JP2009242180A - ナノカーボン製造装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】カーボンナノチューブ等の高機能ナノカーボンを生成するのに化石資源由来のエネルギーを使用せず、且つ、高機能ナノカーボンを製造することを課題とする。
【解決手段】有機物処理材料を熱分解してタール混入熱分解液を回収する熱分解液回収手段1と、回収したタール混入熱分解液からタール分を除去する熱分解液タール分除去手段2と、タール分を除去した熱分解液からナノカーボンを生成するナノカーボン生成手段3とを有し、有機物処理材料からナノカーボンを製造することを特徴とするナノカーボン製造装置。
【選択図】 図1

Description

本発明は、有機物処理材料、特に化石資源に由来しない木質系バイオマス、繊維質バイオマス、下水汚泥等のバイオマス資源から、有用性の高い繊維状のナノカーボン、カーボンナノチューブ等の高機能カーボンと伴に、活性炭、木酢液等を効率的に連続して製造するナノカーボン製造装置に関する。
カーボンナノチューブ等の高機能カーボンの生成法には、例えばアーク放電法、レーザー蒸着法、化学気相成長法(CVD法)が挙げられる。
アーク放電法は、正負のグラファイト電極間にアーク放電を起こすことでグラファイトが蒸発し、陰極先端に凝縮したカーボンの堆積物の中にカーボンナノチューブが生成される方法である(例えば、特許文献1参照)。レーザー蒸着法は、高温に過熱した不活性ガス中に金属触媒を混合したグラファイト試料を入れ、レーザー照射することによりカーボンナノチューブを生成する方法である(例えば、特許文献2参照)。
一般に、アーク放電法やレーザー蒸発法では結晶性の良いカーボンナノチューブが生成できるが、生成するカーボンナノチューブの量が少なく大量生成に難しいとされる。
CVD法には、反応炉の中に入れた基板にカーボンナノチューブを生成させる気相成長基板法(例えば、特許文献3参照)と、触媒金属と炭素源を一緒に高温の炉に流動させカーボンナノチューブを生成する流動気相法(例えば、特許文献4参照)の二つの方法がある。
気相成長法について、図11を参照して説明する。図中の符番101は、内部に触媒102を担持する触媒担持基板103が配置された反応管を示す。反応管101の外周外側部には電気ヒータ104が配置されている。こうした構成の反応管101内に、該反応管101の一方側から原料(炭化水素)105を流し、他方側から排気するようにすると、反応管101内部で炭化水素ガス106が発生し、カーボンナノチューブ107が形成される。
次に、図12を用いて流動気相法について説明する。但し、図4と同部材は同符番を付して説明を省略する。図12では、反応管101の一方側から原料である炭化水素105とともにキャリアガス108を流すことを特徴とする。これにより、電気ヒータ104が配置された部位に相当する反応管101内で炭化水素ガス106が発生し、カーボンナノチューブ107が形成される。
一方、気相成長基板法はバッジ処理であるので大量生産に難しい。また、流動気相法は温度の均一性が低く結晶性の良いカーボンナノチューブを生成するのが難しいとされている。さらに、流動気相法の発展型として、高温の炉の中に、触媒兼用流動材で流動層を形成し、炭素原料を供給して繊維状のナノカーボンを生成する方法も提案されているが、炉内の温度の均一性が低く結晶性の良いカーボンナノチューブを生成するのが難しいと考えられる。
純度および安定性の高いカーボンナノチューブを低コストで効率よく量産することができるようになれば、カーボンナノチューブの特性を生かしたナノテクノロジー製品を低コストで大量に供給することが可能になる。
しかし、アーク放電法、レーザー蒸着法ではアーク放電、レーザー蒸着用の電気、原料のLPGガス等の化石資源由来の炭化水素、化学気相成長法では加熱するための電気或いはガス等の燃料、原料のLPGガス等の化石資源由来の炭化水素を必要とし、いずれのカーボンナノチューブを製造する装置においても、カーボンナノチューブを製造するのに大量の化石資源由来のエネルギーを使用している。地球温暖化防止の対策が急務である今、高機能カーボンであるカーボンナノチューブを生成する為に大量の二酸化炭素を排出しているということは大きな問題である。
特開2000−095509号公報 特開平10−273308号公報 特開2000−086217号公報 特開2003−342840号公報
本発明はこうした事情を考慮してなされたもので、カーボンナノチューブ等の高機能ナノカーボンを生成するのに化石資源由来のエネルギーを使用せず、且つ、高機能ナノカーボンを製造することができるナノカーボン製造装置を提供することを目的とする。
本発明に係るナノカーボン製造装置は、有機物処理材料を熱分解してタール混入熱分解液を回収する熱分解液回収手段と、回収したタール混入熱分解液からタール分を除去する熱分解液タール分除去手段と、タール分を除去した熱分解液からナノカーボンを生成するナノカーボン生成手段とを有し、有機物処理材料からナノカーボンを製造することを特徴とする。
本発明によれば、カーボンナノチューブ等の高機能ナノカーボンを生成するのに化石資源由来のエネルギーを使用せず、且つ、高機能ナノカーボンを製造することができる。
以下、本発明のナノカーボン製造装置について更に詳しく説明する。
1) 上記したように、本発明のナノカーボン製造装置は、熱分解液回収手段と、熱分解液タール分除去手段と、ナノカーボン生成手段とを備えている。
2) 上記1)において、前記熱分解液回収手段としては、有機物処理材料を乾燥、炭化・熱分解してタール混入熱分解液と炭化物を回収する機能を有し、有機物処理材料からナノカーボン、炭化物を連続して製造する場合が挙げられる。
3) 上記2)において、前記熱分解液回収手段としては、熱分解炭化物製造炉内に投入された有機物処理材料を熱分解し、有機物処理材料から熱分解ガス成分を分離し炭化物のみとする熱分解炉の熱分解ガス成分を回収するものであり、熱分解製造炉内で発生し外部に導出される熱分解ガス成分を熱分解液と直接接触し凝縮させる熱分解ガス成分凝縮エジェクタと、熱分解ガス成分凝縮エジェクタにて凝縮した熱分解油を貯留する熱分解液回収容器と、凝縮した熱分解液を冷却する熱分解油冷却器とを有する場合が挙げられる。
4) 上記1)又は2)において、前記熱分解液タール分除去手段としては、熱分解液回収手段で回収したタール混入熱分解液からのタール分を除去するものであり、タール混入熱分解液を蒸留する蒸留器とタール分除去蒸留熱分解液回収容器とを有し、ボトムに熱分解液回収手段で回収したタール混入熱分解液を投入し、タール分以外を蒸発・凝縮させる蒸留器と、蒸留器でタール分を除去した熱分解液をタール分除去蒸留熱分解液として回収・貯留し、次のナノカーボン生成炉に投入するタール分除去蒸留熱分解液投入ホッパーとを有する場合が挙げられる。
5) 上記1)又は2)において、ナノカーボン生成手段としては、内部に回転可能な内容器を有し、この内容器の一端側に熱分解液タール分除去手段で生成したタール分除去蒸留熱分解液と触媒用金属粉とをナノカーボン生成炉に投入し、ナノカーボンとオフガスを生成し、回収したナノカーボンを回収するナノカーボン回収容器を有する場合が挙げられる。
6) 上記1)〜5)において、熱分解液回収手段は、熱分解ガス成分凝縮エジェクタにて凝縮しきれないオフガス成分、熱分解液タール分除去工程の蒸留器にて凝縮しきれないオフガス成分及びナノカーボン生成手段のカーボンナノチューブ生成炉から発生するオフガス成分を、熱分解製造炉、蒸留器、ナノカーボン生成炉の加熱用バーナの燃料として活用することが好ましい。
7) 上記1)〜6)において、熱分解液回収手段にて回収した熱分解液の一部を、熱分解炉、蒸留器、カーボンナノチューブ生成炉の加熱用バーナの燃料として活用することが好ましい。
8) 上記1)〜7)において、投入する有機物処理材料は木質系バイオマスとし、熱分解液回収手段にて回収した熱分解液の一部を木酢液として活用することが好ましい。
9) 上記1)〜8)において、投入する有機物処理材料は植物、農産物の廃棄物等の繊維質系バイオマスとし、熱分解液回収手段にて回収した熱分解液の一部を植物液として活用することが好ましい。
10) 上記1)〜9)において、投入する有機物としては廃材である場合が挙げられる。
11) 上記8)〜10)において、投入する有機物処理材料が木質系バイオマス或いは繊維質系バイオマス或いは廃材であるとき、木質系バイオマス材料或いは繊維質系バイオマス或いは廃材を粉砕処理することにより材料の粒度径を0.1〜2mmの範囲で均一にした後、材料貯留ホッパーに粉砕材料を投入し、その下部に定量供給装置を設置し、粉砕処理された材料を定量供給装置を経由して、熱分解製造炉内に連続的に投入できるようにする場合が挙げられる。
12) 上記1)〜7)において、投入する有機物処理材料としては下水汚泥である場合が挙げられる。
