JP2009242918A - 転動疲労特性に優れた機械構造用部品およびその製造方法 - Google Patents

転動疲労特性に優れた機械構造用部品およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】十分な転動疲労特性をする機械構造用部品を提供するための方途について提案する。
【解決手段】C:0.35〜0.75%、Si:0.15〜1.1%、Mn:0.2〜2.0%、P:0.020%以下、S:0.06%以下、Al:0.005〜0.25%、Cr:0.2%以下およびMo:0.05〜0.6%を含有し、残部が不可避的不純物からなる鋼組成を有し、焼入れ後の硬化層の平均旧オーステナイト粒径が12μm以下でかつ焼入れ硬化層の残留炭化物が2%以上10%以下とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、高周波焼入れによる硬化層を有する、転動疲労特性に優れた機械構造用部品、例えば自動車用部品などに代表される機械構造用部品およびその製造方法に関するものである。
従来、自動車のドライブシャフトや等速ジョイントおよびハブなどの機械構造用部品は、熱間圧延棒鋼に熱間鍛造、あるいは切削および冷間鍛造等により所定の形状に加工した後、高周波焼入れ−炉加熱焼戻しを行い、機械構造用部品としての重要な特性である、すべり転動疲労特性を確保しているのが一般的である。
ところで、近年の省資源化への対応として、自動車部品の長寿命化による部品交換頻度の低減などにも要求があり、この点から自動車用部品のすべり転動疲労寿命を向上することが要望されている。
ここに、すべり転動疲労強度を向上させるためには、Siなどの成分添加が考えられるが、一定量以上を添加すると加工性を劣化させるなど問題が発生するため、限界がある。
また、特許文献1には、高周波焼入れによる硬化層における旧オーステナイト粒の微細化が、曲げ疲労の向上に有効であることが記載されている。
特開2005−126817号公報
自動車部品においては、曲げ疲労の向上も重要であるが、特に、ドライブシャフトや等速ジョイントおよびハブなどの用途においては転動疲労特性に優れることが、必要である。
そこで、本発明は、十分な転動疲労特性を有する機械構造用部品を提供するための方途について提案することを目的とする。
さて、発明者らは、高周波焼入れ後の疲労強度、とりわけ転動疲労強度の向上の観点から鋭意検討を行った。その結果、鋼の化学組成、焼入れ条件、焼入れ後の残留炭化物量および硬化層粒径を最適化することにより、優れた転動疲労強度が得られることを知見した。
すなわち、化学成分を所定の組成に規定した鋼において、その鋼材に焼入れ処理を施し、焼入れ後の硬化層の粒径を12μm以下とすることによって、すべり転動疲労強度が大幅に向上することが判明した。具体的には、特にSiおよびMoを所定の範囲で添加すると、焼入れのための加熱時に、オーステナイトの核生成数が増加することに加え、オーステナイト粒成長が抑制されることにより焼入れ硬化層の粒径が微細化する効果が大きくなる。
また、上記成分組成の鋼材を使用し、高周波焼入れ条件(加熱温度、時間および焼入れ回数)を適正範囲に制御することによって、硬化層粒径が微細化され、転動疲労寿命を向上できることが判明した。具体的には、加熱温度:800℃以上1000℃以下および加熱時間:5秒以下とすることによって、硬化層粒径12μm以下の微細粒が得られる。そして、旧オーステナイト粒径が12μm以下に微細化することにより、すべり転動疲労寿命は向上する。また、上記条件での焼入れ処理を2回以上繰り返すことによって、1回の焼入れに比べてさらに微細な硬化層粒が得られる。
