JP2009243567A - 変速機の変速操作装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】変速操作用アクチュエータを搭載し後退段専用のシフトブロックを端部に備えた変速操作装置において、セレクトアクチュエータの失陥時にもシフトアクチュエータを作動させて車両の低速前進及び後進を可能とする。
【解決手段】後退段専用のシフトブロックBrvと隣接する低速前進段用のシフトブロックB12に係合部Eを形成する。セレクトアクチュエータの失陥時、シフトブロックBrvに挿入されたシフト&セレクトレバー1が後退段操作側と反対側に移動したときは、係合部Eに当接してシフトブロックB12がシフトブロックBrvと連動し、1速にギヤインさせることができる。両シフトブロックの間にはスライドブロック2、係合ピン21等による連結断続機構が設置され、シフトブロックBrvが後退段操作側に移動するときは両シフトブロックの連動が解除される。
【選択図】図2

Description

本発明は、車両に搭載された変速機の変速ギヤ段を切り換える変速操作装置に関し、殊に、アクチュエータを用いて変速ギヤ段の切り換えを操作する変速操作装置に関するものである。
車両の動力伝達装置には、運転の容易化さらには運転者の疲労軽減のため、クラッチの操作を不要とし変速機の操作を自動化した各種の変速装置がある。トルクコンバータと遊星歯車を組み込んだ自動変速機(AT)がその代表的なものであるが、自動的な変速装置の中には、手動式変速機(MT)と同様な平行軸歯車機構式変速機を使用して、その操作を自動化した動力伝達装置が存在する。この動力伝達装置では、運転者の指令又はコンピュータ等の電子制御装置からの指令に応じて変速ギヤ段が切り換えられ、変速操作装置は、指令に応じて変速ギヤ段を切り換えるためのアクチュエータを備えている。
平行軸歯車機構式変速機の変速操作装置には、往復動可能な複数のシフトブロックが並列に配置されている。各々のシフトブロックにはシフトロッドが固着され、シフトロッドは、変速機の動力伝達用の変速スリーブを移動させるフォークと連結される。変速時においては、複数のシフトブロックの1個をシフトロッドの軸方向に移動させることにより、今までの変速スリーブと変速段ギヤ(ドグ歯)との噛み合わせを解除(ギヤ抜き)し、次いで新たな変速段ギヤとの噛み合わせ(ギヤイン)を行う。このような操作を実行するため、変速操作装置はシフト&セレクトレバーを備え、その先端はシフトブロックに形成された凹所に挿入される。シフト&セレクトレバーは、移動させるシフトブロックを選択し(セレクト)、さらにシフトロッドの軸方向に動かして変速スリーブの操作を行う(シフト)よう、シフトロッドの直角方向及び軸方向に可動となっている。平行軸歯車機構式変速機におけるこうした変速操作装置は周知のものであって、例えば特開2005−61567号公報に開示されている。
アクチュエータを用いて変速ギヤ段を切り換える変速操作装置には、シフト&セレクトレバーをセレクト方向に作動するセレクトアクチュエータと、これをシフト方向に作動するシフトアクチュエータとが設置される。アクチュエータとしては、重量が大きく流体圧力源を要する流体圧アクチュエータに代わり、近年、電磁ソレノイドを駆動源とする電動式アクチュエータが開発されている。電磁ソレノイドを用いた変速操作装置は、一例として特開2004−125126号公報に開示されており、図6及び図7は、この公報に記載された変速操作装置を示すものである。
図6(図7のD−D断面矢視図)に示すように、変速操作装置100には、変速機のフォークに連結される複数本のシフトロッドが並列に配置され、それぞれのシフトロッドの先端には、中央部に凹所(後述の図1、図4参照)が形成されたシフトブロックB1〜B4が固着されている。シフトブロックB1〜B4を移動させるためのシフト&セレクトレバー101は、操作スリーブ102と一体であってその先端がシフトブロックの凹所に挿入される。操作スリーブ102は、変速操作装置100に配置された操作軸103にスプライン嵌合されており、操作軸103の軸方向にスライド可能であるとともに、操作軸103の回動に応じてシフト&セレクトレバー101の先端が往復動可能となっている。また、操作スリーブ102は、複数のコイルばね104により図の左方に押圧されている。