13) 上記1)〜7)において、投入する有機物処理材料としては、木質系バイオマス、繊維質系バイオマス、廃材、下水汚泥のうち少なくとも2つ以上を組み合わせたものである場合が挙げられる。
14) 上記1)〜7)において、投入する有機物処理材料としては、木質系バイオマス、繊維質バイオマス、廃材、下水汚泥の新規原料に、使用済の活性炭を混入させる場合が挙げられる。
15) 上記2)〜14)において、熱分解液回収手段の熱分解炉、ナノカーボン生成手段のカーボンナノチューブ生成炉の夫々の内容器内に水蒸気注入ノズルを設置し、運転中に内容器内に水蒸気を注入しつつ熱分解製造、カーボン生成を行う場合が挙げられる。
16) 上記2)〜15)において、熱分解液回収手段の熱分解炉、ナノカーボン生成手段のカーボンナノチューブ生成炉の夫々の内容器内に注入する水蒸気の量は、熱分解炉、カーボンナノチューブ生成炉の夫々の内容器内の温度により自動制御されることが好ましい。
17) 上記1)〜16)において、ナノカーボン生成手段のカーボンナノチューブ生成炉の内容器内に水素注入ノズルを設置し、運転中に内容器内に水素を注入しつつカーボン生成を行う場合が挙げられる。
18) 上記1)〜17)において、熱分解液回収手段の熱分解炉の内容器内には耐熱ボールとしてセラミックボールを保持し、ナノカーボン生成手段のカーボンナノチューブ生成炉の内容器内には耐熱ボールとしてステンレス,鉄,ニッケル,クロムからなる金属ボールを保持する場合が挙げられる。
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、本実施形態は下記に述べることに限定されない。
(第1の実施形態)
図1は、請求項2の実施形態に対応する説明である。図1は、有機物処理材料からナノカーボンを製造するナノカーボン製造装置の概略フロー図である。同装置は、有機物処理材料を熱分解しタール混入熱分解液を回収する熱分解液回収手段1と、回収したタール混入熱分解液からタール分を除去する熱分解液タール分除去手段2と、タール分を除去した熱分解液からナノカーボンを生成するナノカーボン生成手段3とを有し、有機物処理材料からナノカーボンを連続して製造することを特徴とする。第1の実施形態において、熱分解液回収手段1は、有機物処理材料を乾燥、炭化・熱分解してタール混入熱分解液と炭化物を回収する機能を有し、有機物処理材料からナノカーボン、炭化物を連続して製造する機能を有する。
図中の符番11は、有機物処理材料が投入される有機物処理材料投入ホッパー(以下、投入ホッパーと呼ぶ)である。この投入ホッパー11の下流側には、投入機12を介して熱分解炉(低温炉)13が配置されている。低温炉13の外周側には、加熱ヒータ又は加熱ジャケット(第1の加熱源)14が配置されている。低温炉13の方式には、有機物処理材料を外から間接的に加熱して乾燥させる外熱式、或いは、有機物処理材料を直接加熱して乾燥させる内熱式がある。図1に示す低温炉13では、外側の第1の加熱源14で内部を加熱する外熱式の図としている。低温炉13内には内容器15が配置され、内容器15の内部には、多数の耐熱ボール16が収容されている。ここで耐熱ボール16としては、例えばセラミックボールが使用される。
内容器15は、熱分解炉駆動モータ(以下、第1の駆動モータと呼ぶ)17により駆動される。低温炉13の出口側の上部には、低温炉13内で発生した熱分解ガスを外部に導出する熱分解ガス出口ノズル18,熱分解ガス出口ダクト19が順次配置されている。低温炉13の出口側の下部には、触媒用金属粉付カーボンナノチューブ排出ノズル(以下、第1の排出ノズルと呼ぶ)20を介して炭化物回収容器21が配置されている。熱分解液回収手段1は、投入ホッパー11と、投入機12と、内容器15を備えた低温炉13と、耐熱ボール16と、熱分解ガス出口ノズル18と、炭化物回収容器21とを主要な構成要件としている。
前記熱分解ガス出口ダクト19には、冷却水入口ノズル22及び冷却水出口ノズル23を備えた間接熱交換器24が接続されている。間接熱交換器24には熱分解液回収容器25が接続されている。この熱分解回収容器25には、熱分解液供給ライン26を介して蒸留器ボトム部27を備えた蒸留器ボトム加熱源28が接続されている。蒸留器ボトム部27の上部には、蒸留部29を備えた蒸留器30が配置されている。周囲に蒸留器ボトム加熱源28を有する下部の蒸留器ボトム部27と、蒸発した成分を凝縮・蒸留させる上部の蒸留器30との一体化構造となっている。蒸留器30には熱分解蒸留液排出ノズル31が設けられ、該ノズル31には熱分解蒸留液供給ライン32を介してタール分除去蒸留熱分解液投入容器33が接続されている。熱分解液タール分除去手段2は、間接熱交換器24と、熱分解液回収容器25と、蒸留器ボトム加熱源28と、蒸留器30と、タール分除去蒸留熱分解液投入容器33を主要な構成要素としている。
タール分除去蒸留熱分解液投入容器33及び触媒用金属粉投入ホッパー34は、ナノカーボン生成手段3の投入機35に接続されている。投入機35には、内部に内容器36を備えたカーボンナノチューブ生成炉(高温炉)37が配置されている。内容器36は、カーボンナノチューブ生成炉駆動モータ(以下、第2の駆動モータと呼ぶ)38により駆動する。内容器36の内部には、多数の耐熱ボール39が収容されている。耐熱ボール39は直径が5〜100mm程度で、ステンレス、鉄、ニッケル、クロム、アルミナの何れかからなる金属ボールである。耐熱ボール39の数は、高温炉37内の内容器36内の構造設計によるが、カーボンナノチューブ等の高機能カーボンの生成回数を高め且つ耐熱ボール39表面に成長したカーボンナノチューブを剥がす頻度を高めるには、耐熱ボール39が自由に回転できる範囲でできるだけ多数充填するのが良い。触媒は、平均粒径が10〜200μmのステンレス、鉄、ニッケル、クロム等の金属粉末である。
高温炉37の外周側には、加熱ヒータ又は加熱ジャケット(第2の加熱源)40が配置されている。高温炉37の出口側の上部には、オフガス出口ノズル41が配置されている。高温炉37の出口側の下部には、触媒用金属粉付カーボンナノチューブ排出ノズル(以下、第2の排出ノズルと呼ぶ)42を介してカーボンナノチューブ回収容器43が配置されている。後段ナノカーボン生成手段3は、投入機35と、内容器36を内蔵した高温炉37と、耐熱ボール39と、第3の加熱源40と、オフガス出口ノズル41と、カーボンナノチューブ回収容器43を主要な構成要素としている。
なお、図示していないが、高温炉37から炭化物が炭化物回収容器43に排出される際に、炭化物回収容器43内の空気が高温炉37内に混入しないように、高温炉37と炭化物回収容器43との間にダブルダンパやロータリーバルブ等を設置するような設計配慮も当然必要である。
次に、図1の製造装置を用いて有機物処理材料から連続してナノカーボン、活性炭等の炭化物を製造する動作について説明する。
1)まず、熱分解液回収手段1において、有機物処理材料は投入ホッパー11に投入される。投入ホッパー11に投入された有機物処理材料は、投入機12を経由して定量的に低温炉13内に投入される。低温炉13内に投入された有機物処理材料は、有機物処理材料の特性、含水率等にもよるが、低温炉13の内部温度500〜700℃で加熱される。低温炉13には多数の耐熱ボール16が充填されており、内容器15が回転することにより、低温炉13内の内容器15に投入された有機物処理材料への熱の伝わりを促進し、活性炭等の炭化物の生成速度を高めるとともに、活性炭等の炭化物を粉末状とし活性炭或いは粉末炭化燃料等として利用しやすくする効果も高めることもできる。
2)木材等の木質系有機物処理材料は、セルロース、ヘミセルロース、リグニンなどの他、炭素、酸素及び水素といった物質からなっており、これら木質系有機物処理材料を加熱し熱分解すると、60〜200℃において熱減成、160〜400℃で熱分解、特に280℃前後で急激に熱分解が始まり、260〜800℃で木炭化、600〜1800℃で炭素化、1600℃以上で黒鉛化が起こるとされている。
3)280℃前後で急激に熱分解が始まると、二酸化炭素、一酸化炭素、水素、炭化水素類がガスになって揮発し、原木の重量が急に減少し炭化が進むと同時に、次第に炭素分の比率が多くなり、しかも小さな炭素の結晶が不規則に並んだ不定型炭素構造に変わるとされている。更に、温度が650〜700℃になると、炭の中の酸素や水素が揮発し、表面の性質が大きく変わってくる。この温度域で加熱することで、表面は多孔質となり表面積が飛躍的に大きくなった炭化物即ち活性炭が生成する。この熱分解処理において、水素、水蒸気も同時に揮発する為、一般の賦活処理(炭化物を800〜1200℃で水蒸気雰囲気の中で酸化させることで、更に多孔質にさせ表面積を大きくする過程操作)と同様の効果も得られ、温度を700℃以上に上げなくても良質の活性炭相当の炭化物が得られる効果を有する。
