散乱能および検出装置の具体的なハードウェア・コンポーネントによっては、約20nmまでの粒子直径に対して用いることが可能である。
光照明システム
照明システムは、該技術における要の要素である。照明システムは、単一粒子が、暗い背景上の明るいオブジェクトに見えるように、高光強度で粒子パッチまたは粒子ドット群を照明するように設計される。これは、表面に付着する粒子、または表面の上の流動膜に遊離する粒子の視覚化を可能にする。付着粒子には存在しない粒子のブラウン運動によって、自由粒子を付着粒子から区別する。以下のセクションでは、照明システムを詳細かつ論理的に説明する。
出願人は、ウルトラコンデンサ(Zeiss)と呼ばれる高価な市販の暗視野照明装置を含む多くの異なる照明システムを用いて実験を行った。2つの基本的な照明方法、およびこれら2つの方法のいくつかのバージョンを用いることができる。これらの方法は、例えばウルトラコンデンサより単純で、より高い照明光強度を生成する。
基本的な照明方法の一般的な説明
照明システムは、(1)高光強度の光線を光散乱粒子のパッチ(またはドット群)に当て、(2)直接または反射を介して検出システムに入射する照明光の量を最小限に抑えるように設計される。これは、光線およびその反射を検出システムの集光角度の外側の角度に制限することによって達成される。ある照明方法では、集光レンズおよび光源は固相表面の反対側に存在し(下からの照明)、他の方法では、照明光源および拡大レンズは表面と同じ側に存在する。
拡大レンズの下からの直接照明
図1は、使用される基本的な照明方法の1つの概略図である。この方法では、光は、固相表面Sの下から該表面に衝突する。Sは透明であることが想定されている(しかしながら、何らかの色を有していてもよい)。Oは、光散乱粒子を含む表面上の領域である。拡大または集光レンズLは、Sの上側に位置する。Lが集光する角度は、(光散乱粒子が位置する)表面Sの頂部および基部がレンズの直径Dによって決まる影付き円錐C(レンズLの集光円錐)で示されている。照明光線(LB)は、Lの集光円錐に入射しないような角度を有する。矢印は、LBの移動方向を示す。
固相は、例えば、顕微鏡スライド、マイクロタイター・プレート、または臨床検査に使用される他のタイプの透明の固相である。光源は、白熱電球、放電灯、LED、レーザ等の任意のタイプの光源とすることができる。光は、光ファイバーおよび/または集光レンズを使用して照明光線から集光され、次いで集光レンズを使用して散乱光粒子に集められる。上述したように光線がレンズLに入射しないように、光線が表面Sとなす平均角度θを調節する。角度θの調節は、拡大レンズおよび接眼鏡(複合的な顕微鏡構成)を介して光散乱粒子を視覚的に観察し、粒子が暗い背景上の明るいオブジェクトに見えるように角度を調節することによって容易に行うことができる。この角度は、光散乱強度測定に対して十分適合するが、粒子密度が高い場合は集束条件はさほど厳格ではない。
角度θの大きさは、拡大レンズの開口数から推定することができる。超感度検出では、拡大または撮像レンズとして顕微鏡対物レンズを使用する。顕微鏡対物レンズは、通常はそのケースに開口数が刻まれている。開口数は、図2のダイアグラムにより定めることが可能である。同図は、Oにおける光散乱粒子のパッチに焦点を合わせた(焦点距離fの)拡大レンズを示す図である。レンズとOとの距離はfに等しい。レンズ(L)は、Oから散乱されるすべての光を、その基部がレンズの直径Dになる固体円錐に集める。角度θは、この固体円錐の平面半角として定義づけられる。円錐の開口数(N.A.)とθの関係は、以下の式によって表される。
N.A.=n Sin(θ) (36)
上式において、nは、レンズと点Oの間の媒体の屈折率である。媒体は、例えば、空気(n=1)、水(n=1.33)または浸漬油(n=1.5)とすることができる。θの値が小さい場合は、N.A.は、ほぼD/2fに等しい(ただし、Dはレンズの直径、fは焦点距離である)。
以下の表は、(n=1のときに)広く使用することができる対物レンズの開口数およびθの代表的な値を示す。
Figure 2009244270
すでに述べたように、励起光線は、拡大レンズの集光固体円錐の外側にくるような角度を有する必要がある。高倍率では、励起光線が固相表面に衝突する角度が大きくなくてはならない。例えば、倍率40の対物レンズでは、入射光は40°より大きくなくてはならない。表面で反射する光の割合は入射角度とともに増加するため、我々の照明システムに使用すべき角度が反射により大きな光の損失をもたらすかどうかを検討しなければならない。さらに、高入射角度において臨界反射(全内部反射)が生じるかどうかを検討しなければならない。この照明システムにおける反射の効果についてのその後の説明に必要とされる基本的な屈折および反射の法則を以下に手短に説明する。
スネルの屈折の法則
図3のダイアグラムによりスネルの屈折の法則を説明する。同図は、屈折率ni(iは入射媒体に対応する)の媒体に沿って移動し、屈折率nt(nは透過媒体に対応する)の媒体の表面Sに衝突する光線を示す図である。入射光の一部は媒体tに入り(反射光線)、一部が媒体iへと反射される(反射光線)。入射角をθiとすると、屈折光線の角度は、以下のように表すことができるスネルの法則によって与えられる。
ni Sin(θi)=nt Sin(θt) (37)
ni<ntならば、θi<θtである。ni>ntならば、θi>θtである。角度は、表面Sに対して直角な線に対して測定されることに留意されたい。反射光線は、角θr=θiをなす(すなわち、反射角と入射角は等しい)。
反射の法則。表面で反射する入射光の割合
フレネルの反射の式を用いて、異なる入射角θiに対して反射する入射光強度の割合Rを計算することができる。(強度は、ここでは、単位面積当たりの単位時間当たりのエネルギーとして定義づけられることに留意されたい。強度は、放射照度とも呼ばれる)。しかしながら、説明を簡単にするために、R対θiのプロットについて説明する。θiに対するRの厳密な依存性は、niおよびntの値、ならびに入射光の偏光状態によって決まる。反射率に関する重要な事実を以下に記載する。
i.光線が低屈折率の媒体から高屈折率の媒体に移動する場合の反射率(ni<nt)
図4は、ni=1(空気)およびnt=1.5(後者はガラスまたはプラスチックの屈折率に近い)、ならびに光が入射面に対して平行(rp)かつ垂直(rs)に偏光する場合のR対θi(φ=θi)のプロットを示す図である。入射面は、入射光線、および表面に対して垂直な線を含む面として定義づけられる(図3参照)。非偏光の反射率Rは、入射面に対して平行かつ垂直に偏光する光に対するグラフの平均によって与えられる。図4において、非偏光に対する反射率グラフは、Ord(ordinary(通常光)に対応)と標示される。図4のグラフは以下のことを示す:
a.rsは、ここで用いられるθiと等しい図4のφが増加するに従って連続的に増加する。rsの増加は、(反射率が約15%にすぎない)約70°までは小さく、次いで増加がはるかに急激になって90°では屈折率が100%に達する。したがって、反射される光の割合は、入射角が60°までは20%未満である。
b.rpは、rpがゼロになる約57°まではφの増加とともに減少する。rp=0になる角度をブルースター角または偏光角と呼ぶ。ブルースター角θbは以下の式で計算することができる。
Tan(θb)=nt (38)
ただし、ni=1(空気)とする。nt=1.5の場合は、上式によりθb=56.3になる。ブルースター角では、θi+θt=90°になることに留意されたい。したがって、nt=1.5の場合は、θi=θb=56.3°、θt=33.7°になる。ブルースター角より大きな角度については、rpは、φが増加するに従って急増し、90°で100%の値に達する。
c.非偏光(通常光)については、70°までは反射率はφの増加とともに徐々に増加し、次いで急激に増加して90°では100%に達する。θi<70°の場合は、入射光の20%未満が反射される。
d.反射光と透過光の強度を併せても入射光の強度に達しないことに留意されたい。これは、エネルギー保存の法則に矛盾するように思われる。この見かけの矛盾は、実際は、強度を単位面積当たりの単位時間当たりのエネルギーと定義づけたことに起因する。屈折するため、入射光と透過光は断面積が同じにならない。断面積の差を考慮に入れると、反射光線と透過光線における単位時間当たりのエネルギーが入射光線における単位時間当たりのエネルギーに等しくなることを示すことができる。
ii.光線が高屈折率の媒体から低屈折率の媒体に移動する場合の反射率(ni>nt)
図5は、ni=1.54かつnt=1の場合の偏光の屈折率対入射角(φ=θi)のプロットを示す図である。該プロットは、ni<ntに対する図4のプロットと著しく異なっている。最も大きな違いは、入射が約41°を超える場合は、すべての光が反射されることである(100%反射、全反射)。全内部反射が生じる最小の反射角を臨界反射角θcと呼ぶ。この角度の値は、niおよびntの値に依存する。臨界角における入射光線および透過光線の角度を考慮することによって、niおよびntの値からθcを計算するための式を導くことができる。臨界角θcでは、反射光線は入射光のほとんどを含む、鏡面反射に対する法則に求められるように、表面に対して直角な線に対して角θcをなす。透過光の強度は小さく、垂線に対するその角度θtは90°である。すなわち、透過光は、表面に平行に移動する。したがって、スネルの式にθt=90°を代入することによってθtの値を求めることができる。この代入によって以下の式が導かれる。
nt Sin(90)=ni Sin(θc) (39)
Sin(90)=1であるため、以下のように表すことができる。
Sin(θc)=ni/nt (40)
nt=1.54、かつni=1(空気)の場合は、上式によりθc=40.5°になる。非偏光に対しても、入射面に垂直または平行に偏光する光に対しても臨界角は同じであることに留意されたい。すなわち、θcは、光が非偏光か平面偏光かに無関係である。
iii.光散乱粒子パッチの照明に対する反射および屈折の影響
まず、粒子が空気中の乾燥した顕微鏡スライド表面上に存在する単純な場合について検討する。すなわち、粒子は乾燥した状態で、空気が顕微鏡スライドの両側の媒体である。図6は、この場合に生じる反射および屈折の概略図である。第1の反射は表面S1で生じる(ni<nt、ni=1およびnt=1.5)。図4は、70°までは、反射光の割合は入射角に対し20%未満であることを示している。したがって、この照明方法では、S1における反射は何ら問題にならない。表面2は、光線が、低屈折率から高屈折率に移行し、この表面において全内部反射が生じる可能性があるため問題になる可能性がある。n1=1.5かつnt=1(空気)である表面における全内部反射に対する(式(40)から計算した)臨界角は約42°である。そこで、問題は、表面1における入射光線が大きな角度を有する場合にこの臨界角が達成されるかどうかということである。
図7は、スネルの式(式(37))およびθt1=θi2を利用して計算したθi2[θtj]とθi1[θij]のプロットを示す図である。このプロットからわかるように、θi2は、θi1=70°まではθi1の増加とともに急増する。次いで、θi2は水平になり、θi1=90°まで臨界角に達しない。しかしながら、θi1=90°になると、光がS1を透過しなくなる。したがって、我々は、図4の構成では、実質的なθilの角度において臨界照明に達することはないと結論づける。さらに、70°を下回るθilの値に対しては、S2の粒子に照射される光の量が反射によって著しく減少する。
上記の結論を実験に基づいて実証した。しかしながら、我々の実験では、表面S1およびS2上の塵、埃、傷および他の凹凸または人為構造によって散乱される光(非特異的光散乱)は、S2上の粒子によって散乱される光と同等になるため、背景光が著しく増加し、粒子検出の感度が低下する。しかしながら、S1およびS2上の人為構造によって散乱される非特異的な光は、照明光線の前方方向に集中するのに対して、(微粒子については)粒子によって散乱される光は全方向に存在する。これらの効果は図8に示されている。
図8において、任意の方向θにおいて表面の人為構造により散乱される非特異的な光の強度は、原点Oから強度放絡に伸びる(角θの)線の長さで決まる。粒子によって散乱される光は、Oからすべての方向に伸びる点線によって示されている。表面に60nmの金粒子を含む顕微鏡のスライドを用いて、特異的な光の散乱の検出に対する非特異的な光の散乱の影響を実験的に実証することができる。空気中において、これらの粒子は緑色の光を散乱し、非特異的な光の散乱がなければ、照明される粒子のパッチは、暗い背景の緑色のパッチとして現れる。表面の人為構造は白色光を散乱し、このタイプの非特異的な光の散乱が特異的な粒子の光の散乱に重なると、粒子のパッチから散乱される光は純粋な緑色ではなく緑色がかった白色を有する。図8に示されるように、異なる角度θvに目を固定して散乱光を観察することによって、表面の人為構造による優先的な前方方向の散乱を確認することが可能である。θv=0に目を固定したときは、散乱光は緑色がかった白色光を有する。観察角度θvが大きくなるに従って、白色が弱くなり、θvが30°を超えると、金粒子が純粋な緑色にしか見えなくなる。したがって、本発明では、θvが30°を上回る角度において、目視観察を行うか、光検出器手段で検出するのが有益である。後に示すように、例えばプリズム型の構造のような光導体を通じて照明することによって、表面の人為構造による非特異的な光の散乱をさらに低減することが可能である。
次に、図9に示されるように、光散乱粒子が、顕微鏡スライド上に置かれ、カバー・ガラスで覆われた水の薄膜に存在する場合について検討する。照明光線は、屈折率が変化する4つの表面、すなわちS1(空気からガラス)、S2(ガラスから水)、S3(水からガラス)、S4(ガラスから空気)に遭遇する。先のパラグラフで行ったように、各表面における反射および屈折を検討すると、図9のシステムでは、反射により光散乱粒子に供給される光エネルギーの量が著しく減少せず、どの表面においても臨界反射は生じないという結論に達する。表面S1およびS4上の表面人為構造による非特異的な光の散乱は、図8の場合と同様である。しかしながら、水の存在は、表面S2およびS3に対する非特異的な光の散乱を著しく低減する。
拡大レンズと同じ側からの直接照明
この照明方法を図10に示す。S、L、CおよびLBの意味は、図2と同じである。この図において、励起光線が表面Sの上から表面Sに衝突する。集光レンズもSの上に位置する。励起光線は、入射光も反射光もレンズLの集光円錐Cに入射しないような角度を有する。この照明方法では、光線の光路内の異なる表面から反射される光が、拡大または撮像レンズLの集光円錐Cの中に反射されないようにする必要がある。反射角は、各表面における入射角と同じであるため、照明光線を円錐Cの外側の角度に制限することによって、Lによる不必要な反射光の集光を最小限に抑えることができる。前のセクションで述べたように、反射により光散乱粒子に供給される光エネルギーの量が著しく減少することはなく、乾燥粒子または水で覆われた粒子で臨界反射が生じることもないことを証明することができる。表面人為構造による非特異的な光の散乱については前のセクションで述べたとおりである。
プリズム構造を介した照明
i.下からの照明
図11は、プリズムの配置の概略図である。その最も単純な形態の1つとして、それは、検出対象の光散乱粒子を含むマイクロタイター・ウェル、ガラス・スライド、プラスチックまたはガラス基板上のマイクロアレイなどを配置することが可能な三角形のプリズムから構成される。光散乱粒子を含む試料槽またはスライドをプリズムの上面S2に配置し、粒子を含む表面がレンズLの焦点にくるようにする。
試料槽またはスライドとプリズムとの間に浸漬油を仕込むことで、屈折率整合により非特異的な光を最小限に抑える。粒子は、空気中で乾燥状態にある。S2における屈折率整合が正確、またはほぼ正確なものであれば、光線はS2において大きく屈折または反射することはない。したがって、照明光線は、プリズム、および光散乱粒子を含む表面を横切る際にほぼ直線状に移動する。しかしながら、空気・プリズム界面S1およびS3では屈折が生じる。
S1に垂直な方向で(入射角0°で)プリズムに入射する照明光線を考慮し、プリズムは45°のプリズム(角γ=45°)と仮定する。光線は、S1からS3上の点Oまで直線状に移動するため、45°の角度で表面S1に衝突する。次いで、空気に対するガラスの臨界角は約42°であるため、光線は全内部反射を起こすことになる。したがって、プリズムが存在しない場合における下からの照明(図6参照)とは対照的に、プリズム構造は臨界反射を可能にする。
プリズムが存在しない場合(図6)は、図6(および図7)に示されるように、S1で光が屈折するため、臨界反射を達成しえないことを思い出されたい。プリズムの如き光導体を使用するときに高エネルギーの光線を供給するためには、42°より小さい角度でS3に衝突するように(図11)照明光線を誘導する必要がある。そこで、S3における42°より小さい入射角で、S3において出射する光はレンズLの集光円錐の外側になければならないという条件を満たすことができるかどうかが問題になる。S3における入射角が35°と仮定する。スネルの法則(ni=1.5かつnt=1)から、最も困難な対物レンズ、すなわちθH=41°の倍率40の対物レンズの集光円錐の外側の出射角は62°であると計算する。我々は、図11のプリズム構造は、暗背景を維持しながら、空気中の乾燥した光散乱粒子に高光エネルギーを供給することを可能にすると結論づける。
次に、光散乱粒子が、水およびカバー・ガラスで覆われた図11のプリズム構造について検討する。先述したように、励起光線は、S1からOまで直線状に移動し、そこでガラス・水界面に遭遇する。次いで、水およびカバー・ガラスを通過し、最終的にはカバー・ガラスの上面においてガラス・空気界面に遭遇する。ガラス・水およびガラス・空気界面で生じる反射について検討すると興味深い。空気・水界面における臨界反射に対する角度は62.5°になる(式(40)においてni=1.5かつnt=1.33を用いる)。したがって、表面S3で水を導入すると、全内部反射を生じることなく、空気中よりもはるかに高い角度での照明が可能になる。さらに、62.5°より小さい角度では、ガラス・水界面における反射率が低くなる。
次に、カバー・ガラス・空気界面における反射について検討する。S1で表面に垂直に入射する光線について考える。プリズムが45°のプリズムであれば、光線は45°の角度でS3に衝突し、全内部反射を起こす。S3(ガラスから水)における屈折により、光線の角度が55°に変化する。しかしながら、水・カバー・ガラス界面における屈折によって光線が屈曲し再び45°になる。したがって、光線は、45°でカバー・ガラス・空気界面に衝突する。したがって、水およびカバー・ガラスに粒子を含めたプリズム構造では、光エネルギーを(表面S3に付着した、または水中に遊離する)光散乱粒子に効率的に供給することが可能であるが、入射光は、カバー・グラスで全面的に反射される。
上述の説明から、我々は、水の膜の中の光散乱粒子への光エネルギーの供給に深刻な影響を及ぼす反射は存在しないものと結論づける。カバー・ガラス・空気界面において全反射が生じるが、これらの反射は、散乱粒子への入射光エネルギーの供給に影響を与えるものではない。
上述の説明から、プリズム構造でも非プリズム構造でも、表面に付着した粒子または溶液中に遊離する粒子を角度をつけて照明することにより、エネルギーを効率的に供給できることが明らかになる。効率的な供給とは、光線が、該当面において全内部反射を起こさず、非特異的な光の集光が最小限に抑えられることを意味する。しかしながら、我々は、プリズム構造を特定の用途に用いると、光散乱粒子に近いガラスまたはプラスチック上の凹凸による人為現象が取り除かれるか、または著しく低減されるため、優れた検出能力が発揮されることを実験的に見いだした。浸漬油を使用して固相をプリズムに密着させると、S2における凹凸により非特異的な光の散乱がほぼ完全に抑えられる(図11)。これらの効果は、屈折率整合メカニズムによるものと思われる。S1における光線の入射点で散乱する非特異的な光は、(プリズムが十分に大きい場合は)点Oにおける特異的散乱粒子から十分に引き離され、拡大レンズによって集光される散乱光に加わることはない。
さらに、特異的散乱粒子が水中に存在する場合は、水の膜による屈折率整合によって、表面S3上の非特異的散乱が著しく低減される。さらに、水およびカバー・ガラスが存在する場合は、照明光線は、カバー・ガラス・空気界面で全反射を起こす。この反射により、わずかな量の光エネルギーしかこの表面上の凹凸に到達しないため、カバー・ガラス・空気界面における凹凸からの非特異的散乱が著しく低減される。加えて、その全内部反射により、拡大レンズの集光円錐に照明光が直接入射する可能性が低減されるか、または取り除かれる。カバー・ガラス・空気界面において42°より大きな角度をなす粒子散乱光が全面的に反射されるため、全内部反射はレンズLの集光角度にも影響しうることに留意されたい。しかしながら、この影響は深刻なものではない。
顕微鏡観察
これまでのセクションでは、集光される非特異的な光を最小限に抑えながら、(表面に付着する、または表面の真上で遊離する)光散乱粒子に光エネルギーを効率的に供給することを左右する要因(反射および屈折)に重点をおいて、我々の照明および検出(拡大レンズ)システムを説明した。このセクションでは、拡大レンズLによって生成された拡大画像を接眼レンズを通じて目視観察することによって得られた実験結果の詳細を示す。
a.光源および光ファイバーの詳細
以下に示す3つの異なるタイプの光源を使用した。
i.Leica顕微鏡照明装置
これは、標準的な市販の顕微鏡照明装置である。タングステン・フィラメント電球、および照明装置の先端から約22mmの距離においてフィラメントの5×7mmの集束画像を生成するレンズが使用されている。より集束性の高い光線を生成するために、顕微鏡に倍率10のレンズを取りつけた。そのレンズは、照明装置の先端から約6.5cmのところに位置している。その対物レンズは、対物レンズから約7mmの距離において、直径約4から5mmの光の集束スポットを生成する。
ii.バウシ・ロンブ・ファイバー・ライト照明装置
これも市販の照明装置である。放物面反射器に取りつけられた150ワットのタングステン・フィラメント電球を使用する。反射器は、約25mmの直径を有するほぼ平行の光線を生成する。(結束した多くの小さな光ファイバーから構成される)直径11mmの光導体が、フィラメント電球の近くに配置されている。次いで、光導体は、それぞれ直径約5.3mmで長さ約2フィート(60.1cm)の2つの等しい光導体に分割される。その光導体の1つを使用する。収束光スポットを生成するために、光ファイバーの末端から約25mmに位置する焦点距離25mmのレンズ(直径20mm)を使用して、光ファイバーからの光を平行にする。次いで、平行化レンズから約50mmのところに配置される倍率10の対物レンズにより、平行化された光を直径5mmの光スポットに集める。平行化レンズおよび対物レンズは、光ファイバーに固定されたコンパクト・ホルダー内におさめられている。光ファイバーの柔軟性により、このタイプの光源システムは融通性に乏しいLeica顕微鏡照明装置より使い易い。
iii.特製照明装置
これは、我々が作製した照明装置である。放物面反射器に取りつけられた12ボルト、28ワットのタングステン・フィラメント電球を使用する。反射器は、直径が0.125インチ(3.1mm)の光導体に集められるほぼ平行な光線を生成する。光導体の長さは36インチ(91.44cm)である。電球の近くに配置されるレンズ(焦点距離23mm、直径9mm)を用いて、反射器からの光を光ファイバーに集める。光導体は、開口数が0.55で、平面半角が60°の光円錐を受け入れる。ファイバーの末端から約17mmのところに配置される焦点距離12mmのレンズ(直径11mm)によって、光導体の他端において出射する光を平行化する。平行化された光は、最終的に、倍率10の対物レンズによって直径5mmの明スポットに集められる。対物レンズは、平行化レンズから約26mmの距離に配置される。5mmの明スポットは、焦点レンズの末端から約12mmの距離にある。
b.プリズム(光導体)
図12は、我々の照明システムに有用であることが確認されたプリズムの如きいくつかの光導体を示す図である。これらのうちのいくつかは、従来の意味では実際にはプリズムではなく、光導体と呼ぶことができる。光導体は、ある角度で光を効率的に供給させながら、入射光面と反対の面から反射光線を出射させる。以下の理由により、寸法をできるだけ小さくする必要がある。光線が入射し、反射光が出射するスポットは、表面の凹凸による非特異的な光の散乱を著しく生じる可能性がある。これらのスポットを特異的光散乱粒子のパッチから十分に除去して、非特異的な光の散乱の関与を最小限に抑える必要がある。それらの光導体を、試料槽を備えた1つの光導体に成形することで、光導体と分析物の間に浸漬油を使用する必要がなくなる。試料槽ウェルの内面に塗布されたストレプタビジン・スポットのマイクロアレイを有するプラスチック・チャンバの底面に小さな光導体を装着することによって、当該デバイスを試作した。このデバイスを使用してマイクロアレイの個々のマイクロスポットに結合する光散乱粒子の検出および測定を行ったところ、粒子計数による測定、および2つの表面の間に浸漬油を仕込んだプリズム上に試料槽を配置した強度測定と本質的に同じであった。
c.顕微鏡観察
視覚的顕微鏡観察用の接眼レンズを使用して、特に粒子の明るさ、背景の暗さ、およびそれぞれ異なるタイプの臨床測定形式における有用性に重点をおきながらいくつかの照明構造の評価を行った。良好な結果を与えるいくつかの構造を見いだした。ここでは、最も使い易く、優れた結果を与える最も安価な構造に限定して説明を行う。優れた結果とは、拡大レンズとして倍率10および40の対物レンズを使用したときの暗い背景上の明るい粒子を意味する。
撮像システムは、エドマンド・サイエンティフィック社の安価な顕微鏡である。該顕微鏡は、対物レンズ(倍率10または40)および160mmの標準チューブにおさめられた接眼レンズから構成される。単に対物レンズおよび接眼レンズではなく顕微鏡を使用する理由は、顕微鏡の微/粗集束メカニズムによって提供される便利さによるものである。しかしながら、我々の照明方法に適応するように顕微鏡のステージを改造し、図12(d)に示されるように、顕微鏡コンデンサの代わりに光導体(プリズム型)を用いた。プリズムの下のシリンダをコンデンサ・ホルダーに嵌め込む。改造されたステージおよび照明装置によって、顕微鏡スライド、マイクロタイター・プレートおよび他のプラスチック・プレートを扱うことが可能になる。しかしながら、倍率40の対物レンズは、対物レンズの使用距離が(約0.45mmと)短いため、厚いプラスチック板には使用できない。より使用距離が長い倍率40の対物レンズも入手可能である。特製照明装置を照明に使用する。
DLASLP法に合わせて顕微鏡システムを配置するために、自由粒子または表面結合粒子(カバー・ガラスで覆われた薄い水の膜におさめられた60nmの金粒子)を含む顕微鏡スライドを顕微鏡ステージに配置する。プリズムは、その表面がほぼ顕微鏡スライドに接触するように配置される。スライドとプリズムの表面は、浸漬油で張り合わされる。照明システムの倍率10の集点対物レンズは、プリズムの照明される側にほぼ接触するように配置される(図13)。対物レンズは、光が照明面に垂直に入射し、約45°の角度で表面S(顕微鏡スライドと接触する面)に衝突するような角度を有する。スライド上の金粒子の膜が十分に高い粒子濃度(約6×10個/以上)を有する場合は、光が粒子の膜を横切るスポットは、粒子により散乱する光によって強い黄緑色を示す。倍率10の焦点対物レンズは、黄緑色のスポットが顕微鏡(拡大)対物レンズに対して中心にくるように配置される。次いで、接眼レンズを通じて観察したときに粒子が鮮明なオブジェクトのように見えるように、スポットに対して顕微鏡の焦点を合わせる。次いで、倍率10の照明対物レンズの位置および角度を変えることで、暗い背景上の明るいオブジェクトを生成する。顕微鏡の倍率40の対物レンズを用いてこの調節を繰り返す。10倍と40倍の両方の倍率に対して暗い背景上の明るいオブジェクトを生成する位置の範囲が狭くなる。
照明光線が約42°(プラスチックまたはガラス/空気界面における全内部反射に対する臨界角度)より大きい角度でプリズム表面に衝突するときは、照明光が顕微鏡スライドの上方の空間を透過することはない。我々の構成では、入射角は45°である。これは、顕微鏡スライドの上方に1枚の白紙を置くことによって達成可能である。照明光が紙に当たることはない。しかしながら、照明光線を視覚化してその形状または空間における分布状態を判断することは興味深いことである。これは、接着用浸漬油を使用してスライドの上面にローダミン・プラスチック・ブロックを配置することによって達成可能である。ローダミン・ブロックは、蛍光分子ローダミンを含む透明なプラスチック・ブロックである。そこから生成されるローダミン蛍光からブロックを移動する光線を観察することができる。浸漬油は空間をなくし、照明光線がプラスチック・ブロックに入射することを可能にする。ブロックの内側の蛍光により観察される照明光線の分布が図13に示されている。
照明システムが正しく配置されると、約30nmを上回る金粒子を顕微鏡スライド、プラスチック・ウェルおよび固相マイクロアレイまたはアレイ・チップ上で容易に観察することができる。倍率10の対物レンズでは、0.005個/μ未満の密度の粒子を検出することが可能である。倍率10の対物レンズは、約8.5mmの使用距離を有するため、約8mmの厚さのプラスチック板に使用することができる。
DLASLPDビデオ・コントラスト強化法
我々は、DLASLPDビデオ・コントラスト強化法を利用することによって、金属状粒子および非金属状粒子を試料中でより高い感度で検出できることを確認した。この方法は、画像化された非特異的散乱光を実質的に画像化視野から除去しながら単一粒子を可視状態に保つように、画像化された非特異的散乱光を電子的に調整することを含む。該方法は、ここに記載の他の方法に用いても極めて良好に機能する。この方法を用いると特異性および感度が向上することを確認した。
試料槽の改善
本発明の特定の態様をとり、次に、その使いやすさ、異なる試験環境および条件への適応性を向上させる意味で、分析を行い検体を検出するのに使用される試料槽の設計に本発明のいくつかの態様を具体化できることを見いだした。
例えば、我々の観察および考え方に基づいて、分析する試料を収容する容器である試料槽の一般的な設計に我々の原理を適用することが可能である。これらの改善により、使いやすさ、ならびにいくつかのタイプの試験、および先述の試験条件への適用性を向上させることができる。しかしながら、ここに記載の発明は、以下の試料槽の改善を用いずに十分実施できることを明記しておく必要がある。これらの改善は、特定の試験条件および環境に対する本発明の実際的な適用性を高める手段に向けられるもので、本明細書の他のサイトで説明されている。
我々は、測定対象の粒子を含む領域から表面S1(入射光表面)をできるだけ遠くに移動させるか、またはずらすことによって、信号/背景比が著しく高められることを確認した。プリズムの如き光配列手段、または照明光線の表面S1への誘導を支援するのに使用される類似の光導体を使用することについては既に説明した。通常、光導体(プリズムなど)の表面と試料槽の表面との間に浸漬油が使用されることになる。検体試験には、分析手法における要素として浸漬油を使用しないのが好ましい条件が多く存在する。その上、またはその付近に粒子が存在する表面を厚くすることによって、先述したように非特異的光が著しく低減される。