さらに、焼入れ後に残留炭化物を面積率で2%以上10%以下の範囲で残すことにより、硬質な残留炭化物がマルテンサイト組織中に残留することと、旧オーステナイト粒径の微細化の相乗効果により、すべり転動疲労寿命は大幅に向上する。
本発明は以上の知見に基いて成されたものであり、その要旨は次のとおりである。
(1)質量%で
C:0.35〜0.75%、
Si:0.15〜1.1%、
Mn:0.2〜2.0%、
P:0.020%以下、
S:0.06%以下、
Al:0.005〜0.25%、
Cr:0.2%以下および
Mo:0.05〜0.6%
を含有し、残部が不可避的不純物からなる鋼組成を有し、焼入れ後の硬化層の平均旧オーステナイト粒径が12μm以下でかつ焼入れ硬化層に残留炭化物が2%以上10%以下であることを特徴とする転動疲労特性に優れた機械構造用部品。
(2)前記(1)において、前記鋼組成がさらに質量%で
Cu:1.0%以下、
Ni:0.05〜3.5%、
Co:0.01〜1.0%、
Nb:0.005〜0.1%、
V:0.01〜0.5%、
Ti:0.1%以下および
B:0.006%以下
から選ばれる1種または2種以上を含有する転動疲労特性に優れた機械構造用部品。
(3)前記(1)または(2)に記載の鋼組成を有する鋼素材に、730〜800℃で1時間以上均熱後、20℃/h以下の冷却速度で徐冷する条件にて球状化焼鈍を施し、加熱温度を800℃以上1000℃以下として高周波焼入れを行うことを特徴とする転動疲労特性に優れた機械構造用部品の製造方法。
(4)前記(3)において、前記高周波焼入れを2回以上繰り返す転動疲労特性に優れた機械構造用部品の製造方法。
(5)前記(3)または(4)において、前記高周波焼入れの加熱時間を5秒以下とする転動疲労特性に優れた機械構造用部品の製造方法。
本発明によれば、高周波焼入れ後には優れた転動疲労特性を有する機械構造用部品を安定して得ることができ、その結果、とりわけ自動車部品の軽量化の要求に対し偉効を奏する。
以下、本発明を具体的に説明する。
まず、本発明において、鋼の成分組成を上記範囲に限定した理由について説明する。なお、以下に示す成分に関する「%」は特に断らない限りは「質量%」意味する。
C:0.35〜0.75%、
Cは、焼入れ性への影響が最も大きい元素であり、焼入れ硬化層の硬さおよび深さを高めて、転動疲労強度を向上させる上で有用である。C含有量が0.35%に満たないと、必要とされる転動強度を確保するためには焼入れ硬化深さを飛躍的に高めねばならず、その際、焼割れの発生が顕著となる。さらに、ベイナイト組織も生成し難くなるために、0.35%以上で含有させる。一方、0.7%を超えて含有させると、粒界強度が低下し転動疲労強度が低下する。さらに、切削性、冷間鍛造性および耐焼き割れ性も低下する。このため、0.35〜0.75%の範囲とする。好ましくは、0.4%以上0.68%以下である。
Si:0.15〜1.1%、
Siは、焼入れ加熱時にオーステナイト核生成数を増加させるとともに、オーステナイト粒成長を抑制し焼入れ硬化層の粒径を微細化する作用により、すべり転動疲労強度を向上させる。かように、Siは非常に重要な元素であり、0.15%以上は必要であるが、1.1%を超えて添加すると、フェライトの固溶硬化により硬さが上昇し切削性および冷間鍛造性の低下を招く。従って、Siの含有量は0.15〜1.1%とする。好ましくは、0.4%以上1%以下である。
Mn:0.2〜2.0%
Mnは、焼入れ性を向上させて焼入れ時の硬化深さを確保する上で必須の成分であり、積極的に添加するが、0.2%未満の添加ではその効果に乏しく、一方2.0%を超えて添加すると、焼入れ後の残留オーステナイトを大幅に増加させることによりかえって表面硬度を低下させ、すべり転動疲労強度を低下させるため、2.0%以下とする。好ましくは、0.3%以上1.2%以下である。