4)このように有機物処理材料を500〜700℃に加熱し熱分解・炭化することで、熱分解・炭化された炭化物は、ミクロ視的にはポーラス状になり活性炭の機能を有する炭化物として有価値物として回収される。低温炉13にて生成した炭化物は、炭化物回収容器21に回収される。このような活性炭の機能を有する炭化物は、農業用、園芸用の土壌改良剤、調質剤、融雪剤、浄水剤、堆肥剤等として幅広く活用可能である。
上記のような活性炭としての機能・特性を高めるには、熱分解・炭化温度を800℃以上の高めに設定することで可能となるが、処理する有機物処理材料、処理時間等のパラメータを調整することによっては、これより低めの設定温度でも良質な機能・特性を有する活性炭を製造することができる。
5)一方、低温炉13の内容器15から排出される熱分解ガスは、低温炉13の上部に設置される熱分解ガス出口ノズル18、熱分解ガス出口ダクト19を経由して間接熱交換器24に至り、ここで熱分解ガスは冷却水により間接的に冷却され凝縮され、熱分解液として熱分解液回収容器21に回収される。間接熱交換器24においては、冷却水は冷却水入口ノズル22から入り、間接熱交換器24内で熱分解ガスを間接的に冷却・熱交換し冷却水出口ノズル23から排出される。熱分解液の成分は、処理する有機物処理材料、低温炉13内の設定温度、滞留時間等にもよるが、これらを最適条件に設定することによりタール分の少ない熱分解液として回収できる比率を高めることができる。なお、間接熱交換器24を設置する場合、長時間運転により間接熱交換器24内面にタール分が次第に付着する可能性がある。しかし、間接熱交換器24内の冷却管を太くしタール分の付着を防止したり、また上部、下部に点検清掃用のノズルを設置し、定期的に内部を清掃するようにする等の設計上の工夫が考えられる。
6)低温炉13にて熱分解し得られた熱分解液には、処理する有機物処理材料、熱分解温度等にもよるが、多少のタール分が混入している。熱分解液中にこのタール分が混入すると、下流の高機能カーボンを生成する後段のナノカーボン生成手段3に導入する配管、機器等に付着、堆積し、配管、機器中の閉塞の原因となる。また、温度を上げると、コーキングを起こし、良質のカーボンナノチューブ等の高機能カーボンの生成阻害を及ぼすことになる。これを回避するには、熱分解して得られた熱分解液中からタール分を除去し、それ以外の熱分解液を後段のナノカーボン生成手段3に導入することが最良の方法である。なお、我々はタール分を除去した熱分解液からは安定的に良質のカーボンナノチューブ等の高機能カーボンが生成できることを確認している。
7)熱分解液回収容器25に回収されたタール混入熱分解液は、熱分解液供給ライン26を経由してタール分を除去する熱分解液タール分除去手段3に送られ、タール混入熱分解液を蒸留する蒸留器30の蒸留器ボトム部27に投入される。
タール混入熱分解液は、蒸留器30の下部の蒸留器ボトム部27内部に熱分解液回収容器25から連続的に定量投入され、その外側の蒸留器ボトム加熱源28から加熱され、タール分以外の軽い成分は蒸発する。蒸留器ボトム部27から蒸発した熱分解液中の蒸発成分は、蒸留部30内で冷却され凝縮され、熱分解蒸留液排出ノズル31から排出され、熱分解蒸留液供給ライン32を経由して、タール分除去蒸留熱分解液投入容器33に供給される。
8)熱分解液回収容器25からのタール混入熱分解液は、蒸留器30の下部の蒸留器ボトム部27内部で蒸留器ボトム加熱源28により加熱される。しかし、蒸留器ボトム部27内部温度が100〜150℃になるように加熱されることで、タール混入熱分解液中の軽い水蒸気成分が蒸発し上昇し、水蒸気成分は冷却され凝縮させる蒸留部29へ導入される。ボトム内部の設定温度は、処理する有機物処理材料の熱分解液の特性等により変動するが、熱分解液中のタール分は100℃以上では蒸発しないことから、最低100℃以上加熱し、蒸留効率を上げる為に最適な温度に設定すればよい。
なお、この蒸留器内の圧力は常圧で十分である。また、蒸留器ボトム部27内部に徐々に溜まるタール分は、定期的に抜出す。タール分の流動点は高いため、タール排出配管内で固着しないよう配管部を加熱し、タールを流下させるようにする工夫が必要である。また、蒸留器ボトム部27内部は或る一定レベル以上の熱分解液を保持することで、蒸留器ボトム加熱源28の負荷変動が生じないようにする。
9)一方、蒸留器ボトム部27でタール混入熱分解液が加熱されることで、蒸発ガス中に含まれ凝縮部で凝縮しない軽いオフガス成分は、蒸留器上部のオフガス排出ノズル(図示せず)から排出される。オフガス排出ノズルから排出されたオフガス成分は、或る一定のカロリーを有している。図示していないが、オフガスバーナ等を設置し燃焼させることで、この燃焼ガスを低温炉13の第1の加熱源14、或いは、高温炉37の第2の加熱源40等に循環させ、低温炉13の第1の加熱源14或いは高温炉37の第2の加熱源40として排熱を有効活用することも可能である。なお、熱分解液蒸留液供給ライン32中に熱分解液冷却器等を設置することにより、熱分解液を凝縮して熱分解液を更に冷却し、熱分解ガスの凝縮効率を高めることができる。
10)熱分解液からタール分を除去する熱分解液タール分除去手段2にて回収したタール分除去蒸留熱分解液は、タール分除去蒸留熱分解液投入容器34に一時貯留され、カーボンナノチューブ等のナノカーボンを生成する後段ナノカーボン生成手段3へと送られる。
タール分除去蒸留熱分解液投入容器34に一時貯留されたタール分除去蒸留熱分解液は、投入機35を経由して高温炉37に定量投入される。この際、触媒用金属粉投入ホッパー34を経由して触媒用金属粉も定量的に投入される。タール分除去蒸留熱分解液の投入方式としては、流量調節機能付きのバルブ等を経由して或る最適な流量に設定して定量的に投入される。触媒用金属粉の投入方式としては、流量調節機能付きのバルブ、ロータリーバルブ等を経由して熱分解液との投入比率を最適に設定して定量的に投入される。
11)ナノカーボンを生成する後段ナノカーボン生成手段3において、タール分除去蒸留熱分解液、触媒用金属粉は投入機35を経由して外側の第2の加熱源40で内部を加熱する高温炉37に投入される。高温炉37内の内容器36に投入されたタール分除去蒸留熱分解液は、熱分解液の特性、生成するカーボンナノチューブの特性等にもよるが内部温度600〜900℃で加熱される。
12)高温炉37内の内容器36内には耐熱ボール39が多数充填されており、この耐熱ボール39表面にタール分除去蒸留熱分解液、触媒用金属粉が付着し、この耐熱ボール39表面ポーラスを基点として気相成長法により多数のカーボンナノチューブが生成する。また、内容器36が回転することにより、高温炉37内の内容器36に投入されたタール分除去蒸留熱分解液、触媒用金属粉の耐熱ボール39表面への付着頻度を高めカーボンナノチューブ等の高機能カーボンの生成回数を促進し、カーボンナノチューブの生成速度を高める。これとともに、耐熱ボール39同士がぶつかり合うことで、耐熱ボール39表面に成長したカーボンナノチューブ等の高機能カーボンを剥がし、耐熱ボール39表面に次のカーボンナノチューブが生成することを促進し、連続的にカーボンナノチューブ等の高機能カーボンを生成することができる。
13)一方、高温炉37の内容器36から排出されるオフガスは、高温炉37の上部に設置されるオフガス出口ノズル41を経由して排出される。オフガス出口ノズル41から排出されたオフガス成分は、或る一定のカロリーを有している。図示していないが、オフガスバーナ等を設置し燃焼させることで、この燃焼ガスを低温炉13の第1の加熱源14或いは高温炉37の第2の加熱源40等に循環させ、低温炉13の第1の加熱源14或いは高温炉37の第2の加熱源40として排熱を有効活用することも可能である。
14)また、低温炉13から発生するオフガスと高温炉37から発生するオフガスをまとめて、オフガスバーナ等で燃焼させることで、システム全体をシンプルにし、低温炉13の第1の加熱源14或いは高温炉37の第2の加熱源40としての効率的な排熱活用が図れる。更に、このオフガスバーナ等に流入するオフガスのカロリーが不足する場合には、LPGガス、灯油等の補助燃料で追い炊きできる制御にすることで、より信頼性の高いシステムとすることもできる。
第1の実施形態のカーボン製造装置によれば、有機物処理材料を乾燥、炭化・熱分解しタール混入熱分解液と活性炭を回収する熱分解液回収手段1と、回収したタール混入熱分解液からタール分を除去する熱分解液タール分除去手段2と、タール分を除去した熱分解液からナノカーボンを生成するナノカーボン生成手段3とを有し、連続してナノカーボン、活性炭等の炭化物を同時に効率的に量産製造することができる。
なお、第1の実施形態では、有機物処理材料を定量的に低温炉13内に投入する方法として、投入機12を経由して投入する方式について述べた。しかし、これに限らず、投入ホッパー11の下部にサークルフィーダ、ロータリーバルブ等の定量供給装置を設置してもよい。こうした構成にすることにより、投入ホッパー11内の有機物処理材料を定量的に切り出し、低温炉13に定量的に投入することができる。