この態様および他の態様を、試料中の1つまたは複数の検体の検出に向けた試料槽の設計に適用した。これらの一般的な試料槽の設計が、図17,18および19に描かれている。図17は、傾斜した平坦な側面を有する試料槽を示す。照明光線が、(垂線に対して)できるだけ0に近い角度で傾斜側面に衝突するように、傾斜側面の角度が照明角度に合わせられる。このようにして、非特異的な反射および散乱光が最小限に抑えられる。図18は、図17について記載したような平坦な傾斜側面の代わりに屈曲した側面を有する試料槽を示す。この試料槽では、分岐する出射光に対しては、屈曲面により、この非特異的な光をより効率的に除去することが可能になる。図19は、光線が試料に衝突する入射表面および屈曲した側面を測定対象領域からさらに遠くに移動させるという両発想を利用して、非特異的な光をより効率的に除去することを可能にする試料槽を示す。したがって、この試料槽は、ウェルの底面の下方の材質、照明対称面の平面の下方の平坦な傾斜面、ウェルの底面の表面の上方の屈曲した側面を厚くして、非特異的な光の効率的な除去を可能にしている。図17、18および19に示される試料槽は、固定試料ならびに溶液試料を測定するのに有用である。
光散乱粒子の選択、検出および測定
本発明のほとんどの形態において、光散乱粒子からの光散乱信号は、溶液中に懸濁された粒子、または固相に関連する粒子から検出される。液相および固相の試料に対するDLASLPD照明および検出法の多くの変形形態を説明した。DLASLPD法におけるこれらの変形形態は、試料および試料容器の性質に関連している。
本発明は、多くの異なるタイプの分析形式、および分析容器または他のデバイスを使用して、試料中の1つまたは複数の検体の存在および量を検出および測定できるという点において有用性が大きい。例えば、マイクロタイター・ウェルおよびプレート、試験管、毛細管、流動セル、マイクロチャネル・デバイス、キュベット、計量棒、顕微鏡スライド、光学的に透明な表面、ビーズ、磁気ビーズ、ドット・ブロット、ならびに高密度アレイおよび低密度アレイを使用することができる。
本発明を検体の検出に応用するために非常に重要なことは、所定の検体検出用途に対する最良の様式の粒子タイプを正しく選択することである。これは、一部に、分析形式、および必要な検出感度に依存する。粒子の光散乱信号を単一粒子に基づいて測定し、あるいは多くの粒子の光検出特性の検出および測定を行う。
所定の具体的な分析用途に対する最良の光散乱特性を選択する上で検討される多くの条件が存在する。これらの条件は、一般に、(1)使用される照明および検出システムの属性;(2)測定に使用する容器またはデバイスの性質および特性;(3)用いられる分析形式;(4)単一粒子および/または多くの粒子の検出および測定を行うかどうか;および(5)検体検出の濃度およびレンジに関連する。次に、当業者が本発明の1つまたは複数の形態を検体の検出に対してどのように最適化できるかということについて説明する。
液層または固相をベースとした検出において非常に重要なのは、散乱光信号と、検出される粒子の濃度との関係である。試料中に存在する光散乱粒子の量を測定するために、1つまたは複数の検出光散乱信号を粒子の量に関連づけるアルゴリズムを開発し、使用しなければならない。本発明における多くの異なる形態で個々の粒子の光散乱信号または多くの粒子からの光散乱信号を検出することが可能である。
(例えば単一粒子が検出されない)多くの粒子の集中光散乱信号を固相上または溶液中で検出する場合について、我々は、相対的光散乱強度、偏光、および検出粒子の色スペクトルが濃度の関数としてどのように変化するかを見いだした。ここに説明されているように、散乱光の強度および色スペクトルは粒子の粒径、形状および組成、粒子の濃度、ならびに媒体の相対的屈折率に依存する。複数の粒子の集中光散乱信号の検出および測定方法において、集積光散乱強度の検出および測定が、測定のための非常に有用な光散乱特性になる。図31および図32は、それぞれ、溶液に懸濁する粒子または固相に関連する粒子に対する散乱光強度と粒子の濃度との関係を示す図である。これらの説明例において、媒体の屈折率は1.33以下である。SpectraMetrix液相検出装置を用いて溶液中の懸濁粒子を測定し、ここに記載される顕微鏡をベースとした検出装置を用いて固相粒子を検出した。示された例において、SpectraMetrix液相検出装置および顕微鏡をベースとした検出システムには、それぞれ、散乱光信号を検出するための光電子増倍管およびCCD単チップ・カラー・ビデオ・カメラが使用されていた。
図31は、説明例として、直径が異なるほぼ球状の金粒子の集合体に対する散乱光強度対粒子濃度特性を示す図である。粒子濃度の関数として粒子散乱光の光散乱強度を測定することによって、銀粒子、セレニウム粒子および他の金属状粒子に対する同様のグラフも得られる。照明光の波長を、異なる粒子に対する散乱の最大波長に合わせて調製した。図31の集約的なデータは、検出の感度、ならびに検出および測定に対する使用濃度範囲が、金粒子の直径の関数として変化することを示している。本発明の任意の具体的な実施形態について得られた散乱光強度対粒子濃度のプロットを利用することによって、当業者は、任意の所定の分析用途にどの粒子タイプが最も適しているかを判断することが可能になる。分析性能を最大に高めるために、(1)検出の許容ダイナミックレンジ;(2)試料中の想定される検体濃度の下端における十分な検出感度;および(3)十分な検出分解能(例えば、一定の範囲の粒子濃度に対する個別的な検出可能強度値の数)に基づいて、最良の光散乱粒子タイプが選択される。図31を例として用いると、検出される最小および最大光散乱粒子濃度が、それぞれ約5×10−13Mおよび1×10−11Mである検体検出用途に対しては直径52nmの金粒子が最も好適に使用される。最小および最大検出濃度が、それぞれ約1×10−15Mおよび5×10−11Mである検体の検出に対しては87nmの粒子が最も好適に使用される。任意の粒子に対する絶対検出感度は、粒子の固有の光散乱能、ならびに照明および検出方法に基づく。絶対検出の上限および下限は、照明源および光学要素(例えば波長、出力、光線サイズ、光路長など)、ならびに集光光学要素および使用される光検出器を変えることによって上下させることが可能であるということを平均的な当業者は理解している。ここに開示されているように、銀粒子は、同程度の直径を有する金粒子より散乱能が強い。金属状粒子が好ましく、なかでも銀および金粒子が最も好ましい。任意の所定の粒子タイプからの光散乱信号の生成は、散乱に向けたその最大波長付近の波長で粒子を照明することによって最適化される。しかしながら、我々が調査した多くの粒子タイプの光散乱能は強く、多くの場合において、最大散乱レベルの波長に近い、またはほぼ等しい波長でない照明波長を使用することによって十分な光散乱信号を得ることができる。例えば、照明波長が約630nmの3ミリワット・レーザ光ペンを利用し、かつ光検出器として裸眼を用いて、ほぼ球状の60nmの金粒子の光散乱レベルを極めて低濃度(10−14Mまで)検出することができた。このシステムでは、試料容器として透明なマイクロタイター・ウェルを使用した。ウェルの側面の表面に対してほぼ垂直な角度でレーザ・ペンを用いてウェルを照明した。我々の観察角度をウェルの下方または上方、あるいは照明光線に対して約90°に定めることによって、粒子の散乱光を裸眼で検出することが可能であった。
固相をベースとした分析では、(1)検出および測定時に粒子を固相に関連づけること、および(2)さらなるファクターを適用することを除いては、液相について説明したのと同じようにして、最良の粒子タイプの選択および最適化を行う。図32は、散乱光強度と、直径60nmの金粒子の粒子濃度の関数との関係の図解例を示す図である。固相に関連づけられた光散乱粒子の検出および測定については、粒子密度(粒子の個数/表面積(平方ミクロン))で粒子濃度を表すことにする。固相分析および検出に適用する場合に最良の粒子タイプを選択する上でのさらなる条件は、粒径である。例えば、アレイ・チップ等は、わずか10平方ミクロン程度の個別的な結合サイトを含むことができる。したがって、利用可能な結合表面領域の飽和に際してどの程度の数の粒子が表面に結合しうるかは、光散乱粒子の相対的な物理的サイズに限定される。装置に対して、検出の感度、および異なる粒子タイプの検出のダイナミックレンジに関する念入りな調査を実施して、必要な検出感度、および検出される粒子濃度のレンジに対する最良の様式の粒子タイプを判断する必要がある。例えば、より散乱能の小さいより小さな粒子を選択すると、単位結合表面当たりに結合する粒子の数を増やすことができる。しかしながら、結合密度が低いと、信号が弱くなって検出できなくなるおそれがある。他方で、粒径が大きく光散乱能がはるかに大きい粒子タイプは、低い結合密度で検出が可能であるが、結合サイトがはるかに小数の粒子で飽和し、かつ/または全体密度が検出装置に対して飽和する可能性があるため、ダイナミックレンジが限定されうる。したがって、当業者は、所定の分析用途において最大の分析性能を引き出す最良の光散乱粒子タイプを選択することができる。
検出光散乱強度と、検出システムの照明および検出制約条件内の任意の光散乱粒子に対する粒子濃度の関数との関係は、測定された光散乱強度から試料の粒子濃度を求めることを可能にするアルゴリズムを導くための基礎を提供する。
当業者であれば、以下のように、最良の粒子タイプを決定し、測定された光散乱強度または任意の他の推定可能または測定可能な光散乱信号を試料中の粒子の濃度に関連づけるための粒子タイプ特異的なアルゴリズムを開発する。既存の装置、ブレッドボードまたは原型光学縦列(例えば照明源、試料ホルダー、光検出器および光学素子)および試料容器またはデバイスを使用して光散乱信号と粒子濃度の関係を求める。次いで、評価される異なる粒子タイプの各々に対するこれらの標準曲線プロットを用いて、検出される検体に対する最良の性能パラメータ(ダイナミックレンジ、分解能、最小検出感度など)を有する粒子タイプを決定する。次いで、測定された光散乱強度または他の光散乱信号と粒子の粒子濃度との数学的関係を、測定された光散乱信号から試料中の粒子の濃度または量を求めることを可能にするアルゴリズムの基礎とする。関連するアルゴリズムにおいて、検出される粒子の量を試料中の検体の量に関連づける。したがって、当業者は、本発明のほぼあらゆる形態について、最良の粒子タイプを選択し、測定された光散乱信号を検出される粒子の量に関連づける具体的な粒子タイプ/試料容器/検出装置のアルゴリズムを導くことができる。
単一および多粒子構造体の検出および測定
単一粒子またはその多粒子−粒子凝集体の検出および測定方法を利用する用途については、2つの一般的な試料分析手法:(1)試料を照明源または検出器から流動させる手法;または(2)(固相に関連づけられる、または液相の)視野における粒子を画像光検出器で検出する手法が存在する。
流動をベースとした方法の例としては、キャピラリー、マイクロチャネル、または内部が当該構造体から構成されるデバイスの使用が挙げられる。さらなる例としては、市販の分光光度計に使用されるような光学顕微鏡分析用流動セル、およびフロー・サイトメトリーが挙げられる。
検出システムを通る試料の流動とは対照的に、視野分析の方法によって試料のすべてまたは一部の検出および測定を行うことができる。視野分析の方法では、視野の特定の表面積および/または深さを画像化することによって固相または液体の薄膜の検出および分析を行う。顕微鏡法は、一般的な視野分析の一例である。具体的な用途としては、ドット・ボルト、マイクロアレイ、生物細胞、組織などの検出および測定が挙げられる。
流動をベースとした光散乱粒子の検出および測定
流動をベースとしたシステムに対する応用としては、本発明の1つまたは複数の態様を利用した様々な方法によって光散乱粒子からの光散乱信号の検出および測定を行うことができる。それらの方法は2つのクラス:(1)単一粒子および多粒子−粒子凝集体を検出する方法;および(2)1つまたは複数の粒子を、例えばビーズ、生物細胞または他の粒状物のような可動固相に付着させる方法に大別することが可能である。
流動をベースとしたシステムにおける単一粒子および粒子凝集体の検出および測定方法には、照明光線および検出器の好ましい配列がある。これらの好ましい配列は、一部に、分析される試料の性質に依存する。1つまたは複数の光検出器を使用して、光散乱粒子の光散乱信号の検出および測定を行うことができる。いくつかの実施形態において、散乱光の前方方向の放絡線の外側に検出器を配置することができる。他の実施形態において、試料中の他の物質からの背景光散乱信号が比較的弱い場合は、散乱光の前方方向の放絡線の内側に検出器を配置することができる。照明光線を高度に平行化する必要があり、多色または単色とすることができる。光散乱粒子からの光散乱信号の1つまたは複数の成分を1つまたは複数の光検出器によって検出することができる。検出された散乱光の偏光度、散乱光の強度、および散乱光のカラー・スペクトルを検出、測定することができる。
説明例として、試料に対する分析を行って、標的の核酸の存在を検出する。標的鎖の異なる領域に結合する特異的な配列を有する2つ以上のプローブ核酸群を使用する溶液ベースのサンドウィッチ分析形式が用いられる。何らかの形態のプローブは、それぞれ光散乱粒子が付着している。プローブを試料と混合して保温し、次いで試料の一部またはすべてを流動システムに配置して分析を行う。単一および多粒子−粒子凝集体が同時に検出ゾーンを流動するように、流動セルの属性および流動セルの変遷を調整する。検出システムを較正し、1つの粒子からの信号を2つ以上の粒子からの信号から区別できるように設定する。標的の核酸が存在する場合は、多粒子構造体の粒子を2つ以上有するある程度の割合の粒子が試料中に存在することになる。多粒子凝集体の量および/またはタイプを検出および測定することによって試料中の標的核酸の量を求める。免疫をベースとした凝集分析は当該技術分野においてよく知られており、これらを本発明に用いて検体を検出することもできる。この方法では、多粒子構造体が形成されるように、検体に結合しうる1つまたは複数のタイプの抗体または抗原に光散乱粒子を付着させる。形成された多粒子凝集体の検出および測定を行う。
流動システムの手法を用いたこの方法の他の変形形態では、光散乱粒子を生物細胞、ビーズ、または試料中の他の基質に付着させる。説明例として、生物細胞のタイプ分け、ならびに表面受容体および他の細胞成分のレベルの測定は、当該技術分野において大きな関心がもたれている。本発明の1つの方法では、粒子結合剤試薬が細胞の成分に対して特異的な作用を示す光散乱粒子試薬を使用することによって、生物細胞の識別および計数、および/または細胞の細胞成分の量の測定を行う。
先述の細胞特性を十分に検出、測定するための要件は、細胞の光散乱信号から細胞に付着する光散乱粒子の光散乱信号を検出、分解する能力である。光散乱能の強い光散乱粒子が最も好ましい。1つまたは複数の検出器を使用することができる。最良の性能に向けて、検出器の配置、および使用する光散乱粒子のタイプを最適化する。
例えば、該方法の一実施形態において、異なる位置に配置された2つの光検出器を備えた単一の光線照明源を使用して、試料の光散乱信号の検出および測定を行うことができる。一方の検出器は、細胞の光散乱信号を検出するのに使用され、一般には散乱光の前方方向の放絡線の内側に配置される。他方の検出器は、光散乱粒子の光散乱信号を検出するのに使用され、一般に散乱光の前方方向の放絡線の外側に配置される。この方法のベースは、直径約120nm未満の金属状粒子の多くは、ほぼ同じ割合ですべての方向に散乱光を放射するという我々の知見である。例えば生物細胞およびミクロン・サイズ以上のビーズのようなより大きな粒状物は、大半の散乱光を前方方向に放射する。検出器の正確な配置は変化し、使用される光散乱粒子のタイプ、照明および検出光学素子、および試料の性質に依存する。具体的用途に合わせて方法を最適化するために、ビーズまたは細胞を含む試料を試料容器に仕込み、試料を照明しながら様々な位置に第1の検出器を移動して、検出された光散乱信号の値を記録する。次いで、光散乱粒子を備えた流動セルおよび第2の光検出器を用いてこの手順を繰り返す。
様々な位置において、2つの検出器により細胞特有の散乱光および光散乱粒子特有の散乱光を分析して、光検出器に対する最良の配置位置を決定する。ビーズまたは細胞特有の散乱光の検出に使用される光検出器は、光散乱粒子からの散乱光が最小限に抑えられ、ビーズまたは細胞からの光散乱信号が十分に検出されうる位置に配置される。粒子の散乱光の検出に使用される光検出器は、粒子の特異的散乱光がビーズまたは細胞からの散乱光に対して十分に検出されうる位置に配置される。光および/または光学フィルターの2つ以上の波長を用いて、2つのタイプの光散乱信号をさらに分解することができる。異なる粒子の光散乱信号を何らかの形態で分解できるように、2つの異なる粒子タイプを使用することによって、2つ以上のタイプの光散乱粒子を検出することができる。
適切なアルゴリズムを用いて、2つの検出器からの検出光散乱信号に基づいて、ビーズまたは細胞、およびビーズまたは細胞当たりの粒子の量を測定する。例えば、1つのアルゴリズムにおいて、検出されるオブジェクト毎に、各々の検出器によって検出された光の量を測定する。各々の検出器によって検出された強度に従って、(1)粒子がビーズまたは細胞に付着されていない;(2)相対的な量の光散乱粒子がビーズまたは細胞に付着されている;または(3)異なる数の粒子がビーズまたは細胞に付着されているものと判断する。次いで、ビーズまたは細胞に付着された粒子の存在、不在または量に基づいて各ビーズまたは細胞を識別することができる。細胞特有の散乱光を測定する検出器を使用して、ビーズまたは細胞の数をカウントする。当業者にとって明らかなように、細胞の分析に利用可能な測定およびアルゴリズムには他の多くの変形形態がある。
単一光散乱粒子および多粒子構造体の識別および測定
本発明の多くの形態において、単一粒子および多粒子構造体の観察および検出を行うことが可能である。我々は、観察および検出された1つまたは複数の光散乱特性によって、粒子タイプおよび多粒子構造体の性質を識別できることを確認した。次いで、これらの特性を利用して、試料中の検体の存在および量の検出および測定を行う。検体検出に応用される現在利用可能な標識および検出技術はそのような機能を有していないという点において、本発明のこの態様は非常に有用である。例えば、蛍光標識および蛍光検出法は、一般には、当該技術分野で現在利用可能な最も高感度な直接標識および検出システムの1つと見なされている。しかしながら、生物試料または他の試料中の単一蛍光分子および単一分子結合事象を安価で堅牢で使い易い顕微鏡ベースのシステムを用いて視覚化することは実現されていない。数千の蛍光分子を含有する粒径数百ナノメートルの蛍光粒子またはビーズを当該システムで検出することが可能であるが、多くの用途においてこれらの粒子の粒径が大きいことや凝集しやすいことがその有用性を制限してきた。したがって、本発明は、単一分子結合事象、単一検体物質、およびその試料内の位置の検出および測定を行う新しい手段を提供する。検体の識別および位置特定を行う能力は、特に、細胞、分子、成長および神経生物学の分野、ならびに新しい薬物ターゲットおよび薬剤の識別および開発における関連用途において非常に重要である。
光散乱粒子およびその多粒子構造体の識別および定量化は、一般に、(1)好適な集光光学素子を介して観察することにより直接視覚化すること、または(2)画像光検出器ならびに画像解析ハードウェアおよびソフトウェアを使用して画像を収集し、情報をデジタル化し、収集した光学情報を解析することによって達成しうる。検出器の要件は、それぞれの光学特性に基づいて視野の中のオブジェクトを空間的に分解する能力を有することのみである。直接的な視覚化については、人間の肉眼が、高度な空間分解機能を有する光検出器の例である。画像光検出器の例としては、電荷結合素子(CCD)および電荷注入デバイス(CID)が挙げられる。使用される光検出器の機能に応じて、様々な解像度のモノクロまたはカラー画像を得ることができる。
試料中の光散乱粒子の検出、測定および識別は、(1)粒子の特異的光散乱特性;(2)照明および検出方法;(3)光検出器、デジタル化および画像処理ハードウェアおよびソフトウェアの機能;ならびに(4)検出された光信号に基づいて光散乱粒子の識別および測定を行うのに使用されるアルゴリズムによって定まる。
適切な空間フィルタリングによって、迷光照明および反射光を最小限に抑えるように、DLASLPD照明および検出法の1つまたは複数の変形形態を使用するのが好ましい。集光光学素子および光検出器は、一般には、検出される試料に垂直に配置される。画像を収集する場合に検出される光散乱粒子を十分に空間および/または色分解する画像光検出器を使用する。直接的な視覚化によって、かつ/または適切なデジタル化ならびに画像処理ハードウェアおよびソフトウェアを利用することによって、1つまたは複数の変形形態で、粒子の識別、局在化、分類および定量を行う。例えば、ある用途では、8ビットの光学デジタイザを備えた単色CCDチップで十分であるのに対して、他の用途では8ビット以上の光学デジタイザを備えた3チップ・カラーCCD光検出カメラが必要になる。コンピュータまたは他のマイクロプロセッサを使用したコントローラを用いてシステムを動作させる。収集されたデジタル化データを解析するのに使用されるソフトウェアは、光散乱粒子の1つまたは複数の測定可能な特性に基づき、試料中の粒子タイプおよび量の識別および定量を何らかの形態で行うアルゴリズムに基づく。光散乱粒子の画像解析に必要な基本的な特徴を含む装置の図が図33に示されている。
ここに説明する装置の変形形態は説明例で、当業者は、本発明では他の多くの構成が可能であることを認識している。任意の所定の用途では、用途の性質に応じて、ここに記載の基本的なシステムを多くの異なる形態の商業グレードの装置に組み込むことが可能である。この説明例では、研究分野で望まれるように、オペレータ・フレキシビリティを最大に高めるように装置が設計される。例えば、顕微鏡スライドまたはたいていの他の試料デバイスを受け入れる、研究者による使用に合わせた手動システムを作製することができる。照明光の角度、波長、偏光度およびビーム直径、集光光学素子の拡大および集束、光検出器のバイアス、ならびに検出器に対する試料の移動量の如き多くのシステム・パラメータをオペレータが実施することができる。光源および光導体を使用して照明光を試料に誘導する。ステージ、またはオペレータが二次元または三次元方向に試料を移動することを可能にする他のコンポーネントに試料を配置する。粒子を試料内で最大限に検出、分解できるように、所定位置の所望の集光光学素子を用いて光照明位置を調節する。試料からの放射光をレンズまたは集光レンズ群によって集光し、画像光検出器の面に映す。光検出器はモノクロであってもカラーであってもよい。カラーの場合は、収集画像の色分解能を最適化したい場合に3チップ・カメラ・デバイスを使用できる。光検出器をデジタイザおよび画像プロセッサに接続し、次にそれをコンピュータまたはその一部に取りつける。光散乱粒子の識別、分類および定量に向けた画像処理ソフトウェアおよびアルゴリズムを使用して、画像光検出器によって検出された光学情報を収集、格納および解析する。
画像処理手段による粒子タイプおよびその数の解析、測定および定量は、それらの1つまたは複数の光散乱特性によって粒子を識別する具体的なアルゴリズムに依存する。概して、画像データの解析において、3つの操作:(1)粒子の識別;(2)各粒子の1つまたは複数の光散乱特性の測定;および粒子の分類および定量を実施する必要がある。
光散乱粒子は、それらを識別するのに使用できる特定の光散乱信号を放出する。例えば、単一粒子および多粒子構造体からの放射光の強度およびカラー・スペクトルを画像光検出器により容易に検出、測定することができる。加えて、画像化された粒子は、粒子タイプを識別し、さらに特徴づけるのに使用可能な粒径および形状特性をも有する。画像解析方法による粒子の識別および分類は、1つまたは複数の検出粒子特性によって背景からの粒子および他の粒子タイプを分解する能力に依存する。背景は、光検出器によって記録される粒径、強度および色が変化する他の光散乱粒状物から構成されうる。画像解析法による光散乱粒子の識別および空間的位置づけには、何らかの形態のエッジ検出が広く用いられる。エッジ検出法を用いて、検出された光信号の強度が異なる画像内の領域の境界を表示する。光検出器は、それぞれ所定の位置で試料から放射する光の量を感知できる単一画素から構成される。エッジ検出法は、特定の強度の関連画素をまとめて、識別オブジェクト、この場合は光散乱粒子または多粒子構造体として、それらを何らかの形態で標示する。強度を区別する基準は、解析される画像の性質に応じて異なりうる。我々は、モノクロおよびカラー画像の両方に対して、エッジ検出法の多くの変形形態を用いて光散乱粒子タイプを識別、局部化できることを確認した。当該技術分野で知られたすべてのエッジ検出法、画像処理法および画像解析処理法を参照により本明細書に組み込む。エッジ検出法を実施する最終結果として、画像の特定領域が光散乱粒子として識別された。
画像解析法による試料中の光散乱粒子の精度および分解適性は、用いられる選択基準および光検出器の分解機能に依存する。例えば、モノクロ光検出器および8ビット・デジタイザで収集された画像では、光検出器の各画素位置における検出強度信号に関連づけることができる256のグレー・レベルが存在する。単一または多チップ・カラー光検出器を使用して、検出された放射光のレッド、グリーンおよびブルー波長(すなわちRGB成分)を測定することが可能である。当業者は、より高解像度の光検出器およびより高解像度の光学デジタイザを使用して、収集画像の解像度を高めることができる。様々な分析および検体検出用途において調査し、使用した好ましい光散乱粒子のほとんどは、ほぼ球形の所定のカラー・スペクトルの明るい点源光源として現れる。画像化された光散乱粒子の1つまたは複数の特性を測定することによって、肉眼または脳により、様々な粒子を容易に検出、識別することができる。これらの肉眼による直接的な測定の精度および正確さは、観察者の能力に応じて異なる。画像処理手段よって光検出画像上で当該分析を実施するために、何らかの形態でエッジ検出法を実施するソフトウェア・アルゴリズムを使用して画像の評価を行う。光散乱粒子、照明源、光検出および試料の光背景条件の任意の所定の組合せについては、エッジ検出ルーチン、ならびにその最適な最大および/または最小閾値設定に用いられる識別タイプの好適な選択がある。例えば、いくつかの用途では、モノクロ光検出器を使用して、画像データを収集する。グレー・スケールの下限閾値を50に設定し、グレー・スケールの上限閾値を220に設定して識別を行うことによって、光散乱粒子を試料中で高精度に識別、定量することができる。閾値および識別タイプは、試料毎に異なる。
マニュアル式の操作では、オペレータは、試料および収集画像を直接視覚化できる。オペレータは、光散乱粒子の識別および定量に関して、収集画像の視覚的解釈に対する最も正確な結果を与えるのはどれかを判断するために、識別方法および限定的な閾値を変える。識別タイプ、および画像を解析するのに用いる限定的閾値を半自動的または全自動的に最適化するには、(1)任意の試料タイプに対してあらかじめ設定すること、または(2)試料の光検出前、その最中またはその後に、較正粒子、または背景条件を反射する他の物質を使用して、識別タイプおよび閾値設定を較正する。識別タイプおよび閾値の設定に基づいて、オブジェクト(この場合は光散乱粒子)を、グループ化され、何らかの形態で光散乱粒子と識別される画素群として識別する。異なる光散乱粒子タイプを識別し、試料中の粒子の正確な識別を最適化するのに使用できる光散乱粒子の測定可能な特性を用いることが可能である。
光散乱粒子が識別されると、様々な手段によって粒子をさらに分解、分類、定量することができる。我々は、多くの検出可能特性に基づいて、光散乱粒子を正確に分類できることを確認した。これらの特性としては、(1)識別粒子領域におけるすべての画素強度値の合計(グレー・スケール、レッド、グリーンまたはブルー波長あるいはそれらの組合せ);(2)識別粒子領域における画素強度の中間値または平均値(グレー・スケール、レッド、グリーンまたはブルー波長あるいはそれらの組合せ);(3)識別された粒子の領域の寸法;(4)識別された粒子の形状;または(5)2つ以上のこれら検出および測定可能特性の組合せが挙げられる。
試料中の各タイプの光散乱粒子の定量は重要な結果であり、様々な手段で達成することが可能である。例えば、試料の任意の所定の領域における検出粒子の数をカウントする。他の変形形態では、所定の粒子タイプとして識別された粒子について、上述の測定可能な光散乱粒子特性のいずれかの合計または合計の比率を用いて、試料中の各粒子を定量する。
ある用途では、1つの粒子タイプのみの検出および測定が求められるのに対して、他の用途では、多粒子構造体を含む2つ以上の粒子タイプの検出および測定が求められる。例えば、マイクロアレイをベースとした分析法では、同じ粒子タイプを使用して、アレイの個別的な結合ゾーンにおける結合量を求めることができる。生物細胞ベースの分析の如き他の用途では、2つ以上のタイプの光散乱粒子を使用して、異なる細胞成分の識別および定量を行うことができる。本発明の他の用途では、多粒子構造体の存在および量の検出および測定を行う。さらに他の用途では、粒径および多粒子構造体の分布を測定する。
説明例として、細胞生物学への応用において、細胞は散乱性の強いオブジェクトで、様々な形状、粒径および色の粒子として現れることができる細胞内成分を含む。当業者は、細胞から分解できる、1つまたは複数の検出および測定可能特性を有する光散乱粒子タイプを使用する。例えば、放射光の色が、細胞から放射する散乱光と異なる粒子を、カラー光検出器ならびに適切な識別方法および限定的閾値とともに用いて、光散乱粒子を特異的に検出、測定、定量することができる。
要約すると、画像解析手段によって光散乱粒子を検出、測定、定量する本発明の各用途について、粒子検出および測定アルゴリズムを最適化する。当業者は、検出された光散乱粒子の特性のなかで、試料中の粒子を分解するのに最も好適に使用できる特性を判断する。粒子の識別は、粒子を特異的に識別する能力を提供する識別粒子の測定可能な特性のいずれかに基づく。異なる粒子タイプの検出基準についての下限値および上限値をアルゴリズムに設定して、さらに粒子を分解し、正しく識別、測定する。下限値は、特異的光散乱粒子と見なされるものに対する限界を設定するのに用いられ、上限値は、埃、塵または他の粒状物の如き他の粒状物が特異的光散乱粒子として識別され、カウントされるのを防ぐための上限値を提供するのに用いられる。
分析診断測定への例示的な応用−装置タイプおよび試験キット
広範囲な検体タイプが存在することは当該技術分野においてよく知られている。これらの検体は、水、尿、血液、痰、組織、土、空気などの様々な試料環境に存在する。特定のタイプの検体分析の要件に応じて、対象となる検体に関する準定量または定量情報、あるいはその両方を得ることが望まれる場合がある。小さく、安価で、携帯性に優れた計測器を用いて分析を行うことが望ましい条件が存在する。例えば、消費者用途、野外用途(実験室外での使用)、または病院のベッドサイドなどが挙げられる。問題の検体に対する準定量および/または定量測定を迅速に行えることが望まれる。他の用途では、1日当たり数個の試料を試験し、定量結果を得ることができる小規模な実験室での検体検出のための小さく、安価な計測器を有することが望まれる。例えば、医院、クリニック、衛星試験室、研究室などが挙げられる。高スループット試験の如き、1日当たり数百から数千の試料を試験することが望まれる条件も存在する。したがって、上記試験条件および環境は、それぞれ異なるタイプの装置手段を必要とする。試料中の検体に対する試験の厳密な要件が十分に定められると、当該装置の使いやすさとコストに関する長所および短所を詳細に判断すればよいだけである。