P:0.020%以下
Pは、オーステナイトの粒界に偏析し、粒界強度を低下させることによりすべり転動疲労強度を低下させ、また、焼割れを助長する。したがって、その含有量は極力低下させるのが望ましいが、0.020%までは許容される。
S:0.06%以下
Sは、鋼中でMnSを形成して切削性を向上させる成分であり、好ましくは0.01%以上で含有させるが、0.06%を超えると、粒界に偏析して粒界強度を低下させるため、0.06%以下とする。好ましくは、0.04%以下とする。
Al:0.005〜0.25%
Alは、脱酸に有効な元素である。また、焼入れ加熱時のオーステナイト粒成長を抑制することにより焼入れ硬化層の粒径を微細化するのに有効な元素である。0.005%未満の添加ではその効果が小さく、一方0.25%を超えて添加してもその効果が飽和し、成分コストの上昇を招くため、0.005%以上0.25%以下とする。好ましくは、0.02%以上0.06%以下とする。
Cr:0.2%以下
Crは、炭化物を安定化させて残留炭化物の生成を促進し、すべり転動疲労特性を向上させるが、添加量が多いとコストの上昇をまねくため、0.2%を上限とする。好ましくは、0.10%以下である。
Mo:0.05〜0.6%
Moは、焼入れ前の組織においてベイナイト組織の生成を促進することにより焼入れ加熱時のオーステナイト粒径を微細化し、焼入れ硬化層を細粒化する作用がある。さらに、焼入れ加熱時のオーステナイト粒成長を抑制することにより、焼入れ硬化層の粒径を微細化する。また、焼入れ性の向上に有用な元素であり、焼入れ性を調整するためにも用いる。このように、Moは、非常に重要な元素であるが、0.05%未満ではその効果が小さいため、下限を0.05%とする。しかし、Moは炭化物生成を抑制し、炭化物による粒界強度の低下を抑制するため、上限を0.6%とする。好ましくは、0.1%以上0.6%以下とする。
さらに、本発明では、以下に述べる元素を適宜含有させることができる。
Cu:1.0%以下
Cuは、焼入れ性の向上に有効であり、またフェライト中に固溶して強化に寄与するため、母材(未焼入れ部)の疲労強度を向上させる。そのためには、0.2%以上で添加することが好ましい。ただし、1.0%を超えて添加すると、熱間加工性を阻害するため、1.0%以下で添加することが好ましい。さらに好ましくは、0.5%以下とする。
Ni:0.05〜3.5%
Niは、焼入れ性を向上させる元素であり、焼入れ性を調整する場合に用いることができる。その際、0.05%未満の添加では、その効果が小さいことから、0.05%以上で添加することが好ましい。一方、Niは極めて高価な元素であるため、3.5%を超えて添加すると、鋼材のコストが上昇するため3.5%以下とすることが好ましい。さらに好ましくは、0.1%以上1.0%以下である。また、Cuの熱間脆性を抑制するため、Cu添加時にはその1/2以上の量のNiを添加することが望ましい。
Co:0.01〜1.0%
Coは、炭化物生成を抑制することにより炭化物による粒界強度の低下を抑制し、焼入れ部の曲げ疲労強度などを向上させる元素であり、0.01%以上で添加してもよい。一方、極めて高価な元素であり、1.0%を超えて添加すると、鋼材のコストが上昇するため1.0%以下の添加とすることが望ましい。さらに、好ましくは、0.02%以上0.5%以下とする。
Nb:0.005〜0.1%
Nbは、焼入れ性を向上するとともに、鋼中でC、Nと結合し析出強化元素として作用する。また、焼戻し軟化抵抗を向上させる元素である。これらのことにより焼入れ部の曲げ疲労強度を向上させる。0.005%未満の添加ではその効果が小さく、また0.1%を超えて添加してもその効果が飽和するため、0.005〜0.1%の添加とすることが好ましい。さらに好ましくは、0.01%以上0.05%以下とする。