また、第1の実施形態において、高温炉37内の内容器36を複数の仕切板で区切り、反応する区間を複数に構成してもよい。これにより、高温炉37内での反応効率を高めることができる。
更に、高温炉37の基本構造としては、第1の実施形態のように横型に限らず、例えば縦型、斜め設置型にしてもよい。
更には、低温炉13から炭化物が炭化物回収容器21に排出される際に、炭化物回収容器21の空気が低温炉13内に混入しないように、低温炉13と炭化物回収容器21との間にダブルダンパやローラリーバルブ等を設置するような設計配慮も当然必要である。
また、高温炉37からカーボンナノチューブがカーボンナノチューブ回収容器43に排出される際に、カーボンナノチューブ回収容器43内の空気が高温炉37内に混入しないように、高温炉37とカーボンナノチューブ回収容器43との間にダブルダンパやロータリーバルブ等を設置するような設計配慮も当然必要である。これにより、熱分解液は後段ナノカーボン生成手段3においてカーボンナノチューブ等の高機能カーボンが生成・回収される。
(第2の実施形態)
第2の実施形態に係るナノカーボン製造装置について図2を参照して説明する。図2は、請求項3の実施形態に対応する説明である。但し、図1と同部材は同符番を付して説明を省略する。第2の実施形態において、熱分解液回収手段1は、低温炉13内に投入された有機物処理材料を熱分解し、有機物処理材料から熱分解ガス成分を分離し活性炭のみとする低温炉13の熱分解ガス成分の回収において、低温炉13内で発生し外部に導出される熱分解ガス成分を熱分解液と直接接触し凝縮させる熱分解ガス成分凝縮エジェクタ51と、熱分解ガス成分凝縮エジェクタ51にて凝縮した熱分解油を貯留する熱分解液回収容器25と、凝縮した熱分解液を冷却する熱分解油冷却器52とを有することを特徴とする。なお、図中の符番53は、熱分解油冷却器52が介装された熱分解液循環ラインを示す。
図2において、低温炉13内で発生した水蒸気成分の混じった熱分解液として回収する構成として、低温炉13内で発生した熱分解液を外部に導出する熱分解ガス排出ノズル(図示せず)、熱分解ガス出口ダクト19、熱分解ガス成分を熱分解液と直接接触し凝縮させる熱分解ガス凝縮エジェクタ51と、このエジェクタ51にて凝縮した初段熱分解液を貯留する熱分解液回収容器25と、熱分解液回収容器25内の凝縮した回収熱分解液を冷却する熱分解液冷却器52を経由して熱分解ガス凝縮エジェクタ51に送る熱分解液循環ライン53を有している。なお、熱分解液回収手段1において回収された熱分解液回収容器25内の回収熱分解液のその後のフロー説明は図1と同様であり、ここでは説明を省略する。
このように、熱分解ガスを熱分解ガス凝縮エジェクタ51により直接接触させて凝縮させることは、間接冷却器による間接凝縮に比べて、熱交換部にタール付着等の心配がなく安定的に熱分解ガスから熱分解油を効率的に回収することができる。なお、熱分解液を貯留する熱分解液回収容器25内に熱分解液が或る一定以上のレベルに溜まれば、熱分解液を払出し一時貯留できるようにする等、熱分解液に関係する付帯設備の設計上の創意工夫はその設置場所の状況に合わせて行えばよい。
投入する有機物処理材料が木質系バイオマスである場合、熱分解液回収容器25に回収される熱分解液は木酢液とほぼ同様の成分であり、回収した熱分解液を木酢液としても活用することができる。
また、投入する有機物処理材料が植物、農産物の廃棄物等の繊維質系バイオマスである場合、熱分解液回収容器25に回収される熱分解液は植物液とほぼ同様の成分であり、回収した熱分解液を植物液として活用することもできる。
一般に、木材等の木質系バイオマスを熱分解して炭化する過程において、固体生成物である木炭の他に、気体と木ガスと木酢液を含む液体生成物が得られ、液体生成物を静置すると、上層の赤茶色の水溶液(木酢液)と、下層の黒色のタール分に分離される。水溶液(木酢液)とタール分の成分は完全に分離しているわけではなくお互いそれぞれ少しずつ溶け込んでいる。タール分等の残留分が少ない方が良質の木酢液と言える。この場合、低温炉13内の設定温度、投入する有機物処理材料の種類、含水率等により木酢液の性状は多少異なるが、pH2〜3程度の酸性の木酢液が回収できる。木酢液は一般にその10〜20%が有機化合物であり、残りの80〜90%が水分で、有機化合物中の主成分は酢酸である。この木酢液の主成分は、酢酸の他、プロピオン酸などの酸類、メタノール、マルトール等のアルコール類、クレゾール等のフェノール類、吉草酸エステル等の中性物質類を含んでおり、害虫を駆除する働きやカビ等の微生物を生えにくくする作用があり、中性物質類が多いと植物の成長を促進する性質を有しており、その用途も消臭剤、畜産用、堆肥用、園芸用等への広い活用が行える。
低温炉13に投入する有機物処理材料が木質系バイオマスである場合、上記のような性質を有する水溶液(木酢液)とほぼ同様の成分であり、木酢液としても連続的に回収することができる。
一方、投入する有機物処理材料が植物、農産物の廃棄物等の繊維質系バイオマスである場合、熱分解液回収容器25に回収される熱分解液は植物液であり、植物液は木酢液に比べタール分等の残留分が少なく、中性物質類が多い場合は植物の成長を促進する性質を有し、木酢液と同様に、その用途も消臭剤、畜産用、堆肥用、園芸用等への広い活用が図れる。
第2の実施形態に係るナノカーボン製造装置によれば、有機物処理材料を乾燥、炭化・熱分解しタール混入熱分解液と活性炭を回収する熱分解液回収手段1と、回収したタール混入熱分解液からタール分を除去する熱分解液タール分除去手段2と、タール分を除去した熱分解液から高機能カーボンを生成するナノカーボン生成手段3とを有し、熱分解液回収手段1においては連続して安定的に水溶液(木酢液)、バイオマス有機水溶液(植物液)が回収できる。
なお、熱分解液回収手段1においては多少のタール分も混入している場合が多い。このように木酢液、植物液中に多少タール分が混入している場合には、熱分解液からタール分を除去する熱分解液タール分除去手段2を通過させることで、良質な木酢液、植物液を得ることができる。我々は、この木酢液,植物液を、高機能カーボンを生成するナノカーボン生成手段3に投入することで、良質のカーボンナノチューブ等の高機能カーボンが生成できることを確認している。
(第3の実施形態)
第3の実施形態に係るナノカーボン製造装置について図2を参照して説明する。図2は、請求項4の実施形態に対応する説明である。但し、図1と同部材は同符番を付して説明を省略する。第3の実施形態において、熱分解液タール分除去手段2は、熱分解液回収手段1で回収したタール混入熱分解液からのタール分除去において、タール混入熱分解液を蒸留する蒸留器30とタール分除去蒸留熱分解液回収容器33とを有し、蒸留器30の蒸留器ボトム部27に熱分解液回収手段1で回収したタール混入熱分解液を投入し、タール分以外を蒸発・凝縮させる蒸留器30と、蒸留器30でタール分を除去した熱分解液をタール分除去蒸留熱分解液として回収・貯留し、次の高機能カーボンを生成するナノカーボン生成手段3の高温炉37に投入するタール分除去蒸留熱分解液投入容器33を有することを特徴とする。なお、熱分解液回収手段1、ナノカーボン生成手段3のフローは図1、2と同様であり、ここでは説明を省略する。
熱分解液回収手段1の熱分解液回収容器25に回収されたタール混入熱分解液は、熱分解液供給ライン26を経由してタール分を除去する熱分解液タール分除去手段2に送られ、タール混入熱分解液を蒸留する蒸留器30の蒸留器ボトム部27に投入される。
蒸留器30は、周囲に蒸留器ボトム加熱源28を有する下部の蒸留器ボトム部27と、蒸発した成分を凝縮・蒸留させる上部の蒸留器30との一体化構造となっている。タール混入熱分解液は蒸留器30の下部の蒸留器ボトム部27内部に熱分解液回収容器25から連続的に定量投入され、その外側の蒸留器ボトム加熱源28から加熱されタール分以外の軽い成分は蒸発する。蒸留器ボトム部27から蒸発した熱分解液中の蒸発成分は、蒸留部29内で冷却され凝縮され、熱分解蒸留液排出ノズル31から排出され、熱分解蒸留液供給ライン32を経由して、タール分除去蒸留熱分解液投入容器33に供給される。
熱分解液回収手段1の熱分解液回収容器25からのタール混入熱分解液は、蒸留器30の下部の蒸留器ボトム部27内部で蒸留器ボトム加熱源28により加熱されるが、蒸留器ボトム部27内部温度が100から50℃になるように加熱されることで、タール混入熱分解液中の軽い水蒸気成分が蒸発し上昇し、水蒸気成分は冷却され凝縮させる蒸留部29へ導入される。ボトム内部の設定温度は、処理する有機物処理材料の熱分解液の特性等により変動するが、熱分解液中のタール分は100℃以上では蒸発しないことから、最低100℃以上加熱し、蒸留効率を上げる為に最適な温度に設定すればよい。
ここで、蒸留器30は沸点の差により分留して回収することも可能であり、この下流のナノカーボン生成手段3の高温炉37において最適な熱分解液(分留液)を得る為に、この蒸留で或る沸点温度範囲の熱分解液(分留液)のみを抽出して高温炉37に投入するようにすることも可能である。