変速操作装置100には、操作スリーブ102をセレクト方向にスライドさせて、シフト&セレクトレバー101が挿入されるシフトブロックを選択するためのセレクトアクチュエータ105と、操作軸103を回動してシフト&セレクトレバー101の先端をシフト方向に往復動させるシフトアクチュエータ106とが装着してある。これらのアクチュエータは電磁ソレノイドで駆動される電磁アクチュエータであって、図7に示すとおり、セレクトアクチュエータ105は、リンク機構やレバー機構を介して操作スリーブ102をスライドする操作レバー107に連結されている。一方、シフトアクチュエータ106は、操作軸103を貫通して設けられる揺動レバー108の両端に対称的に取り付けられた2個の電磁ソレノイドからなる。そして、セレクトアクチュエータ105においては、そのコイルへの通電量を制御して操作レバー107の操作力とばね104のばね力とをバランスさせ、シフト&セレクトレバー101の位置決めを行う。シフトアクチュエータ106では、2個の電磁ソレノイドの一方に通電して操作軸103を一定量回動し、シフト&セレクトレバー101をシフト方向に往復動することにより変速機のギヤ抜き及びギヤインを実行する。
特開2005−61567号公報 特開2004−125126号公報
アクチュエータを使用して変速段を切り換える変速操作装置では、装着されたアクチュエータに万一故障が生じたときは、変速が不可能となり車両の発進等ができなくなる。アクチュエータの故障は、もちろん、極めて稀な事態ではあるが、車両の安全な運行のためには故障時でも車両の低速走行が可能なように失陥時対策を講じる必要がある。変速操作装置のアクチュエータのうち、特にセレクトアクチュエータは、コイルへの通電量を制御してシフト&セレクトレバーの位置決めを正確に行うよう精密な構成となっている関係上、シフトアクチュエータと比べて故障を起こす確率が大きく、セレクトアクチュエータの故障時でもシフトアクチュエータは正常に作動する場合が多い。
セレクトアクチュエータの失陥時対策として、図6に示す変速操作装置では、1速段及び後退段(リバース)を切り換えるシフトブロック(B1)を図の左端に配置している。セレクトアクチュエータの失陥時にはシフト&セレクトレバー101がばね104に押圧されてそのシフトブロックに挿入され、シフトアクチュエータを作動させると低速の1速走行及び後進走行だけは可能となる。このようないわばフェイルセーフを目的とするシフトロッドの配置は、電磁アクチュエータによる変速操作装置に限らず、流体圧アクチュエータを使用する変速操作装置でも行われる。
ところで、ドライバーが変速段を切り換えるときのシフトパターンには、不注意による前進段と後退段との誤操作を極力防止するため、図8に示すように、後退段を前進段とは独立させて端部に配置するものがある。後退段を単独で配置したシフトパターンを有する変速操作装置では、後退段のフォークのみを移動するシフトロッドが端部に置かれるので、セレクトアクチュエータの失陥時にはシフト&セレクトレバーが後進段専用のシフトブロックと係合することとなり、シフトアクチュエータを作動させても車両前進用ギヤ段にギヤインすることができない。従来、セレクトアクチュエータの失陥時に、手動操作のねじ送り機構等を利用してシフト&セレクトレバーを低速前進段用のシフトブロックに位置させる非常用操作装置が知られているが、こうした手動の操作装置により車両の前進、後進を切り換えるのは、非常時とはいえドライバーに大きな負担のかかる作業となる。
本発明の課題は、後退段専用のシフトブロックが端部に配置された変速操作装置において、セレクトアクチュエータの失陥時にも、手動操作によることなく、シフトアクチュエータを作動させて車両の低速前進及び後進を可能とすることにある。
上記の課題に鑑み、本発明は、後退段専用のシフトブロックと隣接する低速前進段用のシフトブロックに係合部を形成し、シフト&セレクトレバーが後退段専用のシフトブロックに挿入されているとき、低速前進段用のシフトブロックが、その係合部により後退段のギヤイン方向とは反対方向に移動するとともに、後退段のギヤイン方向には移動することのないよう構成したものである。すなわち、本発明は、
「並列に配置された複数のシフトブロックと、前記シフトブロックに挿入されるシフト&セレクトレバーとを有し、前記シフト&セレクトレバーが前記シフトブロックを移動させて変速機の変速段操作を行う変速操作装置であって、