我々は、特定の金属状粒子をDLASLPD検出法の特定の変形形態に使用すると、上述の試験環境および用途に対する特定の試験キットおよび装置の開発が可能になることを確認した。検体と、試験環境と、試料タイプと、分析形式と、検体検出要件と、装置のコストおよびサイズ要件とについて、多様な組合せが可能である。何らかの形態で本発明を実践すると、使い易く安価な装置および試験キットでたいていの分析または診断試験要件が満たされるという点において、現行の発明が際だった有用性を有することを当業者なら認識するであろう。
ともに使用して特定の検体検出機能を実現するDLASLPD法、粒子タイプおよび試料タイプの多くの異なる構成および組合せが存在する。任意の具体的な診断測定用途において、例えば分析形式、試料槽タイプおよび検出装置のように、試料タイプ、ならびに照明および検出法は通常固定される。金属状粒子は、粒子の粒径、形状、組成および均質性によって変わる独自の散乱光特性を有する。粒子から検出かつ/または測定することができる具体的な光散乱特性は、先述した粒子特性、ならびに散乱光特性の検出および測定を行うのに使用される方法および装置によって設定される。したがって、何らかの形態での現行の発明の究極的な利用および実行は、照明および検出手段ならびに試料タイプのそれぞれの態様と、適切なタイプの光散乱粒子とを組み合わせることによって達成される。これにより、具体的な装置および試験キットが得られる。
当業者は、様々な粒子タイプ、分析形式、および多くの異なる構成の装置を使用することによって本発明の多くの異なる態様を実行して、多くの異なる診断分析検出機能を達成することができる。図22は、特定の組合せで構成すると、特定の診断分析試験要件を満たす装置および試験キットをもたらす本発明の様々な態様を示す図である。得られる装置および試験キットは、手法/装置型構成(図23)および粒子型構成(図24)の適切なコンポーネントを選択することによって作製することが可能である。図23は、当業者が、照明源、方法および他の装置コンポーネント、分析および試料タイプ、ならびに検出方法および装置コンポーネントを選択することを示す図である。図24は、当業者が、粒子の所望の光散乱特性を検出するために、適切な粒子組成、形状、粒径および均質性を選択することを示す図である。図23および24に示され、図22のダイアグラムに要約されているこれらのプロセスによって特定の装置および試験キットが得られる。図25のダイアグラムは、特定の診断試験要件に対応する特定の装置および試験キットを開発するのに使用した一般的な方法の1つを示す。当業者は、本発明を何らかの形態で実施するのに、図25の方法を実行する必要はない。
金属状粒子と、本明細書に記載されるDLASLPD照明および検出法とを組み合わせることの顕著な信号生成および検出機能によって、広範囲な検体検出感度がもたらされる。一般的なタイプの試験環境および手短に説明した図22から図25に関して、当業者は、ある診断試験用途では、検出および測定に単に裸眼を使用し、他の場合は、LED(発光ダイオード)または低電力フィラメント電球の如き単純な光源を使用し、フォトダイオードまたはフォトダイオード・アレイを使用して信号の検出および/または測定を行うことができる装置および試験キットを容易に開発することができる。他の分析試験用途では、レーザ、レーザ・ダイオード、フィラメント電球などをカメラ、ビデオ・カメラまたはCCDカメラ(電荷結合素子)とともに使用でき、また単純な画像処理手段を用いて、マイクロアレイ形式または他の任意の形式の粒子からの散乱光の検出および測定を行うことができる。これらの例は本発明を限定するものではなく、試料中の1つまたは複数の対象検体を検出する本発明の多用性および幅広い有用性を広く示すものである。
例えば、低電力フィラメント電球、LEDまたはレーザ・ダイオードを電源として使用することによって、試料中の1つまたは複数の検体を測定することができる小型の携帯用ハンド・ヘルド装置を構築することができる。フォトダイオードまたはフォトダイオード・アレイは検出器として使用される。必要とされる検出の感度に応じて、特定のタイプの金属状粒子をこの装置とともに使用して、検体検出要件を満たすことが可能である。試験キットは、液体または固相試料における多検体または単一検体検出に応じて構成される。例えば、液体試料に対しては、それぞれが容易に検出可能な異なる散乱光特性を有する、異なる粒子タイプが使用される。固相試料、およびマイクロアレイの如き固相形式では、異なるすべての検体に対して1つの粒子タイプを使用し、または(試料中の異なる検体の濃度に応じて)様々な粒子タイプの組合せを使用することが可能である。
他の例では、低検体濃度まで測定することが可能である安価な装置および試験キットを以下のようにして構築することができる。低または光電力光源を光電増倍管、フォトダイオード・アレイまたはビデオ・カメラとともに使用する。レンズを使用して、粒子を含む表面から散乱光を集光する。マイクロプロセッサまたは外置デスクトップ・コンピュータを使用して散乱光データの収集および解析を行う。適切な粒子タイプを適切なマイクロアレイ試料槽とともに使用して、必要に応じた濃度範囲および検出限度を達成することによって、多検体固相分析のための試験キットを作製する。このタイプの装置および試験キットは、研究室、医院、衛星クリニック、環境試験室および高スループット試験室で有用に使用されうる。
上記の装置および試験キットの例は、説明例として示したもので、本発明の唯一の試験キットと解釈されるべきではない。当業者であれば本発明の幅広い有用性を認識するであろう。当業者であれば、特定の検体検出要件を満たす本発明の1つまたは複数の態様を実行することによって、広範囲な装置および試験キットを作製できることを認識するであろう。
検体の検出における磁気および電気泳動活性光散乱粒子の使用
分析測定および検体検出の分野における現行の問題は、反応動力学の問題である。本発明の特定の実施形態において、磁気または電気泳動特性を有する光散乱特性を使用して、標的検体に対する粒子結合剤試薬の結合反応の速度を高めることができる。磁気とは、磁場を加えることにより、光散乱粒子を移動させ、試料容器の領域に集中させることができることを意味する。電気泳動とは、電場を加えることによって、光散乱粒子を移動させ、試料容器の領域に集中させることができることを意味する。
本発明の一実施形態において、磁気特性を有する光散乱粒子を使用して、標的検体に結合しうる光散乱粒子結合剤試薬を作ることができる。磁気粒子試薬を試料に加える。磁気粒子試薬を試料容器内の1つまたは複数のサイトに誘導するように、試料に磁場を加える。試料容器の1つまたは複数の領域は、検体を結合させ、さらに固相結合剤によって不動化された検体に粒子結合剤を結合させることができる結合剤を付着させて含有する。例えば、磁気粒子結合剤試薬が試料デバイスまたは容器の結合サイト領域に集中するように、磁場を配向させることによって、固相の1つまたは複数の領域に高密度の磁気粒子結合剤試薬を加えることができる。十分な時間反応させた後、磁場を変化させて、未結合の磁気粒子試薬を除去することができる。固相上の結合サイトに付着した磁気粒子から検出される散乱光の量によって存在する検体の量が測定される。同様にして、電気泳動光散乱粒子結合剤試薬および適切な電場の印加を用いて、電気泳動粒子結合剤試薬を対象領域に集中させることができる。未結合の電気泳動粒子結合剤を結合サイトから除去し、そのサイトへの結合電気泳動粒子結合剤からの散乱光を検出した後に、存在する検体の量を測定する。他の実施形態では、光散乱信号を結合サイトで測定し、あるいは検出に有利なように、結合サイトから放出して、それぞれ様々な面積または体積の固相または懸濁液状で測定することができる。本発明の方法は、分析を行うのに必要な時間の実質的な改善を可能にすることを当業者は認識する。
検体と特異的検体識別試薬の相互作用による2つ以上の粒子の会合または凝集を伴う分析
適切な結合剤ならびに適切な濃度の結合剤および検体を用いることによって、凝着、凝集、架橋、網状結合、および同様の結合事象が起こりうること、またこれらの事象を利用して試料中の1つまたは複数の検体を検出できることが当該技術分野において知られている。いくつかの免疫測定では、抗原が可溶性を有し多価の物質であれば、目に見える沈殿物が形成される。いくつかの核酸測定では、1つの特異的な一本鎖プローブで2つ以上の一本鎖標的を「架橋」し、ネットワークを広げることができる。あるいは、2つ以上の特異的一本鎖核酸プローブを使用して、同じ標的一本鎖核酸上の異なるサイトに結合させることができる。この手法では、2つ以上の標的の架橋を達成することができ、あるいは単に2つの特異的なプローブ配列を同じ標的に結合させることで検出を可能にする。
本発明は、従来可能であったものに比べて、より使い易く、より高感度で、より融通性に優れた検体検出を可能にする。特定の分析形式において、本発明の超顕微鏡的粒子は、検体が結合していない粒子を分離することを必要とせずに、顕微鏡で、または巨視的な観察もしくは測定を通じて、目視または計器によって検出できる様々なタイプの凝集体を形成することが可能である。形成される凝集体のタイプは、架橋剤のサイズおよびその価に依存するとともに、粒子に付着する結合剤のタイプに依存する。凝集体は2つの粒子よりなるものから多数の粒子よりなるものまで存在しうる。
均質な液相凝集検出分析に使用される粒子に直接または間接的に標示を行うことができる。直接標示分析では検体に直接結合できる薬剤を信号生成粒子に付着させる。例えば、直接標示核酸検体分析では、DNAプローブを光散乱粒子に付着させる。間接的な分析では、検体検出剤を化学グループAで標示し、粒子に、グループAを認識できる薬剤を標識付けするかコートする。直接または間接標示を用いて、検体識別結合剤と検体(および間接標示の場合はグループA)の相互作用により粒子が凝集するように分析の形式を設定することができる。凝集体は2つ以上の粒子から構成されうる。
我々は、分析における凝集または架橋剤のサイズが小さいため凝集体の粒子同士が非常に密接している場合は、2つまたはせいぜい数個の粒子を含む凝集体は、顕微鏡で単一粒子(超顕微鏡的凝集体)に見えることを確認した。しかしながら、この超顕微鏡的凝集体は、粒子間の摂動により、非凝集粒子とは異なる光散乱特性を示す。粒子の組成、粒径および形状に応じて、色、RIFSLIW強度、および散乱光の偏光度が変化することを確認した。これらの変化を利用して、検体が結合していない粒子を分離することを必要とせずに、検体の量を測定することができる。顕微鏡では、その変化を利用して、超顕微鏡的凝集体を非凝集粒子から、どちらも単一の粒子のように見えるとしても区別できる。凝集体の粒子間の距離が顕微鏡の解像度を上回る長DNA鎖の如き、凝集または架橋剤のサイズが大きければ、凝集体の粒子を個別的に観察し、それらが滞留するか、またはともに移動するかによって非凝集粒子から区別することができる。これらの顕微鏡的凝集体は、凝集体にわずか2つの粒子しか存在しない場合にも顕微鏡で容易に観察することができる。距離が十分に大きいために粒子間の摂動が小さくなる場合は、凝集体の粒子は本来の光散乱特性を保持することになる。上述した2つの一般的な事例の間にある粒子間距離も存在する。超顕微鏡的凝集体の粒子は、おそらく粒子間摂動が生じるほど密接していないため、それぞれの光散乱特性を不安定にすることはないことを確認した。しかしながら、凝集体の強度は非凝集粒子の強度のn倍(ただし、nは凝集体の粒子の数)で、かつ/または粒子は互いに相対的な位置に「固定」されるため、凝集体を非凝集粒子から区別することが可能である。
上述の説明から、検体の存在によって生成される凝集体が、遊離した非凝集粒子と異なる光散乱特性を有する場合は、巨視的な測定または目視観察に基づく液体の相均質分析を容易に実現することができる。凝集体における粒子間摂動が小さいため、凝集粒子および遊離粒子の光散乱特性が類似している場合は、単一粒子および凝集体の光散乱強度の視覚化または測定を可能にする検出方法を用いて、均質分析を行うことが可能である。凝集体の単一粒子を観察できる状況では、凝集体を自由粒子から容易に区別し、目視観察またはコンピュータ化された画像解析によって上述の如く定量することが可能である。凝集体は、単一粒子より強い光強度を有することになるため、フロー・サイトメーターまたは類似の装置もしくはデバイスで凝集体を自由粒子から区別し、定量することも可能である。凝集体の単一粒子を顕微鏡で観察できなかったり、粒子間摂動が存在しない状況では、自由粒子と凝集体とを、それらの強度差、および(強度を付加的なものと想定して)凝集体の散乱光強度から決定される凝集体の粒子の数によって区別することが可能である。これは、画像解析またはフロー赤血球計算法によって行うことが可能で、レーザ走査、または試料の領域または体積を空間的に解析することができる他の方法による画像の形成を含む。
超顕微鏡的凝集体の粒子の数が増加すると、凝集体における単一の超顕微鏡粒子を顕微鏡で見ることができなくても、凝集体を拡大粒子または大きな粒子として観察することが可能になる。顕微鏡的凝集体の場合は、凝集体の粒子の数の増加によって可視的な網状体が生成され、網状体内の粒子をカウントすることが可能である。大きな網状体および粒子凝集体は、裸眼で観察することができ、沈殿物または凝着物を形成しうる巨視的な物体を生成する。
先のパラグラフで説明した異なる凝集現象を利用して、ある方法では顕微鏡または他の画像解析技術を採用し、他の方法は巨視的な観察または測定を含む多くの異なるタイプの均質分析法を開発できることを当業者なら認識するであろう。
どのようにして均質タイプの分析または他のタイプの分析を実施できるかを示す説明例を以下に記載する。
光散乱粒子を使用する分析形式の例
異なる分析形式における本発明の幅広い多様性および優れた有用性を証明するいくつかの説明例を以下に示す。本発明の多くの変形形態が存在し、従来可能であったものに比べて、試料中の1つまたは複数の検体のより特異的で、より使い易く、より高感度な検出が可能であることを当業者なら理解するであろう。
i.分子識別をベースとした結合事象による2つ以上の粒子の会合を伴う分析形式。一般原理
一群の実験において、基材分子結合法を用いて、直径40nmの金粒子の調製物の表面をビオチン化した。遠心分離および洗浄によって精製した後、この物質をガラス・スライドに一滴滴下してカバースリップで覆い、DLASLPD光照明検出法を用いて、光学顕微鏡で観察した。粒子は均質で、粒子は緑色を呈しながらブラウン運動で非常に高速で動いていた。次いで、オーバースリップを取り外し、ストレプタビジン溶液を一滴スライドに滴下して、再びカバースリップで覆った。一定時間経過後、緑色の粒子より強度がはるかに大きく、運動速度がはるかに遅い黄色−オレンジ色およびオレンジ色、ならびにオレンジ色−白色を有する新たな粒子構造体が溶液中に現れた。これらの新たな粒子構造体の一部は非対称で、溶液中を回転しながら揺れていた。ある程度の時間が経過した後、多くの緑色粒子が消え、黄色−オレンジ色およびオレンジ色の粒子凝集体が多く存在していた。顕微鏡でオーバースリップのエッジを調べたところ、非常に高輝度のオレンジ色、黄色―オレンジ色、および白色−オレンジ色の粒子凝集体の層でコートされていた。単独重合体核酸システムにおいても同様の現象を観察した。これらの観察は、本発明の様々な形態において、粒子散乱光特性の変化を利用して、凝集体の視覚化による分子結合事象、「自由」単一粒子の数の減少、または他の方法を用いたバルク溶液の減少を検出できることを示している。例えば、バルク溶液または流動システムにおける検出については、適切な条件下で溶液の一部を照明し、溶液から発する散乱光の変化を確認することによって、独自の散乱光特性を有する新たな粒子形態の数の増加、および/または本来の光散乱特性を有する粒子の量の減少を検出することができる。あるいは、流動系システムを使用することによって、試料中の物質をより特異的に分析することができる。例えば、試料溶液の一部または全体を粒子毎に分析できるように、マイクロチャネル、キャピラリー、またはフロー赤血球計算装置またはデバイスを使用する。照明源および検出器によって溶液を流動させ、あるいはマイクロチャネルまたは毛細管に溶液を閉じこめ、次いで試料容器、光源または検出器(またはその何らかの組合せ)を試料の長さ方向に沿って移動させることによってマイクロチャネルまたは毛細管の全体または一部を分析する。
例えば、特定の核酸検体は、約100の核酸基質よりなり、試料中に存在する。この核酸が一本鎖の形態をとるように試料を調製する。次いで、2つ以上の特異的な一本鎖「プローブ」核酸配列を試料に加え、これらの異なるプローブ核酸は標的鎖の異なる領域に結合する。これらのプローブ核酸のそれぞれも、間接または直接表示手段によって1つまたは複数の粒子に付着していた。低温放置後、試料をフロー赤血球計算装置、または試料を含有する溶液を分析することができる類似のフロー・デバイスに仕込む。標的配列が存在すれば、密に「結合」した2つ以上の粒子が存在することになる。粒子の間隔距離に応じて、粒子間摂動が生じたり、生じなかったりする。プローブ鎖の標的鎖に対するハイブリダイゼーションの結果として2つ以上の粒子を含むこれらの分子構造体を、先述した適切な手段を使用して検出する。
ii.分子体の放出を伴う分析
分子的事象、化学的事象または他の事象の結果として検体の存在を検出するのに本発明を用いることができる分析形式用途が存在する。例えば、分子内または分子間結合、連鎖、あるいは他の分子構造を変化させることによって、全体的な分子の幾何学的構造を変化させたり、あるいはプロセスの結果として分子を分解させたりすることができる。例えば、当該技術分野において知られている様々な手段によってペプチド、タンパク質、核酸または薬剤などを試料容器の表面に付着させる。これらの物質のうちのいくつかの物質には、化学的、生物学的、または他のプロセスによって開裂あるいは変化しうる1つまたは複数の分子内連鎖または結合部位が存在する。例えば、その活性の結果として放出される開裂生成物の量を監視することによって特殊な酵素またはリボザイムの存在を検出することができる。開裂プロセスへの影響が最小限に抑えられるように、光散乱粒子を分子基質の領域に直接または間接的に付着させる。溶液中の自由粒子の存在および量、あるいは試料容器に付着した結合粒子または他の粒子の減少を酵素の存在、量および活性に関連づけることが可能である。他の例では、光散乱粒子に抗原物質を塗布し、すべての粒子が多価的に抗体−抗原結合によって結合するように抗体と混合する。この網状または凝着物質を試料容器内に仕込み、あるいは望まれる場合は試料容器に付着させる。(同じ抗体または抗原、あるいは類似構造を有する競合的な抗体または抗原でありうる)検体を収容することができる容器に試料を入れる。試料中に存在する抗原または抗体に特有の検体の存在および量に応じて、一部の抗体および粒子被覆抗原が競合により網状構造から分解することになる。溶液中の粒子の量、および/または凝着網状体内に残留する粒子の量を測定することによって、存在する検体の量を検出することができる。また、この方法の変形例として、粒子に抗体を塗布したり、あるいは例えば核酸、ペプチド、受容体、薬剤、ホルモンなどの他の結合剤を使用したりすることもできる。
iii.分子結合事象の検出および特徴付け
他の説明例において、結合剤を塗布した粒子のブラウン運動を画像解析形式に利用して、検体の存在および量を検出することが可能である。この方法を用いて、一方が粒子に付着し、他方が溶液中に遊離する結合対における分子結合事象および特性を調べることもできる。当該機能は、抗体、抗原、薬剤、受容体、およびその分子結合特性が重要とされる他の任意の物質の結合特性を特徴づける上で極めて重要である。例えば、40nmの金粒子調製物を、抗原、薬剤または抗体を表面上に含むように構成する。次いで、これらの粒子結合剤を顕微鏡スライド上に置き、DLASLPD照明および検出法を用いて顕微鏡で観察する。粒子のブラウン運動特性の測定および定量を行う。次いで、粒子上の付着結合剤に結合することができる検体を含みうる試料溶液を添加する。添加した溶液が結合剤のパートナを含んでいれば、それは粒子上の結合剤に結合し、ブラウン運動の変化が観察されることになる。あるいは、特徴付けの用途については、分子特性の特徴付けが行われている既知の濃度の物質を既知の濃度で滴定して、その結合特性を測定する。このようにして、たいていの分子識別結合対の分子結合事象を調べることができる。
iv.検体の増幅検出
特定の分析および診断測定では、非常に単純な検出機器を使用するか、または検出機器を使用しなくても済むように、粒子の光散乱特性の検出性を高めることが好ましい場合もある。適切な分子識別結合対および粒子を使用することにより、検出感度のレベルを著しく高めることが可能になる。一本鎖核酸単独重合体または繰返し配列(ATATATなど)、アビジン−ビオチン、ストレプタビジン−ビオチンおよび他の結合対システムを使用して、多くの粒子を「連結」、「蓄積」することが可能である。一例として、抗体−抗原−抗体のサンドウィッチ構造を形成する固相分析が設計される。抗原検体を取り込むように1つの抗体を固相に付着する。次いで、ビオチン基を含む別の抗体を付加する。次いで、ストレプタビジンおよび自由ビオチンを塗布した粒子を溶液に添加する。(固相−抗体)−抗原−(抗体−ビオチン)複合体から、互いに結合した多くの粒子を含む...(ストレプタビジン−粒子)−ビオチン−(ストレプタビジン−粒子)...構造体が成長する。当該粒子凝集体または網状構造体は、単一粒子より検出がはるかに容易な高レベルの強度を生成する。他の例として、ポリデオキシアデニル酸(ポリdA)およびポリチミジル酸(ポリdT)または他の単独重合体一本鎖核酸を、ポリdA単独重合体配列が、一本鎖「プローブ」分子の領域に含められるようにして使用することができる。粒子に、この単独重合体と相補的なdT配列を塗布し、さらなる「自由」dA一本鎖とともに試料に添加して、多くの粒子を含む構造体を生成する。
他の例では、所定の検体に特有の抗体に1つまたは複数のストレプタビジン分子を付着させる。該抗体は、ビオチン基で標示される光散乱粒子によって検出される検体に結合する。抗体に付着するストレプタビジン分子の数、および検体−抗体−ストレプタビジン複合体に付着するビオチン化された光散乱粒子の数に応じて、多くの光散乱粒子が検体に付着するようになる。
上記の例は例示を目的としており、分析および診断条件および要件に応じて、本発明のこの形態の多くの変形形態が存在することを当業者なら認識するであろう。
改善された粒子結合剤試薬
抗体の如きタンパク質である結合剤を吸着法によって金属状粒子および非金属状粒子に付着させることは、当該技術分野においてよく知られている(M.Horisberger、Scanning Electron Microscopy(1981)、2,9−31を参照)。吸着法は、例えば粒子に対する結合特性を有する物質に結合する抗体分子に用いることができる。抗体の場合は、粒子への抗体分子の付着によって、粒子に部分的な化学的安定性が付与される。吸着条件を慎重に制御すれば、抗体分子の一部がそれぞれの抗原に対する結合特性を保有することになる。金属粒子に対する化学安定剤として特定の合成ポリマーおよび生体ポリマーを使用することも当該技術分野において知られている(Heller他(1960)、Journal of Polymer Science、47、203−217を参照)。粒子および他の表面に物質を吸着させる方法は参照により本明細書に組み込まれている。
物質の粒子および他の表面への吸着についての正確なメカニズムおよび性質は、まだ十分に理解されていない。抗体分子が粒子または他の表面に吸着するときは、吸着抗体の密度および配向が結合活性のレベルに関連づけられるように思われる。吸着プロセスの制御が不十分であるため、結合抗体分子の多くは、結合活性が著しく低下しうるか、または活性がなくなるように、分子構造の分子識別領域を変化させるようにして、付着される。
吸着法は、タンパク質の結合剤、ならびに検体分析に有用である、または有用でない他の物質を粒子に付着させるが、検体試験および他の分野で対象となりうるいくつかのタイプの物質を付着させるのが困難である。例えば、核酸、小タンパク質およびペプチドの如きタンパク質様物質、ならびに低分子量の抗原物質、ホルモン、薬剤などのような他の非タンパク質物質は、吸着法によって効果的に粒子に付着させることはできない。吸着技術のさらなる限界は、各々のタイプの物質に対して、慎重に制御しなければならない独自の吸着条件が存在することである。そのような手順を厳密に踏んだ場合であっても、タンパク質の量、ならびに表面に吸着した物質の保全性および結合特性に有意なバラツキが存在しうる。多くの場合、吸着された結合剤の結合特性(親和性および特異性)は、非吸着形態に比べて著しく低下する。
吸着法を用いて抗体の如き様々なタンパク質の結合剤を粒子の表面に付着させたことによる我々の実験によって、得られる粒子結合剤物質結合特性および安定性に大きなバラツキがあることがわかった。吸着された抗体または他の結合剤の結合親和性は、標示条件に極めて敏感であるとともに、バッチ毎に大きく変動する可能性がある。粒子に吸着した抗体、アビジン、ストレプタビジンおよび他の物質の結合活性が著しく低下するのはよくあることである。いくつかの調製物では、吸着した結合剤の一部が、粒子から分解しやすくなる。分解または診断測定において、この分解物質が検体をめぐって粒子結合剤と競合すると深刻な問題になる可能性がある。
このような付着プロセスに対する制御の欠如、結合活性のバラツキ、および吸着法によって粒子に付着させることが可能なタイプの物質に関する制限は、分析診断を目的とした当該物質の製造および使用に対して多くの問題をもたらす。おそらく、最も重要なのは、吸着技術によって調製される粒子−結合剤結合体は、極めて低濃度の検体を検出する多くの分析用途に対して十分な品質を有することができない。
付着物質の結合活性への影響が最小限に抑えながら、粒径および組成が異なる結合剤を含む任意のタイプの物質をある粒子または表面に特異的に付着させることができる方法があれば、当該技術分野において非常に有益である。粒子当たり(または、概して任意の表面当たり)の薬剤の所望の密度を達成するための方法を有することも当該技術分野において非常に有益である。加えて、これらの方法が2つ以上の薬剤の結合を可能にすることが望ましい。製造およびコストの観点から、同一の基本的基準を用いて、幅広い様々なタイプの物質を粒子に付着できるように合成手順が容易かつ安価に実施されれば極めて有用性が高くなる。
結合剤およびたいていの他の物質を金属状粒子および他の表面に特異的に付着させることを可能にする新しい方法を開発した。これらの新しい方法によって生成される粒子試薬は、非常に安定で、高度な結合親和性を保有し、非特異的結合性が低い。これらの新しい方法は従来技術の吸着手順の制限の多くを克服し、手順を低コストで容易に実施するというさらなる長所を有している。いくつかの実施形態において、これらの新しい手順は、多くの同じ物質および手順を用いて、ほぼあらゆるタイプの物質を迅速かつ簡単に粒子または表面に付着できる万能リンカー化学プラットフォームに対応する。これは、検体試験に使用される当該粒子結合剤試薬の日々の製造に極めて重要である。
以下の手順は、結合剤、または例えば抗原、抗体、レクチン、炭水化物、ビオチン、アビジン、ストレプタビジン、核酸、ペプチドおよびタンパク質、受容体、薬剤などの他の物質を含む任意の物質に適用される。該方法を用いて、たいていの物質を金属粒子、金属状粒子およびある種の非金属状粒子、ならびに巨視的な表面に付着させることが可能である。例えば、非金属状表面および粒子は、ガラス、プラスチックなどの有機または無機材料から構成されうる物質を含む。
物質を粒子または他の表面に付ける方法
i.基材分子法
この物質を粒子または他の表面に付ける方法では、基材分子の使用を含む2工程アプローチが用いられる。好適な基材分子は、吸着または他の化学プロセスにより表面に接近し、表面と相互作用することができる任意の物質で、例えば結合剤のような別の物質を付着することができる結合性官能基を有する。基材分子は、粒子に化学的安定性を付与するさらなる特性を有することもできる。一般に、基材分子は高分子の形態(1000MWよりサイズが大きい)をとるが、それより小さくてもはるかに大きくてもよい。好ましい基材分子は、高い親和性で粒子に付着し、ある程度の物理的安定性を粒子に付与し、ほぼあらゆる物質と結合する結合性化学基を保有する分子である。該化学基は、結合剤または他の物質が化学結合、共有結合または非共有結合を通じて結合するのを可能にする。例えば、共有結合は、光化学または化学結合を含みうる。非共有結合は、ストレプタビジンの如き分子による、または疎水性結合、水素結合もしくは静電的相互作用による吸着による架橋を含みうる。基材分子は、適切な化学物質または架橋剤を利用して、粒子の表面にわたっていくつかの基本単位分子同士を架橋させるのに使用できる1つまたは複数の化学基を含むこともできる。
安定性が高く、結合する物体に対して高度な結合親和性を有し、かつほぼあらゆる物質を粒子または他の表面に付着させる融通性に優れ、使い易く、低コストの方法に対応する粒子結合剤を作製するのに、基材分子結合法をどのように利用できるかを示す選定例を以下に記載する。ほぼあらゆる目的に向けた粒子結合剤試薬を合成するこの一般的な技術に多くの変形形態が存在することを当業者なら認識するであろう。この新しい方法を使用して、抗体、ペプチド、タンパク質、核酸、薬剤、および他のほぼあらゆる物質を高度に制御され、予測可能な形で粒子に付けることができる。
一例として、MWがおよそ20、000のポリエチレン・グリコール化合物の誘導体を使用した。この分子(ビス(ポリエチレンビス[3−アミノ−2−ヒドロキシプロピル]))の性質は、基材分子として使用される。この重合体の各分子は、別の物質との結合のための結合部位としての役割を果たすことができる4つのアミノ基を有する。ポリエチレン誘導体の疎水性の主鎖は、粒子と相互作用し、吸着または何らかの他のプロセスによって粒子表面に結合する。この相互作用は非常に強く、標識付け、ならびに分析および診断測定に使用した後に、この物質が粒子から分解するのを全く検出していない。アミン基は粒子表面と相互作用せず、例えば結合剤のような別の物質の結合のための結合部位として利用される。この重合体を基材として使用し、2つの異なるタイプの粒子結合剤試薬を調製した。1つの試薬は、結合剤としてビオチン基を含み、他の粒子−結合試薬は、結合剤として一本鎖核酸を含有するように構成されていた。結合に使用されるビオチンは、アミン基と共有結合するように化学的に修飾されていた。核酸は、アミン基と化学反応するように、5‘末端が化学的に修飾されていた。これらの試薬を様々な分析形式で使用し、これらの粒子結合剤試薬は、ともに、低濃度および高濃度の塩水溶液中で高度な安定性を示し、顕著な結合作用を有することを確認した。粒子−ビオチン試薬を使用した実験では、結合親和性に対する影響は検出されなかった。これは、6×10−14Mの濃度の粒子−ビオチン試薬を懸濁液に仕込み、アビジンを塗布したプラスチックの固相を溶液中に浸漬することによって測定した。2時間インキュベーションした後、固相を取り除いて洗浄した。DLASLPD照明および検出法を用いて光学顕微鏡で調べたところ、アビジンを塗布した固相に特異的に結合した粒子が検出されたのに対して、(アビジンを含まない)対照の固相には粒子は結合していなかった。これらの粒子−ビオチン試薬の使用濃度において、粒子に結合するビオチンの結合特性が実質的に低下していたとしたら、結合は認められなかったであろう。
他の例では、ゼラチンを基材として使用し、クロム酸イオンまたは脱離の可能性を最小限に抑える他の架橋剤を使用することによって粒子表面上にゼラチンを架橋させることができる。次いで、結合剤または他の物質を、結合をなすことができる結合性アミン、カルボキシル基または他の化学基に結合させるための適切な結合化学機構を使用することによって、結合剤または他の物質を粒子に結合させる。