なお、この蒸留器内の圧力は常圧で十分である。また、蒸留器ボトム部27内部に徐々に溜まるタール分は、定期的に抜出す。タール分の流動点は高いため、タール排出配管内で固着しないよう配管部を加熱し、タールを流下させるようにする工夫が必要である。また、蒸留器ボトム部27内部は、或る一定レベル以上の熱分解液を保持することで、蒸留器ボトム加熱源28の負荷変動が生じないようにする。
一方、蒸留器ボトム部27でタール混入熱分解液が加熱されることで、蒸発ガス中に含まれ凝縮部で凝縮しない軽いオフガス成分は、蒸留器上部のオフガス排出ノズル(図示せず)から排出される。オフガス排出ノズルから排出されたオフガス成分は、或る一定のカロリーを有している。図示していないが、オフガスバーナ等を設置し燃焼させることで、この燃焼ガスを低温炉13の第1の加熱源14、或いは、高温炉37の第2の加熱源40等に循環させ、低温炉13の第1の加熱源14或いは高温炉37の第2の加熱源40として排熱を有効活用することも可能である。なお、熱分解液蒸留液供給ライン32中に熱分解液冷却器等を設置することにより、熱分解液を凝縮して熱分解液を更に冷却し、熱分解ガスの凝縮効率を高めることができる。
熱分解液からタール分を除去する熱分解液タール分除去手段2にて回収したタール分除去蒸留熱分解液は、タール分除去蒸留熱分解液投入容器34に一時貯留され、カーボンナノチューブ等のナノカーボンを生成するナノカーボン生成手段3へと送られる。
第3の実施形態に係るナノカーボン製造装置によれば、熱分解液回収手段1で回収したタール混入熱分解液からのタール分除去において、タール混入熱分解液を蒸留する蒸留器30とタール分除去蒸留熱分解液回収容器33とを有し、蒸留器ボトム部27に熱分解液回収手段1で回収したタール混入熱分解液を投入し、タール分以外を蒸発・凝縮させる蒸留器30と、蒸留器30でタール分を除去した熱分解液をタール分除去蒸留熱分解液として回収・貯留し、次の高温炉37に投入するタール分除去蒸留熱分解液投入容器33を有し、熱分解液回収手段1においては連続して安定的に熱分解液が回収できる。
(第4の実施形態)
第4の実施形態に係るナノカーボン製造装置について図2を参照して説明する。図2は、請求項5の実施形態に対応する説明である。但し、図1と同部材は同符番を付して説明を省略する。第4の実施形態において、ナノカーボン生成手段3は、内容器の一端側にタール分を除去する熱分解液タール分除去手段2で生成したタール分除去蒸留熱分解液と触媒用金属粉とを投入機35を経由して高温炉37に投入し、ナノカーボンとオフガスを生成し、回収したナノカーボンを回収するカーボンナノチューブ回収容器43とを有することを特徴とする。
なお、ナノカーボン生成手段3において、タール分除去蒸留熱分解液、触媒用金属粉は投入機35を経由して外側の第2の加熱源40で内部を加熱する外熱式の高温炉37に投入される。しかし、この投入機35はタール分除去蒸留熱分解液、触媒用金属粉がカーボナノチューブの生成効率を高めるよう最適比率で投入できるように高温炉37の構造設計等に合わせて創意工夫すればよい。但し、その後のフロー説明は図1と同様であり、ここでは説明を省略する。
ところで、ナノカーボン生成手段2のカーボンナノチューブ回収容器43内にカーボンナノチューブ等の高機能カーボンが連続的に溜まっていく。しかし、カーボンナノチューブ回収容器43内に或る一定以上のレベルに溜まれば、カーボンナノチューブ等の高機能カーボンを払出し出荷できるようにする等、回収カーボンナノチューブに関係する付帯設備の設計上の創意工夫はその設置場所の状況に合わせて行えばよい。
第4の実施形態に係るナノカーボン製造装置によれば、ナノカーボン生成手段3は、内容器の一端側に熱分解液タール分除去手段2で生成したタール分除去蒸留熱分解液と触媒用金属粉とを高機能カーボン生成炉に投入し、ナノカーボンとオフガスを生成し、回収した高機能カーボンを回収するナノカーボン回収容器43とを有し、ナノカーボン生成手段3においては連続して安定的にカーボンナノチューブ等の高機能カーボンが回収できる。
(第5の実施形態)
第5の実施形態に係るナノカーボン製造装置について図3を参照して説明する。図3は、請求項6の実施形態に対応する説明である。但し、図1,図2と同部材は同符番を付して説明を省略する。第5の実施形態において、熱分解液タール分除去手段1は熱分解ガス成分凝縮エジェクタ51にて凝縮しきれないオフガス成分、熱分解液タール分除去手段2の蒸留器30にて凝縮しきれないオフガス成分、ナノカーボン生成手段3の高温炉37から発生するオフガス成分を、低温炉13、蒸留器30、高温炉37の加熱用バーナの燃料として活用することを特徴とする。なお、連続して有機物処理材料から高機能カーボン、炭化物を製造するフロー説明は図1,図2と同様であり、ここでは説明を省略する。
図3中の符番61は、低温炉13の第1の加熱源14に接続する熱分解炉排ガスラインであり、排ガスが排ガス排気塔62から排気されるようになっている。第1の加熱源14と蒸留器加熱源32とは、蒸留器排ガスライン63により接続されている。前記熱分解炉排ガスライン16と蒸留器排ガスライン63は、熱分解炉燃焼ガス循環ライン64により接続されている。
また、図中の符番65は、オフガス燃焼炉を示す。前記熱分解液回収容器25とオフガス燃焼炉65とは、熱分解炉生成オフガスライン(以下、第1のオフガスラインと呼ぶ)66により接続されている。前記蒸留器30とオフガス燃焼炉65とは、蒸留器生成オフガスライン(以下、第2のオフガスラインと呼ぶ)67により接続されている。前記高温炉37のオフガス出口ノズル41とオフガス燃焼炉65とは、生成炉生成オフガスライン(以下、第3のオフガスラインと呼ぶ)68により接続されている。
前記高温炉37の第2の加熱源41とオフガス燃焼炉65とは、オフガス燃焼ガスライン69により接続されている。前記蒸留器加熱源28と高温炉37の第2の加熱源41とは、生成炉排ガスライン70により接続されている。前記オフガス燃焼ガスライン69と生成炉排ガスライン70とは、カーボンナノチューブ生成炉燃焼ガス循環ライン71により接続されている。
図3では、低温炉13から熱分解液回収容器25を経由して排出されるオフガスは第1のオフガスライン60、蒸留器30から排出されるオフガスは第2のオフガスライン67、高温炉37から排出されるオフガスは第3のオフガスライン68を経由して、夫々オフガス燃焼炉65内の燃焼バーナに吸引され、バーナ燃焼する。
オフガス燃焼炉65内では、850℃以上、滞留時間2秒以上で熱分解ガスを完全燃焼させ無害化した後、発生する燃焼熱風ガスはまずオフガス燃焼ガスライン69を経由して高温炉37の外側に設置されている第2の加熱源41へと送風する。高温炉37内部のタール分除去蒸留熱分解液、触媒用金属粉、耐熱ボール39は、第2の加熱源41を流れる燃焼熱風ガスにより加熱される。
第2の加熱源41出口燃焼熱風ガスの一部を再度第2の加熱源41へ循環させるカーボンナノチューブ生成炉燃焼ガス循環ライン71を設置し、第2の加熱源41内を流れる燃焼熱風ガスを増やし、伝熱効率を上げている。
次に、第2の加熱源41出口燃焼熱風ガスを蒸留器30の外側に設置されている蒸留器加熱源28へと送風する。蒸留器30の下部の蒸留器ボトム部27内部のタール分混入熱分解液は、その外側の蒸留器加熱源28により加熱され、タール分以外の軽い成分は蒸発する。蒸留器ボトム部27から蒸発した熱分解液中の蒸発成分は、蒸留部30内で冷却され凝縮され、熱分解蒸留液排出ノズル31から排出され、熱分解蒸留液供給ライン32を経由して、タール分除去蒸留熱分解液投入容器33に供給される。
次に、蒸留器加熱源28出口燃焼熱風ガスを低温炉13の外側に設置されている第1の加熱源14へと送風する。低温炉13内部の有機物処理材料は、第1の加熱源14を流れる燃焼熱風ガスにより加熱され熱分解される。第1の加熱源14出口燃焼熱風ガスの一部を再度第1の加熱源14へ循環させる熱分解炉燃焼ガス循環ライン64を設置し、第1の加熱源14内を流れる燃焼熱風ガス風量を増やし、伝熱効率を上げている。第1の加熱源14を出た燃焼熱風ガスは、排気塔64から排気される。
なお、オフガス燃焼炉65内温度を850℃よりも上げたり、高温炉37、蒸留器30、低温炉13内の温度を夫々カーボンナノチューブ生成、熱分解液の蒸留、熱分解炭化に最適な温度に制御すべく、設計上、オフガス燃焼ガスライン69、生成炉排ガスライン70、蒸留器排ガスライン63、の途中に希釈空気を入れること等により、第2の加熱源40温度、蒸留器加熱源28温度、第1の加熱源14温度が最適な温度になるような調整、制御することも適宜行う。
このように、オフガスの燃焼により発生した燃焼熱風ガスは、オフガス燃焼ガスライン69を介して高温炉37の第2の加熱源40、生成炉排ガスライン70を介して蒸留器30の蒸留器加熱源28、蒸留器排ガスライン63を介して低温炉13の第1の加熱源14に導入し、カーボンナノチューブ生成、熱分解炭化処理の熱源として使用される。