前記複数のシフトブロックは、中立位置から片側の後退段操作側において後退段操作を行う後退段専用シフトブロックが端部に配置されるとともに、中立位置から両側において低速前進段操作を行う低速前進段シフトブロックが隣接して配置され、
前記変速操作装置は、前記シフト&セレクトレバーをセレクト方向に移動して挿入するシフトブロックに位置付けするセレクトアクチュエータと、前記シフト&セレクトレバーをシフト方向に移動させるシフトアクチュエータとを備え、かつ、前記セレクトアクチュエータの失陥時には、前記シフト&セレクトレバーが前記後退段専用シフトブロックに位置付けられるよう構成されており、さらに、
前記低速前進段シフトブロックの前記後退段操作側と反対側部分には、前記シフト&セレクトレバーが前記後退段専用シフトブロックに位置付けられたときに、前記シフト&セレクトレバーに当接する係合部が形成され、かつ、前記低速前進段シフトブロックと前記後退段専用シフトブロックとの間には連結断続機構が設置されており、前記連結断続機構は、前記後退段操作側と反対側においては前記低速前進段シフトブロックと前記後退段専用シフトブロックとを連動させるとともに、前記後退段操作側においては連動を解除するよう構成された」
ことを特徴とする変速操作装置となっている。
請求項2に記載のように、前記連結断続機構には、前記後退段専用シフトブロックに連結されたスライドブロックと、前記スライドブロックの内部に設置される係合ピンと、前記スライドブロックを貫通し前記後退段操作側に切り欠き溝が形成された溝付ロッドとを設け、かつ、前記低速前進段シフトブロックには、前記スライドブロックを貫通する低速前進段ロッドを連結するとともに、前記低速前進段ロッドには、前記低速前進段シフトブロックの中立位置において前記係合ピンに対向する凹部を形成することにより、前記低速前進段シフトブロックと前記後退段専用シフトブロックとの連結を断続することができる。この場合には、請求項3に記載のように、前記溝付ロッドとして、前記複数のシフトブロックの一つに連結された変速段操作のためのロッドを用いることが好ましい。
請求項4に記載のように、前記スライドブロックが反転レバーを介して従動スライドブロックに連結され、従動スライドブロックは、前記後退段専用シフトブロックが前記後退段操作側に移動したときは後退段の操作を実行し、前記後退段操作側と反対側に移動したときは後退段の操作を解除するよう構成することができる。
また、請求項5に記載のとおり、前記変速操作装置には、前記シフト&セレクトレバーと連動してセレクト方向に移動するインターロックプレートを、前記複数のシフトブロックの上方に設け、前記インターロックプレートには、中央部に前記シフト&セレクトレバーが貫通しシフト方向に延びるレバー孔を形成するとともに、両側の下方に前記複数のシフトブロックに挿入されるロック部を形成し、かつ、前記低速前進段シフトブロックの前記後退段操作側を、前記ロック部と干渉しない高さに設定するように構成することが好ましい。
本発明が適用される変速操作装置は、並列に複数配置されたシフトブロックの端部のものが後退段専用シフトブロック、つまり、中立位置から片側の後退段操作側において、シフト&セレクトレバーのシフト方向の往復動により後退段操作を行うシフトブロックとなっている。セレクトアクチュエータが失陥したときには、シフト&セレクトレバーは、この後退段専用シフトブロックに挿入されるよう位置付けられるが、本発明においては、隣接して配置される低速前進段のシフトブロックに、このときシフト&セレクトレバーに当接する係合部が形成されている。係合部は、低速前進段シフトブロックにおいて前記後退段操作側と反対側部分に形成されており、したがって、セレクトアクチュエータの失陥時に後退段専用シフトブロックに挿入されたシフト&セレクトレバーを、シフトアクチュエータによって後退段操作側と反対側に移動したときは、係合部で当接する低速前進段シフトブロックが同様に移動し、例えば1速の低速前進段に変速段操作(ギヤイン)をすることができる。また、車両を後進させるときは、シフト&セレクトレバーをシフトアクチュエータによって後退段操作側に移動すると、後退段専用シフトブロックのみが移動し後退段への変速段操作が可能であり、セレクトアクチュエータの失陥時にも、シフトアクチュエータを作動させて前進、後進の低速走行ができるようになる。