他の例ではストレプタビジンまたはアビジンを基材として使用することができる。少なくとも1つのビオチン基を含有する化学修飾型の分子を使用することによって、結合剤などの物質を粒子に結合させる。
さらなる例において、ポリマー状物質、および例えば炭水化物、ポリアミノ酸、タンパク質などのポリマー状特性を有する他の物質を、適切な条件のもとで、溶液中の共重合体ユニットから粒子の表面に重合することも可能である。
上記すべての例について、まず結合剤または他の物質を基材に結合させ、次いで基材同士を化学的に架橋させ、または架橋させることなく、この物質を粒子表面に結合させることもできる。加えて、2つ以上の異なるタイプの基材分子、あるいは1つまたは複数の基材分子を、結合に利用可能な化学反応性基の量、および粒子結合剤の結合の化学的安定性を調整して、ほぼあらゆる分析要件を満たすことができる。
上述の例では、利用可能な物質が使用され、基材分子として使用するために選択された。当業者は、新しいタイプの基材分子を合成して、物質を粒子または他の表面に結合させるためのそれらの使用を最適化することができる。以下の改良により、より化学的安定性の高い粒子結合剤試薬、および結合した結合剤または他の物質の結合親和性に関する性能を高める結合プロセスの最適化が実現される。例えば、追加的な化学基を重合体の主鎖構造に加え、粒子表面への基材分子の結合の安定性を高める。末端または末端付近に反応性化学基を有する様々な長さのリンカー・アームを加えて、結合剤または他の物質が結合し究極的には滞留する粒子からの距離を大きくすることができる。異なるタイプの反応性化学基を基材に加えて、粒子表面にわたって、個々の基材分子を架橋させ、または結合させる能力を向上させることが可能である。
ii.金属表面に吸着する化学基を利用した粒子または他の表面に対する物質の直接的な結合
金属および金属状粒子ならびに表面に結合させる結合剤を含む多くの異なるタイプの物質を直接結合させることを可能にするさらなる方法を開発した。材料科学および関連分野において、特定のタイプの小分子(MWが1000未満)を金属表面などに結合させることができることが知られている。これらの小分子のほとんどは、小分子の一部分を金属表面に結合させる一方、他の部分を表面に結合させない特定タイプの化学基が分子内の特定位置に存在する。例えば、チオールおよびジスルフィド含有物質、ならびにn−アルカン酸および特定の洗浄性分子の如き両親媒性物質を金属表面に吸着させることが材料科学の分野において知られている(Nuzzo他(1983)、Journal of the American Chemical Society、105、4481−4483;Allara他(1984)、Langmuir、1:45−52;およびBain他(1989)、Journal of the American Chemical Society、111:321−335を参照)。物質を金属表面に吸着させる方法は、参照により本明細書に組み込まれる。したがって、結合させる物質の分子構造内の特定位置に適切な化学基を導入することによって、上記物質の結合を可能にする特性を結合剤および他の物質に付与することができる。この方法を用いれば、他の方法より特定タイプの物質がより簡単に結合される。例えば、分子構造が電荷を帯びているか、またはイオン性を有するか、あるいは分子構造の一端では疎水性を有し、他端では親水性を有するような極性を有する物質は、一般に、上記した本方法の特定の変形例において有用である。
例えば、核酸は、大きな負電荷を含む燐酸塩の主鎖を含有する。一本鎖核酸は、3‘または5’末端においてチオールまたはジスルフィドで末端標識付けされ、分子の同じ領域にさらなる疎水基が導入されている場合もあるし、導入されていない場合もある。この修飾核酸は、これらの基で標識付けされた末端において金属表面または粒子に結合することになる。核酸のイオン部は、それに対して特異的に結合することができるほぼあらゆる物質との分子相互作用に利用できるように、酢酸の分子構造の主鎖を表面から分離する。
この方法を用いて、ビオチン、ペプチド、医薬品、重合体などの他の物質を粒子に結合することができる。該方法は、一般には、本来の形態で粒子または表面と実質的に相互作用しないたいていの物質に有用である。粒子または表面と相互作用することができる物質については、さらなる方法が必要になる。例えば、特定の小分子、タンパク質などは、それらの結合作用を低下させるように、粒子または表面と相互作用することができる。該方法の1つの変形形態において、まず粒子に例えば重合体安定剤で標識付けする。この標識付けに続いて、粒子の表面に小分子物体が結合しうる開放領域が通常生じる。次いで、適切に修飾された物質を化学的に安定した粒子に加えて、所望の結合活性をまたは他の特性を付与することができる。あるいは、化学安定剤と化学的に修飾した結合剤とを所望の比率で混合してから粒子または表面と混合することが可能である。これらの方法を用いることによって、粒子または表面に結合させる物質の量およびタイプを制御して、所望の化学安定性および結合活性特性を備えた塗布表面または粒子を生成することができる。
様々な長さおよび組成のリンカー・アームを分子構造に導入することも可能である。例えば、その分子構造が、粒子または表面に結合させるために、ほぼあらゆる物質を任意の所望の配向で、また高度な結合活性維持しながら結合させるために最適化される小分子量ベースの物質分子を使用することができる。一例として、ジスルフィドまたはチオール化学基を加えることによって、アミノ酸20個の長さの線状ポリペプチドを一端において化学的に修飾する。天然のポリペプチドはアミノ酸から構成され、化学的に修飾された末端を除いてはポリペプチド鎖が表面と相互作用することはない。他の末端においては、遊離アミノ基が存在し、あるいはほぼあらゆる物質をこの位置で結合できるような所望の結合プロセスのために化学的に修飾されている。次いで、この低分子量ベースの物質分子は、本明細書に記載されている方法の1つまたは複数の変形形態に使用される。
基材分子結合方法、および本明細書に記載される直接結合方法は、粒子および他の表面に結合させることができる物質の量、タイプおよび配向のより特異的な制御を可能にする。さらなる利点は、これらの方法は、結合する結合剤の結合親和性を高レベルに維持する粒子結合剤試薬の合成に対応することである。
小分子量またはより大きな分子量をベースとした物質分子を利用した基材分子法の重要な特徴は、基材分子を適切に選択、利用することで、基材分子は、ほぼあらゆる物質を粒子または表面に結合させることが可能な万能リンカー・プラットフォームとしての役割を果たしうることである。この機能は、検体を試験するための粒子ベース試薬の日々の製造において極めて重要になる。当業者は、化学基、分子量、分子構造、標識付け反応条件、および使用される化学結合のタイプ(すなわち架橋、共有結合など)を変えることによって達成することができるこれらの新しい結合方法の多くの異なる変形形態を認識するであろう。
本発明の他の重要な態様は、粒子結合剤試薬の表面の表面電荷、親水性および疎水性を定める能力である。例えば、核酸分析に光散乱粒子−核酸試薬を使用するに際して、試薬を標的核酸に結合させるために、表面電荷および関連する物理的特性を慎重に制御する必要がある。多くの核酸分子が粒子の表面に結合すると、粒子は、ハイブリダイゼーション反応に使用される典型的な溶液において大きな負の表面電荷を有することになる。このような大きな電荷は、電荷反撥効果により、粒子−核酸試薬の標的鎖に対する結合反応を妨害するおそれがある。表面に結合する基の組成およびそれらの相対的な量を用いて、粒子−結合剤試薬の表面電荷をほぼあらゆる用途に適合するように調整することが可能である。例えば、核酸分析の場合は、基材分子結合法を用いて、一定量の核酸分子を粒子に結合させ、核酸分子が結合していない他の基材分子を、核酸を含有する基材分子と特定の比率で混合し、表面電荷、親水性および疎水性の特定の特性を有する粒子−核酸試薬を生成する。ここに示される例以外にも、結合剤を粒子の表面に結合させ、表面電荷を調整する方法には多くの変形形態があることを当業者なら認識するであろう。
光散乱粒子を用いたマイクロアレイまたはマイクロパターン分析
マイクロアレイまたはマイクロパターン分析法は、固相の個別的な空間的アドレス可能領域を用いて、異なるタイプの検体を検出する。例えば、各々の空間的アドレス可能領域またはマイクロスポットは、異なるタイプの抗体、受容体、核酸などを含むことができる。固相上の空間的アドレス可能領域の構成は、固相のサイズ、検体または使用される様々な領域の数、および検出方法によって決まる。特定のタイプの結合剤を含む各々の空間的アドレス可能マイクロスポットは、マイクロアレイを作製する方法に応じて、正方形、円形または任意のパターンの形状に形成されうる。寸法は、数平方ミクロンから数平方ミリメートル、あるいはさらに大きな寸法とすることができる。単一検体検出に使用され、固相に結合した検体の量に関連づけられる固相信号を測定することによって最終的な定量が行われる多くの固相形式のうちのいずれかを用いてマイクロアレイ法を実施することができる。実際、マイクロアレイ法の一般的な分析工程は以下のように行われる。マイクロアレイを検体試料、例えば血清に接触させ、適切なインキュベーション期間後に、アレイを洗浄し、第2の検体結合物体に接触させる。1つの形式では、第2の検体結合物体を、光散乱特性が検出される光散乱粒子に結合させる。次いで、各マイクロスポットに結合した光散乱粒子の数を各マイクロスポットに存在する検体の量の尺度とし、試料中の検体の濃度に関連づけることができる。他の形式では、第2の特異的検体結合物体を光散乱粒子に結合させない。この後者の形式では、第2の特異的結合物体に特異的に結合する第3の物体を光散乱粒子に結合させる。この第3の物体は、例えば、第2の物体と共有結合したビオチンに特異的に結合するストレプタビジンであってもよい。第3の物体を光散乱粒子に結合させて第2の物体を検出するのに用いることのできる他の多くの分析法が存在する。これらの形式のいずれかにおいて、各マイクロスポットに結合した光散乱粒子の数に関連する光散乱信号を測定することによって、各マイクロスポットに結合した検体の量を求める。
マイクロアレイ内の各マイクロスポット上の光散乱粒子の数を検出するのに様々な方法を用いることができる。各スポットに結合した検体の量は、最終分析工程において、各スポットに結合した光散乱粒子の数から求められる。概して、光散乱粒子をアレイ内の異なる領域から分離するために何らかのタイプの撮像システムが必要になる。これは、試料の1つまたは複数の領域を画像化する画像光検出器の使用、あるいは試料の1つまたは複数の領域を照明、検出し、各走査サイトで検出された光散乱信号を記録する走査手法を必要とすることもある。画像化および粒子の定量に多くの異なるタイプの形式を使用することができる。方法の選択は、求められる精度、および1日に分析すべき試料の数に依存する。求められる精度は、単に陽性か陰性かという答えのみが求められる低レベルの精度から、ある精度で検体の量を測定しなければならない高レベルの精度までの幅を有する。それぞれの画像化および粒子定量形式の例を次に説明する。
任意の画像化方法に合わせてマイクロアレイに特殊な特徴を導入することができ、例えばアレイ内のいくつかのマイクロスポットの化学組成を較正用の既知の大きさの背景信号を生成するように処方し、あるいはアレイ内のいくつかのマイクロスポットの化学組成を、既知の量の検体および/または粒子を含む較正スポットとしての役割を果たすように処方することができる。これらのスポットからの信号を使用して、入射光強度、マルチ・マイクロスポット・アレイ・キャリア間の光透過量、集光効率、および試料毎の検出器感度のバラツキに対する補正を行う。
次に、マイクロアレイおよびアレイ・チップに応用されるいくつかの特殊な画像化および光散乱粒子定量法を説明する。
a.単純な光学顕微鏡を用いたDLASLPD法
i.スポット上の粒子表面密度が低い場合(0.1個/μ 未満)
調査対象となる試料の数が多くなければ、目視、または各スポット上の粒子の数に対する他の計数法によって各スポットにおける粒子の数を測定することができる。背景の計数も行われる。計数は、液体被覆マイクロアレイまたは乾燥したマイクロアレイ上で行うことができる。陽性であると見なされるマイクロスポット当たりの粒子の数は前の実験で定められている。調査対象試料が多い場合は、単純なビデオ検出器およびオブジェクト計数ソフトウェアを使用して計数を自動的に行うことができる。
ii.スポット上の粒子表面密度が高い場合(0.1個/μ を上回る密度)
陽性か陰性かという分析では、各スポットからの強度を目視観察または光検出によって検出することができる。強度が背景の強度より大きい場合は結果は陽性となる。定量結果が必要で、かつ調査対象試料がさほど多くない場合は(例えば、寝台、野外、小規模なクリニックまたは研究室での試験の場合)、観察ポートが2つの顕微鏡を使用するマニュアル技術を以下のように用いることができる。単一マイクロスポットを細光線で照明する。1つの観察ポートから目視観察によってスポット上に光線を配置し、迷光信号のレベルに応じて、空間濾過開口部を備えた、または備えていない感光デバイスにより強度を定量的に測定する。光線を通じて各スポットを手操作で走査することにより、各スポットからの散乱光強度を測定する。あるいは、光線を手操作で走査し、検出器領域の焦点を照明スポットの焦点に合わせながら、大領域光検出器または小領域検出器で各スポットから検出された光を検出することが可能である。これを自動化することも可能である。分析対象となる試料が多い場合は、マイクロアレイを太い光線で照明し、ビデオ・カメラおよびフレーム・グラバを介してマイクロスポット・アレイの画像をデジタル化することが可能である。次いで、ソフトウェア画像解析によって各マイクロスポットの強度を測定する。我々は、これらの方法は、非常に高感度で幅広い濃度の1つまたは複数の試料中の検体を検出することを可能にすることを確認した。該方法の他の多くの変形形態が可能であることを当業者なら理解するであろう。
検体のマイクロアレイおよびアレイ・チップ検出における特定タイプの金属状粒子の使用
マイクロアレイを用いた作業の中で、我々は、金属状粒子は好ましい光散乱粒子であることを見いだした。具体的なマイクロアレイ用途に使用される粒子タイプの粒径、形状、組成および均質性は、主に、試料中の非特異的背景光の量;マイクロアレイが乾燥状態であるか、液体で覆われているか;それぞれの固相結合領域の寸法;検出される検体の量および濃度;肉眼による検出、または光検出器による検出、ならびに粒子計数および/または強度測定による測定に依存する。
一例として、緩衝液で覆われたマイクロアレイ形式のプラスチック固相上のストレプタビジンを含む直径80ミクロンのスポットに、BSA−ビオチンが塗布された直径60nmの単一金粒子が結合されているのを容易に検出することが可能であった。DLASLPD条件の自製の照明装置、および我々が開発した安価な顕微鏡システムを使用した。BSA−ビオチンが塗布された直径60nmの低密度の金粒子が結合したマイクロアレイ・ストレプタビジン・マイクロスポットにおいて、結合粒子の数をカウントした。より高密度では、個々のストレプタビジン・マイクロスポットに結合した粒子から生じる散乱光の強度を測定した。信号対背景比が13のレベルで、約0.06個/μの密度までの粒子を検出した。これは、このタイプの分析では、信号対背景比が約3のレベルで、約0.0015個/μまでの密度が検出可能であることを示唆するものである。非常に高密度の結合粒子の検出も行った(直径80ミクロンのマイクロスポット当たりの利用可能な結合部位の飽和)。同じタイプのマイクロアレイ分析を乾燥形態で(液体に覆われていない状態で)行うためには、同じ感度を達成するのにより高度な光散乱能を有するより大きな直径の金粒子または他の金属状粒子が必要とされることもある。また、HeNeレーザの如き600nmを上回るより長い波長の光源を照明に使用することや空間濾過を行うことも有益であるといえる。
小形のハンドヘルドまたは他のタイプの携帯式デバイスを使用することによる試料の検出に対しては、当業者は典型的に当該デバイスに低電力光源を使用しなければならないため、求められる感度レベルによってはさらに大きな粒子を使用することが求められることもある。
マイクロアレイ形式における多検体検出では、異なる濃度の検体が、1、000から1、000、000、またはそれをさらに上回る非常に大きな濃度差で存在しうる。そのような状況では、光散乱能および粒子の相対的粒径が極めて重要になる。例えば、個々の結合領域が約100平方ミクロンのアレイ・チップまたはマイクロアレイ上で多検体を分析している場合は、この100平方ミクロンの領域に結合しうる粒子の数は、使用される粒子の粒径に大きく依存する。例えば、40nmの粒子を結合飽和量で使用する場合は、約79、600の粒子をこの領域に結合させることができる。しかしながら、120nmの粒子を使用する場合は、その領域にはわずか約8、800の粒子しか結合させることができない。非特異的背景光および粒子に対する非特異的結合の量に応じて、確実な測定に向けてその領域に結合させるべき粒子の最小限の数は大きく変動しうる。例えば、特定の状況において、陽性の検出結果を得るためには、数千個以上の粒子をマイクロアレイ上の結合部領域に結合させる必要がある。したがって、より大きな粒子を使用すると、検体の検出性が制限される。寸法の小さい結合部領域では、十分な信号/背景比を与える使用可能な最小粒子を使用しなければならない。加えて、光学および空間濾過、共焦点画像作成、より強力な光源および他の機器構成要素を最適化して、検出限界を高めることができる。同様に、2つ以上の検体が非常に大きな濃度差で存在する場合は、適切な粒径および光散乱能を有する異なるタイプの粒子を使用する必要が生じることもある。
これらの例は限定するものではなく、様々な用途において、特定のタイプの金属状粒子を選択することで、マイクロアレイ分析および多検体の検出に対する特定の試験キットが得られることを示すものである。アレイ・チップおよびマイクロアレイ上の多検体を検出する本発明の方法の他の多くの変形形態が存在することを当業者なら認識するであろう。
他の照明および検出方法に対する本発明の特定の態様の使用
この発見は、本発明に開示されたような最適な照明および検出方法およびシステムを使用しなくても、当該技術分野の既存の診断検出方法および装置に本発明の様々な態様を使用できることを意味する。例えば、レーザ共焦点顕微鏡法、明視野およびエピ照明顕微鏡法、および反射コントラストおよび微分干渉コントラスト顕微鏡法を特定タイプの金属状粒子に用いて、マイクロアレイ・チップ上の多検体等の測定を行うことができる。
例えば、米国特許第5,432,099号(Ekins)(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている共焦点顕微鏡を使用することができる。一般に、当該共焦点顕微鏡法は、視野照明ではなくポイント照明に依存し、エピ照明による蛍光モードで通常機能する。通常、検出すべき信号が非常に弱いため、検出器は光電増倍管である。光源は、しばしばレーザである。本発明では、(通常の共焦点顕微鏡法に比べて)信号が極めて強く、光源がレーザである必要がなくても、共焦点顕微鏡と同じくらい複雑な装置を使用することができる。明らかに、我々が見いだしたように、当該装置を使用することで、本発明に記載されたように粒子がより感度良く検出され、迷光の問題が最小限に抑えられる。
したがって、他の例では、生体チップを使用して標的分子を検出するためのFodor他、Nature 364:555(1993)に記載の手法を用いることもできる。
これらの方法は、本発明の1つまたは複数の態様と組み合わせると、方法および装置のコストおよび使い易さが問題とならない特定のマイクロアレイ分析用途において有用である。我々は、これら上述の当該技術分野の既存の技術が金属状粒子および/または屈折率増大法および/またはオートメタログラフィーおよび/または現行の発明の他の態様とともに用いられた例を聞いたことがない。したがって、これら先述の当該技術分野の既存の検出方法および装置を本発明の1つまたは複数の態様とともに使用することを主張するものである。
マイクロアレイへの応用に向けた本発明の他の改造形態
本発明の方法は、マイクロアレイ形式を用いて1つまたは複数の検体を検出する優れた手段を提供する。以下の方法は、特定の分析用途において有用であるさらなる変形形態を提供する。
単一または複数の光ファイバー・ベースの装置が構築されるように照明および検出法を小型化することができる。これは、画像化検出法の代替法になる。
二次元アレイ、または他のタイプの固相空間的アドレス可能システムを使用する上での1つの問題は、マイクロアレイの異なる領域間の信号クロストークの問題である。いくつかの原因、例えば(1)光散乱物質または蛍光物質を含む個々の領域が密に接しているため1つの領域に見えること、または(2)1つの領域が大量の光散乱粒子または蛍光を含む一方、他の近隣領域に含まれる光散乱粒子または蛍光物質は非常に小量であることによりクロストーク、グレアまたは他の類似の問題が発生しうる。領域同士がどの程度近接しているかに応じて、非常に高輝度の領域から到来する光の一部が、より強度の低い光を発する領域の検出器に拾われることになる。
当該技術分野における1つの解決策は、走査プロセスを用い、各空間的アドレス可能サイトから到来する光信号を該サイトが照明されているときに個別的に記録することによって、各々の空間的アドレス可能固相サイトを個別に照明することである。これは、光線または試料を移動させることにより異なる領域を走査することによって達成することが可能である。しかしながら、これらの走査メカニズムは通常複雑で、分析法のコストを著しく増加させるとともに手順を複雑にし、臨床試験室または活動度の高い研究室の日常の厳しい業務にとってはコストが高く、さほど効果的であるとはいえない。
次に、本発明のさらなる変形形態の例を説明する。光ファイバーは、測定対象領域に近づくと、該領域からの放射蛍光または散乱光が試料表面の反対側から検出されるように、一端において好適な角度で傾斜し、個別的な照明源として利用される。この構成は、領域の特異的な照明を可能にし、上述のクロストークの問題を取り除く。それは、また、ビデオ・カメラの如き撮像タイプの検出器の必要性を取り除き、任意のタイプの光検出器が使用できるようになる。一例として、24個のマイクロスポットまたは測定対象の個々の領域のアレイに対しては、24個の個別的な照明ファイバーが各スポットに1つずつ使用される。必要なことは、それぞれのスポットを互いに異なる時間に照明することだけである。このようにして、光ファイバーの直径の約1/2までのいくつかの小さな空間的アドレス可能領域を測定することができる。
エピ照明、または例えば共焦点撮像のような類似の方法を用いることが望まれる該方法の他の実施形態では、光ファイバー上の一端に非常に小さな撮像レンズを配置することによってシステムを小型化し、次いでマイクロアレイの所望の領域から散乱光または蛍光を測定することができる共焦点条件を達成することが可能である。マイクロアレイ表面上で測定される領域については、単一の光ファイバーをマイクロレンズに使用して入射光を伝達し、検出される放射蛍光または散乱光を集光する。同時に表面の複数の領域を検出することが望まれる場合には、上述したように複数の光ファイバーを使用することが可能である。
先述の説明例は、本発明の多くの可能な変形形態の数例にすぎないことを当業者なら認識するであろう。
本発明の用途
本発明を使用して、広範囲な標的検体の検出および測定を行うことができる。これらの検体は、有機および無機化合物、ウィルス、バクテリア、細胞、タンパク質、ペプチド、ホルモン、タンパク質−脂質複合体、核酸、医薬品、薬物標的、脂質、炭水化物および炭水化物含有物質、抗体、抗原物質などであってもよい。これらの標的検体の検出および測定を行うために多くの異なるタイプの分析法が開発された。免疫測定法、核酸分析法、他の多くのリガンド−受容体分析法は当該技術分野においてよく知られている。これらのタイプの分析法は結合対または分子識別型分析法としても知られる。結合対の一方をプローブとして使用して、そのパートナの存在を検出、測定する。分析形式および検出標識の多くの変形形態が当該技術分野において知られている。多くの結合対ベースの分析法では、標的に対するプローブの結合対形成の直接的な結果として(例えばプローブに直接貼付された検出標識)、または間接的な結果として(例えばプローブまたはプローブ−標的複合体に対する二次的な結合対の使用)検出可能標識を標的検体に貼付する。
本発明を何らかの形態で使用するために、検出可能な光散乱粒子の標的検体への結合は一般に以下の3つの方法の1つによって達成される:(1)結合対のプローブ分子(例えば抗体分子、相補的核酸配列など)に1つまたは複数の検出可能光散乱標識を含有させる;(2)プローブ・メンバを1つまたは複数の二次結合対のメンバで標識付けする;(3)1つまたは複数の光散乱検出標識を抗体、核酸挿入物質、核酸結合タンパク質、またはプローブ−標的検体複合体に対して特異的な結合特性を有する他の薬剤に含有させる。二次的な結合対の例としては、ビオチンおよびアビジン/ストレプタビジン/アンチビオチン抗体;ジゴキシニンおよびアンチジゴキシニン抗体;フルオレセインおよびアンチフルオレセイン抗体が挙げられる。
次に、広範囲な検体の検出および測定に対する本発明のいくつかの応用例を開示する。以下の例および説明は限定するものではなく、本発明の1つまたは複数の形態の幅広い有用性を示すことを目的としている。本発明の多くの変形形態が存在することを当業者なら理解するであろう。
核酸検出および分析への応用
核酸の検出および分析は、過去数年間にわたる集中的な取組みにもかかわらずまだ問題がある。多くの状況において、存在する核酸配列の量は非常に少なく、配列の複製物の数はおそらく細胞または生体毎にわずか数個または1つにすぎない。核酸配列の存在の検出を可能にするために、高度な「標的増幅方法」、例えばPCR、NASBA、TMAおよび他の核酸配列増幅技術を使用しなければならない。これらの方法は分析を著しく複雑にし、慎重な制御および監視を必要とする。信号増幅技術も開発された。化学発光、電子化学発光、および酵素系比色または蛍光信号増幅システムがその例である。標的増幅技術の場合のように、信号増幅技術は慎重に応用、使用されねばならず、干渉を受けやすく、活性が大きく変動しやすい。
我々は、ハイブリダイゼーション技術を本発明の1つまたは複数の変形形態と併用することによって、従来可能であったものに比べて、特定の標的核酸配列をより容易に、より高い検出感度で検出、測定することができることを発見した。所要時間がより短くより単純な方法を用いてより高い検出感度を確保できれば、医学、生物学および生化学の研究、医薬品の発見および開発、獣医および臨床診断、農業、食品、水、工業および環境科学を含む多くの異なる分野における核酸のより広範囲な検出および分析が可能になる。
ハイブリダイゼーション技術と本発明の何らかの形態とを組み合わせることで、RNA、DNAの特定の核酸配列、および他の核酸配列の識別および測定が可能である。例えば、HnRNA(異質RNA)、tRNA(転移RNA)、mRNA(メッセンジャーRNA)、リボソームRNA(rRNA)およびDNAを検出、測定、分析することができる。DNAへの応用では、遺伝子、多型現象、結合パターン、遺伝子突然変異、異常遺伝子、他の関連配列、および1つまたは複数の遺伝子の発現レベルを検出、測定、分析することができる。本発明とハイブリダイゼーション法とを併用して、例えばオリゴヌクレオチド、cDNAなどのような化学的または生化学的手法によって合成される核酸配列を検出、測定、分析することも可能である。
核酸ハイブリダイゼーション法は、核酸配列の検出および識別に極めて有用である。ハイブリダイゼーション法およびハイブリダイゼーション分析は、互いに相補的な2つ以上の核酸鎖の間に二本鎖構造、およびさらには三本鎖構造を形成させる核酸の特異的な物理化学的特性を利用している。ハイブリダイゼーション法の多くの異なる変形形態が存在し、ハイブリダイゼーション分析を実施するための多くの異なる分析形式が開発された。当該技術分野で知られているこれらの方法は、参照により本明細書に組み込まれている。
ハイブリダイゼーション分析では、既知の配列を有する核酸配列を「プローブ」として使用して、プローブ核酸配列の1つまたは複数の領域に対して相補的な配列を有する試料中の「標的」配列を検出する。プローブ核酸配列が試料に加えられ、プローブ核酸配列は、試料中に存在すれば、相補的な標的配列に結合する。ハイブリダイゼーション反応に続いて、検出標識を使用し、プローブ−標的複合体を識別することによってプローブ−標的複合体の検出および測定を行うことができる。通常、これには、プローブ核酸、または検出可能なレポーター・グループを有するプローブ−標的複合体の直接的または間接的標識付けが含まれる。核酸検出の技術分野におけるよく知られたレポーター・グループとしてはラジオアイソトープ、蛍光分子、化学発光および電子発光分子、および比色、蛍光または発光信号を生成する酵素が挙げられる。
光散乱粒子を核酸分子に直接結合させるいくつかの異なる方法を本明細書に開示した。さらなる直説的方法としては、光散乱粒子の表面に対して化学結合またはその他の結合を形成するのに用いられる新しい化学基に対する核酸の1つまたは複数の化学基の化学的または光化学的修飾が挙げられる。例えば、カリフォルニア大学(サンディエゴ)のJacksonが博士論文(1991年)に記載したアミノ基転移法を用いて、シトシン残留基上に反応性アミノ基を生成させることができる。この方法は、参照により本明細書に組み込まれている。光散乱粒子を核酸配列に結合させる多くの異なる方法が存在することを当業者なら認識するであろう。
あるいは、上述した二次的な結合対を使用する。例えば、1つまたは複数のビオチン分子、蛍光またはジゴキシニンが、(1)これらを含む個々のヌクレオチドを標的核酸配列の合成に使用すること;(2)それらの基を化学的または光化学的に反応させて標的核酸配列または3’もしくは5’末端を形成すること;(3)生化学的方法を用いてそれらの基を導入することを含む当該技術分野の既知の技術のいずれかによって、標的核酸配列に導入される。これらの方法は、参照により本明細書に組み込まれている。
核酸配列の検出および識別
核酸の検出に応用する上で光散乱標識をレポーター・グループとして使用することが知られている。例えば、米国特許第5,599,668号、およびStimpson他、Proc.Natl.Acad.Sci.、USA、6379−6383(1995)には、光散乱標識を消散波(evanescent)導波管デバイスに使用して核酸ハイブリダイゼーションの検出を行うことが記載されている。
それらの文献では、消散波照明によって、蛍光ベースの検出感度に相当するnM検出感度が達成されることが主張されている。消散波技術に伴う多くの問題が当該技術分野でよく知られており、商業的な診断または研究用製品があまり存在しないことも複雑さ、使いにくさ、および当該システムに伴う他の問題を実証するものである。
本発明は、消散波法の限界の多くを克服した。特定の形態において、本発明は、単一の光散乱粒子、および個別的な単一の分子結合事象の検出が可能である。当該技術分野で知られた消散波および蛍光技術に比べた場合の本発明の利点としては、多くの異なる検体タイプ、分析形式およびデバイスに対する幅広い有用性、実質的な複雑さの緩和、使い易さの向上、検出感度の向上、およびコストの削減が挙げられる。
例えば、本発明とハイブリダイゼーション法を利用して、非常に小量の標的核酸、さらには溶液中の2つの相補的核酸配列の間の単一分子結合事象を検出することが可能であった(実施例32を参照)。