これにより、生成するオフガスを利用して高機能カーボン、活性炭連続製造処理に必要な熱源を本処理装置内で得ることができるので、化石燃料の使用量を大幅に削減することができる。但し、初期起動時の運転においては、オフガス燃焼炉65の助燃料として若干量の化石燃料(灯油、LPGガス等)をオフガス燃焼炉65に供給することはやむをえない。
第5の実施形態に係るナノカーボン製造装置によれば、熱分解液回収手段1は、熱分解ガス成分凝縮エジェクタ51にて凝縮しきれないオフガス成分、熱分解液タール分除去手段2の蒸留器30にて凝縮しきれないオフガス成分、ナノカーボン生成手段3の高温炉37から発生するオフガス成分を、低温炉13、蒸留器30、高温炉37の加熱用バーナの燃料として活用することで、生成するオフガスを利用して高機能カーボン、炭化物連続製造処理に必要な熱源を本処理装置内で得ることができるので、トータルの総合エネルギー効率を高めることができる。
(第6の実施形態)
第6の実施形態に係るナノカーボン製造装置について図4を参照して説明する。図4は、請求項7の実施形態に対応する説明である。但し、図1,図2,図3と同部材は同符番を付して説明を省略する。第6の実施形態は、熱分解液タール分除去手段2の蒸留器30にて回収したタール分除去熱分解液の一部を低温炉13、蒸留器30、高温炉37の加熱用バーナの燃料として活用することを特徴とする。
図中の符番81は、タール分除去蒸留熱分解液投入容器33とオフガス燃焼炉65を接続する熱分解液供給ラインを示す。即ち、図4では、蒸留器30の蒸留部29にて回収しタール分除去蒸留熱分解液投入容器33に回収したタール分除去熱分解液の一部を、熱分解液供給ライン81を経由して、オフガス燃焼炉65のバーナに供給されるようにしている。
これにより、生成する熱分解液の一部を利用して高機能カーボン、活性炭連続製造処理に必要な熱源を本処理装置内で得ることができるので、化石燃料の使用量を大幅に削減することができ、CO排出量の削減を図ることができる。但し、初期起動時の運転においては、オフガス燃焼炉65、排熱回収ボイラー(図示せず)の助燃料として若干量の化石燃料(灯油、LPGガス等)を排ガス排気塔62に供給することはやむをえないものの、熱分解液を貯留しておけば、これを初期起動時の運転に活用することもでき、化石燃料の使用量を大幅に削減することができる。なお、熱分解液の一部をオフガス燃焼炉65のバーナに供給するだけでなく、本装置内の他のバーナに供給するようにし、本装置内で加熱の必要な機器等に供給することも可能である。
第6の実施形態に係るナノカーボン製造装置によれば、熱分解液回収手段1にて回収した熱分解液の一部を低温炉13、蒸留器30、高温炉37の加熱用バーナの燃料として活用することを特徴とする高機能カーボン、炭化物連続製造装置に必要な熱源を本処理装置内で得ることができる。また、これを初期起動時の運転にも活用することもでき、化石燃料の使用量を大幅に削減することができ、CO排出量の削減を図ることができるだけでなく、トータルの総合エネルギー効率を高めた高機能カーボン、炭化物連続製造装置を提供することができる。
(第7の実施形態)
第7の実施形態に係るナノカーボン製造装置について図5を参照して説明する。図5は、請求項11の実施形態に対応する説明である。但し、図1〜図4と同部材は同符番を付して説明を省略する。第7の実施形態は、請求項11の実施形態に対応する。
図5中の符番82は、有機物処理材料を粉砕する粉砕機である。粉砕機82には、ライン83を介して粉砕した有機物処理材料を投入する投入ホッパー84が接続されている。第7の実施形態では、投入する有機物が木質系バイオマス或いは植物、農産物の廃棄物等の繊維質系バイオマスであるとき、木質系バイオマス材料或いは繊維質系バイオマスを粉砕機82にて粉砕処理することにより材料の粒度径を0.1〜2mmの範囲で均一にした後、投入ホッパー84に粉砕した有機物処理材料を投入し、その下部に定量供給装置を設置し、粉砕処理された材料を定量供給装置を経由して、低温炉13内に連続的に投入できるようにした。
投入する有機物が木質系バイオマス或いは植物、農産物の廃棄物等の繊維質系バイオマスである場合、これらの形状はまちまちで、単に破砕しただけでは、破砕機の刃をすり抜ける細長い形状が多く残る。従って、これが投入ホッパー84の下部にサークルフィーダ、ロータリーバルブ等の定量供給装置の隙間部に食い込み、ブリッジを形成し定量供給できなくなるばかりか、これらの回転停止(回転部がロック)し、供給停止に陥る。また、この現象を解消する為に、定量供給装置を停止、解体し、食い込み、ブリッジ部を清掃することも必要となり、安定運転に支障をきたすことになる。破砕機の刃、破砕機のメッシュ等を細かくしても、有機物が木質系バイオマス或いは植物、農産物の廃棄物等の繊維質系バイオマスである場合は繊維質であり、どうしても形状はまちまちとなってしまい、細長い形状の繊維が残ってしまい、破砕処理するだけでは、常に安定的な定量供給を行うことは困難である。
このような木質系バイオマス或いは植物、農産物の廃棄物等の繊維質系バイオマスを定量供給するには、木質系バイオマス材料或いは繊維質系バイオマスを粉砕機82にて粉砕処理することにより材料の粒度径を0.1〜2mmの範囲で均一にした後、投入ホッパー84に粉砕材料を投入し、その下部に定量供給装置を設置することで、粉砕処理された材料を定量供給装置を経由して、低温炉13内に連続的に安定的に投入できる。材料の粉砕に際して粒度径は0.1〜2mmの範囲にすることが望ましい。これ以上では単なる破砕物と同様に細長い形状の繊維が残ってしまい、常に安定的な定量供給を行うことは困難である。逆に、0.1mm未満では粉砕するに動力が掛かりすぎて効率的ではない。
また、投入ホッパー84に投入された粉砕有機物処理材料は、投入機12を経由して定量的に低温炉13内に投入されるが、投入機12内のスクリュー等に木質系バイオマス材料或いは繊維質系バイオマスが絡まることもなく安定的に稼動することができる。更に、低温炉13内においても投入材料が固まったり、絡まったりすることもなく、安定的に熱分解処理することができるばかりではなく、投入材料が細かい為、材料内部への熱の伝わりが早くなり、熱分解効率を高めることができる。
更に、投入材料が細かく低温炉13内部で絡まったりすることもない為、低温炉13の内容器13の第1の駆動モータ17の駆動動力も減らすことができる。
第7の実施形態に係るナノカーボン製造装置によれば、投入する有機物が木質系バイオマス或いは植物、農産物の廃棄物等の繊維質系バイオマス或いは建築廃材の木質系廃材、壁紙等の廃材であるとき、木質系バイオマス材料或いは繊維質系バイオマス或いは建築廃材の木質系廃材、壁紙等の廃材を粉砕処理することにより材料の粒度径を0.1〜2mmの範囲で均一にした後、材料貯留ホッパーに粉砕材料を投入し、その下部に定量供給装置を設置し、粉砕処理された材料を定量供給装置を経由して、低温炉13内に連続的に投入できるようにしたことを特徴とする。従って、投入材料を安定投入できるだけでなく、その下流における装置の運転の安定的に行うことができ、連続的に効率的に量産製造することができる高機能カーボン、炭化物連続製造装置が得られる。
(第8の実施形態)
第8の実施形態に係るナノカーボン製造装置について図6を参照して説明する。図6は、請求項12の実施形態に対応する説明である。但し、図1〜図5と同部材は同符番を付して説明を省略する。第8の実施形態は、請求項12の実施形態に対応する。第8の実施形態は、投入する有機物は下水汚泥であることを特徴とする。
図6中の符番85は、有機物処理材料としての汚泥処理材料を投入する汚泥処理材料投入ホッパーである。ナノカーボン製造装置における動作説明は、図1〜6の説明と同様である。
投入する有機物が下水汚泥である場合においても、有機物処理材料を乾燥、炭化・熱分解しタール混入熱分解液と活性炭を回収する熱分解液回収手段1と、回収したタール混入熱分解液からタール分を除去する熱分解液タール分除去手段2と、タール分を除去した熱分解液からナノカーボンを生成するナノカーボン生成手段3とを経由することで、連続して下水汚泥からナノカーボン、炭化物を製造することができる。特に、下水汚泥は性状が安定しており安定的に定量投入できるだけでなく、下水汚泥からは良質の炭化物を製造することができるという特長がある。
(第9の実施形態)
第9の実施形態に係るナノカーボン製造装置について図7を参照して説明する。但し、図1〜図6と同部材は同符番を付して説明を省略する。第9の実施形態は、請求項13の実施形態に対応する。第9の実施形態は、投入する有機物は、木質系バイオマス或いは植物、農産物の廃棄物等の繊維質系バイオマス或いは建築廃材の木質系廃材、壁紙等の廃材の有機物を任意に何種類か組合わせたものであることを特徴とする。