なお、セレクトアクチュエータの失陥時において、後退段専用シフトブロックが通常時の後退段操作側とは反対方向に移動しても、変速機の後退段の噛み合い方向とは逆方向の移動であり、変速機に悪影響を及ぼすことはない。
そして、低速前進段シフトブロックと後退段専用シフトブロックとの間には連結断続機構が設置されており、後退段操作側と反対側においては低速前進段シフトブロックと後退段専用シフトブロックとを連動させるとともに、後退段操作側においては連動を解除するよう構成されている。このため、セレクトアクチュエータの失陥時に後退段操作側と反対側に移動した低速前進段シフトブロックは、シフト&セレクトレバーが後退段専用シフトブロックを中立位置に戻すと、これに連行されて中立位置に復帰し、例えば1速にギヤインされた変速機をニュートラル状態とすることができる。後退段操作側では連結断続機構により両者の連動が解除されるから、後退段への変速操作時に低速前進段のギヤインが行われることはない。
このように、本発明の変速操作装置では、セレクトアクチュエータの失陥時にシフト&セレクトレバーが後退段専用シフトブロックに位置付けされた場合であっても、シフトアクチュエータが正常であれば前進の低速走行が可能となる。そのため、例えば失陥時にシフトアクチュエータを作動させる非常用スイッチを設けることにより、シフト&セレクトレバーを移動させる手動操作装置等は不要となり、ドライバーは、非常時の負担の大きい作業から開放される。
本発明の上記作動を実行する連結断続機構としては、請求項2の発明のように、後退段専用シフトブロックにスライドブロックを連結し、スライドブロックの内部に係合ピンと切り欠き溝が形成された溝付ロッドとを設け、かつ、低速前進段シフトブロックにスライドブロックを貫通する低速前進段ロッドを連結して、低速前進段ロッドに係合ピンに対向する凹部を形成するものを用いることができる。このような連結断続機構は、変速操作装置における二重噛み合い防止機構として周知の、インターロックピン機構と類似の機構であり、簡易な機構で確実な作動を実現できる。請求項3の発明のように、前記溝付ロッドとして、シフトブロックに連結された変速段操作用ロッド、すなわち既存のシフトロッドを用いるときは、連結断続機構のための特別のロッドを省略することが可能となる。
請求項4の発明のように、後退段の操作機構に従動スライドブロックを設け、これを反転レバーを介して上記のスライドブロックに連結し、さらに、従動スライドブロックに、後退段専用シフトブロックが前記後退段操作側に移動したときのみ後退段の操作を実行する機構を設置した場合は、セレクトアクチュエータの失陥時において、後退段専用シフトブロックが後退段操作側とは反対方向に移動しても、変速機の後退段が操作されることはない。また、反転レバーの介在により、変速操作装置におけるシフトロッド等の配置の自由度が増すことになる。
請求項5の発明は、シフト&セレクトレバーと連動するインターロックプレートを変速操作装置に設けたものである。本発明では、後退段専用シフトブロックを後退段操作側に移動するときには、連結断続機構によって低速前進段シフトブロックとの連動を解除し低速前進段シフトブロックを中立位置に保持する必要がある。一般的に、変速操作装置にはディテント機構が設けてあり、操作するシフトブロック以外のものは中立位置から容易に外れないように位置決めされているが、インターロックプレートを用いて他のシフトブロックの移動を拘束すると、より確実に中立位置に保持されることとなる。そして、下方にシフトブロックに挿入されるロック部を形成したインターロックプレートを使用し、低速前進段シフトブロックの後退段操作側をロック部と干渉しない高さに設定することによって、セレクトアクチュエータの失陥時において、後退段専用シフトブロックと連動して後退段操作側とは反対方向に移動する低速前進段シフトブロックが、インターロックプレートに干渉せずに移動することが可能となり、本発明の変速操作装置に適したインターロック機構を簡易な構成で実現することができる。
以下、図面によって本発明の変速操作装置の実施例について説明する。図1は、本発明の変速操作装置の構成概略図を示すものであり、図2及び図3は、本発明の変速操作装置の作動説明図である。図4には、本発明の低速前進段用シフトブロックの斜視図を示し、図5には、本発明の変速操作装置に用いられるインターロック機構の構成を示す。