本発明を利用した固相の核酸分析法の変形形態において、ポリイノシン(ポリ(I))またはポリシチジル(ポリ(C))核酸配列をガラスの顕微鏡スライドの小さな領域に結合させた。スライドにポリリシン溶液を塗布し、スライドを空気乾燥し、次いで1から2マイクロリットルの核酸溶液の小滴をスライドに滴下することによって、直径2から4mmの「捕獲」核酸配列のスポットを作製した。液滴をインキュベーションした後に、スライドを洗浄し、次いでブロッキング液を使用して、スライドの表面を非特異的結合からブロックした。一実施形態において、標的核酸を光散乱粒子で標識付けする。標的核酸光散乱粒子結合体を含む試料を、相補的固定プローブを含むガラス・スライドに塗布する。インキュベーション後、スライドの捕獲核酸領域における光散乱粒子からの光散乱信号の検出および測定を行うことによって標的核酸の存在および量を測定する。例えば、直径2から4mmのポリ(I)核酸配列のスポットを固定捕獲プローブとしてガラス・スライド上に配置した。直径80nmの金粒子に結合したポリ(C)核酸配列を標的として使用した。金粒子で標識付けされたポリ(C)標的を含む一定量の試料をスライドの表面に塗布した。スライドをカバースリップで覆って、我々の照明および検出法(DLASLPD)に合わせて特別に改造した光学顕微鏡に配置した。数分後、ポリ(C)−80nm結合体がスライド上のポリ(I)捕獲プローブ領域に結合すると、スライド上の個々のポリ(I)捕獲スポットが目に見えるようになった。驚いたことには、顕微鏡ステージ上のスライドを裸眼で直接観察することによって、試料溶液を除去することなく捕獲スポットを見ることができた。ポリ(I)捕獲ゾーンは、時間が経過するにつれて非常に明るくなった。顕微鏡を通じてスライドを観察すると、個々の粒子がスライドに結合されているのを観察することができ、また表面に拘束された粒子に対して想定されるように、結合された粒子の多くがわずかに移動しているのを観察することができた。スライドを洗浄し、それを緩衝液およびカバースリップで覆い、それを再び顕微鏡に配置した。いくつかの方法により、ポリ(I)捕獲スポットにハイブリッド結合した標的ポリ(C)−金粒子結合体の量を検出、測定することが可能であった。1つの方法において、顕微鏡の照明ステージ上に配置されたスライドを観察することによって、スポットからの相対的光散乱信号の検出および測定を裸眼で行うことができた。他の方法では、顕微鏡を通じて目でスポットを検出し、各スポットからの相対的散乱光強度を測定することが可能であった。他の方法では、粒子を視覚化できるように、顕微鏡の倍率を大きくした。次いで、各スポットにおける粒子の全数を目でマニュアル的にカウントした。他の方法では、ビデオ(CCD)カメラの形態の光検出器を使用して、スライドの画像を収集した。フレーム・グラバおよび画像処理ソフトウェアを使用して、スライド表面のデジタル画像を作成した。デジタル化データ・ファイルは、コンピュータまたは他の記憶媒体およびデバイスに格納される。画像をコンピュータ画面上で観察し、目視検査を行い、かつ/または画像処理手段を使用することによって解析することができる。様々なプリンタ・デバイスおよび印刷媒体を使用して、画像をプリント・アウトすることもできる。デジタル化データから、様々な方法を用いることによって、各捕獲スポットまたはスライド上の他の任意の領域からの光散乱信号の量を測定することが可能であった。例えば、1つの方法において、市販の画像解析および画像処理ソフトウェアを使用して、コンピュータ画面上でスライドのデジタル化画像を観察した。スポットの相対的な輝度を比較することによって、スライド、または異なるスライドの異なるデジタル化画像上の異なるスポットにおける相対的光強度を裸眼で測定することができた。他の分析法において、市販のソフトウェアを使用し、我々が様々なパラメータおよびパラメータ定数の組合せ、変数およびアルゴリズムを導入した様々なユーザ関数を選択して、異なるスポットの光散乱信号を分析した。例えば、スポットのデジタル化画像の集積光強度を以下のように測定した。描写ツールを使用し、光散乱粒子を含む画像スポットの境界の周囲に円を描き、解析対象となるスポットとしてそのスポットを識別した。画素毎の輝度または光強度に関するソフトウェアの検出限界を、光散乱粒子が結合しない類似サイズの対象スポットを反映するように調整した。これは、スライド系の背景信号としての役割を果たした。次いで、様々な測定関数を使用してスポットの全光強度を積分した。あるいは、スライドの背景に対して設定された背景限界検出レベルを用いずにスポットの集積光強度を測定し、次いで背景からの信号を、スポット毎に測定した全集積光強度から差し引く。
多くの画像において単一粒子を観察することができた。スポット内の光散乱粒子の相対量、および/またはスポット毎の散乱光強度の相対量を測定するために、以下の方法を用いた。オブジェクトを識別するためのソフトウェアの描写ツールを使用し、個々の粒子の周囲に円を描き、次いで画像化した粒子の粒径(面積)、光散乱信号の強度(単位面積当たりの検出強度の量)、および検出した散乱光の赤、緑および青成分に関する色スペクトルのような様々な測定可能パラメータに対してそれらを解析した。識別された粒子のわずかな部分に対してこれらの測定パラメータのうちの1つまたは複数のパラメータを使用して、これらのタイプの測定に対する較正パラメータを導いた。次いで、これらの較正パラメータのうちの1つまたは複数のパラメータを、どのオブジェクトを光散乱粒子として識別するかに関する限界値としての役割を果たすように、ソフトウェアに入力した。この手法を用いて、解析のための描写ツールにより捕獲スポットを選択した。我々の設定較正パラメータを用い、ソフトウェアを使用して、捕獲スポットにおける光散乱粒子を識別した。この手法に従って、捕獲スポット毎の粒子の数をカウントするとともに、捕獲スポットにおける識別された光散乱粒子の検出された光散乱信号を合計することが可能であった。驚いたことに、粒子を直接カウントする方法、またはまず粒子を識別してから個々の粒子強度を合計する方法を用いることにより、スポット全体の集積光強度測定手法に比べて、非常に高い信号対背景比が得られた。スライド内、または多くの異なるスライドまたは試料間で比較可能な定量測定では、特定領域においてスライドに内部較正ゾーンを付加することができる。較正領域は、光散乱粒子、またはスライド、アレイ・チップ、または測定される任意の固相表面上で試料毎に一定の較正データを生成することが確認されている他の任意の物質から構成されうる。較正領域は、(1)光散乱強度を検出し、光散乱粒子を識別するための較正パラメータを設定し;(2)試料に伝達される照明光の量を調節し;(3)光検出器のゲインを調節し;(4)照明光強度および検出効率の変動に対して様々な試料ゾーンの測定光散乱強度を正規化するのに利用される。単一粒子を識別できる密度における光散乱粒子の超高感度検出では、個々の粒子の光散乱強度をカウントかつ/または合計する方法が、信号/雑音比に優れるため好ましい。
あるいは、光増倍管またはフォトダイオードの如き他の光検出器手段を用いて各スポットの集積光強度を検出することもできる。この方法において、光散乱粒子からの信号を検出するために、例えばFodor他、Nature 364:555(1993)に記載されているようにスライドを走査することができ、あるいは例えば米国特許第5,599,668号(Stimpson他)に記載されているように、各光検出器が1つのスポットから到来する信号を検出するフォトダイオードまたは他の検出器のアレイを作製することができる。これらの方法は、参照により本明細書に組み込まれている。
該方法の他の変形形態では、本発明を利用してサンドイッチ型分析形式が可能であるかどうかを判断しようとした。サンドウィッチ型の形式では、配列の異なる領域に対して相補的な2つ以上のプローブ核酸配列が使用される。サンドウィッチ型核酸分析を以下のように実施した。ポリ(C)配列をガラス・スライド上の2から4mmの小スポットに結合させた。固定化されたポリ(C)の機能は、プローブとして機能して、試料中に存在する標的ポリ(I)核酸配列を捕獲することである。これらの実験に使用されたポリ(C)およびポリ(I)配列は、長さに関する異質な集団であること、またポリ(I)の平均長さは、ポリ(C)の平均長さより数百塩基分長いことに留意されたい。したがって、ポリ(I)分子の多くについては、2つ以上のポリ(C)分子を同じポリ(I)分子に結合させることができるはずである。検出プローブ核酸配列として、80nmの金粒子をポリ(C)核酸配列に結合させた。ポリ(I)捕獲スポットに存在する光散乱信号の量を検出することによって、溶液中の標的ポリ(I)核酸配列の存在および量の検出および測定を行う。あるいは、溶液中に残留する未結合のポリ(C)−粒子プローブの量を測定し、または溶液中に残留する量に結合する量の合計を用いることができる。2つの方法のうちの一方の方法でサンドウィッチ分析を行った。第1の方法では、標的ポリ(I)とプローブ・ポリ(C)−粒子を混合し、次いでスライドに塗布した。第2の方法では、ポリ(I)標的をまずスライドとともにインキュベーションし、次いでプローブ・ポリ(C)−粒子を加えた。これらの方法のいずれかを利用して、ポリ(C)−粒子がスライド上のプローブ捕獲スポットに結合していることを確認し、先述した様々な方法を用いてその量を測定することが可能であった。
本発明の他の実施形態において、ハイブリダイゼーションによる配列法(「SBH」)、およびAffymetrix社が製造した特殊なオリゴヌクレオチド・アレイ・チップを使用することによって、試料中の標的核酸配列の検出、測定および定量を行った。ハイブリダイゼーションによる配列法は米国特許第5,202,231号および米国特許第5,525,464号(Dramac他)に開示されており、同様の関連方法も当該技術分野においてよく知られており、参照により本明細書に組み込まれている。チップの表面上の小領域に結合した特殊なオリゴヌクレオチド配列の複数の繰返しアレイから構成されるAffymetrix可変密度1164チップを使用した。チップ上に適切な配列を配置することによって、実際に、試料中の任意の核酸配列を分析することができる。1164チップは、表面上に数千もの個別結合領域を含み、それぞれの結合領域は、表面上に固定された既知の配列および長さのオリゴヌクレオチド核酸配列の多くの複製物を含む。結合領域の大きさは、約100×100ミクロンから約20×20ミクロンの範囲にある。Chee他、Science:274、610−614(1996)に記載されているように、アレイの共焦点撮像および走査を含む蛍光技術を用いて、チップ上の結合領域の検出および測定が行われる。
SBHオリゴヌクレオチド・チップおよび他の核酸アレイの普及に対する現在の課題は、現行の測定および手順を簡素化すること、全体的なコストを低減すること、および検出感度を高めることに関連づけられる。これらの課題を克服できれば、オリゴヌクレオチド・アレイおよび関連するアレイ技術を使用することが、感染病検出、遺伝子分類、遺伝子突然変異分析および多型現象分析を含む用途に対する分子レベルでの疾病診断に非常に重要な役割を果たすことができる。
以下のように、試料中の20塩基長の標的核酸配列の内部の10塩基配列の検出、測定および定量を行った。標的配列として、20塩基長のDNAオリゴヌクレオチドを使用した。該方法のこの変形形態では、ビオチンおよびアンチビオチンを第2の結合対とする間接的な検出法を用いた。ビオチン分子を結合対の一部として標的に結合させ、平均粒径70nmのアンチビオチン−金粒子結合体調製物を検出プローブとして使用した。ビオチン基を標的核酸の一端に結合させた。以下のように分析を行った。ブロッキング液でAffymetrix 1164チップをブロックして非特異的結合を最小限に抑えた。20塩基長の標的核酸配列を含有する試料を、ブロックされたAffymetrix 1164オリゴヌクレオチド・アレイ・チップとともにインキュベーションした。ハイブリダイゼーションに続いて、緩衝液でアレイ・チップを洗浄した。次いで、金粒子−アンチビオチン結合体をチップに加え、短時間インキュベーションした後、除去し、チップを緩衝液で洗浄した。DLASLPD法の多くの変形形態を用いることによって、チップ上の個々のオリゴヌクレオチド結合部位の各々にハイブリッド結合した標的核酸配列の量を検出、測定することができた。1つの変形形態において、人差し指と親指で1164チップを保持し、倍率10の対物レンズを備えた顕微鏡照明装置を使用した。我々の目に届くほとんどの非特異的散乱光が最小限に抑えられ、十分な照明光がそれを検出するチップへ伝達されるように、チップの表面を光源の光線に対して傾斜させた。この方法を用いて、アレイ内の散乱光を検出することができ、裸眼で個々の結合領域の大部分を分解することができた。DLASLPD法の他の変形形態において、チップの表面に焦点を合わせるように、目とアレイの間に配置された拡大鏡を使用した。各アレイ単位における個々の結合部位を分解する能力が向上した。他の変形形態において、図12Aに示されたのと同様のプリズムの上面にアレイ・チップを配置し、プリズムの上面とチップの底面の間に浸漬油を一滴滴下した。半乾燥状態のチップの表面を観察するとともに、それをカバーガラスで覆われた緩衝液の薄膜で覆った。この方法を利用し、裸眼または矯正眼(拡大鏡)で相対的なレベルの光散乱強度の検出および測定を行うことができた。次いで、CCDビデオ・カメラを三脚台に乗せて使用し、照明されているチップ表面全体の画像が検出できるようにカメラを方向づけた。該方法の他の変形形態において、光学顕微鏡に搭載されるように解像された上述のプリズムと同様のプリズムを使用し、顕微鏡光学素子を介してチップを観察した。倍率が小さくても、各結合部位から到来する光散乱信号の量をより詳細に確認することができた。結合がほとんど目立たず、各アレイ単位における個々の結合部位間の強度のバラツキが多いことを確認した。チップ上の各アレイ単位は、同じ組成および二次元パターンのオリゴヌクレオチド結合部位を含む。アレイ上の各々の結合部位からの光散乱強度の相対量は、チップ上のどのアレイも極めて類似していた。異なる倍率を用い、手操作でチップを移動させ、顕微鏡に搭載されたCCDカメラで画像を取り込むことによって、様々な領域の画像を取り込んだ。観察、検出、測定したいチップ表面の詳細度および大きさに応じて異なる対物レンズ設定を用いた。デジタル化データから、コンピュータ画面上でデジタル化画像を肉眼で観察することによって各結合部位の相対的な光散乱量を測定することが可能であった。本明細書に記載の画像解析方法によって結合部位の散乱光強度を測定した(例えば、集積光強度、計数、単一粒子強度の合計)。非特異的結合レベルが非常に低いこと、ならびにデータの再現性に非常に驚いた。また、非常に速く画像を収集でき、様々な画像解析方法によって、各部位における結合量を測定できることにも非常に驚いた。検出の代替的な実施形態において、散乱光強度の機械的な半自動または全自動検出を、共焦点または非共焦点機器および方法に用いることができる。例えば、米国特許第5,578,832号(Trulson他)およびFodor他、Nature 364:555(1993)の方法を用いて、結合部位における光散乱信号を検出することが可能であり、これらの方法は参照により本明細書に組み込まれている。現在使用されている現行の蛍光によるレーザ走査(共焦点結像または非共焦点結像)法は、表面の結合部位の数に応じて、通常数分間かかることに留意されたい。検出に続いて、解析しなければならない莫大な量のデータが存在し、この工程はさらに数分間かかる。CCDカメラを用いた我々の光検出法を使用して、低倍率で一秒以内にチップ全体に対するデータを収集することができた。より高い倍率では、チップを手操作で移動させ、チップの様々な部分を光検出し、デジタル化した。この手順は容易に全自動に変換することが可能である。本明細書に記載されている様々な画像解析方法を用いて手操作でデジタル化画像を解析した。チップの設計が定まると、既に説明したように、デジタル化画像の収集、およびソフトウェアを利用した画像解析法による測定に基づいて全自動検出および解析システムを作製することができる。したがって、本発明は、オリゴヌクレオチド・アレイおよびチップ、および検体および新しい薬剤を迅速にスクリーニング、検出するための他のタイプのアレイに対する信号生成および検出システムとして有用性が高い。これらの用途に本発明を利用することで、試料の検出および分析のスループットを高めながら手順および計測の複雑さおよびコストを実質的に低減することができる。
遺伝子発現および遺伝子発現アレイ
遺伝子発現の研究は、疾病診断、薬物標的および薬物開発、生化学の研究を含む多くの異なる分野で極めて重要になりつつある。最近、遺伝子発現レベルを測定するとともに、情報を収集する速度を速めるための新しい方法および方策の開発に多大な労力が注がれている。例えば、複数のcDNAをガラスまたは他の基板に結合させることを含むアレイをベースとした方法が報告されている(Schena他、Science(1995)270:467−470;Shalon他、Genome Research 6:639−645)。また、Lockhart他、Nature Biotechnology 14:1675〜1680には、オリゴヌクレオチド・アレイを利用して遺伝子発現を測定する代替的アレイ法が記載されている。これらの方法は、参照により本明細書に組み込まれている。
任意の所定の遺伝子の相対的または絶対的発現レベルを測定するためには、生体または細胞に存在するmRNAレベルの濃度を測定しなければならない。一部にハイブリダイゼーション法を用いる、試料中に存在するmRNAの量を測定する当該技術分野で知られている方法が数多く存在し、これらの方法は参照により本明細書に組み込まれている。当該技術分野で知られている現行の遺伝子発現アレイ法は、蛍光技術および蛍光標識を使用して、標的核酸配列種のアレイに対するハイブリダイゼーションの検出および測定を行い、次いでハイブリダイゼーション量を試料中の特定の遺伝子のmRNAの量に関連づける。
次に、本発明により遺伝子発現アレイ分析をどのように行って、試料中の1つまたは複数の遺伝子の発現レベルを評価、検出、定量できるかについて説明する。光散乱標識、および分析に特有の様々な形式をどのように核酸分析システムに導入するかについては既に説明した。オリゴヌクレオチド、cDNAまたは他の核酸配列のアレイを作製する。アレイの異なる結合部位に使用される核酸の配列は、特異的標的mRNA、mRNA標的から生成されたcDNA、または標的mRNAのcDNA複製物から生成されたin vitro転写配列に特有(と相補的)である。実際の分析法において、試料のmRNAがチップ上で直接分析されている場合は、mRNAが標的核酸配列になる。cDNAおよびin vitro転写法では、cDNAおよびin vitro転写核酸配列が、分析対象の標的核酸になる。1つまたは複数の光散乱標識を標的配列に貼付する。標的核酸配列が標識付けされると、その調製物は使用されるアレイおよびハイブリダイゼーション法に適用される。次いで、本明細書に記載した多くの変形形態により、DLASLPD照明および検出法を用いて、アレイを洗浄し、または洗浄せずに検出することができる。
他の実施形態において、オリゴ−dT核酸配列を光散乱粒子に結合させて、ポリ(A)配列に結合する核酸配列−粒子試薬を形成することによって、遺伝子発現分析法または他の形式において、mRNAレベルの検出および測定を直接行うことが可能である。たいていのmRNA分子は、分子の一端にポリアデニル配列(「ポリ(A)」)を含むことは当該技術分野においてよく知られている。このポリ(A)テールは、オリゴdTを含む分離カラムを使用した試料からのmRNAの精製にしばしば利用される。分析を実施するために、空間的に異なる領域において表面に固定された対象となるmRNAに相補的な核酸配列を有するアレイ・チップを構成する。試料のmRNAを収集し、チップに結合させる。ハイブリダイゼーションの前、最中または後に、ポリdTを塗布した光散乱粒子を試料に添加することができる。ポリ(dT)を塗布した光散乱粒子は、mRNAに含まれるポリ(A)配列に結合する。標的mRNAに対する相補的核酸配列を有するチップの結合領域における光散乱粒子の量を測定することによって、試料中の任意の所定のmRNA標的の存在および量を求める。
遺伝子発現の測定と核酸検出および測定の両方に適用可能な本発明の他の実施形態において、特異的核酸配列、DNA結合タンパク質、または他の分子識別剤を光散乱粒子に結合させ、標的核酸配列の存在および量を検出するのに使用する。例えば、1つまたは複数のポリ(A)配列、またはポリ(I)とポリ(C)の如き他の単独重合体の配列対を使用して、標的核酸配列を検出するための二次的な結合対を生成することができる。
代替的な方法では、核酸またはDNA結合タンパク質を光散乱粒子に結合させ、核酸結合タンパク質−粒子試薬を標的配列の存在に対する検出プローブとして使用する。DNA結合タンパク質が結合する核酸の配列は、標的配列内で必然的に発生しうるか、または分析手順に必要とされる標的またはプローブ核酸配列に結合させることができる。
他の方法では、DNA−DNA二本鎖、RNA−DNA二本鎖、またはさらには三本鎖構造に対する特異的結合特性を有するプローブ分子に光散乱粒子を結合させる。例えば、二本鎖核酸構造体に対する特異的結合特性を示す多くの化合物が存在することがよく知られている。臭化エチジウム、その二量体、およびこの分子の他の変形体が二本鎖核酸構造体に結合する。したがって、該方法のこの変形形態において、光散乱粒子−臭化エチジウム試薬を調製し、ハイブリダイゼーションに続いて遺伝子発現アレイに添加する。結合ゾーンで検出された光散乱量から発現の存在および量を測定する。
核酸分析に二次的な結合対を使用する当該技術分野で知られた方法のすべてが、参照により本明細書に組み込まれている。
光散乱検出装置および方法の例
ほとんどのタイプの核酸アレイ、また任意のタイプのアレイをベースとした方法については、本発明により光散乱信号を検出、測定するのに使用できるいくつかの異なるタイプの機器が存在する。AffyMetrix 1164 DNAチップの検出および分析を開示したなかで、検出および分析方法についての多くの異なる変形形態を説明した。これらの方法のいくつかは、検出光ボックスのような単純な機器で実施することができる。例えば、検出光ボックスは、適切な角度に傾斜されてアレイを照明する光源、ステージ、ウィンドウ、またはアレイを配置してそれを照明し観察するための他のプラットフォームを設けることによって構成される。この機器により、医師、実験室技術員、研究員などがアレイをホルダー上の正しい位置に配置し、次いでアレイ上の各々の結合部位から散乱する相対的な光の量を観察し、肉眼により手操作でアレイを分析する。観察されるアレイの上部に配置されるオーバレイ・テンプレート、またはチップ上で観察された光散乱強度のパターンの特異的分析に関連づけられるアレイの外観の診断標準パターンを使用してアレイの分析に役立てることができる。より定量的な情報が必要な場合は、すでに述べたように、撮像または非撮像検出光学素子に基づいて機器を構成することができる。例えば、アレイが多くの結合部位を含み、より定量的な測定が必要とされる場合は、半自動または自動画像解析システム機器を構成することができる。例えば、アレイの表面に垂直な適切な集光レンズおよび光検出器を使用し、照明源から光検出器に対する集光光学素子にほとんどまたは全く光が入射しないようにアレイを照明する照明源を設けることによって撮像機器を構成する。集光光学素子は共焦点素子であっても非共焦点素子であってもよい。画像解析方法、および試験に特有の適切なアルゴリズムを用いてCCDチップまたはビデオ・カメラにより収集された画像を解析することができる。集積散乱光強度の測定、単一粒子の計数、または計数された粒子の集積光強度の測定、あるいはこれらの方法の何らかの組合せによって、検出された信号を解析することが可能である。照明源の性質に応じて、1つまたは複数の光波長を分析することができる。
細胞の識別および測定
本発明を多くの異なる形態で使用して、試料中の特定の細胞タイプおよび生体を検出、測定することができる。感染病の原因となる核酸配列、または任意の生体の存在および量を検出するのにハイブリダイゼーション法をどのように使用できるかについて既に説明した。他の非ハイブリダイゼーション法を用いることもできる。例えば、免疫化学技術、レクチン、医薬品、および特定タイプの細胞に特異的に結合する他の物質を使用することによって試料中の生体または特定のタイプの細胞を検出することが可能である。例えば、抗体が対象とする細胞の細胞表面抗原に対して特異的である光散乱粒子−抗体結合体試薬を調製する。光散乱粒子−抗体結合体試薬を試料に付加し、インキュベーションし、次いで細胞を調製して分析に備える。一実施形態において、画像解析技術を用いることにより、特定の細胞タイプに対する均質(非分離分析)を行うことが可能であった。ヒトリンパ球調製物を単離し、赤血球細胞を溶解させ、細胞を洗浄した。抗ヒトIgG抗体と直径60nmの金粒子の結合体試薬を調製した。粒子試薬をリンパ球細胞調製物と混合し、次いでその一定量を顕微鏡スライドに配置し、適切な集光光学素子用いたDLASLPD法を用いて光学顕微鏡で観察した。この方法では、結合体試薬は、リンパ球調製物の細胞のうちの限定的な数個の細胞にのみ結合し、細胞の多くは粒子試薬との結合を示さないことを確認した。細胞の約1%が粒子試薬で標識付けされていることを確認した。このリンパ球群の標識比率は、B−リンパ球の約5%が発現したIgG抗原を有し、またB細胞の相対的存在量は非RBCリンパ球群の約20%であることが知られているため、おおよそ予測通りであった。個々の粒子結合体がブラウン運動を行っているのを視野のなかで観察することができ、どの細胞が結合粒子試薬を含み、どの細胞が含んでいないかに関する判断を行うために未結合または遊離粒子を洗い出す必要はなかった。また、各細胞に結合している粒子をカウントすることによって、結合粒子結合体の数を容易に定量することができた。CCDビデオ・カメラを用いて画像を取り込み、デジタル化するとともに、画像処理方法によって、標識されている細胞を特定し、細胞当たりの粒子結合体の数、および試料中の標識細胞の相対量を測定した。他のサイトで記載したように、顕微鏡を使用した機器、または他の撮像機器を検出および解析用に構成することが可能である。
本発明の他の実施形態において、フロー・サイトメーターまたは他の流動系装置を使用することによって、特定の細胞の識別および定量の検出および測定を行うこともできる。この変形形態では、細胞に結合した光散乱粒子の1つまたは複数の光散乱特性が検出される。照明および検出光学素子は、対象となる特異的光散乱特性の検出を最大限にするように構成される。
本発明の他の実施形態において、粒子を細胞の表面に結合させるか、あるいは細胞の内部に配置する。一連の操作を通じて細胞を追従、追跡できるように、または細胞に結合した光散乱粒子の1つまたは複数の散乱特性を検出することによって細胞群のなかで後日識別できるように、粒子を細胞に対する識別タグとして利用する。
生体検出および測定
本発明の1つまたは複数の態様を利用することによって試料中の生体の検出および測定を行うことが可能である。核酸ハイブリダイゼーション法の使用については他のサイトで説明した。例えば、生体上の表面抗原、例えばトキシン、または生体に特有の任意の他の物質のような、生体によって生成される化学的または生物学的物質に対する特異的な結合特性を有する特異的光散乱粒子−抗体結合体を調製することができる。一実施形態において、サンドウィッチ免疫測定形式が使用される。既知のトキシン分子またはバクテリアもしくはウィルスの表面抗原に対する特異的結合特性を有する粒子−結合体試薬が作製される。マイクロウェル、プラスチック、ガラスまたは他の固体表面に、表面検体またはトキシンに特異的に結合しうる抗体をコートする。試料と粒子−結合体試薬を固相に塗布する前に混合することが可能であり、または2工程アプローチが使用される。2工程アプローチでは、試料を容器に塗布し、洗浄し、次いで粒子−結合体を塗布する。いずれの手法においても、粒子結合体のインキュベーションに続いて、固相を洗浄し、検出された光散乱信号の存在および量によって試料中の生体の量を測定する。
別の実施形態では、溶液中で凝集形式を行う。光散乱粒子に特定の結合剤の分子をコートする。粒子−試薬を試料に添加すると、標的生体が存在する場合は、多粒子凝集体が形成することになる。多粒子凝集体の数、または該凝集体の光散乱特性、または粒子結合剤試薬の減少量を用いて存在する生体の量の検出および測定を行う。凝集形式の変形形態において、Hatano他、Anal.Chem.69:2711−2716(1997)およびKanota他、Anal.Chem.69:2701−2710(1997)に記載されているような光学クロマトグラフィー技術を使用することができる。これらの方法は、参照により本明細書に組み込まれている。
他の実施形態において、細胞特有の抗体、レクチン、または他の分子識別剤が空間的に異なる領域でアレイに結合したアレイ型デバイスを使用して、異なる細胞をアレイの異なる領域に取り込む。試料をアレイに加える前または後に、光散乱粒子試薬を使用して細胞を標識する。他の例では、本発明、ならびに生体の種および/または菌株に対して特異的なウィルスまたはバクテリア抗原を特異的に識別する特定のモノクローナルまたはポリクローナル抗体を用いることによってウィルスまたはバクテリアを検出および測定する。ガラス、プラスチックまたは他の光学的に透明な媒体から構成される固相上で、検出される生体に対して特異的な表面に抗体をコートする。固相はチップ、計量棒または他の形態をとりうる。アレイまたは他のパターンの個別的な領域の固相の表面に1つまたは複数の特定の結合剤を使用することができる。試料を固相に加える。インキュベーションの最中もしくは後、かつ/または洗浄後に、ウィルスまたはバクテリア抗原に結合する特定の抗体に結合した光散乱粒子を含有する溶液を加える。次いで、光散乱粒子−抗体結合体を含有する溶液から固相を除去し、検出または測定前に洗浄することが可能である。固相の結合ゾーンから到来する光散乱信号の量を検出かつ/または測定することによって、存在する生体の存在および/または量を測定する。検出および測定は、裸眼または矯正眼によって、あるいは本明細書の他のサイトに記載した画像または非画像光検出および解析によって行うことができる。各結合ゾーンがウィルス、バクテリア、または生体の特定の菌株に対して特異的な抗原を含む固相上のいくつかの異なる結合ゾーンを使用することによって、多数のウィルスまたはバクテリアを同様にして検出、測定することができる。これらは、細胞および生体の識別に対する本発明の高度な有用性を示す数例にすぎない。当業者は、試料中の細胞または生体の存在および量を検出するのに本発明を何らかの形で利用することが可能な他の多くの異なる形式が存在することを認識する。
コンビナトリアルケミストリー、薬物標的および薬物の同定および特性決定、ならびに高スループットスクリーニングへの本発明の応用
何らかの形の本発明は、薬物の発明および開発において高度な有用性を有する。近年、薬物の発見のための新しい方法および技術が急激に増加している。医薬品としての潜在性を有する数千もの特異的な分子よりなる合成、生物または生合成ライブラリーを迅速に構築することを可能にするコンビナトリアルケミストリーが開発された。ある最近の文献は、コンビナトリアルケミストリーに関連するいくつかの記事を掲載し、有効な背景情報として寄与しており(Chemical Reviews Volume 97、Issue 2(1997))、これらの方法は、参照により本明細書に組み込まれている。様々な組合せライブラリー法が存在する。例えば、生物ライブラリー法としては、プラスミド、ポリゾームおよびファージディスプレー法を含む方法が挙げられる。空間的アドレス可能ライブラリー法としては、マルチピン・システム、セグメント化可能なキャリアを使用する多重合成技術、セルロース紙または高分子膜上のSPOT合成、ガラス表面における光誘導合成、遺伝子発現アレイ、およびダイバーソーマ(diversomer)技術が挙げられる。さらに、位置的走査、直交分配、および繰返し手法一般の方法が当該技術分野で知られている。また、1ビーズ−1化合物組合せライブラリー法および合成溶液ライブラリー法、親和性クロマトグラフィー選定、ならびに親和性キャピラリー電気泳動も知られている。これらの方法についての簡単な説明およびさらに詳細な開示内容は、Lam他、Chemical Reviews 97:411−448(1997)に見いだすことができる。これらすべての方法、およびLam他の文献に引用されている参考文献は、参照により本明細書に組み込まれている。