図7では、投入する有機物を2種類とし、処理材料Aを処理材料A投入ホッパー86から、処理材料Bを処理材料B投入ホッパー87から投入するようにしている。処理材料A,Bは、木質系バイオマス、植物、農産物の廃棄物等の繊維質系バイオマス、下水汚泥の内の任意の2種類を組み合わせたものとすればよい。処理材料投入ホッパーに投入する処理材料の種類によって生成するナノカーボン、炭化物の性状が異なる。しかし、これらの木質系バイオマス、植物、農産物の廃棄物等の繊維質系バイオマス、下水汚泥の内の任意の組合せを選定して混合投入することで、ナノカーボン、炭化物の性状を夫々改良することもできる。また、任意の組合せを選定して混合投入することで、ナノカーボン、炭化物の夫々の回収効率を高めること等もできる。
なお、上記実施形態では、投入する有機物材料が2種類の場合について述べたが、これに限らない。例えば、投入ホッパー86,87以外に別の投入ホッパーを配置し、投入ホッパー86から処理材料Aを、投入ホッパー87から処理材料Bを、更に別の投入ホッパーから処理材料Cを投入する場合でもよい。例えば、下水汚泥と木質系バイオマスを組み合わせて投入することで、下水汚泥原料主体の良質の活性炭と木質系バイオマス原料主体の良質の高機能カーボン(カーボンナノチューブ)を製造することができるという特長がある。
(第10の実施形態)
第10の実施形態に係るナノカーボン製造装置について図8を参照して説明する。但し、図1〜図7と同部材は同符番を付して説明を省略する。第10の実施形態は、請求項14の実施形態に対応する。第10の実施形態は、投入する有機物は木質系バイオマス、繊維質バイオマス、建築廃材の木質系廃材、壁紙等の廃材、下水汚泥等の新規原料に使用済の活性炭を混入させることを特徴とする。
図8では、投入する有機物を2種類とし、処理材料Aを投入ホッパー86から、使用済の活性炭を活性炭投入ホッパー88から投入するようにしている。一般に、使用済の活性炭は賦活処理することで、元の機能を回復でき、再使用が可能となる。賦活処理は、炭化物を800〜1200℃で水蒸気雰囲気の中で酸化させることで、更に多孔質にさせ表面積を大きくする過程操作であるが、使用済の活性炭に木質系バイオマス等の熱分解することで、水素、水蒸気等を多く揮発する材料と同時に熱分解することで、温度を700℃以上に上げなくても良質の活性炭相当の炭化物が得られる効果を有する。
このように有機物処理材料を500〜700℃に加熱し熱分解・炭化することで、熱分解・炭化された炭化物はミクロ視的にはポーラス状になり活性炭の機能を有する炭化物として有価値物として回収される。低温炉13にて生成した炭化物は炭化物回収容器21に回収される。
処理材料Aは、木質系バイオマス、植物、農産物の廃棄物等の繊維質系バイオマス、下水汚泥の内の任意の1種類を組み合わせたもので、使用済の活性炭と混合投入することで、ナノカーボン、活性炭の性状を夫々改良することもできる。また、使用済の活性炭を混合投入することで、ナノカーボン、活性炭の夫々の回収効率を高めること等もできる。
なお、上記実施形態では、投入する有機物材料が処理剤Aと使用済活性炭の2種類の場合について述べたが、これに限らない。例えば、投入ホッパー86,88以外に別の投入ホッパーを配置し、投入ホッパー86から処理材料Aを、投入ホッパー88から使用済活性炭を、更に別の投入ホッパーから処理材料Bを投入する場合でもよい。例えば、下水汚泥と木質系バイオマスと使用済の活性炭を組み合わせて投入することで、下水汚泥原料と使用済の活性炭主体の良質の再生活性炭と木質系バイオマス原料主体の良質のカーボンナノチューブ等の高機能カーボンを製造することができるという特長がある。
(第11の実施形態)
第11の実施形態に係るナノカーボン製造装置について図9を参照して説明する。但し、図1〜図8と同部材は同符番を付して説明を省略する。第11の実施形態は、請求項15の実施形態に対応する。第11の実施形態は、熱分解液回収手段1の低温炉13、ナノカーボン生成手段3の高温炉37の夫々の内容器15,36内に水蒸気注入ノズル89,90を設置し運転中に内容器内に水蒸気を注入しつつ熱分解炭化物製造、カーボン生成を行うことを特徴とする。
図9では、還元雰囲気の低温炉13内の内容器15に水蒸気注入ノズル89を経由して、高温炉37内の内容器36に水蒸気注入ノズル90を経由して、両方に水蒸気を噴霧するようにしたものである。なお、内容器15,36のいずれか一方に水蒸気を噴霧してもよい。
低温炉13内の内容器15に水蒸気を噴霧することにより、良質の炭化物を生成でき、更に、熱分解工程における水素、メタンガス等の生成を促進することで、オフガス量を増やすことができる。
一方、高温炉37内の内容器36に水蒸気を噴霧することにより、水素、メタンガス等の生成が促進され、良質なカーボンナノチューブ生成量を増やすことができる。
なお、水蒸気を噴霧する際は、水蒸気噴射ノズルから連続的に均一に噴霧できるよう各炉内の最適位置にノズルを設置する等の設計上の工夫が必要である。
高温炉37内の耐熱ボール39表面では耐熱ボール39を構成する触媒粒子が核となり低温炉13からの熱分解液中の炭化水素だけでなく水蒸気も噴霧され高温状態で反応することで、炭化水素だけ噴霧され高温状態で反応する場合よりも気相成長法により、より効率的にカーボンナノチューブ等の高機能カーボンが生成、成長する。耐熱ボール39群は回転しており、各耐熱ボール39表面は均一に加熱されるとともに、炭化水素と水蒸気が均一に噴霧されることで、各耐熱ボール39表面で斑なく均一にカーボンナノチューブが生成、成長できる。これにより、カーボンナノチューブ等の高機能カーボンを連続的に安定的に製造することができる。
更に、熱分解液回収手段1の低温炉13、ナノカーボン生成手段3の高温炉37の夫々の内容器内に注入する水蒸気の量を、低温炉13、高温炉37の内容器内の夫々の温度により自動温度制御運転機能を有することにより、低温炉13内においては、タール分生成を抑制し、熱分解液の生成が最大限促進され、カーボンナノチューブ生成に適する熱分解液を安定的に増やすことができる。また、高温炉37内においては、水素、メタンガス等の生成が最大限促進され、良質なカーボンナノチューブ生成量を増やすことができる。
また、熱分解液回収手段1の低温炉13内の内容器15内には耐熱ボール16としてセラミックボールを保持し、ナノカーボン生成手段3の高温炉37の内容器36内には耐熱ボール39としてステンレス、鉄、ニッケル、クロム等の金属ボールを保持する。
低温炉13内の内容器14内の耐熱ボール16としてセラミックボールを保持、充填することで、内容器14が回転することにより、低温炉13内の内容器14に投入された有機物処理材料への熱の伝わりを促進し、活性炭(炭化物)の生成速度を高めるとともに、活性炭(炭化物)を粉末状とし活性炭として利用しやすくする効果も高めることもできる。これにより、低温炉13から活性炭(炭化物)が炭化物回収容器21に安定的に排出されるようになる。
一方、ナノカーボン生成手段3の高温炉37の内容器36内には耐熱ボール39としてステンレス、鉄、ニッケル、クロム等の金属ボールを保持、充填することで、この耐熱ボール39表面に熱分解液、触媒用金属粉が付着し、この耐熱ボール39表面ポーラスを基点として気相成長法により多数のカーボンナノチューブが生成する。また、内容器36が回転することにより、高温炉37内の内容器36に投入されたタール分除去熱分解液、触媒用金属粉の耐熱ボール39表面への付着頻度を高めカーボンナノチューブの生成回数を促進し、カーボンナノチューブの生成速度を高めるとともに、耐熱ボール39同士がぶつかり合うことで、耐熱ボール39表面に成長したカーボンナノチューブを剥がし、耐熱ボール39表面に次のカーボンナノチューブが生成することを促進し、連続的にカーボンナノチューブを生成することができ、純度および安定性の高いカーボンナノチューブ等の高機能カーボンを低コストで効率よく量産することができる。
(第12の実施形態)
第12の実施形態に係るナノカーボン製造装置について図10を参照して説明する。但し、図1〜図9と同部材は同符番を付して説明を省略する。第12の実施形態は、請求項16の実施形態に対応する。第12の実施形態は、ナノカーボン生成手段3の高温炉37の内容器36内に水素注入ノズル91を設置し、運転中に内容器内に水素を注入しつつカーボン生成を行うことを特徴とする。
図10では、高温炉37内の内容器36に水素注入ノズル91を経由して、水素を噴霧するようにしたものである。高温炉37内の内容器36に水素注入することにより、良質なカーボンナノチューブ生成量を増やすことができる。
なお、水素を注入する際は、水素噴射ノズルから連続的に均一に注入できるよう高温炉37内の最適位置にノズルを設置する等の設計上の工夫が必要である。
高温炉37内の耐熱ボール39表面では耐熱ボール39を構成する触媒粒子が核となり低温炉13からの熱分解液中の炭化水素だけでなく水素も注入され高温状態で反応することで、炭化水素だけ噴霧され高温状態で反応する場合よりも気相成長法により、より効率的にカーボンナノチューブが生成、成長する。耐熱ボール39群は回転しており、各耐熱ボール39表面は均一に加熱されるとともに、炭化水素と水素が均一に噴霧されることで、各耐熱ボール39表面で斑なく均一にカーボンナノチューブ等の高機能カーボンが生成、成長できる。これにより、カーボンナノチューブを連続的に安定的に製造することができる。