この実施例の変速操作装置では、図1の平面図(上図)に示すとおり、4個のシフトブロックが並列に配置されている。これらのシフトブロックは、それぞれに固着されたシフトロッドを介して平行軸歯車機構式変速機のフォークに連結されており、シフトブロックB56が5速と6速の変速段の変速操作を行うフォークに、シフトブロックB34が3速と4速の変速段の変速操作を行うフォークに、シフトブロックB12が1速と2速の変速段の変速操作を行うフォークにそれぞれ連結され、また、シフトブロックBrvは、後退段のギヤの噛み合わせを行うフォークに連結されている。このように、1速から6速の前進段のシフトブロックは、図1の左右両方向の移動で各々の変速段に噛み合わされるが、シフトブロックBrvは後退段専用のものであって、左方向の後退段操作側に移動したときに、後退段ギヤの噛み合わせを行うよう構成されている。
シフトブロックは、図1の正面図(下図)あるいは図4に示すように、中央に凹所が形成された断面コ字状の部材であり、中央の凹所には、シフトブロックをシフト方向(図1の左右方向)に移動させるシフト&セレクトレバー1が挿入される。図示は省略するが、4個のシフトブロックの上方には、シフト&セレクトレバー1をセレクト方向(図1の上下方向)に移動して選択されたシフトブロックに位置決めを行うセレクトアクチュエータと、シフト&セレクトレバー1をシフト方向に移動するシフトアクチュエータとが設置してある。このようなシフト&セレクトレバー1の駆動装置は、図6、図7に示すものと同様であって、シフト&セレクトレバー1は、ばねによりシフトブロックBrvの方向に押圧されており、セレクトアクチュエータが失陥したときには後退段専用のシフトブロックBrvに挿入される。
本発明の変速操作装置においては、シフトブロックBrvに隣接して配置される低速前進段のシフトブロック、つまりシフトブロックB12には、後退段操作側と反対側部分(図1において右側)に係合部Eが形成されている。係合部EはシフトブロックBrv側に延長しており、シフト&セレクトレバー1がシフトブロックBrvに位置付けされたときは、シフト&セレクトレバー1に当接する。したがって、シフト&セレクトレバー1がシフトブロックBrvに挿入された状態で後退段操作側と反対方向に移動したときには、シフトブロックB12が同じく反対方向に移動する。シフトブロックBrvの後退段操作側と反対側部分は、図1又は図4等に示されるように、係合部Eが延長される分短く形成されている。
シフトブロックBrvに固着されるシフトロッドRrvは、スライドブロック2に結合されており、シフトブロックB12に固着されるシフトロッドR12は、このスライドブロック2を貫通して延び、変速機の1速−2速のギヤ段を操作するフォークに連結される。スライドブロック2の内部には係合ピン21が配置してあり、シフトロッドR12には係合ピン21と対向する凹部22が形成される(図2、図3参照)。また、シフトブロックB56に固着されるシフトロッドR56は、水平方向に屈曲しスライドブロック2を貫通して延び、変速機の5速−6速のギヤ段を操作するフォークに連結されるが、そのスライドブロック2を貫通する部分には、切り欠き溝23が形成される。本発明の変速操作装置の作動に関連して後述するように、スライドブロック2、係合ピン21等は、シフトブロックB12とシフトブロックBrvとの間の連結断続機構を構成するものである。
スライドブロック2の下方には従動スライドブロック3が置かれ、両者は反転レバー4を介して連結されている。反転レバー4は、固定された軸心41の回りに揺動するものであり、スライドブロック2と従動スライドブロック3とは互いに反対方向に移動する。従動スライドブロック3には、図2、図3に示されるように、変速機の後退ギヤ段を操作する中継ロッドCrvが設けられており、また、シフトブロックB34に固着されるシフトロッドR34が、下方に屈曲して従動スライドブロック3を貫通し、変速機の3速−4速のギヤ段を操作するフォークに連結される。従動スライドブロック3の内部には、中継ロッドCrvとシフトロッドR34との間に、スライドブロック2の係合ピン21と同様な係合ピン31が配置されている。そして、各シフトロッドの途中には、これを移動してギヤ段操作を行ったときに、ギヤイン位置及び中立位置から容易に外れることのないよう、ばねとボールとを用いたディテント機構5が設置されている。