V:0.01〜0.5%
Vは、鋼中でCおよびNと結合し、析出強化元素として作用する。また焼戻し軟化抵抗を向上させる元素である。これらのことにより焼入れ部の曲げ疲労強度を向上させる。0.01%未満の添加ではその効果が小さく、また0.5%を超えて添加しても、その効果が飽和するため、0.01〜0.5%の範囲で添加することが好ましい。さらに好ましくは、0.03%以上0.3%以下とする。
Ti:0.1%以下
Tiは、Nと結合することにより、転動疲労寿命を劣化させることがあるため、0.1%を上限とすることが好ましい。ただし、BがBNとなりBの焼入れ性を向上する効果が消失するのを防止し、Bの焼入れ性向上効果を十分発揮させるために、0.01%以上で添加してもよい。さらに好ましくは、0.07%以下とする。
B:0.006%以下
Bは、ベイナイト組織あるいはマルテンサイト組織の生成を促進する効果を有する。また、Bは微量の添加により焼入れ性を向上させ、焼入れ時の焼入れ深さを高めて、すべり転動疲労強度を向上させるために、0.0015%以上で添加してもよい。しかし、0.006%を超えて添加しても、その効果が飽和し成分コストの上昇を招くため、0.006%以下で添加することが好ましい。さらに好ましくは、0.004%以下とする。
以上、成分組成範囲について説明したが、本発明では、成分組成を上記の範囲に限定することに加えて、鋼材の少なくとも一部表面に施す、高周波焼入れ後の硬化層の平均旧オーステナイト粒径を12μm以下、かつ焼入れ硬化層の残留炭化物を2%以上10%以下に調整することも重要である。
ここで言う、焼入れ硬化層部の旧オーステナイト粒径および残留炭化物量は、表面より0.2mm深さ位置での旧オーステナイト粒径および残留炭化物の面積率を指すこととする。
次に、上記した旧オーステナイト粒径および残留炭化物量を導くに到った実験結果について、それぞれ詳しく説明する。
C:0.41%、Si:0.50%、Mn:0.78%、Mo:0.46%、Ti:0.02%およびB:0.0021%を含み、残部Feおよび不可避不純物の組成になる供試鋼から、図1に示す試験片を作製した。すなわち、試験片は、圧延ままの丸棒と、丸棒を740℃×4時間均熱し、その後15℃/hで冷却する球状化焼鈍を施したものとから、その中心部よりすべり転動疲労試験片(粗加工)を採取した。かくして得られた試験片は、焼入れ・焼戻し後の焼入れ深さ(ビッカース硬度(荷重300gf)で測定したとき、Hv500以上である領域)が3.8mm〜4.3mmになるように、高周波焼入れした後、図1に示す形状に仕上げて試験に供した。
すべり転動疲労試験は、試験片に接触させる大ローラー(径130mm)で最大面圧3.4GPaの負荷を試験片にかけ、すべり率40%、回転数1900rpm、70℃のディーゼル油による潤滑条件で試験を行った。試験片に剥離が発生し、初期振動の1.5倍の振動が発生した時に試験機が停止するようにし、試験機が止まるまでの時間をもって、すべり転動疲労寿命とした。評価は6本の試験片を用い、結果をワイブル確率紙で整理し、累積破損確率50%(以下、B50寿命と示す)を求めた。
なお、残留炭化物量は、焼入れ・焼戻しした試験片に、切断・研磨を行った後、ピクラール腐食液による腐食を、試験片の表面下0.2mm深さ位置まで行い、該位置にて走査型電子顕微鏡(SEM)による5000倍のSEM像(487.3μm2)を3視野撮影し、残留炭化物量(面積率)を算出した。なお、小数点以下は四捨五入した。
また、旧オーステナイト粒径は、残留炭化物量の測定に用いた試験片を、旧オーステナイト粒界腐食液で腐食し、光学顕微鏡で1000倍の写真を撮影し、切断法により平均旧オーステナイト粒径を算出した。