どの組合せ法も通常3つ主要工程:(1)ライブラリーの構築;(2)薬理活性に対するライブラリーのスクリーニング;および(3)活性物質の分子レベルでの測定よりなる。様々な形態の本発明を用いて、コンビナトリアルケミストリーによって作製されたものを含めた潜在的な薬剤物質および薬物標的の検出および測定を行うことができる。本発明を利用して、多くの異なるタイプのスクリーニング分析法を開発することができる。例えば、(1)薬物標的の同定および特性決定、(2)標的が分析の基礎となる医薬品のスクリーニングに向けた特異的分析法の開発のためのスクリーニングおよび特性決定分析法を本発明により開発することができる。
潜在的な薬物標的である生体物質に対して、約100、000種のヒト遺伝子の数千倍もの遺伝子によりコード化されている可能性が非常に高い。ヒト・ゲノム・プロジェクト、およびヒト・ゲノムの分析における高レベルの活性の結果として、既に多くの遺伝子が識別されている。加えて、人間および動物の疾病の原因になる生体の多くの遺伝子も識別されている。機能的ゲノミクスは、これらの遺伝子、およびそれらがコード化するタンパク質の機能を決定する分野である。本発明により遺伝子発現およびタンパク質発現分析を展開して、これらのうちのいずれを標的とするかを決定することができる。加えて、薬物標的に基づくスクリーニング分析を展開して新たな医薬品に対するスクリーニングを行うことができる。薬物標的は、生体成分、代謝経路、メッセンジャー経路、または医薬品がそれに対する効果を調節できる任意の他の生体成分またはシステムである。
コンビナトリアルケミストリー、ヒト・ゲノム・プロジェクト、および機能的ゲノミクスの到来および開発によって、数千から数十万の潜在的医薬品を極めて迅速にスクリーニングするのに使用することができる検出システムに対する大きな需要が生じた。検出感度の高さ、堅牢性、低コスト、および多くの異なる形式に対する適応性はどれも重要な基準である。今日までは、蛍光標識および蛍光技術が、検出に対する選択方法になると思われる。比色法、ラジオアイソトープ法および化学発光法も知られている。これらの方法のいくつかは酵素を利用して信号増幅を達成する(例えばアルカリホスファターゼ)。
例えば、比色ベースの検出法は、一般にマイクロモル(10−6Mから10−8M)の検出感度に限定される。蛍光ベースの方法は、検出感度が向上し、ナノモルから超ナノモルの範囲(10−8Mから10−11M)の検出感度を有する。蛍光標識および方法に関連する問題としては、光分解および消光現象が挙げられる。多くの場合は、試料中の他の薬剤が蛍光標識と相互作用し、検出される信号が変化する可能性がある。化学発光をベースとした方法は、良好な検出感度(10−12M以下)を与えるが、特殊な試薬および慎重な取扱い技術を必要とし、化学発光反応は、試料中の成分による干渉を受けやすい。ラジオアイソトープ技術は既知の最も感度が高い技術の1つであるが、特殊な取扱い手順を必要とし、有害な物質を使用し、使用が困難で、高価である。
本発明は、医薬品標的および医薬品の発見および開発に対する新しい信号生成および検出システムを提供する。本発明は、医薬品の発見および薬物標的の識別の技術分野において現在用いられている既知の標識および検出技術に比べ、検出感度が向上していること、より使い易いこと、応用範囲が広いこと、堅牢性が高いことを含むいくつかの利点を有するとともに、より低コストである。本発明は、多くの異なるタイプの薬物標的および薬剤分析におけるより安定し、より検出が容易な光散乱信号を提供する。本発明は、多くの異なる変形形態において、感度が高く、検出可能な信号を多く生成するため、マイクロアレイ、または小形の反応および試料容器を使用して分析を行うことができる。試料容器およびアレイの小形化により、分析のコストおよび所要時間が実質的に削減されるため、何千回もの分析を実施できる速度およびコスト効率が著しく高められる。
本発明により多くの異なる生体外の生化学的、または細胞ベースの分析を展開して、潜在的な医薬品に対する試験を行うことが可能である。細胞表面受容体、細胞間受容体、細胞間信号タンパク質、G−タンパク質結合受容体、イオン・チャネル、プロテアーゼおよびタンパク質キナーゼを含む酵素、DNA結合タンパク質、核酸ならびにホルモンの如き薬物標的を利用する分析を用いて、新しい薬剤の同定および特性決定を行うことができる。分析される試料は、単一または複数の細胞、細胞溶解物、組織試料、膜調製物、またはほとんどの任意の試料でありうる。本発明に用いることができる分析形式の多くは、生物学的測定、生化学的測定および医学診断測定に用いられる分析形式と類似している。これらは、競合的分析および非競合的分析、均質分析、医薬剤結合活性および/または薬物標的系に対する調節効果を検出、測定する固相マイクロウェルおよびより小さいウェル、アレイ、マイクロフルイディック・チャンバならびに溶液固相分析を含む。
分析を実施するために、特定の分析形式および薬物標的系を選択する。検出信号を提供する物体として、光散乱粒子を使用する。光散乱粒子を受容体、酵素物質、ホルモン、核酸、その断片のモノクローナルまたはポリクローナル抗体、ペプチド、タンパク質、あるいは検出、測定される標的物質に対してある程度のレベルの特異的結合活性を示す任意の薬剤に結合させることができる。DLASLPD法に基づく照明および検出法を用いて、光散乱信号を生成し、検出する。分析の性質に応じて、1つまたは複数の照明および/または検出波長を用いることができる。他のサイトですでに述べたように、適切な結合剤の組合せを使用することによって、分離または洗浄工程を必要としない核酸および抗原物質に対する均質分析を行うことができる。2つ以上の粒子が密着する分析形式では、光散乱強度、偏光度、角度依存性、波長、または他の散乱光特性の変化を利用して、結合の検出および測定を行うことができる。光学顕微鏡、または単一粒子を検出することが可能な同様の撮像システムに組み込まれるDLASSLPD法を用いることによって、個々の結合事象を検出し、特徴付けることができる。
本発明を使用することによって、新規のタンパク質および/または遺伝子を識別することが可能である。例えば、Jarvik他、BioTechniques 20:896−94(1996)に記載されている「CDタグ付け」の方法を本発明の1つまたは複数の形態と併用して検出および測定を行う。CDタグ付けの方法では、単一の組換え事象において、特定のタグが遺伝子、mRNAおよびタンパク質に付加される。光散乱粒子が直接または間接的に結合したタグに対する特異的結合剤を使用することによって、本発明によりタグを特定、識別する。
本発明を使用して、試料中のタンパク質発現およびタンパク質濃度のレベルを検出、測定することも可能である。抗体、リガンド、受容体、または検出されるタンパク質に対する結合特異性を有する他の結合剤に1つまたは複数の光散乱粒子を結合させる。当該技術分野で知られている様々な分析形式、または本明細書に記載されている分析形式を用いることができる。光散乱粒子を検出し、測定することによって、試料中に存在するタンパク質の存在および量を確認する。
コンビナトリアル合成分子ライブラリーのスクリーニング
急成長している重要分子のコンビナトリアル合成の分野における現行の大きな問題は、新たに合成されるコンビナトリアル分子のわずかな複製物を検出するための高感度で、実用的で、使い易い信号および検出技術および分析形式が不足していることである。
我々は、我々の信号および検出技術は、二次元アレイまたは任意の空間的アドレス可能な固相の如き空間的アドレス可能サイトを含む固相上で容易に使用されることを確認した。したがって、我々の方法は、何らかの形態で、このタイプの形式の1つまたは複数の種類の組合せまたはバイオコンビナトリアル分子のスクリーニングおよび検出に直接適用することが可能である。該分析法は、当該技術分野における既知の手順のいずれかを有する。
本明細書に記載した発明を用いて、1つまたは複数の特異的なコンビナトリアル分子、バイオコンビナトリアル分子、あるいは空間的にアドレス可能な固相上に存在しない他の方法で合成した分子の検出および定量を行うこともできる。例えば、「分割合成」、「平行合成」の方法、および関連方法(これらの方法はすべて本明細書に組み込まれている)を用いることによって、多種多様なバイオコンビナトリアル分子およびコンビナトリアル分子を合成できることは当該技術分野において知られている。典型的には、各粒子または基質が特異的なコンビナトリアル合成分子の集合体を含む微粒子または他の固体基質上で、多種多様なコンビナトリアル分子を合成する。当該技術分野において、「活性」合成分子集合体を含むそれらの小片または粒子の識別および精製の問題が存在する。
我々の信号および検出システムを利用して、これらの特異的かつ望ましいコンビナトリアル生成物を精製および/または検出するいくつかの方法が存在する。1つの分析法において、(所望の検体に対して特異的な)結合剤を選定されたタイプの金属状粒子に塗布する。塗布された粒子を試料に添加すると、それが検体に結合する。あるいは、ビオチン標識付けされた結合剤を使用する間接的な方法は、まず検体を結合させ、次いで、検出に先立ち、ストレプタビジンが塗布された金属状粒子を添加することによってそれを検出する。合成固相上に存在する対象となる所望の検体に光散乱粒子を何らかの形態で結合させる。このように、濾過、遠心分離、透析、または当該技術分野で知られている他の任意の技術によって、所望の分子を試料から識別、単離、精製する。あるいは、特定分子を含有する合成粒子と金属状粒子の間に凝集体または網状体が形成されるように、結合剤が標識した光散乱粒子を添加することができる。上述したのと同様の手段を用いて、所望の分子の識別および精製を行う。
異なるコンビナトリアル合成分子に対する多検体分析は、異なるタイプの結合剤がそれぞれ塗布された2つ以上のタイプの金属状粒子を使用することによって実施される。屈折率増大法およびDLASLPDビデオ強化コントラスト法を用いることも可能である。
他の分析法において、金属状粒子は、反応容器に加えられたEMFを使用することによって、これらの粒子を三次元空間で処理できるように、強誘電体または磁性体組成の組成物をも含む。このように、「活性」コンビナトリアル分子を含む基質粒子を、他の物質から容易に精製、検出することができる。強誘電体または磁性体の混合組成物、および他の金属状の特定粒子組成物も、診断測定を含む他の多くの分野において、また所望の分子の単離および精製に対して極めて有用であることに留意されたい。屈折率増大法と上記方法とを併用することで検出感度が高められる。
固相合成支持体として使用される金属状粒子
金属状粒子は、適切な物質が塗布されると、例えばコンビナトリアル合成のような化学的または生化学的合成を実施するための優れた基材になる。例えば重合体、抗体、タンパク質、核酸、アミノ酸、反応性化学基などよりなる金属状粒子の特殊なコーティングを設けることができる。例えば、化学的反応性を有するアミン基を含むポリエチレン・グリコール化合物を金属状粒子に塗布する。次いで、金属状塗布粒子の表面に豊富に存在するこれらのアミン基に対して合成を開始する。アミン基の代わりに、他の反応性化学基、または特異的に活性化させることが可能な基を使用することもできる。他の例において、アミノ酸、または小ペプチドを金属または金属状粒子の表面に直接塗布するか、あるいは金属状粒子の表面に塗布される重合体または他のタイプの高分子に化学的に結合させる。次いで、金属状塗布粒子に結合されるこれらの反応性基に対して合成を開始する。他の例では、タンパク質、核酸、化学的または生物学的合成を行うことができるように、金属状粒子の表面に反応性基を結合させる。粒子の表面の反応性基の数を以下のようにして改変することも可能である。反応性アミン基(または他の反応性基)を有する、または有さないポリエチレン・グリコール化合物の混合物(分子量:20,000)を適切な比率で混合して、粒子当たりの表面上の反応性基を所望の数にする。このように、金属状粒子に、金属状粒子当たり特定量の化学合成部位または結合部位を塗布する。例えばさらなる化学合成、または診断試薬上の目的のような任意の特定要件に適合するように、部位の特定数、または反応性基の部位のタイプを変えることが可能である。例えば、診断タイプの用途では、所望の分析性能を達成するためには、金属状粒子当たりの特異的結合剤分子を適切な数とすることが重要であるといえる。加えて、所望の物質(例えば異なる結合剤または化学基など)を適切な比率で混入することによって、上記ポリエチレン化合物について記載したのと同じ手法を利用し、2つ以上の異なるタイプの反応生合成または結合部位を同一の金属状粒子に特定量配置することが可能である。これらのタイプの塗布粒子は、同一の粒子を使用して、2つ以上の異なる分子を単離、精製、検出するのに有用であるといえる。多くのタイプの金属状粒子が高密度(グラム/cm)であるため、対象分子の精製、単離および識別においても多くの利点がもたらされる。MLSPタイプの粒子は、媒体内で粒子をより容易に処理できるというさらなる利点をもたらす。上記の例は、この方法の多くの可能な変形形態のほんの数例にすぎない。他の多くの変形形態を当業者は理解するであろう。
分析診断分野以外での発明の様々な態様の実施
本発明は、粒子の散乱光特性を検出することによって、試料中の1つまたは複数の検体を検出する方法を特徴とする。本明細書に開示されている発明の様々な態様は、診断分野以外の他の多くの特殊用途にそのまま応用できることに留意されたい。当該技術分野、または光学情報および記憶、画像形成および処理、電気−光学信号導入および切換、電気通信、情報変換器、および他の関連分野の如き他の分野に従事する者は、この開示により、本発明の様々な態様を実践して、特に分析診断測定以外の分野における問題を解決し、新たな製品を生み出してきた。
他の分野への応用に対して極めて有用である現行の発明の1つの態様は、特定の粒径、形状、組成および均質性の特定の金属状粒子を、そのタイプの粒子に特有の特異的な光学的特徴によって識別する能力である。当該特定の光学的特徴を微小構造で具体化することで、これらの粒子信号剤を多くの分野で使用することが可能になる。例えば、工業的品質管理、マーカーまたは標識に使用して、任意の製品、材料、物質、または粒子を含む物体を識別または追跡することが可能になる。何らかの形態の粒子を、当該技術分野で知られている「バーコード」法と類似した識別手段等として使用することができる。例えば、1つまたは複数のタイプの粒子を含有するコーティング剤を消費者製品に塗布して、真正性、日付または他の該当情報を識別することが可能である。同様に、物体の真正性を判断するために検出できる特定の粒子タイプを紙幣、株券、証券などの表面に塗布したり、または紙材そのものに埋め込むことができる。
他の例としては、少量の特定タイプの粒子を処方箋の内部または市販薬に含めることで、薬物を鑑定または追跡する。加えて、それらの粒子を環境、工業、医薬または生体トレーサーとして使用して、流体や材料などの配列の如きシステムの物理特性を調べることが可能である。これらは、多くの可能性の数例にすぎないことを当業者なら認識するであろう。
他の分野にそのまま応用できる現行の発明の他の態様は、電場、磁場または関連場によって物理的に処理できる光散乱粒子を使用することである。当該粒子を可処理光散乱粒子(MLSP)と命名し、これらについては後に説明する。磁場、電場または関連電磁場(EMF)を用いることによって、当該MLSP粒子を一次元、二次元または三次元空間の様々な配列に配向させることが可能である。このように、粒子の特異的光散乱特性を用いて、特定のパターン、画像または色を形成することができる。1つまたは複数のMLSP粒子の特定の方位を利用して、単一粒子の光散乱特性を介した情報、得られる光散乱情報、すなわち特定の方位に配列された2つ以上の粒子の光学的特徴を記憶または導入することができる。例えば、青色、赤色または緑色の光を散乱する異なるタイプの粒子を、二次元アレイに特定数の画素を含む画面内の「画素」の如き小さな領域または体積の内部に配置する。画面が白色光で照明されたときに、画面はカラーまたは白黒画像、あるいはテレビ画像、ビデオ画像、映画に類似した動画像を形成する。適切なEMFを加えることにより、適切に照明されると、青色、赤色および緑色の光を散乱する個々の粒子が配向して、特定の色相および輝度を有する色を生成するように、各画素または画素群は、電場または磁場(EMF)によって空間的にアドレス可能である。例えば、1つの印加EMFにおいて、赤色粒子および緑色粒子は微小スポットに集中するのに対して、青色散乱粒子は、画素の内部体積の範囲内に自由に分散する。次いで、この画素は青色になる。次いで、異なるEMFを加えて、赤色光または緑色光散乱粒子に対しても同じ効果を生じさせることができる。このように、各画素における異なる粒子を特異的に配向させることにより、所望のカラー画像が生成される。この方法および装置は、現行の陰極線管ベースの画像形成技術などに対して魅力的な利点を提供する。
他の例では、EMFを適切に調節することによって、MLSP粒子をある特定の方位から他の方位に切り換える。例えば、緑色または赤色散乱光を生成し、かつ/または2つの異なるレベルの強度の散乱光を有することができる非対称銀粒子を以下のように使用する。粒子が回転できる、すなわち自らを再配向できる液体タイプまたは固体タイプの物質の特定の位置に1つまたは複数の粒子を配置し、粒子を含む物質またはデバイスにEMF場を加える。使用される粒子の数、およびデバイスの所望の機能に応じて、異なる粒子の方位が異なるタイプの情報を表すことになる。例えば、1つの方位において、非対称MLSP粒子の光散乱特性は「オフ」、または二進コード・システムにおける0を表すのに対して、別の位置または方位では、光散乱特性は「オン」、または二進法システムにおける1を表す。EMFを変化させることによって非対称MLSP粒子の方位を変えて、物質またはデバイスにおける粒子の所望の方位を得る。光が特定の方位の粒子と相互作用するときは、散乱光の特性は、上述のように特定タイプの情報を表す。このように、電気通信および関連分野において有用な単一および多成分光学スイッチを構成することができる。同様に、より複雑な情報の記憶および処理に対応して、これらのスイッチの連続体を縦列または並列に組み立てることができる。
異なるタイプおよび/または方位の光散乱粒子およびMLSP粒子を使用することによって情報を暗号化または記憶することによって新しいタイプの情報記憶デバイスを構成することが可能である。例えば、当該技術分野において「コンパクト・ディスク」または「CD−ROM」ディスクなどとして知られるものに類似した光記憶ディスクを構成することができる。表面上に突き出た突起を使用して情報をコード化する代わりに、光散乱粒子を使用する。そこから粒子の光散乱特性を検出できる任意の物質に粒子を配置することができる。このように、はるかに多くの特定情報、およびより高密度の情報の記憶が可能になる。特定の用途において、様々な光散乱粒子を使用して構築することができる多くの異なるタイプのデバイスを当業者なら認識するであろう。上記の例は、当該金属状粒子およびMLSP粒子を分析および診断検出の分野以外で使用する数多くの方法のわずか数例にすぎない。これらの応用形態は、本明細書におけるその開示によって有効となり、これにより出願人は、診断分析測定の分野以外の分野に対して本明細書に記載されている発明の様々な要素の実施に対する権利を主張するものである。
典型的な液体試料用分光光度計および動作原理
典型的な光度計は、励起光線に対して直角の散乱光または放射光である光の強度を測定する直角光度計である。該機器の概略図が図21に示されている。光源は、顕微鏡照明装置、または他の任意のタイプの光源である。該機器はモノクロメータとともに使用してもよいし、モノクロメータ無しで使用してもよい。異なる光源を接続するためのアダプタに光度計を設ける。散乱または放射光は、光電増倍(PM)管によって検出される。光度計は、光がPM管に到達するのを防ぎながら試料を変えるための手動光シャッタを有する。必要に応じて光学フィルターまたは偏光子を入射または放射光路に導入する。直径が異なる円筒キュベット(例えば試験管)を試料キュベットとして使用する。しかしながら、任意のタイプの光透過性試料容器を適切なホルダーとともに使用することができる。直径6mmで長さ50mmの管を使用し、赤外線(熱)フィルターを備えた顕微鏡照明装置を使用して、本明細書に報告されているデータを得た。
該照明装置を直接またはモノクロメータを介して分光光度計に接続することができる。本明細書に報告されている測定に使用されたモノクロメータは、回折格子モノクロメータである。6V、3Ampの調整DC電源によって照明装置に動力を与える。このパラグラフでは、モノクロメータを動作させずに使用した機器の光学素子について説明する。倍率10の対物レンズは、照明装置からの光を試料管に集める。(試料キュベットの中心から約1.5インチのところで)励起光線に対して直角に配置される集光レンズ(焦点長:23mm、直径:19mm)は、試料管の中心から約106mmの距離において試料管の画像に焦点を合わせる。この距離は、光シャッタおよびフィルター・ホルダーを集光レンズとPM管の間に配置することを可能にする。(#20のドリル・ビットで設けられた)直径3.25mmの穴を有するダイアフラムを画像面に配置する。PM管をそのダイアフラムの背後に配置する。ダイアフラムは、キュベットの壁から反射される光を遮断し、試料体積の中心から散乱される光のみをPM管に到達させる。ダイアフラムは、PM管に到達する散乱光の量を減少させる一方、信号対背景比を最大にする。試料管から反射される光の検出を最小に抑えるためには、反射光が集光レンズに到達しないように、試料管を垂直方向に対して約40から50°の角度に配置する。この角度と屈折率効果により、試験管から発生する光は、集光レンズの中心軸に沿って移動せず、画像平面の散乱光線は、集光レンズの中心軸から下方に変位する。これには、3.25mmの開口、およびPM管を集光レンズ軸から下方に変位させることが必要である。散乱光検出効率が最も高くなるように下方変位を手動で調節できるように機器を構成する。
モノクロメータを使用する場合は、倍率10の対物レンズとモノクロメータ出口スリットの間に追加的なレンズ(焦点長:23mm、直径:19mm)を配置することを除いては、光学素子は上述したのと同じである。レンズは試料キュベットの中心から4インチ(約10.1cm)のところにある。モノクロメータの出口スリットは試料キュベットの中心から5.6インチ(約14.2cm)のところにある。照明装置は、モノクロメータの入口スリットのアダプタに接続される。
光度計光学素子の調節
a.分光計の試料ホルダーの6×50mm培養管に60nmで4×10−12Mの金ゾルを仕込む。垂線に対する管の角度を40°と50°の間になるように調節する。角度調節された管は、集中励起光線がキュベットの中心を横切るように配置する。検出システムのほうへ反射される光の量が増えるため、励起光が管の前面(集光レンズに向かう面)に衝突しないようにする。
b.試料管の中心からの集光レンズの距離は、管の中心から106mmの距離のところに管の壁の鮮明な画像を形成するように調節する。管の中心から約106mmの距離に置かれた白紙上で、散乱光線、および試料管の壁の画像をはっきりと見ることができる。管の画像は、画像表面で約8から10mmの直径を有する。レンズは、キュベットの壁の鮮明な画像が得られるように配置される必要がある。散乱光線は、その幅が限定されるため、画像平面上ではややぼやけて見える。レンズの最良の位置は、試料キュベットの中心から約1.5インチ(3.8cm)の位置である。励起光が散乱液を横切るのをはっきりと見ることができる。
c.上記集光レンズ位置の調節は、機器から取り除かれたシャッタ、フィルター・ホルダーおよびダイアフラム・ホルダーを含む構造によって行う。レンズを正しく配置した後、後者の構造を元に戻し、3.25mmの開口部を有する光遮断ダイアフラムを挿入する。PM管を所定の位置に挿入する。
d.工程a、bおよびcに続いて、集光レンズ光学素子に対する開口部の位置を以下のように調節する。PMが挿入されるとPM光電陰極の平面が位置する場所に白紙を置く。光散乱金粒子を試料槽におさめて、PM管上で最大光量が観察されるまで開口部の位置を調節する。開口部が正しい位置に配置されると、紙の上の光は、直径0.32インチ(8mm)のスポットに見える。
実施例6.1から6.10は、粒子から散乱される光、または蛍光分子から放射される光、あるいはその両方を測定することを含む。光信号を測定するのに使用される機器は、先述にように構築される光度計である。
実施例6.1から6.3では、これらの測定に使用されるポリスチレン粒子は、デューク・サイエンティフィック社(カリフォルニア州Palo Alto)から入手したNISTトレーサーブル認定微粒子とした。金粒子は、ブリティッシュ・バイオセル社(英国Cardiff)の代理店であるゴールドマーク・バイオロジカルズ社(ニュージャージ州Phillipsburg)から入手した。
実施例6.4から6.10では、フルオレセインをモレキュラ・プローブ社(オレゴン州Eugene)から入手し、金粒子をブリティッシュ・バイオセル社(英国Cardiff)の代理店であるゴールドマーク・バイオロジカルズ社(ニュージャージ州Phillipsburg)から入手し、ポリスチレン粒子をインターフェーシャル・ダイナミクス社(オレゴン州、Portland)から入手した。
入射光の光路に直角の光散乱強度を比較することによって、形状および粒径が同じで組成が異なる粒子の相対的な光散乱能を直接比較できる。対象となる各粒子の既知の濃度に対する光散乱強度測定を直角の観察角度で行う場合は、粒径および形状が同じで組成が異なる同一濃度の粒子に対する光散乱強度を直接比較し、異なる粒子の相対的な全光散乱能を測定することができる。
実施例6.1、6.2および6.3−同等のポリスチレンおよび金粒子の相対的散乱能の計算および測定
結果を表6、7および8に示す。既知の光散乱関係式、および我々が新たに定めた先述の関係式を用いて計算を行った。実験的測定は、典型的な光度計を使用し、所定の照明強度および波長で、溶液中に遊離する粒子によって散乱される光を検出することにより水中の粒子に対して行った。以下の工程を実施した。
(a)対照試料、および粒径が同じ粒子試料を同じ入射光組成および強度で照明する。
(b)水を含み粒子を含まない対照試験管から放射される光信号を測定する。
(c)既知の濃度の粒子を含む試験管から放射される光信号を測定する。
(d)対照光信号値(b)を(c)の光信号値から差し引く。
(e)同濃度の金粒子とポリスチレン粒子からの光信号を比較する。
実施例6.4−フルオレセインおよび金粒子の相対的信号生成能の測定−白色光照明
結果を表10に示す。同一の光検出法を実施して、直径6mm、長さ50mmのガラス管内のすべての試料から放射される光信号を求めた。金粒子またはフルオレセインからの光信号の測定に光学フィルターを使用しなかった。
測定はすべて水中で行った。フルオレセインを含む溶液のpHは8から9であった。フルオレセインまたは金粒子のみによる光信号を求めるために、水のみを含む管の光信号値を金粒子またはフルオレセインの値から差し引いた。
粒子からの光信号を測定するために以下の工程を実施した。
A.(a)すべての試料を同じ入射光組成および強度で照明する。
(b)水を含み粒子を含まない対照試験管から放射される光信号を測定する。
(c)既知の濃度の粒子を含む試験管から放射される光信号を測定する。
(d)対照光信号値(b)を(c)の光信号値から差し引く。
フルオレセインからの光信号を測定するために以下の工程を実施した。
B.(a)上記のように同じ強度および組成の入射光で試料を照明する。
(b)対照試験管から放射される光信号を測定する。
(c)試験管内の既知の濃度のフルオレセインから放射される光信号を測定する。
(d)対照光信号値(b)を(c)の光信号値から差し引く。
C.(a)既知の濃度の粒子とフルオレセイン分子から得られた光信号を比較する。
実施例6.5−フルオレセインおよび金粒子の相対的信号生成能の測定−単色照明
結果を表11に示す。これらの結果は、入射光強度の差に対して補正されていない。フルオレセインによる光放射が最大になる波長(490nm)、および金粒子による光散乱が最大になる波長の単色入射光を使用した。490nmにおける入射光強度は、金粒子に対して使用した入射光強度よりわずかに低く、520nmにおける強度の約86パーセントから565nmにおいて使用された強度の約80パーセントの範囲にあった。他方、光電増倍管の量子効率は、フルオレセインの一次放射波長(520nm)において0.34であるのに対して、560nmでは約0.18であった。
入射波長を除いては、直径6mm、長さ50mmのガラス管内のすべての試料に対して同じ光検出方法を用いた。金粒子からの光信号の測定にも、フルオレセインからの光信号の測定にも光学フィルターを使用しなかった。
測定はすべて水中で行った。フルオレセインを含む溶液のpHは8から9であった。フルオレセインまたは金粒子のみによる光信号を求めるために、水のみを含む管の光信号値を金粒子またはフルオレセインの値から差し引いた。
粒子からの光信号を測定するために以下の工程を実施した。
A.(a)水を含み粒子を含まない対照試験管から放射される光信号を測定する。
(b)既知の濃度の粒子を含む試験管から放射される光信号。
(c)対照光信号値(a)を(b)の光信号値から差し引く。
フルオレセインからの光信号を測定するために以下の工程を実施した。
B.(a)対照試験管から放射される光信号を測定する。
(b)試験管内の既知の濃度のフルオレセインから放射される光信号を測定する。
(c)対照光信号値(a)を(b)の光信号値から差し引く。
C.(a)既知の濃度の粒子とフルオレセイン分子から得られた光信号を比較する。
実施例6.6−フルオレセイン、ポリスチレン、ポリスチレン−蛍光化合物および金粒子の相対的信号生成能の測定
結果を表12に示す。これらの結果は、入射光強度の差に対して補正されていない。
すべての試料を単色入射光で照明した。粒子による光散乱が最大になる波長付近の波長の入射単色光で、直径100nmの金粒子を照明した。蛍光励起が最大になる波長(490nm)の単色入射光でポリスチレン−蛍光化合物粒子試料を照明した。この蛍光化合物に対しては515nmで蛍光放射が最大になった。490nmにおける入射光強度は、555nmにおける入射光強度の約80パーセントであった。555nmにおける光電増倍管の量子効率は、515nmにおける量子効率の約60パーセントであった。
入射波長を除いては、直径6mm、長さ50mmのガラス管内のすべての試料に対して同じ光検出方法を用いた。金粒子からの光信号の測定にも、蛍光粒子からの光信号の測定にも光学フィルターを使用しなかった。測定はすべて水中で行った。ポリスチレンまたは金粒子のみによる光信号を求めるために、水のみを含む管の光信号値を金粒子またはポリスチレン粒子の値から差し引いた。
粒子からの光信号を測定するために以下の工程を実施した。
A.(a)水を含み粒子を含まない対照試験管から放射される光信号を測定する。