ここで、図2、図3を参照して、本発明の変速操作装置の作動について説明する。
図2は、変速機がニュートラル状態にあるときの各シフトブロック、スライドブロック等の位置を示すものである。この状態では、各シフトブロックの凹所は直線的に整列しており、中立位置にあるシフト&セレクトレバー1を、セレクトアクチュエータの作動によりセレクト方向に移動し、変速操作のため選択したシフトブロックに位置付けすることができる。例えば、6速にギヤインさせるときは、シフト&セレクトレバー1をシフトブロックB56の凹所に挿入し図の左方にシフトする。スライドブロック2を貫通するシフトロッドR56も左方に移動するが、このときスライドブロック2及びシフトロッドR12はディテント機構5で固定されているから、スライドブロック2の係合ピン21がシフトロッドR56の切り欠き溝23の端部曲面に押されてシフトロッドR12の凹部22に入り込み、シフトロッドR56の移動を阻止することはない。左方に移動するシフトロッドR56は、これに連なるフォークを移動して変速スリーブを6速段ギヤに噛み合わせる。
セレクトアクチュエータが失陥した場合には、シフト&セレクトレバー1は、ばねに押されてシフトブロックBrvの凹所に挿入された状態となる。この状態で車両を前進させるときは、図3の左図に示すように、シフトアクチュエータを作動させてシフト&セレクトレバー1を右方、つまり後退段操作側と反対方向に移動させる。シフトブロックBrvと隣接するシフトブロックB12には係合部Eが形成されているので、シフト&セレクトレバー1の右方への移動に伴いシフトロッドR12も同様に移動する。これにより、シフトロッドR12に連なるフォークを移動して変速機を1速にギヤインさせることが可能であり、車両を低速前進走行させることができる。
そして、シフトブロックB12とシフトブロックBrvとの間には、スライドブロック2、係合ピン21等からなる連結断続機構が設置されており、後退段操作側と反対側においてはシフトブロックB12とシフトブロックBrvとを連動させるとともに、後退段操作側においては連動を解除するよう構成されている。つまり、シフトブロックB12が中立位置から右方に移動すると、シフトブロックBrvに結合されたスライドブロック2も同時に右方に移動し、係合ピン21がシフトロッドR56の切り欠き溝23の端部曲面に押されてシフトロッドR12の凹部22に入り込む。これにより、中立位置から右方の範囲ではシフトロッドR12(シフトブロックB12)とシフトブロックBrvとが連動することとなり、1速にギヤインした状態のシフト&セレクトレバー1をシフトアクチュエータにより左方に移動させると、シフトブロックB12を中立位置に戻し変速機をニュートラルとすることができる。
シフトブロックBrvを中立位置から右側に移動させたときには、スライドブロック2が同様に移動し、反転レバー4によって従動スライドブロック3が左方にスライドする。しかし、このときは係合ピン31がシフトロッドR34の切り欠き溝33に入り込み、後退ギヤ段を操作する中継ロッドCrvの凹部32から外れるため、中継ロッドCrvは移動せず、後退ギヤ段の噛み合いが行われることはない。
一方、車両を後進させるときは、図3の右図に示されるように、シフトブロックBrvの凹所に挿入されたシフト&セレクトレバー1を、後退段操作側である図の左方に移動させる。シフトブロックB12の係合部Eは後退段操作側と反対側に設けてあるから、シフト&セレクトレバー1を後退段操作側に動かした場合には、シフトブロックBrvのみが操作され左方に移動する。スライドブロック2も左方にスライドするが、このときは係合ピン21がシフトロッドR56の切り欠き溝23に入り込んでシフトロッドR12の凹部22から外れ、シフトブロックB12とシフトブロックBrvの連結が解除されるため、シフトブロックB12は中立位置を保つ。
スライドブロック2の左方への移動に伴い従動スライドブロック3が右方にスライドし、後退ギヤ段を操作する中継ロッドCrvの鍔部Dに当接して中継ロッドCrvを右方に移動する。これにより、後退ギヤ段へのギヤインが行われ車両の後進が可能となる。また、従動スライドブロック3が右方にスライドする範囲では、係合ピン31が中継ロッドCrvの凹部32に入り、中継ロッドCrvは従動スライドブロック3と連動する。したがって、シフト&セレクトレバー1を中立位置に戻すと中継ロッドCrvも中立位置となり、後退ギヤ段のギヤ抜きが行われて変速機はニュートラルとなる。こうした後退ギヤ段の操作は、車両を後進させるときには常に実行されるものであり、セレクトアクチュエータの失陥時に限られるものではない。