なお、本発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
本発明の第1の実施形態に係るナノカーボン製造装置の説明図。 本発明の第2〜4の実施形態に係るナノカーボン製造装置の説明図。 本発明の第5の実施形態に係るナノカーボン製造装置の説明図。 本発明の第6の実施形態に係るナノカーボン製造装置の説明図。 本発明の第7の実施形態に係るナノカーボン製造装置の説明図。 本発明の第8の実施形態に係るナノカーボン製造装置の説明図。 本発明の第9の実施形態に係るナノカーボン製造装置の説明図。 本発明の第10の実施形態に係るナノカーボン製造装置の説明図。 本発明の第11の実施形態に係るナノカーボン製造装置の説明図。 本発明の第12の実施形態に係るナノカーボン製造装置の説明図。 気相成長基板法を用いてカーボンナノチューブを製造する方法の説明図。 流動気相法を用いてカーボンナノチューブを製造する方法の説明図。
符号の説明
1…熱分解液回収手段、2…熱分解液タール分除去手段、3…ナノカーボン生成手段、11,84,85,86,87,88…投入ホッパー、12,35…投入機、13…熱分解炉(低温炉)、14,40…加熱源、15,36…内容器、16,39…耐熱ボール、17,38…駆動モータ、18…熱分解ガス出口ノズル、19…熱分解ガス出口ダクト、20…触媒用金属粉付カーボンナノチューブ排出ノズル、21…炭化物回収容器、22…冷却水入口ノズル、23…冷却水出口ノズル、24…間接熱交換器、25…熱分解液回収容器、26…熱分解液供給ライン、27…蒸留器ボトム部、28…蒸留器ボトム加熱源、30…蒸留器、31…熱分解蒸留液供給ライン、32…熱分解蒸留液供給ライン、33…タール分除去蒸留熱分解液投入容器、34…触媒用金属粉投入ホッパー、37…カーボンナノチューブ生成炉(高温炉)、41…オフガス出口ノズル、43…カーボンナノチューブ回収容器、51…熱分解ガス成分凝縮エジェクタ、52…熱分解液冷却器、53…熱分解液循環ライン、61…熱分解炉排ガスライン(第1の排ガスライン)、62…排ガス排気塔、63…熱分解炉燃焼ガス排ガスライン(第2の排ガスライン)、64…熱分解炉燃焼ガス循環ライン(第1の循環ライン)、65…オフガス燃焼炉、66…熱分解炉生成オフガスライン(第1のオフガスライン)、67…蒸留器生成オフガスライン(第2のオフガスライン)、68…生成炉生成オフガスライン(第3のオフガスライン)、70…生成炉排ガスライン、71…カーボンナノチューブ生成炉燃焼ガス循環ライン(第2の循環ライン)、81…熱分解液供給ライン、82…粉砕機、89,90…水蒸気注入ノズル、91…水素注入ノズル。

Claims (18)

  1. 有機物処理材料を熱分解してタール混入熱分解液を回収する熱分解液回収手段と、
    回収したタール混入熱分解液からタール分を除去する熱分解液タール分除去手段と、
    タール分を除去した熱分解液からナノカーボンを生成するナノカーボン生成手段と
    を有し、
    有機物処理材料からナノカーボンを製造することを特徴とするナノカーボン製造装置。
  2. 前記熱分解液回収手段は、有機物処理材料を乾燥、炭化・熱分解してタール混入熱分解液と炭化物を回収する機能を有し、有機物処理材料からナノカーボン、炭化物を連続して製造することを特徴とする請求項1記載のナノカーボン製造装置。
  3. 前記熱分解液回収手段は、熱分解炭化物製造炉内に投入された有機物処理材料を熱分解し、有機物処理材料から熱分解ガス成分を分離し炭化物のみとする熱分解炉の熱分解ガス成分を回収するものであり、
    熱分解製造炉内で発生し外部に導出される熱分解ガス成分を熱分解液と直接接触し凝縮させる熱分解ガス成分凝縮エジェクタと、
    熱分解ガス成分凝縮エジェクタにて凝縮した熱分解油を貯留する熱分解液回収容器と、
    凝縮した熱分解液を冷却する熱分解油冷却器と
    を有することを特徴とする請求項2のナノカーボン製造装置。
  4. 前記熱分解液タール分除去手段は、熱分解液回収手段で回収したタール混入熱分解液からのタール分を除去するものであり、
    タール混入熱分解液を蒸留する蒸留器とタール分除去蒸留熱分解液回収容器とを有し、
    ボトムに熱分解液回収手段で回収したタール混入熱分解液を投入し、タール分以外を蒸発・凝縮させる蒸留器と、
    蒸留器でタール分を除去した熱分解液をタール分除去蒸留熱分解液として回収・貯留し、
    次のナノカーボン生成炉に投入するタール分除去蒸留熱分解液投入ホッパーと
    を有することを特徴とする請求項1もしくは2記載のナノカーボン製造装置。
  5. ナノカーボン生成手段は、内部に回転可能な内容器を有し、この内容器の一端側に熱分解液タール分除去手段で生成したタール分除去蒸留熱分解液と触媒用金属粉とをナノカーボン生成炉に投入し、ナノカーボンとオフガスを生成し、
    回収したナノカーボンを回収するナノカーボン回収容器を有することを特徴とする請求項1若しくは2記載のナノカーボン製造装置。
  6. 熱分解液回収手段は熱分解ガス成分凝縮エジェクタにて凝縮しきれないオフガス成分、熱分解液タール分除去手段の蒸留器にて凝縮しきれないオフガス成分及びナノカーボン生成手段のカーボンナノチューブ生成炉から発生するオフガス成分を、
    熱分解製造炉、蒸留器、ナノカーボン生成炉の加熱用バーナの燃料として活用することを特徴とする請求項1乃至5いずれか一記載のナノカーボン製造装置。
  7. 熱分解液回収手段にて回収した熱分解液の一部を、
    熱分解炉、蒸留器、カーボンナノチューブ生成炉の加熱用バーナの燃料として活用することを特徴とする請求項1乃至6記載のナノカーボン製造装置。
  8. 投入する有機物処理材料は木質系バイオマスとし、熱分解液回収手段にて回収した熱分解液の一部を木酢液として活用することを特徴とする請求項1乃至7記載のナノカーボン製造装置。
  9. 投入する有機物処理材料は植物、農産物の廃棄物等の繊維質系バイオマスとし、熱分解液回収手段にて回収した熱分解液の一部を植物液として活用することを特徴とする請求項1乃至8記載のナノカーボン製造装置。
  10. 投入する有機物は廃材であることを特徴とする請求項1乃至9記載のナノカーボン製造装置。
  11. 投入する有機物処理材料が木質系バイオマス或いは繊維質系バイオマス或いは廃材であるとき、木質系バイオマス材料或いは繊維質系バイオマス或いは廃材を粉砕処理することにより材料の粒度径を0.1〜2mmの範囲で均一にした後、材料貯留ホッパーに粉砕材料を投入し、その下部に定量供給装置を設置し、粉砕処理された材料を定量供給装置を経由して、熱分解製造炉内に連続的に投入できるようにしたことを特徴とする請求項8乃至10記載のナノカーボン製造装置。
  12. 投入する有機物処理材料は下水汚泥であることを特徴とする請求項1乃至7記載のナノカーボン製造装置。
  13. 投入する有機物処理材料は、木質系バイオマス、繊維質系バイオマス、廃材、下水汚泥のうち少なくとも2つ以上を組み合わせたものであることを特徴とする請求項1乃至7記載のナノカーボン製造装置。
  14. 投入する有機物処理材料は木質系バイオマス、繊維質バイオマス、廃材、下水汚泥の新規原料に、使用済の活性炭を混入させることを特徴とする請求項1乃至7記載のナノカーボン製造装置。
  15. 熱分解液回収手段の熱分解炉、ナノカーボン生成手段のカーボンナノチューブ生成炉の夫々の内容器内に水蒸気注入ノズルを設置し、運転中に内容器内に水蒸気を注入しつつ熱分解製造、カーボン生成を行うことを特徴とする請求項2乃至14のいずれか一記載のナノカーボン製造装置。
  16. 熱分解液回収手段の熱分解炉、ナノカーボン生成手段のカーボンナノチューブ生成炉の夫々の内容器内に注入する水蒸気の量は、熱分解炉、カーボンナノチューブ生成炉の夫々の内容器内の温度により自動制御されることを特徴とする請求項15の記載のナノカーボン製造装置。
  17. ナノカーボン生成手段のカーボンナノチューブ生成炉の内容器内に水素注入ノズルを設置し、運転中に内容器内に水素を注入しつつカーボン生成を行うことを特徴とする請求項2乃至15のいずれか一記載のナノカーボン製造装置。
  18. 熱分解液回収手段の熱分解炉の内容器内には耐熱ボールとしてセラミックボールを保持し、ナノカーボン生成手段のカーボンナノチューブ生成炉の内容器内には耐熱ボールとしてステンレス,鉄,ニッケル,クロムからなる金属ボールを保持することを特徴とする請求項1乃至17のいずれか一記載のナノカーボン製造装置。
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