以上の実験結果について、まず、比較鋼であるS53C (残留炭化物面積率:0%)のB50寿命に対し、B50寿命が何倍向上したかを焼入れ硬化層部の旧オーステナイト粒径で整理した。その結果を、図2に示すように、比較鋼であるS53Cでは、旧オーステナイト粒の微細化による、B50寿命比の向上は見られない。一方、本発明に従う供試鋼を用いれば、鋼の成分によるB50寿命比の向上に加え、旧オーステナイト粒径を12μm以下にすることによって、寿命比が5倍程度まで向上することが判明した。
次に、焼入れ硬化層の残留炭化物量とB50寿命比との関係を、図3に示す。同図から、平均旧オーステナイト粒径12μm以下の供試鋼でB50寿命比6倍以上を達成するには、残留炭化物量を2%以上10%以下にする必要があることがわかる。すなわち、平均旧オーステナイト粒径12μm以下にするとともに、残留炭化物量を2%以上にすることによって、これらの規制を行わない場合に比較して、B50寿命比を6倍以上に向上することが可能になるのである。
次に、本発明の製造方法について説明する。
上記した所定の成分組成に調整した鋼材を、棒鋼圧延または熱間鍛造などの熱間加工後、必要に応じて冷間圧延や冷間鍛造を施し、次いで切削加工を施したのち、球状化焼鈍を経てから高周波焼入れを施して機械構造用部品とする。
この一連の工程において、球状化焼鈍により高周波焼入れ前の素材には、球状化炭化物を析出させておくことが肝要である。すなわち、焼入れ前に、730〜800℃で1時間以上均熱した後、20℃/h以下の冷却速度で徐冷する条件にて、球状化焼鈍を行うことにより、後述する条件で高周波焼入を行った後の焼入れ硬化層に残留炭化物が面積率で2%以上10%以下で存在するようになる。なお、球状化焼鈍後、高周波焼入れを行うまでの間に、製品形状に冷間加工する工程が入っても、特に問題はない。
かような処理を経た後焼入れされた、焼入れ硬化層は、主となる組織がマルテンサイト組織と2%以上10%以下の面積率の炭化物からなり、それ以外の組織としては、析出物および残留オーステナイトとする。これは、ベイナイト、パーライトまたはフェライトがマルテンサイト組織中に混ざった場合、十分な硬度が得られず、すべり転動疲労寿命が劣化するからである。一方、硬質な析出物は、焼入れ部の硬度を析出硬化により向上させる効果があり、また残留オーステナイトは10%以下であれば、すべり転動疲労寿命に大きな影響を与えない。
次に、本発明においては、成形品に、加熱温度800℃以上1000℃以下で1回あるいは2回以上の高周波焼入れを行うことにより表面硬化させる。加熱温度が800℃未満の場合、オーステナイト組織の生成が不十分となり、硬化層組織の生成も不十分となるために、すべり転動疲労強度が低下する。加熱温度が1000℃を超えると、オーステナイト粒の成長が促進されて粗大化し、硬化層粒径も粗大となるため、転動疲労強度が低下する。
また、2回以上の繰り返し焼入れを行うことによって、残留炭化物量を変えることができる。なお、加熱温度は、800℃以上950℃以下とすることが好ましい。
さらに、上記の高周波焼入れは、上記加熱温度において加熱時間を5秒以下として行うことが、硬化層の微細化に有利である。加熱時間を5秒以下とした場合、5秒を超える場合に比べ、オーステナイト粒成長がさらに抑制される結果、非常に微細な硬化層粒径が得られる。より好ましくは、3秒以下とする。
ちなみに、焼入れ深さに関しては、特に限定する必要はなく、用途に応じて随時焼入れ深さを変えても問題はない。
以下、本発明を実施例に基づいて説明する。