この実施例では、スライドブロック2と従動スライドブロック3とを反転レバー4で連結し、シフトブロックBrvが後退段操作側と反対側に移行したときは中継ロッドCrvを動かさない、いわば空振り機構を設けている。しかし、シフトブロックBrvは後退段専用のものであるので、後退段ギヤ用のフォークがギヤイン側と反対方向に移動しても差し支えはなく、場合によっては、従動スライドブロック3と反転レバー4とを省略し、スライドブロック2に直接中継ロッドCrvを結合してもよい。
次いで、本発明の変速操作装置に設けられるインターロック機構の構成及び作動について図5に基づいて説明する。
並列に配置された4個のシフトブロックの上方には、平面視で長方形をなすインターロックプレート6が設置されている。インターロックプレート6の中央部にはシフト方向に延びるレバー孔61が形成してあり、シフト&セレクトレバー1がレバー孔61を通過してシフトブロックの凹所に挿入され、また、インターロックプレート6が、シフト&セレクトレバー1と連動してセレクト方向に移動するよう構成されている。インターロックプレート6の下部には、レバー孔61の両側に矩形断面のロック部62a、62bが形成され、ロック部62a、62bは、シフト&セレクトレバー1が駆動するシフトブロック以外のものの凹所に嵌め込まれ、それらのシフトブロックのシフト方向の動きを阻止する。
本発明の変速操作装置では、スライドブロック2及び係合ピン21による連結断続機構が設置されており、例えば、シフトブロックBrvを後退段操作側に移動するときには、シフトブロックB12との連動を解除しこれを確実に中立位置に保持する必要がある。変速操作装置にインターロックプレート6を取り付け、そのロック部をシフトブロックB12に嵌め込んで動きを拘束した場合には、ディテント機構5による拘束よりも一層確実にシフトブロックB12を中立位置に保持できる。
そして、本発明の変速操作装置では、シフトブロックB12は、セレクトアクチュエータの失陥時においてシフトブロックBrvと連動して後退段操作側とは反対方向に移動する必要がある。そのため、シフトブロックB12の後退段操作側(2速側)の高さHは、図5のB−B断面図又は図4に示されるとおり、他のシフトブロック(C−C断面図参照)よりも低く設定され、ロック部62aと干渉しない高さとなっており、シフトブロックB12は、インターロックプレート6と干渉せずに後退段操作側と反対側へ移動することが可能である。
なお、セレクトアクチュエータの正常作動時においてシフト&セレクトレバー1がシフトブロックB12を移動させるときは、インターロックプレート6は、シフトブロックBrvを拘束しつつシフトブロックB12の係合部Eを通過させるものでなければならない。したがって、インターロックプレート6のシフトブロックBrv側のロック部62bは、レバー孔61がシフトブロックB12の上方にある状態では、シフトブロックBrvの一部にのみ嵌め込まれる位置に形成されている。
以上詳述したように、本発明は、後退段専用のシフトブロックを端部に備えた変速操作装置において、セレクトアクチュエータの失陥時にもシフトアクチュエータを作動させて車両の低速前進及び後進が可能なように、後退段専用のシフトブロックと隣接する低速前進段用のシフトブロックに係合部を形成し、かつ、低速前進段シフトブロックと後退段専用シフトブロックとの間に連結断続機構を設置して、後退段操作側と反対側の範囲のみで両シフトブロックが連動するよう構成したものである。上述の実施例では、4個のシフトブロックを並列に配置した、前進6段後進1段の変速機用のものについて説明したが、本発明は、例えば3個のシフトブロックを並列に配置する、前進4段後進1段の変速機用の変速操作装置にも適用できることは明らかである。また、変速段切り換えのためのアクチュエータとして流体圧シリンダを採用するなど、上述の実施例に対し種々の変更が可能であることは言うまでもない。
本発明の変速操作装置の構成を概略的に示す図である。 本発明の変速操作装置の作動を説明する詳細図である。 本発明の変速操作装置の作動状態を表す図である。 本発明における低速前進段シフトブロックの斜視図である。 本発明に使用されるインターロック機構を示す図である。 変速操作装置のアクチュエータを示す図である。 変速操作装置のセレクトアクチュエータの詳細図である。 変速操作装置のシフトパターンを示す図である。