(b)既知の濃度の粒子を含む試験管から放射される光信号を測定する。
(c)対照光信号値(a)を(b)の光信号値から差し引く。
蛍光粒子からの光信号を測定するために以下の工程を実施した。
B.(a)対照試験管から放射される光信号を測定する。
(b)試験管内の既知の濃度の蛍光粒子から放射される光信号を測定する。
(c)対照光信号値(a)を(b)の光信号値から差し引く。
C.(a)既知の濃度の粒子から得られた光信号を比較する。
実施例6.7−高血清濃度における直径59.6nmの金粒子およびフルオレセインの検出
結果を表17に示す。Biowhittaker社(メリーランド州Walkerville)から血清を入手した。血清は、販売に先立って1ミクロンフィルターで濾過されており、外観は透明で藁色を帯びていた。フルオレセイン測定では、血清のpHを約9から9.5に調整した。金粒子を含有する溶液を、粒子からの光散乱レベルが最大になる波長付近の波長である543nmの単色入射光で照明した。フルオレセインを含有する溶液を、蛍光励起が最大になる490nmで照明した。
入射波長を除いては、直径6mm、長さ50mmのガラス管内のすべての試料に対して同じ光検出方法を用いた。金粒子からの光信号の測定にも、フルオレセインからの光信号の測定にも光学フィルターを使用しなかった。
規定濃度の血清中で測定を行った。フルオレセインまたは金粒子のみによる光信号を求めるために、適正な濃度の血清のみを含む試験管の光信号値を金粒子またはフルオレセインの値から差し引いた。
粒子からの光信号を測定するために以下の工程を実施した。
A.(a)適正な濃度の血清を含み、粒子を含まない対照試験管から放射される光信号を測定する。
(b)既知の濃度の粒子を含む試験管から放射される光信号を測定する。
(c)対照光信号値(a)を(b)の光信号値から差し引く。
蛍光溶液からの光信号を測定するために以下の工程を実施した。
B.(a)対照試験管から放射される光信号を測定する。
(b)試験管内の既知の濃度のフルオレセインから放射される光信号を測定する。
(c)対照光信号値(a)を(b)の光信号値から差し引く。
C.(a)既知の濃度の粒子から得られた光信号を比較する。
実施例6.8−92.8%の血清濃度におけるフルオレセイン、金およびポリスチレン粒子の検出の下限
結果を表18に示す。フルオレセイン測定については、フルオレセインを含む試料から放射された光信号を、それが電子増倍管に入る前にコダックNo.16 Wrattenフィルターに通した。498nmの入射単色波長においてフルオレセイン溶液からの最大光強度が観察されたのに対して、554nmにおいて金粒子からの最大光散乱が観察された。金またはポリスチレン粒子からの光信号の測定に光学フィルターを使用しなかった。蛍光測定では、血清のpHを約9に調整した。
入射波長を除いては、直径6mm、長さ50mmのガラス管内のすべての試料に対して同じ光検出方法を用いた。血清については実施例6.7に記載されている。
規定濃度の血清中で測定を行った。フルオレセインまたは金粒子のみによる光信号を求めるために、適正な濃度の血清のみを含む試験管の光信号値を金粒子またはフルオレセインの値から差し引いた。
粒子からの光信号を測定するために以下の工程を実施した。
A.(a)適正な濃度の血清を含み、粒子を含まない対照試験管から放射される光信号を測定する。
(b)既知の濃度の粒子を含む試験管から放射される光信号を測定する。
(c)対照光信号値(a)を(b)の光信号値から差し引く。
蛍光溶液からの光信号を測定するために以下の工程を実施した。
B.(a)対照試験管から放射される光信号を測定する。
(b)試験管内の既知の濃度のフルオレセインから放射される光信号を測定する。
(c)対照光信号値(a)を(b)の光信号値から差し引く。
C.(a)既知の濃度の粒子から得られた光信号を比較する。
実施例6.9−高血清濃度におけるポリスチレン、ポリスチレン−蛍光化合物、および金粒子に対する検出限界
結果を表19に示す。規定濃度の血清中で測定を行った。ポリスチレンまたは金粒子のみによる光信号を求めるために、適正な濃度の血清のみを含む試験管の光信号値を金粒子またはポリスチレン粒子の値から差し引いた。光学濾過は行わなかった。
粒子からの光信号を測定するために以下の工程を実施した。
A.(a)適正な濃度の血清を含み、粒子を含まない対照試験管から放射される光信号を測定する。
(b)既知の濃度の粒子を含む試験管から放射される光信号を測定する。
(c)対照光信号値(a)を(b)の光信号値から差し引く。
(d)既知の濃度の粒子からの光信号を比較する。
入射波長を除いては、直径6mm、長さ50mmのガラス管内のすべての試料に対して同じ光検出方法を用いた。血清については実施例6.7に記載されている。
実施例6.10−金粒子の濃度が低い場合は、金粒子の光散乱特性は血清に影響されない
結果を表20に示す。濃度が95.7パーセントの血清は透明で藁色を帯びており、光路長1cm、入射光波長543nmにおける吸光度は0.14である。直径6mm、長さ50mmで、内径が約5mmのガラス管内で光散乱測定を行った。543nmの波長の入射光と散乱光の双方の吸収量の差に基づいて、血清試料中に存在する金粒子からの光散乱信号は、水中に存在する同じ濃度の金粒子からの信号の約80パーセントになる。本実施例では光学フィルターは使用されていない。
以下の工程を実施した。
(a)すべての試料を同じ入射光組成および強度で照明する。
(b)水または適性濃度の血清を含み、粒子を含まない対照試験管から放射される光信号を測定する。
(c)既知の濃度の粒子を含む試験管から放射される光信号を測定する。
(d)対照光信号値(b)を(c)の光信号値から差し引く。
(e)同じ濃度の金血清と水からの光信号を比較する。
実施例6.11−16nm金粒子懸濁物の調製
2.5mlの無菌水を0.1gのHAuCl・3HOに加えて、4%HAuCl・3HO溶液を形成した。溶液を遠心分離して粒状物を除去した。分離フラスコにおいて、10mlの無菌水を0.1gのクエン酸ナトリウムに加えて、1%クエン酸ナトリウム溶液を形成した。クエン酸塩溶液を0.4μポリカーボネート・メンブレン・フィルターで濾過して、粒状物を除去した。極めて清潔な250mlエルレンマイヤ・フラスコに、100mlの無菌水および0.25mlの4%HAuCl・3HOを加えた。フラスコを設定が4の撹拌型ホット・プレートに配置し、100mlビーカで覆った。混合物が沸騰し始めたところで、2mlの1%クエン酸ナトリウムを加えた。該クエン酸塩を加えてから1分間以内に溶液の色が黒色に変化した。次いで紫色に変化し、最終的には濃赤色になった。赤色になったのはクエン酸塩溶液を加えてから約2分間後であった。混合液をさらに30分間煮沸し、次いで室温まで冷却し、無菌水を加えて全体積を100mlとした。金塩がすべて金粒子に変換されたと仮定すれば、最終的な金濃度は約0.005%で、粒子濃度は1.2×1012個/mlになる。
実施例6.12−ポリエチレン化合物による金属粒子の安定化
1グラムのPEG化合物(MW 20、000)を100mlの無菌水に加えて1%PEG化合物溶液を形成し、50mlシリンジを使用して該溶液を0.4μポリカーボネート・フィルターで濾過した。所定量の粒子を安定化するために、該量の粒子溶液をある量の1%PEG化合物溶液に加えて、最終的なPEG濃度を0.1%とする。
実施例6.13−直径5nmの金粒子からの30nm銀塗布粒子の調製
10mlの無菌水を30mlビーカ内で煮沸した。次いで、2mgのゼラチンを徐々に加え、ゼラチンがすべて溶解するまで溶液を撹拌しながら継続的に沸騰させた。次いで、溶液を室温まで冷却した。2mlの47%クエン酸緩衝液(pH5)を加えた。5nmの金粒子を含有する溶液(金濃度は約0.005%、金粒子濃度は3.8×1013個/ml)を0.18ml加えた後、3mlの5.7%ヒドロキノン溶液を添加した。混合液を十分に混合した後、最終体積が20mlになるように無菌水を加えた。50μLの4%乳酸銀溶液を10μlずつ添加し、混合液を手で素早く撹拌した。最終銀濃度は約0.005%で、最終的な銀塗布粒子の濃度は約3.4×1011個/mlである。添加された銀がすべて各金粒子に等しく付着していたと仮定して、粒径を30nmと算定した。最終的な添加の後、ゾルは室内照明のもとで明るい黄色を帯びていた。バルク溶液では、6×50mmのガラス管に収容された希釈量のゾルによって散乱される光は、細い白色光線によって照明されたときに青色になった。10倍の対物レンズおよび12.5倍の接眼レンズを用い、DLASLPD条件下でSpectra Matrix顕微鏡により銀ゾルの希釈液を微視的に調べたところ、色の異なる明色粒子の混合物を容易に観察することができた。数において支配的な粒子は紫−青色粒子であった。黄色粒子、緑色粒子および赤色粒子も存在した。ここに記された手順に使用する直径5nmの金粒子の濃度を調整することによって、直径が20から100nmの範囲の銀塗布粒子を作製した。
実施例6.14−顕微鏡ガラス・スライド上で形成、検査される非球状銀粒子の散乱光特性
実施例6.13に記載したようにして調整された希釈銀粒子ゾルの小滴を顕微鏡ガラス・スライド上に載せ、カバー・ガラスで覆って、カバー・ガラスと顕微鏡スライドの間に非常に薄いゾル膜を形成した。銀ゾル薄膜のスポットを非常に細い光線で照明し、入射光が目にはいるのを防ぐ角度から裸眼で観察すると、照明スポットは青色の散乱光の外観を有していた。次いで、10倍の対物レンズおよび12.5倍の接眼レンズを用い、DLASLPD条件下で光学顕微鏡により、銀ゾル膜を微視的に調べた。数分間のうちに、ほとんどの粒子がガラス・スライドおよびカバー・ガラスの表面に付着し、固定化されるのが確認された。青色の粒子が最も豊富であった。次いで、カバー・ガラス上の点が微小針状プローブの点で押されると、加圧領域の粒子は、本来の青色からその色を永久的に変化させた(散乱光検出)。加圧領域の中心では、粒子は赤色であった。この中心スポットは、異なる色を有する同心円によって囲まれていた。中心から外側に向けて、色は赤色から緑色、黄色、青色へと変化していった。赤色、緑色、および黄色の粒子は非常に明るい色であった。我々が行った理論的計算では、銀微粒子は青色を有することになる。加圧効果は、粒子の形状を変化させるものと思われる。したがって、我々の結果は、銀微粒子は、それらの形状を変えることによって本来の青の散乱光色から他の散乱光色に変換できることを示唆するものである。カバー・ガラスを移動させることによって、加圧領域における異なる色の粒子を液相に分散できることを確認した。この相では、粒子はブラウン運動を行い、緑色および赤色粒子によって散乱される光は明滅したが、これは非球状粒子について予測されるものである。
実施例6.15−直径16nmの粒子からのより大きな直径の金粒子の調製
24mgの塩酸ヒドロキシルアミンを1mlの無菌水に加え、混合し、次いで10mlシリンジに取りつけられた4μポリカーボネート・メンブレン・フィルターで濾過することによって、2.4%塩酸ヒドロキシルアミン溶液を調製した。試験管内の0.1gのHAuCl・3HOに2.5mlの無菌水を加え、混合し、次いで遠心分離して粒状物を除去することによって、4%HAuCl・3HO溶液を調製した。25mlの無菌水を250mlエルレンマイヤ・フラスコに加えた後、所望の粒径に応じて、表1に示されている量16nmの金粒子を加えた。次に、表1に指定されている量の4%HAuCl・3HO溶液を加えた。最後に、無菌水を加えて、全量を100mlとした。次いで、表1に指定されている量の塩酸ヒドロキシルアミン溶液を手で素早く撹拌しながら加え、混合液を30分間静置した。塩酸ヒドロキシルアミン溶液を加えてから数秒以内に、溶液は、粒径に応じて、わずかに桃色がかった透明色から最終的な赤色または焦茶色に変化した。粒径の小さいほうが赤色溶液になりやすかった。
Figure 2009244270
表2に示されている指定量の溶液を使用し、16nmの金の溶液の代わりに直径100nmのAu粒子の溶液を使用した以外は、上述と同様の手順に従ってより大きな直径の粒子を調製した。
Figure 2009244270
実施例6.16−16nm金粒子からの銀塗布粒子の調製
25mlの無菌水を250mlエルレンマイヤ・フラスコに加えた後、0.005%の16nm金粒子ゾルを6.4ml加え、得られた溶液を混合した。次いで、40mg/mlのL(+)乳酸銀塩溶液を0.234ml加えた。すぐに濃い紫色になった。次いで十分量の無菌水を加えて、全量を100mlとした。手で素早く撹拌しながら、1.25mlの24mg/ml塩酸ヒドロキシルアミン溶液を加えたところ、得られたゾルはラベンダ・シルバー色を呈した。ゾルの小滴をガラス・スライド上に載せ、カバー・ガラスで覆い、DLASLPD条件下で光学顕微鏡により調べた。粒子は赤色、緑色、紫色および黄色になった。白色光で照明された試験管中のこれらの粒子の希釈液の散乱光の色は淡青色であった。
実施例6−17−BSA塗布ガラス・スライドの調製
様々な粒子の組合せに対する信号および検出パラメータ、ならびに固相分析のように固相上の粒子を検出するための照明および検出方法を検討するためにモデル・システムを設定した。
このシステムは、まずガラス・スライドにウシ血清アルブミン(BSA)を塗布し、次いで指定領域に異なる量の金粒子を付着させてパラメータを検討することを含むものであった。ここでは、スライドにBSAを塗布するのに用いる方法について説明する。
1.5gのBSAを15mlの無菌の超純水に加えて混合し、次いで該溶液を0.44mmポリカーボネート・メンブレンで濾過することによって、10%のBSA水溶液を調製した。20μlの10%BSA溶液を10mlの無菌水に加え、0.4mmポリカーボネート・メンブレンで該BSA溶液を濾過することによって0.02%BSA(200μgBSA/ml)溶液を調製した。
通常の顕微鏡ガラス・スライドは、メタノールに浸したブラシで擦ることによって洗浄した。ブラッシングの後、プラスチックの噴射ボトルを使用してスライドに無菌水を噴射することによってスライドを洗浄した。0.02%のBSAを含有する無菌水を含むビーカにスライドを漬け、1時間インキュベーションすることによってガラス・スライドにBSAを塗布した。次いで、スライドをビーカから取り除き、噴射ボトルから無菌水を噴射することによって洗浄した。スライドの両面をすすぎ洗いした。次いで、スライドを無菌水で満たした150mlビーカに約10分間漬けた。水を噴射することによって再び洗浄した。遊離BSAは、塗布スライドへの金属粒子の結合を妨害するため、スライドから遊離BSAを除去することが最も大切である。次いで、BSAが塗布されたガラス・スライドを乾燥し、清潔なプラスチック箱のなかで乾燥したまま保存する。
実施例6.18−BSAスライドへの金粒子の付着
ダイアモンドけがき針(scriber)を使用して、BSA塗布ガラス・スライド上に(直径約8mmの)小円を刻んで、金粒子を付着させる領域をマーク付けする。所望の金粒子濃度を有する3μlの非保護金粒子溶液をスライドのマーク付け領域の1つに付着させる。金粒子溶液を実際の刻みマークの反対側に付着させて、金粒子溶液と刻みマークの相互作用を防ぐ。
ガラス・スライド上に、金粒子密度が系統的に低下する金粒子のパッチの連続体を形成するには、そのパッチの連続体をスライドの真ん中に直線状に設けるのが望ましい。このような配列を得るために、我々が作製したホルダーにスライドを搭載することで、金パッチを正しい配列で付着させることが可能になる。パッチは室内灯のもとでは見ることができない(すなわち、粒子密度が低いため、室内灯のもとでは色を有さない)ことに留意されたい。したがって、スライドの側面に、パッチの位置を識別するためのマークをつける。粒子を付着させながら、それらのマークをつける。粒子のパッチを形成するために、所望の金粒子濃度に希釈された3μlの非保護金溶液を付着させる。次いで、密閉されたプラスチック箱のなかで、指定時間スライドをインキュベーションする。箱の内壁および底面を湿ったペーパ・タオルで覆って、スライド上の金ゾルの蒸発を防ぐ。次いで、スライドを取り除き、パスツール・ピペットで無菌水を噴射することによって洗浄する。スライド上のBSAに金粒子を最も効率的に結合させるためには、金粒子溶液のpHをBSAのpI(pI=4.58〜5.45)に合わせて調整すべきであることを見いだした。
実施例6.19−マイクロアレイ分析測定−BSA−ビオチンを塗布した直径60nmの金粒子をプラスチック基板上の直径80ミクロンの適切な単一ストレプタビジン・パッチへの結合
以下のような溶液を調製した。2mgのBSA−ビオチンを2mlの無菌水に添加し、500mlエルレンマイヤ・フラスコ内の蒸留水に対して室温で数時間透析することによって、1mg/mlのBSA−ビオチン溶液を調製した。水を4回交換した。最後に交換した水は無菌水であった。20mMトリス食塩水、0.1%PEG化合物、0.02%のNaアジドpH7.4緩衝液も調製した。どの溶液も0.4μポリカーボネート・メンブレン・フィルターで濾過した。噴射ボトルを使用し、無菌水でポリスチレン試験管を十分に洗浄し、直径60nmの金粒子の溶液4mlで満たし、臨床遠心器で30分遠心分離を行った。
次いで、他のサイトに記載されているように粒子を洗浄した。軟質ペレットを10mlの無菌水に再懸濁させた。金粒子溶液のpHを以下のように調整した:100μlの1%PEG化合物溶液を清潔なポリカーボネート試験管に加えた。これに、60nmの金のゾルを1ml添加し、2分間インキュベーションした。0.02MのKCOをpHが6.6になるまで金ゾルに2μlずつ加えた。次いで、pHの調整に必要な0.02MのKCOの量(μl)を計算して金ゾルの残り(ml)に加えるが、この場合は80μlであった。次いで、ポリカーボネート管に含まれる1mg/mlのBSA−ビオチン溶液1.15mlにpH6.6の金ゾルを9.5ml加え、室温で5分間放置した。次いで、該溶液を臨床遠心器で30分遠心分離し、ついで上澄みを除去した。残りの軟質ペレットを3mlの無菌水に懸濁させ、次いで先述のように遠心分離し、上澄みを除去し、次いで0.1%のPEG化合物溶液に再懸濁させ、再び遠心分離した。上澄みを除去し、ペレットを20mMトリス食塩水、0.1%PEG化合物溶液に再懸濁させ、遠心分離した。次いで、上澄みを除去して、約200μlの軟質ペレットを残した。直径80μのストレプタビジン・スポットを含むプラスチック・ウェルにこの溶液50μl加え、ウェルを高湿チャンバのなかで一晩インキュベーションした。次いで、パスツール・ピペットを使用してウェルを無菌水で数回洗浄し、ウェルから水を噴射し、除去した。顕微鏡による検出を行うために、ウェルに60μlの無菌水を満たした。
実施例6.20−直径80ミクロンのストレプタビジン塗布結合部位スポットのマイクロアレイに対する、BSA−ビオチンを塗布した直径60nmの結合金粒子の検出
BSA−ビオチン−Au結合剤(直径60nmの金粒子)の懸濁物を、ウェルの底面に直径80μのストレプタビジン・スポットのマイクロアレイを含むプラスチック・ウェルに加えた。適切な時間にわたってインキュベーションした後、ウェルを洗浄し、我々が開発した光学顕微鏡システムを用いてDLASLPD条件下で観察した。80μの個々のスポットに結合したBSA−ビオチン−Au標識付け粒子を確認した。粒子を加える前は目に見えなかった80μのストレプタビジン・スポットが、明確な円形の明るいスポットとして見えるようになった。インキュベーション時間を変えることにより、またはBSA−ビオチン−Au濃度を変えることにより、BSA−ビオチン−Au粒子の表面密度が異なる個々のスポットを得た。低結合密度でストレプタビジン・スポットに結合した個々の粒子を、倍率約200倍の顕微鏡により肉眼で容易に検出することが可能であった。80μの個々のスポットからの計数および集積光強度測定を自動化するために、サンディエゴの企業から24時間貸し出しのビデオ画像処理ソフトウェアを試験した。アレイ装置ウェル内に存在する25の個別的なスポットを含むビデオ画像を、安価な白黒ビデオ・カメラ、ビデオ・フレーム・グラバ、および単純なデスクトップ・コンピュータを使用して取り込んだ。該ソフトウェアは、各スポットの集積光強度、ならびに単一スポット毎の粒子の数も測定することが可能であった。例えば、低密度のBSA−ビオチン−Au結合剤で標識付けされたストレプタビジン・スポットを、粒子計数モードを用いたビデオ撮像システムで分析した。信号/背景比についての何らかの推定値を得るために、ストレプタビジンが塗布されていない固相領域の直径80μのスポットを分析して、背景を測定した。この予備的なモデル・システムでは、信号/背景は317/25から317/13で、非最適化照明および検出条件下でのスポット上の標識付け密度は約0.06個/μであった。この最適化予備データに基づき、これらのデータは、信号/背景が3/1の場合において、0.015個/μの粒子密度が検出可能であることを示唆するものである。より最適化された条件下では、より低い感度レベルがはるかに低くなる可能性がある。
実施例6.21−薄膜内の金粒子の検出感度
60nmの金ゾルを10倍に希釈し、各希釈液の20μlをスポットとしてBSA塗布スライドに付着させた。次いで、カバー・ガラスで覆われていないスライドを浸漬油でポロ・プリズムに密着させた。各金ゾル・スポットは、直径が約4mmであった。以下の表は、各スポットの該当情報を示すものである。
Figure 2009244270
以下の表は、上記データを臨床分析用途においてより有意義な単位で表している。スポット内の液の高さは、以下の式で計算することが可能である。
h=V/A
上式において、Vは、スポット内の液体の容積(20ml=0.02cm)、Aはスポットの面積(cm)である。A=1.2cmを用いて、h=0.016cm=160μを得る。この高さは、目、または我々の電子光学検出法の視野の深さよりはるかに小さいため、各スポットは、(幾何学的な観点から)すべての粒子がスライドの表面に存在するかのように振る舞い、表のなかに報告されている感度は、表面に付着する粒子に対して想定される感度に近くなっている。
Figure 2009244270
実施例6.22−BSA塗布ガラス・スライドの表面に付着した60nmの金粒子
60nmの金粒子の一連の希釈溶液を形成し、各希釈溶液を3μlずつ小スポットとしてBSA塗布スライドに付着させた。それらのスポットは、同一スライド上に並べて配置された。該スライドを高湿チャンバ内で6.5時間インキュベーションし、次いで無菌水で洗浄した。較正十字線を備えた接眼レンズを有する光学顕微鏡で、DLASLPDの条件下で粒子計数を行うことによって各スポットにおける粒子密度を測定した。以下の表は、我々の結果を示す。
Figure 2009244270
6.5時間後、スライド上の各金含有領域に無菌水を静かに噴射することによってスライドを洗浄した。スライドを低温設定でヒート・ガンによって乾燥させた。乾燥したスライドを光学顕微鏡によりDLASLPD条件下で観察し、顕微鏡接眼レンズの較正十字線を使用して各領域の粒子密度を測定して、平方十字線当たりの粒子数をカウントした。以下の表にその結果を示す。
Figure 2009244270
Figure 2009244270
実施例6.23−60nmの金粒子の小液体スポットからの視覚強度検出に対する感度
3.4×10−12M(金濃度0.005%)の60nm金ゾルの希釈液を2つ調製し、各希釈液を2mLずつガラス・スライドの個別的なスポットに付着させた。各スポットの直径は約4mm(面積=6.28×10)であった。異なるスポットが、同じスライドの中央に並べて配置された。各スポットの粒子濃度および密度を以下の表に示す。
Figure 2009244270
裸眼で検出される散乱光強度から最も低い粒子密度を測定するために、浸漬油を利用してスライドをポロ・プリズムに密着させた。まだ液体の状態の各スポットを、ファイバーの末端に10倍の対物レンズを備えたBaush−Lomb照明装置からの光で連続的に照明した。照明装置により生成したスポットは、直径が約4mmであった。夜に、暗室で、0.0385まで観察することができたが、それは何とか観察できる程度であった。
実施例6.24−Immulonプラスチック・ミクロタイター・ウェルにおける異なる濃度の60nm金粒子(懸濁物)のフォトダイオード検出に対する感度
それぞれ異なる60nm金ゾルの希釈液をそれぞれ異なるイムロン・ウェルに仕込んだ(各ウェルに200μlずつ仕込んだ)。散乱光強度を測定するために、10倍の対物レンズを装備したLeica顕微鏡照明装置からの白色光でウェルの底部を照明した。ウェルの底部は、対物レンズから数ミリメートル離れていた。対物レンズからの光は、ウェルの中心に集まる光線を生成した。焦点における光線の直径は約5mmであった。ウェルの側壁を通じて光を検出するように配置されたフォトダイオードによって散乱光を検出した(直角検出)。背景光の検出を制限するためにフォトダイオードの前方に配置された(直径約1mmの)小さな穴を通じて散乱光を検出した。異なる金ゾル希釈液を含むウェルを互いに結合させ、各ウェルを照明および検出路に連続的に配置することができる。フォトダイオードの出力を流動モードで動作する演算増幅器で測定する。演算増幅器のフィードバック抵抗器は、増幅器の感度を測定する。フォトダイオードは、光起電力モードで動作する。60nmの金の希釈液を2組調整し、フォトダイオードで強度を測定した。
a.第1組の希釈液
マスター溶液(3.8×10−11M)を2倍に希釈した。以下の読出し値を得た。演算増幅器のフィードバック・ループの5メグオーム抵抗器を用いて読出しを行った。
Figure 2009244270
b.第2の希釈液
11倍の希釈液(3.4×10−12M)を2倍に希釈した。結果を以下に示す。
Figure 2009244270
上記の結果は、ウェルにおいて、1.9×10−11Mから1×10−13Mの範囲の直径60nmの金粒子を検出できることを示している。上方レンジは拡張することが可能である。
実施例6.25−BSA塗布ガラス・スライドに付着した60nm金粒子を付着させ、視覚的に検出する(集積散乱光強度)ための再現性
0.005%の金(60nm)溶液の2倍希釈液をBSA塗布スライド上の5つのスポットのそれぞれに3μl付着させた。スライドを5分間インキュベーションし、次いで150mlの希釈水を含むビーカに入れた。水によって未結合の金がスライドから除去された。次いで、我々の照明装置(白色光Spectra Metrix照明装置)でスポットを照明した。各スポットの金粒子はリング状で(すなわち、粒子はスポット内に均一に分布しておらず、リングに固定されていた)、緑色光を散乱し、暗室でも裸眼ではっきりと観察することができた。
金ドットをインキュベーションしている間、金粒子スポット内の液体を撹拌するように指をスライドにそっと押しつける以外は、新たに塗布したBSAに対してその実験を繰り返した。5分後、スライドをビーカ内の150mlの無菌水に浸し、白色光Spectra Metrix照明装置を使用して、各スポットにより散乱される光を交互に観察した。照明装置からスライド上に直径約5mmの光のスポットが生成された。散乱光を通じて、金ゾルが付着した金スポットをはっきりと観察することができた。スライドを水中に浸してスポットを観察したところ、スライド上の欠陥による散乱が低減された。どのスポットも緑色光を散乱し、視覚的な検出によって評価したのと同じ位の強度を有していた。小さな無光散乱スポット(暗スポット)が各スポットの中心に現れた。
実施例6.26−金粒子濃度が異なる60nm金ゾルによって散乱される光の色
6つの8×50mm(1.6mL)ポリスチレン管を噴射ボトルからの無菌水でリンスすることによって洗浄した。シェークすることによって余剰の水を各ポリスチレン管から除去したが、乾燥はしなかった。金粒子溶液(60nm、0.005%)を1、2、4、8、16および32倍に順次希釈した。それぞれの管には500mlの金粒子溶液が含まれていた。希釈された金ゾルはポリスチレン管のなかで安定していた(散乱光の色は変化しなかった)。凝集の形跡はなかった。それぞれの希釈液により散乱された光は以下の色を有していた。これらの観察に使用された金ゾルは、あらかじめ無菌水で数回にわたり洗浄されて、金粒子を不安定化させると思われる(金ゾルの形成に使用される)塩を除去したものである。
Figure 2009244270
実施例6.27−BSAによる金粒子の安定化
1%NaClによる凝集に対して金ゾルを安定化させるためには、0.005%の60nm金ゾル1ml当たり900mgのBSAが必要であることがわかった。
実施例6.28−BSA塗布ガラス・スライド上への高粒子密度での60nm金粒子の付着
本実施例は、異なる表面密度(25から100個/μ)の金粒子をガラス・スライドに付着させる方法を示す。これらのスポットを実施例30および31に使用して、裸眼、およびDLASLPD法を用いた光学顕微鏡で観察される、これらのスポットから散乱する光(白色光照明)の強度、色および均質性を測定する。
すべての金粒子が缶の底に沈殿するまで(約30分間)、4mlの60nm金ゾル(0.005%、3×1010個/ml)を最大速度で臨床遠心器により遠心分離した。上澄みを除去し、軟質ペレットを1、2および4倍に希釈した。軟質ペレットの粒子濃度は約3×1011個/mlであったと推定される。各希釈液をBSA塗布ガラス・スライド上の個々のスポットに4mlずつ付着させ、各スポットの液を室温で蒸発させた。各スポットに付着した粒子の数(×1の金ゾルは3×1011個/mlの濃度を有していたと仮定する)が以下の表に示されている。60nmの粒子で達成可能な最大粒子密度(飽和単分子膜粒子)は354個/μであることに留意されたい。
Figure 2009244270
溶剤蒸発後、各スポットの外観を室内灯、およびDLASLPD照明のもとで(裸眼による観察と同様にして)調べた。DLASLPD照明には、10倍の対物焦点レンズを有し、対物レンズから約10mmの距離の小スポットに集中する細い光線を生成するLeica顕微鏡照明装置を用いた。また、2.5倍、10倍、25倍および40倍の対物レンズ、さらに追加的な1.25倍、1.6倍および2倍の倍率を備えたDLASLPD法を用いた光学顕微鏡法によってスポットを調べた。10倍および20倍の対物レンズでは一度に各スポットのわずかな領域しか観察できなかった。しかしながら、2.5倍の対物レンズでは、スポット全体を観察することができた。粒子表面密度を求めるために、顕微鏡を通じて観察される所定領域の粒子をカウントし、この数をその面積で割った。その面積は、スライド・マイクロメータで較正された顕微鏡の接眼レンズに配置された十字線で測定された。一例として、40倍の対物レンズ、および(接眼レンズの前の)さらなる1.25倍および2倍の倍率で粒子計数を行った場合は、粒子計数に使用した接眼レンズ十字線における平方単位は、それぞれ6.25μ×6.25μ(正方形の面積=39.1μ)および10μ×10μ(面積=100μ)であった。これらは、オブジェクト平面における面積である。
実施例6.29−空気中の高表面密度の金粒子スポットの観察
本例では、実施例6.29に記載されたようにして調製した金粒子スポットをDLASLPD照明を用いて視覚的かつ顕微鏡的に調べる。スポットは乾燥状態で、金粒子は空中に存在した。
a.1倍希釈スポット