表1に示す化学組成の鋼を、転炉−連続鋳造プロセスにより溶製し、断面が300×400mmの鋳片を得た。この鋳片を、ブレークダウン工程にて175mm丸ビレットに圧延したのち、65mmφの棒鋼に圧延した。この圧延ままの丸棒と、丸棒を740℃×4時間均熱し、その後15℃/hで冷却する球状化焼鈍を施したものとから、その中心部よりすべり転動疲労試験片(粗加工)を採取した。試験片は、焼入れ・焼戻し後の焼入れ深さ(ビッカース硬度(荷重300gf)で測定した時、Hv500以上である領域)が3.8mm〜4.3mmになるように高周波焼入れした後、図1に示す形状に仕上げて、すべり転動疲労試験に供した。
すべり転動疲労試験には、小松製ローラーピッチング試験機(型番RP201)を用いた。そして、試験片に接触させる大ローラー(径130mm)で最大面圧3.4GPaの負荷を試験片に加えて、すべり率40%、回転数1900rpmおよび70℃のディーゼル油による潤滑条件で試験を行った。
試験片に剥離が発生し、初期振動の1.5倍の振動が発生した時に試験機が停止するようにし、試験機が止まるまでの時間をもって、すべり転動疲労寿命とした。評価は6本の試験片を用い、結果をワイブル確率紙で整理し、B50寿命を求めた。
なお、残留炭化物量は、焼入れ・焼戻しした試験片に、切断・研磨を行った後、ピクラール腐食液による腐食を、試験片の表面下0.2mm深さ位置まで行い、該位置にて走査型電子顕微鏡(SEM)による5000倍のSEM像(487.3μm2)を3視野撮影し、残留炭化物量(面積率)を算出した。なお、小数点以下は四捨五入した。
また、旧オーステナイト粒径は、残留炭化物量の測定に用いた試験片を、旧オーステナイト粒界腐食液で腐食し、光学顕微鏡で1000倍の写真を撮影し、切断法により平均旧オーステナイト粒径を算出した。
以上の測定並びに評価結果を、表2に示す。
試験片の仕様を示す図である。 焼入れ硬化層の平均旧オーステナイト粒径とB50寿命比との関係を示す図である。 焼入れ硬化層の残留炭化物量とB50寿命比との関係を示す図である。

Claims (5)

  1. 質量%で
    C:0.35〜0.75%、
    Si:0.15〜1.1%、
    Mn:0.2〜2.0%、
    P:0.020%以下、
    S:0.06%以下、
    Al:0.005〜0.25%、
    Cr:0.2%以下および
    Mo:0.05〜0.6%
    を含有し、残部が不可避的不純物からなる鋼組成を有し、焼入れ後の硬化層の平均旧オーステナイト粒径が12μm以下でかつ焼入れ硬化層の残留炭化物が2%以上10%以下であることを特徴とする転動疲労特性に優れた機械構造用部品。
  2. 請求項1において、前記鋼組成がさらに質量%で
    Cu:1.0%以下、
    Ni:0.05〜3.5%、
    Co:0.01〜1.0%、
    Nb:0.005〜0.1%、
    V:0.01〜0.5% 、
    Ti:0.1%以下および
    B:0.006%以下
    から選ばれる1種または2種以上を含有する転動疲労特性に優れた機械構造用部品。
  3. 請求項1または2に記載の鋼組成を有する鋼素材に、730〜800℃で1時間以上均熱後、20℃/h以下の冷却速度で徐冷する条件にて球状化焼鈍を施し、加熱温度を800℃以上1000℃以下として高周波焼入れを行うことを特徴とする転動疲労特性に優れた機械構造用部品の製造方法。
  4. 請求項3において、前記高周波焼入れを2回以上繰り返す転動疲労特性に優れた機械構造用部品の製造方法。
  5. 請求項3または4において、前記高周波焼入れの加熱時間を5秒以下とする転動疲労特性に優れた機械構造用部品の製造方法。
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