符号の説明
1 シフト&セレクトレバー
2 スライドブロック
21 係合ピン
3 従動スライドブロック
31 係合ピン
4 反転レバー
5 ディテント機構
6 インターロックプレート
61 レバー孔
62a、62b ロック部
B12 1速−2速用シフトブロック
B34 3速−4速用シフトブロック
B56 5速−6速用シフトブロック
Brv 後退段用シフトブロック
E 係合部
Crv 中継ロッド(後退段用)

Claims (5)

  1. 並列に配置された複数のシフトブロックと、前記シフトブロックに挿入されるシフト&セレクトレバーとを有し、前記シフト&セレクトレバーが前記シフトブロックを移動させて変速機の変速段操作を行う変速操作装置であって、
    前記複数のシフトブロックは、中立位置から片側の後退段操作側において後退段操作を行う後退段専用シフトブロックが端部に配置されるとともに、中立位置から両側において低速前進段操作を行う低速前進段シフトブロックが隣接して配置され、
    前記変速操作装置は、前記シフト&セレクトレバーをセレクト方向に移動して挿入するシフトブロックに位置付けするセレクトアクチュエータと、前記シフト&セレクトレバーをシフト方向に移動させるシフトアクチュエータとを備え、かつ、前記セレクトアクチュエータの失陥時には、前記シフト&セレクトレバーが前記後退段専用シフトブロックに位置付けられるよう構成されており、さらに、
    前記低速前進段シフトブロックの前記後退段操作側と反対側部分には、前記シフト&セレクトレバーが前記後退段専用シフトブロックに位置付けられたときに、前記シフト&セレクトレバーに当接する係合部が形成され、かつ、前記低速前進段シフトブロックと前記後退段専用シフトブロックとの間には連結断続機構が設置されており、前記連結断続機構は、前記後退段操作側と反対側においては前記低速前進段シフトブロックと前記後退段専用シフトブロックとを連動させるとともに、前記後退段操作側においては連動を解除するよう構成されたことを特徴とする変速操作装置。
  2. 前記連結断続機構は、前記後退段専用シフトブロックに連結されたスライドブロックと、前記スライドブロックの内部に設置される係合ピンと、前記スライドブロックを貫通し前記後退段操作側に切り欠き溝が形成された溝付ロッドとを備えており、かつ、前記低速前進段シフトブロックには、前記スライドブロックを貫通する低速前進段ロッドが連結されるとともに、前記低速前進段ロッドには、前記低速前進段シフトブロックの中立位置において前記係合ピンに対向する凹部が形成されている請求項1に記載の変速操作装置。
  3. 前記溝付ロッドは、前記複数のシフトブロックの一つに連結された変速段操作のためのロッドである請求項2に記載の変速操作装置。
  4. 前記スライドブロックが反転レバーを介して従動スライドブロックに連結されており、従動スライドブロックは、前記後退段専用シフトブロックが前記後退段操作側に移動したときは後退段の操作を実行し、前記後退段操作側と反対側に移動したときは後退段の操作を解除する請求項2に記載の変速操作装置。
  5. 前記変速操作装置には、前記シフト&セレクトレバーと連動してセレクト方向に移動するインターロックプレートが、前記複数のシフトブロックの上方に設けられており、前記インターロックプレートには、中央部に前記シフト&セレクトレバーが貫通しシフト方向に延びるレバー孔が形成されるとともに、両側の下方に前記複数のシフトブロックに挿入されるロック部が形成され、かつ、前記低速前進段シフトブロックの前記後退段操作側は、前記ロック部と干渉しない高さに設定されている請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の変速操作装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN111788416A (zh) * 2018-03-23 2020-10-16 雷诺股份公司 用于控制混合动力推进式机动车辆的变速器的变速箱致动器的方法和系统

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