室内灯のもとでは、スポットは、直径1mm未満のより明るいスポットが中心に存在する暗い紫色の外観を有する。DLASLPD照明のもとでは、そのスポットは極めて均一な白色がかったオレンジ色の外観を有していた。そのスポットは高輝度であった。顕微鏡(10倍の対物レンズ、追加倍率2倍、12.5倍の接眼レンズ)におけるDLASLPD条件下では、接眼レンズを通じて観察されるスポットは、非常に強いオレンジ色を有していた。単一粒子を容易に観察することができた。いくつかの粒子が極めて密に接していたり、さらには重なり合っているのを観察することができた。大多数の粒子はオレンジ色であるが、いくつかは緑色である。ほぼ顕微鏡の空間解像度より小さい距離だけ互いに離れた2つ以上の粒子は単一粒子に見える。粒子間の空間がそれらの光散乱特性を混乱させるほど密な場合は、粒子群は、単一粒子の色と異なる色の単一粒子のように見える。粒子密度が高くなると、理論的計算から、多くの粒子は、顕微鏡の解像度より小さい距離だけ離れることになる。スポットの外観は、10倍または20倍の対物レンズで観察した場合は、さほど大きく変化しなかった。スポットの外側(背景)に存在するスライド上の領域は、高輝度スポットに比べて非常に暗かった。2.5倍の対物レンズを用いると、スポット全体を観察することができた。それは、小さな緑色のリングを周囲に有する強いオレンジ色の外観を有していた。オレンジ色の領域では、色は極めて均一に見えたが、いくつかのパッチは他のパッチより明るく見えた。緑色のリングにおける粒子表面密度は、オレンジ色の領域における密度よりはるかに小さかった。
b.2倍希釈スポット
室内灯のもとでは、スポットは、約2mmの濃い紫色のスポットを中心にした中程度の明るさの紫色の外側リングを有している。DLASLPD照明のもとでは、スポットは、極めて均一な白色がかった黄色の外観を有する。該スポットは、極めて高輝度であった。光学顕微鏡(10倍および20倍の対物レンズ、追加倍率2倍、12.5倍の接眼レンズ)におけるDLASLPD条件下では、接眼レンズを通じて観察されるスポットは極めて強いオレンジ色を有していたが、その色は1倍希釈スポットほど均一ではなかった。緑色がかった外観を有するパッチが存在する。非常に密接した粒子を観察することができた。大多数の粒子はオレンジ色であるが、緑色のパッチに極めて豊富に存在する緑色の粒子も存在する。スポットの外観は、10倍または20倍の対物レンズを用いて観察した場合は、さほどではなかった。スポットの外側の領域は、高輝度スポットに比べて非常に暗かった。2.5倍の対物レンズを用いると、スポット全体を観察することができた。それは、小さな緑色リングを周囲に有する強いオレンジ色の外観を有していた。オレンジ色の領域では、色は極めて均一に見えたが、いくつかのパッチは他のパッチより明るく見えた。この不均一性は、一部に、最適化されなかった照明システムの非均質性によるものである。
c.4倍希釈スポット
室内灯のもとでは、スポットは、小さな暗スポット(直径約1mm)が円の片側にずれた非常に明るい紫色を有していた。DLASLPD照明のもとでは、スポットは、極めて均一な白色がかった緑色の外観を有していた。スポットは極めて高輝度であった。光学顕微鏡((10倍の対物レンズ、追加倍率2倍、12.5倍の接眼レンズ)におけるDLASLPD条件下では、おそらく溶剤の蒸発が不均一なために極めて均一性に欠けていた。スポットの中央は、極めて強いオレンジ色またはラベンダ色を有していた。この中央領域では、粒子は極めて密接、あるいは重なり合っており、ほとんどの粒子がオレンジ色であるが、いくつかの粒子は緑色である。中央から離れると、スポットは、緑色の粒子が支配的で、いくつかの粒子はオレンジ色である緑がかった外観を有していた。スポットの中央から周辺に行くに従って、緑色と黄色が交互するリングが存在する。スポットの外側の領域(背景)は、高輝度スポットに比べて極めて暗かった。2.5倍の対物レンズを用いると、スポット全体を観察することができる。該スポットは、中央に向かって(直径約1.5mmの)オレンジまたはラベンダ色のスポットを有する楕円の外観を有していた。これは、黄緑色と緑色が交互する領域の明るい円で囲まれていた。周囲の小さなリングは、はっきりした緑色のより低輝度(それでも強い)色を有していた。この周辺領域では、ほぼすべての粒子が緑色粒子で、40倍の対物レンズ、追加倍率2倍でカウントすることが可能であった。緑色粒子の粒子表面密度は約20個/39.1μ、または0.5個/μであった。極めて外側に近くなると、粒子が急激に減少し、我々のカウントでは7個/100μ、または0.07個/μであった。このスポットにおける粒子の勾配により、約1個/μの計数限界まで粒子をカウントすることが可能になる。
空気中の固定粒子についての結論
a.上述の手順により、小スポット(4mm)に高い表面密度で金粒子を付着させることが可能になる。付着層は、スポットを形成するのに使用する蒸発法に対して想定されるように、室内灯のもとで観察すると完全に均一ではない。
b.光学顕微鏡におけるDLASLPD条件下では、1倍希釈スポットおよび2倍希釈スポットは極めて均一である。4倍希釈スポットでは、スポットはより不均一であった。
c.スポットの粒子密度が高すぎるため、有意義な粒子のカウントを行うことができない(粒子が接近しすぎていて単一粒子として分解するのが困難である)。しかしながら、4倍希釈スポットの周囲では、粒子をカウントすることができ、ここでの密度は約0.5個/μであった。この粒子密度は、我々の顕微鏡の解像度でカウントしうる最大粒子密度に近い。
実施例6.30−水中の高表面密度金粒子スポットに対する観察
実施例6.30で使用したスライドをビーカ内の150mlの無菌水に浸した。粒子はスライドから離脱していなかったようである。10倍の対物レンズを備えた顕微鏡照明装置を使用して、浸水したスライドの金スポットを細い光線で個別的に照明することができた。空中から水に移行するに従ってスポットの色の変化はなかったようである(裸眼による観察)。水を入れたビーカからガラス・スライドを取り出し、カバー・ガラスで覆った。水の薄膜が金粒子を囲んだ。顕微鏡観察を行ったところ以下のようであった。
a.1倍希釈スポット
2.5倍の対物レンズ、1.25倍の追加倍率、および12.5倍の接眼レンズを備えた光学顕微鏡を用いたDLASLPD条件下で観察したところ、スポットは、極めて均一なオレンジ・ラベンダ色の外観を有していた。スポットの周囲は、明るい黄緑色の粒子を含んでいた。周囲の粒子は、10倍から40倍の対物レンズで容易に観察することができる。単一粒子を明るいオブジェクトとして容易に観察することができる極めて外側の薄いリングを除いて、粒子表面密度は、スポット周辺であってもスポット全体を通じて非常に高かった。
b.2倍希釈スポット
2.5倍の対物レンズおよび1.25倍の追加倍率を使用して、12.5倍の接眼レンズを通じてスポット全体を観察することができた。スポットは、全体的に非常に強い黄色を有し、極めて均一に見えた。スポットのほとんどは黄色であったが、周囲に向かって、黄緑色を呈していた。40倍の対物レンズおよび1.25倍の追加倍率を用いると、非常に高い表面密度の粒子を観察することができた。ほとんどの粒子は黄緑色である。いくつかの粒子は緑色または赤色を有する。粒子密度が急激に低下してゼロになる周囲(暗い背景)を除いて、スポットは極めて均一な強度を有していた。粒子表面密度が低い周囲では、暗い空間を間に挟んだ単一粒子を容易に観察し、計数することができる。
c.4倍希釈スポット
2.5倍の対物レンズおよび1.25倍の追加倍率を用いてスポット全体を観察することができた。スポットは、非常に強い黄緑色を有し、色は、スポットが多くの緑色パッチを有する空気中での観察結果に比べて極めて均一であった。単一粒子は、40倍の対物レンズと1.25倍の追加倍率で容易に観察できた。水中の粒子は、空気中の粒子よりはるかに高輝度で明るい。周囲の粒子は緑色が支配的ではなかったが、水中では、たいていの粒子が黄緑色で、赤色粒子およびオレンジ色の粒子がいくつか存在していた。スポットのほとんどは、非常に強い黄色を有していた。40倍の対物レンズで単一粒子を観察できるが、それらの粒子は非常に密度が高く、重なり合っている。スポットの最も高輝度の領域では、40倍の対物レンズおよび2倍の追加倍率で観察された粒子は、密度が約25個/39.1μまたは約0.6個/μであった。顕微鏡解像度の限界のため、この数によって、真の粒子表面密度を表すことはできない。
水に覆われた固定粒子についての結論
金スポットを水の中に入れると、その外観がより均一になると思われる。2倍希釈スポットおよび4倍希釈スポットは、(スライドがプリズムに配置され、浸漬油でプリズムに密着した)DLASLPD条件下の光学顕微鏡の照明を用いて裸眼で観察すると、どちらも黄色に見える。1倍希釈スポットは肉眼ではオレンジ色に見える。
実施例6.31−60nmの金−BSA−ビオチン試薬の磁気ビーズへの結合
本実施例は、懸濁液中で光散乱強度を測定することによって金粒子の磁気ビーズへの特異的結合を検出、定量するとともに、DLASLPD条件下の光学顕微鏡によって磁気ビーズに結合した単一金粒子を検出する我々の能力を実証するものである。
共有結合によりビオチン(BSA−ビオチン−Au)で標識付けされたBSAを60nm金粒子に塗布した。0.1%BSA溶液を含み500μlのリン酸緩衝塩溶液(pH7.4)を5つのミクロ遠心管のそれぞれに加えた。それぞれの管に0、1、2、3および4と標示した。金粒子濃度が3.8×10−11MのBSA−ビオチン−Auの溶液を各管に加え、それぞれの管を振った。追加的な量のBSA−ビオチン−Au溶液を添加して、各管における金BSA−ビオチン粒子の濃度を8×10−13Mとした。0.1%BSAおよび0.02%NaNを含有する燐酸緩衝塩(PBS)(pH7.4)に溶解した、6.7×10個/ml(10mg/ml)のDynaビーズ、または約1×10−12Mモル濃度のビーズを含む、下記の量(μl)のDynaビーズM280ストレプタビジン(ビーズの表面にストレプタビジンが共有結合した直径2.8μのビーズ)懸濁物を各遠心管に加えた。
Figure 2009244270
遠心管を室温で30分間インキュベーションし、次いで遠心管0から1つずつMPC−E/E−1磁気粒子濃縮器内に配置して、溶液から磁気ビーズを分離した。2分後、遠心管を磁気分離器に入れたまま、上澄み液を注意深く除去した。上澄みを1mlのミクロ培養管に入れた。遠心管5を磁気濃縮器のなかに5分間放置し、他の遠心管を2分間放置した。次いで、上澄みの散乱光強度を以下の設定によりSpectra Metrix光度計で測定した:抵抗体PMアウト=0.1メグオーム、励起側フィルター=オレンジ・フィルターCS 3−67、10倍のニュートラル密度アテニュエータ=アウト
以下の散乱光強度を測定した。
Figure 2009244270
磁気ビーズを含むそれぞれの遠心管に上澄みを戻し、さらに2時間インキュベーションした。2時間後、先述のように遠心管を処理し、上澄みに対する以下の散乱光強度を求めた。
Figure 2009244270
2時間の追加的なインキュベーションによって、磁気ビーズに結合する金BSA−ビオチンの量が増えたわけではなかった。
金粒子が結合した微量の磁気ビーズを顕微鏡ガラス・スライドに付着させ、カバー・ガラスで覆った。次いで、光学顕微鏡を用いたDLASLPD条件下でスライドを調べた。磁気ビーズは、強く散乱するオブジェクトとして容易に観察できたが、ビーズ上の金粒子は、大きな磁気ビーズによる強い散乱のために、観察するのがより困難であった。しかしながら、水媒体を屈折率が1.4から1.5付近の浸液媒体に代えると、粒子をよりはっきりと観察することができた。照明光線を、スライドに垂直な線に対してより大きな角度で傾斜させると、金粒子をよりはっきりと観察することができた。
実施例6.32−直径40nmの核酸標識付け金(Au)粒子による核酸ハイブリダイゼーションの検出
1.化学活性ポリエチレン・グリコールアミン塗布Au粒子の調製
核酸をAu粒子に結合させるための反応性アミン基を以下のように得た。実施例6.12に記載されている手順を用いて、40nmAu粒子にビス(ポリオキシエチレンビス[3−アミノ−2−ヒドロキシプロピル])ポリエチレン化合物を塗布した。これにより、核酸を粒子に結合させるためのいくつかの化学活性アミン基を有するポリエチレン化合物の薄膜を有する直径40nmのAu粒子が得られる。
2.直径40nmのAu粒子に結合する核酸の調製
ポリシチジル酸(ポリ(C))およびポリイノシン酸(ポリ(I))の単独重合体を以下のように化学的に修飾した。0.8mgおよび1.3mgのポリ(I)およびポリ(C)を別個の管に入れた。各々の管に、1−エチル−3、3−ジメチルアミノプロピルカーボジイミド(CDI)の0.1Mイミジゾール緩衝液(pH8.5)を1.0ml加え、1時間インキュベーションした。次いで、核酸をエタノール沈殿によって沈殿させ、ハイブリダイゼーション緩衝液(20mMトリス−HCL、100mM NaCl、1mM EDTA pH7.6)に再懸濁させた。
3.活性核酸の活性Au粒子への結合
ポリ(I)調製物とポリ(C)調製物の両方に対して同じプロトコルを用いた。50μlの核酸溶液に、20μlの40nm−Au−PEG活性粒子溶液、および100μlのHepes0.2M(pH8.0)を加え、50℃で1時間インキュベーションした。反応後、ポリ(C)およびポリ(I)40nmAu−核酸結合体を遠心分離によって回収し、洗浄し、ハイブリダイゼーション緩衝液に再懸濁させた。
4.ハイブリダイゼーションの実験
核酸−40nm金粒子結合体(粒子の重合体塗布面に核酸を共有結合させた直径40nmの金粒子)のハイブリダイゼーション特性を以下のように調べた。DLASLPD法を用いた光学顕微鏡を使用した。図9に示されるようなガラス・スライド−液体−カバー・ガラスの実験設定を用いた。微量のポリ(C)−Au粒子結合体調製物をスライドに滴下し、カバー・ガラスで覆った。微量の浸漬油を顕微鏡コンデンサに滴下し、次いでスライドをコンデンサの上面に配置した。10倍の対物レンズを使用した。溶液は極めて均質で、ポリ(C)−Au粒子結合体が視野を浮遊するのを見ることができた。それらのブラウン運動は、核酸で標識づけられていない40nmのAu粒子に対して先に観察したものより不活発であった。いくつかのポリ(C)−Au粒子は、ガラス・スライドの表面に付着していた。ほとんどが2から4のポリ(C)−Au粒子からなるいくつかのポリ(C)−Au粒子の凝集体が存在していた。これらの凝集構造体は、それらが視野を横切って移動するときは1つのユニットとして移動していた。数分間スライドを観察している間に、該スライドの表面に結合しているポリ(C)−Au粒子の粒子密度が増加しているのに気づいた。ポリ(C)−Au粒子からの散乱光の色は緑色であった。カバー・スライドを取り除き、次いでポリ(C)−Au液滴を含むスライドの湿った領域の隣に、微量のポリ(I)−Au調製物を滴下した。金属プローブを使用して、ポリ(I)−Au液滴から、ポリ(C)−Auを含むスライドの湿った部分に液体のラインを引くことによって2つのスポット間の接触を築いた。次いで、カバー・スライドを上面に配置し、次いでスライドを顕微鏡に再び配置して観察した。経時的に、形成されるポリ(I)−Au−ポリ(C)−Au多粒子凝集体の数が増加するのを確認した。約20分後に、スライドを走査し、単一粒子が非常に少なく、ほとんどの粒子がいくつかの粒子の凝集体の形をとり、その多くがガラス・スライドに付着しているのを確認した。それらの凝集体は、定まった形状を有し、すなわちこれらの粒子は集成しており、ある粒子はランダムに巻かれた糸のスプールのように見え、他の粒子は分枝網状体のように見えるといった特定の様式が存在するように思われた。これらの多重凝集体は、対照ポリ(C)−Auスライドに対して観察したわずかな凝集体とは全く異なっていた。40倍の対物レンズに切り換えたところ、いくつかの凝集体において、いくつかの粒子は緑色というより黄色を呈していた。次いで、ポリ(Au)−ポリ(I)−Au反応を含むスライドのカバー・ガラスを取り除き、微量の10−5M臭化エチジウムをスライドに滴下して、カバー・ガラスで覆った。スライド上の粒子の凝集体から薄いオレンジ色が発せられていること、すなわち粒子の緑色および黄緑色は薄いオレンジ色の背景上に置かれていることを確認した。凝集体から離れた領域では、オレンジ色は確認されなかった。この薄いオレンジ色は、粒子凝集体付近または内部に核酸の二本鎖構造体が存在することを我々に示すものであった。我々はこれを、ポリ(I)−Au結合体に対するポリ(C)−Au結合体のハイブリダイゼーションと解釈している。このスライドを取り除いて、微量のポリ(I)−Auを含む対照スライドを顕微鏡で観察した。対照ポリ(C)−Auスライドと同様の観察を行ったが、このポリ(I)−Au調製物は、ポリ(C)−Au対照スライドと比較して約2倍の数の小凝集体を有しているように思われた。散乱光の色は緑色で、いくつかの凝集体は黄緑色であった。
この特定の形式では、両方の相補鎖が金粒子で標識付けされた。相補鎖がハイブリダイズするにつれて、粒子凝集体が増えた。金または同様の粒子からの散乱光を検出することによって核酸の結合を検出することができる。また、2つ以上のAu粒子が密接する場合に、散乱光の色が変化するようである。この散乱光の色の変化を結合事象の検出手段として利用することも可能である。Au粒子、または光を十分に散乱させる他の任意の粒子を多くの形式で使用して、分離または非分離分析形式において、核酸または他の任意のリガンド受容体対を検出できることに留意されたい。
実施例6.33−大形ポリスチレン・ビーズに対する結合金粒子の検出
ビオチンが塗布された直径約2ミクロンの微量の球状ポリスチレン粒子の溶液をガラス顕微鏡スライドに滴下し、DLASLPD条件下の光学顕微鏡で観察した。ポリスチレン粒子は、明白色光の点源として容易に観察された。次いで、ストレプタビジンが塗布された微量の60nm金粒子調製物を微量のポリスチレン粒子に滴下し、この調製物を顕微鏡で観察した。明白色のポリスチレン粒子を観察することができ、ポリスチレン粒子を囲む薄い黄緑色の円光が確認された。溶液をスライドから蒸発させ、次いで微量の顕微鏡浸漬油を調製物に滴下し、次いで顕微鏡で観察した。単一金粒子、および黄緑色の金粒子の大きな円形リング領域を容易に見ることができた。ポリスチレン粒子は、黄緑色の円光またはリングで囲まれたほぼ暗色または黒色のスポットに見えた。この方法を用いて、固体粒状物、ならびにガラスまたは他のビーズのような小さな固体相、および生体細胞などの表面に対する結合金粒子または他の金属状粒子を検出できる。
実施例6.34−ポリエチレン化合物が塗布された金粒子の光散乱特性
クエン酸塩法で作製した直径約100nmの金粒子を使用した。この溶液の一部を個別的な容器に仕込み、他のサイトに記載した手順を用いてその粒子にポリエチレン・グリコール化合物(MW=20、000)を塗布した。
塗布された粒子と未塗布粒子との散乱光の比較を行うため、各溶液が薄い桃色がかった赤色を呈するまで試料を水で希釈した。Spectra Metrix光度計を使用して、試料に対する散乱光強度対入射波長分布データを収集した。
これらの測定では、モノクロメータが光源と試料の間に配置された。散乱光データは、モノクロメータの設定を調節することにより、400nmから700nmまで10nmの間隔で収集された。12nmシリカ粒子を使用することによって作成された較正グラフを用い、波長の関数として、モノクロメータおよび光検出器の波長によるバラツキに対するデータの補正を行った。較正グラフを用いてデータを解析した。データを図16に示す。
それらのデータは、100nmの塗布および未塗布の金粒子は、同様の散乱光強度対入射波長分布を有することを示している。したがって、抗体、核酸、受容体、または同様の物質の如き多くの異なるタイプの高分子物質を、散乱光特性を大きく変化させることなく粒子の表面に塗布することが可能である。
本明細書に記載したすべての特許および出版物は、本発明が係わる技術分野の当業者の技能レベルを表している。この開示のなかで引用したすべての参考文献は、各参考文献を参照によりそのすべてを個々に組み込むのと同じ程度に、参照により組み込まれる。
本発明は、その目的を遂行し、記載された目的および利点、ならびにそこに固有の目的および利点を十分に獲得するように構成されていることを当業者なら容易に理解するであろう。ここでは好ましい実施形態を示すものとして本明細書に記載された粒子組成および粒径は例示的なものであって、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。本発明の主旨の範囲内に含められ、請求の範囲によって定められる変更および他の使用法が存在することを当業者なら理解するであろう。
本発明の範囲および主旨を逸脱することなく、様々な代替および改造が本発明に加えることができることを当業者なら容易に理解するであろう。例えば、粒子の様々な組成および粒径、ならびに検出方向および装置の使用は、すべて本発明の範囲に含められる。したがって、当該追加的な実施形態は、本発明および請求項の範囲に含められる。
本明細書に例示的に示された発明は、本明細書に具体的に開示されていない要素や制限がなくても好適に実施することができる。したがって、例えば、本明細書の各事例において、「を含む」、「本質的に...から構成される」および[から構成される]という言葉は、いずれも他の2つの言葉のいずれかに置き換えることができる。採用された言葉および表現は、制限ではなく説明の言葉として用いられ、当該言葉および表現の使用において、示されたり記載された特徴と同等の特徴、またはその一部を排除することを意図するものではなく、請求される発明の範囲内で様々な改造が可能であることが認識される。したがって、本発明は、好ましい実施形態および随意の特徴によって具体的に開示されているが、当業者は、本明細書に開示されているコンセプトの改造および変更を行うことができ、当該改造および変更は、添付の請求項によって定められる本発明の範囲に含められるものと考えられる。
ある整数値の範囲が何らかの特徴に関連づけて示される場合は、エンドポイントを含めて、その範囲の各整数構成要素およびすべての整数構成要素は、そうでないことが明確に示されていない限り、終点を含めて、その範囲内の任意の2つの異なる整数値をとることによって定められる小範囲として具体的かつ個別的に含められる。したがって、例えば、1から4の範囲は、1、2、3および4を個別的に指定することに相当し、例えば1から3や、2から4の小範囲を含む。
加えて、発明の特徴または態様がマーカッシュ形式のグループまたは他の選択肢のグルーピングとして記載される場合は、それにより、マーカッシュ形式のグループまたは他のグループの任意の個別的な構成要素または小グループとしても本発明が示されることを当業者なら認識するであろう。例えば、選択肢A、BおよびCが存在する場合には、個別的にA、個別的にB、個別的にC、AおよびB、AおよびC、BおよびC、ならびにAおよびBおよびCのすべてである可能性が含まれる。
したがって、追加的な実施形態は、本発明の範囲内、かつ請求項の範囲内に含まれるものである。

Claims (37)

  1. 複数のサイトで光散乱粒子から集光した光を信号として使用する検体分析において拡張線形ダイナミックレンジを提供するための方法であって、
    (a)センサーによって生成される信号が、極端な集積光強度を有する1つまたは複数のサイトで検出された集積光強度に線形に比例するように、複数のサイトからの集積光を2つ以上の露光時間を用いてセンサーで検出し、かつ
    (b)異なる露光時間のうちの少なくとも2つの露光時間による信号を合成して、極端な集積光強度を有する1つまたは複数のサイトからの光を定量することによって、拡張線形ダイナミックレンジを提供することを含む方法。
  2. 光散乱粒子から集光した光を使用する検体分析において拡張ダイナミックレンジを提供するための方法であって、
    (a)個々の画素または画素群からの信号の非破壊的読出しを提供するセンサーを用いて、単一露光時間に対して集積光を検出し、
    (b)飽和状態に近づく任意の画素がリセットされるような時間間隔で画素からの信号を読み出し、かつ
    (c)リセットされた画素毎に前記時間間隔で読み出された信号を合成して、検出された集積光を定量することによって、拡張ダイナミックレンジを提供することを含む方法。
  3. 光散乱粒子からの光を信号として使用する検体分析において拡張線形ダイナミックレンジを提供するための方法であって、
    (a)集積光をセンサーで検出し、センサーによって生成された信号が検出された集積光に線形に比例する程度まで、1つまたは複数の分析サイトからの集積光の強度を1つまたは複数の光フィルターによって低減し、かつ
    (b)前記1つまたは複数のフィルターが透過させた光によって決定づけられる係数で信号を拡大縮小して、1つまたは複数のサイトからの集積光を定量することによって、拡張ダイナミックレンジを提供することを含む方法。
  4. 光散乱粒子から集光した光を信号として使用する検体分析において拡張線形ダイナミックレンジを提供するための方法であって、
    (a)複数のサイトからの集積光強度をセンサーで検出し、
    (b)センサーによって生成された信号が、高集積光強度を有する1つまたは複数のサイトで検出された集積光に線形に比例するように、1つまたは複数の光フィルターを使用して検出を繰り返し、かつ
    (c)前記1つまたは複数のサイトからの信号を前記1つまたは複数のフィルターが透過させた光に基づく係数で拡大縮小して、1つまたは複数のサイトからの集積光を定量することによって、拡張ダイナミックレンジを提供することを含む方法。
  5. 複数のサイトで光散乱粒子から収集した光を信号として使用する検体分析において拡張線形ダイナミックレンジを提供するための方法であって、
    (a)複数のサイトからの集積光をセンサーで検出し、
    (b)低集積光強度を有する1つまたは複数のサイトにおける粒子の数をカウントし、センサーによって生成された信号は、低集積光強度を有する1つまたは複数のサイトで検出された集積光に線形に比例せず、かつ
    (c)低集積光強度を有する1つまたは複数のサイトに対して該サイトの粒子の数で集積光強度からの信号を正規化することによって、拡張線形ダイナミックレンジを提供することを含む方法。
  6. あるサイトの光散乱粒子から集光した光を信号として使用する検体分析において拡張ダイナミックレンジを提供するための方法において、前記光散乱粒子から集光した光は、該サイトの粒子の数に線形に比例しない方法であって、
    (a)集積光をセンサーで検出し、
    (b)集積光強度と光散乱粒子の数との関係を示す標準曲線を生成し、かつ
    (c)標準曲線を適用して、検出された集積光に基づくサイトの粒子の数を計算することによって、検体分析の拡張ダイナミックレンジを提供することを含む方法。
  7. 工程(b)は、露光時間に基づく変換係数によって信号を拡大縮小することを含む、請求項1に記載の方法。
  8. 露光時間は、少なくとも10ミリ秒、100ミリ秒、1秒、10秒、1000秒および3600秒よりなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
  9. 少なくとも2つ、3つ、4つ、5つまたは6つの異なる露光時間の合計を用いて集積光を検出する、請求項1に記載の方法。
  10. 個々の画素または画素群によって検出される集積光は、1つまたは複数の分析サイトからのものである、請求項2に記載の方法。
  11. 工程(c)は、前記時間間隔で読み出される信号を合計し、または前記時間間隔で読み出される信号を平均化する、請求項2に記載の方法。
  12. 記録された時間間隔で個々の画素または画素群をリセットする、請求項2に記載の方法。
  13. 個々の画素または画素群をランダムにまたは個別にリセットすることができる、請求項2に記載の方法。
  14. 個々の画素または画素群をリセットする時間間隔は、画素により生成される信号をセンサーの線形応答レンジ内に維持するように選択される、請求項2に記載の方法。
  15. センサーは電荷注入デバイスである、請求項2に記載の方法。
  16. フィルターが透過させる光は、白色光源を使用して測定される、請求項3または4に記載の方法。
  17. 信号を拡大縮小するための係数は、フィルターに対する透過曲線から計算される、請求項3または4に記載の方法。
  18. 信号の拡大縮小は、
    (a)画像を収集するのに使用される1つまたは複数のフィルターの波長依存透過曲線により分析のそれを分割する工程と、
    (b)飽和した画素からの値をゼロに設定する工程と、
    (c)2つ以上の信号を合成する工程とを含む、請求項3または4に記載の方法。
  19. 1つまたは複数のフィルターは、長域フィルター、短域フィルター、帯域干渉フィルター、フィルター・ホイール、中性密度フィルター、カラー・フィルター、ノッチ・フィルター、スーパーノッチ・フィルター、スーパーノッチ・プラス・フィルターおよびフィルター・モノクロメータよりなる群から選択される、請求項3または4に記載の方法。
  20. 1つまたは複数のフィルターが透過させる光の量は、フィルターに入射する光の1%、3.2%、6.3%、10%、13%、16%、20%、25%、32%、40%、50%、63%、70%および80%よりなる群から選択される、請求項3または4に記載の方法。
  21. 1つまたは複数のサイトの倍率を上げることによって粒子をカウントする、請求項6に記載の方法。
  22. 粒子は複数の視野でカウントされ、カウントされた視野は1つまたは複数のサイトの統計的に有効な部分を構成する、請求項6に記載の方法。
  23. 標準曲線は、単位面積または単位体積当たりの粒子の数が異なるサイトを含む希釈系列から生成される、請求項6に記載の方法。
  24. 希釈系列を含むサイトは、すべて同一の物理的形態の検体分析に関連づけられる、請求項23に記載の方法。
  25. 標準曲線は、1つまたは複数のデコンボルーション方程式に対する当てはめから解析的に生成される、請求項6に記載の方法。
  26. 検体分析は複数の分析サイトを使用する、請求項3に記載の方法。
  27. 光散乱粒子からの光は、光散乱粒子によって散乱される粒子、光散乱粒子上の蛍光体によって出射される粒子、またはその両方を含む、請求項1、2、3、4、5または6のいずれか1項に記載の方法。
  28. 1つのサイトにおける極端な集積光強度は、高集積光強度、低集積光強度、または2つ以上の信号が該サイトから検出されるその両方である、請求項1に記載の方法。
  29. 拡張ダイナミックレンジは、少なくとも4、5、6または7桁にわたって定量される集積光強度を含む、請求項1、2、3、4、5または6のいずれか1項に記載の方法。
  30. ダイナミックレンジは、ダイナミックレンジの拡張を伴わない分析のダイナミックレンジに対して少なくとも1桁拡張され、拡張ダイナミックレンジは線形になる、請求項1、2、3、4、5または6のいずれか1項に記載の方法。
  31. 合成信号で1つまたは複数のサイトの画像を形成することをさらに含む、請求項1、2、3、4、5または6のいずれか1項に記載の方法。
  32. 画像の形成は、画像の背景部を識別する工程と、画像の背景部に対応する信号を除去する工程とを含む、請求項31に記載の方法。
  33. センサーは、カメラ、写真フィルム、ビデオ・カメラ、電荷結合素子、電荷注入デバイス、フォトダイオード、フォトダイオード・アレイおよび光電増倍管よりなる群から選択される、請求項1、2、3、4、5または6のいずれか1項に記載の方法。
  34. 前記複数のサイトは個別的アドレス可能サイトである、請求項1、2、3、4、5または6のいずれか1項に記載の方法。
  35. 前記複数のサイトは、スライド、膜、フィルター、試験管、バイアル、マイクロタイター・プレート、マイクロアレイ、小容量デバイスまたはゲルよりなる群から選択される物理的形態に関連づけられる、請求項1、2、3、4、5または6のいずれか1項に記載の方法。
  36. 前記複数のサイトは、組織、組織切片、細胞培養、細胞、細胞オルガネラ、染色体調製物および染色体よりなる群から選択される試料中に存在する、請求項1、2、3、4、5または6のいずれか1項に記載の方法。
  37. 工程(b)は、検出される光のスペクトルの背景部に対応する信号を除去することを含む、請求項1に記載の方法。
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